JP2015045478A - 熱搬送システム - Google Patents

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Takashi Yamashita
孝 山下
菊池 宏成
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Abstract

【課題】
比較的大型の熱源設備において、熱媒体の輸送における流動抵抗の減少と、熱交換部における熱交換効率の向上を両立させる。
【解決手段】
熱搬送システム10は、チラーまたは冷凍機21の熱交換器22で熱交換して温度低下した熱媒体を、需要元の利用側熱交換器31に送液する。利用側熱交換器と需要元の熱交換器とを結ぶ熱媒体のラインに配管抵抗可変手段43を設ける。それとともに、配管抵抗可変手段を利用側熱交換器の空調負荷に応じて制御する制御装置50を設けた。
【選択図】 図1

Description

熱源装置から空調設備に冷熱を輸送する熱搬送システムに関する。
従来、小規模の事業所の室内を冷暖房するために、屋外または別棟に室外機を、室内にパッケージ型の室内機を配置したパッケージ型空調機や、別室や別棟で発生した冷温水を室内に導き空調する空調システムが用いられている。さらに、大規模なビルや地域冷暖房システムでは、冷媒を介して外気と熱交換するパッケージ型空調機を用いずに、地下や別施設に設けた熱源と空調が必要な施設との間を配管で接続し、配管内に冷温水を流通させ、複数の部屋または大面積の会場を空調している。この大規模な空調においては、冷房の場合、熱源側で発生した冷温水を空調が必要な施設にポンプ等で導き、空調が必要な施設においてファン等で室内に送風して空調するいわゆるファンコイルユニット方式が多用されている。
ところで大規模な熱源設備では、熱源と空調が必要な施設との間の配管距離が数百メートルから数キロメートルに及ぶこともあり、配管内を流通する冷温水を搬送する動力が熱源システムの全消費動力の10〜30%程度を占め,無視できない割合になっている。したがって、大規模熱源設備における搬送動力の省エネルギー化が重要な課題になっており、いくつかの提案がなされている。
例えば、特許文献1に熱搬送システムが開示されている。この公報に記載の熱搬送システムでは、相変化蓄熱物質を用いることにより、搬送動力に対する搬送熱量の比である熱搬送効率を高め、ポンプの動力を低減している。具体的には、熱搬送物質は相変化蓄熱物質に高分子物質が添加された水性液体とし、相変化蓄熱物質は樹脂製被覆材内に収容された微小潜熱蓄熱マイクロカプセルの状態で構成している。そして蓄熱物質の相変化温度が、熱供給装置側の熱供給温度と熱利用装置側の熱放出温度との温度範囲内となるように設定している。一方、高分子物質に、ポリエチレンオキサイド等の界面活性剤としても使用可能な材料を、流動抵抗を低減させるために用いている。
熱搬送システムの流動抵抗を低減する他の方法が、特許文献2に記載されている。この公報に記載の流体移送装置では、液体や気体等の状態にかかわらずに、流体搬送時のエネルギー損失を低減するために、管路内を流れる流体を加圧して、加速と減速を繰り返し、流体を脈動させて移送している。つまり、脈動が生じていなければ乱流状態にある管路内の流体を、脈動させて摩擦抵抗を軽減し、少ないエネルギーで流体を搬送可能としている。
特開2003−262482号公報 国際公開第2009/044764号
上記特許文献1に記載の従来の熱搬送システムでは、界面活性剤にも使用可能なポリエチレンオキサイド等の高分子材料を熱搬送媒体に使用しているので、空調設備における熱搬送媒体の流動抵抗を低減することが期待できる。しかしながら、界面活性剤は流体の流動抵抗を減少させるのには効果があるものの、熱交換媒体としては水や冷媒に比べてその熱交換性能が必ずしも高くない。
