JP2015072180A - 流体組成分析装置、熱量計、これを備えているガスタービンプラント、及びその運転方法 - Google Patents

流体組成分析装置、熱量計、これを備えているガスタービンプラント、及びその運転方法 Download PDF

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喜敏 藤本
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哲郎 久保田
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Abstract

【課題】流体の組成分析精度を低下させずに試料流体の流量を少なくする。
【解決手段】流体組成分析装置は、試料流体が流入する流入口14oと試料流体が流出する流出口15oとが形成されている計測セル10と、計測セル10内を流れる試料流体の流れ方向に対して交差する方向から、試料流体に励起光を照射する励起光学系30と、励起光が照射させた試料流体からのラマン散乱光を受光する受光光学系40と、を備える。流入口14oは、流入口14oの開口面中の長軸Alが延びている長手方向に長く、励起光学系30の光軸Aiと長軸Alとは、一つの仮想平面内に位置する。
【選択図】図4

Description

本発明は、試料流体の組成を分析する流体組成分析装置、この流体組成分析装置を備えている熱量計、この熱量計を備えているガスタービンプラント、及びその運転方法に関する。
流体の組成を分析する方法として、流体に励起光を照射し、励起光が照射された流体からのラマン散乱光を分析する方法がある。この方法を実行する装置としては、例えば、以下の特許文献1に記載の分析装置がある。流体が内部を流れるケーシングと、ケーシング内の流体に励起光を照射する光源と、励起光が照射された流体からのラマン散乱光を集光する集光光学系と、集光光学系で集光されたラマン散乱光を受光する受光部と、受光された光を分析する算出部と、を備えている。
国際公開第2013/031896号
上記特許文献1に記載の分析装置を含め、各種分析装置では、分析対象のサンプリング量ができるかぎり少ないことが望ましい。これは、サンプリング量が少なければ少ないほど、実際に利用する流体の流量が多くなる上に、分析装置に流体を導くための配管径等を小さくすることができ、設備コストを抑えることができるからである。
一方、各種分析装置では、分析対象のサンプリング量が少なくなると、一般的に分析精度が落ちる傾向がある。
そこで、本発明は、流体の組成分析精度を低下させずに試料流体の流量を少なくすることができる技術を提供することを目的とする。
上記課題を解決するための発明に係る第一態様としての流体組成分析装置は、
試料流体が流入する流入口と前記試料流体が流出する流出口とが形成され、前記試料流体が内部を流れる計測セルと、前記計測セル内を流れる前記試料流体の流れ方向に対して交差する方向から、前記試料流体に励起光を照射する励起光学系と、前記励起光が照射させた前記試料流体からのラマン散乱光を受光する受光光学系と、前記受光光学系が受光した前記ラマン散乱光に基づいて前記試料流体の組成を分析する分析器と、を備え、
前記流入口は、前記流入口の開口面中の長軸が延びている長手方向に長く、前記開口面中で前記長軸とは異なる短軸が延びている短手方向に短く、前記励起光学系の光軸と前記長軸とは、一つの仮想平面内に位置する。
励起光の光束は、励起光学系の光軸を含み且つこの光軸の方向に長く形成される。このため、励起光学系の光軸と流入口の長軸とが一つの仮想平面内に位置すると、流入口から励起光の光束中に試料流体が効率的に供給される。このため、当該流体組成分析装置では、励起光の光束中の試料流体から発せられるラマン散乱光の光量の低下を抑えつつも、試料流体の流量を少なくすることができる。
ここで、前記第一態様としての前記流体組成分析装置において、前記光軸と前記長軸とは、平行であってもよい。
励起光学系の光軸に対して流入口の長軸が傾いていている場合、流入口から流入した試料流体が励起光の光束中に達するまでの時間にバラつきが生じる上に、流入口からの試料流体のうちで励起光の光束を通らない試料流体が多くなる。このため、励起光学系の光軸と流入口の長軸とが平行であると、流入口から流入した試料流体が励起光の光束中に達するまでの時間のバラつきを抑えられ、所定時刻における試料流体の成分を正確に分析することができる。さらに、励起光学系の光軸と流入口の長軸とが平行であると、流入口からの試料流体のうちで励起光の光束を通らない試料流体が少なくなり、流入口から励起光の光束中に試料流体を効率的に供給することができる。
上記課題を解決するための発明に係る第二態様としての流体組成分析装置は、
試料流体が流入する流入口と前記試料流体が流出する流出口とが形成され、前記試料流体が内部を流れる計測セルと、前記計測セル内を流れる前記試料流体の流れ方向に対して交差する方向から、前記試料流体に励起光を照射する励起光学系と、前記励起光が照射させた前記試料流体からのラマン散乱光を集光する集光光学系、及び前記集光光学系で集光された前記ラマン散乱光を受光する受光部を有する受光光学系と、前記受光光学系が受光した前記ラマン散乱光に基づいて前記試料流体の組成を分析する分析器と、を備え、
前記流入口は、開口幅が長い長手方向と、前記長手方向とは異なる方向であって開口幅が短い短手方向とを持ち、前記長手方向は、前記励起光学系の光軸に沿った方向であり、前記流入口の前記長手方向の寸法は、前記集光光学系を通過した前記ラマン散乱光の全てが幾何学的に前記受光部に入射する計測領域における、前記励起光学系の前記光軸が延びている方向の寸法よりも長い。
励起光の光束は、励起光学系の光軸を含み且つこの光軸の方向に長く形成される。このため、流入口の長手方向が励起光学系の光軸に沿った方向であると、流入口から励起光の光束中に試料流体が効率的に供給される。よって、当該流体組成分析装置では、励起光の光束中の試料流体から発せられるラマン散乱光の光量の低下を抑えつつも、試料流体の流量を少なくすることができる。
集光光学系を通過したラマン散乱光の全てが幾何学的に受光部に入射する計測セル内の領域を計測領域とすると、励起光の光束中であって、この計測領域内の領域である計測−光束領域からのラマン散乱光を受光部で受光できれば、効率的に多くのラマン散乱光を受光することができる。当該流体組成分析装置では、流入口の長手方向の寸法が、計測領域における励起光学系の光軸が延びている方向の寸法よりも長い。このため、当該流体組成分析装置では、計測−光束領域の全域に流入口からの試料流体を供給することができ、計測−光束領域の全域からのラマン散乱光を受光部で受光できる。よって、当該流体組成分析装置では、効率的に多くのラマン散乱光を受光することができる。
上記課題を解決するための発明に係る第三態様としての流体組成分析装置は、
試料流体が内部を流れる計測セルと、前記計測セル内を流れる前記試料流体の流れ方向に対して交差する方向から、前記試料流体に励起光を照射する励起光学系と、前記励起光が照射させた前記試料流体からのラマン散乱光を受光する受光光学系と、前記受光光学系が受光した前記ラマン散乱光に基づいて前記試料流体の組成を分析する分析器と、を備え、
前記計測セルは、複数の壁板で前記試料流体が流れる空間が形成されているセル本体を有し、複数の前記壁板のうち、第一壁板には、前記試料流体を前記空間に流入させる流入口としての開口が形成され、第二壁板には、前記空間内の前記試料流体を流出させる流出口としての開口が形成され、前記流入口は、開口幅が長い長手方向と、前記長手方向とは異なる方向であって開口幅が短い短手方向とを持ち、前記長手方向は、前記励起光学系の光軸に沿った方向である。
励起光の光束は、励起光学系の光軸を含み且つこの光軸の方向に長く形成される。このため、流入口の長手方向が励起光学系の光軸に沿った方向であると、流入口から励起光の光束中に試料流体が効率的に供給される。よって、当該流体組成分析装置では、励起光の光束中の試料流体から発せられるラマン散乱光の光量の低下を抑えつつも、試料流体の流量を少なくすることができる。
ここで、以上のいずれかの態様における流体組成分析装置において、前記励起光学系と前記受光光学系とは、前記試料流体が流れる前記計測セル内の空間を挟んで互いに対向配置されていてもよい。
