JP2015058763A - 自動車の車体構造 - Google Patents

自動車の車体構造 Download PDF

Info

Publication number
JP2015058763A
JP2015058763A JP2013192605A JP2013192605A JP2015058763A JP 2015058763 A JP2015058763 A JP 2015058763A JP 2013192605 A JP2013192605 A JP 2013192605A JP 2013192605 A JP2013192605 A JP 2013192605A JP 2015058763 A JP2015058763 A JP 2015058763A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
vehicle width
wall
width direction
orientation angle
fiber orientation
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2013192605A
Other languages
English (en)
Other versions
JP6035654B2 (ja
Inventor
正太郎 鮎澤
Seitaro Ayusawa
正太郎 鮎澤
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Honda Motor Co Ltd
Original Assignee
Honda Motor Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Honda Motor Co Ltd filed Critical Honda Motor Co Ltd
Priority to JP2013192605A priority Critical patent/JP6035654B2/ja
Publication of JP2015058763A publication Critical patent/JP2015058763A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6035654B2 publication Critical patent/JP6035654B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Body Structure For Vehicles (AREA)

Abstract

【課題】 自動車のサイドシルに柱状物が側面衝突したときのエネルギー吸収性能を高める。
【解決手段】 FRP製のサイドシル13の車幅方向外壁24は、サイドシル13の長手方向に対する連続繊維の繊維配向角を一致あるいは異ならせた状態で積層した複数の連続繊維層を樹脂で固めた板材で構成される。車幅方向外壁24は、複数の連続繊維層のうちの一対の表層の繊維配向角が、それらに挟まれた内層の繊維配向角以上であるので、サイドシル13に道路上の柱状物27が衝突して車幅方向外壁24に局所的な衝突荷重が入力したときに、表層の繊維配向角が大きいために比較的に強度は低いが延性が高い車幅方向外壁24は、車幅方向内側に容易に変形して衝突荷重を上部、下部車幅方向内壁25,26からフロアパネル12に分散して伝達し、前記局所的な衝突荷重を効率的に吸収してサイドシル13の破壊を防止することができる。
【選択図】 図3

