JP2015054491A - インクジェット記録装置 - Google Patents

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Yoshiyuki Honda
祥之 本田
智 増田
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智 増田
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Nobuhiro Kitahata
伸紘 北畠
錦織 均
Hitoshi Nishigori
均 錦織
川床 徳宏
Norihiro Kawatoko
徳宏 川床
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Abstract

【課題】紙面予備吐を行いながらも、当該紙面予備吐によってインク濃縮が緩和される程度を反映させながら、インク濃縮に伴う濃度上昇を補正するための画像処理を実行することが可能なインクジェット記録装置を提供する。
【解決手段】記録媒体の単位領域に対応する多値の画像データIに基づいて、当該単位領域に対し記録を行うことが可能な複数のノズルに共通するインクの濃縮の程度に関する情報Dを管理し、当該情報に基づいて濃度ムラを低減するための多値の画像データの補正処理を行う。この際、上記情報は、多値の画像データの他、紙面予備吐の吐出頻度を反映して単位領域ごとに更新する。
【選択図】図6

Description

本発明は、インクジェット記録装置に関する。特に、吐出頻度に応じて個々のノズルのインクが濃縮し、記録開始時の濃度が高くなってしまうことに起因する濃度ムラを抑制するための画像処理に関する。
個々のノズルからインクを滴として吐出することにより記録媒体に画像を記録するインクジェット記録装置では、吐出頻度の少ないノズルにおいてインク中の揮発成分が蒸発し、次に吐出した際に通常よりも色材濃度の濃いドットが形成されることがある。この場合、記録された画像においては画像濃度が他の領域よりも高くなり、濃度ムラが認識される場合がある。
例えば特許文献1には、色相が同じで色材濃度が異なる複数のインクを備える記録装置において、個々のインクが連続して使用されない時間からインクの濃縮程度を予測し、目的の濃度を表現するために使用するインクの組み合わせを変更する方法が開示されている。また、特許文献2には、多値濃度データから同じく多値濃度データに変換する濃度補正テーブルを複数用意し、個々のインクが連続して使用されない時間に応じて、これら複数の補正テーブルの中から適切な補正テーブルを選択する方法が開示されている。
一方、多くのインクジェット記録装置では、個々のノズルの吐出状態を安定させるために、画像とは無関係な予備吐出を適宜行うことが知られている。このような予備吐出は、インクの色材濃度を適切な範囲に維持するためにも有効である。例えば特許文献1には、マルチパス記録で画像を記録している最中において、所々に画像とは無関係な吐出データを加えることにより、個々のノズルの吐出頻度を一定以上に保とうとする、いわゆる「紙面予備吐」を行う方法が開示されている。
特開平11−320864号公報 特開2002−326347号公報 特開2004−025627号公報
特許文献1や特許文献2のような方法は、記録ヘッド自体の非記録動作によりほぼ全てのノズルでインクの濃縮が進行している場合には有効であるが、使用頻度が低い特定のノズルにおけるインクの濃縮に伴う粒状感を効果的に解消することは出来ない。一方、特許文献3のような紙面予備吐出を行えば、特定のノズルのみ吐出頻度が低くなってしまうことは回避できるが、紙面予備吐における吐出回数には画像上限界があり、長時間の非使用に伴うインクの濃縮を低減できるほどの効果は期待出来ない。
特許文献1や特許文献2のような画像処理方法と特許文献3のような紙面予備吐は、これらを組み合わせることによって、それぞれの効果を同時に発揮することはできる。しかし、特許文献1や2のような濃度補正は量子化前の多値データに対して施されるのに対し、特許文献3のような紙面予備吐の吐出データは個々のノズルに対応づけて量子化後の2値データに追加される。この場合、これら特許文献を単に組み合わせるだけでは、紙面予備吐の実行によってインク濃縮が緩和される効果を、多値データで実行する濃度補正に反映させることは出来ない。結果、多値データを扱う濃度補正で過剰な補正が行われ、目的の濃度が得られなくなる懸念が生じる。
本発明は上記課題を解決するためになされたものである。よってその目的とするところは、紙面予備吐を行いながらも、当該紙面予備吐によってインク濃縮が緩和される程度を反映させながら、インク濃縮に伴う濃度上昇を補正するための画像処理を実行することが可能なインクジェット記録装置を提供することである。
そのために本発明は、インクを吐出するノズルが配列されたノズル列を備えた記録ヘッドに対し、前記ノズルの配列方向と交差する方向に記録媒体を搬送することにより、前記記録媒体に画像を記録するインクジェット記録装置において、前記記録媒体の単位領域に対応する多値の画像データに基づいて、前記単位領域に対し記録を行うことが可能な複数のノズルに共通するインクの濃縮の程度に関する情報を取得する取得手段と、前記取得手段が取得した前記情報に従って、前記単位領域に対する多値の画像データを補正する補正手段と、前記補正手段によって補正された多値の画像データを量子化して2値データを生成する量子化手段と、前記2値データに紙面予備吐用の2値データを合成する合成手段と、該合成手段によって合成された2値データに従って前記記録ヘッドからインクを吐出する記録手段と、前記補正手段によって補正された前記多値の画像データに基づいて、前記単位領域に対し記録を行うことが可能な複数のノズルが前記単位領域の次に記録する単位領域、についての前記情報を新たに生成する生成手段とを備え、前記生成手段は、前記紙面予備吐用の2値データが示す紙面予備吐の吐出頻度が高いほど、前記インクの濃縮の程度が小さいこと示す情報となるように、前記情報を新たに生成することを特徴とする。
