以下、図面を参照しながら紙葉類処理システム(紙幣処理システム)の種々の実施形態について、詳細に説明する。
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係る紙葉類処理システム1のシステム構成を概略的に示す図である。なお、第1実施形態では、紙葉類処理システム1の例として紙幣を処理する例を説明する。
図1に示すように、紙葉類処理システム1は、紙幣処理装置2−1〜2−n(nは1以上の整数)、集計サーバ3、及び保守サーバ4を備えている。なお、紙幣処理装置2−1〜2−nのうち、特定しない場合は、単に紙幣処理装置2という。また、紙幣処理装置2と集計サーバ3とは、ネットワーク5を介して接続されている。さらに、紙幣処理装置2と保守サーバ4とは、ネットワーク6を介して接続されている。
なお、図1に示した例では、紙幣処理装置2が複数の例を示しているが、紙幣処理装置2は、1つ以上であればよい。また、ネットワーク5及びネットワーク6は、有線ネットワークであっても無線ネットワークであってもよい。
ネットワーク5は、紙幣処理装置2と集計サーバ3とを接続するネットワークである。紙幣処理装置2と集計サーバ3とは、例えば紙幣処理装置2が利用される部屋または建物内に施設されている。ネットワーク5は、例えば、TCP/IPプロトコルによるイントラネット(Intranet)である。
ネットワーク6は、紙幣処理装置2と保守サーバ4とを接続するネットワークである。紙幣処理装置2と保守サーバ4とは、異なる建物内に施設されている。ネットワーク6は、例えば、TCP/IPプロトコルによるインターネット(Internet)である。
紙幣処理装置2は、装置に投入された紙幣の判別及び計数を行う。なお、判別処理等については後述する。紙幣処理装置2は、計数した金額を示す計数金額情報を、ネットワーク5を介して集計サーバ3に送信する。
また、紙幣処理装置2は、電源がオン状態になったとき、自装置を識別する識別情報を、ネットワーク6を介して保守サーバ4に送信する。なお、識別情報は、例えば、紙幣処理装置2が備える通信ポートのMACアドレス(Media Access Control address)、装置の製造番号、モジュール毎の製造番号、モジュール毎に予め割り当てられている番号等である。また、識別情報には、紙幣処理装置2の型番を示す情報が含まれていてもよい。
また、紙幣処理装置2は、ネットワーク6を介して保守サーバ4が送信した制御指示を受信し、受信した制御指示に応じて自装置を制御する。なお、制御指示には、例えば、電源をオフ状態にする指示、ネットワーク5との接続されている通信ポートを遮断する指示、使用回数または使用時間を制限する指示等が含まれている。
集計サーバ3は、ネットワーク5を介して紙幣処理装置2が送信した計数金額情報を受信する。集計サーバ3は、利用者によって入力された金額を示す入力金額情報と、受信した計数金額情報とを比較し、比較した結果を報知する。例えば、集計サーバ3が表示部を備えている場合、集計サーバ3は、比較した結果を示す情報を表示部に表示させる。または、集計サーバ3がプリンタを備えている場合、集計サーバ3は、比較した結果を示す情報をプリンタに印刷させる。
保守サーバ4は、ネットワーク6を介して紙幣処理装置2が送信した識別情報を取得し、取得した識別情報を、保守サーバ4が備える記憶部に記憶させる。なお、紙幣処理装置2の識別情報は、保守サーバ4の管理者または利用者が入力して、記憶部に記憶させるようにしてもよい。または、記憶部には、予め複数の紙幣処理装置2に対応する識別情報が記憶されていてもよい。
保守サーバ4は、受信した識別情報と記憶部に記憶されている情報とに基づいて、受信した識別情報に対応する紙幣処理装置2の使用状態を判別する。なお、紙幣処理装置2の使用状態とは、例えば、紙幣処理装置2の使用が許可されている国や地域で使用されている状態、紙幣処理装置2の使用が許可されていない国や地域で使用されている状態、紙幣処理装置2の保守サービス契約が結ばれていて使用されている状態、保守サービス契約が結ばれているが契約が更新されずに使用されている状態、保守サービス契約が結ばれていない状態等である。なお、保守サービスとは、例えば、紙幣処理装置2に対応する最新のプログラムの提供、稼働時間に応じたメンテナンスを促す情報の提供等を行うサービスである。
保守サーバ4は、保守サービス契約が行われているか否かを示す保守情報を、識別情報と関連付けて記憶部に記憶させる。保守サーバ4は、識別情報を受信した場合、受信した識別情報に対応する紙幣処理装置2に対して、保守サービス契約が結ばれているか否かを記憶部に記憶されている情報に基づいて判別する。そして、保守サーバ4は、判別した結果に基づいて、紙幣処理装置2の使用状態を判別する。
保守サーバ4は、判別した使用状態に応じて紙幣処理装置2の動作を制限するための制限レベルを決定し、決定した制限レベルに紙幣処理装置2を制御する制御指示を生成する。そして、保守サーバ4は、ネットワーク6を介して、生成した制御指示を紙幣処理装置2に送信する。
なお、制限レベルとは、紙幣処理装置2の動作を制限する度合いであり、例えば、制限レベルが高いほど制限が強く、制限レベルが低いほど制限が弱い。
例えば、制限レベルが1〜4の4段階の場合、例えば、保守サービス契約が結ばれていても、契約が更新されていず、契約が切れてから経過した時間が所定の時間以内(例えば、一週間)である使用状態のとき、保守サーバ4は、最も制限レベルが低い制限レベル1であると判別する。そして、保守サーバ4は、制限レベル1に対応する制御指示として、保守サービス契約を結ぶことを促す報知を行う制御指示を送信する。
また、保守サーバ4は、例えば、使用が許可されていない国や地域で紙幣処理装置2が使用されている使用状態のとき、最も制限レベルが高い制限レベル4であると判別する。そして、保守サーバ4は、制限レベル4に対応する制御指示として、電源をオフ状態にする制御指示を送信する。
図2は、第1実施形態に係る紙葉類処理システム1の保守サーバ4を概略的に示すブロック図である。図2に示すように、保守サーバ4は、通信ポート401、保守制御部402、及び記憶部403を備えている。
通信ポート401は、ネットワーク6を介して紙幣処理装置2から受信した情報を、保守制御部402に出力する。なお、紙幣処理装置2から受信した情報には、前述したように装置の識別情報、装置の使用状態に関する使用状態情報等が含まれている。通信ポート401は、保守制御部402が出力した制御指示を、ネットワーク6を介して紙幣処理装置2に送信する。
保守制御部402は、通信ポート401から入力された情報を記憶部403に記憶させる。保守制御部402は、受信した情報の中から識別情報を抽出し、抽出した識別情報と記憶部403に記憶されている情報とに基づいて、受信した識別情報に対応する紙幣処理装置2が保守サービス契約を結んでいるか否かを判別する。
また、保守制御部402は、受信した情報に含まれる使用状態情報を抽出する。保守制御部402は、抽出した使用状態情報、及び保守サービス契約を結んでいるか否かを判別した結果に基づいて、制御指示を生成する。保守制御部402は、生成した制御指示を通信ポート401に出力する。
なお、保守制御部402は、例えば紙幣処理装置2へのログインのときに利用者によって入力されたユーザ名をネットワーク6と通信ポート401とを介して取得し、取得したユーザ名に基づいてオペレータ(操作員)を判別するようにしてもよい。そして、保守制御部402は、判別したユーザ名毎に、受信した情報に基づいてエラー率を算出するようにしてもよい。
記憶部403は、図3に示すように、識別情報、装置の型番を示す情報、保守サービス契約に関する情報(保守情報)、プログラムのバージョンを示す情報、稼働時間を示す情報、処理枚数を示す情報、装置の処理結果を示す情報、エラー情報、操作員毎の生産性に関する情報、顧客の生産性に関する情報等が関連付けられた情報を記憶する。また、記憶部403には、予め装置の型番毎に、最新のアプリケーションのバージョンを示す情報が記憶されている。図3は、第1実施形態に係る紙葉類処理システム1の記憶部403に記憶される情報の一例を説明する図である。
なお、記憶部403に記憶される情報は、装置の管理者や操作員によって入力された情報であってもよい。または、予め作成された情報が、記憶部に予め記憶されていてもよい。
識別情報は、紙幣処理装置2が送信した装置を識別する情報である。
装置の型番を示す情報は、紙幣処理装置2の型番、紙幣処理装置2が備えるモジュールの型番等を示す情報である。
保守サービス契約に関する情報は、紙幣処理装置2の保守サービス契約が結ばれている(契約有り)ことを示す情報、結ばれていない(契約無し)ことを示す情報、契約が結ばれているが更新されていない(契約更新無し)ことを示す情報を含む。
プログラムのバージョンを示す情報は、紙幣処理装置2に組み込まれているプログラムのバージョンを示す情報である。なお、プログラムのバージョンは、モジュール毎にプログラムが組み込まれている場合、モジュール毎のバージョンを示す情報であってもよい。
稼働時間を示す情報は、紙幣処理装置2の合計稼働時間を示す情報である。なお、稼働時間は、日付毎の使用された稼働時間であってもよい。また、紙幣処理装置2に対する定期点検が行われた場合、この稼働時間は、メンテナンスを行った作業者によって0時間にリセットされてもよい。
処理枚数を示す情報は、紙幣処理装置2が処理した紙幣の合計枚数を示す情報である。なお、処理枚数は、日付毎の処理枚数であってもよい。
処理結果を示す情報は、例えば、日付毎の集計された金額を示す情報である。
エラー情報は、紙幣処理装置2の稼働中に発生したエラー内容を示す情報である。エラー情報は、例えば、発生したエラー内容と、発生した日時とか関連付けられた情報である。
操作員毎の生産性に関する情報は、紙幣処理装置2を操作した操作員毎の生産性を示す情報である。操作員毎の生産性に関する情報は、例えば、紙幣処理装置2を操作した操作員毎の装置のエラー率を示す値である。なお、操作員毎のエラー情報は、紙幣処理装置2が生成し、生成したエラー情報を、ネットワーク6を介して保守サーバ4に送信するようにしてもよい。
顧客の生産性に関する情報は、紙幣処理装置2の生産性を示す情報である。顧客の生産性に関する情報は、例えば、紙幣処理装置2の稼働時間内に発生したエラー率の平均値である。
図3に示すように、例えば、識別情報が「X1」の情報には、以下のような情報が関連付けられて記憶されている。関連付けて記憶されている情報は各々、装置の型番を示す情報が「A01」、保守サービス契約に関する情報が「契約有り」、プログラムのバージョンを示す情報が「2.10」、装置の稼働時間を示す情報が「100時間」、処理枚数を示す情報が「400万枚」、装置の処理結果を示す情報が「2012.12.1 集計金額Y1、…」、エラー情報が「2012.12.1 リジェクト券15枚、…」、操作員毎の生産性に関する情報が「操作員A1 エラー率0.1%、操作員A2 エラー率0.2%、…」、顧客の生産性に関する情報が「平均エラー率0.12%」である。