Description

本発明は、FRP製のサイドシルの車幅方向外壁を、前記サイドシルの長手方向に対する連続繊維の繊維配向角を一致あるいは異ならせた状態で積層した複数の連続繊維層を樹脂で固めた板材で構成した自動車の車体構造に関する。
フロアパネル、ロッカ(サイドシル)、フロントピラーロア、ダッシュパネルロア、リヤピラー等を有する自動車の車体をCFRPで一体に成形し、サイドシルの内部に波型のエネルギー吸収部材を配置することで、サイドシルに入力する側面衝突の衝突荷重を吸収するものが、下記特許文献1により公知である。
特許第4840072号公報
ところで、路面に立設したポール等の柱状物がCFRP製のサイドシルに側面衝突した場合、サイドシルの車幅方向外壁に集中的な大荷重が入力するため、車幅方向外壁のCFRPを高強度に設定しても前記集中的な大荷重に耐えきれず、柱状物が衝突した部分が局部的に破断する可能性がある。このように、サイドシルの車幅方向外壁が局部的に破断すると、その内側のエネルギー吸収部材の広い範囲に衝突エネルギーを効率的に伝達することができず、エネルギー吸収部材やサイドシルの車幅方向内壁も局部的に破断して柱状物がフロアパネルに嵌入する虞がある。
本発明は前述の事情に鑑みてなされたもので、自動車のサイドシルに柱状物が側面衝突したときのエネルギー吸収性能を高めることを目的とする。
上記目的を達成するために、請求項1に記載された発明によれば、FRP製のサイドシルの車幅方向外壁を、前記サイドシルの長手方向に対する連続繊維の繊維配向角を一致あるいは異ならせた状態で積層した複数の連続繊維層を樹脂で固めた板材で構成した自動車の車体構造であって、前記車幅方向外壁は、前記複数の連続繊維層のうちの一対の表層の繊維配向角が、それらに挟まれた内層の繊維配向角以上であることを特徴とする自動車の車体構造が提案される。
また請求項2に記載された発明によれば、請求項1の構成に加えて、前記サイドシルは、前記車幅方向外壁の上端から略直線状に延びる上部車幅方向内壁と、前記車幅方向外壁の下端から略直線状に延びる下部車幅方向内壁とを備え、前記上部車幅方向内壁および前記下部車幅方向内壁はフロアパネルの車幅方向外端に連なることを特徴とする自動車の車体構造が提案される。
また請求項3に記載された発明によれば、請求項1または請求項2の構成に加えて、前記車幅方向外壁は、繊維配向角が0°の0°連続繊維層と、繊維配向角が0°以外の傾斜連続繊維層とを備え、前記0°連続繊維層の外側に積層される前記傾斜連続繊維層の積層数は内側に積層される前記傾斜連続繊維層の積層数よりも多いことを特徴とする自動車の車体構造が提案される。
また請求項4に記載された発明によれば、請求項1〜請求項3の何れか1項の構成に加えて、前記一対の表層の繊維配向角と、それに隣接する一対の内層の繊維配向角とは長手方向に対して対称であることを特徴とする自動車の車体構造が提案される。
また請求項5に記載された発明によれば、請求項2の構成に加えて、前記上部車幅方向内壁および前記下部車幅方向内壁は、前記サイドシルの長手方向に対する連続繊維の繊維配向角を一致あるいは異ならせた状態で積層した複数の連続繊維層を樹脂で固めた板材からなり、前記複数の連続繊維層のうちの一対の表層の繊維配向角が0°であることを特徴とする自動車の車体構造が提案される。
また請求項6に記載された発明によれば、請求項2の構成に加えて、前記フロアパネルはアウタースキンおよびインナースキン間にコア材を挟んで構成され、前記アウタースキンおよび前記インナースキンは、前記サイドシルの長手方向に対する連続繊維の繊維配向角を一致あるいは異ならせた状態で積層した複数の連続繊維層を樹脂で固めた板材からなり、前記アウタースキンの前記複数の連続繊維層のうちの一対の表層の繊維配向角はそれらに挟まれた内層の繊維配向角以上であり、前記インナースキンの前記複数の連続繊維層のうちの一対の表層の繊維配向角は0゜であることを特徴とする自動車の車体構造が提案される。
請求項1の構成によれば、FRP製のサイドシルの車幅方向外壁は、サイドシルの長手方向に対する連続繊維の繊維配向角を一致あるいは異ならせた状態で積層した複数の連続繊維層を樹脂で固めた板材で構成される。車幅方向外壁は、複数の連続繊維層のうちの一対の表層の繊維配向角が、それらに挟まれた内層の繊維配向角以上であるので、サイドシルに道路上の柱状物が衝突して車幅方向外壁に局所的な衝突荷重が入力したときに、表層の繊維配向角が大きいために比較的に強度は低いが延性が高い車幅方向外壁は、車幅方向内側に容易に変形して衝突荷重を他部材に分散して伝達し、前記局所的な衝突荷重を効率的に吸収してサイドシルの破壊を抑制することができる。
また請求項2の構成によれば、サイドシルは、車幅方向外壁の上端から略直線状に延びる上部車幅方向内壁と、車幅方向外壁の下端から略直線状に延びる下部車幅方向内壁とを備え、上部車幅方向内壁および下部車幅方向内壁はフロアパネルの車幅方向外端に連なるので、サイドシルの車幅方向外壁に入力した衝突荷重を上部車幅方向内壁および下部車幅方向内壁を介してフロアパネルに効率的に伝達することで、車幅方向外壁の変形を促進してエネルギー吸収量を増加することができる。
