JP2015045710A - 偏光性フィルムの製造方法 - Google Patents

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宍戸 厚
Atsushi Shishido
厚 宍戸
美帆 相沢
Miho AIZAWA
美帆 相沢
恭平 久野
Kyohei Kuno
恭平 久野
涼 西村
Ryo Nishimura
涼 西村
吉弘 熊谷
Yoshihiro Kumagai
吉弘 熊谷
吾郎 須崎
Goro Suzaki
吾郎 須崎
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Abstract

【課題】本発明によれば、大面積に液晶性化合物と二色性色素との配向領域が形成された偏光性フィルムを効率よく製造することを可能とする偏光性フィルムの製造方法を提供すること。
【解決手段】重合前及び/又は重合後において液晶性を示す重合性化合物の少なくとも1種と、二色性色素の少なくとも1種とを含有する重合性組成物からなる膜を用いて、
前記膜の一部の領域から前記重合性組成物の重合を開始した後、該膜中に存在する前記液晶性を示す化合物と前記二色性色素とが配向するような速度で前記領域の境界を未重合の領域に向けて連続的に移動させることにより偏光性フィルムを得ることを特徴とする偏光性フィルムの製造方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、偏光性フィルムの製造方法に関する。
液晶性化合物及び二色性色素を配向させて得られる偏光性フィルムを製造する方法としては、従来より、基板上の液晶性化合物及び二色性色素を配置する面上に、いわゆるラビング法等によって異方性を付与することで基板に配向規制力を持たせ、その後、かかる基板を利用して液晶性化合物及び二色性色素を配向させて偏光性フィルムを得る方法が知られている。
例えば、特開平3−21904号公報(特許文献1)においては、基板をベルベットクロスを用いて一方向にこすり、その基板上に液晶性化合物及び二色性色素の混合物を被着して、液晶性化合物及び二色性色素を同じ方向に配向する方法が記載されている。また、特開平11−101964号公報(特許文献2)においては、基板の表面を所定の方向に沿ってラビングして配向処理し、液晶性化合物と二色性色素を溶媒に溶解した溶液を、その配向処理された基板の上に塗工して塗膜を形成し、かかる塗膜を熱処理して液晶性化合物を所定の方向に一軸配向させて、二色性色素を一軸配向に従って整列させることにより、液晶性化合物及び二色性色素を同じ方向に配向する方法が記載されている。
しかしながら、偏光性フィルムの製造方法に、特許文献1や2に記載のような、いわゆるラビング法を利用する方法を採用した場合には、そのラビング処理工程中に静電気が発生し易く、かかる静電気に起因して、得られる偏光性フィルムに様々な問題が生じていた。例えば、静電気の発生により、得られる偏光性フィルムの表面に異物が付着したり、配向欠陥が発生して、そのフィルムを表示装置等に利用した場合において表示不良が発生するといった問題があった。また、特許文献1や2に記載のように、ラビング法を利用して偏光性フィルムを形成した場合、ラビング時の発塵やキズの発生等といった問題も生じていた。また、液晶表示素子の分野においては、より高精細化が進められてきており、より画素密度の高密度化が求められていることから、ラビング処理の均一性も要求され、ラビング法を利用して偏光性フィルムを製造する場合には上記問題が製造歩留まりを低下させる可能性がある。
また、上述のようなラビング法を利用する方法以外の他の偏光性フィルムの製造方法としては、電場や磁場等の外場を利用して液晶性化合物及び二色性色素を配向させて、偏光性フィルムを得る方法も提案されている。例えば、特開2001−188129号公報(特許文献3)においては、基板に被着する液晶化合物及び二色性色素の混合物を、外部力の場、特に磁界又は電界の影響下で配向する方法が開示されている。しかしながら、特許文献3に記載のような従来の偏光性フィルムを得る方法においては、磁界を発生させる装置が大がかりなものであるばかりか、大面積への処理が困難であり、大面積の偏光性フィルムを効率よく製造することができないといった問題があった。
このような状況の下、近年では、上記特許文献1〜3に記載の従来技術において採用しているような配向方法以外の方法を採用して、より効率よく大面積に液晶性化合物及び二色性色素を配向させて偏光性フィルムを製造できるような偏光性フィルムの製造方法の出現が望まれている。
なお、2012年9月5日に発行された高分子学会予稿集(Polymer Preprints,vol.61,No.2,ページ:ROMBUNNO.1L05)に記載された、宍戸厚の論文「液晶高分子の光配向制御とソフトマターメカニクスの開拓(非特許文献1)」においては、4−(6−アクリロイルオキシヘキシロキシ)−4’−シアノビフェニル(A6CB)または4−アクリロイルオキシ−4’−シアノビフェニル(A0CB)とエチレングリコールジメタクリレートとをモノマーとして含む組成物をセル中に導入し、フォトマスクをかぶせて光を照射して光重合を行なうことにより、フォトマスクの境界部分に光学異方性を有するフィルムを得る方法が開示されている。しかしながら、このような非特許文献1においては、二色性色素について何ら記載されておらず、偏光性フィルムを製造することは何ら記載されていない。
特開平3−21904号公報 特開平11−101964号公報 特開2001−188129号公報
宍戸厚,「液晶高分子の光配向制御とソフトマターメカニクスの開拓」,高分子学会予稿集(Polymer Preprints:CD−ROM),vol.61,No.2,2012年9月5日発行,ページ:ROMBUNNO.1L05
本発明は、上記従来技術の有する課題に鑑みてなされたものであり、大面積に液晶性化合物と二色性色素との配向領域が形成された偏光性フィルムを効率よく製造することを可能とする偏光性フィルムの製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、重合前及び/又は重合後において液晶性を示す重合性化合物の少なくとも1種と、二色性色素の少なくとも1種とを含有する重合性組成物からなる膜を用いて、前記膜の一部の領域から前記重合性組成物の重合を開始した後、該膜中に存在する前記液晶性を示す化合物と前記二色性色素とが配向するような速度で前記領域の境界を未重合の領域に向けて連続的に移動させることにより、驚くべきことに、重合領域において該膜中に存在する前記液晶性を示す化合物(重合前の前記重合性化合物及び前記重合性化合物を重合させて得られる化合物のうちの少なくとも1種の化合物であって、液晶性を示す化合物)を配向させることが可能となるばかりか、該膜中に存在する二色性色素をも配向させることが可能となり、ラビング処理を施していないような基板やセルを用いた場合においても、重合領域を移動させて大面積に配向領域を効率よく形成することができ、これにより、大面積に液晶性化合物と二色性色素との配向領域が形成された偏光性フィルムを効率よく製造することが可能となることを見出して、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の偏光性フィルムの製造方法は、重合前及び/又は重合後において液晶性を示す重合性化合物の少なくとも1種と、二色性色素の少なくとも1種とを含有する重合性組成物からなる膜を用いて、
前記膜の一部の領域から前記重合性組成物の重合を開始した後、該膜中に存在する前記液晶性を示す化合物と前記二色性色素とが配向するような速度で前記領域の境界を未重合の領域に向けて連続的に移動させることにより偏光性フィルムを得ることを特徴とする方法である。
上記本発明の偏光性フィルムの製造方法においては、前記重合性組成物の重合を光重合により行い、かつ、前記境界を未重合の領域に向けて連続的に移動させるために、光の照射領域の境界を光の未照射の領域に向けて連続的に移動させることが好ましい。
また、上記本発明の偏光性フィルムの製造方法においては、前記光重合の際にフォトマスクを利用し、前記フォトマスク及び/又は前記膜を連続的に移動させることにより前記光の照射領域の境界を光の未照射の領域に向けて連続的に移動させることが好ましい。
さらに、上記本発明の偏光性フィルムの製造方法においては、前記境界を移動させる速度が1×10−7〜4×10−1m/sであることが好ましい。
さらに、上記本発明の偏光性フィルムの製造方法においては、前記重合性化合物が、下記一般式(1)で表わされ且つ該式中のZ、Z、M、M、M、L、L、p、q、rがそれぞれ以下に示すものである、下記化合物C11〜C17からなる群から選択される1種の化合物であることが好ましい。
ここで、前記重合性化合物として選択され得る化合物C11〜C17は、それぞれ、下記一般式(1):
p−M−L−(M−L)q−M−Zr (1)
で表される化合物であって、
化合物C11は、式(1)中のZ及びZは同一であっても異なっていてもよく、それぞれ式:−L−S−Fで表わされる基であり、Fがアクリル基及びメタクリル基のうちのいずれかであり、Sが単結合及び炭素数1から12の直鎖アルキレン基のうちのいずれかであり、Lが単結合、エーテル基、エステル基及びカーボネート基のうちのいずれか(より好ましくはエーテル基)であり、pが1であり、Mが1,4−フェニレン基であり、Lが単結合及び−COO−のうちのいずれか(より好ましくは単結合)であり、qが0であり、Mが1,4−フェニレン基であり、且つ、rが1である化合物であり、
化合物C12は、式(1)中のZ及びZは同一であっても異なっていてもよく、それぞれ式:−L−S−Fで表わされる基であり、Fがアクリル基及びメタクリル基のうちのいずれかであり、Sが単結合及び炭素数1から12の直鎖アルキレン基のうちのいずれかであり、Lが単結合、エーテル基、エステル基及びカーボネート基のうちのいずれか(より好ましくはエーテル基)であり、pが1であり、Mが1,4−フェニレン基であり、Lが−COO−であり、Mが1,4−フェニレン基であり、Lが−OCO−であり、qが1であり、Mが1,4−フェニレン基であり、且つ、rが1である化合物であり、
化合物C13は、式(1)中のZ及びZは同一であっても異なっていてもよく、それぞれ式:−L−S−Fで表わされる基であり、Fがアクリル基及びメタクリル基のうちのいずれかであり、Sが式:(CHCHO)z(zは2及び3のうちのいずれかである。)で表される基であり、Lが単結合であり、pが1であり、Mが1,4−フェニレン基であり、Lが単結合及びエステル基のいずれか(より好ましくは単結合)であり、qが0であり、Mが1,4−フェニレン基であり、且つ、rが1である化合物であり、
化合物C14は、式(1)中のZが式:−L−S−Fで表わされる基であり、Fがアクリル基及びメタクリル基のうちのいずれかであり、Sが単結合であり、Lが単結合であり、pが1であり、Mが1,4−フェニレン基であり、Lが単結合であり、qが0であり、Mが1,4−フェニレン基であり、Zが水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、炭素数1〜12のアルキル基及び炭素数1〜12のアルコキシ基の中から選択される1種(より好ましくはシアノ基)であり、且つ、rが1である化合物であり、
化合物C15は、式(1)中のZが式:−L−S−Fで表わされる基であり、Fがアクリル基及びメタクリル基のうちのいずれかであり、Sが炭素数1から12の直鎖アルキレン基であり、Lがエーテル基であり、pが1であり、Mが1,4−フェニレン基であり、Lが単結合であり、qが0であり、Mが1,4−フェニレン基であり、Zが水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、炭素数1〜12のアルキル基及び炭素数1〜12のアルコキシ基の中から選択される1種(より好ましくはシアノ基)であり、且つ、rが1である化合物であり、
化合物C16は、式(1)中のZが式:−L−S−Fで表わされる基であり、Fがアクリル基及びメタクリル基のうちのいずれかであり、Sが式:(CHCHO)z(zは2及び3のうちのいずれかである。)で表わされる基であり、Lが単結合であり、pが1であり、Mが1,4−フェニレン基であり、Lが単結合であり、qが0であり、Mが1,4−フェニレン基であり、Zが水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、炭素数1〜12のアルキル基及び炭素数1〜12のアルコキシ基の中から選択される1種(より好ましくはシアノ基)であり、且つ、rが1である化合物であり、
化合物C17は、Zが式:−L−S−Fで表わされる基であり、Fがアクリル基及びメタクリル基のうちのいずれかであり、Sが炭素数1から12の直鎖アルキレン基であり、Lがエーテル基であり、pが1であり、Mが1,4−フェニレン基であり、Lが−COO−であり、qが0であり、Mが1,4−フェニレン基であり、Zが水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、炭素数1〜12のアルキル基及び炭素数1〜12のアルコキシ基の中から選択される1種(より好ましくはシアノ基)であり、rが1である化合物である。
また、上記本発明の偏光性フィルムの製造方法においては、前記重合性組成物が第一の化合物と、同一条件で重合させた場合に前記第一の化合物よりも重合完了時間が長い第二の化合物とを含有し、且つ、前記第一及び第二の化合物の少なくとも一方が前記重合性化合物のうちの少なくとも1種を含有することが好ましい。また、このような第一の化合物と第二の化合物とを含有する重合性組成物においては、前記第一の化合物が1以上の重合性官能基を有する化合物であり、且つ、該重合性官能基の数が前記第二の化合物の有する重合性官能基の数より1以上大きいことがより好ましい。さらに、このような第一の化合物と第二の化合物とを含有する重合性組成物としては、前記第一の化合物が、前記化合物C11〜C13、下記一般式(2):
(式中、Rが水素及びメチル基のうちのいずれかであり、xは2又は3である。)
で表される化合物、及び、下記一般式(3):
(式中、Rが水素及びメチル基のうちのいずれかであり、yは2から12の整数である。)
で表される化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物であり、且つ、
前記第二の化合物が、前記化合物C14〜C17からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物であることが好ましい。
なお、上記本発明の偏光性フィルムの製造方法によって、上記目的が達成される理由は必ずしも定かではないが、本発明者らは以下のように推察する。ここで、上記目的が達成される理由を説明するために、前記重合性化合物として光重合性の化合物を用いた場合の本発明の好適な一実施形態を例に挙げて、図1〜4を参照しながら、本発明の偏光性フィルムの製造方法において液晶性を示す化合物(重合前の重合性化合物及び前記重合性化合物を重合させて得られる化合物のうちの少なくとも1種の化合物であって、液晶性を示す化合物)と前記二色性色素とを配向させることが可能となる原理(本発明者らが推察する原理)を併せて説明する。また、以下の説明及び図面中、同一又は相当する要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
図1は、前記重合性化合物と前記二色性色素とを含む重合性組成物からなる膜に対して光重合を開始する前の状態を模式的に示す概略縦断面図である。また、図2は、光源から光を照射して膜の一部の領域から重合を開始した状態を模式的に示す概略縦断面図であり、図3は、図2中の重合領域の境界を未重合の領域に向けて移動させた後の状態を模式的に示す概略縦断面図であり、図4は、図3の重合領域の境界を未重合の領域に向けて移動させた後の状態を模式的に示す概略縦断面図である。なお、図中、点線Sは重合領域の境界を示しており、矢印Aは重合領域の境界Sを移動させる方向を概念的に示しており、矢印Lは光源から照射される光を概念的に示すものであり、A1は光Lが照射されて重合された領域(重合領域:露光部)を概念的に示し、A2は光Lが照射されていない未重合の領域(未重合領域:遮光部)を概念的に示し、A3は配向が形成されている領域を概念的に示す。
このような図1〜4に示す実施形態において、光重合により偏光性フィルムを製造する場合においては、先ず、図1に示すように、光源11と、光源11から照射される光を透過させることが可能な2枚の基板12と、前記2枚の基板12の間に配置した重合性組成物からなる膜13と、光源11から照射される光を遮光することが可能なフォトマスク14とを準備し、前記2つの基板12のうちの一方の基板側に光源11を配置し、膜13の一部の領域のみに光源11からの光が照射されるように、膜13と光源11との間に、膜13の一部を遮光することが可能なフォトマスク14を配置する。次に、図2に示すように、光源11を点灯し、光源11から光Lを照射する。このようにして光Lを照射すると、遮光部A2では反応は進行せず未重合のままであるが、光が照射される露光部A1においては重合が進行する。このようにして一部の領域を露光して、膜13の一部の領域(露光部)A1から前記重合性組成物の重合を開始する。そして、このようにして重合された領域(重合領域:露光部)A1においては、前記重合性組成物中のモノマー(前記重合性化合物、前記重合性組成物が前記重合性化合物以外の他の重合性を示す化合物も含む場合、前記重合性化合物及び/又は他の重合性を示す化合物)が重合されて重合体(ポリマー)が形成される。そのため、重合領域(露光部)A1においては重合が進行しモノマー(前記重合性化合物、及び/又は、他の重合性を示す化合物)の濃度が減少する。これにより、重合領域(露光部)A1と未重合領域(遮光部)A2との間では膜中に存在するモノマーの濃度に偏りが生じる。なお、一般に、膜中において化合物の濃度に偏りが生じると、物質の拡散現象により濃度勾配を解消する方向に物質の拡散が生じる。そのため、上述のように光を照射すると、重合領域(露光部)A1と未重合領域(遮光部)A2の境界Sにおいて、モノマーの濃度に偏りが生じ、これにより濃度勾配を解消する方向に化合物(モノマー及び/又はポリマー)の拡散が誘起される。そして、未重合領域である遮光部A2から重合領域である露光部A1へは主にモノマーの流れが発生し、重合領域(露光部)A1から未重合領域(遮光部)A2へは主にポリマーの流れが発生するものと推察される。なお、このような化合物の流れは、より分子量が小さく動き易い化合物の流れがより大きくなる傾向にある。このようにして、未重合領域A2と重合領域A1との間において化合物の流れが生じると、その流れにより、膜中の重合領域に存在する、液晶性を示す化合物(重合領域に存在する重合前の重合性化合物及び重合性化合物を重合させて得られる化合物のうちの少なくとも1種の化合物であって、液晶性を示す化合物)及び前記二色性色素には、一種のずり応力が加わる。そのため、前記液晶性を示す化合物及び前記二色性色素は、重合領域(露光部)A1と未重合領域(遮光部)A2の境界Sの近傍の領域において配向し、配向領域A3が形成(誘起)される。なお、このような化合物の移動による流れが生じる方向は、重合領域(露光部)A1と未重合領域(遮光部)A2の境界Sに対して略垂直な方向となるため、例えば、液晶性を示す化合物及び二色性色素がいずれも棒状のものである場合、通常、平均的な配向方向は境界Sに対して略垂直な方向となる。