本発明によれば、紙面予備吐を行いながらも、当該紙面予備吐によってインク濃縮が緩和される程度を反映させながら、インク濃縮に伴う濃度上昇を補正するための画像処理を実行することが出来る。
本発明に使用可能なインクジェット記録装置の内部構成を示す断面図である。 1色分のラインヘッドの構成を詳しく説明するための図である。 ラインヘッドのつなぎ部の詳細を説明する模式図である。 コントローラにおける制御構成を説明するためのブロック図である。 コントローラが実行する画像処理の工程を示すフローチャートである。 濃度補正部の機能的な構成を示すブロック図である。 各ノズルにおけるインク濃縮積算値とインクの濃縮率の関係を示す図である。 濃縮積算平均値の概念を具体的に説明するための図である。 (a)および(b)は、積算値変化量テーブルの内容例を示す図である。 (a)および(b)は、階調データと濃縮積算平均値の関係を示す図である。 (a)および(b)は、補正テーブルの例を示す図である。 濃度補正処理部が実行する補正処理の様子を示す図である。 濃度補正処理の一連の工程を示すフローチャートである。 紙面予備吐の実行とこれに伴うインク濃縮率の変化を示す図である。 画像処理の工程を説明するためのフローチャートである。
(第1の実施形態)
図1は、本発明に使用可能なインクジェット記録装置の内部構成を説明するための断面図である。記録装置20は、パーソナルコンピュータなどのホスト装置30と接続され、ホスト装置30から供給された画像データに従って、インクジェット方式で画像を記録する。記録装置20において、制御部13は、記録装置全体の制御を行うコントローラ15や、装置各部に電源を供給する電源部16を備えている。
シート供給部1は、2つのロールR1、R2を収納し、択一的にシートを引き出して搬送経路に供給する。なお、収納可能なロールは2つであることに限定はされず、1つ、あるいは3つ以上であってもよい。
デカール部2は、シート供給部1や後述する反転部9から供給されたシートのカール(反り)を軽減させるユニットである。デカール部2では、1つの駆動ローラに対して2つのピンチローラを押し当て、シートに対しカールとは逆向きの反りを与える。デカール部2を通過することで、シート供給部1や反転部9でのカール癖は軽減され、シートは平滑に搬送される。
斜行矯正部3は、デカール部2を通過したシートの斜行(進行方向に対する傾き)を矯正するユニットである。基準となる側のシート端部をガイド部材に押し付けることにより、シートが直進するように方向付ける。
プリント部4は、搬送されるシートに対して記録ヘッド14からインクを吐出して画像を記録する。本実施例の記録ヘッド14は、図2で説明するラインヘッド17がインク色ごとに用意され、これら複数のラインヘッド17がX方向に並列配置することによって構成されている。プリント部4は、シートを搬送する複数の搬送ローラやシートを下方から支えるプラテンなどを備え、記録ヘッド14に対向する領域のシートが平滑になるようにこれを支持している。このような連続シートに記録を行うフルライン型のインクジェット記録装置では、シートの存在しない状態で記録ヘッド14が予備吐出を実行出来るタイミングは限られている。よって、画像と画像の白紙領域に十分な予備吐出を行い、個々のノズルの吐出状態をリセットすることが好ましい。また、画像の記録中であっても、個々のノズルの吐出状態を安定させておくためには、目立たない程度に紙面予備吐を実行することが効果的である。
検査部5は、CCDイメージセンサやCMOSイメージセンサを備え、プリント部4にて記録されたシート上の検査パターンや画像を光学的に読み取るユニットである。読み取った情報は、制御部13に転送され、記録ヘッド14のノズルの状態、シートの搬送状態、画像の位置等が判定される。
カッタ部6は、シート上に記録されたカットマークに合わせて画像を切断するユニットである。但し、両面記録を行う場合、カッタ部6は、第1面については最後の画像の後端部を切断するのみであり、連続シートはカットされることなく情報記録部7へ搬送される。情報記録部7は、画像シートの余白領域に記録画像に関わるシリアル番号や日付などの情報を文字やコードとして記録する。乾燥部8は、付与されたインクを短時間に乾燥させるためのユニットである。
反転部9は、両面記録を行う際に第1面の記録が完了した連続シートを一時的に巻取るユニットである。第1面の記録が終了した連続シートは、反時計回りに回転する回転体(ドラム)9aに徐々に巻き取られていく。回転体9aは、連続シートの後端部まで巻き取った時点で停止し、その後逆の方向すなわち時計回りに回転する。これにより、連続シートはデカール部2に送出される。デカール部2では、回転体9aで巻き取られた際の反りを軽減する方向にシートを矯正する。
デカール部2からプリント部4に向かう経路において、連続シートは、その表裏と先後端部が逆転した状態になっている。すなわち、第2面が記録ヘッド14に対向し、第1面記録時における後端部が先端部となって搬送される。
排出搬送部10は、カッタ部6で切断され乾燥部8で乾燥させられたカットシートを、ソータ部11まで搬送する。ソータ部11は、記録済みのカットシートをサイズ別などのグループごとに仕分け、夫々の排出口へと排出する。個々の排出口には、カットシートを受けるためのトレイ12が用意され、カットシートはいずれかのトレイ12上に積載される。
図2は、1色分のラインヘッド17の構成を詳しく説明するための図である。シリコンで形成されたチップ60夫々のそれぞれには、複数のノズルが所定のピッチで記録媒体の幅方向(Y方向)に配列してなるノズル列61が、記録媒体の搬送方向(X方向)に8列ずつ配置されている。本実施形態において、個々のチップは約1インチの有効記録幅を有し、さらにこれらがベース基板64上においてX方向に重複領域62を設けながらノズルの配列方向(Y方向)に配置されることにより、略8インチ幅のラインヘッド20が形成されている。そして、記録データに従って個々のノズルからインクを所定の周波数で吐出させるとともに、上記周波数に対応する速度で記録媒体をX方向に搬送させることにより、記録媒体に1ページ分の画像を形成することが出来る。