保守制御部402は、このように記憶部403に識別情報と関連付けられて記憶されている情報に基づいて、例えば、紙幣処理装置2への定期メンテナンス、部品の検査を促す情報を生成して、通信ポート401とネットワーク6を介して生成した情報を制御指示に含めて紙幣処理装置2に送信する。
図4は、第1実施形態に係る紙葉類処理システム1の保守サーバ4から紙幣処理装置2に送信される制御指示の一例を説明する図である。
図4に示すように、項目が1の制御指示は、「装置に合わせたプログラムのバージョン情報を送信」する指示である。項目が2の制御指示は、「装置に合わせたプログラムを送信」する指示である。また、項目が3の制御指示は、「装置に対する機能制限指示を送信」する指示である。なお、保守サーバ4が、各項目を制御指示として選択する処理については後述する。
次に、第1実施形態に係る紙幣処理装置2について説明する。
図5は、第1実施形態に係る紙葉類処理システム1における紙幣処理装置2の全体構成を概略的に示す断面図、図6は、第1実施形態に係る紙葉類処理システム1における紙幣処理装置2のメインモジュール(含む鑑査モジュール)、装填モジュール、施封モジュールを拡大して示す断面図である。
図5に示すように、紙葉類として紙幣を処理する紙幣処理装置2は、メインモジュール10、装填モジュール30、3つの施封モジュール60a、60b、60cを備え、これらのモジュールは、この順で一列に並んで配置され、互いに電気的かつ機械的に連結されている。メインモジュール10には、このメインモジュールおよび装置全体の動作を制御する主制御部12が設けられている。
図5および図7に示すように、主制御部12は、メインモジュール10内の制御ボードに設けられている。また、図7に示すように、主制御部12は、CPU12a、メモリ12b、第1通信ポート12c、及び第2通信ポート12dを備えている。図7は、第1実施形態に係る紙葉類処理システム1における紙幣処理装置2を概略的に示すブロック図である。
第1通信ポート12cは、ネットワーク5を介して集計サーバ3と接続されている。第2通信ポート12cは、ネットワーク5を介して集計サーバ3と情報の送受信をCPU12aの制御に応じて行う。
第2通信ポート12dは、ネットワーク6を介して保守サーバ4の通信ポート401と接続されている。第2通信ポート12dは、ネットワーク6を介して保守サーバ4と情報の送受信をCPU12aの制御に応じて行う。
メモリ12bは、種々のデータ、制御プログラム、管理情報等を格納する。種々のデータとは、後述のオペレータID、日時、シリアル番号、アサイン情報、銀行のロゴ、管理者サインイメージ、各国言語のフォント等の結束帯に印字可能な印字情報、紙葉類の複数段の処理速度等である。また、種々のデータとは、紙幣処理装置2の識別情報、及び装置の使用状態情報等である。なお、使用状態情報とは、紙幣処理装置2のプログラムのバージョン情報、紙幣処理装置2の稼働時間を示す情報、紙幣処理装置2が処理した合計の処理枚数を示す情報、エラー情報、操作員毎の生産性に関する情報、顧客毎の生産性に関する情報等である。また、メモリ12bには、予め定められたネットワークのアドレスが記憶されている。予め定められたアドレスとは、例えばIPアドレス、またはURL(Uniform Resource Locator;ユニフォームリソースロケータ)で記述されたインターネットのアドレスである。また、このアドレスは、保守サーバ4のアドレスである。
CPU12aは、各モジュールの動作を制御するとともに動作状態の効率等を算出する。CPU12aは、第2通信ポート12d及びネットワーク6を介してメモリ12bに記憶されている識別情報及び装置の使用状態情報を、保守サーバ4に送信する。CPU12aは、第2通信ポート12d及びネットワーク6を介して保守サーバ4が送信した制御指示を受信する。CPU12aは、受信した制御指示に応じて、紙幣処理装置2の動作を制御する。紙幣処理装置2の動作とは、各モジュールの動作、第1通信ポート12cの通信動作、主制御部12と各モジュールとの接続動作等である。例えば、制御指示が「装置に合わせたプログラムのバージョン情報」の場合、CPU12aは、受信した制御指示を表す情報をモニタ15上に表示させる。また、制御指示が「装置に対する機能制限指示」の場合、CPU12aは、受信した制御情報に応じて、例えば、第1通信ポート12cの通信を遮断するように制御する。なお、各モジュールが第1通信ポート12c及びネットワーク5を介して接続されている場合、CPU12aは、この制御指示に応じて、主制御部12と各モジュールとの接続とが遮断されるように制御してもよい。
主制御部12には、装置に種々の情報を入力する操作部17、および入力情報および装置の動作状態、処理状態等を表示する表示装置としてのモニタ15が接続されている。なお、操作部17とモニタ15とがタッチパネルとして一体に形成されていてもよい。装填モジュール30および3つの施封モジュール60a、60b、60cは、それぞれ各モジュールの動作を制御する副制御部31a、61aを有し、これらの副制御部は、図示しないインターフェースおよびケーブルを介してメインモジュール10の主制御部12の第1通信ポート12cまたは図示しないインターフェースに、例えばLAN(Local Area Network;ローカル・エリア・ネットワーク)接続されている。主制御部12は、ネットワーク5を介して集計サーバ3に接続され、集計サーバ3との間で情報の送受信、情報整理が行われる。また、主制御部12は、ネットワーク6を介して保守サーバ4に接続され、保守サーバ4との間で情報の送受信、情報整理が行われる。
主制御部12に接続された操作部17から操作員の操作によって、入金業務、整理業務などの取引方法の設定、装填庫への装填処理、装填庫内の紙幣の鑑査処理、処理した紙幣Pを収納する集積庫の設定、施封処理の設定、紙幣の判別レベルである正損レベル(正損度)設定など処理装置の種々の動作設定が行われる。
また、主制御部12は、後述する鑑査モジュール18の鑑査装置18aからの処理情報に応じて、単位時間の処理効率、複数日のそれぞれの処理効率、オペレータIDごとの処理効率、トータル処理枚数、トータル稼動時間を含む管理情報を算出し、メモリ12bに格納するとともに、モニタ15に表示する。
図5および図6に示すように、メインモジュール10は、多数枚の紙幣Pが積層状態で載置される供給部11と、この供給部11から紙幣Pを1枚ずつ取り出す取り出し機構14と、取り出し機構14によって取り出された紙幣Pを搬送する搬送路16とを有している。搬送路16には、複数組の図示しない無端状の搬送ベルトが搬送路を挟むように延設されている。取出された紙幣Pは、搬送ベルトに挟持されて搬送される。
図6、図8および図9に示すように、供給部11は、鉛直方向に対して角度θだけ傾斜して延びる支持面11aと、この支持面11aの下端から、支持面11aにほぼ直交方向に延びる載置面11bと、これら支持面11aおよび載置面11bの両側縁に沿って立設された一対のガイド壁11cと、を有している。支持面11aと載置面11bとの境界部には、紙幣Pを装置内に取込むための取出し口11eが形成されている。この供給部11は、メインモジュール10の装置本体の一端側に設けられ、更に、供給部11の下部、つまり、載置面11bは、装置本体の下端近傍に位置している。図8は、第1実施形態に係る紙葉類処理システム1における紙幣処理装置2の供給部11を示す斜視図である。図9は、第1実施形態に係る紙葉類処理システム1における紙幣処理装置2の供給部11の断面図である。
供給部11には、複数枚、例えば、2000枚以上の紙幣Pを積層状態で載置することができる。積層紙幣Pは、その最下部の紙幣が載置面11b上に載置され、かつ、例えば、紙幣の長辺側の側縁が支持面11a上に載置された状態で、支持面に沿って傾斜して供給部11に搭載される。積層紙幣Pは、取出し機構14により、最下部の紙幣Pから順に、一枚ずつ、取出し口11eを通して装置内に取り込まれる。
支持面11aの傾斜角度θは、25ないし75度の範囲に設定され、例えば、30ないし40度に設定されている。なお、支持面11aは、装置本体に対して回動可能に構成し、その傾斜角度θを調整可能としてもよい。
図10Aは、鉛直方向に対して支持面11aが角度θ1=20度、傾斜している場合を示し、図10Bは、支持面11aが角度θ2=30度、傾斜している場合を示している。支持面11aの傾斜角度を大きくすることで、紙幣Pの取出し角度を寝かせることで、載置面11bに対する集積紙幣Pの加重が減少し(f1>f2)、積層方向に沿った紙幣P間の摩擦が低減する。これにより、供給部11に2000枚程度の紙幣Pを積層配置した場合でも、紙幣Pを安定して取出すことが可能となる。
一方、支持面11aの傾斜角度を大きくし、紙幣Pの取出し角度を寝かせると、支持面11aに対する紙幣Pの加重が増大し(F1<F2)、紙幣Pの側縁と支持面11aとの間の摩擦が増大する。この程度の加重の増加では、紙幣Pの取出しに影響することは少ない。しかし、本実施形態では、より摩擦を低減するため、図8および図9に示すように、支持面11a上に一対のリブ11dが突設されている。これらのリブ11dは、支持面11aの長手方向に沿って、すなわち、紙幣Pの積層方向に沿って、互いに平行に延びている。供給部11に載置された積層紙幣Pの側縁は、一対のリブ11d上に載置される。そのため、紙幣Pと支持面11aとの接触面積が小さくなり、これらの間の摩擦を低減することができる。これにより、積層紙幣Pは、その最下部の紙幣Pから順に取出されると、順じ円滑に載置面11b側に下降する。
図6に示すように、供給部11は、積層紙幣Pを取出し側、つまり、載置面11bに向かって移動させるバックアッププレート21を備えている。バックアッププレート21は、支持面11aに収納可能にかつ支持面に沿って移動可能に設けられている。バックアッププレート21は、支持面11aに対して回動可能に支持されている。通常、例えば、2000枚程度の紙幣Pが供給部11に載置されている場合、バックアッププレート21は、支持面11aとほぼ面一となる位置に回動され、ねじりばね等によってその位置に保持されている。紙幣Pの取出しが進み、枚数が減少してくると、例えば、800枚程度に減少してくると、バックアッププレート21は、支持面11aから直角に起立する位置に回動され、以後、積層紙幣Pの最上段に当接し、積層紙幣Pとともに取出し側に移動する。これにより、バックアッププレート21は積層紙幣Pを取出し側に移動させることができ、積層紙幣Pの枚数が少なくなった状態でも、紙幣の倒れ等を防止し、安定して取出し位置に移動させることができる。
