特許文献1のように、空気取入口に逆止弁を設けることは、液体の漏出防止対策には有効ではある。
特許文献1の逆止弁は、側端部が蓋に固着されて容易に動くバネ板(特許文献1の第2図)を弁体とするもの、或いは球体を弁体とするもの(特許文献1の第3図)であるため、容器本体の内外の圧力が均一にある状態で容器本体が傾けられると、弁体が動いて空気取入口から液体が漏れ出るおそれもある。特に、液体用容器が適用される液体消費装置が、手で持った状態で使用されるミスト器等である場合には、液体消費装置が傾斜姿勢とされたときに液体用容器も傾くことが避けられず、空気取入口から液体が漏れ出て、漏れ出た液体で装置内部が短時間のうちに汚染されて液体消費装置の動作不良を招くおそれもある。
本発明の目的は、液体消費装置に着脱可能に装着されて、該液体消費装置に向けて液体を供給するための液体用容器において、空気取入口から漏出した液体により、液体消費装置の内部が汚染されることを、より確実に防ぐことができる液体用容器を提供することにある。
本発明は、液体消費装置を構成する作動機器2に対して着脱可能に装着されて、該作動機器2に向けて液体を供給するための液体用容器を対象とする。液体用容器11は、液体が収容される容器本体80と、容器本体80から液体を送出するための液体送出口100と、液体送出口100からの液体の送出に伴って外部から容器本体80内に空気を取り入れるための空気取入口105とを備える。そして、容器本体80の空気取入口105の外方側に、液溜めチャンバー106が形成されていることを特徴とする。
液溜めチャンバー106の底部に空気取入口105が開設されており、空気取入口105の径寸法(D)が液溜めチャンバー106の底部の幅寸法(W)よりも小さく設定されている。
液溜めチャンバー106は、上方開口を有する有底容器状に形成されており、液溜めチャンバー106の上方開口を覆うように蓋体143が設けられている。
液体送出口100を囲むように、液溜めチャンバー106が周回状に形成されている。
容器本体80の上端部には、液体送出口100を囲むように内筒壁102と外筒壁103とが形成されており、外筒壁103が、空気取入口105を備えるチャンバー底壁107から延びる第1筒壁114と、該第1筒壁114の上端に連設されて該第1筒壁114よりも大径に形成された第2筒壁119とで構成されている。
作動機器2には、該作動機器2と液体用容器11とを連結するための連結具35が設けられており、連結具35に蓋体143が設けられている。
液溜めチャンバー106内に、液体の上方への移動を抑制するための堰止め部198が形成されている。
堰止め部198が液溜めチャンバー106内に装着されたパッキン201で形成されている。
液体用容器の上端部が、チャンバー底壁107および内外筒壁102・103を含む栓体94の形態で容器本体80に装着されており、栓体94と連結具35との間に、両者間の間隙を封止するためのパッキン155が設けられている。
連結具35には、下方に伸びる筒状リブ144が周回状に形成されており、筒状リブ144と外筒壁103の第2筒壁119との間に、パッキン155が設けられている。
蓋体143の上壁に空気取入口105に連通する空気孔190が形成されている。
蓋体143が容器本体80に形成されている。
作動機器2には、該作動機器2と液体用容器11とを連結するための連結具35が設けられており、連結具35が、液体送出口100に連通する液通路150を有する上壁140と、上壁140の外周部から下方に伸びる外筒壁141と、液通路150を囲むように周回状に形成されて下方に延びる周回リブ145とを備え、容器本体80の先端部が、周回状に形成されて上方に突設される連結壁130を備えており、連結壁130の外側面と外筒壁141との間に、両壁130・141の隙間を埋めるためのパッキン157が設けられており、連結具35と容器本体80の先端部との間に形成されて、該先端部を連結具35に連結するための連結構造が、外筒壁141と周回リブ145とで区画される下方開口を有する凹部146と、該凹部146内に下方より挿入される連結壁130とで構成され、凹部146内に連結壁130を挿入した連結状態において、周回リブ145の下端と連結壁130の上端とが上下方向にオーバーラップするように構成されている。
本発明においては、容器本体80の空気取入口105の外方側に液溜めチャンバー106を形成したので、該空気取入口105から液体が漏れ出た場合にも、これを液溜めチャンバー106で受け止めることができる。これにより、空気取入口105から漏れ出た液体が、容器本体80の外面に至ること、或いは液体消費装置の内部機器に至ることを防ぐことができるため、容器本体80の外面、或いは液体消費装置の内部が漏れ出た液体で汚染されることを効果的に防ぐことができる。従って、本発明によれば、漏れ出た液体により液体消費装置を構成する作動機器2が汚染されて、液体消費装置が動作不良状態に陥ることを防ぐことができる。作動機器2に対する液体用容器11の着脱作業時に、容器本体80の外面に付着した液体により使用者の手指が汚染されることも防ぐことができる。
加えて、本発明によれば、空気取入口105は単なる開口であるため、液溜めチャンバー106に溜まった液体が、自重により空気取入口105を介して容器本体80内に自然に流入し、容器本体80内に復帰する作用も期待できる。また、容器本体80内が負圧となり、空気取入口105から容器本体80内に空気が流入する際に、該空気とともに、液溜めチャンバー106に溜まった液体が容器本体80内に復帰する作用も期待できる。従って、この点においても本発明に係る液体用容器は、空気取入口105から漏出した液体により作動機器2が汚染されたり、容器本体80の外面に液体が付着したりすることを確実に防ぐことができる。
液溜めチャンバー106の底部に空気取入口105が開設されており、空気取入口105の径寸法(D)が液溜めチャンバー106の底部の幅寸法(W)よりも小さく設定されている形態を採ることができる。これによれば、不用意な液体の空気取入口105からの漏出を防ぎながら、空気取入口105を介して空気を容器本体80内に確実に取り入れることができる。すなわち、小さな開口寸法を有する空気取入口105を液溜めチャンバー106の底部に設けることで、不用意に空気取入口105から液体が漏れ出すことを防ぐことができる。
