本発明者は、上記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、基材シート上に、特定の2層を設ける場合には、上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、下記の化粧シート及び化粧材に関する。
1. 基材シート上に、少なくとも低艶印刷層及び表面保護層が順に積層されており、且つ、前記低艶印刷層及び前記表面保護層が互いに隣接している化粧シートであって、
(1) 前記表面保護層のグロス値(入射角60°)が10以下であり、
(2) 前記低艶印刷層のグロス値(入射角60°)が5以下であり、
(3) 前記表面保護層の厚さが30μm以下である、
ことを特徴とする、化粧シート。
2. 前記化粧シートの前記表面保護層側の面1cm2当たりに占める前記低艶印刷層の面積の割合が、20〜80%である、上記項1に記載の化粧シート。
3. 前記表面保護層のグロス値(入射角60°)が、前記低艶印刷層のグロス値(入射角60°)よりも2以上高い、上記項1又は2に記載の化粧シート。
4. 前記化粧シートの厚さが250μm以下である、上記項1〜3のいずれかに記載の化粧シート。
5. 前記化粧シートの引張弾性率が700MPa以上である、上記項1〜4のいずれかに記載の化粧シート。
6. 被着材上に、上記項1〜5のいずれかに記載の化粧シートが積層されていることを特徴とする化粧材。
以下、本発明の化粧シート及び化粧材について説明する。
≪化粧シート≫
本発明の化粧シートは、基材シート上に、少なくとも低艶印刷層及び表面保護層が順に積層されており、且つ、前記低艶印刷層及び前記表面保護層が互いに隣接している化粧シートであって、
(1) 前記表面保護層のグロス値(入射角60°)が10以下であり、
(2) 前記低艶印刷層のグロス値(入射角60°)が5以下であり、
(3) 前記表面保護層の厚さが30μm以下である、
ことを特徴とする。
本発明の化粧シートは、基材シート上に、特定のグロス値を有する低艶印刷層、並びに特定のグロス値及び厚さを有する表面保護層が、互いに隣接するように形成されている。そのため、合板等の凹凸のある被着材を使用する場合であっても、外観品質に優れた化粧材の製造に適した化粧シートを提供することができる。
本発明の化粧シートは、基材シート上に、少なくとも上記(1)〜(3)の要件を満たす低艶印刷層及び表面保護層を有する。つまり、本発明の化粧シートは、基材シート上に、前記低艶印刷層及び表面保護層が互いに隣接するように順に積層された上で、上記(1)〜(3)の要件を満たす限り、層構成及び各層を構成する樹脂成分などは特に限定されない。層構成としては、例えば、基材シート上に、着色隠蔽層、絵柄模様層、透明性接着剤層、透明性樹脂層、低艶印刷層及び表面保護層を積層した層構成が挙げられる。また、基材シート裏面には、化粧シート及び化粧材の衝撃吸収などを目的とした緩衝層(いわゆる合成樹脂製バッカー層)を積層してもよい。なお、本明細書では、基材シートから見て表面保護層が積層されている方向を「上」又は「おもて面」と称し、基材シートから見て合成樹脂製バッカー層、又は後述する被着材が積層されている方向を「下」又は「裏面」と称する。化粧シート又は化粧材の「おもて面(側)」又は「表面保護層(側)の面」とは、化粧シート又は化粧材の施工後に視認される面を意味する。
以下、基材シート上に、着色隠蔽層、絵柄模様層、透明性接着剤層、透明性樹脂層、低艶印刷層及び表面保護層が積層された化粧シートについて、例示的に説明する。
基材シート
基材シートとしては限定的ではないが、樹脂成分としてポリオレフィン系樹脂を含む基材シートが好ましい。実質的には、ポリオレフィン系樹脂からなるシートを用いる。
ポリオレフィン系樹脂としては特に限定されず、化粧シートの分野で通常用いられているものが使用できる。例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリメチルペンテン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−プロピレン−ブテン共重合体、ポリオレフィン系熱可塑性エラストマー等が挙げられる。これらの中でも、特にポリプロピレン、ポリオレフィン系熱可塑性エラストマー等が好ましい。
ポリプロピレンを主成分とする単独重合体又は共重合体も好ましく、例えば、ホモポリプロピレン樹脂、ランダムポリプロピレン樹脂、ブロックポリプロピレン樹脂、及び、ポリプロピレン結晶部を有し、且つプロピレン以外の炭素数2〜20のα−オレフィンが挙げられる。その他、エチレン、ブテン−1、4−メチルペンテン−1、ヘキセン−1又はオクテン−1のコモノマーを15モル%以上含有するプロピレン−α−オレフィン共重合体等も好ましい。
ポリオレフィン系熱可塑性エラストマーは、ハードセグメントにアイソタクチックポリプロピレン、ソフトセグメントにアタクチックポリプロピレンを重量比80:20で混合したものが好ましい。