この際、記録媒体においてX方向に1列に記録される複数のドットは、8つのノズルによって代わる代わる記録される。よって、いずれかのノズルに多少の吐出ばらつきや不吐出が存在したとしても、そのノズルが記録するドットが記録媒体上で連続して配置されることはなく、吐出ばらつきや不吐出に伴う画像劣化を緩和することが出来る。また、複数のチップが重複領域62を設けながら配置されているので、公知のグラデーションマスクを併用することにより、夫々のチップによって記録される画像領域を記録媒体上で滑らかに連続させ、つなぎ部を目立たせないようにすることが可能となる。そして、このようなラインヘッド17が、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、ブラック(K)の4色のインクに対応して用意され、これらがX方向に並列配置することによって記録ヘッド14が構成されている。なお、ラインヘッド17には、当該ラインヘッドが吐出するインク色や吐出量などを示す情報を記憶したROM63が内蔵されている。
図3は、図2に示したラインヘッド17における、2つの記録チップ60aおよび60bのつなぎ部の詳細を示す図である。個々のチップには、複数のノズルが1200dpiのピッチでY方向に配列してなるノズル列が、Y方向と交差するX方向に8列並列配置されている。チップ60aとチップ60bは、X方向に重複する領域(重複領域62)を設けながら、Y方向にノズルが連続するように配置されている。チップ60a、60bにおいて、重複領域62には、Y方向に128ノズルが含まれている。但し、本発明に使用するラインヘッドは、Y方向に連続的にノズルが配置されるのであれば、必ずしもこのようなつなぎ部が設けられていなくても良い。
個々のノズルは、インクを吐出口まで導くインク路と、吐出口からインクを吐出するエネルギを発生するためのヒータによって構成されている。記録信号に従ってヒータに電圧パルスが印加されることにより、当該ヒータに接触しているインク内に膜沸騰が生じ、生成された泡の成長エネルギによって吐出口からインクが吐出される仕組みになっている。このようなノズルでは、非吐出時であっても次の吐出に備えて、インクが吐出口の近傍まで導かれている。よって、大気に曝されている吐出口からは少しずつ揮発性分が蒸発する。その結果、吐出回数が少ないノズルは吐出回数が多いノズルに比べ、液路に存在するインクの色材濃度が高まり、次の吐出動作では色材濃度の高いインク滴が吐出される傾向がある。このような状況を回避するために、本実施形態では、画像の記録中であっても、全てのノズルが画像データによらず必要最低限の吐出動作を行えるように、紙面予備吐を実行する。紙面予備吐の詳細については後に詳しく説明する。
図4は、本実施形態のコントローラ15における制御構成を説明するためのブロック図である。コントローラ15は、記録装置20全体の処理を統括的に制御するCPU40、ROM51、RAM52、およびホスト装置30との間でデータの装置受信を行うインターフェース I/F 53などを備えている。CPU40はROM51に格納されているプログラムに従って各種処理を行い、この際RAM52はワークエリアとして使用される。
CPU40には、本発明の特徴的な処理を行うための機能的な構成として、記録ヘッド情報取得部41、濃度補正部42、紙面予備吐データ生成部43、画像処理部44、および画像データ統合部45が備えられている。記録ヘッド情報取得部41は、記録ヘッド14の各ラインヘッド17に内蔵されたROM63からそれぞれの情報を取得する。濃度補正部42は、入力された画像データに対して本発明特有の濃度補正処理を実行する。紙面予備吐データ生成部43は、各ラインヘッド17の各ノズル列が吐出するための紙面予備吐用画像データ(2値データ)を生成する。画像処理部44は、ROM51に記憶されたプログラムやパラメータに従って、ホスト装置30から受信した画像データに対し、量子化や記録データのノズル列分配処理などの画像処理を実行する。画像データ統合部45は、紙面予備吐データ生成部43で生成された2値の紙面予備吐データと画像処理部44で各ノズル列に分配された2値の画像データを統合し、個々のノズル列が実際に吐出を行うための2値データを生成する。CPU40は、画像データ統合部45が生成した2値データを、記録ヘッド14の夫々のノズル列に送り吐出動作を実行させる。
図5は、コントローラ15が実行する画像処理の工程を説明するためのフローチャートである。ホスト装置30からインターフェース53を介して入力される画像データは、ベクター形式の8ビットRGBデータとなっている。コントローラ15はこのような画像データを受信すると、まず画像処理部44を用いてレンダリング処理を実行し、ベクター形式をビットマップ形式に変換する(ステップS501)。変換後のビットマップ形式の画像では、個々の画像データが記録される記録媒体上の位置が定まっている。
続くステップS502において、コントローラ15は色空間変換処理を実行する。具体的には、画像処理部44を用いて、予めROM51に格納されている3次元のルックアップテーブルを参照することにより、個々の8ビットRGBデータを記録装置で使用するインク色に対応した8ビットCMYKデータに変換する。以後の処理は、CMYKのインク色ごとに行われる。
ステップS503において、コントローラ15は、記録媒体で実際に表現される濃度が入力データに対して線形性を有するようにするための階調補正処理を実行する。具体的には、画像処理部44を用いて、予めROM51に格納されている1次元のルックアップテーブルを参照することにより、個々の8ビットCMYKデータを同じく8ビットC´M´Y´K´データに変換する。
ステップS504において、コントローラ15は、濃度補正部42を用いて本発明の特徴的な処理である濃度補正処理を実行する。濃度補正処理の詳細については、後に詳しく説明するが、階調補正処理から出力された8ビットのC´M´Y´K´データは、当該処理によって同じく8ビットのC″M″Y″K″データに変換される。C´M´Y´K´データデータもC″M″Y″K″データも濃度を256段階で示す階調データである。
