JP2015072875A - 正極の評価方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】正極の劣化状態を簡便で精度よく評価できる評価方法を提供することを目的とする。【解決手段】リチウムイオン二次電池の2種以上の正極活物質を含む正極の評価方法であって、リチウムイオン二次電池の所定の充放電前の正極を作用極とするセルのサイクリックボルタンメトリー測定を行って、横軸を対Li/Li+電位基準の正極電位とする第1のサイクリックボルタモグラム曲線を得る工程と、リチウムイオン二次電池の所定の充放電後の正極を作用極とするセルのサイクリックボルタンメトリー測定を行って、横軸を対Li/Li+電位基準の正極電位とする第2のサイクリックボルタモグラム曲線を得る工程と、得られた第1のサイクリックボルタモグラム曲線および第2のサイクリックボルタモグラム曲線中、前記正極を構成する少なくとも1種の正極活物質に帰属する酸化ピークおよび/または還元ピークである判定ピークを決定する工程と、第1のサイクリックボルタモグラム曲線中の判定ピークに対する第2のサイクリックボルタモグラム曲線中の判定ピークの変化に基づいて、正極活物質の劣化の程度を判断する工程と、を有することを特徴とする正極の評価方法。【選択図】なし

Description

本発明は、2種以上の正極活物質を含む正極の劣化状態の評価方法に関する。
リチウムイオン二次電池は、体積が小さく、質量容量密度が大きく、高電圧を取り出すことができるため、小型機器用の電源として広く採用されている。例えば、携帯電話、ノート型パソコンなどのモバイル機器用の電源として用いられている。また、近年では、小型のモバイル機器用途以外にも、環境問題に対する配慮と省エネルギー化に対する意識の向上から、電気自動車(EV)や電力貯蔵分野などの大容量で長寿命が要求される大型二次電池に応用されてきている。
大容量、高い耐久性および高い安全性を有し、かつ安価であるリチウムイオン二次電池を実現するために、2種以上の正極活物質を含む混合正極が検討されている。一方、リチウムイオン二次電池は使用により劣化が進むが、負極の劣化状態の影響を受けずに、正極のみの劣化の程度を精度よく解析することが求められている。
M.Y.Song et al. Journal of Power Sources 111(2002)97−103 L.Xiao et al. Electrochimica Acta 54(2008)545−550
しかしながら、正極に含まれる正極活物質について、充放電サイクルによる劣化状態を把握するためには、これまで、セルを分解し、TEM、SEM、EDX、XRD等により評価する方法が主流であり、工数が増加し、効率的ではなかった。
そこで、本発明は、正極の劣化状態を簡便で精度よく評価できる評価方法を提供することを目的とする。
本発明は、以下の事項に関する。
リチウムイオン二次電池の2種以上の正極活物質を含む正極の評価方法であって、
リチウムイオン二次電池の所定の充放電前の正極を作用極とするセルのサイクリックボルタンメトリー測定を行って、横軸を対Li/Li電位基準の正極電位とする第1のサイクリックボルタモグラム曲線を得る工程と、
リチウムイオン二次電池の所定の充放電後の正極を作用極とするセルのサイクリックボルタンメトリー測定を行って、横軸を対Li/Li電位基準の正極電位とする第2のサイクリックボルタモグラム曲線を得る工程と、
得られた第1のサイクリックボルタモグラム曲線および第2のサイクリックボルタモグラム曲線中、前記正極を構成する少なくとも1種の正極活物質に帰属する酸化ピークおよび/または還元ピークである判定ピークを決定する工程と、
第1のサイクリックボルタモグラム曲線中の判定ピークに対する第2のサイクリックボルタモグラム曲線中の判定ピークの変化に基づいて、正極活物質の劣化の程度を判断する工程と、
を有することを特徴とする正極の評価方法。
本発明によれば、2種以上の正極活物質を含む正極の劣化の程度を簡便で精度高く評価することができる。
積層ラミネート型の二次電池に使用される電極素子の構造を示す模式的断面図の一例である。 実施例1の結果を示すグラフである。 実施例1の結果を示すグラフである。 実施例2の結果を示すグラフである。 実施例3の結果を示すグラフである。
本発明は、リチウムイオン二次電池の2種以上の正極活物質を含む正極の評価方法であって、
リチウムイオン二次電池の所定の充放電前の正極を作用極とするセルのサイクリックボルタンメトリー測定を行って、横軸を対Li/Li電位基準の正極電位とする第1のサイクリックボルタモグラム曲線を得る工程と、
リチウムイオン二次電池の所定の充放電後の正極を作用極とするセルのサイクリックボルタンメトリー測定を行って、横軸を対Li/Li電位基準の正極電位とする第2のサイクリックボルタモグラム曲線を得る工程と、
得られた第1のサイクリックボルタモグラム曲線および第2のサイクリックボルタモグラム曲線中、前記正極を構成する少なくとも1種の正極活物質に帰属する酸化ピークおよび/または還元ピークである判定ピークを決定する工程と、
第1のサイクリックボルタモグラム曲線中の判定ピークに対する第2のサイクリックボルタモグラム曲線中の判定ピークの変化に基づいて、正極活物質の劣化の程度を判断する工程と、
を有することを特徴とする正極の評価方法に関する。
