JP2015066311A - 画像処理装置、画像処理方法、画像処理装置の制御プログラム、記録媒体 - Google Patents
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Abstract
【課題】三次元画像から肝臓領域を高精度に抽出する。【解決手段】画像処理装置10は、三次元画像から抽出された腹部血管から、血管の太さに基づいて特定した、肝臓と他の臓器とを連結する血管を除去する主血管領域除去部16と、血管を除去したことによって上記腹部血管から分離された肝臓血管を特定する分類部17と、肝臓血管を包含する領域を肝臓領域として抽出するコア領域生成部18とを備えている。【選択図】図1
Description
本発明は画像処理装置および画像処理方法に関する。より具体的には、被検体の三次元断層画像の画像処理装置等に関する。
CT(Computed Tomography)装置を用いて得られるX線断層像は高い空間分解能を有する。このため、CT装置の利用により、被検体の様々な器官および組織の形状などを無侵襲条件で詳細に観察することが可能である。
CT装置は、X線管および当該X線管から射出されるX線を受け取るように配置された検出器を有する。X線管から被検体に向けて射出されたX線は、被検体を透過して検出器に到達し、検出器がこの透過X線の強度を検出する。CT装置は、様々な方向からX線を被検体に向けて射出したときの透過X線の強度を解析・統合することで、被検体の各断層における投影データ(断層像)を生成する。
最近では、らせん起動スキャン(ヘリカルスキャンあるいはスパイラルスキャンと呼ばれる)が開発され、2次元的な断層画像を連続的に並べて三次元画像を生成できるマルチスライスCT(MDCT:Multi-detector row CT)装置が登場している。このMDCT装置は、複数の検出器列(複数の検出器(チャンネル)が配列されたものでエレメントとも呼ばれる)を備えるCT装置である。MDCT装置は、広い範囲を高速に撮影することが可能であり、被験者(被検体)が強いられる息止めの回数を少なくできるなど、被験者の負担が少なくて済むという特徴がある。また、各断層像のスライス厚を1mm以下にすることができるため、小さい病変であっても生成された三次元画像において描出することができる。
このように、CT装置などのイメージング機器の高性能化が進み、現代医療における画像診断法において高解像度の三次元画像が用いられるようになった。
例えば、肝臓、肺などの臓器に生じた病変部分を切除する外科手術に際して、医師は、手術前に画像診断を行い、病変部分の位置および広がりなどを検討し、手術により切除すべき領域を決定することが多い。
しかし、CT装置の高性能化に伴って、被験者当たりのCT画像数が増加し、CT画像を読影する医師などの負担が大きくなってきている。そこで、医師の負担を軽減するためのコンピュータ支援診断(CAD:Computer Aided Diagnosis)システムの開発が期待されている。例えば、肝臓の手術を行う際には、CT画像をコンピュータによって解析して、肝臓の体積や、CT画像上における肝臓領域の範囲を特定し、この特定結果を利用することにより、医師の負担を軽減しつつ的確な手術を行うことが可能になる。この他、CADシステムは、病変部の自動検出にも利用されており、例えば下記の非特許文献1には、三次元画像からしきい値法を用いて抽出した肝臓内血管に基づいて、肝臓癌を検出するCADシステムについて記載されている。
齊藤剛史ら、「CT画像における構造解析に基づく肝臓内血管の抽出と肝臓癌の検出」、電子情報通信学会論文誌、2004年6月、Vol.J87−D−II,No.6,p.1359-1368
以上のように、CT画像から肝臓領域を抽出する技術は、医療現場などから必要とされている技術であり、従来から様々な手法の開発が進められている。しかしながら、肝臓のCT値と、肝臓に隣接する臓器のCT値とが近い場合には、肝臓の外縁を正確に決定することは難しい。また、肝臓内部に腫瘍が存在する場合等には、その腫瘍領域のCT値が非腫瘍領域と異なる値となることがあり、これにより肝臓の外縁を正確に決定することが困難となることがあった。
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、被検体の三次元画像から肝臓領域を正確に抽出することのできる画像処理装置等を提供することにある。
上記の課題を解決するために、本発明の画像処理装置は、腹部の三次元画像から肝臓領域を抽出する画像処理装置であって、上記三次元画像において肝臓および他の臓器の血管の領域を含む腹部血管領域から、肝臓と他の臓器とを連結する血管の領域である連結血管領域を除去する除去手段と、上記除去手段が上記連結血管領域を除去したことによって上記腹部血管領域から分離された肝臓血管領域を特定する肝臓血管特定手段と、上記肝臓血管特定手段が特定した肝臓血管領域に外接する面および該面で囲まれる領域を肝臓領域として抽出する肝臓抽出手段と、を備えていることを特徴としている。
また、本発明の画像処理方法は、上記の課題を解決するために、腹部の三次元画像から肝臓領域を抽出する画像処理装置による画像処理方法であって、上記三次元画像において肝臓および他の臓器の血管の領域を含む腹部血管領域から、肝臓と他の臓器とを連結する血管の領域である連結血管領域を除去する除去ステップと、上記除去ステップにて上記連結血管領域を除去したことによって上記腹部血管領域から分離された肝臓血管領域を特定する肝臓血管特定ステップと、上記肝臓血管特定ステップにて特定した肝臓血管領域に外接する面および該面で囲まれる領域を肝臓領域として抽出する肝臓抽出ステップと、を含むことを特徴としている。
ここで、肝臓と他の臓器とが接触している場合であっても、肝臓と当該他の臓器とは、その接触面において血管で連結されている訳ではない。また、肝臓に腫瘍等が存在する場合であっても、腫瘍領域にも血管は通っている。そこで、上記の構成によれば、腹部血管領域から、肝臓と他の臓器とを連結する血管の領域である連結血管領域を除去して、腹部血管領域から分離された肝臓血管領域を特定し、該肝臓血管に外接する面および該面で囲まれる領域を肝臓領域として抽出する。これにより、他の臓器との接触の有無、および腫瘍の有無にかかわらず、肝臓領域を正確に抽出することができる。
なお、連結血管領域の除去は、例えば以下のようにして行うことができる。(1)腹部血管領域に含まれる血管領域を太さによって分類して所定の太さ以上の血管領域を特定する。(2)特定された所定の太さ以上の血管領域から所定の距離以内にある周囲の血管領域を特定する。(3)上記(1)および(2)で特定した血管領域のそれぞれを、上記腹部血管領域から除去する。また、これらの処理ですべての連結血管領域が除去できない場合(肝臓血管領域と他の臓器の血管領域とが繋がっている場合)、さらに以下の処理を行ってもよい。(4)腹部血管領域に含まれる血管領域を、所定の太さ未満の血管の領域である末梢血管領域と、所定の太さ以上の血管の領域である中間血管領域とに分類する。(5)複数の独立した(空間的に離れた位置の)中間血管領域に接続している末梢血管領域を上記腹部血管領域から除去する。
さらに、本発明の画像処理装置は、上記三次元画像における、骨、肝臓血管以外の血管、および肝臓以外の臓器の少なくとも何れかに相当する領域を非肝臓領域として特定する非肝臓領域特定手段と、上記非肝臓領域特定手段が特定した非肝臓領域と、上記肝臓抽出手段が抽出した肝臓領域との間に境界面を生成する境界面生成手段と、上記肝臓領域に隣接する領域の画素値と所定の閾値とを比較することで特定した、上記肝臓領域に隣接する領域のうち該肝臓領域に追加する領域を、上記肝臓領域に追加して該肝臓領域を拡張する処理を、拡張後の肝臓領域が上記境界面を超えない範囲で繰り返し行う拡張手段と、を備えていることが好ましい。
上記の構成によれば、非肝臓領域と、抽出した肝臓領域との間に境界面を生成し、境界面を超えない範囲で肝臓領域を拡張する。これにより、血管領域が抽出されなかったことによって肝臓抽出手段の抽出対象外とされたが、その画素値から肝臓領域に含まれると考えられる領域を肝臓領域に含めることができる。また、拡張は、境界面を超えない範囲で行われるため、非肝臓領域まで肝臓領域を拡張してしまうことを防ぐことができる。よって、肝臓領域をより正確に抽出することができる。
さらに、本発明の画像処理方法は、上記境界面生成手段は、上記拡張手段による拡張が、拡張後の肝臓領域が上記境界面に達することで終了した場合、上記境界面の位置を、拡張後の肝臓領域と上記非肝臓領域との間の位置に更新し、上記拡張手段は、上記拡張する処理を、拡張後の肝臓領域が上記更新後の境界面を超えない範囲で繰り返し行うことが好ましい。
ここで、肝臓血管の抽出が十分でなかった場合等には、非肝臓領域と、抽出した肝臓領域との間に境界面を生成したときに、境界面が正しい肝臓領域(肝臓領域として抽出されなかったが実際は肝臓に対応している領域)上に設定される可能性がある。このような場合、境界面で拡張が止まってしまい、正しい肝臓領域まで拡張が行われないことになる。そこで、上記の構成によれば、拡張後の肝臓領域が上記境界面に達することで終了した場合に、境界面の位置を、拡張後の肝臓領域と非肝臓領域との間の位置に更新し、更新後の境界面を用いて再度拡張を行う。これにより、境界面が正しい肝臓領域上に設定された場合であっても、肝臓領域を正しい肝臓領域まで拡張することが可能になる。
さらに、本発明の画像処理方法は、上記肝臓領域内において画素値が低い領域である低画素値領域が検出された場合、該低画素値領域に隣接する領域の画素値と、上記所定の閾値よりも値の小さい低画素値領域用閾値とを比較することで特定した領域を追加して拡張することが好ましい。
