以下に本発明の実施の形態を遊技機たるスロットマシンを例に図面を参照しつつ説明する。なお、図1はスロットマシンの分解斜視図、図2は扉形前面部材を省略した状態を示すスロットマシンの分解斜視図、図3はスロットマシンの斜視図、図4は扉形前面部材を省略した状態を示すスロットマシンの縦断面図、図5は図4のZ1部拡大図、図6はコネクタホルダーを移動させた状態を示す図4のZ1部拡大図、図7は扉形前面部材を省略した状態を示すスロットマシンの横断面図、図8(a)は図7のZ2部拡大図、図8(b)はコネクタホルダーを移動させた状態を示す図7のZ2部拡大図、図9は図8(a)の要部を示す拡大図、図10は背板側を示すスロットマシン要部の横断面図、図11はケース部材の分解斜視図、図12はケース部材を後ろから見た斜視図、図13(a),(b)はコネクタホルダーの仮止め状態を説明するケース部材の要部の斜視図、図14は配線中継部材の分解斜視図、図15は配線中継部材のカバー体を省略した正面図、図16,図17はコネクタホルダーの分解斜視図、図18はケース部材を止めるストッパーの斜視図、図19は他の形態を示すストッパーの斜視図、図20,図21はケース部材のガイド構造を示す要部の断面図、図22は把手の他の形態を示す図柄変動表示装置の部分斜視図、図23はケース部材と外本体側のストッパーとの関係を示す要部の斜視図、図24は配線窓と図柄変動表示装置のリールとの関係を示す要部の断面図、図25はスロットマシン上部の縦断面図、図26はメダル放出装置を省略してスロットマシンの下半部を示す斜視図、図27は図26の分解斜視図、図28はスロットマシンの裏側から放熱口を見た背面図、図29は電源装置を示すスロットマシンの一部断面部分正面図、図30は電源装置を下から見上げた状態を示す斜視図、図31は他の形態を示すもので外本体の側板と電源装置の要部断面図、図32は他の形態を示す照明装置の概略断面図、図33は透明板と発光ユニットを分解して示す扉形前面部材の斜視図、図34は透明板を分解して示す扉形前面部材の斜視図、図35は透明板を装着した扉形前面部材の図33A−A線相当断面図、図36はヒンジ金具の分解・組み立て斜視図、図37はヒンジ金具の連鎖を示す線図、図38は扉形前面部材を示す要部の横断平面図、図39は開く途中の扉形前面部材を示す要部の横断平面図、図40は扉形前面部材の上半部を示す裏側から見た斜視図、図41は連結具を縦方向に切断した断面斜視図、図42は他のヒンジ金具の例を示す扉形前面部材の要部横断平面図、図43は図42の扉形前面部材の開く途中を示す要部の横断平面図、図44は機種ユニットにおいて前面開閉部材を開いた状態を示す斜視図、図45は連結具を連結したまま扉形前面部材を開いた状態を示す斜視図である。
[1.スロットマシン]
本発明のスロットマシン1は、図1及び図2に示すように、前面が開口する箱形の外本体100と、該外本体100の前面に回転軸100aをもって横開きの扉状に回動可能に取り付けた扉形前面部材200と、複数の図柄を駆動手段で変動させる図柄変動表示装置300と、前記外本体100に対し着脱自在であって前面に開口部401を有するケース部材400と、任意の画像を表示する画像表示体500と、を有する。
[2.外本体]
外本体100は、図1〜図4に示したように底板101の左右に側板102,102を取着すると共に該側板102,102の頂部に天板103を設置して正面視縦長「口」字形の枠状となし、その枠の背に背板104を固着して前面のみ開口する箱形に形成してなる。前記左右の側板102,102は前縁が後傾状態に僅かに傾斜する台形になっており、従って外本体100の開口は後傾状態の傾きを有する。また、前記天板103には、遊技機設置島(図示せず)に設置した状態で該遊技機設置島の上桟600(図25想像線参照)と対向する領域内に複数(実施形態では4個)の貫通孔132,132…が穿設されている。
[2−1.外本体−仕切板]
外本体100内には高さのほぼ中央に棚板状の仕切板105が設けられている。該仕切板105は金属製であって、図1,図2に示したように中央に突段部106を有する正面視略凸形であり、両端に形成した垂直な取付片107を外本体100の側板102,102内面に固着し、また、後端に形成した垂直な取付片108を外本体100の背板104内面に固着して取り付けられる。なお、仕切板105の後端の取付片108にはバーリング加工(下孔の孔径をポンチで広げながら短筒状の突起を立ち上げる金属加工)による筒状突起(図示せず)が形成されており、該筒状突起を外本体100の背板104にプレ加工した小孔(図示せず)に打ち込んで位置決めされる。また、仕切板105の両横の最奥部には外本体100の背板104との間に配線用の開口109が形成されている。
[2−1−1.外本体−仕切板−下スペース]
外本体100内の前記仕切板105より下のスペースには、遊技媒体たるメダルを前記扉形前面部材200の前面下部にあるメダル用受皿201に放出するメダル放出装置110と、メダル放出装置110からオーバーフローするメダルを貯めるメダル用補助収納箱111と、電源装置112等が設けられている。
[2−1−1−1.外本体−仕切板−下スペース−メダル放出装置]
前記メダル放出装置110は、駆動手段を内蔵した装置本体110aにメダル貯留用のホッパ110bを取り付けたものであり、装置本体110aの前面にメダルの放出口110cが設けられていて、ホッパ110b内にあるメダルが前記駆動手段の作動により放出口110cに向けて1枚ずつ送り出される。また、ホッパ110bには溢れたメダルを排出させるオーバーフロー樋110dが設けてあり、そのオーバーフロー樋110dの突端下方に前記したメダル用補助収納箱111が臨む。なお、メダル放出装置110のメダル放出機構は、現在公知のどのようなものを採用してもよく、よって詳細な説明を省略する。
[2−1−1−2.外本体−仕切板−下スペース−電源装置]
前記電源装置112は、図26〜図30に示したように、外本体100の底板101と、正面向かって左側の側板102と、背板104の三部材が直交する内側コーナー部分に取り付けられている。電源装置112は、前記メダル放出装置110等の電気部品に電気を供給するためのものであって発熱しやすい部品であり、従って外本体100の背板104には電源装置112の取付部位に放熱口104aが開設されている。
電源装置112の装置ケース112aは、透明な合成樹脂で形成されている。こうすることにより装置ケース112aの内部が見えるから、電源装置112の基板112s(図30参照)等に対する不正工作の発見が容易になる。装置ケース112aは、上面をカバーする上面板112bと、外本体100の背板104に対向する後面板112cと、該後面板112cの反対側をカバーする正面板112dと、スロットマシン1の内部に向かう側をカバーする側面板112eと、上面板112bと側面板112eの境界部分を面取り形態にカバーする斜面板112fと、底部をカバーする底面板112r(図30参照)で形成されている。一方、装置ケース112aの、外本体100の側板102に対向する側の面はカバーされておらず開放状態にあるが、この開放面は外本体100に取り付けた状態で外本体100の側板102によって塞がれる。
なお、外本体100の側板102には図26,図27に示したように凸面部102aを設けて段状のガード部102bを形成し、該ガード部102bの下に装置ケース112aの上面板112bの一側を潜り込ませる仕様になっている。これにより装置ケース112aの一面をカバーしなくてもガード部102bによって装置ケース112aと側板102の継ぎ目が塞がれるから異物の差込みが行えない。図31は前記ガード部102bを溝状にした他の実施形態を示すものであり、この例では装置ケース112aの上面板112bの縁を側板102側に若干突出させてその先をガード部102bの溝に嵌め込むようになっている。
このように電源装置112の装置ケース112aにおいて、外本体100の側板102に当接する側の面をカバー無しの開放構造にして使用時に前記側板102で塞がるようにした場合は、装置ケース112a内への基板112s等の組み込みが開放面を使って行い易く、また、装置ケース112aに基板112s等を組み込んだ後の開放面へのカバー付けが不要であるから作業性が向上する。
前記装置ケース112aの上面板112b、側面板112e、斜面板112f、後面板112c、底面板112rには多数の通気孔112g,112g…が形成されていて内部に熱がこもらないようになっている。装置ケース112aは、底部に設けた脚部112h,112h…によって高床式に持ち上げられており、装置ケース112aの底面板112rと外本体100の底板101の間に通気空間112iが形成されている。従って、通気空間112iから底面板112rの通気孔112g,112g…を通って低層の比較的冷たい空気が装置ケース112a内に導入できる。実施形態の通気空間112iは、外本体100の前記放熱口104aに連通するようになっているため、機裏の冷たい空気を通気空間112iに導入することができる。なお、装置ケース112aの後面板112cと底面板112rの境界部に前記通気空間112iを嵩上げする逆L字形の段部112j(図30参照)を形成すれば、脚部112hの高さと放熱口104aの高さにズレがあっても通気空間112iを放熱口104aに連通させることができる。
[2−1−1−2−1.外本体−仕切板−下スペース−電源装置−固定]
電源装置112は、装置ケース112aの正面板112dの一側辺に対して直角である取付片112kと、装置ケース112aの後面板112cから外本体100の背板104に向けて突設した突部112mと、外本体100の背板104に開設した放熱口104aと、の組合せにより外本体100に固定される。
すなわち、放熱口104aの輪郭は装置ケース112aの後面板112cの輪郭より小さく形成されており、従って電源装置112は外本体100の背板104に当たって放熱口104aを通らない。また、装置ケース112aの後面板112cに突設した突部112mは、前記放熱口104aに内接する位置にあり、電源装置112の浮き上がり動作に抗すべく放熱口104aの上辺に内接する水平な突片112m−1と、電源装置112の横転動作に抗すべく放熱口104aの縦辺に内接する垂直な突片112m−2で構成される。従って、電源装置112を外本体100の側板102の内面に沿わせて押し込み、放熱口104aに突部112mを差し込むだけで、装置ケース112aの後面(奥側)の上方向(浮き上がり)と図26において右方向(横転)への固定が完了する。もちろん電源装置112は、下方向に対しては外本体100の底板101によって、また、図26において左方向に対しては外本体100の側板102によってその動きが規制されるため、放熱口104aに突部112mを嵌め込むだけの単純な操作で、手前に引っ張る方向以外について電源装置112の動きが完全に規制できる。
一方、正面板112dに突設した取付片112kにはビス用の透孔112pが複数穿設されており、該透孔112pの少なくとも1個に木ねじ112qを通して外本体100の側板102に固定する。これにより手前に引っ張る方向についても電源装置112の動きが規制されるため、1本の木ねじ112qで外本体100への電源装置112の確実な固定が可能である。
[2−1−1−2−2.外本体−仕切板−下スペース−電源装置−電源コード]
電源装置112には外部から電気の供給を受けるための電源コード(図示せず)が接続されている。そして、従来は前記放熱口104aの横に膨出部を設けてそこから前記電源コードを引き出すようにしていたが、この位置では電源コードを束ねても地面にすれる危険性が高い。スロットマシン1は、製造途中で電源を投入する場合があり、そのときに備えて外本体100の外に電源コードを出しておかなければならないから、製造ライン上での移動の際やライン間での移動の際に電源コードが地面にすれたり、スロットマシン1の底板101の下に入って挟まるおそれがある。
これに対し実施形態の放熱口104aは、その上辺から上に向けてコード引出口104bを拡張し、そこから電源コードを引き出すようにしている。これにより束ねた電源コードを宙づり状態にぶら下げるに十分な高さが確保できる。よってスロットマシン1を製造する工程で誤って電源コードを傷めてしまうトラブルが激減する。
以上のように本発明のスロットマシン1は、電源装置112を外本体100の内側コーナー部分にセットして1本の木ねじ112qをねじ込むだけで取り付けが完了するため、従来に比べて電源装置112の取付作業の大幅な省力化が可能である。また、本発明では、1つの面に対してネジ止めすれば固定が完了するので、特に、固定する部位を電源装置112の前方(手前)に持ってきた場合は視認しやすく、確実に固定できる。ちなみに、従来は電源装置112の複数の面或は部材に対してネジ止めする必要があり、特に、背板104に固定するネジは視認しにくいため忘れる可能性があった。
また、放熱口104aは、電源装置112の冷却手段として必要なものであるから、この放熱口104aを電源装置112の固定に利用しても余分な工程やコストは殆ど発生しない。却って、固定のために放熱口104aの位置と電源装置112の位置を一致させることになるから冷却効率が向上する。加えて、装置ケース112aを実施形態のごとく合成樹脂製にした場合には、取付用の突部112mも一体成形できるため殆どコストが掛からない。よって電源装置112の取り付けに要するトータルのコストも従来に比べて削減できる。
さらにまた、装置ケース112aを合成樹脂製にした場合には、電源装置112の発熱対策として有用な装置ケース112aの脚部112hや段部112jも殆どコストをかけずに実施できるメリットがある。
[2−1−2.外本体−仕切板−上スペース]
一方、外本体100内の仕切板105より上のスペースには前記ケース部材400が納められ、また、外本体100の背板104の内面には後述する配線手段の中核となる配線中継部材113が取り付けられ(図1,図2参照)、さらに背板104には配線中継部材113より上方に放熱用の通気口133が形成されている。
[3.扉形前面部材]
図3に扉形前面部材200の表側が、また、図1に扉形前面部材200の裏側が示されている。扉形前面部材200は、表側の下方にメダル用受皿201を有し、また、表側のほぼ中央に操作部202が設けられている。この操作部202には、メダル投入用の投入口203と、後述するメイン基板409のメモリーにデータとして蓄えられているメダルから1枚のみの投入(引き落と)を指示する1枚投入ボタン205と、同じく1回のゲームで使用可能な最高枚数(例えば3枚)の投入を指示するMAX投入ボタン206と、後述するメダルセレクタ207の中に詰まったメダルをメダル用受皿201に戻すためのメダル返却ボタン208と、メイン基板409のメモリーにデータとして蓄えられているメダルの貯留解除命令(精算による放出命令)を入力するための貯留解除スイッチ209と、図柄変動表示装置300を作動させる始動レバー210と、図柄変動表示装置300の各リール301a,301b,301cを停止させる3個のリール停止ボタン211a,211b,211c等が設けられている。もちろんここに示した操作部202の構成は1つの例示であり、これらに限定されるものではない。なお、始動レバー210は解決手段に記載の始動操作部に相当する。また、3個のリール停止ボタン211a,211b,211cは解決手段に記載の複数の停止操作部に相当する。
また、前記投入口203の裏側にはメダルセレクタ207が設けられており、そのメダルセレクタ207の横にメダル樋212が、また、下に返却樋213が接続している。メダルセレクタ207は内蔵したソレノイド(図示せず)をON・OFFさせることによって流路を切り替える公知のものであり、遊技者からのメダルの投入を待つ遊技状態のときには流路をメダル樋212側に、また、規定枚数を超えたメダルの投入など、メダルの投入を拒否する遊技状態のときには流路を返却樋213側に設定する。前記メダル樋212は、扉形前面部材200が外本体100の前面に被さる閉じ位置にあるときその突端がメダル放出装置110のホッパ110b内に臨むようになっており、投入口203からメダルセレクタ207を通ってメダル樋212に流れたメダルはホッパ110bに行き着く。一方、前記返却樋213は表側のメダル用受皿201に繋がっており、投入口203からメダルセレクタ207を通って返却樋213に流れたメダルはメダル用受皿201に戻る。
[3−1.扉形前面部材−透視窓]
扉形前面部材200は、外本体100の前面全体をカバーする大きさであって、その上半部は、図33,図34に示したように、透明板214aで覆ったゲーム用の透視窓214になっている。実施形態の透視窓214並びに透明板214aは、前記画像表示体500と図柄変動表示装置300が上下に並んで見えるよう通常より大きくなっており、扉形前面部材200と一体の額フレーム216によって画像表示体500と図柄変動表示装置300の領域が視覚上、上下に区画されている。このように一枚の透明板214aを、画像表示体500と図柄変動表示装置300の双方をカバーする大きさに設定しておけば、画像表示体500と図柄変動表示装置300の配置が上下入れ替わっても、そのまま使用することができる。
[3−1−1.扉形前面部材−透視窓−透明板]
透明板214aは、透明な合成樹脂(例えば耐衝撃性、耐擦傷性、光学特性に優れたゴム入りのメタクリル樹脂、実施形態では三菱レイヨン株式会社製「アクリペット(登録商標)IR D30」を使用)をほぼ逆さ台形にした上広がりの形態であって、底辺を除く三辺(左右側辺と上辺)の周縁に、遊技者と向かい合う側を前面としてその前面側に膨出する縁部材214b,214b,214bを、樹脂成型用型枠を用いての樹脂成型時に一体成型してなる。このように平らな板状の透明板214aの周縁に縁部材214bを一体に成型した場合には、縁部材214bが補強バーになって透明板214a全体の強度を高めるため、透明板214aが上記のように画像表示体500と図柄変動表示装置300の双方をカバーする程度に大きくても撓みや歪みが生じにくい。
前記縁部材214bは、図35に示したように、後面側に開口する殻構造(中実でなく、内部に空間がある殻のような構造であり、各部の肉厚は任意である。)になっており、その内部空間に発光ユニット217と、必要に応じて例えば表面に模様や文字を施した装飾部材(図示せず)が組み込まれる。
なお、図34では、発光ユニット217が扉形前面部材200に取り付けられているように描かれているが、実際の発光ユニット217は、図35に示したように縁部材214bの中に嵌め込まれている。従って、透明板214aと発光ユニット217は、一体の部品として取り扱われる。
縁部材214bの形状は図示したものに限定されず、発光ユニット217や装飾部材のデザインに合わせて任意に変更可能である。また、縁部材214bを設ける部位も実施形態のように透明板214aの周縁の三辺に限定されず、最低限、何れかの一辺に設けるだけでもよい。
その他、図33,図34において符号218は、透明板214aの上の左右コーナー部分に設けた固定部材であって、透明板214aの裏側から透孔214c(図33拡大図参照)に通したビス(図示せず)により、縁部材214bと縁部材214bの間に嵌った図34の状態で止められている。該固定部材218は、外見上コーナー飾りとしての役割を果たす一方、扉形前面部材200と透明板214aの夫々の上のコーナー部分に設けた通孔200a,214d(図33拡大図参照)に対し扉形前面部材200の裏側から通したビス(図示せず)に螺合し、もって透明板214aを扉形前面部材200に固定するナット的な役割を果たす。
また、図33〜図35において、符号217aは発光ユニット217の発光体、217bは発光体217aを支持する反射部材である。左右に位置する発光ユニット217の反射部材217bは、図35に示したように、棒状の発光体217aの光をスロットマシン1の周囲に向けて多く反射するように角度が設定されている。なお、透明板214aの縁部材214bの内部に発光ユニット217を組み込んだ形態は、発光体217aをスロットマシン1の、より手前側に配置することができるから、あたかも岬の突端にある灯台のごとく、光を周囲に向けて放射させる場合に有利である。また、上に位置する発光ユニット217の反射部材217bは、発光体217a(光源217a−1と導光板217a−2の組合せ)の光をスロットマシン1の上方に向けて多く反射するように設定されている。
以上の構成である発光ユニット217は、遊技中、特に大当たりが出た場合などに点灯して大当たりの発生を周囲にアピールする演出を行うことができる。このように周囲に対しアピール度の高い演出を行うことによって、大当りを得た遊技者に注目させることができ、多くの者の視線が遊技者に優越感を抱かせるから、遊技がさらに盛り上がる。また、大当たりが出ていることを周囲にアピールすることにより、その機種の人気が高まり、稼働率が向上することも期待される。
実施形態の透明板214aは以上のような構成であって、扉形前面部材200の裏側に設けた凹溝219(図34拡大図参照)に対し、板状の底辺を扉形前面部材200の前面から斜めに差し入れて建具式に嵌め込み、その状態で透明板214aを直立させて扉形前面部材200の前面に全ての縁部材214b,214b,214bを当接させ、さらに扉形前面部材200の裏から通したビス603(図1参照)によって固定する。図35は、このときの扉形前面部材200の要部を切断したものであり、この図35から明らかなように、もし仮に、遊技者が扉形前面部材200と縁部材214bの境から異物を無理矢理差し込んだとしても、その異物の先が縁部材214bの内部を横断して透明板214aの裏側に到達する余地は殆どない。従って、優れた防犯効果を発揮する。
[3−2.扉形前面部材−錠装置]
扉形前面部材200の自由端側の一側には専用キー(図示せず)を使って開閉操作する錠装置215が設けてある。
[4.図柄変動表示装置]
図柄変動表示装置300はリール回転式表示装置であって、モータ等の駆動手段303で個別に回転可能な例えば3個のリール301a,301b,301cと、該リール301a,301b,301cを組込み・収容する装置ケース302とを有し、リール301a,301b,301cの周面に描いた複数の図柄(図示せず)の組合せで遊技を行う周知のものである。
前記装置ケース302は、あたかも横倒しにした八角柱から正面(遊技者)に向かう3面を除いた変形六角柱形態であって、底部板304と、天板部305と、図11において向かって右側の右側板306と、同じく左側の左側板307と、後面を覆う垂直な後部板308と、天板部305と後部板308の間に設けた上斜板309と、底部板304と後部板308の間に設けた下斜板310で囲った箱形であり、前記リール301a,301b,301cの円弧の一部が装置ケース302の正面からはみ出す状態になっている。
また、装置ケース302の天板部305には指掛可能な使用状態と、天板部305に伏した不使用状態とに変化可能な把手311が設けられており、該把手311に指を掛けて持ち運ぶようになっている。
このように装置ケース302の天板部305に上記のごとく変化可能な把手311を設ける構成は、ケース部材400の強度アップ策と密接に関連する。すなわち、実施形態では後述するようにケース部材400の開口部401に補強桟402を設け、もってケース部材400の開口部401に画像表示体500を片持ちさせるに十分な強度を付与しているが、そのような補強桟402は開口部401を横切るから装置ケース302のケース部材400への出し入れに対し、明らかに障害となる。これに対し実施形態のように把手311を変化可能にして天板部305に伏させておけば、把手311の出っ張りがなくなるから、装置ケース302が補強桟402の下を難なく通過できるのである。従って、装置ケース302の天板部305に上記のように変化可能な把手311を設けてこそ、ケース部材400の開口部401に該開口部401を横切る向きの補強桟402を設けることが可能になる。ちなみに、従来の装置ケースは、天部板から把手が出っ張っていてそれが障害になるため、ケース部材の開口部に補強桟を設ける余地がない。
なお、実施形態の把手311は、立てた使用状態と伏した不使用状態とに揺動して変化させる構造としたが、把手311を使用状態と不使用状態とに変化させ得る構造は、実施形態に限定されない。例えば図22に示したように、天板部305に2つのベルト通し314,314を切り起こし、該ベルト通し314,314に例えば合成樹脂や革製であって両端に抜け止め部315,315を設けてなる帯状の把手311を挿通し、図22の伏した不使用状態から中央を引き上げて指掛可能な使用状態に変化させる構造にするなど、指掛可能な使用状態と、天板部305に伏した不使用状態とに変化可能であれば、どのような構造であってもよい。
また、実施形態の装置ケース302の底部板304には図4,図11に示したようにフランジ状の下把手316が突設されており、該下把手316をつかんで装置ケース302を押し込み又は引っ張ることにより、ケース部材400への出し入れが行い易くなっている。
[5.ケース部材]
ケース部材400は、前記外本体100の仕切板105から上のスペースにほぼ合致する大きさであって、底板403と、該底板403の左右両横に立設した側板404,404と、底板403の後縁に立設した後面板405と、該後面板405と前記側板404,404の上面を覆う天板406とからなり、前面に開口部401を有する箱形である。
該ケース部材400は、底板403が金属製で、側板404,404、後面板405、天板406が合成樹脂製であり、側板404,404と天板406の開口部401内面に金属製の補強部材407,407,407が設けられ、さらに側板404,404の補強部材407,407の間に開口部401を横切る金属製の補強桟402が掛け渡されている。そして、この補強桟402を境にそれより下が前記図柄変動表示装置300の設置領域として、また、補強桟402より上の開口部401が前記画像表示体500の設置領域として、さらにまた、画像表示体500より後方のケース部材400で囲われた領域が配線作業空間408として割り当てられ、その配線作業空間408の後面板405の内壁面に、主たる制御基板であるメイン基板409が装着され、さらにメイン基板409以外の制御基板等(例えば演出制御基板510(図44参))も配線作業空間408内に装着されている。
ケース部材400の天板406には、図1に示したように天窓部443,443が形成されている。この天窓部443,443は、天板406の強度を保つための補強帯444を挟んで2つに分けられており、その夫々が前記外本体100の貫通孔132,132…を通る軸線との交点を含む領域にあり、該貫通孔132,132…より十分に広く開口している。もっとも天窓部443の前側の周縁は前側に位置する貫通孔132の近くに寄せられている。そうすることにより天窓部443の周縁を基準として手探りで貫通孔132が見つけ出せるから、たとえ天窓部443の中を作業者が覗き込めなくとも貫通孔132の位置が素早く簡単に割り出せる。ここで、天窓部443が本発明の開口部としても機能している。つまり、ケース部材400の上面に開口部として複数の天窓部443を備えることにより、軽量化を図ることができ、輸送時や交換時における作業者の負担を一層軽減することが可能になる。
ケース部材400の後面板405の外面には図2,図5,図6,図12に示したように複数のボス410,410が突設されており、該ボス410を外本体100の背板104にプレ加工したボス孔114,114に嵌めて位置決めされる。なお、このボス410,410は、図2,図5に示したように後述する配線窓411近くに設けられており、一方、外本体100側のボス孔114,114は前記配線中継部材113近くに設けられており、これによりケース部材400の配線窓411と背板104の配線中継部材113の位置決めが正確になる。
一方、ケース部材400の底板403の底面には、図2に示したように凹段部412が形成されており、該凹段部412が前記仕切板105の突段部106に嵌まり合う。凹段部412の後面板405側の端部には後方に向かって拡大する向きのテーパ部413が設けてあり、該テーパ部413に案内され仕切板105の突段部106とケース部材400の凹段部412との嵌め合わせが円滑に行える。このようにケース部材400の凹段部412と仕切板105の突段部106の嵌め合いによってケース部材400が仕切板105の奥に真っ直ぐに案内されるが、例えば図20に示したように仕切板105に凹溝形態のレール部材115を敷設又は一体にプレス成形し、一方、ケース部材400の底板403に車輪414を設置し、該車輪414をレール部材115の溝内で転がらせるようにしてもよい。或は、図21に示したように仕切板105に凸形態のレール部材116を敷設又は一体にプレス成形し、一方、ケース部材400の前記車輪414の両端に鍔415,415を形成し、該車輪414の鍔415,415でレール部材116を挟ませるようにしてもよい。
また、ケース部材400は、仕切板105上の所定の位置にセットした状態で、図1,図2,図18,図23に示した揺動レバー形態のストッパー117で止められている。このストッパー117は、図1,図2に示したように仕切板105の前端部と、天板103に垂設した2つの取付具118,118とに軸着されており、図18実線のようにケース部材400の一部に係合する作動姿勢と、図18想像線のようにケース部材400に係合しない非作動姿勢とを手動で切り替えてケース部材400の仕切板105上における前方向の動きを規制する。なお、ストッパー117を図19に示したように鍵形にしてケース部材400に設けた引掛部416に係合させるようにすれば、ケース部材400の仕切板105上における上方向の動きも規制することができる。
また、天板103の取付具118に軸着したストッパー117は、図23に示したようにケース部材400の側板404と天板406のコーナー部に貫設した係止孔442に臨む位置にあり、ケース部材400を所定の位置に押し込んだ状態でケース部材400の内側から作動姿勢と非作動姿勢の切り替えが行えるようになっている。
また、ケース部材400の後面板405には外本体100の背板104側に貫通する長孔形態の配線窓411が開設されている。該配線窓411は、図4,図5,図24に示したようにケース部材400に設置した図柄変動表示装置300の装置ケース302の上斜板309に対応し且つ前記メイン基板409の下側の位置にあり、上斜板309の上にある横長の空きスペース417(或は上斜板309とメイン基板409の間に形成される横長の三角スペース417と観念してもよい。)と背板104を結ぶ開口として機能する。
また、ケース部材400には図5,図12に示したように空きスペース417の高さのほぼ中間位置に棚板状の仮止め部材418(以下「仮止め棚」ともいう。)が設けられており、また、後面板405の外側であって配線窓411の両横にケース部材400の左右側面に抜ける配線通路たる凹み419,419が形成されている。
なお、配線窓411の配置を、図柄変動表示装置300のリール301a,301b,301cを基準に特定するならば、配線窓411は、図24に示したように図柄変動表示装置300のリール301a,301b,301cの回転中心を通る水平面HLと、リール301a,301b,301cの最高高さ位置を通る水平面HHとの間の範囲を下限とする状態、つまりその範囲内に下辺を置く高さに配置したものである、と言い換えることもできる。
[6.画像表示体]
画像表示体500は、例えば、少なくとも液晶ディスプレイ(他にもプラズマディスプレイや有機ELディスプレイ等でもよい。)で構成される画像表示可能なパネル形のユニットであり、ケース部材400の前面開口を開閉可能に閉鎖する前面開閉部材90(図44参照)としても機能している。なお、画像表示体500は、図11においてケース部材400の左側の側板404に設けた補強部材407にヒンジ金具420を取り付けて(取付位置は図11斜線部参照)、該ヒンジ金具420により回動自在に支持されている。
また、図44に示すように、画像表示体500の裏面側には、演出制御基板510,520が組付けられている。このため、液晶ディスプレイ等の画像表示体500と演出制御基板510,520とを一体的に構成することが可能になり、取扱いが容易になるとともに、両者を繋ぐ配線が省略でき、ケース部材400内における配線作業空間408の煩雑さを抑制できる。また、画像表示体500が開かれると、演出制御基板510,520がケース部材400内から飛び出すように出現するため、演出制御基板510,520に対する作業性を著しく向上させることができる。
[6−1.画像表示体−ヒンジ金具]
図36は、ヒンジ金具420の分解・組み立て斜視図である。なお、ヒンジ金具420は、上下が対称な構造であるため、主として上部について説明する。ヒンジ金具420は、前記ケース部材400の補強部材407に取り付く固定部材420aと、画像表示体500の裏側(図36の破線領域500s参照)に取り付く回動部材420bと、該回動部材420bと固定部材420aを連結する短リンク420c及び長リンク420dで構成される。
ヒンジ金具420の固定部材420aは、棚板形態である横向きの固定片420eを有し、該固定片420eの上面に長リンク420dの一端をピンP1で、また、固定片420eの下面に短リンク420cの一端をピンP2で回動自在に軸着する。一方、ヒンジ金具420の回動部材420bは、棚板形態である横向きの軸承片420fを有し、該軸承片420fの上面に長リンク420dの一端をピンP3で、また、軸承片420fの下面に短リンク420cの一端をピンP4で回動自在に軸着する。
こうして固定片420eと軸承片420fと長リンク420dと短リンク420c及びピンP1〜P4は、図37の線図に示したように四節回転連鎖を構成し、その連鎖の中でも特に、最短リンクである軸承片420fに向かい合う固定片420eを固定リンクとする、いわゆる両てこ機構を構成する。この両てこ機構は、図37(a)〜(c)に示したように、画像表示体500の回動軌道を、扉形前面部材200の回転軸100aを中心とする回動軌道に近似させるべく、それぞれのピン位置が設定されている。つまり、ヒンジ金具420が回転中心移動機構として機能しており、扉形前面部材200の回動位置が変化しても、扉形前面部材200の回動外縁側と画像表示体500の回動外縁側との距離が略一定になるようにしている。
なお、長リンク420dと短リンク420cは、画像表示体500がほぼ90度回動した(開いた)状態で上下に重なり合うように重合領域420g,420hが設定されており(例えば長リンク420dの重合領域420gを三角形に膨出させて短リンク420cの重合領域420hに重なるようにする。)、その重合領域420g,420hの夫々にピン孔420i,420jが形成されている。このピン孔420i,420jは、両者を同軸上に揃えて棒状の止めピン(図示せず)を差し込むことにより長リンク420dと短リンク420cを連結し、もって両てこ機構をロックして画像表示体500を開いた位置に固定するためのものである。
[6−2.画像表示体−ロック片]
図11,図12に示したように、ケース部材400の縦の補強部材407のうち前記ヒンジ金具420を設けた補強部材407の反対側の補強部材407(図11において向かって右側)にはロック片421が軸着されており、該ロック片421を図11の状態から時計回りに回動させるとその先端が画像表示体500の裏側に突設した受部508に係合し、この状態で画像表示体500がケース部材400の開口部401の上部を閉じた位置にロックされる。一方、前記ロック片421をロック状態から逆向きに回動させると画像表示体500のロックが解除され、ヒンジ金具420を中心に回動自在になる。通常、ケース部材400を外本体100に装着する前の状態では画像表示体500を閉じ位置にロックして無用な回動を防止し、一方、ケース部材400を外本体100に装着した状態では画像表示体500のロックを解除して回動自在とする。
[6−3.画像表示体−連結具]
ところで、外本体100の扉形前面部材200とは別に、ケース部材400に開閉可能な画像表示体500が設けられることから、ケース部材400内を視認したりケース部材400内で作業したりする場合には、まず手前側の扉形前面部材200を開放し、その後さらに奥側の画像表示体500を開放しなければならず、これにより作業性を低下させたり煩わしさを与えることが懸念される。
そこで、本例のスロットマシン1では、画像表示体500の回動方向を扉形前面部材200の回動方向と同方向にするとともに、扉形前面部材200と画像表示体500を適宜な連結具700で連結し、扉形前面部材200の開閉に連動して画像表示体500も一緒に開閉させるようにしてある。これによれば、扉形前面部材200を開放させると、連結具700を介して画像表示体500も同方向に回動し、ケース部材400の前面が開放される。つまり、画像表示体500が扉形前面部材200に連れ回ることとなり、一回の横開き操作によって外本体100内は勿論、ケース部材400の内部までも視認させることが可能になる。
ここで、前記のように実施形態の扉形前面部材200と画像表示体500とは、ヒンジ金具420の両てこ機構によって、画像表示体500の回動軌跡が扉形前面部材200の回転軸100aを回転中心とする回動軌跡に近似するようになっているものの、それでもなお両者の動きには相対的なずれが生じる。そこで、実施形態の連結具700は、図40及び図41に示したように、画像表示体500の自由端側の裏面に固定鞘部材701を形成し、該固定鞘部材701の内部に摺動自在な状態にロッド702を納め、そのロッド702の先端を扉形前面部材200の裏面(具体的には錠装置215のベース部材215a)に対し、止め軸703で回転可能な状態に連結してある。こうすることにより、図39のように、扉形前面部材200の開閉に連動して画像表示体500が扉形前面部材200の付属部品であるかのごとく一緒に開閉し、その際生じる両者の動きの相対的なずれを連結具700のロッド702が固定鞘部材701に出入りして吸収する。
なお、ロッド702が画像表示体500の回動外縁(自由端)から最も突出したときの最大突出長さは、画像表示体500が開放位置である場合(例えば90°開放された場合)の、扉形前面部材200の回動外縁(止め軸703の位置)と画像表示体500の回動外縁との距離に基づいて設定されている。このため、ロッド702の長さを必要最小限の長さとすることができ、連結具の大型化を抑制することが可能になる。
また、前記止め軸703は、錠装置215のベース部材215aの一部を曲げて形成した支持片215b,215b,215bに対し、上下動自在に装着されており、スプリング703aにより常時下向きに付勢されている。よって、この止め軸703は、スプリング703aの付勢に抗して上動させることが可能であり、上動させて下端を浮かせることによって前記連結具700のロッド702の着脱が可能である。すなわち、ロッド702の先端部分に形成された軸孔部702aに対し上方から止め軸703を挿入させ、スプリング703aの付勢力によって保持することが可能になっている。
また、図40において、符号704は連結具700の固定鞘部材701の上面に設けた弾性的な片持ち梁式のストッパであって、前記止め軸703から外したロッド702を固定鞘部材701の内部に納めて保持するためのものであり、ロッド702の上面に形成した溝705の端部の引掛壁702bに係合してロッド702の盲動を防止する。ロッド702には、その側面に摺動方向と直交する方向に摘み片706が突設されており、該摘み片706を摘んでロッド702を強制的に移動させることにより前記ストッパ704のロックが外れるようになっている。また、固定鞘部材701の先端側底面には、抜止め防止片701aが垂下され、ロッド702の溝705内に挿入されている。この抜止め防止片701aは、ロッド702が最も突出した際に引掛壁702bと当接し、ロッド702が固定鞘部材701から抜け出ることを阻止するものである。
また、図40において、連結具700の近傍にある符号509は、画像表示体500の回動外縁側の裏面に突設した係合部である。該係合部509は、ケース部材400の開口部401を横切る補強桟402に係合して、閉じ位置にある画像表示体500の自由端側の荷重を支えるものである。なお、図11に示したように、補強桟402には、前記係合部509を補強桟402の上面に円滑に導くべく、画像表示体500に向かって下り傾斜する滑り台式の案内部402aが設けてある。また、画像表示体500の係合部509は、画像表示体500とは別の潤滑性に優れた合成樹脂で形成されており、画像表示体500に対し着脱自在(交換自在)に装着されている。
ところで、扉形前面部材200と画像表示体500の回動軌跡の相違に起因する動きの相対的なずれは、上記のような伸縮自在なロッド形式の連結具700の他、柔軟なワイヤーにしても吸収することができる。但し、連結具が柔軟なワイヤー等であると、扉形前面部材200を閉じる段階で扉形前面部材200が開いたまま停止している画像表示体500にぶつかることになって、円滑さを損なうおそれがある。これに対し、例えば画像表示体500に巻バネなどの付勢手段を設けて常時閉じ方向に付勢するようにすればよい。そうすることにより扉形前面部材200の閉じ動作に際し、画像表示体500が上記付勢力の作用で連結具を引っ張りつつ自力で閉じるから、扉形前面部材200と画像表示体500がぶつからない。もちろん扉形前面部材200と画像表示体500の連れ回りのための手段は上記に限定されない。例えば、上記において連れ回りのための一要素たるヒンジ金具420は、上記のような両てこ機構の構造に限定されず、図41,図42に示したような、単独のピン420kを中心にして画像表示体500を回動させる単純なものであってもよい。