なお、供給部11に載置される紙葉類は、図11に示すような、バッチカード116を含んでいてもよい。このバッチカード116は、例えば、紙幣Pと同一の外径寸法、あるいは、紙幣Pよりも大きな外径寸法に形成され、その表面および、あるいは裏面に、紙幣Pのバッチの情報を示すバーコード117が形成され、また、複数の検出孔118を有している。また、バッチカードは、赤、青、緑等の有色に形成されている。このようなバッチカード116は、積層紙幣Pにおいて、任意のバッチの先頭あるいは最後尾に積層された状態で、供給部11に載置される。図11は、第1実施形態に係る紙葉類処理システム1における紙幣処理装置2に用いるバッチカード116を示す平面図である。
図6および図12に示すように、供給部11から紙幣Pを1枚ずつ取り出す取り出し機構14は、載置面11b上の紙幣Pに当接可能に設けられた複数のピックアップローラ(取出しローラ)24と、取出し口11e側のピックアップローラ24に転接して設けられた分離ローラ25と、ピックアップローラ24を所定の速度で回転する駆動モータ26と、を備えている。図12は、第1実施形態に係る紙葉類処理システム1における紙幣処理装置2の取出し機構14および搬送路16を拡大して示す断面図である。
ピックアップローラ24が回転することにより、最下段の紙幣Pがピックアップローラ24によって取出され、取出し口11eから搬送路16へ送られる。この際、分離ローラ25により、2枚目以降の紙幣Pが取出し紙幣から分離される。これにより、紙幣Pが1枚ずつ、供給部11から取出され、搬送路16へ送られる。
主制御部12のCPU12aは、載置された積層紙幣Pの量に応じて、あるいは、操作員からの入力指示に応じて、取出し機構14に紙幣の取込み量、取込み速度を複数段階に調整する。すなわち、CPU12aは、駆動モータ26によるピックアップローラ24の回転速度を調整し、例えば、毎分1000枚、800枚、600枚の取込み量を設定する。また、CPU12aは、後述する鑑査モジュール18の鑑査装置18aの鑑査状態に応じて、紙幣Pの取込み量を調整する。例えば、鑑査装置18aにより、紙幣Pの鑑査を良好に行えない場合、CPU12aは、取込み量を毎分1000枚から毎分800枚に低減する。更に、CPU12aは、鑑査装置18aにより紙幣Pの2枚取りあるいはショートピッチが検出された際に、ピックアップローラ24を一時的に停止あるいは逆転させ、紙幣Pの二枚取りの防止、および、紙幣Pの送りピッチの正常化を行う。
なお、取出し口11eの近傍には、載置面11b上の紙幣Pの有無を検出する図示しないセンサが設けられている。図12に示すように、バッチカード116を用いる場合には、載置面11bに対向して、RGBセンサ23が設けられる。このRGBセンサ23は、紙葉類の色を検知し、バッチカード116を検出する。
図5および図6に示すように、搬送路16によって搬送される紙幣Pの搬送ピッチを補正する搬送ピッチ補正部13と、搬送ピッチが補正された紙幣Pを1枚ずつ鑑査する鑑査モジュール18と、バーコードリーダ19と、が搬送路16に沿って配置されている。鑑査モジュール18は、鑑査装置18aを備えている。鑑査装置18aは、鉛直方向に関して、供給部11の取出し口11eよりも上方に配設されている。鑑査装置18aは、送られて来た紙幣Pの金種、形状、厚さ、表裏、真偽、正損、2枚取り等を検出する。ここで、正損検出とは、再流通可能な正券と、汚れ、破損等があり再流通不可能な損券とを検出することを示している。
バーコードリーダ19は、例えば、バッチカード116を用いる場合に、鑑査装置18aを通過したバッチカード116に付されているバーコード117を読取り、その読取り情報を主制御部12へ送る。なお、独立したバーコードリーダを設けることなく、鑑査装置18aにより、バーコードを読取る構成としてもよい。
搬送路16は、取出し機構14および取出し口11eから一端下方に延びた後、鑑査装置18aまで、鉛直方向に対して斜め傾斜して、下から上に延びている。本実施形態によれば、搬送路16は、ほぼ供給部11の支持面11aに沿って、すなわち、支持面11aと同様に傾斜して延びている。なお、搬送路16は、取出し口11eから一端下がることなく、取出し口から直ちに斜め上方に延出してもよい。そして、鑑査装置18aも、搬送路16に沿って、斜めに傾斜して設けられている。
このように搬送路16を下から上に傾斜して延ばすことにより、供給部11から紙幣Pと共に、クリップ、コイン、ピン等の異物が搬送路16に取込まれた際、異物を重力により搬送路16に沿って搬送路の最下部に落下する。これにより、異物が鑑査装置18aに入る前に排除し、異物による鑑査装置18aの損傷を未然に防止することができる。
図6および図12に示すように、搬送路16の最下部において、搬送路16を規定しているガイド板26bに排出口26aが形成され、更に、この排出口26aの下方に、異物回収部が設けられている。異物回収部は、例えば、装置本体から引き出し可能な回収箱27により構成されている。搬送路16に沿って落下する異物は、排出口26aから排出され、回収箱27に回収される。
図12および図13に示すように、搬送路16の最下部に対向して、吸気ファン28が設けられ、更に、吸気ファン28の排気側に集塵フィルタ29が設けられている。吸気ファン28により搬送路16の最下部内を吸気することにより、搬送路16内に生じる紙粉、粉塵等を搬送路から除去し、集塵フィルタ29によって捕獲する。これにより、紙粉等に起因する搬送路16の汚染、および、鑑査装置18aでの鑑査精度の低下を防止する。図13は、第1実施形態に係る紙葉類処理システム1における紙幣処理装置2の搬送路16の最下部および吸気ファン28を示す断面図である。
図5および図6に示すように、メインモジュール10において、搬送路16に沿って、2つのリジェクト部20a、20bが設けられ、また、それぞれ紙幣を集積する複数の集積庫22a、22b、22c、22dが並んで配置されている。鑑査装置18aを通過した紙幣Pは、図示しないゲートにより、リジェクト券と、処理券とに振り分けられる。リジェクト券とは、鑑査装置18aにより、偽券と判別された券、又は折れ、破れ、スキュー、2枚取りなどにより判別不能な券と判別された券をいう。スキューとは、搬送方向と直交する方向に対して、紙幣Pが斜めに傾斜した状態を言う。リジェクト券は、リジェクト部20aあるいは20bに振り分けられて集積される。リジェクト部20aあるいは20bに集積されたリジェクト券は、偽券を除き、供給部11にセットし直して再取り込みするか、手入力で計数データに算入する。鑑査装置18aによる処理金額、枚数等の鑑査結果は、主制御部12へ送られ、保存されるとともに、モニタ15に表示される。
また、処理券とは、鑑査装置18aで判別された紙幣Pが真券で正券、又は真券で損券をいう。処理券は、集積庫22aないし22dに送られて集積される。例えば、処理券は、金種ごとに対応する集積庫22aないし22dのいずれかに振分けて集積され、また、損券はまとめて1つの集積庫に集積される。なお、集積庫22aないし22dの前段には、複数のゲート22eが設けられている。ゲート22eは、主制御部12の制御に基づいて動作することにより、処理券を所定の集積庫に搬送させることができる。即ち、ゲート22e及び集積庫22aないし22dの前段の搬送路は、区分処理手段として機能する。
前述したバッチカード116を用いる場合、バッチカード116は、鑑査装置18aおよびバーコードリーダ19を通過した後、リジェクト部20aあるいは20bに送られ、集積される。
搬送路16は、後述する装填モジュール30に繋がっている。装填モジュール30によって装填庫に紙幣を装填する場合、メインモジュール10の鑑査装置18aによって鑑査された処理券の一部あるいは全部は、搬送路16を通して装填モジュール30へ送られる。
なお、メインモジュール10は、取り出し機構14、鑑査モジュール18、搬送機構等を駆動する図示しない駆動機構および電源、その他、種々のセンサを備えている。
図5および図6に示すように、装填モジュール30は、自動取引装置(ATM)から取り出したATMカセット、装填カセット等の装填庫32が脱着自在に装着される装着部34と、装填庫32に紙幣を装填し、あるいは、装填庫32から紙幣を取り出す装填取り出し機構36と、鑑査装置38と、リジェクト庫40と、整列機構42と、これらを通して紙幣を搬送する搬送路44と、を備えている。搬送路44には、複数組の無端状の搬送ベルトが搬送路を挟むように延設されている。紙幣は、搬送ベルトに挟持されて搬送される。搬送路44は、メインモジュール10の搬送路16から施封モジュール60aに続く第1搬送路44aおよび第1搬送路から装着部34、鑑査装置38、リジェクト庫40近傍を通って第1搬送路に戻る第2搬送路44bを有している。
装着部34に装着される装填庫32としては、紙幣の装填(入金)のみが可能な装填庫、紙幣の取り出し(出金)のみが可能な装填庫、あるいは、紙幣の装填および取り出し(入出金)が可能な装填庫がある。ここでは、装填庫32は、多数の紙幣を装填可能であるとともに、この装填庫から紙幣を取り出し可能に構成されている。また、装填庫32は、紙幣の装填、取り出しを検出センサ、および、装填されている紙幣の券種、金額(有高)、オペレータ情報、装填庫32のID(支店番号、どの装填庫かを示す指標)、機体番号等の情報を格納するメモリを備えている。
図14A及び図14Bは、第1実施形態に係る紙葉類処理システム1における紙幣処理装置2の自動取引装置(ATM)31の一例を示す斜視図である。このATM31は、ほぼ矩形箱状の本体200を備え、本体の前面には、利用者に対面するほぼL字形状の接客パネル202が設けられている。接客パネル202の水平部には、タッチパネルを兼ねた表示部204が設けられ、垂直部には、カード挿入口206、通帳挿入口208等が設けられている。また、接客パネル202の角部には、それぞれ扉によって開閉される紙幣入出金口210および硬貨入出金口212が設けられている。
本体200内には、紙幣入出金口210を介して利用者に紙幣を入出金するための紙幣取扱装置214、硬貨入出金口212を介して硬貨を入出金する硬貨取扱装置216、制御ユニット218、通帳プリンタ220、カード/伝票処理装置222等が配設されている。
本体200の後面には、紙幣取扱装置214および硬貨取扱装置216を本体から取出し可能とするための開閉自在な扉224が設けられている。この扉224には、後述する紙幣取扱装置214の紙幣搬入/搬出部に対向した不図示の挿入口が形成され、この挿入口は不図示の上下に開く扉によって開閉される。また、紙幣取扱装置214の後面には不図示のコネクタが設けられ、挿入口に対向している。
図14A及び図14Bに示すように、紙幣取扱装置214は細長い箱状の筐体232を有し、この筐体内には、装填庫32として、例えば、一万円紙幣を収容する2つの装填庫、千円紙幣を収容する装填庫が並んで設けられている。これらの装填庫32は、扉224を開けて筐体232を引き出すことにより、筐体232から取外し、また、筐体232内に装着することができる。この他、筐体232内には、紙幣入出金口210から投入された紙幣を受け取るとともに出金紙幣が出金される紙幣集積部、入金紙幣を一時的に集積する入金一時集積部、入金紙幣および出金紙幣を鑑査する鑑査部、リジェクト紙幣を収容する一対のリジェクト庫、損券等を収容する回収庫等が設けられている。