ここで、肝臓に生じる腫瘍には、正常な肝臓と異なる画素値となるものがあることが知られており、このような腫瘍に対応する領域は周囲とのコントラストが低くなるため、肝臓領域に分類することが難しい。そこで、上記の構成によれば、低画素値領域については、該低画素値領域に隣接する領域のうち、通常の拡張に用いる閾値よりも値の小さい低画素値領域用閾値を用いて拡張を行う。これにより、腫瘍が生じている肝臓の三次元画像からその腫瘍を含む肝臓領域を高精度に抽出することができる。
さらに、本発明の画像処理方法は、上記肝臓抽出手段は、上記抽出した肝臓血管領域に含まれる複数の肝臓血管のそれぞれの先端を結ぶ各線分を辺とする多面体を肝臓領域として抽出し、該抽出の際には、上記多面体の辺が、肝臓領域と肝臓領域に隣接する臓器の領域とを識別するために設定された所定の閾値に基づいて肝臓領域として識別される領域のみを通るようにすることが好ましい。
上記の構成によれば、肝臓領域の表面を構成する最大多面体の辺は肝臓領域を通る。よって、肝臓領域の近傍に位置する、肝臓領域に隣接する臓器の領域(他の臓器等に対応しており、肝臓には対応しないと考えられる領域)を含まない肝臓領域を抽出することができる。
なお、本発明の画像処理装置は、コンピュータによって実現してもよく、この場合には、コンピュータを上記画像処理装置が備える各手段として動作させることにより上記画像処理装置をコンピュータにて実現させる画像処理装置の制御プログラム、およびそれを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体も、本発明の範疇に入る。
以上のように、本発明の画像処理装置または画像処理方法によれば、肝臓と他の臓器との接触の有無、および肝臓における腫瘍の有無にかかわらず、三次元画像から肝臓領域を正確に抽出することができるという効果を奏する。
〔実施形態1〕
以下、本発明の一態様に係る画像処理装置10を画像診断支援システム1に適用した場合を例に挙げて、その実施の形態について詳細に説明する。特に、マルチスライスCT(MDCT)装置によって生成された被検体の肝臓を含む腹部X線断層画像から生成された三次元画像を用いて、被検体の肝臓を画像処理装置10によって抽出する場合について詳細に説明する。
以下、本発明の一態様に係る画像処理装置10を画像診断支援システム1に適用した場合を例に挙げて、その実施の形態について詳細に説明する。特に、マルチスライスCT(MDCT)装置によって生成された被検体の肝臓を含む腹部X線断層画像から生成された三次元画像を用いて、被検体の肝臓を画像処理装置10によって抽出する場合について詳細に説明する。
特に、ここでは、造影剤を投与してから50〜70秒後に得られる三次元CT画像(門脈相)を用いる場合について説明する。コントラスト増強CTスキャンで得られる画像は、一般に、(1)動脈相、(2)門脈相、(3)平衡相、の3つの相によって評価される。中でも、門脈相は、肝臓の実質組織が強調される他、本発明の画像処理方法に関連する部位(門脈、肝静脈、肝腫瘍(正常な肝組織よりも強調される程度は低い)、腎臓等)が強調されるため好ましい。なお、CT値は、造影剤投与後の時間経過に応じて変化するため、画像処理の対象となる部位のコントラストが明瞭となるようなタイミングで撮像された画像を用いることが望ましい。
なお、以下の実施形態では、説明が煩雑になることを避けるために、例えば「肝臓を抽出する」のように、生体の臓器を処理するかのように記載する場合があるが、これらはすべて画像における処理である。つまり、前記の「肝臓を抽出する」という記載は、正確には「肝臓を示す画像を抽出する」処理(画像における肝臓に相当する領域を抽出する処理)のことを意味するものとする。
ここで、MDCT装置は、被検体のX線断層画像を、撮像位置を移動させながら各撮像位置で連続して撮像し、撮像された各断層像を互いに連結することで三次元画像を生成する。MDCT装置によって生成された三次元画像は、被検体の体内の組織によってX線が吸収された吸収率に基づいた断層画像によって構成されている。従って、該画像を構成する画素の各CT値(画素値)は、上記X線の吸収率に対応している。例えば、CT装置においては一般的にX線吸収率が高い高濃度領域は白く(高い画素値で)表示され、X線吸収率が低い低濃度領域は黒く(低い画素値で)表示される。なお、三次元画像の画素値は、X線吸収率の高低を表すものであればよく、上記とは逆にX線吸収率が高い高濃度領域ほど黒く(低い画素値で)表示してもよい。
なお、X線吸収率を評価するためには、一般的に、Hounsfield Unit(HUと略される)という単位系が用いられる。この単位系では、純水(H2O)のX線吸収率は0(ゼロ)HUであり、空気(air)のX線吸収率は−1000HUと規定される。例えば、骨皮質は+1000HUであり、多くの臓器は、40〜60HUである。
(画像診断支援システムの概略構成)
図1は、本発明の実施形態に係る画像処理装置10を備える画像診断支援システム1の構成例を示すブロック図である。図1に示すように、画像診断支援システム1は、本発明の画像処理装置10、記憶装置30、操作入力部51、および表示部52を少なくとも備えている。画像処理装置10の概略構成と機能については後に詳述する。
図1は、本発明の実施形態に係る画像処理装置10を備える画像診断支援システム1の構成例を示すブロック図である。図1に示すように、画像診断支援システム1は、本発明の画像処理装置10、記憶装置30、操作入力部51、および表示部52を少なくとも備えている。画像処理装置10の概略構成と機能については後に詳述する。
記憶装置30は、画像処理装置10が使用する各種データを格納する装置であり、MDCT装置(図示せず)によって生成された三次元画像を記憶する画像記憶部31を少なくとも含んでいる。
操作入力部51は、画像診断支援システム1のユーザによる入力操作を受け付ける装置であり、キーボード、マウスなどである。操作入力部51は、例えば、表示部52に表示される画像上の領域を指定する入力操作を受け付ける。
表示部52は、画像処理装置10の制御に従って画像を表示する装置であり、後述の画像処理装置10が出力する画像データを表示する。表示部52は、例えば、画像記憶部31に記憶されている画像、MDCT装置が生成した画像、あるいは画像処理装置10のユーザからの指示入力などをガイドするGUI(Graphical User Interface)を表示する。また、表示部52は、その表示画面にタッチパネルを重畳して構成することで、該表示画面にてユーザの操作入力を受け付ける操作入力部51としても機能するようにしてもよい。
(画像処理装置の構成)
画像処理装置10は少なくとも、画像取得部11、前処理部12、血管領域抽出部13、主血管領域抽出部14、主血管領域拡張部15、主血管領域除去部(除去手段)16、分類部(肝臓血管特定手段、非肝臓領域特定手段)17、コア領域生成部(肝臓抽出手段)18、境界面生成部(境界面生成手段)19、腫瘍有無判定部20、コア領域拡張部(拡張手段)21、修正部22、および穴埋め部23を備えている。
画像処理装置10は少なくとも、画像取得部11、前処理部12、血管領域抽出部13、主血管領域抽出部14、主血管領域拡張部15、主血管領域除去部(除去手段)16、分類部(肝臓血管特定手段、非肝臓領域特定手段)17、コア領域生成部(肝臓抽出手段)18、境界面生成部(境界面生成手段)19、腫瘍有無判定部20、コア領域拡張部(拡張手段)21、修正部22、および穴埋め部23を備えている。
画像取得部11は、画像記憶部31から、画像処理の対象となる腹部の三次元画像を取得する。
前処理部12は、画像取得部11が取得した三次元画像から、背骨領域、肋骨領域、石灰化部分、および腎臓領域を除去する。具体的には、前処理部12は、CT値(X線吸収率に対応)が所定の閾値Q1(例えば、350HU)より高い領域として抽出される、骨領域および石灰化部分を除去する。また、前処理部12は、腎臓に該当する領域がユーザによって選択されると、選択された位置を開始点とする領域拡張を行い、腎臓領域を抽出する。そして、前処理部12は、抽出した腎臓領域を、前処理部12によって、画像取得部11が取得した三次元画像を構成するCT画像から除去する。なお、前処理部12は、小成分除去法により、所定の大きさQ3(例えば、1mm3)未満の領域を除去してもよい。なお、前処理部12が背骨、肋骨、石灰化部分、および腎臓を除去する処理については、後に詳述する。
血管領域抽出部13は、前処理部12による処理後の三次元画像において、末梢血管を強調し、腹部血管(腹部血管領域)の抽出を行う。血管領域抽出部13は、CT値が所定の閾値Q4(例えば、0HU)より大きい領域に対して、三次元のオープニング処理を行い、太い血管および大きい組織がぼやけた背景画像を生成する。そして、血管領域抽出部13は、前処理部12で処理された画像から背景画像を減算することにより得られる画像を、前処理部12で処理された画像に加算して、末梢血管を強調する。
また、血管領域抽出部13は、ユーザによって選択された領域からCT値が閾値Q3以上の点を開始点として決定し、領域拡張を行い、腹部血管を抽出する。
主血管領域抽出部14は、血管領域抽出部13によって抽出された腹部血管の画像(腹部血管画像)から、所定の太さ以上の血管の領域を抽出する。
主血管領域拡張部15は、主血管領域抽出部14によって抽出された領域を拡張する。
主血管領域除去部16は、血管領域抽出部13が抽出した腹部血管から、主血管領域拡張部15によって拡張された領域であって、肝臓と他の臓器とを連結する血管の領域(連結血管領域)を除去する。
分類部17は、主血管領域除去部16が血管を除去した後の腹部血管を肝臓血管(肝臓血管領域)と非肝臓血管とに分類する。