上記のとおり、本実施形態の正極の評価方法は、リチウムイオン二次電池の所定の充放電前の正極を作用極とするセルのサイクリックボルタンメトリー測定を行って、横軸を対Li/Li電位基準の正極電位とする第1のサイクリックボルタモグラム曲線を得る工程と、リチウムイオン二次電池の所定の充放電後の正極を作用極とするセルのサイクリックボルタンメトリー測定を行って、横軸を対Li/Li電位基準の正極電位とする第2のサイクリックボルタモグラム曲線を得る工程とを含む。
まず、本実施形態におけるサイクリックボルタンメトリー測定に用いるセルについて説明する。なお、本明細書において、サイクリックボルタンメトリー測定に用いるセルを「測定用セル」と記載することもある。
サイクリックボルタンメトリー測定に用いるセルは、作用極と参照極を備えた二極セル、あるいは作用極、参照極および対極を備えた三極セルであることが好ましい。測定用セルは、さらに、電解液が充填され、参照極と作用極との間にはセパレータが存在する。本実施形態においては、測定用セルの作用極として測定対象である正極を用いる。
本実施形態において、測定用セルの作用極は測定対象である正極とし、参照極を金属リチウムとすることが好ましい。これにより、負極と正極の間の相対的な電圧ではなく、金属リチウムを参照極とした絶対的な正極電位での測定が可能となり、負極の劣化状態等を考慮しない正極単独の劣化状態を評価することができる。
測定用セルの作用極に用いる正極は、後で詳述するように2種以上の正極活物質を含む。
本実施形態においては、リチウムイオン二次電池の所定の充放電前の正極(第1の状態の正極)を作用極とする測定用セルのサイクリックボルタンメトリー測定と、リチウムイオン二次電池の所定の充放電後の正極(第2の状態の正極)を作用極とする測定用セルのサイクリックボルタンメトリー測定とを行う。ここで、第1の状態とは、リチウムイオン二次電池の充放電をある回数(0回を含む)行った状態のことをいい、第2の状態とは、リチウムイオン二次電池の充放電をある回数より多く行った状態のことをいう。すなわち、第2の状態は、第1の状態よりリチウムイオン二次電池の充放電回数が多いことを意味する。第1の状態の正極は、充放電を行っていない充放電回数0回のリチウムイオン二次電池の正極であってもよい。
本実施形態の一態様として、リチウムイオン二次電池を複数用意し、それぞれのリチウムイオン二次電池について異なる回数の充放電を行い、異なった状態のリチウムイオン二次電池を作製する態様が好ましい。
リチウムイオン二次電池の所定の充放電前の正極(第1の状態の正極)を作用極とする測定用セルは、第1の状態のリチウムイオン二次電池の正極を取り出して、測定用セルの作用極として使用することが好ましい。このとき、測定の精度を高めるため、取り出した正極を適当なサイズにカットしてもよい。第1の状態のリチウムイオン二次電池の正極を、充放電を一度も行っていないリチウムイオン二次電池の正極とするときは、リチウムイオン二次電池に組みこむ前の正極を用いてもよい。
リチウムイオン二次電池の所定の充放電後の正極(第2の状態の正極)を作用極とする測定用セルは、第2の状態のリチウムイオン二次電池の正極を取り出して、測定用セルの作用極として使用することが好ましい。このとき、測定の精度を高めるため、取り出した正極を適当なサイズにカットしてもよい。
あるいは、リチウムイオン二次電池の所定の回数の充放電前に正極(第1の状態の正極)を取り出して、測定用セルの作用極としてサイクリックボルタンメトリー測定を行った後、再度リチウムイオン二次電池中に戻して、さらに充放電回数を重ねた後の正極(第2の状態の正極)を取り出して測定用セルの作用極として、サイクリックボルタンメトリー測定を行ってもよい。
また、本実施形態においては、少なくともリチウムイオン二次電池の充放電回数の異なる2つの正極をそれぞれ測定用セルの作用極としてサイクリックボルタンメトリー測定を行えばよく、リチウムイオン二次電池の充放電回数の異なる3種以上の正極をそれぞれ測定用セルの作用極としてサイクリックボルタンメトリー測定を行い、3種以上のサイクリックボルタモグラム曲線を得てもよい。
測定用セルの作用極である正極は、例えば正極活物質と導電補助剤が正極用結着剤によって正極集電体に結着されて構成される。
本実施形態において、正極は2種以上の正極活物質を含有する。正極活物質は、充電時にリチウムイオンを電解液中へ放出し、放電時に電解液中からリチウムを吸蔵するものであれば限定されるものではない。正極活物質としては、例えば、層状構造を持つLiMnO、LiCoO、LiNiO等のコバルト酸リチウムおよびニッケル酸リチウム等、スピネル構造を有するLiMn(マンガン酸リチウム)、LiMn(0<x<2)、又はこれらの遷移金属の一部を他の金属で置き換えたもの;LiFePO、LiMnPO等のオリビン化合物、LiMSiO(M:Mn、Fe、Coのうちの少なくとも一種)等;これらのリチウム遷移金属酸化物において化学量論組成よりもLiを過剰にしたもの等が挙げられる。
スピネル型リチウムマンガン複合酸化物としては、例えば、下記式(1):
LiMn2−x (1)
[式中、MはMg、Al、Co、Ni、Fe、Ga、Ze、Cu、CrおよびBからなる群から選択される少なくとも一種の元素であり、0≦x<2である。]
で表される化合物を挙げることができる。Li過剰組成など非化学量論組成の化合物であってもよい。リチウムマンガン複合酸化物は、コバルト酸リチウムやニッケル酸リチウムより容量は低いものの、NiやCoと比較してMnの産出量が多いため材料コストが低く、スピネル構造を有するため熱的安定性が高い。中でも、低コスト化の観点から、LiMn(LMO)が好ましい。
