JP2015048906A - ヒンジ装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】所定の角度の範囲でトルクを生じないヒンジ装置を提供する。【解決手段】第1ブラケット1と第2ブラケット2を回動可能に連結し、小径軸部3aaと、大径軸部3abと、これら小径軸部3aa及び大径軸部3abの間に生じる段差3acとを備えた軸部3aを少なくとも有するシャフト3を備える。弾性手段4は、小径軸部3aaに挿通される。フリーストップ機構5と、凹カム7及び凸カム8は、大径軸部3abに挿通される。凸カム8の凸部が凹カム7の凹部と係嵌して落ち込んでいる状態のときは、弾性手段4の終端が段差3acに突き当たるようにする。【効果】凸カム8の凸部が凹カム7の凹部と係嵌して落ち込んでいる状態のときは、弾性手段4の押圧力による軸方向の付勢が、フリーストップ機構5や凹カム7及び凸カム8の摺動面に作用せず、トルクが0となる。【選択図】図2
Description
本発明は、例えば、パーソナルコンピュータ、携帯情報端末、電子手帳、携帯型ゲーム機、携帯電話機などの折り畳み式の電子機器に限らず、炊飯器の開閉蓋などの家電機器にも使用されるヒンジ装置に関するものである。
例えばノート型のパーソナルコンピュータは、液晶ディスプレイ等を備えたカバー部の筐体が、CPU、磁気ディスク、メモリ、キーボード等を備えた本体の筐体に対し、開閉自在に取り付けられている。
このような折り畳み式の電子機器では、本体とカバー部の接続部に取り付けられたヒンジ装置に、どの角度においてもその位置でカバー部の開成角度が保持できる「フリーストップ機構」が組み込まれる場合がある。
図9は、一般に側圧ヒンジと称されているフリーストップ機構を備えたヒンジ装置の一例を示したものである。101は2つの部材を組み合わせて構成され、カバー部の筐体側に取り付けられる第1ブラケットを、102は本体の筐体側に取り付けられる第2ブラケットを示している。
ヒンジ装置100は、第1ブラケット101と第2ブラケット102を回動可能に連結するシャフト103と、このシャフト103の軸部103aに挿通され、軸方向に押圧力を付加する複数の皿バネ104と、シャフト103の軸部103aに挿通され、第2ブラケット102を前後から挟んで摺動面102a及び102bと接するように介装されるスペーサ部材105a及び105bを備えている。
シャフト103の係合部103bは、第1ブラケット101の非円形の係合孔101aに挿入固定され、一方、軸部103aは、第2ブラケット102の円形の挿通孔102cに回動可能な状態で挿通されている。なお、106は、皿バネ104等が軸部103の先端から離脱しないように固定するためのカシメプレートを示している。
スペーサ部材105a及び105bは、皿バネ104によりシャフト103の軸方向に押圧され、かつ、第1ブラケット101及びシャフト103とは同期回転する。よって、ユーザがカバー部を開閉したときに、スペーサ部材105aと第2ブラケット102の摺動面102aの間、及び、スペーサ部材105bと第2ブラケット102の摺動面102bの間は何れも圧接摺動する。ヒンジ装置100は、この圧接摺動により得られるトルクを利用して、どの角度においてもその位置でカバー部の開成角度を保持するフリーストップ機構を実現している。
加えて、図9のヒンジ装置100は、カバー部が完全に閉じられる際にトルクを減少させて、カバー部がその自重によって吸い込まれるように閉じられる「閉塞付勢」や、カバー部を所定の角度に開いたときに「クリック感」を生じさせるために、シャフト103の軸部103aに凹カム107と凸カム108を組み込んで、皿バネ104とスペーサ部材105aの間に介装させている。