その後、ステップS505において、コントローラ15は画像処理部44を用いて、量子化処理を実行する。当該量子化処理により、8ビットのC″M″Y″K″データの夫々は、ドットの記録(1)または非記録(0)を示す2値データに変換される。なお、本実施形態において、ホスト装置30から受信する画像データの解像度は600dpiであり、ステップS504で行われる濃度補正処理までは、この600dpiの解像度が維持されている。そして、ステップS505で実行される量子化処理において、600dpiから1200dpiへの解像度変換が行われるものとする。そのために、本実施形態では600dpiの階調データに対し、まず多値誤差拡散処理やディザ法などを採用し、256階調を5階調に変換する。その後、2×2エリアで構成され予めROM51に記憶されているドット配置パターンを参照することにより、600dpiの5階調データを本実施形態で用いる記録ヘッド14の記録解像度に対応した1200dpiの2値データに変換する。
ステップS506において、コントローラ15は画像処理部44を用い、各色の1200dpiの2値データ(ドットデータ)を、重複領域については16列のノズル列に、非重複領域については8列のノズル列に分配する。分配処理については、ROM51に予め格納されたマスクパターンなどを用いることが出来る。
その後、ステップS507において、コントローラ15は、紙面予備吐データ生成部を用いて紙面予備吐用の2値データを生成し、更に画像統合部45を用いてステップS506で生成された各ノズル列の2値データとの間で論理和演算を行う。以上の処理により、最終的にノズル列が記録するべき2値データが生成され、本処理を終了する。コントローラ15は、上記画像処理によって生成された各ノズル列の2値データを記録ヘッド14に転送し、記録動作を実行する。
図6は、ステップS504の濃度補正処理を実行するための濃度補正部42の機能的な構成を示すブロック図である。濃度補正部42は、ステップS503の階調補正処理から出力された8ビットC´M´Y´K´データを受信し、これに濃度補正処理を行った後8ビットC″M″Y″K″データを出力する。このような入力データも出力データも濃度を256段階で示す階調データであり、その値が大きいほど高い濃度を示す。濃度補正部42は、各階調データに対し、このような補正処理を1画素ずつ順番に行う。
濃度変化予測部42aは、処理対象となる画素を記録する時点におけるインク濃縮の程度を予測する機構である。本実施形態において、インク濃縮の程度を示すパラメータとして、インク濃縮積算平均値を用意する。以下、インク濃縮積算平均値について説明する。
図7は、個々のノズルにおける、インク濃縮積算値とインクの濃縮率の関係を示す図である。横軸は、記録中においてドットを記録しない画素の数(すなわち非吐出の回数)に準じる濃縮積算値を示し、縦軸はインク濃縮率を示している。ここで、インク濃縮率とは、標準的な色材濃度のインクが記録媒体で表現する光学濃度に対する濃縮したインクが記録媒体で表現する光学濃度を示す。よって、インク濃縮積算値が0の場合、インク濃縮率は「1」となる。
図において、実線は濃縮積算値に対応するインクの濃縮率を示している。濃縮積算値が増加するほどインク濃縮率も増加している。一方、破線は当該濃縮積算値のインクを有するノズルから1ドット分の吐出を行った結果、ノズル内に残るインクの濃縮率を示している。濃縮積算値が十分低い場合、1ドット分の吐出を行えばインクの濃縮率は1に戻る。しかし、濃縮積算値がある程度高い状態では、1ドット分の吐出程度ではインク濃縮率は1まで戻らない。
このようなインク濃縮率と濃縮積算値の関係が予め把握されていれば、個々のノズルの濃縮積算値に基づいて個々の画素が有する画像データに補正処理を行うことにより、濃度ムラを低減することが期待出来る。しかし、再度図5を参照するに、濃度補正処理(ステップS504)は、量子化処理(ステップS505)よりも前に行われる工程である。よって、濃度補正処理の段階において、個々のノズルがドットを記録する画素位置は決定されておらず、個々のノズルごとに濃縮積算値を取得することは難しい。従って、本実施形態では、600dpiの1画素領域での平均的な濃縮積算値即ち1200dpiの2×2画素の濃縮積算値の平均値に相当するパラメータとして濃縮積算平均値を用意し、この濃縮積算平均値から600dpiにおける各画素の濃度変化を予測する。このような600dpiの1画素を単位とするパラメータであれば、600dpiの夫々の画素が有する多値の階調データより算出することが出来る。
図8は、濃縮積算平均値の概念をより具体的に説明するための図である。ここでは、一例として、600dpiの画素Aの階調データが64(/256階調)であり、当該画素に対応する1200dpiの2×2画素領域に対し、ノズル列81dの先頭ノズルでドットを記録する場合を示している。結果的にこのようなドット配置が決定されるとしても、濃度補正処理を行うステップS504の段階においては、いずれの画素にドットが記録されるかは決定されていない。しかし、ステップS504の段階においても、2×2画素領域のうち、いずれか1つの画素にドットが記録されることは階調データ64より、比較的容易に予測することは出来る。つまり、本実施形態では、画素Aに記録を行うことが可能なノズル列81a〜81hの16ノズルごとに、これら16ノズルのインク濃縮率の目安となるパラメータを濃縮積算平均値としている。
図6に戻る。濃度変化予測部42aは、600dpiの入力される階調データIに基づいて個々の画素の濃縮積算平均値Dを算出し、濃縮積算平均管理部42bに記憶される濃縮積算平均値Dを更新する。濃縮積算平均値Dは、連続する2ノズルに対応した1ラスタごとに記憶されるようになっており、各画素の濃縮積算平均値Dは、予め積算値変化量テーブル記憶部42cに記憶されている積算値変化量テーブルを参照することにより求められる。
