JP2015060675A - 蓄電システム - Google Patents

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Abstract

【課題】適切に異常検出を行える蓄電システムを提供する。【解決手段】蓄電池と、前記蓄電池を充電する充電部と、前記蓄電池および前記充電部のうち少なくとも一方の状態を複数の観点から検出する検出部とを有する蓄電ユニットと、前記蓄電ユニットから、前記検出された複数の状態値を含む伝送情報を、伝送経路を介して取得する入力部と、取得された前記複数の状態値に対する多変量解析により、前記蓄電ユニットの異常を検出する異常検出部とを有する異常検出ユニットとを具備する。【選択図】図8

Description

本技術は、多変量解析を用いて故障予知を行う蓄電システムに関する。
近年、多変量解析手法の1つであるマハラノビス・タグチ法などのパターン認識技術により、システムや機器(以下、監視対象という)が故障によりサービス停止に至る前に、監視対象の運用中に異常を検出し、適切な措置を促す技術が実用化されている。
この技術では、監視対象が正常な挙動をしている事を保証した上で、あらかじめ様々なユースケースを用いて監視対象を試用し、監視対象の各種センサにより取得した多次元のデータの集合(以下、運用データセットという)から正常な空間を表すデータベース(以下、基準データベースまたは基準データセットという)を構築する。基準データベースが表す正常空間と、現在取得した運用データセットとを前述のパターン認識技術により解析する。そして、解析結果として得られた、基準値と現在の監視対象の非適合性を示す数値の大小により、異常を検出する。
基準データベースを構築する際には、監視対象を運用する際のあらゆるユースケースを想定し、監視対象の挙動に伴うセンサからの情報を運用データセットとして取得し構築する。しかしながら、実際の監視対象の運用時には、監視対象の置かれる環境や、監視対象に接続された負荷の特性などにより、あらゆるユースケースを想定した際には想定できなかった事象による監視対象の例外的な挙動が発生する可能性がある。そして、その例外的な挙動により、非適合性を示す数値が大きくなると、この挙動が正常の範囲にあるにも拘わらず、これを異常として誤検出してしまう恐れがあった。
そこで、基準データベースを監視対象の運用中に、更新していく技術が開発された。例えば、特許文献1では、マハラノビス・タグチ法を用いて、環境の異常を検出する環境監視システムにおいて、基準データベースの更新を行う技術が開示されている。
この環境監視システムでは、実際の監視時において得られたデータセットからマハラノビス距離を算出し、算出された監視時マハラノビス距離が、基準マハラノビス距離に近いか否かを判断する。近いと判断された場合には、該監視時マハラノビス距離を与えたデータセットを既存の基準データベースに新たに加えて基準データベースを更新し、基準マハラノビス距離が更新されたときには、更新された基準マハラノビス距離を用いて環境異常の検出を行う。
すなわち、基準データベースに対して、運転監視時に得られた運転データセットの非適合性を示す数値が、ある基準以下であればそれを許容し、基準データベースにその運転データセットを含めるように基準データベースを更新する。そして、再度同様な事象が発生した場合には、これを異常と検出しないようにする。
特開平10−124766号公報
しかしながら、異常検出システムにおいて、基準データベースを運用時に更新していく手法は、様々な運用時データセットによる度重なる基準データベースの更新とともに基準マハラノビス距離が変化し、異常を検出する感度が悪化してしまう可能性があるなど、様々な改善点がある。
以上のような事情に鑑み、本技術の目的は、適切に異常検出を行える蓄電システムを提供することにある。
上記目的を達成するため、本技術の一形態に係る蓄電システムは、蓄電池と、前記蓄電池を充電する充電部と、前記蓄電池および前記充電部のうち少なくとも一方の状態を複数の観点から検出する検出部とを有する蓄電ユニットと、前記蓄電ユニットから、前記検出された複数の状態値を含む伝送情報を、伝送経路を介して取得する入力部と、取得された前記複数の状態値に対する多変量解析により、前記蓄電ユニットの異常を検出する異常検出部とを有する異常検出ユニットとを具備する。
上記目的を達成するため、本技術の一形態に係る蓄電システムでは、前記異常検出ユニットは、前記蓄電ユニットの正常な状態を、複数の状態値により定義する基準データセットを記憶する第1の記憶部をさらに具備し、前記異常検出ユニットの前記異常検出部は、取得された前記複数の状態値と、記憶された前記基準データセットとの非適合性を評価し、評価結果に基づき、前記基準データベースを更新するように構成してもよい。
上記目的を達成するため、本技術の一形態に係る蓄電システムでは、前記蓄電ユニットと前記異常検出ユニットとを結ぶ前記伝送経路上に設置され、前記検出部から送信された前記伝送情報を受信し、受信した前記伝送情報に含まれる前記状態値に基づいて、当該状態値を変更し、変更した前記状態値を含む伝送情報を前記入力部へ送信する第1の制御部を有する中継ユニットをさらに具備してもよい。
上記目的を達成するため、本技術の一形態に係る蓄電システムでは、前記中継ユニットの前記第1の制御部は、送信する前記伝送情報に、前記状態値を変更したことを示すフラグ情報を付加するように構成してもよい。
上記目的を達成するため、本技術の一形態に係る蓄電システムでは、前記異常検出ユニットは、前記基準データセットのバックアップを記憶する第2の記憶部をさらに有し、前記蓄電システムは、前記中継ユニットの前記第1の制御部に、テスト用に変更した前記伝送情報を前記入力部へ送信させ、前記異常検出ユニットの前記異常検出部に、受信したテスト用の前記伝送情報に基づいて、前記蓄電ユニットが異常であるか否かを判定させ、受信したテスト用の前記伝送情報に前記蓄電ユニットを異常と判定すべき前記状態値が設定され、かつ、前記異常検出ユニットが前記蓄電ユニットを正常と判定した場合、および受信したテスト用の前記伝送情報に前記蓄電ユニットを正常と判定すべき前記状態値が設定され、かつ、前記異常検出ユニットが前記蓄電ユニットを異常と判定した場合のうち、いずれかの場合に、前記異常検出ユニットの前記異常検出部に、前記第2の記憶部に記憶された前記バックアップを、前記第1の記憶部に記憶された前記基準データセットに、書き戻させる第2の制御部を有する感度テスト実行ユニットをさらに具備してもよい。
