JP2015066511A - 多孔性金属錯体組成物からなるペレットの製造方法 - Google Patents

多孔性金属錯体組成物からなるペレットの製造方法 Download PDF

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拓也 稲垣
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康貴 犬伏
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Abstract

【課題】優れたガス吸着性能、ガス吸蔵性能及びガス分離性能を有するペレットの製造方法を提供すること。【解決手段】多孔性金属錯体と、熱可塑性樹脂とを含む組成物からなるペレットの製造方法において、多孔性金属錯体と熱可塑性樹脂の質量比が1:99〜99:1の範囲内であり、熱可塑性樹脂のビカット軟化点以上に加熱した状態で打錠成型を行うことによって上記課題を解決する。【選択図】なし

Description

本発明は、ペレットの製造方法に関する。さらに詳しくは、多孔性金属錯体と、熱可塑性樹脂とを含む組成物からなるペレットの製造方法に関する。
これまで、脱臭、排ガス処理などの分野で種々の吸着材が開発されている。活性炭はその代表例であり、活性炭の優れた吸着性能を利用して、空気浄化、脱硫、脱硝、有害物質除去など各種工業において広く使用されている。近年は半導体製造プロセスなどへ窒素の需要が増大しており、かかる窒素を製造する方法として、分子ふるい炭を使用して圧力スイング吸着法や温度スイング吸着法により空気から窒素を製造する方法が使用されている。また、分子ふるい炭は、メタノール分解ガスからの水素精製など各種ガス分離精製にも応用されている。
圧力スイング吸着法や温度スイング吸着法により混合ガスを分離する際には、一般に、分離吸着材として分子ふるい炭やゼオライトなどを使用し、その平衡吸着量または吸着速度の差により分離を行っている。しかしながら、平衡吸着量の差によって混合ガスを分離する場合、これまでの吸着材では除去したいガスのみを選択的に吸着することができないため分離係数が小さくなり、装置の大型化は不可避であった。また、吸着速度の差によって混合ガスを分離する場合、ガスの種類によっては除去したいガスのみを吸着できるが、吸着と脱着を交互に行う必要があり、この場合も装置は依然として大型にならざるを得なかった。
一方、より優れた吸着性能を与える吸着材として、多孔性金属錯体が開発されている。多孔性金属錯体は、(1)広い表面積と高い空隙率、(2)高い設計性、(3)外部刺激による動的構造変化、といった特徴を有しており、既存の吸着材にはない吸着特性が期待される。
多孔性金属錯体を吸着材として使用するに際しては、粉末状のままではなく成形してから用いることが好ましい。例えば、多孔性金属錯体を成形する方法として、打錠成形によるペレット化が知られている(特許文献1、特許文献2参照)。しかしながら、打錠温度がペレットの強度に与える影響については何ら記載されていない。
WO2003/102000公報 WO2006/050898公報
したがって、本発明の目的は、圧壊強度が大きい多孔性金属錯体を含むペレットを製造する方法を提供することにある。
本発明者らは鋭意検討し、多孔性金属錯体と、熱可塑性樹脂とを含む組成物からなるペレットの製造方法において、多孔性金属錯体と熱可塑性樹脂の質量比が1:99〜99:1の範囲内であり、熱可塑性樹脂のビカット軟化点以上に加熱した状態で打錠成型を行うことにより、上記目的を達成できることを見出し、本発明に至った。
すなわち、本発明によれば、以下のものが提供される。
(1)多孔性金属錯体(A)と、熱可塑性樹脂(B)とを含む組成物からなるペレットの製造方法であって、多孔性金属錯体(A)と熱可塑性樹脂(B)の質量比が1:99〜99:1の範囲内であり、熱可塑性樹脂(B)のビカット軟化点以上に加熱した状態で打錠成型を行うことを特徴とする、ペレットの製造方法。
(2)多孔性金属錯体(A)が吸着に伴い体積変化することを特徴とする(1)に記載のペレットの製造方法。
(3)多孔性金属錯体(A)の吸着に伴う体積変化率が0.5〜50%である(1)または(2)に記載のペレットの製造方法。
(4)(1)〜(3)のいずれか一項に記載の製造方法で製造されたペレット。
本発明により、多孔性金属錯体と、熱可塑性樹脂とを含む組成物からなるペレットの製造方法を提供することができる。
テレフタル酸のカルボキシレートイオンと亜鉛イオンとからなるパドルホイール骨格中の亜鉛イオンのアキシャル位に4,4’−ビピリジルが配位して形成されるジャングルジム骨格の模式図である。 ジャングルジム骨格が二重に相互貫入した三次元構造の模式図である。 多孔性金属錯体の吸脱着に伴う構造変化の模式図である。 合成例1で得た金属錯体のメタノールを吸着した状態の粉末X線回折パターンである。 合成例1で得た金属錯体のメタノールを吸着した状態の結晶構造である。 合成例1で得た金属錯体の乾燥した状態の粉末X線回折パターンである。 合成例1で得た金属錯体の乾燥した状態の結晶構造である。 合成例1で得た金属錯体を重アンモニア水溶液に溶解させて測定したH−NMRスペクトルである。 実施例1で得たペレットの293Kにおける二酸化炭素の吸脱着等温線である。 実施例2で得たペレットの293Kにおける二酸化炭素の吸脱着等温線である。 実施例3で得たペレットの293Kにおける二酸化炭素の吸脱着等温線である。 合成例1で得た金属錯体の293Kにおける二酸化炭素の吸脱着等温線である。
