JP2015058090A - 内視鏡 - Google Patents

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森村  淳
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和麻 吉田
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Abstract

【課題】内視鏡の小径化を図りつつ、内視鏡の外径を越えて基線長を拡大することが可能な内視鏡を提供すること。
【解決手段】視差のある2つの光路(右側光路25R、左側光路25L)を形成する一対のステレオ光学部材20と、前記一対のステレオ光学部材20の光路を通る光を共通の領域に結像する1つの結像光学系15と、前記結像光学系15の結像位置に設けられた1つの撮像素子17と、前記結像光学系15および前記撮像素子17を収納するとともに、前記一対のステレオ光学部材20を、折り畳んだ状態と露出した状態(第1状態、第2状態)との間で変位可能に支持する筐体16と、を備え、前記一対のステレオ光学部材20を前記筐体16から露出した状態とすることで、前記2つの光路に基づく基線長が前記筐体16の外径以上となるように構成した。
【選択図】図6

Description

本発明は、外部から直接観察できない観察対象の内部を撮像する内視鏡に関するものである。
従来、医療分野や工業分野において、患者の体内や機器および構造物の内部を撮像するための内視鏡が普及している。内視鏡には、対象物を複数の異なる方向から撮影し、いわゆるステレオ画像を取得可能に構成したものが知られている。ステレオ画像に基づく立体視を可能とすることで、一般的な2次元画像では得られない奥行き感のある画像を見ながら処置を行うことができるため、処置の正確性や迅速性を確保することができる。
このようなステレオ画像を取得可能に構成された内視鏡の例として、内視鏡先端部に設けられたレンズ枠を先端構成部材の外周面に対して収納位置と起立位置との間で変位可能とする技術が開示されている(特許文献1)。
また、他の例として、視差のある2つの光路を形成する2光路形成光学系と、2光路形成光学系におけるそれぞれの光路を通る光を共通の領域に結像する1つの結像光学系と、結像光学系の結像位置に配置された1つの撮像素子とを内視鏡挿入部先端に備え、2光路形成光学系に形成される2つの光路のうちいずれか一方の光路からの光のみが結像光学系に入射するように、2つの光路を時分割で切り替え可能な時分割光路切り替え手段を備える技術が開示されている(特許文献2)。
特開昭63−294508号公報 特許第4750175号公報
特許文献1に開示された技術では、左右の画像の撮影に供せられるレンズ枠そのものを機械的に変位させる構成によって、収納位置と起立位置とで視野を切り替えることが可能であり、レンズ枠を起立位置に変位させた場合は、内視鏡の外径を越えて基線長を拡大させることが可能とされている。しかしながら、各レンズ枠には独立して結像光学系や撮像素子が搭載されており、左右の結像光学系、撮像素子には共有部分が存在せず、近年、特に要望されている内視鏡の小径化と高度解像度化を図ることにはレンズの解像力や撮像素子の画素数など限界がある。
また、特許文献2に開示された技術では、単一の結像光学系および単一の撮像素子を用いて、いわゆる瞳分割によってステレオ画像を取得している。この構成によれば、1つの結像光学系等を左右で共有することが可能であり、内視鏡を小径化できる可能性がある。しかしながら、基線長は2光路形成光学系の左右の離間距離で決定されてしまい、内視鏡の外径を越えて基線長を拡大することは困難である。もっとも、内視鏡の外径を拡大すれば基線長はこれに伴って拡大されるが、内視鏡の小径化を図る方向性とは逆行することになる。
本発明は、このような従来技術の課題を解決するべく案出されたものであり、その主な目的は、内視鏡の小径化を図りつつ、2つの光路に基づく基線長を内視鏡の筐体の外径以上とすることが可能な内視鏡を提供することにある。
本発明は、視差のある2つの光路を形成する一対のステレオ光学部材と、前記一対のステレオ光学部材の光路を通る光を共通の領域に結像する1つの結像光学系と、前記結像光学系の結像位置に設けられた1つの撮像素子と、前記結像光学系および前記撮像素子を収納するとともに、前記一対のステレオ光学部材を、折り畳んだ状態と露出した状態との間で変位可能に支持する筐体と、を備え、前記一対のステレオ光学部材を前記筐体から露出した状態とすることで、前記2つの光路に基づく基線長が前記筐体の外径以上となるようにしたものである。
本発明によれば、一対のステレオ光学部材を筐体から露出した状態とすることで、2つの光路に基づく基線長が筐体の外径以上となるようにしたことで、内視鏡を細径化したような場合であっても、左右の視差を確保して、施術者等が立体視を行うことが可能となる。
本発明の第1実施形態に係る内視鏡を用いた内視鏡システムの全体構成図 光学部材ホルダに一対のステレオ光学部材を折り畳んだ状態を示す要部斜視図、 ステレオ画像を撮影する第1状態を示す要部斜視図、 平面画像を撮影する第2状態を示す要部斜視図 第2状態に変位した際のステレオ光学部材および変位機構の状態を示す断面図 第1状態に変位した際のステレオ光学部材および変位機構の状態を示す断面図 折り畳んだ状態におけるステレオ光学部材および変位機構の状態を示す断面図 (a)〜(c)は、偏光素子を用いて右画像と左画像とを分離する過程を示す説明図 (a)は、撮像素子全体の画素配列を示す説明図、(b)は、撮像素子の左画像に係る画素配列を示す説明図、(c)は、撮像素子の右画像に係る画素配列を示す説明図 (a)は、撮像素子全体の画素配列の変形例を示す説明図、(b)は、変形例における撮像素子の左画像に係る画素配列を示す説明図、(c)は、変形例における撮像素子の右画像に係る画素配列を示す説明図 (a)は、第1実施形態におけるステレオ光学部材の変形例を示す説明図、(b)は、同要部拡大図 基線長制御の過程を示すフロー図 レンチキュラレンズを用いて右画像と左画像とを分離する過程を示す説明図 (a)〜(c)は、本発明の第2実施形態に係る内視鏡において、平面画像を撮影する第3状態を示す説明図 (a)〜(c)は、本発明の第3実施形態に係る内視鏡におけるステレオ光学部材の構成を示す説明図
上記課題を解決するためになされた本発明は、視差のある2つの光路を形成する一対のステレオ光学部材と、前記一対のステレオ光学部材の光路を通る光を共通の領域に結像する1つの結像光学系と、前記結像光学系の結像位置に設けられた少なくとも1つの撮像素子と、前記結像光学系および前記撮像素子を収納するとともに、前記一対のステレオ光学部材を、折り畳んだ状態と露出した状態との間で変位可能に支持する筐体と、を備え、前記一対のステレオ光学部材を前記筐体から露出した状態とすることで、前記2つの光路に基づく基線長が前記筐体の外径以上となるようにしたものである。
これによって、一対のステレオ光学部材を筐体から露出した状態とすることで、2つの光路に基づく基線長が筐体の外径以上となるようにしたことで、内視鏡を細径化したような場合であっても、左右の視差を確保して、施術者等が立体視を行うことが可能となる。
また、本発明は、前記一対のステレオ光学部材は、前記筐体の先端に回動可能に設けられた右側光学部材と左側光学部材とで構成され、前記一対のステレオ光学部材を前記折り畳んだ状態から、前記右側光学部材および前記左側光学部材の先端が互いに離間する方向に回動させることで、前記一対のステレオ光学部材は前記筐体から露出して、前記2つの光路に基づく基線長が前記筐体の外径以上となる第1状態に変位し、前記一対のステレオ光学部材を前記第1状態から更に回動させることで、前記一対のステレオ光学部材が光路形成に関与しない第2状態に変位するようにしたものである。
これによって、一対のステレオ光学部材を回動させるだけで、互いに視差を持つ右画像および左画像を撮像する第1状態と、単一の平面画像を撮像する第2状態とを切り替えて利用することが可能となる。
また、本発明は、前記一対のステレオ光学部材は、前記筐体の先端において、前記筐体に折り畳んだ状態から前記第1状態に至る間に略90度回転し、前記第1状態から第2状態に至る間に更に略90度回転するようにしたものである。
これによって、互いに視差を持つ右画像および左画像を撮像する第1状態では、一対のステレオ光学部材を鏡筒の前面に配置し、更に単一の平面画像を撮像する第2状態では、一対のステレオ光学部材を光路形成に関与しない位置に退避させることが可能となる。
