JP2015058635A - ヒドロキシアパタイト粒子積層体 - Google Patents
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Abstract
【課題】 比較的短い時間で製造することのできるヒドロキシアパタイト粒子(以下、「HAp粒子」と表記する)積層体、また、比較的短い時間で製造することのできる、比較的厚さの厚いHAp粒子積層体、及び比較的厚さが薄くても、緻密で平坦なHAp粒子積層体、及びそれらの製造方法を提供すること。
【解決手段】 本発明はHAp粒子の層を2層以上有するHAp粒子積層体であり、HAp粒子同士が加水分解性基を少なくとも2つ有する金属化合物によって接着している。このようなHAp粒子積層体は、HAp粒子と加水分解性基を少なくとも2つ有する金属化合物が分散した分散液を型に注入し、HAp粒子の沈殿物を形成し、分散液の主溶媒の沸点よりも30℃以上低い温度で乾燥して、前駆HAp粒子積層体を調製した後、HAp粒子と金属化合物との加水分解による接着作用を発揮させて製造することができる。
【選択図】 図1
【解決手段】 本発明はHAp粒子の層を2層以上有するHAp粒子積層体であり、HAp粒子同士が加水分解性基を少なくとも2つ有する金属化合物によって接着している。このようなHAp粒子積層体は、HAp粒子と加水分解性基を少なくとも2つ有する金属化合物が分散した分散液を型に注入し、HAp粒子の沈殿物を形成し、分散液の主溶媒の沸点よりも30℃以上低い温度で乾燥して、前駆HAp粒子積層体を調製した後、HAp粒子と金属化合物との加水分解による接着作用を発揮させて製造することができる。
【選択図】 図1
Description
本発明はヒドロキシアパタイト粒子積層体に関する。細胞、細菌の培養担体として、或いは骨組織の培養又は評価(特に、破骨細胞の骨吸収能を評価)するために使用できるヒドロキシアパタイト粒子積層体に関する。
骨組織においては、骨の形成と骨の吸収とが行われているが、骨の吸収に関しては、破骨細胞がその役割を担っている。この破骨細胞が正常に作用している場合には特に問題は生じないが、破骨細胞の骨吸収能の活性が高すぎる場合には、骨粗鬆症を発症するなど、身体に悪影響を及ぼす場合がある。そのため、破骨細胞の研究において、破骨細胞の骨吸収能の活性評価は重要となる。
この破骨細胞はプロトンイオンを分泌することによって、骨の主成分であるヒドロキシアパタイトを溶解して吸収する。そのため、アパタイト膜上に破骨細胞を培養し、培養した破骨細胞の骨吸収能によってアパタイト膜に形成される吸収窩を、電子顕微鏡で観察する、又は染色した後に観察することによって、破骨細胞の骨吸収能の活性の程度を評価することが行われている。
例えば、特開平7−306201号公報(特許文献1)には、「CaOとSiO2を主成分とするガラス若しくは結晶化ガラス、Na2OとSiO2を主成分とするガラス、又はリン酸カルシウム系セラミックスからなる基材を、カルシウムイオンとリン酸イオンを含む溶液中に浸漬して、基材表面にアパタイト膜を形成する破骨細胞評価用基板の製造方法。」が記載されている。
この特許文献1によれば、36℃の擬似体液に基材を浸漬した場合、1時間〜7日間でアパタイト膜を形成できることが記載されているが、実施例において37℃の擬似体液中に5日間浸漬して、緻密で平坦な膜厚2〜3μmのアパタイト膜を作製しているように、アパタイト膜を作製するために、非常に長い時間を必要とする方法であった。また、膜厚2〜3μm程度のアパタイト膜であると、薄いため、破骨細胞の骨吸収能によりアパタイト膜に貫通した窩が形成されやすく、破骨細胞の骨吸収能を正確に評価することが困難であるという問題もあった。
なお、特許文献1で開示するように、アパタイト膜の作製時間を短くすることもできるが、その場合には、核となるアパタイトを中心としてアパタイト膜が成長していくため、核となるアパタイトを中心とする突起部が多数点在する状態となり、緻密で平坦なアパタイト膜を作製することは困難であると考えられた。
本発明はこのような状況下においてなされたものであり、比較的短い時間で製造することのできるヒドロキシアパタイト粒子積層体、及びその製造方法を提供することを第1の目的とする。
また、比較的短い時間で製造することのできる、比較的厚さの厚いヒドロキシアパタイト粒子積層体、及びその製造方法を提供することを第2の目的とする。
更に、比較的厚さが薄くても、緻密で平坦なヒドロキシアパタイト粒子積層体、及びその製造方法を提供することを第3の目的とする。
本発明の請求項1にかかる発明は、「ヒドロキシアパタイト粒子の層を2層以上有するヒドロキシアパタイト粒子積層体であり、ヒドロキシアパタイト粒子同士が、加水分解性基を少なくとも2つ有する金属化合物によって接着していることを特徴とする、ヒドロキシアパタイト粒子積層体。」である。
本発明の請求項2にかかる発明は、「金属化合物がシラン化合物であることを特徴とする、請求項1記載のヒドロキシアパタイト粒子積層体。」である。
