JP2015066655A - 引き込み式チャック - Google Patents
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Description
従来の引き込み式チャックは、シャフトに設けられたガイド溝に従って動作する。
そのため、クランプ動作時は、ドローバーを引くと、ジョウピースはチャック中心軸に向き、シャフトは軸方向下側へ移動することでワークを把握している。
つまり、ジョウピースはチャック中心軸に向く際も、シャフト軸回りに回動しながらシャフトも軸方向下側に移動しているのである。
逆にアンクランプ動作時は、ドローバーを押すと、シャフトは軸方向上側へ移動し、ジョウピースがチャック外方に開いていく。
つまり、ジョウピースはチャック外方に開く際も、シャフト軸回りに回動しながらシャフトも軸方向上側に移動しているのである。
ワーク把握部の軸方向上側に半径方向に広がりを持つ大径部を有するワークの場合、大径部に干渉しないように旋盤側を把握する必要がある。
そのため、ワークに対するジョウピースの把握面積を減少させることなく、あるいは、ワークの加工領域を減少させることなく、非干渉領域を確保するのは難しい。
本発明は、ジョウピースの把握面積を減少させることなく、あるいは、ワークの加工領域を減少させることなく、非干渉領域を確保する飛び越し引き込み式チャックを提供することを目的とする。
すなわち、旋盤の主軸に固定されるチャック本体内に、一端が旋盤のドローバーに固定されたドロースクリューを内挿したプランジャーと、一端に爪を有し、他端がプランジャーと係合された複数の円柱状のシャフトとを備え、このプランジャーは、外周面において径方向外方に突出した環状の凸部を有し、この凸部と円柱状のシャフトとが係合する第1プランジャーと、第1プランジャーに内挿され、ドロースクリューを内挿した第2プランジャーとが二重で構成されている
また、二重構造のプランジャーの内、一方の第2プランジャーはドローバーと連結されることで軸方向にのみ進退移動可能であり、他方の第1プランジャーは、ドローバーの一定ストロークの範囲内のみ軸方向への進退移動が可能である。
また、第1プランジャーは、前述のドローバーの一定ストロークの範囲外では進退移動することなく、軸回りにのみ回動することができる。
旋盤等の工作機械に取付けられるチャックは、ワーク形状やワークの切削方法によって様々な種類が存在している。様々な種類の中で、加工精度を要求される場合は、ワークを把持して引き込む動作をする、引き込み式チャックが採用されている。
また、引き込み式チャックにもアルミホイールを把持するものや、矩形物を把持するものなど様々な種類が存在する。
一般的な引き込み式チャックは、ワーク下側を把持して引き込み、ワーク上側が切削される(以下、バイト側を上側、旋盤側を下側という)。
しかしながら、把持すべきワーク下側が加工面で把握痕をつけられない場合や、ワーク下側が歪な形状の場合や、上側が小径で下側が大径のワークで大径部の軸方向の厚みが薄い場合などは、ワーク下側のエリアを避けてワーク上側へ飛越して把握する必要がある(以下、エリアを避けてワーク前方へ飛越して把握することを飛越し把握という)。
また、チャック本体からシャフトだけ飛び出す構造にすると、切粉が溜まりやすくなりメンテナンス性が悪くなる問題も出てくる。
このような問題から、従来技術では、飛越し把握の引き込み式チャックでワークを取り出す時は、シャフトのストローク量を限りなく少なくするために、ジョウピースが旋回可能な領域分だけシャフトがシャフトの軸方向上側に移動し、次にシャフトがシャフトの軸方向上側に移動しながら旋回することでジョウピースは外側に開きワークを取り出すことを可能としている。これによって、チャック本体の胴厚と外径とシャフト長とを可能な限り大きくしない構造としている。
以上の検討から、シャフトのストローク量を少なくすることで、ワークの形状に左右されることなくワークの脱着が可能となり、また、ロボットやローダーなどを用いた自動搬送が可能となる。
把握するワークは、図1〜図5に一点鎖線で示すように、把握の対象となる小径部分w1の端部にその把握部より半径方向に広がりを持つ大径部分w2を有するもので、ワーク全体を符号wで示す。
この円柱状のシャフト5は、チャック本体1内にチャック本体1の軸と同心で旋盤側に頂点を向けた姿勢の直円錐の円周を三等分した位置の母線上に軸を置く形で3本嵌装されている。
尚、本実施例では複数の円柱状のシャフト5は3本で構成しているが、3本に限らず、2本または4本以上でも構わない。
この第2プランジャー4bは、断面T字形状の円筒で形成されており、内方には、その軸に同心に上側が大径で下側が小径の段付き貫通穴k2が設けられている。
ここで、便宜上、旋盤側を「下側」、旋盤と反対側を「上側」と定義し、例えば、ドローバーの上側の端面を上端面、第2プランジャー4bの下側の端面を下端面という。