また、本発明は、前記筐体の外周面に沿って設けられ、前記結像光学系の光軸方向に移動可能に構成された押圧部材を備え、前記押圧部材を前記一対のステレオ光学部材に当接させ、前記押圧部材を前記光軸方向に移動させることで、前記一対のステレオ光学部材を、前記折り畳んだ状態と前記第1状態と前記第2状態との間で変位させるようにしたものである。
これによって、押圧部材を前後方向に移動させるシンプルな構成を用いて、容易に一対のステレオ光学部材を回動させることが可能となる。
また、本発明は、前記一対のステレオ光学部材を変位、または、前記一対のステレオ光学部材の一部を変形させて、前記2つの光路に輻輳を生じさせるようにしたものである。
これによって、ステレオ光学部材の回動量を制御するだけで輻輳角を任意に調整することができ、立体画像を長時間にわたって見続けても、施術者等に疲労が少ない内視鏡を提供することが可能となる。
また、本発明は、前記第1状態において、前記撮像素子は右画像および左画像を撮像し、前記第2状態において、前記撮像素子は平面画像を撮像するようにしたものである。
これによって、1つの内視鏡を用いて、互いに視差を持つ右画像および左画像と単一の平面画像との両方を撮像することができ、立体3D(ステレオ)撮像と高解像度の2D撮像とを簡単に切り替えることが可能となる。
また、本発明は、前記一対のステレオ光学部材のそれぞれは、被写体からの光の入射側に第1反射面と、前記被写体からの光の出射側に第2反射面と、を備え、前記第1反射面の面積を前記第2反射面の面積より大きく構成したものである。
これによって、一対のステレオ光学部材の内部で光路が蹴られることがなく、互いに視差を持つ右画像および左画像の視野角を広くすることが可能となる。
また、本発明は、前記右側光学部材および前記左側光学部材は、互いに偏光方向が90度異なる第1、第2偏光素子のいずれかを備え、前記撮像素子は、その結像面の前面に、前記撮像素子の各画素列に対応して交互に設けられ、前記第1、第2偏光素子の偏光方向に対応して互いに偏光方向が90度異なる第3、第4偏光素子を備え、前記撮像素子は、前記第1〜第4偏光素子によって分離された右画像と左画像とを同時に撮像するようにしたものである。
これによって、撮像素子の撮像面の共通範囲に左右の光に基づくイメージサークルを形成して、互いに視差を持つ右画像および左画像を撮像する際においても、単一の平面画像を撮像する場合とほぼ等しい像高を得ることができ、更に、互いに視差のある右画像および左画像を同時に撮像することが可能となる。
また、本発明は、前記撮像素子は、その結像面の前面に、前記撮像素子の2画素ピッチに対応したレンチキュラレンズを備え、前記撮像素子は、前記右側光学部材と前記左側光学部材とによって導かれて、前記レンチキュラレンズによって分離された右画像と左画像とを同時に撮像するようにしたものである。
これによって、撮像素子の撮像面の共通範囲に左右の光に基づくイメージサークルを形成して、互いに視差を持つ右画像および左画像を撮像する際においても、単一の平面画像を撮像する場合とほぼ等しい像高を得ることができ、更に、互いに視差のある右画像および左画像を同時に撮像することが可能となる。
(第1実施形態)
以下、本発明の第1実施形態について図面を参照しながら説明する。なお、説明に用いる方向については、各図中の方向の記載に従うものとする。ここで、「上」および「下」はビデオプロセッサ3の上下にそれぞれ対応し、「前(先)」および「後」は、内視鏡本体2(以降「内視鏡2」と呼称する)の挿入部5側およびプラグ部6側にそれぞれ対応する。
図1は、本発明の第1実施形態に係る内視鏡2を用いた内視鏡システム1の全体構成図である。図1に示すように、内視鏡システム1は、医療用の軟性鏡である内視鏡2と、観察対象(ここでは、人体)の内部を撮影して得られた静止画および動画に対して画像処理を行うビデオプロセッサ3とから構成される。内視鏡2は、略前後方向に延在し、観察対象の内部に挿入される挿入部5と、挿入部5の後部が接続されるプラグ部6とを備える。
ビデオプロセッサ3は、その前壁3aに開口するソケット部7を有している。このソケット部7には、内視鏡2のプラグ部6の後部6aが挿入され、これにより、内視鏡2はビデオプロセッサ3との間で電力や各種信号(映像信号、制御信号など)の送受が可能である。
挿入部5はプラグ部6に後端を接続された可撓性を備える軟性部11と、この軟性部11の先端に連なる硬性部12とを有している。軟性部11は種々の術式に適切な長さを有する。なお、硬性部12の最大外径は、2mm〜10mmのサイズで構成可能だが、ここでは約8mm程度とする。
上述した電力や各種信号は軟性部11内部を挿通された伝送ケーブル13(図5等参照)を介してプラグ部6から軟性部11に導かれる。硬性部12に設けられた撮像素子17(図5等参照)が出力した画像データは、伝送ケーブル13を介してプラグ部6からビデオプロセッサ3に送信される。
第1実施形態に係る内視鏡2は、後に詳細に説明するように、互いに視差を持つ右画像および左画像(以降、右画像と左画像とを区別しない場合は「ステレオ画像」と呼称する)を出力する3次元画像出力モード(以降、「3Dモード」と呼称する)と、単一の平面画像を出力する2次元画像出力モード(以降、「2Dモード」と呼称する)が選択可能に構成されている。ビデオプロセッサ3は3Dモードが選択されている場合は、内視鏡2が出力する画像データを右画像と左画像とに分離した後に、左右の画像別にフィルタリング、色補正、階調補正等といった公知の画像処理を施して、HMD(Head Mounted Display)や3Dモニター等の3次元表示デバイス(図示せず)に出力する。他方、2Dモードが選択されている場合は、内視鏡2が出力する画像データに上述した画像処理を施して、液晶モニターや液晶TV等の2次元表示デバイス(図示せず)に出力する。
また、ビデオプロセッサ3には、上述した3Dモードと2Dモードとの相互切り替えや、3Dモードが指定されている場合における基線長や輻輳角を調整する操作部(図示せず)が設けられており、使用者は操作部を操作することで、内視鏡2の状態を制御することができる。この観点でビデオプロセッサ3は、内視鏡2のコントローラとして機能する。
図2は、光学部材ホルダ16に一対のステレオ光学部材20を折り畳んだ状態を示す要部斜視図、図3は、ステレオ画像を撮影する第1状態を示す要部斜視図、図4は、平面画像を撮影する第2状態を示す要部斜視図である。以降、図2〜図4を用いて、第1実施形態に係る内視鏡2のステレオ光学部材20の動作について概略を説明する。
内視鏡2の硬性部12は筐体としての光学部材ホルダ16を備えており、光学部材ホルダ16の先端には一対のステレオ光学部材20が設けられている。一対のステレオ光学部材20は、例えばガラス製のプリズムで構成された右側光学部材20Rおよび左側光学部材20Lで構成され、光学部材ホルダ16の先端において、視差のある2つの光路を形成する部材である。なお、以降の説明において「ステレオ光学部材20」と称するときは「一対のステレオ光学部材20」を意味し、一対のステレオ光学部材20の左右について個別に説明する際には、「右側光学部材20R」、「左側光学部材20L」の用語を用いる。
図2に示すように、施術者が内視鏡2を用いた手術等を開始する前等の時点(即ち、内視鏡2の挿入部5が体腔の外にあるとき)において、ステレオ光学部材20は光学部材ホルダ16の先端に折り畳んだ状態となっている。ステレオ光学部材20が収納された状態において、右側光学部材20Rの先端部20Raと左側光学部材20Lの先端部20Laとは互いに近接、対峙し、右側光学部材20Rの光入射面24iRと左側光学部材20Lの光入射面24iLとが対向する状態となっている。この際の形態をステレオ光学部材20全体としてみたときには、先端部20Raと先端部20Laとは合わさって先細りの形状(先鋭端)をなし、これによって挿入部5を体腔に挿入する際に被施術者の負担が軽減される。
挿入部5を体腔内に挿入した後、施術者が上述したビデオプロセッサ3の操作部(図示せず)を操作すると、図2、図3に示すように、右側光学部材20Rは右側ヒンジ部22Rを回動中心として、また左側光学部材20Lは左側ヒンジ部22Lを回動中心として回動する(以降の説明で、右側ヒンジ部22Rと左側ヒンジ部22Lとをまとめて「ヒンジ部22」と呼称する場合がある)。このとき、右側光学部材20Rの先端部20Raと左側光学部材20Lの先端部20Laとは、互いに離間する方向に回動する。そして、光学部材ホルダ16に折り畳んだ状態から、右側光学部材20Rおよび左側光学部材20Lを約90度回動させた位置でそれぞれの回動を停止することで、ステレオ光学部材20は第1状態に変位する。
