JP2015055212A - 回転式流体機械 - Google Patents

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健一 佐多
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隆造 外島
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Abstract

【課題】ピストン本体及びシリンダ側鏡板部が摩耗することを抑制する。
【解決手段】シリンダ(71)は内側及び外側シリンダ部(71a,71b)を備える。シリンダ(71)にはシリンダ側鏡板部(62)が設けられる。ピストン(72)はピストン本体(72b)を備える。ピストン本体(72b)と外側シリンダ部(71b)の間に外側流体室(S21)が、ピストン本体(72b)と内側シリンダ部(71a)の間に内側流体室(S22)が形成される。クランク軸(23)は主軸部(24)と偏心部(25)とを備える。ピストン本体(72b)の先端面の幅は偏心部(25)の偏心量の2倍よりも大きい。ピストン本体(72b)の先端面には凹溝(72d)が形成される。ピストン本体(72b)の内周縁と凹溝(72d)の内周縁の間の距離及びピストン本体(72b)の外周縁と凹溝(72d)の外周縁の間の距離は偏心量の2倍よりも小さい。
【選択図】図8

Description

本発明は、シリンダと、ピストンと、ピストンを偏心運動させるクランク軸とを備えた回転式流体機械に関するものである。
従来より、シリンダと、ピストンと、ピストンを偏心運動させるクランク軸とを備えた回転式流体機械が知られている。この種の回転式流体機械は、例えば冷凍装置の冷媒回路に設けられて冷媒を圧縮する圧縮機として用いられる。
特許文献1及び特許文献2には、回転式流体機械の一種であるロータリ式流体機械が開示されている。
特許文献1のロータリ式流体機械では、ピストンの先端面のうち高圧室側の部分に、その内圧がシリンダ室から吐出される流体の圧力よりも低くなる低圧溝が形成されている。このため、シリンダ又はピストンに作用する離反力の変動を抑制することができ、ピストンとシリンダの間に摩擦力が必要以上に発生することを防止することができる。従って、ロータリ式流体機械の機械損失を低減することができると共に、シリンダ又はピストンを傾斜させるモーメントを低減することによって、転覆を防止することができる。
また、特許文献2のロータリ式流体機械では、環状ピストン部の先端面に、環状ピストン部の周方向に延びる中間油溝が形成されている。そして、中間油溝に流入した潤滑油は、環状ピストン部の先端面においてその周方向に伸びる中間油溝内、及び中間油溝の周辺に行き渡る。環状ピストン部の先端面では、潤滑油が供給された部分で、環状ピストン部の先端面とシリンダ側鏡板部の間に形成された中間隙間が塞がれる。
特開2008−88857号公報 特開2008−82192号公報
ところで、ピストンの先端面の幅が比較的大きい長さであると、ピストンの先端面が摺動するシリンダ側鏡板部の前面に、ピストンの公転中においてシリンダ室に露出しない非露出部が発生することがある。このような非露出部が発生すると、ピストンとシリンダ側鏡板部との摺動による摩擦熱は、非露出部からシリンダ室へ吸入された冷媒や潤滑油を介して放出されず、それ故に、非露出部は冷却されない。従って、その摩擦熱が非露出部に籠もり、ピストン及びシリンダ側鏡板部が摩耗するおそれがある。
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的は、ピストン本体の先端面の幅が比較的大きい長さである回転式流体機械において、ピストン本体及びシリンダ側鏡板部が摩耗することを抑制することにある。
第1の発明は、シリンダ(71)と、該シリンダ(71)と共に流体室(S21,S22)を形成するピストン(72)と、上記ピストン(72)を貫通して上記ピストン(72)を偏心運動させるクランク軸(23)とを備えた回転式流体機械であって、上記シリンダ(71)は、円環状の内側シリンダ部(71a)と、該内側シリンダ部(71a)の周囲を囲む外側シリンダ部(71b)とを備え、上記シリンダ(71)の基端側には、シリンダ側鏡板部(62)が設けられ、上記ピストン(72)は、上記内側シリンダ部(71a)と上記外側シリンダ部(71b)の間に配置され且つ先端面が上記シリンダ側鏡板部(62)の前面(64)のうち上記内側シリンダ部(71a)と上記外側シリンダ部(71b)の間の部分と摺動する円環状のピストン本体(72b)を備え、上記ピストン本体(72b)と上記外側シリンダ部(71b)の間に第1の流体室(S21)が形成され、上記ピストン本体(72b)と上記内側シリンダ部(71a)の間に第2の流体室(S22)が形成され、上記クランク軸(23)は、主軸部(24)と、軸心が該主軸部(24)の軸心に対して偏心する偏心部(25)とを備え、上記ピストン本体(72b)の先端面の幅は、上記主軸部(24)の軸心に対する上記偏心部(25)の偏心量の2倍よりも大きく、 上記ピストン本体(72b)の先端面には、該ピストン本体(72b)の周方向に延びる凹溝(72d)が形成され、上記ピストン本体(72b)の内周縁と上記凹溝(72d)の内周縁の間の距離、及び上記ピストン本体(72b)の外周縁と上記凹溝(72d)の外周縁の間の距離は、上記偏心量の2倍よりも小さいことを特徴とするものである。
第1の発明では、ピストン本体(72b)の先端面の幅が、クランク軸(23)の主軸部(24)の軸心に対する偏心部(25)の偏心量の2倍よりも大きい。このため、シリンダ側鏡板部(62)の前面(64)のうち内側シリンダ部(71a)と外側シリンダ部(71b)の間の部分に、ピストン本体(72b)の公転中において流体室(S21,S22)に露出しない非露出部(64a)が発生する。この非露出部(64a)は、シリンダ側鏡板部(62)の周方向に延びる円状の領域である。非露出部(64a)は、シリンダ側鏡板部(62)の前面(64)のうち内側シリンダ部(71a)と外側シリンダ部(71b)の間の部分において、径方向の中央部に配置されている。
ここで、第1の発明では、凹溝(72d)がピストン本体(72b)の先端面にピストン本体(72b)の周方向に延びるように形成されている。そして、ピストン本体(72b)の内周縁と凹溝(72d)の内周縁の間の距離、及びピストン本体(72b)の外周縁と凹溝(72d)の外周縁の間の距離は、クランク軸(23)の偏心部(25)の偏心量の2倍よりも小さい。このため、ピストン本体(72b)の公転中において、凹溝(72d)は、シリンダ側鏡板部(62)の前面(64)の非露出部(64a)を径方向に沿って往復動し、非露出部(64a)は凹溝(72d)に露出する。
第2の発明は、上記第1の発明において、上記凹溝(72d)は、上記ピストン本体(72b)の先端面のうち上記第1の流体室(S21)及び上記第2の流体室(S22)の吸入側の部分に形成されていることを特徴とするものである。
ところで、流体室(S21,S22)の内圧は、吐出する直前の流体を圧縮する、流体室(S21,S22)の吐出側の部分において高くなる。このため、シリンダ(71)又はピストン(72)に作用する離反力は、流体室(S21,S22)の吐出側の部分において部分的に大きくなる。従って、シリンダ(71)又はピストン(72)に作用する押し付け力は、流体室(S21,S22)の吸入側の部分が流体室(S21,S22)の吐出側の部分よりも大きくなる。よって、ピストン本体(72b)とシリンダ側鏡板部(62)の間の摩擦力は、流体室(S21,S22)の吸入側の部分において大きくなり、ピストン本体(72b)及びシリンダ側鏡板部(62)のうち流体室(S21,S22)の吸入側の部分が摩耗しやすい。