また上記特許文献2に記載の流体移送装置では、輸送する流体に脈動を加えることにより流体の移送状態を層流方向に向かうようにして、乱流輸送時よりも抵抗の少ない輸送を可能としている。しかしながら、この流体移送装置では、輸送する流体の流動抵抗にのみ着目しているので、空調設備のような熱媒体を輸送するものに採用して熱交換効率の向上との両立を図ることについては十分には考慮されていない。すなわち、空調設備では、流体の輸送における流動抵抗の減少と、熱交換部における熱交換効率の向上の双方を実現する必要があるが、この点については十分には考慮されていない。
本発明は上記従来技術の不具合に鑑みなされたものであり、その目的は、比較的大型の熱源設備において、熱媒体の輸送における流動抵抗の減少と、熱交換部における熱交換効率の向上を両立させることにある。また、この流動抵抗の減少と熱交換効率の向上とを両立させながら、結露や配管詰まり等を生じない、安価なシステムにすることを他の目的とする。
上記目的を達成する本発明の特徴は、チラーまたは冷凍機の熱源側熱交換器で熱交換して温度低下した熱媒体を、需要元の利用側熱交換器に送液する熱搬送システムにおいて、前記熱源側熱交換器と前記利用側熱交換器とを結ぶ熱媒体のラインに流速を周期的に変動可能な流速可変手段と、この流速可変手段を制御する制御装置を設け、前記制御手段は、前記利用側熱交換器の空調負荷に応じて変化する熱媒体の流量に基づいて前記流速可変手段を制御し、これにより熱媒体の搬送時の配管抵抗を低減したことにある。
そしてこの特徴において、前記流速可変手段は、前記熱媒体のライン中に配置した周期的な流速変動を付与可能な回転数可変ポンプを含むものであってもよく、前記制御装置は、前記熱源側熱交換器と前記利用側熱交換器とを結ぶ熱媒体のラインを流れる熱媒体の流速を、前記利用側熱交換器の空調負荷に応じて制御するものでもよい。また、前記制御装置は、複数配置された前記流速可変手段の流速変動周期を同期させてもよく、複数の前記流速可変手段のそれぞれにこの流速可変手段が設けられた部位における配管内を流れる熱媒体の流速及びまたは流量を検出可能な計測手段を設け、前記制御装置は、各前記計測手段が検出した流量及びまたは流速に基づいて、複数配置された前記流速可変手段の流速変動周期を同期させるものでもよい。
上記特徴において、前記流速可変手段を前記熱媒体のライン中に複数配置し、前記制御装置は、複数配置された前記流速可変手段の流速変動周期を配管径に応じて変化させるものでもよく、複数配置された前記流速可変手段の流速変動周期を前記回転数可変ポンプの動力に応じて変化させるものでもよく、複数配置された前記流速可変手段の流速変動周期を前記熱媒体のライン内を流れる熱媒体の温度に応じて変化させるものでもよい。
また上記特徴において、前記熱媒体は、前記利用側熱交換器における温度範囲では潜熱を有し、かつ水よりも熱容量の大きい蓄冷材を含んでいるのが好ましく、水にパラフィンワックスなどの有機物を10〜40%程度混合した液であってもよく、パラフィンワックスなどの有機物を樹脂製被覆材で覆ったマイクロカプセルが、10〜40%程度水に混合された液でもよい。
本発明によれば、流速可変手段を需要元の熱交換器の空調負荷に応じて制御するので、比較的大型の熱源設備において、熱媒体の輸送における流動抵抗の減少と、熱交換部における熱交換効率の向上を両立できる。また、この流動抵抗の減少と熱交換効率の向上とを両立させながら、結露や配管詰まり等を生じない、安価なシステムを実現できる。
本発明に係る熱搬送システムの一実施例のブロック図である。 図1に示した熱搬送システムにおいて、利用側設備を複数有する場合の熱搬送システムのブロック図である。 流速可変手段を用いた場合の熱媒体の流速を説明するグラフである。
以下、本発明に係る熱搬送システムの一実施例を、図面を用いて説明する。図1は、熱搬送システム10のブロック図であり、図2は図1に示した熱搬送システムにおいて、利用側設備が複数個ある場合のブロック図である。また、図3は、流速可変手段43を用いた場合の熱媒体の流速変化の一例を示す図である。なお、以下の実施例の説明では、熱搬送として冷熱の搬送の場合に付いて説明するが、温熱の搬送の場合も同様に本発明を適用できる。