なお、前記重合性組成物として、例えば、前述のような、前記第一の化合物と、同一条件で重合させた場合に前記第一の化合物よりも重合完了時間が長い前記第二の化合物とを含有する本発明に好適に利用可能な重合性組成物を用いた場合であって、かつ、前記第一及び第二の化合物として光重合性の化合物を用いた場合を例にして、更に検討すると、重合領域(露光部)A1においては、重合完了時間がより短い第一の化合物から優先的に光重合が進行して、第一の化合物が優先的に消費される。このようにして第一の化合物が優先的に消費されると、重合領域(露光部)A1と未重合領域(遮光部)A2との間で、膜中の化合物の濃度に偏りがより効率よく生じるため、これに起因して化合物の拡散(流れ)がより効率よく引き起こされるものと推察される。そのため、重合完了時間の異なる第一の化合物と第二の化合物とを重合性組成物に含有させた場合には、未重合領域A2と重合領域A1との間において、より効率よく膜中の成分の濃度勾配を生じさせることが可能となり、未重合領域A2と重合領域A1との間の化合物の流れをより効率よく発生させることができる。このような観点から、本発明においては、重合完了時間の異なる第一の化合物と第二の化合物とを重合性組成物に含有させた場合には、その化合物の流れに起因したずり応力をより効率よく発生させることが可能となり、膜中の重合領域に存在する液晶性を示す化合物及び前記二色性色素を、より効率よく配向させることが可能となるものと本発明者らは推察する。
ここで、仮に図2に示す位置においてフォトマスク14を固定して境界Sの位置を固定した場合について検討すると、境界Sを固定して光重合を進行させると、重合領域A1の内部の粘性が増大していくことから、化合物の拡散が抑制されていき、配向領域は境界近傍の領域のみに限定される(なお、光照射領域の境界から垂直な方向に概ね数十〜数百μm程度の領域に配向領域が形成されるに過ぎない)。一方、図1〜4に示す本発明の好適な実施形態においては、図2〜図4に示すように、重合領域(露光部)A1と未重合領域(遮光部)A2の境界Sを未重合領域A2に向けて移動させる(なお、本実施形態においては、フォトマスク14を連続的に移動させていくことにより、境界Sを未重合領域A2に向けて移動させる)。そして、膜13の一部の領域から前記重合性化合物の重合を開始した後(図2参照)、重合領域の境界Sを未重合の領域A2に向けて連続的に移動させることにより(図2〜4参照)、境界Sの移動していく先々において(新たな位置で)、膜中に存在する化合物の拡散が誘起されていき、光重合と拡散誘起による配向とを連続的に引き起こすことが可能となる。この際、前記液晶性を示す化合物と前記二色性色素とが配向するような速度で(前述のモノマー及び/又はポリマー等の化合物の移動により生じる一種のずり応力が、配向を形成するために前記液晶性を示す化合物と前記二色性色素とに十分に加えられるような速度で)、境界Sを連続的に移動させることにより、拡散誘起による配向を連続的に生じさせることが可能である。そのため、本発明においては、前記液晶性を示す化合物と前記二色性色素とが配向するような速度で、重合領域A1の境界Sを未重合の領域に向けて連続的に移動させることにより、前記液晶性を示す化合物と前記二色性色素の配向領域を連続的に増大させることを可能としている。更に、前記液晶性を示す化合物と前記二色性色素とを、前記ずり応力により配向させた場合においては、一旦、液晶性を示す化合物の配向が始まると、液晶が持つ自己組織化能力によっても配向が増幅されるため、より効率よく配向が形成されることとなる。このようにして、本発明においては、配向領域を連続的に増大させることが可能であるため、大面積に配向領域が形成された偏光性フィルムを効率よく製造することが可能となるものと本発明者らは推察する。また、本発明は、上述のように、重合領域(露光部)A1と未重合領域(遮光部)A2の境界Sを未重合領域A2に向けて移動させることにより、移動して行く境界Sの近傍の領域に物質の拡散現象を順次連続的に引き起こして配向領域を連続的に増大させることを可能とする方法であるため、配向規制力を持たせるための前処理を施していない基板(例えばラビング処理を施していないような基板)等を用いた場合においても、効率よく偏光性フィルムを製造することができる。そのため、ラビング処理により生じる発塵や静電気の問題、偏光性フィルムへのほこりの付着や混入等の問題も効率よく回避することが可能であるばかりか、基板やセルに予め配向規制力を持たせるための前処理を施す必要もなく、作業性の点においても効率的な方法といえる。なお、図1〜4に示す例においては前記重合性化合物として光重合性の化合物を用いた場合を例にして、配向が形成される原理について説明しているが、本発明においては、重合領域(露光部)A1と未重合領域(遮光部)A2の境界Sを未重合領域A2に向けて移動させることにより生じる物質の拡散現象を利用して、膜中に配向を形成して配向領域を増大させることを可能とする方法であることから、前記重合性化合物としては、光重合性の化合物に限定されるものではなく、光重合性の化合物以外の化合物(例えば熱重合性の化合物等)を利用してもよい。
また、本発明の偏光性フィルムの製造方法においては、重合を開始した後に膜中において未重合領域から重合領域に移動する化合物を利用して、前記液晶性を示す化合物と前記二色性色素とを配向させることから、その化合物が移動する方向(前記領域の境界にほぼ垂直な方向)に配向の方向を制御することが可能である。そのため、例えば、重合を光重合で行う場合にはマスクの形状に応じて様々な方向に配向を制御することも可能となる。
ここで、そのような配向方向の制御に関して、図5に示す本発明に好適な他の実施形態を参酌して簡単に説明する。なお、図5(a)は、光源側(照射する光の光軸方向)から見た場合におけるフォトマスク14と基板12との光重合開始前の関係(光照射領域の境界Sを移動させる前の状態)を模式的に示す概略平面図であり、図5(b)は、光源側から見た場合におけるフォトマスク14と基板12との光重合開始後の関係(光照射領域の境界Sを矢印Aの方向に移動させた状態)を模式的に示す概略平面図である。図5中において、重合領域A1の境界Sは基板12の2辺に対して垂直となっており、図5(a)〜(b)に模式的に示すように境界Sを移動させた場合には、その境界Sに対してほぼ垂直に化合物の流れが生じ、境界Sに対してほぼ垂直に配向方向が制御される(図中の矢印Pは、境界Sに対して垂直な方向を概念的に説明するために示すものであり、化合物の流れは矢印Pとほぼ同じ方向及び/又はその180°反対側の方向に生じるものと推察される。)。一方、マスク14のエッジを斜めにして、境界Sが基板12の2辺に対して垂直以外の角度で接触するようにして境界Sを移動させた場合には、その斜めの境界Sに対してほぼ垂直、又は境界Sの移動速度が速い場合には、境界Sの移動方向のベクトルと境界Sに対して垂直方向のベクトルとのベクトル和の方向に配向方向が制御される。なお、このようにマスク14のエッジを斜めにした場合の配向方向の制御に関して、図6に示す本発明に好適な他の実施形態を参酌して、更に詳細に説明する。図6は、光源側(照射する光の光軸方向)から見た場合におけるフォトマスク14と基板12との関係を模式的に示す概略平面図である。図6に示すフォトマスク14はエッジが斜めに形成され、境界Sが基板12の2辺に対して垂直以外の角度をなすようにして接触するように配置されている。そして、このような境界Sを図中の矢印Aの方向に向けて連続的に移動させながら光重合を行う場合(例えばマスク14を矢印Aの方向に向けて連続的に移動させながら光重合を行う場合)、基本的に、膜中の化合物(モノマー及び/又はポリマー)の拡散誘起により、マスクの境界Sに対してほぼ垂直な方向に化合物の流れが生じる(図中の矢印Pは、境界Sに対して垂直な方向を概念的に説明するために示すものであり、化合物の流れは矢印Pとほぼ同じ方向及び/又はその180°反対側の方向に生じるものと推察される。)。そのため、このような境界Sを図中の矢印Aの方向に向けて連続的に移動させながら光重合を行なった場合、その斜めの境界Sに対してほぼ垂直な方向(矢印Pとほぼ同じ方向)に配向方向が制御されることとなる。なお、上述のように、境界Sの移動速度が速い場合には、境界Sの移動方向のベクトル(矢印Aで示す方向)と、境界Sに対して垂直方向のベクトル(矢印Pで示す方向)とのベクトル和の方向に配向方向が制御されることとなる。
そのため、図5(a)〜(b)に模式的に示すように境界Sを移動させた場合と、図6に模式的に示すようにマスク14のエッジを斜めにして境界Sを移動させた場合とにおいては、異なる方向に配向方向が制御されることとなる。このように、光重合を採用する場合においては、マスク14のエッジの形状に応じて、異なる配向方向を有するフィルムを得ることも可能である。
このように、本発明は、重合領域の境界を移動させながら物質の拡散現象を利用して配向を形成し、これにより配向領域を増大させることが可能とするため、前記液晶性を示す化合物と前記二色性色素とが所望の方向に配向した配向領域が大面積に形成されている偏光性フィルムを効率よく製造することが可能であるものと本発明者らは推察する。
本発明によれば、大面積に液晶性化合物と二色性色素との配向領域が形成された偏光性フィルムを効率よく製造することを可能とする偏光性フィルムの製造方法を提供することが可能となる。
重合性組成物からなる膜に対して光重合を開始する前の状態を模式的に示す概略縦断面図である。 光源から光を照射して膜の一部の領域から重合を開始した状態を模式的に示す概略縦断面図である。 図2中の重合領域の境界を未重合の領域に向けて移動させた後の状態を模式的に示す概略縦断面図である。 図3中の重合領域の境界を未重合の領域に向けて移動させた後の状態を模式的に示す概略縦断面図である。 図5(a)は、光源側から見た場合におけるフォトマスクと基板との光重合開始前の関係(光照射領域の境界を移動させる前の状態)を模式的に示す概略平面図であり、図5(b)は、光源側から見た場合におけるフォトマスクと基板との光重合開始後の関係(光照射領域の境界を移動させた状態)を模式的に示す概略平面図である。 光源側から見た場合における、エッジを斜めに形成したフォトマスクと基板との光重合開始前の関係を模式的に示す概略平面図である。 光源側から見た場合における、複数の略長方形状の開口部を有するフォトマスクと基板との光重合開始前の関係を模式的に示す概略平面図である。 光源側から見た場合における、複数の略長方形状の開口部を有するフォトマスクと基板との光重合開始前の関係を模式的に示す概略平面図である。 光源側から見た場合における、長方形状の1つの開口部を有するフォトマスクと基板との関係を模式的に示す概略平面図である。 実施例1で得られた偏光性フィルムの吸収スペクトルのグラフである。 図10に示す、実施例1で得られた偏光性フィルムの吸収スペクトルのグラフの吸光度0〜0.2までの間を拡大して示すグラフである。 二色性色素であるDR1の吸収スペクトルのグラフである。 実施例2で得られた偏光性フィルムの吸収スペクトルのグラフである。 二色性色素であるTR5の吸収スペクトルのグラフである。 実施例3で得られた偏光性フィルムの吸収スペクトルのグラフである。
以下、本発明をその好適な実施形態に即して詳細に説明する。
本発明の偏光性フィルムの製造方法は、重合前及び/又は重合後において液晶性を示す重合性化合物の少なくとも1種と、二色性色素の少なくとも1種とを含有する重合性組成物からなる膜を用いて、
前記膜の一部の領域から前記重合性組成物の重合を開始した後、該膜中に存在する前記液晶性を示す化合物と前記二色性色素とが配向するような速度で前記領域の境界を未重合の領域に向けて連続的に移動させることにより偏光性フィルムを得ることを特徴とする方法である。
本発明にかかる重合性組成物は、重合前及び/又は重合後において液晶性を示す重合性化合物の少なくとも1種を含有する。本発明においては、前述のように、重合に伴って生じる膜中の化合物の拡散(移動)に起因する、一種のずり応力を利用して配向を形成するものであることから、前記重合性化合物としては1種の化合物のみを用いた場合であっても、大面積に配向を形成することが可能である。そのため、本発明にかかる重合性組成物は、前記重合性化合物の少なくとも1種を含有していればよい。
このような重合性化合物としては、1以上(より好ましくは1〜6)の重合性官能基を有するものが好ましい。このような重合性官能基の数が前記下限未満では、重合が効率よく進行しないため、膜中のモノマー(前記重合性化合物を含む。)の濃度変化に由来して生じる化合物の拡散を効率よく引き起こすことが困難となり、化合物の拡散に基づいて配向を形成して、偏光性フィルムを得ることが困難となる。また、このような重合性官能基の数が前記上限を超えると化合物の拡散よりも重合が速く進みすぎるため、拡散に伴う配向を形成することが困難となる傾向にある。
また、このような重合性官能基としては、特に制限されず、公知のものを適宜利用することができ、例えば、ビニル基、アリル基、ビニルエーテル基、アクリル基、メタクリル基、オキセタン基、エポキシ基、シンナモイル基、カルコン基、クマリン基等が挙げられ、中でも、化合物の合成の容易さ、取り扱い性等の観点から、ビニルエーテル基、アクリル基、メタクリル基、オキセタン基、エポキシ基、シンナモイル基、カルコン基が好ましく、アクリル基、メタクリル基、オキセタン基、エポキシ基がより好ましい。
さらに、本発明においては、液晶が持つ自己組織化能力によって配向を増幅させるという観点から、重合性化合物は、重合前及び/又は重合後において液晶性を示す化合物である必要がある(少なくとも、重合後の膜中に存在する重合性化合物に由来する成分(重合性化合物そのもの、重合性化合物を重合させて得られる重合物)が液晶性を示す必要がある)。なお、ここにいう「重合後において液晶性を示す化合物」とは、前記重合性化合物を重合させて得られる化合物(重合物)が液晶性を示す化合物であるこという。なお、ここにいう「前記重合性化合物を重合させて得られる化合物(重合物)」には、例えば、前記重合性化合物の単独重合体の他、前記重合性組成物が複数種の重合性化合物を含む場合や、前記重合性組成物が前記重合性化合物以外の他の重合性を示す化合物も含む場合には、複数種の重合性化合物の共重合体や、前記重合性化合物と前記重合性化合物以外の他の重合性を示す化合物との共重合体をも含む。そのため、「重合後において液晶性を示す化合物」は、前記重合性化合物を単独で、又は、前記重合性化合物を含む複数のモノマーを組み合わせて、重合させることにより得られる重合物のいずれかであって、かつ、液晶性を示すものをいう。また、ここにいう「液晶性を示す化合物」としては、所定の温度範囲で液晶性を示すような化合物(いわゆるサーモトロピック液晶化合物)であることが好ましい。なお、このようなサーモトロピック液晶化合物としては、昇温及び降温を行った場合に液晶相の挙動を確認した場合に、昇温過程及び降温過程の両方で液晶性を示すエナンチオトロピック液晶化合物であっても、昇温過程及び降温過程のうちの一方の過程においてのみ液晶性を示すモノトロピック液晶化合物であってもよい。なお、本発明においては、重合前の前記重合性化合物及び前記重合性化合物を重合させて得られる化合物(重合体)のうちの少なくとも1種が液晶性を示す化合物(液晶性を有する化合物)であるため、重合の開始により、膜中において化合物(前記重合性化合物を含むモノマー、及び/又は、ポリマー)の拡散が励起されると、前記膜中の液晶性を示す化合物及び前記二色性色素に、ずり応力(せん断応力)を加えることが可能となり、これにより、一旦、前記液晶性を有する化合物の配向が始まると、液晶が持つ自己組織化能力によっても配向が増幅されるため、効率よく液晶性を示す化合物及び前記二色性色素の配向を形成することが可能である。
また、前記重合性化合物としては、下記一般式(1):
p−M−L−(M−L)q−M−Zr (1)
[式中、Z及びZはそれぞれ独立して、水素原子;ハロゲン原子(より好ましくはF、Cl、Br);CN;NO;OCF;炭素数1から18の直鎖又は分岐したアルキル基{なお、前記アルキル基は、前記アルキル基のうち、1個または複数の炭素が連続して結合することのない酸素原子、−COO−、−OCO−、−OCOO−、−CONR−、−NRCO−、−OCO−NR−、又は−NRCOO−に置換されていても良い(式中:Rは水素原子、または炭素数1から6のアルキル基を表す。)。};炭素数1から18のアルコキシ基;及び、式:−L−S−F
{式中:Fは下記式(F−1)から(F−20):
(式中、Rは水素原子、または炭素数1から6のアルキル基を表す。)、
で表わされる基のいずれかを表し、
は、単結合、炭素数1から18の直鎖または分岐したアルキレン基(なお、前記アルキレン基は、前記アルキレン基のうち、1個又は複数の炭素が、連続して結合することのない酸素原子、−COO−、−OCO−、−OCOO−、−CONR−、−NRCO−、−OCO−NR−、または−NRCOO−に置換されていても良い(式中、Rは水素原子、または炭素数1から6のアルキル基を表す。)。)のうちのいずれかであり、
は、単結合、−O−、−S−、−OCH−、−CHO−、−CO−、−CH−CH―、−CF−CF−、―COO−、−OCO−、−OCOO−、−CONR−、−NRCO−、−OCO−NR−、−NRCOO−、−CH=CH−、−CF=CF−、−CH=CH−COO−、−OCO−CH=CH−、または−C≡C−を表す(式中、Rは水素原子、または炭素数1から6のアルキル基を表す。)。}
で表わされる基のうちのいずれかを示し、
、Lは、それぞれ独立に、単結合、−O−、−S−、−OCH−、−CHO−、−CO−、−CH−CH―、−CF−CF−、―COO−、−OCO−、−CONR−、−NRCO−、−OCO−NR−、−NRCOO−、−CH=CH−、−CF=CF−、−CH=CH−COO−、−OCO−CH=CH−、または−C≡C−を表し(式中、Rは水素原子、または炭素数1から6のアルキル基を表す)、
及びMは、それぞれ独立して、1,4−フェニレン基、1,4−シクロヘキシレン基、ピリジン−2,5−ジイル基、ピリミジン−2,5−ジイル基、ナフタレン−2,6−ジイル基、ナフタレン−1,4−ジイル基、1,3−ジオキサン−2,6−ジイル基、1,3,4−ベンゼントルイル基、1,3,5−ベンゼントルイル基、1,3,4,5−ベンゼンテトライル基を表し、Mは、1,4−フェニレン基、1,4−シクロヘキシレン基、ピリジン−2,5−ジイル基、ピリミジン−2,5−ジイル基、ナフタレン−2,6−ジイル基、ナフタレン−1,4−ジイル基または1,3−ジオキサン−2,6−ジイル基を表し、