ここで、第2の発明では、凹溝(72d)がピストン本体(72b)の先端面のうち第1の流体室(S21)及び第2の流体室(S22)の吸入側の部分に形成されている。このため、ピストン本体(72b)の公転中において、凹溝(72d)は、シリンダ側鏡板部(62)の前面(64)の非露出部(64a)のうち流体室(S21,S22)の吸入側の部分を径方向に沿って往復動し、非露出部(64a)のうち流体室(S21,S22)の吸入側の部分は凹溝(72d)に露出する。
第3の発明は、上記第1又は第2の発明において、上記シリンダ側鏡板部(62)の前面(64)には、上記第1の流体室(S21)及び上記第2の流体室(S22)と連通し且つ上記第1の流体室(S21)及び上記第2の流体室(S22)へ冷媒を吸入するための吸入口(76)が開口し、上記凹溝(72d)は、上記吸入口(76)と連通していることを特徴とするものである。
第3の発明では、シリンダ側鏡板部(62)の前面(64)に、第1の流体室(S21)及び第2の流体室(S22)と連通し且つ第1の流体室(S21)及び第2の流体室(S22)へ冷媒を吸入するための吸入口(76)が開口している。そして、凹溝(72d)は、吸入口(76)と連通している。このため、シリンダ側鏡板部(62)の前面(64)の非露出部(64a)に籠もった摩擦熱は、吸入口(76)から凹溝(72d)へ供給された冷媒によって冷却されると共に、凹溝(72d)から吸入口(76)へ逃げる。
本発明によれば、ピストン本体(72b)の公転中において、凹溝(72d)は、シリンダ側鏡板部(62)の前面(64)の非露出部(64a)を径方向に沿って往復動し、非露出部(64a)は凹溝(72d)に露出する。従って、ピストン本体(72b)と非露出部(64a)との摺動面積は減少すると共に、非露出部(64a)に籠もった摩擦熱は、凹溝(72d)へ逃げる。よって、ピストン本体(72b)及びシリンダ側鏡板部(62)が摩耗することを抑制することができる。
また、上記第2の発明によれば、ピストン本体(72b)の公転中において、凹溝(72d)は、シリンダ側鏡板部(62)の前面(64)の非露出部(64a)のうち流体室(S21,S22)の吸入側の部分を径方向に沿って往復動し、非露出部(64a)のうち流体室(S21,S22)の吸入側の部分は凹溝(72d)に露出する。従って、ピストン本体(72b)と非露出部(64a)のうち流体室(S21,S22)の吸入側の部分との摺動面積は減少すると共に、非露出部(64a)のうち流体室(S21,S22)の吸入側の部分に籠もった摩擦熱は、凹溝(72d)へ逃げる。よって、ピストン本体(72b)及びシリンダ側鏡板部(62)のうち流体室(S21,S22)の吸入側の部分が摩耗することを抑制することができる。
また、上記第3の発明によれば、シリンダ側鏡板部(62)の前面(64)の非露出部(64a)に籠もった摩擦熱は、吸入口(76)から凹溝(72d)へ供給された冷媒によって冷却されると共に、凹溝(72d)から吸入口(76)へ逃げる。よって、ピストン本体(72b)及びシリンダ側鏡板部(62)が摩耗することをより一層抑制することができる。
図1は、実施形態1の圧縮機の縦断面を示す断面図である。 図2は、実施形態1の圧縮機部の縦断面を示す断面図である。 図3は、実施形態1の圧縮機部の図2とは異なる縦断面を示す断面図である。 図4は、実施形態1の圧縮機部の要部の縦断面を拡大して示す断面図であって、(A)はリアヘッド付近の要部を示し、(B)はフロントヘッド付近の要部を示す。 図5は、図2のE−E断面を示す第1圧縮機構の横断面である。 図6は、図2のF−F断面を示す第2圧縮機構の横断面である。 図7は、実施形態1の圧縮機の横断面(図2のG−G断面)を示す断面図である。 図8は、実施形態1の第2圧縮機構の要部の縦断面を拡大して示す断面図である。 図9は、実施形態1の第2圧縮機構の縦断面を示す断面図である。 図10は、実施形態1の第1圧縮機構の横断面図であって、駆動軸の回転角度が45°変化する毎の状態を示すものである。 図11は、実施形態1の第2圧縮機構の横断面図(図9のH−H断面)であって、駆動軸の回転角度が90°変化する毎の状態を示すものである。
本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下で説明する実施形態および変形例は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物、あるいはその用途の範囲を制限することを意図するものではない。
《発明の実施形態1》
本発明の実施形態1について説明する。回転式流体機械である本実施形態の圧縮機(10)は、冷凍サイクルを行う冷媒回路に設けられ、冷媒回路内を循環する冷媒を吸入して圧縮する。
−圧縮機の全体構成−
図1に示すように、圧縮機(10)は、密閉容器状のケーシング(11)を備えている。ケーシング(11)は、起立した円筒状の胴部(12)と、肉厚の円板状に形成された一対の端板部(13)とを備えている。ケーシング(11)では、端板部(13)が胴部(12)の各端部に一つずつ配置され、胴部(12)の端部が端板部(13)によって閉塞される。
ケーシング(11)の内部には、電動機(20)と、圧縮機部(30)とが収納されている。圧縮機部(30)は、電動機(20)の下方に配置されている。圧縮機部(30)は、低段側の第1圧縮機構(40)と、高段側の第2圧縮機構(60)とを備えている。
ケーシング(11)の胴部(12)には、第1吸入管(14)、第1吐出管(15)、第2吸入管(16)、及び第2吐出管(17)が設けられている。これらの吸入管(14,16)と吐出管(15,17)は、胴部(12)を貫通している。第1吸入管(14)及び第1吐出管(15)は、第1圧縮機構(40)に接続される。第2吸入管(16)は、第2圧縮機構(60)に接続される。図示を省略するが、第1吐出管(15)と第2吸入管(16)は、配管を介して接続されている。
第2吐出管(17)は、電動機(20)よりも上方に配置されている。第2吐出管(17)は、入口側の端部が上側に直角に曲がっており、入口端が上向きに開口している。つまり、第2吐出管(17)の入口端は、上側の端板部(13)と対面している。また、第2吐出管(17)の入口側の端部は、胴部(12)の中心軸付近に位置している。
本実施形態の圧縮機(10)は、高段側の第2圧縮機構(60)において圧縮された冷媒がケーシング(11)の内部空間に吐出され、第2吐出管(17)を介してケーシング(11)の外部へ排出されるように構成されている。つまり、この圧縮機(10)は、ケーシング(11)の内部空間の圧力が圧縮機(10)の吐出圧力と実質的に等しい高圧ドーム型の圧縮機である。
ケーシング(11)の内部には、駆動軸(23)が胴部(12)の軸方向に沿って設けられている。この駆動軸(23)は、電動機(20)と圧縮機部(30)を連結している。なお、密閉容器状のケーシング(11)の底部には、圧縮機部(30)の各摺動部に供給するための潤滑油(冷凍機油)が貯留されている。
クランク軸である駆動軸(23)は、主軸部(24)と二つの偏心部(25,26)とを備えている。二つの偏心部(25,26)は、主軸部(24)の軸方向に並んで配置されている。これら二つの偏心部(25,26)は、上側に位置するものが上側偏心部(25)であり、下側に位置するものが下側偏心部(26)である。また、これら二つの偏心部(25,26)は、それぞれが主軸部(24)よりも大径の円柱状に形成され、それぞれの軸心が主軸部(24)の軸心に対して偏心している。また、上側偏心部(25)の偏心方向と下側偏心部(26)の偏心方向は、主軸部(24)の軸心を中心として互いに180°ずれている。
駆動軸(23)の下端には、油吸込管(28)が突設されている。油吸込管(28)の下端は、ケーシング(11)の底部に貯留された潤滑油に浸かっている。また、図示しないが、駆動軸(23)の内部には、油吸込管(28)に接続する給油通路が形成されている。遠心ポンプ作用によって油吸込管(28)へ吸い込まれた潤滑油は、給油通路を通って各圧縮機構(40,60)の摺動箇所へ供給される。
電動機(20)は、固定子(21)と回転子(22)とを備えている。固定子(21)は、ケーシング(11)の胴部(12)に固定されている。一方、回転子(22)は、固定子(21)の内側に配置され、駆動軸(23)の主軸部(24)に連結されている。
