JP2015067541A - 炭化水素化合物の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】エチレンを原料として、プロピレン、ブタジエン及び芳香族化合物などを同時に高収率で製造する方法を提供する。
【解決手段】本発明に係る炭化水素化合物の製造方法は、エチレンをオリゴマー化して炭化水素組成物を製造する工程と、前記炭化水素組成物を水蒸気の存在下で熱分解し、プロピレン、ブタジエン及び芳香族化合物を含む熱分解ガスを得る工程と、を有する。このように構成されているため、本発明に係る炭化水素化合物の製造方法によれば、エチレンを原料として、プロピレン、ブタジエン及び芳香族化合物などの炭化水素化合物を同時に高収率で製造することができる。
【選択図】なし

Description

本発明は、炭化水素化合物の製造方法の製造方法に関する。
従来、プロピレン、ブタジエン、芳香族化合物(以下、単に「芳香族」と表記する場合もある)を同時に生産する方法は、ナフサの熱分解やFCCなど、炭化水素を熱分解による方法しか知られていない。ところが、近年、天然ガス、シェールガスの増産により、エタンの熱分解によるエチレンの生産増加で、ナフサの熱分解プロセスの稼動率が低下している。このような傾向にあるため、石油原料に依存している限り、プロピレン、ブタジエン、芳香族化合物などが不足するようになることが懸念される。そのため、プロピレン、ブタジエン、芳香族化合物も、それぞれエチレンを原料として製造する技術の開発が進められている。
エチレンからのプロピレンの製造については、エチレンと水素を含む原料をゼオライト触媒と接触させる技術が特許文献1に開示されている。また、エチレンからのプロピレン及び芳香族の製造については、エチレンをゼオライト触媒と接触させる技術が特許文献2に開示されている。さらに、エチレンからのプロピレンの製造については、エチレンと2−ブテンを触媒と接触させ、メタセシス反応を進行させる技術が特許文献3に開示されている。また、エチレンからのブタジエンの製造については、エチレンを2量化してブテンを製造し、当該ブテンを金属酸化物触媒と接触させて酸化脱水素することによりブタジエンを製造する技術が特許文献4,5に開示されている。
特開2011−79818号公報 国際公開第2009/031445号パンフレット 国際公開第2010/024319号パンフレット 特開2011−148720号公報 特開2012−111699号公報
上述したとおり、原料としてエチレンを用いる場合、プロピレン、ブタジエン及び芳香族化合物のうちいずれか1つの製造に特化した方法又はプロピレン及び芳香族の製造に特化した製造方法は知られているものの、エチレンを原料としてプロピレン、ブタジエン及び芳香族化合物を同時に高い収量で製造できるプロセスは未だ報告されていない。もとよりエチレンを熱分解に供することにより、プロピレン、ブタジエン及び芳香族化合物を同時に得ることはできるものの、その収率は著しく低い。そのため、エチレンを原料として、プロピレン、ブタジエン及び芳香族をいずれも高収率で製造するには、複数の製造設備が必要となる。すなわち、製造設備建設と維持に莫大な費用が掛かり、運転も煩雑になるという問題が見込まれるため、エチレンを原料として、プロピレン、ブタジエン及び芳香族を同時に高収率で製造する方法については実現できていない状況にある。
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、エチレンを原料として、プロピレン、ブタジエン及び芳香族化合物などを同時に高収率で製造する方法を提供することにある。
即ち、本発明は以下のとおりである。
[1]エチレンをオリゴマー化し、炭化水素組成物を製造する工程と、
前記炭化水素組成物を水蒸気の存在下で熱分解し、プロピレン、ブタジエン及び芳香族化合物を含む熱分解ガスを得る工程と、
を有する、炭化水素化合物の製造方法。
[2]前記炭化水素組成物がn−オレフィンを含む、[1]に記載の炭化水素化合物の製造方法。
[3]前記n−オレフィンがn−ブテンである、[2]に記載の炭化水素化合物の製造方法。
[4]前記炭化水素組成物が、1−ブテン又は2−ブテンを50重量%以上含み、
(i)前記炭化水素組成物が1−ブテンを50重量%以上含む場合、熱分解する温度が710℃以上840℃以下であり、
(ii)前記炭化水素組成物が2−ブテンを50重量%以上含む場合、熱分解する温度が730℃以上860℃以下である、[1]〜[3]に記載の炭化水素化合物の製造方法。
[5]前記炭化水素組成物が、2−ブテンを70重量%以上含み、かつ、1−ブテン、炭素数5以上のn−オレフィン、n−パラフィンからなる群より選択される少なくとも一種を1重量%以上含む、[1]〜[4]に記載の炭化水素化合物の製造方法。
本発明によると、エチレンを原料として、プロピレン、ブタジエン及び芳香族化合物などの炭化水素化合物を同時に高収率で製造することができる。
以下、本発明を実施するための最良の形態(以下、本実施形態)について詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
本実施形態の炭化水素化合物の製造方法は、エチレンをオリゴマー化して得られる炭化水素化合物を含む炭化水素組成物を製造する工程と、前記炭化水素組成物を水蒸気の存在下で熱分解し、プロピレン、ブタジエン及び芳香族化合物を含む熱分解ガスを得る工程と、を有する。このように、所望の工程を有しているため、本実施形態の炭化水素化合物の製造方法によれば、プロピレン、ブタジエン及び芳香族化合物を同時に高収率で製造することができる。
本実施形態におけるエチレンをオリゴマー化し、炭化水素組成物を製造する工程について、以下詳細に説明する。
[1]エチレン原料
(エチレン製造原料)
本実施形態において用いられるエチレンは特に限定されず、種々の方法で製造されたエチレンを用いることができる。また、エチレンの製造原料も特に限定されず、例えば、天然ガス、シェールガス、熱分解生成物、接触分解生成物、石炭ガス化生成物などに含まれるメタン、エタン、又は発酵法により若しくは合成ガスから製造されるメタノール、エタノールをエチレン製造原料とすることができる。
(エチレン製造法)
エチレンの製造方法は特に限定されないが、例えば、石炭のガス化により得られる水素、一酸化炭素を含む混合ガスを原料とし、フィッシャートロプッシュ反応により製造されるもの、石油を精製した成分を原料とする熱分解又は接触分解より製造されるもの、またメタンを酸化カップリングするなど、メタンからエチレンを製造する方法がある。さらに、エタンの熱分解、触媒による酸化脱水素など、エタンからエチレンを製造する方法がある。エタンを水蒸気とともに熱分解してエチレンを製造する場合を例にすると、スチーム/エタン重量比で0.3以上0.7以下とし、ジメチルスルフィド又はメチルスルフィドなどの硫黄化合物をエタンに対して硫黄分の重量比が50重量ppm以上500重量ppm以下の濃度になるように添加し、加熱されたコイルに滞留時間0.05秒以上2秒以下、好ましくは0.1秒以上1.0秒以下に、コイル出口圧力が0.01MPaG以上0.2MPaG以下、好ましくは0.03MPaG以上0.1MPaG以下となるよう供給し、エチレンを製造することができる。上記において、滞留時間を上記範囲とすることにより、転化率不足や過分解による炭素質の増加が抑制される傾向にある。また、コイル出口圧力を上記範囲とすることにより、設備を軽減できるだけでなく、脱水素がより促進される傾向にある。水蒸気は分解ガス中の炭化水素分圧を下げ、エチレン収率を向上させるとともに、コイルにコークが付着するのを防止する役割を果たす。硫黄化合物は、コイルへのコーク付着を抑制する目的で原料エタンへ添加することができる。エタン供給前に、水蒸気や窒素とともに硫黄化合物を予め加熱したコイルに供給すると、コイル内表面に硫黄分を付着させることで、エタン分解時、コイルへのコーク付着を抑制するため好ましい。熱分解に使用するコイルは700℃から1100℃の高温に晒されるため、耐熱性の観点から、材質はステンレス鋼など、Fe、Ni、Cr、Mn、Ti、Nb、Siなどが含まれる金属材料が使用されることが好ましい。なお、本明細書中において、滞留時間とは、反応場に原料炭化水素が留まる時間を意味する。反応場とは、熱分解反応のために設けられた装置又は設備の内部空間であり、例えば加熱されたコイルの内部が該当する。
エタンの熱分解においては、より高い効率でエチレンを得る観点から、エタンの転化率が50%以上80%以下であることが好ましく、より好ましくは60%以上75%以下である。エタンの分解生成物は生成系で水、水素、メタン、エタン、その他の成分とエチレンが分離され、エチレンはオリゴマー化工程へ、そして未反応のエタンはリサイクルして使用してもよい。アセチレンを用いる場合は、水素存在下でPd触媒と接触させて部分水添することでエチレンとすることができる。
メタノールからエチレンを製造する方法については、特に限定されないが、例えば、メタノール含有ガスを原料とし、これをNi−SAPO(シリコアルミノホスフェート)触媒(Si/Niの原子比20以上100以下)の存在下にて反応温度200〜600℃、GHSV(ガス空間速度)1000h-1以上8000h-1以下で系中に少量の水を存在させ転化反応を進行させ、エチレンを生成させるものとすることができる。
エタノールの脱水反応によるエチレンの製造の場合、プロトン型フェリエライトを用いた触媒の存在下で、エタノールを接触させることで、高活性かつ高選択的にエチレンを製造できる。ここで、上記プロトン型フェリエライトのケイ素/アルミニウム比(原子比)は、高活性かつ高選択的にエチレンを製造する観点から、好ましくは3以上20以下、より好ましくは4以上10以下である。また、上記プロトン型フェリエライトのナトリウム及びカリウムの含有量は、エタノールの脱水素反応によるアセトアルデヒドの生成を抑制して、コークの析出や活性及び選択性の低下を防止し、高活性かつ高選択的にエチレンを製造する観点から、各々が好ましくは0.1wt%以下、より好ましくは0.01wt%、さらに好ましくは0.005wt%以下である。なお、反応温度としては、経済的にエチレンを製造する観点から、好ましくは200℃以上300℃以下、より好ましくは220℃以上280℃以下である。また、反応圧力としては、絶対圧で0.01MPa以上10MPa以下であり、より好ましくは0.05MPa以上5MPa以下である。
[2]エチレンのオリゴマー化による炭化水素組成物の製造方法
本実施形態の炭化水素化合物の製造方法は、エチレンをオリゴマー化し、炭化水素組成物を製造する工程を有する。ここで、炭化水素組成物としては、特に限定されないが、例えば、エチレンの2量体、3量体、4量体であるC4からC8のオレフィン及びパラフィンを挙げることができる。より具体的には、特に限定されないが、例えば、1−ブテン、シス−2−ブテン、トランス−2−ブテン、1−ヘキセン、2−ヘキセン、3−ヘキセン、1−オクテン、2−オクテン、3−オクテン、4−オクテンである。さらに、環化や脱水素してシクロヘキサン、シクロヘキセンとしてもよい。すなわち、上記炭化水素組成物はこれらの化合物を単独又は複数含むものとすることができる。なお、上記炭化水素組成物に含まれる化合物の定性・定量は、ガスクロマトグラフィーにより行うことができる。
なお、上記炭化水素組成物としては、プロピレン、ブタジエンの収率をより向上させる観点から、好ましくはn−オレフィンを含み、より好ましくはC4又はC6のn−オレフィンを含む。さらに、ブタジエンの収率をより向上させることを主目的とする場合、上記炭化水素組成物として、さらに好ましくはn−ブテンを含み、最も好ましくは2−ブテンを含むものである。
(オレフィン製造方法1)
エチレンをオリゴマー化して炭化水素組成物を製造する方法としては、特に限定されないが、例えば、規則性メソポーラス多孔体にニッケル等を担持させたエチレンオリゴマー化触媒を用いる方法が挙げられる。この触媒は、高圧条件を用いることなく、ブテンとヘキセンを主成分とするエチレンのオリゴマーが得られるという点で好適に用いられる。規則性メソポーラス多孔体とは、開口径が2nm以上10nm以下の規則性ナノ細孔を有する無機又は無機有機複合固体物質であり、特に、その骨格を構成する主成分がシリカである規則性メソポーラス多孔体が好ましく用いられる。