本発明の請求項3にかかる発明は、「次の前駆ヒドロキシアパタイト粒子積層体調製工程の後で、ヒドロキシアパタイト粒子積層体調製工程を実施することを特徴とする、ヒドロキシアパタイト粒子積層体の製造方法。
<前駆ヒドロキシアパタイト粒子積層体調製工程>
(1)ヒドロキシアパタイト粒子が溶媒中に分散した分散液を調製する段階、(2)所望形状を有する型に前記分散液を注入し、ヒドロキシアパタイト粒子の沈殿物を形成する段階、(3)前記分散液に含まれる主溶媒の沸点よりも30℃以上低い温度で分散液の溶媒を除去し、前記沈殿物を乾燥する段階、を備えており、(1)分散液を調製する段階で、加水分解性基を少なくとも2つ有する金属化合物を分散液中に含ませる、(2)沈殿物を形成する段階で、加水分解性基を少なくとも2つ有する金属化合物を分散液又は沈殿物に添加する、及び/又は(3)沈殿物を乾燥した段階で、加水分解性基を少なくとも2つ有する金属化合物を沈殿物に添加する、ことにより、ヒドロキシアパタイト粒子の層を2層以上有するとともに、加水分解性基を少なくとも2つ有する金属化合物を含有する、前駆ヒドロキシアパタイト粒子積層体を調製する工程。
(1)ヒドロキシアパタイト粒子が溶媒中に分散した分散液を調製する段階、(2)所望形状を有する型に前記分散液を注入し、ヒドロキシアパタイト粒子の沈殿物を形成する段階、(3)前記分散液に含まれる主溶媒の沸点よりも30℃以上低い温度で分散液の溶媒を除去し、前記沈殿物を乾燥する段階、を備えており、(1)分散液を調製する段階で、加水分解性基を少なくとも2つ有する金属化合物を分散液中に含ませる、(2)沈殿物を形成する段階で、加水分解性基を少なくとも2つ有する金属化合物を分散液又は沈殿物に添加する、及び/又は(3)沈殿物を乾燥した段階で、加水分解性基を少なくとも2つ有する金属化合物を沈殿物に添加する、ことにより、ヒドロキシアパタイト粒子の層を2層以上有するとともに、加水分解性基を少なくとも2つ有する金属化合物を含有する、前駆ヒドロキシアパタイト粒子積層体を調製する工程。
<ヒドロキシアパタイト粒子積層体調製工程>
前駆ヒドロキシアパタイト粒子積層体におけるヒドロキシアパタイト粒子と金属化合物との加水分解による接着作用を発揮させることにより、ヒドロキシアパタイト粒子同士を接着し、ヒドロキシアパタイト粒子の層を2層以上有するヒドロキシアパタイト粒子積層体を調製する工程。」である。
前駆ヒドロキシアパタイト粒子積層体におけるヒドロキシアパタイト粒子と金属化合物との加水分解による接着作用を発揮させることにより、ヒドロキシアパタイト粒子同士を接着し、ヒドロキシアパタイト粒子の層を2層以上有するヒドロキシアパタイト粒子積層体を調製する工程。」である。
本発明の請求項1にかかる発明は、ヒドロキシアパタイト粒子同士を、加水分解性基を少なくとも2つ有する金属化合物によって接着したヒドロキシアパタイト粒子積層体は、カルシウムイオンとリン酸イオンを含む溶液、例えば擬似体液から析出させるよりも、比較的短時間で製造できることを見出したものである。また、使用するヒドロキシアパタイト粒子の量が多ければ、比較的短い時間で製造することのできる、比較的厚さの厚いヒドロキシアパタイト粒子積層体である。更に、粒径の小さいヒドロキシアパタイト粒子であれば、緻密で平坦なヒドロキシアパタイト粒子積層体である。更に、金属化合物の加水分解性基と、ヒドロキシアパタイト粒子の水酸基とが脱水縮合反応により、強固な共有結合を形成しているため、ヒドロキシアパタイト粒子積層体は形態安定性に優れている。
本発明の請求項2にかかる発明は、金属化合物がシラン化合物であるため、金属化合物の安定性が高く、また、骨組織や細胞を培養する用途に使用したとしても、細胞毒性が低い。また、比較的少ない量でヒドロキシアパタイト粒子同士を接着させることができ、ヒドロキシアパタイト粒子本来の機能を損なわない。
本発明の請求項3にかかる発明は、ヒドロキシアパタイト粒子分散液におけるヒドロキシアパタイト粒子を沈殿させることによって、ヒドロキシアパタイト粒子の層を2層以上としているため、アパタイトを析出させる方法に比べて短時間で、薄いヒドロキシアパタイト粒子積層体から厚いヒドロキシアパタイト粒子積層体を製造することができる。なお、ヒドロキシアパタイト粒子として、粒径の小さいものを使用すれば、緻密で平坦なヒドロキシアパタイト粒子積層体を製造することができる。
本発明のヒドロキシアパタイト粒子積層体(以下、「HAp粒子積層体」と表記することがある)について、まず、その製造方法について説明する。本発明のHAp粒子積層体は、次に述べるような、<前駆ヒドロキシアパタイト粒子積層体調製工程>の後で、<ヒドロキシアパタイト粒子積層体調製工程>を実施することによって、製造することができる。
<前駆ヒドロキシアパタイト粒子積層体調製工程>
まず、(1)ヒドロキシアパタイト粒子(以下、「HAp粒子」と表記することがある)と、加水分解性基を少なくとも2つ有する金属化合物(以下、単に「金属化合物」と表記することがある)が、溶媒中に分散した分散液を調製する段階を実施する。