ケース部材400に対する画像表示体500の取着手段をヒンジ構造にして該画像表示体500を扉状に回動させ得る構成に、上記のように画像表示体500を閉じ位置にロックするロック手段(上記のロック片421)を付加した場合には、ケース部材400を外本体100に装着した状態で原則ロックを継続させ、配線作業空間408内のチェック等、必要な時にのみロックを解除する、という取り扱いを選択することも可能であり、その場合には画像表示体500によって配線作業空間408内の重要部品(例えばメイン基板409や演出制御基板510,520)がブロックできるから、防犯性能の向上に効果がある。
ケース部材400の開口部401上縁と閉じた画像表示体500の上縁との前後間には隙間10が設けられており、該隙間10に通した指で天板406の前記補強部材407が掴めるようになっている。また、ケース部材400の天板406の前方中央部分(天窓部443,443の間の補強帯444)には把手口422が形成されており、該把手口422に通した指で天板406の補強部材407が掴めるようになっている。従ってケース部材400は、取り扱う場所や姿勢に応じて該把手口422と前記隙間10との適宜な使い分けが可能である。例えば、ケース部材400を外本体100に組み込む前の搬送時には把手口422を使って鞄形態に持ち運ぶ方がバランスがよく、一方、ケース部材400を外本体100に装着した状態では、図4に示したように把手口422が外本体100の奥に隠れて指が入らないため、前記隙間10から補強部材407に指を掛けてケース部材400を引っ張り出す、という具合である。なお、ケース部材400の底板403の正面中央には前記した装置ケース302の下把手316(図4,図11参照)が突出しており、該下把手316を持って押し込み又は引っ張ることで外本体100へのケース部材400の出し入れが容易に行える。この場合の下把手316は、装置ケース302がケース部材400にビスで固着されていることよりケース部材400と一体であり、従ってケース部材400の底板403の正面に下把手316が突設されているに等しい。
[6−4.画像表示体−枠部材]
画像表示体500は、ケース部材400の開口部401の前記補強桟402から上の領域のほぼ全部を覆う大きさである。また、画像表示体500の下側には、ケース部材400の開口部401の前記補強桟402から下の領域、つまり図柄変動表示装置300の前方領域を額縁状に囲う枠部材501が一体に垂設されており、該枠部材501により前記図柄変動表示装置300のリール301a,301b,301cが縁取られる。この枠部材501の表面は装飾面になっており、適宜な模様等が描かれている。なお、図示しないが、枠部材501にはLED等の発光源と、その発光源を制御する発光制御基板と、発光源の前方に配置され光を透過可能な装飾部材とから構成された電飾部が設けられている。ここで、画像表示体500と枠部材501とを組合せたものを、以下、前面開閉部材90(図44参照)として説明する。
[6−4−1.画像表示体−枠部材−照明装置]
前記枠部材501の裏側上下には照明装置502が設けられており、該照明装置502によって図柄変動表示装置300の図柄が明るく照らされる。枠部材501は画像表示体500の下に垂設されていて図柄変動表示装置300に近いから、そのような枠部材501に照明装置502を組み込むことで光源を図柄変動表示装置300に近づけることができる。従って枠部材501に照明装置502を組み込む手段は、従来の照明装置に比べて低光量でも十分な明るさが確保できる、という特徴がある。
実施形態として例示した照明装置502は、図4に示したように、図の紙面と直交する方向(スロットマシン1の幅方向であってリール301a…の回転軸と同方向)に細長い帯状の基板503に多数の発光ダイオード(以下LEDという。)504を並べたものであり、下側の照明装置502は、上面を例えば乳白色の透光性蓋板505で塞いだチューブ枠506の中にLED504を上向きにして配置し、一方、上側の照明装置502は、断面上向きコ字状の例えば乳白色である透光性カバー507内にLED504を下向きにして配置してなる。
なお、上側の照明装置502は、照明方向を図4に示したように真下より遊技者側、すなわち透明板214a側に向かう斜め下向きに設置してある。実施形態では比較的強い指向性を持ったLED504の主たる照射領域の中心線L(図4拡大図参照)を透明板214aに対し斜めに向かわせるべく、基板503のLED取付面の向きが、前記透明板214a側に向けて斜め下向きに傾けられている。
また、もし照明装置502の光源として蛍光灯のような棒状発光体を採用した場合には、図4の基板503を板状又は光源を包むような凹面状の反射部材に変更し、直射光と反射光の総和により方向付けられる主たる照射領域の中心線が、透明板214a側の裏面に斜めに当たるように設定すればよい。以上のように照明装置502の照射照準を透明板214aに設定すれば、漏れた一部の光がリール301a,301b,301cの外周面を照らしても殆ど影響はない。
実験によれば、照明装置502の照明方向をリール301a,301b,301cの周面側に向けた場合には、湾曲するリール301a,301b,301cの特定部分が強く反射して見辛くなるのに対し、上記のように主たる照射領域の中心線Lを透明板214aに対し斜めに向かわせた場合には、透明板214aを介してリール外周面が照らされることにより、リール301a,301b,301cの広い範囲が明るく見え易くなることが確認できた。その理由として、照明装置502から照射した光が扉形前面部材200の透視窓214に嵌めた透明板214aに当たって反射し全体に拡散するか、或は透明板214aが明るく照らされることでリール301a,301b,301cの広い範囲が明るく見えるか、或はそれらの相乗作用によるものと推測される。
以上のような上側の照明装置502の構造は、下側の照明装置502にも採用することができ、もちろん図32に示したように下側の照明装置502にのみ採用することもできる。なお、図32は図4の上側の照明装置502を下側に配置し、下側の照明装置502を上側に配置したものであるため、上記照明装置502の説明の「上」を「下」に読み替え、「下」を「上」に読み替えればよい。
ところで照明装置502の光源として実施形態のようにLEDを採用した場合には、(a)低電圧で駆動するため約200Vの高電圧で駆動する従来の冷陰極管より安全性が高い、(b)冷陰極管より寿命が長い、(c)ガラス管である冷陰極管より丈夫である、(d)多色発光が可能であるため演出の幅を広げることができる、(e)インバータと組み合わせて使用する冷陰極管より軽く、従って画像表示体500を支えるヒンジ金具420の負担が少ない、というメリットがある。
[7.配線手段]
前記外本体100に取り付けられている例えばメダル放出装置110や電源装置112及び扉形前面部材200の操作部202にある例えば各投入ボタン205,206や始動レバー210(以下、これらの総称として単に「本体側電気部品」という場合もある。)と、ケース部材400にある例えばメイン基板409等(ケース部材側の電気部品の総称として単に「ケース部材側電気部品」という場合もある。)とは電気的に接続されている。そして、実施形態のスロットマシン1は、前面開閉部材90とケース部材400とからなる機種ユニット50(図44及び図45参照)が外本体100に対し着脱自在であるため、機種ユニット50の交換等に際して本体側電気部品(筐体側電気部品)とケース部材側電気部品とを簡単に接続又は切り離すための合理的な配線手段が設けられている。
[7−1.配線手段−配線中継部材]
前記のように外本体100の背板104の内面上部には、図14に示した配線中継部材113が取り付けられている。該配線中継部材113は図4,図5に示したように、前記ケース部材400の配線窓411に対応する位置にあって該配線窓411からケース部材400の空きスペース417に臨むようになっている。配線中継部材113は、前記本体側電気部品につながる本体側配線類119と、前記ケース部材側電気部品につながるケース側配線類423とを中継するものであって、外本体100の背板104にビス止めされる取付板120と、該取付板120の前面に被さるカバー体121と、該カバー体121と前記取付板120の間に納められる複数(実施形態では大小2枚)のコネクタ基板(以下「コネクタ接続用端子基板」という場合もある。)122,123とからなる。
前記2枚のコネクタ基板122,123のうち、図14,図15において左側に位置する大きい方のコネクタ基板122は取付板120に対して固定的に取り付けられており、前記メイン基板409につながっているハーネス424の先端のコネクタ425と対をなすコネクタ124が設けられている。
一方、図14,図15において右側に位置する小さい方のコネクタ基板123は、取付板120とカバー体121の間の隙間に非固定的な遊動可能状態に取り付けられており、従って図15拡大図に示したように上下方向に移動可能であり、また、左右方向にも移動し得る。この小さいコネクタ基板123には、メイン基板409以外のケース部材側電気部品につながっているハーネス426の先端のコネクタ427と対をなすコネクタ125が設けられている。なお、該コネクタ125と前記コネクタ124は、プリント基板にハンダ付け等の固着手段で固着する基板固着型であり、安価なDIN規格のものが使われている。
また、取付板120の前面に被さるカバー体121は、前記コネクタ124,125が通る大小2つの開口126,127と、該開口126,127と横並びの位置に突設した支持筒128と、下半部前方に張り出すトンネル状の配線ダクト129と、を有する。
配線中継部材113に接続する本体側配線類119は、前記配線ダクト129の内部を通るか、または配線中継部材113の取付板120の下側前面に突設したフック形状の配線止め130に束ねられた状態で、図1一点鎖線Lに示したように外本体100の側板102,102側に振り分けられ、該側板102,102と背板104のコーナー付近でほぼ垂直に向きを変え、その多くは仕切板105の奥に設けた配線用の開口109を通って本体側電気部品に夫々接続される。もちろん仕切板105より上の領域に本体側電気部品(例えば図1において側板102の内面に設けた外部中継端子板131)がある場合には、仕切板105の配線用の開口109とは無関係にそのまま接続される。
ここまでで説明した配線手段から、次のような技術的思想が把握できる。
(a)ケース部材400の後面板405に、図柄変動表示装置300のリール301a,301b,301cの回転中心を通る水平面とリール301a,301b,301cの最高高さ位置を通る水平面との間に自己の下辺が位置する高さにして配線窓411を形成する。
(b)外本体100の背板104に、本体側電気部品につながる本体側配線類119と、ケース部材側電気部品につながるケース側配線類423とを中継する配線中継部材113を設置する。
(c)外本体100の側板102,102の内面沿いに配線を通す上下方向の配線経路を形成する。
(d)配線中継部材113につながる本体側配線類119をケース部材400の側方に導き、そこから前記配線経路を通って本体側電気部品に接続する。
以上(a)〜(d)の構成要素を備えた遊技機は、図柄変動表示装置300のリール301a,301b,301cの後ろを本体側配線類119が通らず、外本体100の側板102,102沿い(背板104とのコーナーを含む(図10参照)。)に設けた配線経路を迂回するため、リール301a,301b,301cを外本体100の背板104近くにまで寄せることが可能になり、従来の構成、すなわち、本体側配線類119が背板104のほぼ中央を下ってリール301a,301b,301cの後ろを通っていた従来の構成に比べて、リール301a,301b,301cの径を大きくすることができる。なお、リール301a,301b,301cの径は大きい方が、回転時の迫力が増す。
[7−2.配線手段−コネクタ425,427]
上記のように配線中継部材113に設けられている2つのコネクタ124,125には、ケース部材400のメイン基板409につながっているハーネス424の先のコネクタ425と、メイン基板409以外のケース部材側電気部品につながっているハーネス426の先のコネクタ427がそれぞれ接続されている。
この2つのコネクタ425,427は、図16に示したように1つのコネクタホルダー428に一体に取り付けられている。該コネクタホルダー428は、コネクタ425,427がビス止めされるホルダー主体429と、ほぼ中央に透孔430を有し前記ホルダー主体429の両横に突設した板状の取着片431と、該取着片431の透孔430に装着した周知のボタン形パネルファスナー432(商品名「ナイラッチ」:登録商標)と、からなり、図5,図8(a)に示したように配線中継部材113の前記支持筒128の先に取着片431を当て、該取着片431のボタン形パネルファスナー432を支持筒128に差し込んでロックしてある。従ってコネクタホルダー428が固定手段たる支持筒128に固定され、ひいては配線中継部材113に固定されるため、コネクタ425,427とコネクタ124,125の結合が外れない。
[7−2−1.配線中継基板−コネクタ425,427−仮止め棚]
上記のようにコネクタ425,427は配線中継部材113のコネクタ124,125に接続されているが、ケース部材400が外本体100に組み込まれる前、つまり工場出荷から設置完了までの間、コネクタ425,427は、ケース部材400に設けた仮止め棚418に仮止めされている。
前記仮止め棚418は、図5,図6,図12,図13に示したようにケース部材400の内側から前記配線窓411に向かわせた棚板状の部材であり、図6に示したようにコネクタホルダー428を載置するほぼ水平なベンチ部433と、そのベンチ部433の両端に立設したベンチ側板434と、各ベンチ側板434に突設した3本の内向き爪片435,435,435とを有する。この内向き爪片435,435,435の中央の1本と他の上下の2本との間にはコネクタホルダー428の取着片431が嵌まり得る間隔が設けてある。なお、一方のベンチ側板434は、先端に指掛部436を延設した薄板構造であって、指掛部436に指を掛け図8(b)矢示X方向に力を加えることにより一端支持の板バネのごとく外向きに反らせ得るようになっており、その反らせた状態で内向き爪片435,435,435からコネクタホルダー428の取着片431が簡単に外れるようになっている。図8(a)の想像線は指掛部436の先を鍵形に折り曲げた例を示したものであり、こうすることにより矢示Yのようにボタンを押す感覚でコネクタホルダー428の取外しが楽に行える。
しかして、図6に示したように前記仮止め棚418のベンチ部433にコネクタホルダー428を載置し、該コネクタホルダー428の取着片431をベンチ側板434の内向き爪片435,435,435の間に嵌めることによってコネクタホルダー428が仮止め棚418に仮止めされる。もちろん仮止めと言っても、ケース部材400の輸送中にコネクタホルダー428が仮止め棚418から外れない強度を有する設定になっており、従ってケース部材400が外本体100に組み込まれる前までは、コネクタホルダー428と一体のコネクタ425,427はケース部材400に設けた仮止め棚418に仮止めされて動かない。よってケース部材400を輸送したり、ケース部材400を外本体100に組み込む作業の最中に、ハーネス424,426の先にあるコネクタ425,427が、ケース部材400内の部品に当たってその部品はもちろん、自らも損傷する、というようなおそれがない。
そして、図8(b)→図8(a)に示したように、ケース部材400を外本体100に固定した後の配線工程で、上記のように一方のベンチ側板434を外向きに反らせてコネクタホルダー428を仮止め棚418から外し、そのコネクタホルダー428を自己の取着片431が配線中継部材113の支持筒128に当たる位置まで移動させれば、コネクタ425,427が配線中継部材113のコネクタ124,125に嵌まるから(その詳細は後述する。)、その状態で取着片431のボタン形パネルファスナー432を押し込んで取着片431を支持筒128にロックする。なお、このとき図5,図6に二点鎖線で示したように、ベンチ部433にガイド用の案内レール440を設けておけば、コネクタホルダー428を奥に押し込むだけでよいため、作業性が向上する。
以上のようにして配線中継部材113に取り付けたコネクタホルダー428は、外本体100の背板104を支持基盤として安定し、ケース部材から離間していて接触しないため、輸送時の振動等で外本体100と機種ユニット50が相対的に動いても無理な負荷が加わらない。
ここまでの説明から、次のような技術的思想が把握できる。
(a)前面が開口し背面を背板で覆った箱形であって電源装置その他の本体側電気部品を備えた外本体と、
(b)前記外本体に対し着脱自在なケース部材に複数の図柄を変動させる図柄変動表示装置その他のケース部材側電気部品を設けた機種ユニットと、
(c)前記本体側電気部品につながる本体側配線類と、前記ケース部材側電気部品につながるケース側配線類とを中継すべく前記外本体の背板に取り付けた配線中継部材と、
(d)前記ケース側配線類の先端に取り付けたコネクタと、
(e)該コネクタに取り付けたコネクタホルダーと、
(f)該コネクタホルダーを仮止めするためケース部材に設けた仮止め部材と、
(g)前記コネクタホルダーを前記配線中継部材に固定するための固定手段と、を有し、
(h)機種ユニットを外本体に装着する前の状態で前記コネクタホルダーを仮止め部材に仮止めし、機種ユニットを外本体に装着した状態で前記コネクタホルダーを仮止め部材から固定手段に付け替えてコネクタホルダーのコネクタを配線中継部材に接続するようにしたことを特徴とする
(i)遊技機。
上記の遊技機は、機種ユニット50の外本体100への装着とコネクタ同士の結合とを別々に行うようにしたものであるが、これとは対照的に、例えば機種ユニット50に直接コネクタを取り付け、機種ユニット50を外本体100に押し込む動作で自動的にコネクタ同士を結合させる、という方式が考えられる。しかしこの方式は、質量の大きな機種ユニット50が輸送中などに外本体100の内部で振動した場合、大きな負担がコネクタ結合部に掛かるため信頼性に不安があり、その対策にコストが掛かる課題がある。
また、本発明の遊技機は、外本体100に1枚の扉形前面部材200を取り付け、該扉形前面部材200に対して機種ユニット50を物理的に独立させた構成であるが、これとは対照的に、扉形前面部材を上下2段に分割し、上部の扉形前面部材を機種ユニット50側の部品とする遊技機も考えられる。しかし、このような遊技機では、遊技中に興奮した遊技者が上部の扉形前面部材を叩いた場合にコネクタ結合部に直接衝撃が加わるためコネクタの結合が不安定になるおそれがあり、さらに上下の扉形前面部材同士の継ぎ目に対し新たな防犯構造を要する課題がある。
これに対し本発明の遊技機は、外本体100に1枚の扉形前面部材200を取り付け、該扉形前面部材200に対して機種ユニット50を物理的に独立させた構成であり、さらに、コネクタホルダー428を配線中継部材113に接続した後、該コネクタホルダー428は、図5に示したように外本体100に固定した部品(配線中継部材113)と結合し機種ユニット50から離間した独立構造になっているため、プリント基板にハンダ付けして用いる低コストで一般的なコネクタを使用した場合でも、輸送中においても、遊技中においても信頼性・耐久性に不安がない。また、機種ユニット50のみが機種変更時の交換対象であり、扉形前面部材200は交換対象とならないため、機種変更のための遊技場の負担も軽くなる。
[7−2−2.コネクタ425,427とコネクタ124,125の結合]
前記のようにコネクタ425とコネクタ427は、1つのコネクタホルダー428に取り付けられている。こうすることによりコネクタホルダー428を配線中継部材113の所定の位置にセットする1回の動作で2つのコネクタ425,427の接続が完了する。しかし現実の問題として、2つのコネクタ425,427とコネクタホルダー428という独立した要素を寄せ集めて一体にする構造では、コネクタ425,427とコネクタ124,125の「正確な位置決め」という困難な問題に直面する。すなわち2つのコネクタ425,427と配線中継部材113側のコネクタ124,125の4要素の位置決めが全て正確でなければ、コネクタ425,124とコネクタ427,125の一括結合は不可能であるのに、そのような位置決めの精度を量産品レベルのコストで達成するのは困難だからである。そのような問題を解決する1つの手段として、プリント基板にハンダ付けすることなく結合時の融通性を高める機構を施したいわゆるドロワーコネクタを使用する方法が考えられるが、ドロワーコネクタ自体が高価であるため、まだコスト面の負担が大きい。
これに対し実施形態の配線手段では、基板支持部材たる配線中継部材113のコネクタ基板122,123を分割してそれぞれにコネクタ124,125を装着し、そのコネクタ基板122,123の少なくとも一方を、配線中継部材113の取付板120とカバー体121の間の隙間に非固定的に納めてコネクタ427とコネクタ125の結合方向と直交する方向(ここでの「直交」は、厳密な90度にこだわらず、社会通念上のほぼ90度という程度の意味である。)に遊動可能状態にする手段を講じている。かかる構成においてコネクタホルダー428の結合照準をコネクタ425とコネクタ124に定めた場合、もう一方のコネクタ427とコネクタ125の相対位置に若干の狂いがあっても、コネクタ基板123が遊動してその狂いを矯正すべく移動するから、コネクタ427とコネクタ125の結合も可能になる。これにより基板固着型で安価なDIN規格のコネクタで十分に対応できる。
ここまでの説明から、次のような技術的思想が把握できる。
(1)「2以上の配線用のコネクタと、その各コネクタと対をなす2以上の配線用のコネクタとを有する遊技機において、一方のコネクタグループを1つのコネクタホルダーに固着すると共にこれらと対をなす他のコネクタグループをコネクタ基板に装着し、さらにそのコネクタ基板をコネクタ毎に分割してその1つを基板支持部材に固定すると共に他のコネクタ基板を基板支持部材に対しコネクタの結合方向と直交する方向に遊動可能な状態に取り付けるようにしたことを特徴とする遊技機。」
(2)「前面が開口し背面を背板で覆った箱形であって電源装置その他の本体側電気部品を備えた外本体と、前記外本体に対し着脱自在なケース部材に複数の図柄を変動させる図柄変動表示装置その他のケース部材側電気部品を設けた機種ユニットと、前記本体側電気部品につながる本体側配線類と、前記ケース部材側電気部品につながるケース側配線類とを中継すべく前記外本体の背板に取り付けた配線中継部材と、前記ケース側配線類の先端に取り付けた2系統以上のコネクタと、該2系統以上のコネクタをコネクタグループとして一括支持するコネクタホルダーと、該コネクタホルダーを前記配線中継部材に固定するための固定手段と、前記2系統以上のコネクタグループの各コネクタと対をなしプリント基板に固着して使用する基板固着型のコネクタによる他のコネクタグループと、前記背板に取り付けた配線中継部材に取り付けられ、前記他のコネクタグループのコネクタを固着してなるコネクタ接続用端子基板と、を有し、該コネクタ接続用端子基板をコネクタ毎に分割してその1つを前記配線中継部材に固定すると共に他のコネクタ接続用端子基板を配線中継部材に対しコネクタの結合方向と直交する方向に遊動可能な状態に取り付けるようにしたことを特徴とする遊技機。」
(3)「2以上の配線用のコネクタと、その各コネクタと対をなす2以上の配線用のコネクタとを有する遊技機において、一方のコネクタグループをコネクタ基板を介して基板支持部材に固着すると共にこれらと対をなす他のコネクタグループを1つのコネクタホルダーに装着し、さらにそのコネクタホルダーに対しコネクタグループの中の1つのコネクタを固定すると共に他のコネクタをコネクタホルダーに対しコネクタの結合方向と直交する方向に遊動可能な状態に取り付けるようにしたことを特徴とする遊技機。」
(4)「前面が開口し背面を背板で覆った箱形であって電源装置その他の本体側電気部品を備えた外本体と、前記外本体に対し着脱自在なケース部材に複数の図柄を変動させる図柄変動表示装置その他のケース部材側電気部品を設けた機種ユニットと、前記本体側電気部品につながる本体側配線類と、前記ケース部材側電気部品につながるケース側配線類とを中継すべく前記外本体の背板に取り付けた配線中継部材と、前記ケース側配線類の先端に取り付けた2系統以上のコネクタと、該2系統以上のコネクタをコネクタグループとして一括支持するコネクタホルダーと、該コネクタホルダーを前記配線中継部材に固定するための固定手段と、前記2系統以上のコネクタグループの各コネクタと対をなしプリント基板に固着して使用する基板固着型のコネクタによる他のコネクタグループと、前記背板に取り付けた配線中継部材に取り付けられ、前記他のコネクタグループのコネクタを固着してなるコネクタ接続用端子基板と、を有し、前記コネクタホルダーに対しコネクタグループの中の1つのコネクタを固定すると共に他のコネクタをコネクタホルダーに対しコネクタの結合方向と直交する方向に遊動可能な状態に取り付けるようにしたことを特徴とする遊技機。」
以上の遊技機は、固定したコネクタ接続用端子基板のコネクタに照準を合わせてコネクタホルダーを操作するようにすれば、他のコネクタ同士の相対位置に製造誤差等で若干の狂いがあっても、非固定のコネクタ接続用端子基板がコネクタごと遊動してその狂いを矯正すべく移動し誤差を吸収するから、結合照準でないコネクタ同士の結合も可能になる。従って1つのコネクタホルダーを用いて複数系統のコネクタの一括接続が可能である。しかも使用しているコネクタは、プリント基板にハンダ付けして用いるような汎用的で安価な例えばDIN規格のものであり、コストも安い。
また、コネクタホルダーは、ナイラッチ(登録商標)等の固定手段で配線中継部材、ひいては該配線中継部材を介して外本体の背板に確実に固定される。一方、コネクタホルダーと機種ユニットの間では、フレキシブルなハーネスを介してつながっているのみであり、機種ユニットが動いたとしても、その動きはフレキシブルなハーネスが吸収するので、コネクタホルダーに動きは伝わらない。このため、たとえ輸送中の振動により外本体と機種ユニットの間に相対的な動きが生じても、コネクタホルダーは、外本体のみと一緒に動き、機種ユニットの干渉を受けないから、コネクタの結合部には全く負荷が掛からない。よってコネクタ結合の信頼性が非常に高い。
なお、実施形態のように、小さいコネクタ125に対応する小さいコネクタ基板123を遊動可能とし、大きいコネクタ425,コネクタ124同士を結合の基準に定める構成は、その逆の構成に比べてコネクタ425,124,427,125の結合が楽に行える。小さいコネクタ基板123の方が軽い力で扱えるため、狂いの自動矯正が容易だからである。また、実施形態では、図9のようにコネクタ425,124の方がもう一方のコネクタ427,125より先に結合するようになっており、そうすることにより結合照準のコネクタ同士が合わせやすい。
また、図9に拡大して示したように凸形のコネクタ425,427の凸部先端の周縁角部及び/又は凹形のコネクタ124,125の差込口の周縁角部に面取り部C(直線的な面取り、曲線的な面取りのいずれも可)を形成しておけば、面取り部Cのテーパに沿った誘導作用が、コネクタ同士の結合性をより良好にする。
また、実施形態のように、配線中継部材113のコネクタ基板122,123を遊動可能にする構成の他、コネクタホルダー428側のコネクタ425,427の何れか一方を遊動可能にすることも可能であり、その場合も上記と同様の作用効果が得られる。なお、かかるコネクタホルダー428の具体例を図17に示した。この例では、コネクタホルダー428のホルダー主体429に雌ねじ付きの受筒429aを突設し、一方、コネクタ427の両横に遊孔427aを有する耳片427bを形成し、コネクタホルダー428の受筒429aにコネクタ427の遊孔427aを遊嵌させ、座金付きのビス427cをもって耳片427bの抜け止めとしている。そうすることによりコネクタ427は、コネクタホルダー428に対し、遊孔427aと受筒429aの径の差の範囲で自由に遊動し得る。この場合のコネクタ基板122,123は、一体にして取付板120に固定すればよい。また、実施形態では2つのコネクタを1つのコネクタグループとして取り扱ったが、1つのコネクタグループのコネクタ数は2以上でもよい。
また、実施形態では図4,図12に示したように、ケース部材400の後面板405の裏側であって、前記図柄変動表示装置300の装置ケース302の下斜板310に向けて凹ませたケーブル溝437が形成され、該ケーブル溝437の両端近傍にケース部材400の側板404(又は後面板405)を貫く配線口438,438が開設されている。この配線口438,438とケーブル溝437は、図柄変動表示装置300とメイン基板409等とを接続するためのものであり、図11において図柄変動表示装置300の装置ケース302の向かって右側面(扉形前面部材200の非ヒンジ側の側面)に設けたリール基板312のケーブル313(図12参照)を1つの配線口438からケース部材400の外に引き出し、そのケーブル313を図12のようにケーブル溝437に納め、さらにそのケーブル313の先を他の配線口438からケース部材400の中に戻してメイン基板409等につなぐようにしてある。なお、ケーブル溝437には所定の間隔でケーブル止め439が設けられていて、ケーブル溝437からケーブル313が脱落しないようになっている。
しかしてメイン基板409等とリール基板312は、共にケース部材400の中にあるケース部材側電気部品であり、本来、ケース部材400の外にケーブル313を引き出す要はない。それを敢えてケース部材400に配線口438,438とケーブル溝437を設けてケーブル313を外伝いに迂回させるようにした理由は次のとおりである。
リール基板312の設置場所は、限られたスペースの中でコネクタを抜き差しする配線の作業性を考慮すると、図柄変動表示装置300(装置ケース302)の側面のうち扉形前面部材200の非ヒンジ側に相当する側が好ましい。もし逆に、扉形前面部材200のヒンジ側に相当する装置ケース302の側面にリール基板312を設けると、開ききった扉形前面部材200(図1参照。)とリール基板312が近接位置で向かい合うため、コネクタの抜き差しに必要な広い作業空間が確保できないからである。
しかし一方、リール基板312の接続対象たる基板類(メイン基板409、演出制御基板510,520、画像表示体500等)の接続部がケース部材400の扉形前面部材200のヒンジ側に相当する側にあると、ケーブル313がケース部材400の内部を横切る格好になる。そうすると前記装置ケース302をケース部材400に装着する際にケーブル313を噛み込んだり、逆に装置ケース302を引き出す際にケーブル313を引っ掛けるおそれがある。
これに対し実施形態のように、ケース部材400に配線口438,438とケーブル溝437を設けてケーブル313を外伝いに迂回させるようにすれば、上記したようなケーブル313のトラブルは生じない。また、配線作業は、装置ケース302を所定の位置から若干引き出した状態で行う方が作業性がよく、それに伴って配線口438からリール基板312までのケーブル313の長さは、配線代とでも言うべき余裕が設けられている。従って装置ケース302を所定の位置にセットした状態でケーブル313に弛みが生じ、引き出し量によってはケーブル313の弛みが大きくなる。そのようなケーブル313の弛みが大きい場合には、配線口438と横並びの位置にある、装置ケース302の下斜板310とケース部材400の奥のコーナー部分との間に出来る三角スペースにケーブル313の弛んだ部分を逃がすことができる。
また、実施形態のようにケーブル溝437を装置ケース302の下斜板310に向かわせて膨らませるようにした場合には、ケース部材400の奥と装置ケース302の下斜板310との間にできるデッドスペースの有効活用に役立つ。なお、配線口438,438とケーブル溝437を使った配線は、リール基板312のケーブル313に限定する必要はなく、ケース部材400の内部を横切るケーブル全てに適用できる。
その他、図11中、符号441は機能分離中継端子板である。
以上のように構成されるスロットマシン1は、ケース部材400を外本体100に装着し、必要な配線を完了した完成品の状態で工場から出荷される。そして、その完成品のまま遊技場の遊技機設置島に取り付けられるが、このとき図25想像線のように、外本体100の天板103と遊技機設置島の上桟600とを木ねじ等の固定部材601で止める場合は、扉形前面部材200と画像表示体500を開放し、外本体100の貫通孔132に対しケース部材400の内側から天窓部443越しに固定部材601を挿通させ、さらにドライバー等の工具602で天窓部443越しに固定部材601を締め付けて外本体100の天板103と遊技機設置島の上桟600とを固定的に連結する。なお、貫通孔132は複数設けられているため、必要に応じてその中から任意に選択して使用することができる。例えば、上桟600の位置やサイズにばらつきがあってもその上桟600に対応する貫通孔132を選択することができる。また、遊技機をまるごと入れ替える場合に、使用する貫通孔132を変更すれば、上桟600の同じ位置に固定部材601の穴が開く弊害(いわゆる、ばか穴化)が防止できる。
ところで、図25に示したように外本体100とケース部材400の間には隙間Sが形成されており、画像表示体500等から発生した熱が画像表示体500の冷却ファン(図示せず)で煽られ、ケース部材400の天窓部443から前記隙間Sを通って背板104の通気口133に至り、そこから遊技機設置島の内部に抜ける。このとき背板104とケース部材400の間に配線中継部材113がありこれが障壁のごとく作用して前記隙間Sを広範囲に塞ぐから、隙間Sを流れる熱気がこの部分で遮られ、配線中継部材113より上方にある背板104の通気口133から積極的に外部に放出される。従って放熱効果が高い。
[8.各リールの図柄、図柄列]
各リール301a,301b,301cには、一例として、図46に示すように、複数種類の図柄が一定間隔に配置されることで構成された図柄列(配列番号1番から21番までで示した合計21個の図柄)が表記されたリール帯(図柄帯)が付されている。図46では、各リール301a,301b,301cに付されたそれぞれのリール帯321a,321b,321cに表記された図柄列を平面的に展開した状態を示す。なお、図柄列中に配置された図柄を識別するために上記配列番号を便宜的に記している。
そして、各リール301a,301b,301cは、各々の図柄列中に配置された図柄のうち、連続する所定数(例えば、3つ)の図柄が開口部401(図柄表示窓ともいう、以下では図柄表示窓401として統一する)を介して遊技者に視認可能となるように配置されている(次に説明する図47参照)。なお、図柄表示窓401は解決手段に記載の図柄表示部に相当する。
また、図柄の種類は、図46に示すように、「赤で塗りつぶされている「7」図柄(以下「赤7図柄」という)」、「青で塗りつぶされている「7」図柄(以下「青7図柄」という)」、「BAR図柄」、「チェリーの図柄が施された「チェリー図柄」」、「リプレイ図柄」、「ベル1図柄(☆の数が1つのベル図柄)」、「ベル2図柄(☆の数が2つのベル図柄)」、「スイカ図柄」、「「義」と記載された図柄(以下では「義図柄」という)」、「「正」と記載された図柄(以下では「正図柄」という)」がある。
図46において、「赤7図柄」は、リール帯321aにおいては配列番号3番・6番の2つ、リール帯321bにおいては配列番号12番の1つ、リール帯321cにおいては配列番号10番の1つが相当する。「青7図柄」は、リール帯321aにおいては配列番号16番の1つ、リール帯321bにおいては配列番号3番の1つ、リール帯321cにおいては配列番号15番の1つが相当する。「BAR図柄」は、リール帯321aにおいては配列番号11番の1つ、リール帯321bにおいては配列番号6・9番の2つ、リール帯321cにおいては配列番号2番の1つが相当する。「チェリー図柄」」は、リール帯321aにおいては配列番号10番の1つ、リール帯321bにおいては配列番号1番・14番・17番の3つ、リール帯321cにおいては配列番号7番・14番の2つが相当する。「リプレイ図柄」は、リール帯321aにおいては配列番号1番・4番・7番・12番・17番の5つ、リール帯321bにおいては配列番号0番・5番・8番・11番・16番・の5つ、リール帯321cにおいては配列番号1番・5番・8番・13番・17番の5つが相当する。「ベル図柄1」は、リール帯321aにおいては配列番号13番・15番・18番の3つ、リール帯321bにおいては配列番号2番・7番・10番・15番・18番の5つ、リール帯321cにおいては配列番号9番・12番・16番の3つが相当する。ベル図柄2」は、リール帯321aにおいては配列番号2番・5番・8番の3つ、リール帯321cにおいては配列番号0番・4番の2つが相当する。「スイカ図柄」は、リール帯321aにおいては配列番号9番・14番・19番の3つ、リール帯321bにおいては配列番号4番・13番の2つ、リール帯321cにおいては配列番号3番・6番・11番・20番の4つが相当する。「義図柄」は、リール帯321aにおいては配列番号20番の1つ、リール帯321bにおいては配列番号19番の1つ、リール帯321cにおいては配列番号18番の1つが相当する。「正図柄」は、リール帯321aにおいては配列番号0番の1つ、リール帯321bにおいては配列番号20番の1つ、リール帯321cにおいては配列番号18番の1つが相当する。なお、図柄の種類は一例であって、これらの種類に限られるものではない。
[9.枠部材]
図47は、図柄表示窓401を含む枠部材501の部分を拡大したところを示している。図柄表示窓401からは、各リール301a,301b,301cの図柄列中の図柄のうち、連続する3つの図柄が視認可能となっている。この図柄が表示されている3つの位置を上から「上段(または上段位置)」(例えば、リール301aの「ベル1図柄」が表示されている位置)、「中段(または中段位置)」(例えば、リール301bの「リプレイ図柄」が表示されている位置)、「下段(または下段位置)」(例えば、リール301cの「ベル1図柄」が表示されている位置)という。
上記のことから、図柄表示窓401内では、「段数×リールの数」個の図柄を表示させることが可能である。従って、スロットマシン1では「段数(3)×リールの数(3)」より図柄表示窓401内には最大で9個の図柄を表示させることができる。
枠部材501(表示パネルともいう、以下では表示パネル501として統一する)の左側端(図柄表示窓401から見て左側には、各種のランプが備えられており、そのうち、「BET1」,「BET2」,「BET3」と記されているのがBETランプ(ベットランプ)614である。BETランプの数字(上記の「BET1」,「BET2」,「BET3」の1,2,3の数字)はそれぞれベット数(賭け数のこと、賭けたメダルの枚数に応じた数のこと)に対応している。すなわち、「1」は1ベット(賭けたメダルの枚数は1枚)、「2」は2ベット(賭けたメダルの枚数は2枚)、「3」は3ベット(MAXベットともいう、賭けたメダルの枚数は3枚)に対応しているということである。
本実施形態のスロットマシン1では、ベット数に応じて有効となる並びが決められている。この「有効となる並び」は有効ラインとも呼ばれる。以下では有効ラインと統一して称する。後述する所定の当選役に対応する図柄の組み合わせは、一つの有効ライン上に並んで表示されてはじめて当該当選役に対応する図柄の組み合わせ態様として表示されたと判断されるものである。すなわち、所定の当選役に対応する図柄を構成する各図柄が図柄表示窓401内に個々に表示されたとしても、それぞれの図柄がいずれかの有効ライン上に並んでいなければ(すなわち所定の当選役に対応する図柄の組み合わせが有効ライン上に並んでいなければ)、所定の当選役に対応する図柄の組み合わせ態様が表示されたとは判断されないことになる。なお、このように、所定の当選役に対応する図柄の組合せが有効ライン上に並んでいない場合は、バラバラな図柄の組み合わせ態様(すなわちハズレの図柄の組み合わせ)が表示されたと判断される。
次に、ベット数及び有効ラインについて具体的に説明する。本実施形態のスロットマシン1は、3枚賭け専用機であり、通常ゲームでは、メダルを3枚投入するとゲームを実行することが可能となる。このとき、右上がりの直線型の並び及び右下がりの直線型の並びが有効ラインとなる。
なお、有効ラインは上記のような右上がりの直線型の並びや右下がりの直線型の並びに限られるものではない。さらに、本実施形態のスロットマシン1は3枚賭け専用機であるが、これに代えて、ベット数に応じて有効ライン数が変化するようにしてもよい。
本実施形態のスロットマシン1では、上述したとおり、賭け数は3ベット(MAXベット)のみとし、有効ラインを図47の図柄表示窓401内で「BAR図柄−リプレイ図柄−義図柄」が表示されているライン(すなわち右上がりライン)623bと、「ベル1図柄−リプレイ図柄−ベル1図柄」が表示されているライン(すなわち右下がりライン623a)の2つのラインのみを有効ラインとしている。
図47の図柄表示窓401内に表示されている図柄の組み合わせは、有効ラインの一つである右下がりライン623aに表示されている「ベル1図柄−リプレイ図柄−ベル1図柄」であり、この図柄の組み合わせは、後述する図53に示すように、リプレイ役(再遊技役)に対応する図柄の組み合わせであるから、次ゲームにおいて、メダルを投入することなく自動ベットされ、前回のゲームと同様のゲームを再び実行することが可能となる。なお、有効ライン上に「ベル1図柄−リプレイ図柄−ベル1図柄」が表示されたとしても、遊技者は、いずれの役の図柄の組み合わせが表示されたのか、一見して把握し難い。しかし、有効ラインではない中段ラインに「リプレイ図柄−リプレイ図柄−リプレイ図柄」の図柄の組み合せが表示されることで、遊技者は、リプレイに入賞したことを把握することが可能となる。