図1において、熱搬送システム10では、ヒートポンプチラー式のターボ冷凍機または吸収式冷凍機21を有する冷熱源設備20と、ファンコイルユニットからなる空調設備30の間を、冷水ライン47が接続している。より詳細には、冷熱源設備20は、冷凍機21と、この冷凍機21で発生した冷熱を搬送する冷媒と冷水ライン47内を流通する熱媒体とが熱交換する熱源側熱交換器22と、冷凍機21と熱源側熱交換器22とを接続する冷凍サイクル配管28と、冷凍サイクル配管28内を流れる冷媒流量を制御するため冷凍サイクル配管28に介在させた流量調整弁25とを有している。また、流量調整弁25を制御するために、冷凍機21には冷凍機制御装置21aが設けられている。さらに、冷凍サイクル配管28の冷凍機21の入口側には冷凍機入り口温度毛23が、冷凍サイクル配管28の冷凍機21の出口側には冷凍機出口温度計24がそれぞれ設けられている。
一方、空調設備30は、熱搬送媒体が内部を流通し周囲空気と熱交換する利用側熱交換器31と、この利用側熱交換器31に送風するためのファンと32、ファンを駆動するモータ33とを備えている。そして、周囲空気温度を計測するために周囲温度計65が空調設備30の近傍に設けられている。利用側熱交換器31で周囲空気と熱交換した熱交換量(空調負荷)を得るために、利用側熱交換器31の上流側には入口側冷水温度センサ64が、利用側熱交換器31の下流側には出口側冷水温度センサ63が設けられている。つまり、これら2つの温度センサ64、63が検出した温度の温度差と、利用側熱交換器31内を流通する熱媒体の流量との積が、空調負荷となる。
ここで本発明の特徴として、冷熱源設備20と空調設備30とを接続する冷水ライン47内を流通する熱媒体の流量を負荷に応じて変化させるとともに、この負荷に応じた流量をさらに脈動流として与えている。これは、冷熱源設備20と空調設備30とを接続する冷水ライン47内では、配管の内壁面と熱媒体との間の流動抵抗等により、流れが乱流化されるが、脈動流を与えることにより、層流化できるためである。
そのため、空調設備30で温められた熱媒体が冷熱源設備20は戻るための冷水ライン(戻り)46と、空調設備30で熱交換する低温の熱媒体が流通する冷水ライン(往き)46とからなる冷水ライン47には、流速可変手段43が設けられている。この流速可変手段43の上流側には、空調設備30の空調負荷に応じて冷水ライン47中を流通する熱媒体の流量を変化させる循環ポンプ41が、配置されている。ポンプ41は、インバータ48で駆動されるモータ42で回転速度可変に駆動される。すなわち、空調設備30の近傍に設けた冷水ライン47の入口側および出口側冷水温度センサ63、64の出力に応じて、インバータ48が制御信号線101を介して接続された制御装置50がポンプ41の回転数を制御する。ポンプ41は、空調設備30が必要とする熱媒体の平均流量を循環送液する。
ポンプ41の下流側に設けた流速可変手段43は、本実施例ではポンプであり、これもインバータ49で駆動されるモータ44により駆動される。インバータ49は、制御信号線102を介して制御装置50に接続されている。流速可変手段43は、冷水ライン47中を流通する熱媒体に脈動を付加する手段であり、脈動速度の時間平均はゼロになるように制御装置50が制御する。
更に、冷水戻りライン46の途中には、間隔をあけて2個の圧力計61、62が取り付けられており、圧力計61、62が取り付けられた区間での圧力低下(差圧)を計測する。圧力計61、62の出力は、センサ出力信号線111、112を通して、制御装置50に入力される。また、空調設備30の近傍であって冷水ライン47に取り付けた出口側冷水温度センサ63及び入口側冷水温度センサ64の出力は、センサ出力信号線113、114を通じて制御装置50に入力される。