ポリオレフィン系樹脂は、例えば、カレンダー法、インフレーション法、Tダイ押し出し法等によりフィルム状にすればよい。
基材シートの厚さ(層厚)は、特に限定されず、製品特性に応じて設定できるが、通常50〜250μm、好ましくは50〜100μm程度である。
基材シートには、必要に応じて、添加剤が配合されてもよい。添加剤としては、例えば、炭酸カルシウム、クレー等の充填剤、水酸化マグネシウム等の難燃剤、酸化防止剤、滑剤、発泡剤、着色剤(下記参照)などが挙げられる。また、添加剤の配合量は、製品特性に応じて適宜設定できる。
着色剤としては特に限定されず、顔料、染料等の公知の着色剤を使用できる。例えば、チタン白、亜鉛華、弁柄、朱、群青、コバルトブルー、チタン黄、黄鉛、カーボンブラック等の無機顔料;イソインドリノン、ハンザイエローA、キナクリドン、パーマネントレッド4R、フタロシアニンブルー、インダスレンブルーRS、アニリンブラック等の有機顔料(染料も含む);アルミニウム、真鍮等の金属顔料;二酸化チタン被覆雲母、塩基性炭酸鉛等の箔粉からなる真珠光沢(パール)顔料などが挙げられる。基材シートの着色態様には、透明着色と不透明着色(隠蔽着色)があり、これらは任意に選択できる。例えば、被着材(例えば木質系基材等)の地色を着色隠蔽する場合には、不透明着色を選択すればよい。一方、被着材の地模様を目視できるようにする場合には、透明着色を選択すればよい。
基材シートの片面又は両面には、必要に応じて、コロナ放電処理、オゾン処理、プラズマ処理、電離放射線処理、重クロム酸処理等の表面処理を施してもよい。例えば、コロナ放電処理を行う場合には、基材シート表面の表面張力が30 dyne以上、好ましくは40 dyne以上となるようにすればよい。表面処理は、各処理の常法に従えばよい。
基材シートの片面又は両面には、必要に応じて、プライマー層(例えば、合成樹脂製バッカー層又は被着材の接着を容易とするための裏面プライマー層、絵柄模様層の形成を容易とするためのプライマー層)を設けてもよい。
プライマー層は、公知のプライマー剤を基材シートの片面又は両面に塗布することにより形成できる。プライマー剤としては、例えば、アクリル変性ウレタン樹脂等からなるウレタン樹脂系プライマー剤、ウレタン−セルロース系樹脂(例えば、ウレタンと硝化綿の混合物にヘキサメチレンジイソシアネートを添加してなる樹脂)からなるプライマー剤等が挙げられる。
プライマー層の厚さは特に限定されないが、通常0.1〜20 μm、好ましくは0.5〜10 μm程度である。
絵柄模様層
本発明の化粧シートは、絵柄模様層を有していてもよい。
絵柄模様層は、化粧シートに所望の絵柄による意匠性を付与するものであり、絵柄の種類等は特に限定的ではない。例えば、木目模様、石目模様、砂目模様、タイル貼模様、煉瓦積模様、布目模様、皮絞模様、幾何学図形、文字、記号、抽象模様等が挙げられる。
絵柄模様層の形成方法は特に限定されず、例えば、公知の着色剤(染料又は顔料)を結着材樹脂とともに溶剤(又は分散媒)中に溶解(又は分散)させて得られる着色インキ、コーティング剤等を用いた印刷法などにより形成すればよい。
着色剤としては、例えば、カーボンブラック、チタン白、亜鉛華、弁柄、紺青、カドミウムレッド等の無機顔料;アゾ顔料、レーキ顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、フタロシアニン顔料、イソインドリノン顔料、ジオキサジン顔料等の有機顔料;アルミニウム粉、ブロンズ粉等の金属粉顔料;酸化チタン被覆雲母、酸化塩化ビスマス等の真珠光沢顔料;蛍光顔料;夜光顔料等が挙げられる。これらの着色剤は、1種単独又は2種以上を混合して使用できる。これらの着色剤には、シリカ等のフィラー、有機ビーズ等の体質顔料、中和剤、界面活性剤等がさらに配合してもよい。
結着材樹脂としては、例えば、アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ウレタン系樹脂、塩素化ポリオレフィン系樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体系樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、アルキド系樹脂、石油系樹脂、ケトン樹脂、エポキシ系樹脂、メラミン系樹脂、フッ素系樹脂、シリコーン系樹脂、繊維素誘導体、ゴム系樹脂等が挙げられる。これらの樹脂は、1種単独又は2種以上を混合して使用できる。