まず、(1)ヒドロキシアパタイト粒子(以下、「HAp粒子」と表記することがある)と、加水分解性基を少なくとも2つ有する金属化合物(以下、単に「金属化合物」と表記することがある)が、溶媒中に分散した分散液を調製する段階を実施する。
ヒドロキシアパタイトは化学式Ca10(PO4)6(OH)2で示される塩基性リン酸カルシウムであり、例えば、中性又はアルカリ性の水溶液中で、カルシウムイオンとリン酸イオンとを反応させて得ることができる。
なお、HAp粒子は未焼結体であっても、焼結体であってもよく、HAp粒子の焼結の有無や焼結温度は、HAp粒子積層体の使用用途によって適宜選択することができる。例えば、骨吸収能の評価に使用する場合、未焼結体や低温焼結体であると、結晶性が低いHAp粒子であるため、例えば、破骨細胞の骨吸収能が低い場合においても、HAp粒子積層体の吸収がおこりやすく、破骨細胞の骨吸収能が容易に評価できるという特長がある。一方で、高温焼結体であると、結晶性の高いHAp粒子であるため、アパタイト粒子積層体の構造安定性に優れるという特長がある。
また、HAp粒子の形状は特に限定するものではないが、球形であるのが好ましい。球形であると、最密充填可能であり、緻密で平坦なHAp粒子積層体を製造できるためである。更に、HAp粒子の平均粒子径はその使用用途によって異なり、特に限定するものではないが、破骨細胞の骨吸収能の活性を評価するためのHAp粒子積層体を製造する場合には、1nm〜100μmであるのが好ましく、1nm〜50μmであるのがより好ましく、1nm〜10μmであるのが更に好ましい。
この「平均粒子径」は、原則として、HAp粒子の走査型電子顕微鏡写真を撮影し、その画像より得られる100個以上のHAp粒子の粒子径の算術平均値であり、「粒子径」はHAp粒子が円形である場合にはその直径であり、非円形である場合にはHAp粒子を内部に含む円の中で、最小の直径を有する円の直径をいう。但し、HAp粒子が球形以外の形状であることにより、HAp粒子の向きによる誤差、又はHAp粒子の粒子径の小さい測定範囲での撮影によるピンボケなどの影響による誤差が生じる場合には、コールター法によって求めた粒度分布(個数基準)における積算値50%での粒径を平均粒子径とする。
なお、分散液におけるHAp粒子の濃度はHAp粒子が均一に分散できる限り、特に限定するものではないが、0.01〜50質量%であるのが好ましく、0.1〜30質量%であるのがより好ましく、1〜20質量%であるのが更に好ましい。
このようなHAp粒子に加えて、分散液に、加水分解性基を少なくとも2つ有する金属化合物を含ませる。この金属化合物は、その加水分解性基とHAp粒子の水酸基との脱水縮合反応により、強固な共有結合を形成して、HAp粒子積層体に形態安定性を付与できる。このように、共有結合により、HAp粒子同士を結合できるように、金属化合物は少なくとも2つの加水分解性基を有する。
この金属化合物の加水分解性基は特に限定するものではないが、例えば、アルコキシ基、アシルオキシ基、ハロゲン基、イソシアネート基等を挙げることができ、炭素数1〜4のアルコキシ基又は炭素数1〜6のアシルオキシ基が好ましい。より具体的には、炭素数1〜4のアルコキシ基として、メチルオキシ基、エチルオキシ基、プロピルオキシ基、イソプロピルオキシ基、n−ブチルオキシ基、イソブチルオキシ基、t−ブチルオキシ基などを挙げることができ、炭素数1〜6のアシルオキシ基として、アセチルオキシ基、ベンゾイルオキシ基などを挙げることができ、ハロゲンとして、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などを挙げることができ、イソシアネート基として、アルキル基に結合したイソシアネート基、シクロアルキル基に結合したイソシアネート基、アリール基に結合したイソシアネート基、シクロアルキル基が置換したアルキル基に結合したイソシアネート基、アリール基が置換したアルキル基に結合したイソシアネート基などを挙げることができる。なお、金属化合物における加水分解性基は同じであっても異なっていても良い。
なお、金属化合物を構成する金属は加水分解性基を2つ以上有することができるように、原子価が2以上であれば良く、特に限定するものではないが、例えば、周期律表第III、IVあるいはV族の金属であることができ、より具体的には、ケイ素、ゲルマニウム、スズ、鉛、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、ホウ素、アルミニウム、ガリウム、インジウム、タリウム、スカンジウム、イットリウム、ランタン、アンチモン、ビスマス、バナジウム、ニオブ、タンタル、ランタノイド、アクチノイドなどを例示することができる。これらの中でも、ケイ素であると、金属化合物の安定性が高く、また、骨組織や細胞を培養する用途に使用したとしても、細胞毒性が低いため好適である。また、ケイ素であると、比較的少ない量でHAp粒子同士を接着させることができ、HAp粒子本来の機能を損なわない。更に、ケイ素であると、作業環境に優れる溶媒として好適である水やアルコール溶液に溶解しやすく、HAp粒子分散液を調製しやすいため好適である。