固定子(21)には、その外周部の一部を切り欠くことによってコアカット(21a)が形成されている。ケーシング(11)の内部空間は、電動機(20)の上側の部分と下側の部分がコアカット(21a)を介して連通する。
図2及び図7にも示すように、ケーシング(11)の内部空間のうち圧縮機部(30)と電動機(20)の間の部分である一次空間(S1)には、油戻しガイド(85)と油飛散防止カバー(86)とが配置されている。また、図1に示すように、ケーシング(11)の内部空間のうち電動機(20)よりも上側の部分である二次空間(S2)には、油戻しガイド(87)が配置されている。一次空間(S1)の油戻しガイド(85)及び油飛散防止カバー(86)と、二次空間(S2)の油戻しガイド(87)とは、いずれもケーシング(11)の胴部(12)に取り付けられている。
油飛散防止カバー(86)は、固定子(21)とケーシング(11)の間に形成されたコアカット(21a)の下方に配置される。油飛散防止カバー(86)は、ケーシング(11)の胴部(12)の内周面を覆う形状の部材であり、胴部(12)との間に油の通路を形成する。
ここで、電動機(20)の回転子(22)は、図7における時計方向に回転する。このため、一次空間(S1)及び二次空間(S2)では、回転子(22)の回転方向と同じ向きに冷媒が回転するように流れる。つまり、一次空間(S1)及び二次空間(S2)では、回転子(22)の回転方向と同じ向きの旋回流が生じる。
一次空間(S1)及び二次空間(S2)の油戻しガイド(85,87)は、ケーシング(11)の胴部(12)の内周面を覆う形状の部材である。そして、これらの油戻しガイド(85,87)は、旋回流に含まれる油滴を捕捉して下方へ導くように構成されている。
−圧縮機部の構成−
圧縮機部(30)の詳細な構成について、図2〜図9を参照しながら説明する。なお、図9では、第2吸入管(16)の図示を省略している。
図2及び図3に示すように、圧縮機部(30)は、第1圧縮機構(40)と、第2圧縮機構(60)とを備えている。両圧縮機構(40,60)の間には、ミドルプレート(31)が挟み込まれている。また、両圧縮機構(40,60)とミドルプレート(31)は、マウンティングプレート(35)を介して、ケーシング(11)に固定されている。
〈第1圧縮機構〉
図2及び図3に示すように、第1圧縮機構(40)は、リアヘッド(41)と、第1シリンダ(51)と、第1ピストン(52)と、第1ブレード(54)とを備えている。第1シリンダ(51)は、リアヘッド(41)と一体に形成されている。また、第1ピストン(52)は、第1シリンダ(51)に対して相対的に偏心回転する。
リアヘッド(41)は、厚板状のシリンダ側鏡板部(42)を備えている。リアヘッド(41)の中央部には、支持用貫通孔(43)が形成されている。この支持用貫通孔(43)は、断面が円形の孔であって、リアヘッド(41)をその厚さ方向(図2における上下方向)に貫通する。つまり、支持用貫通孔(43)は、リアヘッド(41)の前面(44)(図2における上面)及び背面(図2における下面)に開口している。
リアヘッド(41)の支持用貫通孔(43)には、円筒状の軸受メタル(47)が圧入されている。この軸受メタル(47)には、駆動軸(23)の主軸部(24)のうち下側偏心部(26)の下方に位置する部分が挿し通されている。軸受部材であるリアヘッド(41)は、駆動軸(23)を支持する滑り軸受を構成する。
図4(A)にも示すように、リアヘッド(41)には、抜け止め部である環状突部(43a)が形成されている。この環状突部(43a)は、支持用貫通孔(43)の壁面の周方向へ延びる円環状の突部であって、図4(A)における支持用貫通孔(43)の上端付近に配置されている。環状突部(43a)の内径φは、支持用貫通孔(43)の内径φよりも小さい。また、環状突部(43a)の内径φは、軸受メタル(47)の外径φmoよりも小さく、軸受メタル(47)の内径φmiよりも大きい。図4(A)において、軸受メタル(47)の上端が環状突部(43a)の下端に当たった状態では、軸受メタル(47)の上方への移動が環状突部(43a)によって阻止される。
図2及び図3に示すように、リアヘッド(41)には、環状溝(45)が形成されている。この環状溝(45)は、リアヘッド(41)の前面(44)に開口する円環状の溝であって、リアヘッド(41)の前面(44)における支持用貫通孔(43)の開口部を囲うように配置される。また、リアヘッド(41)には、環状溝(45)から冷凍機油を排出するための排油通路(49a)が形成されている。
リアヘッド(41)には、第1吸入通路(14a)が形成されている。第1吸入通路(14a)は、一端がシリンダ側鏡板部(42)の外周面に開口し、他端がシリンダ側鏡板部(42)の前面(44)に開口する。第1吸入通路(14a)の一端には、第1吸入管(14)が差し込まれている。シリンダ側鏡板部(42)の前面(44)における第1吸入通路(14a)の開口部は、吸入口(56)である。この吸入口(56)の位置については、後述する。
リアヘッド(41)には、背面側凹部(46)が形成されている。背面側凹部(46)は、シリンダ側鏡板部(42)の背面(図2及び図3における下面)に開口する凹部である。この背面側凹部(46)には、第1吐出管(15)が連通している。また、リアヘッド(41)には、ボトムプレート(34)が取り付けられている。ボトムプレート(34)は、円板状の部材であって、シリンダ側鏡板部(42)の背面を覆うように設けられる。シリンダ側鏡板部(42)の背面に開口する背面側凹部(46)は、ボトムプレート(34)によって塞がれる。
リアヘッド(41)には、二つの吐出通路(15a,15b)が形成されている。各吐出通路(15a,15b)は、シリンダ側鏡板部(42)をその厚さ方向に貫通する貫通孔である。各吐出通路(15a,15b)は、一端がシリンダ側鏡板部(42)の前面(44)に開口し、他端が背面側凹部(46)の底面に開口する。シリンダ側鏡板部(42)の前面(44)における内側吐出通路(15a)の開口部は、内側吐出口(57a)である。シリンダ側鏡板部(42)の前面(44)における外側吐出通路(15b)の開口部は、外側吐出口(57b)である。内側吐出口(57a)及び外側吐出口(57b)の位置については、後述する。
図3に示すように、リアヘッド(41)には、二つの吐出弁(58a,58b)が設けられている。各吐出弁(58a,58b)は、いわゆるリード弁であって、シリンダ側鏡板部(42)の背面側凹部(46)の底面に設置されている。内側吐出弁(58a)は、背面側凹部(46)の底面における内側吐出通路(15a)の開口部を覆うように配置され、この内側吐出通路(15a)を開閉する。外側吐出弁(58b)は、背面側凹部(46)の底面における外側吐出通路(15b)の開口部を覆うように配置され、この外側吐出通路(15b)を開閉する。
第1シリンダ(51)は、内側シリンダ部(51a)及び外側シリンダ部(51b)によって構成されている。内側シリンダ部(51a)及び外側シリンダ部(51b)は、リアヘッド(41)のシリンダ側鏡板部(42)と一体に形成され、シリンダ側鏡板部(42)の前面(44)(図2における上面)から上方に突出している。
図5にも示すように、内側シリンダ部(51a)は、短い円筒状に形成され、環状溝(45)の周囲を囲むように配置されている。外側シリンダ部(51b)は、内側シリンダ部(51a)の周囲を囲むように配置されている。外側シリンダ部(51b)の内周面は、内側シリンダ部(51a)の外周面と対面する円筒面である。
第1ピストン(52)は、ピストン側鏡板部(52a)と、ピストン本体(52b)と、軸受部(52c)とを備えている。軸受部(52c)は、短い円筒状に形成されている。第1ピストン(52)は、軸受部(52c)に軸受メタル(53)が圧入され、この軸受メタル(53)に駆動軸(23)の下側偏心部(26)が挿し通される。ピストン側鏡板部(52a)は、軸受部(52c)の一端部(図2における上端部)に連続した平板状の部分であって、軸受部(52c)から外方へ延びるドーナツ板状に形成されている。ピストン本体(52b)は、軸受部(52c)の周囲を囲む短い円筒状に形成され、ピストン側鏡板部(52a)の前面(図2における下面)から下方へ突出している。また、図5に示すように、ピストン本体(52b)は、その周方向の一箇所で分断されている。