メソポーラス多孔体に担持されるニッケルの量は、骨格を構成するシリカを基準として原子比Si/Niが5以上1000以下、より好ましくは10以上100以下である。テンプレートイオン交換によりニッケルを担持させた規則性メソ多孔体は、残存するテンプレートを燃焼によって除去するために酸素が存在する雰囲気下で加熱処理を施すことが好ましい。加熱処理は200℃以上800℃以下が好ましく、より好ましくは300℃以上600℃以下で行われる。なお、加熱処理温度が200℃以上であると、テンプレートの燃焼が促進される傾向にある。また加熱処理温度が300℃以上であると、この効果をさらに十分なものとすることができる傾向にある。加熱処理温度が800℃以下であると、細孔壁を構成しているシリカの崩壊を防げる傾向にある。加熱処理温度が600℃以下であると、この効果をさらに十分なものとすることができる傾向にある。
上記規則性メソポーラス多孔体に担持させる金属としては、ニッケルに限定されない。すなわち、ニッケル、アルミニウム、マンガン、鉄及び銅の群から選ばれる1種又は2種以上のものを採用することができる。エチレンのオリゴマー化反応は気相で行われる。すなわち、上記で調製されたエチレンのオリゴマー化触媒を充填した反応器にエチレンガスを導入して反応が行われる。この際、窒素、炭酸ガスなどの不活性なガスが共存してもよい。エチレンのオリゴマー化反応に際しては、エチレンに対するモル比が0.001以上1以下の水蒸気を共存させることが好ましい。エチレンに対するモル比が0.001以上であると、触媒活性の維持が容易であるという利点がある。エチレンに対するモル比が1以下であると、水過剰条件下でおこりがちな触媒活性の劣化を防ぐという利点がある。
エチレンのオリゴマー化反応は200℃以上600℃以下で行われることが好ましく、より好ましくは250℃以上500℃以下の温度で行われる。反応温度が200℃以上であると、反応速度及び反応活性が高くなる傾向にある。反応温度が250℃以上であると、この効果をさらに十分なものとすることができる傾向にある。反応温度が600℃以下であると、生成ブテンの熱分解及び触媒の活性劣化を防げる傾向にある。反応温度が500℃以下であると、この効果をさらに十分なものとすることができる傾向にある。
エチレンのオリゴマー化反応は0.05MPa以上5MPa以下で行われることが好ましく、より好ましくは0.1MPa以上1MPa以下の圧力で行われる。圧力が0.05MPa以上であると、エチレンのオリゴマー化反応が充分な速度で進行する傾向にある。圧力が0.1Mpa以上であると、この効果をさらに十分なものとすることができる傾向にある。圧力が5Mpa以下であると、加圧操作に必要な動力を軽減できると共に触媒活性の劣化を防げる傾向にある。圧力が1Mpa以下であると、この効果をさらに十分なものとすることができる傾向にある。
エチレンのオリゴマー化反応は、好ましくは触媒1リットル当たり0.01以上10以下、より好ましくは0.1以上5以下(単位はg−触媒・秒/cc−混合ガス)の接触時間で行われる。接触時間が0.01g・sec/cc以上であると、エチレンの転化が充分に進行する傾向にある。接触時間が0.1g・sec/cc以上であると、この効果をさらに十分なものとすることができる傾向にある。接触時間が10g・sec/cc以下であると、エチレンが過剰に反応するのを防げる傾向にある。接触時間が5g・sec/cc以下であると、この効果をさらに十分なものとすることができる傾向にある。なお、上記接触時間は、触媒量(g)を混合ガスの流量(cc/sec)で割ることにより算出できる。反応器を出た反応ガスは冷却され、常法によりエチレンのオリゴマーが分離される。
(オレフィン製造方法2)
また、他のエチレンオリゴマー化の方法としては、微量のニッケルを含有する極めて少量の触媒を使用してエチレンを二量化する方法も挙げられる。この方法を用いると、と150℃以上の高温でも、分岐の少ないオレフィンを製造することができる傾向にある。すなわち、上記製造方法によれば、イソブテンの生成量が少ないため、n−ブテンを選択的に製造できる傾向にある。
なお、シリカ/アルミナ比が小さいと、その酸性によりコークの生成やオリゴマーの分岐構造への異性化といった反応が進行する場合があり、触媒活性及び触媒寿命に影響を及ぼしうる。したがって、アルミナ含有量を必要最小限に抑えることが好ましい。一方、担体上のアルミナによりニッケルが安定化されるので、触媒中のニッケルとアルミニウムとのモル比(Ni/Al)は、1を大きく超えない範囲が好ましい。このようにアルミナの含有量が非常に少ない、すなわちシリカとアルミナとのモル比(SiO2/Al23)が大きいシリカとアルミナとを含む担体に、ごく少量のニッケルを担持させることにより、ニッケルが担体上に安定に高分散化され、ニッケルの凝集が起こりにくくなる傾向にある。その結果、劣化が少なく高活性で高寿命の触媒を得ることができる傾向にある。
ニッケルの含有量が0.0001重量%以上1重量%以下である、ニッケル、アルミナ及びシリカを含む触媒を用いると、エチレン二量化の活性が向上するだけでなく触媒寿命が長くなる傾向にある。上記触媒のニッケルの含有量は0.0001重量%以上1重量%以下が好ましく、より好ましくは0.0001重量%以上0.5重量%以下であり、さらに好ましくは0.0001重量%以上0.13重量%以下であり、よりさらに好ましくは0.0001重量%以上0.09重量%以下であり、最も好ましくは0.0001重量%以上0.05重量%以下である。ニッケルの含有量が上記上限値以下であることにより、十分な二量化活性を確保できる傾向にあり、ニッケルの含有量が上記下限値以上であることにより、十分な触媒寿命を確保できる傾向にある。
上記したニッケル含有量の触媒は、特に限定されないが、例えば、公知の方法により、アルミナを含むシリカにニッケルが所望の含有量となるように含有させることで調製できる。上記触媒によればエチレン二量化の活性が向上するだけでなく触媒寿命が長くなる傾向にあるが、その理由は、触媒中にアルミナが存在し、ニッケルとアルミナとの相互作用によるものと考えられる。ただし、上記の効果は上記の理由のみにより得られるものと限定する趣旨ではない。
また、上記触媒中のシリカとアルミナとのモル比(SiO2/Al23)は、好ましくは100以上2000以下であり、より好ましくは100以上1000以下であり、さらに好ましくは150以上1000以下である。この範囲よりもシリカとアルミナとのモル比(SiO2/Al23)が低い場合には触媒上の酸点が増加するため、分岐状オレフィンの割合が増加し、さらに触媒表面にコークが蓄積して反応活性が低下する傾向がある。一方、この範囲よりもシリカとアルミナとのモル比(SiO2/Al23)が高い場合には、ニッケルを安定化させるために必要なアルミナが不足し、オリゴマー化反応の触媒活性及び触媒寿命が低下する傾向がある。
担体としては、高い比表面積と高い細孔容積とを有する担体が好ましく用いられる。上記担体の比表面積は、コーキング劣化による活性劣化を効果的に抑制する観点から、200m2/g以上1200m2/g以下であることが好ましく、細孔容積は、0.4cc/g以上2cc/g以下であることが好ましい。このような物性を有するシリカ担体としては、一般的なアモルファスシリカが挙げられるが、その他MCM−41もしくはMCM−48のようなメソポーラスシリカなども挙げられる。また、このような物性を有するシリカ及びアルミナを含む担体としては、大きい細孔径を有する、例えばY型ゼオライト、X型ゼオライト、モルデナイト、ベータ型ゼオライト、L型ゼオライト、MFIなどのゼオライトなどが挙げられる。担体としては、上述のような市販のものを使用してもよいが、上記担体は、シリカ源となる化合物を含む溶液から沈殿させてろ過、乾燥、焼成する方法により合成することもできる。
使用するニッケル、アルミナ及びシリカを含む触媒の製造方法は、特に限定されず、種々の方法で合成することができる。例えば、上記触媒は、ケイ酸ナトリウム等のシリカ源となる化合物、硝酸アルミニウムや水酸化アルミニウムのようなアルミナ源となる化合物、ニッケルの酢酸塩、ニッケルの硝酸塩のようなニッケルの化合物からなる溶液を共沈させて、得られた沈殿をろ過、洗浄した後、乾燥、焼成する方法により調製できる。上記方法での乾燥温度及び乾燥時間は、それぞれ、通常70〜150℃、通常0.1〜50時間であり、焼成温度は、通常200〜800℃とすることができる。また、アルミナを含むシリカ担体に、含浸法、イオン交換法、CVD法などによりニッケルを担持させる方法なども挙げられる。
エチレン二量化反応を行う反応装置の形式は特に限定されない。また、その反応で使用する触媒の形態も特に制限はなく、例えば、粉末品、成形品などのいずれも使用できる。
エチレンの二量化反応は150℃以上400℃以下の温度で行うことができ、好ましくは200℃以上350℃以下の温度で行う。上記の下限値よりも反応温度を高くすることで触媒の二量化活性を充分に確保できる傾向にあり、上記の上限値よりも反応温度を低くすることで、分岐オレフィンの急激な増加を抑制できる傾向にあるだけでなく、触媒上のニッケルの凝集、コークの副生の進行による触媒劣化を防止できる傾向にある。
エチレンの二量化反応の圧力は特に限定されないが、通常0.1MPa以上50MPa以下に設定することができる。上記の上限値よりも反応圧力を低くすることで副生成物を低減できる傾向にあり、反応圧力が上記の下限値よりも高くすることで十分な触媒活性を確保でき、工業的により効率的なプロセスとできる傾向にある。さらに工業的な観点からは、上記圧力は0.1MPa以上5MPa以下が好ましい。触媒単位重量あたりのエチレンの供給速度(WHSV(1))は、好ましくは0.1h-1以上50h-1以下、より好ましくは0.5h-1以上40h-1以下、さらに好ましくは0.5h-1以上30h-1以下である。上記の下限値よりもWHSV(1)が大きい場合は、十分な生産性を確保できる傾向があり、また、オリゴマー化の逐次反応の進行を抑制できる傾向にあるため、十分な二量体や三量体の選択率を確保できる傾向にある。一方、上記の上限値よりもWHSV(1)が小さい場合は、エチレンの転化率を十分に確保できる傾向にある。
上記のエチレンの二量化反応では、1−ブテン、シス−2−ブテン及びトランス−2−ブテンで表されるn−ブテンのほか、1−ヘキセン、2−ヘキセン、3−ヘキセンなどのヘキセンが生成する。しかし、イソブテンや3−メチル−1−ペンテン、3−メチル−2−ペンテンのような分岐したオレフィンの生成は極めて少ない。エチレン二量化により得られた反応生成物から、未反応のエチレンを蒸留、抽出、吸着及びその他公知の方法によって分離する。また未反応エチレンは反応器にリサイクルしてもよい。
(オレフィン製造方法3)
さらにエチレンの他のオリゴマー化の方法として、エチレンをオリゴマー化してα−オレフィンを得て1−ブテンを分離する第一工程と、当該1−ブテンをトリエチルアルミニウムと置換反応させてトリブチルアルミニウムを得る第二工程と、当該トリブチルアルミニウムをエチレンと反応させポアソン分布を有するα−オレフィンを得る第三工程と、を有する方法が挙げられる。1−ブテンの製造を望む場合は第一工程で抜き出せばよく、2−ブテンの製造を望む場合は1−ブテンを異性化すればよく、ヘキセンの製造を望む場合は第三工程まで実施すればよい。
α−オレフィンの製造方法には、特に限定されないが、例えば、ジルコニウム系錯体触媒を使用する方法やアルキルアルミニウムによる1段合成法が挙げられるが、ジルコニウム系錯体触媒を使用する方法が効果の点で好ましい。ジルコニウム系錯体触媒としては、色々な種類のものが使用でき、特に限定されないが、下記の(a)成分、(b)成分及び(c)成分から構成されるものが好ましい。
ZrX1 y4-y ・・・(I)
(式中、X1及びAは同一でも異なってよく、それぞれ塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子又はフッ素原子を示し、yは0〜4の整数を示す。)
AlR1 3 ・・・(II)
(式中、R1は炭素数2〜8のアルキル基を示す。)
Al22 32 3 ・・・(III)
(式中、R2は炭素数2〜8のアルキル基を示し、X2は塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子又はフッ素原子を示す。)
(a)成分は、前記一般式(I)で表されるハロゲン化アルミニウムであり、具体的には、ZrCl4,ZrBr4,ZrI4,ZrF4,ZrBrC3,ZrBr2Cl2,ZrBr3Cl等を挙げることができる。中でも、ZrCl4が好ましい。なお、これらは一種単独で使用しても、二種以上を組み合わせて使用してもよい。