また、金属化合物は加水分解性基を少なくとも2つ有する限り、加水分解性基以外に、有機官能基を備えていても良い。例えば、アミノ基、エポキシ基、メタクリル基、ビニル基、メルカプト基、尿素基などの有機官能基を1種類以上備えていても良い。このように有機官能基を備えている場合、後述のような支持体として、有機材料からなる支持体、もしくは有機官能基を導入した支持体を使用した場合には、HAp粒子積層体と支持体とを接着できるという効果を奏する。
この分散液調製段階において、前述のような金属化合物を含んでいるが、効果的にHAp粒子同士を接着できるとともに、破骨細胞の活性を評価するために使用する場合のように、HAp粒子の性能を損なうことがないように、金属化合物量は、HAp粒子の質量に対して、0.01〜20質量%であるのが好ましく、0.05〜10質量%であるのがより好ましく、0.1〜2質量%であるのが更に好ましい。
以上のような、HAp粒子と金属化合物とが分散した分散液を構成する溶媒は、HAp粒子及び金属化合物の分散性に優れ、HAp粒子を溶解しないものであれば良く、特に限定するものではないが、例えば、水、エタノールなどのアルコール、アセトン、テトラヒドロフランなどからなる単一溶媒、又はこれらの混合溶媒であることができる。
次いで、(2)所望形状を有する型に前記分散液を注入し、ヒドロキシアパタイト粒子と金属化合物の沈殿物を形成する段階を実施する。型の形状は、使用用途によって異なるため、特に限定するものではないが、例えば、破骨細胞の骨吸収能を評価するためのHAp粒子積層体を製造する場合には、ウェルプレートを型として使用できる。この場合、型は円柱状の内壁を有する。なお、型の底面が凹凸であると、最終的に片面に凹凸を有するHAp粒子積層体を製造できるため、三次元細胞培養担体としても使用できる場合がある。
前述のような型に分散液を注入するが、HAp粒子層の所望層数、厚みに応じて、分散液の濃度を勘案して注入すれば良く、注入量は特に限定するものではない。この注入量、分散液におけるHAp粒子の濃度、及び/又はHAp粒子の平均粒子径を調節することにより、前駆HAp粒子積層体の厚さ、結果として、HAp粒子積層体の厚さを容易に調節することができる。
そして、注入した分散液におけるHAp粒子及び金属化合物を沈殿させて沈殿物を形成する。沈殿物の形成は自然沈降によって実施することができるし、HAp粒子及び金属化合物の分散性が高く、沈殿物の形成に時間がかかる場合には、界面活性剤などの凝集性を示す薬剤を添加して、沈殿物の形成を促進することもできる。薬剤の種類は用いる分散液の調製条件(濃度、溶媒など)によって適宜調整する。
なお、型の底面に前駆HAp粒子積層体の支持体を設置しておき、その支持体上に前駆HAp粒子積層体を調製しても良い。このように、支持体を設置することによって、HAp粒子積層体の製造時、又は使用時の取り扱い性に優れている。この支持体は特に限定するものではないが、例えば、ガラスプレート、プラスチックプレート、金属プレートなどを使用することができる。なお、この支持体表面が凹凸であっても、平滑であっても良い。また、支持体表面とHAp粒子との接着力を高めるために、ガラスプレート等の支持体表面に、例えば、プラズマ処理、紫外線処理、グラフト処理、シランカップリング剤などを用いたコーティング液を塗布する、などの表面処理を行っても良い。
続いて、(3)前記分散液に含まれる主溶媒の沸点よりも30℃以上低い温度で分散液の溶媒を除去し、前記沈殿物を乾燥する段階を実施し、HAp粒子の層を2層以上有するとともに、金属化合物を含有する、前駆ヒドロキシアパタイト粒子積層体を調製する。分散液に含まれる主溶媒の沸点よりも30℃以上低い温度よりも高い温度で溶媒を除去し、乾燥すると、沈殿物が割れてしまうなど、沈殿物を損傷してしまうため、前記温度で溶媒を除去する。より好ましくは、分散液に含まれる主溶媒の沸点よりも40℃以上低い温度で溶媒を除去する。このような溶媒の除去・乾燥は、例えば、自然乾燥により実施でき、沈殿物を損傷しないのであれば、圧力がかからないオーブンで実施することもできる。この乾燥時間は特に限定するものではなく、使用する溶媒の種類、量、所望のサイズにもよるが、自然乾燥であっても、24時間も経過すれば充分である。
なお、溶媒の「沸点」は、乾燥条件下の圧力における沸点であり、JIS K5601−2−3により得られる値をいう。また、「主溶媒」とは、最も体積比率の高い溶媒をいう。
以上は、分散液を調製する段階で、金属化合物を分散液中に含ませることによって、前駆HAp粒子積層体を調製する方法であるが、分散液を調製する段階で、金属化合物を分散液中に含ませる方法に替えて、又は加えて、沈殿物を形成する段階で、金属化合物を分散液又は沈殿物に添加しても良い。つまり、沈殿物を形成するために、型に分散液を注入した後、沈殿物を形成する前の注入した分散液に対して、金属化合物を添加しても良いし、形成した沈殿物に対して、金属化合物を添加しても良い。なお、金属化合物を分散液中に含ませた場合、沈殿物を形成する段階で添加する金属化合物は、分散液中に含ませた金属化合物と同じであっても良いし、異なっていても良い。