液溜めチャンバー106の上方開口を覆うように蓋体143が設けられていると、この蓋体143により、液溜めチャンバー106内に溜まった液体がチャンバー106の上方開口から漏れ出ることを防ぐことができる。したがって、より確実に、容器本体80の外面、或いは液体消費装置を構成する作動機器2が、漏れ出た液体で汚染されることを防ぐことができる。かかる作用効果は、特に、本願発明に係る液体用容器が適用される液体消費装置がミスト器のような使用者が手で持って使用されるものであり、液体消費装置および液体用容器11が斜め姿勢とされることが予定される場合に有効である。
液溜めチャンバー106が周回状に形成されていると、液溜めチャンバー106の容量を大きくすることができるので、液溜めチャンバー106から液体が漏れ出ることをより確実に防ぐことができる。加えて、液体消費装置および液体用容器11が傾けられた際に、液溜めチャンバー106内の液体を、周回状に形成された液溜めチャンバー106の下方側に寄せることができるので、液体の自重による容器本体80内への復帰作用も期待できる。また、液溜めチャンバー106が周回状に形成されるとともに、例えば液溜めチャンバー106の底部に複数個の空気取入口が放射状の等間隔位置に形成されていると、液体消費装置および液体用容器11が傾いたとき、上方側の空気取入口105を利用して通気状態を確実に確保できる点でも優れている。
容器本体80の上端部に形成された外筒壁103が、空気取入口105を備えるチャンバー底壁107から延びる第1筒壁114と、該第1筒壁114の上端に連設されて該第1筒壁114よりも大径に形成された第2筒壁119とで構成されていると、第2筒壁119の径寸法ぶんだけ、液溜めチャンバー106の容量を大きくすることができる。これにより、液溜めチャンバー106から液体があふれ出すことをより確実に防ぐことができる。
作動機器2に設けられた連結具35に蓋体143が設けられていると、作動機器2から液体用容器11を取り外すことにより、蓋体143を液溜めチャンバー106から分離できる。このように、蓋体143が液溜めチャンバー106から分離できると、当該液溜めチャンバー106内の汚れを目視にて確認することができる。また、液溜めチャンバー106内のクリーニング作業も容易となる。
液溜めチャンバー106内に、液体の上方への移動を抑制するための堰止め部198が形成されていると、液溜めチャンバー106の上方開口から液体が不用意にあふれ出ることを、より確実に防ぐことができる。
堰止め部198が液溜めチャンバー106内に装着されたパッキン201で形成されていると、パッキン201により液溜めチャンバー106の上方開口から液体が不用意にあふれ出ることを、より確実に防ぐことができる。別途、堰止め部198を形成する形態に比べて、部品点数を少なくして安価に製造できる利点もある。
液体用容器の上端部が、チャンバー底壁107および内外筒壁102・103を含む栓体94の形態で容器本体80に装着されており、しかも栓体94と連結具35との間に、両者94・35間の間隙を封止するためのパッキン155が設けられている形態を採ることができる。これによれば、栓体94と連結具35との間に設けられたパッキン155により、液溜めチャンバー106内の液体が漏れ出すことを防ぐことができる。加えて、パッキン157により作動機器2からの振動が容器本体80に伝わることを防ぐことができるので、連結具35と容器本体80との接続状態の安定化にも貢献できる。
連結具35には、下方に延びる筒状リブ144が周回状に形成されており、筒状リブ144と外筒壁103の第2筒壁119との間にパッキン155が設けられていると、液溜めチャンバー106の封止構造の簡素化を図ることができる。
蓋体143の上壁に空気取入口105に連通する空気孔190が形成されていると、容器本体80が横倒しされたときに、空気孔190から液溜めチャンバー106内の液体が漏れ出すことを効果的に防ぐことができる。すなわち、蓋体143の側壁に空気孔が形成されていると、容器本体80が横倒しされたときに、空気孔が下方に指向して、空気孔から液溜めチャンバー106内の液体が漏れ出すおそれがある。これに対して、蓋体143の上壁に空気取入口105に連通する空気孔190が形成されていると、容器本体80が横倒しされた場合でも、空気孔190が下方に指向することが無く、従って液溜めチャンバー106内の液体が空気孔190から漏れ出すことを確実に防ぐことができる。
液溜めチャンバー106の上方開口を塞ぐ蓋体143が容器本体80に形成されていると、作動機器2、および連結具35から容器本体80を取り外した状態において、容器本体80が倒れた場合でも、液溜めチャンバー106の上方開口から液体が漏れ出すことを防ぐことができる。
連結具35が、液体送出口100に連通する液通路150を有する上壁140と、上壁140の外周部から下方に伸びる外筒壁141と、液通路150を囲むように周回状に形成されて下方に延びる周回リブ145とを備え、容器本体80の先端部が、周回状に形成されて上方に突設される連結壁130を備えており、連結壁130の外側面と外筒壁141との間に、両壁130・141の隙間を埋めるためのパッキン157が設けられている形態を採ることができる。これによれば、該パッキン157により、連結具34と液体用容器11との連結部分から液体が漏れ出ることを防ぐことができる。加えて、連結具35と容器本体80の先端部との間に形成されて、該先端部に連結具35を連結するための連結構造が、外筒壁141と周回リブ145とで区画される下方開口を有する凹部146と、該凹部146内に下方より挿入される連結壁130とで構成され、凹部146内に連結壁130を挿入した連結状態において、周回リブ145の下端と連結壁130の上端とが上下方向にオーバーラップするように構成されていると、連結構造に容器の寸法誤差を許容するクリアランスを設けることができる。つまり、例えば、液体用容器の上下寸法が短く、液体消費装置に対する液体用容器の装着位置が、適正な装着位置よりも下方にある場合にも、周回リブ145の下端と連結壁130の上端との上下方向のオーバーラップ幅で、連結具35と液体用容器11との間に、液体用容器11の不用意な揺動を規制し得る強固な連結状態を付与することができ、したがって、連結部分から液体がパッキン157側へ流れ込むことを防ぐことが可能となる。連結部分からも液体の漏れ出しを確実に防ぐことができるので、連結部分から漏れ出た化粧品などのミスト原液が固化し、液体用容器を取り外しが困難となる不都合が生じることを確実に防ぐこともできる。
(第1実施例) 図1ないし図14は、本発明を美容用のミスト器(液体消費装置)(以下、単にミスト器と言う。)の液体用容器に適用した第1実施例を示している。なお、本発明における前後、左右、上下とは、図1、図2および図5に示す交差矢印と、各矢印の近傍に表記した前後、左右、上下の表示に従う。