コア領域生成部18は、分類部17が肝臓血管に分類した血管を基に、多面体からなる肝臓のコア領域を生成する。
境界面生成部19は、CT画像上で肝臓領域を非肝臓領域と分離するための境界面を構築する。この境界面の構築には、前処理部12によって抽出された、背骨、肋骨、石灰化部分、および腎臓に加えて、コア領域生成部18によって生成された肝臓のコア領域LCと、分類部17によって特定された非肝臓領域とが利用される。
腫瘍有無判定部20は、肝臓領域内に低濃度腫瘍(LIT:low-intensity tumor)が含まれるか判定する。CT画像における低濃度腫瘍領域は、正常な肝臓領域と比べて相対的に画素値(CT値)が低くなる(低画素値領域となる)ため、肝臓領域の画素値分布を解析することによって低濃度腫瘍の有無を判定できる。また、腫瘍有無判定部20は、低濃度腫瘍が含まれると判定した場合、肝臓領域を非低濃度腫瘍領域と低濃度腫瘍領域とに分類する。
コア領域拡張部21は、上記境界面までの範囲内で、CT値から肝臓と考えられる領域を組み込んでコア領域を拡張する。コア領域の拡張後、所定の終了条件を満たしていなければ、コア領域拡張部21は、境界面生成部19に対して、境界面の再構築を指示する。そして、コア領域拡張部21は、再構築後の境界面に基づいて再度コア領域を拡張する。
修正部22は、肝臓領域の表面付近に存在する主血管を肝臓血管と非肝臓血管とに分類し、肝臓血管に分類された領域を肝臓領域に加える。
穴埋め部23は、修正部22による修正後の肝臓領域を三次元的に穴埋めする。また、穴埋め部23は、肝臓領域の表面に対してスムージング処理を行って肝臓領域の表面を滑らかな面とする。
(画像処理装置の処理の流れ)
次に、画像処理装置10が肝臓領域を特定する処理の流れについて、図1に示した画像処理装置10の各部の機能と関連づけながら、図2および図3を用いて説明する。図2は、画像処理装置10が行う、被検体の三次元画像を取得してから肝臓のコア領域を生成するまでの処理(画像処理方法)の流れを示すフローチャートである。
次に、画像処理装置10が肝臓領域を特定する処理の流れについて、図1に示した画像処理装置10の各部の機能と関連づけながら、図2および図3を用いて説明する。図2は、画像処理装置10が行う、被検体の三次元画像を取得してから肝臓のコア領域を生成するまでの処理(画像処理方法)の流れを示すフローチャートである。
画像処理装置10の画像取得部11は、被検体の腹部の三次元画像を画像記憶部31から取得する(S1)。次に、前処理部12は、画像取得部11が取得した三次元画像に対して前処理を行う。この前処理とは、背骨、肋骨、腎臓などに対応する領域を抽出して、三次元画像からこれらの非肝臓領域を除去(S2)する処理である。続いて、血管領域抽出部13は、前処理後の画像に対し、末梢血管を強調する処理を行い(S3)、腹部血管を抽出する(S4)。以上の各処理工程により、三次元画像から肝臓血管を含む腹部血管が抽出される。
次に、主血管領域抽出部14は、S4において抽出された腹部血管から、所定の太さ以上の血管を抽出し(S5)、主血管領域拡張部15は、主血管領域抽出部14によって抽出された血管を拡張する。そして、主血管領域除去部16は、血管領域抽出部13が抽出した腹部血管から、主血管領域拡張部15によって拡張された主血管を除去する(S6、除去ステップ)。ここで除去される領域には、主門脈の他に主門脈よりも太い領域が含まれる。
次に、分類部17は、主血管を除去した腹部血管から肝臓血管を特定する(S7、肝臓血管特定ステップ)。また、分類部17は、主血管を除去した腹部血管のうち、肝臓血管として特定された以外の血管を非肝臓血管と特定する(S8)。また、分類部17は、肝臓血管以外の高濃度領域(S2で除去された骨、腎臓などを含む)を、非肝臓血管と戻すと共に、S6で除去された主血管を非肝臓血管として戻す。
次に、コア領域生成部18は、S7において分類部17が特定した肝臓血管を包含する肝臓のコア領域を生成する(S9、肝臓抽出ステップ)。コア領域とは、肝臓領域の中核となる領域であり、特定した肝臓血管に外接する面と、その面で囲まれる範囲とを含む領域である。つまり、S9の処理により、三次元画像から肝臓領域が抽出される。なお、肝臓領域の抽出はこの処理では終了せず、後述のようにコア領域が拡張されて最終的な肝臓領域が抽出される。
ここで、図3に移る。境界面生成部19は、S9で生成されたコア領域と、S8で特定された非肝臓血管との間に境界面を構築する(S10)。より詳細には、境界面生成部19は、コア領域と、肋骨を結んで形成された面との間に境界面を構築すると共に、コア領域と、非肝臓血管との間に境界面を構築する。
次に、腫瘍有無判定部20は、コア領域の画素値を解析し(S11)、コア領域内に低濃度腫瘍領域が存在するか判断する(S12)。ここで、低濃度腫瘍が含まれると判定した場合(S12でYES)には、コア領域を非低濃度腫瘍と低濃度腫瘍とに分類して処理はS13に進む。一方、低濃度腫瘍が含まれないと判定した場合(S12でNO)には、このような分類を行わずにS14に進む。
S14では、コア領域拡張部21は、コア領域に隣接する領域のCT値と境界面とに基づいて肝臓のコア領域を拡張する(S14)。一方、S13では、コア領域拡張部21は、非低濃度腫瘍に分類された領域と低濃度腫瘍に分類された領域とを別々に拡張する。
次に、コア領域拡張部21は、S13またはS14における領域の拡張を終了するか否かを判定するための終了条件を充足しているか判断する(S15)。ここで、所定の終了条件を満たさない場合(S15でNO)には、コア領域拡張部21は、境界面生成部19に境界面の再構築を指示する。境界面生成部19は、この指示に応じて新たな境界面を構築する(S16)。新たな境界面が構築されると、S12の処理に戻り、低濃度腫瘍が含まれているか否かに応じて、S13またはS14にて、新たな境界面を用いたコア領域の拡張処理が行われる。そして、S15において終了条件を満たすと判定されたとき(S15でYES)に、コア領域拡張部21は、領域の拡張を終了して、処理はS17へ進む。
S17では、修正部22が、過小に特定されている肝臓領域を修正するために、S6において除去された所定の太さ以上の血管の一部を肝臓領域に復元する。次に、穴埋め部23は、S17の処理後の肝臓領域を三次元的に穴埋めする。また、肝臓領域の表面を滑らかにするためにオープニング処理を行う。これにより、肝臓領域の抽出処理は終了する。
以上の処理によって、三次元画像における肝臓領域を、精度よく抽出することができる。言い換えれば、撮像された肝臓(被検体の肝臓)と、大きさおよび形状が高精度に一致した肝臓領域を抽出することができる。
(前処理)
図2のS2において、前処理部12は、腹部三次元画像から、(1)高いCT値を有する骨領域および石灰化部分と、(2)肝臓領域Lに近接しており、肝臓領域LのCT値と近いCT値を有する腎臓領域Kと、を非肝臓領域として除去する前処理を行う。ここでは、この前処理について、図4に基づいてより詳細に説明する。図4は、被検体の腹部の三次元画像から非肝臓領域を除去する処理を説明する図であり、(a)はノイズ除去後の画像の例を示し、(b)は抽出された背骨領域BB、肋骨領域R、石灰化部分Ca、および腎臓領域Kを示し、(c)は(b)において抽出された非肝臓領域を除去した画像の例を示す。
図2のS2において、前処理部12は、腹部三次元画像から、(1)高いCT値を有する骨領域および石灰化部分と、(2)肝臓領域Lに近接しており、肝臓領域LのCT値と近いCT値を有する腎臓領域Kと、を非肝臓領域として除去する前処理を行う。ここでは、この前処理について、図4に基づいてより詳細に説明する。図4は、被検体の腹部の三次元画像から非肝臓領域を除去する処理を説明する図であり、(a)はノイズ除去後の画像の例を示し、(b)は抽出された背骨領域BB、肋骨領域R、石灰化部分Ca、および腎臓領域Kを示し、(c)は(b)において抽出された非肝臓領域を除去した画像の例を示す。
前処理部12は、例えば画像取得部11が取得した三次元画像に対してメディアンフィルタを適用することにより、図4の(a)のようなノイズが除去された画像を生成することができる。そして、前処理部12は、ノイズ除去後の画像において、CT値が所定の閾値Q1(例えば、350HU)より高い領域である、骨皮質領域、石灰化部分などを抽出する。このような閾値処理によって、図4の(b)に示す、背骨領域BB、肋骨領域R、および石灰化部分Ca(図中の矢印71)に該当する領域が抽出される。
また、前処理部12は、腎臓領域Kを抽出する。腎臓領域Kの抽出は、例えば領域拡張法を適用して行うことができる。具体的には、領域拡張処理に用いられる開始点(初期注目画素とも呼ばれる)がユーザによって選択されると、前処理部12は、選択された開始点を中心とした半径2mmの領域を特定する。次に、この半径2mmの領域内の平均CT値を算出し、算出した平均CT値を閾値Q2とする。そして、半径2mmの領域内から閾値Q2以上の画素群を抽出し、開始点と抽出された画素群とを連結して領域拡張を行う。閾値Q2以上の画素群の抽出は、領域拡張を行う毎に、閾値Q2を3HUずつ低く更新して繰り返し行う。この際、拡張した領域の体積V1を、抽出された画素群を連結する毎に算出しておく。そして、領域拡張を行う毎に増加する領域の体積に応じて、次の領域拡張を行うか否かを決定する。例えば、領域拡張が繰り返される回数をi、i回目の領域拡張の後の領域の体積をV(i)とするとき、{(V(i)‐V(i‐1))}/V(i‐1)が0.2以上、かつ、V(i‐1)>0のとき、領域拡張の繰り返しを終了する。すなわち、i回目の領域拡張によって増加する領域の体積が、(i−1)回目までの領域拡張の結果の総体積の20%以上となった場合、(i+1)回目の領域拡張を行わない。なお、この{(V(i)‐V(i‐1))}とV(i‐1)との比の値は、MICCAI(Medical Image Computing and Computer Assisted Intervention)が提供するデータをトレーニングデータとして用いて、0.2と決定された。上記の開始点の選択と領域拡張とを左右の腎臓について各々行うことにより、図4の(b)に示す、腎臓領域Kが抽出される。