上記目的を達成するため、本技術の一形態に係る蓄電システムでは、前記感度テスト実行ユニットの第2の制御部は、前記異常検出ユニットの前記異常検出部に、前記バックアップにより書き戻した、前記第1の記憶部に記憶された前記基準データセットを、最後に受信した実運用時の前記伝送情報に基づいて、更新させるように構成してもよい。
以上のように、本技術によれば、適切に異常検出を行う事が出来る。なお、ここに記載された効果は必ずしも限定されるものではなく、本開示中に記載されたいずれかの効果であってもよい。
蓄電システムの全体の概要を示すブロック図である。 構成を変更した蓄電システム100bのブロック図である。 構成を変更した蓄電システム100cのブロック図である。 中継器40a,40b,40cが一般的なPCにより構成される場合のブロック図である。 中継器40a,40b,40cが、感度テストの際に、受信したパケットの内容を修正する様子を示す図である。 異常検出演算部50の機能ブロック図である。 蓄電システム100の設置から正常稼働までの流れについて説明するフローチャートである。 蓄電システム100が正常に稼働した後、基準データベース52を更新したり、基準データベース52の更新後に感度テストを行ったりする際の処理の流れについて説明するフローチャートである。 基準データベース52の更新と、更新後の感度テストに関する処理の変形例を説明するフローチャートである。 基準データベース52のバックアップと、基準データベース52の更新と、更新後の感度テストに関する処理の変形例を説明するフローチャートである。 感度テスト実行ユニット700の位置づけを示すブロック図である。
以下、本技術に係る実施形態を、図面を参照しながら説明する。
[本技術が開発された背景]
上述したように、正常空間を表す基準データベースを、監視対象の運用中に、新しく検出・取得された運用データセットにより更新し、正常・異常の誤検出を低減する異常検出システムが開発された。
なお、上記の事例では、新しく取得された運用データセットによる更新を自動的に行ったが、ここに人を介在させることも考えられる。つまり、例外的な事象が発生し、異常検出システムがその事象を異常とした後で、人がその事象を確認するなどして異常ではないと判断した場合は、その事象を表す運用データセットを含めるように、基準データベースを更新する。こうすることによっても、以後、同様の事象が発生した場合、これを異常として誤検出することは無くなる。
このように基準データベースを運用時に更新していく手法では、しかしながら、時間の経過とともに、数多くの、正常空間を拡張する更新がなされ、正常空間が拡張された結果、異常検出システムが異常を検出する感度が悪化してしまう可能性がある。
例えば、運用データセットに含まれる、日々の微小なノイズや揺らぎが基準データベースに蓄積されていくと、基準データベースが表す正常空間が広がり、本来異常と検出すべきデータに対し、非適合性を示す数値が小さくなってしまう。
また、基準データベースの要素数は有限であるため、更新のたびに基準データベースを構成する要素のデータが置き換えられると、それまでの要素が表していた正常空間が狭まり、本来正常と検出すべき事象に対し、解析結果である非適合性を示す数値が大きくなり、異常として検出してしまう可能性が出てくる。
すなわち、基準データベースを運用時に更新していく手法では、更新を繰り返すことにより、正常な事象を異常と誤検出したり、異常な事象を正常と誤検出したりする可能性が高まってしまう状況にあった。そのため、この状況を打開し、より適切に異常を検出できるシステムや方法を開発することが課題となる。
[本技術の概要]
この課題を解決するために、本技術では、基準データベースを更新していく仕組みを持つ異常検出システムが、異常を検出する感度を一定に維持するために、監視対象に次の2つの仕組みを組み込むこととした。
(1)監視対象であるシステムの運用中、基準データベースの更新後に、異常検出の感度テストを実施する仕組み。
(2)感度テストの結果が所望の結果でない(正常であるべき事象が異常として検出されるか、またはその逆)場合、基準データベースを更新前のものにロールバックする(書き戻す)仕組み。
なお、以降の説明では、これら2つの仕組みを説明するために、監視対象として、蓄電システムを取り上げ、その全体構成、要所の構成を説明した後、全体的な処理の流れについて説明する。
[蓄電システムの概要と構成]
最初に、蓄電システムの概要とその全体構成について説明する。
蓄電システムとは、太陽光や風力などの自然エネルギーにより発電された電力を蓄電池(バッテリー)に充電し、電力会社の電力系統から供給される電力(系統電力)と織り交ぜながら、接続された負荷に電力を供給するものである。蓄電システムの使用は、系統電力供給の安定化や環境負荷の低減に寄与するものである。なお、ここでいう負荷とは、蓄電システムをオフィスビルに設置する場合は、ビルの照明や空調などであり、家庭の場合は、照明や電化製品のことである。
図1は、蓄電システムの全体の概要を示すブロック図である。蓄電システム100は、蓄電ユニット200、中継器(中継ユニット)40a,40b,40c、エネルギー管理ユニット300から構成されている。蓄電ユニット200は、充電器(充電部)10、バッテリー(蓄電池)20、電源(充電部)30を含んでいる。充電器10は、各種センサ(検出部)1およびパケット変換器4を含んでおり、バッテリー20は、各種センサ(検出部)2およびパケット変換器5を含んでおり、電源30は、各種センサ(検出部)3およびパケット変換器6を含んでいる。
また、エネルギー管理ユニット300は、異常検出演算部(異常検出ユニット)50を含んでいる。充電器10、バッテリー20、および電源30は、電力線8により互いに接続されている。パケット変換器4,5,6と中継器40a,40b,40cとは、伝送経路7によりそれぞれ接続されている。中継器40a,40b,40cとエネルギー管理ユニット300も伝送経路7によりそれぞれ接続されている。
充電器10には、太陽光、風力などの自然エネルギーにより発電を行う発電機400が接続される。充電器10は、発電機400により発電された電力を受け取り、電力線8を介してバッテリー20を充電する。なお、充電器10がバッテリー20を充電する際の充電電流がバッテリー20の許容する充電電流を上回った場合や、バッテリー20が満充電となり充電電流を受け付けなくなった場合、発電機400から受け取った、充電に使われない分の電力は、直接、負荷600に供給されてもよい。