溶剤(又は分散媒)としては、例えば、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の石油系有機溶剤;酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸−2−メトキシエチル、酢酸−2−エトキシエチル等のエステル系有機溶剤;メチルアルコール、エチルアルコール、ノルマルプロピルアルコール、イソプロピルアルコール、イソブチルアルコール、エチレングリコール、プロピレングリコール等のアルコール系有機溶剤;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系有機溶剤;ジエチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン等のエーテル系有機溶剤;ジクロロメタン、四塩化炭素、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレン等の塩素系有機溶剤;水等の無機溶剤などが挙げられる。これらの溶剤(又は分散媒)は、1種単独又は2種以上を混合して使用できる。
絵柄模様層の形成に用いる印刷法としては、例えば、グラビア印刷法、オフセット印刷法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、静電印刷法、インクジェット印刷法等が挙げられる。また、全面ベタ状の絵柄模様層を形成する場合には、例えば、ロールコート法、ナイフコート法、エアーナイフコート法、ダイコート法、リップコート法、コンマコート法、キスコート法、フローコート法、ディップコート法等の各種コーティング法が挙げられる。その他、手描き法、墨流し法、写真法、転写法、レーザービーム描画法、電子ビーム描画法、金属等の部分蒸着法、エッチング法等を用いたり、他の形成方法と組み合わせて用いたりしてもよい。
絵柄模様層の厚さは特に限定されず、製品特性に応じて適宜設定できるが、塗工時の厚さは1〜15μm、乾燥後の厚さは0.1〜10μm程度である。
着色隠蔽層
基材シートと絵柄模様層との間には、必要に応じて、更に着色隠蔽層を形成してもよい。着色隠蔽層は、化粧シートのおもて面から木質系基材等の被着材の地色を隠蔽したい場合に設けられる。基材シートが透明性である場合は勿論、基材シートが隠蔽着色されている場合でも、隠蔽性を安定化するために形成してもよい。
着色隠蔽層を形成するインクとしては、絵柄模様層を形成するインクであって隠蔽着色が可能なものが使用できる。
着色隠蔽層の形成方法は、基材シート全体を被覆(全面ベタ状)するように形成できる方法が好ましい。例えば、前記したロールコート法、ナイフコート法、エアーナイフコート法、ダイコート法、リップコート法、コンマコート法、キスコート法、フローコート法、ディップコート法等が好ましいものとして挙げられる。
着色隠蔽層の厚さは特に限定されず、製品特性に応じて適宜設定できるが、塗工時の厚さは0.2〜10μm、乾燥後の厚さは0.1〜5μm程度である。
透明性接着剤層
絵柄模様層の上には、透明性接着剤層が形成されていてもよい。
透明性接着剤層は、透明性のものであれば特に限定されず、無色透明、着色透明、半透明等のいずれも含む。透明性接着剤層は、絵柄模様層と透明性樹脂層とを接着するために形成することができる。
接着剤としては特に限定されず、化粧シートの分野で公知の接着剤が使用できる。
化粧シートの分野で公知の接着剤としては、例えば、ポリアミド樹脂、アクリル樹脂、酢酸ビニル樹脂等の熱可塑性樹脂;熱硬化性ウレタン樹脂等の硬化性樹脂;などが挙げられる。また、イソシアネートを硬化剤とする二液硬化型ポリウレタン樹脂又はポリエステル樹脂も適用し得る。
接着剤層は、例えば、接着剤を絵柄模様層上に塗布し、透明性樹脂層を構成する塗工剤(接着剤)を塗工後、乾燥・硬化させることにより形成できる。乾燥温度・乾燥時間等の条件は特に限定されず、接着剤の種類に応じて適宜設定すればよい。接着剤の塗布方法は特に限定されず、例えば、ロールコート、カーテンフローコート、ワイヤーバーコート、リバースコート、グラビアコート、グラビアリバースコート、エアーナイフコート、キスコート、ブレードコート、スムースコート、コンマコート等の方法が採用できる。
接着剤層の厚さは特に限定されないが、乾燥後の厚さが0.1〜30μm、好ましくは1〜20μm程度である。
透明性樹脂層
本発明の化粧シートは、基材シートの上に、透明性樹脂層を有していてもよい。透明性樹脂層は透明である限り、無色透明、着色透明、半透明等のいずれも含む。
透明性樹脂層に含まれる樹脂成分としては、特に限定的ではない。例えば、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリアミド、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸エステル共重合体、アイオノマー、ポリメチルペンテン、アクリル酸エステル、メタアクリル酸エステル、ポリカーボネート、セルローストリアセテート等が挙げられる。上記の中でも、ポリプロピレン等のオレフィン系樹脂が好ましく、ポリオレフィン系樹脂がより好ましい。
