JP2015044523A - 自動車の車体構造 - Google Patents
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Abstract
【課題】 前面衝突の衝突荷重がフロントサイドフレームを介してダッシュパネルロアに入力したとき、ダッシュパネルロアの破壊を最小限に抑える。【解決手段】 金属製のフロントサイドフレーム19は前後方向に延びる本体部19aの後部に後下方に延びる取付部19bを備えるとともに、CFRP製のダッシュパネルロア15の下部はCFRP製のフロアパネル12の前端から前上方に延びる傾斜壁部17を備え、フロントサイドフレーム19の取付部19bをダッシュパネルロア15の傾斜壁部17に固定したので、自動車の前面衝突によりフロントサイドフレーム19に衝突荷重が入力したとき、その衝突荷重をフロアパネル12に効率的に伝達して吸収することでダッシュパネルロア15の破壊を最小限に抑えることができ、しかもダッシュパネルロア15に対する衝突荷重の入力位置を下方に移動させて該ダッシュパネルロア15の後方への倒れを防止することができる。【選択図】 図2
Description
本発明は、エンジンルームの後方において上下方向に配置されたダッシュパネルロアと、前記ダッシュパネルロアの下端から後方に延びるフロアパネルとをCFRPで形成し、前記ダッシュパネルロアの前面に金属製のフロントサイドフレームの後部を固定した自動車の車体構造に関する。
フロントサイドフレームの後端を車幅方向に二股に分岐させてセンタートンネルの前端およびフロントピラーロアの前端に接続することで、フロントサイドフレームに入力した衝突荷重をセンタートンネルおよびフロントピラーロアに分散してダッシュパネルの破壊を防止するものが、下記特許文献1および下記特許文献2により公知である。
ところで、上記特許文献1および上記特許文献2に記載されたものは、フロントサイドフレームの後端をセンタートンネルおよびフロントピラーロアの前端に接続する二股の分岐部は、フロントサイドフレームに入力した衝突荷重をセンタートンネルおよびフロントピラーロアに確実に伝達するために大きな寸法および強度が必要であり、その分だけ車体重量が増加する問題があった。
本発明は前述の事情に鑑みてなされたもので、前面衝突の衝突荷重がフロントサイドフレームを介してダッシュパネルロアに入力したとき、ダッシュパネルロアの破壊を最小限に抑えることを目的とする。
上記目的を達成するために、請求項1に記載された発明によれば、エンジンルームの後方において上下方向に配置されたダッシュパネルロアと、前記ダッシュパネルロアの下端から後方に延びるフロアパネルとをCFRPで形成し、前記ダッシュパネルロアの前面に金属製のフロントサイドフレームの後部を固定した自動車の車体構造であって、前記フロントサイドフレームは前後方向に延びる本体部の後端から後下方に延びる取付部を備えるとともに、前記ダッシュパネルロアの下部は前記フロアパネルの前端から前上方に延びる傾斜壁部を備え、前記取付部を前記傾斜壁部に固定したことを特徴とする自動車の車体構造が提案される。
また請求項2に記載された発明によれば、請求項1の構成に加えて、前記フロントサイドフレームの前記本体部および前記取付部は、前記傾斜壁部よりも前方に位置する屈曲部において屈曲することを特徴とする自動車の車体構造が提案される。
また請求項3に記載された発明によれば、請求項1または請求項2の構成に加えて、前記取付部および前記傾斜壁部は締結手段により固定され、前記締結手段は前記フロントサイドフレームに所定値以上の衝突荷重が入力したときに締結解除することを特徴とする自動車の車体構造が提案される。
また請求項4に記載された発明によれば、請求項3の構成に加えて、前記締結手段は、前記取付部を前記傾斜壁部に前記エンジンルーム側から固定することを特徴とする自動車の車体構造が提案される。
また請求項5に記載された発明によれば、請求項1〜請求項4の何れか1項の構成に加えて、前記フロントサイドフレームは金属パイプからなり、前記本体部の後部から前記取付部に向かって次第に高さが減少するように押し潰され、前記取付部において板状断面となることを特徴とする自動車の車体構造が提案される。
また請求項6に記載された発明によれば、請求項1〜請求項4の何れか1項の構成に加えて、前記フロントサイドフレームの前記本体部は上部フランジおよび下部フランジを上下方向に延びるウエブで接続したI字状断面を有しており、前記ウエブは前記本体部の後部において前記取付部に向かって次第に高さが減少し、前記取付部において前記上部フランジおよび前記下部フランジが一体化して板状断面となることを特徴とする自動車の車体構造が提案される。