バッテリー20は、充電器10または電源30から電力線8を介して供給された電力を蓄積し、電力線8に接続された負荷600に対して蓄積した電力を供給する。
電源30には、系統電力500が接続されている。電源30は、系統電力500から電力(特に電気代の安い夜間電力)を受け取り、電力線8を介して、バッテリー20を充電する。また、バッテリー20から負荷600に供給される電力が不足する場合には、直接系統電力500の電力を負荷600に供給することも出来る。
蓄電ユニット200が監視対象となり、具体的には、蓄電ユニット200に含まれる、電力制御・供給に関係する充電器10、バッテリー20、電源30が、各種センサ1,2,3により監視される。各種センサ1,2,3は、検出した監視対象の状態を示す値(状態値)を随時ログとして記録し、その状態値をパケット変換器4,5,6に供給する。
各種センサ1,2,3により検出された監視対象の状態を示す値は、エネルギー管理ユニット30からの状態取得要求に応じて、パケット変換器4,5,6によりパケット(伝送情報)の形に変換され、中継器40a,40b,40cに送信される。なお、ここでいう監視対象の状態とは、出力電圧値、出力電流値、温度値、蓄電池の残量値などである。
エネルギー管理ユニット300は、蓄電ユニット200を管理し制御する。具体的には、中継器40a,40b,40cおよびパケット変換器4,5,6を介して各種センサ1,2,3から監視対象の状態を示す値を取得する。取得した値に基づいて、または管理者からの指示に基づいて、監視対象における電力供給の開始、停止、各種モードの切り替えなどを行う。また、エネルギー管理ユニット300は、受信したパケットを異常検出演算部50に渡す。
異常検出演算部50は、上述の異常検出システムに相当するものであり、エネルギー管理ユニット300から渡されたパケットである、監視対象の状態を表す運用データセットと、基準データベースに基づき、監視対象の異常を検出する演算を行う。また、この異常検出演算部50において、感度テストのために中継器40a,40b,40cから送られてきたパケットに基づいて、感度テストが行われる。なお、異常検出演算部50の詳細については後述する。
中継器40aは、パケット変換器4とエネルギー管理ユニット300を接続する伝送経路7上に挿入(設置)される。中継器40bは、パケット変換器5とエネルギー管理ユニット300を接続する伝送経路7上に挿入(設置)される。中継器40cは、パケット変換器6とエネルギー管理ユニット300を接続する伝送経路7上に挿入(設置)される。中継器40a,40b,40cを、本技術に対応していない蓄電システムの、既存の伝送経路7の途中に挟むように設置することにより、当該蓄電システムを本技術に対応したシステムへと容易に変更することが出来る。
中継器40a,40b,40cは、パケット変換器4,5,6から送信された、監視対象の状態を表す値を含むパケットをそれぞれ受信し、受信したパケットをそのままエネルギー管理ユニット300に送信するか、またはパケットを加工してからエネルギー管理ユニット300に送信する。また、中継器40a,40b,40cは、エネルギー管理ユニット300から送られた制御指示に関するパケットなどをそのまま中継してパケット変換器4,5,6へ送信する。
中継器40a,40b,40cは、感度テストを行う場合、パケット変換器4,5,6から送られてきたパケット内の、監視対象の状態を表す値を修正する。また感度テスト用に値を修正したことを示すテストフラグ(フラグ情報)を付加して感度テスト用のパケットを生成し、生成したパケットを感度テストのためにエネルギー管理ユニット300経由、異常検出演算部50へ送信する。なお、中継器40の詳細については、後述する。
なお、伝送経路7は、RS−232C(Recommended Standard 232 version C)規格による伝送路であってもよいし、CAN(Controller Area Network)規格による伝送路であってもよいし、イーサネット(登録商標)規格による伝送経路であってもよいし、その他の規格による伝送経路であってもよい。
以上、蓄電システムの概要とその全体構成について説明した。
(変形例1)
ここでは、変形例の1つとして、構成を変更した蓄電システム100bについて説明する。図2は、構成を変更した蓄電システム100bのブロック図である。この変形例1では、異常検出演算部50をエネルギー管理ユニット300bの外部に設けている。そして異常検出演算部50とエネルギー管理ユニット300bを伝送経路7により接続した構成になっている。この変形例1では、異常検出演算部50をエネルギー管理ユニット300bの外部に設けているので、本技術に対応していない蓄電システムであっても、異常検出演算部50を加えて、容易に、本技術に対応した蓄電システム100bとすることが出来る。
(変形例2)
次に、別の変形例として、さらに構成を変更した蓄電システム100cについて説明する。図3は、構成を変更した蓄電システム100cのブロック図である。この変形例2では、変形例1のように、パケット変換器4,5,6とエネルギー管理ユニット300bとの間に中継器40a,40b,40cを設けるのではなく、中継器40dをエネルギー管理ユニット300bと異常検出演算部50の間に設けた構成になっている。この変形例2では、中継器40dを、1本の伝送経路7のみで結ばれているエネルギー管理ユニット300bと異常検出演算部50との間に設置するので、1つの中継器40dのみで本技術を実施することが出来る。
[中継器について]
次に、中継器40a,40b,40cの詳細について説明する。なお、中継器40dも同様である。
中継器40a,40b,40cは、専用のハードウェアやソフトウェアにより構成されていてもよいし、一般的なPC(Personal Computer)により構成されてもよい。中継器40a,40b,40cが一般的なPCにより構成される場合のブロック図を図4に示す。
同図に示すように中継器40a,40b,40cは、CPU(Central Processing Unit)(第1の制御部)41、ROM(Read Only Memory)42、RAM(Random Access Memory)43、操作入力部44、インターフェイス部45、表示部46、及び記憶部47を有し、これら各ブロックがバス48を介して接続されている。