層状構造を有するリチウム遷移金属酸化物としては、例えばLiMO(M=Co、Ni、またはMn)とこれらの遷移金属の一部を他の金属で置き換えた化合物、例えば、Li[Ni1-xCo]O(0<x<1)、Li[Ni(1−x−y)CoAl]O(0<x+y<1)(「NCA」と記載することもある)、Li[Ni1−x−yCoMn]O(0<x≦0.8、0<y≦0.8、0<x+y<1)(「NCM」と記載することもある)で表される材料を挙げることができる。
2種以上の正極活物質の組み合わせおよび混合比率は、特に限定はされず、用途に応じて決定することができる。正極活物質の組み合わせとして、例えば、上記LMOとNCAとを混合したものが挙げられる。LMOとNCAとを混合して用いることにより、熱安定性が高く高容量の正極を得ることができる。LMOとNCAとを組み合わせて用いる場合、例えば、重量比でLMO:NCA=1:99〜99:1とすることができ、20:80〜80:20とすることが好ましい。あるいは、上記LMOとNCMとを混合して用いることにより、より高容量の正極を得ることができる。LMOとNCMとを組み合わせて用いる場合、例えば、LMO:NCM重量比でLMO:NCM=1:99〜99:1とすることができる。
正極集電体上に構成される正極活物質層には、正極活物質のインピーダンスを低下させる目的で、導電補助材を添加してもよい。導電補助材としては、グラファイト、カーボンブラック、アセチレンブラック等の炭素質微粒子を用いることができる。
正極用結着剤としては、例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、ビニリデンフルオライド−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、ビニリデンフルオライド−テトラフルオロエチレン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合ゴム、ポリテトラフルオロエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリイミド、ポリアミドイミドが挙げられる。中でも、汎用性や低コストの観点から、ポリフッ化ビニリデンが好ましい。使用する正極用結着剤の量は、トレードオフの関係にある結着力とエネルギー密度の観点から、正極活物質100質量部に対して2〜10質量部が好ましい。
正極集電体としては、電気化学的な安定性の観点から、例えば、アルミニウム、ニッケル、銀、ステンレス鋼(SUS)、バルブメタル、又はそれらの合金を用いることができる。その形状としては、箔、平板状、メッシュ状が挙げられる。特にアルミニウム箔を好適に用いることができる。
正極は、例えば、2種以上の正極活物質、結着剤及び溶媒(さらに必要により導電補助材)を含むスラリーを調製し、これを正極集電体上に塗布し、乾燥することにより、正極集電体上に正極活物質層を形成することにより作製できる。また、プレス等により圧縮して成膜してもよい。
これらの正極活物質の比表面積は、例えば0.01〜5m/gであり、0.05〜4m/gが好ましく、0.1〜3m/gがより好ましく、0.2〜2m/gがさらに好ましい。比表面積をこのような範囲とすることにより、電解液との接触面積を適当な範囲に調整することができる。すなわち、比表面積を0.01m/g以上とすることにより、リチウムイオンの挿入脱離がスムーズに行われ易くなり、抵抗をより低減することができる。また、比表面積を5m/g以下とすることにより、電解液の分解が促進することや、活物質の構成元素が溶出することをより抑制することができる。比表面積は、通常のBET比表面積測定法により測定できる。
前記正極活物質の中心粒径は、0.01〜50μmであることが好ましく、0.02〜40μmがより好ましい。粒径を0.01μm以上とすることにより、正極活物質の構成元素の溶出をより抑制でき、また、電解液との接触による劣化をより抑制できる。また、粒径を50μm以下とすることにより、リチウムイオンの挿入脱離がスムーズに行われ易くなり、抵抗をより低減することができる。中心粒径は、50%累積径D50(メジアン径)であり、レーザー回折散乱式粒度分布測定装置によって測定できる。
測定用セルに用いる電解液としては、リチウムイオン二次電池に通常用いられる電解液が挙げられる。電解液は、電池の動作電位において安定な非水溶媒を含む。電解液を構成する非水溶媒として、環状カーボネート類、鎖状カーボネート類、脂肪族カルボン酸エステル類、γ−ラクトン類、環状エーテル類、鎖状エーテル類およびそれらのフッ素誘導体、からなる群から選択された一以上の溶媒を含むことができる。具体的には、たとえばプロピレンカーボネート(PC)、エチレンカーボネート(EC)、ブチレンカーボネート(BC)等の環状カーボネート類、ジメチルカーボネート(DMC)、ジエチルカーボネート(DEC)、エチルメチルカーボネート(EMC)、ジプロピルカーボネート(DPC)等の鎖状カーボネート類、ギ酸メチル、酢酸メチル、プロピオン酸エチル等の脂肪族カルボン酸エステル類、γ−ブチロラクトン等のγ−ラクトン類、1,2−ジエトキシエタン(DEE)、エトキシメトキシエタン(EME)等の鎖状エーテル類、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン等の環状エーテル類、ジメチルスルホキシド、1,3−ジオキソラン、ホルムアミド、アセトアミド、ジメチルホルムアミド、アセトニトリル、プロピルニトリル、ニトロメタン、エチルモノグライム、リン酸トリエステル、トリメトキシメタン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、3−メチル−2−オキサゾリジノン、プロピレンカーボネート誘導体、テトラヒドロフラン誘導体、エチルエーテル、N−メチルピロリドン、フッ素化カルボン酸エステルなどのうち、一種または二種以上を混合して使用することができる。