この第1状態において、ステレオ光学部材20はその全体が光学部材ホルダ16から完全に露出(展開)し、右側光学部材20Rによって形成される右側光路25Rおよび左側光学部材20Lによって形成される左側光路25Lに基づく基線長LnB1は、光学部材ホルダ16の外径LO以上の長さとなる。この第1状態は上述した3Dモードに対応しており、この状態で撮像を行うことでステレオ画像を取得して、施術者等はHMDや立体視に対応した表示装置等を用いて患部等を立体的に観察することができる。なお、図3のようなステレオ画像を撮影する第1状態では、その上下方向において、ステレオ光学部材20と光学部材ホルダ16との隙間から混入する迷光を遮断するための遮光部を設けることが望ましい。また、迷光を遮断する観点では、ステレオ光学部材20と光学部材ホルダ16との間の隙間が小さくなるように、光学部材ホルダ16をステレオ光学部材20の形状に沿わせて、前方から見たときに略矩形状に構成してもよい。
図4に示すように、上述した第1状態から、右側光学部材20Rおよび左側光学部材20Lを更に約90度回動させた位置でそれぞれの回動を停止することで、ステレオ光学部材20は第2状態に変位する。このように第2状態は、光学部材ホルダ16に折り畳んだ状態から、ヒンジ部22を中心としてステレオ光学部材20を約180度回転させた状態である。第2状態においては、右側光学部材20Rおよび左側光学部材20Lは、光学部材ホルダ16から完全に露出するとともに光学部材ホルダ16の前面(対物面側)から完全に除去されて、結果的にステレオ光学部材20は光路形成に関与しないようになる。この第2状態は上述した2Dモードに対応しており、この状態で撮像を行うことで平面画像を取得して、施術者等は表示装置を用いて患部等を平面視することができる。
なお、上述した、光学部材ホルダ16の先端においてステレオ光学部材20が「折り畳んだ状態」とは、ステレオ光学部材20の全てが光学部材ホルダ16の内部に包含される状態をいうものではなく、図2に示すように、右側光学部材20Rの先端部20Raと左側光学部材20Lの先端部20Laとが互いに近接、重畳して、ステレオ光学部材20の一部が光学部材ホルダ16の内部に包含された状態をいうものとする。
また、上述した「折り畳んだ状態」と「第1状態」と「第2状態」との間で行われるステレオ光学部材20の変位は、後述するように、光学部材ホルダ16の外周面に沿って設けられた押圧部材23を前後方向に移動させることで行われる。押圧部材23を前方に移動させることで、ステレオ光学部材20は「第2状態」、「第1状態」、「折り畳んだ状態」の順に変位し、逆に押圧部材23を後方に移動させることで、ステレオ光学部材20は「折り畳んだ状態」、「第1状態」、「第2状態」の順に変位する。もちろん「第1状態」と「第2状態」との間、または「第1状態」と「折り畳んだ状態」との間で変位を交互に行うことも可能である。
図5は、第2状態に変位した際のステレオ光学部材20および変位機構の状態を示す断面図、図6は、第1状態に変位した際のステレオ光学部材20および変位機構の状態を示す断面図、図7は、折り畳んだ状態におけるステレオ光学部材20および変位機構の状態を示す断面図である。以降、図5〜図7を用いて、硬性部12の構成について説明し、その後、ステレオ光学部材20を「折り畳んだ状態」と「第1状態」と「第2状態」とに変位させた際の変位機構の状態、および変位機構の動作について説明する。
<硬性部12の構成>
図5〜図7に示すように、硬性部12は、光学部材ホルダ16と、光学部材ホルダ16の後部を封止するリアカバー18と、光学部材ホルダ16の外周面に沿って設けられた押圧部材23とから構成される。光学部材ホルダ16はステンレス鋼(ここでは、SUS304(18クロムステンレス))で構成され、内部に結像光学系である鏡筒15と撮像素子17と駆動源26とコイルばねで構成された付勢部材27とを収納し、更に光学部材ホルダ16の先端には右側ヒンジ部22Rを介して右側光学部材20Rが、左側ヒンジ部22Lを介して左側光学部材20Lが取り付けられている。なお、リアカバー18、押圧部材23についてもステンレス鋼で構成されている。
鏡筒15には光学材料(ガラス、樹脂等)からなる同一径の複数(ここでは、3枚)の光学レンズL1〜L3(以降、「レンズ群」と呼称する)が、ステンレス鋼製の円筒状のレンズ枠体に互いに光軸LCの方向に密接した状態で組み込まれている。図6に示すように、右側光路25Rおよび左側光路25Lを通って鏡筒15に導かれた光は、鏡筒15に収納されたレンズ群によって、共通の領域、即ち撮像素子17の撮像面にイメージサークル17a(図8等参照)として結像する。即ち、鏡筒15はステレオ光学部材20によって形成される2つの光路を通る光を共通の領域に結像する1つの結像光学系として機能する。
図5に示すように、鏡筒15の前面にはカバーガラス35が設けられ、鏡筒15内に水分や塵芥等が入るのを防止する。また、鏡筒15の後部には撮像素子17が封止材でモールドされて装着され、結果的に鏡筒15はレンズ群と撮像素子17とを一体として保持する。このように鏡筒15は前面をカバーガラス35によって封止され、後面を撮像素子17によって封止され、鏡筒15は単体で気密性を備えている。
撮像素子17は、前後方向から見て略矩形状をなすCCD(Charge Coupled Device)またはCMOS(Complementary Metal-Oxide Semiconductor)で構成される。撮像素子17の後部(背面側)には、撮像素子17の駆動回路等が設けられた回路基板72が取り付けられている。回路基板72は、後方から見て撮像素子17よりもやや小さい外形を有している。撮像素子17は背面にLGA(Land grid array)を備えており、回路基板72に形成された電極パターンと電気的に接続される。また、回路基板72の後部(背面側)には、伝送ケーブル13の先端が半田付けによって電気的に接続されている。回路基板72および回路基板72と伝送ケーブル13との接続部分は、エポキシ樹脂等のモールド材44で覆われ、水分やガスに対してバリア性を備える。
伝送ケーブル13は、リアカバー18の後部に形成された略円形のケーブル挿通孔45を介して、後方に引き出され、プラグ部6(図1参照)と接続される。なお、伝送ケーブル13は、ケーブル挿通孔45において接着剤によって固定されている。
鏡筒15はレンズ群と撮像素子17とを一体に保持した状態で、光学部材ホルダ16内部を前後方向に摺動可能に構成されている。そして、撮像素子17の後端において、鏡筒15には付勢部材27の前端が固定されている。そして付勢部材27の後端は、光学部材ホルダ16の内壁に突出した係止片28に固定されている。付勢部材27は、鏡筒15全体を前方に付勢しており、鏡筒15は光学部材ホルダ16の前端に設けられた規制部材29によって前方への変位が規制され、光学部材ホルダ16の前方から露出しないようにされている。
上述したように、光学部材ホルダ16の先端には、右側光学部材20Rと左側光学部材20Lとから構成されるステレオ光学部材20が取り付けられている。右側光学部材20Rおよび左側光学部材20Lは、上下方向からみたとき略平行四辺形の形状をなすプリズム状部材である(図2〜図4参照)。なお、ステレオ光学部材20は、右側光学部材20Rと左側光学部材20Lとが対称配置される構成であれば、その形状は略平行四辺形に限らず、一部に曲面を施した形状としてもよい。
図6に示すように、右側光学部材20Rは光入射面24iRと光出射面24ORとを備え、光入射面24iRのうち右端近傍の領域から入射した光は、第1反射面24Rx1Rで反射され、右側光学部材20Rの内部を第2反射面24Rx2R方向に進み、更に第2反射面24Rx2Rで反射され、最終的に光出射面24ORのうち左端近傍の領域から鏡筒15に向けて出射される。このように、右側光学部材20Rによって、右側光路25Rが形成される。
一方、左側光学部材20Lは光入射面24iLと光出射面24OLとを備え、光入射面24iLのうち左端近傍の領域から入射した光は、第1反射面24Rx1Lで反射され、左側光学部材20Lの内部を第2反射面24Rx2L方向に進み、更に第2反射面24Rx2Lで反射され、最終的に光出射面24OLのうち右端近傍の領域から鏡筒15に向けて出射される。このように、左側光学部材20Lによって、左側光路25Lが形成される。なお、第1反射面24Rx1R(24Rx1L)、第2反射面24Rx2R(24Rx2L)を構成する面には、面に近い方から高反射率を備える銀メッキと、耐酸および耐アルカリ性を備える樹脂膜とが積層して形成されており、これらの反射面において光が鏡面反射される。