ROM42は、各種の処理を実行するためのファームウェア等の複数のプログラムやデータを固定的に記憶する。RAM43は、CPU41の作業用領域として用いられ、OS(Operating System)、実行中の各種アプリケーション、処理中の各種データを一時的に保持する。本実施形態では、中継器40a,40b,40cがパケットの修正を行う場合、受信したパケットをRAM43に一時的に保持し、必要に応じてパケットの内容が示す監視対象の状態を表す値の変更が行われる。
記憶部47は、例えばHDD(Hard Disk Drive)や、フラッシュメモリ、その他の固体メモリ等の不揮発性メモリである。当該記憶部47には、OSや各種アプリケーション、各種データが記憶される。
インターフェイス部45は、パケットを伝送する伝送経路7と結ばれており、パケット変換器4,5,6から送信されたパケットを受け取る。また、中継器40a,40b,40cにおいて一旦受信したパケットを、エネルギー管理ユニット300に対して送信する。
CPU41は、ROM42や記憶部47に格納された複数のプログラムのうち、操作入力部44から与えられる命令に対応するプログラムをRAM43に展開し、当該展開されたプログラムにしたがって、表示部46及び記憶部47を適宜制御する。
操作入力部44は、例えばマウス等のポインティングデバイス、キーボード、タッチパネル、その他の操作装置である。
表示部46は、例えば液晶ディスプレイ、EL(Electro-Luminescence)ディスプレイ、プラズマディスプレイ、CRT(Cathode Ray Tube)ディスプレイ等である。当該表示部46は、中継器40a,40b,40cに内蔵されていてもよいし、外部接続されていてもよい。
以上、中継器40a,40b,40cの構成について説明した。次に、中継器40a,40b,40cの主な機能である、感度テストを行う際の、パケット内の値の修正によるテストパケットの生成について説明する。
図5は、中継器40a,40b,40cが、感度テストの際に、受信したパケットの内容を修正する様子を示す図である。
中継器40a,40b,40cは、感度テストの実行が指示されると、まず、パケット変換器4,5,6から伝送経路7を介して受信したパケットを、RAM43上に設けたバッファに一旦格納する。なお、感度テストの指示は、感度テストを行う蓄電システム100の管理者により出されてもよいし、コンピュータ等により構成される、感度テストを自動実行する感度テスト実行ユニット(後述)により出されてもよい。
次に、中継器40a,40b,40cは、格納したパケットの内容、すなわち、パケットに含まれる、監視対象の状態を表す値を理解した上で、その値を修正する。値の修正は、後述する方針に沿って行われる。なお、この図では、パケット内の3番目にあるデータの内容を、「3」から「X」に書き換えている。
次に、中継器40a,40b,40cは、バッファ内において内容を書き換えたパケットにテストフラグを付加する。次に、中継器40a,40b,40cは、書き換えてテストフラグを付加したパケットを、伝送経路7を介してエネルギー管理ユニット300経由、異常検出演算部50へ送信する。
中継器40a,40b,40cでは、通常運用時と、感度テスト時のパケットを、異常検出演算部50が区別できるように、送信するテストパケットには、テストフラグを立てる。そのため、本技術の中継器40a,40b,40cを用いると、蓄電システム100の実際の運用中に、感度テストを行うことが出来る。
(監視対象の状態を表す値の修正方針)
次に、中継器40a,40b,40cが受信したパケットを、テスト用のパケットとして生成するために、パケットの中の値を修正する方針について説明する。
中継器40a,40b,40cで生成されるテストパケットは、蓄電システム100において、異常検出演算部50が異常検出に使用している基準データベースが、適切な異常検出感度を有しているかをテストするために生成されるものである。そのため、テストパケット用の値として、1つの監視対象の仕様から明らかに外れる異常値を用いることは適切ではない。
例えば、バッテリー20の出力電圧値が、仕様上、95Vから105Vの範囲であるにも拘わらず、センサにより検出した値を150Vとする様な異常値の設定は適切ではない。このような異常値を用いると、異常検出演算部50において、運用データセットの非適合性を示す数値が大きくなり、当然、異常として判断されるので、感度テストの目的には沿っていない。
そこで、監視対象の状態を表す値を修正する際の方針は、受信したパケットに含まれる、監視対象の状態を表す値に、「微小な変化」を加えて修正を行うことである。すなわち、異常と判断されるぎりぎりの値を用いることにより、感度テストを適切に行うことが出来る。
「微小な変化」とは、例えば、上記のバッテリー20の出力電圧値の場合、出力電圧値が100Vの場合、例えば、その1%である1V程度が適切な値であると言える。この1Vを元の値に加えたり減じたりしてテスト用の異常値が生成される。なお、「微小な変化」の値として、実際に使用される値は、監視対象の状態を表す値の種類、例えば電圧値、電流値、温度値などにより個々に設定される。なお、「微小な変化」の値は、固定値として与えられてもよいし、演算式を用いることにより、実際に測定された値のX%のように計算により与えられてもよい。
中継器40a,40b,40cが、実際に計測された値に、「微小な変化」を加えて異常値を生成し、異常検出演算部50に送信する。異常検出演算部50は、その異常値を運用データセットとして非適合性を示す数値を求め(非適合性を評価し)、設定された異常値を示す事象が異常か否かを判断することになる。
以上、中継器40a,40b,40cの、テストパケットを生成する機能について説明した。
[異常検出演算部50について]
次に、異常検出演算部50の詳細について、説明する。異常検出演算部50は、専用のハードウェアやソフトウェアにより構成されていてもよいし、一般的なPCにより構成されてもよい。一般的なPCの構成は、中継器40a,40b,40cの説明に用いたものと同様であるので、説明は省略する。
次に、異常検出演算部50の機能ブロックについて説明する。図6は、異常検出演算部50の機能ブロック図である。
異常検出演算部50は、入力部54、演算・比較部(異常検出部)51、基準データベース(基準データセット)52を記憶する第1の記憶部(記憶部)55、基準データベースのバックアップ53を記憶する第2の記憶部56を含んで構成される。