この凹カム107は、係合部107bが第2ブラケット102の係合孔102dと係合することにより、第2ブラケット102に固定されている。一方、凸カム108は、第1ブラケット101及びシャフト103と同期回転するように構成されている。よって、例えばカバー部の開成角度が0°のときに、凹カム107のカム面107aの2つの凹部(図9では見えない)と凸カム108のカム面108aの凸部108b及び108cが互いに係嵌して落ち込むように構成すれば、カバー部が完全に閉じられる際にトルクを減少させて閉塞付勢を生じさせることができる。
ところで、凹カム107と凸カム108を組み込む場合、凹カム107には1つの凹部を、凸カム108にも1つの凸部を設け、1箇所のみで凹凸係合させることも一応可能ではあるが、1箇所のみで凹凸係合させる場合は、閉塞付勢やクリック感が不十分となり、また、負荷が1箇所に集中するため耐久性に劣るなどの問題がある。そのため、凹カム107と凸カム108を組み込む場合は、図9の例のように、凹カム107には2つの凹部を、凸カム108にも2つの凸部108b及び108cを設け、2箇所で凹凸係合させるケースが多い。
その際、2個設ける凹部を、一直径線上にあって回転中心から互いに同径となる位置に設けた場合は、カバー部を180°回転させたときに、0°の位置で係嵌していた凸部とは異なる他方の凸部と係嵌してしまうという問題がある。通常、電子機器では、0°の位置で閉塞付勢するのは都合が良いが、180°の位置ではトルクを減少させずにフリーストップ機構が継続作用している方が望ましいケースが多い。
そこで、従来、例えば、特許文献1には、図10に示すように、凹カム207のカム面207aに2個設ける外側凹部207bと内側凹部207c、更には、凸カム208のカム面208aに2個設ける外側凸部208bと内側凸部208cを、それぞれ回転中心から互いに異径となる位置に設けることにより、2箇所で凹凸係合させることによる安定性を維持しつつ、180°の位置で他方の凸部もしくは凹部と係嵌しないようにすることが可能なヒンジ装置が提案されている。
異径の位置に設けた2つの凸部と凹部を相互に係嵌させる構成は、特許文献2及び3にも開示されている。また、図10の凹カム107及び凸カム108も、特許文献1で提案されている凹カム207及び凸カム208と同様、異径の位置に設けた2つの凸部もしくは凹部を有したカムである。
図11は、従来のヒンジ装置100を使用した場合におけるカバー部の開成角度に応じたヒンジ装置のトルクの変化を示したグラフである。まず、仮に、凹カム107及び凸カム108が存在しない場合については、スペーサ部材105a及び105bの圧接摺動によるフリーストップ機構のみとなるので、図11(a)に示すように、開成時も閉成時もカバー部の開成角度によらず、常に一定のトルクが得られる。
次に、凹カム107及び凸カム108を用いた場合は、図11(b)に示すように、閉成時は、カバー部の角度が例えば30°までの間は一定のトルクが生じ、30°以下になると凹カム107の2つの凹部と凸カム108の2つの凸部が相互に係嵌し始め、トルクが徐々に減少するので、カバー部は自重によって閉塞付勢される。
また、開成時は、カバー部を開き始めた直後から徐々にトルクが高くなり、30°の手前で凸カム108の2つの凸部が凹カム107の平坦面に完全に乗り上げるのでクリック感が生じ、その後30°以上の範囲では、一定のトルクが持続する。
ところが、従来のヒンジ装置100は、凹カム107と凸カム108が完全に係嵌している状態(図11(b)の例でいえば、カバー部が完全に閉じられた0°の状態)においても、フリーストップ機構によるトルクが生じているので、ヒンジ装置としてのトルクは完全に0にはならない。そして、開成時は、カバー部を開き始めた直後からトルクが上昇するので、例えば、カバー部の開成角度が0°〜60°の間はトルクが全く生じないようにすることは困難であった。また、閉成時についても、例えば90°〜60°の間でトルクを徐々に減少させた後、60°〜0°の間はトルクが全く生じないようにするといったことは困難であった。