、M及びMとして選択される基に含まれる水素原子は、それぞれ独立してアルキル基、ハロゲン化アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン基、シアノ基、ニトロ基で置換されていてもよく、
p及びrはそれぞれ独立に1、2、または3を表し、
qは0、1、又は2を表し、
及び/又はZが複数の場合は、それぞれ同一であっても異なっていてもよい。]
で表わされる化合物が好ましい。
なお、前記重合性化合物としては、重合前及び/又は重合後において液晶性を示すものであればよいため、前記一般式(1)で表わされる化合物以外のものであっても、重合前及び/又は重合後において液晶性を示すものであれば好適に利用することができる。このような一般式(1)で表わされる化合物以外に使用可能な重合性化合物としては、例えば、一般式(1)で表わされる構造以外の構造を有し、且つ、ビニル基、アリル基、ビニルエーテル基、アクリル基、メタクリル基、オキセタン基、エポキシ基、シンナモイル基、カルコン基、クマリン基等の官能基を有する化合物を適宜使用することができる。このような重合性化合物として利用可能な成分(例えば、重合前及び/又は重合後において液晶性を示す各種熱重合化合物や光重合化合物)は、市販されているものも多く、それらを適宜使用してもよい。
また、前記重合性組成物に含有させる前記重合性化合物としては、重合時に重合領域と未重合領域の境界の位置の制御がより容易であり、より効率よく液晶性を示す化合物及び前記二色性色素の所望の配向が形成された偏光性フィルムを形成することが可能となって、作業効率をより向上させることが可能であることから、光重合性の化合物を用いることが好ましい。すなわち、本発明においては、前記重合性化合物を光重合性の化合物とし、前記重合性組成物の重合を光重合により行うことが好ましい。なお、ここにいう「光重合性の化合物」とは、ビニル基、アリル基、ビニルエーテル基、アクリル基、メタクリル基、オキセタン基、エポキシ基のように、光開始剤の存在により官能基が反応する化合物でもよいし、光開始剤がなくとも官能基が光により反応する化合物でもよい。光開始剤がなくても官能基が反応する光重合性化合物の例としては、シンナモイル基やカルコン基、クマリン基のような光2量化反応が可能な官能基を有する化合物等を例示することができる。
また、前記重合性化合物としては、より効率よく重合を進行させることが可能なモノマーであるといった観点や、より効率よく偏光性フィルムを形成することが可能となるという観点から、前記一般式(1)で表される化合物であって、式中のZ及びZがいずれも−L−S−Fで表わされる基であり(なお、Z及びZは同一であっても異なっていてもよく、合成の容易さの観点からは、同一の基であることが好ましい。)、Fがアクリル基若しくはメタクリル基であり、Sが単結合若しくは炭素数1から12の直鎖アルキレン基であり、Lが単結合、エーテル基(−O−)、エステル基(−COO−、−OCO−)及びカーボネート基(−OCOO−)のうちのいずれか(より好ましくはエーテル基)であり、pが1であり、Mが1,4−フェニレン基であり、Lが単結合及び−COO−のうちのいずれか(より好ましくは単結合)であり、qが0であり、Mが1,4−フェニレン基であり、且つ、rが1である化合物C11、
前記一般式(1)で表される化合物であって、式中のZ及びZがいずれも−L−S−Fで表わされる基であり(なお、Z及びZは同一であっても異なっていてもよく、合成の容易さの観点からは、同一の基であることが好ましい。)、Fがアクリル基若しくはメタクリル基であり、Sが単結合若しくは炭素数1から12の直鎖アルキレン基であり、Lが単結合、エーテル基、エステル基及びカーボネート基のうちのいずれか(より好ましくはエーテル基)であり、pが1であり、Mが1,4−フェニレン基であり、Lが−COO−であり、Mが1,4−フェニレン基であり、Lが−OCO−であり、qが1であり、Mが1,4−フェニレン基であり、且つ、rが1である化合物C12、
前記一般式(1)で表される化合物であって、式中のZおよびZがいずれも−L−S−Fで表わされる基であり(なお、Z及びZは同一であっても異なっていてもよく、合成の容易さの観点からは、同一の基であることが好ましい。)、Fがアクリル基若しくはメタクリル基であり、Sが式:(CHCHO)z(zは2若しくは3である。)で表わされる基であり、Lが単結合であり、pが1であり、Mが1,4−フェニレン基であり、Lが単結合及びエステル基のいずれか(より好ましくは単結合)であり、qが0であり、Mが1,4−フェニレン基であり、且つ、rが1である化合物C13、
前記一般式(1)で表される化合物であって、式中のZが−L−S−Fで表わされ、Fがアクリル基若しくはメタクリル基であり、Sが単結合であり、Lが単結合であり、pが1であり、Mが1,4−フェニレン基であり、Lが単結合であり、qが0であり、Mが1,4−フェニレン基であり、Zが水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、炭素数1〜12のアルキル基及び炭素数1〜12のアルコキシ基の中から選択される1種(より好ましくはシアノ基)であり、且つ、rが1である化合物C14、
前記一般式(1)で表される化合物であって、式中のZが−L−S−Fで表わされ、Fがアクリル基若しくはメタクリル基であり、Sが炭素数1から12の直鎖アルキレン基であり、Lがエーテル基であり、pが1であり、Mが1,4−フェニレン基であり、Lが単結合であり、qが0であり、Mが1,4−フェニレン基であり、Zが水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、炭素数1〜12のアルキル基及び炭素数1〜12のアルコキシ基の中から選択される1種(より好ましくはシアノ基)であり、且つ、rが1である化合物C15、
前記一般式(1)で表される化合物であって、式中のZが−L−S−Fで表わされ、Fがアクリル基若しくはメタクリル基であり、Sが式:(CHCHO)z(zは2若しくは3である。)で表わされる基であり、Lが単結合であり、pが1であり、Mが1,4−フェニレン基であり、Lが単結合であり、qが0であり、Mが1,4−フェニレン基であり、Zが水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、炭素数1〜12のアルキル基及び炭素数1〜12のアルコキシ基の中から選択される1種(より好ましくはシアノ基)であり、且つ、rが1である化合物C16、及び、
前記一般式(1)で表される化合物であって、式中のZが−L−S−Fで表わされ、Fがアクリル基若しくはメタクリル基であり、Sが炭素数1から12の直鎖アルキレン基であり、Lがエーテル基であり、pが1であり、Mが1,4−フェニレン基であり、Lが−COO−であり、qが0であり、Mが1,4−フェニレン基であり、Zが水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、炭素数1〜12のアルキル基及び炭素数1〜12のアルコキシ基の中から選択される1種(より好ましくはシアノ基)であり、且つ、rが1である化合物C17、
がより好ましい。
また、このような化合物C11〜17としては、4,4’−ビス(8−(メタ)アクリロイルオキシ−3,6−ジオキサオクチル−1−オキシ)ビフェニル、4,4’−ビス(9−(メタ)アクリロイルオキシ)ノニルオキシビフェニル、4,4’−ビス(6−(メタ)アクリロイルオキシ)ヘキシロキシビフェニル、1,4−ビス(6−(メタ)アクリロイルオキシヘキシロキシ)メチルヒドロキノン、4−(6−(メタ)アクリロイルオキシヘキシロキシ)−4’−シアノビフェニル、4−(9−(メタ)アクリロイルオキシノニルオキシ)−4’−シアノビフェニル、4−(5−(メタ)アクリロイルオキシ−3−オキサペンチル−1−オキシ)−4‘−シアノビフェニル、4−(8−(メタ)アクリロイルオキシ−3,6−ジオキサオクチル−1−オキシ)−4’−シアノビフェニル、4−シアノフェニル−4−(2−アクリロイルオキシエトキシ)ベンゾエートが好適なものとして挙げられる。
また、本発明においては、前記重合性組成物が第一の化合物と、同一条件で重合させた場合に前記第一の化合物よりも重合完了時間が長い第二の化合物とを含有し、前記第一及び第二の化合物の少なくとも一方が前記重合性化合物のうちの少なくとも1種を含有することが好ましい。このように、前記重合性組成物としては、前記重合性化合物のうちの少なくとも1種を前記第一及び/又は第二の化合物として含有させつつ、重合完了時間の異なる第一の化合物と第二の化合物とを組み合わせて利用することが好ましい。なお、第一及び第二の化合物は、少なくとも一方が前記重合性化合物からなるものであればよいが、その双方が前記重合性化合物からなるものであってもよい。
このような第一の化合物及び第二の化合物に関して、重合完了時間が長い及び短いといった事項は、第一の化合物と第二の化合物との間において相対的に求められるものであり、ここにいう「同一条件で重合させた場合」とは、第一の化合物を重合させることが可能な条件(熱重合の場合には温度条件、光重合の場合には光の照射条件等)を適宜選択して、その選択した同一条件で重合させた場合をいう。また、「重合完了時間」は、例えば、重合性組成物の重合を光重合で行う場合には、一定の温度条件(例えば85℃)で保持しながら、光(例えば366nmの光)を照射して、第一の化合物と第二の化合物とをそれぞれ用いて、これらをそれぞれセル中に導入して別途重合させて、それぞれの化合物の重合が完了するまでの時間を、フィルムが形成されるまでの時間として測定することによって求めてもよい。このように、本発明においては、セル内で重合を開始し、フィルムが形成された場合に重合が完了したものと判断してもよい。例えば、大きさ25mm角、厚さ1.1mmのソーダガラス基板2枚を用い、これらを100μm厚のポリイミドテープをスペーサー(左右の2箇所)として貼り合わせて、セル厚100μmのガラスセルを作製し(なお、かかるセルは、スペーサーをガラス基板の平行な縦の2辺(左右)の2箇所に形成し、上下の基板の平面部分の重なる領域が縦15mm、横25mmとなるようにして(スペーサーの長辺方向に平行な辺が15mm重なるようにして)貼り合わせ、スペーサーを形成していないガラス基板の部分はそれぞれ開口部とし、セルの内部の大きさを縦15mm、横10mm、厚み100μmとしてもよい。)、重合完了時間を測定するための化合物に対して、光重合開始剤を含有量が所定量(例えば1mol%)となるようにして混合した混合物を準備し、次いで、前記ガラスセル中に前記混合物を100℃の温度条件で融解させつつ毛細管現象によりセル内が満たされるまで注入し、85℃まで0.5℃/分の速度で降温した後、85℃で3分保持して重合性組成物の膜(膜の大きさ:縦15mm、横10mm、厚み100μm)を形成した後、前記膜に、高圧水銀灯からフィルターで取り出した366nmの光を1.9mW/cmの強度で照射して光重合させて、所定の時間ごと(例えば5秒、15秒、30秒、及び60秒)に光を照射した前記膜を前記ガラスセルから取り出し、表面をクロロホルムで洗浄して、フィルムが形成されているか否かを目視で確認することにより、重合完了までの時間を測定してもよい。そして、本発明においては、用いる第一の化合物と第二の化合物とを比較して、重合完了時間がより短い化合物を第一の化合物として用い、重合完了時間がより長い化合物(第一の化合物の重合条件では重合が進行せず、重合完了時間が無限大となるような化合物(非重合性の化合物)も含む。)を第二の化合物として用いる。
このような第一の化合物及び第二の化合物を利用することで、重合を開始した場合に第一の化合物が優先的に重合に利用され、膜の重合領域と未重合領域との間では、特に第一の化合物の濃度に偏りが生じ、膜中により効率よく化合物の濃度勾配を形成することができ、その濃度勾配を解消する方向に、より効率よく物質の拡散が生じさせて、液晶性を示す化合物及び二色性色素の配向をより効率よく形成することが可能となる。
このような第一の化合物及び第二の化合物としては、前記第一の化合物が1以上の重合性官能基を有する化合物であり、且つ、該重合性官能基の数が前記第二の化合物の有する重合性官能基の数(0であってもよい)より1以上大きいという条件を満たすものが好ましく、このような好適な条件を満たす範囲において、前記第一の化合物が1以上(より好ましくは2以上、さらに好ましくは2〜4)の重合性官能基を有する化合物であり、且つ、前記第二の化合物が0又は1(より好ましくは1)の重合性官能基を有する化合物であることがより好ましい。このように重合性官能基の数が異なる化合物を、第一の化合物及び第二の化合物としてそれぞれ用いることで、これらの化合物間において重合速度の差をより大きくすることができ、重合時に重合領域の境界近傍において、化合物濃度の偏りをより効率よく生じせしめることが可能となり、化合物の拡散をより効率よく引き起こして、重合領域の境界近傍に、より効率よく配向を形成することが可能となる。また、このような第一の化合物の重合性官能基の数が前記下限未満では、重合しないか、又は、十分に早い速度で第一の化合物を重合させることが困難となり、効率よく配向領域を拡大させることが困難となる傾向にある。また、このような第一の化合物の重合性官能基の数が前記上限を超えると化合物の拡散よりも重合が速く進みすぎるため、拡散に伴う配向を形成することが困難となる傾向にある。
このように、本発明にかかる重合性組成物が、第一及び第二の化合物を含む場合においては、第一及び第二の化合物のうちのいずれか一方を、前記重合前及び/又は重合後において液晶性を示す重合性化合物以外の他の化合物からなるものとしてもよい。このような重合性化合物以外の他の化合物としては、例えば、ビニル基、アリル基、ビニルエーテル基、アクリル基、メタクリル基、オキセタン基、エポキシ基、シンナモイル基、カルコン基、クマリン基等の官能基を有する化合物(熱重合化合物や光重合化合物等を含む。)を使用することができる。このような重合前及び/又は重合後において液晶性を示す重合性化合物以外の他の化合物として利用可能な各種熱重合化合物や光重合化合物としては、市販されているものも多く、それらを適宜使用することができる。
このような重合前及び/又は重合後において液晶性を示す重合性化合物以外の他の化合物として利用することが可能な、前記ビニル基を有する化合物(ビニル系化合物)の例としては、スチレン、α−メチルスチレン、酢酸ビニル、N−ビニルピロリドン、N−ビニルカプロラクタム等が挙げられる。
前記重合前及び/又は重合後において液晶性を示す重合性化合物以外の他の化合物として利用することが可能な、前記ビニルエーテル基を有する化合物(ビニルエーテル系化合物)の例としては、n−プロピルビニルエーテル、イソプロピルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、2−エチルヘキシルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、4−ヒドロキシブチルビニルエーテル、シクロヘキサンジメタノールモノビニルエーテル、トリシクロデカンビニルエーテル、ベンジルビニルエーテル、1,4−ブタンジオールジビニルエーテル、シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテル、エチレングリコールジビニルエーテル、ジエチレングリコールジビニルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテル、ジシクロペンタジエンビニルエーテル等を挙げることができる。
前記重合前及び/又は重合後において液晶性を示す重合性化合物以外の他の化合物として利用することが可能な、前記アクリル基を有する化合物及びメタクリル基を有する化合物((メタ)アクリル系の化合物)としては、1官能モノマーとして、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート及び2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレート;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート及び2−ヒドロキシ−3−フェニルプロピルアクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート;シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボロニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート等の飽和又は不飽和脂環式アルキル(メタ)アクリレート;ベンジル(メタ)アクリレート等の置換アリール(メタ)アクリレート、2−メトキシエチル(メタ)アクリレート及び2−エトキシエチル(メタ)アクリレート等のアルコシキ(メタ)アクリレート;(メタ)アクリロイルモルホリン等の不飽和アミド化合物;フタル酸モノヒドロキシエチル(メタ)アクリレート及びコハク酸モノヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等のカルボキシル基含有(メタ)アクリレート;ヘキサヒドロフタルイミドエチル(メタ)アクリレート及びコハクイミドエチル(メタ)アクリレート等のイミド(メタ)アクリレート等が挙げられる。
また、前記(メタ)アクリル系の化合物としては、多官能モノマーとして、例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリス((メタ)アクリロキシエチル)イソシアヌレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート等を挙げることができる。
前記重合前及び/又は重合後において液晶性を示す重合性化合物以外の他の化合物として利用することが可能な、前記エポキシ基を有する化合物としては、エチレングリコールジグリシジルエーテル、1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、シクロヘキサンジメタノールジグリシジルエーテル、ジエチレングリコールジグリシジルエーテル、トリエチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、ジプロピレングリコールジグリシジルエーテル、トリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、水添ビスフェノールAジグリシジルエーテル、3‘、4’−エポキシシクロヘキシルメチル3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、1,2−エポキシ−4−(2−メチルオキシラニル)−1−メチルシクロヘキサン、1,2−エポキシ−4−ビニルシクロヘキサン、ビニルシクロヘキセンモノオキサイド、1,2:8,9−ジエポキシリモネンなどを挙げることができる。