本発明は、多孔性金属錯体(A)と、熱可塑性樹脂(B)とを含む組成物からなるペレットの製造方法である。
本発明に用いられる多孔性金属錯体(A)は、周期表の1〜13族に属する金属のイオンから選択される少なくとも1種の金属イオンとアニオン性配位子とを含む。
多孔性金属錯体(A)に含まれる金属イオンは、周期表の1〜13族に属する金属のイオンから選択される少なくとも1種の金属イオンである。周期表1族に属する金属のイオンとは、リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン、ルビジウムイオン、セシウムイオン及びフランシウムイオンである。周期表2族に属する金属のイオンとはベリリウムイオン、マグネシウムイオン、カルシウムイオン、ストロンチウムイオン、バリウムイオン及びラジウムイオンである。周期表3族に属する金属のイオンとは、スカンジウムイオン、イットリウムイオン、ランタノイドのイオン及びアクチノイドのイオンである。周期表4族に属する金属のイオンとは、チタンイオン、ジルコニウムイオン、ハフニウムイオン及びラザホージウムイオンである。周期表5族に属する金属のイオンとは、バナジウムイオン、ニオブイオン、タンタルイオン及びドブニウムイオンである。周期表6族に属する金属のイオンとは、クロムイオン、モリブデンイオン、タングステンイオン及びシーボーギウムイオンである。周期表7族に属する金属のイオンとは、マンガンイオン、テクネチウムイオン、レニウムイオン及びボーリウムイオンである。周期表8族に属する金属のイオンとは、鉄イオン、ルテニウムイオン、オスミウムイオン及びハッシウムイオンである。周期表9族に属する金属のイオンとは、コバルトイオン、ロジウムイオン、イリジウムイオン及びマイトネリウムイオンである。周期表10族に属する金属のイオンとは、ニッケルイオン、パラジウムイオン、白金イオン及びダームスタチウムイオンである。周期表11族に属する金属のイオンとは、銅イオン、銀イオン、金イオン及びレントゲニウムイオンである。周期表12族に属する金属のイオンとは、亜鉛イオン、カドミウムイオン、水銀イオン及びウンウンビウムイオンである。周期表13族に属する金属のイオンとは、ホウ素イオン、アルミニウムイオン、ガリウムイオン、インジウムイオン、タリウムイオン及びウンウントリウムイオンである。
多孔性金属錯体(A)に用いられる周期表の1〜13族に属する金属のイオンとしては、例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウムイオン、カルシウムイオン、スカンジウムイオン、ランタノイドイオン(ランタンイオン、テルビウムイオン、ルテチウムイオンなど)、アクチノイドイオン(アクチニウムイオン、ローレンシウムイオンなど)、ジルコニウムイオン、バナジウムイオン、クロムイオン、モリブデンイオン、マンガンイオン、鉄イオン、コバルトイオン、ニッケルイオン、銅イオン、亜鉛イオン、カドミウムイオン及びアルミニウムイオンなどを使用することができ、中でもマンガンイオン、コバルトイオン、ニッケルイオン、銅イオン及び亜鉛イオンが好ましく、銅イオンがより好ましい。
多孔性金属錯体(A)に用いられる金属イオンは、単一の金属イオンでも、2種類以上の金属イオンを含んでいてもよい。また、本発明に用いる金属錯体(A)は、単一の金属イオンからなる金属錯体を2種以上混合して使用することもできる。
多孔性金属錯体(A)の製造においては、上記金属イオンを含有する金属塩を使用することができる。金属塩としては、例えば、リチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩、カルシウム塩、スカンジウム塩、ランタノイド塩(ランタン塩、テルビウム塩、ルテチウム塩など)、アクチノイド塩(アクチニウム塩、ローレンシウム塩など)、ジルコニウム塩、バナジウム塩、クロム塩、モリブデン塩、マンガン塩、鉄塩、コバルト塩、ニッケル塩、銅塩、亜鉛塩、カドミウム塩及びアルミニウム塩などを使用することができ、中でもマンガン塩、コバルト塩、ニッケル塩、銅塩及び亜鉛塩が好ましく、銅塩がより好ましい。
金属塩は、単一の金属塩を用いても、2種以上の金属塩を混合して用いてもよい。また、これらの金属塩としては、酢酸塩、ギ酸塩などの有機酸塩、硫酸塩、硝酸塩、塩酸塩、臭化水素酸塩、炭酸塩などの無機酸塩を使用することができる。
多孔性金属錯体(A)に用いられるアニオン性配位子としては、例えば、フッ化物イオン、塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオンなどのハロゲン化物イオン;テトラフルオロホウ酸イオン、ヘキサフルオロケイ酸イオン、ヘキサフルオロリン酸イオン、ヘキサフルオロヒ酸イオン、ヘキサフルオロアンチモン酸イオンなどの無機酸イオン;トリフルオロメタンスルホン酸イオン、ベンゼンスルホン酸イオンなどのスルホン酸イオン;ギ酸イオン、酢酸イオン、トリフルオロ酢酸イオン、プロピオン酸イオン、酪酸イオン、イソ酪酸イオン、吉草酸イオン、カプロン酸イオン、エナント酸イオン、シクロヘキサンカルボン酸イオン、カプリル酸イオン、オクチル酸イオン、ペラルゴン酸イオン、カプリン酸イオン、ラウリン酸イオン、ミリスチン酸イオン、ペンタデシル酸イオン、パルミチン酸イオン、マルガリン酸イオン、ステアリン酸イオン、ツベルクロステアリン酸イオン、アラキジン酸イオン、ベヘン酸イオン、リグノセリン酸イオン、α−リノレン酸イオン、エイコサペンタエン酸イオン、ドコサヘキサエン酸イオン、リノール酸イオン、オレイン酸イオンなどの脂肪族モノカルボン酸イオン;安息香酸イオン、2,5−ジヒドロキシ安息香酸イオン、3,7−ジヒドロキシ−2−ナフトエ酸イオン、2,6−ジヒドロキシ−1−ナフトエ酸イオン、4,4’−ジヒドロキシ−3−ビフェニルカルボン酸イオンなどの芳香族モノカルボン酸イオン;ニコチン酸イオン、イソニコチン酸イオンなどの複素芳香族モノカルボン酸イオン;1,4−シクロヘキサンジカルボキシレートイオン、フマレートイオンなどの脂肪族ジカルボン酸イオン;1,3−ベンゼンジカルボキシレートイオン、1,4−ベンゼンジカルボキシレートイオン、1,4−ナフタレンジカルボキシレートイオン、2,6−ナフタレンジカルボキシレートイオン、2,7−ナフタレンジカルボキシレートイオン、4,4’−ビフェニルジカルボキシレートイオンなどの芳香族ジカルボン酸イオン;2,5−チオフェンジカルボキシレート、2,2’−ジチオフェンジカルボキシレートイオン、2,3−ピラジンジカルボキシレートイオン、2,5−ピリジンジカルボキシレートイオン、3,5−ピリジンジカルボキシレートイオンなどの複素芳香族ジカルボン酸イオン;1,3,5−ベンゼントリカルボキシレートイオン、1,3,4−ベンゼントリカルボキシレートイオン、ビフェニル−3,4’,5−トリカルボキシレートイオンなどの芳香族トリカルボン酸イオン;1,2,4,5−ベンゼンテトラカルボキシレートイオン、[1,1’:4’,1’’]ターフェニル−3,3’’,5,5’’−テトラカルボキシレートイオン、5,5’−(9,10−アントラセンジイル)ジイソフタレートイオンなどの芳香族テトラカルボン酸イオン;イミダゾレートイオン、2−メチルイミダゾレートイオン、ベンゾイミダゾレートイオンなどの複素環化合物のイオンなどを使用することができる。ここで、アニオン性配位子とは金属イオンに対して配位する部位がアニオン性を有する配位子を意味する。
上記の中でも、アニオン性配位子としては、カルボキシレート基を有するものが好ましい。すなわち、脂肪族モノカルボン酸イオン、芳香族モノカルボン酸イオン、複素芳香族モノカルボン酸イオン、脂肪族ジカルボン酸イオン、芳香族ジカルボン酸イオン、複素芳香族ジカルボン酸イオン、芳香族トリカルボン酸イオン及び芳香族テトラカルボン酸イオンから選ばれるいずれかであることが好ましい。
上記のアニオン性配位子がカルボキシレート基、スルホネート基などを有する有機配位子の場合、該有機配位子はカルボキシル基、スルホ基などのアニオンになり得る置換基以外にイオン化しない置換基をさらに有していてもよい。具体的には、2−ニトロ−1,4−ベンゼンジカルボキシレートイオン、2−フルオロ−1,4−ベンゼンジカルボキシレートイオン、2,3,5,6−テトラフルオロ−1,4−ベンゼンジカルボキシレートイオン、2,4,6−トリフルオロ−1,3,5−ベンゼントリカルボキシレートイオンなどの置換基を有する多価カルボキシレートイオンであってもよい。
多孔性金属錯体(A)に用いられるアニオン性配位子は、単一のアニオン性配位子でも、2種以上のアニオン性配位子を含んでいてもよい。また、金属錯体(A)は、単一のアニオン性配位子からなる金属錯体を2種以上混合して使用することもできる。
多孔性金属錯体(A)の製造においては、上記アニオン性配位子を含有する塩を使用することができる。塩としては、例えば、リチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩などを使用することができる。塩は、単一の塩を使用することが好ましいが、2種以上の塩を混合して用いてもよい。
また、多孔性金属錯体(A)に用いられるアニオン性配位子には、金属イオン源として使用される金属塩のカウンターアニオンをそのまま使用してもよい。
さらに、多孔性金属錯体(A)の製造においては、上記アニオン性配位子を含有する共役酸またはその酸無水物を使用することができる。酸は、単一の酸を使用することが好ましいが、2種以上の酸を混合して用いてもよい。
多孔性金属錯体(A)は多孔質体であり、その細孔中にガスなどの低分子を吸着し、また脱着することができるため、各種ガスの吸着材、吸蔵材及び分離材として用いることができる。
多孔性金属錯体(A)は体積変化し、吸着に伴う体積変化率が0.5%〜50%であることが好ましい。ここで、体積変化率とは、吸着前後における多孔性金属錯体(A)の構造単位の体積比と定義する。多孔性金属錯体(A)の構造単位の体積は、単結晶X線構造解析、粉末X線結晶構造解析、単結晶中性子構造解析、粉末中性子結晶構造解析などにより求めることができるが、これらに限定されるものではない。
体積変化率は、例えば、多孔性金属錯体(A)を真空乾燥後に常温常圧下で放置したときの体積を基準体積とし、これを、多孔性金属錯体(A)を合成する際に用いる溶媒に浸漬させたときの、基準体積から増加した体積と比較することで求めることができる。溶媒としては、メタノール、エタノール、プロパノール、ジエチルエーテル、ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン、ベンゼン、トルエン、塩化メチレン、クロロホルム、アセトン、酢酸エチル、アセトニトリル、N,N−ジメチルホルムアミド、水またはこれらの混合溶媒を使用することができる。浸漬温度としては、253〜423Kが好ましい。
多孔性金属錯体(A)は、上記の金属イオンに多座配位可能な有機配位子を含んでいてもよい。