以降、変位機構の構成について説明する。変位機構は、主に押圧部材23と駆動源26とによって構成される。ただし、ステレオ光学部材20を3Dモードで撮像を行う「第1状態」と「折り畳んだ状態」との間で変位させる際には、上述した鏡筒15を前方に付勢する付勢部材27も変位機構の一部を構成する。
押圧部材23は、光学部材ホルダ16の外周面に沿って設けられた略円筒形状の部材であり(図2〜図4参照)、押圧部材23は光学部材ホルダ16に対して前後方向に摺動可能に構成される。押圧部材23の先端には、光学部材ホルダ16に設けられたヒンジ部22を避ける位置に、二股フォーク形状の舌片23aが一対設けられている(図2〜図4参照)。この舌片23aが、押圧部材23の前後方向への移動に伴ってステレオ光学部材20の光出射面24OR(24OL)を押圧することで、光学部材ホルダ16の先端においてステレオ光学部材20が回動して、「折り畳んだ状態」と「第1状態」と「第2状態」との間で変位する。
他方、押圧部材23はギアトレイン等の最終駆動段である動力伝達部材26aを介して駆動源26と機械的に連結されている。押圧部材23には溝列23bが前後方向に複数設けられ、この溝列23bが動力伝達部材26aに設けられたギアと係合している。駆動源26を駆動すると、その動力は動力伝達部材26aから溝列23bを介して押圧部材23に伝達され、押圧部材23は光学部材ホルダ16に対して前後方向に相対的に移動する。
なお、押圧部材23の内周には図示しない複数のマーキングが前後方向に施されており、更に光学部材ホルダ16には、押圧部材23の前後方向の移動に伴ってマーキングが移動する位置に対応して、図示しない開口部が設けられている。光学部材ホルダ16には、この開口部と対向する位置に図示しない反射型センサ(フォトリフレクタ)が設けられており、コントローラとして機能するビデオプロセッサ3(図1参照)は、光学部材ホルダ16に対する押圧部材23の相対的な位置を検出する。図5〜図7に示すように、押圧部材23の前後方向の位置とステレオ光学部材20の変位(即ち、「折り畳んだ状態」と「第1状態」と「第2状態」)とは対応しているから、ビデオプロセッサ3は、反射型センサの出力を参照することで、ステレオ光学部材20の変位位置を把握することができる。
さて、ステレオ光学部材20は上述した「第2状態」、即ちステレオ光学部材20が図5に実線で示す位置にある状態が機構的な初期状態となる(図4参照)。なお、ここで初期状態とは、押圧部材23がステレオ光学部材20に何ら外力を付与しない状態をいう。初期状態(第2状態)においては、図5に示すように、ステレオ光学部材20は光学部材ホルダ16から完全に露出するとともに、鏡筒15は光学部材ホルダ16の先端近くに移動しており、硬性部12を洗浄等するのに好適な状態となっている。一方、内視鏡2を使用する際には、硬性部12を被施術者の体内に挿入しやすい先細りの状態とするため、ステレオ光学部材20を光学部材ホルダ16に「折り畳んだ状態」に変位させる必要がある。後述するように、初期状態以外の状態においては、押圧部材23を後方に押し戻そうとする力が作用するため、ステレオ光学部材20を「折り畳んだ状態」に変位させた後に電源を遮断したとしても、この「折り畳んだ状態」が維持される必要がある。
従って、ここで駆動源26としては、電源遮断時にもある程度の停止トルクを備えるステッピングモータを選定するのが望ましい。または、駆動源26をいわゆるギアードモータを含むユニットとして構成し、内蔵されたギアの一部をウォームギアで構成するとともに、そのねじり角を安息角(摩擦角)より小さく設定するのが望ましい。このようにすることで、ステレオ光学部材20が「折り畳んだ状態」から変位しようとしても、押圧部材23は前後方向に移動することなく、ステレオ光学部材20を「折り畳んだ状態」に安定的に維持することが可能となる。なお、駆動源26は適切なシール構造を有し、外部から侵入した水分やガスに対してバリア性を有している。
以降、ステレオ光学部材20を変位させる過程について説明する。なお、説明を容易にするために、機構的初状態であるとともに2Dモードで撮像を行う「第2状態」、3Dモードで撮像を行う「第1状態」、「折り畳んだ状態」の順に説明する。
<第2状態(機構的初期状態)>
本実施形態に係る内視鏡2において、ステレオ光学部材20は図5に実線で示す位置にある状態(第2状態)を説明の便宜上、機構的な初期状態とし、以降、図5を用いて、「第2状態」におけるステレオ光学部材20およびその周辺機構の状態について説明する。
光学部材ホルダ16の先端に設けられた右側ヒンジ部22Rおよび左側ヒンジ部22Lは、内部に図示しないトーションばねを有しており、トーションばねの一端は光学部材ホルダ16の側に係止され、他端はステレオ光学部材20の側に係止されている。このトーションばねの弾性によって、右側光学部材20Rには方向DR1に、左側光学部材20Lには方向DL1に常に付勢されている。「第2状態」においては押圧部材23(舌片23a)は、後方に退いており、その結果、方向DR1に付勢された右側光学部材20Rおよび方向DL1に付勢された左側光学部材20Lは、いずれも光学部材ホルダ16の外周面に当接している。
「第2状態」では、ステレオ光学部材20は光学部材ホルダ16から完全に露出するとともに、カバーガラス35の前方からも完全に除去されており、内視鏡2の硬性部12から入射する光は何ら遮られることなくカバーガラス35、鏡筒15内のレンズ群を経て撮像素子17の撮像面に結像する。このように「第2状態」では、内視鏡2は単眼カメラとして機能し、施術者等は2Dモードによる平面画像によって患部等を観察することができる。なお、このとき、鏡筒15は付勢部材27によって、光学部材ホルダ16の先端に設けられた規制部材29の位置まで前進している。このため光学部材ホルダ16によって光路が蹴られるような事態は発生しない。
この状態から、駆動源26を駆動して押圧部材23を前方に移動させると、押圧部材23の先端に構成された舌片23aは、ステレオ光学部材20と光学部材ホルダ16との間に入り込み、右側光学部材20Rの光出射面24ORおよび左側光学部材20Lの光出射面24OLにそれぞれ当接して、前方に移動する。その結果、ステレオ光学部材20を方向DR1(方向DL1)に付勢する付勢力に抗して、右側光学部材20Rは右側ヒンジ部22Rを回動中心として方向DR2に、左側光学部材20Lは左側ヒンジ部22Lを回動中心として方向DL2に、それぞれ回動する。なお、舌片23aは板ばねを構成しており、「第2状態」において、舌片23aは光学部材ホルダ16の外周面に自己の弾性によって付勢されている。従って、押圧部材23を移動させると、舌片23aは光学部材ホルダ16に当接して摺動することになる。
<第1状態>
以降、図6を用いて、「第1状態」におけるステレオ光学部材20およびその周辺機構の状態について説明する。上述した「第2状態」から更に押圧部材23を前方に移動させると、舌片23aの先端は光学部材ホルダ16の先端と同一位置になるまで到達する。このとき、右側光学部材20Rは、光出射面24ORを舌片23aによって後方から支持されて、「第2状態」から方向DR2に90度回転した状態となる。同様に左側光学部材20Lは、「第2状態」から方向DL2に90度回転した状態となる。なお、「第1状態」は、後に説明する「折り畳んだ状態」からステレオ光学部材20をそれぞれDR1方向およびDL1方向に90度回転した状態でもある。
なお、「第1状態」において、舌片23aの先端は、ステレオ光学部材20を光学部材ホルダ16の外側で支持している。上述したように、舌片23aは板ばねで構成されるが、光学部材ホルダ16の外面に当接した際に舌片23aの先端が外側に向く形状とすることで、ステレオ光学部材20を支持する位置(作用点)をヒンジ部22(支点)から外径方向に離間させることができる。これによってステレオ光学部材20がより安定して支持される。
「第1状態」では、ステレオ光学部材20は光学部材ホルダ16から完全に露出するとともに、右側光学部材20Rおよび左側光学部材20Lは光学部材ホルダ16の前方に配置される。光出射面24ORのうち左側端部近傍の領域および光出射面24OLのうち右側端部近傍の領域は鏡筒15と対向する位置となり、右側光学部材20Rおよび左側光学部材20Lによって、右側光路25Rおよび左側光路25Lが形成される。