入力部54は、中継器40a,40b,40cから送信されたパケットを、エネルギー管理ユニット300経由で受信する。入力部54は、受信したパケット内の監視対象の状態を表す値を含む現在の運転データセットを、演算・比較部51に渡す。
演算・比較部51は、基準データベース52が示す正常空間と、現在の運転データセットとをパターン認識技術(多変量解析)により演算する。そして、演算・比較部51は、演算の結果得られた非適合性を示す数値の大小に基づいて、異常を検出する。
基準データベース52は、異常検出に用いられる正常空間の範囲を定義するための要素の集まりである。基準データベース52は、新たな運用データセットにより、更新が行われる。
基準データベースのバックアップ53は、基準データベース52に対して更新が行われる際に取られた、更新前の基準データベースのバックアップの集合である。この図では、バックアップ53a,53b,53cの3つのバップアップが存在し、過去に3回、基準データベース52の更新が行われたことが分かる。なお、この図の構成では、基準データベースのバックアップ53は、異常検出演算部50内部の第2の記憶部56に格納されているが、この構成に限らず、基準データベースのバックアップ53は、異常検出演算部50の外部に保存される構成でもよい。
異常検出演算部50は、感度テストの開始が指示されると、テストフラグを立てたパケットを受信し、そのパケットに含まれる監視対象の状態を表す値を用いて異常検出演算を行う。なお、感度テストの指示は、感度テストを行う蓄電システム100の管理者により出されてもよいし、コンピュータ等により構成される、感度テストを自動実行する感度テスト実行ユニットにより出されてもよい。
異常検出演算の結果得られた、非適合性を示す数値が所定の基準値を比較して適切な条件を満たさなければ、保存してある過去のバックアップ53を用いて基準データベース52をロールバックする。このロールバックを行うことにより、基準データベース52が表す正常空間の範囲が、以前のものに戻るので、異常検出の感度を以前と同じ一定のものに維持することが出来る。
以上、異常検出演算部50の詳細について説明した。
[蓄電システムの構成のまとめ]
なお、蓄電システム100の構成に関して別の観点から言えば、蓄電システム100は、バッテリー20と、バッテリー20を充電する充電器10および電源30と、複数の観点からバッテリー20、充電器10、および電源30のうち少なくとも1つの状態を検出する各種センサ1,2,3とを有する蓄電ユニット200と、蓄電ユニット200から、検出された複数の状態値を含む伝送情報を、伝送系路を介して取得する入力部54と、取得された複数の状態値に対する多変量解析により、蓄電ユニット200の異常を検出する演算・比較部51とを有する異常検出演算部50と具備していると言える。
[処理の流れについて]
次に、蓄電システム100に関する処理の流れについて説明する。最初に、蓄電システム100を新たに設置してから正常に稼働させるまでの処理の流れについて説明する。次に、正常稼働時に基準データベース52を更新すべき運転データセットが来たときの、基準データベース52の更新と感度テストの処理の流れについて説明する。
(蓄電システムの設置から正常稼働までの流れ)
まず、蓄電システム100の設置から正常稼働までの流れについて説明する。図7は、蓄電システム100の設置から正常稼働までの流れについて説明するフローチャートである。
最初に、管理者が蓄電システム100を設置する(ステップS1)。
次に、管理者が蓄電システム100を稼働させる(ステップS2)。
次に、管理者が蓄電システム100に、基準データベース52を構築するために、運転データ(運転データセット)の蓄積を行わせる(ステップS3)。
次に、管理者は、基準データベース52を構築するために十分な運転データが蓄積されたか否かを判断する(ステップS4)。
十分な運転データがまだ蓄積されていない場合(ステップS4のN)は、ステップS3に戻り、運転データの蓄積を継続する。
十分な運転データが蓄積された場合(ステップS4のY)、次に、異常検出演算部50は、蓄積された運転データセットに基づいて、基準データベース52の構築を行う(ステップS5)。
次に、管理者または感度テスト実行ユニットは、中継器40a,40b,40cを用いて感度テストを行う(ステップS6)。
次に、管理者または感度テスト実行ユニットは、非適合性を示す数値Aと比較する、最大の基準値(MAX)および最小の基準値(MIN)を決定する(ステップS7)。
次に、管理者は、異常検出システムすなわち異常検出演算部50の運用を開始する(ステップS8)。
以上、蓄電システム100の設置から正常稼働までの流れについて説明した。
(基準データベースの更新と感度テストの処理の流れ)
次に、蓄電システム100が正常に稼働した後、基準データベース52を更新したり、基準データベース52の更新後に感度テストを行ったりする際の処理の流れについて説明する。図8は、蓄電システム100が正常に稼働した後、基準データベース52を更新したり、基準データベース52の更新後に感度テストを行ったりする際の処理の流れについて説明するフローチャートである。
最初に、異常検出演算部50が、監視対象の状態を表す値を含んだパケット(実運用のパケット)を受信することにより、運転データを取得する(ステップS20)。
次に、異常検出演算部50は、ステップ20で取得した運転データを含む運転データセットと、基準データベース52とから、多変量解析によるパターン認識演算を行い、非適合性を示す数値Aを算出する(ステップS21)。
次に、異常検出演算部50は、数値Aが予め定めた最大の基準値(MAX)以上であるか否かを判定する(ステップS22)。
数値Aが最大の基準値(MAX)未満であった場合(ステップS22のN)、次に、異常検出演算部50は、数値Aが予め定めた最小の基準値(MIN)以下であるか否かを判定する(ステップS23)。
数値Aが最小の基準値(MIN)以下であった場合(ステップS23のY)、異常検出演算部50は、処理をステップS20に戻し、監視対象の異常検出処理を繰り返す。
ステップS22において、数値Aが最大の基準値(MAX)以上であった場合(ステップS22のY)、テストフラグが立っていなければ、異常検出演算部50は発報し、管理者が蓄電システム100の確認を行う(ステップS24)。
次に、管理者は、蓄電システム100が故障しているか否かを判断する(ステップS25)。
蓄電システム100が本当に故障している場合(ステップS25のY)、管理者は、蓄電システム100を修理する(ステップS26)。修理後は、蓄電システム100が正常稼働に戻った後は、ステップS20から処理を再開することが出来る。