上記のように抽出された背骨領域BB、肋骨領域R、石灰化部分Ca、および腎臓領域Kに対して1mmのダイレーション(拡張)処理を行った後に、穴埋めするために2mmのクロージング処理を行う。クロージング処理後の非肝臓領域に対して負のCT値を割り当てる(画素値を負の値に置き換える)ことによって、前処理部12は、背骨領域BB、肋骨領域R、石灰化部分Ca、および腎臓領域Kを、三次元画像から除去する。
なお、抽出された背骨領域BB、肋骨領域R、石灰化部分Ca、および腎臓領域Kに対して負のCT値を用いることにより、肝臓と、これら除去される領域との濃度差が大きくなる。この濃度差は、後述する肝臓のコア領域の拡張処理において、拡張された領域が外部に漏れ出る(肝臓のコア領域が非肝臓領域内まで拡張される)ことを防ぐ効果も有している。
(末梢血管の強調)
ここでは、図2のS3で行われる末梢血管の強調について、図5に基づいて、より詳細に説明する。図5は、末梢血管を強調する処理を説明する図であり、(a)(b)は肝臓領域Lにおける末梢血管の強調処理の前後における画像の例を示し、(c)(d)は低濃度腫瘍LITを有している肝臓領域Lにおける末梢血管の強調処理の前後における画像の例を示す。
ここでは、図2のS3で行われる末梢血管の強調について、図5に基づいて、より詳細に説明する。図5は、末梢血管を強調する処理を説明する図であり、(a)(b)は肝臓領域Lにおける末梢血管の強調処理の前後における画像の例を示し、(c)(d)は低濃度腫瘍LITを有している肝臓領域Lにおける末梢血管の強調処理の前後における画像の例を示す。
血管領域抽出部13は、CT値が0HUより大きい領域に対して、三次元のオープニング処理を行う。このオープニング処理は、段階的に行われる。まず半径が1ボクセル(voxel)の領域に対してオープニング処理を行い、以後、半径を2ボクセル、4ボクセルと半径を大きくした領域に対してオープニング処理を続けて行う。このオープニング処理によって、半径4ボクセル(およそ3mmに相当)より太い血管および大きい組織がぼやけた背景画像が得られる。末梢血管は、この背景画像と、図5の(a)に示すような、前述の前処理(図3のS2)で得られた画像との差分として抽出される。そこで、血管領域抽出部13は、末梢血管を差分として抽出した画像を、図5の(a)に示す画像に加算することにより、図5の(b)に示すように、末梢血管を強調する(図2のS3)。
これにより、半径4ボクセル(およそ3mmに相当)以下の末梢血管の画像を加算して強調することができる。
なお、肝臓領域Lが低濃度腫瘍LITを含む場合、図5の(c)(d)に示すように、肝臓領域L内に周囲の肝臓領域Lに比べてCT値が低い領域として観察される。このように、低濃度腫瘍LITを含む肝臓領域Lにおいても、肝臓領域を抽出することができる。この低濃度腫瘍LITを含むLにおける処理については後に詳述する。
(腹部血管の抽出)
ここでは、図2のS4で行われる腹部血管の抽出について、図6に基づいて、より詳細に説明する。図6は、腹部血管の領域を抽出する処理を説明する図であり、(a)は下部大静脈VCの断面を含む画像の一例を示し、(b)は(a)に示す丸に囲まれた画素におけるCT値の頻度分布と閾値Tとを示し、(c)は三次元画像から抽出された腹部の血管の例を示す。
ここでは、図2のS4で行われる腹部血管の抽出について、図6に基づいて、より詳細に説明する。図6は、腹部血管の領域を抽出する処理を説明する図であり、(a)は下部大静脈VCの断面を含む画像の一例を示し、(b)は(a)に示す丸に囲まれた画素におけるCT値の頻度分布と閾値Tとを示し、(c)は三次元画像から抽出された腹部の血管の例を示す。
血管領域抽出部13は、末梢血管を強調した画像を用いて、腹部血管の抽出を行う。この腹部血管の抽出は、例えば三次元の領域拡張法によって行うことができる。具体的には、図6の(a)のように、下部大静脈の断面VC(図6の(a)の丸)が含まれている画像において、下部大静脈の断面VCを領域拡張の開始点として選択する。この選択は、ユーザによって手動で行われる。このユーザの手動による開始点の選択が腹部血管の抽出結果に影響することを回避するために、血管領域抽出部13は、領域拡張法に実際に用いる開始点を以下のように決定する。まず、血管領域抽出部13は、ユーザによって選択された開始点から半径6mmの領域を特定する。そして、図6の(b)に示すように、特定した該領域内のCT値の頻度分布図(ヒストグラム)を作成する。作成されたヒストグラムの75パーセンタイルに相当するCT値を閾値Q3として、領域内の閾値Q3以上の点を領域拡張法に用いる開始点として決定する。
次に、血管領域抽出部13は、決定した開始点と、閾値Q3以上の画素群とを三次元的に連結して領域拡張を行う。領域拡張は、閾値Q3を3HUずつ低く更新して繰り返し行う。この際、1回の領域拡張により拡張された領域の体積V1を算出しておく。領域拡張が繰り返される回数をi、i回目の領域拡張の後の領域の体積をV(i)とするとき、{(V(i)‐V(i‐1))}/V(i‐1)が0.2以上、かつ、V(i‐1)>0のとき、領域拡張の繰り返しを終了する。この領域拡張によって、ほとんどの腹部血管を抽出することができる。
なお、心臓領域の一部は、腹部血管に近いCT値を有しており、腹部血管と共に抽出される。腹部血管に近いCT値を有する肝腫瘍もまた、腹部血管と共に抽出される。肝臓領域Lを抽出する場合、心臓領域および肝腫瘍が腹部血管と共に抽出されることは、肝臓領域の正確な抽出に影響を及ぼす可能性がある。そこで、肝臓コア領域を生成する前の処理である図2のS8において、心臓領域は肝臓血管以外の高濃度領域として分類し、肝腫瘍は肝臓領域Lの中にまとめられる。これについては、後に詳述する。
(所定の太さ以上の血管の除去、および血管の分類)
ここでは、図2のS5で行われる所定の太さ以上の血管の抽出および抽出された血管の領域拡張と、図2のS6で行われる拡張された領域の除去とについて、図7の(a)〜(c)に基づいて、より詳細に説明する。図7は、肝臓血管と肝臓血管以外の高濃度領域とを分類する処理を説明する図であり、(a)は腹部の血管をその太さで分類した例を示し、(b)は選択された主血管などを示し、(c)は(b)に示す主血管を拡張した例を示し、(d)は分類された血管を示す。また、(e)は作成された肋骨面の例を示し、(f)は肝臓領域以外の高濃度領域の分類結果を示す。
ここでは、図2のS5で行われる所定の太さ以上の血管の抽出および抽出された血管の領域拡張と、図2のS6で行われる拡張された領域の除去とについて、図7の(a)〜(c)に基づいて、より詳細に説明する。図7は、肝臓血管と肝臓血管以外の高濃度領域とを分類する処理を説明する図であり、(a)は腹部の血管をその太さで分類した例を示し、(b)は選択された主血管などを示し、(c)は(b)に示す主血管を拡張した例を示し、(d)は分類された血管を示す。また、(e)は作成された肋骨面の例を示し、(f)は肝臓領域以外の高濃度領域の分類結果を示す。
主血管領域抽出部14は、図2のS4において抽出された腹部血管の画像から、所定の太さ以上の血管を抽出する。ここでは、所定の太さ以上の血管を抽出するため、抽出された血管には、心臓領域が含まれる。主血管領域抽出部14によって抽出された領域は、次に主血管領域拡張部15によって拡張された後に、主血管領域除去部16によって、血管領域抽出部13が抽出した腹部血管から除去される。これにより、腹部血管に含まれていた、所定の太さ以上の血管とともに、心臓領域も除去することができる。
腹部血管の抽出時に混入した心臓領域を腹部血管と区別するために、主血管領域抽出部14は、血管の太さに応じてラベル値を割り当てることにより、腹部血管を分類する。この分類には、例えば三次元ユークリッド逆距離変換を用いることができる。この方法では、細い血管には小さいラベル値が割り当てられ、一方、太い血管には大きいラベル値が割り当てられる。つまり、ラベル値は、細い血管から太い血管まで昇順で振られた番号であってもよい。そして、ラベル値に応じて色分けする画像処理を行うことにより、図7の(a)のような画像が得られる。
次に、肝臓血管を非肝臓血管から分離するために、これらの血管の連結部分を除去する処理を行う。まず、主門脈のもっとも太い部分(主門脈が肝臓に入る位置)のラベル値がユーザによって選ばれると、主血管領域抽出部14は、図7の(b)に示すように、選ばれたラベル値以上の領域mBV1およびmBV2を抽出する。ここで抽出された領域mBV1およびmBV2には、門脈と肝臓領域との連結部分が含まれている。したがって、領域mBV1およびmBV2を腹部血管から除去すれば、門脈と肝臓領域との連結部分を除去することができる。しかし、一般に固有肝動脈は細いため、固有肝動脈と腹部大動脈との連結部分は除去できない。
そこで、固有肝動脈と腹部大動脈との連結も遮断するために、主血管領域拡張部15は、領域mBV1およびmBV2を三次元的に10mm拡張する。つまり、領域mBV1およびmBV2と、該領域の周囲10mmの範囲に存在する血管とを合わせた領域を除去の対象として特定する。図7の(c)の矢印72に示すように、この拡張によって、固有肝動脈と腹部大動脈との連結部分が拡張後の領域に含まれるようになる。