ラマン散乱光の強度は、励起光の入射軸方向における前方側及び後方側で大きい。このため、励起光学系と受光光学系とが、試料流体が流れる計測セル内の空間を挟んで互いに対向配置されていると、各種方向に発せられるラマン散乱光のうち強度の大きい方向に発せられるラマン散乱光を受光光学系で受光することができる。よって、当該流体組成分析装置では、効率的に強度の大きいラマン散乱光を受光することができる。
上記課題を解決するための発明に係る第四態様としての流体組成分析装置は、
試料流体が流入する流入口と前記試料流体が流出する流出口とが形成され、前記試料流体が内部を流れる計測セルと、前記計測セル内を流れる前記試料流体の流れ方向に対して交差する方向から、前記試料流体に励起光を照射する励起光学系と、前記試料流体が流れる前記計測セル内の空間を挟んで前記励起光学系と対向配置され、前記励起光が照射させた前記試料流体からのラマン散乱光を受光する受光光学系と、前記受光光学系が受光した前記ラマン散乱光に基づいて前記試料流体の組成を分析する分析器と、を備え、
前記流入口は、開口幅が長い長手方向と、前記長手方向とは異なる方向であって開口幅が短い短手方向とを持ち、前記長手方向は、前記励起光学系の光軸に沿った方向である。
励起光の光束は、励起光学系の光軸を含み且つこの光軸の方向に長く形成される。このため、流入口の長手方向が励起光学系の光軸に沿った方向であると、流入口から励起光の光束中に試料流体が効率的に供給される。よって、当該流体組成分析装置では、励起光の光束中の試料流体から発せられるラマン散乱光の光量の低下を抑えつつも、試料流体の流量を少なくすることができる。
ラマン散乱光の強度は、励起光の入射軸方向における前方側及び後方側で大きい。このため、励起光学系と受光光学系とが、試料流体が流れる計測セル内の空間を挟んで互いに対向配置されていると、各種方向に発せられるラマン散乱光のうち強度の大きい方向に発せられるラマン散乱光を受光光学系で受光することができる。よって、当該流体組成分析装置では、効率的に強度の大きいラマン散乱光を受光することができる。
ここで、励起光学系と受光光学系とが互いに対向配置されている、いずれかの前記流体組成分析装置において、前記励起光学系の光軸と前記受光光学系の光軸とが同一直線上に位置してもよい。
励起光学系の光軸と受光光学系の光軸とが同一直線上に位置していると、各種方向に発せられるラマン散乱光のうち強度の最も大きい方向に発せられるラマン散乱光を受光光学系で受光することができる。よって、当該流体組成分析装置では、極めて効率的に強度の大きいラマン散乱光を受光することができる。
また、以上のいずれかの前記流体組成分析装置において、前記受光光学系は、前記励起光が照射された前記試料流体からの前記ラマン散乱光を集光する集光光学系と、前記集光光学系で集光された前記ラマン散乱光を受光する受光部と、を有している場合、前記流入口の前記長手方向の寸法は、前記集光光学系を通過した前記ラマン散乱光の全てが幾何学的に前記受光部に入射する計測領域における、前記励起光学系の前記光軸が延びている方向の寸法よりも長くてもよい。
集光光学系を通過したラマン散乱光の全てが幾何学的に受光部に入射する計測セル内の領域を計測領域とすると、励起光の光束中であって、この計測領域内の領域である計測−光束領域からのラマン散乱光を受光部で受光できれば、効率的に多くのラマン散乱光を受光することができる。当該流体組成分析装置では、流入口の長手方向の寸法が、計測領域における励起光学系の光軸が延びている方向の寸法よりも長い。このため、当該流体組成分析装置では、計測−光束領域の全域に流入口からの試料流体を供給することができ、計測−光束領域の全域からのラマン散乱光を受光部で受光できる。よって、当該流体組成分析装置では、効率的に多くのラマン散乱光を受光することができる。
また、以上のいずれかの前記流体組成分析装置において、前記流入口と前記流出口とは互いに対向し、前記流入口の開口面の中心と前記流出口の開口面の中心とを結ぶ仮想線分は、前記励起光学系の光軸と直交してもよい。
流入口の開口面の中心と流出口の開口面の中心とを結ぶ仮想線分が励起光学系の光軸と直交していると、流入口から流入して流入口に向かう試料流体が励起光の光束中に達するまでの時間のバラつきを抑えることができる。よって、当該流体組成分析装置では、所定時刻における試料流体の成分を正確に分析することができる。
上記課題を解決するための発明に係る一態様としての熱量計は、
以上のいずれかの流体組成分析装置と、前記流体組成分析装置の前記分析器で分析された前記試料流体の組成に基づいて、前記試料流体の発熱量を求め、前記発熱量を出力する発熱量演算器と、を備えている。
当該熱量計では、少量の試料流体で、高精度の発熱量を得ることができる。
上記課題を解決するための発明に係る一態様としてのガスタービンプラントは、
燃料ガスを燃焼させて駆動するガスタービンと、前記燃料ガスを前記試料流体として、前記燃料ガスの発熱量を求める前記熱量計と、前記熱量計から出力された前記燃料ガスの発熱量を用いて前記ガスタービンの動作を制御する制御装置と、を備えている。
上記課題を解決するための発明に係る一態様としてのガスタービンプラントの運転方法は、
燃料ガスを燃焼させて駆動するガスタービンを備えているガスタービンプラントの運転方法において、前記熱量計を用いて、前記燃料ガスを前記試料流体として、前記燃料ガスの発熱量を求め、前記熱量計で求められた前記燃料ガスの発熱量を用いて前記ガスタービンの動作を制御する。
本発明では、流体の組成分析精度を低下させずに試料流体の流量を少なくすることができる。
本発明に係る第一実施形態における流体組成分析装置の光学系の構成を示す説明図である。 本発明に係る第一実施形態における流体組成分析装置の要部切欠き斜視図である。 本発明に係る第一実施形態における計測セルの要部切欠き側面図である。 本発明に係る第一実施形態における試料流体の流入口及び流出口と光学系との位置関係を示す説明図である。 集光光学系の焦点と計測領域との関係を示す説明図である。 集光光学系の焦点を含む焦点面と計測領域との関係を示す説明図である。 焦点光学系の焦点に対する内側位置を示す説明図である。 焦点光学系の焦点に対する内側位置及び外側位置を示す説明図である。 集光光学系に関する計測領域を示す説明図である。 集光光学系から出射するラマン散乱光に対する受光用光ファイバーに入射するラマン散乱光の比率である受光率と、励起光学系の光軸からの距離との関係を示すグラフである。 試料流体に照射する励起光の波長に対する各成分から発せられるラマン散乱光の波長のシフト量、及び励起光が所定の波長のときの各成分から発せられるラマン散乱光の波長を示す説明図である。 試料流体に励起光が照射されたときに各成分から発せられるラマン散乱光の波長と、各波長の強度との関係を示すグラフである。 本発明に係る第二実施形態の流体組成分析装置における試料流体の流入口及び流出口と光学系との位置関係を示す説明図である。 本発明に係る第一変形例における計測セルと光学系との関係を示す説明図である。 本発明に係る第二変形例における計測セルと光学系との関係を示す説明図である。 本発明に係る流入口の各種変形例の平面図であり、同図(a)は流入口の第一変形例の平面図、同図(b)は流入口の第二変形例の平面図、同図(c)は流入口の第三変形例の平面図、同図(d)は流入口の第四変形例の平面図である。 本発明に係る一実施形態におけるガスタービンプラントの系統図である。
以下、本発明に係る流体組成分析装置の各実施形態及について、図面を参照して説明する。
「流体組成分析装置の第一実施形態」
図1〜図12を用いて、本発明に係る流体組成分析装置の第一実施形態について説明する。
本実施形態の流体組成分析装置の分析する試料流体Gは、例えば、燃料ガスである。この流体組成分析装置Mは、図1及び図2に示すように、試料流体Gが内部を流れる計測セル10と、計測セル10内を流れる試料流体Gに励起光であるレーザ光を照射する励起光学系30と、レーザ光が照射された試料流体Gからのラマン散乱光を受光する受光光学系40と、受光光学系40が受光したラマン散乱光に基づいて試料流体Gの組成を分析する分析器90と、を備えている。