ドロースクリュー8の下側に設けられたネジ部は、ドローバーに接続されることで、ドローバーの上端面と第2プランジャー4bの下端面とが係合される。
これによって、ドローバーが軸方向に対して上側にまたは下側に移動すると第2プランジャー4bとドロースクリュー8もドローバーと連動して上側にまたは下側に移動することが可能となる。図6は、(a)に第2プランジャーのガイド溝とガイドピンの位置関係図を示し、(b)に(a)のA−A断面図でのガイド溝とガイドピンの位置関係図を示したものである。
また、第2プランジャー4bには、周面に沿って軸に平行に走る規制溝4eが設けられている。
第1プランジャー4aは、断面十字形状の円筒で形成されており、内方には、その軸に同心に上側が大径で下側が小径の段付き貫通穴k1が設けられており、この貫通穴k1に第2プランジャー4bが内挿されている。
また、第1プランジャー4aには、周面にL字型形状の回り止め溝4gが設けられている。この回り止め溝4gには軸に直交して回り止めピン4fがリアボデー2を貫通して嵌入され、さらに、第2プランジャー4bの規制溝4e内まで突出している。
また、第1プランジャー4aの凸部tには、径方向外方に円周を三等分した位置に引掛溝10が設けられている。本実施例では、三等分した位置と限定しているが、三等分に限らず円柱状のシャフト5の本数に合わせて、二等分または四等分以上でも構わない。
このプランジャー規制プレート7は、断面が略三角形の略三角柱で、その中心はおむすび型の貫通穴k4が形成されており、その貫通穴k4に第1プランジャー4aは嵌入されている。
本実施例では、略三角形と限定しているが、円形や矩形、または多角形など適宜変更しても構わない。また、貫通穴k4も同様におむすび型と限定しているが、これに限らず、真円以外の不均一に成形された形状であれば、多角形や星型形状等でも構わない。
本発明のチャックを用いてワークをクランプ状態(図2)からアンクランプ状態a(図3)に移行するには、チャック外方に設けられたシリンダ(図示省略)が駆動し、ドロースクリュー8に接続された図示しないドローバー(図示省略)が軸方向上側へ押圧される。この時、ドローバーの上端面と第2プランジャー4bの下端面とは接しているため、ドロースクリュー8と第2プランジャー4bは、ドローバーの押圧力に連動して軸方向上側へ移動する。その際、第2プランジャーは、常に回動を規制し軸方向にのみ動作する回動規制機構を備えられており、この回動規制機構は規制溝4eと回り止めピン4fで構成されている。第2プランジャー4bに設けられた軸方向に平行な規制溝4eに、リアボデー2の径方向外方から軸に対して垂直に回り止めピン4fが嵌入されているため、規制溝4eに沿って、第2プランジャー4bは回動せず、軸方向上側に押圧される。
この状態でさらにドローバーが押圧されると、第1プランジャー4aはプランジャー規制プレート7に嵌入されている回動規制領域z2量分を押圧されると同時にチャック本体1内の端面に凸部tの上端面が接する。つまり、第1プランジャー4aは、ストローク規制領域z3量分だけしか軸方向に移動できないように規制されている。ここで回動規制領域z2は、ストローク規制領域z3と等しいかまたは、やや小さくなるように調整している。
前述の凸部tの上端面が接することで、クランプ状態(図2)からアンクランプ状態a(図3)に移行したこととなる。つまり、アンクランプ状態aとは、ワークwの小径部分w1のロボットやローダーなどの掴み代領域rに干渉せず、爪が旋回できる位置まで爪とワークwの小径部分w1との距離を離している(アンクランプ)状態のことである。
図5(b)は、図3の状態の平面図を示しワークwをアンクランプしている状態(アンクランプ状態a)である。また図5(c)は、図4の状態の平面図を示し、ワークの大径部分w2に干渉しないように爪が旋回している状態(アンクランプ状態b)である。
図6は、(a)に第2プランジャーのガイド溝とガイドピンの位置関係図を示し、(b)に(a)のA−A断面図でのガイド溝とガイドピンの位置関係図を示したものである。
また、第2プランジャー4bに設けられたガイド溝4cの長さは、第1プランジャー4aの旋回範囲sを規制している。つまり、ガイド溝4cの長さは、第1プランジャー4aに係合されているシャフト5とシャフト5に固定されている爪6の旋回規制にもなっている。
つまり、ロボットやローダーなどがチャックの爪近傍でワークwを掴んでいる状態であっても、爪6はシャフト5の軸方向上側に移動することなく、その場で開くことが可能である。
このような流れでロボットやローダーなどはワークwを搬出することが可能となる。
アンクランプ状態b(図4)からアンクランプ状態a(図3)に移行する作用を図5、図6をまじえながら説明する。