図9(a)および(b)は、積算値変化量テーブルの内容例を示す図である。図9(a)は紙面予備吐を実行しない場合に使用されるテーブル、同図(b)は紙面予備吐を実行する場合に使用されるテーブルを示している。積算値変化量テーブルは、処理対象となる画素の階調データIと濃縮積算平均管理部42bに記憶されている濃縮積算平均値Dの組み合わせから、1つの濃縮積算平均積算値の変化量ΔDが対応づけられるようになっている。そして、濃度値変化予測部42a部は、当該テーブルから得られる変化量ΔDと現在積算値平均管理部42bに記憶されている濃縮積算平均値Dから、新たな濃縮積算平均値D=D+ΔDを算出し、これを濃縮積算平均管理部42bの該当領域に記憶する。例えば、図9(b)のテーブルを参照するに、あるラスタにおいて、濃縮積算平均管理部42bに記憶されている現在の濃縮積算平均値Dが600、入力階調データIが64の場合、これら値から濃縮積算平均積算値の変化量ΔD=−65が求められる。
本実施形態において、画像の記録開始直前には十分な予備吐処理を行っているものとする。よって、画像データにおける各ラスタの先頭画素(カラム)の階調データが処理されるとき、濃縮積算平均管理部42bに記憶されている濃縮積算平均値Dすなわち濃縮積算平均値Dの初期値は、いずれのラスタにおいても0(最小値)になっている。そしてその後、処理対象の画素が1カラムずつ進むにつれ、既に濃縮積算平均管理部42bに記憶されている濃縮積算平均値Dに、積算値平均変化量テーブルより得られた変化量ΔDが加算され、新たな濃縮積算平均値Dが算出され、更新されて行く。
濃縮積算平均値Dはドットを記録しない画素数が多いほどその値は大きくなる。例えば、入力された階調データの値が0の場合、その画素のために吐出動作は行われないので、濃縮積算平均積算値の変化量ΔDは正の値になる。この際、図9(a)に示した紙面予備吐を実行しない場合のテーブルでは変化量ΔD=10となっているが、図9(b)に示した紙面予備吐を実行する場合のテーブルでは、変化量ΔD=5となっている。これは、紙面予備吐を実行する場合には、階調データの値が0であっても一定の頻度で吐出動作が行われる分、インク濃縮の進行が抑制されるためである。
一方、記録動作のために多くのインクが吐出されると濃縮積算平均値Dは0(最小値)に近づく。つまり、入力された階調データの値が大きいほど、濃縮積算平均値の変化量ΔDはそのマイナス値(絶対値)が大きくなる。但し、このように、階調データが0ではない場合であっても、図9(a)に示した紙面予備吐を実行しない場合のテーブルと図9(b)に示した紙面予備吐を実行する場合のテーブルとでは、変化量ΔDに紙面予備吐の有無の違いが現れている。本実施形態では、既に図5で説明したように、ステップS506において紙面予備吐を実行するので、その吐出頻度に対応した分だけマイナス方向に補正された図9(b)に示した積算値変化量テーブルが用いられる。
再度図6を参照するに、濃度補正処理部42dは、補正テーブル記憶部42eに記憶されている補正テーブルを参照することにより、積算値平均管理部42bに現在記憶されている濃縮積算平均値Dに基づいて、入力された階調データIに補正処理を施す。
図10(a)および(b)は、階調データIと濃度補正処理後に更新される濃縮積算平均値Dの関係を示す図である。ここでは、デフォルトの濃縮平均積算値D=1200であるとき、連続する8画素に一様な階調データIが入力された際の濃縮平均積算値Dの更新の様子を、紙面予備吐を実行する場合と実行しない場合について示している。
図10(a)は、紙面予備吐を実行しない場合を示している。階調データI=0のとき、連続する8画素には1つのドットも記録されず、インクの濃縮は進行することが想定される。紙面予備吐を実行しない場合、濃度変化予測部42aは図9(a)に示すテーブルを用い、現状の濃縮平均積算値D=1200と階調データI=0の組み合わせより、変化量ΔD=10を得る。この変化量ΔD=10が、600dpiの1画素に1つのドットも記録しなかった場合に相当する濃縮積算平均値(インク濃縮程度)の増加分であり、1画素ずつ処理を重ねるたびに変化量ΔD=10は濃縮平均積算値Dに加算される。結果、8画素分の処理を終了したときの濃縮平均積算値は、D=1200+10×8=1280となる。
階調データI=64のとき、連続する8画素では、1200dpiの4画素のいずれかに1つのドットが記録され、インク濃縮はある程度緩和することが想定される。濃度変化予測部42aは図9(a)のテーブルを参照し、現状の濃縮平均積算値D=1200と階調データI=64の組み合わせより、変化量ΔD=−123を得る。1画素ずつ処理を重ねるたびに変化量ΔD=−123は濃縮平均積算値Dに加算(減算)される。結果、8画素分の処理を終了したときの濃縮平均積算値は、D=1200−123×8=216となり、デフォルト(D=1200)よりも低くなっている。
一方、図10(b)は、紙面予備吐を実行する場合を示している。階調データI=0であっても、後に紙面予備吐用のデータが付加されることにより、連続する8画素にはいくつかのドットが記録され、インクの濃縮は紙面予備吐を行わない場合に比べて、ある程度緩和されることが想定できる。紙面予備吐を実行する場合、濃度変化予測部42aは図9(b)に示すテーブルを用い、現状の濃縮平均積算値D=1200と階調データI=0の組み合わせより、変化量ΔD=5を得る。この変化量ΔD=5が、紙面予備吐を行いながらも画像データに寄与するドットは記録しない場合の濃縮積算平均値(インク濃縮程度)の増加分であり、紙面予備吐を実行しない場合(ΔD=10)に比べて、その値が抑えられている。1画素ずつ処理を重ねるたびに変化量ΔD=5は濃縮平均積算値Dに加算され、8画素分の処理を終了したときの濃縮平均積算値は、D=1200+5×8=1240となる。
階調データI=64のとき、連続する画素では1200dpiの4画素のいずれかに1つのドットが記録され更に紙面予備吐用のデータも付加される。よって、インクの濃縮は、階調データがI=64であって紙面予備吐を行わない場合よりも、更に緩和されることが想定される。濃度変化予測部42aは図9(b)のテーブルを参照し、現状の濃縮平均積算値D=1200と階調データI=64の組み合わせより、変化量ΔD=−125を得る。1画素ずつ処理を重ねるたびに変化量ΔD=−125は濃縮平均積算値Dに加算(減算)される。結果、8画素分の処理を終了したときの濃縮平均積算値は、D=1200−125×8=200となり、紙面予備吐を行わない場合(D=216)よりも更に低い値になっている。