励起光学系30は、励起光であるレーザ光を出射するレーザ発振器31と、レーザ発振器31を保持する発振器保持枠35と、このレーザ発振器31の光出射部32からのレーザ光を絞る絞り33と、絞り33を保持する絞り保持枠36と、計測セル10に設けられている入光窓34と、発振器保持枠35及び絞り保持枠36を計測セル10に取り付ける4本の取付ロッド39と、を有している。入光窓34は、レーザ光を透過する。絞り33の光軸は、レーザ発振器31の光軸上に位置しており、入光窓34の中心は、この光軸上に位置している。すなわち、レーザ発振器31の光軸は、励起光学系30の光軸Aiを成している。
4本の取付ロッド39は、いずれも、発振器保持枠35及び絞り保持枠36を貫通していると共に、計測セル10も貫通している。
受光光学系40は、計測セル10に設けられている出光窓41と、出光窓41を通過したラマン散乱光を集光する集光光学系42と、この集光光学系42を保持する集光光学系保持枠56と、ノイズ光を除去するノイズ光除去系45と、集光光学系42で集光されたラマン散乱光を受光する受光用光ファイバー(受光部)51と、この受光用光ファイバー51を保持する受光部保持枠55と、集光光学系保持枠56及び受光部保持枠55を計測セル10に取り付ける取付ロッド59と、を有している。この受光光学系40は、計測セル10内の空間を挟んで、励起光学系30と対向配置されている。
出光窓41は、ラマン散乱光を透過する一方で、計測セル10内側からのレーザ光を反射するフィルターとして機能する。
集光光学系42は、2枚の平凸レンズ44で構成される集光レンズ43を有している。2枚の平凸レンズ44は、互いの平面が背合わせになる関係で互いに対向して、集光レンズ43を構成している。受光用光ファイバー51の光軸は、この集光レンズ43の光軸上に位置しており、出光窓41の中心はこの光軸に位置している。すなわち、集光レンズ43の光軸は、集光光学系42の光軸を成すと共に、受光光学系40の光軸Aoを成している。この集光レンズ43は、入光窓34と出光窓41との間であって、レーザ光が照射される計測領域R中の試料流体Gからのラマン散乱光を受光用光ファイバー51の受光面52に集光させる。よって、計測領域Rとは、受光用光ファイバー51の受光面52上の点光源からの光が集光レンズ43により計測セル10内で集光される焦点Fを含む領域である。
ノイズ光除去系45は、集光レンズ43よりも計測セル10側に位置している第一遮光部材46と、2枚の平凸レンズ44で挟まれている第二遮光部材47及びフィルター48と、を有している。第一遮光部材46及び第二遮光部材47は、円板形状であり、その中心が集光レンズ43の光軸、つまり受光光学系40の光軸Ao上に位置している。また、第一遮光部材46及び第二遮光部材47は、計測領域Rから見て、それぞれの輪郭が重なり合うよう、それぞれの大きさ及び位置が定められている。このため、第二遮光部材47よりも計測領域Rに近い位置に配置されている第一遮光部材46は、その外径が第二遮光部材47の外径よりも小さい。
フィルター48は、2枚の平凸レンズ44の間であって、第二遮光部材47の外周側に配置されている。このフィルター48は、ラマン散乱光を選択的に透過させる。
受光用光ファイバー51には、受光したラマン散乱光を分析器90へ導く送光用光ファイバー91が接続されている。
4本の取付ロッド59は、いずれも、集光光学系保持枠56及び受光部保持枠55を貫通していると共に、計測セル10も貫通している。受光光学系40は、4本の取付ロッド59により、受光光学系40の光軸Aoが励起光学系30の光軸Ai上に位置するよう、計測セル10に取り付けられている。なお、励起光学系30の4本の取付ロッド39と、この受光光学系40の4本の取付ロッド59とは、同一のものであってもよい。つまり、流体組成分析装置Mは、計測セル10を貫通している4本の取付ロッドを有し、計測セル10を基準にして一方側が励起光学系30の取付ロッドを成し、他方側が受光光学系40の取付ロッドを成すようにしてもよい。また、ここでは、励起光学系30や受光光学系40の各要素を計測セル10に取り付けるために、棒状の取付ロッド39,59を用いているが、この替りに、各要素を覆う筒状の枠を用いてもよい。
ここで、以下の説明の都合上、励起光光学系の光軸Aiが延びている方向をZ方向とし、このZ方向に垂直で互いに垂直な方向をそれぞれX方向及びY方向とする。
計測セル10は、図2及び図3に示すように、複数の壁板で形成されているセル本体11と、セル本体11の(−)Y側に接続されている流入管25と、セル本体11の(+)Y側に接続されている流出管26と、を有している。計測セル10は、試料流体Gに対する耐腐食性、耐熱性、耐圧性等を有する材料、例えば、ステンレス材で形成されている。
セル本体11を形成する複数の壁板12〜22のうち、2枚の壁板は、長方形状の板で互いにZ方向で対向し、一方の壁板が入光側壁板12を成し、他方の壁板が出光側壁板13を成している。長方形状の入光側壁板12及び出光側壁板13は、いずれも長辺の延びている方向がY方向である。入光側壁板12には、開口12o(図3に示す)が形成され、この開口12oが前述の入光窓34により塞がれている。この入光窓34は、入光窓枠23により入光側壁板12に固定されている。また、出光側壁板13で、入光側壁板12の開口12oと対向する位置にも、開口13oが形成され、この開口13oが前述の出光窓41により塞がれている。この出光窓41は、出光窓枠24により出光側壁板13に固定されている。
セル本体11を形成する複数の壁板12〜22のうち、2枚の壁板は、長方形状の板で互いにY方向で対向し、一方の壁板が流入側壁板(第一壁板)14を成し、他方の壁板が流出側壁板(第二壁板)15を成す。長方形状の流入側壁板14及び流出側壁板15は、いずれも、長辺の延びている方向がZ方向である。長方形状の流入側壁板14は、(−)Z側の短辺が入光側壁板12の(−)Y側の短辺に接続され、(+)Z側の短辺が出光側壁板13の(−)Y側の短辺に接続されている。この流入側壁板14のX方向の幅寸法は、入光側壁板12及び出光側壁板13のX方向の幅寸法と一致している。また、この流入側壁板14のZ方向の幅寸法は、この流入側壁板14のX方向の幅寸法より長い。流入側壁板14には、Y方向に貫通する流入口14oが形成されている。この流入口14oは、図4に示すように、貫通方向であるY方向から見ると、長方形状を成し、その長辺がZ方向に延びている。言い換えると、この流入口14oにおける開口面の長軸Alは、励起光学系30の光軸Aiと平行である。ここでの長軸Alとは、この流入口14oの開口面の中心を通り、流入口14oで最も開口寸法が短い方向に延びる短軸Asに対して垂直な方向に延びる軸である。なお、ここでの短軸Asは、励起光学系30の光軸Aiに垂直なX方向に延びている。流入管25は、流入側壁板14の流入口14oに接続されている。
流出側壁板15は、入光側壁板12及び出光側壁板13から(+)Y側に離間した位置に配置されている。この長方形状の流出側壁板15のX方向の幅寸法は、流入側壁板14のX方向の幅寸法より短い。また、流出側壁板15のZ方向の幅寸法も、流入側壁板14のZ方向の幅寸法より短い。流出側壁板15には、Y方向に貫通する流出口15oが形成されている。この流出口15oは、貫通方向であるY方向から見ると、円形を成す。この円形の流出口15oの開口面の中心と前述の長方形状の流入口14oの開口面の中心とを結ぶ仮想線分Lvは、励起光学系30の光軸Aiに直交している。流出管26は、流出側壁板15の流出口15oに接続されている。
セル本体11を形成する複数の壁板12〜22のうち、2枚の壁板は、長方形状を成し、互いにX方向で対向している。長方形状の各側壁板16,17は、長辺の延びている方向がY方向である。各側壁板16,17の長辺は、入光側壁板12の長辺及び出光側壁板13の長辺に接続されている。また、各側壁板16,17の短辺のうち、(−)Y側の短辺は、流入側壁板14の長辺に接続されている。各側壁板16,17のZ方向の幅寸法は、流入側壁板14のZ方向の幅寸法と一致している。また、各側壁板16,17のY方向の幅寸法は、入光側壁板12及び出光側壁板13のY方向の幅寸法と一致している。