測定用セルの電解液において、さらに電解質としてリチウム塩を含む構成とすることができる。リチウム塩としてたとえばリチウムイミド塩、LiPF、LiBF、LiAsF、LiSbF、LiClO、LiAlCl、LiN(C2n+1SO)(C2m+1SO)(n、mは自然数)の中から選択された一以上の物質を含む構成とすることができる。特にLiPFまたはLiBFを用いることが好ましい。
測定用セルのセパレータとしては、特に制限されるものではないが、ポリプロピレン、ポリエチレン等の多孔質フィルムや不織布を用いることができる。また、セパレータとしては、それらを積層したものを用いることもできる。
次に、本実施形態におけるサイクリックボルタンメトリー測定法について説明する。
電位を所定の掃引速度で走査しながら電流値を測定するサイクリックボルタンメトリー測定を行うとサイクリックボルタモグラム曲線を得ることができるが、本実施形態におけるサイクリックボルタモグラム曲線の横軸は、対Li/Li電位基準の正極電位である。
上述のように、本実施形態において、測定用セルの作用極である正極は2種以上の正極活物質を含む。したがって、上記測定用セルを用いてサイクリックボルタンメトリーを行いサイクリックボルタモグラム曲線を得ると、酸化電流側および還元電流側において、リチウムの脱離/挿入に起因するピークが現れる。なお、本明細書において、酸化電流側に現れるピークを酸化ピーク、還元電流側に現れるピークを還元ピークと記載することもある。また、単に「ピーク」と記載したときは、酸化ピークおよび還元ピークのいずれであってもよいものとする。
サイクリックボルタモグラム曲線において電流ピークが現れる電位により、各ピークに帰属する正極活物質を決定することができる。各ピークに帰属する正極活物質を決定する方法としては、特に限定はされないが、公知の文献(例えば、非特許文献1および2等)を参照してもよいし、正極に用いている正極活物質について1種類ずつ個々にサイクリックボルタンメトリー測定を行った結果を元に決定してもよい。本実施形態においては、少なくとも一種の正極活物質に由来する電流ピークを「判定ピーク」として選択する。1つの判定ピークは一種の正極活物質のみに帰属することが好ましい。これにより、一種の正極活物質のみの劣化状態を評価することができる。また、判定ピークとして、複数のピークを選択してもよく、一種の正極活物質に由来する2つ以上の電流ピークであってもよいし、異なる正極活物質それぞれに由来する2つ以上の電流ピークであってもよいし、それらの両方を含んでもよい。また、判定ピークは、酸化ピークであっても還元ピークであってもよい。
本実施形態において電位掃引速度は、測定対象の正極活物質によって調整することが好ましい。本実施形態の正極は2種以上の正極活物質を含むが、含まれる正極活物質それぞれに由来するサイクリックボルタモグラム曲線上のピークが区別できる程度に分離される掃引速度であることが好ましい。電位掃引速度は、特に限定はされないが、例えば、1〜1000μV/sであることが好ましく、5〜100μV/sであることがより好ましい。掃引速度が小さすぎると電流が微小となって測定が困難となったり、測定に時間がかかったりするという問題が生じる場合がある。掃引速度が大きすぎると、リチウムの脱離または挿入反応が電位の変化に追いつかず、サイクリックボルタモグラム曲線上のピークが明確に分離できなくなってしまい劣化を過見積りする場合がある。例えば、正極活物質としてLMOとNCAの混合物を含む正極を作用極として測定する場合、電位掃引速度は100μV/s以下であることが好ましく、20μV/s以下であることがより好ましく、10μV/s以上であることが好ましい。
電位走査範囲は、測定対象の正極に含まれる正極活物質の種類による。電位走査範囲の下限は、開回路電圧(OCV)であることが好ましく、上限は、Liの脱離が完了する電位より高い電位が好ましく、Liの脱離が完了する電位より高く、副反応(正極活物質あるいは電解液が溶解や分解)が起こる電位より低い電位がより好ましい。
本実施形態においては、上述のとおり、所定の充放電前の正極(第1の状態の正極)を作用極とした測定用セルを用いてサイクリックボルタンメトリー測定を行い第1のサイクリックボルタモグラム曲線を得、かつ、所定の充放電後の正極(第2の状態の正極)を作用極とした測定用セルについてサイクリックボルタンメトリー測定を行い第2のサイクリックボルタモグラム曲線を得る。そして、第1のサイクリックボルタモグラム曲線および第2のサイクリックボルタモグラム曲線中の判定ピークの変化から正極活物質の劣化の程度を判断する。判定ピークの変化としては、ピーク電流の変化、ピークのシフト(ピーク電流が観察される電位のシフト)、ピーク面積の変化等が挙げられる。例えば、第1のサイクリックボルタモグラム曲線中の判定ピークのピーク電流に対する第2のサイクリックボルタモグラム曲線中の判定ピークのピーク電流の変化率から、正極中の該判定ピークが帰属する正極活物質の劣化の程度を判断することが好ましい。判定ピークとして、1種のみの正極活物質に帰属するピークを選択したときは、正極中のその1種のみの正極活物質の劣化の程度を知ることができる。また、2種以上の正極活物質のそれぞれに由来する判定ピークの変化率を比較することにより、変化率の大きい正極活物質ほど充放電による劣化の程度が大きいと判断することができる。