多座配位可能な有機配位子としては、特に限定されるものではないが、金属イオンに二座配位可能な有機配位子、金属イオンに三座配位可能な有機配位子、金属イオンに四座配位可能な有機配位子などを使用することができる。ここで、多座配位可能な中性有機配位子とは非共有電子対で金属イオンに対して配位する部位を少なくとも2箇所以上有する中性配位子を意味する。二座有機配位子は、非共有電子対で金属イオンに対して配位する部位を2箇所有する多座配位可能な中性有機配位子;三座有機配位子は、非共有電子対で金属イオンに対して配位する部位を3箇所有する多座配位可能な中性有機配位子;四座有機配位子は、非共有電子対で金属イオンに対して配位する部位を4箇所有する多座配位可能な中性有機配位子である。
二座配位可能な有機配位子(二座配位子)としては、例えば、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン、ピラジン、4,4’−ビピリジル、1,2−ビス(4−ピリジル)エチン、1,4−ビス(4−ピリジル)ブタジイン、1,4−ビス(4−ピリジル)ベンゼン、3,6−ジ(4−ピリジル)−1,2,4,5−テトラジン、2,2’−ビ−1,6−ナフチリジン、フェナジン、ジアザピレン、2,6−ジ(4−ピリジル)−ベンゾ[1,2−c:4,5−c’]ジピロール−1,3,5,7(2H,6H)−テトロン、N,N’−ジ(4−ピリジル)−1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボキシジイミド、トランス−1,2−ビス(4−ピリジル)エテン、4,4’−アゾピリジン、1,2−ビス(4−ピリジル)エタン、4,4’−ジピリジルスルフィド、1,3−ビス(4−ピリジル)プロパン、1,2−ビス(4−ピリジル)−グリコール、N−(4−ピリジル)イソニコチンアミド、1,2−ビス(1−イミダゾリル)エタン、1,2−ビス(1,2,4−トリアゾリル)エタン、1,2−ビス(1,2,3,4−テトラゾリル)エタン、1,3−ビス(1−イミダゾリル)プロパン、1,3−ビス(1,2,4−トリアゾリル)プロパン、1,3−ビス(1,2,3,4−テトラゾリル)プロパン、1,4−ビス(4−ピリジル)ブタン、1,4−ビス(1−イミダゾリル)ブタン、1,4−ビス(1,2,4−トリアゾリル)ブタン、1,4−ビス(1,2,3,4−テトラゾリル)ブタン、1,4−ビス(ベンゾイミダゾール−1−イルメチル)−2,4,5,6−テトラメチルベンゼン、1,4−ビス(4−ピリジルメチル)−2,3,5,6−テトラメチルベンゼン、1,3−ビス(イミダゾール−1−イルメチル)−2,4,6−トリメチルベンゼン、1,3−ビス(4−ピリジルメチル)−2,4,6−トリメチルベンゼンなどが挙げられる。三座配位可能な有機配位子(三座配位子)としては、例えば、1,3,5−トリス(2−ピリジル)ベンゼン、1,3,5−トリス(3−ピリジル)ベンゼン、1,3,5−トリス(4−ピリジル)ベンゼン、1,3,5−トリス(1−イミダゾリル)ベンゼン、2,4,6−トリス(2−ピリジル)−1,3,5−トリアジン、2,4,6−トリス(3−ピリジル)−1,3,5−トリアジン、2,4,6−トリ(4−ピリジル)−1,3,5−トリアジン、2,4,6−トリス(1−イミダゾリル)−1,3,5−トリアジンなどが挙げられる。四座配位可能な有機配位子(四座配位子)としては、例えば、1,2,4,5−テトラキス(2−ピリジル)ベンゼン、1,2,4,5−テトラキス(3−ピリジル)ベンゼン、1,2,4,5−テトラキス(4−ピリジル)ベンゼン、1,2,4,5−テトラキス(1−イミダゾリル)ベンゼン、テトラキス(3−ピリジルオキシメチレン)メタン及びテトラキス(4−ピリジルオキシメチレン)メタン、テトラキス(1−イミダゾリルメチル)メタンなどが挙げられる。これらの中でも二座配位可能な有機配位子であることが好ましい。
多座配位可能な有機配位子は置換基を有していてもよい。具体的には、2−メチルピラジン、2,5−ジメチルピラジン、2,2’−ジメチル−4,4’−ビピリジンなどの置換基を有する多座配位可能な有機配位子が挙げられる。
多孔性金属錯体(A)に用いられる多座配位可能な有機配位子は、単一の多座配位可能な有機配位子でも、2種以上の多座配位可能な有機配位子を含んでいてもよい。また、多孔性金属錯体(A)は、単一の多座配位可能な有機配位子からなる金属錯体を2種以上混合して使用することもできる。
多孔性金属錯体(A)は、さらに本発明の効果を損なわない範囲で、単座有機配位子を含んでいてもよい。単座有機配位子とは、非共有電子対で金属イオンに対して配位する部位を1箇所持つ中性配位子を意味する。単座有機配位子としては、例えば、置換または無置換の、フラン、チオフェン、ピリジン、キノリン、イソキノリン、アクリジン、トリフェニルホスフィン、トリフェニルホスファイト、メチルイソシアニドなどを使用することができ、中でもピリジンが好ましい。単座有機配位子は炭素数1〜23の炭化水素基を置換基として有してもよい。
多孔性金属錯体(A)が該単座有機配位子を含む場合、その割合は本発明の効果を損なわない限り特に限定されるものではないが、多座配位可能な有機配位子と単座有機配位子との組成比は、モル比で1:20〜5,000:1の範囲内であることが好ましく、20:1〜5,000:1の範囲内であることがより好ましく、100:1〜2,500:1の範囲内であることが特に好ましい。当該組成比は、多孔性金属錯体(A)を分解して均一な溶液とした後に、例えば、ガスクロマトグラフィー、高速液体クロマトグラフィー、NMRなどを用いて分析することで決定することができるが、これらに限定されるものではない。