図示しない熱媒体は、一般的には水を用い、水から氷及び氷から水になる際の相変化による潜熱を利用して、冷房する。潜熱を利用するさらに好適な方法としては、相変化の生じる温度が水よりも室温に近い水性流体中にパラフィンワックスなどの有機物を10〜40%程度混合した液を用いる方法がある。この有機物の水溶液では、液体から固化する温度または固体から液体に融解する融点を、5〜10℃程度の値に設定できるので、水などに比べ、少ない流量で多量の熱エネルギーを蓄えて搬送することができる。
さらに、パラフィンワックスなどの有機物からなる蓄熱材料を、メラミン樹脂やポリウレタン樹脂、ポリアクリル樹脂等で形成したマイクロカプセル内に収容し、このマイクロカプセルを10〜40重量%程度、水に安定分散させた液を使用すれば、搬送される熱エネルギーがより増大する。しかしながら、これらの水溶液や混合液で構成される熱媒体では、水に比べ粘度が上昇する。そのため本発明では、上述したように熱媒体に脈動を与えて、流動抵抗を減らしている。
次に図3を用いて、この様に構成した本実施例に係る熱搬送システム10における、熱媒体の流量制御について説明する。図3(a)は、ある特定場所のある夏の日における気温変化のグラフである。真夜中の0時から、次の日の真夜中の0時までの気温を、1時間毎に測定した気温変化曲線121である。最大気温が34℃で、夜間の最低気温が27℃程度である。この条件では、昼夜連続して冷房する必要があるとして、上記熱搬送システム10を冷房手段として用いる。
図3(b)に、熱搬送システム10の冷水ライン47内を流通する熱媒体の流速変化をグラフで示す。横軸は、図3(a)と同じ1日の時刻であり、縦軸は流速v(m/s)である。曲線122は、冷水ライン47に取り付けた出口側冷水温度センサ63及び入口側冷水温度センサ64の検出値に基づいて制御装置50が求めた、空調設備30が必要とする熱媒体の平均流量から算出した流速である。この流速は、上述したようにポンプ41により達成される。
一方、冷水ライン47を流通する熱媒体の流動抵抗を減少させるために、流速可変手段43が冷水ライン47中の熱媒体を脈動させる。熱媒体の脈動パターンが速度変動曲線123,124である。なお、図3(b)において、速度変動曲線123,124の横軸の大きさは共通の時間軸であるが、曲線122の横軸とはスケールが違っている。速度変動曲線123,124では、脈動を明確にするため、時間軸及び変動幅の双方を誇張して表示している。さらに、気温が比較的低い夜間では、脈動の周期L及び脈動幅Δvを昼間時の周期L及び脈動幅Δvより小さくする。すなわち、空調負荷が大きい場合には周期及び脈動幅を大きくし、空調負荷が小さい場合には周期及び脈動幅の双方を小さくする。その際、冷水ライン47に設けた2個の圧力計61、62の検出する差圧ができるだけ少なくなるように、脈動流の周期及び脈動幅の双方を制御装置50が制御する。
したがって、制御装置はインバータ48及びインバータ49を制御することにより、曲線122に曲線123、124が重畳した熱媒体の流速変化を発生させる。なお本実施例では、日中の温度変化に応じた熱媒体の流速制御について説明したが、季節変動についても同様であり、空調負荷による流速変化と流速変化に応じた脈動流の重畳により、最適な熱媒体の流速制御が可能になる。
次に、上記実施例の他の実施例を、図2を用いて説明する。図2は、熱搬送システム10のブロック図であり、1台の熱源側熱交換器に複数台の利用側熱交換器31a〜31cが冷水ライン45a〜45c、46a〜46cを介して接続されている様子を示す図である。
冷水ライン45a〜45c、46a〜46cは、利用側熱交換器31a〜31cに応じて循環ポンプ41の下流側で3系統に分岐している。分岐した各冷水ライン45a〜45cには、圧力計61a〜61c、62a〜62cが取り付けられており、分岐した各冷水ライン45a、46a;45b、46b;45c、46cの圧力降下を検出する。これらの圧力計61a〜61c、62a〜62cの出力は、センサ出力信号線112aから12cを介して、制御装置50に入力される。