ヒンジ装置において、上記のような機能が特に求められる一例を挙げると、次のとおりである。例えば、炊飯器においては、閉成状態の蓋の係止ロックを解除したときに、例えば45°まで蓋が自動的に持ち上がる「ポップアップ機構」を設けると、蓋を開く際の利便性が向上する。その場合、例えば0°〜45°の範囲でトルクが生じると、蓋がスムーズに上昇しない原因となる。よって、そのような場合は、例えば0°〜45°の間はトルクを完全に0にし、45°〜60°の間でトルクが徐々に上昇し、60°以降は一定のトルクが生じるような機構が求められる。
本発明が解決しようとする課題は、フリーストップ機構と凹カム及び凸カムの機能を利用してカバー部が一定の開成角度のときにトルクを低減させることが可能なヒンジ装置において、従来は、トルクが完全に生じない区間を任意に設定することは困難であった点である。
本発明は、上記した従来の課題に鑑みてなされたものであり、フリーストップ機構と凹カム及び凸カムの機能を利用してトルクを低減させることが可能なヒンジ装置を採用した場合でも、所定の角度の範囲においてトルクを0とすることが可能なヒンジ装置を提供することを目的としている。
上記の目的を達成するため、本発明のヒンジ装置は、
第1の筐体に取り付けられる第1ブラケットと、
第2の筐体に取り付けられる第2ブラケットと、
前記第1ブラケットと前記第2ブラケットとを回動可能に連結し、小径軸部と、大径軸部と、これら小径軸部及び大径軸部の間に生じる段差とを備えた軸部を少なくとも有するシャフトと、
このシャフトの小径軸部に挿通され、前記シャフトの軸方向に押圧力を付与する弾性手段と、
圧接摺動によるトルクを生じさせることにより、前記第2の筐体に対する前記第1の筐体の開成角度を任意の角度で保持するフリーストップ機構と、
前記シャフトの大径軸部に挿通され、凹カムのカム面に設けた凹部と、凸カムのカム面に設けた凸部が係嵌して落ち込むことにより、所要の角度でトルクを低減させる凹カム及び凸カムと、
を備えたヒンジ装置であって、
前記凸カムの凸部が前記凹カムのカム面の平坦面に乗り上げている状態のときは、前記弾性手段の終端が前記段差に突き当たらず、各摺動面が弾性手段により付勢されてトルクが生じる一方、前記凸カムの凸部が前記凹カムの凹部と係嵌して落ち込んでいる状態のときは、前記弾性手段の終端が前記段差に突き当たり、各摺動面が弾性手段により付勢されずトルクが生じないように、前記軸部において前記段差を設ける位置が決められていることを最も主要な特徴としている。
第1の筐体に取り付けられる第1ブラケットと、
第2の筐体に取り付けられる第2ブラケットと、
前記第1ブラケットと前記第2ブラケットとを回動可能に連結し、小径軸部と、大径軸部と、これら小径軸部及び大径軸部の間に生じる段差とを備えた軸部を少なくとも有するシャフトと、
このシャフトの小径軸部に挿通され、前記シャフトの軸方向に押圧力を付与する弾性手段と、
圧接摺動によるトルクを生じさせることにより、前記第2の筐体に対する前記第1の筐体の開成角度を任意の角度で保持するフリーストップ機構と、
前記シャフトの大径軸部に挿通され、凹カムのカム面に設けた凹部と、凸カムのカム面に設けた凸部が係嵌して落ち込むことにより、所要の角度でトルクを低減させる凹カム及び凸カムと、
を備えたヒンジ装置であって、
前記凸カムの凸部が前記凹カムのカム面の平坦面に乗り上げている状態のときは、前記弾性手段の終端が前記段差に突き当たらず、各摺動面が弾性手段により付勢されてトルクが生じる一方、前記凸カムの凸部が前記凹カムの凹部と係嵌して落ち込んでいる状態のときは、前記弾性手段の終端が前記段差に突き当たり、各摺動面が弾性手段により付勢されずトルクが生じないように、前記軸部において前記段差を設ける位置が決められていることを最も主要な特徴としている。