図11(a)および(b)は、補正テーブル記憶部42eに記憶されている補正テーブルの例を示す図である。図11(a)は、階調データIと積算値平均管理部42bに現在記憶されている濃縮積算平均値Dに対し、階調データの補正量ΔIが対応付けられているテーブルである。濃縮積算平均値Dに対し数段階(図では4段階)の閾値が用意され、各閾値と濃縮積算平均値Dとの大小関係によって、5通りの補正量ΔIが取得される。濃度補正処理部42dは、入力された階調データIに対し、補正テーブルから得られた補正量ΔIを加算することにより、新たな階調データI´=I+ΔIを算出する。
一方、図11(b)は、階調データIと積算値平均管理部42bに現在記憶されている濃縮積算平均値Dの組み合わせから、補正後の階調データI´が直接対応付けられているテーブルである。図11(a)のテーブルでは、数段階の閾値に対応する数段階のΔIが用意されているが、図11(b)のテーブルでは全てのあるいは更に多くの段階で補正後の階調データI’を対応づけることが出来るので、より精度の高い補正処理を期待することが出来る。
図12は、濃度補正処理部42dが実行する補正処理の様子を示す図である。横軸は階調データI、縦軸は当該階調データに従って記録を行った場合に記録媒体で表現される光学濃度を示している。また、曲線1は濃縮積算平均値D=1200の濃縮インクを使用した場合の濃度曲線、Refは標準的なインク(D=0)を使用した場合の濃度曲線をそれぞれ示している。本実施形態において、濃度補正処理部42dが実行する補正処理は、曲線1のような濃縮インクを用いた場合でも曲線2のような濃度曲線が得られるように、階調データを変換することである。具体的に説明すると、例えば階調データIが64の場合、補正処理を行うこと無く上記濃縮インクを用いて記録を行うと、光学濃度は目標濃度odよりも高いd1となってしまう。一方、上記濃縮インクを用いた場合、光学濃度odが得られるのは階調データが62のときである。よって、濃度補正処理部42dは、入力された階調データ64を62に変換するような処理を行う。これにより、図5のステップS503で説明した階調補正処理から出力された階調データの値が64であっても、記録媒体においては、目標濃度odを表現することが可能となる。すなわち、本実施形態の補正テーブル記憶部42eには、曲線1をRefに変換するような補正値が、使用するインクの現状の濃縮程度に応じて、記憶されているのである。
ここで、紙面予備吐を行う場合の積算値変化量テーブル(図9(b))を、紙面予備吐を行わない場合の積算値変化量テーブル(図9(a))とは別に用意しておくことの効果を説明する。例えば、濃縮積算平均値D=1200の濃縮インクを用い、紙面予備吐を行わない場合の濃度曲線が曲線1であった場合、紙面予備吐を実行した場合には曲線2のような、よりRefに近い濃度特性が得られることが予想できる。この際、紙面予備吐を行わない場合と同様の信号値変換(64→62)を行ってしまうと、記録媒体で表現される光学濃度は目標濃度odよりも低いd2となってしまう。すなわち、濃度補正部42において過剰な濃度補正が行われてしまう。ここで、本実施形態のように、変化量ΔDが紙面予備吐を行わない場合よりも小さく抑えられた積算値変化量テーブルを用意しておけば、同じ濃縮インクを用いた場合でも、曲線1ではなく曲線2のような濃度特性を有するものとみなした濃度変換が可能となる。結果、階調データI=64は63に変換され、紙面予備吐を行った場合でも、記録媒体で目標濃度odを表現することが可能となる。
図13は、濃度補正部42が実行する上記濃度補正処理の一連の工程を示すフローチャートである。濃度補正処理が開始されると、濃度補正部42は、まずステップS100において、階調補正処理S503から出力された1画素分の階調データIを受信する。ステップS101において濃度補正部42は、図9(b)に示した積算値変化量テーブルを参照し、階調データIと濃縮積算平均管理部42bに記憶されている濃縮積算平均値Dの組み合わせから、濃縮積算平均値の変化量ΔDを取得し、一時的に記憶する。
続くステップS102において、濃度補正部42は、濃度補正処理部42dを用いて階調データIを補正する。具体的には、補正テーブル記憶部42eに記憶されている例えば図11(b)に示したテーブルを参照し、階調データIと積算値平均管理部42bに記憶されている濃縮積算値平均Dの組み合わせから、補正後の階調データI´を取得し、これを出力する。
ステップS103において、濃度補正部42は、濃度変化予測部42aを用い、ステップS101で一時的に保存した変化量ΔDと現在記憶されている濃縮積算値平均Dから新たな濃縮積算平均値D=D+ΔDを算出する。そして、濃縮積算平均管理部42bに記憶されている濃縮積算値平均Dを更新する。
ステップS104では、今回処理した補正処理を行った画素が最終画素であるか否かを判断する。最終画素でない場合は次の画素を処理するためにステップS101に戻る。最終画素である場合は、本処理を終了する。
以上説明した本実施形態によれば、紙面予備吐を行いつつ当該紙面予備吐に伴うインクの濃縮率の回復を反映させた状態で多値の階調データに濃度補正を行っている。よって、過剰な補正を招致すること無く、濃度ムラのない安定した画像を出力することが可能となる。
(第2の実施形態)
本実施形態ではインク色や記録媒体の種類など様々な状況に応じて適切な紙面予備吐と濃度補正処理を実行する構成について説明する。
紙面予備吐は、使用頻度の低いノズルによって記録されたドットに起因する急激な濃度上昇や粒状性を抑制するためになされるものであるが、その吐出回数はインクの色や記録媒体の種類によって調整されることが好ましい。紙面予備吐における吐出回数は、記録される画像において目障りにならない程度の範囲で抑えられることが望まれるが、この目障りにならない程度すなわち画像と無関係に記録されるドット数の許容数が、インクの色や記録媒体の種類によって異なるからである。同じ数のドットが紙面に記録されても、例えばイエロードットはブラックドットほど目立たないので、イエローの紙面予備吐はブラックよりも吐出回数を多く設定することが出来る。また、普通紙はコート紙に比べて濃度変化や粒状性は目立ちにくいので、普通紙に記録する場合はコート紙に記録する場合よりも紙面予備吐における吐出回数を多く設定することが出来る。