本実施形態の一例として、後述の実施例で示すように、例えば、正極活物質としてLMOとNCAを含む正極を作用極、リチウム金属箔を参照極とした二極セルを用いてサイクリックボルタンメトリー測定を行いサイクリックボルタモグラム曲線を得ると、LMOに由来する酸化ピークとNCAに由来する酸化ピークとを区別することができる。さらに、リチウムイオン二次電池の所定の充放電前の正極を作用極として用いた測定用セルと、リチウムイオン二次電池の所定の充放電後の正極を作用極として用いた測定用セルについて、それぞれサイクリックボルタンメトリー測定を行ってサイクリックボルタモグラム曲線を得、判定ピークの変化を調べることにより正極活物質ごとの劣化状態の程度を知ることができる。
このように、本発明によると、2種以上の正極活物質を含む正極の正極活物質ごとの充放電による劣化の状態を簡便に評価することができる。また、全酸化ピーク面積および/または全還元ピーク面積の充放電前後の変化率を調べることにより、正極全体の劣化状態を評価することもできる。ここで、全酸化ピーク面積は、サイクリックボルタモグラム曲線の酸化側の全面積、すなわち、全電流値を電位(時間)で積分したものである。全還元ピーク面積は、サイクリックボルタモグラム曲線の還元側の全面積、すなわち、全電流値を電位(時間)で積分したものである。
本実施形態の評価方法を用いて、セルの充放電前の判定ピークのピーク面積に対するセルの充放電後の判定ピークのピーク面積の変化率が所定の値未満のものを良品とし、それ以上のものを不良品と判断してもよい。
充放電を行うリチウムイオン二次電池は、上記の2種以上の正極活物質を含む正極を備えていれば、特に限定されないが、本実施形態に用いることができるリチウムイオン二次電池の一態様を以下説明する。
リチウムイオン二次電池の構成は、特に制限されるものではないが、例えば、正極および負極が対向配置された電極素子と、電解液と、が外装体に内包されている積層ラミネート型とすることができる。図1は、積層ラミネート型の二次電池が有する電極素子の構造を示す模式的断面図である。この電極素子は、平面構造を有する正極1の複数および負極3の複数が、セパレータ2を挟みつつ交互に積み重ねられて形成されている。各正極1が有する正極集電体1bは、正極活物質層1aに覆われていない端部で互いに溶接されて電気的に接続され、さらにその溶接箇所に正極端子4が溶接されている。各負極3が有する負極集電体3bは、負極活物質層3aに覆われていない端部で互いに溶接されて電気的に接続され、さらにその溶接箇所に負極端子6が溶接されている。さらに、正極端子4は正極タブ5に、負極端子6は負極タブ7に溶接されている。
負極は、例えば負極活物質が負極用結着剤によって負極集電体に結着されて構成される。本実施形態における負極活物質は、リチウムの吸蔵及び放出が可能なものであれば、本発明の効果を著しく損なわない限り任意のものを用いることができる。負極は、集電体上に負極活物質層を設けて構成されたものを用いる。
負極活物質としては、リチウムイオンの吸蔵放出が可能な材料であれば他に制限は無く、公知の負極活物質を任意に用いることができる。例えば、炭素材料;リチウム金属;リチウム−シリコン、リチウム−スズ等のリチウム合金;シリコン、シリコン酸化物およびリチウムイオンを吸蔵、放出し得る炭素材料から選ばれる一種、または二種以上の混合物;チタン酸リチウムなどを使用することが好ましい。これらの中でもサイクル特性及び安全性が良好でさらに連続充電特性も優れている点で、炭素質材料を使用するのが最も好ましい。なお、負極活物質は1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。
炭素材料としては、黒鉛、非晶質炭素、ダイヤモンド状炭素、カーボンナノチューブ、またはこれらの複合物、コークス、アセチレンブラック、メゾフェーズマイクロビーズ、グラファイトを用いることができる。ここで、結晶性の高い黒鉛は、電気伝導性が高く、銅などの金属からなる負極集電体との接着性および電圧平坦性が優れている。一方、結晶性の低い非晶質炭素は、体積膨張が比較的小さいため、負極全体の体積膨張を緩和する効果が高く、かつ結晶粒界や欠陥といった不均一性に起因する劣化が起きにくい。負極活物質中の炭素材料の含有率は、2質量%以上50質量%以下とすることが好ましく、2質量%以上30質量%以下とすることがより好ましい。
さらに、負極活物質の粒径は、本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、初期効率、レ−ト特性、サイクル特性等の電池特性が優れる点で、通常1μm以上、好ましくは15μm以上であり、通常50μm以下、好ましくは30μm以下程度である。また、例えば、上記の炭素質材料をピッチ等の有機物で被覆した後で焼成したもの、CVD法等を用いて表面に上記炭素質材料よりも非晶質の炭素を形成したものなども、炭素質材料として好適に使用することができる。ここで、被覆に用いる有機物としては、軟ピッチから硬ピッチまでのコールタールピッチ;乾留液化油等の石炭系重質油;常圧残油、減圧残油等の直留系重質油;原油、ナフサ等の熱分解時に副生する分解系重質油(例えばエチレンヘビーエンド)等の石油系重質油が挙げられる。また、これらの重質油を200〜400℃で蒸留して得られた固体状残渣物を、1〜100μmに粉砕したものも使用することができる。さらに塩化ビニル樹脂、フェノール樹脂、イミド樹脂なども使用することができる。負極活物質層は、例えば、上述の負極活物質をロール成形してシート電極としたり、圧縮成形によりペレット電極としたりすることも可能であるが、通常は、正極活物質層の場合と同様に、上述の負極活物質と、結着剤と、必要に応じて各種の助剤等とを、溶媒でスラリー化した塗布液を、集電体に塗布し、乾燥することにより製造することができる。