請求項1の構成によれば、エンジンルームの後方において上下方向に配置されたダッシュパネルロアと、ダッシュパネルロアの下端から後方に延びるフロアパネルとをCFRPで形成し、ダッシュパネルロアの前面に金属製のフロントサイドフレームの後部を固定する。フロントサイドフレームは前後方向に延びる本体部の後端から後下方に延びる取付部を備えるとともに、ダッシュパネルロアの下部はフロアパネルの前端から前上方に延びる傾斜壁部を備え、取付部を傾斜壁部に固定したので、自動車の前面衝突によりフロントサイドフレームに衝突荷重が入力したとき、その衝突荷重をフロアパネルに効率的に伝達して吸収することでダッシュパネルロアの破壊を最小限に抑えることができ、しかもダッシュパネルロアに対する衝突荷重の入力位置を下方に移動させて該ダッシュパネルロアの後方への倒れを防止することができる。
また請求項2の構成によれば、フロントサイドフレームの本体部および取付部は、傾斜壁部よりも前方に位置する屈曲部において屈曲するので、フロントサイドフレームに衝突荷重が入力したときに、フロントサイドフレームを屈曲部において折り曲げることで、フロントサイドフレームの後端が車室内に侵入するのを防止することができる。
また請求項3の構成によれば、取付部および傾斜壁部は締結手段により固定され、締結手段はフロントサイドフレームに所定値以上の衝突荷重が入力したときに締結解除するので、フロントサイドフレームに衝突荷重が入力したときに、取付部を傾斜壁部から分離してフロントサイドフレームを落下させることで、ダッシュパネルロアの破壊を一層確実に防止することができる。
また請求項4の構成によれば、締結手段は、取付部を傾斜壁部にエンジンルーム側から固定するので、エンジンルームに搭載したエンジン等が邪魔にならず、エンジン等の下方から後上方に向かって締結手段を操作することが可能になって作業性が向上する。
また請求項5の構成によれば、フロントサイドフレームは金属パイプからなり、本体部の後部から取付部に向かって次第に高さが減少するように押し潰され、取付部において板状断面となるので、金属パイプを利用してフロントサイドフレームを安価に製造できるだけでなく、取付部が板状となるので傾斜壁部への固定が容易になる。
また請求項6の構成によれば、フロントサイドフレームの本体部は上部フランジおよび下部フランジを上下方向に延びるウエブで接続したI字状断面を有しており、ウエブは本体部の後部において取付部に向かって次第に高さが減少し、取付部において上部フランジおよび下部フランジが一体化して板状断面となるので、軽量でありながら高強度のフロントサイドフレームが得られるだけでなく、取付部が板状となるので傾斜壁部への固定が容易になる。
以下、図1〜図3に基づいて本発明の第1の実施の形態を説明する。尚、本明細書において、前後方向、左右方向(車幅方向)および上下方向とは、運転席に着座した乗員を基準として定義される。
図1〜図3に示すように、自動車の車体はCFRP(カーボン繊維強化樹脂)で一体に構成したキャビン11を備える。キャビン11は、フロアパネル12の左右両側部に沿って前後方向に延びる左右一対のサイドシル13,13と、左右のサイドシル13,13の前端から起立する左右一対のフロントピラーロア14,14と、フロアパネル12の前端から起立して左右のフロントピラーロア14,14の前端に接続するダッシュパネルロア15とを備える。ダッシュパネルロア15は、鉛直に起立する上側の鉛直壁部16と、鉛直壁部16の下端から後下方に斜めに傾斜してフロアパネル12の前端に連なる下側の傾斜壁部17とで構成される。
ダッシュパネルロア15の傾斜壁部17の前面(下面)に固定されるフロントサイドフレーム19,19は、鉄あるいはアルミニウム等の金属パイプよりなる前側の本体部19aと、本体部19aの後方に連なる後側の取付部19bとからなる。本体部19aは、基本的に上壁a、下壁bおよび左右一対の側壁c,cよりなる矩形状の一定中空断面を有しているが、その後部は上下方向に押し潰されて次第に高さを減じながら車幅方向の幅が増加し、取付部19bでは上壁aおよび下壁bが密着して1枚に重なった板状の中実断面となる。水平方向に延びる本体部19aの後端と、ダッシュパネルロア15の傾斜壁部17から前上方に延びる取付部19bの前端とは、屈曲部19cにおいて鈍角で接続している。