本発明に用いられる多孔性金属錯体(A)は、周期表の1〜13族に属する金属のイオンから選択される少なくとも1種の金属イオンを含む金属塩と、アニオン性配位子と、必要に応じて該金属イオンに多座配位可能な有機配位子とを、気相、液相または固相のいずれかで反応させることで製造することができる。中でも、常圧下、溶媒中で数時間から数日間反応させ、析出させて製造することが好ましい。このとき、超音波またはマイクロウェーブ照射下で反応を行ってもよい。例えば、金属塩の水溶液または有機溶媒溶液と、アニオン性配位子及び多座配位可能な有機配位子を含有する有機溶媒溶液とを、常圧下で混合して反応させることにより本発明に用いられる多孔性金属錯体(A)を得ることができる(例えば、特開2010−70545公報参照)。
多孔性金属錯体(A)を製造するときの金属塩とアニオン性配位子との混合比率は、金属塩:アニオン性配位子=1:10〜10:1のモル比の範囲内が好ましく、1:5〜5:1のモル比の範囲内がより好ましい。これ以外の範囲で反応を行っても目的とする金属錯体は得られるが、収率が低下し、副反応も増えるために好ましくない。
多孔性金属錯体(A)が多座配位可能な有機配位子を含有する場合には、金属錯体(A)を製造するときのその混合比率は、アニオン性配位子:多座配位可能な有機配位子=1:5〜8:1のモル比の範囲内が好ましく、1:3〜6:1のモル比の範囲内がより好ましい。また、金属塩:多座配位可能な有機配位子=3:1〜1:3のモル比の範囲内が好ましく、2:1〜1:2のモル比の範囲内がより好ましい。
多孔性金属錯体(A)は、用いるアニオン性配位子の種類、また多座配位可能な有機配位子を有する場合にはその種類により、一次元、二次元、或いは三次元の集積構造をとる。
多孔性金属錯体(A)の集積構造は、例えば、単結晶X線構造解析、粉末X線結晶構造解析、単結晶中性子構造解析、粉末中性子結晶構造解析などにより確認できるが、これらに限定されるものではない。
吸着に伴い体積が変化する多孔性金属錯体(A)の一例として、金属イオンとして亜鉛イオンを、アニオン性配位子として1,4−ベンゼンジカルボキシレート(テレフタル酸イオン)を、多座配位可能な有機配位子として4,4’−ビピリジルを有する多孔性金属錯体について詳しく述べる。この多孔性金属錯体は、1,4−ベンゼンジカルボキシレートのカルボキシレートイオンと亜鉛イオンとからなるパドルホイール骨格中の亜鉛イオンのアキシャル位に4,4’−ビピリジルが配位して形成される、ジャングルジム骨格が二重に相互貫入した三次元構造(A−1)を有する。ジャングルジム骨格の模式図を図1に、ジャングルジム骨格が二重に相互貫入した三次元構造の模式図を図2に示す。
上記「ジャングルジム骨格」とは、1,4−ベンゼンジカルボキシレートなどのアニオン性配位子と金属イオンとからなるパドルホイール骨格中の金属イオンのアキシャル位に4,4’−ビピリジルなどの多座配位可能な有機配位子が配位し、アニオン性配位子と金属イオンとからなる二次元格子状シート間を連結することで形成されるジャングルジム様の三次元構造を意味する。「ジャングルジム骨格が多重に相互貫入した構造」とは、複数のジャングルジム骨格が互いの細孔を埋める形で貫入し合った三次元集積構造である。
本明細書において「吸着に伴い体積が変化する多孔性金属錯体」とは、多孔性金属錯体の細孔内に物質が吸着される化学的刺激により骨格中の細孔の構造や大きさが変化する多孔性金属錯体を意味する。該金属錯体は、化学的刺激に加えて、温度、圧力、電場などの物理的刺激によっても体積変化しうる。
多孔性金属錯体(A)の細孔の構造や大きさの変化は、吸着される物質の種類、吸着圧力、吸着温度に依存する。すなわち、細孔表面と物質の相互作用の差に加え(相互作用の強さは物質のLennard−Jonesポテンシャルの大きさに比例)、吸着する物質により構造変化の程度が異なる。一例として、多孔性金属錯体(A)がジャングルジム骨格を有する場合の吸脱着に伴う構造変化の模式図を図3に示す。
吸着に伴い体積変化が可能である多孔性金属錯体(A)の他の例としては、例えば、金属イオンとして銅イオンを、アニオン性配位子としてテトラフルオロホウ酸イオンを、多座配位可能な有機配位子として1,2−ビス(4−ピリジル)エタンを用いた場合に得られる、一次元鎖骨格が集積した三次元構造を有する多孔性金属錯体(A−2);例えば、金属イオンとして銅イオンを、アニオン性配位子としてテトラフルオロホウ酸イオンを、多座配位可能な有機配位子として4,4’−ビピリジルを用いた場合に得られる、二次元格子状骨格が積層した三次元構造を有する多孔性金属錯体(A−3);例えば、金属イオンとして銅イオンを、アニオン性配位子として2,5−ジヒドロキシ安息香酸イオンを、多座配位可能な有機配位子として4,4’−ビピリジルを用いた場合に得られる、二次元シート骨格が相互嵌合した三次元構造を有する多孔性金属錯体(A−4)などを挙げることができる。
本発明に用いられる多孔性金属錯体(A)が、吸着に伴い体積変化が可能であることは、例えば、単結晶X線構造解析結果の比較、粉末X線回折パターンの変化、吸収波長の変化、磁化率の変化などにより確認できるが、これらに限定されるものではない。
本発明に用いられる熱可塑性樹脂(B)としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリイソプレン、ポリブタジエンなどのオレフィン樹脂;ポリスチレン、ポリα―メチルスチレンなどのスチレン樹脂;ポリアクリル酸メチル、ポリアクリル酸エチル、ポリアクリル酸n−ブチル、ポリメタクリル酸メチル、ポリメタクリル酸エチル、ポリメタクリル酸n−ブチルなどのアクリル樹脂;ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコールなどの酢酸ビニル樹脂;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなどのポリエステル樹脂;ナイロン6、ナイロン6,6、ナイロン4,6などのポリアミド樹脂;ポリカーボネート樹脂;塩化ビニル樹脂;ウレタン樹脂;及びこれらの共重合体などを使用することができる。