また、分散液を調製する段階で、金属化合物を分散液中に含ませる方法、及び/又は沈殿物を形成する段階で、金属化合物を分散液又は沈殿物に添加する方法に替えて、又は加えて、沈殿物を乾燥した段階で、金属化合物を沈殿物に添加しても良い。なお、金属化合物を分散液中に含ませた場合、及び/又は沈殿物を形成する段階で金属化合物を添加した場合、沈殿物を乾燥した段階で添加する金属化合物は、分散液中に含ませた金属化合物、及び/又は沈殿物を形成する段階で添加した金属化合物と同じであっても良いし、異なっていても良い。
なお、2段階以上の段階で金属化合物を含ませる場合であっても、効果的にHAp粒子同士を接着できるとともに、HAp粒子の性能を損なうことがないように、金属化合物の総量は、HAp粒子の質量に対して、0.01〜20質量%であるのが好ましく、0.05〜10質量%であるのがより好ましく、0.1〜2質量%であるの更に好ましい。
<ヒドロキシアパタイト粒子積層体調製工程>
前述の<前駆ヒドロキシアパタイト粒子積層体調製工程>で調製した、前駆ヒドロキシアパタイト粒子積層体におけるHAp粒子と金属化合物との加水分解による接着作用を発揮させることにより、ヒドロキシアパタイト粒子同士を接着し、ヒドロキシアパタイト粒子の層を2層以上有するヒドロキシアパタイト粒子積層体を製造する。なお、前駆ヒドロキシアパタイト粒子積層体であっても、金属化合物の加水分解によって、ある程度は接着しているが、その接着の程度は十分ではないため、接着を確実にするために、本工程を実施する。
前述の<前駆ヒドロキシアパタイト粒子積層体調製工程>で調製した、前駆ヒドロキシアパタイト粒子積層体におけるHAp粒子と金属化合物との加水分解による接着作用を発揮させることにより、ヒドロキシアパタイト粒子同士を接着し、ヒドロキシアパタイト粒子の層を2層以上有するヒドロキシアパタイト粒子積層体を製造する。なお、前駆ヒドロキシアパタイト粒子積層体であっても、金属化合物の加水分解によって、ある程度は接着しているが、その接着の程度は十分ではないため、接着を確実にするために、本工程を実施する。
このHAp粒子と金属化合物との加水分解による接着作用を確実に発揮させる方法は、特に限定するものではないが、乾熱処理、湿熱処理又は触媒により実施することができ、特に、乾熱処理により実施するのが好ましい。乾熱処理によって、副生する水やアルコールなどを系外に取り除いて、効率的に縮重合を進行させることができるためである。
この好適である乾熱処理の温度、時間等の条件は、接着作用を十分に発揮させることができる限り、特に限定するものではないが、温度は、副生する水やアルコールなどを系外に取り除きやすいように、95℃以上であるのが好ましく、98℃以上であるのがより好ましい。なお、温度の上限は、アパタイト粒子積層体を使用する用途での保形性を有する限り、特に限定するものではないが、アパタイト粒子の特性を変化させることなく、また、アパタイト粒子同士、場合によりアパタイト粒子と支持体とを結合している金属化合物の官能基が分解、消失しない温度である。一般的には、500℃未満であるのが好ましく、400℃以下であるのがより好ましく、300℃以下であるのが更に好ましい。なお、乾熱処理時間は1〜180分であるのが好ましく、10〜150分であるのがより好ましく、30〜120分であるのが更に好ましい。
湿熱処理は特に限定するものではないが、例えば、飽和水蒸気中に前駆ヒドロキシアパタイト粒子積層体を曝す方法、前駆ヒドロキシアパタイト粒子積層体に水を付与した後、加熱エアーや赤外線などの電磁波により水を加熱する方法、などを挙げることができる。
触媒は特に限定するものではないが、例えば、塩酸、硫酸、硝酸等の無機酸、シュウ酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、乳酸等の有機酸を挙げることができる。
また、このような乾熱処理又は湿熱処理を実施する場合、前述の<前駆ヒドロキシアパタイト粒子積層体調製工程>で使用した型が乾熱処理又は湿熱処理に耐えることができるのであれば、そのまま乾熱処理又は湿熱処理を実施することができるし、前述のように、型の底面に耐熱性の支持体を設置した場合には、支持体−前駆HAp粒子積層体の複合体の乾熱処理又は湿熱処理を実施することもできる。
なお、HAp粒子積層体を、例えば骨細胞を培養する目的で使用するような場合、HAp粒子積層体を作製する工程(例えば、分散液を調製する段階、沈殿物を形成する段階、沈殿物を乾燥する段階)、もしくはHAp粒子積層体を作製した後で、コラーゲンなどの細胞の接着因子、増殖因子などを添加しても良い。
このように、本発明の製造方法は、ヒドロキシアパタイト粒子分散液におけるヒドロキシアパタイト粒子を沈殿させることによって、ヒドロキシアパタイト粒子の層を2層以上としているため、従来のアパタイトを析出させる方法に比べて、短時間で、薄いヒドロキシアパタイト粒子積層体から厚いヒドロキシアパタイト粒子積層体を製造することができる。また、ヒドロキシアパタイト粒子として、平均粒子径の小さいものを使用すれば、緻密で平坦なヒドロキシアパタイト粒子積層体を製造することができる。