図2および図3においてミスト器は、上下面が開口する縦長筒状の本体ケース1を基本として、その内部に作動ユニット(作動機器)2を収容して構成される。本体ケース1の断面は、前後方向の長軸を有する楕円形状に形成され、その左右幅は前後幅に比べて充分に小さく設定され、主なユーザーである女性の手に馴染みやすく、しかも片手で掴みやすい大きさに形成されている。本体ケース1の前壁の上部には円形のミスト口3が開口され、本体ケース1の上端(上部)にはスイッチノブ4が配置されている。また、本体ケース1の後面の上部寄りにはグリップ部5がなだらかに凹み形成されている(図2参照)。図3において符号6はキャップであり、不使用時にキャップ6を本体ケース1に被せ付けた状態では、ミスト口3およびスイッチノブ4の外面がキャップ6で覆われるようになっている。これにより、スイッチノブ4が誤ってオン操作されるのを防止できる。また、ミストノズル10のノズル口40やその周辺部に塵埃が付着し、あるいはノズル口40に異物が入込んで目詰まりに陥ることなどを防止できる。さらに、キャップ6は、ミスト器が床面などに落下した場合の防護体としても機能しており、キャップ6の内面に面して配置された機器の破損を防止することにも役立っている。
図2に示すように作動ユニット2は、上下に長い電装ケース8と、電装ケース8の上部に組み付けられるノズルケース9を骨格構造にして、両ケース8・9にミスト生成構造の構成部品と、イオン発生構造の構成部品とを組付けて構成する。ミスト生成構造は、ミスト口3の内側中央に配置されるミストノズル10と、同ノズル10の下方に配置されるタンク(液体用容器)11と、エアーポンプ12と、同ポンプ12を駆動するモーター13と、2次電池14を含む電装品部15などで構成される。電装品部15には、制御回路が実装された回路基板16と、樹脂モールド17と、充電用のコネクター18と、先の2次電池14と、補助回路基板19などが設けられている。
イオン発生構造は、先の樹脂モールド17と、ミストノズル10の上側に配置した電極ユニット21と、補助回路基板19などで構成される。電流調整用の前段の回路群が補助回路基板19に実装され、電流調整用の後段の回路が樹脂モールド17の内部に封入されている。補助回路基板19は、2次電池14の側方空間に配置されて電装ケース8に固定されている。
上記の各機器を本体ケース1の内部に整然と組込むために、本体ケース1の内部は区分壁23で前室1Aと後室1Bとに区分されている。区分壁23は本体ケース1と一体に形成されており、底開口の近傍から本体ケース1の過半上部にわたって、前壁に沿う状態で上下方向に連続している。区分壁23の上端でノズルケース9の下端壁を支持し、区分壁23の下端と本体ケース1の底開口とが協同して内底壁24を受け止めている。
区分壁23で区分した前室1Aにタンク11を収容し、後室1Bにエアーポンプ12と、モーター13と、2次電池14を含む電装品部15を収容すると、タンク11から漏れ出たミスト原液(液体)が後室1B側へ流入するのを区分壁23で阻止できる。従って、後室1Bに収容した電気機器に漏れ出たミスト原液が付着することで生じる電気系統の故障、例えば短絡や発熱などの故障をよく防止できる。区分壁23は、縦長筒状に形成された本体ケース1の補強構造体としても機能しており、本体ケース1の構造強度を増強することにも役立っている。
電装ケース8は縦長のプラスチック成形品からなり、本体ケース1と協同してノズルケース9を支持しており、その上半部にエアーポンプ12とモーター13を収容する上収容部25が後向きに開口する状態で形成されている。また、電装ケース8の下半部には、樹脂モールド17および2次電池14を収容するモールド収容部26と電池収容部27とが、前向きに開口する状態で形成されている。回路基板16は、モールド収容部26と電池収容部27の後側に配置されて、電装ケース8に固定されており、その前側に補助回路基板19が固定されている。コネクター18は、別途設けたソケットホルダー20に固定される。
エアーポンプ12は、ダイヤフラムポンプからなり、その上端にエアー吐出部28と、空気をポンプ内部に導入するためのエアー吸気部29とが、前後に隣接する状態でそれぞれ上向きに突設されている。この実施例では、エアーポンプ12とモーター13とが一体化されたローリングポンプを適用した場合を示している。ローリングポンプ(エアーポンプ12)の内部には複数個のダイヤフラムが設けられており、これらのダイヤフラムが、モーター13で回転駆動されて「皿回し運動」をする駆動体で上下操作することにより、エアー吸気部29から吸込んだ空気を加圧してエアー吐出部28から送出する。
図4に示すように、ノズルケース9は、中空ケース状のプラスチック成形品であり、その内部が区画壁31により前後2区画に区分されている。ノズルケース9の前壁には、ミスト口3に対応してミスト窓32が開口され、下端壁にはタンク11を連結するためのタンク開口33が開口されている。
ノズルケース9の区画壁31より前側の区画には、ミストノズル10と、電極ユニット21と、タンク11用の連結具35が組付けられ、後側の区画にはスイッチ基板が組付けられ、その上面にモーター13への通電状態をオン・オフするスイッチ36が実装されている。ノズルケース9に固定した状態における電極ユニット21の中心軸は、ミストノズル10の水平の噴霧中心軸に対して下り傾斜している。
ミストノズル10は、透明なプラスチック材を素材とする射出成形品からなり、その上部前面にミストを噴出するノズル口40が開口されている。ミストノズル10の下部前面にタンク11内に外気を取り込むための取入口41を有する外気取入部50が装着されている。ミストノズル10の上部後面と下面前部の二箇所には、筒状の継手部42・43が突設されている。ノズル口40、および外気取入口41は、ミスト口3を介して本体ケース1の外面に臨んでいる。図4に示すように、上部後面の継手部42には給気口45が開口され、この給気口45に連続して、ミストノズル10の内部にはノズル口40へ向かう先すぼまり状の空気通路46が形成されている。同様に、下面前部の継手部43には、給液口47が開口され、この給液口47に連続してノズル口40へ向かう上窄まり状の液通路48が形成されている。ミストノズル10の継手部44には、取入口41から下方に向かって伸びる、均一な内径を有するストレート状の空気通路49が形成されている。
