JP2015057104A - 弾性部分を有する椎間インプラント - Google Patents

Abstract

【課題】脊柱における損傷を受けた椎体の代替物として差し込まれるインプラント1であって、隣接する一方の椎体に当接する第1の接触面9と、隣接する他方の椎体に当接する第2の接触面10とを備えるものにおいて、椎骨終板への負荷を減少させる。【解決手段】筒状の第１のインプラント部3と、これに嵌め込まれる筒状の第２のインプラント部4と、第１のインプラント部3に備え付けられる螺合リング7とからなり、螺合リング7を回転させることでインプラント１の全長を変えることができる。第１のインプラント部3の一部には、第1の弾性圧縮可能部分が、一連の半径方向平面ごとに一対の長孔13が配置され、隣接する半径方向平面とで長孔13の配置が90?ずれることにより設けられる。椎体との接触面9,10には、中実弾性体からなる第２の弾性圧縮可能部分11が、均等に分散されて、末端アダプタプレート15に設けられ、特には層板12を有する。【選択図】図１８

Description

本発明は、隣接椎骨の一方に当接する第１の接触面と、もう一方の隣接椎体に当接する第２の接触面とを有するインプラント部品を備えた、脊柱の椎骨間に据え付けられるインプラントに関する。

この種のインプラントは、本発明によるインプラントに可能な基本構造が記載されている独国特許出願公開第４４２３２５７号［米国特許第５，５７１，１９２号］明細書から公知である。同様に、欧州特許出願公開第１７２１５８３号［米国特許第６，７５２，８３２号］明細書には、本発明の開始点として好適な構造を有するインプラントが開示されている。

脊柱の椎骨間に挿入される公知のインプラントの場合、従来技術からこれまで知られている実施態様には、椎骨終板の過負荷が発生して破壊に至り、インプラントに隣接する椎骨も損傷、さらには破壊、しうるという問題がある。

したがって本発明の目的は、椎骨終板への負担が減るような上記種類のインプラントを提供することである。

この目的は、本発明によると、インプラント部品によって形成される力伝達連鎖において隣接椎骨の支承面間に弾性的に圧縮可能な部分が少なくとも１つ配置される上記種類のインプラントによって達成される。

この設計により、弾性圧縮可能部分によってインプラントを支承面の向きに適合化させることができるため、負荷が隣接椎骨の椎骨終板の支承面に均等に分散されるという利点がもたらされる。これにより、接触面が拡大され、特に片寄った線接触が回避されるので、椎骨終板の局部的陥没が発生せず、ひいては裂開も発生しない。これにより、隣接椎骨に当接するインプラント部品の改良された支承部は、弾性圧縮可能部分においてインプラント部品が屈曲する構成をさらに含む。すなわち、原理上、椎間板の機能を引き継いで負荷のピークまたは衝撃を和らげるピボットが提供される。

本発明の範囲内においては、少なくとも１つの弾性圧縮可能部分が第１の接触面および／または第２の接触面にあてがわれることが好ましい。その理由は、インプラント部品の末端部分に力が均等に分散されるからである。すなわち、原理上、本発明による特徴によって既知のインプラント部品を、その基本構成を変えることなく、補完し、さらに発展させることができるからである。

したがって、弾性をそれ自体の特性として有する中実弾性体から弾性圧縮可能部分を形成することが可能である。中実弾性体に層板を形成すると、層板の数、配置、および設計によって中実弾性体の弾性を変化させるためのパラメータがさらに提供されることから、その挙動に影響を及ぼすことができる。

あるいは、弾性圧縮可能部分自体を弾性にすることも可能である。すなわち、材料自体に弾性を持たせる必要がなくなるため、材料の選択範囲が制限されない。材料自体は比較的硬質な材料から成る好適な弾性構成の一例として、金属製の板ばねが挙げられる。

本発明の範囲内においては、弾性圧縮可能部分のいくつかが第１の接触面および／または第２の接触面にわたって均等に分散されて設けられることが極めて好ましい。この設計によると、負荷の均等分散が特に簡単な方法で実現されると同時に、各弾性圧縮可能部分をその接触面で個別に変形させることができるため、椎骨終板の局部的に生じる形成に合わせることが可能である。