従来のヒンジ装置100においては、凹カム107と凸カム108の係嵌もしくは離脱の状態にかかわらず、常に、皿バネ104による押圧力が作用していたが、上記本発明では、シャフトの軸部の所要の位置に段差を設けたので、弾性手段の終端がシャフトの軸部の段差に突き当たるまでの間の範囲にのみ弾性手段による押圧力が作用する。
つまり、本発明は、弾性手段による押圧力が作用する範囲を、所望の範囲に規制できるものである。本発明では、凸カムの凸部が凹カムの凹部と係嵌して落ち込んでいる状態のときは、弾性手段による押圧力を、凸カムと凹カムの間の摺動面や、フリーストップ機構の摺動面に、伝達されないようにすることが可能となる。
よって、本発明のヒンジ装置を用いれば、例えばカバー部の開成角度が0°〜45°の範囲ではトルクを完全に0にし、45°〜60°の間にトルクが徐々に上昇し、60°以降では常に一定のトルクが生じるようにする、といったことが可能となる。
以下、本発明の最良の実施形態を、図1〜図8を用いて詳細に説明する。図1は、本実施例のヒンジ装置10を組み立て状態の外観を示す図である。1は、第1の部材1aと第2の部材1bを組み合わせて構成され、カバー部の筐体側に取り付けられる第1ブラケットを、2は、本体の筐体側に取り付けられる第2ブラケットを示している。また、3は、第1ブラケット1と第2ブラケット2を回動可能に連結するシャフトを示している。
本実施例のヒンジ装置10は、例えば電気ポットや炊飯器などの家電機器において、本体と蓋を回動可能に接続する装置である。一般に、例えば炊飯器では、カバー部の筐体(以下、「第1の筐体」という。)が、窯、電源ユニット等を備えた本体の筐体(以下、「第2の筐体」という。)に対し開閉自在に取り付けられているが、本実施例のヒンジ装置10が適用される炊飯器は、閉成状態の蓋の係止ロックを解除したときに、例えば60°まで蓋が自動的に持ち上がるポップアップ機構を備えたものである。
第1ブラケット1には、複数の取付け孔1cが設けられている。第1ブラケット1は、この取付け孔1cを使用し、第1の筐体に対し、螺子などの固定手段で取り付けられる。一方、第2ブラケット2にも、複数の取付け孔2dが設けられている。第2ブラケット2も、この取付け孔2dを使用し、第2の筐体に対し、螺子などの固定手段で取り付けられる。
4は、シャフト3の軸方向に押圧力を付与する弾性手段を、5は、炊飯器本体に対するカバー部の開成角度を任意の角度で保持するためのフリーストップ機構を、6は、カシメプレートを、7と8は、所要の角度でトルクを低減させるための凹カム及び凸カムを示している。本実施例では、弾性手段4としては、皿バネ4aとスペーサプレート4bを使用している。また、フリーストップ機構5としては、第1スペーサ部材5aと第2スペーサ部材5bを使用している。
図2は、本実施例のヒンジ装置10の分解斜視図である。図2により、シャフト3は、軸部3aを有しているが、この軸部3aは、径のサイズが小さい小径軸部3aaと、この小径軸部3aaよりも径のサイズが大きい大径軸部3abと、これら小径軸部3aa及び大径軸部3abの間に生じる段差3acを備えていることが理解できる。
シャフト3の係合部3bは、第1ブラケット1の非円形の係合孔1dに挿入して固定される。一方、大径軸部3abは、第2ブラケット2の円形の挿通孔2cに挿通され、自在に回動可能とされている。また、皿バネ4a、スペーサプレート4b、凸カム8、凹カム7等が軸部3aの先端から離脱しないように、カシメ部3cにはカシメプレート6が取付け固定される。
フリーストップ機構5を構成するスペーサ部材5a及び第2スペーサ部材5bは、シャフト3の大径軸部3abに挿通される。スペーサ部材5aと第2スペーサ部材5bは、第2ブラケット2を前後から挟んでその第1摺動面2a及び第2摺動面2bと接する位置に介装されている。