第1ピストン(52)は、ピストン側鏡板部(52a)の前面(図2における下面)がシリンダ側鏡板部(42)の前面(44)と向かい合い、ピストン本体(52b)が内側シリンダ部(51a)と外側シリンダ部(51b)の間に入り込む。また、第1ピストン(52)は、ピストン側鏡板部(52a)の前面のうち軸受部(52c)とピストン本体(52b)の間の部分が内側シリンダ部(51a)の突端面(図2における上端面)と摺動し、ピストン側鏡板部(52a)の前面のうちピストン本体(52b)よりも外側の部分が外側シリンダ部(51b)の突端面(図2における上端面)と摺動し、ピストン本体(52b)の突端面(図2における下端面)がシリンダ側鏡板部(42)の前面(44)のうち内側シリンダ部(51a)と外側シリンダ部(51b)の間の部分と摺動する。
図5にも示すように、第1圧縮機構(40)では、第1シリンダ(51)と第1ピストン(52)によって、第1の流体室である外側流体室(S11)及び第2の流体室である内側流体室(S12)が形成される。具体的に、第1圧縮機構(40)では、ピストン本体(52b)と外側シリンダ部(51b)の間に外側流体室(S11)が形成され、ピストン本体(52b)と内側シリンダ部(51a)の間に内側流体室(S12)が形成される。
第1ブレード(54)は、内側シリンダ部(51a)の径方向に延びる平板状の部分であって、内側シリンダ部(51a)の外周面から外側シリンダ部(51b)の内周面に亘って形成されている。また、第1ブレード(54)は、シリンダ側鏡板部(42)の前面(44)から突出している。第1ブレード(54)は、シリンダ側鏡板部(42)、内側シリンダ部(51a)、及び外側シリンダ部(51b)と一体に形成されている。第1ブレード(54)は、ピストン本体(52b)の分断箇所に入り込み、外側流体室(S11)と内側流体室(S12)のそれぞれを、低圧室(S11L,S12L)と高圧室(S11H,S12H)に仕切る。
第1圧縮機構(40)は、一対の第1揺動ブッシュ(55)を備えている。第1揺動ブッシュ(55)は、図5における第1ブレード(54)の右側と左側に一つずつ設けられている。各第1揺動ブッシュ(55)には、第1ブレード(54)と摺接する平坦面と、平坦面の反対側に位置する円弧面とが形成されている。第1揺動ブッシュ(55)の円弧面は、ピストン本体(52b)の分断箇所の端面と摺接する。
吸入口(56)は、図5における第1ブレード(54)の右側に配置され、外側流体室(S11)と内側流体室(S12)の両方と連通する。つまり、吸入口(56)は、外側流体室(S11)及び内側流体室(S12)の低圧室(S11L,S12L)に連通する。一方、内側吐出口(57a)及び外側吐出口(57b)は、第1ブレード(54)の左側に配置されている。内側吐出口(57a)は、内側流体室(S12)の高圧室(S12H)に連通し、外側吐出口(57b)は、外側流体室(S11)の高圧室(S11H)に連通する。
第1圧縮機構(40)では、ピストン本体(52b)の外周面と外側シリンダ部(51b)の内周面が互いの周方向における一箇所で摺接し、ピストン本体(52b)の内周面と内側シリンダ部(51a)の外周面が互いの周方向における一箇所で摺接する。ピストン本体(52b)の外周面と外側シリンダ部(51b)の内周面の摺接箇所と、ピストン本体(52b)の内周面と内側シリンダ部(51a)の外周面の摺接箇所は、主軸部(24)の軸心を挟んで反対側に位置している。
〈第2圧縮機構〉
図2及び図3に示すように、第2圧縮機構(60)は、フロントヘッド(61)と、第2シリンダ(71)と、第2ピストン(72)と、第2ブレード(74)とを備えている。第2シリンダ(71)は、フロントヘッド(61)と一体に形成されている。また、第2ピストン(72)は、第2シリンダ(71)に対して相対的に偏心回転する。
フロントヘッド(61)は、厚板状のシリンダ側鏡板部(62)を備えている。シリンダ側鏡板部(62)には、円筒状の筒状突部(62a)が一体に形成されている。筒状突部(62a)は、シリンダ側鏡板部(62)の中央部に配置され、シリンダ側鏡板部(62)の背面(図2における上面)から上方へ突出している。フロントヘッド(61)の中央部には、支持用貫通孔(63)が形成されている。この支持用貫通孔(63)は、断面が円形の孔であって、フロントヘッド(61)をその厚さ方向(図2における上下方向)に貫通する。つまり、支持用貫通孔(63)は、一端が筒状突部(62a)の突端面に開口し、他端がシリンダ側鏡板部(62)の前面(64)(図2における下面)に開口する。
フロントヘッド(61)の支持用貫通孔(63)には、円筒状の軸受メタル(67)が圧入されている。この軸受メタル(67)には、駆動軸(23)の主軸部(24)のうち上側偏心部(25)の上方に位置する部分が挿し通されている。軸受部材であるフロントヘッド(61)は、駆動軸(23)を支持する滑り軸受を構成する。
図4(B)にも示すように、フロントヘッド(61)には、抜け止め部である環状突部(63a)が形成されている。この環状突部(63a)は、支持用貫通孔(63)の壁面の周方向へ延びる円環状の突部であって、図4(B)における支持用貫通孔(63)の下端付近に配置されている。環状突部(63a)の内径φは、支持用貫通孔(63)の内径φよりも小さい。また、環状突部(63a)の内径φは、軸受メタル(67)の外径φmoよりも小さく、軸受メタル(67)の内径φmiよりも大きい。図4(B)において、軸受メタル(67)の下端が環状突部(63a)の上端に当たった状態では、軸受メタル(67)の下方への移動が環状突部(63a)によって阻止される。
図2及び図3に示すように、フロントヘッド(61)には、環状溝(65)が形成されている。この環状溝(65)は、フロントヘッド(61)の前面(64)に開口する円環状の溝であって、フロントヘッド(61)の前面(64)における支持用貫通孔(63)の開口部を囲うように配置される。また、図示しないが、フロントヘッド(61)には、環状溝(65)から冷凍機油を排出するための排油通路が形成されている。
フロントヘッド(61)には、第2吸入通路(16a)が形成されている。第2吸入通路(16a)は、一端がシリンダ側鏡板部(62)の外周面に開口し、他端がシリンダ側鏡板部(62)の前面(64)に開口する。第2吸入通路(16a)の一端には、第2吸入管(16)が差し込まれている。シリンダ側鏡板部(62)の前面(64)における第2吸入通路(16a)の開口部は、吸入口(76)である。この吸入口(76)の位置については、後述する。
図3に示すように、フロントヘッド(61)には、背面側凹部(66)が形成されている。背面側凹部(66)は、シリンダ側鏡板部(62)の背面(図3における上面)に開口する凹部である。背面側凹部(66)は、シリンダ側鏡板部(62)の背面を覆うように設置されたマウンティングプレート(35)によって塞がれる。マウンティングプレート(35)については、後述する。
フロントヘッド(61)には、二つの吐出通路(17a,17b)が形成されている。各吐出通路(17a,17b)は、シリンダ側鏡板部(62)をその厚さ方向に貫通する貫通孔である。各吐出通路(17a,17b)は、一端がシリンダ側鏡板部(62)の前面(64)に開口し、他端が背面側凹部(66)の底面に開口する。シリンダ側鏡板部(62)の前面(64)における内側吐出通路(17a)の開口部は、内側吐出口(77a)である。シリンダ側鏡板部(62)の前面(64)における外側吐出通路(17b)の開口部は、外側吐出口(77b)である。内側吐出口(77a)及び外側吐出口(77b)の位置については、後述する。