本発明のヒドロキシアパタイト粒子積層体(HAp粒子積層体)は上述のような方法により製造できるものであるが、その構造は、ヒドロキシアパタイト粒子の層を2層以上有し、ヒドロキシアパタイト粒子同士が、加水分解性基を少なくとも2つ有する金属化合物によって接着している。このように、本発明のヒドロキシアパタイト粒子積層体はヒドロキシアパタイト粒子の層を2層以上有するため、ヒドロキシアパタイト粒子の層が多ければ、厚さの厚いヒドロキシアパタイト粒子積層体であり、ヒドロキシアパタイト粒子の層が少なければ、厚さの薄いヒドロキシアパタイト粒子積層体である。また、平均粒子径の小さいヒドロキシアパタイト粒子であれば、層が多くても厚さの薄いヒドロキシアパタイト粒子積層体であり、平均粒子径の大きいヒドロキシアパタイト粒子であれば、層が少なくても厚さの厚いヒドロキシアパタイト粒子積層体である。なお、前述のような製造方法によれば厚さの厚いHAp粒子積層体を製造することができ、本発明のHAp粒子積層体は、従来困難であった、厚さが3μm以上であるような厚さの厚いものであることができる。
なお、厚さに関係なく、平均粒子径の小さいヒドロキシアパタイト粒子であると、緻密で平坦なヒドロキシアパタイト粒子積層体である。特に、平均粒子径が1nm〜1μmであると、緻密で平坦なヒドロキシアパタイト粒子積層体である。
本発明のHAp粒子積層体は、分散液から沈殿物を形成していることからも理解できるように、HAp粒子同士が密着した状態にある。特に、HAp粒子の形状が球形である場合には、HAp粒子同士が最密充填した状態になりやすいため、緻密なHAp粒子積層体である。
なお、HAp粒子積層体の層数は、HAp粒子積層体の使用用途、HAp粒子の平均粒子径によって変化するため、特に限定するものではない。
本発明のHAp粒子積層体は、金属化合物の加水分解性基と、HAp粒子の水酸基とが脱水縮合反応により、強固な共有結合を形成しているため、形態安定性に優れている。この金属化合物量は特に限定するものではないが、効果的にHAp粒子同士を接着して形態安定性に優れるとともに、HAp粒子の性能を損なうことがないように、HAp粒子の質量に対して、0.01〜20質量%であるのが好ましく、0.05〜10質量%であるのがより好ましく、0.1〜2質量%であるの更に好ましい。
この金属化合物がシラン化合物であると、金属化合物の安定性が高く、また、骨組織や細胞を培養する用途に使用したとしても、細胞毒性が低い。また、比較的少ない量でHAp粒子同士を接着させることができ、HAp粒子本来の機能を損なわない。
本発明のHAp粒子積層体はHAp粒子の層のみから構成されていても良いし、HAp粒子の層を支持する支持体と複合一体化していても良い。このように複合一体化していると、使用時の取り扱い性に優れている。この支持体は特に限定するものではないが、例えば、ガラスプレート、プラスチックプレート、金属プレートなどであることができる。
なお、本発明のHAp粒子積層体の表面は、巨視的に平面であっても、三次元的に凹凸を有していても良い。三次元的な表面を有する場合には、細胞培養担体として使用できる場合がある。
また、本発明のHAp粒子積層体は各種添加剤が添加されていても良い。例えば、HAp粒子積層体を、骨細胞を培養する目的で使用するような場合には、コラーゲンなどの細胞の接着因子、増殖因子などが添加されていても良い。
以下に、本発明の実施例を記載するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
支持体として、ガラスプレート(松浪カバーグラス、直径:15mm)を用意し、エタノール中で3分間の超音波洗浄を行った。洗浄後、ガラスプレートを乾燥した後に紫外線を10分間照射した。その後、24ウェル用プレートのウェルの底面に、前記紫外線処理済みのガラスプレートを配置した。
支持体として、ガラスプレート(松浪カバーグラス、直径:15mm)を用意し、エタノール中で3分間の超音波洗浄を行った。洗浄後、ガラスプレートを乾燥した後に紫外線を10分間照射した。その後、24ウェル用プレートのウェルの底面に、前記紫外線処理済みのガラスプレートを配置した。
一方で、ヒドロキシアパタイトナノ粒子分散液(=HApナノ粒子分散液、形状:球形、平均粒子径:40nm、5mass%、溶媒:エタノール、焼結体)を準備した。前記HApナノ粒子分散液に対し、3−アミノプロピルトリエトキシシラン(APTEOS)を最終濃度として、HApナノ粒子の質量に対して2mass%となるように添加した。更に、最終濃度として水対エタノールの体積比が1:11.5となるように水を添加し、接着剤含有HApナノ粒子分散液(HApナノ粒子の最終濃度は4.5mass%)を調製した。
次いで、接着剤含有HApナノ粒子分散液を混合し、室温で1時間攪拌して、混合分散液(混合溶媒の主溶媒であるエタノールの沸点:78.37℃)を調製した。