前記重合前及び/又は重合後において液晶性を示す重合性化合物以外の他の化合物として利用することが可能な、前記オキセタン基を有する化合物としては、3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタン、2−エチルヘキシルオキセタン、キシリレンビスオキセタン、3−エチル−3(((3−エチルオキセタン−3−イル)メトキシ)メチル)オキセタン、1,4−ビス(((3−エチル−3−オキセタニル)メトキシ)メチル)ベンゼン、3−エチル−3−(フェニキシメチル)オキセタン、ビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、3−エチル−3−(2−エチルヘキシロキシメチル)オキセタンなどを挙げることができる。
また、第一の化合物及び前記第二の化合物を含有させる場合においては、重合時に重合領域と未重合領域の境界の位置の制御が容易であり、より効率よく所望の配向を形成させて、偏光性を有するフィルムを形成することが可能となって、作業効率をより向上させることが可能であることから、光重合性の化合物を用いることが好ましい。すなわち、本発明において第一の化合物及び前記第二の化合物を含有させる場合、第一の化合物及び第二の化合物のうちの少なくとも一方あるいは双方を光重合性の化合物とし、前記重合性組成物の重合を光重合により行うことが好ましく、第一の重合性化合物及び第二の化合物の双方を光重合性の化合物を用いることがより好ましい。なお、このような光重合性の化合物は、例えば、ビニル基、アリル基、ビニルエーテル基、アクリル基、メタクリル基、オキセタン基、エポキシ基のように、光開始剤の存在により官能基が反応する化合物でもよいし、光開始剤がなくても官能基が光により反応する化合物(例えば、シンナモイル基やカルコン基、クマリン基のような光2量化反応が可能な官能基を有する化合物等)でもよい。
また、前記第一の化合物と第二の化合物とを含有する重合性組成物において、前記第一の化合物としては、前記化合物C11〜C13、下記一般式(2):
(式中、Rが水素及びメチル基のうちのいずれかであり、xは2又は3である。)
で表される化合物、及び、下記一般式(3):
(式中、Rが水素及びメチル基のうちのいずれかであり、yは2から12の整数である。)
で表される化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物が好ましい。このように、第一の化合物は、前記重合性化合物のうちの1種であっても、あるいは、前記重合性化合物以外のものであっても好適に利用することができる。なお、第二の化合物が前記重合性化合物を含有しない場合には、前記重合性組成物に含有させる前記第一の化合物に前記重合性化合物を含有する必要がある。
また、このような第一の化合物としては、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、4,4’−ビス(8−(メタ)アクリロイルオキシ−3,6−ジオキサオクチル−1−オキシ)ビフェニル、4,4’−ビス(9−(メタ)アクリロイルオキシ)ノニルオキシビフェニル、4,4’−ビス(6−(メタ)アクリロイルオキシ)ヘキシロキシビフェニル、1,4−ビス(6−(メタ)アクリロイルオキシヘキシロキシ)メチルヒドロキノンが特に好ましい。
また、前記第二の化合物としては、前記重合性化合物のうちの1種であってもよいし、前記重合性化合物以外のものであってもよい。このような第二の化合物としては、前記化合物C14〜C17からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物であることが好ましい。なお、前記重合性組成物に含有させる前記第二の化合物としては、より効率よく偏光性フィルムを形成するという観点からは、前記重合性化合物であることが好ましいが、前記第一の化合物が前記重合性化合物である場合には必ずしも前記重合性化合物である必要はない。
このような第二の化合物としては、4−(6−(メタ)アクリロイルオキシヘキシロキシ)−4’−シアノビフェニル、4−(9−(メタ)アクリロイルオキシノニルオキシ)−4’−シアノビフェニル、4−(5−(メタ)アクリロイルオキシ−3−オキサペンチル−1−オキシ)−4‘−シアノビフェニル、4−(8−(メタ)アクリロイルオキシ−3,6−ジオキサオクチル−1−オキシ)−4’−シアノビフェニル、4−シアノフェニル−4−(2−アクリロイルオキシエトキシ)ベンゾエートを用いることが特に好ましい。
さらに、このような第一の化合物と第二の化合物とを含有する重合性組成物としては、反応の制御のし易さ、モノマーの入手の容易性、モノマーの取り扱い易さの観点から、前記第一の化合物が前記化合物C11〜C13、前記一般式(2)で表される化合物、及び、前記一般式(3)で表される化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物であり、且つ、前記第二の化合物が、前記化合物C14〜C17からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物であることが好ましい。
また、前記重合性組成物が前記第一及び前記第二の化合物を含む場合において、前記第一の化合物と前記第二の化合物の含有比率としては、特に制限されるものではないが、前記第一の化合物と前記第二の化合物のモル比([第一の化合物]:[第二の化合物])が0.1:99.9〜99.9:0.1であることが好ましく、2:98〜98:2であることがより好ましく、4:96〜96:4であることが更に好ましい。なお、前記第一の化合物と前記第二の化合物のモル比([第一の化合物]:[第二の化合物])は、組み合わせる化合物の種類によっては、5:95〜95:5とすることがより好ましく、10:90〜80:20とすることが更に好ましい。このような第一の化合物の含有比率が前記下限未満では拡散速度が遅くなるため、境界を移動させる速度が遅くなる傾向にあり、他方、前記上限を超えると化合物の拡散よりも重合が速く進みすぎるため、拡散に伴う配向を形成することが困難なる傾向にある。
また、本発明にかかる重合性組成物は、重合前及び/又は重合後において液晶性を示す重合性化合物の少なくとも1種とともに、二色性色素の少なくとも1種を含有する。ここで、本発明にかかる二色性色素としては、分子の長軸方向における吸光度と短軸方向における吸光度とが異なる性質を有する色素であればよく、特に限定されず、公知の二色性色素を適宜利用することができる。また、このような二色性色素は、例えば、いわゆる染料や顔料であってもよい。更に、このような二色性色素としては、前記性質を有する色素を1種を単独で、あるいは、2種以上を混合して用いてもよい。そのため、前記二色性色素としては、例えば、前記染料を複数種用いてもよく、前記顔料を複数種用いてもよく、あるいは、前記染料と前記顔料とを組み合わせて用いてもよい。
また、前記二色性色素は、通常、極大吸収波長(λmax)を有するものとなる。このような二色性色素の極大吸収波長は特に限定されるものではなく、その用途に応じて、適宜選択することができる。例えば、前記二色性色素としては、可視光域に吸収を持つ偏光性フィルムを製造する場合には、可視光域に極大吸収波長(λmax)を有する二色性色素を選択して利用することが好ましく、また、赤外域に吸収を持つ偏光性フィルムを製造する場合には、赤外域に極大吸収波長(λmax)を有する二色性色素を選択して利用することが好ましい。また、前記二色性色素は液晶性を有しているものでもよい。
このような二色性色素としては、特に限定はないが、例えば、アクリジン系色素、オキサジン系色素、オキサゾン系色素、シアニン系色素、ナフタレン系色素、アゾ系色素、アントラキノン系色素、ベンゾトリアゾール系色素、ベンゾフェノン系色素、ピラゾリン系色素、ジフェニルポリエン系色素、ビナフチルポリエン系色素、スチルベン系色素、ベンゾチアゾール系色素、ベンゾイミダゾール系色素、クマリン系色素、ニトロジフェニルアミン系色素、メロシアニン系色素、チオフェン系色素などが挙げられる。なお、このような二色性色素としては、市販のものを適宜利用することができ、例えば、DR1:シグマアルドリッチジャパン社製の商品名「Disperse Red 1」等を適宜用いることができる。
また、このような本発明に用いることが可能な二色性色素の一例を色素ハンドブック(大河原信、北尾悌次郎、平嶋恒亮、松岡賢 編、講談社サイエンティフィック社:1986年第1版)に記載の色素番号で下記表1に示す。
なお、本発明においては、前述のように、前記膜中のモノマーの重合に伴って、前記膜中を化合物が拡散(移動)することを利用して膜中の成分を配向させる。ここにおいて、本発明にかかる二色性色素は、偏光性フィルムの製造時に、基本的に、膜中を移動する化合物(主にモノマー)からずり応力を付与されることで配向する成分である。そのため、本発明にかかる二色性色素は、重合に伴って膜中を移動する化合物(主に重合性の化合物)によって、ずり応力が付与されるような形状(例えば、形状に異方性があれば、移動する化合物によって容易に応力を受けることが可能である。)を有するものを好適に利用することができる。このような観点からも、本発明にかかる二色性色素としては、特に制限されず、公知の二色性色素(例えば、既に上記において例示した色素等)を、偏光性フィルムの設計に応じて適宜選択して好適に利用することができる。
以下、本発明に好適に用いることが可能な二色性色素である、アゾ系色素、アントラキノン系色素、アクリジン系色素、オキサゾン系色素、シアニン系色素等を例示して説明する。
このようなアゾ系色素としては、例えば、モノアゾ色素、ビスアゾ色素、トリスアゾ色素、テトラキスアゾ色素及びスチルベンアゾ色素等が挙げられ、中でも、ビスアゾ色素、トリスアゾ色素及びこれらの系列の色素の誘導体を好適に利用できる。また、このようなアゾ系色素としては、下記一般式(I−1):
で表されるアゾ色素(I)や、ニトロ基を含有するアゾ系色素がより好ましい(なお、一般式(I−1)中のn、Ar、Ar及びArについては後述する。)。
上記一般式(I−1)中のnは0、1及び2のうちのいずれかの数値である。このようなnの値が前記上限を超えると色素の合成が複雑になり、安価に製造し難くなる傾向にある。
上記一般式(I−1)中のAr及びArは、それぞれ独立に下記一般式(A−1)〜(A−4):
[式(A−1)〜(A−4)中、A及びAはそれぞれ独立に、下記一般式:
(式中、mは0〜10の整数であり、同一の基中にmが2つある場合、その2つのmの値は同一であっても異なっていてもよい。)
で表わされる基からなる群より選択されるいずれかの基を示す。]
で表わされる基からなる群より選択されるいずれかの基である。
また、上記一般式(I−1)中のArは、下記一般式(A−5)〜(A−7):
で表わされる基からなる群より選択される基である。
前記一般式(I−1)で表わされるアゾ色素(I)のアゾベンゼン部位の位置異性は、トランスであることが好ましい。このような一般式(I−1)で表わされるアゾ色素(I)の具体例としては、例えば、下記一般式(I−101)〜式(I−127)でそれぞれ表される化合物が挙げられる。
このようなアゾ色素(I)としては、上記一般式(I−102)、上記一般式(I−105)、上記一般式(I−106)、上記一般式(I−108)、上記一般式(I−110)、上記一般式(I−112)、上記一般式(I−113)、上記一般式(I−115)、上記一般式(I−116)、上記一般式(I−119)、上記一般式(I−120)、上記一般式(I−121)、上記一般式(I−122)、上記一般式(I−123)、上記一般式(I−124)及び上記一般式(I−126)でそれぞれ表される化合物がより好ましく、上記一般式(I−102)、上記一般式(I−105)、上記一般式(I−108)、上記一般式(I−110)、上記一般式(I−115)、上記一般式(I−121)、上記一般式(I−122)及び上記一般式(I−126)でそれぞれ表される化合物が特に好ましい。
また、前記アゾ系色素として好適に用いられる前記ニトロ基を含有するアゾ系色素としては、ニトロ基含有アゾベンゼン系色素がより好ましい。このようなニトロ基含有アゾベンゼン系色素としては、例えば、Disperse Red 1(DR1)、Disperse Red 13、Disperse Red 19、Disperse Yellow 7、Disperse Orange 1、Disperse Orange 25、4−N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)アミノ−2,2´−ジメチル−4´−ニトロアゾベンゼン等が挙げられる。
また、前記二色性色素として利用することが可能なアントラキノン系色素としては、下記一般式(II−1):
[式(II−1)中、R〜Rは、それぞれ独立に、水素原子、−Rx、−NH、−NHRx、−NRx、−SRx又はハロゲン原子を表し、前記Rxは、炭素数1〜6のアルキル基又は炭素数6〜12のアリール基を表す。]
で表される化合物が好ましい。
また、前記二色性色素として利用することが可能なアクリジン系色素としては、下記一般式(III−1):
[式(III−1)中、R〜Rは、それぞれ独立に、水素原子、−Rx、−NH、−NHRx、−NRx、−SRx又はハロゲン原子を表し、前記Rxは、炭素数1〜6のアルキル基又は炭素数6〜12のアリール基を表す。]
で表される化合物が好ましい。
さらに、前記オキサゾン系色素としては、下記一般式(IV−1):
[式(IV−1)中、R〜Rは、それぞれ独立に、水素原子、−Rx、−NH、−NHRx、−NRx、−SRx又はハロゲン原子を表し、前記Rxは、炭素数1〜6のアルキル基又は炭素数6〜12のアリール基を表す。]
で表される化合物が好ましい。
上記一般式(II−1)、上記一般式(III−1)及び上記一般式(IV−1)において、前記Rxとして選択され得る炭素数1〜6のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基及びヘキシル基などが挙げられ、炭素数6〜12のアリール基としては、例えば、フェニル基、トルイル基、キシリル基及びナフチル基等が挙げられる。
前記シアニン系色素としては、下記一般式(V−1):
[式(V−1)中、D及びDは、それぞれ独立に、下記一般式(V−101)〜式(V−104):
で表される基のうちのいずれかを表し、nは1〜3の整数を表す。]
で表わされる化合物や、下記一般式(V−2):
[式(V−2)中、D及びDは、それぞれ独立に、下記一般式(V−201)〜式(V−208):
で表される基のうちのいずれかを表し、nは1〜3の整数を表す。]
で表わされる化合物が好ましい。
また、このような二色性色素としては、中でも、アクリジン系色素、オキサゾン系色素、シアニン系色素、メロシアニン系色素、チオフェン系色素、アントラキノン系色素及びアゾ系色素が好ましく、メロシアニン系色素、チオフェン系色素、アントラキノン系色素、上記アゾ色素(I)、ニトロ基含有アゾベンゼン系色素がより好ましい。なお、このような二色性色素としては、例えば、互いに異なる極大吸収波長を有するアゾ色素(I)を2種以上含有したものであっても好適に用いることができる。
また、本発明にかかる重合性組成物は、重合前及び/又は重合後において液晶性を示す前記重合性化合物の少なくとも1種と、前記二色性色素の少なくとも1種とを含有するものである。そして、このような重合性組成物としては、前記第一の化合物と、前記第二の化合物と、前記二色性色素とを含有するものがより好ましい(なお、ここにおいて、前記第一及び前記第二の化合物のうちの少なくとも一方が前記重合性化合物の少なくとも1種を含有する。)。また、このような重合性組成物は、本発明の効果を損なわない範囲において、前記第一の化合物、前記第二の化合物(前記第一及び前記第二の化合物のうちの少なくとも一方が前記重合性化合物の少なくとも1種を含有する。)及び前記二色性色素以外の他の成分を適宜含有させてもよい。このような重合性組成物に含有させることが可能な他の成分としては、各種溶媒、光重合開始剤、粘度調整剤、可塑剤、重合禁止剤、界面活性剤などを挙げることができる。なお、このように重合性組成物中に他の成分(各種添加剤等)を含有させる場合、かかる他の成分以外が全て重合前及び/又は重合後において液晶性を示す前記重合性化合物である場合、その重合性化合物の総量は、重合性組成物中の全化合物に対して、モル比で70モル%以上(より好ましくは80モル%以上)であることが好ましい。また、前記重合性組成物中に他の成分(各種添加剤等)を含有させる場合であって、前記重合性組成物が前記第一及び前記第二の化合物を含有し、且つ、前記第一及び前記第二の化合物のいずれか一方が前記重合性化合物以外の他の化合物を含む場合には、前記第一及び前記第二の化合物の総量(含有量)が、重合性組成物中の全化合物に対して、モル比で70モル%以上(より好ましくは80モル%以上)であることが好ましい。このような重合性組成物中の前記重合性化合物の含有量、又は、前記第一及び前記第二の化合物の総量(含有量)が前記下限未満では、重合後の膜中において、液晶性を示す化合物の量が低下し、配向を形成することが困難となる傾向にある。
前記重合性組成物中の二色性色素の含有量は、特に制限されず、得られる偏光性フィルムの設計や、用いる二色性色素の種類等に応じて適宜調節することができ、膜中の液晶性を示す化合物の配向を保持できる範囲で、二色性色素の含有量を適宜定めればよい。このような重合性組成物中の二色性色素の含有量としては、例えば、前記重合性組成物の総量に対して、0.1質量%以上20質量%以下であることが好ましく、0.1質量%以上15質量%以下であることがより好ましく、0.1質量%以上10質量%以下がさらに好ましい。二色性色素の含有量が、前記範囲内であれば、膜中の液晶性を示す化合物の配向を乱すことなく、前記重合性組成物の成膜や、前記重合性化合物の重合を行うことが可能となる。他方、前記二色性色素の含有量が前記上限を超えると、前記重合性化合物の重合時に液晶性を示す化合物の配向を阻害したり、色素の吸収により、フィルムの透過率が低下する傾向にある。なお、ここでいう二色性色素の含有量は、2種以上の二色性色素を含む場合には、その合計量に基いて算出する。
また、前記重合性組成物中の二色性色素の含有量は、前記重合性組成物中の全化合物に対して、0.1〜10モル%であることが好ましく、0.2〜5モル%であることがより好ましい。このような二色性色素のモル量が前記下限未満では充分な偏光性を有するフィルムが得られなくなる傾向にあり、他方、前記上限を超えると前記重合性化合物の重合時に液晶性を示す化合物の配向を阻害したり、色素の吸収により、フィルムの透過率が低下する傾向にある。