(b)成分は、前記一般式(II)で表されるアルキルアルミニウムであり、具体的には、Al(CH33,Al(C253,Al(n−C373,Al(iso−C373,Al(n−C493,Al(iso−C493,Al(C5113,Al(C6133,Al(C8173等を挙げることができる。中でも、Al(C253(以下、TEAともいう。)が好ましい。なお、これらは一種単独で使用しても、二種以上を組み合わせて使用してもよい。
(c)成分は、前記一般式(III)で表されるハロゲン化アルキルアルミニウムであり、具体的には、Al2(CH33Cl3,Al2(CH33Br3,Al2(C253Cl3,Al2(C253Br3,Al2(C2533,Al2(n−C373Cl3,Al2(iso−C373Cl3,Al2(n−C493Cl3,Al2(iso−C493Cl3等を挙げることができる。中でも、Al2(C253Cl3(以下、エチルアルミニウムセスキクロライド(EASC)ともいう。)が好ましい。なお、これらは一種単独で使用しても、二種以上を組み合わせて使用してもよい。
触媒は、不活性溶媒中で上記(a)、(b)及び(c)成分を接触させることによって調製される。不活性溶媒として、ベンゼン,トルエン,キシレン,エチルベンゼン,クロロベンゼン,ジクロロベンゼン,クロロトルエン等の芳香族炭化水素又はそのハロゲン置換体、ペンタン,ヘキサン,ヘプタン,オクタン,ノナン,デカン等の脂肪族炭化水素、シクロヘキサン,デカリン等の脂環族炭化水素、ジクロロエタン、ジクロロブタン等のハロゲン化炭化水素などを挙げることができる。中でも、ベンゼン、トルエン、キシレン、クロロベンゼン、シクロヘキサンが好ましく、ベンゼン、シクロヘキサンがより好ましい。触媒調製時の(a)、(b)及び(c)成分の接触割合は、上記溶媒1リットル当たり、(a)成分を10ミリモル以上200ミリモル以下、好ましくは20ミリモル以上100ミリモル以下で含み、(b)成分を5ミリモル以上750ミリモル以下、好ましくは10ミリモル以上330ミリモル以下で含み、(c)成分を20ミリモル以上1200ミリモル以下、好ましくは40ミリモル以上830ミリモル以下で含む。また、触媒活性を高める観点から、Al/Zr(モル比)を2以上15以下、(c)成分/(b)成分(モル比)を1以上10以下の範囲に設定することが好ましい。
(a)、(b)及び(c)成分の接触の順序は特に限定されない。各触媒成分の接触は、例えば、アルゴン等の不活性ガス雰囲気下、40〜100℃で10分〜3時間攪拌する形で行えばよい。
さらに、触媒の調製時及び/又はオリゴマー化反応時に、必要に応じて第四成分を添加してもよい。第四成分として、線状α−オレフィンの純度向上の点から、イオウ化合物、リン化合物、窒素化合物等を使用できる。ここでイオウ化合物としては、特に限定されないが、例えば、硫化ジメチル、硫化ジエチル、硫化ジプロピル、硫化ジヘキシル、硫化ジシクロヘキシル等のチオエーテル化合物、二硫化ジメチル、二硫化ジエチル、二硫化ジプロピル、二硫化ジブチル、二硫化ジヘキシル、二硫化エチルメチル等の二硫化ジアルキル化合物、チオフェン、2−メチルチオフェン、3−メチルチオフェン、2,3−ジメチルチオフェン、2−エチルチオフェン、ベンゾチオフェン等のチオフェン化合物、テトラヒドロチオフェン、チオピラン等のヘテロ環イオウ化合物、ジフェニルイオウ、二硫化ジフェニル、二硫化メチルフェニル等の芳香族イオウ化合物、チオ尿素化合物などを挙げることができる。リン化合物としては、特に限定されないが、例えば、トリフェニルホスフィン、トリエチルホスフィン、トリプロピル、トリブチルホスフィン、トリオクチルホスフィン等のホスフィン化合物を挙げることができる。窒素化合物としては、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、ペンチルアミン、ヘキシルアミン、シクロヘキシルアミン、アニリン、ベンジルアミン、ナフチルアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジブチルアミン、ジフェニルアミン、メチルフェニルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリブチルアミン、トリフェニルアミン、ピリジン、ピコリン等の有機アミン化合物を挙げることができる。これらの第四成分の中で、二硫化ジメチル、チオフェン、チオ尿素、トリフェニルホスフィン、トリブチルホスフィン、トリオクチルホスフィン、アニリンを好ましく挙げることができる。なお、これらは一種単独で使用しても、二種以上を組み合わせて使用してもよい。上記の第四成分の使用量は、上記ジルコニウム成分(a)成分1モルに対して、0.1モル以上6モル以下の範囲とすることができる。
第一工程においては、前述のように調製された触媒を用いて、エチレンのオリゴマー化反応を行い、α−オレフィン(1−ブテンを含む)を生成するものとすることができる。触媒の使用量は、通常、上記不活性溶媒で希釈し、当該不活性溶媒1リットル当たり、ジルコニウム化合物が、0.1ミリモル以上2ミリモル以下の濃度で使用されるものとすることができる。必要に応じ、当該不活性溶媒1リットル当たり、0.1ミリモル以上10ミリモル以下の上記第四成分を添加することもできる。なお、触媒調製時に第四成分を使用している場合には、上記濃度に調整すればよい。反応温度は、通常80℃以上150℃以下であり、好ましくは100℃以上130℃以下の範囲である。反応圧力は、通常0.5MPa以上であり、好ましくは2.5MPa以上である。また、反応時間は、通常5分〜2時間であり、好ましくは15分以上1時間30分以下の範囲である。なお、触媒の調製からオリゴマー化反応を終了するまでのすべての操作は、空気、水分を避けてアルゴン等の不活性ガスの雰囲気下で行うことが好ましい。
オリゴマー化反応の終了後は、特に限定されないが、例えば、次のような工程が後続するものとすることができる。反応生成物を断熱フラッシュして未反応エチレンを除去した後、水、アルコール、水酸化ナトリウム等で触媒を失活させ、次いで脱灰処理を施し、蒸留により1−ブテン、反応溶媒、炭素数6以上のα−オレフィンに分離する。ヘキセン以上の留分が必要な場合は、1−ブテンは乾燥・脱水され、上述した第二工程に供される。反応溶媒はリサイクルされ、炭素数6以上のα−オレフィンは、上述した第三工程からのものと混合され、必要な留分に蒸留される。
なお、上記の第二工程で第一工程からの1−ブテンをトリエチルアルミニウム(以下、TEAともいう。)と反応させ、トリブチルアルミニウム(以下、TBAともいう)を生成せしめる反応を、ブテン置換反応と称することとし、この反応式は下記の反応式(1)で表される。
TEA+1−ブテン→TBA+エチレン …(1)
反応式(1)において、1−ブテン/TEA(モル比)を3以上30以下とし、温度150℃以上300℃以下好ましくは200℃以上250℃以下)とし、圧力3MPa以下好ましくは1MPa以下)、平均滞留時間60秒以下とする条件で本実施形態所望の反応を進行させることができる。
なお、オリゴマー化反応の反応生成物から蒸留により1−ブテンを分離し、TBAを未反応のTEAとともに第三工程に供するが、さらに蒸留(TEA蒸留)を行ってTEAを分離し、TBAのみを第三工程に供してもよい。第三工程で得られた1−ブテンは第二工程にリサイクルすることもできる。
上述した第三工程では、第二工程からのTBAをエチレンと反応させて(エチレン成長反応)高級トリアルキルアルミニウムを得て、次いで該高級トリアルキルアルミニウムをエチレンで置換する反応を進行させ(エチレン置換反応)、α−オレフィンとTEAを得るものとすることができる。上記エチレン成長反応においては、温度50℃以上200℃以下(好ましくは100℃以上150℃以下)、圧力10MPa以上25MPa以下(好ましくは15〜25MPa)、平均滞留時間1時間以上5時間以下の条件で行うものとすることができる。生成した高級トリアルキルアルミニウム(TBAも含む)は、エチレンと反応し、α−オレフィン(1−ブテンを含む)とTEAが得られる。このエチレン置換反応は下記の反応式(2)で表される。
AlR3+エチレン→α−オレフィン(1−ブテンを含む)+TEA …(2)
(式中、Rは高級アルキル基を示す。)
この場合、エチレン/高級トリアルキルアルミニウム(モル比)を3以上30以下とし、温度100℃以上300℃以下(好ましくは200〜250℃)、圧力3MPa以下(好ましくは1MPa以下)、平均滞留時間60秒以下の条件で行うものとすることができる。
上記第三工程の反応生成物については、蒸留により1−ブテンと比較的軽質のα−オレフィン(炭素数6〜10)を分離することができる。上記1−ブテンは第二工程にリサイクルされ、軽質α−オレフィンは第一工程からのα−オレフィンと混合されるものとすることができる。また、蒸留塔のボトムより、さらに蒸留によりTEAと重質のα−オレフィン(炭素数12以上)に分けることができる。ここで、TEAは第二工程にリサイクルされ、重質のα−オレフィンは第一工程及び第二工程からのα−オレフィンに混合されるものとすることができる。上記のとおり、本実施形態所望の第一、第二及び第三工程を経由することにより、炭素数6〜10のα−オレフィンの得率が高く、さらに高純度で線状α−オレフィンを含むα−オレフィン混合物が得られる傾向にある。
(異性化工程)
上述したエチレンのオリゴマー化プロセスで得られるオレフィンはα−オレフィンが主である。ブタジエンの収率を向上させる観点からは、熱分解の前にα―オレフィンをβ−オレフィン又はγ−オレフィン等に異性化させることが好ましい。以下にα−オレフィンの異性化方法の例として、1−ブテンを2−ブテンに異性化する方法について述べる。
(1−ブテンから2−ブテンの異性化方法)
1−ブテンから2−ブテンへの異性化方法としては、特に限定されないが、例えば、液相中で不均一系触媒の存在下に、20〜200℃、1〜200バールにおいて異性化する方法が挙げられる。異性化反応に用いられる不均一系触媒としては、特に限定されないが、例えば、酸化アルミニウム担体上に酸化状態のニッケル及び少なくとも1種のVIB族元素を担持されたものを用いることができる。酸化状態のニッケルの含有量としては、1重量%以上20重量%以下(好ましくは5重量%以上15重量%以下、より好ましくは7重量%以上12重量%以下)とすることができる。VIB族元素の含有量はとしては、1重量%以上20重量%以下(好ましくは2重量%以上12重量%以下、より好ましくは3重量%以上9重量%以下)とすることができる。
VIB族元素として、タングステン若しくはモリブテン又はタングステンとモリブテンの混合物をそれぞれ酸化状態で使用することが好ましく、タングステンを酸化状態で使用することがより好ましい。また、上記不均一系触媒としてはさらに酸化状態のVB族、バナジウム、ホウ素及びリン等の化合物を含んでいてもよい。
骨格異性化及びオリゴマー化等の典型的な副反応を効果的に抑制する観点から、上記不均一触媒は、さらに、硫黄を酸化状態で含んでいてもよい。なお、上記観点から、ニッケルに対する硫黄の比は0.01mol/mol以上0.1mol/mol以下であることが好ましい。
使用する触媒の担体物質として使用する酸化アルミニウムは、γ−アルミナ、θ−アルミナ若しくはη−アルミナ又はこれらの混合物であることが好ましく、これらは、例えば、BASF、SASOL、Alcoa、Grace及びRhone−Poulencから市販品として入手することができる。なお、上記の観点から、主にγ−アルミナを含む酸化アルミニウム担体を採用することがより好ましい。
上記酸化アルミニウムとしては、水吸収容量が担体材料1g当たり0.2ml以上1.5ml以下(好ましくは0.4ml以上1.0ml以下)であり、BET法で測定した内部表面積が、100m2/g以上600m2/g以下(好ましくは120m2/g以上450m2/g以下、より好ましくは150m2/g以上350m2/g以下)であるものを採用することができる。また、Na2Oの含有量が0.2重量%未満、Fe23の含有量が0.2重量%未満及び/又はSO3の含有量が0.1重量%未満である酸化アルミニウムであることが好ましい。