また請求項3の構成によれば、車幅方向外壁は、繊維配向角が0°の0°連続繊維層と、繊維配向角が0°以外の傾斜連続繊維層とを備え、0°連続繊維層の外側に積層される傾斜連続繊維層の積層数は内側に積層される傾斜連続繊維層の積層数よりも多いので、車幅方向外壁の延性を確保しながらサイドシルの曲げ強度を高めることができる。
また請求項4の構成によれば、一対の表層の繊維配向角と、それに隣接する一対の内層の繊維配向角とは長手方向に対して対称であるので、車幅方向外壁に衝突荷重が入力したときに、前記一対の表層および前記一対の内層の樹脂に異なる二つの方向の荷重が加わって多数のマイクロクラックが発生し、車幅方向外壁の延性が効率的に高められる。
また請求項5の構成によれば、上部車幅方向内壁および下部車幅方向内壁は、サイドシルの長手方向に対する連続繊維の繊維配向角を一致あるいは異ならせた状態で積層した複数の連続繊維層を樹脂で固めた板材からなり、複数の連続繊維層のうちの一対の表層の繊維配向角が0°であるので、上部車幅方向内壁および下部車幅方向内壁に引張力に対する大きな曲げ強度を持たせ、車幅方向外壁から伝達される衝突荷重を支持して破壊を防止することができる。
また請求項6の構成によれば、フロアパネルはアウタースキンおよびインナースキン間にコア材を挟んで構成され、アウタースキンおよびインナースキンは、サイドシルの長手方向に対する連続繊維の繊維配向角を一致あるいは異ならせた状態で積層した複数の連続繊維層を樹脂で固めた板材からなる。アウタースキンの複数の連続繊維層のうちの一対の表層の繊維配向角はそれらに挟まれた内層の繊維配向角以上であり、インナースキンの複数の連続繊維層のうちの一対の表層の繊維配向角は0゜であるので、サイドシルから伝達された衝突荷重でフロアパネルに曲げモーメントが作用したときに、引張側のアウタースキンの延性が高まって容易に伸び変形することで、インナースキンに限界荷重以上の圧縮荷重が加わるのを防止して破壊を防止することができる。
CFRP製の自動車キャビンの左前部の斜視図。(第1の実施の形態) 図1の2A方向矢視図および2B−2B線断面図。(第1の実施の形態) 図2の3−3線断面図。(第1の実施の形態) 車幅方向外壁および車幅方向内壁の各連続繊維層の繊維配向角を示す図。(第1の実施の形態) 車幅方向外壁および車幅方向内壁の荷重入力時の作用説明図。(第1の実施の形態) 車幅方向外壁および車幅方向内壁の変形量および曲げ強度の関係を示す図。(第1の実施の形態) サイドシルにポールが側面衝突したときの作用説明図。(第1の実施の形態) 車幅方向外壁の各連続繊維層の繊維配向角を示す図。(第2の実施の形態)
第1の実施の形態
以下、図1〜図7に基づいて本発明の第1の実施の形態を説明する。尚、本明細書において、前後方向、左右方向(車幅方向)および上下方向とは、運転席に着座した乗員を基準として定義される。
図1〜図3に示すように、CFRP(カーボン繊維強化樹脂)で一体に成形されたバスタブ状のキャビン11は、フロアパネル12と、フロアパネル12の左右両側部に沿って前後方向に延びる左右一対のサイドシル13,13と、左右のサイドシル13,13の前端から起立する左右一対のフロントピラーロア14,14と、フロアパネル12の前端および左右のフロントピラーロア14,14の前端を接続するダッシュパネルロア15とを備える。
キャビン11は、車体外側に位置するアウタースキン16と車体内側に位置するインナースキン17とを、それらの外周に形成した接合フランジ16a,17aで接合した中空構造であり、フロアパネル12およびダッシュパネルロア15はアウタースキン16およびインナースキン17間に挟まれた波板状のコア材18を備える。
サイドシル13の内部は、アウタースキン16およびインナースキン17の接合フランジ16a,17a間に車幅方向外縁を挟持されたCFRP製の仕切り板19で上下に仕切られる。仕切り板19の前部はフロントピラーロア14の内部に延び、その前端はフロントピラーロア14の前壁に接合される。フロントピラーロア14の内部にCFRP製の補強部材20が配置される。側面視でL字状に形成された補強部材20は、下面が仕切り板19の上面に接続され、後部がサイドシル13の前端に嵌合する。
サイドシル13は、アウタースキン16で構成された下壁13aおよび側壁13bと、インナースキン17で構成された上壁13c、側壁13bおよび側壁13dとを備えており、インナースキン17の上壁13cおよび側壁13bは階段状に屈曲する。サイドシル13の仕切り板19よりも上方の空間には、側面視でジグザグに屈曲するCFRP製の上部エネルギー吸収部材21が配置される。上部エネルギー吸収部材21の上端はサイドシル13の段付きの上壁13cの下面に接続され、下端は仕切り板19の上面に接続されるが、段付きの上壁13cに合わせて、上部エネルギー吸収部材21の上部の車幅方向外端部には切欠き21a…が形成される。またサイドシル13の仕切り板19よりも下方の空間には、側面視でジグザグに屈曲するCFRP製の下部エネルギー吸収部材22が配置される。下部エネルギー吸収部材22の上端は仕切り板19の下面に接続され、下端はサイドシル13の平坦な下壁13aに接続される。