次いで、前記準備した24ウェル用プレートにガラスプレートを配置したウェルに、前記混合分散液を0.3mL注入した。続いて、HAp粒子とAPTEOSとの沈殿物の形成と、沈殿物の乾燥とを兼ねて、室温(温度:25℃)の環境下に、15時間放置し、ガラスプレート−前駆HAp粒子積層体(HAp粒子の層を2層以上有するとともに、APTEOSを含有)の前駆複合体を調製した。
そして、ウェルから前記前駆複合体を取り出した後、温度100℃で1時間の乾熱処理により、HAp粒子とAPTEOSとの加水分解を進行させることによりHAp粒子同士を接着し、HAp粒子の層を2層以上有するHAp粒子積層体を有するとともに、HAp粒子積層体がガラスプレートと接着した複合体を調製した。この複合体におけるHAp粒子積層体(厚さ:40μm)は、図1に示すように、表面(図1上、1番右側の層)が平坦であった。また、この複合体は水中でも取り扱い可能な、形態安定性を有するものであった。
(実施例2)
実施例1における接着剤含有HApナノ粒子分散液に替えて、実施例1と同じHApナノ粒子分散液に対して、テトラエトキシシラン(TEOS)を最終濃度として、HApナノ粒子の質量に対して0.5mass%となるように添加し、更に、最終濃度として水対エタノールの体積比が1:11.5となるように水を添加して調製した、接着剤含有HApナノ粒子分散液(HApナノ粒子の最終濃度は4.5mass%)を使用したこと以外は、実施例1と全く同様にして、混合分散液の調製、沈殿物の形成と乾燥、前駆複合体の調製、及び乾熱処理によってHAp粒子同士を接着し、HAp粒子の層を2層以上有するHAp粒子積層体を有するとともに、HAp粒子積層体がガラスプレートと接着した複合体を調製した。この複合体におけるHAp粒子積層体(厚さ:40μm)は、図2に示すように、表面(図2上、1番右側の層)が平坦であった。また、この複合体は水中でも取り扱い可能な、形態安定性を有するものであった。
実施例1における接着剤含有HApナノ粒子分散液に替えて、実施例1と同じHApナノ粒子分散液に対して、テトラエトキシシラン(TEOS)を最終濃度として、HApナノ粒子の質量に対して0.5mass%となるように添加し、更に、最終濃度として水対エタノールの体積比が1:11.5となるように水を添加して調製した、接着剤含有HApナノ粒子分散液(HApナノ粒子の最終濃度は4.5mass%)を使用したこと以外は、実施例1と全く同様にして、混合分散液の調製、沈殿物の形成と乾燥、前駆複合体の調製、及び乾熱処理によってHAp粒子同士を接着し、HAp粒子の層を2層以上有するHAp粒子積層体を有するとともに、HAp粒子積層体がガラスプレートと接着した複合体を調製した。この複合体におけるHAp粒子積層体(厚さ:40μm)は、図2に示すように、表面(図2上、1番右側の層)が平坦であった。また、この複合体は水中でも取り扱い可能な、形態安定性を有するものであった。
(比較例1)
HAp粒子とAPTEOS粒子との沈殿物の形成と、沈殿物の乾燥とを兼ねた、室温での放置に替えて、温度50℃での放置としたこと以外は実施例1と同様に、前駆複合体を作製したところ、前駆HAp粒子積層体が割れていたため、以降の操作を中止した。
HAp粒子とAPTEOS粒子との沈殿物の形成と、沈殿物の乾燥とを兼ねた、室温での放置に替えて、温度50℃での放置としたこと以外は実施例1と同様に、前駆複合体を作製したところ、前駆HAp粒子積層体が割れていたため、以降の操作を中止した。
(比較例2)
HApナノ粒子分散液に対して、APTEOSを混合しなかったこと以外は、実施例1と同様にして、HAp粒子の層を2層以上有するHAp粒子積層体を有する複合体を調製した。この複合体におけるHAp粒子積層体(厚さ:40μm)は、実施例1と同様に表面が平坦であったが、この複合体は水中では取り扱うことのできない、形態安定性の悪いものであった。
HApナノ粒子分散液に対して、APTEOSを混合しなかったこと以外は、実施例1と同様にして、HAp粒子の層を2層以上有するHAp粒子積層体を有する複合体を調製した。この複合体におけるHAp粒子積層体(厚さ:40μm)は、実施例1と同様に表面が平坦であったが、この複合体は水中では取り扱うことのできない、形態安定性の悪いものであった。
(比較例3)
前駆複合体の温度100℃で1時間の乾熱処理に替えて、温度500℃で1時間の乾熱処理を行ったこと以外は、実施例1と同様にして、HAp粒子の層を2層以上有するHAp粒子積層体を有する複合体を調製した。この複合体におけるHAp粒子積層体(厚さ:40μm)は、実施例1と同様に表面が平坦であったが、この複合体は水中では取り扱うことのできない、形態安定性の悪いものであった。これは、熱処理によって、HAp粒子同士及び/又はHAp粒子と支持体との接着点が減少もしくは消失したためであると考えられた。
前駆複合体の温度100℃で1時間の乾熱処理に替えて、温度500℃で1時間の乾熱処理を行ったこと以外は、実施例1と同様にして、HAp粒子の層を2層以上有するHAp粒子積層体を有する複合体を調製した。この複合体におけるHAp粒子積層体(厚さ:40μm)は、実施例1と同様に表面が平坦であったが、この複合体は水中では取り扱うことのできない、形態安定性の悪いものであった。これは、熱処理によって、HAp粒子同士及び/又はHAp粒子と支持体との接着点が減少もしくは消失したためであると考えられた。