負極用結着剤としては、特に制限されるものではないが、例えば、ポリフッ化ビニリデン、ビニリデンフルオライド−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、ビニリデンフルオライド−テトラフルオロエチレン共重合体、ポリテトラフルオロエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリイミド、ポリアミドイミド、各種ポリウレタン等を用いることができる。これらの中でも、結着性が強いことから、ポリイミド、ポリアミドイミドが好ましい。また、水性バインダーも使用することができる。水性バインダーは特に制限されるものではないが、通常、水分散性ポリマーがラテックス又はエマルジョンの形態で使用される。例えば、アクリル系樹脂エマルジョン、スチレン系樹脂エマルジョン、酢酸ビニル系重合体エマルジョン、ウレタン系樹脂エマルジョン等を用いることができる。これらの中でも、粘弾特性の点から、水分散性の合成ゴムラテックス又はエマルジョンが好ましい。水分散性の合成ゴムラテックス(エマルジョン)としては、例えば、ポリブタジエンゴムラテックス、スチレン−ブタジエンゴムラテックス、アクリロニトリル−ブタジエンゴムラテックス、(メタ)アクリル酸エステル−ブタジエンゴムラテックス、クロロプレンゴムラテックスなどが挙げられる。電解液に対する耐性の点から、スチレン−ブタジエンゴムラテックス(SBRラテックス)が好ましい。これらの結着剤は、単独で又は2種類以上混合して用いることもできる。使用する負極用結着剤の量は、トレードオフの関係にある「十分な結着力」と「高エネルギー化」の観点から、負極活物質100質量部に対して、2〜10質量部が好ましい。
負極スラリーを作製しやすくするために、増粘剤を用いることもできる。このような増粘剤としては、カルボキシメチルセルロース(アルカリで中和されたリチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩を含む)、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルヒドロキシエチルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリアクリルアミド、ポリアクリル酸ヒドロキシエチル、ポリアクリル酸アンモニウム、ポリアクリル酸(アルカリで中和されたリチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩を含む)等が挙げられる。これらの増粘剤は、単独でまたは2種類以上混合して用いることもできる。電極中の増粘剤の割合としては、0.1〜5質量%が好ましい。
分散溶媒に水を用いる場合、スラリー中の炭素粒子の分散性を向上させる目的で、ノニオン系界面活性剤を用いることもできる。ノニオン系界面活性剤としては、特に限定されないが、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルを好ましく使用できる。ポリオキシアルキレンアルキルエーテルは、一般式:R−O−(AO)H(式中、Rはアルキル基を示す。Aはアルキレン基を示す。nは自然数を示す。)で表される。ここで、Rで示されるアルキル基の炭素数及びAで示されるアルキレン基の炭素数、並びにnで示されるアルキレンオキシ基(AO)の重合度は特に限定されない。ポリオキシアルキレンアルキルエーテルは、Rで示されるアルキル基の炭素数、Aで示されるアルキレン基の炭素数及びnで示されるアルキレンオキシ基(AO)の重合度の少なくとも1種が異なる複数のポリオキシアルキレンアルキルエーテルの混合物であってもよい。
負極用集電体の材質としては、公知のものを任意に用いることができるが、例えば、銅、ニッケル、SUS等の金属材料が用いられる。中でも加工し易さとコストの点から特に銅が好ましい。また、集電体は予め粗面化処理しておくのが好ましい。さらに、集電体の形状も任意であり、箔状、平板状、メッシュ状等が挙げられる。また、エキスパンドメタルやパンチングメタルのような穴あきタイプの集電体を使用することもできる。また、集電体として薄膜を使用する場合の好ましい厚さ、形状も任意である。
負極は、例えば、負極集電体上に、少なくとも負極活物質、負極用結着剤および皮膜形成添加剤を含み、その他、任意に負極用増粘剤、界面活性剤などを含む負極活物質層を形成することで作製することができる。負極活物質層の形成方法としては、例えば、ドクターブレード法、ダイコーター法、CVD法、スパッタリング法などが挙げられる。予め負極活物質層を形成した後に、蒸着、スパッタ等の方法でアルミニウム、ニッケルまたはそれらの合金の薄膜を形成して、負極集電体としてもよい。中でも、負極活物質、負極用結着剤、および任意に負極用増粘剤、界面活性剤などを、分散溶媒に混合してスラリーを作製し、集電体上に塗布した後、加熱乾燥する方法が、安価に製造できるため好ましい。スラリーを負極集電体に塗布した後の加熱乾燥温度は、50℃以上200℃以下が好ましく、さらには80℃以上180℃以下が好ましい。分散溶媒には、NMPまたは水が好ましい。