その他、表示パネル501には、スロットマシン1の遊技状態に合わせて点灯(あるいは点滅)可能なランプ及びLED類が設けられている。これらのランプ類は図の上から、「ERR」という文字の描かれたエラーランプ604、上記BETランプ614のすぐ下に位置する、「REP」という文字の描かれたリプレイランプ606、「STR」という文字の描かれたスタートランプ608、「INS」という文字の描かれたメダルINランプ610、及び2つの横並びの7セグメントLEDを備えた払出枚数表示LED612がそれぞれ備えられている。なお、これらの他に後述するボーナスゲームの当選を告知するボーナス告知ランプや、ボーナスゲームなどでのメダルの累計払い出し枚数を表示したり、ボーナスゲームをカウントしたりする7セグメントLED等を別途設けてもよい。
エラーランプ604は、スロットマシン1の遊技中に何かトラブル、故障等が生じた場合に点灯(あるいは点滅)を開始し、現在トラブル等が生じていることを遊技者等(ホールの係員なども含む)に知らせる役割を持っている。
リプレイランプ606は、ゲーム結果がリプレイ(後述する)となった場合に、再遊技(新たにメダルを賭けずにもう一度遊技ができること)ができることを遊技者に知らせる役割を持っている。
スタートランプ608は、ベット数がMAXベットに達すると点灯(あるいは点滅)を開始し、遊技者に始動レバー210の操作(始動操作)を促す役割を持っている。
メダルINランプ610は、ベット数が最大(MAXベット)になるまで点灯(あるいは点滅)を続けることにより、遊技者にベットを促す役割を持っている。
払出枚数表示LED612は、ゲーム結果に伴うメダルの払い出しがある場合に、その払い出し数(払出されるメダルの枚数)を表示することにより、遊技者にメダルの払出枚数を知らせる役割を持っている。
[10.スロットマシンの内部構成]
図48は、スロットマシン1に装備されている各種の機構要素や電子機器類、操作部材等の構成を概略的に示している。スロットマシン1は遊技の進行を統括的に制御するためのメイン基板409を有しており、このメイン基板(主制御基板)409にはCPU1110をはじめROM1112、RAM1114、入出力インタフェース1116等が実装されている。
前述した1枚投入ボタン205,206や始動レバー210、リール停止ボタン211a,211b,211c、貯留解除スイッチ209等はいずれもメイン基板409に接続されており、これら操作ボタン類は図示しないセンサを用いて遊技者による操作を検出し、検出された操作信号をメイン基板409に出力することができる。具体的には、始動レバー210が操作されると前述した図柄変動表示装置300を始動させる(リール301a,301b,301cの回転を開始させる)操作信号がメイン基板409に出力され、リール停止ボタン211a,211b,211cが操作されると、リール301a,301b,301cをそれぞれ停止させる操作信号がメイン基板409に出力される。
なお、以下では必要に応じて、リール301a,301b,301cをそれぞれ左リール301a,中リール301b,右リール301cと呼ぶ。そして、これに対応するそれぞれのリール停止ボタン211a,211b,211cを左リール停止ボタン211a,中リール停止ボタン211b,右リール停止ボタン211cと呼ぶ。
またスロットマシン1にはメイン基板409とともにその他の機器類が収容されており、これら機器類からメイン基板409に各種の信号が入力されている。機器類には、図柄変動表示装置300のほか、メダル放出装置110等がある。
図柄変動表示装置300はリール301a,301b,301cをそれぞれ回転させるためのリール駆動モータ341a,341b,341cを備えている(左リール駆動モータ341a、中リール駆動モータ341b、右リール駆動モータ341c)。このリール駆動モータはステッピングモータからなり、それぞれのリール301a,301b,301cは独立して回転、停止することができ、その回転時には図柄表示窓401にて複数種類の図柄が上から下へ連続的に変化しつつ表示される。リール駆動モータ341a,341b,341cは可動表示体駆動手段に相当する。ステッピングモータによって、各リールは、後述のフリーズ処理の際、所定の図柄数分回転することができる。
また各リール301a,301b,301cの回転に関する基準位置を検出するための位置センサ331a,331b,331cを有しており、各リール301a,301b,301cにはそれぞれ位置センサ331a,331b,331cがリール内に対応して設けられている(左リール位置センサ331a、中リール位置センサ331b、右リール位置センサ331c)。これら位置センサからの検出信号(インデックス信号)がメイン基板409に入力されることで、メイン基板409では各リールの停止位置情報を得ることができる。
メダルセレクタ207内には、前述したソレノイド207aや投入センサ207bが設置されている。投入センサ207bは、メダル投入口203から投入されたメダルを検出し、メダルの検出信号をメイン基板409に出力する。ソレノイド207aがOFFの状態のとき、投入されたメダルは投入センサ207bで検出される。逆にソレノイド207aがONの状態のときは、メダルセレクタ207内で投入センサ207bに到達する通路がロックアウトされてメダルの投入が受け付けられなくなり、遊技者がメダルを投入しても、メダルセレクタ207を通って返却樋213に流れたメダルはメダル用受皿201に戻る。このとき合わせて投入センサ207bの機能が無効化されるので、メダル投入によるベットまたはメダルの貯留のいずれも行われなくなる。
メダル放出装置110は、払い出されたメダルを1枚ずつ検出する払出センサ110eを放出口110c内に有しており、この払出センサ110eからメダル1枚ごとの払出メダル信号がメイン基板409に入力されている。また、遊技メダル用補助収納箱111にはメダル満タンセンサ111aが設けられており、内部に貯留されたメダルの貯留数が所定数量を超えた場合、メダルが所定数量を超えた検出信号をメイン基板409に出力する。このとき画像表示体500、エラーランプ604等によりメダル貯留の異常を知らせるエラー表示が行われ、遊技者やホール従業員等に異常が発生したことが報知される。
一方、メイン基板409からは、図柄変動表示装置300やメダル放出装置110に対して制御信号が出力される。すなわち、前述した各リール駆動モータ341a,341b,341cの起動及び停止を制御するための駆動パルス信号がメイン基板409から出力される。またメダル放出装置110には、有効ライン上に停止した図柄の組み合わせの種類に応じてメイン基板409から駆動信号が入力され、これを受けてメダル放出装置110はメダルの払い出し動作を行う。このときメダル放出装置110内に払い出しに必要な枚数のメダルが不足しているか、あるいはメダルが全く無い状態であった場合、払出センサ110eによる枚数検出が滞ることとなる。そして所定時間(例えば3秒間)が経過すると、払出センサ110eより払い出しメダルの異常信号がメイン基板409へ出力され、これを受けてメイン基板409は、メダルの払い出しに異常が発生したことを知らせる内容をエラーランプ604や画像表示体500等に表示させて遊技者やホール従業員等に異常が発生したことを報知する。
スロットマシン1は、メイン基板409の他に演出制御基板510,520を備えている。演出制御基板510は通常チップで構成されているのに対し、演出制御基板520は、例えば、プログラムデータの暗号化・復号化に供される暗号鍵をチップ外にハードウェアとして構成しておくことでチップ内のデータのすい出しができないようにされた所謂セキュリティチップで構成されている。
演出制御基板510にはCPU1118やROM1120、RAM1122、入出力インタフェース1130、VDP(Video Display Processor)1124、AMP(オーディオアンプ)1126、音源IC1128等が実装されている。演出制御基板520にはCPU1138、ROM1140及びRAM1142等が実装されている。演出制御基板510は、メイン基板409から各種の指令信号を受けるとともに、演出制御基板520との間で双方向通信することで、画像表示体500の表示や照明装置502等の発光(または点灯、点滅、消灯等)及びスピーカ512の作動を制御している。
上記のように演出制御基板520を所謂セキュリティチップで構成し、ゲーム仕様にかかわるデータを演出制御基板520のROM1140に記憶保持させることで、ゲーム仕様にかかわるデータが解析されたり改竄されたりといった不正を防止することができる。ここでいう不正とは、例えば、ゲーム仕様を解析し、遊技者に有利な出率でゲームが行われるようにプログラムを改竄することだけでなくゲーム仕様にかかわるデータがそっくりそのままコピーされたりすること等も含む。
セキュリティチップで構成された演出制御基板520のROM1140に記憶されるデータは、ゲーム仕様にかかわるデータの必ずしも全部である必要はなく、ゲーム仕様にかかわるデータの一部であっても、上記の不正を防止することができる。また、演出制御基板510と演出制御基板520とは、別基板であることに限定されるものではなく1枚の基板に実装されていてもよい。さらに、メイン基板409から各種の指令信号を受けるのは、通常のチップで構成された演出制御基板510であることに必ずしも限定されるものではなく、セキュリティチップで構成された演出制御基板520がメイン基板409から各種の指令信号を受けるようにしてもよい。
さらに、メイン基板409に外部中継端子板131を設けた場合には、スロットマシン1はこの外部中継端子板131を介して遊技場のホールコンピュータ1200に接続される。外部中継端子板131はメイン基板409から送信される各種信号(投入メダル信号や払出メダル信号、遊技ステータス等)をホールコンピュータ1200に中継する役割を担っている。
その他、電源装置112には、設定キースイッチ112tやリセットスイッチ112u、電源スイッチ112v等が付属している。これらスイッチ類はいずれもスロットマシン1の外側に露出しておらず、扉形前面部材200を開けることではじめて操作可能となる。このうち電源スイッチ112vは、スロットマシン1への電力供給をON−OFFするためのものであり、設定キースイッチ112tはスロットマシン1の設定(例えば設定1〜6)を変更するためのものである。またリセットスイッチ112uはスロットマシン1で発生したエラーを解除するためのものであり、更には設定キースイッチ112tとともに設定を変更する際にも操作される。
以上がスロットマシン1の内部構成例である。スロットマシン1によるゲームは、遊技者がメダルの賭け数を決定した状態で始動レバー210を操作すると各リール301a,301b,301cが回転し、この後、遊技者がリール停止ボタン211a,211b,211cを操作すると、対応する各リール301a,301b,301cが停止制御され、そして、全てのリール301a,301b,301cが停止すると、有効ライン上での図柄の組み合わせ態様からゲーム結果を判断し、必要に応じて該当する当選役に対応する規定数のメダルが付与される。
前述したとおり、各リール301a,301b,301cには、それぞれリール帯321a,321b,321cが付されている(図46参照)。そして、全てのリール301a,301b,301cを停止させた際に図柄表示窓401内に表示される表示内容(有効ライン上に表示された図柄の組み合わせ態様)から所定の当選役に対応する図柄の組み合わせ態様が表示されたか否かが判断される。具体的には、図柄表示窓401内で前述の有効ライン(右上がりライン623b及び右下がりライン623a)のうち少なくともいずれか1つのラインに所定の当選役に対応する図柄の組み合わせ態様が表示されているか否かが判断される。このとき、右上がりライン623bと右下がりライン623aとで、別の当選役に対応する図柄の組み合わせ態様が重複して表示された場合には、複数の当選役に対応する図柄の組み合わせ態様が同時に表示されたと判断されて、それぞれの払出数を合算した数量のメダルの払い出しが行われる。すなわち、複数の当選役に対応する図柄の組み合わせ態様が重複して図柄表示窓401内の有効ライン上に表示されるものとなる)。
以下では、所定の当選役に対応する図柄の組み合わせ態様がいずれか一つの有効ライン上に表示された場合のことを、(所定の)当選役に対応する図柄(これを当選役図柄という)の組み合わせが揃う、あるいは当選役図柄が揃った、という。
スロットマシン1の図柄には、「赤7図柄」、「青7図柄」、「BAR図柄」、「チェリー図柄」、「リプレイ図柄」、「ベル1図柄」、「ベル2図柄」、「スイカ図柄」、「義図柄」及び「正図柄」があることは既に述べたとおりであるが、このうち、「赤7図柄」、「青7図柄」及び「BAR図柄」は他の図柄に比べて目立ち易く、識別しやすい図柄となっている。ここでいう識別のし易さとは、リールの回転中や、リールの停止した状態を含めて遊技者が容易に図柄を識別することができる度合いの高さのことをいう。これらの図柄はリールの回転中もその色彩や図柄の大きさから、遊技者が停止操作する際に、これらの図柄が図柄表示窓401内に停止されるように狙って停止操作することが容易となっている(すなわち目押しすることが容易である)。さらに「義図柄」及び「正図柄」についても、図46を見ても分かるように、「義図柄」と「正図柄」との2つの図柄で円状を形成するかたちで「正義」と読めるように互いに上下に隣接して配置されているとともに、各リール301a,301b,301cにおいて1つしか配置されていないので、目押しすることが容易である。
これらの図柄はそれだけでは象徴的な図柄(図柄1つだけでは当選役に対応しない)に過ぎないものであるが、所定の組み合わせとなることにより当選役に対応する図柄の組み合わせとなるものである。すなわち、所定の遊技特典が付与される。以下に、図49に示された各当選役に対応して許容される図柄の組み合わせ態様について説明する。
[10−1.当選役と図柄の組み合わせ]
ここで、スロットマシン1の当選役(入賞役と呼ばれるものを含む)と、これに対応する図柄の組み合わせについて、図49、図50及び図51〜53を用いて説明する。図49は、スロットマシン1の各入賞役についての当選確率を示す図であり、当たり値判定テーブルとして予めROM1112等に格納されているものである。図50は、各当選役(本明細書において「当選役」は図49及び図50の「略称」を指す)と、これら各当選役に対応して成立する条件装置を示す図であり、予めROM1112等に格納されているものである。図51〜53は、各条件装置に対応する図柄の組み合わせ及びメダルの払出数を示す図であり、これについても予めROM1112等に格納されているものである。
本実施形態のスロットマシン1における遊技状態としては、一般状態、通常RT、チャンスRT中、SB中、ボーナス内部中、及びボーナス中が用意されている。各当選役についての当選確率は、図49に示されるように、遊技状態毎に決められている。なお、チャンスRTには、図49に示されるように、ハズレの確率が異なるチャンスRT1、チャンスRT2及びチャンスRT3がある。そして、抽選の結果として何らかの役に当選すると、当選役に応じた条件装置が作動し、作動した条件装置に対応する図柄組み合わせが有効ライン上に表示されるように、後述するリール停止処理が行われる。本実施形態のスロットマシン1では、一の条件装置とリール制御のパターンとが1対1で対応しているので、一の当選役に対して複数のリール制御パターンを用意したい場合には、一の当選役に対して複数の条件装置を成立させる必要がある。こうすることで、一の当選役に対して、複数パターンの停止出目(有効ライン上に表示される図柄の組み合わせ)を用意することが可能となる。ここで、有効ライン上に表示される図柄組み合わせについて、図49に示される「RB1+スイカ」、「スイカ」、「AT(「AT2−1」〜「AT5−4」)」、「ALL」、「SB1」〜「SB3」、「SB1+通常リプ」〜「SB3+通常リプ」を例に挙げて説明する。
「RB1+スイカ」は、RB1とスイカ(小物22)とが同時に重複して当選する重複役である。このとき、RB1及びスイカ(小物22)の両方に対応する条件装置が作動し、これらに対応する図柄の組み合わせが有効ライン上に表示されることが許容され、これに基づいて、後述するステップS5のリール停止処理が行われる。そして、スイカ(小物22)に対応する図柄の組み合わせが有効ライン上に表示されると、賞として例えば5枚のメダルが払い出され、RB1に対応する図柄の組み合わせが有効ライン上に表示されると、後述するRB1ゲームが開始される。ただし、RB1に対応する図柄の組み合わせ及びスイカ(小物22)に対応する図柄の組み合わせの両方について有効ライン上に表示されることが許容されたとしても、スイカ(小物22)に対応する図柄の組み合わせが優先して有効ライン上に表示されるようにリール停止処理が行われる。ここで、スイカ(小物22)に対応する図柄の組み合わせは、当選した当該ゲームに限って、有効ライン上に表示されることが許容される。一方、RB1に対応する図柄の組み合わせは、当選した当該ゲームだけに限らず、次ゲーム以降においても、RB1に対応する図柄の組み合わせが有効ライン上に表示されるまで継続して、有効ライン上に表示されることが許容される。
なお、重複役とは、1回の抽選機会において複数の役が同時に選び出される役であることを意味する。例えば、当選成立状態が次ゲーム以降に持ち越される持ち越し役が1ゲーム目に選び出されたもののこの持ち越し役に対応する図柄組み合わせが表示されなかった場合において、例えば2ゲーム目で第1の役が選び出されたときは、持ち越し役と第1の役との両方が当選成立している状態となるが、この場合は、互いに別の抽選機会において選び出されているから、重複役に該当しない。これとは逆に、単独役とは、1回の抽選機会において一つの役のみが選び出される役を意味する。
また、BB1、BB2、RB1及びRB2をボーナス役とし、図51〜53においてメダルの払い出しがある役(例えばチェリー、スイカ、ベル等)を小役とし、前回ゲームと同じゲームを実行できる役(例えば通常リプ等)をリプレイ役とし、複数の図柄組み合わせについて有効ライン上に表示されることが同時に許容されたとき、リプレイ役、小役、ボーナス役の優先順位で、これらに対応する図柄の組み合わせが有効ライン上に表示されるように、後述するリール停止処理が行われる。
また、「スイカ」は、スイカの単独当選役である。このとき、有効ライン上にはスイカに対応する図柄の組み合わせが表示されることが許容され、これに基づいて、後述するステップS5のリール停止処理が行われる。そして、スイカに対応する図柄の組み合わせが有効ライン上に表示されると、賞として例えば5枚のメダルが払い出される。
なお、抽選の結果、いずれかの役に当選したとしても、当該当選役に対応する図柄の組み合わせは、後述する引き込み制御を実行可能な範囲で図柄表示窓401内(すなわち有効ライン上)に停止されるように狙って停止操作(リール停止ボタン211a,211b,211cを押す操作)が行われないと、有効ライン上に当選役に対応する図柄の組み合わせを表示させることができない。したがって、抽選の結果、いずれかの役に当選したにもかかわらず、この当選役に対応する図柄の組み合わせが有効ライン上に表示されなければ、後述するステップS6においてゲーム結果がハズレである旨が判定される。
「AT2−1」〜「AT5−4」(この明細書において「AT2−1」〜「AT5−4」は、「AT2−1」、「AT2−2」、「AT2−3」、「AT2−4」、「AT3−1」、「AT3−2」、「AT3−3」、「AT3−4」、「AT4−1」、「AT4−2」、「AT4−3」、「AT4−4」、「AT5−1」、「AT5−2」、「AT5−3」、「AT5−4」のAT専用役の全てを意味する)は、いずれも、各々に決められた適正な押し順でリール停止ボタン211a〜211cが操作された場合と、各々に決められた適正な押し順でリール停止ボタン211a〜211cが操作されなかった場合とで、賞として払い出されるメダル枚数が異なっている。
具体的には、「AT2−1」、「AT2−2」、「AT2−3」及び「AT2−4」についての適正な押し順は、「中→左→右」である。そして、この適正な押し順でリール停止ボタン211a〜211cが操作された場合には、作動している条件装置のうち小物17の図柄組み合わせが有効ライン上に表示されることが許容され、これに基づいて、後述するステップS5のリール停止処理が行われる。そして、小物17の図柄組み合わせが有効ライン上に表示されると、賞として例えば9枚のメダルが払い出される。なお、小物17の図柄組み合わせを構成する図柄は、リールの引き込み制御を実行可能な範囲内に配置されているので、抽選の結果が「AT2−1」、「AT2−2」、「AT2−3」又は「AT2−4」であるときには、適正な押し順でリール停止ボタン211a〜211cが操作される限り必ず、小物17の図柄組み合わせが有効ライン上に表示される。
また、不適正な押し順でリール停止ボタン211a〜211cが操作された場合には、適正なタイミングでリール停止ボタン211a〜211cが操作されると、賞として例えば2枚のメダルが払い出される図柄の組み合わせが有効ライン上に表示される。ただし、不適正なタイミングでリール停止ボタン211a〜211cが操作されると、ハズレの図柄組み合わせが有効ライン上に表示される。このとき、賞としてのメダルは払い出されない。
すなわち、抽選の結果が「AT2−1」、「AT2−2」、「AT2−3」又は「AT2−4」であるとき、適正な押し順でリール停止ボタン211a〜211cが操作される限り必ずベルの図柄組み合わせが有効ライン上に表示される。ただし、不適正な押し順でリール停止ボタン211a〜211cが操作された場合には、押し順が不適正であったとしても適正なタイミングでリール停止ボタン211a〜211cが操作されると、賞として1枚のメダルが払い出される図柄の組み合わせが有効ライン上に表示される。また、押し順だけでなくタイミングについても不適正なタイミングでリール停止ボタン211a〜211cが操作されると、ハズレの図柄組み合わせが有効ライン上に表示される。このとき、賞としてのメダルは払い出されない。
なお、不適正な押し順でリール停止ボタン211a〜211cが操作された場合における上記の「適正なタイミング」は、抽選の結果が「AT2−1」又は「AT2−3」であるときと「AT2−2」又は「AT2−4」であるときとで異なっている。より具体的には、抽選の結果が「AT2−1」又は「AT2−3」であるときにおける「適正なタイミング」は、抽選の結果が「AT2−2」又は「AT2−4」であるときにおける「不適正なタイミング」となり、抽選の結果が「AT2−1」又は「AT2−3」であるときにおける「不適正なタイミング」は、抽選の結果が「AT2−2」又は「AT2−4」であるときにおける「適正なタイミング」となる。
また、「AT3−1」、「AT3−2」、「AT3−3」及び「AT3−4」についての適正な押し順は「中→右→左」であり、「AT4−1」、「AT4−2」、「AT4−3」及び「AT4−4」についての適正な押し順は「右→左→中」であり、「AT5−1」、「AT5−2」、「AT5−3」及び「AT5−4」についての適正な押し順は「右→中→左」である。そして、この適正な押し順でリール停止ボタン211a〜211cが操作された場合には、小物17の図柄組み合わせが有効ライン上に表示されることが許容され、これに基づいて、後述するステップS5のリール停止処理が行われる。ただし、不適正な押し順でリール停止ボタン211a〜211cが操作された場合には、押し順が不適正であったとしても適正なタイミングでリール停止ボタン211a〜211cが操作されると、賞として1枚のメダルが払い出される図柄の組み合わせが有効ライン上に表示される。また、押し順だけでなくタイミングについても不適正なタイミングでリール停止ボタン211a〜211cが操作されると、ハズレの図柄組み合わせが有効ライン上に表示されることとなる。ここで、抽選の結果が「AT3−1」、「AT3−3」、「AT4−1」、「AT4−3」、「AT5−1」及び「AT5−3」である場合における「適正なタイミング」は、それぞれ、抽選の結果が「AT3−2」、「AT3−4」、「AT4−2」、「AT4−4」、「AT5−2」及び「AT5−4」である場合における「不適正なタイミング」となり、抽選の結果が「AT3−1」、「AT3−3」、「AT4−1」、「AT4−3」、「AT5−1」及び「AT5−3」である場合における「不適正なタイミング」は、それぞれ、抽選の結果が「AT3−2」、「AT3−4」、「AT4−2」、「AT4−4」、「AT5−2」及び「AT5−4」である場合における「不適正なタイミング」となる。
なお、抽選の結果が「AT2−1」〜「AT5−4」のうちいずれかであるときに、不適正な押し順でリール停止ボタン211a〜211cが操作され、さらに不適正なタイミングでリール停止ボタン211a〜211cが操作されたことによって有効ライン上に表示されたハズレの図柄組み合わせは、この実施形態において「ベルこぼ目」と称する。
「ALL」は、ボーナスゲーム中に限って抽選対象となる役であり、抽選の結果が「ALL」であるとき、いかなる押し順で且ついかなるタイミングでリール停止ボタン211a〜211cが操作された場合であっても、小物17の図柄組み合わせが有効ライン上に表示されることが許容され、これに基づいて、後述するステップS5のリール停止処理が行われる。上述したとおり、小物17の図柄組み合わせを構成する図柄は、リールの引き込み制御を実行可能な範囲内に配置されているので、抽選の結果が「ALL」であるときには、常に、小物17の図柄組み合わせが有効ライン上に表示される。そして、小物17の図柄組み合わせが有効ライン上に表示されると、賞として例えば9枚のメダルが払い出される。
「SB1」〜「SB3」は、いずれも、シングルボーナスと呼ばれる単独役であり、一般状態、通常RT及びSB中のうちのいずれかの状態であるときに限り、抽選対象とされる。そして、抽選の結果が「SB1」〜「SB3」のいずれかであると、それぞれに対応する図柄の組み合わせについて、有効ライン上に表示されることが許容され、これに基づいて、後述するステップS5のリール停止処理が行われる。そして、「SB1」〜「SB3」に対応する図柄の組み合わせが有効ライン上に表示されると、次ゲームに限り、遊技状態が「SB」に制御される(この次ゲームはシングルボーナスゲームと呼ばれる)。
具体的には、抽選の結果が「SB3」であるときには、SB3に対応する条件装置が作動し、この作動した条件装置に対応する図柄の組み合わせ(SB3に対応する図柄の組み合わせ)について有効ライン上に表示されることが許容され、SB3に対応する図柄の組み合わせが有効ライン上に表示されると、次ゲームの遊技状態が図49に示される「SB中」となる。
抽選の結果が「SB2」であるときには、SB2に対応する条件装置が作動し、この作動した条件装置に対応する図柄の組み合わせ(SB2に対応する図柄の組み合わせ)について有効ライン上に表示されることが許容される。また、抽選の結果が「SB1」であるときには、SB1に対応する条件装置が作動し、この作動した条件装置に対応する図柄の組み合わせ(SB1に対応する図柄の組み合わせ)について有効ライン上に表示されることが許容される。そして、SB2に対応する図柄の組み合わせ又はSB1に対応する図柄の組み合わせが有効ライン上に表示されると、次ゲームの遊技状態が図49に示される「SB中」となる。
なお、抽選の結果が「SB1」である場合及び「SB2」である場合には、いずれも、有効ライン上には、表示された図柄の組み合わせを遊技者が容易に把握することができない組み合わせ(所謂バラケ目と呼ばれる組み合わせ)で表示される。これに対し、抽選の結果が「SB3」である場合には、図50に示される図柄の組み合わせが有効ライン上に表示され、このとき、有効ライン上ではないものの各リール301a〜301cの下段にリプレイ図柄が揃う。これにより、遊技者は、抽選の結果が「SB3」であることを把握することが可能となる。
「SB1+通常リプ」〜「SB3+通常リプ」は、いずれも、シングルボーナスと通常リプレイとが同時に重複して当選する役であり、一般状態、通常RT及びSB中では抽選対象とならず、チャンスRT(チャンスRT1、チャンスRT2、チャンスRT3)であるときに限り、抽選対象とされる。言い換えると、「SB1」〜「SB3」が抽選対象とされる遊技状態では「SB1+通常リプ」〜「SB3+通常リプ」が抽選対象とはされず、「SB1」〜「SB3」が抽選対象とされない遊技状態では「SB1+通常リプ」〜「SB3+通常リプ」が抽選対象とされる。なお、「SB1+通常リプ」、「SB2+通常リプ」又は「SB3+通常リプ」に当選したとき、SB役(SB1、SB2、SB3)に対応する図柄組み合わせよりも、通常リプレイ役に対応する図柄組み合わせが優先して有効ライン上に表示されるように、後述するリール停止処理が行われる。
ここで、ボーナス役(BB1、BB2、RB1、RB2)、リプレイ役(再遊技役とも呼ばれる)、小役(ベル役、チェリー役(チェリー1、チェリー2)、スイカ役、AT専用役、ALL役、ボーナスゲーム専用役)、シングルボーナス役(SB1、SB2、SB3)について説明する。
[10−1−1.ボーナス役]
本実施形態のスロットマシン1では、BB1、BB2、RB1又はRB2といったボーナス役に当選し、これらいずれかの役に対応する図柄の組み合わせが有効ライン上に表示されると、BB1ゲーム、BB2ゲーム、RB1ゲーム又はRB2ゲームといったボーナスゲームが実行される。このボーナスゲームは、複数ゲームにわたって、遊技者がメダルを集中して獲得できる機会が設けられるゲームである。ただし、遊技者が大量のメダルを獲得することが可能なものは、図50に示されるように、BB1ゲーム及びBB2ゲームだけである。
また、スロットマシン1では、右上がりライン523b及び右下がりライン623aのうち少なくともいずれかの有効ラインに、作動した条件装置に対応する図柄組み合わせ(図50に示された図柄組み合わせ)が停止すると、1回のゲーム結果として、有効ラインに停止した図柄組み合わせに応じた賞が付与される。ただしこの場合、右上がりライン523b及び右下がりライン623aといった二つの有効ラインに、同時に重複して二つの当選役に対応する図柄の組み合わせが表示された場合には、この二つの図柄の組み合わせに応じたメダルが賞として払い出される。なお、本実施形態のスロットマシン1では有効ラインの数が二つであるが、有効ラインの数を三つ以上とし、この三つの有効ラインに、同時に重複して三つ以上の当選役に対応する図柄の組み合わせが表示された場合に、この三つ以上の図柄の組み合わせに応じたメダルが賞として払い出されるようにしてもよい。ただし、1回のゲームで払い出されるメダルの最大枚数(例えば、15枚)が予め決められており、1回のゲーム結果として払い出されるメダルの枚数はこの最大枚数を超えないものとなっている。
なお、本実施形態のスロットマシン1には、上述したとおり、SB1、SB2及びSB3といったシングルボーナス役も用意されている。このシングルボーナス役に当選すると、次ゲームに限り、当選したSB役に応じて、図49に示されるSB中に制御されるとともに、抽選の結果が「AT2−1」〜「AT5−4」のいずれかであるときに適正な押し順が遊技者に教えられるATゲームの上乗せ抽選が行われる。
[10−1−2.リプレイ役]
本実施形態のスロットマシン1には、リプレイ役(再遊技役ともいう)として、通常リプレイ(図49では「通常リプ」と記載)とARTリプレイ1〜3(図49では「ARTリプ1」、「ARTリプ2」、「ARTリプ3」と記載)とが用意されている。このリプレイ役に対応する図柄の組み合わせ態様は、図51〜53に示されるとおりである。そして、リプレイ役に対応する図柄の組み合わせが有効ライン上に表示されると、リプレイの図柄組み合わせが揃ったと判定される。なお、上記のリプレイ役に対応する図柄の組み合わせは、図49を見ても分かるように遊技者がすぐに把握し難いものであるが、有効ラインではないものの中段ラインに「リプレイ図柄−リプレイ図柄−リプレイ図柄」の図柄の組み合せが表示されることで、遊技者は、リプレイに入賞したことを把握することが可能となる。
リプレイの図柄組み合わせが有効ライン上に表示されると、リプレイゲームという遊技特典が付与される。このリプレイゲームでは、改めてメダルを投入もしくはベット操作をすることなく、リプレイの図柄組み合わせが表示されたゲームと同じゲームを、再遊技として実行できる。なお、リプレイの図柄組み合わせが有効ライン上に表示されたとしても、賞としてのメダルは払い出されない。
このリプレイゲームの遊技特典の特徴は、メダルの払出しを行わない代わりに次回のゲームで新たにメダルを消費する(新たにメダルを賭ける)必要がないことである。またリプレイはメダルの払い出しを伴わない当選役であるため、例えばその当選確率を高くすることにより、当選頻度が高くなったとしてもホールにとって不利益となることは非常に少ないといえる。従って、スロットマシン1では、通常状態(本実施形態における一般状態及び通常RTが相当する)において、概ね6〜7回に1回程度は当選する確率としている(詳細は後述)。これにより、遊技者が消費するメダルの量(一定時間当たりにつき消費するメダル数)をある程度一定の範囲に保つことが可能となる。つまり、リプレイという当選役にゲーム進行における過剰なメダルの消費を抑える役割を持たせることができるということになる。
また、各リール301a,301b,301cにリプレイ役に対応する図柄の組み合わせ態様を構成する図柄をそれぞれ満遍なく配置する(例えば、リプレイ役に対応する図柄の組み合わせ態様を構成する図柄と、同じくリプレイ役に対応する図柄の組み合わせ態様を構成する図柄との間に配置される他の図柄(リプレイ役に対応する図柄の組み合わせ態様を構成しない図柄)を1個から最大でも4個までにする)ことにより、リプレイ役に対応する図柄の組み合わせ態様を目押しの必要なく揃えることのできるものとすることができる。
なお、通常リプレイに対応する図柄の組み合わせが有効ライン上に表示された場合には、通常リプレイに対応する図柄の組み合わせが表示されたゲームと同じゲームを再遊技として実行できるだけであるが、ARTリプレイ1〜3に対応する図柄の組み合わせが有効ライン上に表示された場合には、チャンスRTへ移行する契機として機能している。
[10−1−3.チェリー役]
本実施形態のスロットマシン1には、チェリー役として、上述したとおり、「チェリー1」と「チェリー2」とが用意されている。このチェリー役に対応する図柄の組み合わせ態様は、図51〜53に示されるとおりである。そして、チェリー役に対応する図柄の組み合わせが有効ライン上に表示されると、チェリー役の図柄組み合わせが揃ったと判定され、賞としてのメダル(例えば2枚)が払い出される。
[10−1−4.スイカ役]
スイカ役に対応する図柄の組み合わせ態様は、図51〜53に示されるとおりである。このスイカ役に対応する図柄の組み合わせが有効ライン上に表示されると、スイカ役の図柄組み合わせが揃ったと判定され、賞としてのメダル(例えば5枚)が払い出される。
[10−1−5.AT専用役]
本実施形態のスロットマシン1には、AT専用役として、上述したとおり、「AT2−1」〜「AT5−4」が用意されている。これらAT専用役に対応する図柄の組み合わせ態様は、図51〜53に示されるとおりである。すなわち、抽選の結果が「AT2−1」〜「AT5−4」のうちのいずれかであって且つ適正な押し順でリール停止ボタン211a〜211cが操作されると、作動した条件装置のうち小物17に対応する図柄の組み合わせが有効ライン上に表示される。ただし、抽選の結果が「AT2−1」〜「AT5−4」のうちのいずれかであったとしても、適正な押し順でリール停止ボタン211a〜211cが操作されなかった場合には、上述したとおり、賞として1枚のメダルが払い出される図柄の組み合わせが表示されるか、ハズレの図柄組み合わせが表示されることとなる。賞として1枚のメダルが払い出される図柄の組み合わせを構成する図柄は、目押しすることなく有効ライン上に表示することができるように、各リール上に配置されている。なお、AT専用役である「AT2−1」〜「AT5−4」は、いずれも、順押しでリール停止ボタン211a〜211cが操作されたとしても、小物17に対応する図柄の組み合わせが有効ライン上に表示されることがないようになっている。
[10−1−6.ALL役]
ALL役に対応する図柄組み合わせは、図51〜53に示されるとおりである。ただし、いかなる押し順で且ついかなるタイミングでリール停止ボタン211a〜211cが操作されたとしても、作動した条件装置のうち小物17に対応する図柄の組み合わせが有効ライン上に表示されるように、リール制御される。
[10−1−7.ボーナスゲーム専用役]
さらに、ボーナスゲーム中(BB1ゲーム中、BB2ゲーム中、RB1ゲーム中及びRB2ゲーム中)にのみ有効となる当選役としてボーナスゲーム専用役がある。このボーナスゲーム専用役は、図49の「ロゴ1」〜「ロゴ7」に相当し、これらに対応する図柄(ボーナスゲーム専用役図柄)の組み合わせは、図50に示されるとおりである。
ボーナスゲーム中にボーナスゲーム専用役図柄が揃うと、規定枚数(例えば10枚)のメダルの払い出しが行われる。このときのメダルの払い出しは当該ゲームにて行われる。つまり、ボーナスゲーム専用役図柄が揃うと10枚のメダルの払出しという遊技特典が付与される。そして、ボーナスゲーム中はこのボーナスゲーム専用役を揃いやすくすることにより、メダルの獲得が容易な複数回にわたるゲームを集中して実行することができる。従って、ボーナスゲーム専用役図柄の組み合わせを構成する各図柄は、目押しを行うことなく有効ライン上に揃えることができるものとなっている。
なお、本実施形態のスロットマシン1では、ボーナスゲームにおいて、上記ボーナスゲーム専用役とALL役とが抽選対象とされているが、これらとは異なる当選役を設けてもよい。さらには、ボーナスゲーム専用役のようなボーナスゲーム中限定の当選役を設けずに、ベル役やスイカ役を代わりに用いるものとしてもよい。この場合、一般状態中とボーナスゲーム中とで、メダルの払い出し枚数を変えるようにしてもよい。
[10−1−8.SB役]
本実施形態のスロットマシン1には、SB役として、上述したとおり、「SB1」〜「SB3」が用意されている。これらSB役に対応する図柄の組み合わせ態様は、図51〜53に示されるとおりである。また、SB役には、上述したとおり、通常状態(一般状態、通常RT)では単独役として抽選されるが、チャンスRT(チャンスRT1、チャンスRT2、チャンスRT3)では、通常リプレイとの重複役として抽選される。そして、通常状態では、上述したとおり、SB1に対応する図柄の組み合わせ又はSB2に対応する図柄の組み合わせが有効ライン上に表示されたとしても遊技者に把握され難いが、SB3に対応する図柄の組み合わせが有効ライン上に表示されたときは、各リール301a〜301cの下段にリプレイ図柄が揃うので、抽選の結果が「SB3」であることを把握することが可能となる。なお、上記では、一般状態及び通常RTを通常状態と称しているが、一般状態や通常RTと同じような確率でハズレとなるような本実施形態のチャンスRT1に相当する状態についても、後述するARTゲームが実行されていなければ、通常状態と称されることもある。
しかし、チャンスRT(チャンスRT1、チャンスRT2、チャンスRT3)では、上述したとおり、SB1〜SB3は、いずれも、単独で抽選されることはなく、通常リプレイと同時に重複して当選するかたちで抽選される。そして、通常リプレイと同時に重複して当選した場合、作動した条件装置のうち再遊技1に対応する図柄の組み合わせが最優先で有効ライン上に表示されるようにリール制御される。この再遊技1に対応する図柄の組み合わせは、有効ラインではないものの中段にリプレイ図柄が表示される組み合わせである。ここで、SB1〜SB3に当選した場合には、ATゲームの上乗せ抽選が行われる。
したがって、とくに内部抽選にてハズレとなる確率が通常状態(一般状態、通常RT)と変わらないチャンスRT1に制御されているときには、通常状態に制御されているときと比べて、ATゲームの上乗せ抽選が行われる出目が表示される頻度が高められ、ひいては遊技者に期待感を与える頻度が高められることとなる。
一方、内部抽選にてハズレとなる確率が通常状態(一般状態、通常RT)と比べて極めて低い遊技状態に制御されていたり、本実施形態のように内部抽選にてハズレとならないチャンスRT1に制御されているときには、通常リプレイに対応する図柄組み合わせの出現頻度が極めて高くなるので、通常リプレイに対応する図柄組み合わせがたとえ表示されたとしても、ATゲームの上乗せ抽選が行われたか否かの判断が困難となる。これにより、上乗せ抽選が行われた可能性があることや、上乗せ抽選に当選した可能性があるといったような遊技者が興味を惹くような期待演出を行う場合には、かかる期待演出を、効果的に行うことが可能となる。
[10−1−9.ハズレ]
図51〜53に示された図柄の組み合わせのいずれにも該当しない場合は、ハズレとなる。そして、ハズレとなった当該ゲームでは、メダルの付与は行われず、また次回以降のゲームに変化を及ぼすこともない。なお、ハズレは遊技者に当該ゲーム及び次回以降のゲームにおいて何の遊技特典も付与しない役であるともいえる。
以上がスロットマシン1におけるそれぞれの当選役と、それぞれの当選役に対応する図柄の組み合わせ態様である。
なお、これらの図柄は上記で説明した図柄や図柄の組み合わせ態様に限定されるものではない。また、上記の図柄に加えて複数種類の図柄を新たに設けることもできる。そして、当選役の種類をさらに増やすことや、あるいは減らすこともできる。さらに、上記で述べた当選役は全てを必ず設けることに限定されるものではなく、適宜必要な種類の当選役を選ぶこととしてもよい。