このようなATM31から取り出された装填庫32が、図6に示すように、装填モジュール30の装着部34に脱着可能に装着される。装填庫32を装着部34に装着することにより、装填庫32は、装填取り出し機構36に接続されるとともに、コネクタ46を介して装填モジュール30の制御部に接続される。装填庫32のメモリに格納された情報は、コネクタ46、LANを介して主制御部12へ送られる。装填庫32に、無線ICタグ等の無線固体識別(RFID)を付与し、装填庫32の情報を無線通信で装填モジュール30および主制御部12へ送るようにしてもよい。
装填モジュール30の装填取り出し機構36は、装填庫32から紙幣を1枚ずつ取り出す取り出しローラ、装填庫32へ紙幣を装填する装填ローラ、および搬送ベルト等を有している。
鑑査装置38は、装填庫32から取り出された紙幣の金種、形状、厚さ、表裏、真偽、正損、2枚取り、紙幣の記番号等を検出する。ここで、正損検出とは、再流通可能な正券と、汚れ、破損等があり再流通不可能な損券とを検出することを示している。損券には、テープが貼り付けられた紙幣も含む。真偽検出は、例えば、磁気検知、画像検知、あるいは、蛍光を当て反射する光を読む蛍光検知を用いることができる。また、鑑査装置38は、取り出された紙幣を計数し、枚数および有高を算出する。鑑査装置18aにより検出された有高、枚数等の鑑査結果は、主制御部12へ送られ、保存されるとともに、モニタ15に表示される。
リジェクト庫40は、紙幣の搬送方向に関し、鑑査装置38の下流側に設けられている。鑑査装置38を通過した紙幣Pは、図示しないゲートにより、リジェクト券と、処理券とに振り分けられる。リジェクト券とは、鑑査装置38により、偽券と判別された券、又は折れ、破れ、スキュー、2枚取りなどにより判別不能と判別された券をいう。リジェクト券は、リジェクト庫40へ送られ、集積される。また、予め、主制御部12の制御の下、メインモジュール10の集積庫22a〜22dのいずれか1つあるいは複数をリジェクト庫に設定しておき、装填モジュール30から排出されたリジェクト券をメインモジュール10のリジェクト庫へ送り集積してもよい。更に、鑑査装置38を通過したリジェクト券の内、偽券と判別されたリジェクト券と、他のリジェクト券とを別々のリジェクト庫に分けて集積してもよい。
処理券とは、鑑査装置38で判別された紙幣Pが真券で正券、又は真券で損券をいう。正券は、第2搬送路44bおよび整列機構42を通して装填庫32へ戻され、装填取り出し機構36により装填庫32内に装填される。主制御部12の制御の下、予め、メインモジュール10の集積庫22a〜22dのいずれか1つあるいは複数を損券庫に設定しておき、装填モジュール30から排出された損券はメインモジュール10の損券庫へ送り集積される。
装填庫32から取り出された正券は、金種ごとに予め設定された任意の指定枚数ずつメインモジュール10の集積庫22a〜22dに集積してもよい。また、装填庫32に集積する枚数、例えば、2000枚が設定されている場合、上記のように鑑査装置38で検出した正券の枚数から、不足分を認識でき、不足枚数分の紙幣をメインモジュール10から装填モジュール30へ供給し、整列機構42および搬送路44を通して装填庫32に装填する。装填庫32を装填モジュール30の装着部34へ装着することにより、装填庫32内の紙幣の有高が自動的に主制御部12へ送られるため、主制御部12は、送られた有高が所望の有高に不足していると判断した場合、自動的に、メインモジュール10から装填庫32に不足分紙幣を供給し、装填するようにしてもよい。
メインモジュール10から装填庫32に装填した紙幣情報は、装填庫32のメモリに格納され、電子的に封印される。装填庫32を装填モジュール30から取出し、蓋を開けた場合には、扉開情報、日時がメモリに記憶される。電子的に封印として、パスワードやICカードを用いることができ、装填庫32の扉を開ける際、電子キーやICカードが使用された場合には、それを使用したオペレータ情報もメモリに記憶される。これにより、装填庫32のセキュリティ性を上げることができる。
また、装填庫32から入手した情報、例えば、ATMの店番号、オペレータ情報、券種、金額、装填方向、装填した紙幣量、装填庫の運搬ルートなどの情報は、主制御部12へ送られ、主制御部12で記録、集計される。オペレータ情報には、ATM店舗側のオペレータ、および装填庫32を紙幣処理装置へセットする受け入れオペレータが含まれる。このような装填庫32の情報を主制御部12で管理することにより、セキュリティ性の向上を図ることが可能となる。
一方、紙幣の施封処理が設定されている場合、装填庫32から取り出された正券は、搬送路44および整列機構42を通して施封モジュール60aに送られ、所定枚数ずつ施封される。整列機構42は、搬送路44を通して送られて来る紙幣の中心を搬送路の中心に合わせ、また、スキューしている紙幣をその一辺が搬送方向と直交する向きとなるように補正する。
図15〜図18は、整列機構42を示している。図15は、第1実施形態に係る紙葉類処理システム1における紙幣処理装置2の装填モジュール30の整列機構42を示す側面図である。図16は、第1実施形態に係る紙葉類処理システム1における紙幣処理装置2の整列機構42を示す斜視図である。図17は、第1実施形態に係る紙葉類処理システム1における紙幣処理装置2の整列機構42を示す平面図である。図18は、第1実施形態に係る紙葉類処理システム1における紙幣処理装置2の整列機構42の紙幣整列動作を示す平面図である。
図15〜図18に示すように、整列機構42は、紙幣Pを搬送する搬走路の上流及び下流に、搬走路と直行する方向に複数の搬送ローラが配置され、相対する搬送ローラ間に搬送ベルトが掛けられて構成される。本実施形態では、搬送ローラ50A、補正ローラ50B、搬送ローラ50C、など複数の搬送ローラと、これら搬送ローラに掛け回された搬送ベルト50D1ないし50D3、タイミングセンサSC501、SC502、及び駆動モータ(図示しない)を備えている。搬送ローラ50Aは、紙幣Pを整列機構42に取り込む取り込みローラで、搬送ベルト50D1〜50D3に対応する3個の搬送ローラ(図示しない50A1〜50A3)で構成される。ここで、搬送ローラ50Aはこれらの総称である。
補正ローラ50Bは、搬送ベルト50D1〜50D3のベルト位置を補正するローラで、搬送ベルト50D1〜50D3に対応する3個の補正ローラ50B1〜50B3で、アイドルローラで構成される。ここで、補正ローラ50Bは、その総称である。
搬送ローラ50Cは、搬送ベルト50Dを駆動する駆動ローラで、搬送ベルト50D1〜50D3に対応する3個の搬送ローラ(図示しない50C1〜50C3)で構成される。ここで、搬送ローラ50Cは、その総称である。他の搬送ローラについても同様である。
これら搬送ローラは、整列機構42のユニットベース50Fに対して片持ちで支持され、ユニットベースから遠い側が撓みやすい。整列機構42は、補正ローラ50B、この補正ローラ50Bを同軸上に配置する回転軸、この回転軸を保持するベース50E2、及びベース50E2をユニットベース50Fに固定するステー50E3を有している。
補正ローラ50B1〜50B3は、それぞれローラ表面の内、中央部分が両端部分よりも高いクラウン形状に形成されている。なお、クラウン形状とは、ローラの両端部の直径よりも中央部に近づくにしたがって直径が大きくなる形状を示す。また、これら3個の補正ローラ50B1〜50B3は、同軸上に配置された軸受けを有する回転軸に固定され、それぞれ搬送ベルト50D1〜50D3に外接して配置される。この回転軸の両端部はホルダ50E1によってベース50E2に固定される。
ベース50E2は、ユニットベース50Fから突出した棒状のステー50E3にネジBIS1、BIS3によって固定される。この整列機構42の回動軸であるネジBIS2を回動することによって、このネジBIS2を回動軸としてベース50E2が回動し、補正ローラ50B1〜50B3の位置を図18に示すように移動することができる。実施形態では、ベース50E2のネジBIS2及びネジBIS3を取り付ける部分は、ネジBIS2による回動範囲を考慮した長穴にしてある。
整列機構42により搬送紙幣Pを整位する方法を説明する。上述したように搬送ローラ50A〜50Cはユニットベース50Fに対して片持ち支持されているため、ユニットベース50Fから遠い部分が撓みやすい。この撓みの影響で、搬送ベルト50Dは図示矢印A50で示す方向、すなわち手前側から奥側(ユニットベース50F側)に蛇行する。この蛇行により、搬送ベルト50Dに挟持された紙幣Pも同様に手前側から奥側にずれる。この状態で装填庫32に集積されると、紙幣Pの集積状態が悪くなる。
そこで、ネジBIS2を図18に示す図示矢印A51の方向(左回り)に回動すると、補正ローラ50B1〜50B3が破線で示す位置に移動する。この移動によって搬送ベルト50Dの搬送ベルト位置が初期状態に補正される。搬送ベルト位置に問題がなければ、この位置でネジBIS1、BIS3を固定する。なお、このネジBIS2の回動量は、紙幣Pの搬送状態を観測しながら動的に設定すると好適である。
ネジBIS2を図示矢印A51の方向に回動すると、上述したようにクランク形状により補正ローラのローラ中心部分が高くなっているため、この高くなっているローラ中心が、ユニットベース50Fから手前側に移動する。搬送ベルト50Dは、このローラ中心の高い位置に向かって移動することが知られ、この原理に基づいて搬送ベルト50Dが補正される。この場合、搬送ベルト50D1がユニットベース50F側から手前側に補正され、同様に搬送ベルト50D3が手前側からユニットベース50F側に補正される。
整列機構42は、主要な機能は、ベルトが蛇行することによる紙幣のスライドの発生を防止し、紙幣の中心を搬送路の中心に整位するものである。また、複数のモジュールを連結し、搬送路が長くなると、搬送中にベルトの蛇行により、紙幣がだんだんずれてくる。整列機構42は、この紙幣のずれを補正し、搬送路の中心に整列する。整列機構42は、紙幣のスキュー、スライド量を予め鑑査のラインセンサーで検出し、補正量を見定めローラを傾けて紙幣を強制的に補正する。
整列機構42は、搬送ベルトの位置ずれが装置に及ぼす影響の最も大きい箇所に配置すると大きな効果が得られる。例えば、本実施形態では、図6に示すように、紙幣Pを装填庫32へ送る前、および、紙幣を施封モジュール60aに送る前の位置に設けられている。これにより、送られて来た紙幣Pは、整列機構42により搬送路44に整位された状態で、装填庫32へ送られ、整位された状態で装填庫32内に集積される。これにより、次の出金のために紙幣を整えて集積でき、有益となる。また、紙幣Pは、整列機構42により搬送路44に整位された状態で、施封モジュール60aに送られ、施封される。整列機構42により施封する紙幣の位置関係を整えることにより、施封モジュールにより紙幣を綺麗に集積し、施封することができる。
