JP2015067214A - トラクタの空調装置 - Google Patents

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岳 東口
宮崎 竜一
Ryuichi Miyazaki
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健 工藤
Takeshi Kudo
健 工藤
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【課題】キャビンと一体的に着脱できる空調装置を提供する。【解決手段】トラクタ1の操縦部を覆うキャビン8のキャビンルーフ11に空調装置12を配置する構成において、キャビンルーフ11の前部に熱交換器25と電動ファン29を収容する室内機収容空間11aとダクト30を配置し、キャビンルーフ11の後部に室外機収容空間11bを形成し、該室外機収容空間11b内に、熱交換器22と、電動モータ20により駆動される圧縮機21と電動ファン28を配置した。【選択図】図2

Description

本発明は、キャビンのルーフに電動駆動の空調装置を設ける技術に関する。
従来、トラクタの操縦部を覆うキャビン内の空調を行うために、室外機となる圧縮機とコンデンサをエンジン近傍のボンネット内に配置し、室内機となるエバポレータをキャビンのルーフに配置した技術が公知となっている(例えば、特許文献1参照)。
特開平11−254940号公報
前記従来の技術では、ボンネット内の室外機とキャビン内の室内機は、ホースにより冷媒を循環できるように連結されていたために、組み立て作業において配管が面倒な作業となり、メンテナンス等でキャビンを取り外すときにも配管を外す必要があり、作業が面倒となっていた。
本発明は以上の如き状況に鑑みてなされたものであり、キャビンと一体的に空調装置を着脱できるトラクタを提供する。
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
即ち、請求項1においては、トラクタの操縦部を覆うキャビンのキャビンルーフに空調装置を配置する構成において、キャビンルーフの前部に熱交換器と電動ファンを収容する室内機収容空間とダクトを配置し、キャビンルーフの後部に室外機収容空間を形成し、該室外機収容空間内に、熱交換器と、電動モータにより駆動される圧縮機と電動ファンを配置したものである。
請求項2においては、前記室外機収容空間内に配置される熱交換器と圧縮機は左右に併設されるものである。
請求項3においては、前記圧縮機の吐出方向を切り換える切換弁を設け、該切換弁の切り換えにより冷房と暖房を切り換え可能としたものである。
以上のような手段を用いることにより、キャビンとともに空調装置を着脱できるようになり、組み立て時やメンテナンス時に空調用配管を外す必要がなく、組み立て性やメンテナンス性を向上できる。また、空調用配管の取り回しが短くなり、空調効率を向上できる。
トラクタの側面図。 キャビンルーフに配置される空調装置の概略図。 冷暖房可能とした空調装置の他の実施形態の概略図。 ヒータを用いて暖房する空調装置の実施形態の概略図。
まず、本発明の空調装置を取り付けたキャビンを装着したトラクタ1の全体構成について、図1により説明する。
前後に前輪2、後輪3を懸架するトラクタ1の前部にボンネット4を配設し、該ボンネット4内にはエンジン5を内蔵している。ボンネット4の後方にはステアリングハンドル6を設けて、該ステアリングハンドル6の後方にはシート7を配設している。ステアリングハンドル6及びシート7の近傍には作業用や走行用の操作レバーやスイッチやペダル等が配置されて操縦部とし、該操縦部はキャビン8によって覆われている。そして、キャビン8は、例えば防震ゴム等の弾性部材を介して機体に固定されており、機体の振動が該キャビン8に伝達されにくく、キャビン8内の騒音を低減するように構成されており、後述する空調装置12に防振手段を設ける必要がないようにしている。
また、キャビン8は前後左右両側に配置される支柱と、これら支柱間に配置されるガラスやドアと、支柱上部に配設されるキャビンルーフ11等からなる。前側の左右両側の支柱はステップの前部両側から立設され、後側の左右両側の支柱は後輪3の上方を覆うフェンダー上から立設される。キャビン8のキャビンルーフ11には、空調装置12が設けられる。
エンジン5の後方にはクラッチハウジング13を連結し、該クラッチハウジング13の後方にはミッションケース14を連結し、エンジン5からの動力を後輪3に伝達して駆動している。また、エンジン5の駆動力は、ミッションケース14の後端から突出したPTO15に伝達されて、機体後端の作業機装着装置16に接続した図示しない作業機を駆動するように構成している。
次に、キャビンルーフ11に配設された空調装置12について説明する。図2において、空調装置12は、圧縮機(コンプレッサ)21と室外側熱交換器となるコンデンサ(凝縮器)22とレシーバ23とエキスパンションバルブ24と室内側熱交換器となるエバポレータ(蒸発器)25とこれらを接続する配管26とを備える。