この第1スペーサ部材5aと第2スペーサ部材5bは、弾性手段4の皿バネ4aの作用によりシャフト3の軸方向に押圧され、かつ、挿通孔が非円形であるため、第1ブラケット1及びシャフト3とは同期回転する。よって、ユーザが、カバー部を開閉したときに、第1スペーサ部材5aと第2ブラケット2の第1摺動面2aの間、及び、第2スペーサ部材5bと第2ブラケット2の第2摺動面2bの間は、何れも相互に圧接摺動する。本実施例のヒンジ装置10は、この圧接摺動により得られるトルクを利用することで、後述するトルク0の区間と、トルクが上昇し始める区間を除き、どの角度においてもその位置でカバー部の開成角度を保持することができる。
また、弾性手段4を構成する6枚の皿バネ4aとスペーサプレート4bは、シャフト3の小径軸部3aaに挿通される。スペーサプレート4bは、表裏面が平行で共に平坦な面とされたプレート状の部材である。
ヒンジ装置10は、カバー部が所定の角度に閉じられたときにトルクが減少する「閉塞付勢」や、カバー部が所定の角度に開かれたときに「クリック感」を生じさせるために、シャフト3の大径軸部3abに凹カム7と凸カム8を更に組み込んで、弾性手段4のスペーサプレート4bとスペーサ部材5aの間に介装させている。
図3は、凸カム8の形状を示す図、図4は、凹カム7の形状を示す図である。凸カム8は、図3に示すように、シャフト3が挿通される挿通孔8dが非円形であるため、ユーザがカバー部を開閉したときに、第1ブラケット1及びシャフト3と同期回転する。一方、凹カム7は、係合部7eが第2ブラケット2の係合孔2eに挿入されることにより、第2ブラケット2に固定される。また、凹カム7は、図4に示すように、挿通孔7dは円形であるため、挿通孔7dに挿通されたシャフト3は自在に回動する。
本実施例のヒンジ装置10では、図3に示すように、凸カム8のカム面8aに2個設ける外側凸部8bと内側凸部8cは、その回転中心(シャフト3の軸心)から相互に異径である位置に設けている。また、図4に示すように、凹カム7のカム面7aに2個設ける外側凹部7bと内側凹部7cも、その回転中心(シャフト3の軸心)から相互に異径である位置に設けている。
また、本実施例のヒンジ装置10では、凹カム7のカム面7aに2個設ける外側凹部7b及び内側凹部7cと、凸カム8のカム面8aに2個設ける外側凸部8b及び内側凸部8cは、カバー部の開成角度が、例えば0°〜60°のときに互いに係嵌して落ち込むように構成する。このように設計した場合は、開成角度が0°〜60°の間はトルクを低減させることが可能となる。
図5は、凹カム7と凸カム8の係合状態を説明する平断面図である。まず、図5(a)は、外側凸部8bと外側凹部7b、内側凸部8cと内側凹部cがそれぞれ嵌合し、トルクが低減されている状態を示している。
次に、ユーザがカバー部を開くと、図5(b)に示すように、弾性手段4の皿バネ4によって生じる押圧力に抗して、外側凸部8bが外側凹部7bから離脱すると同時に、内側凸部8cも内側凹部7cから離脱する。図5(b)の状態では、外側凸部8bと内側凸部8cの先端面が何れも凹カム7の平坦面に乗り上げて圧接摺動するので、その摩擦力によりトルクが上昇する。
なお、ユーザがカバー部を更に開いて、図5(c)〜(d)に示すように、図5(a)を基準に180°以上回転させても、外側凸部8bと嵌合する凹部は、凹カム7のカム面7aの外周側には形成されていないので、180°の位置で不要な係嵌が生じることはない。つまり、本実施例の凹カム7と凸カム8は、2箇所で凹凸係合させることによる安定性を維持しつつ、180°の位置での係嵌を回避して、フリーストップ機構5の作用を360°まで継続できるものである。
次に、図6〜図7を参照して、本発明の主要な特徴点である「トルク抜き機構」を説明する。