透明性樹脂層は、例えば、透明性樹脂層を構成する樹脂組成物を、カレンダー法、インフレーション法、Tダイ押出し法等により形成する。また、既成のフィルムを用いてもよい。
透明性樹脂層は、必要に応じて、耐候剤を含有してもよい。耐候剤としては、例えば、紫外線吸収剤、ヒンダードアミン系光安定剤等が好ましい。これらの耐候剤は、単独又は2種以上を混合して使用できる。特に透明性樹脂層がポリプロピレンを含有する場合には、耐候剤を含有することが好ましい。
紫外線吸収剤としては、例えば、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、トリアジン系紫外線吸収剤等が挙げられる。光安定剤としては、例えば、ヒンダードアミン系光安定剤が好適である。これらの耐候剤の含有量は限定されないが、紫外線吸収剤・光安定剤ともに、透明性樹脂層中1000〜10000質量ppm程度とすればよい。
透明性樹脂層には、必要に応じて、充填剤、艶消し剤、発泡剤、難燃剤、滑剤、帯電防止剤、酸化防止剤、ラジカル捕捉剤、軟質成分(例えばゴム)等の各種の添加剤が含まれていても良い。
透明性樹脂層の表面であって、後記する低艶印刷層を形成する面には、必要に応じて、コロナ放電処理、オゾン処理、プラズマ処理、電離放射線処理、重クロム酸処理等の表面処理を施してもよい。表面処理は、各処理の常法に従って行えばよい。
透明性樹脂層の厚さは特に限定されないが、10〜400μm程度が好ましく、40〜250μm程度がより好ましく、40〜100μmがさらに好ましい。
透明性樹脂層の表面には、プライマー層(低艶印刷層の形成を容易とするためのプライマー層)が形成されていてもよい。
プライマー層は、公知のプライマー剤を基材シートの片面又は両面に塗布することにより形成できる。プライマー剤としては、例えば、アクリル変性ウレタン樹脂等からなるウレタン樹脂系プライマー剤、アクリルとウレタンのブロック共重合体からなる樹脂系プライマー剤等が挙げられる。
プライマー層の厚みは特に限定されないが、通常0.1〜10μm、好ましくは1〜5μm程度である。
低艶印刷層
本発明の化粧シートは、後述する表面保護層の裏面側に、グロス値(入射角60°)が5以下の低艶印刷層が形成されている。低艶印刷層は、表面保護層と隣接するようにして形成されている。なお、低艶印刷層は、低艶効果(艶消し効果)を発揮するインキによって形成されている層である。本明細書では、以下、「(入射角60°)」という記載を省略する場合がある。
低艶印刷層による領域は、当該低艶印刷層以外の領域と比べて低艶である(低艶領域を形成する)。このような仕組みについては十分に解明されるまでには至っていないが、低艶印刷層上に表面保護層を形成するための表面保護層形成用樹脂組成物を塗布した際に、各材料の組み合わせや塗布条件の選択によって低艶印刷層の樹脂成分と表面保護層形成用樹脂組成物とが一部溶出、分散、混合等の相互作用を発現することによるものと推測される。すなわち、低艶印刷層のインキ及び表面保護層形成用樹脂組成物のそれぞれの樹脂成分は、短時間には完全な相溶状態にはならずに懸濁状態となって、低艶印刷層上ないしその近辺に存在し、当該懸濁状態となった部分が光を散乱して低艶領域を形成するものと考えられる。この懸濁状態を有したまま樹脂を硬化させて表面保護層が形成されるため、表面保護層中の低艶印刷層のある領域(箇所)が少なくとも低艶領域となり、目の錯覚によりその領域が凹部であるかのように認識されるものと推測される。なお、低艶印刷層は表面保護層と隣接するようにして形成されるが、低艶印刷層と表面保護層との上記相互作用を阻害しない範囲であれば、低艶印刷層と表面保護層との間に、1)接着層;2)ドット状、格子状、等のパターン層;などを形成してもよい。
低艶印刷層は、グロス値が5以下である。グロス値が10以下の表面保護層の裏面側にグロス値が5以下である低艶印刷層が形成されているため、斜光でおもて面(化粧シート又は化粧材の施工後に視認される面)を見た時に、低艶印刷層がある領域の艶が一層低くくすんで見える、いわゆる「艶が引けて見える」。その結果、本発明の化粧シートを用いた化粧材は、被着材起因のダクが目立ず、外観品質に優れる。一方、低艶印刷層のグロス値が5を超える場合、艶が十分に引けず、被着材起因のダクを目立たなくするには不十分となる。低艶印刷層のグロス値は、1〜3が好ましい。
本明細書における低艶印刷層のグロス値は、JIS Z8741に準拠して測定された値である。具体的には、本発明では、グロス計として日本電色工業株式会社製PG-3Dを用いて、入射角=60°の条件で測定している。なお、グロス値を、光沢値ともいう。
低艶印刷層のグロス値は、本発明の化粧シートを作製する過程で、表面保護層がまだ形成されていない化粧シートの中間体の状態で(最表層が低艶印刷層の状態で)上述のJIS Z8741に規定された方法に従って測定し、決定している。