ステップS23において数値Aが最小の基準値(MIN)を越えていた場合(ステップS23のN)、およびステップS25において蓄電システムの故障ではなかった場合(ステップS25のN)、次に、異常検出演算部50は、数値Aの発生が一時的なものであるか(断続的ではないか)を判定する(ステップS27)。
数値Aが一時的なものであると判定された場合(ステップS27のY)、異常検出演算部50は、処理をステップS20に戻し、監視対象の異常検出処理を繰り返す。
数値Aが一時的なものではないと判定された場合(ステップS27のN)、異常検出演算部50は、基準データベース52の更新処理に進む。
更新処理では、まず、異常検出演算部50が、現在の基準データベース52のバックアップを行う(ステップS28)。
次に、異常検出演算部50は、今回の更新処理のトリガとなった運転データセットを含むように、基準データベース52の更新を行う(ステップS29)。
次に、任意のタイミングで出された指示により、中継器40a,40b,40cを用いて感度テストを行う(ステップS30)。なお、指示は、感度テストを行う蓄電システム100の管理者により出されてもよいし、コンピュータ等により構成される、感度テストを自動実行する感度テスト実行ユニットにより出されてもよい。
次に、管理者または感度テスト実行ユニットは、感度テストの結果に基づき、異常検出の感度が悪化しているか(生成した事象の正常と異常を誤検出するか)否かを判断する(ステップS31)。
異常検出の感度が悪化していない場合(ステップS31のN)、管理者または感度テスト実行ユニットは、処理をステップS20に戻し、異常検出演算部50に監視対象の異常検出処理を継続させる。
異常検出の感度が悪化している場合(ステップS31のY)、次に、管理者または感度テスト実行ユニットは、異常検出演算部50に指示して、過去の任意のバックアップを用いて、基準データベース52を過去の時点にロールバックする(ステップS32)。
ロールバック後、管理者または感度テスト実行ユニットは、ステップS30に戻り、再度、感度テストを行う。この際の感度テストでは、異常検出の感度が悪化していなかった過去の時点での基準データベースを使用しているので、次のステップS31では異常検出の感度が悪化していないと判断され、ステップS20に戻って正常稼働を継続することになる。
以上、蓄電システム100が正常に稼働した後、基準データベース52を更新したり、基準データベース52の更新後に感度テストを行ったりする際の処理の流れについて説明した。
(変形例3)
ここでは、基準データベース52の更新と、更新後の感度テストに関する処理の変形例を説明する。図9は、基準データベース52の更新と、更新後の感度テストに関する処理の変形例を説明するフローチャートである。
上記で説明した処理の流れと、本変形例3での処理の流れの違いは、ステップS32において基準データベース52をロールバックした後、本変形例では、ステップS29に戻り、今回の更新処理のトリガとなった運転データセットを含むように、基準データベース52の更新を行う点である。
こうすることで、今回得られた運転データセットを廃棄せずに、基準データベースに反映させ有効に活用することが出来る。
但し、本変形例の構成を採用する場合は、今回得られた運転データセットを反映させても異常検出の感度が悪化しないバックアップが存在することが前提となる。本変形例では、ロールバック後の基準データベースに、今回得られた運転データセットを反映させてから感度テストを行うので、もし、十分に正常空間の狭いバックアップが無い場合は、蓄電システム100を正常稼働に戻すことは出来ない。適切なバックアップが無い場合に、蓄電システム100を正常稼働に戻す為には、ロールバック後に基準データベース52の更新を行わなければよい。
以上、基準データベース52の更新と、更新後の感度テストに関する処理の変形例を説明した。
(変形例4)
ここでは、基準データベース52のバックアップと、基準データベース52の更新と、更新後の感度テストに関する処理の変形例を説明する。図10は、基準データベース52のバックアップと、基準データベース52の更新と、更新後の感度テストに関する処理の変形例を説明するフローチャートである。この変形例では、基準データベース52をバックアップするタイミングが、上述の処理の流れとは異なっている。
最初に、異常検出演算部50が、現在の基準データベース52のバックアップを行う(ステップS120)。
次に、異常検出演算部50が、監視対象の状態を表す値を含んだパケット(実運用のパケット)を受信することにより、運転データを取得する(ステップS121)。
次に、異常検出演算部50は、ステップS120で取得した運転データを含む運転データセットと、基準データベース52とから、多変量解析によるパターン認識演算を行い、非適合性を示す数値Aを算出する(ステップS122)。
次に、異常検出演算部50は、数値Aが予め定めた最大の基準値(MAX)以上であるか否かを判定する(ステップS123)。
数値Aが最大の基準値(MAX)未満であった場合(ステップS123のN)、次に、異常検出演算部50は、数値Aが予め定めた最小の基準値(MIN)以下であるか否かを判定する(ステップS124)。
数値Aが最小の基準値(MIN)以下であった場合(ステップS124のY)、基準データベース52の感度テストの実行判断に進む。
ステップS123において、数値Aが最大の基準値(MAX)以上であった場合(ステップS123のY)、テストフラグが立っていなければ、異常検出演算部50は発報し、管理者が蓄電システム100の確認を行う(ステップS125)。
次に、管理者は、蓄電システム100が故障しているか否かを判断する(ステップS126)。
蓄電システム100が本当に故障している場合(ステップS126のY)、管理者は、蓄電システム100を修理する(ステップS127)。修理後は、蓄電システム100が正常稼働に戻った後は、ステップS121から処理を再開することが出来る。
ステップS124において数値Aが最小の基準値(MIN)を越えていた場合(ステップS124のN)、およびステップS126において蓄電システムの故障ではなかった場合(ステップS126のN)、次に、異常検出演算部50は、数値Aの発生が一時的なものであるか(断続的ではないか)を判定する(ステップS128)。
数値Aが一時的なものであると判定された場合(ステップS128のY)、基準データベース52の感度テストの実行判断に進む。