触媒に含まれる活性成分、添加剤及び/又はドープ成分は、特に限定されず、公知の方法で担体に施すことができる。その例としては、気相からの被覆(化学的又は物理的蒸着)や析出させる物質及び/又は化合物を含む溶液に担体物質を含浸させる方法を挙げることができる。活性成分、添加剤及び/又はドープ成分を担体に析出させるための含浸方法としても、特に限定されず、公知の方法を採用することができる。一般に、触媒のさらなる製造の過程において析出させる物質に変換されるその析出させる成分の塩の水溶液又はアルコール溶液を担体に含浸させる方法が挙げられる。この場合の溶液の量としては、溶液が、担体の細孔容積により事実上完全に取り込まれる量とすることができる。好適なVIB化合物は、焼成条件下において、酸素や酸素含有気体混合物(空気等)の存在下で加熱して金属の酸化状態に変換することができる全てのVIB族の化合物である。VIB化合物として、水溶性VIB族塩、特にタングステン酸アンモニウム、モリブテン酸アンモニウム、モリブテン酸、タングステン酸又はヘテロポリ酸をH又はNH4形態で使用することが好ましい。
好適なニッケル化合物としては、焼成条件下において、酸素や酸素含有気体混合物(空気等)の存在下で加熱することにより、金属の酸化状態に変換することができる全てのニッケルの化合物を挙げることができる。ニッケル化合物として、例えば、ギ酸、シュウ酸、アセチルアセトネート又は2−エチルヘキサノエート等の有機アニオンとの水溶性ニッケル塩及び硝酸ニッケルの水和物又は無水物を使用することが好ましい。中でも硝酸ニッケルの水和物又は無水物を採用することが特に好ましい。上記析出させる物質(触媒成分)は、複数の処理工程で個々に及び/又は部分的な量で析出させることができ、あるいは、1つの処理工程で同時且つ完全に析出させることもできる。一含浸工程での共同析出が好ましい。
上記溶液中の塩の濃度は、含浸及び担持される触媒から得られる触媒への変換の後に、析出すべき成分が所望の濃度で触媒上に存在することができるように計算して決定することができる。塩は、触媒の製造やその触媒の使用の妨げとなる残留物を残さないように選択する。か焼条件下において、酸素や酸素含有気体混合物(空気等)の存在下で加熱して元素の酸化状態に変換することができる硫黄、ホウ素、リン、バナジウム及び/又はニオブの水溶性化合物は、適宜、上記含浸液に更に添加することできる。含浸後、含浸した担体を慣用の方法で乾燥させる。乾燥は一般に、60℃以上300℃以下(好ましくは80℃以上250℃以下、より好ましくは100℃以上200℃以下、より好ましくは110℃以上180℃以下)の空気流中で行うことができる。
乾燥は、含浸した触媒に含まれる水が本質的に完全に取り除かれるまで、一般に数時間後の状況まで継続する。通常の乾燥時間は1〜30時間であり、乾燥温度の設定に依存し、高温で乾燥すれば乾燥時間は短縮される傾向にある。また、乾燥は大気圧以下の圧力を用いることによりさらに乾燥時間を短縮できるできる傾向にある。
触媒上のWHSVとしては、一般に、1時間当たり、触媒1kgにつき、重合すべきオレフィンを0.01kg以上20kg以下(好ましくは0.05kg以上15kg以下、より好ましくは0.1kg以上10kg以下)とすることができる。
上記乾燥の後、慣用の方法で焼成を行い、上記の触媒を製造することができる。この焼成は、含浸により施された塩を、析出させる成分又はそのような成分の前駆体に変換する役割を本質的に有する。含浸により金属硝酸塩を施した場合、その硝酸塩は、焼成の間に、触媒にとどまる金属及び/又は金属酸化物と、除去される窒素ガスに本質的に分解する。ニッケルとVIB族元素を含む触媒活性酸化活性成分は、焼成の間に、ニッケル化合物とVIB化合物から形成される。焼成温度としては、一般に200℃以上900℃以下(好ましくは280℃以上800℃以下、より好ましくは300℃以上600℃以下)とすることができる。焼成時間としては、一般に0.5時間以上20時間以下(好ましくは0.5時間以上10時間以下、より好ましくは0.5時間以上5時間以下)とすることができる。
上記焼成については、特に限定されないが、慣用の火炉、例えば、回転管炉、ベルトか焼炉又は箱型炉内で行うことができる。焼成により、含浸して乾燥した担体を冷却することなく直接乾燥させることができる。触媒を異性化触媒として使用する前に、触媒から(例えば、空気からの)微量の水分を除去するために、上記のように製造した触媒は、気体の乾燥流(例えば、乾燥窒素)中において、20℃以上500℃以下(好ましくは100℃以上250℃以下)の条件で、大気圧下において、調整に付すことができる。
上記異性化反応において、固定床反応器が好ましく使用される。他の種類の反応器、例えば、流動床反応器、移動床反応器、管型反応器又はシェルアンドチューブ式反応器を使用することも可能である。ここでの反応は僅かに発熱反応であり、等温的に又は断熱的に行うことができる。上記異性化反応は、二重結合の異性化を確保しつつも骨格異性化及びオリゴマー化を十分に回避できる温度を適宜選択して行うものとすることができる。そのため、反応温度は通常20℃以上200℃以下(好ましくは20℃以上120℃以下、より好ましくは30℃以上110℃以下)とすることができる。反応の際の圧力は、オレフィン流が液体状態であるように設定することができる。この圧力は通常1バール以上200バール以下(好ましくは1バール以上100バール以下、より好ましくは4バール以上30バール以下)である。以上述べた所望の条件の下、異性化工程の出口における1−ブテンに対する2ブテンの比は、10を超え、また20をも超える値にまで増加させることができる傾向にある。
また、1−ブテンから2−ブテンへの他の異性化方法としては、例えば、1−ブテン含有C4炭化水素留分を、異性化に用いられる水素と共に異性化反応器に供給し、貴金属含有触媒により1−ブテンから2−ブテンへの異性化反応を実施するという方法が挙げられる。反応生成物は2−ブテン精製塔に送られ、蒸留により1−ブテン成分と2−ブテン成分に分離される。C4炭化水素留分中に不純物として含まれる硫黄化合物(メルカプタン類、スルフィド類)については、硫黄分として10質量ppm以下であることが好ましい。10質量ppmを越える場合は、触媒活性の低下を防止するために硫黄分を除去することが好ましく、硫黄分の除去法としてはモレキュラーシーブ13X等を用いる方法が挙げられる。あるいは、触媒の活性低下を見越して触媒量を多くすることで対処することもできる。
2−ブテン製造方法における異性化反応の触媒としては、例えば、貴金属含有触媒が用いることができる。この貴金属としては、例えば、周期表(長周期型)第10,11族金属のパラジウム、金、白金などが挙げられるが、特にパラジウムが好ましい。
2−ブテン製造方法においては、予め硫黄被毒等の特殊な処理を行っていない貴金属含有触媒を触媒として直接使用することができる。硫黄被毒処理を行わないことで、有害な硫黄物質を使用する必要がなくなるというメリットがある。異性化触媒として、パラジウムなどの貴金属単体を活性化処理に供したものを使用することもできるが、γ−アルミナ、シリカアルミナ、珪藻土、活性炭等に貴金属を担持した触媒が通常に使用される。1−ブテンから2−ブテンへの反応は非常に速い反応であるため、通常、貴金属量は少量でよいことと、固定床反応器等で使用する際に取り扱いが容易であることから、担持触媒が好適に用いられる。前述のように貴金属の中でもパラジウムが異性化反応に適しており、取扱い等の面でパラジウム/アルミナが優れている。
パラジウムの担持量は、反応速度、選択率等の観点から、担体に対して0.001質量%以上1.0質量%以下が好ましく、0.01質量%以上0.5質量%以下が特に好ましい。
異性化反応の温度は−10℃以上200℃以下が好ましく、0℃以上150℃以下が特に好ましい。低温においては水素化反応が遅くなり、n−ブタンの生成量が減少するので、2−ブテンの選択率が高くなる。−10℃以上とすることにより、必要とする反応率が得られる傾向にあり、また、200℃以下とすることにより、1−ブテンと2−ブテンの平衡反応が2−ブテンの生成が進行する方向に傾くため、2−ブテンへの転化率が上がり生産性が向上する傾向にある。
上記異性化反応は気相で行われるため、反応温度を考慮して気相となる条件に圧力を設定する観点から、異性化反応の圧力としては、−0.09MPaG以上4MPaG以下が好ましく、0MPaG以上1.0MPaG以下がより好ましい。反応器内の状態を気相とすることで異性化反応の反応速度を十分なものとすることができ、十分な2−ブテンの選択率を確保できる傾向にある。気相では反応圧力を低くすると、水素化反応が遅くなるので2−ブテンの選択率が向上するが、異性化反応の反応率が低下する傾向にある。このように、異性化反応の圧力は、反応器の仕様や反応後の2−ブテン精製蒸留を考慮して、十分な選択率を得ることができる経済的な条件を選定することができる。上述した観点から、圧力の上限はtrans−2−ブテンの臨界圧力程度とすることが好ましい。
異性化反応における水素使用量は、原料の1−ブテンを含むn−ブテン含有炭化水素中のn−ブテン(1−ブテン+2−ブテン)量に対して0.001モル%以上1.000モル%以下、好ましくは0.001モル%以上0.500モル%以下)とすることができる。水素量が少ない程、水素化反応によるn−ブタン生成量が少なくなる傾向があるため、異性化反応を進行する観点から、上記のようなモル比の範囲に厳密に調整することが好ましいといえる。また、原料中にイソブテン、1,3−ブタンジエン等、n−ブテンよりも水素化されやすい成分が入っている場合は、それらにより消費される分の水素を追加して異性化反応の進行を促進することができる。
異性化反応器における原料の1−ブテンを含むn−ブテン含有炭化水素の導入量は、WHSVが0.1〜5000h-1程度であり、他の条件や触媒の活性低下を考慮して経済的な条件を選定することができる。
反応形式は、特に限定されず、例えば、固定床管型断熱反応器、固定床管型等温反応器、流動床反応器、連続攪拌槽型反応器、回分式反応器等、いかなる反応器の形式も採用できるが、気相で反応を行う点と装置が簡便になる点から、固定床管型反応器が特に好ましい。また、固定床で行う場合はアップフロー、ダウンフローどちらでもよく、流れ方向は限定されない。
以上のようにして1−ブテンを含むn−ブテン含有炭化水素を異性化することにより、1−ブテンを2−ブテンに転化することができる。2−ブテンの沸点は1−ブテンの沸点に比べて高沸点側にあり、従来1−ブテンと沸点が非常に近接し、通常の蒸留では事実上分離不可能とされていたイソブテン等の不純物との沸点差が大きくなるため、通常の蒸留で容易に不純物が分離され、高純度の2−ブテンが得られる。この蒸留は通常の蒸留で充分であるが、必要に応じて含水フルフラール等を用いる抽出蒸留を用いてもよい。
蒸留装置としては、特に限定されず、公知の充填塔や多孔板塔などを用いる。蒸留塔の大きさ、段数、還流比、温度、圧力等の蒸留条件についても特に限定されるものではなく、最も経済的な値に適宜決定することができる。なお、2−ブテンは蒸留塔の塔底留分として得られ、塔頂留分中には未反応の1−ブテンの他にイソブテン、イソブタン等の不純物が含まれる。原料としてC5留分等が入っている場合には、除去塔を用いてそれらを除去することができる。
この2−ブテン製造方法においては、副生したn−ブタン量が塔底留分に含まれて2−ブテンの純度を低下させることになるが、水素使用量を上述したような範囲に厳密に調整する場合、n−ブタンの副生量が極めて少なく、高純度の2−ブテンが得られる傾向にある。
(エチレンから直接2−ブテンを得る方法)
エチレンを二量化し、主に2−ブテンを得ることもできる。例えば、エチレン、有機ニッケル(0)化合物(0の原子価状態のニッケルを有する)及びホスフィン化合物を接触させる方法が挙げられる。
好適な有機ニッケル(0)化合物には、ビス(1,5−シクロオクタジエン)ニッケル(0)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)ニッケル(0)、ビス(トリフェニルホスフィン)ニッケル(0)ジカルボニル及びニッケル(0)テトラカルボニルが含まれる。ビス(1,5−シクロオクタジエン)ニッケル(0)が特に好ましい。有機ニッケル(0)化合物は、典型的には無水形態ということができる。
上記ホスフィン化合物は少なくとも一つのH又はC1〜C20ヒドロカルビル基からなる群より選択される少なくとも一種を有することが好ましい。好適なホスフィン化合物には、シクロヘキシルホスフィン、ジシクロヘキシルホスフィン、トリシクロヘキシルホスフィン、トリエチルホスフィン、トリイソプロピルホスフィン、トリイソブチルホスフィン、トリ−n−ブチルホスフィン、トリ−t−ブチルホスフィン、フェニルホスフィン、ジフェニルホスフィン、トリフェニルホスフィン、ジフェニルシクロヘキシルホスフィン、ジエチルフェニルホスフィン、0−トリルジフェニルホスフィン、ジ(0−トリル)フェニルホスフィン及びトリベンジルホスフィンが含まれる。