[11.ゲーム処理]
次に、スロットマシン1におけるゲーム処理の流れについて説明する。以下のゲーム処理は、メイン基板409(主にCPU1110等)にて実行される制御プログラム上の処理手順に沿って進行する。
図54は、スロットマシン1における基本的な1ゲームの処理手順を一通り示している。先ずステップS1では、ゲームスタートに備えるための初期設定を実行する。特に電源の立ち上げ時等においては、前述した各種装置の接続及び作動状況を確認するとともに、バックアップデータの有無を確認し、バックアップデータが存在する場合には、電源断前の状態に復帰させる処理を実行する。
次のステップS2では、投入口203から投入されたメダルの枚数により、あるいはすでに貯留されているメダルがある場合にはMAX投入ボタン206(あるいは1枚投入ボタン205)の押下操作により賭け数が決定され、始動レバー210の操作待ちの状態となる。すなわち、1回のゲームの賭け数が決定され、始動レバー210の操作が可能な状態となるまでがBET処理にて実行される。なお、本実施形態のスロットマシン1は、3枚のメダルを投入することによってゲームの実行が可能となる3枚賭け専用機である。したがって、1枚投入ボタン205を備えていなくてもよい。
ステップS3では、ステップS2において操作待ちの状態となった始動レバー210の操作によりゲームをスタートさせるとともに、いずれかの当選役を内部抽選の結果とするか否かを決定するための内部抽選処理を実行する。この内部抽選処理とは、次のステップS4にて回転を開始する全てのリール301a,301b,301cが停止状態(遊技者の停止操作により停止状態となること)となる前の段階において、いずれかの当選役を当該ゲームの抽選結果とするかを決定するために実行されるものである。すなわち、この抽選の抽選結果がいずれかの当選役に該当する場合に限り、リール301a,301b,301cの停止操作が行われたときに、該当する当選役に対応する図柄組み合わせが有効ライン上に停止することが許容されるのである。
次にステップS4では、ステップS3の内部抽選処理の終了に伴い全てのリール301a,301b,301cの回転を開始させるリール回転処理を実行する。このリール回転処理においては、全てのリール301a,301b,301cの回転が開始された時点でリール停止ボタン211a,211b,211cの押下操作を有効とし、リール停止ボタン211a,211b,211cが有効になったことを知らせる操作有効ランプ(図示しない)を点灯させるとともに、次回のリール回転処理が実行されるまでのタイマカウントを開始する。なお、操作有効ランプは各リール停止ボタン211a,211b,211cにそれぞれ内蔵されるランプである。
ステップS5では、遊技者によるリール停止ボタン211a,211b,211cの押下操作が受け付けられて、その受け付け順に操作有効ランプを消灯させるとともに、対応するリール301a,301b,301cの回転を停止させるリール停止処理を実行する。
次のステップS6では、ステップS5において全ての右上がりライン623bと、「ベル1図柄−リプレイ図柄−ベル1図柄」が表示されているライン(すなわち右下がりライン623a)の2つのラインのみを有効ラインとして、リールが停止状態になったと判定した時点で、有効ライン上に表示された表示内容(図柄の組み合わせ態様)と、上記のステップS3において決定された内部抽選の結果として許容されているものを照合して当選役の判定を行う判定処理を実行する。
ステップS7では、ステップ6において判定された当選役に対応する遊技特典の内容に基づくメダルの払出処理を実行する。また当選役がBB1、BB2、RB1、RB2、SB1、SB2、リプレイの場合には、それぞれ遊技状態の変更(図49に示される遊技状態の変更)や再遊技等の各種遊技特典に付与を実行する。
以上が、スロットマシン1の基本的な1ゲームの処理手順である。ここで、ステップS2(BET処理)、ステップS3(内部抽選処理)、ステップS4(リール回転処理)は、一連の外部操作として遊技者により行われるものである。従って、これらの処理(ステップS2、ステップS3、ステップS4)をまとめて始動処理と呼ぶ。以下ではこの始動処理の具体的な説明をする。
[11−1.始動処理]
図55は、始動処理で行われる各処理を具体的に示したものである。
始動処理では、まずステップS101にてメダルの投入または1枚投入ボタン205、MAX投入ボタン206の操作が待ち受けられる。MAXベット操作またはメダル投入があると、ステップS101の判定が満たされ、ステップS102に移る。なお、この判定はMAXベットに相当するメダルの投入(つまり、3枚以上のメダルの投入)やMAXベットとなる1枚投入ボタン205、MAX投入ボタン206の操作が有った場合にのみ満たされるものとしている。
次のステップS102では、受付処理として、ベット数(この例ではMAXベットのみ)を決定するとともに、ベット数に応じた有効ラインランプを点灯させる。本実施形態のスロットマシン1は、3枚賭け専用機であり、3枚のメダルが投入されると、右上がりライン623bと、右下がりライン623aの2つのラインが有効ラインとなり、これを示す有効ラインランプを点灯させる。
ステップS103では、始動レバー210の操作を有効化する。始動レバー210の操作が有効化されると、この始動レバー210の操作が受け付けられるまで操作待ちの状態となり、次のステップS104に移る。
次のステップS104では、始動レバー210の操作が有効化されているか、またその場合は始動レバー210の操作が受け付けられたかを判定する。先のステップS103にて始動レバー210の操作が有効化されている場合、遊技者による始動レバー210の操作が受け付けられると、この判定が満たされ、次のステップS105へ移る。
また、上記のステップS101にて遊技者がベット操作またはメダル投入をしない、あるいはMAXベットに至らないうちはステップS101の判定が満たされず、ステップS104に移る。このときはステップS104の判定も満たされず、ステップS101に戻り、以降の処理を繰り返す。
また、リプレイゲームでは、新たにメダルのベットを必要としない。これは、後述するリプレイゲーム処理にてMAXベットコマンドがRAM1114に格納されている場合、自動的にMAXベット状態にする。これにより、ステップS101の判定が満たされることになる。
ステップS105では、ステップS104での始動レバー210の操作を受けて、始動レバー210の操作を無効化する。
次にステップS106では、始動レバー210の操作があると、リール301a,301b,301cの回転が開始されるとともに、この始動レバー210の操作に基づいて乱数の抽出を行う。乱数の抽出を行った後、次のステップS107に移る。なお、このときの乱数を抽出するタイミングについては、始動レバー210の操作後直ぐに行っても所定時間(例えば0.5秒後など)後に行うなど、プログラミングの過程で適切な抽出タイミングを設定することができる。
ステップS107では、抽出された乱数値(以下では、抽出乱数値という)からいずれの当選役に該当するかの当たり判定(乱数値の照合)を行う。この当たり判定では、後述する当たり値判定テーブルにて抽出乱数値を照合する。ここで行われる乱数値の照合とは、予め決められた当選役の乱数値に、抽出乱数値が該当(合致、一致)するか否かを判定することである。このとき抽出乱数値がいずれかの当選役に該当すると判定された場合、該当する当選役に対応する条件装置をON(=1)にする(図50を参照)。なお、抽出された乱数値と当たり判定テーブルとを照合して行われる当たり判定における各当選役についての当選確率は、図49に示されるとおりである。
そして、フラグ処理では、当該ゲームにて抽出乱数値の照合を行う際に、判定の基準となる当たり値判定テーブルを決定する場合、後述するBBゲーム中フラグなどのゲーム状態フラグを参照して当該ゲームにおける当たり値判定テーブルを決定する。すなわち、当該ゲームにてON(=1)状態となっているゲーム状態フラグに対応する当たり値判定テーブルをセットして抽出乱数値の照合を行う。ゲーム状態フラグには、通常RT中フラグ、チャンスRT1中フラグ、チャンスRT2中フラグ、チャンスRT3中フラグ、SB中フラグ、ボーナス内部中フラグ、ボーナス中フラグがある。そして、これらのゲーム状態フラグのいずれもOFF(=0)状態となっている場合には、常に一般状態中フラグをON(=1)状態とする。
一方、ステップS107にて、抽出乱数値がいずれの当選役にも該当しないと判定された場合、いずれの当選役にも該当しない「ハズレ」となり、いずれの条件装置も作動させない(図50を参照)。ここで、いずれかの条件装置がONになっているとき(成立しているとき)には、その成立している条件装置に対応する図柄組み合わせを揃えることが可能となる。各条件装置に対応する図柄組み合わせは、図51〜53に示されるとおりである。従って、いずれの条件装置も成立していないハズレである場合は、いずれの当選役に対応する図柄組み合わせも、有効ライン上に揃えることができないことになる。上記のステップS106及びステップS107はスロットマシン1の内部にて乱数抽選を行ってものであり、以下ではこれらのステップのことを、まとめて内部抽選、あるいは内部抽選を行う等という。なお、この乱数の抽出からフラグ処理までは内部抽選(前述の図54のステップS3)に相当する。
次のステップS108では、前回の始動処理(具体的には当該ゲームの1回前のゲーム)にてスタートさせたウェイトタイマがタイムアップ(例えば4.1秒経過)したか否かを判定する。なお、このウェイトタイマと呼ばれるタイマは、当該ゲームにおいてリールの回転が開始されたときから次回のゲームでリールの回転が開始されるまでの所定時間(例えば、4.1秒)の経過を計測するものである。ここで、ウェイトタイマがタイムアップ(既に4.1秒経過した)となった場合にはこの判定が満たされ、次のステップS109に移る。また、この判定はウェイトタイマがタイムアップするまでループする。
ステップS109では、全てのリール301a,301b,301cの回転を開始させる。そして全てのリール301a,301b,301cの回転の速さが一定となると、それぞれのリール停止ボタン211a,211b,211cの操作有効ランプを点灯させる。この点灯により、遊技者はリール停止ボタン211a,211b,211cの押下操作が有効になったことを知ることとなる。
なお、スロットマシン1では、回転を開始したリールは遊技者による停止操作(リール停止ボタン211a,211b,211cの押下操作)が受け付けられるまで上記の一定の速さで回転を維持し続けるものである。
次にステップS110では、ウェイトタイマをリセットするとともに、次回の始動処理までウェイトタイマをスタートさせ始動処理は終了となる。
[11−2.内部抽選確率]
上記のとおり、スロットマシン1では、内部抽選の結果(抽出乱数値の照合の結果)が当該ゲームで該当する当選役(以下では、該当当選役をいう)として許容される。ここで該当当選役が許容されると、該当当選役に対応する条件装置を作動させて、この作動した条件装置の情報は、内部抽選の結果を示す情報コマンドとして以降の処理(リール停止処理、判定処理、払出処理等)に反映されることになる。
スロットマシン1では、乱数抽出を行う際の乱数値の範囲(これを抽出範囲という)を予め決めておくものである。この抽出範囲は、例えば、0から16383までの整数値(つまり、214=16384個の乱数)と決めることができる。なお、本実施形態のスロットマシン1では、抽出範囲の乱数値を、便宜上、0から59999までとしているが、これに限られないことはいうまでもない。この乱数の抽出範囲を拡大すると、その分だけ抽出可能な乱数値の範囲(いわゆる分母)が大きくなるので特定の乱数値が偏って抽出されるといった事象が起こりにくくなる。
上記の抽出範囲内においては、さらにそれぞれの当選役に対応する乱数値が予め割り当てられている。例えば、抽出範囲(本実施形態のスロットマシン1では0から59999)内の乱数値のうち、RB2に対応する乱数値を「1」とすれば、抽出乱数値が「1」となった場合に、内部抽選の結果は「RB2に当選した」ということになり、RB2の条件装置が当該ゲームでの情報コマンドとして処理されることになる。また、これを利用すると、抽出範囲及びRB2に対応する乱数値から、RB2の当選確率(RB2が内部抽選の結果として選び出される確率、抽選確率)を算出することができる。上記の例(RB2)でいえば、RB2に対応する乱数値の総個数を抽出範囲内の乱数値の総個数で割ると、その値は2/60000となり、RB2の当選確率を1/30000と算出できる。
このように全ての当選役にはそれぞれ対応する乱数値が決められており、これらの乱数値は、それぞれの当選役に対応する当たり値と呼ばれる。上記の例(RB2)では、抽出範囲内の乱数値「1」がRB2に対応する当たり値ということになる。また、当たり値が複数存在する場合、例えば、所定役の当たり値を抽出範囲内の連続する乱数値「1」、「2」、「3」、「4」とすれば、この所定役の当たり値の範囲は乱数値「1」から「4」までとなる。そして、抽出乱数値が乱数値「1」から「4」までのいずれかに該当すると判定される(照合される)と、内部抽選の結果として「所定役に当選した」ということになる。なお、本実施形態のスロットマシン1では、一の当選役のみに当選する単独役(例えばRB2、ベル1、ベル2等)の他に、複数の当選役が同時に当選する重複役(例えば「RB1+スイカ」、「BB1+ベル2」等)が用意されている。したがって、このような重複役については、重複役の当たり値についても、上記の当たり値に含まれる。
このことから全ての当選役はその当たり値の範囲が決められ、内部抽選で抽出乱数値がいずれかの当選役の当たり値の範囲に該当するか否かが判定されることになる。このとき、抽出乱数値がいずれの当選役の当たり値の範囲にも該当しない場合は、ハズレ、となる。すなわち、ハズレの当たり値の範囲は、全ての当選役の当たり値の範囲以外ということになる。なお、当たり値は当選許容値とも呼ばれることもある。
ところで、単独役とは、1つの抽出乱数値に対して1つの当選役が対応するものであり、重複役とは、1つの抽出乱数値に対して、複数(この場合2つ)の当選役が対応するものである。つまり、抽出された乱数値が重複役の当たり値に該当する場合、複数の当選役のいずれにも当選したということになる。例えば、抽出された乱数値が図49に示された「SB1+通常リプ」に該当する当たり値に該当する場合、前述したフラグ処理(図55のステップS107参照)にて、図50に示されるように、SB1に対応する条件装置及び通常リプレイに対応する条件装置を同時に成立させるということである。
また、図49によれば、ボーナス中は、ALL役とボーナスゲーム専用役(ロゴ1〜ロゴ7)の当たり値が抽出範囲の大半以上を占めている。従って、ボーナスゲームが実行されると、このボーナスゲームが実行されている期間内に多量のメダルが払い出されることとなる。
また、図49を見ても分かるように、一般状態中、通常RT中及びSB中は、SB1、SB2及びSB3の単独役に当選する可能性があるとともに、「SB1+通常リプ」、「SB2+通常リプ」及び「SB3+通常リプ」といったSBと通常リプレイとの重複役には当選しない。一方、チャンスRT(チャンスRT1、チャンスRT2、チャンスRT3)中は、SB1、SB2及びSB3といった単独役に当選する可能性はないものの、「SB1+通常リプ」、「SB2+通常リプ」及び「SB3+通常リプ」といったSBと通常リプレイとの重複役には当選する可能性がある。しかも、一般状態中、通常RT中及びSB中においてSB1、SB2又はSB3の単独役に当選する確率は、チャンスRT中において「SB1+通常リプ」、「SB2+通常リプ」又は「SB3+通常リプ」の重複役に当選する確率と同じである。すなわちこれは、チャンスRT中は、一般状態中、通常RT中及びSB中において当選する可能性のあるSB1、SB2及びSB3の単独役に代えて、「SB1+通常リプ」、「SB2+通常リプ」及び「SB3+通常リプ」に当選する可能性があるということになる。
なお、上述したとおり、「SB1+通常リプ」、「SB2+通常リプ」又は「SB3+通常リプ」に当選したとき、SB役(SB1、SB2、SB3)に対応する図柄組み合わせよりも、通常リプレイ役に対応する図柄組み合わせが優先して有効ライン上に表示されるように、ステップSのリール停止処理が行われる。ここで、リプレイ図柄は、各リール301a〜301c上において、リールの引き込み制御可能な範囲内で万遍なく配置されているので、通常リプレイ役に当選しているにもかかわらず通常リプレイ役に対応する図柄組み合わせが有効ライン上に表示されない(所謂取りこぼす)といった事態は生じない。そうすると、「SB1+通常リプ」、「SB2+通常リプ」又は「SB3+通常リプ」に当選したときには、常に通常リプレイ役に対応する図柄組み合わせが有効ライン上に表示されることとなり、たとえSB役(SB1、SB2、SB3)が重複役として当選していたとしても、このSB役に対応する図柄組み合わせが有効ライン上に表示されることは、本実施形態のスロットマシン1ではあり得ないこととなる。
[11−3.遊技状態の遷移]
図56は、メイン基板409に搭載されたCPU1110により実行される遊技状態移行制御処理を示すフローチャートである。
先ず、ボーナスゲーム(BB1ゲーム、BB2ゲーム、RB1ゲーム、RB2ゲーム)中であるか否かが判断され(ステップS151)、ボーナスゲームが終了すると(ステップS152におけるYES)、一般状態に移行される(ステップS153)。この一般状態では、一定期間にわたってゲームを実行したときに、この一定期間内に、ゲームの結果として払い出されるメダル枚数よりも遊技者がゲームを実行するために賭けるメダル枚数の方が多くなる。すなわち、一般状態は、遊技者がゲームを実行すると、それに伴ってメダル枚数が減少していく遊技状態である。
ステップS151においてボーナスゲーム(BB1ゲーム、BB2ゲーム、RB1ゲーム、RB2ゲーム)中でないと判断されると(ステップS151におけるNO)、ボーナス内部中であるか否かが判断される(ステップS154)。すなわち、内部抽選においてボーナス役(BB1、BB2、RB1、RB2)に当選すると、ボーナス役に対応する条件装置が作動するが、このボーナス役に対応する条件装置は、内部抽選に当選したゲームにおいてボーナス役に対応する図柄組み合わせが有効ラインに表示されなかったとしても、次ゲーム以降においても、ボーナス役に対応する図柄組み合わせが有効ラインに表示されるまで継続して作動する。そして、ボーナス役に対応する図柄組み合わせが有効ラインに表示されたと判断されると(ステップS155におけるYES)、ボーナス中に移行し(ステップS156)、ボーナスゲームが実行される。
ステップS154においてボーナス内部中でないと判断されると(ステップS154におけるNO)、SB(SB1、SB2、SB3)中であるか否かが判断される(ステップS157)。SB中であるときには、1ゲームのSBゲームが実行され、このSBゲームが終了すると(ステップS158におけるYES)、元の遊技状態すなわちSBゲームが実行される直前の遊技状態に移行する(ステップS159)。
ステップS157においてSB中でないと判断されると(ステップS157におけるNO)、チャンスRTであるか否か(チャンスRT1、チャンスRT2及びチャンスRT3のうちのいずれかであるか否か)が判断される(ステップS160)。チャンスRTであるときには(ステップS160におけるYES)、ボーナスであるか否か、すなわちボーナス役に対応する図柄組み合わせが有効ラインに表示されたか否かが判断され(ステップS161)、ボーナス役に対応する図柄組み合わせが有効ラインに表示されたと判断されると(ステップS161におけるYES)、ボーナス中に移行し(ステップS156)、ボーナスゲームが実行される。一方、ステップS161においてボーナス役に対応する図柄組み合わせが有効ラインに表示されていないと判断されると(ステップS161におけるNO)、有効ライン上に「ベルこぼ目」が表示されたか否かが判断される(ステップS163)。このチャンスRTにおいて「ベルこぼ目」が有効ライン上に表示されたと判断されると(ステップS163におけるYES)、通常RTに移行する(ステップS164)。なお、ここで図示していないが、内部抽選にてボーナス当選したにもかかわらずボーナス役に対応する図柄組み合わせが表示されなかった場合にはボーナス内部中に移行し、内部抽選にてSB当選した場合にはSB中に移行する。これは、後述する通常RT及び一般状態においても同様である。
ステップS160においてチャンスRT(チャンスRT1、チャンスRT2、チャンスRT3)でないと判断されると(ステップS160におけるNO)、通常RTであるか否かが判断される(ステップS165)。通常RTであるときには(ステップS165におけるYES)、ボーナスであるか否か、すなわちボーナス役に対応する図柄組み合わせが有効ラインに表示されたか否かが判断され(ステップS166)、ボーナス役に対応する図柄組み合わせが有効ラインに表示されたと判断されると(ステップS166におけるYES)、ボーナス中に移行し(ステップS167)、ボーナスゲームが実行される。一方、ステップS166においてボーナス役に対応する図柄組み合わせが有効ラインに表示されていないと判断されると(ステップS166におけるNO)、内部抽選の結果がARTリプレイであるか否か判断される(ステップS168)。ここで、内部抽選の結果がARTリプレイであると判断されると(ステップS168におけるYES)、ARTリプレイに対応する図柄組み合わせが有効ライン上に表示されているか否かにかかわらず、チャンスRTに移行される(ステップS169)。
なお、通常RTにおける内部抽選においてARTリプレイに当選したとき(ステップS168におけるYES)は、先ずはチャンスART1に遊技状態が移行する。そして、図56では図示していないが、チャンスART1における内部抽選においてARTリプレイに当選すると、チャンスART2に遊技状態が移行する。さらに、同じく図56では図示していないが、チャンスART2における内部抽選においてARTリプレイに当選すると、チャンスART3に遊技状態が移行する。なお、チャンスART1、チャンスART2及びチャンスART3のうちいずれの遊技状態に制御されていたとしても、有効ライン上に「ベルこぼ目」が表示されたときには、通常RTに遊技状態が移行する。
ステップS165において通常RTでないと判断されたときには(ステップS165におけるNO)、遊技状態が一般状態に制御されていることとなる。そしてこの一般状態においても、ボーナスであるか否か、すなわちボーナス役に対応する図柄組み合わせが有効ラインに表示されたか否かが判断され(ステップS170)、ボーナス役に対応する図柄組み合わせが有効ラインに表示されたと判断されると(ステップS170におけるYES)、ボーナス中に移行し(ステップS171)、ボーナスゲームが実行される。一方、ステップS170においてボーナス役に対応する図柄組み合わせが有効ラインに表示されていないと判断されると(ステップS170におけるNO)、有効ライン上に「ベルこぼ目」が表示されたか否かが判断される(ステップS172)。この一般状態において「ベルこぼ目」が有効ライン上に表示されたと判断されると(ステップS172におけるYES)、通常RTに移行される(ステップS173)。
ところで、通常RTでは、一般状態と同様に、一定期間にわたってゲームを実行したときに、この一定期間内に、ゲームの結果として払い出されるメダル枚数よりも遊技者がゲームを実行するために賭けるメダル枚数の方が多くなる。すなわち、通常RTは、一般状態と同様に、遊技者がゲームを実行すると、それに伴ってメダル枚数が減少していく遊技状態である。
なお、一般状態、通常RT、チャンスRT(チャンスRT1、チャンスRT2、チャンスRT3)、SB中、ボーナス内部中及びボーナス中の各遊技状態における内部抽選において、各入賞役が当選する確率は、図49に示されるとおりである。
ところで、本実施形態のスロットマシン1では、上述したとおり、メイン基板409から内部抽選の結果情報が情報コマンドとして演出制御基板510のCPU1118に向けて出力される。メイン基板409から出力された内部抽選の結果情報を受信した演出制御基板510のCPU1118は、この結果情報及び演出制御基板520との通信結果情報に基づいて、例えば画像表示体500又は/及びスピーカ512を用いた演出を実行する手段を備える。例えば、チャンスRTでは、内部抽選の結果が「AT2−1」〜「AT5−4」のうちのいずれかであるとき、リール停止ボタン211a〜211cについての適正な押し順が、例えば画像表示体500又は/及びスピーカ512を用いた演出により明示される(以下、内部抽選の結果が「AT2−1」〜「AT5−4」のうちのいずれかであるときに行われるリール停止ボタン211a〜211cについての適正な押し順の明示を「押し順ナビ」と称する)。このように、内部抽選の結果が「AT2−1」〜「AT5−4」のうちのいずれかであるときにリール停止ボタン211a〜211cについての適正な押し順を遊技者に明示する演出は、例えば一般状態や通常RTでは行われない。したがって、内部抽選の結果が「AT2−1」〜「AT5−4」のうちのいずれかであるとき、一般状態や通常RTに制御されているときよりもチャンスRTに制御されているときの方が、「AT2−1」〜「AT5−4」に対応する図柄組み合わせを有効ライン上に表示させることが遊技者にとって容易となる。この点で、チャンスRTは、一般状態や通常RTと比べて遊技者にとって有利な遊技状態であるといえる。
このように、本実施形態のスロットマシン1によれば、通常状態(一般状態や通常RT)とチャンスRT(チャンスRT1、チャンスRT2、チャンスRT3)とを含む遊技状態のうちいずれかに制御される。
そして、上記の通常状態においては、通常リプレイ役とSB(SB1、SB2、SB3)役とについては、いずれも、同じ抽選機会において他の役と同時に選び出されない単独役として内部抽選が行われる。なお、通常状態では、所定の確率でハズレが選び出される。
チャンスRT(チャンスRT1、チャンスRT2、チャンスRT3)では、SB(SB1、SB2、SB3)役が選び出される確率が60000分の200であり、これは通常状態と同じ確率である。ただし、チャンスRTでは、通常リプレイ役とSB役とが同じ抽選機会において同時に選び出されるように、内部抽選が行われる。
すなわちチャンスRT(チャンスRT1、チャンスRT2、チャンスRT3)では、通常状態では単独役でしかなかったSB(SB1、SB2、SB3)役に代えて、SB役と通常リプレイ役とが同時に選び出される重複役となる。ただし、通常状態では単独役であった通常リプレイ役については、チャンスRTにおいても単独役のままである。すなわち、チャンスRTでは、SB役と重複して通常リプレイ役が選び出される分だけ、通常リプレイ役が選び出される確率が高くなる。なお、チャンスRTのうちチャンスRT2では、ハズレに代わって通常リプレイ役が選び出される。
そしてさらに本遊技機では、チャンスRTにおける内部抽選において、SB(SB1、SB2、SB3)役と通常リプレイ役との重複役が選び出されたとき、及び、SB役と重複していない通常リプレイ役の単独役が選び出されたときは、いずれも、再遊技1の条件装置に対応する図柄組み合わせが有効ライン上に表示されるように、回転表示状態にあるリール301a〜301cの停止制御が行われる。ここで、SB役と通常リプレイ役との重複役が選び出された場合には、SB役に対応する図柄組み合わせは表示されないものの、SB役に当選することが後述するART付与条件である場合には、ART付与条件を満たすこととなる。
とくにチャンスRT1にあるときは、通常状態にあるときとハズレ確率が同じであるから、通常状態よりも、SB役に当選する期待ひいてはART付与条件を満たす頻度が高められるように遊技者に感じさせることが可能となる。これにより、チャンスRT1では、ART付与条件を満たすか否かに対して期待を持つことが可能となり、興趣の低下を抑制することができる。
また、チャンスRT2にあるときは、一般状態、通常RT及びチャンスRT1ではハズレであったものが全て通常リプレイとなり、しかも、SB(SB1、SB2、SB3)役と通常リプレイ役との重複役、及び、通常リプレイ役(単独役)のうちいずれが内部抽選にて選び出された場合であっても、再遊技1の条件装置に対応する図柄組み合わせが有効ライン上に表示される。したがって、SB役に当選することが後述するART付与条件である場合に、再遊技1の条件装置に対応する図柄組み合わせが有効ライン上に表示されたとしても、遊技者は、有効ライン上に表示された図柄の組み合わせの態様からは、はたしてART付与条件を満たしたのか否かを把握することが困難となる。
このように本実施形態のスロットマシン1では、原則的には、SB(SB1、SB2、SB3)役と通常リプレイ役との重複役が内部抽選にて選び出された場合であっても、通常リプレイ役(単独役)に対応する図柄組み合わせ(再遊技1の条件装置に対応する図柄組み合わせ)が有効ライン上に表示される。ただし、SB役と通常リプレイ役との重複役が内部抽選にて選び出された場合であっても、特定条件が成立したときには、作動した条件装置のうち再遊技1に対応する図柄組み合わせが最優先で有効ライン上に表示されるようにリール制御されることに代えて、他の条件装置に対応する図柄組み合わせが最優先で有効ライン上に表示されるようにリール制御される。
具体的には、内部抽選にて選び出された役が「SB1+通常リプ」である場合に特定条件が成立したときには、作動した条件装置のうち再遊技2の条件装置に対応する図柄組み合わせが最優先で有効ライン上に表示されるようにリール制御される。また、内部抽選にて選び出された役が「SB2+通常リプ」である場合と「SB3+通常リプ」である場合とに特定条件が成立したときには、作動した条件装置のうち再遊技3の条件装置に対応する図柄組み合わせが最優先で有効ライン上に表示されるようにリール制御される。
なお、内部抽選にて選び出された役が「SB1+通常リプ」である場合に特定条件が成立したときに、作動した条件装置のうち、SB1の条件装置に対応する図柄組み合わせが最優先で、次いで、再遊技2の条件装置に対応する図柄組み合わせが優先的に有効ライン上に表示されるようにリール制御されるようにしてもよい。同様に、内部抽選にて選び出された役が「SB2+通常リプ」である場合に特定条件が成立したときには、作動した条件装置のうち、SB2の条件装置に対応する図柄組み合わせが最優先で、次いで、再遊技3の条件装置に対応する図柄組み合わせが優先的に有効ライン上に表示されるようにリール制御されるようにしてもよく、内部抽選にて選び出された役が「SB3+通常リプ」である場合に特定条件が成立したときには、作動した条件装置のうち、SB3の条件装置に対応する図柄組み合わせが最優先で、次いで、再遊技3の条件装置に対応する図柄組み合わせが優先的に有効ライン上に表示されるようにリール制御されるようにしてもよい。
ところで、本実施形態のスロットマシン1では、適正な押し順でリール停止ボタン211a〜211cが操作されることを、上記の特定条件としている。具体的には、SB(SB1、SB2、SB3)役と通常リプレイ役との重複役が内部抽選にて選び出された場合には、「左→中→右」の順押し、「左→右→中」のはさみ押し、「中→左→右」の中押し、「中→右→左」の中押し、「右→左→中」の逆押し、及び、「右→左→中」の逆はさみ押しの6通りの押し順のうち、いずれか一の押し順に決定される。そして、決定された押し順でリール停止ボタン211a〜211cが操作された場合には、適正な押し順でリール停止ボタン211a〜211cが操作されたものとして、上記の特定条件が成立する。
なお、SB(SB1、SB2、SB3)役と通常リプレイ役との重複役が内部抽選にて選び出された場合には、上記6通りの押し順のうちいずれか一の押し順に決定されるようにしたが、決定される押し順の通り数は1に限られず、2以上の通り数であってもよい。
また、上記の特定条件は、適正な押し順でリール停止ボタン211a〜211cが操作されることに限られないことは言うまでもない。例えば、三つのリール301a〜301cのうち少なくとも一のリール又は全てのリールが適正なタイミングで停止されるように、リール停止ボタン211a〜211cが停止操作されたこととしてもよい。
ところで、SB(SB1、SB2、SB3)役及び通常リプレイ役は、いずれも、当選成立状態が次ゲーム以降にまで持ち越されない。したがって、SB役と通常リプレイ役との重複役に当選し、今回のゲームで通常リプレイに対応する図柄組み合わせが表示されたとしても、次回ゲーム以降に改めてSB役に当選しない限りSB役に対応する図柄組み合わせを有効ライン上に表示させることができないので、上記の特定条件が成立しなかった場合には、内部抽選の結果がSB役と通常リプレイ役との重複役であったのか単なる単独役としての通常リプレイ役であったのかを、ただちに遊技者に把握されることがない。したがって、内部抽選にてSB役と通常リプレイとの重複役に当選した場合にはかかる当選したゲームから実際にARTゲームが実行されるまでの間に、また内部抽選にて上記重複役に当選していなかったとしても任意の間に、種々の期待演出を行うことによって、遊技者に与える期待感の持続を図ることが可能となり、興趣の低下を抑制することができる。
また、チャンスRTのうちチャンスRT2では、ハズレに代えて通常リプレイ役が選び出される。すなわち、通常状態ではハズレであった抽出乱数値が、全て通常リプレイ役とされており、ハズレの確率は0となっている。また、SB(SB1、SB2、SB3)役については、当選確率が通常状態と同じ60000分の600であるものの、SB役と通常リプレイ役との重複役となっている。すなわちこのチャンスRT2では、通常状態(一般状態、通常RT)やチャンスRT1でハズレであったものがこのハズレに代えて通常リプレイ役に当選成立するようになる。
また、このチャンスRT2でも、通常状態では単独役であったSB(SB1、SB2、SB3)役に代えて、SB役と通常リプレイ役とが同じ抽選機会において同時に選び出される重複役となる。ただし、通常状態で単独役であった通常リプレイ役については、チャンスRT2においても単独役のままであり、さらには、通常状態ではハズレであった分まで通常リプレイ役となっている。したがって、このチャンスRT2では、たとえ通常リプレイ役に対応する図柄組み合わせが表示されたとしても、その出現頻度が極めて高いものとなる(本実施形態ではハズレとなる確率が50%以上である)から、チャンスRT1の場合とは違って、重複役ひいては通常リプレイ役に対応する図柄組み合わせがたとえ表示されたとしても、SB(SB1、SB2、SB3)役と通常リプレイ役とが同じ抽選機会において同時に選び出されたことに対する期待感が希薄なものとなる。これにより、チャンスRT2では、複数のリール301a〜301cが停止されたときの図柄の組み合わせからは、ART付与抽選が行われたか否かを把握し難くすることができる。その結果、例えばART付与抽選が行われること又はART付与抽選に当選した可能性があること等を遊技者に明示するような演出を実行するような場合には、複数のリール301a〜301cが停止されたときの図柄の組み合わせからはART付与抽選が行われたか否かを把握し難いので、かかる演出に面白みを持たせることが可能となる。
[11−3−1.チャンスRT]
本実施形態のスロットマシン1では、上述したとおり、通常RTにおける内部抽選においてARTリプレイに当選すると、次ゲームからチャンスRTが開始される。
ここで、チャンスRTとは、チャンスRTが開始されてから有効ライン上に「ベルこぼ目」が表示されるまでのゲーム期間におけるゲームであり、このチャンスRTでは、図49を見ても分かるように、リプレイの当選確率が一般状態に比べて当選しやすくされている。なお、チャンスRTでは、一定ゲーム数の間、有効ライン上に「ベルこぼ目」が表示されることを回避するために、演出制御基板510のCPU1118により、例えば画像表示体500又は/及びスピーカ512を用いた演出が実行される。すなわち、内部抽選の結果が「AT2−1」〜「AT5−4」のうちいずれかであるときに、有効ライン上に「ベルこぼ目」が表示されないように、適正な押し順でのリール停止ボタン211a〜211cの操作を促す演出、又は、適正なタイミングでのリール停止ボタン211a〜211cの操作を促す演出等が実行される。このようにして促された演出に基づいてリール停止ボタン211a〜211cが操作されることによって、一定ゲーム数の間、チャンスRTを継続させることが可能となる。そして、一定ゲーム数のゲームが実行されると、有効ライン上に「ベルこぼ目」が表示されないようにするための演出が終了する。そうすると、いずれは、内部抽選にて「AT2−1」〜「AT5−4」のうちいずれかに当選し、有効ライン上に「ベルこぼ目」が表示されて、チャンスRTが終了することとなる。
また、チャンスRT中は、遊技者に向けてその遊技状態がチャンスRT中であることを認識(識別)できる態様にて実行させる。具体的には、チャンスRT中であることの表示(画像表示体500等による)や、効果音(スピーカ512等による)により識別可能なものとする。
なお、スロットマシン1には複数の設定値(設定値1から4までの4段階)を設けている(それぞれ図示はしない)。そして、それぞれの設定値では内部抽選確率に格差(段階的な差、極端な差など)がつけられている。この設定値は、設定値1<設定値2<設定値3<設定値4、というように設定値が高くなるほどボーナス当選役やARTリプレイの内部抽選確率が優遇されるようにするとよい。例えば、設定値1に比べると設定値4ではBB1の当選確率が高く決められているのでBB1に当選する可能性が高いといったようなことである。このように段階的な設定値を設けることにより、設定値ごとに特徴を持たせて遊技者が設定値の推測する際の手掛かりとしたり、ホール等の経営に合わせた設定値にてスロットマシン1の運用をしたり、といったことが可能となる。なお、上記のような設定値に限られることはない。
[11−4.リール停止処理]
始動処理が終了すると、一定速度で回転を続けているリールを停止させるための操作(停止操作、つまりリール停止ボタン211a,211b,211cの押下操作)待ちの状態となる。図57では、一例として「テーブル方式」によるリール停止処理の内容を示している。以下では、リール停止制御の処理の流れを説明する。
リール停止処理では、まずステップS201で、当該ゲームでの内部抽選の結果に対応して作動した条件装置にしたがってリール停止制御テーブルを選択する。このリール停止制御テーブルは予め全ての条件装置に1対1で対応するパターンが用意されており、これらは読み出し専用のテーブルデータとしてメイン基板409のROM1112に格納されている。
上記のステップS201にて成立している条件装置に基づいてリール停止制御テーブルが選択された状態になると、各リール停止ボタン211a,211b,211cの押下操作が受け付けられるまで待ち受け状態となる(ステップS202,S210,S217)。これらの待ち受け状態で、左リール301a、中リール301b、右リール301cの各リールがすでに停止しているか否か、あるいは第1リール停止フラグがONとなっていない状態(F=0、つまりOFFの状態)であるか否かを判定するとともに、合わせてリール停止ボタン211a,211b,211cのいずれかが押下されたかについても判定する。全てのリール停止ボタン211a,211b,211cの押下操作が受け付けられるまでは、ステップS209の判定が満たされず、ステップS202以降の処理を繰り返す。
ここで、リール停止ボタン211a,211b,211cの押下操作の受け付けられた順番(停止操作手順)を、それぞれ「順押し」、「逆押し」、「中押し」と呼ばれる停止操作手順(または押し順ともいう)に分ける。
上記の「順押し」の停止操作手順とは、左リール301aを第1番目に停止させる操作手順(つまり、左リール停止ボタン211aを第1番目に押下操作する手順)のことをいい、第2番目以降に停止させるリールの操作順番より、〔 左リール→中リール→右リール 〕、あるいは、〔 左リール→右リール→中リール 〕となる2つの停止操作手順にさらに分けられる。これら2つをまとめて「順押し」と呼ぶ。なお、この明細書では、前者の停止操作手順を単に「順押し」と呼び、後者の停止操作手順を特に「はさみ押し」とも呼ぶ場合もある。
上記の「逆押し」の停止操作手順とは、「順押し」と反対に右リール301cを第1番目に停止させる操作手順(つまり、右リール停止ボタン211cを第1番目に押下操作する手順)のことをいい、第2番目以降に停止させるリールの操作順番より、〔 右リール→中リール→左リール 〕、あるいは、〔 右リール→左リール→中リール 〕となる2つの停止操作手順にさらに分けられる。これら2つをまとめて「逆押し」と呼ぶ。なお、この明細書では、前者の停止操作手順を単に「逆押し」と呼び、後者の停止操作手順を特に「逆はさみ押し」とも呼ぶ場合もある。
上記の「中押し」の停止操作手順とは、中リール301bを第1番目に停止させる操作手順(つまり、中リール停止ボタン211bを第1番目に押下操作する手順)のことをいい、第2番目以降に停止させるリールの操作順番より、〔 中リール→左リール→右リール 〕、あるいは、〔 中リール→右リール→左リール 〕となる2つの停止操作手順にさらに分けられる。これら2つをまとめて「中押し」と呼ぶ。なお、この明細書では、前者の停止操作手順を単に「中押し」と呼び、後者の停止操作手順を特に「中逆押し」と呼ぶ場合もある。
ステップS202では、左リール301aが停止状態となったことを示すフラグ(左リール停止フラグLF)がOFF(LF=0)であり、なおかつ、左リール停止ボタン211aの押下操作が受け付けられたかを判定する。ステップS201で、リール停止ボタン211a,211b,211cの押下操作の待ち受け状態から「順押し」の停止操作手順に沿って最初(第1番目)に左リール停止ボタン211aが押下されたとすると、ステップS202の判定が満たされ、ステップS203に移る。