そしてこのとき、右側光学部材20Rにおいては第1反射面24Rx1Rと第2反射面24Rx2Rとの距離に応じて、また左側光学部材20Lにおいては第1反射面24Rx1Lと第2反射面24Rx2Lとの距離に応じて、2つの光路に基づく基線長LnB1が定まる。ここで、第1反射面24Rx1Rおよび第1反射面24Rx1Lの位置が、左右方向(即ち、光学部材ホルダ16の径方向)に光学部材ホルダ16の外周を越える位置となるように、右側光学部材20Rおよび左側光学部材20Lの左右方向の長さを設定することで、基線長LnB1の長さは光学部材ホルダ16の外径LO以上の長さとなる。
なお、第1実施形態では、右側光学部材20Rおよび左側光学部材20Lの左右方向の長さについては特に限定されない。即ち、図6に示すように、ステレオ光学部材20の左右方向のサイズのうち、光学部材ホルダ16の内周方向については、ヒンジ部22と光軸LCとの距離によって(実質的に、光学部材ホルダ16の外径LOによって)決定されてしまうが、ヒンジ部22から光学部材ホルダ16の外周方向に向かうサイズについては制限されない。
また、「第1状態」においても、鏡筒15は付勢部材27によって、光学部材ホルダ16の先端に設けられた規制部材29の位置まで前進しており、光学部材ホルダ16によって光路が蹴られるような事態は発生しない。
右側光学部材20Rの光出射面24ORのうち、鏡筒15と対向する部位には右側偏光素子30R(第1偏光素子)が設けられ、左側光学部材20Lの光出射面24OLのうち、鏡筒15と対向する部位には左側偏光素子30L(第2偏光素子)が設けられている(以降、右側偏光素子30Rと左側偏光素子30Lとをまとめて偏光素子30と呼称することがある)。右側偏光素子30Rと左側偏光素子30Lとは、偏光方向が互いに90度異なっており、例えば右側偏光素子30Rは横偏光の光を透過し、左側偏光素子30Lは縦偏光の光を透過する。なお、これらの偏光素子は偏光膜を形成した公知の偏光フィルムで構成され、ステレオ光学部材20の該当部分には偏光フィルムが接着されている。また、右側光学部材20Rまたは左側光学部材20Lのいずれか一方(ここでは、左側光学部材20L)には、偏光フィルムと重畳するように1/2λ位相板31が張り付けられている。
後述するように、撮像素子17の前面には画素列17bに対応して横偏光素子17cと縦偏光素子17dとが交互(ストライプ状)に設けられており(図8参照)、撮像素子17は、右側偏光素子30Rと左側偏光素子30Lとで偏光方向が揃えられた光を、左右に分離して受光する。
<折り畳んだ状態>
以降、図6、図7を用いて、ステレオ光学部材20が光学部材ホルダ16に折り畳まれる過程について説明する。上述した「第1状態」から更に押圧部材23を前方に移動させると、舌片23aの先端は右側光学部材20Rを方向DR2に、左側光学部材20Lを方向DL2に更に回動させる。これに伴い、右側光学部材20Rの後端部20Rbおよび左側光学部材20Lの後端部20Lbは、鏡筒15の前面に設けられたカバーガラス35と当接する。
上述のように、鏡筒15は光学部材ホルダ16の内部において付勢部材27によって前方に付勢されるとともに、前後に摺動可能に設けられており、鏡筒15はステレオ光学部材20を方向DR2(DL2)に回動することによって、ステレオ光学部材20に押されて光学部材ホルダ16の内部を後退する。このように「第1状態」から「折り畳んだ状態」に至る過程では、押圧部材23は、トーションばねによって付勢されたステレオ光学部材20、および付勢部材27によって前方に付勢された鏡筒15の双方の付勢力に抗して、ステレオ光学部材20を「折り畳んだ状態」に変位させる。なお、押圧部材23の先端に設けられた舌片23aは、上述したように板ばねで構成され、ステレオ光学部材20と当接する状態において、ステレオ光学部材20の内径方向に付勢されている。即ち、舌片23aは「折り畳んだ状態」においてステレオ光学部材20の光入射面24iRと24iLとが対向する、あるいは両面が接触するように支持する。
以上、2Dモードで画像を撮像する「第2状態」から3Dモードで画像を撮像する「第1状態」を経て、光学部材ホルダ16にステレオ光学部材20が「折り畳んだ状態」に至る過程を説明したが、逆に、「折り畳んだ状態」において押圧部材23を後退させることで、方向DR1、DL1に付勢されたステレオ光学部材20は「第1状態」に変位し、ステレオ光学部材20が光学部材ホルダ16から徐々に露出するにつれて、付勢部材27によって前方に付勢された鏡筒15も「第1状態」に示した状態に復帰する。そして「第1状態」から更に押圧部材23を後退させることで、ステレオ光学部材20が「第2状態」に変位する。
図8(a)〜(c)は、偏光素子30を用いて右画像と左画像とを分離する過程を示す説明図である。以降、図8(a)〜(c)を用いて、「第1状態」即ち3Dモードで撮像を行う場合において、左右の画像を分離する構成について説明する。なお、説明を簡単にするために、図8(a)、(b)では、ステレオ光学部材20を単純な2枚の偏光フィルタ、鏡筒15を単レンズとして記載し、上述した1/2λ位相板31(図6参照)の記載を省略している。
上述したように、ステレオ光学部材20の左側光学部材20Lには左側偏光素子30Lが、右側光学部材20Rには右側偏光素子30Rが設けられている(図6参照)。第1実施形態においては、図8(a)に示すように、左側偏光素子30Lは縦偏光素子であり、自然光のうち縦偏光の光を透過する。透過された縦偏光光は、鏡筒15に収納されたレンズ群によって撮像素子17の撮像面にイメージサークル17aとして結像される。また、図8(b)に示すように、右側偏光素子30Rは横偏光素子であり、自然光のうち横偏光の光を透過する。この光も同様に、撮像素子17の撮像面にイメージサークル17aとして結像される。
一般に、左右の離間した位置に縦偏光と横偏光とを選択的に透過させる立体瞳を設けることによって、左右の入射光に異なる特性を付与するとともに、左右の光路を変えて視差を生じさせることができる。ただし、このときの基線長LnB0は左右の立体瞳の間の距離となるが、第1実施形態では、上述したように、ステレオ光学部材20によって、立体瞳によって生じる基線長LnB0より大きい基線長LnB1(図6参照)を設定している。これによってより大きな視差を得ることができる。
図8(c)に示すように、撮像素子17は左右方向に複数の画素列17bを有し、各画素列17bは図面の上下方向に複数の画素(PD:Photodiode)を含んでいる。そして、各画素列17bの前面には、画素列17bのサイズおよびピッチに対応して、縦偏光素子17d(第3偏光素子)と横偏光素子17c(第4偏光素子)とが交互に(ストライプ状に)形成されている。ここに縦偏光素子である左側偏光素子30L(立体瞳(左側))を透過した縦偏光光と、横偏光素子である右側偏光素子30R(立体瞳(右側))を透過した横偏光光とが同時に入射すると、縦偏光素子17dが前面に形成された画素列17bには縦偏光光のみが入射し、横偏光素子17cが前面に形成された画素列17bには横偏光光のみが入射する。即ち、左側偏光素子30Lを透過した光は左画像用画素列17bLのみを露光し、右側偏光素子30Rを透過した光は右画像用画素列17bRのみを露光する。これによって視差を有する左右の画像が右画像と左画像とに分離されて、1つの撮像素子17によって同時に撮像される。
さて、ここで左右の光路に基づく光は1つの結像光学系(即ち、鏡筒15に収納されたレンズ群)によって共通の領域、即ち1つの撮像素子17の撮像面の全域にわたって結像され、左右の光に基づくイメージサークル17aの位置は、いずれもほぼ同一となる。即ち、左右の画像の像高は上述した「第2状態」において2Dモードで撮像を行うときと殆ど変わらないことになる。また、左右の画像は1つの撮像素子17によって同時に撮像されるため、3Dモードにおいてもフレームレートを2Dモードと同等に維持することができる。
次に、「第2状態」即ち2Dモードで撮像を行う場合について説明する。「第2状態」では、ステレオ光学部材20は光路の形成に関与しない位置に退避しており、これは図8(a)、(b)においてステレオ光学部材20を除去した状態となっている。このとき、内視鏡2の先端から入射する光は偏光素子30を通過せず、鏡筒15にはいわゆる自然光が入射される。入射した光は、鏡筒15に収納されたレンズ群によって撮像素子17の撮像面にイメージサークル17aとして結像されるが、撮像素子17を構成する各画素の前面には横偏光素子17cおよび縦偏光素子17dが配列されているため、各画素列17bはこれらの偏光素子に応じて横偏光あるいは縦偏光された光で露光される。画素を構成するフォトダイオードは光の偏光状態にかかわらず電荷を蓄積するから、撮像素子17は通常の単眼カメラと同様に平面画像を撮像することができる。