セル本体11を形成する複数の壁板12〜22のうち、2枚の壁板は、等脚台形状の板で互いにZ方向で対向し、それぞれが第一傾斜壁板18,19を成す。等脚台形状の第一傾斜壁板18,19の底辺は、天辺に対して(−)Y側に位置している。2枚の第一傾斜壁板18,19のうち、一方の第一傾斜壁板18の底辺は、入光側壁板12における(+)Y側の短辺に接続され、他方の第一傾斜壁板19の底辺は、出光側壁板13における(+)Y側の短辺に接続されている。また、各第一傾斜壁板18,19の天辺は、長方形状の流出側壁板15の短辺に接続されている。流出側壁板15のZ方向の幅寸法は、前述したように、流入側壁板14のZ方向の幅寸法、つまり入光側壁板12と出光側壁板13とのZ方向の間隔寸法より短い。このめ、2枚の第一傾斜壁板18,19の相互間隔は、(+)Y側に向かうに連れて次第に狭くなる。
セル本体11を形成する複数の壁板12〜22のうち、2枚の壁板は、等脚台形状の板で互いにX方向で対向し、それぞれが第二傾斜壁板21,22を成す。等脚台形状の第二傾斜壁板21,22の底辺は、天辺に対して(−)Y側に位置している。各第二傾斜壁板21,22の底辺は、側壁板16,17における(+)Y側の短辺に接続されている。また、各第二傾斜壁板21,22の天辺は、長方形状の流出側壁板15の長辺に接続されている。流出側壁板15のX方向の幅寸法は、前述したように、流入側壁板14のX方向の幅寸法、つまり二枚の側壁板16,17のX方向の間隔寸法より短い。このめ、2枚の第二傾斜壁板21,22の相互間隔は、(+)Y側に向かうに連れて次第に狭くなる。
次に、計測セル10内の計測領域Rについて、図5〜図10を用いて説明する。
計測領域Rは、集光光学系42、つまり集光レンズ43を通過したラマン散乱光の全てが幾何学的に受光用光ファイバー51の受光面52に入射する領域である。なお、この受光面52は、受光光学系40の光軸Aoを中心として円形である。また、集光レンズ43の焦点Fからのラマン散乱光であって、集光レンズ43を通過したラマン散乱光の全ては、幾何学的に受光用光ファイバー51の受光面52に入射する。よって、この計測領域Rは、図5に示すように、受光用光ファイバー51の受光面52上の点光源からの光が集光レンズ43により計測セル10内で集光される焦点Fを含む領域である。
図10に示すように、前述の焦点Fの位置を「0」とし、この焦点Fから集光レンズ43の光軸Aoに対して垂直な方向への距離が所定距離内の領域では、この領域からのラマン散乱光であって集光レンズ43を通過したラマン散乱光のうち、幾何学的に受光用光ファイバー51の受光面52に入射する受光率は、100%である。つまり、焦点Fから所定距離の領域内からのラマン散乱光であって集光レンズ43を通過したラマン散乱光の全てが幾何学的に受光用光ファイバー51の受光面52に入射する。一方、焦点Fから集光光学系42の光軸Aoに対して垂直な方向への距離が所定距離より大きくなると、受光用光ファイバー51の受光面52に入射する受光率は、急激に小さくなる。
よって、図6に示すように、焦点Fの位置における集光光学系42の光軸Aoに対して垂直な焦点面中で、焦点Fから前述の所定距離の領域内、つまり焦点Fを中心とした円形の領域Rf内からのラマン散乱光であって集光レンズ43を通過したラマン散乱光は、その全てが幾何学的に受光用光ファイバー51の受光面52に入射する。このため、焦点Fから所定距離の円形の領域Rfは、計測領域Rに含まれる。
図7に示すように、集光レンズ43の光軸Ao上で、焦点Fから集光レンズ43側に所定距離離れた内側点Fiからのラマン散乱光であって集光レンズ43を通過したラマン散乱光の全ては、幾何学的に受光用光ファイバー51の受光面52に入射する。また、図8に示すように、集光レンズ43の光軸Ao上で、焦点Fから集光レンズ43から離れる側に所定距離離れた外側点Foからのラマン散乱光であって集光レンズ43を通過したラマン散乱光の全ても、幾何学的に受光用光ファイバー51の受光面52に入射する。すなわち、集光光学系42の光軸Ao上であって、内側点Fiと外側点Foとの間の領域内からのラマン散乱光であって集光レンズ43を通過したラマン散乱光の全ては、幾何学的に幾何学的に受光用光ファイバー51の受光面52に入射する。
ここで、図9に示すように、集光レンズ43の光軸Ao上で焦点Fと内側点Fiとの間の内側中間点Fimについて着目する。この内側中間点Fimを含み、光軸Aoに対して垂直な面内の領域で、その領域からのラマン散乱光であって集光レンズ43を通過したラマン散乱光が全て幾何学的に受光用光ファイバー51の受光面52に入射する領域は、光軸Aoに対して垂直な方向で光軸Aoから所定距離内の領域である。この所定距離は、焦点面内の前述の領域Rfに関する光軸Aoからの所定距離より短い。さらに、この所定距離は、内側中間点Fimが内側点Fiに近づくに連れて短くなり、内側点Fiでは0になる。よって、焦点面から集内側点Fi側の領域で、その領域からのラマン散乱光であって集光レンズ43を通過したラマン散乱光が全て幾何学的に受光用光ファイバー51の受光面52に入射する領域は、内側点Fiを頂点とし、焦点面中の領域Rfを底面とした円錐形状の領域になる。また、同様に、焦点面から外側点Fo側の領域で、その領域からのラマン散乱光であって集光レンズ43を通過したラマン散乱光が全て幾何学的に受光用光ファイバー51の受光面52に入射する領域は、外側点Foを頂点とし、焦点面中の領域Rfを底面とした円錐形状の領域になる。
従って、集光光学系42の計測領域Rは、内側点Fiを頂点とし、焦点面中の領域Rfを底面とした円錐形状の領域と、外側点Foを頂点とし、焦点面の領域Rfを底面とした円錐形状の領域とを合わせた領域である。
ところで、レーザ光の光束Bfは、図4に示すように、励起光学系30の光軸Aiを含み且つこの光軸Aiに沿った方向に延びている。また、集光レンズ43の光軸Aoは、励起光学系30の光軸Ai上に位置している。このため、レーザ光の光束Bfは、集光レンズ43の光軸Aoを含み且つこの光軸Aoに沿った方向に延びている。ラマン散乱光が発せられる領域は、このレーザ光の光束Bf中の領域である。
レーザ光の光束Bf中の試料流体Gからのラマン散乱光で、集光レンズ43を通過した全てが幾何学的に受光用光ファイバー51の受光面52に入射するラマン散乱光は、上述の計測領域R内からのラマン散乱光である。よって、計測領域R内で且つレーザ光の光束Bf中の領域である計測−光束領域RB中に、選択的に試料流体Gを供給すれば、極めて少ない流量の試料流体Gであっても、受光用光ファイバー51の受光面52に入射するラマン散乱光の光量の低下を抑えることができる。
よって、本実施形態では、計測−光束領域RB内に試料流体Gが積極的に供給されるよう、計測セル10の流入口14oの形状及び大きさを計測−光束領域RBに対応させている。具体的に、計測−光束領域RBは、Y方向から見ると、励起光学系30の光軸Aiを中心軸とし且つこの光軸Aiの方向を長手方向とする長方形の形状である。このため、本実施形態の流入口14oの開口形状も長方形状である。また、本実施形態の流入口14oの長方形状の開口面の長軸Alと励起光学系30の光軸Aiとが一つの仮想平面(図3の紙面に平行なYZ平面)内に位置し、長軸Alと光軸Aiとが平行である。さらに、流入口14oの開口面の中心と流出口15oの開口面の中心とを結ぶ仮想線分Lvが、集光レンズ43の焦点Fの位置で励起光学系30の光軸Aiとで直交する。また、流入口14oの長軸Alの長さ寸法、つまり流入口14oの開口面の長手方向の長さ寸法Dは、計測−光束領域RBにおける励起光学系30の光軸Aiが延びている方向の長さ寸法DRBよりも若干長い。また、流入口14oの短軸Asの長さ寸法、つまり流入口14oの開口面の長手方向の長さ寸法は、計測−光束領域RBにおける励起光学系30の光軸Aiに対して垂直な方向の長さ寸法よりも長い。
次に、以上で説明した流体組成分析装置Mによる分析動作について説明する。
ここで、計測セル10の流入管25から試料流体Gが計測セル10内に流れ込み、計測セル10の流出管26から試料流体Gが流出しているとする。励起光学系30のレーザ発振器31から発振されたレーザ光は、絞り33で絞られた後、入光窓34を介して、計測セル10内の試料流体Gに照射される。