フロントヘッド(61)には、二つの吐出弁(78a,78b)が設けられている。各吐出弁(78a,78b)は、いわゆるリード弁であって、シリンダ側鏡板部(62)の背面側凹部(66)の底面に設置されている。内側吐出弁(78a)は、背面側凹部(66)の底面における内側吐出通路(17a)の開口部を覆うように配置され、この内側吐出通路(17a)を開閉する。外側吐出弁(78b)は、背面側凹部(66)の底面における外側吐出通路(17b)の開口部を覆うように配置され、この外側吐出通路(17b)を開閉する。
第2シリンダ(71)は、内側シリンダ部(71a)及び外側シリンダ部(71b)によって構成されている。内側シリンダ部(71a)及び外側シリンダ部(71b)は、フロントヘッド(61)のシリンダ側鏡板部(62)と一体に形成され、シリンダ側鏡板部(62)の前面(64)から下方に突出している。つまり、第2シリンダ(71)の基端側に、シリンダ側鏡板部(62)が設けられている。
図6にも示すように、内側シリンダ部(71a)は、短い円筒状に形成され、環状溝(65)の周囲を囲むように配置されている。外側シリンダ部(71b)は、内側シリンダ部(71a)の周囲を囲むように配置されている。外側シリンダ部(71b)の内周面は、内側シリンダ部(71a)の外周面と対面する円筒面である。
第2ピストン(72)は、ピストン側鏡板部(72a)と、ピストン本体(72b)と、軸受部(72c)とを備えている。軸受部(72c)は、短い円筒状に形成されている。第2ピストン(72)は、軸受部(72c)に軸受メタル(73)が圧入され、この軸受メタル(73)に駆動軸(23)の上側偏心部(25)が挿し通される。ピストン側鏡板部(72a)は、軸受部(72c)の一端部(図2における下端部)に連続した平板状の部分であって、軸受部(72c)から外方へ延びるドーナツ板状に形成されている。ピストン本体(72b)は、軸受部(72c)の周囲を囲む短い円筒状に形成され、ピストン側鏡板部(72a)の前面(図2における上面)から上方へ突出している。また、図6に示すように、ピストン本体(72b)は、その周方向の一箇所で分断されている。
図8に示すように、ピストン本体(72b)の先端面である突端面(図2における上面)の幅(径方向の長さ)は、駆動軸(23)の主軸部(24)の軸心に対する上側偏心部(25)の偏心量Ror(図9を参照)の2倍(2×Ror)よりも大きい。つまり、シリンダ側鏡板部(62)の前面(64)のうち非露出部(64a)の幅Dは0よりも大きい。この非露出部(64a)については、後述する。なお、第1圧縮機構(40)では、ピストン本体(52b)の突端面の幅は、駆動軸(23)の主軸部(24)の軸心に対する下側偏心部(26)の偏心量の2倍よりも小さい。
図6、図8及び図9にも示すように、ピストン本体(72b)の突端面には、凹溝(72d)が形成されている。この凹溝(72d)は、ピストン本体(72b)の周方向に延びる円弧状の溝であって、断面が四角形の溝である。凹溝(72d)は、ピストン本体(72b)の突端面のうち吸入口(76)近傍の部分から延びている。凹溝(72d)は、ピストン本体(72b)の突端面の幅方向(径方向)の中央部に配置されている。凹溝(72d)の大部分は、ピストン本体(72b)の突端面のうち流体室(S21,S22)の吸入側の部分である図6における右側の部分に位置している。この大部分とは、例えば、凹溝(72d)のうち周方向の三分の二以上の部分である。そして、ピストン本体(72b)の突端面の内周縁と凹溝(72d)の開口の内周縁の間の距離t1、及びピストン本体(72b)の突端面の外周縁と凹溝(72d)の開口の外周縁の間の距離t2は、駆動軸(23)の上側偏心部(25)の偏心量Rorの2倍よりも小さい(t1<2×Ror,t2<2×Ror)。また、第2ピストン(72)が移動しても、凹溝(72d)の一端は、吸入口(76)と常に連通する。そして、凹溝(72)とシリンダ側鏡板部(62)によって仕切られた閉空間に、吸入口(76)から低圧冷媒が供給される。
第2ピストン(72)は、ピストン側鏡板部(72a)の前面(図2における上面)がシリンダ側鏡板部(62)の前面(64)と向かい合い、ピストン本体(72b)が内側シリンダ部(71a)と外側シリンダ部(71b)の間に入り込む。また、第2ピストン(72)は、ピストン側鏡板部(72a)の前面のうち軸受部(72c)とピストン本体(72b)の間の部分が内側シリンダ部(71a)の突端面(図2における下端面)と摺動し、ピストン側鏡板部(72a)の前面のうちピストン本体(72b)よりも外側の部分が外側シリンダ部(71b)の突端面(図2における下端面)と摺動し、ピストン本体(72b)の突端面(図2における上端面)がシリンダ側鏡板部(62)の前面(64)のうち内側シリンダ部(71a)と外側シリンダ部(71b)の間の部分と摺動する。
図6にも示すように、第2圧縮機構(60)では、第2シリンダ(71)と第2ピストン(72)によって、外側流体室(S21)及び内側流体室(S22)が形成される。具体的に、第2圧縮機構(60)では、ピストン本体(72b)と外側シリンダ部(71b)の間に外側流体室(S21)が形成され、ピストン本体(72b)と内側シリンダ部(71a)の間に内側流体室(S22)が形成される。
第2ブレード(74)は、内側シリンダ部(71a)の径方向に延びる平板状の部分であって、内側シリンダ部(71a)の外周面から外側シリンダ部(71b)の内周面に亘って形成されている。また、第2ブレード(74)は、シリンダ側鏡板部(62)の前面(64)から突出している。第2ブレード(74)は、シリンダ側鏡板部(62)、内側シリンダ部(71a)、及び外側シリンダ部(71b)と一体に形成されている。第2ブレード(74)は、ピストン本体(72b)の分断箇所に入り込み、外側流体室(S21)と内側流体室(S22)のそれぞれを、低圧室(S21L,S22L)と高圧室(S21H,S22H)に仕切る。
第2圧縮機構(60)は、一対の第2揺動ブッシュ(75)を備えている。第2揺動ブッシュ(75)は、図6における第2ブレード(74)の右側と左側に一つずつ設けられている。各第2揺動ブッシュ(75)には、第2ブレード(74)と摺接する平坦面と、平坦面の反対側に位置する円弧面とが形成されている。第2揺動ブッシュ(75)の円弧面は、ピストン本体(72b)の分断箇所の端面と摺接する。
吸入口(76)は、図6における第2ブレード(74)の右側に配置され、外側流体室(S21)と内側流体室(S22)の両方と連通する。つまり、吸入口(76)は、外側流体室(S21)及び内側流体室(S22)の低圧室(S21L,S22L)に連通する。一方、内側吐出口(77a)及び外側吐出口(77b)は、第2ブレード(74)の左側に配置されている。内側吐出口(77a)は、内側流体室(S22)の高圧室(S22H)に連通し、外側吐出口(77b)は、外側流体室(S21)の高圧室(S21H)に連通する。
第2圧縮機構(60)では、ピストン本体(72b)の外周面と外側シリンダ部(71b)の内周面が互いの周方向における一箇所で摺接し、ピストン本体(72b)の内周面と内側シリンダ部(71a)の外周面が互いの周方向における一箇所で摺接する。ピストン本体(72b)の外周面と外側シリンダ部(71b)の内周面の摺接箇所と、ピストン本体(72b)の内周面と内側シリンダ部(71a)の外周面の摺接箇所は、主軸部(24)の軸心を挟んで反対側に位置している。
〈ミドルプレート〉
図2に示すように、ミドルプレート(31)は、円板状の平板部(31b)と、平板部(31b)の周囲を囲むように形成された筒状の筒部(31a)とを備えている。
筒部(31a)は、リアヘッド(41)と一体の外側シリンダ部(51b)と、フロントヘッド(61)と一体の外側シリンダ部(71b)との間に挟み込まれている。つまり、図2では、筒部(31a)の下端面が外側シリンダ部(51b)の突端面と密着し、筒部(31a)の上端面が外側シリンダ部(71b)の突端面と密着する。