サイドシル13の仕切り板19よりも下方であってフロアパネル12と接続する部分に、CFRPで台形断面を有するパイプ状に形成した荷重伝達部材23が、アウタースキン16およびインナースキン17間に挟まれるように配置される。
図3から明らかなように、中空閉断面のサイドシル13の外郭は、車幅方向外側に位置する車幅方向外壁24と、車幅方向内側に位置する上部車幅方向内壁25および下部車幅方向内壁26とからなる。車幅方向外壁24は前記上壁13cおよび前記側壁13bからなり、上部車幅方向内壁25は前記側壁13dからなり、下部車幅方向内壁26は前記下壁13aからなる。車幅方向外壁24の上端部は略直線状の上部車幅方向内壁25を介してフロアパネル12の車幅方向外端部に接続され、車幅方向外壁24の下端部は略直線状の下部車幅方向内壁26を介してフロアパネル12の車幅方向外端部に接続される。
CFRP製のアウタースキン16およびインナースキン17は、カーボンの連続繊維を一方向に引き揃えた連続繊維層を複数層に積層して樹脂で固めたものであり、アウタースキン16およびインナースキン17で構成されるサイドシル13の外郭は、車幅方向外壁24と上部、下部車幅方向内壁25,26とで連続繊維層の積層構造が異なっている。
図4(A)には、サイドシル13の車幅方向外壁24を構成する6層の連続繊維層の、サイドシル13の長手方向(前後方向)に対する連続繊維の繊維配向角が示される。即ち、車幅方向外壁24の6層の連続繊維層のうち、二つの表層は繊維配向角が60°であり、その内側の二つの内層は繊維配向角が−60°であり、その内側の二つの内層は繊維配向角が0°である。つまり表層の繊維配向角は長手方向に対して60°の角度で傾斜しているのに対し、最内層の繊維配向角は長手方向に対して平行である。
図4(B)には、上部、下部車幅方向内壁25,26を構成する8層の連続繊維層の、、サイドシル13の長手方向(前後方向)に対する連続繊維の繊維配向角が示される。即ち、上部、下部車幅方向内壁25,26の8層の連続繊維層のうち、二つの表層は繊維配向角が0°であり、その内側の二つの内層は繊維配向角が45°であり、その内側の二つの内層は繊維配向角が90°であり、その内側の二つの内層は繊維配向角が−45°である。つまり表層の連続配向角は長手方向に対して平行であるのに対し、全ての内層の繊維配向角は長手方向に対して傾斜している。
車幅方向外壁24あるいは上部、下部車幅方向内壁25,26が曲げ変形するとき、内層の変形量に比べて表層の変形量が大きくなるため、表層の繊維配向角がアウタースキン16あるいはインナースキン17の強度に大きな影響を及ぼすことになる。
またフロアパネル12の外郭を構成するアウタースキン16およびインナースキン17も、連続繊維層の積層構造が異なっている。即ち、フロアパネル12のアウタースキン16は、サイドシル13の車幅方向外壁24と同じ6層の連続繊維層(図4(A)参照)を備える。一方、フロアパネル12のインナースキン17は、サイドシル13の上部、下部車幅方向内壁25,26と同じ8層の連続繊維層(図4(B)参照)を備える。
次に、上記構成を備えた本発明の実施の形態の作用を説明する。
図5(A)はサイドシル13の車幅方向外壁24に対応するもので、表層の繊維配向角が0°以外であり、積層方向中央の内層の繊維配向角が0°(長手方向と平行)であるため、表層が大きく圧縮変形あるいは引張変形したとき、繊維配向角が0°以外の連続繊維が周囲の樹脂に対して滑ることで樹脂に細かい亀裂(マイクロクラック)が発生する。その結果、表層が比較的に容易に変形することで急激な破断が回避される。よって、図6に示すように、車幅方向外壁24は全体として強度は低くなるが延性が高くなり、荷重に対して比較的に柔軟な特性を持つことになる。
一方、図5(B)は上部、サイドシル13の下部車幅方向内壁25,26に対応するもので、表層の繊維配向角が0°(長手方向と平行)であり、内層の繊維配向角が0°以外であるため、表層が大きく圧縮変形あるいは引張変形したとき、表層の繊維配向角が0°の連続繊維が強く抵抗することで強度が高められる。しかしながら、表層の連続繊維の応力が局所的に高まって一気に破断すると、それが内層の連続繊維の破断を誘発してしまう可能性がある。よって、図6に示すように、上部、下部車幅方向内壁25,26は全体として強度は高くなるが延性が低くなり、荷重に対して比較的に脆い特性を持つことになる。
図7(A)に示すように、ポール、電柱あるいは立ち木等の柱状物27に側面衝突してサイドシル13に局部的な衝突荷重が入力したとき、サイドシル13は車幅方向内側に湾曲するように変形して車幅方向外壁24には全体的に圧縮荷重が作用し、上部車幅方向内壁25および下部車幅方向内壁26には全体として引張荷重が作用する。このとき、柱状物27が最初に衝突する車幅方向外壁24は、その一対の表層の繊維配向角が長手方向に対して傾斜しているため、図5(A)で説明したように延性が高くなって破断し難くなり、柱状物27に押されて車幅方向内側に変形する。その結果、車幅方向外壁24が車幅方向内側に変形する荷重は上部エネルギー吸収部材21および下部エネルギー吸収部材22に分散されて上部、下部車幅方向内壁25,26に伝達される。