試料流体Gに励起光であるレーザ光が照射されると、試料流体G中の成分毎に固有の波長のラマン散乱光が生じる。言い換えると、所定の波長のレーザ光を試料流体Gに照射した場合、図11に示すように、試料流体G中の成分毎に、レーザ光の波長から固有のシフト量分だけ波長がシフトしたラマン散乱光が生じる。ラマン散乱光の強度は、励起光の入射軸方向における前方側及び後方側で大きいことが知られている。なお、以下では、前方側のラマン散乱光を前方側ラマン散乱光といい、後方側のラマン散乱光を後方側ラマン散乱光という。
入光窓34側((−)Z側)からのレーザ光が試料流体Gに照射されると、ラマン散乱光が生じる。このラマン散乱光のうち、強度の大きい前方側ラマン散乱光は、出光窓41を透過する。また、入光窓34を透過したレーザ光のうち出光窓41に至ったレーザ光は、この出光窓41で反射される。この出光窓41側((+)Z側)からのレーザ光が試料流体Gに照射されても、ラマン散乱光が生じる。このラマン散乱光のうち、強度の大きい後方側ラマン散乱光は、出光窓41を透過する。
出光窓41を透過したラマン散乱光は、集光レンズ43により、受光用光ファイバー51の受光面52(受光部)に集光され、受光用光ファイバー51に入光する。このラマン散乱光は、受光用光ファイバー51及び送光用光ファイバー91を経て、分析器90に至り、この分析器90により分析される。
入光窓34や出光窓41が試料流体Gにより汚れており、この汚れている部分にレーザ光が照射されると、ノイズ光が発生する。ラマン散乱光は、極めて微弱な光であり、ノイズ光が存在すると、組成分析精度が低下する。そこで、本実施形態では、第一遮光部材46及び第二遮光部材47により、受光用光ファイバー51に入光するノイズ光の低減を図っている。
図1に示すように、入光窓34は、集光レンズ43から計測領域Rよりも遠方に配置されている。また、出光窓41は、集光レンズ43から計測領域Rよりも近傍に配置されている。このため、集光レンズ43から見た場合、出光窓41のノイズ発生部の視野角は、入光窓34のノイズ発生部の視野角に比べて大きい。本実施形態では、視野角の大きい出光窓41からのノイズ光に関して、この出光窓41に近く且つ外径の小さい第一遮光部材46により効率的に遮光する。また、本実施形態では、視野角の小さい入光窓34からのノイズ光に関して、入光窓34及び出光窓41から遠く且つ外径の大きい第二遮光部材47により効率的に遮光する。
このため、本実施形態では、ラマン散乱光の多くを遮蔽することなく、ノイズ光を効率的に遮光することができる。よって、本実施形態では、受光用光ファイバー51に入光するラマン散乱光のSN比を高めることができる。なお、このノイズ光の低減のメカニズムについては、国際公開第2013/031896号に詳細に記載されている。
分析器90は、受光用光ファイバー51が受光したラマン散乱光を送光用光ファイバー91を介して受け付け、これを分光して、例えば、図12に示すように、波長毎の強度を出力する。前述したように、所定の波長のレーザ光を試料流体Gに照射した場合、試料流体G中の成分毎に、レーザ光の波長から固有のシフト量分だけ波長がシフトしたラマン散乱光が生じる。よって、試料流体Gに照射するレーザ光の波長と、このレーザ光を照射したときの各成分からのラマン散乱光の波長のシフト量と、を予め認識しておくことで、試料流体G中の成分を分析することができる。また、各ラマン散乱光の強度は、そのラマン散乱光を発する成分の試料流体G中の濃度を示す。このため、各ラマン散乱光の強度から、そのラマン散乱光を発する成分の試料流体G中の濃度を把握することもできる。なお、この分析器90は、波長毎の強度を出力するが、波長毎に、対応する成分とその濃度を出力するようにしてもよい。
本実施形態では、集光光学系42を通過したラマン散乱光の全てが幾何学的に受光用光ファイバー51の受光面52に入射する計測−光束領域RBに、この領域RBの形状及び大きさに対応した流入口14oから試料流体Gが供給される。このため、流入口14oからの試料流体Gのうちで計測−光束領域RBを通らない試料流体Gが少なくなる一方で、計測−光束領域RBを通る試料流体Gは少なくならず、受光用光ファイバー51の受光面52に入射するラマン散乱光の光量の低下を抑えることができる。よって、本実施形態では、試料流体Gの組成分析精度を低下させずに試料流体Gの流量を少なくすることができる。
以下に、試料流体Gの流量の低減について詳述する。母管からの試料流体Gの引き込み時間による分析装置の応答性の低下を避けるためには、引き込み管における試料流体Gの流速を一定に保ったままで流量を減らす必要がある。そのため、引き込み管の断面積は試料流体Gの流量に比例して小さくしなければならない。そのとき、引き込み管に接続されている流入口14oについて、何ら形状を工夫せず単純にこれを小さくすると、計測−光束領域RBに存在する試料流体Gのうち、流入口14oから流入した直後のものの割合が低下してしまう。具体的に、計測−光束領域RBよりも流入口14oを単純に小さくすると、この計測−光束領域RBの一部にのみ流入口14oからの試料流体Gが通過する。流入口14oを小さくすればするほど、計測−光束領域RB中で、流入口14oからの試料流体Gが通過する部分は小さくなる。
このように、流入口14oからの試料流体Gが計測−光束領域RBの一部のみを通過する場合、受光用光ファイバー51の受光面52に入射するラマン散乱光は、流入口14oから流入した直後の試料流体Gに起因するものだけでなく、計測セル10内に滞留している試料流体Gに起因するものも含まれるようになる。このため、分析装置は、流入口14oから流入した直後の試料流体Gと計測セル10内に滞留している試料流体Gを合わせた組成を検出してしまう。この結果、試料流体Gの組成急変に対する分析装置の応答性が低下する。
本実施態様では、計測−光束領域RBの形状及び大きさに対応した流入口14oから試料流体Gを供給する。このため、本実施形態では、以上のような事態を生じることがなく、高い応答性を維持したまま試料流体Gの量を低減することができる。
また、本実施形態では、流入口14oの長軸Alの長さ寸法、つまり流入口14oの開口面の長手方向の長さ寸法Dは、計測−光束領域RBにおける励起光学系30の光軸Aiが延びている方向の長さ寸法DRBよりも若干長い。このため、本実施形態では、計測−光束領域RBの全域に流入口14oからの試料流体Gを供給することができ、計測−光束領域RBの全域からのラマン散乱光を受光用光ファイバー51で受光できる。よって、本実施形態では、効率的に多くのラマン散乱光を受光することができる。
前述したように、ラマン散乱光の強度は、励起光の入射軸方向における前方側及び後方側で大きい。本実施形態では、励起光学系30と受光光学系40とが、試料流体Gが流れる計測セル10内の空間を挟んで互いに対向配置されているため、各種方向に発せられるラマン散乱光のうち強度の大きい方向に発せられるラマン散乱光を受光光学系40で受光することができる。よって、本実施形態では、効率的に強度の大きいラマン散乱光を受光することができる。
なお、本実施形態の流体組成分析装置Mは、第一遮光部材46及び第二遮光部材47を有しているが、いずれか一方の遮光部材のみを有してもよいし、両方の遮光部材を有していなくてもよい。但し、ノイズ光の低減の観点から、本実施形態のように、両方の遮光部材を有している方が好ましい。
「流体組成分析装置の第二実施形態」
図13を用いて、本発明に係る流体組成分析装置の第二実施形態について説明する。
本実施形態の流体組成分析装置Maも、第一実施形態の流体組成分析装置Mと同様、試料流体Gが内部を流れる計測セル10aと、計測セル10a内を流れる試料流体Gに励起光であるレーザ光を照射する励起光学系30と、レーザ光が照射された試料流体Gからのラマン散乱光を受光する受光光学系40aと、受光光学系40aが受光したラマン散乱光に基づいて試料流体Gの組成を分析する分析器と、を備えている。
本実施形態の励起光学系30も、第一実施形態の励起光学系30と同様、レーザ発振器31、入光窓34等を有している。また、本実施形態の受光光学系40aも、第一実施形態の受光光学系40と同様、出光窓41、集光光学系42、受光用光ファイバー51a等を有している。但し、第一実施形態では、励起光学系30の光軸Ai上に受光光学系40の光軸Aoが位置しているが、本実施形態では、励起光学系30の光軸Aiに対して受光光学系40aの光軸Aoが直交している。また、本実施形態では、受光用光ファイバー51aの受光面52aが、長方形状を成している。この長方形状の受光面52aの長手方向は、励起光学系30の光軸Aiが延びているZ方向である。