先ず、凸カム8の外側凸部8b及び内側凸部8cが、凹カム7のカム面7aの平坦面に乗り上げている状態のときは、弾性手段4のバネスペース(始端4cから終端4dまでの長さ)は、凹カム7と凸カム8の乗り上げの高さ分だけ、図6の紙面左方向に押し戻される。そのため、図6(b)及び(c)から理解されるように、弾性手段4のスペーサプレート4bの終端4dは、シャフト3の軸部3aに設けた段差3acには、突き当たらない状態となっている。
よって、図6の状態の場合は、凹カム7と凸カム8の間の摺動面や、フリーストップ機構5の摺動面(第1スペーサ部材5aと第2ブラケット2の第1摺動面2aの間、及び、第2スペーサ部材5bと第2ブラケット2の第2摺動面2bの間)は、弾性手段4の皿バネ4aの押圧力による軸方向の付勢が働くので、何れの摺動面からもトルクが生じることになる。
一方、凸カム8の外側凸部8bと内側凸部8cが、凹カム7の外側凹部7bと内側凹部7cに相互に係嵌し落ち込んでいる状態のときは、通常であれば、弾性手段4のバネスペースは、凹カム7と凸カム8の落ち込みの高さ分だけ、図6の紙面右方向に拡がろうとするはずである。
しかし、本発明においては、シャフト3の軸部3aの所要の位置に段差3acが設けられているので、小径軸部3aaに挿通されている弾性手段4のバネスペースは、図7(b)及び(c)から理解されるように、スペーサプレート4bの終端4dが軸部3aの段差3acに突き当たるところまでしか拡がらないように動作範囲が規制されている。
よって、図7の状態の場合は、凹カム7と凸カム8の間の摺動面や、フリーストップ機構5の摺動面(第1スペーサ部材5aと第2ブラケット2の第1摺動面2aの間、及び、第2スペーサ部材5bと第2ブラケット2の第2摺動面2bの間)は、弾性手段4の皿バネ4aの押圧力による軸方向の付勢はまったく作用せず、何れの摺動面からもトルクが生じないことになる。
つまり、本発明は、凹カム7と凸カム8の乗り上げと落ち込みの間に、弾性手段4の皿バネ4aの押圧力による軸方向の付勢のON/OFFの切り替え点を設定すべく、シャフト3の軸部3aの所要に位置に、小径軸部3aaと大径軸部3abの境界による段差3acを設定するものである。
図8は、本実施例のヒンジ装置10を使用した場合におけるカバー部の開成角度に応じたヒンジ装置のトルクの変化を示したグラフである。前提として、凹カム7と凸カム8はカバー部の開成角度が0°〜60°の間は、外側凸部8bと外側凹部7b、内側凸部8cと内側凹部7cが、相互に係嵌するように設定されているものとする。
本実施例のヒンジ装置10を用いた場合は、上述した「トルク抜き機構」が作用するため、凹カム7と凸カム8が落ち込みの状態になっている開成角度0°〜60°間は、弾性手段4による押圧力は作用せず、したがってフリーストップ機構5によるトルクも生じないので、ヒンジ装置としてのトルクは完全に0となる。
よって、開成時は、開成角度が0°〜60°の間はトルクが全く生じないが、60°を超えたときから凹カム7と凸カム8の係嵌が始まるのでトルクが徐々に上昇し、90°の手前で凸カム8の外側凸部8bと内側凸部8cが凹カム7のカム面7aの平坦面に完全に乗り上げるのでクリック感が生じ、その後90°〜180°の範囲では、一定のトルクが持続する。
また、閉成時についても、180°〜90°の範囲では一定のトルクが得られ、90°〜60°の間はトルクが徐々に減少し、60°〜0°の間はトルクが全く生じないようにすることが可能になる。
よって、本発明のヒンジ装置を、例えば60°まで蓋が自動的に持ち上がるポップアップ機構を備えた炊飯器に適用した場合、蓋をスムーズに上昇させたい0°〜60°の間はトルクを完全に0にすることができる。
本発明は、前記の実施例に限るものではなく、請求項に記載の技術的思想の範疇であれば適宜実施の形態を変更しても良いことは言うまでもない。