図4に示すように、ミストノズル10の継手部42とエアーポンプ12のエアー吐出部28とは、給気管51を介して接続されている。図1および図4に示すように、ミストノズル10の継手部43と連結具35の液吐出部56とは、給液管52を介して接続されている。図1および図4に示すように、ミストノズル10の継手部44と、連結具35のタンク吸気部57とは、タンク吸気管58を介して接続されている。さらに、エアーポンプ12のエアー吸気部29には、本体ケース1のタンク11の収容空間となる前室1Aに至るポンプ吸気管53が接続されている。このように、ポンプ吸気管53が本体ケース1のタンク11の収容空間となる前室1Aに至っており、エアーポンプ12による空気の吸込始端を本体ケース1の前室1Aとしてあると、より効率的にイオン種を放出することができる。すなわち、エアーポンプ12による空気の吸込始端が電極ユニット21の近傍やノズルケース9内にあると、電極ユニット21で生成されたイオン種が吸込始端に引き寄せられしまい、イオン種を効率的にミスト口3から放出することが困難となる。これに対して、エアーポンプ12による空気の吸込始端が本体ケース1の前室1Aとなっていると、該吸込始端を電極ユニット21から離れて配置することができるので、エアーポンプ12による空気の吸込動作がイオン種の放出の妨げとなることがなく、より効率的に大量のイオン種をミスト口3から放出することが可能となる。給気管51、給液管52、タンク吸気管58、およびポンプ吸気管53は、それぞれ軟質で屈曲自在なシリコーンゴム製のチューブ、或いはプラスチック製のチューブで形成されている。給気管51の屈曲形状を一定にするために、給気管51と交差する区画壁31に設けた保持穴54で、給気管51の中途部を遊動不能に挟持固定し、さらに、給気管51の下面側を湾曲する管支持壁55で支持している。
図5に示すように、ミストノズル10のノズル口40の周囲とミスト口3との間の隙間を塞ぐために、ミスト口3の内面に凹面鏡状のミスト口カバー60を嵌込み、その中央にミスト窓61を開口している。また、ミスト窓61の上側にイオン種放出窓62を開口し、電極ユニット21で生成されたイオン種を、イオン種放出窓62を介してノズル口40から噴霧されたミスト流へ向かって放出できるようにしている。図9に示すように、ミスト口カバー60の内面には、左右一対の係合腕63・63が突設されており、各係合腕63・63をノズルケース9に設けた係合リブ64・64に係合することにより、ミスト口カバー60をノズルケース9に固定している。図4に示すように、電極ユニット21の前端と正対するイオン種放出窓62の内面側には、指先が電極ユニット21に触れるのを防ぐガード枠65が設けられている。ミストノズル10の後面下部にはLED66が密着配置してあり、このLED66をミスト噴出時に点灯することにより、LED66から照射されてミストノズル10で散乱された柔らかな光でミスト流を照らすことができる。
図4において電極ユニット21は、筒状に形成されるプラスチック製のホルダー70と、ホルダー70の前面中央に固定される針状の中央電極71と、中央電極71の周囲を囲むリング状の対向電極72と、両電極71・72の間の空間を絶縁する誘電筒73などで構成する。
図1、図2、および図3に示すように、タンク11は、ミスト液(液体)が収容されるタンク本体(容器本体)80と、タンク本体80の上端に設けた接続体81と、接続体81の内面下部に固定される直管状の吸上パイプ82などで構成される。タンク本体80は、透明、或いは半透明のプラスチックを素材とする成形品であり、上下に長い有底容器状の収容部83と、収容部83の上端肩部に形成された口頸部85とを備えるビン状に形成されている。口頸部85には、収容部83に連通する上方開口86が形成され、その外周縁には、キャップ88の雌ネジ部89(図14参照)と螺合する雄ネジ部87が設けられている。図14に示すように、タンク11は、接続体81と吸上パイプ82とがタンク本体80に予め組み付けられるとともに、接続体81および口頸部85を覆うようにキャップ88が装着された状態で販売に供される。また、後述するようなタンク11のミスト器への装着に先立って、キャップ88は取り外される。図8に示すように、タンク本体80の収容部83の断面は、前後方向に走るストレート辺90と、ストレート辺90の前後端から左方向に伸びる略円弧状の湾曲辺91とを有するトンネル断面状に形成されている。
図1および図12に示すように、接続体81は、タンク本体80の上方開口86に嵌め込み装着される栓体94と、上端に吐出口95を有し、栓体94に装着される出口片96と、吐出口95の開閉を担う開閉弁97とで構成される。栓体94は、液体送出口100を有する底壁101と、液体送出口100を囲むように上向きに突設された円筒壁である内筒壁102と、底壁101の外周縁に上向きに突設された外筒壁103とを備える有底容器状のプラスチック成形品であり、底壁101の下面には、吸上パイプ82を圧嵌装着するための筒ボス104が下向きに突設されている。底壁101には、ミスト液の送出に伴ってタンク本体80内が負圧となったときに、外部からタンク本体80内に空気を取り入れるための空気取入口105が設けられている。
そのうえで本実施例に係るタンク11においては、空気取入口105の上方に、空気取入口105から漏れ出たミスト液を溜めるための液溜めチェンバー106が形成されている点が着目される。詳しくは、図13に示すように、栓体94の内外筒壁102・103で区画される円リング状の底壁(チャンバー底壁)107の周方向の等間隔位置には、計6個(複数個)の円形状の空気取入口105が開設されており、これら空気取入口105の上方に、内外筒壁102・103と底壁107で区画されて、空気取入口105から漏れ出たミスト液の収容空間となる液溜めチャンバー106が周回状に形成されている。各空気取入口105の直径寸法(径寸法)(D)は、底壁107の幅寸法(W)よりも小さく設定されている。空気取入口105は円形状に限らず、楕円形状、三角形状あるいは多角形状であってもよく、また、三角形状あるいは多角形状の場合には、その頂点部を丸めてあってもよい。
図1および図12において、符号109は、空気取入口105の下方を覆う弁体を示す。弁体109は、空気取入口105の下方開口を覆う薄膜円盤状の弁本体110と、底壁101に設けられた凹部111内に挿入される装着凸部112とを一体に備えるゴム成形品であり、常態においては、弁本体110の自由端が空気取入口105を塞ぐことで、空気取入口105からのミスト液の流出を防ぎ、タンク本体80内の気圧が低下すると、弁本体110の自由端が下方に揺動して空気取入口105を開くようになっている。尤も、底壁107と弁本体110との間には、タンク本体80と空気取入口105とを連通するスリット113が設けられており、弁本体110の自由端が図1に示すような閉姿勢にあるときにも、スリット113を通してタンク本体80と空気取入口105とは連通するように構成されており、タンク本体80内の気圧が上昇したときには、スリット113を介してタンク本体80内の空気は、空気取入口105を介して液溜めチャンバー106に放出されるようになっている。