このように紙面予備吐の吐出回数をインク色や記録媒体の種類によって変える場合、紙面予備吐によって緩和されるインクの濃縮状態もインク色や記録媒体の種類によって異なることになる。従って、図9(b)で示したような紙面予備吐を反映したテーブルについても、インク色や記録媒体の種類ごとに変化量が調整されることが好ましい。この際、紙面予備吐の吐出回数のほか、揮発成分の蒸発の進行速度などインク固有の特性も考慮に入れてテーブルのパラメータが設定されることが好ましい。
また、上述した濃度補正処理は必ずしも全てのインクに対して必要なわけではない。例えば、蒸発の進行が十分に遅いインクの場合、上記紙面予備吐および濃度補正処理の一方或は両方が必要ない場合も考えられる。すなわち、紙面予備吐および濃度補正処理の実行自体も、インク色や記録媒体の種類あるいは記録モードなどに応じて要否を判断することも出来る。
図14は、紙面予備吐の実行とこれに伴うインク濃縮率の変化を示す図である。横軸は時間を示し、縦軸はノズル内のインク濃縮率を示している。本例では、0、t、2t・・・と、時間tの周期で予備吐出が行われる様子を示している。予備吐出動作が行われた直後、ノズル内には新たなインクが導かれるのでインク濃縮率は低い状態となるが、時間の経過と共にインク濃縮率は上昇する。予備吐出のたびに濃縮したインクが十分に吐出されればインク濃縮率の変化は図の破線で示したような軌跡を描くが、予備吐出数が十分でない場合には実線で示したような軌跡を描く。そして、実線のような場合には上述した濃度補正処理が必要となるが、破線のような場合には必要ない。また、実線の場合であっても、1回目の予備吐出動作直後tと2回目の予備吐出動作直後2tでは、インク濃縮度が異なっており、この場合にはtと2tで内容の異なる積算値平均変化量テーブルを使用することも可能である。
図15は、インクの種類や記録媒体の種類など記録時の状況に応じた補正処理を実行する場合に、コントローラ15が実行する画像処理の工程を説明するためのフローチャートである。以下、図5のフローチャートと異なる点のみを説明する。
ステップS1403において階調補正処理が行われると、コントローラ15はステップS1404に進み、インク色ごとに紙面予備吐用のパターンを設定する。本実施形態では、紙面予備吐における吐出頻度に対応づけた複数のパターンを予めROM51に記憶しておき、記録媒体の種類や記録モードおよびインク色に応じて適切なパターンをコントローラ15が設定するものとする。そして、吐出頻度を高く設定したいインクに対しては、記録(1)を示す画素が多いパターンを設定し、吐出頻度を少なく設定したいインクに対しては、記録(1)を示す画素が少ないパターンを設定する。また、紙面予備吐を必要としないインクについては、記録(1)を示す画素が存在しないパターンを設定する。
続くステップS1405において、コントローラ15は、ステップS1404で設定した紙面予備吐パターンに応じて、濃度補正処理で使用する積算値平均変化量テーブルをインク色ごとに設定する。もし、濃度補正処理自体が必要ないインク色の場合は、入力信号と出力信号が等しいテーブルを設定する。
更にステップS1406では、ステップS1405で設定された積算値平均変化量テーブルを用いて、図10で説明したフローチャートに従って、濃度補正を実行する。その後、上記実施形態と同様の量子化処理(ステップS1407)および列分配処理(ステップS1408)を実行した後、ステップS1409に進む。ステップS1409では、画像データ統合部45を用い、ステップS1408から出力される列分配後の2値データに対し、ステップS1404で設定した紙面予備吐用のパターンを合成する。以上で本処理が終了する。
以上説明したように、本実施形態によれば、図9(a)および(b)で示したようなパラメータ内容の異なる積算値平均変化量テーブルや、吐出頻度の異なる紙面予備吐用のパターンを複数用意する。そして、インクの種類や記録媒体の種類などに応じて夫々のインクに適切な紙面予備吐用のパターンを設定するとともに、設定された紙面予備吐に応じた濃度補正処理を実行する。これにより、各インク色に対し、状況に応じて適切な紙面予備吐および濃度補正処理を施すことが出来るので、濃度ムラのない安定した画像を出力することが可能となる。
なお、以上の説明では、600dpiの1画素を補正処理部42が補正処理の対象とする単位領域とし、1画素単位で濃縮積算値平均Dを更新したが、本発明はこのような構成に限定されるものではない。例えば、図10(a)および(b)に示すような連続する8画素を1つの単位領域とし、8画素の処理が完了した後に濃縮積算値平均Dの更新を行うようにしても良い。この場合、処理の負荷をより軽減することが出来る。
また、以上では、濃度補正部42に入力される階調データの解像度(600dpi)よりも記録装置の記録解像度(1200dpi)のほうが大きい場合について説明したが、これら解像度は同じ値であっても、本発明は対応可能である。このような場合、再度図8を参照するに、1つのラスタには16ではなく8つのノズルが相応することになり、濃縮積算値平均Dはこれら8つのノズルに共通する値として管理される。
更に、以上の実施形態では、1つのチップに8列のノズル列を配備し、1200dpiの1ラスタ分のドットデータを8つのノズルで(重複領域では16ノズルで)交互に記録する形態で説明したが、本発明はこのような構成に限定されるものではない。更に多くのノズル列や更に少ないノズル列を有する形態であっても、本発明は有効に機能する。いずれにしても、量子化前の各ラスタデータに1つ以上のノズルが対応づけられ、これらノズルが記録可能な単位領域ごとに、上述されたような濃縮積算平均値Dが設定されれば、本発明は有効に機能する。