図5および図6に示すように、集積施封装置としての施封モジュール60aは、装填モジュール30の第1搬送路44aに連通する搬送路62と、この搬送路62を通して送られて来た紙幣を所定枚数ずつ集積する第1集積装置64aおよび第2集積装置64bと、これらの集積装置により所定枚数、例えば100枚、集積された紙幣束を帯により施封する施封装置68と、を備えている。第2集積装置64bは、第1集積装置64aに対して斜め下方向にずれて配置され、また、施封装置68は、第2集積装置64の下方に配置されている。更に、施封装置68により施封された紙幣束を受取り集積する排出部75が施封装置68の下方に設けられている。
第1および第2集積装置64a、64bの各々は、一時集積部65と、送られて来た紙幣Pを1枚ずつ所定枚数だけ一時集積部65に集積する羽根車集積装置66と、を備えている。羽根車集積装置66の羽根車66aは、複数の羽根が回転軸の周辺に組み込まれ、搬送されてきた紙幣Pを羽根と羽根の間で受け取れるように、紙幣の搬送に同期して回転される。この羽根車66aを使用することによって、高速に搬送される紙幣Pの運動エネルギーを吸収しながら、かつ、紙幣Pを整位しながら一時集積部65に集積する。
施封モジュール60aは、第1および第2集積装置64a、64bの各々から、集積紙幣を受け取り、施封装置68に搬送する昇降および横方向に移動可能な搬送トレイ70を備えている。
施封装置68は、搬送トレイ70により運ばれた100枚の紙幣束を施封するための結束帯(第1帯)Bを供給する帯供給部71と、供給された結束帯に所望の情報を印字する印字装置72と、印刷済み結束帯B1を紙幣束に巻き付ける帯巻き機構73と、紙幣束に対する結束帯B1の巻き付け位置を調整する調整機構76と、を備えている。
印字装置72としては、インクジェットプリンタ、ドットプリンタ、レーザプリンタ等を用いることができる。印字装置72は、主制御部12および副制御部61aの制御の下、オペレータにより入力された任意の情報、あるいは、メモリ12bに格納されているオペレータID、日時、シリアル番号、アサイン情報、銀行のロゴ、管理者サインイメージ等を任意の言語フォントにて結束帯B1に印刷する。
図19A及び図19Bに示すように、調整機構76は、紙幣束の端部を把持するチャック77と、チャック77を紙幣束の長手方向に沿って往復移動させるプランジャ78と、紙幣束の引き込み位置を検出する複数の位置センサ79a、79bとを有している。図19A及び図19Bは、第1実施形態に係る紙葉類処理システム1における施封モジュールの調整機構を示す平面図である。調整機構76は、チャック77により紙幣束を把持し、結束前のループ状に巻かれた結束帯B1の中を通して紙幣束を任意の位置まで引き込み、紙幣束に対する結束帯B1の巻付け位置を調整する。例えば、位置センサ79a、79bにより紙幣束の引き込み位置を検出し、これらの2つの位置に調整することができる。本実施形態では、結束帯B1の巻付け位置は、複数の紙幣束を結束する大帯(第2帯)からずれる位置に調整されている。
図20は、第1実施形態に係る紙葉類処理システム1における施封モジュール60aにより施封された100枚の紙幣束(小束)130を示す図である。結束帯B1は、任意の位置に巻付けられ、また、結束帯B1に所望の情報124が印字されている。更に、結束帯B1の側面部、すなわち、紙幣束130の厚さ方向に延びる部分に、オペレータの確認印126を押してもよい。
図6に示すように、上記のように集積および施封された紙幣束130は、排出部75に排出され、順次、積層して収納される。以上のように、施封モジュール60aは、メインモジュール10から送られた正券、あるいは、装填庫32から取り出され、装填モジュール30から送られた正券を、金種毎に所定枚数ずつ施封し、施封された紙幣束を供給する。
図6に示すように、施封モジュール60aは、排出部75に収納された紙幣束130を複数束積層し、大帯で結束して紙幣大束を形成する大束施封装置115を備えていてもよい。図21A及び図21Bに示すように、大束施封装置115により、複数、例えば、10束の紙幣束130が積層され、複数の結束帯(第2帯)B2で結束され、大束140が形成される。図21A及び図21Bは、複数の小束を積層し、結束された紙幣大束を示す斜視図である。
図21Aに示す大束140は、長手方向に1本の結束帯B2で、横方向に2本の結束帯B2で結束されている。図21Bに示す大束140は、長手方向に1本の結束帯B2で、横方向に1本の結束帯B2で結束されている。いずれの大束140においても、各小束130の結束帯B1は、大束140の結束帯B2からずれた位置、すなわち、結束帯B2と重ならない位置に巻付けられている。そのため、大束140において、各小束130の結束帯B1の側面部は、結束帯B2に隠れることなく大束の外面に露出している。これにより、大束140を形成した後に、各小束130の結束帯B1の側面部に、確認印126を押印することができる。あるいは、予め結束帯B1の側面部に確認印126を押印してある場合でも、大束140を形成後、確認印126を外側から視認することができる。
紙幣処理装置によれば、施封モジュールにより作成した小束を10把(10個の小束)集めて、大束施封装置により大帯おかけ大束に施封し、紙幣処理装置からの情報を記憶した無線タグ(RFIDタグ)を大束に付け、紙幣処理装置と大束との間で情報をリンクするようにしてもよい。
図5に示すように、他の施封モジュール60b、60cは、施封モジュール60aと同様に構成され、各施封モジュール60a、60b、60cの搬送路62は、互いに連通して延びている。そして、メインモジュール10あるいは装填モジュール30から紙幣Pが任意の施封モジュール60a、60b、60cに送られ、集積、施封される。
全てのモジュールの最下流には、セーフティポケット74が設けられている。各モジュールを搬送中に処理できなかった紙幣がある場合、この紙幣はセーフティポケット74に排出され、装置から退避される。
なお、上記のように紙幣処理装置により紙幣の回収あるいは補充がされた装填庫32は、処理後、装填モジュール30から取外され、対応するATMに装着される。
バッチカード116を用いた紙幣群のバッチ処理は、以下の通り行う。
例えば、第1積層紙幣群(第1バッチ)と第2積層紙幣群(第2バッチ)とを処理する場合、図6に示すように、予め各入金バッチの最後尾にバッチカード(バーコード付)116を挿入した上で、複数バッチを積み重ね、積み重ねた紙幣群とバッチカードとを一括して処理装置の供給部11にセットし、連続取込みを行う。
バッチカード116は、図11に示したように、バーコード117により紙幣群(バッチ)の特徴的な番号等が印刷され、搬送路に設けたバーコードリーダによりバーコードを読み取り可能とする。載置面11bに対向して、RGBセンサ23が設けられ、このRGBセンサ23は、紙葉類の色を検知し、バッチカード116を検出する。バーコードリーダ19は、鑑査装置18aを通過したバッチカード116に付されているバーコード117を読取り、その読取り情報を主制御部12へ送る。なお、独立したバーコードリーダを設けることなく、鑑査装置18aにより、バーコードを読取る構成としてもよい。
鑑査装置18aは、バッチカード116の通過を検知し、入金バッチ間の境界を認識して該当入金の金額を計数する。バッチカード116は、鑑査装置18aおよびバーコードリーダ19を通過した後、リジェクト部20aあるいは20bに送られ、集積される。結果として、処理中にリジェクトされたリジェクト紙幣は、所属する入金バッチのバッチカード116と直前バッチのバッチカード116との間に集積されることになるため、各リジェクト紙幣の所属バッチが識別可能となる。バッチ処理において、リジェクト紙幣は、1回目の計数が完了した後に、供給部11に再供給(再機械計数)することができる。
バッチ処理には、secure continuous mode(セキュアコンティニュアスモード)と、full continuous mode(フルコンティニュアスモード)との2種類を選択可能に構成されている。
セキュアコンティニュアスモードは、バッチカードを紙幣群の最後尾に挿入することにより、複数バッチ間での処理動作を極力停止せずに連続処理を行う。バッチカードを検出後、計数確定まで次のバッチの取り込みを停止する。
フルコンティニュアスモードは、バッチカードを紙幣郡の最後尾に挿入することにより、複数バッチ間での処理を極力停止せず連続処理を行う。バッチカードを検出しても、次の取り込みを停止しない。
図22は、第1実施形態に係る紙葉類処理システム1におけるバッチカードのデータを用いて紙幣処理を管理するバッチカードシステムの一例を概略的に示す図である。このシステムは、データベースサーバ150と、データベースサーバに接続されたプレパレーション・ステーション152およびリジェクト・手入力ステーション154と、を備えている。また、データベースサーバ150は、ユーザー・アプリケーション・コンピュータ156に接続され、このコンピュータは、ホストコンピュータ158にネットワーク接続されている。紙葉類処理装置の主制御部12からバッチカード番号および機械計数データがデータベースサーバに送られる。
プレパレーション・ステーション152は、アカウント番号、バッチカード番号、伝票金額の登録を行い、これらのアカウント番号、バッチカード番号、伝票金額をデータベースサーバ150へ送るとともに、紙幣群の供給部11への装填を指示する。リジェクト・手入力ステーション154では、リジェクト券の情報手入力、違算処理、偽券情報の入力、バッチカード番号の手入力等を行い、入力されたバッチカード番号、手入力計数をデータベースサーバ150へ送る。
データベースサーバ150は、紙葉類処理装置の主制御部12から送られたバッチカード番号および機械計数データと、プレパレーション・ステーション152から送られたアカウント番号、バッチカード番号、伝票金額と、リジェクト・手入力ステーション154から入力されたバッチカード番号、手入力計数と、を計数照合し、その照合結果をプレパレーション・ステーション152およびリジェクト・手入力ステーション154に送る。これにより、バッチ処理された紙幣群の機械計数が正確に行われているか、バッチカード番号に応じて監視する。
一方、上述した紙幣処理おいて、いずれかで紙幣のジャムが発生した場合、以下の通りジャム処理を行う。ジャム発生時のオペレータの負担を形成するために、以下の要求を盛り込む。
ジャム発生時にメインモジュール10の集積庫22a〜22d、および施封モジュール60a、60b、60cのうち、搬送継続可能な部分は、紙幣の搬送を停止せず、集積庫および施封集積までの搬送を完了する。施封モジュールについては、紙幣P枚集積完了すれば施封動作を実施する。シフトミスは、発生部位の搬送ジャムとみなす。
施封モジュールは、モジュール内に進入済の紙幣については施封集積に搬送完了可能かつ施封集積が集積可能である場合、さらに加えて下流側の施封モジュールに搬送する紙幣については、下流側施封モジュールの搬送路が動作可能な場合、全ての紙幣の搬送を完了し、施封集積部の集積枚数が100枚に到達した場合は施封動作を実施し、その後に停止する。1枚でも搬送完了が不可能な紙幣が有る場合は、即座に搬送を停止し、紙幣は持ち帰りとする。