サイドシル13の湾曲により引張荷重が作用している上部、下部車幅方向内壁25,26は、一対の表層の繊維配向角が長手方向に対して平行であるため、図5(B)で説明したように車幅方向外壁24に比べて延性が低くなって一気に破断する可能性があるが、車幅方向外壁24に入力した局所的な荷重は、車幅方向外壁24、上部エネルギー吸収部材21および下部エネルギー吸収部材22によって広範囲に分散された状態で上部、下部車幅方向内壁25,26に伝達され、かつ上部、下部車幅方向内壁25,26の破断強度自体が車幅方向外壁24に比べて高いため、上部、下部車幅方向内壁25,26は破断することなく持ちこたえてサイドシル13の破壊が回避される。
図7(B)は比較例を示すもので、比較例のサイドシル13は車幅方向外壁24が上部、下部車幅方向内壁25,26と同じ積層構造(表層の繊維配向角が0°)を持つものであり、車幅方向外壁24および上部、下部車幅方向内壁25,26が共に延性が低く強度が高いもので構成される。
従って、サイドシル13に柱状物27が側面衝突した場合、衝突荷重が最初に入力する車幅方向外壁24は延性が低いため、柱状物27から入力する局所的な荷重に耐えきれずに破断してしまい、その荷重は有効に分散されることなく上部、下部エネルギー吸収部材21,22および上部、下部車幅方向内壁25,26に伝達され、それらが一気に破壊に至ることになる。
以上のように、本実施の形態によれば、サイドシル13の車幅方向外壁24に局所的な衝突荷重が入力したときに、延性が高い車幅方向外壁24が容易に変形することで衝突荷重を強度が高い上部、下部車幅方向内壁25,26に分散して伝達し、前記局所的な衝突荷重を衝突荷重および上部、下部車幅方向内壁25,26の協働で効率的に吸収してサイドシル13の破壊を防止することができる。しかもアウタースキン24は、表層の繊維配向角(60゜)と、その表層に隣接する内層の繊維配向角(−60゜)とが長手方向に対して対称であるので、それら表層および内層の繊維配向角が共に大きくなって樹脂にマイクロクラックが発生し易くなり、車幅方向外壁24の延性が更に高められる。
しかも、サイドシル13は、車幅方向外壁24の上端から略直線状に延びる上部車幅方向内壁25と、車幅方向外壁24の下端から略直線状に延びる下部車幅方向内壁26とを備え、上部車幅方向内壁25および下部車幅方向内壁26はフロアパネル12の車幅方向外端に連なるので、車幅方向外壁24に入力した衝突荷重を直線状の上部、下部車幅方向内壁25,26を介してフロアパネル12に効率的に伝達することで、車幅方向外壁24の変形を促進してエネルギー吸収量を増加することができる。
また車幅方向外壁24は、一対の表層の繊維配向角(60゜)と、それに隣接する一対の内層の繊維配向角(−60゜)とが対称であるので、そこに衝突荷重が入力したときに、前記一対の表層および前記一対の内層の樹脂に異なる二つの方向の荷重が加わって多数のマイクロクラックが発生し(図5(A)参照)、車幅方向外壁24の延性が効率的に高められる。
また図3において、フロアパネル12よりも高い位置にあるサイドシル13に側面衝突の衝突荷重が入力すると、サイドシル13が車幅方向内向きに倒れようとすることでフロアパネル12が下向きに凸に湾曲し、その下面側のアウタースキン16に引張荷重が作用するとともに、その上面側のインナースキン17に圧縮荷重が作用する。その際に、引張側のアウタースキン16は表層の繊維配向角が60°であるために延性が高まって容易に伸び変形することができる。一方、圧縮側のインナースキン17は表層の繊維配向角が0°であるため圧縮荷重に対する座屈強度が比較的に低くなるが、アウタースキン16が伸び変形することでインナースキン17に作用する圧縮荷重が軽減され、インナースキン17に限界荷重以上の圧縮荷重が加わって一気に破壊するのを防止することができる。
第2の実施の形態
次に、図8に基づいて本発明の第2の実施の形態を説明する。
第1の実施の形態のサイドシル13の車幅方向外壁24は、積層方向中心面に対して車体外側の3層と車体内側の3層とが対称に配置されているが(図4(A)参照)、第2の実施の形態のサイドシル13の車幅方向外壁24は、車体外側に繊維配向角が60°の層と−60゜の層とを追加し、積層方向中心面に対して非対称な8層構造としたものである。
車幅方向外壁24は、表層の繊維配向角が0°でないために曲げ強度が低下する可能性があるが、車体外側に繊維配向角が60°および−60゜の2層の傾斜連続繊維層を追加したことで、必要な延性を確保しながら曲げ強度を高めることができる。
以上、本発明の実施の形態を説明したが、本発明はその要旨を逸脱しない範囲で種々の設計変更を行うことが可能である。
例えば、車幅方向外壁24あるいは上部、下部車幅方向内壁25,26の連続繊維層の積層数や、その繊維配向角は実施の形態に限定されるものではない。
またフロアパネル12のアウタースキン16あるいはインナースキン17の連続繊維層の積層数や、その繊維配向角は実施の形態に限定されるものではない。
また本発明のFRPは実施の形態のCFRPに限定されるものではなく、ガラス繊維強化樹脂のような他種のFRPであっても良い。
12 フロアパネル
13 サイドシル
16 アウタースキン
17 インナースキン
18 コア材
24 車幅方向外壁
25 上部車幅方向内壁
26 下部車幅方向内壁