本実施形態の計測セル10aも、第一実施形態の計測セル10と同様、複数の壁板で形成されているセル本体11aを有している。セル本体11aを形成する複数の壁板のうち、2枚の壁板は、長方形状の壁板で互いにZ方向で対向し、一方の壁板が入光側壁板12aを成し、他方の壁板が入光対向壁板13aを成している。入光側壁板12aには、開口が形成され、この開口が入光窓34により塞がれている。セル本体11aを形成する複数の壁板のうち、2枚の壁板は、長方形状の板で互いにX方向で対向し、一方の壁板が出光側壁板16aを成し、他方の壁板が出光対向壁板17aを成す。出光側壁板16aには、開口が形成され、この開口が出光窓41により塞がれている。セル本体11aの形成する複数の壁板のうち、1枚の壁板は、長方形状の板で、Y方向に垂直な方向に広がり、流入側壁板14aを成している。この流入側壁板14aは、入光側壁板12aの(−)Y側の辺、入光対向壁板13aの(−)Y側の辺、出光側壁板16aの(−)Y側の辺、出光対向壁板17aの(−)Y側の辺に接続されている。この流入側壁板14aには、Y方向に貫通する流入口14oaが形成されている。この流入口14oaは、貫通方向であるY方向から見ると、長方形状を成し、その長辺がZ方向に平行である。言い換えると、この流入口14oaの開口面の中心を通る長軸Alは、励起光学系30の光軸Aiと平行である。なお、この流入口14oaの開口面の中心を通る短軸Asは、励起光学系30の光軸Aiに垂直なX方向に延びている。
本実施形態の受光光学系40aでの計測領域Raも、第一実施形態と同様、受光用光ファイバー51aの受光面52a上の点光源からの光が集光レンズ43により計測セル10a内で集光される焦点Fを含む領域である。但し、本実施形態では、受光面52aの形状が長方形状であるため、集光レンズ43を通過したラマン散乱光の全てが、幾何学的に受光用光ファイバー51aの受光面52aに入射する焦点面内の領域Rfaの形状は長方形状である。このため、本実施形態の受光光学系40aでの計測領域Raは、焦点面内の長方形状の領域Rfaを底面とし、集光光学系42の光軸Ao上の内側点Fiを通る線分を頂辺とする五面体形状の領域と、焦点面内の長方形状の領域Rfaを底面とし、集光光学系42の光軸Ao上の外側点Foを通る線分を頂辺とする五面体形状の領域と、を合わせた領域になる。なお、内側点Fiとは、前述したように、集光レンズ43の光軸Ao上の点であって、この点からのラマン散乱光であって集光レンズ43を通過したラマン散乱光の全てが、幾何学的に受光用光ファイバー51aの受光面52aに入射する点のうち、最も集光レンズ43側の点である。また、外側点Foとは、前述したように、集光レンズ43の光軸Ao上の点であって、この点からのラマン散乱光であって集光レンズ43を通過したラマン散乱光の全てが、幾何学的に受光用光ファイバー51aの受光面52aに入射する点のうち、最も集光レンズ43から遠い点である。
よって、本実施形態において、この計測領域Ra内で且つレーザ光の光束Bf中の領域である計測−光束領域RBは、第一実施形態と同様、Y方向から見ると、励起光学系30の光軸Aiを中心軸とし且つこの光軸Aiの方向を長手方向とする長方形の形状である。このため、本実施形態の流入口14oaの開口形状も長方形状である。また、本実施形態の流入口14oaの長方形状の開口面の長軸Alと励起光学系30の光軸Aiとが一つの仮想平面内に位置し、長軸Alと光軸Aiとが平行である。さらに、流入口14oaの開口面の中心と流出口15oaの開口面の中心とを結ぶ仮想線分Lvが、集光レンズ43の焦点Fの位置で励起光学系30の光軸Aiと直交する。また、流入口14oaの長軸Alの長さ寸法、つまり流入口14oaの開口面の長手方向の長さ寸法Dは、計測−光束領域RBにおける励起光学系30の光軸Aiが延びている方向の長さ寸法DRBよりも若干長い。また、流入口14oaの短軸Asの長さ寸法、つまり流入口14oaの開口面の短手方向の長さ寸法は、計測−光束領域RBにおける励起光学系30の光軸Aiに対して垂直な方向の長さ寸法よりも長い。
以上、本実施形態でも、第一実施形態と同様、集光光学系42を通過したラマン散乱光の全てが幾何学的に受光用光ファイバー51aの受光面52aに入射する計測−光束領域RBに、この領域RBの形状及び大きさに対応した流入口14oaから試料流体Gが供給される。よって、本実施形態でも、試料流体Gの組成分析精度を低下させずに試料流体Gの流量を少なくすることができる。
但し、前述したように、ラマン散乱光の強度は、励起光の入射軸方向における前方側及び後方側で大きい。このため、本実施形態よりも、第一実施形態のように、励起光学系30と受光光学系40とを対向させ、互いの光軸Ai,Aoを一致させる方が、受光用光ファイバー51の受光面52に入射するラマン散乱光の強度が大きくなり、組成分析精度の向上を図ることができる。
「流体組成分析装置の第一変形例」
図14を用いて、本発明に係る流体組成分析装置の第一変形例について説明する。
以上の各実施形態では、流入口14oにおける開口面の長軸Alと励起光学系30の光軸Aiとが一つの仮想平面内に位置し、長軸Alと光軸Aiとが平行である。しかしながら、図14に示すように、流入口14obにおける開口面の長軸Alと励起光学系30の光軸Aiとが一つの仮想平面(図14の紙面に平行なYZ平面)内に位置するものの、長軸Alと光軸Aiとが平行でなくてもよい。すなわち、長軸Alと光軸Aiとを含む仮想平面内で、光軸Aiに対して長軸Alが多少傾いていてもよい。この場合、流入口14obにおける開口面の中心と流出口15oにおける開口面の中心とを結ぶ仮想線分Lvは、光軸Aiと直交しない。
但し、長軸Alと光軸Aiとを含む仮想平面内で、光軸Aiに対して長軸Alが傾いていている場合、流入口14obからセル本体11b内に流入した試料流体Gが励起光学系30の光軸Aiを含む計測−光束領域RBに達するまでの時間に僅かであるがバラつきが生じる。このため、所定時刻における試料流体Gの成分を正確に分析することができない。よって、基本的には、以上の各実施形態のように、流入口14oの長軸Alと励起光学系30の光軸Aiとは平行であることが好ましい。
「流体組成分析装置の第二変形例」
図15を用いて、本発明に係る流体組成分析装置の第二変形例について説明する。
以上の各実施形態では、セル本体11を形成する複数の壁板のうちの1つの壁板14に開口を形成し、この開口を流入口14oとしている。しかしながら、図15に示すように、セル本体11cを形成する複数の壁板のうちの一つの壁板14cに対して流入管25cを貫通させ、この流入管25cのセル本体10c内側の開口を流入口14ocとしてもよい。
「流入口の各種変形例」
図16を用いて、本発明に係る流体組成分析装置における流入口の各種変形例について説明する。
以上の各実施形態の流入口の形状は、長軸Alが励起光学系30の光軸Aiと平行な方向に延びる長方形状である。しかしながら、流入口の形状は、励起光学系30の光軸Aiと平行な方向に延びる長軸Alを持つ形状、言い換えると、計測−光束領域RBの長手方向に長い軸である長軸Alを持つ形状であれば、他の形状でもよい。具体的には、図16(a)に示すように、流入口14odの形状は、例えば、励起光学系30の光軸Aiと平行な方向に延びる長軸Alを持つ楕円形状であってもよい。また、図16(b)に示すように、流入口14oeの形状は、例えば、励起光学系の光軸Aiと平行な方向に延びる長軸Alを持つ平行四辺形形状であってもよい。
また、以上で流入口の長軸Alは、「流入口の開口面の中心を通り、流入口で最も開口寸法が短い方向に延びる短軸Asに対して垂直な方向に延びる軸」と定義している。しかしながら、流入口の長軸Alは、「流入口の開口面の中心を通り、流入口で最も開口寸法が長い方向に延びる軸」であってもよい。この場合、例えば、図16(c)に示しように、流入口14fの形状は長方形状であっても、その長軸Alは、この流入口14fで最も開口寸法が長い方向の延びる軸である対角線上の軸になる。