主血管領域除去部16は、血管領域抽出部13が抽出した腹部血管(図7の(a)参照)から、主血管領域拡張部15によって拡張された領域(図7の(c)参照)を除去する。なお、この方法にて除去される領域には、主門脈の他に主門脈よりも太い(ラベル値の大きい)領域が含まれる。具体的には、固有肝動脈、下部大動脈の肝臓への入り口および出口部分、腹部大動脈、心臓の一部、および高濃度(高CT値)腫瘍領域(存在する場合)が含まれる。
なお、被検体等によっては、上記の方法にて下部大静脈と肝臓領域とが分離できないことがある。この場合、ユーザの手動で下部大静脈を除去してもよい。具体的には、肝臓領域内の血管と心臓領域との間、および肝臓からの下部大静脈の出口部分の2つの画像で下部大静脈に相当するラベル値を特定し、特定したラベル値の血管を除去すればよい。
(肝臓血管の特定)
次に、図2のS7で行われる肝臓血管の特定について、図7の(d)に基づいて、より詳細に説明する。まず、分類部17は、所定の太さ以上の血管を除去した後の腹部血管において、末梢血管の分類を行う。
次に、図2のS7で行われる肝臓血管の特定について、図7の(d)に基づいて、より詳細に説明する。まず、分類部17は、所定の太さ以上の血管を除去した後の腹部血管において、末梢血管の分類を行う。
具体的には、分類部17は、まず、例えば前述と同様にして、血管の太さに応じてラベル値を割り当てる。そして、割り当てられたラベル値が所定のラベル値Q6より小さい血管を末梢血管と分類し、ラベル値Q6以上の血管は中間血管として分類する。続いて、末梢血管を中間血管から分離する。これにより、異なる臓器にそれぞれ対応する中間血管の間の接続が断たれ、各臓器に対応する中間血管がそれぞれ空間的に分離される。そして、この状態において繋がっている血管のグループに対してラベルを与える。これにより、各臓器に対応する中間血管(空間的に離れた位置の中間血管)のそれぞれに異なるラベルが与えられる。つまり、各ラベルは、中間血管のクラスタを示す。
次に、先に分離した末梢血管について、隣接する中間血管のクラスタとの連結を確認し、連結の態様に応じて末梢血管を2種類に分類する。具体的には、1つの中間血管のクラスタとの連結のみを有する末梢血管を第1クラスタと分類し、2以上の中間血管のクラスタとの連結を有する末梢血管を第2クラスタと分類する。そして、分類部17は、第2クラスタの末梢血管を除去し、第1クラスタの末梢血管は、その末梢血管が連結している中間血管のクラスタに戻す。これにより、図7の(d)に示すように、腹部血管がクラスタ(各クラスタは、中間血管のクラスタ1つと、該クラスタに連結する第1クラスタの末梢血管とを含む)に分類される。言い換えれば、各臓器に対応する領域(血管群)がそれぞれ空間的に分離されたクラスタとして特定される。
続いて、分類部17は、各臓器に対応するクラスタの中から、肝臓に対応するクラスタを特定する。ここで、肝臓は腹部に存在する最大の臓器であり、一般的に、腹部の所定の位置(右前四半部:腹腔内の右肩に近い側の上部のつま先側)に存在する。分類部17は、この所定の位置に基づいて、肝臓血管を特定する。この肝臓血管の特定は、例えば以下のように行うことができる。すなわち、分類部17は、各臓器に対応するクラスタの体積と重心とを算出する。そして、最大の体積を有するクラスタの重心が腹部の所定の位置(右前四半部)に存在する場合、このクラスタを肝臓血管として特定する。なお、重心は、クラスタに含まれる各ボクセルのX座標の平均値axと、Y座標の平均値ayとで表され、重心が所定の位置に存在するか否かは、ax−ay≦0の条件を満たすか否かで判定することができる。
(非肝臓領域の特定)
次に、図2のS8で行われる非肝臓領域の特定について、図7の(e)および(f)に基づいて、より詳細に説明する。
次に、図2のS8で行われる非肝臓領域の特定について、図7の(e)および(f)に基づいて、より詳細に説明する。
まず、分類部17は、肝臓血管として特定されたクラスタ以外の血管のクラスタを、非肝臓血管に分類する。また、分類部17は、図7の(c)に示す領域について、肝臓血管から切り離すために2mmの収縮処理(エロージョン)を行った後、非肝臓血管のクラスタ(他の臓器のクラスタのうち、当該領域に接するクラスタ)に加える。
分類部17は、また、肝臓血管以外の高濃度領域を非肝臓領域として特定する。この非肝臓領域の特定は、例えば以下のように行われる。なお、肝臓血管以外の高濃度領域には、上述の非肝臓血管のクラスタの他、骨、腎臓、および石灰化部分が含まれる。これらの高濃度領域には、図2のS2で除去された領域も含まれているが、分類部17はこの除去された領域を非肝臓領域として戻す。
分類部17は、前処理部12において抽出された骨領域から肋骨を抽出し、その穴埋めを行うために、半径2mmでクロージング処理を行う。そして、これを細線化して肋骨の芯線を生成する。細線化は、例えば二経路細線化アルゴリズム(two-pass thinning algorithm)にて行うことができる。そして、生成した芯線から端点と分岐点とを抽出し、抽出された点群に対して最大長50mmでDelauney法を適用して多面体を生成する。これにより、50mm以下の距離にある点同士が連結されてなる多面体が生成される。なお、最大長50mmの制限を設けずにDelauney法を適用して多面体を生成した後、生成された多面体から辺の長さが50mm以上の面を除去してもよい。そして、上記のようにして生成した多面体の内部を充填することで、図7の(e)に示すような肋骨面BS1を生成する。なお、上記の処理で用いた「50mm」の値は、(1)異なる肋骨を互いに繋ぎ、かつ、(2)同一の肋骨の部分が接続されることを最小にする、という条件を満たす値として、実験的に求められた値である。生成された肋骨面BS1は、図7の(e)に示すように、各肋骨を通り、隣接する肋骨を繋ぐ面となる。
また、分類部17は、図7の(f)に示すように、前処理部12によって抽出された右側の腎臓領域(CT画像では左右が反転するため同図では左側に位置している)および石灰化部分(存在する場合)なども非肝臓血管として戻す。このようにして、非肝臓領域(Non−HBVs:Non Hepatic Blood Vessels)が特定される。なお、図7の(f)では、肝臓領域(HBVs:Hepatic Blood Vessels)と、非肝臓領域(非肝臓血管のクラスタ、骨、腎臓、および石灰化部分)とを色分けして示している。
(肝臓のコア領域の生成)
図2のS9で行われる肝臓のコア領域の生成について、図8および図9に基づいて、より詳細に説明する。図8は、肝臓血管から肝臓のコア領域を生成する処理を説明する図であり、(a)は通常のDelauney法の処理を示し、(b)は本実施形態に係る処理を説明する図である。
図2のS9で行われる肝臓のコア領域の生成について、図8および図9に基づいて、より詳細に説明する。図8は、肝臓血管から肝臓のコア領域を生成する処理を説明する図であり、(a)は通常のDelauney法の処理を示し、(b)は本実施形態に係る処理を説明する図である。
コア領域生成部18は、分類部17が特定した肝臓血管に外接する面および該面で囲まれる領域を肝臓領域として抽出する。具体的には、分類部17が特定した肝臓血管を細線化した後に端点(肝臓血管の先端の位置)を抽出し、抽出された点群に対してDelauney法を適用して、抽出された点群を頂点とする多面体を生成する。図8の(a)に示すように、通常のDelauney法を適用した場合、肝臓領域L内に存在する端点A〜端点Fが互いに結ばれる。このため、肝臓ではない低濃度の領域Pを通る線分AE含む多面体が生成され、肝臓領域Lの形状および大きさを正確に特定することが困難となる場合がある。
これを防ぐために、本実施形態に係る処理では、図8の(b)に示すように、端点を結んだ線分上におけるCT値を確認し、その線分上に所定のCT値Q7(例えば、20HU)より低いCT値の点が含まれる場合、その線分は多面体の辺としないようにする。これにより、Q7未満のCT値を有する領域が多面体の辺上に含まれることがなくなり、非肝臓領域を含む多面体が生成されることを防ぐことができる。例えば、図8の(b)では、閾値Q7より低い領域Pを挟んで存在する端点Aと端点Eとを結ぶ線分は、多面体の辺とされておらず、閾値Q7以上の領域のみを通る辺によって多面体が構成されている。なお、肝臓の近傍で肝臓よりも低いCT値となる臓器としては、胃や胆嚢が挙げられる。このため、閾値Q7は、これらの臓器と肝臓とを識別できるような値とすればよい。上記の20HUは、胆嚢と、肝臓の低濃度腫瘍とを識別できるような値を実験的に求めたものである。なお、低濃度腫瘍は、正常な肝臓よりも低いCT値となるため、低濃度腫瘍がコア領域から除外されないように、閾値Q7は、正常な肝臓のCT値ではなく、低濃度腫瘍のCT値を基に求めることが望ましい。
すなわち、コア領域生成部18は、複数の肝臓血管のそれぞれの先端を結ぶ各線分を辺とする多面体を肝臓領域Lとして抽出する。そして、該抽出の際には、肝臓領域Lとして抽出された多面体の辺が、肝臓領域Lと肝臓領域Lに隣接する臓器(胃や胆嚢など)の領域とを識別するために設定された所定の閾値に基づいて肝臓領域Lとして識別される領域のみを通るようにする。
図9は、肝臓血管から肝臓のコア領域を生成した例を示す図であり、(a)処理前のCT画像の例を示し、(b)は細線化された肝臓の血管の端点群を示し、(c)は図8の(b)に示す方法を用いて作成した肝臓のコア領域を示す。
図9の(a)〜(c)に示すように、コア領域生成部18は、CT画像から抽出された肝臓血管HBVに基づいて該肝臓血管HBVの端点を求め、求めた端点を結んで肝臓のコア領域LCを立体的な多面体として生成する。
(境界面の生成)
図3のS10で行われる、肝臓のコア領域と非肝臓領域との境界面を構築する処理について、図10に基づいて、より詳細に説明する。図10は、肝臓のコア領域LCと非肝臓領域クラスタnHBVcとの間に構築される境界面BS2を説明する図であり、(a)は肝臓のコア領域LCと非肝臓領域クラスタnHBVcとを示し、(b)は構築された境界面BS2の一例を示す。