ステップS203では、第1リール停止フラグがOFF(F=0)であるか判定する。ここでいう「第1リール」とは第1番目に停止操作が受け付けられる、あるいは第1番目に停止するリールのことをいう。この例(「順押し」)では、左リール301aの停止操作が第1番目に受け付けられるので、第1リール停止フラグがOFFの状態(F=0)となっている。従って、ステップS203の判定は満たされ、次のステップS204に移る。
次のステップS204では、左リール301aについて第1リール停止処理が行われる。この第1リール停止処理では、作動している条件装置に対応するリール停止制御テーブルに基づいて内部抽選フラグに対応する当選役図柄の停止位置の制御を実行する。
ステップS206では、残りの中リール301b、右リール301cのリール停止制御テーブルを決定する。前述のとおり、スロットマシン1の有効ラインは右上がりラインと右下がりラインとの2ラインのみであるため、この時点で残りのリール(中リール301b、右リール301c)の停止制御テーブルは1つに決定することができる。つまり、第1停止リール(この場合は左リール301a)の図柄表示窓401内の図柄(これを停止目と呼ぶ、以下同様)のうち特に上段位置または下段位置の図柄が当選役図柄となる可能性のある図柄であった場合、その該当図柄を基準とした有効ライン上に残りのリール(中リール301b、右リール301c)の該当当選役図柄を揃えることの可能なリール停止制御テーブルを選択することになる。
ステップS207では、第1リール停止フラグをON(F=1)として、次のステップS208に移る。
次いでステップS208では、左リール停止フラグLFをON(LF=1)として、ステップS209に移る。
そして、ステップS209では、全てのリール301a,301b,301cが停止状態となったかを判定する。この例では、まだ左リール停止フラグLFがONとなっただけであり、中リール301b及び右リール301cはまだ回転中であることから、この判定が満たされず、ステップS202に戻り以降の処理を繰り返し実行する。
そして、再びステップS202以降の処理が実行される場合、すでに左リール301aは停止状態となっているのでステップS202の判定は満たされず、ステップS210に移る。
ステップS210では、中リール301bが停止状態となったことを示すフラグ(中リール停止フラグMF)がOFF(MF=0)であり、なおかつ、中リール停止ボタン211bの押下操作が受け付けられたかを判定する。ここでは「順押し」の停止操作手順に沿うため、中リール停止ボタン211bの押下操作が受け付けられることとなる。従って、ステップS210の判定が満たされ、次のステップS211に移る。
ステップS211では、上記のステップS203と同様に第1リール停止フラグがOFF(F=0)であるか判定する。そして、この時点ではすでに第1リール停止フラグはON(F=1)となっているため、この判定が満たされず、ステップS213に移る。
ステップS213では、中リール停止処理として、作動している条件装置に対応するリール制御テーブル(この場合は上記のステップS206で決定したリール停止制御テーブル)に基づいて該当当選役図柄の停止位置の制御を実行する。そして、このとき中リール301bは第2番目に停止するリール(第2リール)となり、ステップS212,S214,S215は全て迂回され、ステップS216に移り、中リール停止フラグMFをON(MF=1)としてステップS209に移る。
そして、再度ステップS209では、左リール301a及び中リール301bが停止状態となっただけであり、まだ右リール301cは回転中で停止状態(右リール停止フラグRFがOFFとなっている)となっていないので、この判定が満たされず、ステップS202に戻り、再度以降の処理を繰り返し実行する。
さらに、3度目のステップS202以降の処理では、先ずステップS217で右リール停止フラグMFがOFF(MF=0)であり、なおかつ、右リール停止ボタン211cの押下操作が受け付けられたかを判定していくことになるが、以降のステップS218,S220等の処理は、上記のステップS210以降の処理(ステップS211,S213)と同様であるため詳細な説明は省略する。
そして、ステップS223にて、右リール停止フラグRFをON(MF=1)として、ステップS209に移る。
最後にステップS209では、この時点において、全てのリール301a,301b,301cが停止状態となっていることから、この判定が満たされ、リール停止処理が終了する。
「逆押し」の停止操作手順では、右リール301cのみが停止状態となり、なおかつ、右リール301cの停止目のうち、下段位置にいずれかの当選役図柄があった場合、まだ2つの有効ラインのいずれにも該当当選役図柄を揃えることが可能である。従って、ステップS221の段階では、いずれの有効ラインにも該当当選役図柄を揃えることのできるリール停止制御テーブルを複数用意しておき、いずれかを選び出すものとすればよい。
なお、「順押し」及び「中押し」の停止操作手順の場合におけるリール停止制御についても、「逆押し」の停止操作手順の場合と同様に、第1リールのみが停止した段階では、いずれの有効ラインにも該当当選役図柄を揃えることのできるリール停止制御テーブルを複数用意しておき、いずれかを選び出すものとすればよい。こうすることで、「順押し」、「はさみ押し」、「逆押し」、「逆はさみ押し」、「中押し」及び「中逆押し」の6通りのリール停止制御を実現することができる。
[11−4−1.リール停止制御]
上記のリール停止処理では、成立フラグに対応した当選役図柄(該当当選役図柄)を極力図柄表示窓401内に引き込むリール停止制御を行う(いわゆる、引き込み制御といわれる)。具体的には、遊技者によるリールの停止操作が受け付けられた時点で、図柄表示窓401内に停止させることが可能な範囲(該当当選役図柄を引き込むことが可能な範囲、例えば、図柄4個分)を予め決めておき、その範囲内に該当当選役図柄がある場合、これを図柄表示窓401内に引き込んでリールを停止させる制御を実行する。なお、ここでいう「引き込むことが可能な範囲」とは、リールの停止操作が受け付けられてから当該リールが停止するまでに、リールの回転方向にみて移動が可能な図柄の最大数のことをいう。例えば、引き込み可能な範囲を最大で図柄4個分とすれば、当該リールの停止操作が受け付けられた場合、その位置を基点にしてさらに図柄4個分までリールの回転移動が可能となる。
従って、このようなリール停止制御によれば、リールの停止操作が受け付けられた時点で、図柄表示窓401内に該当当選役図柄がなかったとしても、該当当選役図柄が引き込み可能な範囲内にあれば、その該当当選役図柄を図柄表示窓401内にまで移動させたうえで停止させることが可能となる。また、この引き込み制御を行うことにより、遊技者は該当当選役図柄の目押しのタイミングが多少早かったとしても、引き込み可能範囲内に当該当選役図柄があれば、その当該当選役図柄を図柄表示窓401内に引き込んで停止させることができる。従って、取りこぼし(当該当選役図柄を揃えることができずに当該当選役に対応する遊技特典を獲得できずにその遊技特典が消滅してしまうこと)が生じることを極力抑えることができる。
スロットマシン1では、通常リプレイ役、ALL役等に対応する条件装置が作動している場合には、遊技者の目押しを必要とせずに必ず該当当選役図柄を揃えることができる。これは、通常リプレイ役、ALL役等のそれぞれに対応する図柄組み合わせを構成する図柄については、対応するそれぞれの当選役図柄が最大で4個分の図柄おきに配置されているからである(図46参照)。
なお、リプレイ図柄についてさらに着目すると、左リール301a上では、リプレイ図柄からリプレイ図柄までのあいだに他の図柄が最大で4個分配置されている(図46参照)。これにより、左リール301aでは、リールのどの位置で停止操作が受け付けられても、リプレイ役に対応する条件装置が作動している限り、必ずリプレイ図柄を有効ライン上のいずれかに引き込んで停止させることができる。
また、内部抽選の結果がボーナス役と小役との重複役である場合は、ボーナス図柄よりも小役を優先的に引き込むものとしている。ボーナス役と小役との重複役に当選した場合、この当選したゲームにおいては小役に対応する図柄組み合わせが表示されたとしても、次ゲーム以降においてボーナス役に対応する図柄組み合わせが表示されるからである。
以上がテーブル方式によるリール停止処理の一例である。これとは別にコントロール方式によるリール停止処理があるが、これについても公知の処理を適用可能であるため、ここでは具体的な説明を省略する。また、本実施形態においてコントロール方式またはテーブル方式のいずれのリール停止処理を実行してもよく、どの方式を採用するかは制御プログラムを構築するにあたって適宜決定すればよい。
[11−5.判定処理]
リール停止処理が終了すると、図柄表示窓401内にていずれかの有効ライン上に当選役図柄が揃っているか(いずれかの当選役に該当する図柄の組み合わせ態様が表示されているか)否かについて判定を行う。図58では、この判定処理の内容を具体的に説明する。
リール停止処理により全てのリール301a,301b,301cが停止した状態となると、図柄表示窓401内の停止目の態様から、いずれかの有効ライン上に当選役図柄が揃っているか(当選役に対応する図柄の組み合わせ態様が表示されているか)否かを判定する。なお、特に全てのリールが停止状態となった場合の停止目のことは出目と呼ばれることもある。
ステップS301、S302、S303では、それぞれ、SBゲーム中であるか、RBゲーム中であるか、BBゲーム中であるかを判定する。これはSB中フラグ、RBゲーム中フラグ、BBゲーム中フラグというゲーム状態フラグのON状態(=1)、OFF状態(=0)を判定することである。
SB中フラグがON(=1)となっていると、ステップS301の判定が満たされ、ステップS390に移る。同様にして、RBゲーム中フラグがON(=1)となっていると、ステップS302の判定が満たされ、ステップS380に移る。またBBゲーム中フラグがON(=1)となっているとステップS303の判定が満たされ、ステップS370に移る。
SB中フラグ、RBゲーム中フラグ及びBBゲーム中フラグのいずれもOFF(=0)となっている場合、ステップS301、S302、S303の判定がいずれも満たされず、ステップS304に移る。
ステップS304で、RTゲーム終了判定処理(詳細は後述する)を実行した後、いずれかの有効ライン上に揃っている当選役図柄に応じて、さらに以下のステップS310,S320,S330,S340,S350のいずれかに移る。
ステップS310では、BB図柄が揃っているかを判定する。いずれかの有効ライン上にBB図柄が揃っている場合(「赤7図柄−赤7図柄−赤7図柄」)、この判定が満たされ、次のステップS312に移る。
次のステップS312では、BBゲーム開始処理を実行する。ここでは、BBゲームとして、メダルの獲得が容易な複数回にわたるゲームが集中して行われるための処理をすることになる(詳細は後述する)。
ステップS320では、RB図柄が揃っているかを判定する。いずれかの有効ライン上にRB図柄が揃っている場合(「青7図柄−赤7図柄−赤7図柄」)、この判定が満たされ、次のステップS322に移る。
次のステップS322では、RBゲーム開始処理を実行する。ここでは、RBゲームとして、BBゲームに準じたメダルの獲得が容易な複数回にわたるゲームが集中して行われるための処理をすることになる(詳細は後述する)。
ステップS330では、SB役(SB1、SB2、SB3)に対応する図柄組み合わせが揃っているかを判定する。いずれかの有効ライン上にSB役に対応する図柄組み合わせが揃っている場合、この判定が満たされ、次のステップS332に移る。
次のステップS332では、SBゲーム開始処理を実行する。ここでは、SBゲームとして、SB役に対応する図柄組み合わせが有効ライン上に表示されたゲームの次ゲームに限り、入賞役についての当選確率に準じたメダルの獲得が容易な複数回にわたるゲームが集中して行われるための処理をすることになる(詳細は後述する)。なお、ステップS332のCRBゲーム開始処理は解決手段に記載の強制当選遊技状態開始手段に相当する。
ステップS340では、リプレイ図柄が揃っているかを判定する。いずれかの有効ライン上にリプレイ図柄が揃っている場合(「リプベル図柄−リプレイ図柄−リプレイ図柄」)、この判定が満たされ、次のステップS342に移る。
次のステップS342では、リプレイゲーム処理を実行する。このリプレイゲーム処理では、当該ゲームでのベット数と同じベット数(この例ではMAXベット)にて次回のゲームを開始させるために、MAXベットコマンドをRAM1114に一旦記憶させる。このコマンドに基づき、次回のゲームを再遊技として開始させることができる。
そして、ステップS344では、リプレイ当選フラグをOFF(=0)にして処理を終了する。
ステップS350では、小役図柄が揃っているかを判定する。いずれかの有効ライン上に小役図柄が揃っている場合、この判定が満たされ、該当する小役当選フラグをOFF(=0)にして処理を終了する(ステップS354)。
有効ライン上にいずれの当選役図柄も揃っていない場合、上記のステップS310,S320,S330,S340,S350のいずれの判定も満たされず、ステップS360に移る。なお、このときの出目は「ハズレ目(バラバラな図柄の組み合わせ態様)」とも呼ばれる。
ステップS360では、ハズレ処理を実行する。このハズレ処理では、この時点でON(=1)状態となっている当選フラグがBB及びRBを除く他の当選フラグの場合、当該当選フラグをOFF(=0)にする。また、いずれの当選フラグもON(=1)となっていない場合(このときはハズレフラグがON(=1)となっている)には、ハズレフラグをOFF(=0)にする。
上記のステップS304からステップS360までの処理は、一般状態、通常RTの場合に実行する処理となる。次にステップS370以降の処理について説明する。ここでの処理は、BBゲーム(BB1ゲーム、BB2ゲーム)、RBゲーム(RB1ゲーム、RB2ゲーム)及びSBゲーム(SB1ゲーム、SBゲーム、SB3ゲーム)の場合に実行する処理である。
次に、ステップS374では、BBゲーム終了判定処理が行われる。このBBゲーム終了判定処理では、BBゲーム中における累計払出枚数が規定数を超えるまでBBゲームが継続し、BBゲーム中における累計払出枚数が規定数(例えば300枚)を超えるとBBゲームを終了する。なお、BBゲーム中は、BBゲーム時払出役役図柄が揃っているか否かが判定されて、BBゲーム時払出役役図柄が揃っていれば賞としてのメダルが払い出される(ステップS7)。ここでいう「BBゲーム時払出役」とは、ALL役及びボーナスゲーム専用役の総称である。BBゲームが終了すると、ステップS376に移り、RTゲーム開始処理(詳細は後述する)を実行する。
ステップS384では、RBゲーム終了判定処理が行われる。このRBゲーム終了判定処理では、RBゲーム中における累計払出枚数が規定数(例えば20枚)を超えるまでRBゲームが継続し、RBゲーム中における累計払出枚数が規定数を超えるとRBゲームを終了する。なお、RBゲーム中は、RBゲーム時払出役役図柄が揃っているか否かが判定されて、RBゲーム時払出役役図柄が揃っていれば賞としてのメダルが払い出される(ステップS7)。ここでいう「RBゲーム時払出役」は、前述のBBゲーム時払出役と同様にRBゲーム中に払い出しがある当選役の総称であり、本実施形態では、「BBゲーム時払出役」と同じである。RBゲームが終了すると、ステップS386に移り、RTゲーム開始処理(詳細は後述する)を実行する。
ステップS394では、SBゲーム終了判定処理が行われる。いずれかの有効ライン上にSBゲーム時払出役図柄が揃っている場合、SBゲームを終了する(詳細は後述する)。なお、この「SBゲーム時払出役」も、SBゲーム中に払い出しがある当選役の総称である。その後、ステップS386に移り、RTゲーム開始処理(詳細は後述する)を実行する。
なお、上述したとおり、判定処理において当選役に対応する図柄組み合わせが揃っていると判定された場合には、該当選役に対応する遊技特典の内容に基づくメダルの払出処理がステップS7において実行される(メダル放出装置110より規定枚数のメダルが払い出される)。そして、メダルの払出枚数を表示する(払出枚数表示LED612に表示する)。これにより、遊技者には当該小役に対応した規定枚数のメダルが払い出されたことが報知(告知、表示)される。
[11−5−1.BBゲーム開始処理]
前述の図58のステップS310の判定が満たされた場合、BBゲーム開始処理を実行する。このBBゲーム開始処理について図59を用いて説明する。
まず、ステップS401では、BBフラグ(BB1フラグ、BB2フラグ)がON(=1)となっているかを判定する。ステップS401の判定が満たされると、ステップS404に移る。ステップS404では、BBゲーム中フラグをON(=1)にする。また図示はしないが、このときBBフラグをOFF(=0)にする。次いでステップS406にて、BBゲーム中の累計払出枚数カウントをクリアする。これにより、次のゲームから累計払出枚数の累算が実行される。そして、次ゲームからは、通常ゲームと同様の賭け数3ベット(3枚賭け)にてBBゲームが開始される。
また、ステップS401の判定が満たされない場合、ステップS402に移り、エラー処理を実行する。このような場合となるのは、BBフラグがOFF(=0)であるにも関わらず、BB図柄が揃ってしまうような場合が該当する。すなわち、何らかの不正な手段(例えば、ゴト行為)が行われたか、あるいはスロットマシン1に故障が生じたか、いずれかの場合に起こり得るものである。従って、エラー処理では、エラーランプ604の点灯や、その他前述のLED等にエラー発生を知らせる表示を行う。
[11−5−2.BBゲーム終了判定処理]
続いて、前述の図58のステップS374のBBゲーム終了判定処理について図60を用いて説明する。
まず、ステップS451では、前述の図58のステップS372にてメダルの払い出しがあったことを受けて、BBゲーム中の累計払出枚数に当該ゲームの払出枚数を加算する。
次にステップS452では、累計払出枚数が300枚(BB2の場合は200枚)を超えたかを判定する。このステップS452の判定が満たされない場合、ステップS454に移り、BBゲーム中の累計払出枚数を表示する(払出枚数表示LED612等に表示する。なお、累計払出枚数は表示用のLED等を別途設けてこれに表示するものとしてもよい)。また、ステップS452の判定が満たされると、ステップS460に移る。
ステップS460では、BBゲーム中フラグをOFF(=0)にした後、ステップS462にてCRTゲーム開始フラグをON(=1)にして処理を終了する。
[11−5−3.RBゲーム開始処理]
前述の図58のステップS320の判定が満たされた場合、RBゲーム開始処理を実行する。このRBゲーム開始処理について図61を用いて説明する。
まず、ステップS501では、RBフラグがON(=1)となっているかを判定する。ステップS501の判定が満たされると、ステップS504に移る。ステップS504では、RBゲーム中フラグをON(=1)にする。また図示はしないが、このときRBフラグをOFF(=0)にする。次いでステップS506にて、RBゲーム中の累計払出枚数カウントをクリアする。これにより、次のゲームから累計払出枚数の累算が実行される。そして、次ゲームからは、通常ゲームと同様の賭け数3ベット(3枚賭け)にてRBゲームが開始される。このことにより、遊技者は通常ゲームと比べて特別な違和感を覚えることなくゲームを行うことができる。
また、ステップS501の判定が満たされない場合、ステップS502に移り、エラー処理を実行する。このような場合となるのは、RBフラグがOFF(=0)であるにも関わらず、RB図柄が揃ってしまうような場合が該当する。すなわち、何らかの不正な手段(例えば、ゴト行為)が行われたか、あるいはスロットマシン1に故障が生じたか、いずれかの場合に起こり得るものである。従って、エラー処理では、エラーランプ604の点灯や、その他前述のLED等にエラー発生を知らせる表示を行う。
[11−5−4.RBゲーム終了判定処理]
続いて、前述の図58のステップS384のRBゲーム終了判定処理について図62を用いて説明する。
まず、ステップS551では、前述の図58のステップS382にてメダルの払い出しがあったことを受けて、RBゲーム中の累計払出枚数に当該ゲームの払出枚数を加算する。
次にステップS552では、累計払出枚数が20枚を超えたかを判定する。このステップS552の判定が満たされない場合、ステップS554に移り、RBゲーム中の累計払出枚数を表示する(払出枚数表示LED612等に表示する。なお、累計払出枚数は表示用のLED等を別途設けてこれに表示するものとしてもよい)。
また、ステップS552の判定が満たされると、ステップS556に移る。
ステップS556では、RBゲーム中フラグをOFF(=0)にした後、ステップS558にてLRTゲーム開始フラグをON(=1)にして処理を終了する。
[11−5−5.ARTゲーム開始処理]
ARTゲームは、チャンスRTにおいて演出制御基板510により実行されるゲームであり、通常RTにおいてARTリプレイに当選し(遊技状態がチャンスRTに移行し)、このチャンスRTにおいて行われたART付与抽選に当選したときに実行される。なお、ARTゲームは、演出制御基板520により実行されるようにしてもよい。
ART付与抽選は、所定の条件が成立したことに基づいて行われる。本実施形態のスロットマシン1では、内部抽選の結果がSB役(SB1、SB2、SB3)であることが、上記の所定の条件の一つに含まれる。すなわち、演出制御基板510は、内部抽選の結果がSB役である旨の情報をメイン基板409から受信すると、かかる情報を演出制御基板520に送信する。演出制御基板520は、内部抽選の結果がSB役である旨の情報を演出制御基板510から受信すると、これに基づいてART付与抽選を行う。ART付与抽選は出率に影響を及ぼす抽選であるため、不正防止の観点から、演出制御基板520にて行われることが好ましい。
このART付与抽選に当選すると、演出制御基板520は、ゲーム数が異なる7種類のARTゲームのうちいずれを実行するかを決定する。本実施形態では、ショートレッドARTゲーム、ショートブルーARTゲーム、ノーマルレッドARTゲーム、ノーマルブルーARTゲーム、スーパーレッドARTゲーム、スーパーブルーARTゲーム、プレミアムARTゲームの7種類のARTゲームのうちいずれを実行するかが決定される。
上記の7種類のARTゲームにおけるゲーム数は、ショートレッドARTゲームが最もゲーム数が少ないARTゲームであり、ショートブルーARTゲーム、ノーマルレッドARTゲーム、ノーマルブルーARTゲーム、スーパーレッドARTゲーム、スーパーブルーARTゲーム、プレミアムARTゲームの順にゲーム数が多くなっていく。ARTゲーム中に払い出されるメダル数の期待値は、ゲーム数が多いほど大きくなるため、プレミアムARTゲーム、スーパーブルーARTゲーム、スーパーレッドARTゲーム、ノーマルブルーARTゲーム、ノーマルレッドARTゲーム、ショートブルーARTゲーム、ショートレッドARTゲームの順で、遊技者にとって有利度合いの高いARTゲームであるといえる。
なお、ART付与抽選は、内部抽選の結果がSB役(SB1、SB2、SB3)の単独役であるときのみならず、通常リプレイとの重複役(「SB1+通常リプ」、「SB2+通常リプ」、「SB3+通常リプ」)であるときにも行われる。
ところで、上述したように、本実施形態のスロットマシン1では、内部抽選の結果がSB(SB1、SB2、SB3)役と通常リプレイ役との重複役であったとしても、特定条件が成立しない限り、通常リプレイ役(単独役)に対応する図柄組み合わせ(再遊技1の条件装置に対応する図柄組み合わせ)が有効ライン上に表示される。したがって、遊技状態がとくにチャンスRT2やチャンスRT3といったハズレがない遊技状態である場合やハズレがあったとしてもその確率が低い遊技状態である場合には、ART付与抽選が行われたのか否かを、有効ライン上に表示された図柄組み合わせの態様から把握することが困難となっている。ただし、特定条件が成立した場合には、上述したように、通常リプレイ役(単独役)に対応する図柄組み合わせ(再遊技1の条件装置に対応する図柄組み合わせ)よりも、再遊技1、再遊技2、SB1、SB2又はSB3の条件装置に対応する図柄組み合わせが優先的に有効ライン上に表示されるようにリール制御される。これにより、チャンスRT2では、遊技者は、有効ライン上に表示された図柄組み合わせの態様から、ART付与抽選が行われるか否かを把握することは原則的には困難であるものの、特定条件が成立した場合に限り、有効ライン上に表示された図柄組み合わせの態様から、ART付与抽選が行われるか否かを把握することが可能となる。よって、遊技者は、チャンスRT2において、適正な押し順で操作されることを願ってリール停止ボタン211a〜211cを操作することとなり、リール停止ボタン211a〜211cの操作に面白みを持たせることが可能となる。とくに、内部抽選の結果が重複役であったとしても、次ゲーム以降にゲーム結果が持ちこされないSB(SB1、SB2、SB3)役と通常リプレイ役との重複役であるから、ART付与抽選が行われるか否かを把握することが可能なゲームが1ゲーム限りとなる。
ART付与抽選に当選すると、遊技者にとっての有利度合いが異なる7種類のARTゲームのうちいずれを実行するかが決定されることについては上述したとおりであるが、
ショートレッドARTゲームは例えば5ゲームを1セットとするARTゲームであり、ショートブルーARTゲームは例えば10ゲームを1セットとするARTゲームであり、ノーマルレッドARTゲームは例えば40ゲームを1セットとするARTゲームであり、ノーマルブルーARTゲームは例えば50ゲームを1セットとするARTゲームであり、スーパーレッドARTゲームは例えば100ゲームを1セットとするARTゲームであり、スーパーブルーARTゲームは例えば120ゲームを1セットとするARTゲームであり、プレミアムARTゲームは例えば500ゲームを1セットとするARTゲームである。
ART付与抽選に1回当選すると、かかる情報が演出制御基板520から演出制御基板510に送信され、演出制御基板510の演出制御により1セットのARTゲームが実行される。そして、ARTゲーム中にART付与抽選が行われると、このART付与抽選に当選する毎に1セットのARTゲームが上乗せされていく。そして、この上乗せされた個数分のARTゲームが全て消化されるまで、ARTゲームが継続することとなる。以下、ARTゲーム開始処理について、図63を用いて詳細に説明する。
まず、ステップS801では、ショートレッドARTゲーム開始フラグがON(=1)であるかを判定する。この判定が満たされた場合、ステップS802では、ショートレッドARTゲーム回数を「5回」にセットする。
そして、次のステップS804では、ショートレッドARTゲーム中フラグをON(=1)にする。また、図示はしないが、このときショートレッドARTゲーム開始フラグをOFF(=0)にする。これにより、次ゲームからショートレッドARTゲームが開始される。
一方、ステップS801の判定が満たされない場合、ステップS810に移り、ショートブルーARTゲーム開始フラグがON(=1)であるかを判定する。この判定が満たされた場合、ステップS812では、ショートブルーARTゲーム回数を「10回」にセットする。
そして、次のステップS814では、ショートブルーARTゲーム中フラグをON(=1)にする。また、図示はしないが、このときショートブルーARTゲーム開始フラグをOFF(=0)にする。これにより、次ゲームからショートブルーARTゲームが開始される。
ステップS810の判定が満たされない場合、ステップS820に移り、ノーマルレッドARTゲーム開始フラグがON(=1)であるかを判定する。この判定が満たされた場合、ステップS822では、ノーマルレッドARTゲーム回数を「40回」にセットする。
そして、次のステップS824では、ノーマルレッドARTゲーム中フラグをON(=1)にする。また、図示はしないが、このときノーマルレッドARTゲーム開始フラグをOFF(=0)にする。これにより、次ゲームからノーマルレッドARTゲームが開始される。
ステップS820の判定が満たされない場合、ステップS830に移り、ノーマルブルーARTゲーム開始フラグがON(=1)であるかを判定する。この判定が満たされた場合、ステップS832では、ノーマルブルーARTゲーム回数を「50回」にセットする。
そして、次のステップS834では、ノーマルブルーARTゲーム中フラグをON(=1)にする。また、図示はしないが、このときノーマルブルーARTゲーム開始フラグをOFF(=0)にする。これにより、次ゲームからノーマルブルーARTゲームが開始される。
ステップS830の判定が満たされない場合、ステップS840に移り、スーパーレッドARTゲーム開始フラグがON(=1)であるかを判定する。この判定が満たされた場合、ステップS842では、スーパーレッドARTゲーム回数を「100回」にセットする。
そして、次のステップS844では、スーパーレッドARTゲーム中フラグをON(=1)にする。また、図示はしないが、このときノーマルレッドARTゲーム開始フラグをOFF(=0)にする。これにより、次ゲームからスーパーレッドARTゲームが開始される。
ステップS840の判定が満たされない場合、ステップS850に移り、スーパーブルーARTゲーム開始フラグがON(=1)であるかを判定する。この判定が満たされた場合、ステップS852では、スーパーブルーARTゲーム回数を「120回」にセットする。
そして、次のステップS854では、スーパーブルーARTゲーム中フラグをON(=1)にする。また、図示はしないが、このときスーパーブルーARTゲーム開始フラグをOFF(=0)にする。これにより、次ゲームからスーパーブルーARTゲームが開始される。
ステップS850の判定が満たされない場合、ステップS860に移り、プレミアムARTゲーム開始フラグがON(=1)であるかを判定する。この判定が満たされた場合、ステップS862では、プレミアムARTゲーム回数を「500回」にセットする。
そして、次のステップS864では、プレミアムARTゲーム中フラグをON(=1)にする。また、図示はしないが、このときプレミアムARTゲーム開始フラグをOFF(=0)にする。これにより、次ゲームからプレミアムARTゲームが開始される。
また、上記のステップS801、S810、S820、S830、S840、S850及びS860の判定がいずれも満たされない場合、いずれの処理も行われず終了となる。
[11−5−6.ARTゲーム終了判定処理]
次にARTゲーム終了判定処理について、図64を用いて詳細に説明する。前述の図58の判定処理において、有効ライン上に「ベルこぼ目」が表示された場合、セットされた回数のARTゲームが行われた場合、ARTゲーム終了判定処理が実行される。
まず、ステップS901では、ARTゲーム中フラグ(ショートレッドARTゲーム中フラグ、ショートブルーARTゲーム中フラグ、ノーマルレッドARTゲーム中フラグ、ノーマルブルーARTゲーム中フラグ、スーパーレッドARTゲーム中フラグ、スーパーブルーARTゲーム中フラグ及びプレミアムARTゲーム中フラグのいずれか)がON(=1)となっているかを判定する。この判定が満たされない場合、いずれの処理も行われず終了となる。
そして、ステップS901の判定が満たされると、次のステップS902では、ARTゲーム回数を「1」だけ減算して、ステップS904に移る。
ステップS904では、残りのRTゲーム回数が「0」であるかを判定する。ARTゲーム回数が「0」であれば、この判定が満たされ、次のステップS906に移り、ARTゲーム中フラグ(ショートレッドARTゲーム中フラグ、ショートブルーARTゲーム中フラグ、ノーマルレッドARTゲーム中フラグ、ノーマルブルーARTゲーム中フラグ、スーパーレッドARTゲーム中フラグ、スーパーブルーARTゲーム中フラグまたはプレミアムARTゲーム中フラグ)をOFF(=0)にする。
一方、ステップS904の判定が満たされない場合、ステップS910に移り、有効ライン上に「ベルこぼ目」が表示されていないか否かを判定する。
そして、ステップS910の判定が満たされると、次にステップS906に移り、ARTゲーム中フラグをOFF(=0)にして処理を終了する。
ステップS910の判定が満たされない場合、処理は終了となる。
[11−6.演出動作の制御]
以上は、メイン基板409による制御の例であるが、スロットマシン1では、ゲームの進行にあわせて演出制御基板510により各種演出動作の制御を実行する。これはメイン基板409から出力される各種コマンド(情報コマンド、出力信号)に基づいて演出制御基板520と双方向の通信を行い、演出制御基板510(主にCPU1118等)にて実行するものである。前述の通りメイン基板449から出力された各種コマンドは、一旦、RAM1122に記憶される。そして、当該コマンドに基づき、予め用意された演出態様を選択し、実行するものである。このような演出態様は、演出態様データテーブル(図示しない)としてROM1120やROM1140内に格納されており、当該コマンドに対応する演出態様が複数用意されている。
例えば、演出態様としては、当該ゲームのみで完結するもの(以下、単発演出態様という)や、複数のゲームにわたって行われるもの(以下、連続演出態様という)などが含まれる。このうち、単発演出態様には、当該当選フラグを示唆する演出(示唆演出、告知演出、詳細は後述)、メダルの払い出しを知らせる演出(払出演出、なお、払い出し枚数までを知らせる態様でもよい)などがある。
示唆演出は、遊技者に当該当選フラグを直接的に知らせる演出(告知演出)とは異なり、当該当選フラグを間接的に知らせる演出のことをいう、例えば、当該当選フラグに該当する当選役の形、色などを表現した表示等を行うといったことである。また、示唆演出は、当該当選フラグがない場合(つまり、ハズレの場合)にも行われる。この場合には、ハズレであることを気付きにくい内容の演出とする(例えば、いずれの当選役とも取れるような曖昧な内容)。これにより、当該ゲームがハズレであることを遊技者に気付きにくくすることができる。
告知演出は、例えば、当該当選フラグがBBであった場合、「ボーナス確定!」等、遊技者が当該ゲームでいずれの当選役となったかを明確に知ることのできるものである。この演出は、特にBBやRBなど遊技者にとって喜ばしい当選役(メダルを大量に獲得できるため)について実行させるとより効果的である。すなわち、遊技者がBB等に当選した際に、そのことを祝福する意味合いを持たせることができるからである。
また、連続演出態様としては、一般状態、通常RT、チャンスRT中、ボーナス中等の遊技状態に対応したものがある。これらは、遊技状態がどのようになっているかを明確にするものであり、遊技者はこれらの演出(連続演出)が行われることにより、現在の遊技状態が、例えば通常RT中であるのかチャンスRT中であるのか、といった区別を付けることが容易となる。
そして、ARTゲーム中は、開始から終了まで、その旨を遊技者が認識できるよう連続演出を実行させる。例えば、各ARTゲームにおいて実行されたゲーム回数や残りゲーム回数をカウントする表示や、規定回数に近づくにつれて危機感迫る効果音を発生させることなどである。このようにすると、遊技者は各ARTゲームの残り回数がどれほどあるのか確認しながらゲームを進めていくことができる。
また、プレミアムARTゲームでは、連続演出は実行させるが、プレミアムARTゲームにおいて実行されたゲーム回数や残りゲーム回数のカウント表示は特に行わないものであってもよい。そして、上記回数のカウント表示を行わないことは、例えば、遊技者がプレミアムARTゲームの規定回数を知り得ていない場合、いつまでARTゲーム(プレミアムARTゲーム)が続くのか分からずハラハラしながらARTゲームを続けられるという効果を奏することができる。
以上の演出態様は、画像表示体500による画像の表示や、スピーカ512等による効果音の発生、LED装飾等による発光や点灯等、として実行させることができる。このような演出態様は、遊技者が長い時間ゲームを続けている場合など、退屈な印象を与えづらくすることができるものである。なお、演出態様は、画像表示体500、スピーカ512、LED装飾等で実行されることに限られるものではない。例えば、画像表示体500に代えて、ELディスプレイ(Electroluminescence Display)や、ドットLEDを用いてもよい。さらに、キャラクタを模した人形や、可動可能な模型等や、サイドリール(例えば、各リールとは別の位置に配され、演出の一環として遊技者の操作に因らずにその始動と停止を実行するもの)や、あるいは、ランプなどの照明(例えば、回転灯に代表される回転可能なライト等)を設けて各種演出を実行させるものとしてもよい。このような方法をとれば、液晶表示等を用いずとも遊技者を十分に楽しませることが可能である。
[11−7.当選役に対応する条件装置の優先度設定]
[10−1]や[11−4]等で前述してきたように、スロットマシン1では、例えば内部抽選で「AT2−1」〜「AT5−4」の何れかが当選役として選択された場合等に、リールの停止操作が適正な押し順で行われた場合と不適正な押し順で行われた場合とで、賞として払い出されるメダル枚数が異なる。そして、本実施形態によるスロットマシン1では、このような押し順によって異なる図柄の組合せを停止させる制御を、当選役に対応する条件装置(又は、条件装置の組合せを含む条件装置)において、当該条件装置に対して優先度を設定することにより、所定の条件下で優先して作動する条件装置を定めることを1つの特徴とする。
図65(a)〜図65(c)は、一般例として、条件装置の優先度の設定について説明するための図である。図65(a)は、小役ごとに対応する図柄の組合せ及び払出数を示す一般的な図であり、図65(b)は、条件装置ごとの内容を示す一般的な図であり、図65(c)は、当選役の一例に対する優先度条件等を示す一般的な図である。なお、ここでは、あくまでも一般例としての条件装置の優先度設定について説明するので、小役の内容は、図51〜53で説明するものとは異なっている。以下では、図65(a)〜図65(c)に示した簡易的なモデルを用いて、条件装置の優先度の設定について説明するが、説明を分かりやすくするために、リールの停止操作における最初の押し順が左中右のどのリール停止ボタンを操作したかによって押し順正解として(所謂3択)、条件装置の優先度が変わってくるものについて、リール停止ボタンの押し順とリールの図柄の引き込み制御との関係について説明する。
まず、図65(a)に示すように、小役1〜8は、それぞれ、左、中、右の各リールに付された図柄「ベル1」又は図柄「ベル2」の組み合せから構成されており、有効ライン上に各小役の図柄組み合わせ(ベル図柄)が成立した場合には、9枚のメダルが払い出される。ここで、第1リール(左リール301a)及び第3リール(右リール301c)において、ベル1,ベル2には、有効ライン上に引き込み制御を実行可能とするためにそれぞれ適正な停止タイミングが存在しており、不適正な停止タイミングの場合には、各ベルを有効ライン上に引き込むことができないとする。しかし、ベル1又はベル2の何れかが有効ライン上に引き込めれば良いとする場合(すなわち、ベル1、ベル2を区別しない場合)には、どのような停止タイミングであっても、何れかのベルが有効ラインへの引き込み制御を実行可能な範囲内に配置されているとする。
次に、図65(b)に示すように、各小役に対して条件装置1〜9が定義されている。まず、各条件装置1〜9が、個別に選択されて作動する場合について説明する。条件装置1〜8は各小役1〜8に対応した条件装置であるので、条件装置1〜8の何れかが作動する場合には、適正な停止タイミングでリールの停止操作が行われると、対応する小役の図柄組み合わせを停止させることができるが、不適正な停止タイミングでリールの停止操作が行われると、ハズレの図柄組み合わせ(前述した「ベルこぼ目」に相当)が有効ライン上に停止することになる。一方、条件装置9は、小役1〜8の夫々の条件装置からなるものであるので、条件装置9が作動する場合には、リールの停止操作がいかなる停止タイミングで行われたとしても、ベル1又はベル2を有効ライン上に引き込むことができ、小役1〜8のうちの何れかの図柄組み合わせが停止する。
次に、複数の条件装置が組み合わされて成立する場合について、図65(c)に示す「条件装置1+条件装置9」を一例として説明する。なお、「条件装置1+条件装置9」は、条件装置の組み合わせであるが、これ自体を条件装置と捉えることもできるので、便宜的に条件装置Aと呼ぶ。このとき、条件装置Aには、リールの停止操作によって何れのリールが第1停止リールになるかによって優先的に作動する条件装置が決められている(優先度条件)。条件装置Aにおける優先度条件は、第1停止リールが第1リール(左リール301a)又は第2リール(中リール301b)の場合には、条件装置1が優先して作動し、第1停止リールが第3リール(右リール301c)の場合には、条件装置9が優先して作動するものである。優先度条件に従って条件装置1が優先して作動する場合には、上述したように、条件装置1に対応する小役1の図柄組み合わせを引き込むようなリール停止制御が行われる。その結果、リール停止が適正な順番であり、停止タイミングが適正な停止タイミングであった場合には、小役1の図柄組み合わせが有効ライン上に停止して9枚の払出が行われるが、停止タイミングが不適正な停止タイミングであった場合には、小役1の取りこぼしによるハズレ目として「ベルこぼ目」が停止し、払い出しは行われない(払出数0枚)。従って、条件装置Aにおいては、優先度条件によって条件装置1が優先して作動する場合に期待できるメダルの払出数は、ベルこぼ目になる場合を考慮すると9枚より少なくなる。一方、優先度条件に従って条件装置9が優先して作動する場合には、上述したように、リール停止がどのようなタイミングであっても、条件装置9に対応して小役1〜8の何れかの図柄組み合わせを引き込むようなリール停止制御が行われる。その結果、どのような停止タイミングでリール停止ボタンの操作が行われたとしても、小役1〜8の何れかの図柄組み合わせが有効ライン上に停止することになり、常に9枚の払出が行われる。