外筒壁103には、栓体94をタンク本体80に装着するための装着構造が形成されている。かかる装着構造は、底壁101の外周縁から上向きに突設された第1筒壁114と、第1筒壁114の上端から水平方向に張り出し形成された受壁115と、受壁115の外端から下方に向けて突設された外周壁116とからなり、下向きに開口する断面コ字形の周回溝117として構成される(図1、図12および図13参照)。図1に示すように、口頸部85の上端部に形成された薄肉の装着壁118を周回溝117内に差し込むことで、タンク本体80の口頸部85に栓体94を装着することができる。例えば受壁115と装着壁118とを超音波溶着することで、タンク本体80に対して栓体94が脱着不能に固定された形態を採ることができる。
外筒壁103の内壁面は、第1筒壁114の内壁面と、該第1筒壁114の内寸法よりも大径の内寸法を有する第2筒壁119の内壁面とからなる段付き面とされている。これにて、図12に示すように、液体送出口100の周りに周回状に形成される液溜めチャンバー106を、外筒壁103の第1筒壁114で区画される下方側の小径の第1室121と、受壁115の張り出し方向の中途部に形成されて第1筒壁114よりも大径の第2筒壁119で区画される大径の第2室122を備えるものとすることができる。このように、大径の第2室122を設けると、液溜めチャンバー106の容積を大きくすることができる。
図12に示すように、出口片96は、吐出口95を有する上筒部125と、栓体94の内筒壁102に嵌め込み装着される下筒部126とを備えるプラスチック成形品であり、上下筒部125・126の境界には、下筒部126の内筒壁102への嵌め込み限界を規制するためのフランジ127が張り出し形成されている。上筒部125の内部には、上端の吐出口95に連通する液通路128が形成されており、下筒部126の内部には、液通路128に連通する入口室129が形成されている。上筒部125の上端には、連結具35との接続を担う周回状の連結壁130が上方に向かって突設されている。連結壁130の上端内面には、上拡がりテーパー状の連結面131が形成されている。
図12に示すように、開閉弁97は、ピストン部材133と、ピストン部材133の下面と栓体94の底壁101の上面との間に介在されたコイルスプリング134とで構成される。ピストン部材133は、断面十字状に形成されて、液通路128にガイドされて上下動し得る棒状の弁棒135と、弁棒135の下端に形成されて液通路128への入口を塞ぐフランジ状の弁部136と、弁部136の下方に突設されて、コイルスプリング134が外嵌装着される円筒状のコイル装着部137とで構成される。コイルスプリング134は、押しばねであり、弁部136と栓体94の底壁101との間の入口室129内に介在され、弁部136を上方に押し上げて、液通路128を塞ぐ方向に付勢力を発揮する。
連結具35は、上壁140と上壁140の外周縁から下方に伸びる外筒壁141とからなり、下方開口を有する蓋状のハウジング142と、上壁140に突設された液吐出部56とタンク吸気部57と、外筒壁141の下端から外方向に張り出し形成されて、液溜めチャンバー106の上方開口を塞ぐフランジ状の蓋壁(蓋体)143と、蓋壁143から下方に伸びる筒状リブ144とを備えるプラスチック成形品である。上壁140の下面には周回リブ145が突設されており、周回リブ145と外筒壁141との間には、下方開口を有する凹部146が周回状に形成されている。周回リブ145の外周面は、出口片96の連結壁130の連結面131と一致する下窄まりテーパー状に形成されている。
ハウジング142の内部には、出口片96を受け入れる連結室147が設けられている。連結室147は、外筒壁141で区画されて出口片96の上筒部125の挿入を許す小径の第1連結室148と、筒状リブ144で区画されて出口片96のフランジ127の挿入を許す大径の第2連結室149とからなる。
第1連結室148の上端の周回リブ145の内部には、タンク11から送出されたミスト液を受け入れて、液吐出部56の出口に連通する液通路150が開設されている。液通路150は、下方に行くに従って漸次径寸法が大きくなる下拡がりテーパー状のテーパー部151と、テーパー部151の上部に形成されて径寸法が均一なストレート部152とで構成される。外筒壁141の内部には、第2連結室149とタンク吸気部57とを連通する吸気通路153が形成されており、吸気通路153は、タンク吸気管58を介して外気取入口41と空気取入口105とを連通する空気孔190を兼ねている。このように、蓋体143の上壁に空気取入口105に連通する空気孔190が形成されていると、ミスト器の全体が傾けられて容器本体80が横倒しの状態にされたときに、空気孔190から液溜めチャンバー106内の液体が漏れ出すことを効果的に防ぐことができる。すなわち、蓋体143の側壁に空気孔が形成されていると、容器本体80が横倒しされたときに、空気孔が下方に指向して、空気孔から液溜めチャンバー106内の液体が漏れ出すおそれがある。これに対して、蓋体143の上壁に空気取入口105に連通する空気孔190が形成されていると、容器本体80が横倒しされた場合でも、空気孔190が下方に指向することが無く、従って液溜めチャンバー106内の液体が空気孔190から漏れ出すことを確実に防ぐことができる。
連結具35の筒状リブ144と接続体81の外筒壁103を構成する第2筒壁119との間には、液溜めチャンバー106の上方開口を封するための封止構造が設けられている。かかる封止構造は、筒状リブ144の外面に外嵌装着された円環状のパッキン155からなる。パッキン155は、筒状リブ144の外周面に陥没形成された凹部156内に嵌め込み装着されている。同様に、連結具35の外筒壁141と出口片96の上筒部125との間には、両者141・125間を封するための封止構造が設けられている。かかる封止構造は、上筒部125の外面に外嵌装着された円環状のパッキン157からなる。パッキン157は、上筒部125の外周面に陥没形成された凹部158内に嵌め込み装着されている。