図3のS10で行われる、肝臓のコア領域と非肝臓領域との境界面を構築する処理について、図10に基づいて、より詳細に説明する。図10は、肝臓のコア領域LCと非肝臓領域クラスタnHBVcとの間に構築される境界面BS2を説明する図であり、(a)は肝臓のコア領域LCと非肝臓領域クラスタnHBVcとを示し、(b)は構築された境界面BS2の一例を示す。
境界面生成部19は、CT画像上で肝臓領域Lを非肝臓領域nHBVと分離するための境界面(初期境界面)BS2を構築する。この境界面の構築には、図2のS9で生成された肝臓のコア領域LCと、図2のS8で特定された非肝臓領域nHBVとが利用される。境界面BS2の構築には、例えば三次元ユークリッド距離変換を用いることができる。三次元ユークリッド距離変換を用いる場合、境界面生成部19は、肝臓のコア領域LCからの距離d1と、非肝臓領域nHBVcからの距離d2とが等しくなる点を抽出する。そして、図10の(b)に示すように、抽出された点によって形成される面を境界面BS2として生成する。
(低濃度腫瘍の有無判定)
図3のS11で行われる肝臓のコア領域LCにおける画素値(CT値)の解析と、S12で行われる低濃度腫瘍の有無を判定する処理について、図11に基づいてより詳細に説明する。図11は、低濃度腫瘍LITをヒストグラムに基づいて分類する処理を説明する図であり、(a)〜(c)は低濃度腫瘍LITを含まないコア領域LCの例を示し、(d)〜(f)は低濃度腫瘍LITを含む肝臓の例を示す。
図3のS11で行われる肝臓のコア領域LCにおける画素値(CT値)の解析と、S12で行われる低濃度腫瘍の有無を判定する処理について、図11に基づいてより詳細に説明する。図11は、低濃度腫瘍LITをヒストグラムに基づいて分類する処理を説明する図であり、(a)〜(c)は低濃度腫瘍LITを含まないコア領域LCの例を示し、(d)〜(f)は低濃度腫瘍LITを含む肝臓の例を示す。
腫瘍有無判定部20は、まず、肝臓のコア領域LCから、高濃度領域である肝臓血管と高濃度腫瘍とを除去する。そして、除去後のコア領域LC内について、CT値の頻度分布(ヒストグラム)を解析する。このCT値のヒストグラムの解析には、例えば変分ベイズ法を用いることができる。変分ベイズ法を適用することで、CT値のヒストグラムに対して混合ガウス分布が当てはめられることにより、該ヒストグラムに含まれる構成要素の数を自動的に検出して分類することができる。構成要素の数が2つの場合、該肝臓のコア領域LC内には、低濃度腫瘍LITが含まれると判定し、コア領域LC2を非低濃度腫瘍nLITと低濃度腫瘍LITとに分類する。
例えば、コア領域LC内について図11の(a)に示すようなヒストグラムが求められた場合、これに対して変分ベイズ法により得られる混合ガウス分布を当てはめると、図11の(b)に示すように、単峰性のガウス分布が得られる。すなわち、図11の(a)に示すヒストグラムを与えるコア領域LC内には、1種類の領域が含まれていることが分かる。したがって、図11の(c)に示す肝臓のコア領域LC内には低濃度腫瘍LITが含まれていないと判定する。
一方、コア領域LC内について図11の(d)に示すようなヒストグラムが求められた場合、これに対して変分ベイズ法により得られる混合ガウス分布を当てはめると、図11の(e)に示すように、双峰性のガウス分布が得られる。すなわち、図11の(d)に示すヒストグラムを与えるコア領域LC内には、2種類の領域が含まれていることが分かる。したがって、図11の(f)に示す肝臓のコア領域LC内には低濃度腫瘍LITが含まれていると判定する。
(肝臓のコア領域の拡張1)
ここでは、図3のS13またはS14で行われる、肝臓のコア領域LCの拡張処理について説明する。
ここでは、図3のS13またはS14で行われる、肝臓のコア領域LCの拡張処理について説明する。
コア領域拡張部21は、コア領域に隣接する領域のCT値と境界面とに基づいて肝臓のコア領域を拡張する。すなわち、コア領域拡張部21は、コア領域に隣接する領域のCT値と所定の閾値とを比較することで特定した、コア領域に隣接する領域のうち該肝臓のコア領域に追加する領域を該コア領域に追加して該コア領域を拡張する。そして、この処理を、拡張後のコア領域が上記境界面を超えない範囲で繰り返し行う。CT値によってコア領域と隣接するボクセルがコア領域と均質であるか(コア領域に組み込むべきか)を判断し、境界面によって肝臓と非肝臓領域とを切り分ける(非肝臓領域がコア領域に組み込まれないようにする)。コア領域拡張部21は、肝臓のコア領域に低濃度腫瘍が含まれる場合には、非低濃度腫瘍に分類された領域と低濃度腫瘍に分類された領域とを別々に拡張する。
続いて、コア領域LCを拡張する処理について、図12に基づいてより詳細に説明する。図12は、図11に示した肝臓のコア領域LCを拡張した例を示す図であり、(a)は低濃度腫瘍LITを含まない肝臓のコア領域LCを拡張した例を示し、(b)は低濃度腫瘍LITを含む肝臓のコア領域LCを拡張した例を示す図である。
肝臓のコア領域LCの拡張は、低濃度腫瘍LITが含まれない場合には、例えば、以下の(1)〜(3)の工程によって行うことができる。
工程(1):腫瘍有無判定部20によって分類された構成要素の、変分ベイズ法により得られる混合ガウス分布を当てはめて得られたヒストグラム(図11の(a)参照)における極大値(頻度)を求め、その極大値の10%に相当する頻度を与える2つのCT値を求める。この2つのCT値を閾値として用いる。
工程(2):肝臓のコア領域LCの近傍のボクセル(画素)が境界面に含まれるボクセルか否かを判定する。境界面に含まれるボクセルではない場合には、そのCT値を確認し、工程(1)で決定した2つの閾値の間のCT値を有している場合(小さい方の閾値≦CT値≦大きい方の閾値の場合)、このボクセルを肝臓候補に分類する。なお、本工程(2)では、コア領域の画素値分布を示すヒストグラムから求めた閾値を用いている。しかしながら、使用する閾値は、コア領域に追加すべきボクセル(肝臓の一部に対応している可能性が高いボクセル)と追加すべきでないボクセル(肝臓ではない部位に対応している可能性が高いボクセル)とを識別可能なものであればよく、この例に限られない。例えば、肝臓と肝臓に隣接する他の臓器とを識別するための閾値を実験的に求めて、これを使用してもよい。
工程(3):肝臓のコア領域LCに肝臓候補に分類されたボクセルで構成された領域を加える。加えられる領域が無くなるまで工程(2)を繰り返し行う。加えられる領域がなくなった場合、工程(3)において拡張処理が終了した領域に、図3のS11において腫瘍有無判定部20が肝臓のコア領域LCから除去した高濃度領域である、肝臓血管と高濃度腫瘍を加える。このようにして、図11の(c)に示す肝臓のコア領域LCは、図12の(a)に示すような肝臓のコア領域LCへと拡張される。
一方、コア領域LCの中において、画素値が低い領域である低画素値領域が検出された場合、つまり、コア領域LCの中において、相対的に画素値の低い領域である低画素値領域として低濃度腫瘍LITが含まれる場合には、肝臓のコア領域LCの拡張は、例えば、以下の(4)〜(6)の工程によって行うことができる。
工程(4):非低濃度腫瘍領域について、上記の工程(1)〜(3)を行って拡張する。なお、非低濃度腫瘍について行う工程(1)では、図11の(e)のような2つのピークを含むヒストグラムから非低濃度腫瘍LITに対応する高CT値側のピークを特定し、そのピークから上記と同様にして2つの閾値を得る。
工程(5):低濃度腫瘍LITについて、上記の工程(1)、(2)を行う。なお、低濃度腫瘍LITについて行う工程(1)では、図11の(e)のような2つのピークを含むヒストグラムから低濃度腫瘍LITに対応する低CT値側のピークを特定し、そのピークから上記と同様にして2つの閾値を得る。これにより、低濃度腫瘍LITの拡張に用いる閾値のうち小さい方の閾値(低画素値領域用閾値)は、非低濃度腫瘍領域の拡張に用いる閾値のうち小さい方の閾値(所定値)よりも小さい値となる。よって、低濃度腫瘍LITを正確に拡張することができる。
工程(6):低濃度腫瘍LITを拡張する。具体的には、工程(5)において低濃度腫瘍候補に分類されたボクセルを低濃度腫瘍LITに追加して拡張する処理を、追加するボクセルがなくなるか、拡張後の低濃度腫瘍LITが境界面に達するか、あるいは工程(4)の拡張後の非低濃度腫瘍領域に達するまで繰り返す。
工程(6)の終了後、図2のS11において腫瘍有無判定部20が肝臓のコア領域LCから除去した高濃度領域である肝臓血管と高濃度腫瘍を肝臓候補に加え、肝臓候補に分類されたボクセルで構成された領域を肝臓のコア領域LCに加える。このようにして、図11の(f)に示す低濃度腫瘍LITと非低濃度腫瘍nLITとは、図12の(b)に示すようなコア領域LCとして拡張される。
(肝臓のコア領域の拡張2)
上述の拡張処理では、拡張前のコア領域に基づいて設定した境界面(初期境界面)に達した時点で拡張を終了したが、初期境界面で拡張が終了された部分については、初期境界面を超えた拡張の余地がある。このため、初期境界面で拡張が終了された部分が存在する場合には、境界面を再構築(境界面の位置を更新)して、更新後の境界面を用いて再度上述の拡張処理を行う。これにより、過小評価された領域を本来の大きさと形にまで拡張する。
上述の拡張処理では、拡張前のコア領域に基づいて設定した境界面(初期境界面)に達した時点で拡張を終了したが、初期境界面で拡張が終了された部分については、初期境界面を超えた拡張の余地がある。このため、初期境界面で拡張が終了された部分が存在する場合には、境界面を再構築(境界面の位置を更新)して、更新後の境界面を用いて再度上述の拡張処理を行う。これにより、過小評価された領域を本来の大きさと形にまで拡張する。