熱可塑性樹脂(B)は、熱可塑性エラストマーであることが好ましい。熱可塑性エラストマーとしては、例えば、スチレン系エラストマー、オレフィン系エラストマー、ウレタン系エラストマー、ポリエステル系エラストマー、ニトリル系エラストマー、アミド系エラストマー、ポリブタジエン系エラストマー、アクリル系エラストマー、塩化ビニル系熱可塑性エラストマーなどを使用することができ、中でも、スチレン系エラストマー、オレフィン系エラストマー及びアクリル系エラストマーが好ましい。
多孔性金属錯体(A)を含むペレットの製造方法としては、よりペレットの高密度化が行えるとの観点から、バインダーとして熱可塑性樹脂(B)を用いた打錠成型法が好ましい。このとき、必要に応じて調製物に黒鉛、ステアリン酸マグネシウムなどの滑剤を添加してもよい。多孔性金属錯体(A)と熱可塑性樹脂(B)とを含む組成物に占める滑剤の割合は、10質量%以下であることが好ましい。
多孔性金属錯体(A)と熱可塑性樹脂(B)の混合比率は、多孔性金属錯体(A)と熱可塑性樹脂(B)との質量比が1:99〜99:1の範囲内であることが好ましく、10:90〜90:10の範囲内であることがより好ましい。この範囲外ではガスの吸着性能が低下する場合、及び/または、ペレットの形状を維持できなくなる場合がある。
本発明の組成物に占める金属錯体(A)及び共重合体(B)の合計割合は、30質量%以上であることが好ましく、50質量%以上であることがより好ましく、80質量%以上であることが特に好ましい。
本発明に用いられる組成物は、本発明の効果を損なわない範囲であれば、必要に応じて、酸化防止剤、凍結防止剤、pH調整剤、隠蔽剤、着色剤、油剤、難燃剤、近赤外線吸収剤、紫外線吸収剤、色調補正剤、染料、酸化防止剤、その他の特殊機能剤を1種または2種以上含有することができる。本発明に用いられる組成物に占めるこれら添加剤の割合は、10質量%以下であることが好ましい。
打錠温度は熱可塑性樹脂(B)のビカット軟化点以上であることが好ましい。ビカット軟化点以下の温度では、熱可塑性樹脂(B)による多孔性金属錯体(A)の粒子間の接着が不十分となり、得られるペレットの圧壊強度が低下する場合がある。
ビカット軟化点は、JIS K7206:1999に順じて測定することで求めることができる。
本発明により得られるペレットのサイズとしては、使用条件によって異なることから特に限定されるものではないが、直径が0.5mm〜5.0mmの範囲内であり、かつ長さが1.0mm〜10.0mmの範囲内であることが好ましい。
本発明により得られるペレットの圧壊強度としては、ペレットのサイズや使用条件によって異なることから特に限定されるものではないが、300N以上であることが好ましい。一実施形態では、ペレットの圧壊強度は330N以上である。
本発明の製造方法によって得られるペレットは、二酸化炭素、水素、一酸化炭素、酸素、窒素、炭素数1〜4の炭化水素(メタン、エタン、エチレン、アセチレン、プロパン、プロペン、メチルアセチレン、プロパジエン、ブタン、1−ブテン、イソブテン、1−ブチン、2−ブチン、1,3−ブタジエン、メチルアレンなど)、希ガス(ヘリウム、ネオン、アルゴン、クリプトン、キセノンなど)、硫化水素、アンモニア、硫黄酸化物、窒素酸化物、シロキサン(ヘキサメチルシクロトリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサンなど)、水蒸気または有機蒸気(常温、常圧で液体状の有機物質の気化ガス)などの各種ガスの吸着性能、吸蔵性能及び分離性能に優れている。従って、本発明のペレットは、各種ガスの吸着材、吸蔵材及び分離材として有用であり、これらも本発明の権利範囲に含まれる。
有機蒸気とは、常温、常圧で液体状の有機物質の気化ガスを意味する。このような有機物質としては、メタノール、エタノールなどのアルコール類;トリメチルアミンなどのアミン類;ホルムアルデヒド、アセトアルデヒドなどのアルデヒド類;ペンタン、イソプレン、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン、メチルシクロヘキサン、オクタン、1−オクテン、シクロオクタン、シクロオクテン、1,5−シクロオクタジエン、4−ビニル−1−シクロヘキセン、1,5,9−シクロドデカトリエンなどの炭素数5〜16の炭化水素;ベンゼン、トルエンなどの芳香族炭化水素;アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン類;酢酸メチル、酢酸エチルなどのエステル類;塩化メチル、クロロホルムなどのハロゲン化炭化水素などが挙げられる。
以下、本発明を実施例によって具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。以下の実施例および比較例における分析および評価は次のようにして行った。
(1)粉末X線回折パターンの測定
X線回折装置を用いて、回折角(2θ)=5〜50°の範囲を走査速度1°/分で走査し、対称反射法で測定した。分析条件の詳細を以下に示す。
<分析条件>
装置:株式会社リガク製SmartLab
X線源:CuKα(λ=1.5418Å) 45kV 200mA
ゴニオメーター:横型ゴニオメーター
検出器:D/teX Ultra
ステップ幅:0.02°
スリット:発散スリット=2/3°
受光スリット=0.3mm
散乱スリット=2/3°