低艶印刷層の形成方法は、特に限定されず、例えば、前述の絵柄模様層と同様、公知の着色剤(染料、顔料等)、ビヒクル等とともに溶剤(又は分散媒)中に溶解(又は分散)させて得られるインキにより形成することができる。着色剤及び溶剤については、それぞれ前述の絵柄模様層における着色剤及び溶剤と同様のものを使用することができる。
低艶印刷層を形成するインキのビヒクルとしてはウレタン系樹脂及び/又はポリビニルアセタール系樹脂を50質量%以上含有しているものが好ましい。前記ウレタン系樹脂は、ポリオール成分として、アクリルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール等のポリオールと、イソシアネート成分として、トリレンジイソシアネート、キシレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート等の芳香族イソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、水添トリレンジイソシアネート等の脂肪族ないし脂環式イソシアネート等のイソシアネートとを反応させてなるウレタン樹脂(線状に架橋したもの、あるいは、網目状に架橋したもののいずれであってもよい)を挙げることができる。また、ポリビニルアセタール系樹脂は、ポリビニルアルコールとアルデヒド類との縮合(アセタール化)により得られる。ポリビニルアセタール系樹脂としては、ポリビニルホルマール(ホルマール樹脂)、ポリビニルアセトアセタール、ポリビニルプロピオナール、ポリビニルブチラール(ブチラール樹脂)ポリビニルへキシラール等を挙げることができるが、溶剤に可溶でありインキ化し易く、視覚的凹凸感の発現(視覚的に凹部として認識されること)が良好であるなどの理由から、特にポリビニルブチラールが好ましい。
また、必要に応じて、グロス値を調整するため、不飽和ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体等の艶調整樹脂を混合して用いてもよい。艶調整樹脂を使用する場合、その混合割合はビヒクルの全量に対して10〜50質量%の範囲が好ましい。また、低艶印刷層を形成するインキは、無着色であっても、顔料等の着色剤を加えて着色したものであってもよいものである。
また、低艶印刷層を形成するためのインキに体質顔料を配合してもよい。体質顔料を配合する場合、光の散乱を助長し、低艶効果を一層高めることができる。体質顔料としては特に限定されるものではないが、たとえば、シリカ、タルク、クレー、硫酸バリウム、炭酸バリウム、硫酸カルシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム等から適宜選択される。これらの中で、吸油度、粒径、細孔容積等の材料設計の自由度が高く、意匠性、白さ、インキとしての塗布安定性に優れた材料であるシリカが好ましく、特に微粉末のシリカが好ましい。なお、体質顔料を使用する場合、その含有量は、体質顔料以外のインキ(インキ組成物)100質量部に対して5〜15質量部が好ましい。
低艶印刷層のグロス値は、上述のビヒクル、艶調整樹脂、着色剤(体質顔料含む)等の各物質の種類を選定する方法;上記各物質の含有量を適宜設定する方法;などによって、調整することができる。
低艶印刷層の形成に用いる印刷法としては、例えば、前述の絵柄模様層の形成に用いる印刷法と同様、グラビア印刷法、オフセット印刷法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、静電印刷法、インクジェット印刷法等が挙げられる。また、全面ベタ状の低艶印刷層を形成する場合は、絵柄模様層の形成における各種コーティング法と同様の方法が挙げられる。
低艶印刷層の絵柄の種類は、特に限定されず、例えば、前述の絵柄模様層における絵柄と同様のものが挙げられる。
低艶印刷層は、化粧シートの表面保護層側の面全体に形成してもよい(即ち、化粧シートの表面保護層側の面1cm2当たりに占める低艶印刷層の面積の割合を100%としてもよい)が、前記割合は20〜80%が好ましい。前記割合が上記範囲内であることにより、低艶印刷層が存在する部位と存在しない部位によって生じる艶差が陰影を形成し、当該陰影が被着材起因のダクをより目立たなくする。その結果、外観品質はさらに優れる。なお、本明細書において、化粧シートの表面保護層側の面1cm2当たりに占める低艶印刷層の面積の割合を「低艶印刷層の占有面積割合」と称する場合がある。前記低艶印刷層の占有面積割合は、例えば低艶印刷層を形成(印刷)するための版の形状、パターン等を適宜設定することによって、調整することができる。
本明細書では、前記低艶印刷層の占有面積割合を、低艶印刷層を形成するための版を作製する段階での製版データから算出している。前記低艶印刷層の占有面積割合は、当該版の形状から算出することもできる。