図3のS15で行われる終了条件の充足判定、およびS16で行われる境界面の再構築の処理について、図13を用いて、より詳細に説明する。図13は、境界面を再構築する処理を説明する図であり、(a)および(b)は初期境界面BS3を用いた肝臓のコア領域LC1の拡張を示し、(c)は拡張後のコア領域LC2と初期境界面BS3との接触面BS4を示し、(d)は再構築した境界面BS5を示し、(e)および(f)は再構築された境界面BS5を用いた拡張によって領域LC3が拡張された状態を示す。
まず、図3のS15で行われる終了条件の充足判定の詳細を説明する。コア領域拡張部21は、コア領域の拡張(S14)またはコア領域および低濃度腫瘍領域の拡張(S13)の後、下記(イ)〜(ハ)の終了条件を充足しているか判断する。何れか1つでも充足していれば境界面を再構築することなく拡張を終了し、何れも充足していなければ境界面生成部19に境界面の再構築を指示する。
(イ)Wiが50mm3未満である。
Wiはi回目の拡張に用いた境界面と、i回目の拡張後のコア領域とが接する接触領域の大きさを、(該領域に含まれるボクセル数)×(1ボクセルの体積)で表した数値である。また、上記接触領域は、境界面上のボクセルのうち、拡張後のコア領域に含まれるボクセルの26近傍の何れかであるボクセルが占める領域である。50mm3という値は、MICCAIが提供するデータをトレーニングデータとして用いて実験的に求めた値である。肝臓血管の抽出が不十分な領域が存在する場合、このような領域がコア領域外となるため、図13の(a)に示すように、境界面BS3が肝臓領域内に生成されることがある。このような場合、同図の(b)に示すように拡張後のコア領域LC2と境界面BS3とが広範囲で接触した状態となり、同図の(c)に示す接触面BS4の面積は広くなる。このような境界面の再構築の必要性が高い状況において、境界面が再構築されるように、終了条件(イ)は設定されている。
Wiはi回目の拡張に用いた境界面と、i回目の拡張後のコア領域とが接する接触領域の大きさを、(該領域に含まれるボクセル数)×(1ボクセルの体積)で表した数値である。また、上記接触領域は、境界面上のボクセルのうち、拡張後のコア領域に含まれるボクセルの26近傍の何れかであるボクセルが占める領域である。50mm3という値は、MICCAIが提供するデータをトレーニングデータとして用いて実験的に求めた値である。肝臓血管の抽出が不十分な領域が存在する場合、このような領域がコア領域外となるため、図13の(a)に示すように、境界面BS3が肝臓領域内に生成されることがある。このような場合、同図の(b)に示すように拡張後のコア領域LC2と境界面BS3とが広範囲で接触した状態となり、同図の(c)に示す接触面BS4の面積は広くなる。このような境界面の再構築の必要性が高い状況において、境界面が再構築されるように、終了条件(イ)は設定されている。
(ロ)Viが300mm3より小さい。
Viはi回目の拡張にて拡張された領域の体積であり、(該領域に含まれるボクセル数)×(1ボクセルの体積)の数式で算出される。拡張処理を行っても体積が余り増加しなくなった状態では、境界面を再構築しても更なる体積増加は望めない可能性が高い。言い換えれば、このような状態では拡張可能なボクセルについては既にコア領域に組み込まれている可能性が高い。終了条件(ロ)は、必要性の低い境界面の再構築および拡張処理を繰り返すことを防ぐために設定されている。
Viはi回目の拡張にて拡張された領域の体積であり、(該領域に含まれるボクセル数)×(1ボクセルの体積)の数式で算出される。拡張処理を行っても体積が余り増加しなくなった状態では、境界面を再構築しても更なる体積増加は望めない可能性が高い。言い換えれば、このような状態では拡張可能なボクセルについては既にコア領域に組み込まれている可能性が高い。終了条件(ロ)は、必要性の低い境界面の再構築および拡張処理を繰り返すことを防ぐために設定されている。
(ハ)WiがWi−1以上であり、かつ、Wi−1が0より大きい。
肝臓領域と非肝臓領域とが近接している場合、最終的な境界面は肝臓領域に近接することになる。境界面が肝臓領域に近接した状態では、境界面を再構築してもその位置には大きな変化はなく、更なる体積増加は望めない可能性が高い。終了条件(ハ)は、このような状態において、必要性の低い境界面の再構築および拡張処理を繰り返すことを防ぐために設定されている。
肝臓領域と非肝臓領域とが近接している場合、最終的な境界面は肝臓領域に近接することになる。境界面が肝臓領域に近接した状態では、境界面を再構築してもその位置には大きな変化はなく、更なる体積増加は望めない可能性が高い。終了条件(ハ)は、このような状態において、必要性の低い境界面の再構築および拡張処理を繰り返すことを防ぐために設定されている。
境界面の再構築の処理は、図3のS10における境界面の構築と同様であり、境界面生成部19は、拡張後のコア領域(または拡張後のコア領域および拡張後の低濃度腫瘍領域)と、非肝臓領域との中間に境界面を再構築する。図13の(d)の例では、拡張後のコア領域LC2と、非肝臓領域との間に新たな境界面BS5が構築されている。新たな境界面BS5が構築されると、図3のS12の処理に戻り、低濃度腫瘍が含まれているか否かに応じて、S13またはS13にて境界面BS5を用いた領域拡張処理が行われる。これにより、図13の(e)(f)に示すようにコア領域が拡張される。
(肝臓領域の修正)
ここでは、図3のS17で行われる処理について、図14を用いて、より詳細に説明する。図14は、主血管の修正処理を説明する図であり、(a)選択された主血管mBV3の例を示し、(b)は主血管mBV3を肝臓領域Lとそれ以外とに分類した例を示す。
ここでは、図3のS17で行われる処理について、図14を用いて、より詳細に説明する。図14は、主血管の修正処理を説明する図であり、(a)選択された主血管mBV3の例を示し、(b)は主血管mBV3を肝臓領域Lとそれ以外とに分類した例を示す。
腹部血管の分類の際に、主要な血管について、肝臓血管ではない血管を肝臓血管と分類したり、逆に肝臓血管を非肝臓血管と分類したりすることにより、求めた肝臓領域が実際の肝臓よりも小さくなったり、大きくなったりすることがある。特に主血管は体積が大きいため、肝臓の分離精度への影響が大きい。そこで、肝臓領域の表面の近傍に存在する主血管について修正を行い、肝臓領域の分離精度を更に高める。具体的な処理について以下説明する。
まず、修正部22は、肝臓領域Lに属する各ボクセルの26近傍を確認し、図14の(a)に示すように、肝臓以外の領域と隣接しているボクセルを肝臓領域Lの表面S6に分類する。そして、表面S6に分類されたボクセルのうち、主血管と隣接するボクセルを主血管の肝臓への導入部と判断する。なお、主血管は、所定の太さ以上の血管であり、図2のS6で一度除去され、その後、図2のS8で非肝臓血管として戻された血管である。
次に、修正部22は、この導入部の各ボクセルを三次元の直交座標の中心として、長さ、幅、および高さがすべて30mmの立方体の範囲を選択する。修正部22は、主血管のうち、この立方体の内部に含まれる主血管の各ボクセルを肝臓血管と非肝臓血管とに分類する。そして、肝臓血管に分類された領域を肝臓領域Lに加える。
上記の立方体の内部に含まれる主血管の領域は、立体角を用いて分類される。主血管領域のボクセルPを頂点とする立体角は次の式で求められる。ここで、(Count1)は、ボクセルPから、ボクセルPを中心とする球の表面に位置するすべてのボクセルへ、等しい角度を用いて生成されるベクトルの総数を示す。また、(Count2)は、同じ球面を透過し、肝臓領域Lの表面と交わるベクトルの数を示す。
(立体角)=(Count2)/(Count1)
これらのベクトルと肝臓領域Lとの交差を調べる範囲の上限は、ボクセルPを中心とする半径15mmの球の表面に設定する。なお、この半径は、立体角を算出する際に、図14の(b)に矢印74で示す肝臓領域Lが含まれないように、実験的に求められた値である。立体角が0.5以上である場合、ボクセルPは肝臓血管のボクセルであると分類され、肝臓領域Lに加えられる。このようにして、図14の(b)に示すように、主血管mBV4は肝臓領域Lに加えられ、一方、主血管mBV5は肝臓領域Lには加えない。
(立体角)=(Count2)/(Count1)
これらのベクトルと肝臓領域Lとの交差を調べる範囲の上限は、ボクセルPを中心とする半径15mmの球の表面に設定する。なお、この半径は、立体角を算出する際に、図14の(b)に矢印74で示す肝臓領域Lが含まれないように、実験的に求められた値である。立体角が0.5以上である場合、ボクセルPは肝臓血管のボクセルであると分類され、肝臓領域Lに加えられる。このようにして、図14の(b)に示すように、主血管mBV4は肝臓領域Lに加えられ、一方、主血管mBV5は肝臓領域Lには加えない。
(肝臓領域の穴埋め)
ここでは、図3のS18で行われる肝臓領域Lの三次元的な穴埋めの処理について、より詳細に説明する。
ここでは、図3のS18で行われる肝臓領域Lの三次元的な穴埋めの処理について、より詳細に説明する。
肝臓領域が過小分離されることを防ぐために、穴埋め部23は、肝臓領域を三次元的に穴埋めする。この工程では、穴が非低濃度腫瘍によって囲まれている場合には、非低濃度腫瘍の領域として穴埋めされる。一方、穴が低濃度腫瘍によって囲まれている場合には、低濃度腫瘍の領域として穴埋めされる。穴が非低濃度腫瘍および低濃度腫瘍によって囲まれている場合には、非低濃度腫瘍の領域として穴埋めされる。また、穴埋め部22は、肝臓領域Lの表面を滑らかにする(スムージング処理)ために、半径1mmのオープニング処理を行う。