施封モジュール内で集積した紙幣については、確-実に計数に反映させる。施封モジュール内でジャムが発生した場合、施封搬送を即時停止する。施封機構部は、所定枚数または100枚集積した時に施封動作を完了させて把を排出後に停止する。施封を完了し、排出した分は、件数に反映させる。
オペレータが施封モジュール内のジャムによる残留紙幣を除去した後で、施封モジュール内の紙幣は、オペレータのテラー操作によりセーフティポケットに自動搬送され、セーフティポケットおよび両方の施封集積に集積されている紙幣は回収される。施封モジュール外でジャムが発生した場合、施封集積に搬送完了可能かつ施封集積が可能である場合、更に、下流側の施封モジュールに搬送する紙幣については、下流側の施封モジュールの搬送路が動作可能な場合、全ての紙幣の搬送を完了し、施封集積部の集積枚数が100枚に到達した場合は施封動作を実施後に亭止する。この際、ジャム発生後の紙幣の搬送タイミングをチェックし、想定より時間が長いタイミングで紙幣が搬送された場台はジャムとする。この場合は施封集積に集積された紙幣は持ち帰りとする。
1枚でも搬送完了が不可能な紙幣が有る場合は即座に搬送路を停止し、施封モジュール内の紙幣は持ち帰りとする。ただし、集積が不可能となった場合は、施封搬送を即時停止する。ジャム原因を除去した後、施封モジュール内で残留紙幣は、オペレータのテラー操作により施封集積に自動搬送され、両方の施封集積に集積されている紙幣は回収される。
オペレータのジャム処理後の作業を減らすために、残留紙幣自動排出を行ってもよい。この場合、搬送ジャム発生部位のジャム処理をオペレータが実施した後、残留紙幣を搬送路に残したまま、通常遠度で紙幣を搬送し、リジェクト庫、集積庫、セーフティポケットのいずれかに集積する。このとき集積される一時庫内の紙幣はすべて持ち帰る。操作はジャム解除後にオペレータのテラー操作によって行う。搬送ベルト外れ等の故障を起こさないように、搬送ジャム発生部位のドア開動作と搬送中の搬送監視を行う。
以上のように構成された紙幣処理装置2によれば、ATM31から取外した装填庫32を装填モジュール30の装着部34に装着することにより、装填庫内の紙幣を自動で紙幣処理装置2へ取込み整理することができる。また、装填庫32から取出した紙幣を鑑査装置38に通すことにより、券種、真偽、正損等の判別を行うことができ、装填庫へ紙幣を戻すことにより、装填庫内の有高を検出することができる。すなわち、装填庫32内の紙幣を精査し、再度、装填庫に戻す精査処理を行うことができる。装填庫32から取り出した紙幣を施封モジュール60a〜60cへ送ることで、100枚小束に施封処理ができる。更に、自動取引装置31の装填庫32に装填機能がある場合、紙幣処理装置2に装填庫32をセットすることにより、メインモジュールに10に投入された紙幣を所望枚数、所望券種、装填庫に自動装填できる。そして、これらの各種処理は、装填庫32の蓋を開けずに処理ができるため、セキュリティ性を高めることが可能となる。装填庫32と紙幣処理装置との間で情報を受け渡すことができ、双方向で有高管理を行うことが可能となる。更に、必要に応じて取引ジャーナルを印字出力するジャーナルプリンタを装填モジュール30に設け、この取引ジャーナルを装填庫32に添付するようにしてもよい。
装填モジュール30に装着する装填庫32が、出金専用の装填庫である場合、取出し装填機構によって、紙幣を直接的に装填庫に装填することができない。そこで、この場合には、装填モジュール30に、装填庫から取出した紙幣、あるいは、メインモジュール10から送られた紙幣を集積する一時集積部と、この一時集積部に集積された例えば、500枚の紙幣を把持して装填庫32に詰めるロボットハンドと、を設けることにより、装填処理を行うことができる。
メインモジュール10の供給部11は、鉛直方向に対して傾斜して設けられているため、載置された積層紙幣間の摩擦を低減し、紙幣取出し時のスリップ、連れ取り、2枚取り等を防止することができる。これにより、多量の紙幣を積層配置した場合でも、紙幣を1枚ずつ安定して取出し、処理することができ、信頼性の向上を図ることができる。また、供給部11は、装置本体において、比較的低い位置に設けられていることから、供給部11への紙葉類の装填作業を行い易くすることができる。
更に、異物が取込まれた場合でも、鑑査装置に運ばれる前にこの異物を排出、除去することができ、異物に起因する検査装置の損傷を防止し、紙幣処理装置の信頼性向上を図ることができる。
次に、紙幣処理装置2の動作の一例を説明する。
図23は、第1実施形態に係る紙葉類処理システム1における紙幣処理装置2の動作の処理手順のフローチャートである。
(ステップS1)紙幣処理装置2は、操作員の操作によって電源がオン状態になる。CPU12aは、ステップS1が終了後、処理をステップS2に進める。
(ステップS2)CPU12aは、モニタ15上にユーザIDとパスワードの入力を行う画面を表示する。操作員は、操作部17を操作して、ユーザIDとパスワードを入力する。次に、CPU12aは、メモリ12bに記憶したユーザIDとパスワードの組み合わせと一致しているか否かを判別する。CPU12aは、メモリ12bに記憶したユーザIDとパスワードの組み合わせと一致していると判別した場合、処理をステップS3に進める。CPU12aは、メモリ12bに記憶したユーザIDとパスワードの組み合わせと一致していないと判別した場合、ステップS2の処理を繰り返す。なお、CPU12aは、ステップS2を所定の回数繰り返しても、メモリ12bに記憶したユーザIDとパスワードの組み合わせと一致していない場合、紙幣処理装置2の電源をオフ状態になるように制御してもよい。CPU12aは、ステップS2が終了後、処理をステップS3に進める。
(ステップS3)CPU12aは、第2通信ポート12d及びネットワーク6を介して、メモリ12bに予め記憶されているアドレスに接続する。次に、CPU12aは、第2通信ポート12d及びネットワーク6を介して、保守サーバ4との通信を確立する。次に、CPU12aは、メモリ12bに記憶されている識別情報を読み出し、読み出した識別情報を、第2通信ポート12d及びネットワーク6を介して保守サーバ4に送信する。CPU12aは、ステップS3が終了後、処理をステップS4に進める。
(ステップS4)CPU12aは、第2通信ポート12d及びネットワーク6を介して、保守サーバ4が送信した制御指示を受信する。CPU12aは、ステップS4が終了後、処理をステップS5に進める。
(ステップS5)CPU12aは、受信した制御指示に含まれる情報をモニタ15上に表示させる。なお、モニタ15上に表示される情報は、保守サービス契約を促す情報、保守サービス契約の更新を促す情報、紙幣処理装置2の最新のアプリケーションのバージョンを通知する情報、最新のアプリケーションのダウンロードを促す情報、定期メンテナンスを促す情報等である。CPU12aは、ステップS5が終了後、処理をステップS6に進める。
(ステップS6)CPU12aは、受信した制御指示に、装置の機能を制限する指示が含まれているか否かを判別する。CPU12aは、装置の機能を制限する指示が含まれていると判別した場合(ステップS6;YES)、ステップS7に進み、装置の機能を制限する指示が含まれていないと判別した場合(ステップS6;NO)、ステップS8に進む。
(ステップS7)CPU12aは、制御指示に含まれる制限内容に従って、紙幣処理装置2を動作させる。例えば、制御指示に含まれる制限内容が、第1通信ポート12cの接続を遮断する指示の場合、CPU12aは、第1通信ポート12cの接続を遮断する。これにより、紙幣処理装置2は、集計サーバ3との接続が遮断される。ステップS7が終了後、CPU12aは、紙幣処理装置2の動作の処理手順を終了する。
(ステップS8)CPU12aは、紙幣処理装置2を通常動作させる。次に、CPU12aは、第2通信ポート12b及びネットワーク6を介して、保守サーバ4が送信した装置の使用状態情報を送信する指示を受信する。次に、CPU12aは、第2通信ポート12b及びネットワーク6を介して、自装置の使用状態情報を保守サーバ4に送信する。ステップS8が終了後、CPU12aは、紙幣処理装置2の動作の処理手順を終了する。
次に、保守サーバ4の動作の一例を説明する。
図24は、第1実施形態に係る紙葉類処理システム1における保守サーバ4の動作の処理手順のフローチャートである。
(ステップS101)保守制御部402は、ネットワーク6及び通信ポート401を介して、紙幣処理装置2が送信した識別情報を受信する。次に、保守制御部402は、受信した識別情報が記憶部403に記憶されていない場合、記憶部403に記憶させる。保守制御部402は、ステップS101が終了後、処理をステップS102に進める。
(ステップS102)保守制御部402は、受信した受信した識別情報が記憶部403に記憶されているか否かを判別する。受信した識別情報が記憶部403に記憶されていないと判別した場合、保守制御部402は、新規顧客であるため、保守サービス契約が結ばれていないと判別(ステップS102;NO)して、ステップS103に進む。また、保守制御部402は、受信した識別情報が記憶部403に記憶されている場合、識別情報に保守サービス契約が結ばれていることを示す情報が関連付けられて記憶されているか否かを判別する。保守制御部402は、識別情報に保守サービス契約が結ばれていることを示す情報が関連付けられて記憶されていると判別された場合、保守サービス契約が結ばれていると判別(ステップS102;YES)して、ステップS104に進む。保守制御部402は、識別情報に保守サービス契約が結ばれていることを示す情報が関連付けられて記憶されていないと判別された場合、保守サービス契約が結ばれていないと判別(ステップS102;NO)して、ステップS103に進む。
(ステップS103)保守制御部402は、通信ポート401及びネットワーク6を介して、制御指示を紙幣処理装置2に送信する。なお、送信する制御情報には、保守サービス契約を促す情報、装置の機能を制限する指示等が含まれている。ステップS103が終了後、保守制御部402は、保守サーバ4の動作の処理手順を終了する。
(ステップS104)保守制御部402は、通信ポート401及びネットワーク6を介して、装置の使用状態情報を送信する指示を紙幣処理装置2に送信する。次に、保守制御部402は、紙幣処理装置2が送信した装置の使用状態情報を受信する。次に、保守制御部402は、受信した装置の使用状態情報を、記憶部403に記憶されている識別情報と関連付けて記憶させる。保守制御部402は、ステップS104が終了後、処理をステップS105に進める。