すなわち、条件装置Aが選択されて作動するとき、第1停止リールが第3リール(右押し又は逆はさみ押しに相当)の場合には、停止操作のタイミングに拘わらず常に9枚の払出が行われる一方で、第1停止リールが第3リール以外(順押し、はさみ押し、又は中押しに相当)の場合には、適正な停止タイミングで停止操作が行われたときのみ9枚の払出が行われ、不適正な停止タイミングで停止操作が行われたときには払出が行われない。そして、条件装置Aに上述の優先度条件が設定されていることによって、本実施形態1によるスロットマシン1では、押し順によって異なる図柄の組み合わせを停止させる制御を実現可能なだけでなく、条件装置9が優先して作動する場合のほうが、条件装置1が優先して作動する場合よりも多くのメダルの払出を期待できたように、払出枚数の期待値を変化させることも可能にしている。
なお、図65(a)〜(c)を参照した上述の説明では、簡略のために、第1停止リールだけを条件とし、第1停止リールを基準として考えられる3通りの押し順に対して差異を実現するようにしたが、本実施形態によるスロットマシン1における条件装置の優先度条件はこれに限らず、例えば第2停止リールに対しても更なる条件を有する等してもよい。このように条件を増やすことによって、作動させる条件装置をより細かく設定することができ、例えば、3通りの押し順だけでなく、4通り、5通り、又は6通りの押し順に対して、停止する図柄の組み合わせを制御することができる。なお、6通りの押し順とは、順押し(左→中→右)、はさみ押し(左→右→中)、中押し(中→左→右)、中逆押し(中→右→左)、逆押し(右→中→左)、及び、逆はさみ押し(右→左→中)に相当する。
また、図65(a)〜(c)を参照した上述の説明では、条件装置1〜9のどの条件装置であっても、適正な停止タイミングで停止操作が行われた場合には、同数の9枚の払出が行われるように小役1〜8に対応付けられていたが、本実施形態によるスロットマシン1ではこれに限らず、例えば、作動する条件装置によっては異なる枚数の払出が行われるように制御する等してもよい。一例としては、小役1〜8のうちの少なくとも何れかの払出数に差異を付けることにより、差異を付けた小役に対応する条件装置が優先して作動した場合に、払出枚数に差異を発生させることができる。
このように押し順に基づいて作動する条件装置の優先度を設定し、さらに条件装置ごとに図柄組み合わせ成立時の払出数を変えるようにすれば、当該優先度条件を満たす場合(すなわち、図柄成立の上での適正な押し順)におけるメダルの払出数の期待値と、当該優先度条件を満たさなかった場合(すなわち、図柄成立の上での不適正な押し順)に期待されるメダルの払出数の期待値とについて、より大きな差を付ける制御が実現可能となる。
また、[11−7]以外では、「条件装置に対応する図柄の組み合わせについて有効ライン上に表示されることが許容される」といった記載をしている所もあるが、この場合の「許容される」とは、[11−7]で説明したように、優先度条件に基づいて所定の条件装置が作動し、当該作動した条件装置に対応する図柄の組み合わせを有効ライン上に引き込むようなリール停止制御が実行される、ことに相当する。
[11−8.ペナルティの設定]
以上、スロットマシン1におけるゲーム処理を説明してきたが、本実施形態によるスロットマシン1では、回転しているリールを停止させる際、特定の押し順が教示される「押し順ナビ」が表示される等の特定の条件下でのゲーム状態を除いて、特定の押し順が推奨又は要求されている。特定の押し順は、「順押し(左リール停止ボタンから順番に押操作)」(あるいは「はさみ押し」(左リール停止ボタンの操作の後右リール停止ボタンの押操作))であることが普通である。このような推奨停止操作によれば、リール停止ボタン211aを操作することによって左リール301aを第1に停止させる押し順(以下「正則押し」と称する)が要求される。そして、本実施形態によるスロットマシン1では、正則押しとは異なる押し順(以下「変則押し」と称する)でリールを停止する不適正停止操作が行われた場合には、演出制御基板510のCPU1118によって、以降の所定のゲームに対してペナルティが設定される。変則押しには、前述した「逆押し」、「逆はさみ押し」、及び「中押し」等が含まれる。以下では、本実施形態によるスロットマシン1におけるペナルティの設定に関して説明する。
なお、押し順ナビによってリールの停止順が教示される場合には、当該教示に従った押し順を「適正な押し順」とみなすとともに、当該教示とは異なる押し順を「不適正な押し順」とみなすことにより、不適正な押し順で停止操作が行われた場合に、以降の所定のゲームに対してペナルティが設定されるようにしてもよい。このとき、例えば、押し順ナビが「逆押し」の押し順を教示する場合には、本来は変則押しとみなされる「逆押し」が「適正な押し順」と判定され、「逆押し」以外の押し順は、本来は正則押しとみなされる「順押し」又は「はさみ押し」であっても、「不適正な押し順」と判定される。
また、本実施形態によるスロットマシン1では、特定の有利遊技状態(例えばBBゲーム中)では押し順が適正か否かを問題としない(押し順の判定を行わない)としてもよい。
[11−8−1.メイン基板から演出制御基板へのコマンド]
ここでは、ペナルティの設定に関して説明する前に、演出制御基板510のCPU1118がメイン基板409のCPU1110から受信するコマンドについて説明する。
図66は、メイン基板から演出制御基板に送信されるコマンドの一例を示す一覧表である。図66に示す各コマンドは、メイン基板409のCPU1110から入出力インタフェース1116,1130を介して演出制御基板510のCPU1118に対して所定のタイミングで送信され、コマンドの種類を示す1バイトのモードデータ(MODE)と、コマンドの内容を示す1バイトのEXTデータ(EXT)とからなる。このようなコマンドを受信した演出制御基板510のCPU1118は、コマンドに含まれるモードデータからコマンドの種類を判別し、EXTデータからコマンドの内容を判別することができる。例えば、「94XX(h)」というコマンドを受信した場合には、CPU1118は、モードデータが「94(h)」で示されるコマンドを受信し、当該コマンドの内容が「XX(h)」であると判別できる。なお、「(h)」は16進数であることを示す。
図66において、「85XX(h)」で示されるコマンドは、BBが内部当選しているか否か及び内部当選したBBの種類(図50に示すBB1〜BB2)及びメイン基板409のCPU1110が演出を実行するか否か(例えば、フリーズ演出)を指定する内部当選コマンドである。また、「86XX(h)」で示されるコマンドは、内部当選結果(内部当選フラグのフラグ番号)を指定する当選番号コマンドである。なお、当選番号コマンドでも内部当選結果を識別できるため、内部当選コマンドは生成しなくてもよいが、内部当選コマンドを設けることによってプログラム上の判定の簡易化を図ることができる。そして、[11−2]等で前述した「内部抽選の結果を示す情報コマンド」は、内部当選コマンド又は当選番号コマンドに相当する。
図66において、「8BXX(h)」で示されるコマンドは、入賞役の種類を指定する入賞番号コマンドである。また、「8CXX(h)」で示されるコマンドは、メダルの払出枚数を指定する払出枚数コマンドである。
図66において、「94XX(h)」で示されるコマンドは、ゲーム開始時の遊技カウンタの値を指定する遊技カウンタ1コマンドである。また、「95XX(h)」で示されるコマンドは、RT状態か否か及びRT状態の種類を指定するRT情報コマンドである。また、「96XX(h)」で示されるコマンドは、ゲーム終了時の遊技カウンタの値を指定する遊技カウンタ2コマンドである。
図66において、「E0XX(h)」で示されるコマンドは、メダルの投入枚数を指定する投入枚数コマンドである。例えば、メダルの投入枚数が1枚であるときにはコマンドE000(h)が用いられ、メダルの投入枚数が2枚であるときにはコマンドE001(h)が用いられ、メダルの投入枚数が3枚であるときにはコマンドE002(h)が用いられる。また、「E1XX(h)」で示されるコマンドは、BBが実行されているか否か及び実行されているBBがBB1〜BB2のいずれであるかを指定するボーナス種別コマンドである。また、「E2XX(h)」で示されるコマンドは、実行中の遊技状態(BB中、RB中、再遊技中、設定変更中等)を指定する遊技状態コマンドである。なお、[11−4]で前述した「MAXベットコマンド」は、投入枚数コマンドの一例であり、例えばMAXベットとして3枚のメダルが投入された場合には、コマンドE002(h)がMAXベットコマンドに相当する。
その他、メイン基板409のCPU1110から演出制御基板510のCPU1118に送信されるコマンドとして、リール回転開始コマンド、リール停止コマンド、復帰コマンド、設定変更中コマンド、及び、エラーコマンド等がある。
リール開始コマンドは、リール301a,301b,301cの回転の開始を通知するコマンドであって、回転を始めたリールを特定可能な情報や回転の開始時刻等を含めることができる。
リール停止コマンドは、停止するリールがリール301a,301b,301cのうち、何れのリールであるか、該当するリールの停止操作位置の領域番号、及び、該当するリールの停止位置の領域番号を特定可能なコマンドである。なお、リール停止コマンドは、リール301a,301b,301cが回転しているときに、対応するリール停止ボタン211a,211b,211cに対して停止操作(外部操作)が行われたときに送信されるので、演出制御基板510のCPU1118は、リール停止コマンドの受信によって、リール停止ボタン211a,211b,211cのうち何れのリール停止ボタンが操作されたかを特定可能である。
復帰コマンドは、メイン基板409のCPU1110が電源断前の制御状態に復帰したことを示すコマンドである。また、設定変更中コマンドは、設定変更中であることを示すコマンドであり、設定変更状態に移行した場合に送信される。なお、メイン基板409のCPU1110の制御状態は、設定変更状態への移行に伴って初期化されるため、設定変更中コマンドの受信によって、CPU1110の制御状態が初期化されたことを特定可能である。また、エラーコマンドは、エラー状態の発生又は解除、当該エラー状態の種類等を示すコマンドである。
演出制御基板510のCPU1118は、メイン基板409のCPU1110から内部当選コマンド及び当選番号コマンド等を受信することによって、内部抽選で決定された当選役を判断することができ、当該当選役に対応する条件装置(又は条件装置の組合せ)を判断することができる。さらに、CPU1118は、このように判断した条件装置(又は条件装置の組合せ)において、小物1〜16のような押し順不正解用の条件装置と小物17のような押し順正解用の条件装置とが組み合わせられている場合等に、当該条件装置に対する優先度条件に基づいて、押し順正解用の条件装置が優先して作動するような押し順(正解の押し順)を判断することができる。
[11−8−2.ペナルティ処理]
図67は、メイン基板409のペナルティ処理を説明するためのフローチャートである。図67を参照しながら、ゲームの一連の流れにおけるペナルティの処理について説明する。
まず、BET処理(図54のステップS2に相当)、内部抽選処理(図54のステップS3に相当)、及びリール回転処理(図54のステップS4に相当)が行われることにより、リールの始動処理が行われる(ステップS1001)。ステップS1001におけるリールの始動処理の詳細は、図55を参照して説明した一連の処理に相当するが、図55に示す処理はリールの回転制御を行う処理の一例であって、これに限定されるものではない。
次に、遊技者による外部操作として、リール停止ボタン211a,211b,211cに対して停止操作が行われる(ステップS1002)。なお、リール停止ボタン211a,211b,211cを操作する(押下する)順番は、遊技者が自由に選択することができるが、前述したように、本実施形態によるスロットマシン1では、特定の押し順が教示される「押し順ナビ」が表示される等の特定の条件下でのゲームを除いて、「順押し」又は「はさみ押し」による停止操作が推奨されるので、遊技者がこのような推奨手順に従う場合には、左リール301aに対応するリール停止ボタン211aが最初に操作される。
ステップS1002で遊技者による停止操作が行われたことを契機として、スロットマシン1では、停止操作が行われたリール停止ボタン211a,211b,211cに対応するリール301a,301b,301cの停止処理が行われる(ステップS1003)。このリール停止処理の詳細は、図57を参照して説明した一連の処理に相当するが、図57に示す処理はリールの停止制御を行う処理の一例であって、これに限定されるものではない。なお、各リール301a,301b,301cが停止すると、メイン基板409のCPU1110から演出制御基板510のCPU1118に、停止したリールに関する情報を含むリール停止コマンドが送信される。ステップS1003において、リール停止処理が完了すると、所定の図柄の組合せが成立している場合には、当該成立した図柄の組合せに応じて、払い戻しや再遊技の準備等が行われる。
ステップS1003でリール停止コマンドを受信した演出制御基板510のCPU1118は、受信したリール停止コマンドからステップS1003で停止したリールの順番が分かるので、遊技者によるリール停止ボタン211a,211b,211cの押し順を判断することができる。そして、演出制御基板510のCPU1118は、リール停止ボタン211a,211b,211cの押し順に基づいて、当ゲームに対する遊技者による停止操作がペナルティを設定する(課す)対象(ペナルティ対象)とすべき停止操作か否かを判定する(ステップS1004)。ステップS1004における判定基準の詳細については、後述する。
ステップS1004においてペナルティ対象とすべき停止操作ではないとCPU1118が判定した場合には(ステップS1004のNO)、当該ゲームの一連の処理は終了する。ステップS1004においてペナルティ対象とすべき停止操作であるとCPU1118が判定した場合には(ステップS1004のNO)、当該ゲーム以降の所定のゲームに対して、所定のペナルティを設定する処理(ペナルティのセット)が行われ、当該ゲームの一連の処理は終了する。なお、ペナルティが課された場合に、演出制御基板510のCPU1118は、ペナルティの設定に関する表示を枠部材501に設けられたLEDや液晶表示装置(図示せず)等を用いて遊技者に報知するようにしてもよい。
なお、ペナルティが設定される場合には、例えば、演出制御基板510のRAM1122に保持されたペナルティカウンタに、所定の値が追加される。そして、以降のゲーム開始時には、CPU1118は、ペナルティカウンタの値を参照することによって、当該ゲームがペナルティを課されたゲームであるか否かを判断することができる。
また、図67において、ステップS1004に示したペナルティ対象の判定処理、及びステップS1005に示したペナルティのセット処理は、ステップS1002〜S1003において、リール301a,301b,301cが全て停止してから行われてもよいし、各リール301a,301b,301cが停止するごとに行われてもよい。
[11−8−3.ペナルティ対象の判定]
以下では、CPU1118が、遊技者による停止操作がペナルティを課す対象(ペナルティ対象)とすべき停止操作であるか否かを判定する処理(図67のステップS1004に相当)について説明する。
演出制御基板510のCPU1118は、ステップS1003で受信したリール停止コマンドから導出される停止操作の押し順を参照し、「順押し」又は「はさみ押し」による停止操作であるか否か判定する。このとき、左リール301aに対して最初にリール停止操作が行われた場合には、「順押し」又は「はさみ押し」であると判断できるので、CPU1118は、推奨される「正則押し」であると判断し、ペナルティ対象ではないと判定する。また、中リール301b又は右リール301cに対して最初にリール停止操作が行われた場合には、「順押し」でも「はさみ押し」でもないと判断できるので、CPU1118は、「変則押し」が行われたと判断し、ペナルティ対象と判定する。一方、遊技状態がART(又はAT)状態である場合、演出制御基板510は、ペナルティ対象の判定を行わないか、あるいは、リール停止ボタンの操作が、押し順ナビが教示する「適正な押し順」の通りにリール停止ボタンの操作があったか否かによってペナルティ対象を判定するようにしてもよい。
[11−8−4.ペナルティの内容]
図67のステップS1005に示したように、CPU1118は、遊技者による停止操作をペナルティ対象と判定した場合に、以降の所定のゲームに対して所定のペナルティを設定する処理(ペナルティのセット)を行うが、以下では、当該ペナルティの内容について説明する。
ペナルティの内容は演出制御基板510が決定する。ペナルティの内容は特に制限されるものではないが、例えば、一定ゲーム数の間、既述のARTへの移行抽選を行わない、ゲーム状態が有利遊技状態に移行するゲーム数(天井)にペナルティ期間中のゲーム数を加えない(即ち、ペナルティ期間中のゲーム数をゲーム数解除処理の対象としない)、ペナルティ期間中に遊技状態の現状モードを有利モード(ARTの当選確率が高い高確モード、あるいは、超高確モード)への移行をさせない、あるいは、移行のための抽選を行わないなどである。なお、リール停止ボタンを変則操作してペナルティ対象となったゲームにおいて、成立した小役によるメダルの払い出しがない場合には、ペナルティの対象としないようにしてもよい。例えば、当選役が図50に示した「AT4−1」〜「AT4−4」である場合、リール停止ボタンが順押しに反して逆はさみ押し(右→左→中)の順番で操作されると、小物17の条件装置に従ってベル図柄が有効ラインに必ず成立してメダル9枚の入賞が成立するため、これをペナルティの対象とするが、リール停止ボタンが中押し(中リール停止ボタンを第1に操作)、或いは、はさみ押し(左→右→中)と操作されて、ベル図柄が有効ラインに成立しない場合にはペナルティの対象としない。
演出制御基板510は、ペナルティセットの際、ペナルティ期間とペナルティの内容を設定する。ペナルティ期間としては主としてゲーム数によって設定される。例えば、ペナルティ期間を10Gとすると、10Gの間ペナルティを実行する。ペナルティ期間の開始は、ペナルティ対象となったゲームから、あるいは、次ゲームから、又は、後のゲームから等適宜設定可能である。ペナルティ期間の管理は、演出制御基板510のRAM1122に設定されたカウンタによって行われる。演出制御基板510は、ペナルティの開始後、ゲーム毎にカウンタの減算を記載し、カウンタ値が所定値以下、例えば、零になると、ペナルティを終了、あるいは解除する。あるいは、カウンタにペナルティ対象となったゲームで遊技メダルの増分、すなわち、リール停止ボタンを順押した場合と変則押しした場合での遊技メダルの増加枚数、をセットし、以後のゲームにおいて遊技メダルの消費数と払い出された遊技メダル数の差分(消費数−払い出し数)をカウンタから減算し、カウンタの値が零以下になるゲーム数までペナルティを継続させるようにしてよい。
[11−8−5.ペナルティの回避]
本発明の遊技機は、リール停止ボタンを規定通りの押し順(遊技機が遊技者に推奨する押し順)とは異なる押し順で操作する、いわゆる変則押しをしても、リール停止ボタンの操作形態を一定の範囲でペナルティを課せられない対象として処理することができる。すなわち、遊技者が変則押しになるようにリール停止ボタン211a,211b,211cを操作しても、結果的に、変則押しにならないように、メイン基板409がリール駆動モータ411a,411b,411cの停止制御を実行する(ペナルティ回避制御)。以下の説明において、規定通りの押し順を、左リール停止ボタン211aが第1停止となる順押し(左リール停止ボタン211a(第1停止)→中リール停止ボタン211b(第2停止)→右リール停止ボタン211c(第3停止))、又は、はさみ押し(左リール停止ボタン211a(第1停止)→右リール停止ボタン211c(第2停止)→中リール停止ボタン211b(第3停止))とする。
メイン基板409は、全てのリール301a,301b,301cの回転を開始させ、そして、全てのリール301a,301b,301cの回転の速さが一定となると、それぞれのリール停止ボタン211a,211b,211cの操作有効ランプが点灯させ、この点灯により、遊技者はリール停止ボタン211a,211b,211cの押下操作が有効になったことを知ることができる(図55のステップS109に相当)。
メイン基板409は、遊技状態が通常の遊技状態(一般状態か通常RT)の場合、全てのリール停止ボタン211a,211b,211cを同時に有効化するのではなく、第1停止ボタン以外のリール停止ボタンの操作を有効にするタイミングを第1停止ボタン(左リール停止ボタン)の操作が有効になったタイミングから遅延させる。この遅延期間内に中リール停止ボタン211b又は右リール停止ボタン211cが左リール停止ボタン211aより先に操作されても中リール211b又は右リール211cは停止されないため、遊技者のリール停止ボタンの操作はペナルティの対象にはならない。
遊技者がこの時点で、リール停止ボタンの押し順が正しくなかったことに気付き、左リール停止ボタン211aから順押しし直して全てのリールが停止すると、演出制御基板510は遊技者のリール停止操作を規定とおりの操作形態であるとしてS1004を否定判定する。一方、遊技者が既述の時点でリール停止ボタンの押し順が正しくなかったことに気付いたものの、再度、同じリール停止ボタンを押操作し、この操作が遅延時間を経過した後であると、中リール停止ボタン211b又は右リール停止ボタン211cの操作によって対応するリール301b,301cが左リール301aより先に停止してしまい、遊技者のリール停止ボタンの操作は規定外操作となってペナルティの対象として処理される。
遊技者が左リール停止ボタン211aを第1に操作し、続けて、他のリール停止ボタン211b,211cを操作した場合に、既述の遅延時間が長いと、他のリール停止ボタン211b,211cにそれぞれ対応するリール301b,301cを停止できないことになり好ましくない。ペナルティの回避処理は左リール301aを第1に操作しようと思っている遊技者が誤って他のリール停止ボタン211b,211cを操作した場合、これをペナルティ対象としないようにすることを意図するものであるため、遅延時間があまりに短いと、左リール停止ボタン211a以外の他のリール停止ボタン211b,211cの操作は殆どの場合、リール停止ボタン211b,211cの操作が有効化された後になってしまうため好ましくない。係る観点から、遅延時間としては0.5秒程度が好ましい。なお、遅延時間経過後に中リール停止ボタン211b又は右リール停止ボタン211cを第1に操作した場合、対応するリール(中リール301b又は右リール301c)は左リール301aより先に停止されるため、演出制御基板510はリール停止ボタンの操作をペナルティ対象として処理する。
遊技者は、通常遊技状態では、始動レバー210をオンした後、左リール停止ボタン211aから各リール停止ボタン211a〜211cを順番に一気に操作しようとするが、このリズムが崩される状態が発生すると、左リール停止ボタン211aより先に他のリール停止ボタン211b,211cが操作されるおそれがある。例えば、演出制御基板510が始動レバー210のオン操作に続いて、チャンスボタンの押操作を促す表示を実行する場合である。遊技者はチャンスボタンが表示されると、極力、チャンスボタンをリール停止ボタン211a〜211cより先に操作しようとするが、リール停止ボタンの順押し操作のリズムで左リール停止ボタン211aを先ず操作しようする。しかし、その操作のための遊技者の動作の過程で、チャンスボタンの操作をしようとすると、遊技者はリール停止ボタンの操作順番を混乱して、左リール停止ボタン211a以外のリール停止ボタン211b,211cを操作してしまったり、チャンスボタンの操作に向かう動作の過程で左リール停止ボタン211a以外のリール停止ボタン211b,211cに触れてしまうことがある。なお、チャンスボタンとは演出切り替えなどの効果を発生させるための表示用のボタンである。メダル投入ボタン206と別に設けられてもよいがメダル投入ボタン206と兼ねてもよい。
そこで、メイン基板409は、内部抽選処理S3において判定された当選役の条件装置がSBやチャンス目等、演出制御基板510でチャンスボタンの操作の促進表示が実行されうる場合に限って、ペナルティ回避処理を実行してもよい。
また、メイン基板409は遊技状態が通常遊技状態(一般状態、通常RT)以外では、ペナルティの回避操作を行わない。これは、例えば、有利遊技状態であるARTでは、左リール停止ボタン211aよりも先に他のリール停止ボタン211b,211cが操作されることが普通にあるためである。この場合、遊技者が押し順の表示にしたがって、左リール停止ボタン211a以外のリール停止ボタン211b,211cを操作した際、遅延期間が設定されていると、中・右リール停止ボタン211b,211cの操作によってリール301b,301cを停止できないことになる。また、ボーナス中では、「ALL」(ボーナスゲーム中に限って抽選対象となる当選役であり、抽選の結果が「ALL」であるとき、いかなる押し順で且ついかなるタイミングでリール停止ボタン211a〜211cが操作された場合であっても、小物17の図柄組み合わせが有効ライン上に表示される。)の当選確率が高いため、そもそも、どのリール停止ボタン211a〜211cから操作されてもよいからである。
遊技者は、左リール301a以外のリールに対応するリール停止ボタン211b,211cが左リール停止ボタン211aから遅れて有効化されることをリール停止ボタン211a〜211cの操作有効ランプの点灯の遅れによって知ることができる。なお、全てのリール停止ボタン211a〜211cの操作有効ランプを左リール停止ボタン211aの有効時点で点灯させてもよい。また、リール停止ボタン有効化のタイミングに合わせて各リール301a〜301cの回転を開始させるようにしてもよい。またさらに、演出制御基板510がARTの移行抽選を行うことに代えてメイン基板409がARTの移行抽選を行い、移行抽選に当選して演出制御基板510がART遊技をスタートさせた場合、「AT2−1」〜「AT5−4」のように当選役に押し順の優劣あるものでは、押し順にしたがって、第1に停止させるべきリール停止ボタン以外の第2停止・第3停止ボタン操作の有効化タイミングを第1停止ボタンの有効化のタイミングより遅延させるようにしてもよい。さらに、メイン基板409は遅延時間を適宜変更設定できる。例えば、チャンスボタンの操作促進表示が演出制御基板510にて行われ得る当選役とそれが期待できない当選役とで、後者での遅延時間を前者より短くする等である。またさらに、リール停止ボタン211a〜211cの推奨操作形態が左中右の順番である順押しの形態である場合には、中リール停止ボタン211b(第2停止ボタン)の有効化のタイミングより更に遅延させて右リール停止ボタン211c(第3停止ボタン)が有効化されるようにしてもよい。これによって、第1停止ボタンとして正しいリール停止ボタン211aが操作されたとしても、第2停止ボタンよりも先に第3停止ボタンが誤操作されることをペナルティ対象にならないようにして遊技者を救済することができる。
[11−8−6.ペナルティの軽減処理]
本発明に係る遊技機は、ペナルティ対象とされる不適切操作が実行されてしまったものの、この不適切操作の態様が遊技者の意図的な結果によるものか否かを推定或いは判定等として、遊技者に対する不利な遊技状態(ペナルティ)の度合いを調整するように構成されている。遊技機が、不適切操作の態様が遊技者の意図的(不適切操作を積極的な意思をもって実行すること)な結果によって明らかに成された場合には、ペナルティの処理をそのまま実行する一方、不適切操作が行われた状況をチェックし、状況の如何によっては、遊技者にペナルティをそのまま与えるのは酷であるとして、ペナルティを発生させない、一旦発生したペナルティを取り消す、或いは、ペナルティの内容を遊技者に対して余り不利にならないように緩和する等、不利な遊技状態の度合いを調整する。
メイン基板409と演出制御基板510を有する遊技機は、遊技者の不適切操作の状況を、遊技者のリール停止ボタン操作における時間的な要素、不適切操作の過去の履歴、或いは、これらの組み合わせ等によって評価する。先ず、遊技者の不適切操作の状況を、リール停止ボタンに対する遊技者操作の時間的な経過によって評価する場合について説明する。遊技者が複数のリールの回転が開始されてからリール停止ボタンを決められた押し順で操作しようとしたにも拘わらず、結果的に押し順通りに成らずに、不適切遊技の操作態様に至ってしまう場合がありうる。例えば、リール停止ボタンの操作が有効化される前に第1に操作されるべきリール停止ボタンが操作され、リール停止ボタンが有効化された後他のリール停止ボタンが最初に操作され、結果的にリール停止ボタンが変則押しされたと遊技機が認識する場合である。遊技者のこのような操作は意図的になされたものではないため、メイン基板は係る操作態様をリール停止ボタンが操作されたタイミングをチェックすることによって検出するようにした。
図55に示すように、左リール301a、中リール301b、右リール301cは始動レバーが操作された後ウェイトタイマタイムアップの時点から回転を開始し、それと同期して、各リールの停止ボタンが有効化され、次いで、各リール停止ボタン211a〜211cの操作によって各リール301a〜301cが停止される。遊技者は、通常遊技状態では、有利遊技への移行を目指して、各ゲームを繰り返し素早く実行しようとする。そこで、始動レバー210の操作後一気にリール停止ボタン211a〜211cを左から順に操作しようとする。ウェイトタイマの設置値は4.1秒等ある程度長めになるように規制されており、遊技者の第1停止ボタンの操作がウェイトタイマタイムアップ以前に行われることが時としてあり、その結果、第1停止ボタンの操作が有効化されないまま続く第2停止ボタンがウェイトタイマタイムアップ後に操作されることになる。すると、演出制御基板510は、第2に操作されるべき停止ボタンが最も早く操作されたとして、遊技者によるリール停止ボタン211a〜211cに対する操作を変則押しと判断し、ペナルティを発生させてしまう。
そこで、メイン基板409は、始動レバー210の操作後、ウェイトタイマタイムアップ前の一定期間内(タイムアップの直前)での第1停止ボタンの操作を検出し、検出結果を含むコマンドを演出制御基板510に渡すことによって、演出制御基板510は、第1停止ボタンはウェイトタイマタイムアップの直前に操作され、ウェイトタイマタイムアップ後に他のリール停止ボタンが操作されたことを知ることができる。その結果、演出制御基板510は、遊技者の不適切操作は遊技者の意図するものではないとして、当該遊技者操作を、ペナルティ対象として判定しない、ペナルティを取り消す、又は、ペナルティカウンタに零を設定する等ペナルティの内容が無のようにペナルティを設定する等して、遊技者の操作にペナルティが課せられないようにすることができる。
但し、既述の遊技者の意図しない不適切操作を演出制御基板510が遊技者の変則操作としないことは、結果的に遊技者の不適切操作がペナルティ対象と成らずに許容されることになるので、熟練の遊技者では、係る不適切操作を積極的に実行することもあり得る。そこで、メイン基板409は、遊技者の不適切操作が許される既述の所定時間、即ち、ウェイトタイマのタイムアップ迄の時間を極めて短時間に設定することによって、熟練遊技者の不正意識的操作を排除することができるようになる。
メイン基板409はウェイトタイマタイムアップ直前でのリール停止ボタン211a〜211cの操作を検出するため、ウェイトタイマタイムアップ前にリール停止ボタン211a〜211cの操作の検出が可能になるようにリール停止ボタン操作の検出回路を動作させておくと共に、ウェイトタイマタイムアップ直前でのリール停止ボタン211a〜211cに対する停止操作の有無をチェックするためのフラグ領域をリール停止ボタン211a〜211c毎にRAM領域1114に設定する。遊技者が、ウェイタイマタイムアップ直前での左リール停止ボタン211aを操作し、ウェイトタイマアップ後中リール停止ボタン211b、右リール停止ボタン211cと続けて操作し、左リール301aが停止していないことに気付き、左リール停止ボタン211aを再操作して左リール301aを停止させた場合、遊技者の係る操作は、順押しに反する変則押しとして従来ペナルティの対象になる。これに対して、本発明の遊技機では、メイン基板409は、第1に操作されるべき左リール停止ボタン211aの操作記録領域に、左リール停止ボタン211aがウェイトタイマタイムアップ迄の短時間に操作されたことを示す情報をフラグ領域に設定し、このフラグ情報と複数のリール停止ボタン211a〜211cの操作順番の情報とをコマンドに含めて演出制御基板510に送信する。これを受けて、演出制御基板510は、左リール停止ボタン211aはウェイトタイマタイムアップの直前に中リール停止ボタン211b及び右リール停止ボタン211cより先に操作されるに至ったことを知ることができ、このゲームにおける遊技者のリール停止ボタン211a〜211cの操作形態は遊技者の意図的ではないとして、ペナルティ処理を既述のとおり遊技者に有利になるように緩和させることができる。なお、始動レバー201の操作後、ウェイトタイマタイムアップ前に、遊技者が第1に操作されるべきリール停止ボタン211aを意図的に複数回操作して、結果的にウェイトタイマタイムアップ直前の操作へのフラグのセットがあり得る。そこで、メイン基板409は、始動レバー201の操作後ウェイトタイマタイムアップ前に複数回リール停止ボタン211aが操作された場合には、前記フラグをセットしないようにするか、あるいは、フラグ情報を演出制御基板510に送信しないようにすることができる。
演出制御基板510は、ペナルティになった操作の発生履歴をゲーム毎にRAM領域に記録することができる。演出制御基板510は、既述の不適切操作が発生したゲームにおけるペナルティの処理において、過去のゲームにおけるペナルティの発生履歴を参照することができる。例えば、直前の複数ゲーム数(例えば、数百回)前から現在のゲームまで、ペナルティ対象とされた操作の頻度をチェックし、発生頻度が所定値以上の場合には、既述の不適切操作も含めて、決められた押し順通りにリール停止ボタン211a〜211cが操作されない操作を全てペナルティの対象とすることができる。ペナルティ対象とされた操作頻度が高いと、遊技者が推奨或いは要求するリール停止ボタン211a〜211cの押し順を順守しないという意思が遊技者にあるものと見做すことができ、したがって、ペナルティの過去の履歴を参照することによって、既述の不適切操作はそもそもも遊技者の意図に基づくものであったと判定することもできる。なお、ペナルティ対象となった操作履歴には、既述の不適切操作を含めても、あるいは、含めなくてもよいし、また、既述の不適切操作だけの履歴でもよい。
次にペナルティの軽減処理の他の実施形態について説明する。この実施形態は、不利益遊技度合調整手段(演出制御基板510等)が複数の回転表示体の回転が開始されてから所定時間内に第1に停止操作されるべき停止操作手段が操作されたか否かを判定し、これが肯定判定された場合で、さらに不利遊技状態(ペナルティ)が実行された場合、この不利益遊技状態の程度を、前記判定が否定された場合で、さらに、不利遊技状態(ペナルティ)が実行された場合での当該不利益遊技よりも遊技になるように救済することを特徴とするものである。
メイン基板409は、左リール301a、中リール301b、右リール301cが回転の時点から、或いは、左リール停止ボタン211a、中リール停止ボタン211b、右リール停止ボタン211cが有効化されてから、各リール停止ボタン211a〜211cの操作までの所要時間をRAM領域1114に記録する。次いで、メイン基板はRAM領域1114の情報を演出制御基板510に送る。演出制御基板510は、第1に操作されたリール停止ボタンの操作が推奨された押し順に基づいて第1に操作されるべきリール停止ボタンと一致しているか判定し、一致していない場合には、第1に操作されたリール停止ボタンがリールの回転後所定時間内に操作されているかを判定する。第1に操作されたリール停止ボタンが所定時間内に操作されたものである場合には、遊技者の不適切操作が遊技者に意図したものではないとして、ペナルティの緩和処理を適用する。一方、第1に操作されたリール停止ボタンが所定時間以内に操作されていない場合には、遊技者の不適切操作は遊技者の意図によるものであるとしてペナルティの緩和措置を採ることなくペナルティの内容を決定する。遊技者の意図ではないリール停止ボタン211a〜211cに対する不適切操作は、遊技者が複数のリール停止ボタン211a〜211cの操作を迷うことなく順押ししようとする過程でたまたま発生してしまう傾向が高いことから、リール回転開始後短い所定時間内に行われる傾向が高い。これに対して、遊技者の意図による不適切操作は、遊技者が遊技媒体の奪取を狙って、少なくともある程度リール停止ボタン211a〜211cの押し順を迷う中で行われるため、リール回転開始後の短期間ではなくこれを越えた時点で行われる傾向が高い。そこで、演出制御基板は後者の場合をペナルティ適応対象とし、前者の場合をペナルティ軽減適用対象として区別した。
既述の説明では、第1に操作されたリール停止ボタンの操作態様に基づいて、ペナルティの軽減処理が適用されているが、さらに、第2に操作されたリール停止ボタンと第2に操作されるべきリール停止ボタンとの比較、及び、第1に操作されたリール停止ボタンの操作時点からの経過時間と所定時間との比較結果を考慮して、ペナルティの軽減処理の諸判定を実行するようにしてもよい。また、リール停止ボタンの操作タイミングに関する諸判定をメイン基板409に実行させるようにしてもよい。また、さらに、過去のゲームにおけるペナルティの対象操作の実行履歴を参照して、ペナルティの軽減処理を行うようにしてもよい。
[11−8−7.ペナルティ処理の多様化]
本発明に係る遊技機は、ペナルティ処理の多様化を達成することができる。従来は、ペナルティ対象である、リール停止ボタンに対する既述の変則押しがあった際、その後のゲームにおいて有利遊技の抽選を行わないなどの画一的な形態のペナルティ処理を行っていた。これに対して、本発明の遊技機は、ペナルティ処理態様を複数有し、ペナルティ処理の多様化を達成して、ペナルティが課せられたとしても遊技者の遊技意欲の減退を抑制することができる。
ペナルティ処理の多様的な態様の第1として、従来のペナルティ処理があり、通常遊技状態等で複数のリール停止ボタンに変則操作があると、次ゲーム以降規定のゲーム数の間遊技者はペンルティとして不利な遊技状態の制約を受ける。言い換えれば、規定のゲームが消化されるまでペナルティ処理は継続される。
ペナルティ処理の多様的な態様の第2として、ペナルティ処理を早期に終了できる態様がある。換言すれば、遊技者にはペナルティを解消させるチャンスが与えられる。例えば、遊技者は所定の代償を費やすことに依ってペナルティを積極的に早期に終了させる機会を得ることができる。遊技者はペナルティの抑圧から早期に開放されることにより、遊技に取り組む意欲が増すことが可能となる。
ペナルティ処理の多様的な態様の第3として、遊技者にペナルティを感じさせることがないうちにペナルティを終了できる態様がある。遊技者はペナルティの抑圧を意識しないで済むため、遊技意欲を維持しながら遊技に取り組むことができる。
ペナルティ処理の夫々の態様は、演出制御基板510によって、フラグで管理される。演出制御基板510は、ペナルティを判定して、ペナルティの内容を決定する際、乱数を利用して、ペナルティ処理の態様を抽選する。演出制御基板510は、抽選結果に基づいてペナルティパターン用フラグをセットし、フラグにしたがってペナルティ処理態様を実行する。ペナルティ処理の第1の態様は従来のとおりであり、既述のとおり、ペナルティカウンタで設定されたゲーム数が消化されるまでペナルティ処理を継続するというものである。
次にペナルティ処理の第2の態様について説明する。先ず、通常遊技状態でリール停止ボタン211a〜211cに対する変則操作があり、リール停止ボタン211a〜211cの規定通りの順押し操作(左リール停止ボタンを第1に操作する。)では、左右中のリール301a〜301cに跨って、当選役に対応する図柄の並びが成立することが困難な小役が変則操作によって成立して遊技媒体の払い出しが得られた場合に、演出制御基板510はペナルティ処理を行うものとして判定する。例えば、図50,51に示すように、遊技者が入賞役である「AT2−1」を順押し操作しても、押し順不正解用の小役の並びが表示される場合が殆どであるのに対して、「AT2−1」を中押し(中リール停止ボタン211b、左リール停止ボタン211a、右リール停止ボタン211cの順で操作)すると、小役17の条件装置が優先されて遊技者は、遊技媒体9枚の払い出しを受けることができる。この結果、遊技者は変則操作によって、そうでない場合に比較して、+8枚のメダルを予定外に獲得できたことになる。そこで、演出制御基板510は複数のリール停止ボタン211a〜211cに対する変則操作をペナルティ対象として判定する。