リチウムイオン二次電池に用いる電解液およびセパレータとしては、特に限定されないが、上記測定セルの電解液およびセパレータとして記載しものを用いることができる。
外装体としては、特に制限されるものではないが、例えば、ラミネートフィルムを用いることができる。ラミネートフィルムとしては、電解液に安定でかつ十分な水蒸気バリア性を持つものであれば、適宜選択することができる。ラミネートフィルムとしては、例えば、外装体として、アルミニウム、シリカ、アルミナをコーティングしたポリプロピレン、ポリエチレン等のラミネートフィルムを用いることができる。特に、体積膨張を抑制する観点から、アルミニウムラミネートフィルムが好ましい。
以下に本発明の実施例を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
<実施例1>
(正極の作製)
正極活物質としてのNCA(a)(25質量部)とLMO(75質量部)、結着剤としてのPVdFと導電補助剤を混合して正極合剤を調製した。この正極合剤をN−メチル−2−ピロリドン(NMP)に分散することにより、正極用スラリーを調製した。この正極用スラリーを厚さ20μmのアルミニウム製集電体の両面に、均一に塗布した。乾燥させた後、ロールプレスで圧縮成形して正極を得た。
(負極の作製)
負極活物質としてのアモルファスカーボンで被覆した天然黒鉛を、水系バインダー、増粘剤および水とともに混練・分散し負極用スラリーを調製した。この負極用スラリーを集電体の両面に均一に塗布した。乾燥させた後、ロールプレスで圧縮成形して負極を得た。
(二次電池の作製)
作製した正極と負極とをセパレータを介して対向するように積層した。セパレータには、Celgard(登録商標) 2500(単層ポリプロピレン)を用いた。
電解液としては、エチレンカーボネート(「EC」)とジエチルカーボネート(DEC)とをEC:DEC=3:7(体積比)で混合した混合溶媒にLiPFを1mol/Lの濃度となるように溶解させたものを使用した
上記のセパレータを介した電極対をアルミニウムラミネートフィルムで外装し、非水電解液を注入し、封止して、リチウム二次電池を得た。正極と負極にはタブが接続され、アルミニウムラミネートフィルムからなる外装容器の外部へ電気的に接続しリチウムイオン二次電池とした。この二次電池を4個作製した。
(二次電池の充放電)
作製したリチウムイオン二次電池の充放電サイクル試験は、45℃でCC(1C)−CV(4.2V−1.5h)にて充電、1C(3V cut)にて放電のサイクルを繰り返した。
上記充放電を0回(Reference)、50回、200回、500回行った異なった状態の二次電池を1個ずつ作製し、雰囲気制御したグローブボックス内で開封し、正極を取り出し、DECあるいはDMCにて洗浄・乾燥した。片面の活物質をNMPにて剥離・除去し集電体を露出させた。φ12mmに切り取り、これをそれぞれ作用極とした。
(測定用セルの作製)
参照極として金属リチウム箔を用い、上記4種類の異なる回数の充放電を経た作用極をそれぞれ用いて、4種類の二極セルを作製した。電解液としては、エチレンカーボネート(「EC」)とジエチルカーボネート(DEC)とをEC:DEC=3:7(体積比)で混合した混合溶媒にLiPFを1mol/Lの濃度となるよう溶解させたものを使用した。セパレータ―には、市販のCelgard(登録商標) 2500(単層ポリプロピレン)を用いた。
(サイクリックボルタンメトリー測定)
作製した二極セルを用いて、以下の測定を行った。23℃の温度条件下において、電位領域 OCV(約3.2V)〜4.5V(vs.Li/Li+)、電位掃引速度100μV/sでサイクリックボルタンメトリーを行い観測される電流変化を調べた。
得られた結果(サイクリックボルタモグラム曲線)を図2に示す。なお、図2の縦軸は、応答電流値(A)を表し、横軸は対Li/Li電位基準の正極電位(V)を表す。非特許文献1および2を参照すると、図1において、3.7Vと4.1Vの酸化ピークがNCAからのリチウム脱離による酸化電流ピークと帰属でき、4.1Vと4.3Vの酸化ピークがLMOからのリチウム脱離による酸化電流ピークと帰属できる。本実施例においては、サイクル数の増加に伴い3.7VのNCAに由来するピークが相対的に大きく減少し、NCAの劣化がLMOの劣化に比べて大きいことが示唆された。
図3は、全酸化ピーク面積と、3.7Vのピーク(すなわちNCAに由来するピーク)面積の変化量をプロットしたものである。横軸はサイクル数を表し、縦軸は0サイクル(充放電前)における全酸化ピーク面積および3.7Vのピーク面積をそれぞれ100%とし、各サイクル後のそれぞれのピーク面積を示す。サイクル数の増加に伴い全酸化ピーク面積も減少しているが、3.7Vのピーク面積の減少はそれより大きいことがわかる。このことからも、本実施例の正極においては、NCAの劣化の程度が大きいことが示された。
<実施例2>
実施例1で用いたNCA(a)の代わりにNCA(a)とは異なるNCA(b)を用いて正極を作製し、これを備えたリチウムイオン二次電池を作製し、実施例1と同様の条件で500回充放電を繰り返した。充放電後の二次電池を、雰囲気制御したグローブボックス内で開封し、正極を取り出し、DECあるいはDMCにて洗浄・乾燥した。片面の活物質をNMPにて剥離・除去し集電体を露出させた。φ12mmに切り取り、これを作用極Bとした。