(ステップS105)保守制御部402は、受信した装置の使用状態情報に含まれる装置の型番と、記憶部403に記憶されている情報に基づいて、受信した装置に応じた最新のアプリケーションのバージョンを示す情報を含む制御指示を生成する。また、保守制御部402は、受信した装置情報に含まれる稼働時間に基づいて、定期メンテナンスを促す情報を含む制御指示を生成する。また、保守制御部402は、受信した装置情報に含まれるエラー情報に基づいて、メンテナンスを促す情報を含む制御指示を生成する。次に、保守制御部402は、通信ポート401及びネットワーク6を介して、制御指示を紙幣処理装置2に送信する。ステップS105が終了後、保守制御部402は、保守サーバ4の動作の処理手順を終了する。
次に、モニタ15上に表示される情報の例を説明する。
まず、保守サービス契約が結ばれているときにモニタ15上に表示される情報を説明する。図25は、第1実施形態に係る紙葉類処理システム1における保守サービス契約が結ばれているときにモニタ15上に表示される情報の一例を示す図である。
図25において、画像501は、保守サービス契約が結ばれているときにモニタ15上に表示される情報を示す画像である。符号5011が示す領域の画像は、最新のアプリケーションのバージョンを通知する情報を示す画像である。符号5012が示す領域の画像は、ダウンロードを促すアプリケーションのバージョンを示す画像である。符号5013が示す領域の画像は、ダウンロードを行うボタンの画像である。
管理者または操作員は、このような情報がモニタ15上に表示された場合、操作部17を操作することによってボタンの画像5013を選択して、最新のアプリケーションをダウンロードする。
次に、保守サービス契約が結ばれていないときにモニタ15上に表示される情報を説明する。図26は、第1実施形態に係る紙葉類処理システム1における保守サービス契約が結ばれていないときにモニタ15上に表示される情報の一例を示す図である。
図26において、画像511は、保守サービス契約が結ばれていないときにモニタ15上に表示される情報を示す画像である。符号5111が示す領域の画像は、最新のアプリケーションのバージョンを通知する情報を示す画像である。符号5112が示す領域の画像は、アプリケーションのダウンロードのために保守サービス契約を促す情報を示す画像である。符号5113が示す領域の画像は、保守サービス契約を申し込む処理に進むボタンの画像である。符号5114が示す領域の画像は、保守サービス契約を申し込まず、機能制限がかかったまま装置を利用するボタンの画像である。符号5115が示す領域の画像は、保守サービス契約を申し込まずに使用した場合に、利用できる機能を説明する情報を表示する画面に進むボタンの画像である。
管理者または操作員は、このような情報がモニタ15上に表示された場合、操作部17を操作することによってボタンの画像5114を選択して、機能制限された状態でトライアル使用する。なお、このように機能制限付きで装置が使用された場合、CPU12aは、第2通信ポート12d及びネットワーク6を介して、トライアル使用されたことを示す情報を保守サーバ4に送信するようにしてもよい。または、CPU12aは、メモリ12bにトライアル使用された回数を記憶させておき、第2通信ポート12d及びネットワーク6を介して、記憶させたトライアル回数を示す情報を保守サーバ4に送信するようにしてもよい。
以上のように、本実施形態に係る紙葉類処理システム1は、自装置を識別する識別情報を、ネットワーク6を介して接続されている保守サーバ4に送信し、保守サーバ4から受信した制御指示に応じて、自装置の動作を制御する紙葉類処理装置(紙幣処理装置2)と、紙葉類処理装置(紙幣処理装置2)の識別情報を取得し、取得した識別情報に基づいて紙葉類処理装置(紙幣処理装置2)の動作を制御するための制御指示を、ネットワーク6を介して紙葉類処理装置(紙幣処理装置2)に送信する保守サーバ4と、を備える。
この構成により、本実施形態に係る紙葉類処理システム1は、保守サーバ4は、受信した識別情報に基づいて、識別情報に対応する紙幣処理装置2の状態を判別して、判別した結果に応じた装置の制御指示を紙幣処理装置2に送信することができる。そして、本実施形態に係る紙葉類処理システム1では、保守サービス契約が行われていない場合に、紙幣処理装置2に対して機能制限を行う制御指示を紙幣処理装置2に送信する。そして、紙幣処理装置2は、受信した制御指示に応じて、自装置を制御する。従って、本実施形態に係る紙葉類処理システム1では、利用者や使用地域等に応じて装置の利用を制限することができる。
(第2実施形態)
第1実施形態では、紙幣処理装置2が保守サーバ4に、ネットワーク6を介して、自装置の識別情報を送信する例を説明した。第2実施形態では、紙幣処理装置2Aまたは装置のモジュールが備える通信装置から、装置に関する情報を、無線通信を用いて保守サーバ4Aに送信する例を説明する。
図27は、第2実施形態に係る紙葉類処理システム1Aのシステム構成を概略的に示す図である。なお、第1実施形態の紙葉類処理システム1と同じ機能を有する装置には、同じ符号を用いて説明を省略する。
図27に示すように、紙葉類処理システム1Aは、紙幣処理装置2A−1〜2A−n(nは1以上の整数)、集計サーバ3、及び保守サーバ4Aを備えている。なお、紙幣処理装置2A−1〜2A−nのうち、特定しない場合は、単に紙幣処理装置2Aという。また、紙幣処理装置2Aと集計サーバ3とは、ネットワーク5を介して接続されている。また、紙幣処理装置2Aと保守サーバ4Aとは、ネットワーク6を介して接続されている。さらに、紙幣処理装置2Aと保守サーバ4Aとは、無線ネットワーク7を介して接続されている。無線ネットワーク7は、例えば、3G(第3世代移動通信システム)方式の無線ネットワークである。
なお、図27に示した例では、紙幣処理装置2Aが複数の例を示しているが、紙幣処理装置2Aは、1つ以上であればよい。また、ネットワーク5及びネットワーク6は、有線ネットワークであっても無線ネットワークであってもよい。
紙幣処理装置2Aは、装置に投入された紙幣の判別及び計数を行う。紙幣処理装置2Aは、計数した金額を示す計数金額情報を、ネットワーク5を介して集計サーバ3に送信する。
また、紙幣処理装置2Aは、電源がオン状態になったとき、自装置が使用されている位置を示す位置情報を、無線ネットワーク7を介して保守サーバ4に送信する。また、紙幣処理装置2Aは、電源がオン状態になったとき、自装置を識別する識別情報を、ネットワーク6を介して保守サーバ4に送信する。なお、紙幣処理装置2Aは、無線ネットワーク7を介して、識別情報と位置情報とを保守サーバ4Aに送信するようにしてもよい。
また、紙幣処理装置2Aは、ネットワーク6を介して保守サーバ4Aが送信した制御指示を受信し、受信した制御指示に応じて自装置を制御する。
保守サーバ4Aは、無線ネットワーク7を介して紙幣処理装置2Aが送信した位置情報を取得する。保守サーバ4Aは、ネットワーク6を介して紙幣処理装置2Aが送信した識別情報を取得する。そして、保守サーバ4Aは、取得した識別情報と位置情報とを、保守サーバ4Aが備える記憶部に記憶させる。なお、紙幣処理装置2Aの識別情報は、保守サーバ4Aの管理者または利用者が入力して、記憶部に記憶させるようにしてもよい。または、記憶部には、予め複数の紙幣処理装置2Aに対応する識別情報が記憶されていてもよい。
保守サーバ4Aは、受信した識別情報及び位置情報と、記憶部に記憶されている情報とに基づいて、受信した識別情報に対応する紙幣処理装置2Aが使用されている国や地域を判別する。保守サーバ4Aは、位置情報が使用を許可していない国や地域であると判別された場合、紙幣処理装置2Aの機能を制限する制御信号を生成し、ネットワーク6または無線ネットワーク7を介して、生成した制御信号を紙幣処理装置2Aに送信する。ここで、紙幣処理装置2Aの機能の制限とは、例えば、紙幣処理装置2Aを使用させない(電源をオフ状態にさせる)、紙幣処理装置2Aのモジュールを動作させない、集計サーバ3に接続されているネットワーク5を遮断して使用させる等の制限である。
また、保守サーバ4Aは、受信した識別情報と記憶部に記憶されている情報とに基づいて、受信した識別情報に対応する紙幣処理装置2Aの使用状態を判別する。
保守サーバ4Aは、保守サービス契約が行われているか否かを示す保守情報を、識別情報と関連付けて記憶部に記憶させる。保守サーバ4Aは、識別情報を受信した場合、受信した識別情報に対応する紙幣処理装置2Aに対して、保守サービス契約が結ばれているか否かを記憶部に記憶されている情報に基づいて判別する。そして、保守サーバ4Aは、判別した結果に基づいて、紙幣処理装置2Aの使用状態を判別する。
保守サーバ4Aは、判別した使用状態に応じて紙幣処理装置2Aの動作を制限するための制限レベルを決定し、決定した制限レベルに紙幣処理装置2Aを制御する制御指示を生成する。そして、保守サーバ4Aは、ネットワーク6を介して、生成した制御指示を紙幣処理装置2Aに送信する。
図28は、第2実施形態に係る紙幣処理システムの保守サーバ4Aを概略的に示すブロック図である。
図28に示すように、保守サーバ4Aは、通信ポート401、保守制御部402A、記憶部403A、及び無線通信部404を備えている。なお、第1実施形態の保守サーバ4と同じ機能を有する装置には、同じ符号を用いて説明を省略する。
無線通信部404は、例えば、3G方式の通信を行う装置である。無線通信部404は、無線ネットワーク7を介して紙幣処理装置2Aが送信した位置情報を受信し、受信した位置情報を保守制御部402Aに出力する。
保守制御部402Aは、無線通信部404から入力された位置情報を記憶部403Aに記憶させる。また、保守制御部402Aは、通信ポート401から入力された識別情報を記憶部403Aに記憶させる。そして、保守制御部402Aは、受信した識別情報及び位置情報と、記憶部403に記憶されている情報とに基づいて、受信した識別情報に対応する紙幣処理装置2Aが使用されている国や地域を判別する。保守制御部402Aは、位置情報が使用を許可していない国や地域であると判別された場合、紙幣処理装置2Aの機能を制限する制御信号を生成し、ネットワーク6または無線ネットワーク7を介して、生成した制御信号を紙幣処理装置2Aに送信する。
保守制御部402Aは、通信ポート401から入力された情報を記憶部403に記憶させる。保守制御部402Aは、受信した識別情報と記憶部403Aに記憶されている情報とに基づいて、受信した識別情報に対応する紙幣処理装置2Aが保守サービス契約を結んでいるか否かを判別する。
また、保守制御部402Aは、受信した情報に含まれる使用状態情報を抽出する。保守制御部402Aは、抽出した使用状態情報、及び保守サービス契約を結んでいるか否かを判別した結果に基づいて、制御指示を生成する。保守制御部402Aは、生成した制御指示を通信ポート401に出力する。
記憶部403Aは、識別情報、位置情報、保守サービス契約に関する情報(保守情報)、プログラムのバージョンを示す情報、稼働時間を示す情報、処理枚数を示す情報、装置の処理結果を示す情報、エラー情報、操作員毎の生産性に関する情報、顧客の生産性に関する情報等が関連付けられた情報を記憶する。なお、記憶部403Aに記憶される情報は、装置の管理者や操作員によって入力された情報であってもよい。または、予め作成された情報が、記憶部に予め記憶されていてもよい。