〔分離精度の実証〕
以上説明した肝臓分離の手法の分離精度を、MICCAIテストデータおよび非MICCAIデータベースを用いて評価した。分離された肝臓領域を参照データと比較した。測定結果は、体積の一致度合いおよび表面形状の相違に基づいている。
以上説明した肝臓分離の手法の分離精度を、MICCAIテストデータおよび非MICCAIデータベースを用いて評価した。分離された肝臓領域を参照データと比較した。測定結果は、体積の一致度合いおよび表面形状の相違に基づいている。
図15は、MICCAIが提供するテストデータ(肝臓のCT画像)を用い、2007年のMICCAIワークショップと同じツールを用い、同じ評点により本発明の方法を評価した結果を示す図である。なお、SDは標準偏差である。また、VOEはvolumetric overlap errorであり、RVDはrelative volume differenceであり、ASDはaverage symmetric surface distanceであり、RMSDはroot mean square symmetric distanceであり、MSDはmaximum symmetric surface distanceである。これらの各評価項目は、その値が0に近い程分離制度が高いことを示し、値が0であれば完璧な分離がなされた(この場合のスコアを100とする)ことを示す。
MICCAIテストデータには、低濃度腫瘍領域が含まれている画像等の一般的に分離が困難なものが含まれており、CT画像の撮像条件・撮像機器も様々なものが適用されているにもかかわらず、図15に示すように、非常に高いスコアとなっている。このことから、本発明の手法は、従来は肝臓の分離が困難であった画像からも高精度に肝臓領域を分離可能であることが分かる。
また、図16は、非MICCAIデータベースから取得した50例の肝臓のCT画像を用いて本発明の方法を評価した結果を示す図である。TPVFはtrue positive volume fractionsであり、FPVFはfalse positive volume fractionsである。TPVFの理想値は100であり、FPVFの理想値は0である。図示のように、本発明の手法によれば、極めて高精度に肝臓領域を分離可能であることが分かる。
〔変形例〕
上記実施形態では、非肝臓領域(非肝臓血管、肝臓以外の臓器、肋骨等)と、コア領域の表面とから等距離となる境界面を生成する例を示したが、境界面は非肝臓領域と肝臓領域(コア領域)との間に位置していればよく、この例に限られない。例えば、非肝臓領域と肝臓領域との中間位置よりも非肝臓領域寄りに境界面を生成してもよいし、逆に肝臓領域寄りに生成してもよい。
上記実施形態では、非肝臓領域(非肝臓血管、肝臓以外の臓器、肋骨等)と、コア領域の表面とから等距離となる境界面を生成する例を示したが、境界面は非肝臓領域と肝臓領域(コア領域)との間に位置していればよく、この例に限られない。例えば、非肝臓領域と肝臓領域との中間位置よりも非肝臓領域寄りに境界面を生成してもよいし、逆に肝臓領域寄りに生成してもよい。
また、上記実施形態では、Delauney法によって肝臓血管を包含する肝臓領域(コア領域)を抽出しているが、特定した肝臓血管を包含する領域を抽出可能な方法であれば、Delauney法に限られず適用が可能である。
〔ソフトウェアによる実現例〕
画像処理装置10の制御ブロック(特に、前処理部12、血管領域抽出部13、主血管領域抽出部14、主血管領域拡張部15、主血管領域除去部16、分類部17、コア領域生成部18、境界面生成部19、腫瘍有無判定部20、コア領域拡張部21、修正部22、および穴埋め部23)は、集積回路(ICチップ)等に形成された論理回路(ハードウェア)によって実現してもよいし、CPU(Central Processing Unit)を用いてソフトウェアによって実現してもよい。
画像処理装置10の制御ブロック(特に、前処理部12、血管領域抽出部13、主血管領域抽出部14、主血管領域拡張部15、主血管領域除去部16、分類部17、コア領域生成部18、境界面生成部19、腫瘍有無判定部20、コア領域拡張部21、修正部22、および穴埋め部23)は、集積回路(ICチップ)等に形成された論理回路(ハードウェア)によって実現してもよいし、CPU(Central Processing Unit)を用いてソフトウェアによって実現してもよい。
後者の場合、画像処理装置10は、各機能を実現するソフトウェアであるプログラムの命令を実行するCPU、上記プログラムおよび各種データがコンピュータ(またはCPU)で読み取り可能に記録されたROM(Read Only Memory)または記憶装置(これらを「記録媒体」と称する)、上記プログラムを展開するRAM(Random Access Memory)などを備えている。そして、コンピュータ(またはCPU)が上記プログラムを上記記録媒体から読み取って実行することにより、本発明の目的が達成される。上記記録媒体としては、「一時的でない有形の媒体」、例えば、テープ、ディスク、カード、半導体メモリ、プログラマブルな論理回路などを用いることができる。また、上記プログラムは、該プログラムを伝送可能な任意の伝送媒体(通信ネットワークや放送波等)を介して上記コンピュータに供給されてもよい。なお、本発明は、上記プログラムが電子的な伝送によって具現化された、搬送波に埋め込まれたデータ信号の形態でも実現され得る。
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
本発明は、MDCT装置等によって生成された肝臓などの三次元画像に基づいた医用画像診断に利用することができる。
10 画像処理装置
16 主血管領域除去部(除去手段)
17 分類部(肝臓血管特定手段、非肝臓領域特定手段)
18 コア領域生成部(肝臓抽出手段)
19 境界面生成部(境界面生成手段)
21 コア領域拡張部(拡張手段)
16 主血管領域除去部(除去手段)
17 分類部(肝臓血管特定手段、非肝臓領域特定手段)
18 コア領域生成部(肝臓抽出手段)
19 境界面生成部(境界面生成手段)
21 コア領域拡張部(拡張手段)
Claims (8)
- 腹部の三次元画像から肝臓領域を抽出する画像処理装置であって、
上記三次元画像において肝臓および他の臓器の血管の領域を含む腹部血管領域から、肝臓と他の臓器とを連結する血管の領域である連結血管領域を除去する除去手段と、
上記除去手段が上記連結血管領域を除去したことによって上記腹部血管領域から分離された肝臓血管領域を特定する肝臓血管特定手段と、
上記肝臓血管特定手段が特定した肝臓血管領域に外接する面および該面で囲まれる領域を肝臓領域として抽出する肝臓抽出手段と、を備えていることを特徴とする画像処理装置。 - 上記三次元画像における、骨、肝臓血管以外の血管、および肝臓以外の臓器の少なくとも何れかに相当する領域を非肝臓領域として特定する非肝臓領域特定手段と、
上記非肝臓領域特定手段が特定した非肝臓領域と、上記肝臓抽出手段が抽出した肝臓領域との間に境界面を生成する境界面生成手段と、
上記肝臓領域に隣接する領域の画素値と所定の閾値とを比較することで特定した、上記肝臓領域に隣接する領域のうち該肝臓領域に追加する領域を、上記肝臓領域に追加して該肝臓領域を拡張する処理を、拡張後の肝臓領域が上記境界面を超えない範囲で繰り返し行う拡張手段と、を備えていることを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。 - 上記境界面生成手段は、上記拡張手段による拡張が、拡張後の肝臓領域が上記境界面に達することで終了した場合、上記境界面の位置を、拡張後の肝臓領域と上記非肝臓領域との間の位置に更新し、
上記拡張手段は、上記拡張する処理を、拡張後の肝臓領域が上記更新後の境界面を超えない範囲で繰り返し行うことを特徴とする請求項2に記載の画像処理装置。 - 上記肝臓領域内において画素値が低い領域である低画素値領域が検出された場合、該低画素値領域に隣接する領域の画素値と、上記所定の閾値よりも値の小さい低画素値領域用閾値とを比較することで特定した領域を追加して拡張することを特徴とする請求項2または3に記載の画像処理装置。
- 上記肝臓抽出手段は、上記抽出した肝臓血管領域に含まれる複数の肝臓血管のそれぞれの先端を結ぶ各線分を辺とする多面体を肝臓領域として抽出し、該抽出の際には、上記多面体の辺が、肝臓領域と肝臓領域に隣接する臓器の領域とを識別するために設定された所定の閾値に基づいて肝臓領域として識別される領域のみを通るようにすることを特徴とする請求項1から4の何れか1項に記載の画像処理装置。
- 腹部の三次元画像から肝臓領域を抽出する画像処理装置による画像処理方法であって、
上記三次元画像において肝臓および他の臓器の血管の領域を含む腹部血管領域から、肝臓領域と他の臓器の領域とを連結する血管の領域である連結血管領域を除去する除去ステップと、
上記除去ステップにて上記連結血管領域を除去したことによって上記腹部血管領域から分離された肝臓血管領域を特定する肝臓血管特定ステップと、
上記肝臓血管特定ステップにて特定した肝臓血管領域に外接する面および該面で囲まれる領域を肝臓領域として抽出する肝臓抽出ステップと、を含むことを特徴とする画像処理方法。 - 請求項1から5のいずれか1項に記載の画像処理装置としてコンピュータを機能させるための制御プログラムであって、コンピュータを上記各手段として機能させるための制御プログラム。
- 請求項7に記載の制御プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
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