低艶印刷層は、ドット状、格子状、木目導管柄(状)等のパターン状に形成されていることが好ましい。低艶印刷層が上記パターン状に形成されていることにより、低艶印刷層のある領域の艶が、低艶印刷層以外の領域(低艶印刷層のない領域)の艶よりも一層低くくすんで見えるので、凹部があるかのような目の錯覚を生じ独特の立体感として視認される。そのため、上記ダクがより一層目立たなくなる。
本発明の化粧シートに前述の絵柄模様層が形成されている場合、低艶印刷層を当該絵柄模様層の模様に連動(同調)するように形成することが好ましい。例えば、絵柄模様層が木目模様調で形成されている場合、木目導管柄調にパターン印刷して低艶印刷層を形成することで、より意匠性に優れた化粧シートが得られる。
低艶印刷層の膜厚としては、印刷適性や表面保護層形成用樹脂組成物との相互作用を考慮すると0.5μm〜5μmが好ましい。
表面保護層
低艶印刷層の上には、表面保護層が形成されている。表面保護層は透明性であることが好ましい。
表面保護層は、グロス値が10以下である。表面保護層のグロス値が10以下であることにより、本発明の化粧シートを用いた化粧材は、被着材起因のダクが目立ず、外観品質に優れる。一方、表面保護層のグロス値が10を超える場合、艶が十分に引けず、被着材起因のダクを目立たなくするには不十分となる。なお、表面保護層のグロス値は、低艶印刷層のグロス値と同様、JIS Z8741に準拠して測定された値であり、日本電色工業株式会社製PG-3Dを用いて、入射角=60°の条件で測定している。表面保護層のグロス値は、3〜7が好ましい。
表面保護層のグロス値は、低艶印刷層を形成しない以外は本発明の化粧シートと同様の化粧シートを「表面保護層のグロス値測定用」として作製し、当該化粧シートの最表層に対して上述のJIS Z8741に規定された方法に従って測定し、決定している。
表面保護層は限定的ではないが、樹脂成分として電離放射線硬化型樹脂及び2液硬化型ウレタン系樹脂の少なくとも1種を含有することが好ましい。実質的には、これらの樹脂から形成されているものが好ましい。電離放射線硬化型樹脂又は2液硬化型ウレタン系樹脂により表面保護層を形成する場合には、化粧シートの耐摩性、耐衝撃性、耐汚染性、耐擦傷性、耐候性等を高め易い。
電離放射線硬化型樹脂としては特に限定されず、紫外線、電子線等の電離放射線の照射により重合架橋反応可能なラジカル重合性二重結合を分子中に含むプレポリマー(オリゴマーを含む)及び/又はモノマーを主成分とする透明性樹脂が使用できる。これらのプレポリマー又はモノマーは、単体又は複数を混合して使用できる。硬化反応は、通常、架橋硬化反応である。
具体的には、前記プレポリマー又はモノマーとしては、分子中に(メタ)アクリロイル基、(メタ)アクリロイルオキシ基等のラジカル重合性不飽和基、エポキシ基等のカチオン重合性官能基等を有する化合物が挙げられる。また、ポリエンとポリチオールとの組み合わせによるポリエン/チオール系のプレポリマーも好ましい。ここで、(メタ)アクリロイル基とは、アクリロイル基又はメタクリロイル基の意味である。
ラジカル重合性不飽和基を有するプレポリマーとしては、例えば、ポリエステル(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、メラミン(メタ)アクリレート、トリアジン(メタ)アクリレート、シリコーン(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらの分子量としては、通常250〜100000程度が好ましい。
ラジカル重合性不飽和基を有するモノマーとしては、例えば、単官能モノマーとして、メチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。また、多官能モノマーとしては、例えば、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンエチレンオキサイドトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
カチオン重合性官能基を有するプレポリマーとしては、例えば、ビスフェノール型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ化合物等のエポキシ系樹脂、脂肪酸系ビニルエーテル、芳香族系ビニルエーテル等のビニルエーテル系樹脂のプレポリマーが挙げられる。また、チオールとしては、例えば、トリメチロールプロパントリチオグリコレート、ペンタエリスリトールテトラチオグリコレート等のポリチオールが挙げられる。ポリエンとしては、例えば、ジオール及びジイソシアネートによるポリウレタンの両端にアリルアルコールを付加したものが挙げられる。
電離放射線硬化型樹脂を硬化させるために用いる電離放射線としては、電離放射線硬化型樹脂(組成物)中の分子を硬化反応させ得るエネルギーを有する電磁波又は荷電粒子が用いられる。通常は紫外線又は電子線を用いればよいが、可視光線、X線、イオン線等を用いてもよい。