さらに、本発明の範囲内においては、インプラント部品が筒状スリーブとして形成され、その壁に弾性圧縮可能部分が組み込まれることが好ましい。この設計によると、弾性圧縮可能部分をインプラント部品の末端に位置付ける必要がないため、当然のことながら、末端接触面の解放もさらに可能であり、インプラントの所望の弾性をその縦延伸方向に何れのレベルでももたらすことができる。したがって、弾性圧縮可能部分をスリーブの壁のハニカム構造にすることも、あるいは複数の長孔を横にずらした配置でスリーブの壁に形成することも可能である。これにより、直径方向に対向する２つの長孔をスリーブの半径方向平面に、隣接する各半径方向平面の長孔からスリーブの縦軸に対して９０°ずらして、形成すると、スリーブの壁に形成された長孔によって所望の弾性が得られることが示唆される。これにより、コイルばねを壁に形成するという別の可能性が与えられるが、これは一部構成のインプラントでは作成が複雑であり、この場合は多部構成の実施態様が相応しいと思われる。

各患者に対するインプラントの個別調整を可能にするために、第１および第２の接触面を形成する末端アダプタプレートをスリーブ上に設ける。アダプタプレートによって弾性圧縮可能部分を形成する場合は、アダプタプレートの設計および材料特性を適切に選択することによって個別調整が可能になる。

アダプタプレートはスリーブとは別個に製作できるので、スリーブの縦方向に延在する密度勾配をアダプタプレートに付与することによって所望の弾性を実現することも可能である。

別の代替実施態様は、隣接椎骨への当接用の、可撓性パッド内に突き出るピンをアダプタプレートが担持することによって、椎骨終板への一様な当接を可能にすることを特徴とする。

末端プレートをスリーブにヒンジ連結するときに、脊柱の自然な湾曲を考慮に入れることが可能である。

本発明の範囲内においては、延長オプションを作成できるように、すなわちインプラントを短い構成で２つの椎骨間にある既存の隙間に簡単に挿入でき、その後、手術中に延長できるように、インプラント部品が少なくとも１つの第１のインプラント部と第２のインプラント部とを有する多部構成で形成され、これらの部がそれぞれの縦軸に沿って相互に調節可能であることが特に好ましい。これにより、縦軸方向の調節は、第１のインプラント部と第２のインプラント部とを延長ねじ部によって互いに接続するという極めて単純な方法によって可能になる。延長ねじ部の作製については、上記の同じ出願者の印刷物を参考にすることができる。

次に、図面に示されている例示的実施形態に基づき本発明を詳細に説明する。

弾性圧縮可能部分がスリーブの壁にハニカム構造で形成された、本発明によるインプラントを一部断面で示す側面図である。 弾性的にコンパクトな材料から成る弾性圧縮可能部分がスリーブの壁に組み込まれた別の実施形態の、図１に似た図である。 複数の長孔がスリーブの壁に横にずれた配置で形成された実施形態の、図１に似た図である。 コイルばねがスリーブの壁に組み込まれた実施形態の、図１に似た図である。 ピボットがスリーブの壁に組み込まれ、復帰ばねを有する実施形態の、図１に似た図である。 複数の椎骨にわたって係合するブラケット１８が接続された、図２の実施形態の図である。 層板が表面に組み込まれたアダプタプレートの平面図である。 図７の線ＶＩＩＩ−ＶＩＩＩの断面図である。 図７のアダプタプレートの側面図である。 椎体の支承面に接触している、密度勾配がスリーブの縦方向に延在するアダプタプレートの線図である。 別のアダプタプレートの、図７に似た図である。 図１１のアダプタプレートの側面図である。 アダプタプレートのさらに別の実施形態の、図７に似た図である。 図１３のアダプタプレートの側面図である。 可撓性パッド内に支持されるピンを有する、さらに別の実施形態のアダプタプレートである。 図１５のアダプタプレートの縦断面図である。 上側シェルと下側シェルとを備え、上側シェルが層板構造を有する、二部構成のアダプタプレートの縦断面図である。 スリーブの壁に横にずれた配置で形成された複数の長孔と、第１の接触面および第２の接触面で弾性的に圧縮可能な弾性圧縮可能部分とを有する、本発明によるインプラントの側面図である。

図面に示されているインプラント１は、図１０の図面にのみ示されている脊柱の椎骨２の間に据え付けられるようになっている。このインプラント１は、椎骨２を延長するためにインプラント１の全長を変えられるように、共通の縦軸５に沿って互いに対して調節可能な第１のインプラント部３と第２のインプラント部４とを有する。第１のインプラント部３および第２のインプラント部４は筒状スリーブ６として形成され、第１のインプラント部３は第２のインプラント部４を取り囲む。第１のインプラント部３の回転可能な螺合リング７の内面には、第２のインプラント部４のねじ部に係合するねじ部が設けられている。螺合リング７の外面には、かさ歯車またはクラウン歯車の歯が８に設けられており、手術器具をこの歯に係合させてかさ歯車またはクラウン歯車を回転させることによってインプラントの全長を変えることができる。