また、前記重合性組成物中の前記重合性化合物を光重合させる場合には、より効率よく重合を進行せしめることが可能となることから、前記重合性化合物とともに光重合開始剤を用いることが好ましい。このような光重合開始剤としては特に制限されず、公知のものを適宜利用することができ、市販のもの(例えば、BASF社製の商品名「イルガキュア651」等)を用いてもよい。また、このような光重合開始剤を用いる場合においては、その使用量は用いる重合性組成物中の重合性化合物の種類や光の吸収波長、等に応じて適宜設計することができ、例えば、重合性組成物中の全化合物に対して0.1〜10モル%としてもよい。なお、このような光重合開始剤の含有比率が前記下限未満では光重合開始剤を用いる効果が十分に得られなくなる傾向にあり、他方、前記上限を超えると液晶性を低下させる傾向にあり、これにより良好な配向が効率よく得られなくなる傾向にある。
また、このような重合性組成物の調製方法は特に制限されず、重合前及び/又は重合後において液晶性を示す前記重合性化合物の少なくとも1種と、前記二色性色素の少なくとも1種とを含有する組成物を調製することが可能な公知の方法を適宜利用することができる。例えば、前記重合性組成物に用いる全化合物(重合前及び/又は重合後において液晶性を示す前記重合性化合物の少なくとも1種と、前記二色性色素の少なくとも1種とを含む。)を溶媒中にて十分に撹拌して均一な混合物とした後、溶媒を留去することにより重合性組成物を調製する方法(A)を利用してもよい。このような方法(A)に用いる溶媒としては、特に制限されず、用いる重合性化合物や二色性色素や光重合開始剤等の種類に応じて、均一な混合物を得ることが可能となるように、公知の溶媒の中から適宜選択して利用することができ、例えば、テトラヒドロフラン(THF)、ジクロロメタン、クロロホルム、アセトンなどを利用してもよい。また、このような溶媒の留去の方法も特に制限されず、公知の方法を適宜利用することができ、例えば、前記混合物に対して、室温(25℃)条件下において、減圧乾燥を施す工程を採用してもよい。なお、このような減圧乾燥工程における減圧条件としては15kPa以下であることが好ましく、0.1〜10kPaであることがより好ましい。また、減圧時間としては、0.1〜100時間であることが好ましい。なお、減圧乾燥工程は一度に行なってもよく、あるいは複数回に分けて行なってもよい。ここにおいて、複数回に分けて減圧乾燥工程を行なう場合、減圧乾燥工程を施す度に、乾燥の程度を確認することで減圧時間を適宜調整することが可能である。
また、このような重合性組成物からなる膜の形態(厚み等を含む大きさ)は、特に制限されず、目的の設計に応じて適宜その形態を変更することができ、例えば、厚みを0.1〜200μmとしてもよい。また、このような重合性組成物からなる膜としては、基板上に前記重合性組成物を塗布することにより得られる塗膜であってもよく、いわゆるセル中に重合性組成物を導入してセルにより重合性組成物を膜状としたものであってもよく、その膜の形成方法やその製造時の基板の使用の有無等も特に制限されず、公知の方法を適宜利用でき、その条件等は重合性組成物中の前記重合性化合物の種類、採用する重合の方式(光重合や熱重合)、最終製品の用途等に応じて適宜選択することができる。更に、前記重合性組成物からなる膜を基板上やセル中に製造する場合において、用いる基板等は水平なものではなくてもよい。
また、このような重合性組成物からなる膜としては、膜の形状や均一性を十分に維持しつつ偏光性フィルムを形成するという観点から、2枚の基板の間に重合性組成物の膜を配置して基板により膜を支持すること(例えば2枚の基板を含むセルを利用してセル中に膜を配置する等)や、1枚の基板上に前記重合性組成物からなる膜を形成し、もう一方の面は気相界面としたものが好ましい。また、このような基板やセルの材料は特に制限されず、公知の材料(例えばガラスやプラスチック等)を適宜利用することができる。また、重合を光重合により行う場合において、前記膜の光の入射面側に基板が接触しているような場合には、その基板を介して光を入射させる必要があることから、該基板は少なくとも光重合に使用される波長の光を透過可能な材料からなるものとすることが好ましい。
さらに、本発明においては、このような重合性組成物からなる膜を用いて、該膜の一部の領域から前記重合性組成物の重合を開始する。なお、ここにいう「膜の一部の領域から前記重合性組成物の重合を開始する」といった事項には、例えば、当初より膜の一部分を重合を開始させるための領域として設定し、その領域から重合を開始する場合(例えば、光重合の場合に、予め光源からの光が照射される部分(露光部)に膜の一部が存在するような状態にし、その膜の露光部から前記重合性組成物の重合を開始するような場合)の他、重合するための領域を徐々に形成させながら膜の一部の領域から重合を開始する場合(例えば、フォトマスクを用いる光重合の場合に、前記マスクで膜の全体を覆い、前記マスクで遮光されている部分に膜が全て入るような状態とした後、光の照射の際に膜を光の照射領域に徐々に露出させていき、膜の露光されている部分(膜の一部の領域)から重合を開始するような場合:なお、この場合、光の照射領域に前記液晶性を示す化合物及び二色性色素が配向するような速度で前記膜を導入(露出)させることが好ましい。)を含む。
このように、前記重合性組成物からなる膜を一部の領域から重合する方法としては特に制限されるものではなく、公知の方法を適宜採用することができる。このような膜の一部の領域から重合を開始する方法としては、例えば、一部の領域に光(X線、電子線、紫外線、可視光線、赤外線(熱線)等)を照射して、その照射領域から重合を開始する光重合による方法や、一部の領域から加熱を開始して、その加熱領域から重合を開始する熱重合による方法等が挙げられる。このような重合の方法としては、重合させる領域の制御がより容易であるという観点や、取り扱いの容易さ、照射する光の照射強度や照射エネルギーの設定や管理の容易さの観点から、一部の領域に光を照射する光重合による方法を採用することが好ましい。なお、このような光重合において、光重合の対象物である膜をセル等で支持している場合において、光照射面側の基板等が透明でない場合には電子線を用いることで光重合することが可能であり、電子線の利用は基板が透明でない場合に有用である。
さらに、前記重合性組成物の重合方法として光重合を採用する場合には、より効率よく重合反応を進行させることが可能となることから、紫外線又は可視光を利用することが好ましい。このような光を照射するための光源としては特に制限されず、光重合に利用可能な公知の光源を適宜利用することができ、例えば、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、低圧水銀灯、メタルハライドランプ、LEDランプ等を利用してもよい。
また、このような光重合の際に利用する光の照射波長としては特に限定は無く、化合物の吸収スペクトルと、光開始剤の推奨使用波長等を勘案して決定すればよい。また、例えば、重合性組成物からなる膜が基板上に形成され、膜の一方の界面が周囲の雰囲気ガスに接触するような状態において重合を行う場合において、アクリル基やメタクリル基を含む化合物を用いてラジカル反応を利用する場合には、酸素が存在すると酸素阻害により重合が進み難い等といった観点から、窒素等の不活性ガス雰囲気下で重合を行うことが好ましい。オキセタン基やエポキシ基のようにカチオン反応を用いた酸素阻害の影響のない重合性官能基の場合には、特に不活性雰囲気下で重合を行う必要はなく、大気中で重合を行ってよい。一方、セルなどを用いて重合性組成物からなる膜が、雰囲気ガスと接触しないような状態にある場合には、大気中において重合を開始してもよい。このように、本発明においては、重合性組成物からなる膜が雰囲気ガスと接触する状態(膜の界面が気相と接触する状態)で重合を行ってもよく、重合性組成物からなる膜が雰囲気ガスと接触しないような状態(膜の界面がセルの壁面(固相)と接触する状態)で重合を行ってもよい。
また、前記重合性組成物の重合方法として光重合を採用する場合、加熱条件下で光照射を実施してもよく、その加熱温度は、使用する重合性組成物の種類、重合反応の種類、液晶性、重合性組成物の粘度、加熱の容易さ等を勘案して適宜選択することができるが、通常は室温(25℃程度)〜300℃程度とすることが好ましい。このような加熱温度が前記下限未満では重合性組成物若しくはその中の1成分が結晶化すること等により、重合反応や配向膜の形成を効率よく進行させることが困難となったり、重合性組成物の粘度が高くなることによって、重合反応の速度が遅くなる等といった問題が生じる傾向にあり、他方、前記上限を超えると、重合性化合物に光を照射する前に熱によって膜全体の重合が進行してしまい、偏光性フィルムが得られなくなったり、空気中で反応を行う場合に重合性化合物が分解される可能性が高くなり、安定して偏光性フィルムを得ることが困難となる傾向にある。
また、このような光重合の際には、0.1μW/cm〜30mW/cmの強度で光を照射することが好ましく、0.5μW/cm〜10mW/cmの強度で光を照射することがより好ましい。このような光の照度が前記下限未満では反応速度が遅くなるため、前記境界の移速度が遅くなり、生産性が低下する傾向にあり、他方、前記上限を超えると重合性化合物が拡散する速度よりも重合反応速度の方が速くなり過ぎることにより、化合物の拡散が十分に起こらず、偏光性フィルムが得られなくなる傾向にある。
さらに、このような光重合の際に、一部の領域から光を照射するための方法は特に制限されず、例えば、一部の領域のみに光を照射できるようにした光源を利用してもよく、あるいは、フォトマスクを利用して一部の領域から光を照射してもよいが、重合領域と未重合領域の制御がより容易となるため、フォトマスクを利用することが好ましい。
また、本発明においては、上述のようにして、前記重合性組成物からなる膜の一部の領域から前記重合性組成物の重合を開始した後に、該膜中に存在する液晶性を示す化合物と二色性色素とが配向するような速度で前記領域の境界を未重合の領域に向けて連続的に移動させる。このようにして重合領域と未重合領域との境界を未重合の領域に向けて連続的に移動させることにより、連続的に重合を行って、移動して行く境界の近傍の領域において、膜中の化合物(物質)の拡散現象を順次連続的に引き起こすことが可能となり、これにより配向領域を連続的に増大させて偏光性フィルムを得ることが可能となる。なお、このように前記領域の境界を未重合の領域に向けて連続的に移動させる際における重合条件は、前述の重合開始時の重合条件と同様の条件を採用すればよい。
ここで、前記境界を移動させる際の移動速度である「液晶性を示す化合物と二色性色素とが配向するような速度」は、液晶性を示す化合物及び二色性色素の種類、拡散移動する化合物の種類、重合して形成される化合物(重合物:ポリマー)の種類、重合性化合物の種類、重合時に採用する重合の条件(例えば光重合を採用する場合の光の照射条件等)等によっても、前記膜中の液晶性を示す化合物と二色性色素とを配向させるために必要となる時間等が異なることから、一概に言えるようものではない。すなわち、本発明においては、重合領域と未重合領域とにおいて生じる化合物の濃度勾配に起因して、重合領域と未重合領域との境界の近傍において前記重合性組成物中の化合物(主にモノマー及び/又はポリマー)の拡散移動(流れ)を引き起こし、前記重合性組成物中に存在する液晶性を示す化合物と二色性色素とに、一種のずり応力を付加して、前記境界の近傍において前記液晶性を示す化合物と二色性色素とを配向させる。そのため、「液晶性を示す化合物と二色性色素とが配向するような速度」は、その液晶性を示す化合物及び二色性色素の種類や拡散移動する化合物の種類等によって異なるものとなる。例えば、前記重合性組成物中のモノマー成分としては重合性化合物を1種のみ含み、かつ、前記重合性化合物の重合速度が非常に速い場合、重合領域と未重合領域において膜中の化合物(モノマー及び/又はポリマー)の濃度勾配が急激に生じて、前記重合性化合物の重合領域への移動速度が非常に速いものとなる。このような場合には、前記境界の移動速度を比較的速くしても、前記重合性化合物の重合領域への移動に伴って生じるずり応力を、重合領域に存在する液晶性を示す化合物と二色性色素とに十分に加えることができ、液晶性を示す化合物と二色性色素とを十分に配向させることが可能となる。これに対して、例えば、前記重合性組成物中のモノマー成分としては重合性化合物を1種のみ含み、かつ、前記重合性化合物の重合速度が遅く、重合領域と未重合領域において化合物の濃度勾配が穏やかに発生するような場合には、膜中の液晶性を示す化合物と二色性色素とに十分にずり応力を付与するためには時間がかかるため、前記境界の移動速度を早くすると、前記境界の近傍において、十分に液晶性を示す化合物と二色性色素とを配向させることが困難となる。また、前述のような第一の化合物と第二の化合物とを前記重合性組成物に含有させた場合(なお、かかる場合においては、第一の化合物及び第二の化合物の少なくとも一方が前記重合性化合物のうちの少なくとも1種を含有する。)において、第二の化合物に重合前及び/又は重合後に液晶性を示す重合性化合物を利用しつつ、重合の開始により第一の化合物を優先的に重合させて、第一の化合物の重合領域への移動を引き起こさせるようにして、第一の化合物及び第二の化合物を利用する場合を例に挙げると、第一の化合物の重合速度が非常に速く、重合領域と未重合領域において化合物の濃度勾配が急激に生じて、第一の化合物の重合領域への移動速度が非常に速いものとなるような場合には、前記境界の移動速度を比較的早くしても、第一の化合物の重合領域への移動に伴って生じるずり応力を、重合領域に存在する液晶性を示す化合物と二色性色素とに十分に加えることができ、液晶性を示す化合物と二色性色素とを十分に配向させることが可能となるのに対して、第一の化合物の重合速度が遅く、重合領域と未重合領域において化合物の濃度勾配が穏やかに発生し、第一の化合物の重合領域への移動速度が遅くなるような場合には、液晶性を示す化合物と二色性色素とに十分にずり応力を付与するためには時間がかかるため、前記境界の移動速度を早くすると、前記境界の近傍において、液晶性を示す化合物と二色性色素とを十分に配向させることが困難となる。このように、「液晶性を示す化合物と二色性色素とが配向するような速度」は、液晶性を示す化合物及び二色性色素の種類や拡散移動する化合物の種類、重合して形成される化合物(重合物)の種類、重合条件等に応じて適宜配向が生じるように決定すればよく、その速度の設定は適宜変更することができる。
また、このような液晶性を示す化合物と二色性色素とが配向するような速度(前記境界を移動させる移動速度)としては、1×10−7〜4×10−1m/sとすることが好ましく、1×10−6〜4×10−2m/sとすることがより好ましい。このような速度が前記下限未満では化合物の拡散よりも重合反応が早く進行するため、粘性が高くなることにより化合物の拡散移動が却って抑制されてしまい、液晶性を示す化合物と二色性色素とにずり応力を十分に付与することができなくなり、広範囲を効率よく配向領域を形成させることが困難となる傾向にあり、他方、前記上限を超えると、速度が速くなり過ぎて、境界近傍において十分に化合物の拡散移動を行うことが困難となり、重合領域において配向を形成することが困難となる傾向にある。また、前記重合性組成物として化合物C11〜17のうちの1種を利用する場合(より好ましくは、前記重合性組成物として前記第一の化合物と第二の化合物とを用い、前記第一の化合物が前記化合物C11〜C13、前記一般式(2)で表される化合物、及び、前記一般式(3)で表される化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物であり、且つ、前記第二の化合物が、前記化合物C14〜C17からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物である場合)であって、且つ、前記重合性組成物の重合に際して、0.1μW/cm〜30mW/cmの強度で光を照射する光重合法を採用する場合においては、前記液晶性を示す化合物と二色性色素とが配向するような速度(前記境界を移動させる移動速度)は、偏光性フィルムを効率よく形成することが可能であるという観点から、1×10−7〜4×10−1m/sに設定することが好ましい。
また、前記領域の境界を未重合の領域に向けて連続的に移動させる方法としては、特に制限されず、例えば、重合方法が熱重合である場合には、加熱領域を未重合の領域に連続的に移動させていくことが可能な方法を適宜採用すればよく、また、重合方法が光重合である場合には、光の照射領域を未照射の領域に連続的に移動させていくことが可能な方法を適宜採用すればよい。
また、このような領域の境界を未重合の領域に向けて連続的に移動させる方法としては、境界の移動速度をより容易に制御でき、より効率よく配向領域を形成させることが可能であることから、前記重合性組成物の重合を光重合により行い、かつ、前記境界を未重合の領域に向けて連続的に移動させるために、光の照射領域の境界を光の未照射の領域に向けて連続的に移動させる方法を採用することが好ましい。また、光の照射領域の境界を光の未照射の領域に向けて連続的に移動させる方法としては、境界を移動させることが可能な方法であればよく特に制限されず、例えば、前記重合性組成物からなる膜に対して、一部の領域のみに光を照射できるようにした光源自体を連続的に移動させるような方法や、前記光源を固定しつつ前記重合性組成物の膜を連続的に移動させる方法、フォトマスクを利用し、フォトマスクを連続的に移動させる方法、更には、フォトマスクを利用し、フォトマスクを固定しつつ前記重合性組成物の膜を連続的に移動させる方法、等を適宜利用してもよい。
また、このような光の照射領域の境界を光の未照射の領域に向けて連続的に移動させる方法の中でも、前記光重合の際にフォトマスクを利用して、前記フォトマスク及び/又は前記膜を連続的に移動させる方法(例えば、フォトマスクを利用し、そのフォトマスクを連続的に移動させる方法や、フォトマスクを利用し、そのフォトマスクを固定しつつ前記重合性組成物の膜を連続的に移動させる方法等)を採用することが好ましい。このように、前記重合性組成物の重合に光重合を採用し、フォトマスクを利用することで、前記光の照射領域の境界を光の未照射の領域に向けて連続的に移動させることを、より容易に達成することが可能である。