演出制御基板510がペナルティ処理態様の抽選を行って、第2の態様の当選を判定すると、遊技者が本来取得できる遊技媒体を敢えて取得しないようにして、ペナルティカウンタに設定されたゲーム数以前にペナルティを終了させることができる。例えば、遊技者が複数のリール停止ボタン211a〜211cを左から順押ししていれば、当選役の条件装置が優先されて、当選役に対応する図柄が有効ラインに成立して、特典数の遊技媒体の払い出しを受けることできる場合において、演出制御基板510は、順押し以外の押し順を遊技者にナビし(教示し)、遊技者がこのナビにしたがって、リール停止ボタン211a〜211cを操作し、当選役の条件装置を優先させずに、押し順不正解用の図柄配列が有効ラインに成立して少ない数の遊技媒体の獲得に留まった場合、遊技者は敢えて本来獲得できる遊技媒体をロストしたことになるので、演出制御基板510は、遊技媒体の予定外の獲得数と遊技媒体のロスト数とに基づいてペナルティ処理の緩和或いは軽減処理を実行する。
演出制御基板510がペナルティ処理において第2の態様を判定すると、次ゲームでは、ペナルティカウンタの値をチェックする。ペナルティカウンタの値は、ペナルティの残り継続ゲーム数に対応するため、ペナルティカウンタの値が零になるまでペナルティ処理が継続される。ペナルティカウンタの値が零でない場合、演出制御基板510は、当選役が順押しで優先される小役の条件装置を有しているか否かをチェックする。例えば、図50の「AT5−1」〜「AT5−4」は、逆押しで優先される小役17の条件装置を有する当選役である。「AT5−1」〜「AT5−4」の当選役について、右リール停止ボタン211cを第1に操作していれば、メダル9枚の払い出しがあるが、逆押し操作以外では、押し順不正解用の払い出し(1枚)に留まることが殆どである。演出制御基板510がこの当選役を判定すると、右リール停止ボタン211cを第1に操作すべきことを促すとともに、中リール停止ボタン211bを第2の操作すべきことをナビ表示する。この際、演出制御基板510は、「ダメージ(ペナルティのこと)回復チャンス! ナビに従って操作をすればダメージから回復できるぞ!」というような、遊技者にナビに従うことを推奨する表示をナビの直前に表示するようにしてもよい。なお、このナビに従った遊技者の操作がペナルティの対象にならないことは当然である。また、リール停止ボタン211a〜211cに対する変則操作がペナルティの対象として判定された際には、演出制御基板510は、液晶表示装置の画面をいかにもダメージがあったような映像にして表示させるようにしてもよい。その際、回復チャンスがクリアされる都度、演出制御基板510は、液晶表示装置の画面をダメージから回復する過程を表示するようにし変更し、ペナルティが完全に解消された時点で、ダメージ回復を示す映像を表示するようにしてもよい。
当選役が、順押し以外で優先される条件装置である場合には、演出制御基板510は、ペナルティ処理を行って次ゲームに移行する。遊技者が既述のナビに従ってリール停止ボタン211a〜211cを操作した場合には、順押し操作をしていれば本来取得できる遊技媒体をロストする。遊技媒体のロストがある都度、演出制御基板510はペナルティカウンタから所定のゲーム数を減算する。ペナルティカウンタの値が零に成った時点で演出制御基板510はペナルティ処理を終了する。ペナルティ期間中のゲームにおいて、遊技者が逃した遊技媒体の累算値が、遊技者が予定外に得た遊技媒体数に到達した時点で、ペナルティ処理が終了されるようにしてもよい。演出制御基板510は、ペナルティ処理を終了させると、ペナルティ処理の第2の態様に対するフラグをリセットする。ペナルティ処理の第2の態様によれば、ペナルティ期間中、遊技者が本来得ることができる遊技媒体を得ることなく敢えて逃すことにより、その代わりとして、ペナルティ設定ゲーム数以前であってもペナルティを早期終了させて、遊技者の遊技意欲の低下を避けることができるようになった。
次に、ペナルティ処理の第3の態様について説明する。演出制御基板510は有利遊技であるART抽選の当選を判定した際、第3の態様に対応するフラグの有無についてチェックする。演出制御基板510が第3の態様のフラグの成立を判定すると、遊技者にペナルティ感じさせることなくペナルティを実行するペナルティマスク処理を実行する。ペナルティマスク処理は、ペナルティ処理の第3の態様が適用される有利遊技での遊技媒体の期待値を本来の期待値よりも下げることによって、遊技媒体の低下数をペナルティに充当させようとするものである。
複数のリール停止ボタン211a〜211cの順押し操作以外の操作態様で、かつ、お互いに異なる操作対応で図柄の組み合わせの表示が優先される複数の条件装置(小役)を含む当選役を想定する。例えば、この当選役では、小役A(はさみ押しの操作で優先されて下段にベルが揃う条件装置)、そして、小役B(図49の小役17に相当し、逆押し操作で優先されて有効ラインにベルが揃う条件装置)の重複役が成立している。小役Aに対応する図柄の組み合わせが揃うと5枚のメダルの払い出しがあり、小役Bに対応する図柄の組み合わせが揃うと9枚の払い出しがある。演出制御基板510は、ペナルティ処理の第3の態様に対応するフラグを判定し、そして、この当選役を判定すると、はさみ押しのナビをすることによって、メダル5枚の払い出しを誘導し、逆押しのナビをすることによって、メダル9枚の払い出しを誘導する。逆押しのナビに比較してはさみ押しのナビでは、メダルの払い出し数が4枚少ない。演出制御基板510は、第3のフラグを判定しない場合には、ほぼ常に逆押しのナビを表示する。なお、これらの小役A,Bの条件装置は通常遊技状態での順押し操作では優先されないため、小役に対応する図柄の組み合わせの成立は困難である。
演出制御基板が、ペナルティ処理の第3の態様に対応するフラグを検出すると、予定外に獲得したメダル数を例えば8枚とした場合、このメダル数に等しくなるまで、ART遊技の際既述の当選役を検出すると、逆押しのナビの代わりにはさみ押しのナビを表示する。遊技者がはさみ押しのナビに従うと、一回当たり4枚のメダル数の獲得が少ないため、2回分はさみ押しのナビに従うことによって、合計の不足分は8枚となり規定外の押し順で操作して得た規定外の枚数と同じになる。この時点で、演出制御基板510はフラグをリセットしてペナルティを終了させる。なお、一回の有利遊技で不足分の合計メダル数が予定外に獲得した合計メダル数に到達しない場合には、演出制御基板510はフラグをリセットすることなく、足りない分のメダル数を次回のARTに持ち越すようにしてもよい。また。ペナルティの対象となる変則打ちが複数回あった場合、予定外の総メダル数がペナルティ対象としてカウントされる。ペナルティ処理の第3の態様によれば、有利遊技状態(ART)においてメダルの大量獲得が期待できる期間内でメダル数の払い出し数を僅かに減少させてペナルティを消化しているに過ぎないため、遊技者にペナルティを意識させたり、或いはペナルティを感じさせたりすることなくペナルティを終了させることができる。
[11−9.フリーズ演出]
次にメイン基板409が実行するフリーズ演出について説明する。メイン基板409は、遊技処理(図54)の内部抽選処理(S3)において、フリーズ演出の抽選を実行する。フリーズ演出とは、メイン基板が、スタートレバー操作後(ゲームスタート後)左中右リール停止ボタンへの操作が有効になるタイミングを遅延させて、即ち、リール停止ボタンの有効ランプの点灯を遅延させて、その間、メイン基板が左中右リールの少なくとも一つのリールに対して行う処理のことである。
例えば、スタートレバーをオンしたのにリールが回転しない、スタートレバーオンしたのにリールがロックする(リールが僅かに回転し直ぐ停止する)、スタートレバーをオンしたのにリールが逆回転する、スタートレバーオンしたのに一部のリールのみ回転する等である。メイン基板はフリーズ演出の期間が経過すると、左右中リールを通常回転させて、左右中停止ボタンの操作を有効化する。フリーズ演出は内部抽選で得られたボーナス遊技の当選役に対して発生することが多いものであるが、小役(リプレイ、ベル、スイカ)の当選役や、内部抽選がはずれの場合にもフリーズ演出が行われることもある。
本実施形態では、上述した遊技者にとっての有利度合いが異なる7種類のARTゲームのうち、いずれのARTゲームの実行期待度が高いかを示す演出を、メイン基板409による制御を用いた演出で実現している。遊技者にとっての有利度合いが異なる7種類のARTゲームのうちいずれのARTゲームの実行を行うかの決定は、メイン基板409から送信された情報に基づいて、演出制御基板510と演出制御基板520とが双方向通信を行うことによって行われる。メイン基板409による制御を用いた演出としては、例えばリールの挙動による演出が例示される。このようなリールの挙動による演出として例えばフリーズ演出を用いることができ、本例では、いずれのARTゲームの実行期待度が高いかを示す演出を、フリーズ演出により実現している。例えば、フリーズ演出パターンA〜フリーズ演出パターンGの7種類の演出パターンが用意されていて、フリーズ演出パターンAが行われたときには遊技者にとって最も有利度合いの低いショートレッドARTゲームが実行される確率が高く、フリーズ演出パターンBが行われたときにはノーマルブルーARTゲームが実行される確率が高く、フリーズ演出パターンCが行われたときにはノーマルレッドARTゲームが実行される確率が高く、フリーズ演出パターンDが行われたときにはノーマルブルーARTゲームが実行される確率が高く、フリーズ演出パターンEが行われたときにはスーパーレッドARTゲームが実行される確率が高く、フリーズ演出パターンFが行われたときにはスーパーブルーARTゲームが実行される確率が高く、フリーズ演出パターンGが行われたときにはプレミアムARTゲームが実行される可能性がある等のようにするとよい。
[11−10.ARTゲームの種別判定処理]
ところで、ARTゲームを実行するのは演出制御基板510のCPU1118であるのに対し、フリーズ演出を実行するのはメイン基板409のCPU1110である。ARTゲームは演出制御基板520のCPU1138により実行することもできる。ここで、メイン基板409で行われた処理の結果情報(例えば内部抽選の結果情報や停止図柄情報)についてはメイン基板409から演出制御基板510に送信されるものの、演出制御基板510や演出制御基板520で行われた処理の結果情報についてはメイン基板409に送信されることがない。そのため、7種類のARTゲームのうち実行すべきARTゲームが演出制御基板510や演出制御基板520により決定されたとしても、かかる決定がメイン基板409からすれば秘密裏に行われることとなり、メイン基板409は、このままでは、決定されたARTゲームの種別に基づいてフリーズ演出パターンを決定することができない。そこで、本スロットマシン1では、演出制御基板510や演出制御基板520からメイン基板409への情報通信を行うことなく、演出制御基板510や演出制御基板520により決定されたARTゲームの種別をメイン基板409によって判定することを可能ならしめる処理を行っている。
以下、図68を参照して、メイン基板409におけるARTゲームの種別判定処理について説明する。図68は、ナビ抽選テーブルの一例を示す図である。このナビ抽選テーブルは、メイン基板409のROM112及びキュリティチップで構成された演出制御基板520のROM1140の両方に記憶されている。なお、メイン基板409もキュリティチップで構成されている。これにより、ゲーム仕様の解析・改竄といった不正を防止することができる。なお、図68のナビ抽選テーブルは、必ずしもテーブルの全部がセキュリティチップで構成された演出制御基板520のROM1140に記憶される必要はなく、不正防止の観点からいえば、図69のナビ抽選テーブルのデータの一部(例えばベルカウンタが3であるときのデータのみ)を、セキュリティチップで構成された演出制御基板520のROM1140に記憶するようにしてもよい。
内部抽選の結果は、上述したとおりメイン基板409から演出制御基板510に送信されるが、メイン基板409においてARTゲームの種別判定処理が行なわれているときは、内部抽選の結果情報だけでなく、ベルカウンタ情報についてもメイン基板409から演出制御基板510に送信される。ベルカウンタは、メイン基板409がARTゲームの種別判定処理を行う際に用いる情報であり、メイン基板409にてARTゲームの種別判定処理が行なわれていない通常時は「FF」にセットされている。そして、メイン基板409にてARTゲームの種別判定処理が開始されると「0」にセットされ、ゲームの進行に応じて「1」〜「4」のいずれかにセットされる。なお、メイン基板409においてARTゲームの種別判定処理が行なわれていない場合には、メイン基板409から演出制御基板510にベルカウンタを送信する必要はない。
演出制御基板510は、7種類のARTゲームのうちいずれかのARTゲームを実行する旨が決定されていることを条件に、内部抽選の結果情報が「AT2−1」〜「AT5−4」のうちのいずれであるかであるときに、「AT2−1」〜「AT5−4」のうちのいずれであるかを特定できる情報(以下、単に『「AT2−1」〜「AT5−4」である旨の情報』と称する)がメイン基板409から送信されたことに基づいて、小物17の図柄組み合わせが有効ライン上に表示されるように押し順ナビを実行する。一方、ARTゲームを実行する旨が決定されていない通常中には、内部抽選の結果情報が「AT2−1」〜「AT5−4」である旨の情報がメイン基板409から送信されたとしても、上記の押し順ナビは実行されない。
7種類のARTゲームのうちいずれかのARTゲームを実行する旨が決定されている場合において、演出制御基板510は、メイン基板409からベルカウンタ情報が送信されていなければ、メイン基板409においてARTゲームの種別判定処理がまだ開始されていないと判断する。ただし、演出制御基板510は、7種類のARTゲームのうちいずれのARTゲームを実行する旨が決定されており、且つ内部抽選の結果情報が「AT2−1」〜「AT5−4」である旨の情報がメイン基板409から送信されたにもかかわらずベルカウンタ情報が送信されなかった場合には、メイン基板409においてARTゲームの種別判定処理を開始させるべく、必ず押し順ナビを実行する。一方、メイン基板409からベルカウンタ情報及び内部抽選の結果情報の両方が送信された場合には、演出制御基板510は、メイン基板409においてARTゲームの種別判定処理が開始されていると判断し、内部抽選の結果情報が「AT2−1」〜「AT5−4」のうちのいずれかであるときに、図68のテーブルに基づいて押し順ナビの実行有無を決定する。詳しくは、図68に図示された○に該当するときは押し順ナビを実行する旨が決定され、図68に図示された×に該当するときは押し順ナビを実行しない旨が決定される。
図50を参照すると分かるように、本実施形態のスロットマシン1では、内部抽選の結果が「AT2−1」〜「AT5−4」のうちのいずれかであるとき、遊技者が「左→中→右」の順押し又は「左→右→中」のはさみ押しを行う限り、小物17の図柄組み合わせが有効ライン上に表示されることがない。したがって、ステップS6の判定処理において小物17の図柄組み合わせが有効ライン上に表示された旨がメイン基板409により判定されるのは、演出制御基板510により押し順ナビが行われた場合、及び、押し順ナビは行われていないものの遊技者が順押し又ははさみ押しで停止操作せずに且つ偶然に押し順が正解した場合に限られる。そこで、メイン基板409は、小物17の図柄組み合わせが有効ライン上に表示された旨を判定したときは、演出制御基板510により押し順ナビが行われたものとしてARTゲームの種別判定処理を開始し、ベルカウンタを0にセットする。
ベルカウンタが0の場合において、メイン基板409は、次ゲームにおける内部抽選の結果が「AT2−1」〜「AT5−4」のいずれかであれば、ベルカウンタを1に更新する。内部抽選の結果が「AT2−1」〜「AT5−4」のいずれでもなければ、ナビカウンタは更新されない(ナビカウンタは0のままである)。そして、メイン基板409は、内部抽選の結果及びベルカウンタを演出制御基板510に送信する。
(ベルカウンタが1である場合)
演出制御基板510は、内部抽選の結果が「AT2−1」〜「AT5−4」のうちいずれかである旨の情報及びベルカウンタが1である旨の情報をメイン基板409から受信すると、メイン基板409においてARTゲームの種別判定処理が開始されていると判断し、図68のテーブルに基づいて押し順ナビの実行有無を決定する。ただし上述したとおり、押し順ナビはいずれのARTゲームを実行すべきかを決定していること(ART付与抽選に当選していること)を条件に行われるので、メイン基板409においてARTゲームの種別判定処理が開始されていたとしても、ART付与抽選に当選していなければ、演出制御基板510は、たとえ内部抽選の結果情報及びベルカウンタ情報がメイン基盤409から送信されたとしても、押し順ナビを行うことはない。したがって、遊技者が順押し又ははさみ押しで停止操作せずに且つ偶然に押し順が正解したことによってメイン基板409においてARTゲームの種別判定処理が開始された場合には、押し順ナビが行われることはない。
押し順ナビは、例えば内部抽選の結果が「AT2−1」でベルカウンタが1である場合において、実行すべきARTゲームがショートレッドARTゲーム、ショートブルーARTゲーム、ノーマルレッドARTゲーム及びノーマルブルーARTゲームのうちいずれかに決定されているときには実行しない旨が決定され、実行すべきARTゲームがスーパーレッドARTゲーム、スーパーブルーARTゲーム及びプレミアムARTゲームのうちいずれかに決定されているときには実行する旨が決定される。
また、内部抽選の結果が「AT3−4」でベルカウンタが1である場合において、実行すべきARTゲームがショートレッドARTゲーム、ショートブルーARTゲーム、ノーマルレッドARTゲーム及びノーマルブルーARTゲームのうちいずれかに決定されているときには押し順ナビを実行する旨が決定され、実行すべきARTゲームがスーパーレッドARTゲーム、スーパーブルーARTゲーム及びプレミアムARTゲーのうちいずれかに決定されているときには押し順ナビを実行しない旨が決定される。
そしてメイン基板409は、小物17の図柄組み合わせが有効ライン上に表示されたか否かの判定結果と図68のナビ抽選テーブルとに基づいて、ナビカウンタ1の場合におけるARTゲームの種別の絞込み判定を行う。例えば、内部抽選の結果が「AT2−1」でベルカウンタが1である場合において、小物17の図柄組み合わせが有効ライン上に表示された旨が判定されると、メイン基板409は、演出制御基板510により押し順ナビが行われたものとして、スーパーレッドARTゲーム、スーパーブルーARTゲーム及びプレミアムARTゲームのうちいずれかを実行する旨が演出制御基板510や演出制御基板520により決定されたと判断する。一方、内部抽選の結果が「AT2−1」でベルカウンタが1である場合において、小物17の図柄組み合わせが有効ライン上に表示されなかった旨が判定されると、メイン基板409は、演出制御基板510により押し順ナビが行われなかったものとして、ショートレッドARTゲーム、ショートブルーARTゲーム、ノーマルレッドARTゲーム及びノーマルブルーARTゲームのうちいずれかを実行する旨が演出制御基板510や演出制御基板520により決定されたと判断する。このようにして、メイン基板409は、演出制御基板510や演出制御基板520により決定された可能性のあるARTゲームの種別を、7種類から3種類又は4種類に絞ることができる。
(ベルカウンタが2である場合)
演出制御基板510は、ベルカウンタが2である旨の情報及び内部抽選の結果が「AT2−1」〜「AT5−4」のうちいずれかである旨の情報をメイン基板409から受信した場合、押し順ナビの実行有無を、内部抽選の結果が「AT2−1」〜「AT5−4」のうちいずれかであって且つベルカウンタが1である旨の情報をメイン基板409から受信した場合とは反転させて、押し順ナビの実行有無を決定する。すなわち、図68のナビ抽選テーブルを参照すると分かるように、ベルカウンタが2である旨の情報をメイン基板409から受信した場合において、ベルカウンタが1である旨の情報をメイン基板409から受信した場合に押し順ナビを実行していれば押し順ナビを実行しない旨を決定し、ベルカウンタが1である旨の情報をメイン基板409から受信した場合に押し順ナビを実行していなければ押し順ナビを実行する旨を決定する。これにより、ベルカウンタ1である場合とベルカウンタ2である場合とのうちいずれかにおいて、必ず押し順ナビを実行することができる。なお、ベルカウンタ1の場合及び2の場合の両方において小物17の図柄組み合わせが有効ライン上に表示された旨が判定された場合には、遊技者は、押し順ナビにしたがって操作していないと判断し、メイン基板409におけるARTゲームの種別判定処理を終了し、ナビカウンタを「FF」にセットする。また、ベルカウンタ1の場合及び2の場合のいずれにおいても小物17の図柄組み合わせが有効ライン上に表示されなかった旨が判定された場合には、遊技者は、押し順ナビにしたがって操作していないか、押し順ナビが行われていない(すなわちART付与抽選に当選していない)と判断し、メイン基板409におけるARTゲームの種別判定処理を終了し、ナビカウンタを「FF」にセットする。
このように、ベルカウンタが1である場合と2である場合とのうちいずれかにおいて必ず押し順ナビを実行するようにしているのは、ベルカウントが1である場合と2である場合とのうち必ずいずれかの場合において、小物17の図柄組み合わせが有効ライン上に表示された旨がメイン基板409によって判定されるようにするためである。すなわち、本実施形態のスロットマシン1では、遊技者が順押しやはさみ押しを行う限り、小物17の図柄組み合わせが有効ライン上に表示された旨がメイン基板409によって判定されることがない。そのため、偶発的にARTゲームの種別判定処理が開始された場合(押し順ナビは行われていないものの遊技者が押し順又ははさみ押しで停止操作せずに且つ偶然に押し順が正解したことによってARTゲームの種別判定処理が開始された場合)に、図68のナビ抽選テーブルに基づいて押し順ナビを実行しない旨が決定されると、偶発的にARTゲームの種別判定処理が開始されたにもかかわらず、メイン基板409においてART種別判定処理が進んでしまい、遊技者に無用な期待感を与えこととなってしまう。この点、ベルカウンタが1である場合と2である場合とで押し順ナビの実行を反転させることによって、メイン基板409は、ARTゲームの種別判定処理が、演出制御基板510により押し順ナビが行われた結果として開始されたのか、押し順ナビは行われていないものの遊技者が順押し又ははさみ押しで停止操作せずに且つ偶然に押し順が正解したことによって開始されたのかを検証することが可能となる。
(ベルカウンタが3である場合)
演出制御基板510は、内部抽選の結果が「AT2−1」〜「AT5−4」のうちいずれかである旨の情報及びベルカウンタが3である旨の情報をメイン基板409から受信すると、図68のテーブルに基づいて押し順ナビの実行有無を決定する。例えば、内部抽選の結果が「AT3−4」でベルカウンタが3である場合において、実行すべきARTゲームがノーマルレッドARTゲーム、ノーマルブルーARTゲーム及びプレミアムARTゲームのうちいずれかに決定されているときには押し順ナビを実行しない旨が決定され、ショートレッドARTゲーム、ショートブルーARTゲーム、スーパーレッドARTゲーム及びスーパーブルーARTゲームのうちいずれかに決定されているときには押し順ナビを実行する旨が決定される。
そしてメイン基板409は、小物17の図柄組み合わせが有効ライン上に表示されたか否かの判定結果と図68のナビ抽選テーブルとに基づいて、ナビカウンタ3の場合におけるARTゲームの種別の絞込み判定を行う。そしてさらにメイン基板409は、ナビカウンタ1の場合におけるARTゲームの種別の絞込み判定結果と、ナビカウンタ3の場合におけるARTゲームの種別の絞込み判定結果とに基づいて、演出制御基板510や演出制御基板520により決定された可能性のあるARTゲームの種別の絞込み判定を行う。例えば、ナビカウンタ1の場合におけるARTゲームの種別の絞込み判定ではショートレッドARTゲーム、ショートブルーARTゲーム、ノーマルレッドARTゲーム及びノーマルブルーARTゲームのうちいずれかに絞られ、ナビカウンタ3の場合におけるARTゲームの種別の絞込み判定ではショートレッドARTゲーム、ショートブルーARTゲーム、スーパーレッドARTゲーム及びスーパーブルーARTゲームのうちいずれかに絞られた場合、メイン基板409は、演出制御基板510や演出制御基板520により決定された可能性のあるARTゲームの種別を、ショートレッドARTゲーム又はショートブルーARTゲームの2種類に絞ることができる。
(ベルカウンタが4である場合)
演出制御基板510は、内部抽選の結果が「AT2−1」〜「AT5−4」のうちいずれかである旨の情報及びベルカウンタが4である旨の情報をメイン基板409から受信すると、図68のテーブルに基づいて押し順ナビの実行有無を決定する。例えば、内部抽選の結果が「AT4−2」でベルカウンタが4である場合において、実行すべきARTゲームがショートブルーARTゲーム、ノーマルブルーARTゲーム、スーパーブルーARTゲーム及びプレミアムARTゲームのうちいずれかに決定されているときには押し順ナビを実行しない旨が決定され、実行すべきARTゲームがショートレッドARTゲーム、ノーマルレッドARTゲーム、スーパーレッドARTゲームのうちいずれかに決定されているときには押し順ナビを実行する旨が決定される。
そしてメイン基板409は、小物17の図柄組み合わせが有効ライン上に表示されたか否かの判定結果と図68のナビ抽選テーブルとに基づいて、ナビカウンタ4の場合におけるARTゲームの種別の絞込み判定を行う。そしてさらにメイン基板409は、ナビカウンタ1の場合におけるARTゲームの種別の絞込み判定結果と、ナビカウンタ3の場合におけるARTゲームの種別の絞込み判定結果と、ナビカウンタ4の場合におけるARTゲームの種別の絞込み判定結果とに基づいて、演出制御基板510や演出制御基板520により決定されたARTゲームの種別の絞込み判定を行う。例えば、ナビカウンタ1の場合におけるARTゲームの種別の絞込み判定ではショートレッドARTゲーム、ショートブルーARTゲーム、ノーマルレッドARTゲーム及びノーマルブルーARTゲームのうちいずれかに絞られ、ナビカウンタ3の場合におけるARTゲームの種別の絞込み判定ではショートレッドARTゲーム、ショートブルーARTゲーム、スーパーレッドARTゲーム及びスーパーブルーARTゲームのうちいずれかに絞られ、ナビカウンタ4の場合におけるARTゲームの種別の絞込み判定ではショートレッドARTゲーム、ノーマルレッドARTゲーム及びスーパーレッドARTゲームのうちいずれかに絞られた場合、メイン基板409は、演出制御基板510や演出制御基板520により決定されたARTゲームの種別を、ショートレッドARTゲームであると判断することができる。このようにして、メイン基板409は、演出制御基板510や演出制御基板520により決定されたARTゲームの種別を、ショートレッドARTゲームであると判断することができる。メイン基板409は、このようにして演出制御基板510や演出制御基板520により決定されたARTゲームの種別を判断すると、メイン基板409におけるARTゲームの種別判定処理を終了し、ナビカウンタを「FF」にセットする。
なお、ARTゲームの種別の絞込み判定は、押し順ナビされた手順でリール停止ボタン211a,211b,211cの停止操作を行うことによって実行可能となるものである。しかし、押し順ナビに背いて(すなわち押し順ナビされた手順とは異なる手順で)リール停止ボタン211a,211b,211cの停止操作を行った場合には、演出制御基板510や演出制御基板520により実際に決定されたARTゲームの種別とは異なる種別のARTゲームに決定された旨が判定されることが生じうる。しかしこのような場合であっても、特定のフリーズ演出が行われたときにこれに対応して実行されるARTゲームが一義的に決まるのではなく、あくまでも特定のARTゲームについての実行期待度が示されるだけにすぎないので差し支えない。
メイン基板409は、演出制御基板510や演出制御基板520により決定されたARTゲームの種別を判断すると、判断したゲーム(内部抽選の結果が「AT2−1」〜「AT5−4」のうちいずれかであって且つベルカウンタが4であるゲーム)の次ゲーム以降において、フリーズ演出の制御を実行する。
メイン基板409は、フリーズ演出を終了すると、演出制御基板510や演出制御基板520により実行すべき旨が決定されたARTゲームの種別についての判断結果に基づいてリールの停止制御を行なう。詳しくは、演出制御基板510や演出制御基板520により実行すべき旨が決定されたARTゲームの種別がショートレッドARTゲーム、ノーマルレッドARTゲーム及びスーパーレッドARTゲームのうちのいずれかであるときは、メイン基板409は、「正図柄−赤7図柄−赤7図柄」の図柄組み合わせが図柄表示窓401にあらわれることを許容する。一方、演出制御基板510や演出制御基板520により実行すべき旨が決定されたARTゲームの種別がショートブルーARTゲーム、ノーマルブルーARTゲーム及びスーパーブルーARTゲーム及びプレミアムARTゲームのうちのいずれかであるときは、メイン基板409は、「正図柄−青7図柄−青7図柄」の図柄組み合わせが図柄表示窓401にあらわれることを許容する。そして、これらの図柄組み合わせが図柄表示窓401にあらわれると、メイン基板409は、その旨の情報(フリーズ演出終了の情報であってもよい)を演出制御基板510又は演出制御基板520側にコマンド送信する。演出制御基板510又は演出制御基板520は、フリーズ演出が終了した旨の情報をメイン基板409から受信すると、これに基づいてARTゲームを開始する準備が整ったと判断し、決定した種別のARTゲームの実行を開始する。したがって、遊技者により停止操作が行われた結果、「正図柄−赤7図柄−赤7図柄」が図柄表示窓401にあらわれると、ショートレッドARTゲーム、ノーマルレッドARTゲーム及びスーパーレッドARTゲームのうちのいずれかのARTゲームが開始される。一方、遊技者により停止操作が行われた結果、「正図柄−青7図柄−青7図柄」が図柄表示窓401にあらわれると、ショートブルーARTゲーム、ノーマルブルーARTゲーム及びスーパーブルーARTゲーム及びプレミアムARTゲームのうちのいずれかのARTゲームが開始される。そして、演出制御基板510又は演出制御基板520は、ARTゲームの終了条件が成立すると、ARTゲームを終了する。
このように、本実施形態のスロットマシン1では、遊技者から見ると「正図柄−赤7図柄−赤7図柄」及び「正図柄−青7図柄−青7図柄」といった2種類のARTゲームが存在すると認識されるものの、演出制御基板510により実際に実行されうるARTゲームの種別数はこれよりも多くの種別数が用意されている。すなわち、遊技者が認識しうるボーナスゲームの種別数(「正図柄−赤7図柄−赤7図柄」及び「正図柄−青7図柄−青7図柄」といった2種類)よりも、演出制御基板510により実際に実行されうるARTゲームの種別数を多くすることができ、図柄組み合わせが図柄表示窓401にあらわれたのちであっても、いずれのARTゲームが実行されるかについての興味を遊技者に抱かせることができる。
なお、上記では、「正図柄−赤7図柄−赤7図柄」又は「正図柄−青7図柄−青7図柄」が図柄表示窓401にあらわれることを演出制御基板510や演出制御基板520によるARTゲームの開始条件としているが、必ずしもこれに限られない。例えば、「正図柄−赤7図柄−赤7図柄」又は「正図柄−青7図柄−青7図柄」が有効ライン上に表示されなかったとしても、所定のARTゲーム開始条件(例えばART付与抽選に当選してから規定回数のゲームが実行されたこと等)が成立したことを条件に、演出制御基板510によるARTゲームが開始されるようにしてもよい。
(作用効果)
このようにして、本実施形態のスロットマシン1では、演出制御基板510や演出制御基板520からメイン基板409への情報通信が行われなくとも、メイン基板409は、図68のナビ抽選テーブルを参照して、ベルカウンタと、小物17の図柄組み合わせが有効ライン上に表示されたか否かとに基づいて、複数回のゲームを実行することで演出制御基板510や演出制御基板520により決定されたARTゲームの種別を段階的に絞っていき、演出制御基板510や演出制御基板520により決定されたARTゲームの種別を最終的に判定することが可能となる。また、複数回のゲームが実行されると、演出制御基板510や演出制御基板520により決定されたARTゲームの種別が段階的に絞られていくので、遊技者は、ベルカウンタが更新されると(複数回のゲームが実行されると)、複数回のゲームにわたっての、押し順と特定の図柄が表示されたか否かの結果とに基づいて、演出制御基板510や演出制御基板520により決定されたARTゲームの種別を推測することが可能となる。
すなわち、演出制御基板510又は演出制御基板520側で決定された処理内容(例えばARTゲームの種別)をメイン基板409側では把握することができないにもかかわらず、メイン基板409は、演出制御基板510又は演出制御基板520側での決定に基づいてフリーズ演出を実行することが可能であるといえる。換言すれば、メイン基板409側での決定処理(例えばフリーズ演出の種別を決定する処理)に対して影響を及ぼすことができる処理を、演出制御基板510又は演出制御基板520側で実行可能であるといえる。
ただし、演出制御基板510又は演出制御基板520側での処理がメイン基板409側での決定処理に対して影響を及ぼす程度に留めるのではなく、メイン基板409側で実行される例えばフリーズ演出の種別を、演出制御基板510又は演出制御基板520側で決定するようにしてもよい。例えば、メイン基板409により実行されるフリーズ演出パターンとして、演出制御基板510又は演出制御基板520により実行される7種類のARTゲームの各々に対応する複数のフリーズ演出パターンを用意し、これら複数のフリーズ演出パターンのうちメイン基板409により実行されるフリーズ演出パターンを、メイン基板409に対して秘密裏に演出制御基板510又は演出制御基板520側で決定するようにしてもよい。さらに極端に言えば、演出制御基板510又は演出制御基板520により実行されるARTゲームの種別にかかわりなく、メイン基板409側で実行される制御内容を演出制御基板510又は演出制御基板520側で決定することができる。演出制御基板510又は演出制御基板520側の処理で決定された情報についてはメイン基板409側では把握できないにもかかわらず、ARTゲームの種別判定処理と同様の処理を行なうことで、メイン基板409により実行される制御内容(例えばフリーズ演出のパターン)を、演出制御基板510又は演出制御基板520側の処理によって決定することが可能となる。例えばメイン基板409の制御負荷を軽減したいときに有効である。
(変形例)
なお、本実施形態では、図68のナビ抽選テーブルを見ても分かるように、ナビカウンタと、内部抽選の結果(「AT2−1」〜「AT5−4」のいずれであるか)と、演出制御基板510や演出制御基板520により決定されたARTゲームの種別とに基づいて、小物17の図柄組み合わせが有効ライン上に表示される押し順のナビを行うか否かが一義的に決まってしまう。この場合、複数回のゲームが行われると、演出制御基板510や演出制御基板520により決定されたARTゲームの種別を推測できるといった楽しみを享受することができるものの、必ずしも、演出制御基板510や演出制御基板520により決定されたARTゲームの種別を推測できた方がいいとは限らない。このような場合には、図68とは別のナビ抽選テーブルを用意し、ナビカウンタ1〜4の間において少なくとも1回は、これらのナビ抽選テーブルのうちいずれのナビ抽選テーブルを採用するかを決定し、決定されたナビ抽選テーブルを用いて押し順ナビの実行有無を決定するようにするとよい。これにより、演出制御基板510や演出制御基板520により決定されたARTゲームの種別を遊技者に看破されてしまうことを防止できるという作用効果がある。
また、本実施形態では、小物17の図柄組み合わせが有効ライン上に表示されたか否かをメイン基板409により判定することで演出制御基板510により押し順ナビが実行されたか否かを判定したため、1回のゲームでは2択となってしまう。すなわち、ARTゲームの種別が2種類より多い場合には、いずれの種別のARTゲームが実行されるかをメイン基板409により判定しようとすると、上述した本実施形態のように複数回のゲームを行うことで段階的に絞っていく必要がある。しかし、ARTゲームの種別数が例えば2種類しか用意されていなければ、本実施形態のように小物17の図柄組み合わせが有効ライン上に表示されたか否かをメイン基板409により判定する手法であっても、複数回のゲームを行わなくとも、1回のゲームで、実行される旨が決定されたARTゲームの種別を判定することができる。また、ARTゲームの種別数が例えば2種類より多い場合であって且つこの2種類以上のARTゲームのうちいずれかを実行する旨を決定するような場合であっても、1回のゲームでARTゲームの種別数と同数以上に絞ることができれば、複数回のゲームを行うことなく、1回のゲームで、実行される旨が決定されたARTゲームの種別を判定することができる。例えば、Aパターン〜FパターンのARTゲームのうちいずれかを実行する旨が演出制御基板510や演出制御基板520により決定される場合に、Aパターンに決定されたときは順押し、Bパターンに決定されたときははさみ押し、Cパターンに決定されたときは中押し、Dパターンに決定されたときは中逆押し、Eパターンに決定されたときは逆押し、Fパターンに決定されたときは逆はさみ押しが演出制御基板510によって押し順ナビされるようにすると、メイン基板409は、停止操作された順序に基づいて、演出制御基板510や演出制御基板520により決定されたARTゲームの種別を、1回のゲームで判定することが可能となる。
また、演出制御基板510や演出制御基板520により決定されたARTゲームの種別を、特定の図柄組み合わせ(本実施形態では小物17の図柄組み合わせ)が有効ライン上に表示されたか否かを複数回のゲームを行うことによって判定する場合であっても、必ずしも本実施形態のように段階的に絞っていく必要はない。例えば、複数回のゲームを行ったときに、1回目〜N回目(Nは2以上の整数)までのゲームにおける○と×との組み合わせ(特定の図柄が表示されたか否かの組み合わせ)により、演出制御基板510や演出制御基板520により決定されたARTゲームの種別を、メイン基板409により判定することが可能となる。
また、本実施形態では、特定の図柄組み合わせ(小物17の図柄組み合わせ)が有効ライン上に表示されたか否かによって演出制御基板510や演出制御基板520により決定されたARTゲームの種別を判定しているが、これに限られない。例えば、内部抽選において複数の役が重複当選したときに、入賞させるべき役(有効ライン上に表示させるべき図柄組み合わせに対応する役)を演出制御基板510によりナビし、実際に入賞した図柄組み合わせに基づいて、演出制御基板510や演出制御基板520により決定されたARTゲームの種別を判定するようにしてもよい。また、リールに付された図柄を複数のゾーンに区分けし、いずれのゾーンで停止操作すべきであるか(停止操作すべきタイミング)を演出制御基板510によりナビし、実際に停止表示された図柄がいずれのゾーンに属する図柄であるかに基づいて、演出制御基板510や演出制御基板520により決定されたARTゲームの種別を判定するようにしてもよい。さらには、複数用意されたスベリテーブルのうち特定のスベリテーブルが採用されるタイミングで停止操作されるように演出制御基板510によりナビし、実際に採用されたスベリテーブルに基づいて、演出制御基板510や演出制御基板520により決定されたARTゲームの種別を判定するようにしてもよい。
また、本実施形態では、メイン基板409のCPU1110からのコマンドを演出制御基板510が受信し、演出制御基板510と演出制御基板520とが双方向通信することによって、演出制御基板510が各種演出動作の制御を行っているが、必ずしもこれに限られない。例えば、メイン基板409のCPU1110からのコマンドを演出制御基板520が受信し、演出制御基板510と演出制御基板520とが双方向通信することによって、演出制御基板520が各種演出動作の制御を行なうようにしてもよい。
次に、上記実施形態から把握できる技術的思想を以下に追記する。
(技術的思想1)
遊技者による操作態様によって表示内容が異なりうる表示ゲームにかかる制御を実行可能なゲーム制御手段と、
前記ゲーム制御手段によって実行可能とされる複数の制御内容であるにもかかわらず、それら制御内容のいずれかを、該ゲーム制御手段に対して秘密裏に決定した後に、該決定した制御内容に即した操作態様で表示ゲームを行うべき旨を遊技者に対して促す制御を実行可能な専横内容制御手段と
を備え、
前記ゲーム制御手段は、
前記専横内容制御手段による制御の結果として、いかなる操作態様が現れたのかを判断するとともに、該判断の結果に基づいて、前記専横内容制御手段により秘密裏に決定された制御内容の種別を推測し、この推測した制御内容に従って前記表示ゲームにかかる制御を実行する推測ゲーム実行手段