(2)金属錯体に含まれる酢酸の定量
金属錯体を重アンモニア水溶液に溶解させたサンプルについてH−NMR測定を行い、得られたスペクトルの積分比から算出した。分析条件の詳細を以下に記す。
<分析条件>
装置:日本電子株式会社製JNM−LA500
共鳴周波数:500MHz
溶媒:25wt%重アンモニア水溶液
基準物質:3−(トリメチルシリル)プロパン酸ナトリウム−d
温度:298K
積算回数:2,048回
(3)圧壊強度の測定
ペレットを一軸加圧機に設置し、298Kで載荷速度9mm/分で一軸加圧した。応力緩和が起こった時点の加圧力(N)を測定し、この値を圧壊強度とした(JIS Z8841に準拠)。分析条件の詳細を以下に示す。
<分析条件>
装置:株式会社島津製作所製オートグラフAGS−10kNG
ロードセル 5BL−1kN
測定モード:圧縮・引張モード
(4)吸脱着等温線の測定
高圧ガス吸着量測定装置を用いて、容量法によりガス吸脱着量の測定を行い、吸脱着等温線を作成した(JIS Z8831−2に準拠)。このとき、測定に先立って試料を373K、0.5Paで5時間乾燥し、吸着水などを除去した。分析条件の詳細を以下に示す。
<分析条件>
装置:日本ベル株式会社製BELSORP−HP
平衡待ち時間:500秒
<合成例1>
[第一工程]
窒素雰囲気下、酢酸銅一水和物21.8g(109mmol)、テレフタル酸18.2g(109mmol)及び酢酸19.7g(328mmol)をメタノール200mLに分散させ、懸濁状態で333Kで18時間攪拌した。析出した金属錯体の中間体を吸引濾過により回収した後、メタノールで3回洗浄し、中間体を単離した。
[第二工程]
窒素雰囲気下、単離した中間体をメタノール133mL中に分散させ、4,4’−ビピリジル8.54g(54.7mmol)を添加し、298Kで3時間攪拌した。このとき、反応溶液は懸濁したままであった。金属錯体を吸引濾過により回収した後、メタノールで3回洗浄した。得られた金属錯体の粉末X線回折パターンを図4に示す。別途合成した単結晶の構造解析結果から求めたシミュレーションパターンとの比較から、得られた金属錯体はジャングルジム骨格が二重に相互貫入した構造を有していることがわかった。単結晶構造解析結果を以下に示す。また、結晶構造を図5に示す。
Triclinic(P−1)
a=10.8195(18)Å
b=14.004(3)Å
c=21.682(4)Å
α=87.570(4)°
β=86.577(5)°
γ=88.083(5)°
V=3274.9(10)Å
R=0.0458R=0.1187
続いて、得られた金属錯体を373K、50Paで8時間乾燥し、目的の金属錯体26.3gを得た。得られた金属錯体の粉末X線回折パターンを図6に示す。別途合成した単結晶の構造解析結果から求めたシミュレーションパターンとの比較から、得られた金属錯体はジャングルジム骨格が二重に相互貫入した構造を有していることがわかった。単結晶構造解析結果を以下に示す。また、結晶構造を図7に示す。
Triclinic(P−1)
a=7.898(3)Å
b=8.930(3)Å
c=10.818(3)Å
α=67.509(12)°
β=80.401(14)°
γ=79.566(13)°
V=689.3(4)Å
R=0.0330R=0.0905
図4と、図6との比較から、メタノールの吸脱着前後で構造が異なるので、本錯体は吸脱着に伴い、構造が動的に変化することが分かる。このときの体積変化率は、真空乾燥前(メタノール吸着状態)の金属錯体の構造単位の体積が3274.9(10)Å、真空乾燥後の金属錯体の構造単位の体積が689.3(4)Åであることから、次式に従って27.1%と算出される。
体積変化率={3274.9/(689.3x4)−1}x100
=27.1%
得られた金属錯体10mgを25wt%重アンモニア水700mg(基準物質として3−(トリメチルシリル)プロパン酸ナトリウム−dを0.4wt%含有)に溶解させ、H−NMR測定を行った。得られたスペクトルを図8に示す。スペクトルを解析した結果、テレフタル酸の2位、3位、5位及び6位のプロトンに帰属される7.917ppm(s,4H)のピークの積分値が2.037であるのに対し、酢酸のメチル基のプロトンに帰属される1.928ppm(s,3H)のピークの積分値は0.030であったことから、金属錯体に含まれるテレフタル酸と酢酸のモル比は、テレフタル酸:酢酸=104:1であることが分かった。なお、図8において3.9ppm付近のブロードなシグナルは水によるものである。
単結晶X線構造解析とH−NMR測定との結果から、得られた金属錯体の組成式は[Cu(C2−x(C10)(CHCOO)(x=0.019)であることが分かった。xの値は小さいため、理論収量は[Cu(C(C10)](銅:テレフタル酸:4,4’−ビピリジル=2:2:1)で表される化合物の分子量から算出した。その結果、得られた金属錯体の収率は81%であった。
<合成例2>
メタクリル酸メチルとアクリル酸n−ブチルのブロック共重合体からなるアクリル系熱可塑性エラストマーである株式会社クラレ製<クラリティ(登録商標)>(銘柄:LA4825、ビカット軟化点:420K)2.80gをクロロホルム160mLに加え、298Kで攪拌して溶解させた。得られた溶液に合成例1で得た金属錯体25.2gを加え、298Kで5分間攪拌した。続いて、減圧下でクロロホルムを留去した後、373K、50Paで8時間乾燥し、金属錯体とメタクリル酸メチルとアクリル酸n−ブチルのブロック共重合体の組成物24.5g(収率85%)を得た。
<合成例3>