図29は、第2実施形態に係る紙葉類処理システム1Aの紙幣処理装置2Aを概略的に示すブロック図である。図29に示すように、紙幣処理装置2Aは、メインモジュール10A、装填モジュール30、及び施封モジュール60aを備えている。メインモジュール10Aは、主制御部12及び鑑査モジュール18Aを含んで構成される。なお、第1実施形態の紙幣処理装置2と同じ機能を有する装置には、同じ符号を用いて説明を省略する。
鑑査モジュール18Aは、鑑査装置18a、GPS(Global Positioning System;グローバル・ポジショニング・システム)18b、及び通信部18cを備えている。なお、鑑査装置18a、GPS18b、及び通信部18cには、紙幣処理装置2Aの電源がオン状態になった後、電源が供給される。
GPS18bは、紙幣処理装置2Aの電源がオン状態になった後、GPS衛星からの情報を受信し、受信した情報に基づいて、紙幣処理装置2Aが使用されている位置の位置情報を測位する。GPS18bは、測位した位置情報を通信部18cに出力する。
通信部18cは、GPS18bから入力された位置情報を、無線ネットワーク7を介して、保守サーバ4Aに送信する。通信部18cは、例えば、3G方式の通信を行う装置である。
なお、図29に示した例では、鑑査モジュール18AにGPS及び通信部を備える例を説明したが、これに限られない。保守サービスにおいて提供される各モジュール、及び監査装置38等がGPS及び通信部を備えるようにしてもよい。または、紙幣処理装置2Aが、GPS及び通信部を備えるようにしてもよい。
次に、紙幣処理装置2Aの動作の一例を説明する。
図30は、第2実施形態に係る紙葉類処理システム1Aにおける紙幣処理装置2Aの動作の処理手順のフローチャートである。
(ステップS201〜203)CPU12aは、ステップS201〜S203を、ステップS1〜S3(図23参照)と同様に行う。CPU12aは、ステップS203が終了後、処理をステップS204に進める。
(ステップS204)GPS18bは、位置情報を測位する。GPS18bは、ステップS204が終了後、処理をステップS205に進める。
(ステップS205)通信部18cは、GPS18bから入力された位置情報を、無線ネットワーク7を介して、保守サーバ4Aに送信する。通信部18cは、ステップS205が終了後、処理をステップS206に進める。
(ステップS206〜S210)CPU12aは、ステップS206〜S210を、ステップS4〜S8(図23参照)と同様に行う。
ステップS210が終了後、CPU12aは、紙幣処理装置2Aの動作の処理手順を終了する。
次に、保守サーバ4Aの動作の一例を説明する。
図31は、第2実施形態に係る紙葉類処理システム1Aにおける保守サーバ4Aの動作の処理手順のフローチャートである。
(ステップS301)保守制御部402Aは、ステップS101(図24参照)と同様の処理を行う。保守制御部402Aは、ステップS301が終了後、処理をステップS302に進める。
(ステップS302)保守制御部402Aは、無線ネットワーク7及び無線通信部404を介して、紙幣処理装置2が送信した位置情報を受信する。保守制御部402Aは、ステップS302が終了後、処理をステップS303に進める。
(ステップS303)保守制御部402Aは、受信した受信した識別情報及び位置情報と、記憶部403に記憶されている情報とに基づいて、紙幣処理装置2Aの使用が許可されている国や地域であるか否かを判別する。なお、保守制御部402Aは、紙幣処理装置2Aの型番を示す情報も取得し、取得した装置の型番を示す情報及び位置情報と、記憶部403に記憶されている情報とに基づいて、紙幣処理装置2Aの使用が許可されている国や地域であるか否かを判別するようにしてもよい。
保守制御部402Aは、使用が許可されている国や地域であると判別した場合(ステップS303;YES)、ステップS305に進み、使用が許可されていない国や地域であると判別した場合(ステップS303;NO)、ステップS304に進む。
(ステップS304)保守制御部402Aは、例えば、装置の電源をオフ状態にする指示を含む制御指示を生成する。保守制御部402Aは、通信ポート401及びネットワーク6を介して、生成した制御指示を紙幣処理装置2Aに送信する。なお、送信する制御情報には、装置の使用が許可されていない国や地域であることを警告する情報等が含まれている。ステップS304が終了後、保守制御部402Aは、保守サーバ4Aの動作の処理手順を終了する。
(ステップS305〜S308)保守制御部402Aは、ステップS102〜S105(図24)と同様の処理を行う。
ステップS210が終了後、CPU12aは、紙幣処理装置2Aの動作の処理手順を終了する。
次に、モニタ15上に表示される情報の例を説明する。
図31は、第2実施形態に係る紙葉類処理システム1Aのモニタ15上に表示される装置の使用が許可されていない国や地域であることを警告する情報の一例を示す図である。
図31において、画像521は、モニタ15上に表示される装置の使用が許可されていない国や地域であることを警告する情報を示す画像である。符号5211が示す領域の画像は、利用が許可されていない地域であることを警告する情報を示す画像である。符号5212が示す領域の画像は、自動的に電源をオフ状態にすることを警告する情報を示す画像である。
以上のように、本実施形態に係る紙葉類処理システム1Aでは、紙幣処理装置2AがGPS18b及び通信部18cを備え、紙幣処理装置2Aが使用されている位置情報を送信する。これにより、本実施形態の紙葉類処理システム1Aでは、保守サーバ4Aが取得した位置情報によって、使用が許可されていない国や地域である場合、紙幣処理装置2Aの電源をオフ状態に制御する制御情報を紙幣処理装置2Aに送信するようにした。この結果、紙葉類処理システム1Aの管理者は、紙幣処理装置2Aの使用が許可されていない国や地域である場合、保守サーバ4Aが紙幣処理装置2Aを使用できないように制御しているため、利用者や使用地域等に応じて装置の利用を制限することができる。
なお、第2実施形態では、紙幣処理装置2AまたはモジュールがGPSと通信部を備える例を説明したが。これに限られない。紙幣処理装置2Aまたはモジュールは、通信部のみ備えるようにしてもよい。この場合、通信部は、基地局から取得した基地局の位置情報を、紙幣処理装置2Aが使用されている位置情報として保守サーバ4Aに送信するようにしてもよい。この場合であっても、使用が禁止されている国や地域で紙幣処理装置2Aが使用されているか否かを、保守サーバ4Aは取得した位置情報に基づいて判別することができる。
なお、第1実施形態及び第2実施形態では、主制御部12が、メインモジュール10に組み込まれている例を説明したが、これに限られない。主制御部12は、メインモジュール10と電気的に接続されていればよい。
また、第1実施形態及び第2実施形態では、紙葉類処理システム1(または1A)に紙幣処理装置2(または2A)が1つ接続されている場合の動作例を説明したが、紙葉類処理システム1(または1A)に接続される紙幣処理装置2(または2A)は図1に示たように複数であってもよい。この場合、n個(nは1以上の整数)の紙幣処理装置2−1〜2−n(または2A−1〜2A−n)は各々、電源がオン状態になった後、ネットワーク6を介して保守サーバ4(または4A)に識別情報を送信するようにしてもよい。
または、n個の紙幣処理装置2−1〜2−n(または2A−1〜2A−n)は、第1通信ポート12c及びネットワーク5によって、デイジーチェーン接続されていてもよく、n個の紙幣処理装置2−1〜2−n(または2A−1〜2A−n)のうち1台のみが、ネットワーク6を介して保守サーバ4(または4A)と接続されていてもよい。この場合、保守サーバ4(または4A)に接続されていない紙幣処理装置2−1〜2−n(または2A−1〜2A−n)は、保守サーバ4(または4A)と接続されている紙幣処理装置2(または2A)に、ネットワーク5を介して識別情報を送信するようにしてもよい。そして、保守サーバ4(または4A)に接続されている紙幣処理装置2(または2A)は、n個の紙幣処理装置2−1〜2−n(または2A−1〜2A−n)の全ての識別情報を保守サーバ4(または4A)に送信するようにしてもよい。
以上述べた少なくともひとつの実施形態の紙葉類処理システム1(または1A)によれば、紙葉類処理装置2(及び2A)から取得した識別情報に基づいて紙葉類処理装置2(及び2A)の動作を制御するための制御指示を、ネットワーク6を介して紙葉類処理装置2(及び2A)に送信する保守サーバ4(または4A)を持つことにより、好ましくない利用者に利用されてしまうことに対して装置の利用を制限することが可能になる。
なお、第1実施形態及び第2実施形態において、接続するモジュールの数は、実施形態に限定されることなく、必要に応じて、増減可能であり、モジュールの種類も種々選択可能である。
また、第1実施形態及び第2実施形態では、紙幣を処理する例を説明したが、これに限られない。処理する紙葉類は、紙幣、バッチカードに限定されることなく、カジノカード、有価証券等の他の紙葉類にも適用してもよい。
以上、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
なお、本発明における紙幣処理装置2(及び2A)、保守サーバ4(及び4A)の機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより処理を行ってもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、「コンピュータシステム」は、ホームページ提供環境(あるいは表示環境)を備えたWWWシステムも含むものとする。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムが送信された場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリ(RAM)のように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。
また、上記プログラムは、このプログラムを記憶装置等に格納したコンピュータシステムから、伝送媒体を介して、あるいは、伝送媒体中の伝送波により他のコンピュータシステムに伝送されてもよい。ここで、プログラムを伝送する「伝送媒体」は、インターネット等のネットワーク(通信網)や電話回線等の通信回線(通信線)のように情報を伝送する機能を有する媒体のことをいう。また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよい。さらに、前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であってもよい。