キャビンルーフ11は上側のアウタルーフとその下方内側のインナルーフとにより収納空間を形成し、収納空間は前後に仕切られて、前側に室内機収容空間11aとダクト30を配置し、後部に室外機収容空間11bを形成している。室内機収容空間11a内にエバポレータ25と電動ファン29が収納され、エバポレータ25の前方にダクト30が接続される。室外機収容空間11b内に圧縮機21とコンデンサ22とレシーバ23と電動ファン28と圧縮機モータ20が収納される。室外機収容空間11b内において、圧縮機21とコンデンサ22は左右方向に併設され、室外機収容空間11bの前後方向の長さを短くして、キャビンルーフ11の後部がキャビン8の後面ガラスより後方にできるだけ出っ張らないようにしている。
前記圧縮機21は、気体となっている冷媒を圧縮するものであり、キャビン8の外側に配置され、電動モータ20により駆動される。圧縮機21により圧縮された冷媒は、高温・高圧の気体となる。
前記コンデンサ22は、圧縮機21により圧縮された高温・高圧のガス状の冷媒を冷やして液化するものであり、キャビン8の外側に配置され、前記モータ28aにより駆動される電動ファン28により外気が当てられて冷却される。
レシーバ23は液化できなかった冷媒を液冷媒と分離し、水分や不純物を取り除くものであり、コンデンサ22の出口側に配置される。
前記圧縮機21、コンデンサ22、レシーバ23はキャビン8の外側に配置されるもので、本実施形態では、キャビンルーフ11の後部に配置され、操縦部が配置される室内空間よりも後方に配置される。但し、シート7の後方の左右のキャビン支柱間に配置することも可能であり、この場合、キャビンルーフ11の後部の出っ張りを小さくし、低重心化して、配管26はキャビン支柱の中を通して外観をよくし、断熱性を高めることもできる。
エキスパンションバルブ24は、膨張弁により構成され、高圧状態の液冷媒を小さな孔からエバポレータ25内に噴射させることにより、低圧・低温の霧状の冷媒にして、気化しやすいようにしている。
エバポレータ25は、気化された冷媒が周囲の熱を奪い冷やされる部分であり、キャビンルーフ11内に配置して、電動ファン29を作動させることで、ダクト30を介してキャビン8内に冷風を送ることを可能としている。電動ファン29はモータ29aによって駆動される。
ダクト30はエバポレータ25からの冷気をキャビン8内の所定位置に配置された吹き出し口に導くものであり、前面ガラス内側に吐出させてデフロスタとしたり、着座した作業者に冷風を当てたりできるようにしている。
また、キャビンルーフ11の後部には換気装置が設けられている。換気装置は室内循環口51と外気導入口52と切換弁53からなり、切換弁53を切り換えることで、外気の導入と室内循環を切り換えられるようにしている。
このような構成において、圧縮機21により圧縮された冷媒は、高温高圧の半液体状の状態でコンデンサ22に入り、冷媒はコンデンサ22で電動ファン28の作動による風によって冷却され、液化されてレシーバ23へ送られる。レシーバ23では液化できなかった冷媒を液冷媒と分離し、液冷媒はエキスパンションバルブ24からエバポレータ25内へ噴射され一気に気化する。気化した冷媒はエバポレータ25周りの熱を奪い冷やす。この冷やされた部分に電動ファン29により風を当てて、ダクト30を介してキャビン8内に冷気を送るようにしている。エバポレータ25を出た冷媒は圧縮機21に戻されて再び圧縮される。こうして冷媒を循環させて冷房サイクルが構成される。
上記のように、空調装置12がキャビンルーフ11に一体的に構成されることで、組み立てやメンテナンス時において、キャビン8と一体的にトラクタ1本体から着脱でき、エンジン5の駆動により圧縮機21を駆動していた構成に比べて、配管を着脱する必要がなくなり、組み立て性、メンテナンス性を向上することができたのである。また、動力はすべて電動モータ20・28a・29aにより駆動されるため、動力伝達構成が簡単で、駆動と停止や回転数の変更が容易に行え、容易に所望の温度が得られる。
また、空調装置12は、図3に示すように、四方弁からなる切換弁55を圧縮機21の吐出側に設けることで冷房だけでなく暖房を行うことも可能である。なお、エキスパンションバルブ24は熱交換器側に噴出できるように、ブリッジ回路に構成している。このように構成することで、切換弁55を暖房側に切り換えると、圧縮機21により圧縮された冷媒は、高温高圧の半液体状の状態で熱交換器25(この場合コンデンサとなる)に入り、冷媒は放熱されて電動ファン29の作動によりキャビン8内に温風を送る。冷却されて液化された冷媒はレシーバ23へ送られ、液冷媒はエキスパンションバルブ24bから熱交換器25(この場合エバポレータとなる)内へ噴射され一気に気化し、大気中の熱を奪う。熱交換器25を出た冷媒は圧縮機21に戻されて再び圧縮される。こうして冷媒を循環させて暖房サイクルが構成される。冷房サイクルは点線で示す流れとなり、エキスパンションバルブ24aを通過し、その他は前記と同様となる。こうして、切換弁55を切り換えるだけで、冷房と暖房とに容易に切り換えることができる。
また、暖房は、エンジン5の冷却熱を利用することもできる。図4に示すように、前記室内機収容空間11aにヒータユニット34を配置し、該ヒータユニット34はエンジン5の冷却回路と配管35を介して接続され、この場合の配管35はキャビン8との境界近傍に配置したコネクタ39により着脱可能として、キャビン8を本体から分離するときに容易に着脱して分離・連結できるようにしている。また、冷却水を圧送するウオータポンプ31は電動モータ32で駆動するようにして、任意に駆動でき、回転数も任意に変更できるようにしている。