また、以上ではロール紙の両面に対し画像を記録するフルライン型のインクジェット記録装置を例に説明したが、本発明は上記形態に限定されるものではない。記録装置は用紙の片面のみに記録する形態とすることも出来るし、更に多くのインクすなわち更に多くのラインヘッド17を用いる形態とすることも出来る。また、ロール紙でなくカット紙に記録する装置とすることも出来る。カット紙に記録する場合、記録ヘッドはページとページの間で紙面予備吐では無く、予め装置に用意された予備吐出用のパッドに向けて予備吐出動作を行うことが出来る。
更に、本発明はフルライン型ではなくシリアル型の記録装置にも応用することが出来る。シリアル型の記録装置では、記録走査のたびに用紙の両端で予備吐出動作を行うことも出来るが、大型の用紙に記録する場合には1回の走査の時間も長くなり、記録走査の間にインクの濃縮が進行して記録走査の開始時に濃度補正が必要な場合もある。このような場合には、本発明の特徴的な濃度補正処理を紙面予備吐と併用することにより、上記実施形態と同様の効果を得ることが出来る。
1 給紙トレイ
2 給紙ローラ
3 分離斜面
4 戻し爪
5 シート

Claims (8)

  1. インクを吐出するノズルが配列されたノズル列を備えた記録ヘッドに対し、前記ノズルの配列方向と交差する方向に記録媒体を搬送することにより、前記記録媒体に画像を記録するインクジェット記録装置において、
    前記記録媒体の単位領域に対応する多値の画像データに基づいて、前記単位領域に対し記録を行うことが可能な複数のノズルに共通するインクの濃縮の程度に関する情報を取得する取得手段と、
    前記取得手段が取得した前記情報に従って、前記単位領域に対する多値の画像データを補正する補正手段と、
    前記補正手段によって補正された多値の画像データを量子化して2値データを生成する量子化手段と、
    前記2値データに紙面予備吐用の2値データを合成する合成手段と、
    該合成手段によって合成された2値データに従って前記記録ヘッドからインクを吐出する記録手段と、
    前記補正手段によって補正された前記多値の画像データに基づいて、前記単位領域に対し記録を行うことが可能な複数のノズルが前記単位領域の次に記録する単位領域、についての前記情報を新たに生成する生成手段と
    を備え、
    前記生成手段は、前記紙面予備吐用の2値データが示す紙面予備吐の吐出頻度が高いほど、前記インクの濃縮の程度が小さいこと示す情報となるように、前記情報を新たに生成することを特徴とするインクジェット記録装置。
  2. 前記紙面予備吐用の2値データは、紙面予備吐における吐出頻度に対応して複数用意され、前記インクの種類または前記記録媒体の少なくとも一方に応じて、前記複数の紙面予備吐用の2値データの中から1つが設定されることを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録装置。
  3. 前記単位領域は、前記多値の画像データの解像度における1画素に相当する領域であることを特徴とする請求項1または2に記載のインクジェット記録装置。
  4. 前記生成手段は、前記情報と前記補正手段によって補正された多値の画像データとの組み合わせに対応づけられた前記情報の変化量を記憶するテーブルを参照することにより前記情報を新たに生成し、
    前記テーブルは、紙面予備吐の吐出頻度に応じて前記変化量が異なるような複数のテーブルが用意されていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載のインクジェット記録装置。
  5. 前記2値データの解像度は前記多値の画像データの解像度よりも高いことを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載のインクジェット記録装置。
  6. 前記記録ヘッドには、前記ノズル列の更に複数が前記搬送の方向に並列配置されており、
    前記情報は、前記単位領域に対し記録を行うことが可能な前記複数のノズル列に含まれる複数のノズルに共通するインクの濃縮の程度に関する情報であることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項に記載のインクジェット記録装置。
  7. 前記インクジェット記録装置は、前記記録媒体の幅に相当する数だけ前記複数のノズルが配列されたノズル列に対し、前記記録媒体を搬送することにより、前記記録媒体に画像を記録することを特徴とする請求項1ないし6のいずれか1項に記載のインクジェット記録装置。
  8. インクを吐出するノズルが配列されたノズル列を備えた記録ヘッドに対し、前記ノズルの配列方向と交差する方向に記録媒体を搬送することにより、前記記録媒体に画像を記録するインクジェット記録方法において、
    前記記録媒体の単位領域に対応する多値の画像データに基づいて、前記単位領域に対し記録を行うことが可能な複数のノズルに共通するインクの濃縮の程度に関する情報を取得する取得工程と、
    前記取得工程で取得された前記情報に従って、前記単位領域に対する多値の画像データを補正する補正工程と、
    前記補正工程によって補正された多値の画像データを量子化して2値データを生成する量子化工程と、
    前記2値データに紙面予備吐用の2値データを合成する合成工程と、
    該合成工程によって合成された2値データに従って前記記録ヘッドからインクを吐出する記録工程と、
    前記補正工程によって補正された前記多値の画像データに基づいて、前記単位領域に対し記録を行うことが可能な複数のノズルが前記単位領域の次に記録する単位領域、についての前記情報を新たに生成する生成工程と
    を有し、
    前記生成工程では、前記紙面予備吐用の2値データが示す紙面予備吐の吐出頻度が高いほど、前記インクの濃縮の程度が小さいこと示す情報となるように、前記情報を新たに生成することを特徴とするインクジェット記録方法。
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