作用極を上記作用極Bとした以外は実施例1と同様に測定用セルを作製した。電位掃引速度を20μV/sにした以外は実施例1と同様にして、サイクリックボルタンメトリー測定を行った。結果を図4に示す。
図4より、本実施例2においては、3.7Vのピーク(すなわちNCAに由来するピーク)のピーク面積が500サイクル後でも減少しておらず、NCA(b)の劣化の程度が実施例1で用いたNCA(a)に比べて改善されていることが示された。
<実施例3>
(正極の作製)
正極活物質としてのLMO(25質量部)とNCM(a)(75質量部)、結着剤としてのPVdFと導電補助剤を混合して正極合剤を調製した。この正極合剤をN−メチル−2−ピロリドンに分散させることにより、正極用スラリーを調製した。この正極用スラリーを厚さ20μmのアルミニウム製集電体の両面に、均一に塗布した。乾燥させた後、ロールプレスで圧縮成形して正極を得、片面の活物質を除去し、φ12mmに切り取りこれを作用極Cとした。また、NCM(a)の代わりにNCM(a)とは異なるNCM(b)を用いて同様に正極を作製し、これを作用極Dとした。
作用極Cまたは作用極Dを用いた以外は実施例1と同様に、作用極Cを用いた測定用セルCと、作用極Dを用いた測定用セルDを作製した。作製した測定用セルCまたはDを用いて電位掃引速度を20μV/sとした以外は実施例1と同様にサイクリックボルタンメトリー測定を行った。結果を図5に示す。測定用セルCと測定用セルDのいずれの場合も、4.1Vと4.3VのLMOに由来する酸化ピークが観察され、3.73〜3.74Vの酸化ピークをNCMに由来する酸化ピークと帰属した。各正極活物質に由来するピークを明確に分離することができた。このことから、LMOとNCMの混合正極を備えたセルについて充放電サイクルを行う前後にサイクリックボルタンメトリー測定を行い、充放電前後の各ピーク面積の変化率を調べることにより、各正極活物質ごとの劣化状態を知ることができる。
1 正極
1a 正極活物質層
1b 正極集電体
2 セパレータ
3 負極
3a 負極活物質層
3b 負極集電体
4 正極端子
5 正極タブ
6 負極端子
7 負極タブ

Claims (9)

  1. リチウムイオン二次電池の2種以上の正極活物質を含む正極の評価方法であって、
    リチウムイオン二次電池の所定の充放電前の正極を作用極とするセルのサイクリックボルタンメトリー測定を行って、横軸を対Li/Li電位基準の正極電位とする第1のサイクリックボルタモグラム曲線を得る工程と、
    リチウムイオン二次電池の所定の充放電後の正極を作用極とするセルのサイクリックボルタンメトリー測定を行って、横軸を対Li/Li電位基準の正極電位とする第2のサイクリックボルタモグラム曲線を得る工程と、
    得られた第1のサイクリックボルタモグラム曲線および第2のサイクリックボルタモグラム曲線中、前記正極を構成する少なくとも1種の正極活物質に帰属する酸化ピークおよび/または還元ピークである判定ピークを決定する工程と、
    第1のサイクリックボルタモグラム曲線中の判定ピークに対する第2のサイクリックボルタモグラム曲線中の判定ピークの変化に基づいて、正極活物質の劣化の程度を判断する工程と、
    を有することを特徴とする正極の評価方法。
  2. 前記第1のサイクリックボルタモグラム曲線中の判定ピークの電流量に対する前記第2のサイクリックボルタモグラム曲線中の判定ピークの電流量の変化に基づいて、正極活物質の劣化の程度を判断することを特徴とする請求項1に記載の正極の評価方法。
  3. 前記セルの参照極が金属リチウムであることを特徴とする請求項1または2に記載の評価方法。
  4. 前記サイクリックボルタンメトリー測定は、前記正極を構成するそれぞれの正極活物質に由来する酸化ピークおよび/または還元ピークが区別できるような条件で行うことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の評価方法。
  5. 前記判定ピークが、一種の正極活物質に由来する酸化ピークであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の評価方法。
  6. 前記正極が正極活物質として、
    マンガン酸リチウム(LMO)と、
    LiNiO、Li[Ni1-xCo]O(0<x<1)、Li[Ni(1−x−y)CoAl]O(0<x+y<1)(NCA)およびLi[Ni1−x−yCoMn]O(0<x≦0.8、0<y≦0.8、0<x+y<1)から選ばれる一種以上の化合物と、
    を含むことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の評価方法。
  7. 前記サイクリックボルタンメトリー測定において、掃引速度1〜1000μV/sで掃引することを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の評価方法。
  8. さらに、前記セルの所定の充放電前の判定ピークのピーク電流に対する前記セルの所定の充放電後の判定ピークのピーク電流の変化率が所定の数値未満の正極を良品として選別する工程を含む請求項1〜7のいずれか1項に記載の評価方法。
  9. 請求項8で良品として選別された正極を備えたリチウムイオン二次電池。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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