紫外線源としては、例えば、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、低圧水銀灯、カーボンアーク灯、ブラックライト、メタルハライドランプ等の光源が使用できる。紫外線の波長としては、通常190〜380nmが好ましい。
電子線源としては、例えば、コッククロフトワルトン型、バンデグラフト型、共振変圧器型、絶縁コア変圧器型、又は直線型、ダイナミトロン型、高周波型等の各種電子線加速器が使用できる。その中でも、特に100〜1000keV、好ましくは100〜300keVのエネルギーをもつ電子を照射できるものが好ましい。
2液硬化型ウレタン系樹脂としては特に限定されないが、中でも主剤としてOH基を有するポリオール成分(アクリルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、エポキシポリオール等)と、硬化剤成分であるイソシアネート成分(トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、メタキシレンジイソシアネート等)とを含むものが使用できる。
表面保護層は、必要に応じて、耐侯剤、可塑剤、安定剤、充填剤、分散剤、染料、顔料等の着色剤、溶剤等を含んでもよい。耐候剤を含有する場合の種類、含有量については、透明性樹脂層における説明と同様である。
着色剤としては、公知の染料や顔料、体質顔料等を使用することができる。例えば、体質顔料としては、低艶印刷層で使用される体質顔料と同様の体質顔料を使用することができ、特に艶調整用としてシリカが好適に使用される。
表面保護層のグロス値は、樹脂成分、着色剤等の各物質の種類を選定する方法;上記各物質の含有量を適宜設定する方法;などによって、調整することができる。
表面保護層のグロス値は、低艶印刷層のグロス値よりも2以上高いことが好ましい。つまり、表面保護層のグロス値をGP、低艶印刷層のグロス値をGMとした場合に、GP−GM≧2となることが好ましい。GP−GM≧2であることにより、表面保護層と低艶印刷層との間で艶差が生じるため、被着材起因のダクをより目立たなくする。その結果、外観品質はさらに優れる。
表面保護層は、例えば、低艶印刷層の上に電離放射線硬化型樹脂又は2液硬化型ウレタン系樹脂を含有する表面保護層形成用樹脂組成物をグラビアコート、ロールコート等の公知の塗工法により塗工後、樹脂を硬化させることにより形成できる。電離放射線硬化型樹脂の場合には、電子線照射等により樹脂硬化する。
表面保護層の厚さは、30μm以下である。表面保護層の厚さが30μmを超えると、前述の低艶印刷層による艶が引けて見える効果が得られない場合がある。表面保護層の厚さは、少なくとも4μm以上が好ましく、5〜20μmがより好ましい。
エンボス加工
化粧シートの最表層側には、必要に応じてエンボス加工を施してもよい。
エンボス加工方法は特に限定されず、例えば、表面保護層のおもて面を加熱軟化させてエンボス版により加圧・賦形後、冷却する方法が好ましい方法として挙げられるが、最終製品である化粧シート又は表面保護層の材質によっては、例えば、透明性樹脂層のおもて面を加熱軟化させてエンボス版により加圧・賦型後、その上に表面保護層を形成してもよい。
エンボス加工には、公知の枚葉式又は輪転式のエンボス機が用いられる。凹凸形状とし
ては、例えば、木目板導管溝、石板表面凹凸(花崗岩劈開面等)、布表面テクスチャア、
梨地、砂目、ヘアライン、万線条溝等がある。
本発明の化粧シートにおけるエンボス加工は、低艶印刷層の模様に連動(同調)するように形成することが好ましい。例えば、低艶印刷層が木目導管柄調にパターン印刷されている場合、木目導管柄の凹凸模様を形成することで、より意匠性に優れた化粧シートが得られる。
合成樹脂製バッカー層
化粧シートは、基材シート裏面に合成樹脂製バッカー層を有していてもよい。ここで、バッカー層は、化粧材において衝撃吸収等を目的とした緩衝層を意味する。バッカー層を構成する材料としては、例えば、ポリプロピレン、エチレン−ビニルアルコール共重合体、ポリメチレン、ポリメチルペンテン、ポリエチレンテレフタレート、耐熱性の高いポリアルキレンテレフタレート〔例えば、エチレングリコールの一部を1,4−シクロヘキサンジメタノールやジエチレングリコール等で置換したポリエチレンテレフタレートである、いわゆる商品名PET−G(イーストマンケミカルカンパニー製)〕、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリエチレンナフタレート−イソフタレート共重合体、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリイミド、ポリスチレン、ポリアミド、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS)等が挙げられる。これらの樹脂は単独又は2種以上で使用できる。バッカー層の厚さは限定的ではないが、100〜600μmが好ましい。