を有しており、
前記専横内容制御手段は、
前記ゲーム制御手段に対して秘密裏に決定した制御内容に即した操作態様で表示ゲームを行うべき旨を遊技者に対して促す制御を行うときに用いられるプログラムデータの少なくとも一部分を、該プログラムデータの暗号化・復号化に供される暗号鍵が秘匿とされるセキュリティチップ内にて記憶保持する構造として設けられてなる
ことを特徴とする遊技機。
このような構成では、ゲーム制御手段側の推測材料となる手掛かり(制御内容に即した操作態様)を残すことを大前提とした上で、ゲーム制御手段側の指示を待つことなく、専横内容制御手段側の主導のもとでゲーム制御手段側の複数の制御内容のうちの所望の制御内容に即した遊技(操作態様を促す制御)を開始させるようにしている。
したがって、ゲーム制御手段によってその制御内容が推測されるまでに若干の時間ロスは生じてしまうものの、専横内容制御手段側の主導のもとでゲーム制御手段側の複数の制御内容のうちの所望の制御内容に即した遊技を開始させることができるといった、これまでにない斬新な遊技手法を実現させることができるようになる。また、専横内容制御手段側の主導のもとで遊技を開始させるものでありながらも、ゲーム制御手段側の表示ゲームこれ自体にどのような変化を生じさせるかを決定することができるものであることから、遊技者に対して、ゲーム制御手段側の抽選の結果として何らかの特典を獲得することができたかのようなイメージを与えることができるようになる。
しかも、上記構成によれば、ゲーム制御手段に対して秘密裏に決定した制御内容に即した操作態様で表示ゲームを行うべき旨を遊技者に対して促す制御を行うときに用いられるプログラムデータの少なくとも一部分を、該プログラムデータの暗号化・復号化に供される暗号鍵が秘匿とされるセキュリティチップ内にて記憶保持することから、斬新な遊技手法でありながらも、そのセキュリティ性能を好適に確保することができるようになる。
ちなみに、斬新な遊技手法としては、例えば、ゲーム制御手段側が、複数の制御内容のいずれかを選択的に実行可能であり、専横内容制御手段側が、それら制御内容のいずれが行われたかに応じて異なるアシストタイム(有利遊技状態)に関する制御を開始可能であるとしたとき、専横内容制御手段側は、ゲーム制御手段側の任意の制御内容に即した遊技(操作態様を促す制御)を開始させるだけで、若干の時間ロスを経た後に、ゲーム制御手段側の任意の制御内容と協同するかたちで所望のアシストタイム(有利遊技状態)を発生させることができるようになる。
(技術的思想2)
遊技者による操作態様によって表示内容が異なりうる表示ゲームにかかる制御を実行可能なゲーム制御手段と、
前記ゲーム制御手段によって実行可能とされる複数の制御内容であるにもかかわらず、それら制御内容のいずれかを、該ゲーム制御手段に対して秘密裏に決定した後に、該決定した制御内容に即した操作態様で表示ゲームを行うべき旨を遊技者に対して促す制御を実行可能な専横内容制御手段と
を備え、
前記専横内容制御手段は、
複数回の操作機会で、前記秘密裏に決定した制御内容に即した操作態様で表示ゲームを行うべき旨を遊技者に対して促す制御を行うものであり、
前記ゲーム制御手段は、
前記専横内容制御手段による制御の結果として、複数回の操作機会でその都度いかなる操作態様が現れたのかを判断するとともに、それら判断の結果に基づいて、前記専横内容制御手段により秘密裏に決定された制御内容の種別を推測し、この推測した制御内容に従って前記表示ゲームにかかる制御を実行する推測ゲーム実行手段
を有しており、さらに、
前記専横内容制御手段は、
前記ゲーム制御手段に対して秘密裏に決定した制御内容に即した操作態様で表示ゲームを行うべき旨を遊技者に対して促す制御を行うときに用いられるプログラムデータの少なくとも一部分を、該プログラムデータの暗号化・復号化に供される暗号鍵が秘匿とされるセキュリティチップ内にて記憶保持する構造として設けられてなる
ことを特徴とする遊技機。
このような構成では、複数回の操作機会でゲーム制御手段側の推測材料となる手掛かり(制御内容に即した操作態様)を残すことを大前提とした上で、ゲーム制御手段側の指示を待つことなく、専横内容制御手段側の主導のもとでゲーム制御手段側の複数の制御内容のうちの所望の制御内容に即した遊技(操作態様を促す制御)を開始させるようにしている。
したがって、ゲーム制御手段によってその制御内容が推測されるまでに若干の時間ロスは生じてしまうものの、専横内容制御手段側の主導のもとでゲーム制御手段側の複数の制御内容のうちの所望の制御内容に即した遊技を開始させることができるといった、これまでにない斬新な遊技手法を実現させることができるようになる。また、専横内容制御手段側の主導のもとで遊技を開始させるものでありながらも、ゲーム制御手段側の表示ゲームこれ自体にどのような変化を生じさせるかを決定することができるものであることから、遊技者に対して、ゲーム制御手段側の抽選の結果として何らかの特典を獲得することができたかのようなイメージを与えることができるようになる。
また、上記構成では、複数回の操作機会で得られる複数の手掛かり(制御内容に即した操作態様)から、専横内容制御手段により秘密裏に決定された制御内容の種別を推測することとしている。このような多彩な手掛かりを通じて、ゲーム制御手段側によって数多くの制御内容からの推測を可能としたり、ゲーム制御手段側の推測に誤りが生じてしまう可能性を低減させたりすることができるようになることから、斬新な遊技手法を実現するにあたって、設計の自由度の向上を図ることができるようになる。
しかも、上記構成によれば、ゲーム制御手段に対して秘密裏に決定した制御内容に即した操作態様で表示ゲームを行うべき旨を遊技者に対して促す制御を行うときに用いられるプログラムデータの少なくとも一部分を、該プログラムデータの暗号化・復号化に供される暗号鍵が秘匿とされるセキュリティチップ内にて記憶保持することから、斬新な遊技手法でありながらも、そのセキュリティ性能を好適に確保することができるようになる。
ちなみに、斬新な遊技手法としては、例えば、ゲーム制御手段側が、複数の制御内容のいずれかを選択的に実行可能であり、専横内容制御手段側が、それら制御内容のいずれが行われたかに応じて異なるアシストタイム(有利遊技状態)に関する制御を開始可能であるとしたとき、専横内容制御手段側は、ゲーム制御手段側の任意の制御内容に即した遊技(操作態様を促す制御)を開始させるだけで、若干の時間ロスを経た後に、ゲーム制御手段側の任意の制御内容と協同するかたちで所望のアシストタイム(有利遊技状態)を発生させることができるようになる。
(技術的思想3)
役についての抽選を行うとともに、該抽選の結果に基づいて図柄変動にかかる制御を行う抽選変動制御手段と、
前記抽選変動制御手段による抽選の結果に基づいて所定条件が満たされた場合、前記抽選変動制御手段に対して秘密裏に複数のゲーム条件のいずれかを決定可能であり、該決定したゲーム条件の内容に応じた図柄停止ゲームが進行されるように促す制御を行うゲーム補助演出制御手段と
を備え、
前記抽選変動制御手段は、
前記複数のゲーム条件のいずれかが秘密裏に決定されているなかで図柄停止ゲームが行われる場合、該決定されているゲーム条件がいずれの種別であるのかを推測する際に有用とされる有用情報を取得し、該取得した有用情報に基づいて、前記推測される対象としてのゲーム条件の種別から、前記決定されていないと推測されるゲーム条件の種別を除外していく処理を実行可能な除外処理実行手段、及び
前記除外処理実行手段によって前記除外していく処理が複数回行われた結果、前記推測される対象としてのゲーム条件の種別が絞られたとき、この絞られた種別のゲーム条件が前記決定されたゲーム条件であると推測し、この推測したゲーム条件に応じた制御を実行する推測ゲーム提供手段
を有しており、
前記ゲーム補助演出制御手段は、
前記抽選変動制御手段に対して秘密裏に決定したゲーム条件の内容に応じた図柄停止ゲームが進行されるように促す制御を行うときに用いられるプログラムデータの少なくとも一部分を、該プログラムデータの暗号化・復号化に供される暗号鍵が秘匿とされるセキュリティチップ内にて記憶保持する構造として設けられてなる
ことを特徴とする遊技機。
このような構成では、ゲーム補助演出制御手段が、抽選変動制御手段に対して秘密裏に複数のゲーム条件のいずれかを決定可能としたことから、抽選変動制御手段によってそのゲーム条件が推測されるまでに若干の時間ロス(除外時間)は生じてしまうものの、外部手段(ゲーム補助演出制御手段)の主導のもとで抽選変動制御手段側の複数のゲーム条件のうちの所望のゲーム条件に即した遊技を開始させることができるといった、これまでにない斬新な遊技手法を実現させることができるようになる。
また、上記構成では、推測される対象としてのゲーム条件の種別が絞られた場合、この絞られた種別のゲーム条件が上記決定されたゲーム条件であるとの確証はないにもかかわらず、該絞られた種別のゲーム条件に応じた制御を開始することを大前提とした上で、決定されていないと推測されるゲーム条件の種別を複数回にわたって段階的に除外していくようにしている。したがって、複数回にわたって段階的に除外していく都度、所望のゲーム条件が未だ除外されていないかについての演出性を生み出すことができるようになり、これによって遊技興趣が維持されるようになる。
しかも、上記構成によれば、抽選変動制御手段に対して秘密裏に決定したゲーム条件の内容に応じた図柄停止ゲームが進行されるように促す制御を行うときに用いられるプログラムデータの少なくとも一部分を、該プログラムデータの暗号化・復号化に供される暗号鍵が秘匿とされるセキュリティチップ内にて記憶保持することから、斬新な遊技手法でありながらも、そのセキュリティ性能を好適に確保することができるようになる。
なお、有用情報としては、例えば、外部手段(ゲーム補助演出制御手段)が、複数のゲーム条件の種別毎に予め対応付けされている操作態様を促した場合に、実際に現れた「操作態様」がいずれであるのかについての判断情報などを用いることが可能である。また、実際に現れた「操作態様」については、例えば、特定の図柄組み合わせが入賞したか否かについての情報や、いずれの役が入賞したかについての情報、若しくはいずれのすべりテーブルが用いられたかについての情報、等々によって判別可能である。
(技術的思想4)
役についての抽選を行うとともに、該抽選の結果に基づいて図柄変動にかかる制御を行う抽選変動制御手段と、
前記抽選変動制御手段による抽選の結果に基づいて所定条件が満たされた場合、前記抽選変動制御手段に対して秘密裏に複数のゲーム条件のいずれかを決定可能であり、該決定したゲーム条件の内容に応じた図柄停止ゲームが進行されるように促す制御を行うゲーム補助演出制御手段と
を備え、
前記抽選変動制御手段は、
前記複数のゲーム条件のいずれかが秘密裏に決定されているなかで図柄停止ゲームが行われる場合、該秘密裏に決定されているゲーム条件がいずれの種別であるかを探索して推測するときの探索範囲を段階的に狭めていく処理に有用とされる探索有用情報の取得にかかる制御を行う探索有用情報取得手段と
前記探索有用情報取得手段による制御によって取得された探索有用情報に基づいて前記探索範囲を段階的に狭めていく処理を複数回行った結果、探索範囲に含まれるゲーム条件の種別が絞られたとき、この絞られた種別のゲーム条件が前記秘密裏に決定されたゲーム条件であると推測し、この推測したゲーム条件に応じた制御を実行する推測ゲーム提供手段と
を備え、
前記探索有用情報取得手段は、
前記探索有用情報を、複数回の図柄停止ゲームに分けて取得する手段を有し、
前記推測ゲーム提供手段は、
複数回の図柄停止ゲームにわたって、それら図柄停止ゲームに分けて取得される各探索有用情報に基づいて、前記探索範囲を段階的に狭めていく処理を実行可能な手段を有しており、
さらに、
前記ゲーム補助演出制御手段は、
前記抽選変動制御手段に対して秘密裏に決定したゲーム条件の内容に応じた図柄停止ゲームが進行されるように促す制御を行うときに用いられるプログラムデータの少なくとも一部分を、該プログラムデータの暗号化・復号化に供される暗号鍵が秘匿とされるセキュリティチップ内にて記憶保持する構造として設けられてなる
ことを特徴とする遊技機。
このような構成では、ゲーム補助演出制御手段が、抽選変動制御手段に対して秘密裏に複数のゲーム条件のいずれかを決定可能としたことから、抽選変動制御手段によってそのゲーム条件が推測されるまでに若干の時間ロス(除外時間)は生じてしまうものの、外部手段(ゲーム補助演出制御手段)の主導のもとで抽選変動制御手段側の複数のゲーム条件のうちの所望のゲーム条件に即した遊技を開始させることができるといった、これまでにない斬新な遊技手法を実現させることができるようになる。
また、上記構成では、探索範囲に含まれるゲーム条件の数が絞られて予測可能となった場合、この絞られたゲーム条件が上記秘密裏に決定されたゲーム条件であるとの確証はないにもかかわらず、該絞られたゲーム条件に応じた制御を開始することを大前提とした上で、その探索範囲については、複数回にわたって段階的に狭めていくようにしている。したがって、探索範囲が複数回にわたって段階的に狭められる都度、所望のゲーム条件が実際に残されるか否かについての演出性を生み出すことができるようになり、これによって遊技興趣が維持されるようになる。
また、上記構成では、複数回の図柄停止ゲームにわたって、それら図柄停止ゲームに分けて取得される各探索有用情報に基づいて、探索範囲に含まれるゲーム条件の数を絞っていくようにしている。このような多くの手掛かり(探索有用情報)を通じて、数多くのゲーム条件からの推測を可能としたり、推測ゲーム提供手段による推測に誤りが生じてしまう可能性を低減させたりすることができるようになる。
しかも、上記構成によれば、抽選変動制御手段に対して秘密裏に決定したゲーム条件の内容に応じた図柄停止ゲームが進行されるように促す制御を行うときに用いられるプログラムデータの少なくとも一部分を、該プログラムデータの暗号化・復号化に供される暗号鍵が秘匿とされるセキュリティチップ内にて記憶保持することから、斬新な遊技手法でありながらも、そのセキュリティ性能を好適に確保することができるようになる。
なお、探索有用情報としては、例えば、秘密裏に決定した外部手段(ゲーム補助演出制御手段)が、複数のゲーム条件の種別毎に予め対応付けされている操作態様を促した場合に、実際に現れた「操作態様」がいずれであるのかについての情報などを用いることが可能である。また、実際に現れた「操作態様」については、例えば、特定の図柄組み合わせが入賞したか否かについての情報や、いずれの役が入賞したかについての情報、若しくはいずれのすべりテーブルが用いられたかについての情報、等々によって判別可能である。
(技術的思想5)
役についての抽選を行うとともに、該抽選の結果に基づいて図柄変動にかかる制御を行う抽選変動制御手段と、
前記抽選変動制御手段による抽選の結果に基づいて所定条件が満たされた場合、前記抽選変動制御手段に対して秘密裏に複数のゲーム条件のいずれかを決定可能であり、該決定したゲーム条件の内容に応じた図柄停止ゲームが進行されるように促す制御を行うゲーム補助演出制御手段と
を備え、
前記抽選変動制御手段は、
前記複数のゲーム条件のいずれかが秘密裏に決定されたことが示される秘密裏決定情報を取得する秘密裏決定情報取得手段と、
前記秘密裏決定情報取得手段により秘密裏決定情報が取得された場合、所定の探索期間において、前記秘密裏に決定されているゲーム条件がいずれの種別であるかについての探索にかかる制御を実行可能な探索制御手段と
を備え、
前記探索制御手段は、
前記所定の探索期間において前記図柄停止ゲームが行われる場合、前記秘密裏に決定されているゲーム条件がいずれの種別であるかを探索して推測するときの探索範囲を段階的に狭めていく処理に有用とされる探索有用情報の取得にかかる制御を行う探索有用情報取得手段、
前記探索有用情報取得手段による制御によって取得された探索有用情報に基づいて前記探索範囲を段階的に狭めていく処理を複数回行った結果、探索範囲に含まれるゲーム条件の種別が絞られたとき、この絞られた種別のゲーム条件が前記秘密裏に決定されたゲーム条件であると推測し、この推測したゲーム条件に応じた制御を実行する推測ゲーム提供手段、及び
前記探索有用情報取得手段により取得された探索有用情報を、所定の条件下では、前記秘密裏決定情報取得手段により取得された秘密裏決定情報についての適正性判断にかかる判断材料として用い、適正性が低い旨判断した場合、前記探索にかかる制御が中止されるように制御する探索制御中止手段
を有しており、
前記ゲーム補助演出制御手段は、
前記抽選変動制御手段に対して秘密裏に決定したゲーム条件の内容に応じた図柄停止ゲームが進行されるように促す制御を行うときに用いられるプログラムデータの少なくとも一部分を、該プログラムデータの暗号化・復号化に供される暗号鍵が秘匿とされるセキュリティチップ内にて記憶保持する構造として設けられてなる
ことを特徴とする遊技機。
このような構成では、ゲーム補助演出制御手段が、抽選変動制御手段に対して秘密裏に複数のゲーム条件のいずれかを決定可能としたことから、抽選変動制御手段によってそのゲーム条件が推測されるまでに若干の時間ロス(除外時間)は生じてしまうものの、外部手段(ゲーム補助演出制御手段)の主導のもとで抽選変動制御手段側の複数のゲーム条件のうちの所望のゲーム条件に即した遊技を開始させることができるといった、これまでにない斬新な遊技手法を実現させることができるようになる。
また、上記構成では、探索範囲に含まれるゲーム条件の数が絞られて予測可能となった場合、この絞られたゲーム条件が上記秘密裏に決定されたゲーム条件であるとの確証はないにもかかわらず、該絞られたゲーム条件に応じた制御を開始することを大前提とした上で、その探索範囲については、複数回にわたって段階的に狭めていくようにしている。したがって、探索範囲が複数回にわたって段階的に狭められる都度、所望のゲーム条件が実際に残されるか否かについての演出性を生み出すことができるようになり、これによって遊技興趣が維持されるようになる。
また、上記構成では、上記探索有用情報を、秘密裏決定情報についての適正性判断にかかる判断材料としても用い、適正性が低い旨判断した場合は、探索にかかる制御を中止させるようにしている。これにより、外部手段(ゲーム補助演出制御手段)の主導のもとで秘密裏に決定されたゲーム条件を推測した結果に基づいて制御を行うものでありながらも、該制御にかかる信頼性を好適に維持することができるようになる。
しかも、上記構成によれば、抽選変動制御手段に対して秘密裏に決定したゲーム条件の内容に応じた図柄停止ゲームが進行されるように促す制御を行うときに用いられるプログラムデータの少なくとも一部分を、該プログラムデータの暗号化・復号化に供される暗号鍵が秘匿とされるセキュリティチップ内にて記憶保持することから、斬新な遊技手法でありながらも、そのセキュリティ性能を好適に確保することができるようになる。
なお、探索有用情報としては、例えば、秘密裏に決定した外部手段(ゲーム補助演出制御手段)が、複数のゲーム条件の種別毎に予め対応付けされている操作態様を促した場合に、実際に現れた「操作態様」がいずれであるのかについての情報などを用いることが可能である。また、実際に現れた「操作態様」については、例えば、特定の図柄組み合わせが入賞したか否かについての情報や、いずれの役が入賞したかについての情報、若しくはいずれのすべりテーブルが用いられたかについての情報、等々によって判別可能である。
(技術的思想6)
役についての抽選を行うとともに、該抽選の結果に基づいて図柄変動にかかる制御を行う抽選変動制御手段と、
前記抽選変動制御手段による抽選の結果に基づいて所定条件が満たされた場合、前記抽選変動制御手段に対して秘密裏に複数のゲーム条件のいずれかを決定可能であり、該決定したゲーム条件の内容に応じた図柄停止ゲームが進行されるように促す制御を行うゲーム補助演出制御手段と
を備え、
前記抽選変動制御手段は、
前記複数のゲーム条件のいずれかが秘密裏に決定されているなかで図柄停止ゲームが行われる場合、該秘密裏に決定されているゲーム条件がいずれの種別であるかを探索して推測するときの探索範囲を段階的に狭めていく処理に有用とされる探索有用情報の取得にかかる制御を行う探索有用情報取得手段と、
前記探索有用情報取得手段による制御によって取得された探索有用情報に基づいて前記探索範囲を段階的に狭めていく処理を複数回行った結果、探索範囲に含まれるゲーム条件の種別が絞られたとき、この絞られた種別のゲーム条件が前記秘密裏に決定されたゲーム条件であると推測し、この推測したゲーム条件に応じた制御を実行する推測ゲーム提供手段と
を備え、
前記複数のゲーム条件のいずれかに従った特別ゲームが開始されることを示す特別の図柄組み合わせが所定の表示部において出現可能とされるにもかかわらず、前記秘密裏に決定されうるゲーム条件の種別の数は、当該特別の図柄組み合わせとして出現可能とされている図柄組み合わせの種別の数よりも多くなるように設定されてなり、
さらに、
前記ゲーム補助演出制御手段は、
前記抽選変動制御手段に対して秘密裏に決定したゲーム条件の内容に応じた図柄停止ゲームが進行されるように該図柄停止ゲームに対する停止操作態様を促す制御を行うときに用いられるプログラムデータの少なくとも一部分を、該プログラムデータの暗号化・復号化に供される暗号鍵が秘匿とされるセキュリティチップ内にて記憶保持する構造として設けられてなる
ことを特徴とする遊技機。
このような構成では、ゲーム補助演出制御手段が、抽選変動制御手段に対して秘密裏に複数のゲーム条件のいずれかを決定可能としたことから、抽選変動制御手段によってそのゲーム条件が推測されるまでに若干の時間ロス(除外時間)は生じてしまうものの、外部手段(ゲーム補助演出制御手段)の主導のもとで抽選変動制御手段側の複数のゲーム条件のうちの所望のゲーム条件に即した遊技を開始させることができるといった、これまでにない斬新な遊技手法を実現させることができるようになる。
また、上記構成では、探索範囲に含まれるゲーム条件の数が絞られて予測可能となった場合、この絞られたゲーム条件が上記秘密裏に決定されたゲーム条件であるとの確証はないにもかかわらず、該絞られたゲーム条件に応じた制御を開始することを大前提とした上で、その探索範囲については、複数回にわたって段階的に狭めていくようにしている。したがって、探索範囲が複数回にわたって段階的に狭められる都度、所望のゲーム条件が実際に残されるか否かについての演出性を生み出すことができるようになり、これによって遊技興趣が維持されるようになる。
また、上記構成では、外部手段(ゲーム補助演出制御手段)側にて秘密裏に決定されうるゲーム条件の種別の数についても、特別の図柄組み合わせとして出現可能とされている図柄組み合わせの種別の数に制限されずにこれよりも多くなるように設定するようにしていることから、外部手段(ゲーム補助演出制御手段)の主導のもとで開始される遊技内容についても、所定の表示部や推測ゲーム提供手段側の既成の枠にとらわれない、より自由度の高い斬新な遊技として実現することができるようになる。
しかも、上記構成によれば、抽選変動制御手段に対して秘密裏に決定したゲーム条件の内容に応じた図柄停止ゲームが進行されるように促す制御を行うときに用いられるプログラムデータの少なくとも一部分を、該プログラムデータの暗号化・復号化に供される暗号鍵が秘匿とされるセキュリティチップ内にて記憶保持することから、斬新な遊技手法でありながらも、そのセキュリティ性能を好適に確保することができるようになる。
なお、探索有用情報としては、例えば、秘密裏に決定した外部手段(ゲーム補助演出制御手段)が、複数のゲーム条件の種別毎に予め対応付けされている操作態様を促した場合に、実際に現れた「操作態様」がいずれであるのかについての情報などを用いることが可能である。また、実際に現れた「操作態様」については、例えば、特定の図柄組み合わせが入賞したか否かについての情報や、いずれの役が入賞したかについての情報、若しくはいずれのすべりテーブルが用いられたかについての情報、等々によって判別可能である。
(技術的思想7)
役についての抽選を行うとともに、該抽選の結果に基づいて図柄変動にかかる制御を行う抽選変動制御手段と、
前記抽選変動制御手段による抽選の結果に基づいて所定条件が満たされた場合、前記抽選変動制御手段に対して秘密裏に複数のゲーム条件のいずれかを決定可能であり、該決定したゲーム条件の内容に応じた図柄停止ゲームが進行されるように該図柄停止ゲームに対する停止操作態様を促す制御を行うゲーム補助演出制御手段と
を備え、
前記抽選変動制御手段は、
前記ゲーム補助演出制御手段により複数のゲーム条件のいずれかが決定されている状況下にあるとき、前記図柄停止ゲームに対する停止操作態様が前記複数のゲーム条件の種別毎に対応付けされている役であるゲーム対応役についての抽選を行うゲーム対応役抽選手段、及び
前記ゲーム対応役抽選手段による抽選にて前記ゲーム対応役が選び出されて、該ゲーム対応役に対応付けされている停止操作態様が前記ゲーム補助演出制御手段による制御によって促されるなかで停止図柄が現れたとき、遊技者によっても把握される当該停止図柄に基づいて、前記決定されたゲーム条件がいずれの種別であるかを推測し、この推測した種別のゲーム条件に応じた制御を実行する推測ゲーム提供手段
を有しており、
前記ゲーム補助演出制御手段は、
前記抽選変動制御手段に対して秘密裏に決定したゲーム条件の内容に応じた図柄停止ゲームが進行されるように該図柄停止ゲームに対する停止操作態様を促す制御を行うときに用いられるプログラムデータの少なくとも一部分を、該プログラムデータの暗号化・復号化に供される暗号鍵が秘匿とされるセキュリティチップ内にて記憶保持する構造として設けられてなる
ことを特徴とする遊技機。
このような構成では、ゲーム補助演出制御手段が、抽選変動制御手段に対して秘密裏に複数のゲーム条件のいずれかを決定可能としたことから、抽選変動制御手段によってそのゲーム条件が推測されるまでに若干の時間ロス(除外時間)は生じてしまうものの、外部手段(ゲーム補助演出制御手段)の主導のもとで抽選変動制御手段側の複数のゲーム条件のうちの所望のゲーム条件に即した遊技を開始させることができるといった、これまでにない斬新な遊技手法を実現させることができるようになる。
また、上記構成では、複数のゲーム条件のいずれかを外部手段(ゲーム補助演出制御手段)で決定することのみならず、該決定されたゲーム条件に関する情報を、遊技者による監視下におき、該監視下にある情報から推測可能とされるゲーム条件に従ってゲームの進行にかかる制御が行われるようにしている。したがって、遊技者は、外部手段(ゲーム補助演出制御手段)で決定されたゲーム条件がいずれであるのかを解読する面白さを享受することができることはもとより、こうして解読したゲーム条件が適切に現れるかについての推測ゲーム提供手段の適正性にかかる監視を通じて、遊技を安心して楽しむことができるようになる。
しかも、上記構成によれば、抽選変動制御手段に対して秘密裏に決定したゲーム条件の内容に応じた図柄停止ゲームが進行されるように促す制御を行うときに用いられるプログラムデータの少なくとも一部分を、該プログラムデータの暗号化・復号化に供される暗号鍵が秘匿とされるセキュリティチップ内にて記憶保持することから、斬新な遊技手法でありながらも、そのセキュリティ性能を好適に確保することができるようになる。
なお、「停止操作態様が遊技者に対して促される」については、必ずしも、停止操作態様(操作順、操作タイミングなど)を明示的に促すものに限られない。例えば、変則押しに対してペナルティが課される遊技機にあって、何らの操作順も促されていない場合であっても、順押しなどの特定の停止操作態様を暗黙的に促していると言える。
(技術的思想8)
役についての抽選を行うとともに、該抽選の結果に基づいて図柄変動にかかる制御を行う抽選変動制御手段と、
前記抽選変動制御手段による抽選の結果に基づいて所定条件が満たされた場合、前記抽選変動制御手段に対して秘密裏に複数のゲーム条件のいずれかを決定可能であり、該決定したゲーム条件の内容に応じた図柄停止ゲームが進行されるように該図柄停止ゲームに対する停止操作態様を促す制御を行うゲーム補助演出制御手段と
を備え、
前記抽選変動制御手段は、
前記ゲーム補助演出制御手段により複数のゲーム条件のいずれかが決定されている状況下にあるとき、前記複数のゲーム条件の種別毎に役入賞または非役入賞となる特定の停止操作態様が対応付けされている役である解読有用役についての抽選を行う解読有用役抽選手段、及び
前記解読有用役抽選手段による抽選にて前記解読有用役が選び出されて、前記特定の停止操作態様が前記ゲーム補助演出制御手段による制御によって促されるなかで該解読有用役についての入賞にかかる結果情報が現れたとき、遊技者によっても把握される当該結果情報に基づいて、前記秘密裏に決定されたゲーム条件がいずれの種別であるかを推測し、この推測した種別のゲーム条件に応じた制御を実行する監視下解読ゲーム実行手段
を備え、
前記解読有用役は、
前記秘密裏に決定されているゲーム条件がいずれの種別であるのかが推測されるまでの間に、複数回にわたって選び出されるようになっており、
前記監視下解読ゲーム実行手段は、
前記解読有用役が複数回にわたって選び出されたときに現れる各結果情報に基づいて、前記秘密裏に決定されているゲーム条件がいずれの種別であるかを推測する手段を有しており、
さらに、
前記ゲーム補助演出制御手段は、
前記抽選変動制御手段に対して秘密裏に決定したゲーム条件の内容に応じた図柄停止ゲームが進行されるように該図柄停止ゲームに対する停止操作態様を促す制御を行うときに用いられるプログラムデータの少なくとも一部分を、該プログラムデータの暗号化・復号化に供される暗号鍵が秘匿とされるセキュリティチップ内にて記憶保持する構造として設けられてなる
ことを特徴とする遊技機。
このような構成では、ゲーム補助演出制御手段が、抽選変動制御手段に対して秘密裏に複数のゲーム条件のいずれかを決定可能としたことから、抽選変動制御手段によってそのゲーム条件が推測されるまでに若干の時間ロス(除外時間)は生じてしまうものの、外部手段(ゲーム補助演出制御手段)の主導のもとで抽選変動制御手段側の複数のゲーム条件のうちの所望のゲーム条件に即した遊技を開始させることができるといった、これまでにない斬新な遊技手法を実現させることができるようになる。
また、上記構成では、複数のゲーム条件のいずれかを外部手段(ゲーム補助演出制御手段)で決定することのみならず、該決定されたゲーム条件に関する情報を、遊技者による監視下におき、該監視下にある情報から推測可能とされるゲーム条件に従ってゲームの進行にかかる制御が行われるようにしている。したがって、遊技者は、外部手段(ゲーム補助演出制御手段)で決定されたゲーム条件がいずれであるのかを解読する面白さを享受することができることはもとより、こうして解読したゲーム条件が適切に現れるかについての推測ゲーム提供手段の適正性にかかる監視を通じて、遊技を安心して楽しむことができるようになる。
また、上記構成では、解読有用役を、秘密裏に決定されたゲーム条件がいずれであるのかが推測されるまでの間に、複数回にわたって選び出すようにしており、こうして複数回にわたって選び出されたときに現れる各結果情報に基づいて、秘密裏に決定されたゲーム条件がいずれであるかを推測するようにしている。このような多くの手掛かり(解読有用役に対する各結果情報)を通じて、数多くのゲーム条件からの推測を可能としたり、監視下解読ゲーム実行手段による推測に誤りが生じてしまう可能性を低減させたりすることができるようになる。
しかも、上記構成によれば、抽選変動制御手段に対して秘密裏に決定したゲーム条件の内容に応じた図柄停止ゲームが進行されるように促す制御を行うときに用いられるプログラムデータの少なくとも一部分を、該プログラムデータの暗号化・復号化に供される暗号鍵が秘匿とされるセキュリティチップ内にて記憶保持することから、斬新な遊技手法でありながらも、そのセキュリティ性能を好適に確保することができるようになる。
なお、「特定の停止操作態様を遊技者に対して促す」については、必ずしも、停止操作態様(操作順、操作タイミングなど)を明示的に促すものに限られない。例えば、変則押しに対してペナルティが課される遊技機にあって、何らの操作順も促されていない場合であっても、順押しなどの特定の停止操作態様を暗黙的に促していると言える。
(技術的思想9)
役についての抽選を行うとともに、該抽選の結果に基づいて図柄変動にかかる制御を行う抽選変動制御手段と、
前記抽選変動制御手段による抽選の結果に基づいて所定条件が満たされた場合、前記抽選変動制御手段に対して秘密裏に複数のゲーム条件のいずれかを決定可能であり、該決定したゲーム条件の内容に応じた図柄停止ゲームが進行されるように該図柄停止ゲームに対する停止操作態様を促す制御を行うゲーム補助演出制御手段と
を備え、
前記抽選変動制御手段は、
複数のゲーム条件のいずれかが秘密裏に決定されたことが示される秘密裏決定情報を取得する秘密裏決定情報取得手段と、
前記秘密裏決定情報取得手段により秘密裏決定情報が取得された場合、所定の解読期間において、前記秘密裏に決定されたゲーム条件がいずれの種別であるのかについての解読にかかる制御を実行可能な解読制御手段と
を備え、
前記解読制御手段は、
前記所定の解読期間にあるとき、前記複数のゲーム条件の種別毎に役入賞または非役入賞となる特定の停止操作態様が対応付けされている役である解読有用役についての抽選を行う解読有用役抽選手段と、
前記解読有用役抽選手段による抽選にて前記解読有用役が選び出されて、前記特定の停止操作態様が前記ゲーム補助演出制御手段による制御によって促されるなかで該解読有用役についての入賞にかかる結果情報が現れたとき、遊技者によっても把握される当該結果情報に基づいて、前記秘密裏に決定されているゲーム条件がいずれの種別であるかを推測し、この推測した種別のゲーム条件に応じた制御を実行する監視下解読ゲーム実行手段と、
前記特定の停止操作態様が遊技者に対して促されるなかで該解読有用役についての入賞にかかる結果情報が現れたとき、所定の条件下では、前記秘密裏決定情報取得手段により取得された秘密裏決定情報についての適正性判断にかかる判断材料として当該結果情報を用い、適正性が低い旨判断した場合、前記解読にかかる制御が中止されるように制御する解読制御中止手段と
を有しており、
前記ゲーム補助演出制御手段は、
前記抽選変動制御手段に対して秘密裏に決定したゲーム条件の内容に応じた図柄停止ゲームが進行されるように該図柄停止ゲームに対する停止操作態様を促す制御を行うときに用いられるプログラムデータの少なくとも一部分を、該プログラムデータの暗号化・復号化に供される暗号鍵が秘匿とされるセキュリティチップ内にて記憶保持する構造として設けられてなる
ことを特徴とする遊技機。
このような構成では、ゲーム補助演出制御手段が、抽選変動制御手段に対して秘密裏に複数のゲーム条件のいずれかを決定可能としたことから、抽選変動制御手段によってそのゲーム条件が推測されるまでに若干の時間ロス(除外時間)は生じてしまうものの、外部手段(ゲーム補助演出制御手段)の主導のもとで抽選変動制御手段側の複数のゲーム条件のうちの所望のゲーム条件に即した遊技を開始させることができるといった、これまでにない斬新な遊技手法を実現させることができるようになる。
また、上記構成では、複数のゲーム条件のいずれかを外部手段(ゲーム補助演出制御手段)で決定することのみならず、該決定されたゲーム条件に関する情報を、遊技者による監視下におき、該監視下にある情報から推測可能とされるゲーム条件に従ってゲームの進行にかかる制御が行われるようにしている。したがって、遊技者は、外部手段(ゲーム補助演出制御手段)で決定されたゲーム条件がいずれであるのかを解読する面白さを享受することができることはもとより、こうして解読したゲーム条件が適切に現れるかについての推測ゲーム提供手段の適正性にかかる監視を通じて、遊技を安心して楽しむことができるようになる。
また、上記構成では、上記解読有用役についての入賞にかかる結果情報を、秘密裏決定情報についての適正性判断にかかる判断材料としても用い、適正性が低い旨判断した場合は、解読にかかる制御を中止させるようにしている。これにより、外部手段(ゲーム補助演出制御手段)の主導のもとで秘密裏に決定されたゲーム条件を推測した結果に基づいて制御を行うものでありながらも、該制御にかかる信頼性を好適に維持することができるようになる。
しかも、上記構成によれば、抽選変動制御手段に対して秘密裏に決定したゲーム条件の内容に応じた図柄停止ゲームが進行されるように促す制御を行うときに用いられるプログラムデータの少なくとも一部分を、該プログラムデータの暗号化・復号化に供される暗号鍵が秘匿とされるセキュリティチップ内にて記憶保持することから、斬新な遊技手法でありながらも、そのセキュリティ性能を好適に確保することができるようになる。
なお、「特定の停止操作態様を遊技者に対して促す」については、必ずしも、停止操作態様(操作順、操作タイミングなど)を明示的に促すものに限られない。例えば、変則押しに対してペナルティが課される遊技機にあって、何らの操作順も促されていない場合であっても、順押しなどの特定の停止操作態様を暗黙的に促していると言える。
(技術的思想10)
役についての抽選を行うとともに、該抽選の結果に基づいて図柄変動にかかる制御を行う抽選変動制御手段と、
前記抽選変動制御手段による抽選の結果に基づいて所定条件が満たされた場合、前記抽選変動制御手段に対して秘密裏に複数のゲーム条件のいずれかを決定可能であり、該決定したゲーム条件の内容に応じた図柄停止ゲームが進行されるように該図柄停止ゲームに対する停止操作態様を促す制御を行うゲーム補助演出制御手段と
を備え、
前記抽選変動制御手段は、
前記ゲーム補助演出制御手段により複数のゲーム条件のいずれかが決定されている状況下にあるとき、前記複数のゲーム条件の種別毎に役入賞または非役入賞となる特定の停止操作態様が対応付けされている役である解読有用役についての抽選を行う解読有用役抽選手段と、
前記解読有用役抽選手段による抽選にて前記解読有用役が選び出されて、前記特定の停止操作態様が前記ゲーム補助演出制御手段による制御によって促されるなかで該解読有用役についての入賞にかかる結果情報が現れたとき、遊技者によっても把握される当該結果情報に基づいて、前記秘密裏に決定されているゲーム条件がいずれの種別であるかを推測し、この推測した種別のゲーム条件に応じた制御を実行する監視下解読ゲーム実行手段と
を備え、
前記複数のゲーム条件のいずれかに従った特別ゲームが開始されることを示す特別の図柄組み合わせが所定の表示部において出現可能とされるにもかかわらず、前記秘密裏に決定されうるゲーム条件の種別の数は、当該特別の図柄組み合わせとして出現可能とされている図柄組み合わせの種別の数よりも多くなるように設定されてなり、
さらに、
前記ゲーム補助演出制御手段は、
前記抽選変動制御手段に対して秘密裏に決定したゲーム条件の内容に応じた図柄停止ゲームが進行されるように該図柄停止ゲームに対する停止操作態様を促す制御を行うときに用いられるプログラムデータの少なくとも一部分を、該プログラムデータの暗号化・復号化に供される暗号鍵が秘匿とされるセキュリティチップ内にて記憶保持する構造として設けられてなる
ことを特徴とする遊技機。
このような構成では、ゲーム補助演出制御手段が、抽選変動制御手段に対して秘密裏に複数のゲーム条件のいずれかを決定可能としたことから、抽選変動制御手段によってそのゲーム条件が推測されるまでに若干の時間ロス(除外時間)は生じてしまうものの、外部手段(ゲーム補助演出制御手段)の主導のもとで抽選変動制御手段側の複数のゲーム条件のうちの所望のゲーム条件に即した遊技を開始させることができるといった、これまでにない斬新な遊技手法を実現させることができるようになる。
また、上記構成では、複数のゲーム条件のいずれかを外部手段(ゲーム補助演出制御手段)で決定することのみならず、該決定されたゲーム条件に関する情報を、遊技者による監視下におき、該監視下にある情報から推測可能とされるゲーム条件に従ってゲームの進行にかかる制御が行われるようにしている。したがって、遊技者は、外部手段(ゲーム補助演出制御手段)で決定されたゲーム条件がいずれであるのかを解読する面白さを享受することができることはもとより、こうして解読したゲーム条件が適切に現れるかについての推測ゲーム提供手段の適正性にかかる監視を通じて、遊技を安心して楽しむことができるようになる。
また、上記構成では、外部手段(ゲーム補助演出制御手段)側にて秘密裏に決定されうるゲーム条件の種別の数についても、特別の図柄組み合わせとして出現可能とされている図柄組み合わせの種別の数に制限されずにこれよりも多くなるように設定するようにしていることから、外部手段の主導のもとで開始される遊技内容についても、所定の表示部や推測ゲーム提供手段側の既成の枠にとらわれない、より自由度の高い斬新な遊技として実現することができるようになる。
しかも、上記構成によれば、抽選変動制御手段に対して秘密裏に決定したゲーム条件の内容に応じた図柄停止ゲームが進行されるように促す制御を行うときに用いられるプログラムデータの少なくとも一部分を、該プログラムデータの暗号化・復号化に供される暗号鍵が秘匿とされるセキュリティチップ内にて記憶保持することから、斬新な遊技手法でありながらも、そのセキュリティ性能を好適に確保することができるようになる。
なお、「特定の停止操作態様を遊技者に対して促す」については、必ずしも、停止操作態様(操作順、操作タイミングなど)を明示的に促すものに限られない。例えば、変則押しに対してペナルティが課される遊技機にあって、何らの操作順も促されていない場合であっても、順押しなどの特定の停止操作態様を暗黙的に促していると言える。
以上は、本発明のスロットマシン1の一形態であるが、これに限定されることはない。スロットマシン以外の遊技機、例えば、パチンコ機とスロットマシンとを融合させてなる遊技機等であっても本発明を適用することができる。