前記ヒータユニット34はキャビンルーフ11の室内機収容空間11aに配置される。ヒータユニット34へはエンジン5を冷却した後の温められた温水が送水され熱交換可能としている。つまり、冷却液はウオータポンプ31によりエンジン5内に圧送されて、エンジン5が冷却され、温められた温水をヒータユニット34へ送水できるようにしている。前記ウオータポンプ31はモータ32により駆動される。モータ32はモータ駆動回路40により制御され、モータ駆動回路40には水温センサ36が接続されている。従来、ウオータポンプ31はエンジン5の出力軸と連動連結されて、常時駆動される構成としていた。よって、低温時に冷却水を循環させると冷え過ぎとなるので、エンジン5の配管出口にサーモスタットを設けて、低温時にはラジエータ37に送水させず循環しないようにしていた。本実施例では、温度センサ36により冷却水温を検知して、設定温度以下の低温時はモータ32の駆動を停止し、ウオータポンプ31を作動させないようにして、無駄にエンジン5に負荷がかからないようにしている。
冷却水の温度が設定温度以上となり、エンジン5を冷却して温められた冷却水はヒータバルブ33を介してヒータユニット34に送られ、ヒータユニット34からはウオータポンプ31に戻される。ヒータユニット34は空調装置12のエバポレータ25の前面または後面に配置され、電動ファン29が作動されることにより、温風がキャビン8内に送風される。ヒータバルブ33は空調装置12の操作手段38及びモータ駆動回路40と接続され、操作手段38により暖房側に切り換えられると、ヒータバルブ33が開けられて送水可能とする。また、エンジン5の冷却回路にはラジエータ37が設けられ、配管により接続され、ラジエータ37により冷却した冷却水はウオータポンプ31に戻される。
このような構成において、エンジン5が冷えているときにはウオータポンプ31は作動されず、水温センサ36の検出値が設定温度以上になると、モータ32が作動され、冷却水はラジエータ37との間で循環される。また、空調装置12の操作手段38における暖房の操作が行われると、ヒータバルブ33が開けられてヒータユニット34にエンジン5冷却後の温かい冷却水が送水されるとともに、電動ファン29が作動され、温風をキャビン8内に送る。このとき、エンジン5が低回転であっても、モータ32は所望の回転数で駆動することができるため、キャビン8内が冷えているときに、エンジン5がアイドリング等低回転で駆動されていても、モータ32の回転数を増加させて、ウオータポンプ31による温水の送水量を増加させて、ヒータユニット34からの放射熱量を増加させてキャビン8内を速やかに温めることができるのである。
以上のように、トラクタ1の操縦部を覆うキャビン8のキャビンルーフ11に空調装置12を配置する構成において、キャビンルーフ11の前部に熱交換器(エバポレータ25)と電動ファン29を収容する室内機収容空間11aとダクト30を配置し、キャビンルーフ11の後部に室外機収容空間11bを形成し、該室外機収容空間11b内に、熱交換器(コンデンサ22)と、電動モータ20により駆動される圧縮機21と電動ファン28を配置したので、キャビン8とともに空調装置12を着脱できるようになり、組み立て時やメンテナンス時に空調用配管を外す必要がなく、組み立て性やメンテナンス性を向上できる。また、空調用配管の取り回しが短くなり、空調効率を向上できる。また、電動機のみで空調装置12を駆動できるため、動力伝達構成が簡単となり制御が容易にできる。
また、前記室外機収容空間11b内に配置される熱交換器と圧縮機21は左右に併設されるので、前後方向の長さを短くできコンパクトに室外機収容空間11bに収納できる。
ある。
また、前記圧縮機21の吐出方向を切り換える切換弁55を設け、該切換弁55の切り換えにより冷房と暖房を切り換え可能としたので、一つの空調装置によりキャビン内を年中快適な空間として作業環境を向上できる。
1 トラクタ
8 キャビン
11 キャビンルーフ
11a 室内機収容空間
11b 室外機収容空間
12 空調装置
20 電動モータ
21 圧縮機
22 熱交換器(コンデンサ)
25 熱交換器(エバポレータ)
28 電動ファン
29 電動ファン
30 ダクト

Claims (3)

  1. トラクタの操縦部を覆うキャビンのキャビンルーフに空調装置を配置する構成において、キャビンルーフの前部に熱交換器と電動ファンを収容する室内機収容空間とダクトを配置し、キャビンルーフの後部に室外機収容空間を形成し、該室外機収容空間内に、熱交換器と、電動モータにより駆動される圧縮機と電動ファンを配置したことを特徴とするトラクタの空調装置。
  2. 前記室外機収容空間内に配置される熱交換器と圧縮機は左右に併設されることを特徴とする請求項1に記載のトラクタの空調装置。
  3. 前記圧縮機の吐出方向を切り換える切換弁を設け、該切換弁の切り換えにより冷房と暖房を切り換え可能としたことを特徴とする請求項1に記載のトラクタの空調装置。
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