バッカー層には、必要に応じ、コロナ放電処理、プラズマ処理、脱脂処理、表面粗面化処理等の公知の易接着処理を接着面に施すこともできる。また、被着材との接着性を考慮して裏面にプライマー層を更に設けてもよい。
バッカー層を設けることにより、耐傷性を高めることができる。また、バッカー層を設けることにより化粧シート全体の厚さが大きくなるため、被着材の凹凸に追従するダクの影響を抑制することが可能となり、結果として外観品質はさらに優れる。
化粧シート全体の厚さは、限定されないが、250μm以下が好ましい。化粧シート全体の厚さが250μm以下であることにより、化粧シートから化粧材を作製する際の加工適性が高まるので、化粧シートの強いカールによるラミネートのしづらさが解消されたり、切削によるバリの発生が低下する。
化粧シートの引張弾性率は、限定されないが、700MPa以上であることが好ましい。化粧シートの引張弾性率が700MPa以上であることにより、被着材の凹凸に追従するダクの影響を抑制することができる。その結果、外観品質はさらに優れる。なお、引張弾性率は、引張試験機(テンシロン万能試験機RTC−1250A)を用いて、JIS K 6732(1996)の試験方法に倣ったダンベル形試験片状(図2参照)に打ち抜かれた試験サンプル(化粧シート)の両端を、50mm/minの速度で引っ張ったときの引張弾性率(MPa)を測定することにより求めた値である。
化粧シートの引張弾性率は、透明性樹脂層、バッカー層等の各層の有無、前記透明性樹脂層、表面保護層、バッカー層等を構成する樹脂の種類の選択、などを適宜選択することにより、調整することができる。
≪化粧材≫
本発明の化粧材は、被着材上に本発明の化粧シートが積層されていることを特徴とする。本発明の化粧材は、基材シート上に特定のグロス値を有する低艶印刷層、並びに特定のグロス値及び厚さを有する表面保護層を有する化粧シートが積層されている。そのため、本発明の化粧材は、合板等の凹凸のある被着材を使用する場合であっても、外観品質に優れる。
本発明の化粧材は、本発明の化粧シートと各種被着材と接合することにより得られる。被着材の材質は特に限定されず、例えば、無機非金属系、金属系、木質系、プラスチック系等の材質が挙げられる。中でも、木質系被着材(木質系基材)が好ましく、特に表面の凹凸が大きい木質合板(合板)がより好ましい。本発明の化粧シートを当該合板と接合して化粧材とした場合でも、外観品質に優れる。
木質系基材は、1種又は2種以上の木質層からなる。即ち、2種以上の場合には、木質層を2種以上積層してなる。2種以上の木質層からなる木質系基材としては、例えば、MDF/合板、MDF/合板/MDF等が挙げられる。
各木質層としては、木質単板、木質合板、木質繊維板、パーティクルボード(PB)、集成材等があり、木質単板及び木質合板の場合には、杉、檜、樫、ラワン、チーク、ユーカリ等の樹種がある。木質繊維板には、中密度木質繊維板(MDF)、高密度木質繊維板(HDF)等がある。
被着材として木質合板を使用する場合、木質合板の厚さは限定的ではないが、3〜15mm程度が好ましく、10〜15mm程度がより好ましい。また、木質合板を構成する木質単板の積層数(プライ数)も限定的ではないが、通常3〜7枚が好ましく、5〜7枚がより好ましい。
合板作製時に用いる接着剤としては限定されず、公知の木工用接着剤が広く使用できる。接着剤としては、例えば、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル・酢酸ビニル共重合体、エチレン・アクリル酸共重合体、アイオノマー、ブタジエン・アクリルニトリルゴム、ネオプレンゴム、天然ゴム等を有効成分とする接着剤が挙げられる。
無機非金属系では、例えば、抄造セメント、押出しセメント、スラグセメント、ALC(軽量気泡コンクリート)、GRC(ガラス繊維強化コンクリート)、パルプセメント、木片セメント、石綿セメント、硅酸カルシウム、石膏、石膏スラグ等の非陶磁器窯業系材料、土器、陶器、磁器、セッ器、硝子、琺瑯等のセラミックス材料などが挙げられる。
金属系では、例えば、鉄、アルミニウム、銅等の金属材料(金属鋼板)が挙げられる。
プラスチック系では、例えば、ポリプロピレン、ABS樹脂、フェノール樹脂等の樹脂材料が挙げられる。
このような被着材の形状は特に限定されず、通常はフローリング等への設置を考慮して平板とすればよい。
被着材と接合した後は、例えば、最終製品の特性に応じて、裁断、テノーナーを用いてサネ加工、V字形状の条溝付与、四辺の面取り等を施してもよい。
本発明の化粧材は、例えば、壁、天井、床等の建築物の内装材;バルコニー、ベランダ等の外装材;窓枠、扉、手すり等の建具の表面化粧板や家具;又は弱電、OA機器等のキャビネットの表面化粧板等に用いることができる。