エチレンと酢酸ビニルのランダム共重合体である三井・デュポン ポリケミカル株式会社製<エバフレックス(登録商標)>(銘柄:EV250、ビカット軟化点:310K)2.80gをクロロホルム160mLに加え、298Kで攪拌して溶解させた。得られた溶液に合成例1で得た金属錯体25.2gを加え、298Kで5分間攪拌した。続いて、減圧下でクロロホルムを留去した後、373K、50Paで8時間乾燥し、金属錯体とエチレン−酢酸ビニル共重合体の組成物24.5g(収率85%)を得た。
<合成例4>
エチレンとメタクリル酸メチルのランダム共重合体である三井・デュポン ポリケミカル株式会社製<エルバロイ(登録商標)>(銘柄:EMA1125、ビカット軟化点:320K)2.80gをクロロホルム160mLに加え、298Kで攪拌して溶解させた。得られた溶液に合成例1で得た金属錯体25.2gを加え、298Kで5分間攪拌した。続いて、減圧下でクロロホルムを留去した後、373K、50Paで8時間乾燥し、金属錯体とエチレン−メタクリル酸メチル共重合体の組成物24.5g(収率85%)を得た。
<実施例1>
合成例2で得た金属錯体とメタクリル酸メチルとアクリル酸n−ブチルのブロック共重合体の組成物450mgを、内径3.0mm、長さ15mmの臼に入れ、市橋精機株式会社製簡易錠剤成型機HANDTAB−100を用い、打錠圧2,450kgf/cm、温度473K、保持時間5分で打錠成型を行い、直径3.0mm、長さ7.8mmのペレット6個(425mg)を得た。
得られたペレットの圧壊強度を測定した結果、360N(n=5平均値)であった。
<実施例2>
合成例3で得た金属錯体とエチレン−酢酸ビニルランダム共重合体の組成物450mgを、内径3.0mm、長さ15mmの臼に入れ、市橋精機株式会社製簡易錠剤成型機HANDTAB−100を用い、打錠圧2,450kgf/cm、温度473K、保持時間5分で打錠成型を行い、直径3.0mm、長さ7.9mmのペレット6個(434mg)を得た。
得られたペレットの圧壊強度を測定した結果、338N(n=5平均値)であった。
<実施例3>
合成例4で得た金属錯体とエチレン−アクリル酸メチルランダム共重合体の組成物450mgを、内径3.0mm、長さ15mmの臼に入れ、市橋精機株式会社製簡易錠剤成型機HANDTAB−100を用い、打錠圧2,450kgf/cm、温度473K、保持時間5分で打錠成型を行い、直径3.0mm、長さ8.0mmのペレット6個(436mg)を得た。
得られたペレットの圧壊強度を測定した結果、342N(n=5平均値)であった。
<比較例1>
合成例2で得た金属錯体とメタクリル酸メチルとアクリル酸n−ブチルのブロック共重合体の組成物450mgを、内径3.0mm、長さ15mmの臼に入れ、市橋精機株式会社製簡易錠剤成型機HANDTAB−100を用い、打錠圧2,450kgf/cm、温度393K、保持時間5分で打錠成型を行い、直径3.0mm、長さ8.0mmのペレット6個(425mg)を得た。
得られたペレットの圧壊強度を測定した結果、298N(n=5平均値)であった。
<比較例2>
合成例3で得た金属錯体とエチレン−酢酸ビニルランダム共重合体の組成物450mgを、内径3.0mm、長さ15mmの臼に入れ、市橋精機株式会社製簡易錠剤成型機HANDTAB−100を用い、打錠圧2,450kgf/cm、温度298K、保持時間5分で打錠成型を行い、直径3.0mm、長さ8.4mmのペレット6個(434mg)を得た。
得られたペレットの圧壊強度を測定した結果、96N(n=5平均値)であった。
実施例1、実施例2及び実施例3と、比較例1及び比較例2との比較結果を表1に示す。表1より、本発明の構成要件を満たす実施例1、実施例2及び実施例3で得たペレットは、本発明の構成要件を満たさない比較例1及び比較例2で得たペレットに比べ圧壊強度が大きいので、耐久性に優れることは明らかである。
<実施例4>
実施例1で得られたペレットについて、293Kにおける二酸化炭素の吸着量を容量法により測定し、吸脱着等温線を作成した。結果を図9に示す。
<実施例5>
実施例2で得られたペレットについて、293Kにおける二酸化炭素の吸着量を容量法により測定し、吸脱着等温線を作成した。結果を図10に示す。
<実施例6>
実施例3で得られたペレットについて、293Kにおける二酸化炭素の吸着量を容量法により測定し、吸脱着等温線を作成した。結果を図11に示す。
図9、図10及び図11より、本発明の構成要件を満たす条件で製造したペレットは、圧力の増加と共に二酸化炭素を吸着できることは明らかである。従って、本発明のペレットが二酸化炭素などの吸着材、吸蔵材及び分離材として使用できることは明らかである。
<参考例1>
合成例1で得た未成型の金属錯体について、293Kにおける二酸化炭素の吸着量を容量法により測定し、吸着等温線を作成した。吸着等温線を図12に示す。

Claims (4)

  1. 多孔性金属錯体(A)と、熱可塑性樹脂(B)とを含む組成物からなるペレットの製造方法であって、多孔性金属錯体(A)と熱可塑性樹脂(B)の質量比が1:99〜99:1の範囲内であり、熱可塑性樹脂(B)のビカット軟化点以上に加熱した状態で打錠成型を行うことを特徴とする、ペレットの製造方法。
  2. 多孔性金属錯体(A)が吸着に伴い体積変化することを特徴とする請求項1に記載のペレットの製造方法。
  3. 多孔性金属錯体(A)の吸着に伴う体積変化率が0.5〜50%である請求項1または2に記載のペレットの製造方法。
  4. 請求項1〜3のいずれか一項に記載の製造方法で製造されたペレット。
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