ここで、前記重合性組成物の重合を光重合により行い、その光重合の際にフォトマスクを利用する場合の本発明の偏光性フィルムの製造方法の好適な実施形態について、図1〜4を参照して簡単に説明する。図1〜4に示す好適な実施形態においては、先ず、膜13の一部の領域のみに光源11からの光が照射されるように膜13と光源11との間に光を遮蔽することが可能なフォトマスク14を配置した後(図1)、光源11から光を照射することにより膜13の一部の領域A1から前記重合性組成物の重合を開始し(図2参照)、その後、液晶性を示す化合物と二色性色素とが配向するような速度でフォトマスク14を連続的に移動させることにより、液晶性を示す化合物と二色性色素とが配向するような速度で重合領域の境界Sを未重合の領域A2に向けて(矢印Aの方向に向けて)連続的に移動させて(図3〜4参照)、これにより偏光性フィルムを得る。このように、前記重合性組成物の重合に光重合を利用した場合には、フォトマスク14を移動させる方法のような簡便な方法で、重合領域と未重合領域の境界Sを移動させることを達成でき、偏光性フィルムをより効率よく製造することが可能となる。なお、フォトマスクを利用する場合の本発明の偏光性フィルムの製造方法の好適な実施形態について図1〜4を参照して説明したが、フォトマスクを利用する場合における本発明の偏光性フィルムの製造方法の実施形態は上記実施形態に限定されるものではない。例えば、上記図1〜4に示す実施形態においては、重合領域と未重合領域の境界Sを移動させるために、フォトマスク14の移動させる方法を採用しているが、フォトマスク14を固定して膜13自体を移動させる方法を採用してもよい。また、上記図1〜4に示す実施形態においては、膜13の一部の領域R1に光が照射されるような状態とした後に前記重合性組成物の重合を開始しているが、本発明の偏光性フィルムの製造方法において採用可能な重合方法は、かかる実施形態において採用したような方法に制限されるものではなく、例えば、フォトマスクにより膜の全てを覆い、光の照射開始とともに、液晶性を示す化合物と二色性色素とが配向するような速度でフォトマスク又は膜を連続的に移動させて、膜が前記速度で光の照射領域(露光部)に導入されていくようにすることにより、その光の照射領域(露光部)に導入された領域(膜の一部の領域)から重合を開始し、そのまま液晶性を示す化合物と二色性色素とが配向するような速度で重合領域の境界を未重合の領域に向けて移動させて偏光性フィルムを得るような方法を採用してもよい。
また、前記重合性組成物の重合を光重合により行い、その光重合の際にフォトマスクを利用する場合、フォトマスクのエッジ形状に応じて、配向方向を容易に制御することが可能である。以下、このようなフォトマスクのエッジ形状に応じた配向の制御に関して、図5及び6にそれぞれ示す実施形態を参照しながら簡単に説明する。例えば、フォトマスクとして、図5に示すようなフォトマスク14を用いた場合には、図5に示す境界Sに対してほぼ垂直な方向に化合物の流れが生じ、境界Sに対してほぼ垂直に配向方向が制御できる。また、フォトマスクとして、図6に示すようなエッジが斜め方向に形成されたフォトマスク14を利用した場合、基本的に、図6に示す境界Sに対してほぼ垂直な方向に化合物の流れが生じ、その斜めの境界Sに対してほぼ垂直、又は境界Sの移動速度が速い場合には境界Sの移動方向のベクトル(矢印A)と境界Sに対して垂直方向のベクトル(矢印P)とのベクトル和の方向に配向方向が制御できる。そのため、フォトマスクを利用した光重合を行なう場合には、フォトマスクのエッジ形状に応じて配向方向を所望の方向により容易に制御することが可能となる。従って、所望の配向方向を形成するために、フォトマスクのエッジ形状を適宜変更しながら利用してもよく、これにより簡便に配向方向を制御することが可能である。
また、前記重合性組成物の重合を光重合により行い、その光重合の際にフォトマスクを利用する場合、前記フォトマスクとして、複数の略長方形状の開口部が、各開口部の長辺が略平行となるようにして形成されたフォトマスクを好適に利用することができる。以下、このような複数の略長方形状の開口部が各開口部の長辺が略平行となるように形成されたマスクを利用した場合における光重合の方法の好適な実施形態を、図7や図8を参照しながら簡単に説明する。図7及び図8は、それぞれ、光源側(照射する光の光軸方向)から見た場合におけるフォトマスク14と基板12との関係を模式的に示す概略平面図である。なお、これらの実施形態においては、開口部14Aを介して透過した光により基板12上に配置された膜の光重合が可能となるように、光源とフォトマスク14と基板12とが配置されている。
このような図7及び図8に示すフォトマスク14は、複数の略長方形状の開口部14Aを有する。ここで、「略長方形状」とは、図7に示す開口部14Aのような長方形の形状の他、長方形の四隅が円弧状となっている形状、長方形の長辺又は短辺に対応する部分が円弧状の辺となっている形状、更には、図8に示す開口部14Aのような四隅の角度が90度ではない平行四辺形の形状(なお、このような形状の場合にも、四隅が円弧状のものや、長辺又は短辺に対応する部分が円弧状の辺となっている形状も含む。)をも含む概念である。このように、略長方形状の開口部とは、開口部が、長方形のように、長辺(円弧状の辺でもよい)に相当する辺が、短辺(円弧状の辺でもよい。)に相当する辺よりも長くなっている細長い形状であることを意図する表現である。
このような開口部14Aの略長方形状(細長い形状)は特に制限されず、長辺の長さYが短辺の長さXよりも長ければよい。また、このような長辺の長さYと短辺の長さXとの比(Y/X)としては、2.0以上であることが好ましく、5.0〜2.0×10であることがより好ましい。
また、このような開口部14Aの短辺の長さXとしては、重合させる際に用いる基板12や膜の大きさ等によっても異なるものであり、一概には言えないが、1μm〜10mmであることが好ましく、10μm〜1mmであることがより好ましい(なお、複数の開口部14Aの短辺の長さXの平均値も同様の数値範囲となることが好ましい。)。このような開口部14Aの短辺の長さXが前記下限未満では、配向が生じ難くなる傾向にあり、他方、前記上限を超えると、膜面内の配向が均一なフィルムが得られ難くなる傾向にある。
また、このような開口部14Aは、各開口部の長辺が略平行に配置されている。このように開口部14Aを、各開口部の長辺が略平行になるように配置することで、大面積に偏光性フィルムを形成する際に、その配向方向を一様な方向に制御することが可能となる。また、このような開口部14Aを有するマスクとしては、開口部14Aが周期的に形成されていることが好ましく、同様の形状の開口部14Aが周期的に形成されていることがより好ましい。このように、開口部14Aは周期的に形成されている場合、開口部14Aのピッチ(1つの開口部の中心から隣接する開口部の中心までの距離)は特に制限されるものではないが、1μm〜10mmであることが好ましく、10μm〜1mmであることがより好ましい(なお、複数の開口部14Aのピッチの平均値も、同様の数値範囲となることが好ましい。)。このような開口部14Aのピッチが前記下限未満では配向が生じ難くなる傾向にあり、他方、前記上限を超えると、膜面内の配向が均一なフィルムが得られ難くなる傾向にある。なお、このような本発明に好適に利用することが可能な開口部を複数有するフォトマスクにおいて、開口部の数は2以上であればよく、特に制限されず、マスクや基板の大きさ等に応じて、その設計を適宜変更することができる。
このような複数の長方形状の開口部が略平行に形成されたマスク14を用いて、例えば、基板12を方向Aと反対側の方向又は同じ方向に向かって動かしながら、基板上に形成された膜に対して、開口部14Aを介して光を照射して光重合を行った場合、各開口部14Aごとに重合領域の境界が形成され、各境界をそれぞれ未重合の領域に向けて連続的に移動させることが可能となり、各開口部14Aごとにそれぞれ配向領域を形成していくことが可能となる。そのため、複数の長方形状の開口部が略平行に形成されたマスク14を用いた場合には、マスク及び/又は膜を、隣り合う開口部の間隔(距離)と同じ長さ移動させることにより、大面積に配向領域を形成することが可能となり、効率よく偏光性フィルムを形成することが可能となる。
また、このような複数の長方形状の開口部が略平行に形成されたマスク14を用いる場合においては、開口部14Aのエッジの形状に応じて、配向方向を制御することも可能であり、例えば、図7に示す実施形態において、前記膜(図示せず)が形成されている基板12を方向Aと反対側の方向(又は同じ方向)に向かって動かしながら光重合を行った場合、配向方向を開口部14Aの長辺に対して垂直な方向に制御することが可能である。また、図8に示す実施形態においては、例えば前記膜(図示せず)が形成されている基板12を方向Aと反対側の方向に向かって動かしながら(これにより境界Sを図中の矢印Aの方向に向けて連続的に移動させながら)光重合を行った場合、光源側から見た場合に、開口部14Aのエッジが基板12の2辺に対して斜め方向に形成されているため、重合により開口部14Aの長辺に対してほぼ垂直な方向に化合物の流れが生じ、その長辺に対してほぼ垂直、又は、基板12の移動速度が速い場合には、その境界Sの移動方向のベクトルと開口部14Aの長辺に対してほぼ垂直方向のベクトルとのベクトル和の方向に配向方向が制御できる。なお、図7〜8を参照して、本発明に好適に採用することが可能な光重合の方法について説明したが、本発明において採用することが可能な光重合の方法は、これらの方法に限定されるものではない。例えば、上述の実施形態においては基板12を移動させる方法を説明しているが、基板12を固定化し、マスクと光源とを移動させる方法等を適宜採用して光重合を行ってもよい。また、図7〜8を参照して、フォトマスクとして開口部を複数有するフォトマスクを利用する方法について説明したが、本発明においては、フォトマスクは開口部を有さないものであっても、あるいは、開口部を1つだけ形成したものであっても適宜利用できる。
また、本発明においては、前記重合性組成物からなる膜の一部の領域から前記重合性組成物の重合を開始した後、該膜中に存在する液晶性を示す化合物と二色性色素とが配向するような速度で前記領域の境界を未重合の領域に向けて連続的に移動させることにより、偏光性フィルムを製造するが、このような偏光性フィルムの製造に用いる重合性組成物からなる膜として、予備重合を施した膜を利用してもよい。このような予備重合を施した膜を利用することにより、重合領域の境界を未重合の領域に向けて連続的に移動させる速度をより速くしても十分に配向構造を形成することが可能となり、より効率よく大面積に偏光性フィルムを形成することが可能となる傾向にある。なお、ここにいう「予備重合」とは、前記重合性組成物の膜を、重合性化合物の流動性が損なわれない程度にわずかに重合させること(例えば予備重合及び本重合の双方に光重合を利用する場合、前記重合性組成物の膜に対して、本重合よりも強度の弱い光を照射することで、流動性が損なわれない程度に膜中の重合性化合物をわずかに重合させること)をいう。
このように、本発明においては、重合領域の境界を未重合の領域に向けて連続的に移動させる速度をより速くして、なるべく短時間で偏光性フィルムを形成させるという観点から、予備重合後の膜を好適に利用することができる。このような予備重合の方法としては、特に制限されず、例えば、予備重合に光重合を採用する場合には、フォトマスクを用いた予備的な重合であっても、フォトマスクを利用せずに行なう予備的な重合であってもよい。このように、前記予備重合は、例えば、複数の略長方形状の開口部が各開口部の長辺が略平行となるようにして形成されたフォトマスクを用いた光重合による予備的な重合であってもよい。
このような予備重合の際に、光重合を採用する場合には、0.001μW/cm〜10mW/cmの強度で光を照射することが好ましく、0.05μW/cm〜1mW/cmの強度で光を照射することがより好ましい。このような光の照度が前記下限未満では反応が不十分となり予備重合の効果が得られ難くなる傾向にあり、他方、前記上限を超えると重合性化合物の重合が進み過ぎた膜となり、前記重合性組成物からなる膜の一部の領域から前記重合性組成物の重合を開始した後に、該膜中に存在する液晶性を示す化合物と二色性色素とが配向するような速度で前記領域の境界を未重合の領域に向けて連続的に移動させても、化合物の拡散が十分に起こらず、偏光性フィルムが得られなくなる傾向にある。なお、このような予備重合の際に光重合を採用する場合、光重合の条件としては、前記光の照度に関する条件以外は、前記重合性組成物の重合方法として説明した光重合の条件と同様の条件を採用することができる。
このようにして、本発明においては、前記重合性組成物からなる膜を用いて、前記膜の一部の領域から前記重合性組成物の重合を開始した後、該膜中に存在する液晶性を示す化合物と二色性色素とが配向するような速度で前記領域の境界を未重合の領域に向けて連続的に移動させることにより、偏光性フィルムを得ることを可能とする。なお、本発明の偏光性フィルムの製造方法においては、重合を開始した後に膜中において未重合領域から重合領域に移動する化合物(主にモノマー及び/又はポリマー)により生じる一種のずり応力を利用して、該膜中に存在する前記液晶性を示す化合物と二色性色素とを配向させることから、基本的に、その化合物が移動する方向(前記領域の境界に垂直な方向)に配向の方向を制御することが可能であり、重合を光重合で行う場合にはマスクの形状に応じて様々な方向に配向を制御することや場所により配向方向を変えたパターン配向も可能となる。また、本発明は、重合前及び重合後のうちの少なくとも一方において液晶性を示す重合性化合物を含有する重合性組成物からなる膜を用いて、重合領域の境界を移動させることにより、配向を形成しつつ重合領域の移動とともに配向領域を増大させて、前記液晶性を示す化合物と二色性色素とが配向した偏光性フィルムを得ることを可能とする方法である(重合性化合物を1種のみ利用した場合であっても、重合領域の境界を移動させることで物質の拡散現象を利用することが可能となるため、前記液晶性を示す化合物と二色性色素とを十分に配向させることが可能である。)。本発明によれば、前記液晶性を示す化合物と二色性色素とが配向している偏光性フィルムが得られる。なお、ここにいう「偏光性」とは、フィルムに非偏光(自然光)を入射したときに、ある特定方向の振動の光の強度とそれに垂直な方向の振動の光の強度とが異なる出射光を得られる性質をいう。また、前記偏光性フィルムにおいて、前記液晶性を示す化合物と前記二色性色素の配向の有無や、その配向の方向は、公知の方法を採用して適宜確認することができ、例えば、互いに垂直な特定の二方向において、紫外可視吸収スペクトルをそれぞれ測定して、いわゆるオーダーパラメータを求めることにより、吸収スペクトルのデータやオーダーパラメータの値から配向の方向や配向の有無を確認する方法や、直交に配置した2枚の偏光板の間に偏光性フィルムを挿入し、偏光性フィルムを回転させて、暗視野と明視野の有無を確認して前記液晶性を示す化合物の配向を確認する方法や、偏光顕微鏡(例えば、オリンパス社製の商品名「BX50」)を用いて偏光性フィルムを測定する方法等を採用してもよい。
また、本発明においては、重合性組成物からなる膜の一部の領域から前記重合性組成物の重合を開始した後、該膜中に存在する液晶性を示す化合物と二色性色素とが配向するような速度で前記領域の境界を未重合の領域に向けて連続的に移動させることにより、偏光性フィルムを製造するが、前記領域の境界を未重合の領域に向けて連続的に移動させて、膜中に配向領域を形成させた後においては、その重合性組成物の重合反応を完了又は偏光性フィルムをより十分に硬化させるために、例えば、重合が更に進行する温度条件下で膜を静置する等してもよい。なお、配向領域中に残存する未重合成分(重合性化合物)を更に効率よく重合させるために、形成された配向状態を維持可能な条件で、別途、光を照射したり、温度条件等を適宜変更したりして、重合を更に進行せしめる工程を別途施してよい。このように、本発明においては、重合領域の境界を移動させながら物質の拡散現象を利用して配向を形成するが、その境界の移動に伴う重合工程で膜中の成分を完全に重合させる必要はなく、前記領域の境界を未重合の領域に向けて連続的に移動させた後、その配向構造が維持されるようにしながら、重合を更に進行させる工程(後重合工程)を実施して、最終的に配向構造の固定化された偏光性フィルムを得てもよい。なお、このような後重合工程の条件は特に制限されず、用いる重合性組成物中の成分の種類等に応じて適宜変更しながら実施すればよい。
また、本発明の偏光性フィルムの製造方法においては、基板に長尺の基板フィルム等を使用することで、ロール・ツー・ロールで長尺の偏光性フィルムを製造することが可能である。
このような本発明の偏光性フィルムの製造方法により、得られる偏光性フィルムを大面積に前記液晶性を示す化合物と二色性色素の配向領域が形成されたものとすることが可能であるため、本発明の偏光性フィルムの製造方法は、例えば、各種表示装置(例えば液晶ディスプレイ等)用の偏光素子を製造するための材料等として利用する偏光性フィルム(例えば、他の光学素子と適宜組み合わせて偏光板を形成する場合等に用いる材料等に利用する偏光性フィルム)を製造するための方法等に、好適に利用できる。
以下、実施例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
(合成例1:A6CB及びそのホモポリマーの合成等)
〈A6CBの合成及びその特性評価〉
4−(6−アクリロイルオキシヘキシロキシ)−4’−シアノビフェニル(A6CB)は、以下に示す方法により合成した。すなわち、4−シアノー4‘−ヒドロキシビフェニル(100mmol)を120mLのN,N−ジメチルフォルムアミド(DMF)中に溶解して溶解液を得た。次に、前記溶解液に1−ブロモヘキサノール(110mmol)、炭酸カリウム(110mmol)及びヨウ化カリウム(触媒量:炭酸カルシウム1molに対して1mmolの割合)を加えて、100℃で5時間加熱攪拌した。次いで、加熱攪拌を中止して反応を終了せしめた後、得られた反応液を酢酸エチルで抽出し、形成された有機層を1規定の塩酸、飽和食塩水の順で洗浄した。次いで、洗浄後の有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥し、乾燥剤をろ過により取り除いた後、溶媒を減圧留去した。その後、シリカゲルクロマトグラフィーで目的物(4−シアノー4’−(6−ヒドロキシヘキシルオキシ)ビフェニル)を分離、精製した後、クロロホルムとヘキサンで再結晶することにより白色固体状の化合物A(4−シアノー4’−(6−ヒドロキシヘキシルオキシ)ビフェニル)21.3g(72mmol)を得た。
次に、前記化合物A(50mmol)、トリエチルアミン20.7mL(150mmol)、THF30mLをナスフラスコ中で混合し、ヒドロキノン(触媒量:前記化合物1molに対して2mmolの割合)を加えて混合物を得た後、前記ナスフラスコを23℃の水浴に沈め、ナスフラスコ内部の雰囲気を窒素雰囲気とした後に、前記混合物に対して、窒素雰囲気下、攪拌しながら塩化アクリロイル(150mmol)をゆっくりと滴下して反応溶液を得た。このようにして窒素雰囲気下、48時間攪拌を行った後、前記反応溶液に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を300mL加え、更に30分攪拌を行った。その後、得られた反応溶液をクロロホルムで抽出し、有機層を1規定の塩酸、飽和食塩水の順で洗浄した。次いで、得られた有機層から溶媒を室温で減圧留去し,シリカゲルクロマトグラフィーで目的物(4−(6−アクリロイルオキシヘキシロキシ)−4’−シアノビフェニル)を分離精製した後、メタノールで再結晶することにより、4−(6−アクリロイルオキシヘキシロキシ)−4’−シアノビフェニル9.8g(28mmol)を得た。なお、このようにして得られた化合物の構造をNMR及びIR測定により確認したところ、下記一般式(4)で表される4−(6−アクリロイルオキシヘキシロキシ)−4’−シアノビフェニルであることが確認された。