好ましい弗素化有機酸は、式R″COOH(式中、R″は少なくとも1個の弗素(F)原子を有するC1〜C10弗素化ヒドロカルビル基を表わす)の弗素化カルボン酸である。好適な弗素化カルボン酸には、トリフルオロ酢酸、ヘプタフルオロ酪酸、ジフルオロ酢酸、ペンタフルオロプロピオン酸及びパーフルオロアジピン酸が含まれる。好ましい弗素化カルボン酸は、トリフルオロ酢酸である。
反応系中において、エチレンは気相として存在し、そして、有機ニッケル(0)化合物及びホスフィン化合物は液相中に存在する。上記フッ素化アルコール溶媒は少なくともF又はC1〜C12弗素化又は非弗素化アルキル、シクロアルキル、アリール、アルカリール又はアラルキル基からなる群より選択される少なくとも一種を有することが好ましい。好適なフッ素化アルコール溶媒には、2,2,2−トリフルオロエタノール、2,2,3,3,3−ペンタフルオロ−1−プロパノール及び2,2,3,3,4,4,4−ヘプタフルオロ−1−ブタノールが含まれる。最も好ましい弗素化アルコールは、2,2,2−トリフルオロエタノールである。
各種薬剤のモル比に関して、ホスフィン化合物:有機ニッケル(0)化合物のモル比は、好ましくは約0.1〜5:1、より好ましくは約0.8〜1.2:1であり、そして弗素化有機酸:有機ニッケル(0)化合物のモル比は、好ましくは約0.5〜20:1、より好ましくは約1〜5:1である。
上記各種の薬剤を接触させる方法は、特に限定されるものではなく、各種の形態で行うことができる。例として、次の工程(a)及び工程(b)からなる接触方法について説明する。工程(a)において、弗素化アルコール溶媒中及び液相中における有機ニッケル(0)化合物及びホスフィン化合物は、第1容器内の液相を撹拌すると共に第1容器をエチレンについて予め決められた圧力に加圧することによって、第1容器中においてエチレンと接触させることができる。工程(b)においては、酸(所望により、弗素化アルコール溶媒中における酸)を第2容器に添加し、そして工程(a)から得られた前駆物質反応混合物を第1容器から第2容器に移すか、あるいは、上記の酸を第1容器に移すかのいずれかで行うことができる。いずれの場合においても、前駆物質反応混合物及び酸は全液体薬剤を受入れるいずれかの容器中において好ましくは撹拌し、そしてかような容器をエチレンにうついて予め決められた反応圧力まで加圧する。好ましくは、酸を前駆物質反応混合物と接触させる前に第2容器中においてエチレンと接触させる。工程(b)を行う容器は、オートクレーブ又は他の同様な圧力反応器がよく、そして工程(a)を行う容器は使用する特定の方法によってかような反応器又は関連ある添加容器でよい。工程(a)及び(b)における圧力及び温度条件は、エチレンが気相として存在し、そして弗素化アルコール溶媒中の有機ニッケル(0)化合物及びホスフィン化合物並びに所望により弗素化アルコール溶媒中における酸が液相として存在するような条件とすることができる。
2−ブテンに対する高い選択性に加えて、非常に高い生産性を得る観点から、好ましくは、工程(a)は約0.35〜351.5kg/cm2ゲージ(約5〜5000psig)の圧力及び約−100℃〜約50℃の温度、より好ましくは約1.40〜約70.3kg/cm2ゲージ(約20〜約1000psig)の圧力及び約15℃〜約35℃(一般に周囲温度条件)で行う。工程(b)については、同様の観点から、好ましくは約0.35〜約351.5kg/cm2ゲージ(約5〜約5000psig)の圧力及び約0℃〜約125℃、より好ましくは約14.1〜約70.3kg/cm2ゲージ(約200〜約1000psig)の圧力及び約20℃〜約50℃の温度で行う。反応時間に関して、同様の観点から、工程(a)は好ましくは約1分〜約2時間、より好ましくは約3分〜約1時間行う。工程(b)は同様の観点から、好ましくは約1分〜約3時間、最も好ましくは約5分〜約1時間行う。工程(b)から得られる生成物反応混合物中に含有されているブテンは、分別蒸留のような慣用手段によって生成物反応混合物から分離かつ回収することができる。次の例に例示するように、かようなブテンは主として(少なくとも約90重量%は)2−ブテンである。
[3]プロピレン、ブタジエン、芳香族化合物の製造方法
(1)熱分解
炭化水素を水蒸気と混合し熱分解して、エチレン、プロピレン、ブタジエン、イソブテン、n−ブテン、イソプレン、芳香族化合物を得る手段として、ナフサの熱分解などの方法が挙げられる。しかしながら、ナフサの熱分解は、エチレンを主な目的生成物としているため、プロピレン、ブタジエン及び芳香族炭化水素の収率は小さく、代わりにエチレン生成量が高いという特徴があり、熱分解条件の変更だけでは生成物組成を操作することは難しい。一方、エチレンを出発原料とし、当該エチレンをオリゴマー化して得られた炭化水素組成物は、エチレンの収率が低い代わりに、プロピレン、ブタジエン及び芳香族炭化水素の収率が高いということが、発明者らの検討により明らかになった。また、オリゴマー化の度合いを制御することで、原料組成と熱分解条件変更の相乗効果により、生成物組成の制御の幅が広くなるといえる。なお、上記熱分解後に得られる炭化水素化合物の定性・定量は、ガスクロマトグラフィーにより行うことができる。
なお、本実施形態において得られる芳香族としては、特に限定されるものではないが、例えば、ベンゼン、トルエン、エチルベンゼン、スチレン、o−キシレン、m−キシレン、p−キシレン、トリメチルベンゼン等を挙げることができる。
例えば、ブタジエンの製造を主目的にする場合には、エチレンを2量化して1−ブテンを製造し、さらにブタジエン収率を高める目的では、異性化により2−ブテンとして、熱分解に供することが好ましい。
一方、プロピレンの製造を主目的にする場合は、エチレンを3量化して1−ヘキセンを製造し、熱分解原料とすることが好ましい。
本実施形態において、エチレンのオリゴマー化によって得られたオレフィン、好ましくはn−オレフィン、より好ましくはC4からC6のn−オレフィン、さらに好ましくはn−ブテン、最も好ましくは2−ブテンを水蒸気とともに熱分解し、エチレン、プロピレン、1,3−ブタジエン、イソブテン、イソプレン、芳香族化合物を製造することができる。オレフィンを環化してシクロヘキサン、さらに脱水素してシクロヘキセンとして熱分解原料としてもよい。シクロヘキサンはブタジエン収率が高く、シクロヘキセンは、さらにブタジエン収率が高い上に、芳香族収率も高い。環化してシクロヘキサン、シクロヘキセンとし、熱分解すればn−オレフィンに比べ高いブタジエン、芳香族収率が得られる。エチレンの3量体であるn−ヘキセンに比べ、エチレンの2量体であるn−ブテンは熱分解によるブタジエンの収率が高く、熱分解の条件によってはプロピレン、芳香族の収率を高くすることができる。
さらに1−ブテンに比べ、2−ブテンを熱分解に供する場合はエチレン収率が少なく、ブタジエン収率が高い。熱分解原料となるオレフィン、ナフテン類の選択、熱分解条件である圧力、温度、水蒸気希釈比率、滞留時間をコントロールすることにより、エチレン、プロピレン、ブタジエン、芳香族の製造比率を必要に応じて、変えることが可能である。
オレフィンを原料とする熱分解条件は、スチーム/炭化水素重量比で0.2以上1.0以下(コーキング抑制、収率向上及びエネルギー使用量抑制の観点から、好ましくは0.3以上0.8、さらに好ましくは0.4以上0.6)とすることができる。コイルのコーキングを抑制する観点から、ジメチルスルフィド又はメチルスルフィドなど硫黄化合物を炭化水素に対して硫黄分の重量比が50重量ppm以上500重量ppm以下(コーキングの抑制と後流での脱硫処理低減の観点から、好ましくは100重量ppm以上300重量ppm以下)の濃度になるように添加することができる。滞留時間は0.05秒以上2.0秒以下(コーキングの抑制と収率向上の観点から、好ましくは0.1秒以上1.0秒以下、より好ましくは0.1秒以上0.5秒以下)である。コイル温度は700℃以上900℃以下、好ましくは730℃以上880℃以下、より好ましくは760℃以上850℃以下とすることができる。熱分解温度(コイル温度)が上記範囲にある場合、エチレン収率が増加する傾向にある。コイル出口圧力は0.01MPaG以上0.2MPaG以下(収率ないし生産効率をより向上させる観点から、好ましくは0.03MPaG以上0.15MPaG以下、より好ましくは0.05MPaG以上0.1MPaG以下)とすることができる。
熱分解条件は、上記した観点の他、エチレン、プロピレン、ブタジエン、芳香族の要求される生産量によって最適な条件を適宜組み合わせることができる。
プロピレン、ブタジエン、芳香族の中でも、とりわけ芳香族の生産量を向上させる観点からは、上記の熱分解条件範囲でコイル温度を少なくとも800℃以上とすることが好ましく、より好ましくは820℃以上であり、さらに好ましくは830℃以上の高温とする。一方、プロピレン、ブタジエンの収率を高める観点からは、芳香族を主に得る熱分解温度よりも低い温度で熱分解する、すなわち、830℃以下が好ましく、より好ましくは820℃以下である。
1−ブテンを50%以上含む炭化水素組成物を熱分解に供する場合、当該熱分解温度は710℃以上840℃以下が好ましく、より好ましくは740℃以上820℃以下であり、さらに好ましくは760℃以上820℃以下である。熱分解温度がこのような範囲にある場合、プロピレン、ブタジエンの生産量が高くなる傾向にある。
2−ブテンは1−ブテンに比べ分解速度が遅いため、十分な分解速度を確保する観点から、1−ブテンの熱分解温度よりも10〜20℃程度高い温度範囲で熱分解を行うことが好ましい。また、2−ブテンを50%以上含む炭化水素組成物を熱分解する場合は、プロピレン及びブタジエンの生産量を重視する観点から、熱分解温度を730℃以上860℃以下とすることが好ましく、より好ましくは760℃以上840℃以下であり、さらに好ましくは780℃以上840℃以下である。
ブタジエンの収率を向上させるには、熱分解の圧力を下げ、スチームの希釈量を増加させるなど炭化水素分圧を下げることが好ましい。このようにすることで、ブタジエンの収率が向上する傾向にある。また、運転のし易さや、生産性も考慮すると、コイル出口圧力は0.01MPaG以上0.2MPaG以下、スチーム/炭化水素重量比は0.2以上1.0以下の範囲とすることが好ましい。
2−ブテンの比率が70%を超える場合、十分な熱分解速度を確保する観点からは、熱分解には800℃以上880℃以下とすることが好ましい。温度条件が880℃以下である場合、ブタジエンのエチレン選択率が低下する傾向にあるとともに、熱分解コイルへのコーキングが抑制される傾向にあり、差圧の上昇を防止し、十分な運転期間を確保できる傾向にある。また、上記温度より低温側ほどエチレン収率は低く、ブタジエン選択率が高くなる傾向がある。したがって、2−ブテンよりも熱分解速度の速い炭化水素を同時に熱分解に供することにより、ラジカルを発生させ、2−ブテンの熱分解を促進し、より低温で熱分解させることが好ましい。2−ブテンよりも熱分解速度が速く、2−ブテンの熱分解温度低下に効果的な炭化水素は1−ブテン又は炭素数5以上のn−パラフィン及びn−オレフィンである。ブタジエンの収率を高める観点から、1−ブテンが特に好ましい。2−ブテンの熱分解速度を高めるため添加する炭化水素は、1重量%以上30重量%以下、好ましくは3重量%以上20重量%以下、さらに好ましくは5重量%以上15重量%以下である。
本実施形態において、炭化水素組成物が、2−ブテンを70重量%以上含み、かつ、1−ブテン、炭素数5以上のn−オレフィン、n−パラフィンからなる群より選択される少なくとも一種を1重量%以上含むことが好ましい。炭化水素組成物の組成について、上記のようにすることで、2−ブテンの分解がより促進される傾向にある。
エチレンをオリゴマー化して得られた組成物が1−ヘキセンの場合は、熱分解速度が比較的速いため、熱分解温度は低くても高収率でプロピレン、ブタジエンを得ることができる。
また、エチレンをオリゴマー化して得られた組成物に対して、ナフサやナフサ分解、FCCで生成したC4留分を混合してもよい。