利用側熱交換器31a〜31cの近傍であって分岐した各冷水ライン45a〜45c、46a〜46cには、入口側温度センサ64a〜64cおよび出口側温度センサ63a〜63cが取り付けられている。利用側熱交換器31a〜31cの近傍には、周囲空気温度を計測する温度計65a〜65cが配置されている。なお、利用側熱交換器31a〜31cに対向して、ファン32a〜32cが設けられ、空調設備30a〜30cを構成している。
圧力計62a〜62cの下流側には、本発明に係る流速可変手段43a〜43cが設けられている。この流速可変手段43a〜43cは、上述の実施例のものと同様のものを使用している。すなわち、流速可変手段43a〜43cは、インバータ49a〜49cで駆動されるモータ44a〜44cにより回転速度可変である。インバータ49a〜49cには、制御信号線102a〜102cを介して制御装置50から制御信号が出力される。制御装置50は、センサ出力信号線115cを介して入力された入口側温度センサ64a〜64cおよび出口側温度センサ63a〜63cの出力に基づいて、対をなす圧力計61a、62a;61b、62b;61c、62cの差圧が少なくなるようにインバータ49a〜49cを制御する。その際、冷水ライン45a〜45c、46a〜46cを流れる熱媒体に脈動流が生じる流れパターンとなるように、インバータ49a〜49cを制御する。
本実施例においては、分岐した各冷水ラインに流れパターンを変化させることができ、各冷水ラインに接続した利用側熱交換器の空調負荷に応じた熱媒体の流量とすることが可能になる。これにより、熱媒体の流動抵抗を減少して、熱媒体の搬送動力を低減できるとともに、空調設備ごとの最適な空調を実現できる。
なお上記各実施例においては、熱媒体を搬送する冷水ライン中に流速可変手段を複数配置し、制御装置が、複数配置された流速可変手段の流速変動周期を、配管径に応じて変化させるようにしてもよい。また、制御装置が、複数配置された流速可変手段の流速変動周期を、流速可変手段であるポンプの動力に応じて変化させてもよいし、複数配置された流速間手段の流速変動周期を冷水ライン内を流れる熱媒体の温度に応じて変化させてもよい。なお、熱媒体は、利用側熱交換器における温度範囲では潜熱を有し、かつ水よりも熱容量の大きい蓄冷材を含んでいることが望ましい。
上記各実施例においては、熱搬送システムの流速可変手段としてインバータ駆動モータ付ポンプを用いているが、流速可変手段はこれに限るものではなく、上記循環ポンプと流速可変手段の機能を持つ1台のポンプとしてもよい。また、例えばポンプの下流側に流量調整バルブを設け、この流量調整バルブの開度を変化させるようにすることもできる。この場合ポンプの駆動制御が容易になる。
上記各実施例においては、流速可変のパターンとしてサイン曲線のパターンを示しているが、流速可変パターンはサイン曲線に限るものではなく、のこぎり歯形状や台形形状等種々のパターンを利用できる。なお、いずれのパターンを使用した場合においても、配管長が長くなると管壁との摩擦等により次第にパターンが崩れて時間平均化されていくので、配管長が長い場合には、距離を隔てた複数個所に同期して作動する流速可変手段を設けることが好ましい。
さらに上記各実施例においては、熱媒体として水等の水性流体または水性流体中にパラフィンワックスなどの有機物を10〜40%程度混合した液や、パラフィンワックスなどの有機物をマイクロカプセル化して、10〜40%程度水性流体中に混合した液を用いている。これにより、潜熱による冷熱の発生を促進しているが、さらなる冷熱の発生の促進と、夜間電力等の有効活用のために、冷水ラインの中間に蓄冷槽を設けるようにしてもよい。すなわち、上記図3に示すように夜間時の冷房負荷は昼間時に比べて大幅に低下するので、この夜間時に例えば氷を作成して蓄冷槽に蓄え、昼間時の冷房負荷が大きいときに蓄冷を利用するようにする。これにより、冷凍機の大型化を回避できる。