第1実施形態によれば、2Dモードでは偏光素子30によって光量が最大で50%に制限されるものの、自然光は3Dモードのように右画像と左画像とに分離されることがなく、画素列17bが配列された方向(即ち、図8(c)の左右方向)の解像度が完全に維持されて高解像度の画像を得ることができる。
図9(a)は、撮像素子17全体の画素配列を示す説明図、(b)は、撮像素子17の左画像に係る画素配列を示す説明図、(c)は、撮像素子17の右画像に係る画素配列を示す説明図である。ここで、図9(a)において、斜線で示す画素列17bは右画像用画素列17bR、網点で示す画素列17bは左画像用画素列17bLである。また、図9(b)は図9(a)から左画像用画素列17bLのみを抽出し、図9(c)は図9(a)から右画像用画素列17bRのみを抽出して図示したものである。
第1実施形態における撮像素子17はカラーイメージセンサであり、各画素を構成するフォトダイオードの前面にRGBのカラーフィルタを備えている。なお、カラーフィルタは図8(c)に示す横偏光素子17cおよび縦偏光素子17dと画素列17bとの間に設けられている。図9(a)に示すように、撮像素子17を全体としてみたときの画素配列(カラー画素配列)は、BGGRまたはRGGBの2つの基本パターンを繰り返すものとなっている。即ち、主走査方向と副走査方向とにおいて2×2画素で構成される基本パターンの中に、2つのG画素と1つのR画素と1つのB画素とを含み、かつ配列全体でみたときに視覚特性上の解像度に対応するG画素は千鳥(チェッカーフラッグ)配列とされ、いわゆるBayerパターンを構成する。
2Dモードでは撮像素子17の全体の画素を用いて平面画像を得るから、図9(a)に示す画素配列とすることで、カラーフィルタの配列としてG画素については単一の基本パターン(例えばBGGR)を繰り返し用いる一般的なBayerパターンと変わりなく高い解像度の画像を得ることができる。R画素、B画素については副走査方向には解像度は低下することになるが、輝度信号に大きな割合で含まれるG信号が高い解像度を保てるため、輝度信号として高画質を維持できる。
他方、3Dモードにおいては、図9(b)に示す左画像のR画素に着目すると、副走査方向においてPx11、Px12のように4画素周期に、同様にB画素についてもPx13、Px14のように4画素周期で配置される。図9(c)に示す右画像についても同様である。このことから、右画像および左画像を単プレーンとしてみたとき、副走査方向におけるR画素およびB画素の解像度はG画素と比較して1/4に低下することになる。しかしながら、千鳥配置されて高解像度が維持されたG画素を用いて左右画像のレジストレーション(位置合わせ)を行った後、または左右の視差がほとんど存在しない場合においては、左右画像を重ねたときのR画素は、Px11とPx21とが副走査方向に弱連結状態で隣接し、Px31とPx12とは間に2画素を挟んで離間して配置される。これによって、3Dモードにおいても副走査方向の解像度の劣化は少ない。なお、G画素については、主走査方向に全ての画素がG成分を持つため、2Dモード(即ち、図9(a)に示す画素配列)と比較して主走査方向、副走査方向ともに1/2の解像度を維持し、左右の視差が少ない範囲においては解像度の劣化は更に少ないことになる。
図10(a)は、撮像素子17全体の画素配列の変形例を示す説明図、(b)は、変形例における撮像素子17の左画像に係る画素配列を示す説明図、(c)は、変形例における撮像素子17の右画像に係る画素配列を示す説明図である。図10(a)に示すように、撮像素子17を全体としてみたときの画素配列は、図9(a)と同様にBGGRまたはRGGBの2つの基本パターンを繰り返すものとなっている。ただし、図9(a)では、副走査方向のみについて2画素周期で基本パターンをBGGRとRGGBとに変更しているが、変形例では主走査方向、副走査方向ともに2画素周期でBGGRとRGGBとを変更している。即ち変形例では、2×2画素で構成される「2つの基本パターンが千鳥配置」されている。
変形例においても、2Dモードでは、G画素についてはカラーフィルタの配列として単一の基本パターン(例えばBGGR)を繰り返し用いる一般のBayerパターンと変わりなく高い解像度の画像を得ることができる。R画素、B画素については斜め方向には解像度は低下することになるが、輝度信号に大きな割合で含まれるG信号が高い解像度を保てるため、輝度信号として高画質を維持できる。
他方、3Dモードにおいては、図10(b)に示す左画像のR画素に着目すると、副走査方向にPx31、Px32のように2画素周期に、同様にB画素についてもPx33、Px34のように2画素周期で配置される。図10(c)に示す右画像についても同様である。このことから、右画像および左画像を単プレーンとしてみたとき、副走査方向における解像度はG画素と同様で1/2に低下するにすぎない。更に、レジストレーション(位置合わせ)を行った後、または左右の視差がほとんど存在しない場合においては、左右画像を重ねたときのR画素は、Px31とPx41とは副走査方向に強連結状態で隣接し、Px41とPx32とは弱連結状態で隣接し、Px32とPx42とは強連結状態で隣接して配置される。B画素(Px33,Px43,Px34)についても同様に、副走査方向について強連結または弱連結状態で隣接する。これによって、R画素、B画素は3Dモードにおいても副走査方向の解像度の劣化は少ない。なお、G画素については、図9(b)、(c)を用いて説明したのと同様に、2Dモードと比較して、主走査方向副走査方向ともにの解像度は1/2に維持され、左右の視差が少ない範囲においては解像度の劣化は更に少ない。
このように、第1実施形態においては、撮像素子17の画素配列(カラーフィルタの色配列パターン)を「撮像素子17全体としてみたときに、2つのG画素と1つのB画素と1つのR画素とを含み、互いに画素配列が異なるBayer配列を有する2つの基本パターンを所定の方向に交互に配置するとともに、左右画像に分離した際に対応する画素配列が、2つのG画素と1つのB画素と1つのR画素とを含む」ようにしている。これによって、2Dモード、3Dモードのいずれの場合においても、高い解像度を確保することが可能となる。また光学系には共通の領域に結像する1つの結像光学系(鏡筒15)と、1つの撮像素子17を用いることでイメージサークル(像高)を大きくでき、撮像素子17の撮像エリアを大きくでき、画素数を多くすることが可能となり、2Dモード、3Dモードいずれの場合においても小径化と高度解像度化を図ることが可能となる。同時に2D、3Dの切り替えも可能となる。
図11(a)は、第1実施形態におけるステレオ光学部材20の変形例を示す説明図、(b)は、同要部拡大図である。これまでステレオ光学部材20はプリズムで構成されているものとして説明したが、変形例では図11(b)に示すように、ステレオ光学部材20を内側枠体21aと、内側枠体21aに設けられて対物側から入射した入射光を反射する第1ミラー21bと、内側枠体21aの側面を外囲して支持する外側枠体21cと、外側枠体21cに設けられて第1ミラー21bで反射された光を鏡筒15側に反射して出射する第2ミラー21dとを備える。そして、内側枠体21aは外側枠体21cに対して収納状態と露出状態との間で摺動可能に構成され、外側枠体21cから内側枠体21aを最大限に露出させた状態と完全に収納した状態とにおける突出量はLkだけ異なる。
また、ステレオ光学部材20を構成する外側枠体21cには公知の平板共振型の超音波モータ(図示せず)が搭載されている。超音波モータを駆動することで、内側枠体21aは外側枠体21cに対して相対的に変位する。これによって、図11(a)に示すように、ステレオ光学部材20の基線長は、内側枠体21aを左右に最大限に露出させた状態においてLnB1となり、逆に内側枠体21aを外側枠体21cに完全に収容した状態においてLnB2となる。そして基線長は最大のLnB1から最小のLnB2の間で任意に制御される。なお、外側枠体21cにはホール素子で構成された図示しない磁気センサが、内側枠体21aには微小な磁石片が設けられており(いずれも図示せず)、磁気センサによって磁石片の磁力を検出することで、ビデオプロセッサ3(図1参照)は、外側枠体21c内にある内側枠体21aの位置を把握することが可能となっている。構造上、超音波モータは磁石を備えていないため、位置検出手段として微小な磁力を利用することが可能である。