本実施例に係るミスト器では、タンク11からノズル口40に至るミスト原液の液体通路が形成される。具体的には、吸上パイプ82により吸い上げられたミスト原液は、栓体94の液体送出口100、出口片96の入口室129に至り、十字状の弁棒135と出口片96の液通路128との間隙を通って、吐出口95から吐出される。吐出口95から吐出されたミスト原液は、連結具35の液通路150、液吐出部56、および給液管52を介して、ミストノズル10の継手部43に送られ、ミストノズル10内の液通路48を通って、ノズル口40より噴き出される。
また、本実施例に係るミスト器では、ミストノズル10の外気取入部50の外気取入口41からタンク本体80に至る空気路が形成されている。具体的には、タンク本体80内の負圧時に、外気取入部50の外気取入口41から取り込まれた外気は、空気通路49、タンク吸気管58を介して連結具35に至り、タンク吸気部57、吸気通路153、次いで、栓体94の液溜めチャンバー106を介して空気取入口105からタンク本体80内に送られるようになっている。このように、外気取入部50の外気取入口41が本体ケース1の外部に通じていると、液溜めチャンバー106からミスト原液が溢れ出た場合、或いはミスト器が横倒しの状態となった場合には、先の空気路および外気取入口41を介してミスト原液は装置の外部に排出される。これによれば、装置の内部が液溜めチャンバー106から溢れ出たミスト原液で汚染されることを防ぐことができるので、ミスト器の内部の作動機器(作動ユニット2)が動作不良に陥ることを防ぐことができる。また、液溜めチャンバー106から溢れ出たミスト原液は外部に排出されるため、外気取入口41から排出されたミスト原液を捉えることで、使用者が目視で異常状態に陥っていることを確認、認識することが容易であり、直ちに適切な処置を講ずることができる点でも優れている。
以上のように、本実施形態に係るタンク11においては、タンク本体80の空気取入口105の外方側に液溜めチャンバー106を形成したので、空気取入口105から液体が漏れ出た場合にも、これを液溜めチャンバー106で受け止めることができる。これにより、空気取入口105から漏れ出たミスト原液が、タンク本体80の外面に至ること、或いは、ミスト器の内部が漏れ出たミスト原液で汚染されることを効果的に防ぐことができる。従って、漏れ出たミスト原液によりミスト器の作動ユニット2が汚染されて、ミスト器が動作不良に陥ることを確実に防ぐことができる。後述するようなミスト器に対するタンク11の着脱作業時に、タンク本体80の外面に付着したミスト原液により使用者の手指が汚染されることも防ぐことができる。また、空気取入口の中段部に逆止弁を設ける形態では、タンク11の構造が複雑化して、タンク11の製造コストが増加することが避けられない。しかし、本実施形態に係るタンク11によれば、空気取入口の中段部に逆止弁を設ける形態に比べて構造が簡単であり、より安価にタンク11を得ることができる点でも優れている。
また、本実施形態に係るタンク11によれば、空気取入口105は単なる開口であるため、液溜めチャンバー106に溜まったミスト原液が、自重により空気取入口105を介してタンク本体80内に自然に流入し、タンク本体80内に復帰する作用も期待できる。また、タンク本体80内が負圧となり、空気取入口105からタンク本体80内に空気が流入する際に、該空気とともに、液溜めチャンバー106に溜まったミスト原液がタンク本体80内に復帰する作用も期待できる。
底壁107に複数個の円形状の空気取入口105を開設するとともに、各空気取入口105の直径寸法を底壁107の幅寸法よりも小さく設定したので、不用意なミスト原液の空気取入口105からの漏出を防ぎながら、空気取入口105を介して空気をタンク本体80内に確実に取り入れることができる。すなわち、小さな開口寸法を有する空気取入口105を液溜めチャンバー106の底部に設けることで、不用意に空気取入口105からミスト原液が漏れ出すことを防ぐことができる。しかも複数個の空気取入口105を設けることで、単一の空気取入口105を設ける形態に比べて、より確実に空気取入口105から空気を取り入れることができる。液溜めチャンバー106の上方開口を覆うように蓋体143を設けたので、この蓋体143により、液溜めチャンバー106内に溜まったミスト原液が液溜めチャンバー106の上方開口から漏れ出ることを防ぐことができる。
液溜めチャンバー106を周回状に形成したので、液溜めチャンバー106の容量を大きくすることができる。これにて、液溜めチャンバー106におけるミスト原液の収容量を大きくして、液溜めチャンバー106からミスト原液が溢れ出ることをより確実に防ぐことができる。加えて、液溜めチャンバー106を周回状に形成したので、ミスト器およびタンク11が傾けられた際に、ミスト原液を周回状に形成された液溜めチャンバー106の下方側に寄せることができる。これにて、空気取入口105を介したミスト原液の自重によるタンク本体80内への復帰作用も期待できる。また、液溜めチャンバー106が周回状に形成されるとともに、例えば液溜めチャンバー106の底部に複数個の空気取入口が放射状の等間隔位置に形成されていると、液体消費装置および液体用容器11が傾いたとき、上方側の空気取入口105を利用して通気状態を確実に確保できる利点もある。すなわち、ミスト原液が下方側に寄るため、周回状に形成された液溜めチャンバー106の上方側に位置する空気取入口105を利用して通気状態を確保できる利点もある。
タンク本体80の上端に装着される栓体94に形成されて液溜めチャンバー106を区画する外筒壁103を、底壁107から延びる第1筒壁114と、第1筒壁114の上端に連設されて該第1筒壁114よりも大径に形成された第2筒壁119とで構成したので、第2筒壁119の内径寸法ぶんだけ、液溜めチャンバー106の容量を大きくすることができる。従って、液溜めチャンバー106からミスト原液が溢れ出ることをより確実に防ぐことができる。
作動ユニット2側に設けられた連結具35に蓋体143を設けたので、作動ユニット2からタンク11を取り外すことで、蓋体143を液溜めチャンバー106から分離できる。これにて、液溜めチャンバー106内の汚れを目視にて確認することが可能となる。また、液溜めチャンバー106内のクリーニング作業も容易となる。
タンク11の上端部が、底壁107および内外筒壁102・103を含む栓体94の形態でタンク本体80を構成する収容部83に挿着されており、しかも栓体94と連結具35との間に、両者間の間隙を封止するためのパッキン155を設けたので、該パッキン155により、液溜めチャンバー106内のミスト原液が漏れ出すことを防ぐことができる。加えて、パッキン155により作動ユニット2からの振動がタンク本体80に伝わることを防ぐことができるので、連結具35とタンク本体80との接続を安定化できる。