平板部(31b)は、第1ピストン(52)のピストン側鏡板部(52a)と第2ピストン(72)のピストン側鏡板部(72a)の間に挟み込まれている。平板部(31b)は、図2における下面が第1ピストン(52)のピストン側鏡板部(52a)の背面と対面し、同図における上面が第2ピストン(72)のピストン側鏡板部(72a)の背面と対面する。また、平板部(31b)の中央部には、平板部(31b)をその厚さ方向に貫通する貫通孔(31c)が形成されている。この貫通孔(31c)には、駆動軸(23)のうち上側偏心部(25)と下側偏心部(26)の間の部分が挿し通されている。
ミドルプレート(31)の平板部(31b)は、第1ピストン(52)側の面に第1シールリング(32a)と第2シールリング(32b)が設けられ、第2ピストン(72)側の面に第3シールリング(32c)が設けられる。これらシールリング(32a〜32c)は、貫通孔(31c)の周囲を囲むように配置され、平板部(31b)に形成された円環状の溝に嵌まり込んでいる。また、第1シールリング(32a)は、第2シールリング(32b)の周囲を囲むように配置される。第1シールリング(32a)及び第2シールリング(32b)は、第1ピストン(52)のピストン側鏡板部(52a)の背面と接触する。第3シールリング(32c)は、第2ピストン(72)のピストン側鏡板部(72a)の背面と接触する。
〈マウンティングプレート〉
図2及び図7に示すように、マウンティングプレート(35)は、円板部(36)と周縁部(37)とを備えた皿状の部材である。円板部(36)は、平坦な円板状に形成されている。周縁部(37)は、円板部(36)の周縁に連続して形成された円筒状の部分である。周縁部(37)の外周面は、ケーシング(11)の胴部(12)の内周面と密着している。また、マウンティングプレート(35)は、周縁部(37)がケーシング(11)の胴部(12)と溶接によって接合されている。
マウンティングプレート(35)には、第1圧縮機構(40)と、第2圧縮機構(60)と、ミドルプレート(31)と、ボトムプレート(34)とが、三本のボルト(80)によって締結されている。図7に示すように、これら三本のボルト(80)は、マウンティングプレート(35)の円板部(36)の周方向に、概ね等角度間隔で配置されている。各ボルト(80)は、マウンティングプレート(35)の円板部(36)と、フロントヘッド(61)のシリンダ側鏡板部(62)と、ミドルプレート(31)の平板部(31b)と、リアヘッド(41)のシリンダ側鏡板部(42)とを貫通する。また、各ボルト(80)の雄ねじ部は、ボトムプレート(34)に形成された雌ねじと噛み合う。なお、ここに示したボルト(80)の本数は、単なる一例である。
図3に示すように、マウンティングプレート(35)は、円板部(36)の中央部に連通用貫通孔(36a)が形成されている。連通用貫通孔(36a)は、円板部(36)をその厚さ方向に貫通する比較的大径の孔である。この連通用貫通孔(36a)には、フロントヘッド(61)の筒状突部(62a)が挿し通されている。連通用貫通孔(36a)の直径は、筒状突部(62a)の外径よりも大きい。従って、連通用貫通孔(36a)の周縁部と筒状突部(62a)の間には隙間が形成され、この隙間を介してフロントヘッド(61)の背面側凹部(66)がマウンティングプレート(35)の円板部(36)の上側の空間と連通する。
〈デミスタ部材〉
図2及び図3に示すように、マウンティングプレート(35)の円板部(36)には、デミスタ部材(81)が載っている。このデミスタ部材(81)は、固定部材(82)によってマウンティングプレート(35)に固定されている。
デミスタ部材(81)は、金属メッシュを円筒状に成型した部材であって、円板部(36)の連通用貫通孔(36a)の周囲を囲むように配置されている。図7にも示すように、固定部材(82)は、デミスタ部材(81)の上面を覆う一つの蓋部(82a)と、蓋部(82a)の周縁から下方へ延びる三つの脚部(82b)とを備えている。三つの脚部(82b)は、蓋部(82a)の周方向へ概ね等角度間隔で配置されている。固定部材(82)は、各脚部(82b)の下端部がマウンティングプレート(35)の円板部(36)に固定されている。なお、駆動軸(23)は、固定部材(82)の蓋部(82a)の中央部を貫通している。
−運転動作−
圧縮機(10)の運転動作について説明する。
先ず、圧縮機(10)全体の運転動作について、図1を参照しながら説明する。電動機(20)に通電すると、駆動軸(23)が回転し、圧縮機構(40,60)のピストン(52,72)が駆動軸(23)によって駆動される。
圧縮機(10)の第1吸入管(14)には、冷媒回路の蒸発器で蒸発した冷媒が吸入される。第1吸入管(14)へ流入した低圧冷媒は、第1圧縮機構(40)の外側流体室(S11)及び内側流体室(S12)へ吸い込まれて圧縮される。各流体室(S11,S12)内で圧縮された冷媒は、リアヘッド(41)に形成された背面側凹部(46)へ吐出される。第1圧縮機構(40)から吐出された冷媒は、第1吐出管(15)を通って一旦ケーシング(11)の外部へ流出し、図外のインジェクション用配管から供給された中間圧冷媒と混合された後に、第2吸入管(16)を通って第2吸入通路(16a)へ流入する。
第2吸入通路(16a)へ流入した冷媒は、第2圧縮機構(60)の外側流体室(S21)及び内側流体室(S22)へ吸い込まれて更に圧縮される。各流体室(S21,S22)内で圧縮された冷媒は、フロントヘッド(61)の背面側凹部(66)へ吐出される。第2圧縮機構(60)から吐出された冷媒は、ケーシング(11)内の一次空間(S1)と二次空間(S2)を順に通過し、その後に第2吐出管(17)を通ってケーシング(11)の外部へ流出してゆく。
また、駆動軸(23)が回転すると、ケーシング(11)の底部に貯留されている潤滑油が油吸込管(28)へ吸い込まれ、駆動軸(23)の内部に形成された給油通路を通って圧縮機部(30)の摺動箇所へ供給される。
次に、圧縮機部(30)の運転動作について、図10を参照しながら説明する。ここでは、第1圧縮機構(40)の運転動作について説明するが、第2圧縮機構(60)の運転動作は第1圧縮機構(40)と基本的に同じである。なお、図10では、軸受メタル(47)の図示を省略している。
第1圧縮機構(40)では、第1ピストン(52)のピストン本体(52b)が第1ブレード(54)に沿って往復動すると共に揺動する。そして、第1圧縮機構(40)では、ピストン本体(52b)が外側シリンダ部(51b)及び内側シリンダ部(51a)に対して揺動しながら公転し、流体室(S11,S12)へ冷媒が吸入されて圧縮される。
具体的に、図10(A)の状態から駆動軸(23)が同図における時計方向へ回転し、ピストン本体(52b)の外周面と外側シリンダ部(51b)の内周面の接触位置が吸入口(56)を通過すると、吸入口(56)から外側流体室(S11)の低圧室(S11L)へ低圧冷媒が吸入され始める。その後、駆動軸(23)が回転すると、低圧室(S11L)の容積が増大してゆき(図10(B),(C),…を参照)、図10(A)の状態に戻ると低圧室(S11L)の容積が最大になる。低圧室(S11L)の容積が増加している間は、吸入口(56)から低圧室(S11L)へ低圧冷媒が吸入され続ける。
一方、図10(A)の状態から駆動軸(23)が同図における時計方向へ回転し、ピストン本体(52b)の外周面と外側シリンダ部(51b)の内周面の接触位置が吸入口(56)を通過すると、外側流体室(S11)の高圧室(S11H)が第1吸入通路(14a)から遮断された閉空間となる。その後、駆動軸(23)が回転すると、高圧室(S11H)の容積が減少してゆき(図10(B),(C),…を参照)、高圧室(S11H)内の冷媒が圧縮され、高圧室(S11H)内の冷媒圧力が上昇してゆく。
高圧室(S11H)内の冷媒圧力が背面側凹部(46)の圧力よりも幾分高くなると、外側吐出弁(58b)が開き、高圧室(S11H)内の冷媒が外側吐出口(57b)を通って背面側凹部(46)へ流出してゆく。例えば図10(F)の状態で外側吐出弁(58b)が開いたとすると、その後は高圧室(S11H)内の冷媒が外側吐出口(57b)を通って流出する。そして、図10(A)の状態に戻ると、高圧室(S11H)からの冷媒の吐出が完了する。