このようにして得られた4−(6−アクリロイルオキシヘキシロキシ)−4’−シアノビフェニルは、上記一般式(4)に記載のような化合物であることからも明らかなように、剛直なシアノビフェニル構造をメソゲンとして有する化合物である。また、示差走査熱量計(DSCエスアイアイ・ナノテクノロジー製DSC6220)を用いて、1℃/分の速度で昇温及び降温を行い、4−(6−アクリロイルオキシヘキシロキシ)−4’−シアノビフェニルからなる液晶相の挙動を確認したところ、液晶性を示さず、昇温過程では69℃で結晶層から等方相へと相転移し、降温過程では53℃で等方相から結晶性へと相転移した。
〈A6CBのホモポリマーの合成及びその特性評価〉
上述のようにして得られた4−(6−アクリロイルオキシヘキシロキシ)−4’−シアノビフェニル15mmolを35mLのN,N−ジメチルフォルムアミド(DMF)中に添加した後、更に、0.75mmolのアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)を熱重合開始剤として添加して、70℃の温度条件で6時間攪拌し、反応を進行せしめて重合溶液を得た。次に、反応終了後の前記重合溶液を0.5Lのメタノール中に投入し、ポリマーを析出させ、再度0.5Lのメタノール中で洗浄してから濾別して固形分を得た。次いで、得られた固形分を室温(25℃)で24時間真空乾燥することにより4.7gのポリマー(A6CBのホモポリマー)を得た。
このようにして得られたポリマーに対してGPC測定を行ったところ、前記ポリマーの数平均分子量Mnは、ポリスチレン標準で換算したところ、8000g/molであることが確認された。更に、前記ポリマーを示差走査熱量計(DSC)を用いて示差走査熱量分析したところ、昇温過程では38℃においてガラス転移温度を示し、38〜126℃で液晶性を示し、降温過程では124〜29℃まで液晶性を示し、29℃においてガラス転移温度を示した。このような結果から、合成例1で得られた4−(6−アクリロイルオキシヘキシロキシ)−4’−シアノビフェニルは、重合後に液晶性を示す化合物であることが分かった。
(実施例1)
〈重合性組成物の調製〉
先ず、下記一般式(5):
で表される1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート(HDDMA、東京化成工業社製、2官能メタクリレート、以下、場合により「第一の化合物」という。)と、合成例1で得られた4−(6−アクリロイルオキシヘキシロキシ)−4’−シアノビフェニル(A6CB、1官能アクリレート、重合後に液晶性を示す化合物、以下、場合により「第二の化合物」という。)とを混合した後、更に、光重合開始剤としてのイルガキュア651(BASF社製)と、二色性色素としての下記一般式(6):
で表わされる化合物(DR1、シグマアルドリッチジャパン社製の商品名「Disperse Red 1」)とを添加して混合物を得た。次に、このようにして得られた混合物をテトラヒドロフラン(THF)中に添加し、1時間撹拌して混合液を得た。次いで、前記混合液に対して、温度:25℃、圧力:1kPaの条件で溶媒を留去する減圧乾燥処理を6時間施した後、更に、前記条件と同様の条件の減圧乾燥処理を6時間施すことにより、前記混合液から溶媒を留去し、重合性組成物を調製した。なお、前記混合物を得る際に、第一の化合物(HDDMA)と第二の化合物(A6CB)は、その混合比がモル比([第一の化合物]:[第二の化合物])で5:95となるようにして用いたものの、前記減圧乾燥処理時の溶媒の留去に伴って、一部の成分が溶媒とともに蒸発したため、得られた前記重合性組成物においては、第一の化合物と第二の化合物のモル比([第一の化合物]:[第二の化合物])が4:96となっていた。また、前記光重合開始剤(イルガキュア651)は、その含有量が前記重合性組成物中の全化合物に対して1モル%となるようにして用い、更に、前記二色性色素(DR1)は、その含有量が前記重合性組成物中の全化合物に対して0.5モル%(前記重合性組成物の総量に対して0.45質量%)となるようにして用いた。
〈前記重合性組成物の調製に用いた第一及び第二の化合物の重合完了時間の測定〉
第一の化合物と第二の化合物の重合完了時間は、それぞれ、次のようにして測定した。大きさ25mm角、厚さ1.1mmのソーダガラス基板2枚を、100μm厚のポリイミドテープをスペーサーとし、上下の基板の平面部分の重なる領域が縦15mm、横25mmとなるようにして(スペーサーの長辺方向に平行な辺が15mm重なるようにして)貼り合わせて、セル厚100μmのガラスセルを作製した(なお、かかるセルは、スペーサーをガラス基板の平行な縦の2辺(左右)の2箇所に形成し、スペーサーを形成していないガラス基板の部分はそれぞれ開口部とし、セル内部の大きさを縦15mm、横10mm、厚み100μmとした。)。次に、重合完了時間を測定するための化合物に対して、光重合開始剤イルガキュア651を含有量が1mol%となるようにして混合した混合物を準備した。次いで、前記ガラスセルをホットステージ(メトラートレド社製の商品名「FP−90、FP−82HT」)上に設置した後、100℃の温度条件で前記混合物を融解させつつ毛細管現象により、前記ガラスセル中に前記混合物(光重合開始剤イルガキュア651を1mol%含む)をセル内部が満たされるまで注入した後、85℃まで0.5℃/分の速度で降温し、85℃で3分保持して前記混合物の膜(膜の大きさ:縦1.5cm、横1.0cm、厚み100μm)を得た。次いで、前記膜に、高圧水銀灯からフィルターで取り出した366nmの光を、1.9mW/cmの強度で照射して光重合させた。このような光重合を開始後、光を5秒、15秒、30秒、及び60秒間照射した後に、それぞれ前記膜を前記ガラスセルから取り出し、表面をクロロホルムで洗浄してフィルムの形成状態を目視で確認した。前記第一の化合物(HDDMA)は、照射時間30秒でフィルムの形成が確認され、重合完了時間が15秒超30秒以下の間であることが確認されたのに対して、前記第二の化合物(A6CB)は、照射時間60秒でフィルムの形成が確認され、重合完了時間が30秒超60秒以下の間にあることが確認された。
〈重合性組成物の膜の調製〉
大きさ25mm角、厚さ1.1mmのソーダガラス基板2枚を、直径2μmのシリカ粒子を混合したエポキシ系接着剤をガラス基板の左右の端部(左右の平行な2辺)に縦25mm、幅2.5mmで塗って、貼り合わせることでセル厚2μmのガラスセル(該接着剤はスペーサーとしても機能する。該接着剤を塗っていない部分はそれぞれ開口部とした。)を作製した。なお、前記ソーダガラス基板は、中性洗剤、イオン交換水、アセトン、イソプロパノールの順に超音波洗浄を行った後、UVオゾン処理を行ったものを使用した。次いで、前記ガラスセルをホットステージ(メトラートレド社製の商品名「FP−90、FP−82HT」)上に設置した後、120℃の温度条件で重合性組成物を融解させつつ前記ガラスセルの一方の開口部から、前記ガラスセル中に毛細管現象により重合性組成物を開口部から注入した後、85℃まで0.5℃/分の速度で降温した後、85℃で10分保持して重合性組成物の膜(膜の大きさ:縦20mm、横20mm、厚み2μm)を得た。
〈偏光性フィルムの調製〉
以下、図9を参照しながら、実施例1において採用した偏光性フィルムの調製方法を説明する。図9は光源側から見た場合の基板12(前記重合性組成物の膜が形成されたガラスセルを形成するソーダガラス基板)と、マスク14との関係を模式的に示す概略平面図である。
すなわち、このような偏光性フィルムの調製に際しては、図9に模式的に示すような長方形状の開口部を一つ有するフォトマスクを用いた。また、光重合に際しては、光源側から見た場合に、マスク14の開口部14Aの長辺と、基板12上の2辺(図中において、前記長辺と接している2辺)とのなす角度が90°となるようにしてマスク14を配置した。さらに、このような光重合に際しては、光源側から見た場合に、前記ガラスセル中の前記重合性組成物の膜(図示せず)の全体が、マスクの遮光部(開口部以外の部分)に覆われるようにして(遮光部に膜が入るようにして)、マスクを配置した。更に、このようなマスクの配置に際しては、光源側から見た場合に、マスクの移動中に、マスクの端部(外縁部)が膜上を通過しないようにマスクを配置した(光源側から見た場合に、膜上に常にマスク14が存在するようにマスクを配置した)。また、光源側から見た場合に、マスクの移動中(なお、移動方向は後述する。)に、開口部の短辺が膜上を通過しないようにマスクを配置した(光源側から見た場合に、開口部14Aの短辺と、図中の前記開口部14Aの長辺に接する基板12上の2辺とが平行になるようにマスクを配置した。)。また、光源は、膜上にマスクの開口部を介して光を照射できるように配置した(仮にマスクが存在しなかった場合に、膜の全面に光が照射されるような位置に光源を配置した。)。このように、マスクの移動によって、結果的に膜の全面に光が照射されるようにマスクと膜と光源とを配置した。なお、光照射の際に、膜には開口部14Aを透過した光のみが照射される。また、マスク14の開口部14Aの長辺の長さ(mm)は、前記ガラスセルを形成するソーダガラス基板の長さ(25mm)よりも長くなるように設計し(長さ:30mm)、短辺の長さは3.0mmとした。
このようにして光源とマスクと膜とを配置した後、前記光源から光を照射し、光を照射しながら前記マスクを20μm/sの速度で移動させて、開口部14Aにより形成される露光部に膜を導入していき、前記露光部に導入された膜の一部の領域から重合を開始した。その後、そのまま光を照射しながら前記マスクを20μm/sの速度で移動させ続け、光照射領域と光の未照射領域の境界S(開口部14Aの一方の長辺により形成される光照射領域の境界)を、前記膜の光の未照射領域に向けて20μm/sで移動させて、膜の全体に光を照射し、膜の光重合を行った。なお、このような光重合は100℃の温度条件下(加熱条件下)で行った。また、このような光重合に際しては、光源として高圧水銀灯(ウシオ社製の商品名「SX−UI501HQ」)を用いるとともに、色ガラスフィルター(AGCテクノグラス社製、IRA−265、UV−D54C、ND(90%)、ND(40%))を組み合わせて使用し、照度0.2mW/cm(ピーク波長:366nm)の紫外光を照射した。なお、開口部14Aにより形成される光の照射領域の境界Sの移動方向は、図中の矢印Aの示す方向(開口部14Aの長辺と垂直な方向であり、開口部14Aの短辺と平行な方向である。)とした。このようにして、膜の全体に光を照射して、光重合を行なった後、前記膜を100℃で10分間静置し、膜中の化合物の重合を更に進行させる後重合を行った。このような後重合工程を施して、ガラスセル中に偏光性フィルムを得た。
〈偏光性フィルムの特性の評価〉
このようにして得られたフィルムの特性を確認するため、直交に配置した2枚の偏光板の間に前記ガラスセルを挿入し、かかるガラスセルを回転させながら観察したところ、暗視野と明視野を有し、得られたフィルムは、約20mm角の領域で、ほぼ均一に液晶性の化合物が配向したフィルムであることが確認された。なお、暗視野となる方向は、直交に配置した2枚の偏光板の吸収軸に対して、平行又は垂直の方向であった(セルの回転により45°おきに明暗が現れた)。また、偏光顕微鏡(オリンパス社製の商品名「BX50」)を用いて、偏光性フィルム中の液晶性を示す化合物及び二色性色素(DR1)の配向状態を確認したところ、得られたフィルムにおいて各成分は均一に配向しており、微小領域においても配向が確認された。
また、このようにして得られた偏光性フィルム中の化合物の配向方向を確認するために、フォトマスクの開口部14Aの長辺と垂直な方向の吸収スペクトル(A⊥)と、フォトマスクの開口部14Aの長辺と平行な方向の吸収スペクトル(A//)を測定した。なお、このような吸収スペクトルの測定には紫外可視分光光度計(日本分光製V−650ST)を用い、グランテーラープリズムを使用して偏光方向を調整した。図10に吸収スペクトルのグラフを示し、図10の吸収スペクトルの吸光度0〜0.2までの間のグラフの拡大図を図11に示す。また、参考のために、実施例1で用いた二色性色素(DR1)の吸収スペクトルを図12に示す。なお、このような二色性色素(DR1)の吸収スペクトルは、前記二色性色素(DR1)をTHF中に溶解した溶液(濃度:2.86×10−5mol/L)を準備し、前記溶液を石英セル中に導入して測定用の試料を製造した後、紫外可視分光光度計(日本分光製V−650ST)を用いて測定した。
図10〜11に示す結果からも明らかなように、得られた偏光性フィルムは、前記開口部の長辺と垂直な方向の吸収スペクトル(A⊥)が、350nm以下程度の領域において、前記開口部の長辺と平行な方向の吸収スペクトル(A//)よりも吸光度が大きく、かつ、前記開口部の長辺と垂直な方向の吸収スペクトル(A⊥)が、波長400nm以上600nm以下程度領域において、前記開口部の長辺と平行な方向の吸収スペクトル(A//)よりも吸光度が大きいことが確認された。なお、図12に示す結果からも明らかなように、前記二色性色素(DR1)の光の吸収極大波長は487nmであり、そのモル吸光係数εは24587M−1cm−1であることが確認された。このような結果から、図10〜11に示す偏光性フィルムの吸収スペクトルにおいて、波長400nm以上600nm以下程度の領域における、前記開口部の長辺と垂直な方向の吸収スペクトル(A⊥)の吸光度の増大は二色性色素(DR1)に由来するものであることが分かった。なお、前記開口部の長辺と平行な方向の吸収スペクトル(A//)に対する、波長350nm以下程度の領域における前記垂直な方向の吸収スペクトル(A⊥)の吸光度の増大は、A6CBの吸収極大波長が295nmであることから、液晶性を示す化合物(A6CBに由来する構造単位を有する重合物)に由来するものである。
また、図10〜11に示す吸収スペクトルの結果から、液晶性を示す化合物(A6CBに由来する構造単位を有する重合物)と、二色性色素(DR1)の配向度を表すオーダーパラメータSを、それぞれ下記計算式(1):
S=(A⊥−A//)/(A⊥+2A//) (1)
[式中、A⊥は垂直方向の吸収スペクトルの強度を示し、A//は平行方向の吸収スペクトルの強度を示す。]
により求めた。なお、液晶性を示す化合物(A6CBに由来する構造単位を有する重合物)のオーダーパラメータSは、測定波長330nmから341nmの間の1nm刻みの吸光度のデータから、各波長のオーダーパラメータを求めた後、各波長のオーダーパラメータの値を平均して求めた。他方、二色性色素(DR1)のオーダーパラメータSは、測定波長470nmから570nmの間の1nm刻みの吸光度のデータから、各波長のオーダーパラメータを求めた後、各波長のオーダーパラメータを平均して求めた。このようにして求めた二色性色素(DR1)のオーダーパラメータSは0.360であり、液晶性を示す化合物(A6CBに由来する構造単位を有する重合物)のオーダーパラメータSは0.243であり、各成分のオーダーパラメータSはそれぞれ非常に大きな値を示した。
以上のような結果から、実施例1で得られた偏光性フィルムは、液晶性を示す化合物(A6CBに由来する構造単位を有する重合物)と、二色性色素(DR1)とがフォトマスクの開口部の長辺(図9中の境界Sと接する辺)に対して垂直な方向に配向していることが確認された。このように、実施例1で得られたフィルムは、液晶性を示す化合物と二色性色素(DR1)とが同じ方向に配向しており、また偏光性を示すことが確認された。このような結果から、実施例1において採用しているような方法によれば、配向規制力を持たせた基板を利用しなくても、効率よく液晶性を示す化合物と二色性色素(DR1)とを同じ方向に配向させることが可能であり、偏光性フィルムを効率よく製造できることが確認された。
(実施例2)
二色性色素として、上記一般式(6)で表わされる化合物(DR1)を用いる代わりに、下記一般式(7):
で表されるチオフェン系色素化合物(以下、場合により「TR5」と称する。)を用いた以外は、実施例1と同様にして偏光性フィルムを得た(なお、前記二色性色素(TR5)の含有量は前記重合性組成物中の全化合物に対して0.5モル%(前記重合性組成物の総量に対して0.82質量%)となるようにした)。
〈偏光性フィルムの特性の評価〉
このようにして得られたフィルムの特性を確認するため、直交に配置した2枚の偏光板の間に前記ガラスセルを挿入し、かかるガラスセルを回転させながら観察したところ、暗視野と明視野を有し、得られたフィルムは、約20mm角の領域で、ほぼ均一に液晶性の化合物が配向したフィルムであることが確認された。なお、暗視野となる方向は、直交に配置した2枚の偏光板の吸収軸に対して、平行又は垂直の方向であった(セルの回転により45°おきに明暗が現れた)。また、偏光顕微鏡(オリンパス社製の商品名「BX50」)を用いて、偏光性フィルム中の液晶性を示す化合物及び二色性色素(TR5)の配向状態を確認したところ、得られたフィルムにおいて各成分は均一に配向しており、微小領域においても配向が確認された。
また、このようにして得られた偏光性フィルム中の化合物の配向方向を確認するために、実施例1で採用した方法と同様にして、フォトマスクの開口部14Aの長辺と垂直な方向の吸収スペクトル(A⊥)と、フォトマスクの開口部14Aの長辺と平行な方向の吸収スペクトル(A//)を測定した。図13に吸収スペクトルを示す。また、参考のために、実施例2で用いた二色性色素(TR5)の吸収スペクトルを図14に示す。なお、このような二色性色素(TR5)の吸収スペクトルは、前記二色性色素(TR5)をTHF中に溶解した溶液(濃度:1.57×10−5mol/L)を準備し、前記溶液を石英セル中に導入して測定用の試料を製造した後、紫外可視分光光度計(日本分光製V−650ST)を用いて測定した。
図13に示す結果からも明らかなように、得られた偏光性フィルムは、前記開口部の長辺と垂直な方向の吸収スペクトル(A⊥)が、波長340nm以下程度の領域において、前記開口部の長辺と平行な方向の吸収スペクトル(A//)よりも吸光度が大きく、かつ、前記開口部の長辺と垂直な方向の吸収スペクトル(A⊥)が、波長390nm以上500nm以下程度領域において、前記開口部の長辺と平行な方向の吸収スペクトル(A//)よりも吸光度が大きいことが確認された。なお、図12に示す結果からも明らかなように、前記二色性色素(TR5)の光の吸収極大波長は423nmであり、そのモル吸光係数ε:59400M−1cm−1であることが確認された。このような結果から、図13に示す偏光性フィルムの吸収スペクトルにおいて、波長390nm以上500nm以下程度の領域における、前記開口部の長辺と垂直な方向の吸収スペクトル(A⊥)の吸光度の増大は二色性色素(TR5)に由来するものであることが分かった。なお、前記開口部の長辺と平行な方向の吸収スペクトル(A//)に対する、波長340nm以下程度の領域における前記垂直な方向の吸収スペクトル(A⊥)の吸光度の増大は、液晶性を示す化合物(A6CBに由来する構造単位を有する重合物)に由来するものである。