また、以上の実施形態では、流入口の長軸Alと励起光学系の光軸Aiとが一つの仮想平面(YZ平面)内に位置している。しかしながら、流入口14ogの長軸Alは、図16(d)に示すように、励起光学系の光軸Aiを含む仮想平面(YZ平面)内に位置せず、この仮想平面に対して多少傾いていてもよい。言い換えると、流入口14ogの長軸Alは、励起光学系の光軸Aiに沿った方向に延びていればよい。さらに言い換えると、流入口14ogの長軸Alが延びる長手方向は、励起光学系の光軸Aiとほぼ平行な方向であってもよい。なお、流入口14ogの長軸Alが延びる長手方向が励起光学系の光軸Aiに沿った方向であるということは、ここでは、励起光学系の光軸Aiに対する長手方向の方位がこの光軸Aiを基準にして10°の範囲内であることである。
但し、流入口の長軸Alと励起光学系の光軸Aiとは、以上の実施形態のように、できる限り平行であることが好ましい。これは、光軸Aiに対して長軸Alが傾いていている場合、前述したように、流入口からセル本体内に流入した試料流体Gが励起光学系の光軸Aiを含む計測−光束領域RBに達するまでの時間に僅かであるがバラつきが生じる上に、流入口からの試料流体Gのうちで計測−光束領域RBを通らない試料流体Gが若干多くなるからである。
「ガスタービンプラントの実施形態」
図17を用いて、本発明に係るガスタービンプラントの一実施形態について説明する。
本実施形態のガスタービンプラントは、ガスタービン110と、ガスタービン110の駆動で発電する発電機120と、ガスタービン110の駆動で燃料ガスを圧縮するガス圧縮機121と、ガスタービン110に供給される燃料ガスの発熱量を出力する熱量計140と、ガスタービン110の状態等を制御する制御装置145と、を備えている。
ガスタービン110は、空気Aを圧縮して圧縮空気を生成する空気圧縮機111と、圧縮空気中で燃料ガスを燃焼させ高温の燃焼ガスを生成する燃焼器115と、燃焼ガスにより駆動するタービン116と、を備えている。
空気圧縮機111は、圧縮機ロータと、これを回転可能に覆う圧縮機ケーシングと、空気Aの吸気量を調節する吸気量調節器112と、を有している。吸気量調節器112は、圧縮機ケーシングの吸込口側に設けられている入口案内翼113と、この入口案内翼113の開度を変える案内翼駆動機114と、を有している。
タービン116は、燃焼ガスにより回転するタービンロータと、このタービンロータを回転可能に覆うタービンケーシングとを有している。圧縮機ロータとタービンロータとは互いに連結され、一体となってガスタービンロータ117を成している。
発電機120は、発電機ロータと、この発電機ロータを回転可能に覆う発電機ケーシングと、を有している。発電機ロータは、ガスタービンロータ117に連結されている。このため、ガスタービンロータ117が回転すると、発電機ロータも、一体的に回転する。
ガス圧縮機121は、圧縮機ロータと、これを回転可能に覆う圧縮機ケーシングと、を有している。ガス圧縮機121の圧縮機ロータは、減速機122を介して、発電機ロータ又はガスタービンロータ117と機械的に接続されている。このガス圧縮機121の吐出口と燃焼器115とは、高圧燃料ガスライン134で接続されている。この高圧燃料ガスライン134には、ここを通る燃料ガスの流量を調節する燃料流量調節弁137が設けられている。
このガスタービンプラントは、製鉄所151及びコークスプラント152から燃料ガスが供給される。製鉄所151は、製鉄所151の高炉から低カロリー燃料ガスとしてのBFG(Blast Furnace Gas)を発生する。この高炉には、BFGが流れるBFGライン131が接続されている。BFGライン131には、このBFGの流量を調節するBFG流量調節弁135が設けられている。コークスプラント152は、コークスプラント152のコークス炉から高カロリー燃料ガスとしてのCOG(Coke Oven Gas)を発生する。このコークス炉には、COGが流れるCOGライン132が接続されている。COGライン132には、COGの流量を調節するCOG流量調節弁136が設けられている。BFGライン131とCOGライン132とは、合流して低圧燃料ガスライン133となる。この低圧燃料ガスライン133は、ガス圧縮機121の吸込口に接続されている。低圧燃料ガスライン133には、この低圧燃料ガスライン133を通るガス中のダスト等を集塵する電気集塵器(EP(electrostatic Precipitator))123が設けられている。また、この低圧燃料ガスライン133で、電気集塵器123よりも下流側には、低圧燃料ガスライン133から分岐して再び低圧燃料ガスライン133に合流するサンプリングライン139が設けられている。
サンプリングライン139には、前述の熱量計140が設けられている。この熱量計140は、先に説明したいずれかの実施形態又は変形例の流体組成分析装置M(Ma)と、この流体組成分析装置M(Ma)による燃料ガスの分析結果に基づいて燃料ガスの単位体積当たりの発熱量である単位発熱量を求める発熱量演算器141と、を有している。流体組成分析装置M(Ma)の流入管25及び流出管26は、サンプリングライン139に接続されている。
発熱量演算器141は、流体組成分析装置M(Ma)から出力された燃料ガス中の成分毎のラマン散乱光の強度、つまり各成分に対応する波長の光の強度を用いて、燃焼ガスの単位発熱量を求める。
以下の式(1)は、燃料ガスが、図12に示すように、二酸化炭素(CO)、一酸化炭素(CO)、窒素(N)、メタン(CH)、水蒸気(HO)、水素(H)を含む場合における燃料ガスの単位体積当たりの高位発熱量(HHV)を求める式である。また、以下の式(2)は、同じ場合における燃料ガスの単位体積当たり低位発熱量(LHV)を求める式である。
Figure 2015072180
Figure 2015072180
なお、HHVは、燃料ガスの燃焼によって生成された水分の凝縮熱を発熱量として含む発熱量(kcal/mN)である。LHVは、燃料ガスの燃焼によって生成された水分の凝縮熱を発熱量として含まない発熱量(kcal/mN)である。また、式(1)〜式(8)において、CNはNのモル分率で、CCOはCOのモル分率で、CCOはCOのモル分率で、CHOはHOのモル分率で、CHはHのモル分率で、CCHはCHのモル分率である。各成分のモル分率は、以下の式(3)〜式(8)で求めることができる。
Figure 2015072180
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Figure 2015072180
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発熱量演算器141は、流体組成分析装置M(Ma)から出力された燃料ガス中の成分毎のラマン散乱光の強度から、窒素成分の光強度INに対する一酸化炭素成分の相対強度ICO/IN、窒素成分の光強度に対する二酸化炭素成分の相対強度ICO/IN、窒素成分の光強度に対する水蒸気成分の相対強度IHO/IN、窒素成分の光強度に対する水素成分の相対強度IH/IN、窒素成分の光強度に対するメタン成分の相対強度ICH/INを求める。次に、発熱量演算器141は、各成分の相対強度と、式(1)又は式(2)、及び式(3)〜式(8)を用いて、燃料ガスの高位発熱量(HHV)又は低位発熱量(LHV)を求める。
制御装置145は、熱量計140から出力された燃料ガスの単位発熱量(HHV又はLHV)に基づいて、BFG流量調節弁135、COG流量調節弁136、燃料流量調節弁137、吸気量調節器112のうちのいずれかを制御する。低圧燃料ガスライン133を流れる燃料ガスの単位発熱量が変化した場合、制御装置145は、例えば、以下の(1)〜(3)のいずれかの制御を実行する。
(1)制御装置145は、熱量計140で計測された単位発熱量が元の値又は設定値になるよう、BFGとCOGとの流量比を調節するため、BFG流量調節弁135とCOG流量調節弁136とのうち、少なくとも一方の弁開度を制御する。
(2)制御装置145は、燃焼器115に供給される燃料ガスの単位時間当たりの燃料熱量が一定になるよう、又は、ガスタービン出力が目標出力になるよう、燃料流量調節弁137の弁開度を制御する。又は、制御装置145は、タービン116の燃焼ガス入口の温度が目標温度になるよう、燃料流量調節弁137の弁開度を制御する。