熱分解時に供給する水蒸気は、分解ガス中の炭化水素分圧を下げ、オレフィン、ジオレフィン及び芳香族の収率を向上させるとともに、コイルにコークが付着するのを防止する。また、コイルへのコーク付着を抑制する目的で原料炭化水素に硫黄化合物を添加することができる。例えば、炭化水素供給前に、水蒸気や窒素とともに硫黄化合物を予め加熱したコイルに供給し、コイル内表面に硫黄分を付着させることで、炭化水素分解時、コイルへのコーク付着を抑制する。オレフィンの熱分解において、オレフィンの転化率が60%以上99%以下であることが好ましく、さらに好ましくは80以上95%以下である。上記の下限値よりも転化率が高くすることで、十分な製品収率を確保できる傾向にあり、上記の上限値よりも転化率を低くすることで、炭素数10以上の高沸成分を低減し、コイルへのコーク付着量を低減させ、コイルの差圧上昇や急冷設備の汚れなどによる運転時間の短縮を防止できる傾向にある。なお、コイルに付着したコークは、原料供給停止、ガス置換後に酸素を含むガスを供給し、コークを燃焼させて除去することができる。
上記のような熱分解工程までを経て、本実施形態における炭化水素化合物の製造方法によれば、プロピレンを18質量%以上20質量%以下の収率で得ることができる。また、ブタジエンを6質量%以上20質量%以下の収率で得ることができる。さらに、芳香族化合物を14質量%以上20質量%以下の収率で得ることができる。なお、上述したようなより好ましい条件下においては、プロピレンを20質量%以上22質量%以下の収率で、ブタジエンを10質量%以上28質量%以下の収率で、芳香族化合物を18質量%以上27質量%以下の収率で、それぞれ得ることができる。
(運搬、保管上の利点)
本実施形態の応用例の一つとして、エチレンの生産地消費地で炭化水素組成物を製造し、エチレンの消費地で炭化水素組成物のオレフィンの熱分解を実施し、プロピレン、ブタジエン、芳香族を生産する方法が挙げられる。エチレンを低温かつ高圧で運搬、保管するよりも、沸点の高い炭化水素組成物に変換した方が運搬、保管が容易である。このように、エチレンの生産地とエチレンの消費地が離れている場合であっても、本実施形態の炭化水素化合物の製造方法を好適に用いることができる。エタンの沸点は−89℃、エチレンの沸点は−104℃であるが、エチレンをオリゴマー化して得られる1−ブテンの沸点は−6℃、1−ヘキセンの沸点は63℃、さらにシス−2−ブテンの沸点は4℃、トランス−2−ブテンの沸点は1℃と、エタン、エチレンの状態で運搬、保管するよりもブテン類、ヘキセン類とすることで運搬、保管が容易になる。
以下、本実施形態を実施例、参考例及び比較例によってさらに具体的に説明するが、本実施形態はこれらの実施例のみに限定されるものではない。実施例、参考例及び比較例に用いた物性の測定方法及び原材料を以下に示す。
以下の実施例、参考例及び比較例において、定性・定量分析に用いた測定装置・材料については、次に示すとおりとした:
GC分析装置:島津製作所社製GC−17A
カラム:米国SUPELCO社製カスタムキャピラリーカラム SPB−1(内径0.25mm、長さ60m、フィルム厚3.0μm)
硫黄分析装置:株式会社 三菱化学アナリテック製 TS−03(電量滴定法)
原材料エタン:住友精化株式会社製 エタン(純度99%以上)
上記定量・定性分析は次の要領で行うこととした。
サンプルガス量:1ml(サンプリングラインは200〜300℃に保温)
キャリアーガス(窒素)流量:120ml/分
昇温プログラム:40℃で12分間保持し、次いで5℃/分で200℃まで昇温した後、200℃で22分間保持した。
スプリット比:200:1
FID検出器:エアー供給圧50kPa(約500ml/分)、水素供給圧60kPa(約50ml/分)
測定方法:熱伝導度検出器(TCD:Thermal Conductivity Detector)と水素炎イオン化検出器(FID:Flame Ionization Detector)を直列に連結して、水素及び炭素数1及び2の炭化水素をTCDで検出し、炭素数3以上の炭化水素をFIDで検出した。分析開始10分後に、検出の出力をTCDからFIDに切り替えた。
(実施例1)
エタンに対し、ジメチルジスルフィドを硫黄分として、200重量ppmとなるよう添加し、水蒸気/エタン重量比が0.5となるよう水蒸気を加えて過熱したコイルに平均圧力0.05MPaG、コイル温度820℃、滞留時間0.4秒で供給し、エチレン収率50重量%を得た。生成物から蒸留によりエチレンを分離した。
内容量1Lの攪拌機付きフラスコに、アルゴン雰囲気下で、無水四塩化ジルコニウム(ZrCl4)50ミリモルと乾燥したベンゼン500mlを導入し、10分間攪拌した。これにトリエチルアルミニウム(TEA)58.4ミリモルを添加し、約10分間攪拌した後、エチルアルミニウムセスキクロライド(EASC)291.6ミリモル〔(EASC+TEA)/ZrCl4(モル比)=7,EASC/TEA(モル比)=5〕を添加し、70℃で1時間攪拌して触媒のジルコニウム錯体を形成させた。次に、1Lの攪拌機付きオートクレーブに乾燥したアルゴン雰囲気下で、乾燥したベンゼン250ml添加し、上記で調製したジルコニウム錯体溶液を注射器でZrCl4として0.2ミルモル添加し、その後チオフェン1ミリモルを添加した。全ての添加が終了した後、オートクレーブを115℃になるまで昇温し、乾燥したエチレンをレギュレーターに通して反応圧力が6.4MPaGになるまで張り込んだ。その後1時間反応を行った。なお、この間エチレンを連続的に張り込み、反応圧力は一定とした。1時間の反応終了後、オートクレーブを室温まで下げ、オートクレーブ内に水酸化ナトリウム水溶液を圧入することにより触媒を失活させた。触媒失活後再びオートクレーブを40℃まで加熱し、窒素でバブリングさせながら1−ブテンを完全に追い出した。追い出した1−ブテンはモレキュラーシーブ3Aを通しながら乾燥・脱水し捕集した。
1−ブテンに対し、硫黄分としてのジメチルジスルフィドを400重量ppmとなるよう添加(表中、「S濃度」として表記する。)し、水蒸気/炭化水素(本例では1−ブテン)重量比(表中、「STM/HC」と表記する)が0.5となるよう水蒸気を加え、過熱したコイルに平均圧力0.05MPaG、コイル温度800℃、滞留時間0.2秒の条件で供給し、熱分解を実施した。分解生成物組成を表1に示す。
(実施例2)
実施例1と同様の方法でエタンを熱分解してエチレンを得た。次いで、未焼成のメソポーラスシリカ(C12−MCM−41)を30gテフロン(登録商標)容器に量り取った。一方、3.71gの硝酸ニッケルを600mlのイオン交換水に溶解させ、この溶液をC12−MCM−41の入ったテフロン(登録商標)容器に移し、室温で一時間激しく撹拌した。ここで、C12−MCM−41に含まれるシリコンと加えたニッケルの原子比Si/Niは40とした。その後、容器をラップで覆い、あらかじめ80℃に設定した水浴中に浸し、20時間静置することとした。溶液を室温まで冷却し、吸引濾過によって固体を分離し、約5Lのイオン交換水で洗浄した後80℃で一晩乾燥した。こうして得られた固体を乳鉢で細かくすりつぶし、磁性皿上に薄く延ばして電気炉に入れ、5℃/minで600℃まで昇温し、同温度で6時間焼成した。
次に、石英ガラス製反応管の底部に石英ウールをつめ、その上に上記触媒を充填した。反応管の中心には温度測定のための熱電対を差し込むためのガラス細管が挿入され、熱電対の先が触媒層のちょうど中央に位置するように石英ウールの高さを調節した。また、反応装置として、マスフローコントローラー、サチュレーター、反応管、分析用の水素炎検出型ガスクロマトグラフィーで構成されるものを準備した。なお、マスフローコントローラーで反応ガスの流量が制御され、当該反応ガスが触媒層の上部から入り下部から抜けてガスクロマトガスクロマトグラフ用のガスサンプラーに導かれる構造となるように上記反応装置を設計した。反応管は電気炉によって加熱され、触媒層が所定の温度となるように調節した。反応に先立ち、触媒の前処理として、500ml/minの窒素ガスを300℃で2時間流通させた。反応は、エチレンと窒素の混合ガス(エチレン含有量9.97mol%)を300ml/minの速度で供給して行った。圧力は0.1MPaとした。反応ガスは、0℃に冷却した水のサチュレーター中を通すことにより、反応ガス中に水が添加された。エチレンに対する水のモル比は0.06とした。得られた生成物を蒸留して1−ブテンを得た。
1−ブテンに対し、硫黄分としてのジメチルジスルフィドを50重量ppmとなるよう添加し、水蒸気/1−ブテン重量比が0.3となるよう水蒸気を加えて、過熱したコイルに平均圧力0.05MPaG、コイル温度700℃、滞留時間0.4秒の条件で供給し、熱分解を実施した。分解生成物組成を表1に示す。
(実施例3)
実施例1と同様の方法でエタンを熱分解してエチレンを得た。次いで、未焼成のC12−MCM−41を30gテフロン(登録商標)容器に量り取った。一方、3.71gの硝酸ニッケルを600mlのイオン交換水に溶解させ、この溶液をC12−MCM−41の入ったテフロン(登録商標)容器に移し、室温で一時間激しく撹拌した。ここで、C12−MCM−41に含まれるシリコンと加えたニッケルの原子比Si/Niは40とした。その後容器をラップで覆い、あらかじめ80℃に設定した水浴中に浸し、20時間静置することとした。溶液を室温まで冷却し、吸引濾過によって固体を分離し、約5Lのイオン交換水で洗浄した後80℃で一晩乾燥した。こうして得られた固体を乳鉢で細かくすりつぶし、磁性皿上に薄く延ばして電気炉に入れ、5℃/minで600℃まで昇温し、同温度で6時間焼成した。
次に、石英ガラス製反応管の底部に石英ウールをつめ、その上に上記触媒を充填した。反応管の中心には温度測定のための熱電対を差し込むためのガラス細管が挿入され、熱電対の先が触媒層のちょうど中央に位置するように石英ウールの高さを調節した。また、反応装置として、マスフローコントローラー、サチュレーター、反応管、分析用の水素炎検出型ガスクロマトグラフィーで構成されるものを準備した。なお、マスフローコントローラーで反応ガスの流量が制御され、当該反応ガスが触媒層の上部から入り下部から抜けてガスクロマトガスクロマトグラフ用のガスサンプラーに導かれる構造となるように、上記反応装置を設計した。反応管は電気炉によって加熱され、触媒層が所定の温度となるように調節した。反応に先立ち、触媒の前処理として、500ml/minの窒素ガスを300℃で2時間流通させた。反応は、エチレンと窒素の混合ガス(エチレン含有量9.97mol%)を300ml/minの速度で供給して行った。圧力は0.1MPaとした。反応ガスは、0℃に冷却した水のサチュレーター中を通すことにより、反応ガス中に水が添加された。エチレンに対する水のモル比は0.06とした。得られた生成物を蒸留して1−ブテンを得た。
1−ブテンに対し、硫黄分としてのジメチルジスルフィドを500重量ppmとなるよう添加し、水蒸気/1−ブテン重量比が0.5となるよう水蒸気を加え、過熱したコイルに平均圧力0.05MPaG、コイル温度900℃、滞留時間0.1秒の条件で供給し、熱分解を実施した。分解生成物組成を表1に示す。
(実施例4)
実施例1と同様の方法でエタンを熱分解してエチレンを得た。次いで、未焼成のC12−MCM−41を30gテフロン(登録商標)容器に量り取った。一方、3.71gの硝酸ニッケルを600mlのイオン交換水に溶解させ、この溶液をC12−MCM−41の入ったテフロン(登録商標)容器に移し、室温で一時間激しく撹拌した。ここで、C12−MCM−41に含まれるシリコンと加えたニッケルの原子比Si/Niは40とした。その後容器をラップで覆い、あらかじめ80℃に設定した水浴中に浸し、20時間静置した。溶液を室温まで冷却し、吸引濾過によって固体を分離し、約5Lのイオン交換水で洗浄した後80℃で一晩乾燥した。こうして得られた固体を乳鉢で細かくすりつぶし、磁性皿上に薄く延ばして電気炉に入れ、5℃/minで600℃まで昇温し、同温度で6時間焼成した。
次に、石英ガラス製反応管の底部に石英ウールをつめ、その上に上記触媒を充填した。反応管の中心には温度測定のための熱電対を差し込むためのガラス細管が挿入され、熱電対の先が触媒層のちょうど中央に位置するように石英ウールの高さを調節した。また、反応装置として、マスフローコントローラー、サチュレーター、反応管、分析用のガスクロマトグラフィーで構成されるものを準備した。なお、マスフローコントローラーで反応ガスの流量が制御され、当該反応ガスが触媒層の上部から入り下部から抜けてガスクロマトガスクロマトグラフ用のガスサンプラーに導かれる構造となるように、上記反応装置を設計した。反応管は電気炉によって加熱され、触媒層が所定の温度となるように調節した。反応に先立ち、触媒の前処理として、500ml/minの窒素ガスを300℃で2時間流通させた。反応は、エチレンと窒素の混合ガス(エチレン含有量9.97mol%)を300ml/minの速度で供給して行った。圧力は0.1MPaとした。反応ガスは、0℃に冷却した水のサチュレーター中を通すことにより、反応ガス中に水が添加された。エチレンに対する水のモル比は0.06とした。得られた生成物を蒸留して1−ブテンを得た。