あるいは、インプラント１に２つの末端部と１つの中心部とを設け、後者を反対側のねじ部によってインプラントの末端部に接続することも可能である。例示的実施形態を説明するために何れの図面にも少なくとも２つのインプラント部３および４から成るインプラント１が示されているが、原理上、本発明は、インプラント部が１つだけのインプラント１にすることもできる。ただし、この場合は延長の可能性がなくなる。

この一部または多部のインプラント部３および４は、隣接椎骨２の一方に当接する第１の接触面９ともう一方の隣接椎体に当接する第２の接触面１０とを有し、インプラント部３および４によって形成される力伝達連鎖における隣接椎骨２の支承面間で少なくとも１つの部分１１が弾性的に圧縮可能であり、この部分は図１８に図示の実施形態において、第１の接触面９ばかりでなく、第２の接触面１０にも数回設けられる。

したがって、弾性圧縮可能部分１１は、層板１２を有する弾性的にコンパクトな材料１５から形成することも可能である。弾性圧縮可能部分１１を弾性構成で設けることも可能である（図１８）。図１８は、さらに弾性圧縮可能部分１１が筒状スリーブ６の壁に組み込まれていることも示す。図１８は、複数の長孔１３を横にずらした配置、すなわち、直径方向に対向する２つの長孔１３がスリーブ６の半径方向平面に、隣接する半径方向平面の長孔１３から縦軸に対して９０°ずらして形成される配置、をさらに示す。代わりに、図１は、スリーブ６の壁のハニカム構造の一実施形態を示す。図４は、コイルばね１４が組み込まれた一例示的実施形態を示す。

さらに、第１の接触面９および第２の接触面１０を形成する末端アダプタプレート１５をスリーブ６にあてがうことができることを指摘すべきである。アダプタプレート１５は弾性圧縮可能部分１１を形成するためにも使用可能であり、たとえば、スリーブ６（図１０）の縦方向に延在する密度勾配を弾性圧縮可能部分１１に設けることができる。

図１５および図１６は、アダプタプレート１５が隣接椎骨２への当接用のピン１６をそれぞれ担持し、これらのピンが可撓性パッド１７内に支持される実施形態を示す。

Claims (4)

1. 脊柱の隣接椎骨（２）間に据え付けられるインプラントであって、
   共通の縦軸（５）に沿って互いに対して調節可能な、筒状スリーブ（６）として形成される第１のインプラント部（３）と第２のインプラント部（４）とを有し、第１のインプラント部（３）は第２のインプラント部（４）を取り囲み、
   第１のインプラント部（３）の回転可能な螺合リング（７）の内面には、第２のインプラント部（４）のねじ部に係合するねじ部が設けられ、螺合リング（７）の外面には、かさ歯車またはクラウン歯車の歯が設けられており、手術器具をこの歯に係合させてかさ歯車またはクラウン歯車を回転させることによってインプラント（１）の全長を変えることができ、
   前記第１のインプラント部（３）および第２のインプラント部（４）は、それぞれ、前記隣接椎骨（２）の一方に当接する第１の接触面（９）と、もう一方の隣接椎骨（２）に当接する第２の接触面（１０）を有し、
   直径方向に対向する２つの長孔（１３）が前記筒状スリーブ（６）の半径方向平面に形成され、前記長孔（１３）は前記隣接する半径方向平面の前記長孔（１３）から前記筒状スリーブ（６）の縦軸（５）に対して９０°ずれている
   ことを特徴とするインプラント。
2. 前記第１の接触面（９）および／または前記第２の接触面（１０）にわたって、弾性圧縮可能部分（１１）が均等に分散されて設けられることを特徴とする、請求項１に記載のインプラント。
3. 第１の接触面（９）および第２の接触面（１０）を形成する末端アダプタプレート（１５）を筒状スリーブ（６）にあてがったことを特徴とする、請求項１に記載のインプラント。
4. 前記末端アダプタプレート（１５）が前記筒状スリーブ（６）上に枢支されたことを特徴とする、請求項３に記載のインプラント。

Images