また、この状態で、前述の第1プランジャー4aと貫通穴k4の位相が合うようになっている。
爪が中心軸に向く際、爪は軸方向へは移動せず、その場で向くため掴み代rを掴んでいるロボットやローダーなどと干渉することはなく、また、ロボットやローダーなどの掴み代にギリギリの距離まで近づけることも可能である。
前述の位相が合った状態でドローバーを引くと、ドローバーに連動された第2プランジャー4bが軸方向下側に移動する。また、第1プランジャー4aも第2プランジャー4bと連動しているため、同様に軸方向下側に移動し、第1プランジャー4aは、プランジャー規制プレートの貫通穴k4に嵌入される。第1プランジャー4aは、貫通穴k4に嵌入されている間は貫通穴k4に軸回りの回動を規制されているため、軸方向下側へ移動する。爪が中心軸を向いている際、第1プランジャー4aの凸部tの下端面と凹部hの下端面とが接する両端面が互いに平行になされているため、ドローバーを引くと平行な両端面が面であたり、ワークwを引き込んで把握する。この際、平行な面で引き込むため、爪の把握面は必ずチャック中心軸を向くようになる。
以上、本発明を好適な実施形態により説明してきたが、こうした記述は限定事項ではなく、もちろん、種々の改変が可能である。
2 リアボデー
3 バックプレート
4 プランジャー
4a 第1プランジャー
4b 第2プランジャー
4c ガイド溝
4d ガイドピン
4e 規制溝
4f 回り止めピン
4g 回り止め溝
5 シャフト
6 爪
7 プランジャー規制プレート
8 ドロースクリュー
9a、9b、9c、9d ボルト
10 引掛溝
11 固定ピン
w ワーク
w1 小径部分
w2 大径部分
t 凸部
h 凹部
r 掴み代領域
s 旋回範囲
z1 厚み
z2 回動規制領域
z3 ストローク規制領域
k1、k2、k3、k4 貫通穴
100 引き込み式チャック
Claims (13)
- 旋盤の主軸に固定されるチャック本体内に、一端が前記旋盤のドローバーに固定されたドロースクリューを内挿したプランジャーと、
一端に爪を有し、他端が前記プランジャーと係合された複数の円柱状のシャフトと、
を備え、
前記プランジャーは、外周面において径方向外方に突出した環状の凸部を有し、前記凸部と前記円柱状のシャフトとが係合する第1プランジャーと、
該第1プランジャーに内挿され、前記ドロースクリューを内挿した第2プランジャーとが二重で構成されている、引き込み式チャック。 - 前記第1プランジャーは、内径側に突出したガイドピンを設けている、請求項1に記載の引き込み式チャック。
- 前記第2プランジャーは、該第2プランジャーの周面に沿って軸に斜めに交差する傾斜したガイド溝を設けている、請求項1に記載の引き込み式チャック。
- 前記第1プランジャーに設けられたガイドピンが、前記第2プランジャーに設けられたガイド溝に沿って移動することで、第1プランジャーが軸方向に回動する、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の引き込み式チャック。
- 前記第1プランジャーは、前記凸部に複数の引掛溝を設けている、請求項1に記載の引き込み式チャック。
- 前記円柱状のシャフトは、前記凸部と係合する凹部を有しており、該凹部のいずれか一方の端面に引掛部を設けている、請求項1に記載の引き込み式チャック。
- 前記引掛部が、前記凹部のいずれか一方の端面に固定された固定ピンである、請求項6に記載の引き込み式チャック。
- 前記円柱状のシャフトは、前記引掛溝と前記引掛部とが係合することで、前記第1プランジャーの回動と連動して軸回りに回動する、請求項5から請求項7のいずれか1項に記載の引き込み式チャック。
- 前記第1プランジャーは、ある一定ストロークまで軸方向に対して回動規制された共回り防止機構を備える、請求項1に記載の引き込み式チャック。
- 前記共回り防止機構が、前記第1プランジャーをある一定ストローク分規制するプランジャー規制プレートである、請求項9に記載の引き込み式チャック。
- 前記第2プランジャーは、常に回動を規制し軸方向にのみ動作する回動規制機構を備える、請求項1に記載の引き込み式チャック。
- 前記回動規制機構は、規制溝と回り止めピンとで構成されている、請求項11に記載の引き込み式チャック。
- 前記爪がワークを把握し、さらに引き込む際に、前記凸部の下端面と前記凹部の下端面とが接する両端面が互いに平行である、請求項6に記載の引き込み式チャック。
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- 2013-09-30 JP JP2013205155A patent/JP6308744B2/ja active Active
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