1−ブテンに対しジメチルジスルフィドを硫黄分として50重量ppmとなるよう添加し、水蒸気/1−ブテン重量比が0.3となるよう水蒸気を加え、過熱したコイルに平均圧力0.05MPaG、コイル温度690℃、滞留時間0.4秒の条件で供給し、熱分解を実施した。分解生成物組成を表1に示す。
(実施例5)
実施例1と同様の方法でエタンを熱分解してエチレンを得た。次いで、未焼成のC12−MCM−41を30gテフロン(登録商標)容器に量り取った。一方、3.71gの硝酸ニッケルを600mlのイオン交換水に溶解させ、この溶液をC12−MCM−41の入ったテフロン(登録商標)容器に移し、室温で一時間激しく撹拌した。ここで、C12−MCM−41に含まれるシリコンと加えたニッケルの原子比Si/Niは40とした。その後容器をラップで覆い、あらかじめ80℃に設定した水浴中に浸し、20時間静置した。溶液を室温まで冷却し、吸引濾過によって固体を分離し、約5Lのイオン交換水で洗浄した後80℃で一晩乾燥した。こうして得られた固体を乳鉢で細かくすりつぶし、磁性皿上に薄く延ばして電気炉に入れ、5℃/minで600℃まで昇温し、同温度で6時間焼成した。
次に、石英ガラス製反応管の底部に石英ウールをつめ、その上に上記触媒を充填した。反応管の中心には温度測定のための熱電対を差し込むためのガラス細管が挿入され、熱電対の先が触媒層のちょうど中央に位置するように石英ウールの高さを調節した。また、反応装置はマスフローコントローラー、サチュレーター、反応管、分析用の水素炎検出型ガスクロマトグラフィーで構成されるものを準備した。なお、マスフローコントローラーで反応ガスの流量が制御され、当該反応ガスが触媒層の上部から入り下部から抜けてガスクロマトガスクロマトグラフ用のガスサンプラーに導かれる構造となるように、上記反応装置を設計した。反応管は電気炉によって加熱され、触媒層が所定の温度となるように調節される。反応に先立ち、触媒の前処理として、500ml/minの窒素ガスを300℃で2時間流通させた。反応は、エチレンと窒素の混合ガス(エチレン含有量9.97mol%)を300ml/minの速度で供給して行った。圧力は0.1MPaGとした。反応ガスは、0℃に冷却した水のサチュレーター中を通すことにより、反応ガス中に水が添加された。エチレンに対する水のモル比は0.06とした。得られた生成物を蒸留して1−ブテンを得た。
1−ブテンに対し、硫黄分としてのジメチルジスルフィドを500重量ppmとなるよう添加し、水蒸気/1−ブテン重量比が0.5となるよう水蒸気を加え、過熱したコイルに平均圧力0.05MPaG、コイル温度910℃、滞留時間0.1秒の条件で供給し、熱分解を実施した。分解生成物組成を表1に示す。
(実施例6)
実施例1と同様の方法でエタンを熱分解してエチレンを得た。次いで、1Lのステンレス製オートクレーブ内をエチレンで置換し、o−キシレン50mlで希釈したCr(III)−2−エチル・ヘキサノアート0.005モル、o−キシレン30mlで希釈したトリエチルアルミニウム0.003モルを順に投入した。エチレンを投入し、140℃、3MPaGで1hr保持し、生成物から沸点−10℃〜130℃の留分を分離した。分離した沸点−10℃〜130℃の留分組成は1−ブテン78重量%、1−ヘキセン11重量%、その他炭化水素が11重量%であった。分離した沸点−10℃〜130℃の留分にジメチルジスルフィドを硫黄分として300重量ppmとなるよう添加し、水蒸気/炭化水素重量比が0.5となるよう水蒸気を加え、過熱したコイルに平均圧力0.05MPaG、コイル温度780℃、滞留時間0.2秒の条件で供給し、熱分解を実施した。分解生成物組成を表1に示す。
(実施例7)
実施例1と同様の方法でエタンを熱分解してエチレンを得た。さらに、実施例3と同様の方法でエチレンをオリゴマー化して1−ブテンを得た。次いで、反応器として内径10mm、長さ300mmのステンレス鋼製反応管を用い、当該反応管に0.1質量%パラジウム/アルミナ触媒(粒径1〜2mm)を4.5g(触媒層長85mm)充填した。当該触媒の前処理として、常圧、80℃で、水素を1.8NL/hrで2時間供給し、触媒の活性化を行った。上記の1−ブテンを主成分とする留分を66ml/hr、水素供給量を1−ブテンに対して0.14モル%として、反応器に連続供給し、反応温度10℃,大気圧で、1−ブテンから2−ブテンへの異性化反応を行った。なお、実施例7の炭化水素組成物は、後述する実施例24の炭化水素組成物の異性化前に相当するものであった。その結果、1−ブテン44重量%、2−ブテン28重量%の生成物を得た。異性化後の生成物に対し、硫黄分としてのジメチルジスルフィドを200重量ppmとなるよう添加し、水蒸気/炭化水素重量比が0.5となるよう水蒸気を加え、過熱したコイルに平均圧力0.05MPaG、コイル温度800℃、滞留時間0.2秒の条件で供給し、熱分解を実施した。分解生成物組成を表1に示す。
(実施例8)
実施例1と同様の方法でエタンを熱分解してエチレンを得た。さらに、実施例1と同様の方法でエチレンをオリゴマー化して1−ブテンを得た。次いで、1−ブテンに50重量%になるようn−ブタンを混合し、さらに炭化水素に対しジメチルジスルフィドを硫黄分として50重量ppmとなるよう添加し、水蒸気/炭化水素重量比が0.3となるよう水蒸気を加え、過熱したコイルに平均圧力0.05MPaG、コイル温度700℃、滞留時間0.4秒の条件で供給し、熱分解を実施した。分解生成物組成を表1に示す。
(実施例9)
実施例1と同様の方法でエタンを熱分解してエチレンを得た。さらに、実施例1と同様の方法でエチレンをオリゴマー化して1−ブテンを得た。1−ブテンに50重量%になるようn−ブタンを混合し、さらに炭化水素に対し、硫黄分としてのジメチルジスルフィドを50重量ppmとなるように添加し、水蒸気/炭化水素重量比が0.3となるように水蒸気を加え、過熱したコイルに平均圧力0.05MPaG、コイル温度710℃、滞留時間0.4秒の条件で供給し、熱分解を実施した。分解生成物組成を表1に示す。
(実施例10)
実施例1と同様の方法でエタンを熱分解してエチレンを得た。さらに、実施例1と同様の方法でエチレンをオリゴマー化して1−ブテンを得た。次いで、1−ブテンに50重量%になるようn−ブタンを混合し、さらに炭化水素に対して硫黄分としてのジメチルジスルフィドを200重量ppmとなるよう添加し、水蒸気/炭化水素重量比が0.5となるよう水蒸気を加え、過熱したコイルに平均圧力0.05MPaG、コイル温度800℃、滞留時間0.2秒の条件で供給し、熱分解を実施した。分解生成物組成を表1に示す。
(実施例11)
実施例1と同様の方法でエタンを熱分解してエチレンを得た。さらに、実施例1と同様の方法でエチレンをオリゴマー化して1−ブテンを得た。次いで、1−ブテンに50重量%になるようn−ブタンを混合し、さらに炭化水素に対して硫黄分としてのジメチルジスルフィドを400重量ppmとなるよう添加し、水蒸気/炭化水素重量比が0.8となるよう水蒸気を加え、過熱したコイルに平均圧力0.05MPaG、コイル温度840℃、滞留時間0.2秒の条件で供給し、熱分解を実施した。分解生成物組成を表1に示す。
(実施例12)
実施例1と同様の方法でエタンを熱分解してエチレンを得た。さらに、実施例1と同様の方法でエチレンをオリゴマー化して1−ブテンを得た。次いで、1−ブテンに50重量%になるようn−ブタンを混合し、さらに炭化水素に対しジメチルジスルフィドを硫黄分として400重量ppmとなるよう添加し、水蒸気/炭化水素重量比が0.8となるよう水蒸気を加え、過熱したコイルに平均圧力0.05MPaG、コイル温度850℃、滞留時間0.2秒の条件で供給し、熱分解を実施した。分解生成物組成を表1に示す。
(実施例13)
実施例1と同様の方法でエタンを熱分解してエチレンを得た。さらに、実施例1と同様の方法でエチレンをオリゴマー化して1−ブテンを得た。次いで、反応器として内径10mm、長さ300mmのステンレス鋼製反応管を用い、当該反応管に0.1重量%パラジウム/アルミナ触媒(粒径1〜2mm)を4.5g(触媒層長85mm)充填した。当該触媒の前処理として、常圧、80℃で、水素を1.8NL/hrで2時間供給し、触媒の活性化を行った。1−ブテンを66ml/hr,水素を1−ブテンに対して0.43モル%として、反応器に連続供給し、反応温度80℃,反応圧力0.8MPaGで、1−ブテンから2−ブテンへの異性化反応を行った。そして2−ブテンを80重量%以上含む生成物を得た。さらに蒸留し、2−ブテンを分離した。
2−ブテンに50重量%になるようn−ブタンを混合し、さらに炭化水素に対して硫黄分としてのジメチルジスルフィドを100重量ppmとなるよう添加し、水蒸気/炭化水素重量比が0.3となるよう水蒸気を加え、過熱したコイルに平均圧力0.05MPaG、コイル温度720℃、滞留時間0.4秒の条件で供給し、熱分解を実施した。分解生成物組成を表1に示す。
(実施例14)
実施例1と同様の方法でエタンを熱分解してエチレンを得た。次いで、300mlの撹拌器付きステンレス鋼(SUS316)製オートクレーブ(以後単に反応器と呼ぶ)及び添加バルブによって反応器に接続されている40mlの添加容器を準備した。反応器を窒素で5分間パージし、次いでアルゴン充填ボックス内で秤量した48mlの2,2,2−トリフルオロエタノール、フェニルホスフィン(1.0mmol)及びビス(1.5−シクロオクタジエン)ニッケル(0)(0.275g;1.0mmol)を添加した。次いで反応器を閉じ、少なくとも4回エチレンでパージし、次いでエチレンで5分間3.5kg/cm2ゲージ(50psig)に加圧した。上記の工程はすべて周囲温度(約25℃)で行った。シリンジを使用して2mlの2,2,2−トリフルオロエタノール中のトリフルオロ酢酸(0.114g;1.0mmol)の溶液を添加容器に添加した。添加容器を直ちに密封し、エチレンで49.2kg/cm2ゲージ(700psig)に加圧した。エチレンを含む添加容器内容物を上記の5分後に添加バルブを通して反応器に移した。外部冷却水を使用して反応温度を約40℃の温度に調節した。反応器内部圧力を49.2kg/cm2ゲージ(700psig)に維持し、反応を約10分間続けた。2−ブテンを85重量%以上含む生成物を得た。反応を繰り返し、生成物を蒸留して2−ブテンを分離した。そして2−ブテンに50重量%になるようn−ブタンを混合し、さらに炭化水素に対し硫黄分としてのジメチルジスルフィドを100重量ppmとなるよう添加し、水蒸気/炭化水素重量比が0.3となるように水蒸気を加え、過熱したコイルに平均圧力0.05MPaG、コイル温度730℃、滞留時間0.4秒の条件で供給し、熱分解を実施した。分解生成物組成を表1に示す。
(実施例15)
実施例1と同様の方法でエタンを熱分解してエチレンを得た。さらに、実施例14と同様の方法でエチレンをオリゴマー化、蒸留して2−ブテンを得た。次いで、2−ブテンに50重量%になるようn−ブタンを混合し、さらに炭化水素に対して硫黄分としてのジメチルジスルフィドを200重量ppmとなるように添加し、水蒸気/炭化水素重量比が0.5となるよう水蒸気を加え、過熱したコイルに平均圧力0.05MPaG、コイル温度800℃、滞留時間0.2秒の条件で供給し、熱分解を実施した。分解生成物組成を表1に示す。
(実施例16)
実施例1と同様の方法でエタンを熱分解してエチレンを得た。さらに、実施例14と同様の方法でエチレンをオリゴマー化、蒸留して2−ブテンを得た。次いで、2−ブテンに50重量%になるようn−ブタンを混合し、さらに炭化水素に対して硫黄分としてのジメチルジスルフィドを500重量ppmとなるよう添加し、水蒸気/炭化水素重量比が0.8となるよう水蒸気を加え、過熱したコイルに平均圧力0.05MPaG、コイル温度860℃、滞留時間0.2秒の条件で供給し、熱分解を実施した。分解生成物組成を表1に示す。
(実施例17)
実施例1と同様の方法でエタンを熱分解してエチレンを得た。さらに、実施例14と同様の方法でエチレンをオリゴマー化、蒸留して2−ブテンを得た。次いで、2−ブテンに50重量%になるようn−ブタンを混合し、さらに炭化水素に対して硫黄分としてのジメチルジスルフィドを500重量ppmとなるよう添加し、水蒸気/炭化水素重量比が0.8となるよう水蒸気を加え、過熱したコイルに平均圧力0.05MPaG、コイル温度870℃、滞留時間0.2秒の条件で供給し、熱分解を実施した。分解生成物組成を表1に示す。