10…熱搬送システム、20…冷熱源設備、21…冷凍機(ヒートポンプ式チラー)、21a…冷凍機制御装置、22…熱源側熱交換器、23…冷凍機入口温度計、24…冷凍機出口温度計、25…流量調整弁、28…冷凍サイクル配管、30…空調設備、31…利用側熱交換器、32…ファン、33…モータ、41…(循環)ポンプ、42…モータ、43…流速可変手段または配管抵抗可変手段(ポンプ)、44…モータ、45…冷水ライン(往き)、46…冷水ライン(戻り)、47…冷水ライン、48、49…インバータ、50…制御装置、61、62…圧力計、63…出口側冷水温度センサ、64…入口側冷水温度センサ、101、102…制御信号線、111〜114…センサ出力信号線、121…気温変化曲線、122…平均速度変化曲線、123、124…速度変動成分曲線、L、L…波長、Δv、Δv…速度変動成分。

Claims (11)

  1. チラーまたは冷凍機の熱源側熱交換器で熱交換して温度低下した熱媒体を、需要元の利用側熱交換器に送液する熱搬送システムにおいて、
    前記熱源側熱交換器と前記利用側熱交換器とを結ぶ熱媒体のラインに流速を周期的に変動可能な流速可変手段と、この流速可変手段を制御する制御装置を設け、前記制御手段は、前記利用側熱交換器の空調負荷に応じて変化する熱媒体の流量に基づいて前記流速可変手段を制御し、これにより熱媒体の搬送時の配管抵抗を低減したことを特徴とする熱搬送システム。
  2. 前記流速可変手段は、前記熱媒体のライン中に配置した周期的な流速変動を付与可能な回転数可変ポンプを含むことを特徴とする請求項1に記載の熱搬送システム。
  3. 前記制御装置は、前記熱源側熱交換器と前記利用側熱交換器とを結ぶ熱媒体のラインを流れる熱媒体の流速を、前記利用側熱交換器の空調負荷に応じて制御することを特徴とする請求項1に記載の熱搬送システム。
  4. 前記流速可変手段を前記熱媒体のライン中に複数配置し、前記制御装置は、複数配置された前記流速可変手段の流速変動周期を同期させることを特徴とする請求項2に記載の熱搬送システム。
  5. 複数の前記流速可変手段のそれぞれにこの流速可変手段が設けられた部位における配管内を流れる熱媒体の流量及び/または流速を検出可能な計測手段を設け、前記制御装置は、各前記計測手段が検出した流量及び/または流速に基づいて、複数配置された前記流速可変手段の流速変動周期を同期させることを特徴とする請求項4に記載の熱搬送システム。
  6. 前記流速可変手段を前記熱媒体のライン中に複数配置し、前記制御装置は、複数配置された前記流速可変手段の流速変動周期を配管径に応じて変化させることを特徴とする請求項1に記載の熱搬送システム。
  7. 前記流速可変手段を前記熱媒体のライン中に複数配置し、前記制御装置は、複数配置された前記流速可変手段の流速変動周期を前記回転数可変ポンプの動力に応じて変化させることを特徴とする請求項2に記載の熱搬送システム。
  8. 前記流速可変手段を前記熱媒体のライン中に複数配置し、前記制御装置は、複数配置された前記流速可変手段の流速変動周期を前記熱媒体のライン内を流れる熱媒体の温度に応じて変化させることを特徴とする請求項1に記載の熱搬送システム。
  9. 前記熱媒体は、前記利用側熱交換器における温度範囲では潜熱を有し、かつ水よりも熱容量の大きい蓄冷材を含んでいることを特徴とする請求項1に記載の熱搬送システム。
  10. 前記熱媒体は水にパラフィンワックスなどの有機物を10〜40%程度混合した液からなる蓄冷材であることを特徴とする請求項1または2に記載の熱搬送システム。
  11. 前記熱媒体は、パラフィンワックスなどの有機物を樹脂製被覆材で覆ったマイクロカプセルが、10〜40%程度水に混合された液からなる蓄冷材であることを特徴とする請求項10に記載の熱搬送システム。
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