(3)制御装置145は、燃焼器115に供給される燃料ガスと圧縮空気と流量比である燃空比が一定になるよう、又は、ガスタービン出力が目標出力になるよう、吸気量調節器112の入口案内翼113の開度を制御する。
本実施形態の熱量計140は、前述したように、いずれかの実施形態の流体組成分析装置M(Ma)と、この流体組成分析装置M(Ma)による燃料ガスの分析結果に基づいて燃料ガスの単位発熱量を求める発熱量演算器141と、を有している。このため、本実施形態の熱量計140は、計測発熱量の精度低下を抑えつつも、計測に用いる燃料ガスの量を少なくすることができる。また、本実施形態の熱量計140は、ラマン散乱光の分析に基づいて燃料ガスの単位発熱量を求めているため、例えば、クロマトグラフィー法を用いて燃料ガスの単位発熱量を求めるよりも、極めて短時間に燃料ガスの単位発熱量を求めることができる。
なお、本実施形態におけるガスタービンの燃料は、BFG単味、COG単味、BFGとCOGの混合物とのいずれかである。しかしながら、ガスタービンの燃料は、BFGのみでも、COGのみでもよい。さらに、ガスタービン110の燃料は、他の燃料ガス、例えば、天然ガスや、バイオガス等であってもよい。
10,10a…計測セル、11,11a,11b,11c:セル本体、14o,14oa,14ob,14oc,14od,14oe,14of,14og:流入口、15o,15oa,15ob:流出口、25,25c:流入管、26:流出管、30:励起光学系、31:レーザ発振器、33:絞り、34:入光窓、40,40a:受光光学系、41:出光窓、42:集光光学系、43:集光レンズ、51:受光用光ファイバー(受光部)、90:分析器(分析部)、110:ガスタービン、111:空気圧縮機、112:吸気量調節器、115:燃焼器、116:タービン、120:発電機、121:ガス圧縮機、131:BFGライン、132:COGライン、133:低圧燃料ガスライン、134:高圧燃料ガスライン、135:BFG流量調節弁、136:COG流量調節弁、137:燃料流量調節弁、140:熱量計、141:発熱量演算器、145:制御装置

Claims (12)

  1. 試料流体が流入する流入口と前記試料流体が流出する流出口とが形成され、前記試料流体が内部を流れる計測セルと、
    前記計測セル内を流れる前記試料流体の流れ方向に対して交差する方向から、前記試料流体に励起光を照射する励起光学系と、
    前記励起光が照射させた前記試料流体からのラマン散乱光を受光する受光光学系と、
    前記受光光学系が受光した前記ラマン散乱光に基づいて前記試料流体の組成を分析する分析器と、
    を備え、
    前記流入口は、前記流入口の開口面中の長軸が延びている長手方向に長く、前記開口面中で前記長軸とは異なる短軸が延びている短手方向に短く、
    前記励起光学系の光軸と前記長軸とは、一つの仮想平面内に位置する、
    流体組成分析装置。
  2. 前記光軸と前記長軸とは、平行である、
    請求項1に記載の流体組成分析装置。
  3. 試料流体が流入する流入口と前記試料流体が流出する流出口とが形成され、前記試料流体が内部を流れる計測セルと、
    前記計測セル内を流れる前記試料流体の流れ方向に対して交差する方向から、前記試料流体に励起光を照射する励起光学系と、
    前記励起光が照射させた前記試料流体からのラマン散乱光を集光する集光光学系、及び前記集光光学系で集光された前記ラマン散乱光を受光する受光部を有する受光光学系と、
    前記受光光学系が受光した前記ラマン散乱光に基づいて前記試料流体の組成を分析する分析器と、
    を備え、
    前記流入口は、開口幅が長い長手方向と、前記長手方向とは異なる方向であって開口幅が短い短手方向とを持ち、
    前記長手方向は、前記励起光学系の光軸に沿った方向であり、前記流入口の前記長手方向の寸法は、前記集光光学系を通過した前記ラマン散乱光の全てが幾何学的に前記受光部に入射する計測領域における、前記励起光学系の前記光軸が延びている方向の寸法よりも長い、
    流体組成分析装置。
  4. 試料流体が内部を流れる計測セルと、
    前記計測セル内を流れる前記試料流体の流れ方向に対して交差する方向から、前記試料流体に励起光を照射する励起光学系と、
    前記励起光が照射させた前記試料流体からのラマン散乱光を受光する受光光学系と、
    前記受光光学系が受光した前記ラマン散乱光に基づいて前記試料流体の組成を分析する分析器と、
    を備え、
    前記計測セルは、複数の壁板で前記試料流体が流れる空間が形成されているセル本体を有し、
    複数の前記壁板のうち、第一壁板には、前記試料流体を前記空間に流入させる流入口としての開口が形成され、第二壁板には、前記空間内の前記試料流体を流出させる流出口としての開口が形成され、
    前記流入口は、開口幅が長い長手方向と、前記長手方向とは異なる方向であって開口幅が短い短手方向とを持ち、
    前記長手方向は、前記励起光学系の光軸に沿った方向である、
    流体組成分析装置。
  5. 前記励起光学系と前記受光光学系とは、前記試料流体が流れる前記計測セル内の空間を挟んで互いに対向配置されている、
    請求項1から4のいずれか一項に記載の流体組成分析装置。
  6. 試料流体が流入する流入口と前記試料流体が流出する流出口とが形成され、前記試料流体が内部を流れる計測セルと、
    前記計測セル内を流れる前記試料流体の流れ方向に対して交差する方向から、前記試料流体に励起光を照射する励起光学系と、
    前記試料流体が流れる前記計測セル内の空間を挟んで前記励起光学系と対向配置され、前記励起光が照射させた前記試料流体からのラマン散乱光を受光する受光光学系と、
    前記受光光学系が受光した前記ラマン散乱光に基づいて前記試料流体の組成を分析する分析器と、
    を備え、
    前記流入口は、開口幅が長い長手方向と、前記長手方向とは異なる方向であって開口幅が短い短手方向とを持ち、
    前記長手方向は、前記励起光学系の光軸に沿った方向である、
    流体組成分析装置。
  7. 前記励起光学系の光軸と前記受光学系の光軸とが同一直線上に位置している、
    請求項5又は6に記載の流体組成分析装置。
  8. 前記受光光学系は、前記励起光が照射された前記試料流体からの前記ラマン散乱光を集光する集光光学系と、前記集光光学系で集光された前記ラマン散乱光を受光する受光部と、を有し、
    前記流入口の前記長手方向の寸法は、前記集光光学系を通過した前記ラマン散乱光の全てが幾何学的に前記受光部に入射する計測領域における、前記励起光学系の前記光軸が延びている方向の寸法よりも長い、
    請求項1、2、4、6のいずれか一項に記載の流体組成分析装置。
  9. 前記流入口と前記流出口とは互いに対向し、前記流入口の開口面の中心と前記流出口の開口面の中心とを結ぶ仮想線分は、前記励起光学系の光軸と直交している、
    請求項1から8のいずれか一項に記載の流体組成分析装置。
  10. 請求項1から9のいずれか一項に記載の流体組成分析装置と、
    前記流体組成分析装置の前記分析器で分析された前記試料流体の組成に基づいて、前記試料流体の発熱量を求め、前記発熱量を出力する発熱量演算器と、
    を備えている熱量計。
  11. 燃料ガスを燃焼させて駆動するガスタービンと、
    前記燃料ガスを前記試料流体として、前記燃料ガスの発熱量を求める請求項10に記載の熱量計と、
    前記熱量計から出力された前記燃料ガスの発熱量を用いて前記ガスタービンの動作を制御する制御装置と、
    を備えているガスタービンプラント。
  12. 燃料ガスを燃焼させて駆動するガスタービンを備えているガスタービンプラントの運転方法において、
    請求項10に記載の熱量計を用いて、前記燃料ガスを前記試料流体として、前記燃料ガスの発熱量を求め、
    前記熱量計で求められた前記燃料ガスの発熱量を用いて前記ガスタービンの動作を制御する、
    ガスタービンプラントの運転方法。
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