数値Aが一時的なものではないと判定された場合(ステップS128のN)、異常検出演算部50は、今回の運転データセットを含むように、基準データベース52の更新を行い(ステップS129)、基準データベース52の感度テストの実行判断に進む。
ステップS124において数値Aが最小の基準値(MIN)以下であった場合(ステップS124のY)、ステップS128において数値Aの発生が一時的なものであった場合(ステップS128のY)、およびステップS129において基準データベース52の更新を行った後、感度テスト実行ユニットまたは管理者は、感度テストを実行するタイミングであるかを判断する(ステップS130)。感度テストの指示は任意のタイミングで出され、感度テストを行う蓄電システム100の管理者により出されてもよいし、コンピュータ等により構成される、感度テストを自動実行する感度テスト実行ユニットにより出されてもよい。
感度テストを行うタイミングではないと判断された場合(ステップS130のN)、異常検出演算部50は、処理をステップS121に戻し、監視対象の異常検出処理を繰り返す。
感度テストを行うタイミングであると判断された場合(ステップS130のY)、管理者または感度テスト実行ユニットは、中継器40a,40b,40cを用いて、現在(最新)の基準データベース52の感度テストを行う(ステップS131)。
次に、管理者または感度テスト実行ユニットは、感度テストの結果に基づき、異常検出の感度が悪化しているか(生成した事象の正常と異常を誤検出するか)否かを判断する(ステップS132)。
異常検出の感度が悪化していない場合(ステップS132のN)、異常検出演算部50は、処理をステップS120に戻し、現在(最新)の基準データベース52のバックアップを行う。
異常検出の感度が悪化している場合(ステップS132のY)、管理者または感度テスト実行ユニットは、異常検出演算部50に指示して、過去の任意のバックアップを用いて、基準データベース52を過去の時点にロールバックする(ステップS133)。
ロールバック後、異常検出に用いる基準データベース52は、異常検出の感度が悪化していなかった過去の時点のものを使用することになるので、ステップS121に戻って正常稼働を継続することになる。
以上、基準データベース52のバックアップと、基準データベース52の更新と、更新後の感度テストに関する処理の変形例について説明した。
[感度テスト実行ユニット]
ここでは、上述した感度テスト実行ユニットについて、簡単に説明する。図11は、感度テスト実行ユニット700の位置づけを示すブロック図である。なお、感度テスト実行ユニット700は、蓄電システム100の一部として構成されてもよい。
この図にあるように、感度テスト実行ユニット700は、中継器40a,40b,40cと、異常検出演算部50の双方に接続され、これらの機器を制御する。感度テスト実行ユニット700の制御部(第2の制御部)は、異常検出演算部50の異常検出の感度が維持されているか否かを、任意のタイミングで、または、基準データベース52が更新されたタイミングで、感度テストの実行により確認する。そして、感度テスト実行ユニット700の制御部は、感度テストの結果に基づいて、異常検出演算部50に、基準データベース52のロールバックを行わせたり、変形例3の場合には、ロールバック後の基準データベース52の更新を行わせたりする。感度テスト実行ユニット700は一般的なPCを用いて構成することが出来る。
なお、感度テスト実行ユニット700の動作の詳細については、処理の流れの説明の箇所で述べたので、ここでの説明は省略する。
[効果]
次に、本技術によって得られる効果のうち、代表的な幾つかの効果について説明する。
(1)中継器40a,40b,40cを用いてテストパケットを生成することにより、実際の運用時には発生する機会の非常に少ない異常時の事象を発生させ、その事象に対する異常検出演算部50の挙動を検証することが出来る。
(2)テストフラグにより通常パケットとテストパケットを区別することにより、蓄電システム100や異常検出演算部50を通常稼働させたままで、現在の異常検出感度の感度テストを行うことが出来る。すなわちテストパケットにより異常値を検出した場合は、基準データベースの更新を行わなかったり、異常検出の発報を抑制したりすることが出来る。
(3)中継器40a,40b,40cは、受信した実際の監視対象の状態を表す値をベースとして、その値に「微小な変化」を加えて異常値を生成するので、感度テストの目的に沿った異常値を生成することが出来る。
(4)中継器40a,40b,40cは、受信した実際の監視対象の状態を表す値をベースとして、その値に「微小な変化」を加える際、予め定められた演算式を用いるので、受信した値によらず最適な異常値を生成することが出来る。
(5)基準データベースを更新する度に、基準データベースのバックアップを取ることにより、必要に応じ、バックアップを用いて過去の様々な時点に基準データベースをロールバックする事が出来る。
(6)既存の蓄電システムに対し、新たに中継器40a,40b,40cを付加し、既存の異常検出演算部を本技術に対応した異常検出演算部50に置換するだけで、本技術を適用出来るので、本技術への投資金額を最小限に抑えることが出来る。
[補足事項]
その他、本技術は、上述の実施形態にのみ限定されるものではなく、本技術の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
[本技術の別の構成]
なお、本技術は以下のような構成も採ることができる。
(1)
蓄電池と、
前記蓄電池を充電する充電部と、
前記蓄電池および前記充電部のうち少なくとも一方の状態を複数の観点から検出する検出部とを有する蓄電ユニットと、
前記蓄電ユニットから、前記検出された複数の状態値を含む伝送情報を、伝送経路を介して取得する入力部と、
取得された前記複数の状態値に対する多変量解析により、前記蓄電ユニットの異常を検出する異常検出部と
を有する異常検出ユニットと
を具備する蓄電システム。
(2)
前記(1)に記載の蓄電システムであって、
前記異常検出ユニットは、
前記蓄電ユニットの正常な状態を、複数の状態値により定義する基準データセットを記憶する第1の記憶部をさらに具備し、
前記異常検出ユニットの前記異常検出部は、
取得された前記複数の状態値と、記憶された前記基準データセットとの非適合性を評価し、
評価結果に基づき、前記基準データベースを更新するように構成される