図12は、基線長制御の過程を示すフロー図である。以下、図11を用いて説明した基線長を可変に構成したステレオ光学部材20について、基線長を制御する過程について説明する。基線長の制御を開始すると、まず基線長を基準値に設定する(ST1201)。この過程では、まず上述した磁気センサの出力を参照して、内側枠体21aの位置を一旦ホームポジション(ここでは、基線長が最も短くなる位置)に初期化する。次に、ビデオプロセッサ3は3Dモードで撮像を行って左右の画像を読み込む(ST1202)。ビデオプロセッサ3は、読み込んだ左右の画像からそれぞれ中央近辺の画像領域を切り出して視差を測定する(ST1203)。
視差の測定において、ビデオプロセッサ3は、切り出した画像に対して公知の位置合わせ処理を実行する。位置合わせ処理は、例えば左右の画像のうち一方の略中央部分を占める所定領域を切り出し、切り出した領域画像を平行移動させて、他方の画像から切り出した領域画像との間でいわゆるユークリッド距離を求め(即ち、2つの領域画像間で対応する画素の差分を取得し、これの二乗和を計算する)、両者間のユークリッド距離が最小となる位置をもって位置合わせが完了したものとする。そして、位置合わせ処理が完了した際に一方の画像を平行移動させた移動量(ここでは画素数)が視差として測定される。なお、位置合わせ処理として、SURF(Speed Up Robust Features)特徴量やSIFT(Scale-invariant feature transform)特徴量等を用いた公知の手法を用いても構わない。
次にビデオプロセッサ3は、測定した視差(以降、単に「視差」と呼称する)が予め定められた最大基準値Smaxより大きいか否かを判定する(ST1204)。視差が最大基準値Smaxより大きい場合(ST1204でYes)、ビデオプロセッサ3は、更に現時点の基線長が予め定められた最小基線長Kminよりも大きい場合、上述した超音波モータを駆動して基線長を2%短縮する制御を実行し(ST1205)、処理をST1202に戻す。他方、視差が最大基準値Smax以下である場合(ST1204でNo)、視差が予め定めた最小基準値Sminよりも小さいか否かを判定する(ST1205)。視差が最小基準値Sminよりも小さい場合(ST1206でYes)、ビデオプロセッサ3は、更に現時点の基線長が予め定めた最大基線長Kmaxよりも小さい場合、基線長を2%伸長する制御を実行し(ST120)、その後、処理をST1202に戻す。また、ST1206で視差が最小基準値Smin以上であるときは、基線長を制御することなく処理をST1202に戻す。
図12によれば、内視鏡2を使用する施術者等は、ビデオプロセッサ3に対して視差の最大基準値Smaxと最小基準値Sminとを都度設定すれば、ビデオプロセッサ3は、視差が設定された範囲となるように制御を行うことになり、内視鏡2で観測する対象の遠近にかかわらず、常に適切な視差を確保することが可能となる。
図13は、レンチキュラレンズ32を用いて右画像と左画像とを分離する過程を示す説明図である。上述したように、第1実施形態では偏光素子30(図8参照)を用いて、被写体からの光を左右に分離しているが、図13ではこの変形例としてレンチキュラレンズ32を用いている。
レンチキュラレンズ32は、平凸シリンドリカルレンズをアレイ状に密に配列して構成され、撮像素子17の左画像用画素列17bLおよび右画像用画素列17bRの1組について1つの凸レンズ部分が対応する。即ち、変形例では、撮像素子17の2画素ピッチに対応して凸部を左右方向に周期的に設けたレンチキュラレンズ32を備えている。レンチキュラレンズ32によって、立体瞳右側からの光(右側光路25Rを経由した光(図3、図6等参照))は、右画像用画素列17bRに導かれ、同様に、立体瞳左側のからの光(左側光路25Lを経由した光(図3、図6等参照))は、左画像用画素列17bLに導かれて、それぞれ撮像素子17の撮像面の共通した範囲にイメージサークル17a(図8(a)、(b)参照)が形成される。即ち、3Dモードにおいても、2Dモードと変わらない像高が維持される。そして、レンチキュラレンズ32を用いた場合も、視差を有する左右の画像が右画像と左画像とに分離されて、1つの撮像素子17によって同時に撮像される。
なお、変形例においては、レンチキュラレンズ32によって左右の光を分離することから、上述した偏光素子30(図8(a)〜(c)参照)を用いて左右の光を分離する構成と比較して、ステレオ光学部材20に偏光素子30や1/2λ位相板31(図6参照)を設ける必要はない。このため偏光素子30による光減衰を伴わず、3Dモードにおいて高いSN比の画像を取得することが可能となる。
(第2実施形態)
以下、本発明の第2実施形態について図面を参照しながら説明する。第1実施形態では、ステレオ光学部材20はプリズムで構成され、このプリズムを折り畳んだ状態から90度回転させて3Dモードで撮像する「第1状態」とし、更に90度回転させて2Dモードで撮像する「第2状態」に変位させていた。第2実施形態は、ステレオ光学部材20が「折り畳んだ状態」において、2Dモードで撮像可能に構成したものである。
図14(a)〜(c)は、本発明の第2実施形態に係る内視鏡2において、平面画像を撮影する第3状態を示す説明図である。以降、図14を用いて第3状態について説明する。第2実施形態においても、ステレオ光学部材20は右側光学部材20Rと左側光学部材20Lとで構成され、「折り畳んだ状態」で鏡筒15の前面に配置される。なお、以降の説明を簡単にするために、ステレオ光学部材20の構成については、右側光学部材20Rと左側光学部材20Lとを特に区別することなく説明する。
第2実施形態においては、ステレオ光学部材20は支持枠40と、支持枠40によって支持された第1ミラー41および第2ミラー42で構成される。第1ミラー41は、第1実施形態で説明した第1反射面24Rx1R(24Rx1L)に対応し、また第2ミラー42は、同様に第2反射面24Rx2R(24Rx2L)に対応している(いずれも図6参照)。
図14(b)に示すように、支持枠40に支持された第1ミラー41および第2ミラー42は、支持枠40に対して略45度回動可能に構成されている。更に、第1ミラー41および第2ミラー42は、支持枠40にトーションばねを含むヒンジ部43によって支持され、ヒンジ部43の近傍には積層型圧電素子と拡大変位機構とで構成された変位手段(図示せず)が配置されている。この積層型圧電素子を伸縮させることで、第1ミラー41と第2ミラー42とを回動させることができる。
図14(c)に示すように、第1ミラー41と第2ミラー42とを45度回動した状態では、前方からの光はそのまま鏡筒15に入射され、ステレオ光学部材20を折り畳んだ状態で、2Dモードの撮像が可能となる。なお、この「第3状態」では、2Dモードで撮像する際に、鏡筒15の前面に、第1ミラー41、第2ミラー42、ヒンジ部43が存在して入射光量が若干低下することになる。しかしながら、第1実施形態で2Dモードに対応した「第2状態」では、2Dモードに至る途中で3Dモードに対応した「第1状態」を経由する必要があったが、この第3状態は、ステレオ光学部材20が「折り畳んだ状態」から直接的に変位することが可能であり、迅速に2Dモードで撮像することが可能となる。また先端部の体積が小さいままで2Dモードとして使用することができ、狭い体腔内での内視鏡2の使用勝手がよくなる。
(第3実施形態)
以下、本発明の第3実施形態について図面を参照しながら説明する。図15(a)〜(c)は、本発明の第3実施形態に係る内視鏡2におけるステレオ光学部材20の構成を示す説明図である。第3実施形態においても、ステレオ光学部材20は第1実施形態と同様にプリズムで構成されている。なお、ステレオ光学部材20を変位させる変位機構は第1実施形態と同様であり、ここでの説明は省略する。
図15(a)に示すように、第3実施形態ではステレオ光学部材20の第1反射面24Rx1R(24Rx1L)の面積を第2反射面24Rx2R(24Rx2L)よりも大きく構成している。第1反射面24Rx1R(24Rx1L)の面積の大きさは、結像光学系(鏡筒15に保持されたレンズ群(図5等参照))によって規定される画角に応じて、蹴られの無いように決定する。そして、内視鏡2を前方から見た際に、鏡筒15の開口の内径LP(より厳密には、鏡筒15に含まれるレンズ群の直径)は、相対的に小さく構成された第2反射面24Rx2R(24Rx2L)を開口の内側に含むサイズとされている。そして、第1反射面24Rx1R(24Rx1L)の幅W1は、ここでは押圧部材23の外径と略同一とされている。なお、折り畳んだ際にステレオ光学部材20が押圧部材23および光学部材ホルダ16の内壁と当接しない範囲で、更に第1反射面24Rx1R(24Rx1L)の幅W1を拡大することも可能である。