また、図10(E)の状態から駆動軸(23)が同図における時計方向へ回転し、ピストン本体(52b)の内周面と内側シリンダ部(51a)の外周面の接触位置が吸入口(56)を通過すると、吸入口(56)から内側流体室(S12)の低圧室(S12L)へ低圧冷媒が吸入され始める。その後、駆動軸(23)が回転すると、低圧室(S12L)の容積が増大してゆき(図10(F),(G),…を参照)、図10(E)の状態に戻ると低圧室(S12L)の容積が最大になる。低圧室(S12L)の容積が増加している間は、吸入口(56)から低圧室(S12L)へ低圧冷媒が吸入され続ける。
一方、図10(E)の状態から駆動軸(23)が同図における時計方向へ回転し、ピストン本体(52b)の内周面と内側シリンダ部(51a)の外周面の接触位置が吸入口(56)を通過すると、内側流体室(S12)の高圧室(S12H)が第1吸入通路(14a)から遮断された閉空間となる。その後、駆動軸(23)が回転すると、高圧室(S12H)の容積が減少してゆき(図10(F),(G),…を参照)、高圧室(S12H)内の冷媒が圧縮され、高圧室(S12H)内の冷媒圧力が上昇してゆく。
高圧室(S12H)内の冷媒圧力が背面側凹部(46)の圧力よりも幾分高くなると、内側吐出弁(58a)が開き、高圧室(S12H)内の冷媒が内側吐出口(57a)を通って背面側凹部(46)へ流出してゆく。例えば図10(B)の状態で内側吐出弁(58a)が開いたとすると、その後は高圧室(S12H)内の冷媒が内側吐出口(57a)を通って流出する。そして、図10(E)の状態に戻ると、高圧室(S12H)からの冷媒の吐出が完了する。
上述したように、第2圧縮機構(60)の運転動作は第1圧縮機構(40)と基本的に同じである。ただし、駆動軸(23)の上側偏心部(25)と下側偏心部(26)は、それぞれの偏心方向が互いに逆向きとなっている。そのため、第2圧縮機構(60)における第2ピストン(72)の回転運動と、第1圧縮機構(40)における第1ピストン(52)の回転運動とは、それぞれの位相が互いに180°ずれている。従って、第1圧縮機構(40)の第1ピストン(52)の位置が図10(A)に示す位置となる時点では、第2圧縮機構(60)の第2ピストン(72)の位置が図10(E)に示す位置となる。
ところで、圧縮機(10)の運転中において、第2圧縮機構(60)では、第2ピストン(72)のピストン本体(72b)が第2ブレード(74)に沿って往復動すると共に揺動する。そして、第2圧縮機構(60)では、ピストン本体(72b)が外側シリンダ部(71b)及び内側シリンダ部(71a)に対して揺動しながら公転し、流体室(S21,S22)へ冷媒が吸入されて圧縮される。
図8に示すように、ピストン本体(72b)の突端面の幅(外径から内径を引いた値)は、駆動軸(23)の上側偏心部(25)の偏心量Rorの2倍よりも大きい。このため、図9及び図11にも示すように、シリンダ側鏡板部(62)の前面(64)のうち内側シリンダ部(71a)と外側シリンダ部(71b)の間の部分には、ピストン本体(72b)の公転中において流体室(S21,S22)に露出しない非露出部(64a)が発生する(図11に示す点集合の領域)。この非露出部(64a)は、シリンダ側鏡板部(62)の周方向に延びる円状の領域である。非露出部(64a)は、シリンダ側鏡板部(62)の前面(64)のうち内側シリンダ部(71a)と外側シリンダ部(71b)の間の部分において、その径方向の中央部に配置されている。
上述したように、シリンダ側鏡板部(62)の前面(64)の非露出部(64a)は、ピストン本体(72b)の公転中において流体室(S21,S22)に面しない。このため、ピストン本体(72b)とシリンダ側鏡板部(62)との摺動による摩擦熱は、非露出部(64a)から流体室(S21,S22)へ吸入された冷媒や潤滑油を介して放出されず、それ故に、非露出部(64a)は冷却されない。
また、流体室(S21,S22)の内圧は、吐出する直前の冷媒を圧縮する、流体室(S21,S22)の吐出側の部分である高圧室(S21H,S22H)において高くなる。このため、シリンダ(71)又はピストン(72)に作用する離反力は、流体室(S21,S22)の吐出側の部分において部分的に大きくなる。従って、シリンダ(71)又はピストン(72)に作用する押し付け力は、流体室(S21,S22)の吸入側(低圧室(S21L,S22L)側)の部分が流体室(S21,S22)の吐出側(高圧室(S21H,S22H)側)の部分よりも大きくなる。よって、ピストン本体(72b)とシリンダ側鏡板部(62)の間の摩擦力は、流体室(S21,S22)の吸入側の部分において大きくなる。
以上のため、何の対策も講じなければ、ピストン本体(72b)とシリンダ側鏡板部(62)との摺動による摩擦熱がシリンダ側鏡板部(62)の前面(64)の非露出部(64a)に溜まり、ピストン本体(72b)及びシリンダ側鏡板部(62)、特に、その吸入側の部分が摩耗するおそれがある。
一方、本実施形態の圧縮機(10)では、ピストン本体(72b)の突端面のうち流体室(S21,S22)の吸入側の部分に、ピストン本体(72b)の突端面のうち吸入口(76)近傍の部分からピストン本体(72b)の周方向に延びる凹溝(72d)が形成されている。そして、ピストン本体(72b)の突端面の内周縁と凹溝(72d)の開口の内周縁の間の距離t1、及びピストン本体(72b)の突端面の外周縁と凹溝(72d)の開口の外周縁の間の距離t2は、駆動軸(23)の上側偏心部(25)の偏心量Rorの2倍よりも小さい。このため、図11に示すように、ピストン本体(72b)の公転中において、凹溝(72d)は、シリンダ側鏡板部(62)の前面(64)の非露出部(64a)を径方向に沿って往復動し(通過し)、非露出部(64a)は凹溝(72d)に露出する。従って、ピストン本体(72b)と非露出部(64a)との摺動面積は減少すると共に、非露出部(64a)に籠もった摩擦熱は、凹溝(72d)へ逃げる。
また、上述したように、第2ピストン(72)が移動しても、凹溝(72d)の一端は、吸入口(76)と常に連通する。このため、シリンダ側鏡板部(62)の前面(64)の非露出部(64a)に籠もった摩擦熱は、吸入口(76)から凹溝(72d)へ供給された低圧冷媒によって冷却されると共に、凹溝(72d)から吸入口(76)へ逃げる。
ところで、圧縮機(10)の運転中において、駆動軸(23)は、下側偏心部(26)が第1ピストン(52)を駆動し、上側偏心部(25)が第2ピストン(72)を駆動する。つまり、下側偏心部(26)には第1ピストン(52)からの荷重が作用し、上側偏心部(25)には第2ピストン(72)からの荷重が作用する。このため、フロントヘッド(61)とリアヘッド(41)によって支持された駆動軸(23)は、フロントヘッド(61)とリアヘッド(41)の間の部分に各ピストン(52,72)からの荷重が作用し、その荷重を受けて弾性変形する。
一方、フロントヘッド(61)とリアヘッド(41)は、それぞれの前面(44,64)における支持用貫通孔(43,63)の周囲に環状溝(45,65)が形成されており、環状溝(45,65)の内側の部分の剛性が他の部分に比べて低くなる。そして、圧縮機(10)の運転中に駆動軸(23)が撓むと、それに伴って、フロントヘッド(61)とリアヘッド(41)における環状溝(45,65)の内側の部分と軸受メタル(47,67)が弾性変形する。このため、圧縮機(10)の運転中に駆動軸(23)が撓んだ状態でも、駆動軸(23)と軸受メタル(47,67)との接触が回避され、駆動軸(23)の摩耗が抑えられる。
駆動軸(23)の弾性変形に伴って軸受メタル(47,67)が繰り返し弾性変形すると、軸受メタル(47,67)が僅かずつ移動し、フロントヘッド(61)やリアヘッド(41)の前面(44,64)から突出するおそれがある。そして、軸受メタル(47,67)がフロントヘッド(61)やリアヘッド(41)の前面(44,64)から僅か(例えば、20〜30μm程度)でも突出すると、軸受メタル(47,67)がピストン(52,72)の軸受部(52c,72c)と干渉するおそれがある。