例えば、上記実施例では、弾性手段4として皿バネ4aとスペーサプレート4bを用いる例を示したが、本発明の弾性手段の構成はこれに限らない。例えば、皿バネ4aに代えて巻バネ(スプリング)を用いても良いし、スペーサプレート4bは必ずしも必須の構成ではない。
もっとも、本発明では、弾性手段4の終端4dを、軸部3aの段差3acの部分に突き当ててバネスペースを動作規制する点が重要であるところ、本実施例のように、弾性手段4の終端4d側に小径軸部3aaの形状に正確に適合したスペーサプレート4bを介在させる方が、突き当ての位置を正確に設計することができる。よって、本発明では、上記実施例で開示したように、スペーサプレート4bを設ける方がより望ましい。
また、上記実施例では、本発明を炊飯器等の家電機器に適用する場合の一例を開示したが、本発明が適用できる機器はこれに限定されるものではない。本発明のヒンジ装置は、例えば携帯情報端末などの電子機器に適用しても良い。
例えば、上記実施例では、カバー部の筐体を「第1の筐体」と、窯、電源ユニット等を備えた本体の筐体を「第2の筐体」と称して、各部の構成を説明したが、この「第1の筐体」と「第2の筐体」の関係は、本実施例で説明したものと逆であっても良いことはいうまでもない。つまり、本発明は、一般に本体と認識される筐体の方を「第1の筐体」、一般にカバー部と認識される筐体の方を「第2の筐体」と捉えても良く、要するに、「第1の筐体」と「第2の筐体」の中身は問わない。
10 ヒンジ装置
1 第1ブラケット
2 第2ブラケット
2a 第1摺動面
2b 第2摺動面
3 シャフト
3a 軸部
3aa 小径軸部
3ab 大径軸部
3ac 段差
4 弾性手段
4a 皿バネ
4b スペーサプレート
4d 終端
5 フリーストップ機構
5a 第1スペーサ部材
5b 第2スペーサ部材
6 カシメプレート
7 凹カム
7a カム面
7b 外側凹部
7c 内側凹部
8 凸カム
8a カム面
8b 外側凸部
8c 内側凸部
1 第1ブラケット
2 第2ブラケット
2a 第1摺動面
2b 第2摺動面
3 シャフト
3a 軸部
3aa 小径軸部
3ab 大径軸部
3ac 段差
4 弾性手段
4a 皿バネ
4b スペーサプレート
4d 終端
5 フリーストップ機構
5a 第1スペーサ部材
5b 第2スペーサ部材
6 カシメプレート
7 凹カム
7a カム面
7b 外側凹部
7c 内側凹部
8 凸カム
8a カム面
8b 外側凸部
8c 内側凸部
Claims (1)
- 第1の筐体に取り付けられる第1ブラケットと、
第2の筐体に取り付けられる第2ブラケットと、
前記第1ブラケットと前記第2ブラケットとを回動可能に連結し、小径軸部と、大径軸部と、これら小径軸部及び大径軸部の間に生じる段差とを備えた軸部を少なくとも有するシャフトと、
このシャフトの小径軸部に挿通され、前記シャフトの軸方向に押圧力を付与する弾性手段と、
圧接摺動によるトルクを生じさせることにより、前記第2の筐体に対する前記第1の筐体の開成角度を任意の角度で保持するフリーストップ機構と、
前記シャフトの大径軸部に挿通され、凹カムのカム面に設けた凹部と、凸カムのカム面に設けた凸部が係嵌して落ち込むことにより、所要の角度でトルクを低減させる凹カム及び凸カムと、
を備えたヒンジ装置であって、
前記凸カムの凸部が前記凹カムのカム面の平坦面に乗り上げている状態のときは、前記弾性手段の終端が前記段差に突き当たらず、各摺動面が弾性手段により付勢されてトルクが生じる一方、前記凸カムの凸部が前記凹カムの凹部と係嵌して落ち込んでいる状態のときは、前記弾性手段の終端が前記段差に突き当たり、各摺動面が弾性手段により付勢されずトルクが生じないように、前記軸部において前記段差を設ける位置が決められていることを特徴とするヒンジ装置。
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