このように構成することで、ステレオ光学部材20は第2反射面24Rx2R(24Rx2L)から第1反射面24Rx1R(24Rx1L)に向かって断面が拡大するテーパ形状をなし、ステレオ光学部材20によって視野が蹴られることを防止する。これによって、3Dモードにおいて視野角の広い画像を得ることが可能となる。
また、第3実施形態では、図15(a)に示すように、3Dモードの際にステレオ光学部材20を変位、または、ステレオ光学部材20の一部を変形させて上述した「第1状態」としたときに、右側光路25Rと左側光路25Lとが輻輳を生じるように構成されている。また、押圧部材23(図6等参照)を前方に微小量移動させることで、ステレオ光学部材20を、図15(b)に示すような位置に変位させることもできる。これによって輻輳角を任意に調整することができ、施術者等の負担の少ない輻輳角を選択することを可能にし、3Dモードで立体視を長時間にわたって見続けても、施術者等に疲労が少ない内視鏡2を提供することができる。
また、図15(c)に示すように、第3実施形態においても、ステレオ光学部材20は、光学部材ホルダ16の先端において折り畳まれる。このとき、押圧部材23と光学部材ホルダ16とは、ステレオ光学部材20を径方向に外囲した状態となる。
なお、輻輳角の調整を自動化することも可能である。具体的には、図12で説明したフロー図において「基線長」として記載した部分を「輻輳角」とすればよい。即ち、輻輳角の制御においても、3Dモードで撮像された画像から取得した左右の視差が用いられ、視差が目標(コントローラとしてのビデオプロセッサ3(図1参照)で施術者等が設定する)の範囲にあるか否かによって、輻輳角を制御すればよい。
また、輻輳角の調整する他の例として、図14を用いて説明した支持枠40と第1、第2ミラー41、42を備えるステレオ光学部材20を用い、第1ミラー41の傾斜角度を変える、即ちステレオ光学部材20全体として見たときに、その形状を変形させる構成を用いることも可能である。このとき、併せて押圧部材23(図6等参照)を移動させて、ステレオ光学部材20を変位させるようにしてもよい。
以上、本発明を特定の実施形態に基づいて説明したが、これらの実施形態はあくまでも例示であって、本発明はこれらの実施形態によって限定されるものではない。例えば、本発明に係る内視鏡2の挿入部5は、軟性鏡としての用途に限定されず、硬性鏡として用いることもできる。また、第1実施形態では駆動源26によって押圧部材23を前後に移動させることで、ステレオ光学部材20を「折り畳んだ状態」と「第1状態」と「第2状態」との間で変位可能としているが、これを施術者等による手動で行うように構成してもよい。
また、第1実施形態では、左右の光を分離する際に偏光素子30(図8参照)またはレンチキュラレンズ32(図13参照)を用いているが、これらに替えて、第1実施形態で説明した偏光素子30(図6参照)の位置に液晶シャッタを設けて、左右から入射する光を選択可能に構成してもよい。ただし、液晶シャッタを用いた場合は、左右の画像を同時に撮像することはできず、3Dモードを選択した際のフレームレートは2Dモードの1/2となる。その一方で2Dモードと同様の解像度が確保される。また液晶シャッタを用いた場合、2Dモードは液晶シャッタの全領域を光透過状態とすることで実現される。また、第3実施形態で言及した左右の光路に輻輳を生じさせる構成については、第1実施形態においても容易に導入することができる。加えて、折り畳み式の基線長の延長機構は、2眼3D式(即ち、1つの内視鏡2内に2つの撮像素子17を備える構成)の内視鏡にも適用が可能性である。
なお、上記実施形態に示した本発明に係る内視鏡2の各構成要素は、必ずしも全てが必須ではなく、少なくとも本発明の範囲を逸脱しない限りにおいて適宜取捨選択することが可能である。
本発明に係る内視鏡は、一対のステレオ光学部材を筐体から露出した状態とすることで、2つの光路に基づく基線長が筐体の外径以上となるようにしたことで、内視鏡を細径化したような場合であっても、左右の視差を確保して、施術者等が立体視を行うことを可能としたことから、外部から直接観察できない観察対象の内部を撮像する内視鏡に好適に利用することができる。
1 内視鏡システム
2 内視鏡(内視鏡本体)
5 挿入部
12 硬性部
15 鏡筒(結像光学系)
16 光学部材ホルダ(筐体)
17 撮像素子
17a イメージサークル
17b 画素列
17bL 左画像用画素列
17bR 右画像用画素列
17c 横偏光素子
17d 縦偏光素子
20 ステレオ光学部材
20R 右側光学部材
20L 左側光学部材
22 ヒンジ部
22R 右側ヒンジ部
22L 左側ヒンジ部
23 押圧部材
23a 舌片
25R 右側光路
25L 左側光路
26 駆動源
27 付勢部材
30 偏光素子
30R 右側偏光素子
30L 左側偏光素子
31 1/2λ位相板
32 レンチキュラレンズ

Claims (9)

  1. 視差のある2つの光路を形成する一対のステレオ光学部材と、
    前記一対のステレオ光学部材の光路を通る光を共通の領域に結像する1つの結像光学系と、
    前記結像光学系の結像位置に設けられた少なくとも1つの撮像素子と、
    前記結像光学系および前記撮像素子を収納するとともに、前記一対のステレオ光学部材を、折り畳んだ状態と露出した状態との間で変位可能に支持する筐体と、を備え、
    前記一対のステレオ光学部材を前記筐体から露出した状態とすることで、前記2つの光路に基づく基線長が前記筐体の外径以上となるようにしたことを特徴とする内視鏡。
  2. 前記一対のステレオ光学部材は、前記筐体の先端に回動可能に設けられた右側光学部材と左側光学部材とで構成され、
    前記一対のステレオ光学部材を前記折り畳んだ状態から、前記右側光学部材および前記左側光学部材の先端が互いに離間する方向に回動させることで、前記一対のステレオ光学部材は前記筐体から露出して、前記2つの光路に基づく基線長が前記筐体の外径以上となる第1状態に変位し、
    前記一対のステレオ光学部材を前記第1状態から更に回動させることで、前記一対のステレオ光学部材が光路形成に関与しない第2状態に変位することを特徴とする請求項1に記載の内視鏡。
  3. 前記一対のステレオ光学部材は、前記筐体の先端において、前記筐体に折り畳んだ状態から前記第1状態に至る間に略90度回転し、前記第1状態から第2状態に至る間に更に略90度回転することを特徴とする請求項2に記載の内視鏡。
  4. 前記筐体の外周面に沿って設けられ、前記結像光学系の光軸方向に移動可能に構成された押圧部材を備え、
    前記押圧部材を前記一対のステレオ光学部材に当接させ、前記押圧部材を前記光軸方向に移動させることで、前記一対のステレオ光学部材を、前記折り畳んだ状態と前記第1状態と前記第2状態との間で変位させることを特徴とする請求項2または請求項3に記載の内視鏡。
  5. 前記一対のステレオ光学部材を変位、または、前記一対のステレオ光学部材の一部を変形させて、前記2つの光路に輻輳を生じさせることを特徴とする請求項2から請求項4のいずれか1項に記載の内視鏡。
  6. 前記第1状態において、前記撮像素子は右画像および左画像を撮像し、
    前記第2状態において、前記撮像素子は平面画像を撮像することを特徴とする請求項2から請求項5のいずれか1項に記載の内視鏡。
  7. 前記一対のステレオ光学部材のそれぞれは、被写体からの光の入射側に第1反射面と、前記被写体からの光の出射側に第2反射面と、を備え、
    前記第1反射面の面積を前記第2反射面の面積より大きく構成したことを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の内視鏡。
  8. 前記右側光学部材および前記左側光学部材は、互いに偏光方向が90度異なる第1、第2偏光素子のいずれかを備え、
    前記撮像素子は、その結像面の前面に、前記撮像素子の各画素列に対応して交互に設けられ、前記第1、第2偏光素子の偏光方向に対応して互いに偏光方向が90度異なる第3、第4偏光素子を備え、
    前記撮像素子は、前記第1〜第4偏光素子によって分離された右画像と左画像とを同時に撮像することを特徴とする請求項2から請求項7のいずれか1項に記載の内視鏡。
  9. 前記撮像素子は、その結像面の前面に、前記撮像素子の2画素ピッチに対応したレンチキュラレンズを備え、
    前記撮像素子は、前記右側光学部材と前記左側光学部材とによって導かれて、前記レンチキュラレンズによって分離された右画像と左画像とを同時に撮像することを特徴とする請求項2から請求項7のいずれか1項に記載の内視鏡。
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