一方、本実施形態の圧縮機(10)では、フロントヘッド(61)とリアヘッド(41)のそれぞれに環状突部(43a,63a)が形成されている。そして、軸受メタル(47,67)の端部が環状突部(43a,63a)に当たった状態になると、軸受メタル(47,67)はピストン(52,72)側へ移動できない。このため、圧縮機(10)の運転中に軸受メタル(47,67)が弾性変形しても、フロントヘッド(61)及びリアヘッド(41)の前面(44,64)から軸受メタル(47,67)が突き出ることはない。
−実施形態1の効果−
本実施形態の圧縮機(10)では、凹溝(72d)がピストン本体(72b)の突端面にピストン本体(72b)の周方向に延びるように形成されている。そして、ピストン本体(72b)の突端面の内周縁と凹溝(72d)の開口の内周縁の間の距離t1、及びピストン本体(72b)の突端面の外周縁と凹溝(72d)の開口の外周縁の間の距離t2は、クランク軸(23)の上側偏心部(25)の偏心量Rorの2倍よりも小さい。このため、ピストン本体(72b)の公転中において、凹溝(72d)は、シリンダ側鏡板部(62)の前面(64)の非露出部(64a)を径方向に沿って往復動し、非露出部(64a)は凹溝(72d)に露出する。従って、ピストン本体(72b)と非露出部(64a)との摺動面積は減少すると共に、非露出部(64a)に籠もった摩擦熱は、凹溝(72d)へ逃げる。よって、ピストン本体(72b)及びシリンダ側鏡板部(62)が摩耗することを抑制することができる。
また、凹溝(72d)は、ピストン本体(72b)の突端面のうち外側流体室(S21)及び内側流体室(S22)の吸入側の部分に形成されている。このため、ピストン本体(72b)の公転中において、凹溝(72d)は、シリンダ側鏡板部(62)の前面(64)の非露出部(64a)のうち流体室(S21,S22)の吸入側の部分を径方向に沿って往復動し、非露出部(64a)のうち流体室(S21,S22)の吸入側の部分は凹溝(72d)に露出する。従って、ピストン本体(72b)と非露出部(64a)のうち流体室(S21,S22)の吸入側の部分との摺動面積は減少すると共に、非露出部(64a)のうち流体室(S21,S22)の吸入側の部分に籠もった摩擦熱は、凹溝(72d)へ逃げる。よって、ピストン本体(72b)及びシリンダ側鏡板部(62)のうち流体室(S21,S22)の吸入側の部分が摩耗することを抑制することができる。
また、シリンダ側鏡板部(62)の前面(64)に、外側流体室(S21)及び内側流体室(S22)と連通し且つ外側流体室(S21)及び内側流体室(S22)へ冷媒を吸入するための吸入口(76)が開口している。そして、凹溝(72d)は、吸入口(76)と連通している。このため、シリンダ側鏡板部(62)の前面(64)の非露出部(64a)に籠もった摩擦熱は、吸入口(76)から凹溝(72d)へ供給された低圧冷媒によって冷却されると共に、凹溝(72d)から吸入口(76)へ逃げる。よって、ピストン本体(72b)及びシリンダ側鏡板部(62)が摩耗することをより一層抑制することができる。
《その他の実施形態》
上記実施形態の圧縮機(10)は、二つの圧縮機構(40,60)を備える二段圧縮機であるが、圧縮機構を一つだけ備える単段圧縮機を、本発明の回転式流体機械によって構成してもよい。
また、上記実施形態では本発明の回転式流体機械によって圧縮機を構成しているが、この回転式流体機械の用途は圧縮機に限定されるものではない。つまり、流体の膨張によって動力を発生させる膨張機を、本発明の回転式流体機械によって構成してもよい。
また、上記実施形態の圧縮機は、円筒状のピストンが偏心運動する一般的なロータリ式流体機械(例えば、ピストンとブレードが別体に形成されたローリングピストン型のロータリ式流体機械や、ピストンとブレードが一体に形成された揺動ピストン型のロータリ式流体機械)によって構成されていてもよい。
また、上記実施形態の凹溝(72d)は、ピストン本体(72b)の突端面の幅方向の中央部に配置されているが、ピストン本体(72b)の突端面の内周縁と凹溝(72d)の開口の内周縁の間の距離t1、及びピストン本体(72b)の突端面の外周縁と凹溝(72d)の開口の外周縁の間の距離t2が、駆動軸(23)の上側偏心部(25)の偏心量Rorの2倍よりも小さい限り、その配置位置はこれに限定されない。
また、上記実施形態の凹溝(72d)の大部分は、ピストン本体(72b)の突端面のうち流体室(S21,S22)の吸入側の部分に位置しているが、これに限らず、例えば、凹溝(72b)は、ピストン本体(72b)の突端面全体に位置してもよい。
以上説明したように、本発明は、シリンダと、ピストンと、ピストンを偏心運動させるクランク軸とを備えた回転式流体機械について有用である。
10 圧縮機(回転式流体機械)
23 駆動軸(クランク軸)
24 主軸部
25,26 偏心部
40 第1圧縮機構
60 第2圧縮機構
41 リアヘッド
61 フロントヘッド
62 シリンダ側鏡板部
64 前面
51 第1シリンダ
71 第2シリンダ
51a,71a 内側シリンダ部
51b,71b 外側シリンダ部
52 第1ピストン
72 第2ピストン
52b,72b ピストン本体
72d 凹溝
S11,S21 外側流体室(第1の流体室)
S12,S22 内側流体室(第2の流体室)

Claims (3)

  1. シリンダ(71)と、該シリンダ(71)と共に流体室(S21,S22)を形成するピストン(72)と、上記ピストン(72)を貫通して上記ピストン(72)を偏心運動させるクランク軸(23)とを備えた回転式流体機械であって、
    上記シリンダ(71)は、円環状の内側シリンダ部(71a)と、該内側シリンダ部(71a)の周囲を囲む外側シリンダ部(71b)とを備え、
    上記シリンダ(71)の基端側には、シリンダ側鏡板部(62)が設けられ、
    上記ピストン(72)は、上記内側シリンダ部(71a)と上記外側シリンダ部(71b)の間に配置され且つ先端面が上記シリンダ側鏡板部(62)の前面(64)のうち上記内側シリンダ部(71a)と上記外側シリンダ部(71b)の間の部分と摺動する円環状のピストン本体(72b)を備え、
    上記ピストン本体(72b)と上記外側シリンダ部(71b)の間に第1の流体室(S21)が形成され、上記ピストン本体(72b)と上記内側シリンダ部(71a)の間に第2の流体室(S22)が形成され、
    上記クランク軸(23)は、主軸部(24)と、軸心が該主軸部(24)の軸心に対して偏心する偏心部(25)とを備え、
    上記ピストン本体(72b)の先端面の幅は、上記主軸部(24)の軸心に対する上記偏心部(25)の偏心量の2倍よりも大きく、
    上記ピストン本体(72b)の先端面には、該ピストン本体(72b)の周方向に延びる凹溝(72d)が形成され、
    上記ピストン本体(72b)の内周縁と上記凹溝(72d)の内周縁の間の距離、及び上記ピストン本体(72b)の外周縁と上記凹溝(72d)の外周縁の間の距離は、上記偏心量の2倍よりも小さいことを特徴とする回転式流体機械。
  2. 請求項1において、
    上記凹溝(72d)は、上記ピストン本体(72b)の先端面のうち上記第1の流体室(S21)及び上記第2の流体室(S22)の吸入側の部分に形成されていることを特徴とする回転式流体機械。
  3. 請求項1又は2において、
    上記シリンダ側鏡板部(62)の前面(64)には、上記第1の流体室(S21)及び上記第2の流体室(S22)と連通し且つ上記第1の流体室(S21)及び上記第2の流体室(S22)へ冷媒を吸入するための吸入口(76)が開口し、
    上記凹溝(72d)は、上記吸入口(76)と連通していることを特徴とする回転式流体機械。
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