次に、図13に示す吸収スペクトルの結果に基いて、測定波長324nmから340nmの間の1nm刻みの吸光度のデータを利用した以外は、実施例1で採用した方法と同様にして、実施例2で得られたフィルム中の液晶性を示す化合物(A6CBに由来する構造単位を有する重合物)のオーダーパラメータSを求めた。また、図13に示す吸収スペクトルの結果に基いて、二色性色素(TR5)のオーダーパラメータSも求めた。なお、二色性色素(TR5)のオーダーパラメータSは、測定波長390nmから500nmの間の1nm刻みの吸光度のデータ(図13に示す吸収スペクトルの結果)を利用した以外は、実施例1で採用した方法と同様にして求めた。このような測定の結果、実施例2で得られたフィルム中の液晶性を示す化合物(A6CBに由来する構造単位を有する重合物)のオーダーパラメータSは0.271と非常に大きな値を示し、また、二色性色素(TR5)のオーダーパラメータSも0.126と非常に大きな値を示した。
以上のような結果から、実施例2で得られた偏光性フィルムは、液晶性を示す化合物(A6CBに由来する構造単位を有する重合物)と、二色性色素(TR5)とがフォトマスクの開口部の長辺(図9中の境界Sと接する辺)に対して垂直な方向に配向していることが確認された。このように、実施例2で得られたフィルムは、液晶性を示す化合物と二色性色素(TR5)とが同じ方向に配向しており、また偏光性を示すことが確認された。このような結果から、実施例2において採用しているような方法によれば、配向規制力を持たせた基板を利用しなくても、効率よく液晶性を示す化合物と二色性色素(TR5)とを同じ方向に配向させることが可能であり、偏光性フィルムを効率よく製造できることが確認された。
(実施例3)
紫外光の照度を0.20mW/cmから1.0mW/cm(ピーク波長:366nm)に変更した以外は、実施例2と同様にして偏光性フィルムを得た。
〈偏光性フィルムの特性の評価〉
このようにして得られたフィルムの特性を確認するため、直交に配置した2枚の偏光板の間に前記ガラスセルを挿入し、かかるガラスセルを回転させながら観察したところ、暗視野と明視野を有し、得られたフィルムは、約20mm角の領域で、ほぼ均一に液晶性の化合物が配向したフィルムであることが確認された。なお、暗視野となる方向は、直交に配置した2枚の偏光板の吸収軸に対して、平行又は垂直の方向であった(セルの回転により45°おきに明暗が現れた)。また、偏光顕微鏡(オリンパス社製の商品名「BX50」)を用いて、偏光性フィルム中の液晶性を示す化合物及び二色性色素(TR5)の配向状態を確認したところ、得られたフィルムにおいて各成分は均一に配向しており、微小領域においても配向が確認された。
このようにして得られた偏光性フィルム中の化合物の配向方向を確認するために、実施例1で採用した方法と同様にして、フォトマスクの開口部14Aの長辺と垂直な方向の吸収スペクトル(A⊥)と、フォトマスクの開口部14Aの長辺と平行な方向の吸収スペクトル(A//)を測定した。図15に吸収スペクトルを示す。
図15に示す結果からも明らかなように、得られた偏光性フィルムは、前記開口部の長辺と垂直な方向の吸収スペクトル(A⊥)が、波長500nm以下程度の領域において、前記開口部の長辺と平行な方向の吸収スペクトル(A//)よりも吸光度が大きいことが確認された。なお、図15中、波長400nm以上500nm以下程度の領域における、前記開口部の長辺と垂直な方向の吸収スペクトル(A⊥)の吸光度の増大は二色性色素(TR5)に由来するものであり(図14参照)、波長360nm以下程度の領域における吸収スペクトル(A⊥)の吸光度の増大は、液晶性を示す化合物(A6CBに由来する構造単位を有する重合物)に由来するものである。
次に、図15に示す吸収スペクトルの結果に基いて、測定波長335nmから365nmの間の1nm刻みの吸光度のデータを利用した以外は、実施例1で採用した方法と同様にして、実施例3で得られたフィルム中の液晶性を示す化合物(A6CBに由来する構造単位を有する重合物)のオーダーパラメータSを求めた。また、図15に示す吸収スペクトルの結果に基いて、測定波長400nmから460nmの間の1nm刻みの吸光度のデータを利用した以外は、実施例2で採用した方法と同様にして、二色性色素(TR5)のオーダーパラメータSを求めた。このような測定の結果、実施例3で得られたフィルム中の液晶性を示す化合物(A6CBに由来する構造単位を有する重合物)のオーダーパラメータSは0.105と非常に大きな値を示し、また、二色性色素(TR5)のオーダーパラメータSも0.113と非常に大きな値を示した。
以上のような結果から、実施例3で得られた偏光性フィルムは、液晶性を示す化合物(A6CBに由来する構造単位を有する重合物)と、二色性色素(TR5)とがフォトマスクの開口部の長辺(図9中の境界Sと接する辺)に対して垂直な方向に配向していることが確認された。このように、実施例3で得られたフィルムは、液晶性を示す化合物と二色性色素(TR5)とが同じ方向に配向しており、また偏光性を示すことが確認された。このような結果から、実施例3において採用しているような方法によれば、配向規制力を持たせた基板を利用しなくても、効率よく液晶性を示す化合物と二色性色素(TR5)とを同じ方向に配向させることが可能であり、偏光性フィルムを効率よく製造できることが確認された。
上述のような結果からも明らかなように、実施例1〜3で得られたフィルムにおいては、重合領域のほぼ全面に亘って液晶性化合物と二色性色素とが配向した偏光性フィルムが形成されていることが確認され、本発明の偏光性フィルムの製造方法によれば、大面積の偏光性フィルムを製造することが可能であることが分かった。
以上説明したように、本発明によれば、大面積に液晶性化合物と二色性色素との配向領域が形成された偏光性フィルムを効率よく製造することを可能とする偏光性フィルムの製造方法を提供することが可能となる。
このように、本発明の偏光性フィルムの製造方法は、大面積に液晶性化合物と二色性色素とが配向した配向領域を形成可能である点において特に優れた方法であるため、例えば、液晶ディスプレイ(LCD)や有機ELディスプレイ等の画像表示装置に用いる偏光素子等に利用するための偏光性フィルムの製造方法等として有用である。
11:光源、12:基板、13:重合性組成物からなる膜、14:フォトマスク、14A:開口部、X:開口部14Aの短辺の長さ、Y:開口部14Aの長辺の長さ、S:重合領域の境界、A:重合領域の境界Sを移動させる方向を概念的に示す矢印、P:重合領域の境界Sに垂直な方向を概念的に示す矢印、L:光源から照射される光、A1:光が照射されて重合された領域(重合領域:露光部)、A2:光が照射されていない未重合の領域(未重合領域:遮光部)、A3:配向が形成されている領域。

Claims (8)

  1. 重合前及び/又は重合後において液晶性を示す重合性化合物の少なくとも1種と、二色性色素の少なくとも1種とを含有する重合性組成物からなる膜を用いて、
    前記膜の一部の領域から前記重合性組成物の重合を開始した後、該膜中に存在する前記液晶性を示す化合物と前記二色性色素とが配向するような速度で前記領域の境界を未重合の領域に向けて連続的に移動させることにより偏光性フィルムを得ることを特徴とする偏光性フィルムの製造方法。
  2. 前記重合性組成物の重合を光重合により行い、かつ、前記境界を未重合の領域に向けて連続的に移動させるために、光の照射領域の境界を光の未照射の領域に向けて連続的に移動させることを特徴とする請求項1に記載の偏光性フィルムの製造方法。
  3. 前記光重合の際にフォトマスクを利用し、前記フォトマスク及び/又は前記膜を連続的に移動させることにより前記光の照射領域の境界を光の未照射の領域に向けて連続的に移動させることを特徴とする請求項2に記載の偏光性フィルムの製造方法。
  4. 前記境界を移動させる速度が1×10−7〜4×10−1m/sであることを特徴とする請求項1〜3のうちのいずれか一項に記載の偏光性フィルムの製造方法。
  5. 前記重合性化合物が、下記一般式(1):
    p−M−L−(M−L)q−M−Zr (1)
    で表わされ且つ式中のZ、Z、M、M、M、L、L、p、q、rがそれぞれ以下に示すものである化合物C11〜C17[化合物C11において、式(1)中のZ及びZは同一であっても異なっていてもよく、それぞれ式:−L−S−Fで表わされる基であり、Fがアクリル基及びメタクリル基のうちのいずれかであり、Sが単結合及び炭素数1から12の直鎖アルキレン基のうちのいずれかであり、Lが単結合、エーテル基、エステル基及びカーボネート基のうちのいずれかであり、pが1であり、Mが1,4−フェニレン基であり、Lが単結合及び−COO−のうちのいずれかであり、qが0であり、Mが1,4−フェニレン基であり、且つ、rが1であり、
    化合物C12において、式(1)中のZ及びZは同一であっても異なっていてもよく、それぞれ式:−L−S−Fで表わされる基であり、Fがアクリル基及びメタクリル基のうちのいずれかであり、Sが単結合及び炭素数1から12の直鎖アルキレン基のうちのいずれかであり、Lが単結合、エーテル基、エステル基及びカーボネート基のうちのいずれかであり、pが1であり、Mが1,4−フェニレン基であり、Lが−COO−であり、Mが1,4−フェニレン基であり、Lが−OCO−であり、qが1であり、Mが1,4−フェニレン基であり、且つ、rが1であり、
    化合物C13において、式(1)中のZ及びZは同一であっても異なっていてもよく、それぞれ式:−L−S−Fで表わされる基であり、Fがアクリル基及びメタクリル基のうちのいずれかであり、Sが式:(CHCHO)z(zは2及び3のうちのいずれかである。)で表わされる基であり、Lが単結合であり、pが1であり、Mが1,4−フェニレン基であり、Lが単結合及びエステル基のいずれかであり、qが0であり、Mが1,4−フェニレン基であり、且つ、rが1であり、
    化合物C14において、式(1)中のZは式:−L−S−Fで表わされる基であり、Fがアクリル基及びメタクリル基のうちのいずれかであり、Sが単結合であり、Lが単結合であり、pが1であり、Mが1,4−フェニレン基であり、Lが単結合であり、qが0であり、Mが1,4−フェニレン基であり、Zが水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、炭素数1〜12のアルキル基及び炭素数1〜12のアルコキシ基の中から選択される1種であり、且つ、rが1であり、
    化合物C15において、式(1)中のZが式:−L−S−Fで表わされる基であり、Fがアクリル基及びメタクリル基のうちのいずれかであり、Sが炭素数1から12の直鎖アルキレン基であり、Lがエーテル基であり、pが1であり、Mが1,4−フェニレン基であり、Lが単結合であり、qが0であり、Mが1,4−フェニレン基であり、Zが水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、炭素数1〜12のアルキル基及び炭素数1〜12のアルコキシ基の中から選択される1種であり、且つ、rが1であり、
    化合物C16において、式(1)中のZが式:−L−S−Fで表わされる基であり、Fがアクリル基及びメタクリル基のうちのいずれかであり、Sが式:(CHCHO)z(zは2及び3のうちのいずれかである。)で表わされる基であり、Lが単結合であり、pが1であり、Mが1,4−フェニレン基であり、Lが単結合であり、qが0であり、Mが1,4−フェニレン基であり、Zが水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、炭素数1〜12のアルキル基及び炭素数1〜12のアルコキシ基の中から選択される1種であり、且つ、rが1であり、
    化合物C17において、式(1)中のZが式:−L−S−Fで表わされる基であり、Fがアクリル基及びメタクリル基のうちのいずれかであり、Sが炭素数1から12の直鎖アルキレン基であり、Lがエーテル基であり、pが1であり、Mが1,4−フェニレン基であり、Lが−COO−であり、qが0であり、Mが1,4−フェニレン基であり、Zが水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、炭素数1〜12のアルキル基及び炭素数1〜12のアルコキシ基の中から選択される1種であり、且つ、rが1である。]からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物であること、
    を特徴とする請求項1〜4のうちのいずれか一項に記載の偏光性フィルムの製造方法。
  6. 前記重合性組成物が第一の化合物と、同一条件で重合させた場合に前記第一の化合物よりも重合完了時間が長い第二の化合物とを含有し、且つ、前記第一及び第二の化合物の少なくとも一方が前記重合性化合物のうちの少なくとも1種を含有することを特徴とする請求項1〜5のうちのいずれか一項に記載の偏光性フィルムの製造方法。
  7. 前記第一の化合物が1以上の重合性官能基を有する化合物であり、且つ、該重合性官能基の数が前記第二の化合物の有する重合性官能基の数より1以上大きいことを特徴とする請求項6に記載の偏光性フィルムの製造方法。
  8. 前記第一の化合物が、下記一般式(1):
    p−M−L−(M−L)q−M−Zr (1)
    で表わされ且つ式中のZ、Z、M、M、M、L、L、p、q、rがそれぞれ以下に示すものである化合物C11〜C13[化合物C11において、式(1)中のZ及びZは同一であっても異なっていてもよく、それぞれ式:−L−S−Fで表わされる基であり、Fがアクリル基及びメタクリル基のうちのいずれかであり、Sが単結合及び炭素数1から12の直鎖アルキレン基のうちのいずれかであり、Lが単結合、エーテル基、エステル基及びカーボネート基のうちのいずれかであり、pが1であり、Mが1,4−フェニレン基であり、Lが単結合及び−COO−のうちのいずれかであり、qが0であり、Mが1,4−フェニレン基であり、且つ、rが1であり、
    化合物C12において、式(1)中のZ及びZは同一であっても異なっていてもよく、それぞれ式:−L−S−Fで表わされる基であり、Fがアクリル基及びメタクリル基のうちのいずれかであり、Sが単結合及び炭素数1から12の直鎖アルキレン基のうちのいずれかであり、Lが単結合、エーテル基、エステル基及びカーボネート基のうちのいずれかであり、pが1であり、Mが1,4−フェニレン基であり、Lが−COO−であり、Mが1,4−フェニレン基であり、Lが−OCO−であり、qが1であり、Mが1,4−フェニレン基であり、且つ、rが1であり、
    化合物C13において、式(1)中のZ及びZは同一であっても異なっていてもよく、それぞれ式:−L−S−Fで表わされる基であり、Fがアクリル基及びメタクリル基のうちのいずれかであり、Sが式:(CHCHO)z(zは2及び3のうちのいずれかである。)で表わされる基であり、Lが単結合であり、pが1であり、Mが1,4−フェニレン基であり、Lが単結合及びエステル基のいずれかであり、qが0であり、Mが1,4−フェニレン基であり、且つ、rが1である。]、下記一般式(2):
    (式中、Rが水素及びメチル基のうちのいずれかであり、xは2又は3である。)
    で表される化合物、及び、下記一般式(3):
    (式中、Rが水素及びメチル基のうちのいずれかであり、yは2から12の整数である。)
    で表される化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物であり、且つ、
    前記第二の化合物が、下記一般式(1):
    p−M−L−(M−L)q−M−Zr (1)
    で表わされ且つ式中のZ、Z、M、M、M、L、L、p、q、rがそれぞれ以下に示すものである化合物C14〜C17[化合物C14において、式(1)中のZは式:−L−S−Fで表わされる基であり、Fがアクリル基及びメタクリル基のうちのいずれかであり、Sが単結合であり、Lが単結合であり、pが1であり、Mが1,4−フェニレン基であり、Lが単結合であり、qが0であり、Mが1,4−フェニレン基であり、Zが水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、炭素数1〜12のアルキル基及び炭素数1〜12のアルコキシ基の中から選択される1種であり、且つ、rが1であり、
    化合物C15において、式(1)中のZが式:−L−S−Fで表わされる基であり、Fがアクリル基及びメタクリル基のうちのいずれかであり、Sが炭素数1から12の直鎖アルキレン基であり、Lがエーテル基であり、pが1であり、Mが1,4−フェニレン基であり、Lが単結合であり、qが0であり、Mが1,4−フェニレン基であり、Zが水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、炭素数1〜12のアルキル基及び炭素数1〜12のアルコキシ基の中から選択される1種であり、且つ、rが1であり、
    化合物C16において、式(1)中のZが式:−L−S−Fで表わされる基であり、Fがアクリル基及びメタクリル基のうちのいずれかであり、Sが式:(CHCHO)z(zは2及び3のうちのいずれかである。)で表わされる基であり、Lが単結合であり、pが1であり、Mが1,4−フェニレン基であり、Lが単結合であり、qが0であり、Mが1,4−フェニレン基であり、Zが水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、炭素数1〜12のアルキル基及び炭素数1〜12のアルコキシ基の中から選択される1種であり、且つ、rが1であり、
    化合物C17において、式(1)中のZが式:−L−S−Fで表わされる基であり、Fがアクリル基及びメタクリル基のうちのいずれかであり、Sが炭素数1から12の直鎖アルキレン基であり、Lがエーテル基であり、pが1であり、Mが1,4−フェニレン基であり、Lが−COO−であり、qが0であり、Mが1,4−フェニレン基であり、Zが水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、炭素数1〜12のアルキル基及び炭素数1〜12のアルコキシ基の中から選択される1種であり、且つ、rが1である。]からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物であることを特徴とする請求項6又は7に記載の偏光性フィルムの製造方法。
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