Claims (6)

  1. FRP製のサイドシル(13)の車幅方向外壁(24)を、前記サイドシル(13)の長手方向に対する連続繊維の繊維配向角を一致あるいは異ならせた状態で積層した複数の連続繊維層を樹脂で固めた板材で構成した自動車の車体構造であって、
    前記車幅方向外壁(24)は、前記複数の連続繊維層のうちの一対の表層の繊維配向角が、それらに挟まれた内層の繊維配向角以上であることを特徴とする自動車の車体構造。
  2. 前記サイドシル(13)は、前記車幅方向外壁(24)の上端から略直線状に延びる上部車幅方向内壁(25)と、前記車幅方向外壁(24)の下端から略直線状に延びる下部車幅方向内壁(26)とを備え、前記上部車幅方向内壁(25)および前記下部車幅方向内壁(26)はフロアパネル(12)の車幅方向外端に連なることを特徴とする、請求項1に記載の自動車の車体構造。
  3. 前記車幅方向外壁(24)は、繊維配向角が0°の0°連続繊維層と、繊維配向角が0°以外の傾斜連続繊維層とを備え、前記0°連続繊維層の外側に積層される前記傾斜連続繊維層の積層数は内側に積層される前記傾斜連続繊維層の積層数よりも多いことを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の自動車の車体構造。
  4. 前記一対の表層の繊維配向角と、それに隣接する一対の内層の繊維配向角とは長手方向に対して対称であることを特徴とする、請求項1〜請求項3の何れか1項に記載の自動車の車体構造。
  5. 前記上部車幅方向内壁(25)および前記下部車幅方向内壁(26)は、前記サイドシル(13)の長手方向に対する連続繊維の繊維配向角を一致あるいは異ならせた状態で積層した複数の連続繊維層を樹脂で固めた板材からなり、前記複数の連続繊維層のうちの一対の表層の繊維配向角が0°であることを特徴とする、請求項2に記載の自動車の車体構造。
  6. 前記フロアパネル(12)はアウタースキン(16)およびインナースキン(17)間にコア材(18)を挟んで構成され、前記アウタースキン(16)および前記インナースキン(17)は、前記サイドシル(13)の長手方向に対する連続繊維の繊維配向角を一致あるいは異ならせた状態で積層した複数の連続繊維層を樹脂で固めた板材からなり、前記アウタースキン(16)の前記複数の連続繊維層のうちの一対の表層の繊維配向角はそれらに挟まれた内層の繊維配向角以上であり、前記インナースキン(17)の前記複数の連続繊維層のうちの一対の表層の繊維配向角は0゜であることを特徴とする、請求項2に記載の自動車の車体構造。
JP2013192605A 2013-09-18 2013-09-18 自動車の車体構造 Active JP6035654B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2013192605A JP6035654B2 (ja) 2013-09-18 2013-09-18 自動車の車体構造