(比較例4)
実施例1と同様に準備した紫外線処理済みのガラスプレートを、SiO2の固形分濃度が8%の液中に浸漬して、ガラスプレート表面にSiO2を塗布した。
実施例1と同様に準備した紫外線処理済みのガラスプレートを、SiO2の固形分濃度が8%の液中に浸漬して、ガラスプレート表面にSiO2を塗布した。
次いで、前記シリカコートガラスプレートを人工体液中に浸漬した。一ヶ月後、人工体液から取り出し、ガラスプレート上における、ヒドロキシアパタイト層の状態を観察した。この状態は、図3に示すように、ヒドロキシアパタイト層(図3上、一番上の層)は形成されているものの、凹凸があり、不均一であった。
更に、ヒドロキシアパタイト層を形成したガラスプレートを一ヶ月間、人工体液中に浸漬したものの、ヒドロキシアパタイト層の厚さは2μmであった。
(比較例5)
実施例1と同様に準備した紫外線処理済みのガラスプレートを、ヒドロキシアパタイトナノ粒子分散液中に浸漬して、ガラスプレート表面に、ヒドロキシアパタイトナノ粒子を塗布した。
実施例1と同様に準備した紫外線処理済みのガラスプレートを、ヒドロキシアパタイトナノ粒子分散液中に浸漬して、ガラスプレート表面に、ヒドロキシアパタイトナノ粒子を塗布した。
次いで、ヒドロキシアパタイトナノ粒子コートガラスプレートを人工体液中に浸漬した。一ヶ月後、人工体液から取り出し、ガラスプレート上における、ヒドロキシアパタイト層の状態を観察した。この状態は、図4に示すように、ヒドロキシアパタイト層(図4上、一番上の層)は形成されているものの、凹凸があり、不均一であった。
更に、ヒドロキシアパタイト層を形成したガラスプレートを一ヶ月間、人工体液に浸漬したものの、ヒドロキシアパタイト層の厚さは3μmであった。また、ガラスプレートからのヒドロキシアパタイト粒子の剥離も観察された。
本発明のヒドロキシアパタイト粒子積層体は形態安定性に優れているとともに、厚さの厚い積層体であることができ、また、緻密で平坦な積層体であることができるため、細胞、細菌の培養担体として、或いは骨組織の培養又は評価(特に、破骨細胞の骨吸収能を評価)するために使用することができる。また、表面に凹凸のあるヒドロキシアパタイト粒子積層体は三次元細胞培養担体としても使用できる場合がある。
Claims (3)
- ヒドロキシアパタイト粒子の層を2層以上有するヒドロキシアパタイト粒子積層体であり、ヒドロキシアパタイト粒子同士が、加水分解性基を少なくとも2つ有する金属化合物によって接着していることを特徴とする、ヒドロキシアパタイト粒子積層体。
- 金属化合物がシラン化合物であることを特徴とする、請求項1記載のヒドロキシアパタイト粒子積層体。
- 次の前駆ヒドロキシアパタイト粒子積層体調製工程の後で、ヒドロキシアパタイト粒子積層体調製工程を実施することを特徴とする、ヒドロキシアパタイト粒子積層体の製造方法。
<前駆ヒドロキシアパタイト粒子積層体調製工程>
(1)ヒドロキシアパタイト粒子が溶媒中に分散した分散液を調製する段階、
(2)所望形状を有する型に前記分散液を注入し、ヒドロキシアパタイト粒子の沈殿物を形成する段階、
(3)前記分散液に含まれる主溶媒の沸点よりも30℃以上低い温度で分散液の溶媒を除去し、前記沈殿物を乾燥する段階、
を備えており、(1)分散液を調製する段階で、加水分解性基を少なくとも2つ有する金属化合物を分散液中に含ませる、(2)沈殿物を形成する段階で、加水分解性基を少なくとも2つ有する金属化合物を分散液又は沈殿物に添加する、及び/又は(3)沈殿物を乾燥した段階で、加水分解性基を少なくとも2つ有する金属化合物を沈殿物に添加する、ことにより、ヒドロキシアパタイト粒子の層を2層以上有するとともに、加水分解性基を少なくとも2つ有する金属化合物を含有する、前駆ヒドロキシアパタイト粒子積層体を調製する工程。
<ヒドロキシアパタイト粒子積層体調製工程>
前駆ヒドロキシアパタイト粒子積層体におけるヒドロキシアパタイト粒子と金属化合物との加水分解による接着作用を発揮させることにより、ヒドロキシアパタイト粒子同士を接着し、ヒドロキシアパタイト粒子の層を2層以上有するヒドロキシアパタイト粒子積層体を調製する工程。
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JP2005519186A (ja) * | 2001-12-15 | 2005-06-30 | ドット ゲーエムベーハー | 基体にリン酸カルシウムを被覆する方法及び被覆基体 |
JP2009195454A (ja) * | 2008-02-21 | 2009-09-03 | Kuraray Medical Inc | リン酸カルシウム組成物及びその製造方法 |
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