連結具35に、下方に延びる筒状リブ144を周回状に形成し、筒状リブ144と外筒壁103の第2筒壁119との間にパッキン155を設けたので、液溜めチャンバー106の封止構造の簡素化を図ることもできる。
本体ケース1の下端には、底開口を開閉して、タンク11を前室1Aに出入可能とするための底蓋160が設けられている。図3、図6、および図7に示すように、底蓋160は、無端環状の蓋周縁壁161を備えた上向きに開口する楕円皿状に形成されており、その中央下面側に操作ノブ162を収容するための操作凹部163が上向きに膨出する状態で形成されている。蓋周縁壁161と操作凹部163の膨出壁との間の底壁は、タンク11から漏洩したミスト原液を受け止める液受凹部164として機能する。液受凹部164は蓋周縁壁161に沿って周回状に形成されており、タンク本体80の底面と対向する液受凹部164には、タンク11を連結具35に向かって押付けるゴム製の押圧ピース165が固定されている。操作凹部163を囲む底蓋160の下面は平坦に形成されており、不使用状態において、ミスト器は本体ケース1が起立する状態で載置することができるようになっている。
底蓋160と内底壁24との間には、本体ケース1に装着した底蓋160をロック保持するロック機構が設けられている。ロック機構は、操作凹部163に収納される操作ノブ162と、操作ノブ162に一体に設けられた左右一対の係合腕166と、内底壁24の下面側に設けられた左右一対の蓋係合枠167・167と、操作凹部163の上壁上面に配置されるスライド板168などで構成される。一対の係合腕166は、底蓋160に形成したスライド溝を介して底蓋160の上方に突出している。操作ノブ162とスライド板168は、操作ノブ162に設けたピン169で同行移動可能に一体化されている。ロック状態における係合腕166は、蓋係合枠167と係合して、底蓋160が本体ケース1から分離するのを防止している。また、操作ノブ162を図6において後側へスライド操作すると、係合腕166と蓋係合枠167との係合状態が解除されるので、底蓋160を本体ケース1から分離することができる。
図3に示すように、底蓋160を取り外した状態で、タンク11は、本体ケース1の底開口の側から前室1Aに差込装填され、また、逆の手順で本体ケース1の底開口の側から取り出される。このように前室1Aに差込み装填する際の連結具35に対するタンク11の位置決め作業の煩わしさを解消するため、区分壁23の上部に位置決めガイド170と位置決め部171とを設けている。位置決めガイド170は、上部に行くに従って前室1Aの内形寸法が小さくなる傾斜面とされている(図4参照)。
このように、前室1Aの上部に位置決めガイド170と位置決め部171とを形成すると、タンク11を前室1Aに差込み終える直前に、タンク本体80の平坦な肩部を位置決めガイド170で位置決め部171に向かって移動案内することができる。従って、タンク11を単に前室1Aに差込み操作するだけで、出口片96の吐出口95の中心と、連結具35の液通路150の中心とを一致させて、連結具35に対するタンク11の連結を容易に行うことができる。また、タンク11を連結具35に連結する際には、湾曲する前壁がトンネル断面状のタンク11の湾曲壁を大まかに位置決めした状態で案内し、さらにタンク11の平坦な肩部を位置決め部171が受け止めるので、タンク11の周方向の姿勢を矯正することができる。さらに、タンク11が連結具35に連結される直前には、下窄まりテーパー状の周回リブ145の外周面に沿って、上拡がりテーパー状の出口片96側の連結面131が移行案内される。これによっても、常に的確に接続体81側の吐出口95の中心と連結具35側の液通路150の中心とを一致させることができる。タンク11を連結具35に連結すると、液通路150のテーパー部151の内壁面と開閉弁97の弁棒135の先端とが接触し、開閉弁97はばね134の付勢力に抗して下方に移動する。これにより、入口室129と液通路150とが連通し、ミスト原液は、ミストノズル10内の液通路48を通って、ノズル口40より噴き出される。
図10にミスト器の回路構成の概略を示す。ミスト器の使用時にスイッチノブ4をオン操作すると、制御回路を介してモーター13が回転駆動され、同時にイオン発生構造を構成する電流調整用の回路が作動して、中央電極71にコロナ放電用の高圧電流が供給される。電流調整用の前段回路は、2次電池14の電流を交流に変換する発振回路180と、発振回路180で生成されたパルス電流を昇圧する第1の昇圧回路181と、第1の昇圧回路181で100Vまで昇圧されたパルス電流を整流する整流回路182と、整流回路182で整流された直流電流を再度パルス電流に変換するパルス発生回路183とで構成する。
電流調整用の後段回路は、パルス発生回路183から出力されるパルス電流を4kVにまで昇圧する第2の昇圧回路184と、ミスト帯電極性を設定するダイオード185とで構成する。
電流調整用の各回路180〜184で調整された高圧電流が、中央電極71と対向電極72との間に供給されると、コロナ放電により中央電極71から電子が放出されて空気中の酸素分子と結合し、負電荷あるいは正電荷のイオン種となる。生成されたイオン種は、ノズル口40から噴出される高速の空気流に引き込まれて、空気流とともに噴出されたミストに接触してミストをマイナス電位あるいはプラス電位に帯電させる。ダイオード185が中央電極71に向かって順方向に接続してある場合には、ミストはプラスに帯電され、ダイオード185が中央電極71に向かって逆方向に接続してある場合には、ミストはマイナスに帯電される。
ミスト器を使用する際には、図11に示すように、グリップ部5にユーザーの手の平をあてがい、本体ケース1の左右壁を親指およびその付け根と、中指、薬指、小指の3指とで挟み保持し、さらに、人指し指でスイッチノブ4を押下げてモーター13を起動させる。モーター13の起動と同時にエアーポンプ12が作動して、加圧された空気が給気管51を介してミストノズル10へ送給され、空気通路46によって絞られた流速の速い空気がノズル口40から吹き出される。そのため、液通路48の空気通路46との交差部分には大きな負圧が作用し、この負圧によってタンク11内のミスト源液が、吸上パイプ82と、連結具35と給液管52を介して吸上げられる。さらに、吸上げられたミスト原液は、液通路48の上端においてミスト化されて加圧空気とともにノズル口40から吹き出される。ミスト原液が例えば化粧水である場合には、ノズル口40から吹き出されたミストを顔肌に吹き付ける。