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2013192605A JP6035654B2 (ja) 2013-09-18 2013-09-18 自動車の車体構造

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2015058763A true JP2015058763A (ja) 2015-03-30
JP6035654B2 JP6035654B2 (ja) 2016-11-30

Family

ID=52816657

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2013192605A Active JP6035654B2 (ja) 2013-09-18 2013-09-18 自動車の車体構造

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6035654B2 (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2017165174A (ja) * 2016-03-15 2017-09-21 マツダ株式会社 車両用パネル構造
JP2017165173A (ja) * 2016-03-15 2017-09-21 マツダ株式会社 車両用パネル構造
CN111907596A (zh) * 2019-05-10 2020-11-10 广州汽车集团股份有限公司 一种吸能标准件、前纵梁及吸能标准件的制作方法

Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2012105716A1 (ja) * 2011-02-03 2012-08-09 帝人株式会社 車両骨格部材
JP2013126811A (ja) * 2011-12-19 2013-06-27 Honda Motor Co Ltd 自動車の車体構造
JP2013136275A (ja) * 2011-12-28 2013-07-11 Honda Motor Co Ltd 自動車のキャビン構造

Patent Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2012105716A1 (ja) * 2011-02-03 2012-08-09 帝人株式会社 車両骨格部材
JP2013126811A (ja) * 2011-12-19 2013-06-27 Honda Motor Co Ltd 自動車の車体構造
JP2013136275A (ja) * 2011-12-28 2013-07-11 Honda Motor Co Ltd 自動車のキャビン構造

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2017165174A (ja) * 2016-03-15 2017-09-21 マツダ株式会社 車両用パネル構造
JP2017165173A (ja) * 2016-03-15 2017-09-21 マツダ株式会社 車両用パネル構造
CN111907596A (zh) * 2019-05-10 2020-11-10 广州汽车集团股份有限公司 一种吸能标准件、前纵梁及吸能标准件的制作方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP6035654B2 (ja) 2016-11-30

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6662331B2 (ja) 車体構造
JP6176467B2 (ja) 自動車の車体構造および車体フロアの製造方法
TWI652192B (zh) 汽車之外部板
TWI655124B (zh) 衝擊吸收構件
JP5983583B2 (ja) 車両の骨格構造
US11173771B2 (en) Impact absorption member
JP6032629B2 (ja) 自動車のセンターピラー構造
JP5862555B2 (ja) 自動車の車体構造
US11208150B2 (en) Automotive frame member and electric vehicle
JP2018034664A (ja) 車両用骨格構造
JP6020381B2 (ja) 車両の骨格構造
JP6035654B2 (ja) 自動車の車体構造
JP2008155699A (ja) 車体骨格構造
JP6032630B2 (ja) 自動車車体の壁体構造
JP6034729B2 (ja) 車両用衝撃吸収機構
JP2016074269A (ja) 自動車の衝撃吸収構造
JP2008213437A (ja) Frp構造体
JP6057294B2 (ja) 自動車の車体構造
US20240097256A1 (en) Battery case of automobile and method for manufacturing the same
JP6523390B2 (ja) フロアパネルのエネルギー吸収構造
CN112689594B (zh) 面板构件
JP6206304B2 (ja) 車両用フレーム構造
JP6048678B2 (ja) 車両の側部車体構造
JP2013200042A (ja) 衝撃吸収部材
JP2015227123A (ja) 車両用フレーム構造

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20151127

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20160609

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20160615

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20160715

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20160907

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20160916

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20161005

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20161014

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6035654

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250