蓄電システム。
(3)
前記(1)または(2)に記載の蓄電システムであって、
前記蓄電ユニットと前記異常検出ユニットとを結ぶ前記伝送経路上に設置され、
前記検出部から送信された前記伝送情報を受信し、
受信した前記伝送情報に含まれる前記状態値に基づいて、当該状態値を変更し、
変更した前記状態値を含む伝送情報を前記入力部へ送信する
第1の制御部を有する中継ユニット
をさらに具備する蓄電システム。
(4)
前記(3)に記載の蓄電システムであって、
前記中継ユニットの前記第1の制御部は、
送信する前記伝送情報に、前記状態値を変更したことを示すフラグ情報を付加するように構成される
蓄電システム。
(5)
前記(3)または(4)に記載の蓄電システムであって、
前記異常検出ユニットは、
前記基準データセットのバックアップを記憶する第2の記憶部をさらに有し、
前記蓄電システムは、
前記中継ユニットの前記第1の制御部に、テスト用に変更した前記伝送情報を前記入力部へ送信させ、
前記異常検出ユニットの前記異常検出部に、受信したテスト用の前記伝送情報に基づいて、前記蓄電ユニットが異常であるか否かを判定させ、
受信したテスト用の前記伝送情報に前記蓄電ユニットを異常と判定すべき前記状態値が設定され、かつ、前記異常検出ユニットが前記蓄電ユニットを正常と判定した場合、および
受信したテスト用の前記伝送情報に前記蓄電ユニットを正常と判定すべき前記状態値が設定され、かつ、前記異常検出ユニットが前記蓄電ユニットを異常と判定した場合のうち、いずれかの場合に、
前記異常検出ユニットの前記異常検出部に、前記第2の記憶部に記憶された前記バックアップを、前記第1の記憶部に記憶された前記基準データセットに、書き戻させる
第2の制御部を有する感度テスト実行ユニット
をさらに具備する蓄電システム。
(6)
前記(5)に記載の蓄電システムであって、
前記感度テスト実行ユニットの第2の制御部は、
前記異常検出ユニットの前記異常検出部に、
前記バックアップにより書き戻した、前記第1の記憶部に記憶された前記基準データセットを、最後に受信した実運用時の前記伝送情報に基づいて、更新させるように構成される
蓄電システム。
1〜3 … 各種センサ
4〜6 … パケット変換器
7 … 伝送経路
8 … 電力線
10 … 充電器
20 … バッテリー
30 … 電源
40a〜40d … 中継器
41 … CPU
42 … ROM
43 … RAM
44 … 操作入力部
45 … インターフェイス部
46 … 表示部
47 … 記憶部
48 … バス
50 … 異常検出演算部
51 … 演算・比較部
52 … 基準データベース
53〜53c … 基準データベースのバックアップ
100〜100c … 蓄電システム
200 … 蓄電ユニット
300 … エネルギー管理ユニット
400 … 発電機
500 … 系統電力
600 … 負荷
700 … 感度テスト実行ユニット
A … 運転データセットと基準データベース52の、非適合性を示す数値

Claims (6)

  1. 蓄電池と、
    前記蓄電池を充電する充電部と、
    前記蓄電池および前記充電部のうち少なくとも一方の状態を複数の観点から検出する検出部とを有する蓄電ユニットと、
    前記蓄電ユニットから、前記検出された複数の状態値を含む伝送情報を、伝送経路を介して取得する入力部と、
    取得された前記複数の状態値に対する多変量解析により、前記蓄電ユニットの異常を検出する異常検出部と
    を有する異常検出ユニットと
    を具備する蓄電システム。
  2. 請求項1に記載の蓄電システムであって、
    前記異常検出ユニットは、
    前記蓄電ユニットの正常な状態を、複数の状態値により定義する基準データセットを記憶する第1の記憶部をさらに具備し、
    前記異常検出ユニットの前記異常検出部は、
    取得された前記複数の状態値と、記憶された前記基準データセットとの非適合性を評価し、
    評価結果に基づき、前記基準データベースを更新するように構成される
    蓄電システム。
  3. 請求項2に記載の蓄電システムであって、
    前記蓄電ユニットと前記異常検出ユニットとを結ぶ前記伝送経路上に設置され、
    前記検出部から送信された前記伝送情報を受信し、
    受信した前記伝送情報に含まれる前記状態値に基づいて、当該状態値を変更し、
    変更した前記状態値を含む伝送情報を前記入力部へ送信する
    第1の制御部を有する中継ユニット
    をさらに具備する蓄電システム。
  4. 請求項3に記載の蓄電システムであって、
    前記中継ユニットの前記第1の制御部は、
    送信する前記伝送情報に、前記状態値を変更したことを示すフラグ情報を付加するように構成される
    蓄電システム。
  5. 請求項3に記載の蓄電システムであって、
    前記異常検出ユニットは、
    前記基準データセットのバックアップを記憶する第2の記憶部をさらに有し、
    前記蓄電システムは、
    前記中継ユニットの前記第1の制御部に、テスト用に変更した前記伝送情報を前記入力部へ送信させ、
    前記異常検出ユニットの前記異常検出部に、受信したテスト用の前記伝送情報に基づいて、前記蓄電ユニットが異常であるか否かを判定させ、
    受信したテスト用の前記伝送情報に前記蓄電ユニットを異常と判定すべき前記状態値が設定され、かつ、前記異常検出ユニットが前記蓄電ユニットを正常と判定した場合、および
    受信したテスト用の前記伝送情報に前記蓄電ユニットを正常と判定すべき前記状態値が設定され、かつ、前記異常検出ユニットが前記蓄電ユニットを異常と判定した場合のうち、いずれかの場合に、
    前記異常検出ユニットの前記異常検出部に、前記第2の記憶部に記憶された前記バックアップを、前記第1の記憶部に記憶された前記基準データセットに、書き戻させる
    第2の制御部を有する感度テスト実行ユニット
    をさらに具備する蓄電システム。
  6. 請求項5に記載の蓄電システムであって、
    前記感度テスト実行ユニットの第2の制御部は、
    前記異常検出ユニットの前記異常検出部に、
    前記バックアップにより書き戻した、前記第1の記憶部に記憶された前記基準データセットを、最後に受信した実運用時の前記伝送情報に基づいて、更新させるように構成される
    蓄電システム。
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