モーター13が起動するのと同時にイオン発生構造も起動され、各回路180〜184で調整された高圧(4kV)のパルス電流が高圧リードを介して中央電極71に供給される。これに伴い、中央電極71と対向電極72との間でコロナ放電が生じ、中央電極71から放出された電子が空気中の酸素分子と結合してイオン種となり、このイオン種がノズル口40から噴出される高速の空気流に引き込まれてミストに接触し、ミストをマイナス電位あるいはプラス電位に帯電させる。この状態におけるユーザーの顔肌(人体)は、スイッチノブ4に接触する指先を介して対向電極72と同じグランド電位になっているので中央電極71から顔肌に向かって電気力線が形成され、イオン種で帯電されたミストを顔肌に向かって誘引して効果的に付着させることができる。
上記のようにミスト器を使用する状態では、スイッチノブ4がオン操作されるのと同時に、ミストノズル10の後方に配置したLED66が発光する。LED66から照射された光は、透明のミストノズル10を通過する際に繰り返し反射され散乱された状態で、ノズル口40の周囲壁からミスト流に向かって放出される。そのため、散乱された柔らかな光でミスト流を照らして、LED66が発光する色に染めることができるので、幻想的な雰囲気を延出することができる。LED66はパイロットランプを兼ねており、スイッチノブ4のオン・オフ操作に対応して点灯し、或いは消灯される。
(第2実施例) 図15に、本発明に係る液体用容器の第2実施例を示す。この第2実施例に係る液体用容器(タンク)11は、以下の(1)〜(3)の点で第1実施例のタンク11と相違する。なお、それ以外の点は、先の第1実施例と同様であるので、同一の部材には、同一の符号を付して、その説明を省略する。
(1) 第1実施例においては、連結具35に液溜めチャンバー106の上方開口を塞ぐ蓋壁143が設けられていたのに対して、第2実施例においては、接続体81側に蓋壁143が設けられている点。
この第2実施例における蓋壁143は、出口片96の上端部の突出を許す開口を備える円リング状に形成されており、液溜めチャンバー106の上端を区画する第2筒壁119と出口片96の外周壁との間に嵌め込み装着されている。蓋壁143には、液溜めチャンバー106に連通する空気孔190を備える吸気部191が突設されており、連結具35には、吸気部191を受け入れる凹部192が形成されている。吸気部191の外周面には、吸気部191の外周面と凹部192の内面との間の間隙を封止するためのパッキン193が固定されている。
(2) 第1実施例においては、栓体94の底壁107の下面に、空気取入口105の下方開口を塞ぐための円環状の弁体109が装着されていたのに対して、第2実施例においては、各空気取入口105に排気用のダックビル弁195が固定されている点。
ダックビル弁195は、一方向にのみ流体の通過を許す逆止弁であり、各空気取入口105には、液溜めチャンバー106からタンク本体80への流体の通過を許す第1のダックビル弁195aと、タンク本体80から液溜めチャンバー106への流体の通過を許す第2のダックビル弁195bのいずれか一方のダックビル弁195が固定されている。
(3) 第2実施例においては、開閉弁97を構成する弁部136の上端には、弁部136と液通路128との間を封止するためのシール部材196が装着されている。
(第3実施例) 図16に、本発明に係る液体用容器の第3実施例を示す。この第3実施例に係る液体用容器(タンク)11は、液溜めチャンバー106内に、ミスト原液の上方への移動を抑制するための堰止め部198が形成されている点、および連結具35の筒状リブ144の内方に、第2の筒状リブ200が形成されている点が、先の第1実施例のタンク11と相違する。それ以外の点は、先の第1実施例と同様であるので、同一の部材には、同一の符号を付して、その説明を省略する。
まず、この第3実施例に係るタンク11では、栓体94に設けられた液溜めチャンバー106の上下方向の中途部に、液溜めチャンバー106内におけるミスト原液の上方への移動を抑制するための堰止め部198が形成されている。堰止め部198は、円環状のプラスチック成形品であり、外筒壁103の内周面に嵌め込み装着されている。液溜めチャンバー106内における堰止め部198の下方への移動限界は、外筒壁103を構成する第2筒壁119に形成された上向きの受面199により規制されている。このように液溜めチャンバー106内に堰止め部198が形成されていると、液溜めチャンバー106の上方開口からミスト原液が漏れ出すことを、より確実に防ぐことができる。
また、この第3実施例においては、連結具35の筒状リブ144の内方であり、且つ周回リブ145の外方に、第2の筒状リブ200が形成されている点が、先の第1実施例のタンク11と相違する。この第2の筒状リブ200は、連結具35にタンク11を装着する際の出口片96の位置決め部材として機能する。出口片96の上筒部125の凹部158に装着されたパッキン157は、該上筒部125の外周面と第2の筒状リブ200の内周面との間の間隙を封止する。
(第4実施例) 図17に、本発明に係る液体用容器の第4実施例を示す。この第4実施例に係る液体用容用容器(タンク)11では、堰止め部198が、栓体94の外筒壁103を構成する第2筒壁119の内周面に装着されて、連結具35の筒状リブ144と栓体94の第2筒壁119との間を封止するパッキン201で形成されている点が、先の第3実施例と相違する。それ以外の点は、先の第1実施例と同様であるので、同一の部材には、同一の符号を付して、その説明を省略する。
図18にその他の実施例を示す。図18に係る実施例では、液溜めチャンバー106の下方を区画する底壁107に、微小孔(開口寸法の小さな孔)を多数個設け、これら微小孔を空気取入口105とした点、液溜めチャンバー106の上方開口を封する蓋体143に微小孔(開口寸法の小さな孔)を多数個設け、これら微小孔を空気孔190とした点、連結具35に設けられていたタンク吸気部57を廃した点、などが先の第2実施例と相違する。
図19にさらに他の実施例を示す。この図19に示す実施例では、栓体94と出口片96とを一体に形成し、さらに接続体81の開閉弁97を廃した点が、先の第1実施例と相違する。
本発明における液体用容器(タンク)11を構成する収容部83の形状は、先の実施例に示したものに限られない。本発明に係る噴霧器は、個人用と業務用のいずれであっても使用でき、のどおよび口腔内に薬液のミストを噴霧供給する吸入器としても使用することができる。