(実施例18)
実施例1と同様の方法でエタンを熱分解してエチレンを得た。さらに、実施例14と同様の方法でエチレンをオリゴマー化、蒸留して2−ブテンを得た。次いで、2−ブテンに対して1−ブテン0.1重量%を添加し、炭化水素に対して硫黄分としてのジメチルジスルフィドを300重量ppmとなるよう添加し、水蒸気/炭化水素重量比が0.5となるように水蒸気を加え、過熱したコイルに平均圧力0.05MPaG、コイル温度760℃、滞留時間0.2秒の条件で供給し、熱分解を実施した。分解生成物組成を表1に示す。実施例22とプロピレン、ブタジエン収率はほとんど差がないが、実施例24に比べプロピレン、ブタジエン収率が低かった。
(実施例19)
実施例1と同様の方法でエタンを熱分解してエチレンを得た。さらに、実施例14と同様の方法でエチレンをオリゴマー化、蒸留して2−ブテンを得た。次いで、2−ブテンに1重量%になるよう1−ブテンを混合し、さらに炭化水素に対して硫黄分としてのジメチルジスルフィドを300重量ppmとなるよう添加し、水蒸気/炭化水素重量比が0.5となるよう水蒸気を加え、過熱したコイルに平均圧力0.05MPaG、コイル温度760℃、滞留時間0.2秒の条件で供給し、熱分解を実施した。分解生成物組成を表1に示す。
(実施例20)
実施例1と同様の方法でエタンを熱分解してエチレンを得た。さらに、実施例14と同様の方法でエチレンをオリゴマー化、蒸留して2−ブテンを得た。次いで、2−ブテンに10重量%になるよう1−ブテンを混合し、さらに炭化水素に対して硫黄分としてのジメチルジスルフィドを300重量ppmとなるよう添加し、水蒸気/炭化水素重量比が0.5となるように水蒸気を加え、過熱したコイルに平均圧力0.05MPaG、コイル温度760℃、滞留時間0.2秒の条件で供給し、熱分解を実施した。分解生成物組成を表1に示す。
(実施例21)
実施例1と同様の方法でエタンを熱分解してエチレンを得た。さらに、実施例14と同様の方法でエチレンをオリゴマー化、蒸留して2−ブテンを得た。次いで、2−ブテンに1重量%になるよう1−ブテンを混合し、さらに炭化水素に対して硫黄分としてのジメチルジスルフィドを300重量ppmとなるように添加し、水蒸気/炭化水素重量比が0.5となるように水蒸気を加え、過熱したコイルに平均圧力0.05MPaG、コイル温度820℃、滞留時間0.2秒の条件で供給し、熱分解を実施した。分解生成物組成を表1に示す。
(実施例22)
実施例1と同様の方法でエタンを熱分解してエチレンを得た。さらに、実施例14と同様の方法でエチレンをオリゴマー化、蒸留して2−ブテンを得た。次いで、2−ブテンに30重量%になるよう1−ブテンを混合し、さらに炭化水素に対して硫黄分としてのジメチルジスルフィドを300重量ppmとなるよう添加し、水蒸気/炭化水素重量比が0.5となるよう水蒸気を加え、過熱したコイルに平均圧力0.05MPaG、コイル温度770℃、滞留時間0.4秒の条件で供給し、熱分解を実施した。分解生成物組成を表1に示す。
(実施例23)
実施例1と同様の方法でエタンを熱分解してエチレンを得た。さらに、実施例14と同様の方法でエチレンをオリゴマー化、蒸留して2−ブテンを得た。次いで、2−ブテンに40重量%になるよう1−ブテンを混合し、さらに炭化水素に対して硫黄分としてのジメチルジスルフィドを300重量ppmとなるよう添加し、水蒸気/炭化水素重量比が0.5となるよう水蒸気を加え、過熱したコイルに平均圧力0.05MPaG、コイル温度770℃、滞留時間0.4秒の条件で供給し、熱分解を実施した。分解生成物組成を表1に示す。実施例21に対してブタジエン収率が低下した。
(実施例24)
実施例1と同様の方法でエタンを熱分解してエチレンを得た。さらに、実施例1と同様の方法でエチレンをオリゴマー化して1−ブテンを得た。次いで、反応器として内径10mm,長さ300mmのステンレス鋼製反応管を準備し、当該反応管に0.1重量%パラジウム/アルミナ触媒(粒径1〜2mm)を4.5g(触媒層長85mm)充填した。当該触媒の前処理として、常圧、80℃で、水素を1.8NL/hrで2時間供給し、触媒の活性化を行った。上記の1−ブテンを主成分とする留分を66ml/hr、水素供給量を1−ブテンに対して0.43モル%として、反応器に連続供給し、反応温度80℃、反応圧力0.8MPaGで、1−ブテンから2−ブテンへの異性化反応を行った。その結果、1−ブテン14重量%、2−ブテン58重量%の生成物を得た。異性化後の生成物に対して、硫黄分としてのジメチルジスルフィドを200重量ppmとなるよう添加し、水蒸気/炭化水素重量比が0.5となるよう水蒸気を加え、過熱したコイルに平均圧力0.05MPaG、コイル温度800℃、滞留時間0.2秒の条件で供給し、熱分解を実施した。分解生成物組成を表1に示す。
(実施例25)
実施例1と同様の方法でエタンを熱分解してエチレンを得た。さらに、実施例14と同様の方法でエチレンをオリゴマー化、蒸留して2−ブテンを得た。次いで、2−ブテンに対しジメチルジスルフィドを硫黄分として300重量ppmとなるよう添加し、水蒸気/2−ブテン重量比が0.5となるよう水蒸気を加え、過熱したコイルに平均圧力0.05MPaG、コイル温度760℃、滞留時間0.2秒の条件で供給し、熱分解を実施した。分解生成物組成を表1に示す。
(実施例26)
実施例1と同様の方法でエタンを熱分解してエチレンを得た。1Lのステンレス製オートクレーブ内をエチレンで置換し、o−キシレン50mlで希釈したCr(III)−2−エチル・ヘキサノアート0.005モル、o−キシレン10mlで希釈したビス(2,6−ジフェニルフェノキシ)マグネシウム0.001モル、o−キシレン30mlで希釈したトリエチルアルミニウム0.003モルを順に投入した。エチレンを投入し、140℃、3MPaGで0.5hr保持し、生成物から、沸点−10℃〜130℃の留分を分離した。分離した沸点−10℃〜130℃の留分組成は、1−ブテン2重量%、1−ヘキセン93重量%、その他炭化水素が5重量%であった。得られた生成物から蒸留により1−ヘキセンを分離した。1−ヘキセンに対して、硫黄分としてのジメチルジスルフィドを100重量ppmとなるよう添加し、水蒸気/炭化水素重量比が0.5となるよう水蒸気を加え、過熱したコイルに平均圧力0.05MPaG、コイル温度780℃、滞留時間0.2秒の条件で供給し、熱分解を実施した。分解生成物組成を表1に示す。
(比較例1)
実施例1と同様の方法でエタンを熱分解してエチレンを得た。エチレンに対して、硫黄分としてのジメチルジスルフィドを300重量ppmとなるように添加し、水蒸気/炭化水素重量比が0.5となるよう水蒸気を加え、過熱したコイルに平均圧力0.05MPaG、コイル温度760℃、滞留時間0.2秒の条件で供給し、熱分解を実施した。分解生成物組成を表1に示す。
(比較例2)
実施例1と同様の方法でエタンを熱分解してエチレンを得た。エチレンに対して、硫黄分としてのジメチルジスルフィドを300重量ppmとなるように添加し、水蒸気/炭化水素重量比が0.5となるように水蒸気を加え、過熱したコイルに平均圧力0.05MPaG、コイル温度800℃、滞留時間0.2秒の条件で供給し、熱分解を実施した。分解生成物組成を表1に示す。
(比較例3)
実施例1と同様の方法でエタンを熱分解してエチレンを得た。エチレンに対して、硫黄分としてのジメチルジスルフィドを300重量ppmとなるように添加し、水蒸気/炭化水素重量比が0.5となるように水蒸気を加え、過熱したコイルに平均圧力0.05MPaG、コイル温度900℃、滞留時間0.2秒の条件で供給し、熱分解を実施した。分解生成物組成を表1に示す。
(参考例1)
比重0.684、硫黄分濃度320重量ppmのナフサ(表2に組成を示す)を、水蒸気/炭化水素重量比が0.5となるよう水蒸気を加え、過熱したコイルに平均圧力0.05MPaG、コイル温度780℃、滞留時間0.2秒の条件で供給し、熱分解を実施した。分解生成物組成を表1に示す。
(参考例2)
比重0.684、硫黄分濃度320重量ppmのナフサ(表2に組成を示す)を、水蒸気/炭化水素重量比が0.5となるよう水蒸気を加え、過熱したコイルに平均圧力0.05MPaG、コイル温度820℃、滞留時間0.2秒の条件で供給し、熱分解を実施した。分解生成物組成を表1に示す。
(参考例3)
比重0.684、硫黄分濃度320重量ppmのナフサ(表2に組成を示す)を、水蒸気/炭化水素重量比が0.5となるよう水蒸気を加え、過熱したコイルに平均圧力0.05MPaG、コイル温度850℃、滞留時間0.2秒の条件で供給し、熱分解を実施した。分解生成物組成を表1に示す。
(参考例4)
ナフサの熱分解生成物より、蒸留で分離したC4留分からブタジエン、イソブチレンを利用するため、できるだけ抜き出したC4留分(表3に組成を示す)に対し、硫黄分としてのジメチルジスルフィドを300重量ppmとなるように添加し、水蒸気/炭化水素重量比が0.5となるよう水蒸気を加え、過熱したコイルに平均圧力0.05MPaG、コイル温度780℃、滞留時間0.2秒の条件で供給し、熱分解を実施した。分解生成物組成を表1に示す。
(参考例5)
ナフサの熱分解生成物より、蒸留で分離したC4留分からブタジエン、イソブチレンを利用するため、できるだけ抜き出したC4留分(表3に組成を示す)に対し、硫黄分としてのジメチルジスルフィドを300重量ppmとなるように添加し、水蒸気/炭化水素重量比が0.5となるよう水蒸気を加え、過熱したコイルに平均圧力0.05MPaG、コイル温度820℃、滞留時間0.2秒の条件で供給し、熱分解を実施した。分解生成物組成を表1に示す。
(参考例6)
ナフサの熱分解生成物より、蒸留で分離したC4留分からブタジエン、イソブチレンを利用するため、できるだけ抜き出したC4留分(表3に組成を示す)に対し、硫黄分としてのジメチルジスルフィドを300重量ppmとなるように添加し、水蒸気/炭化水素重量比が0.5となるよう水蒸気を加え、過熱したコイルに平均圧力0.05MPaG、コイル温度850℃、滞留時間0.2秒の条件で供給し、熱分解を実施した。分解生成物組成を表1に示す。
なお、以上の各例における熱分解時の出口圧力をSPYRO (Simulation of Pyrolysis Operations)により計算した結果、1.85kgf/cm2であった。また、下記表1においては、熱分解で得られたエチレンを「EY」と、プロピレンを「PY」と、ブタジエンを「BD」と、C6〜8の芳香族化合物を「C6−8Aroma」と、それぞれ略記して示す。さらに、実施例6,7,24における炭化水素組成物に関して、原料組成に未確認部分があったため、括弧付きの数値で表1に示す。
なお、表2,3にそれぞれ示す「比重0.684、硫黄分濃度320重量ppmのナフサ」の組成、「ナフサの熱分解生成物より、蒸留で分離したC4留分からブタジエン、イソブチレンを利用するため、できるだけ抜き出したC4留分」の組成については、上記した各例の分析と同様の手法で評価された値を用いた。
Figure 2015067541
Figure 2015067541
Figure 2015067541

Claims (5)

  1. エチレンをオリゴマー化し、炭化水素組成物を製造する工程と、
    前記炭化水素組成物を水蒸気の存在下で熱分解し、プロピレン、ブタジエン及び芳香族化合物を含む熱分解ガスを得る工程と、
    を有する、炭化水素化合物の製造方法。
  2. 前記炭化水素組成物がn−オレフィンを含む、請求項1に記載の炭化水素化合物の製造方法。
  3. 前記n−オレフィンがn−ブテンである、請求項2に記載の炭化水素化合物の製造方法。
  4. 前記炭化水素組成物が、1−ブテン又は2−ブテンを50重量%以上含み、
    (i)前記炭化水素組成物が1−ブテンを50重量%以上含む場合、熱分解する温度が710℃以上840℃以下であり、
    (ii)前記炭化水素組成物が2−ブテンを50重量%以上含む場合、熱分解する温度が730℃以上860℃以下である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の炭化水素化合物の製造方法。
  5. 前記炭化水素組成物が、2−ブテンを70重量%以上含み、かつ、1−ブテン、炭素数5以上のn−オレフィン、n−パラフィンからなる群より選択される少なくとも一種を1重量%以上含む、請求項1〜4のいずれか1項に記載の炭化水素化合物の製造方法。
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