キャビン11のフロアパネル12およびダッシュパネルロア15は、車体外側に位置するアウタースキン20と、車体内側に位置するインナースキン21とを接合フランジ20a,21aで接合して中空に構成され、アウタースキン20およびインナースキン21間に挟まれるように波板状のコア材22が配置される。
ダッシュパネルロア15の傾斜壁部17のアウタースキン20およびインナースキン21間には6個のナット23…が埋設されており、フロントサイドフレーム19の取付部19bを後上方に向かって貫通する6本のボルト24…を6個のナット25…に螺合することで、フロントサイドフレーム19の取付部19bがダッシュパネルロア15の傾斜壁部17に締結される。
次に、上記構成を備えた本発明の実施の形態の作用を説明する。
車両の前面衝突によりフロントサイドフレーム19の本体部19aに入力した後向きの衝突荷重は、本体部19aから後下方に屈曲する取付部19bを介してダッシュパネルロア15の傾斜壁部17に伝達され、そこからフロアパネル12に伝達される。このとき、仮にフロントサイドフレーム19が傾斜した取付部19bを備えておらず、本体部19aの後端がダッシュパネルロア15の鉛直壁部16に固定されているとすると、衝突荷重が直接入力する鉛直壁部16が容易に破壊するだけでなく、衝突荷重の入力位置がフロアパネル12の前端およびダッシュパネルロア15の下端の接続部から上方に大きく離れているため、大きな曲げモーメントが作用してダッシュパネルロア15が容易に後方に倒れてしまう問題がある。
しかしながら、本実施の形態によれば、フロントサイドフレーム19の本体部19aに入力した衝突荷重が、後下方に屈曲する取付部19bを介して下方のフロアパネル12に効率的に伝達されるため、ダッシュパネルロア15の鉛直壁部16に大きな衝突荷重が直接入力して破壊する事態を回避できるだけでなく、衝突荷重をフロアパネル12に分散して吸収することができる。しかも衝突荷重がフロアパネル12に近いダッシュパネルロア15の下部の傾斜壁部17に入力するため、ダッシュパネルロア15を後方に倒そうとする曲げモーメントが小さくなり、ダッシュパネルロア15の後方への倒れを防止することができる。またフロントサイドフレーム19の本体部19aおよび取付部19bは屈曲部19cにおいて屈曲しているため、図2に鎖線で示すように、衝突荷重により屈曲部19cが折れ曲がることで、フロントサイドフレーム19の後端が車室内に侵入するのを防止することができる。
またフロントサイドフレーム19の取付部19bは本体部19aの後端から後下方に傾斜しているので、本体部19aをボルト24…でダッシュパネルロア15の傾斜壁部17に締結するとき、エンジンルーム18の下方の空間から工具を操作することで、エンジンルーム18に搭載したエンジン等が邪魔にならず、作業性が向上する。仮に、直線状のフロントサイドフレーム19の後端をダッシュパネルロア15の鉛直壁部16に前方からボルト24…で締結しようとすると、フロントサイドフレーム19からエンジン等を取り外さないと作業が行えず、フロントサイドフレーム19にエンジン等を予め搭載したモジュールを一括してダッシュパネルロア15に取り付けることが不能になり、作業性が低下する可能性がある。
またフロントサイドフレーム19は金属パイプからなり、本体部19aの後部から取付部19bに向かって次第に高さが減少するように押し潰され、取付部19bにおいて板状断面となるので、金属パイプを利用してフロントサイドフレーム19を安価に製造できるだけでなく、取付部19bが板状となるので傾斜壁部17への固定が容易になる。
次に、図4に基づいて本発明の第2の実施の形態を説明する。
第2の実施の形態は、フロントサイドフレーム19の取付部19bの構造に特徴を有するもので、ボルト24…が貫通する取付部19bの各ボルト孔19gが、ボルト24の軸部よりも僅かに大きい小径部と、ボルト24の頭部よりも僅かに大きい大径部とが連続するダルマ状に形成されており、ボルト24はボルト孔19gの小径部を貫通した状態でナット23に螺合し、この状態で大径部は小径部よりも前方側に位置している。
従って、衝突荷重の入力によりフロントサイドフレーム19が後退し、フロントサイドフレーム19の取付部19bがダッシュパネルロア15の傾斜壁部17に沿って後方にスライドすると、ボルト孔19gの大径部がボルト24の頭部に対向することで、取付部19bが傾斜壁部17から脱落してフロントサイドフレーム19が落下する。これにより、衝突荷重に入力時に衝撃吸収ストロークを確保しながらフロントサイドフレーム19の後端が車室内に侵入するのを一層確実に防止することができる。
次に、図5に基づいて本発明の第3の実施の形態を説明する。
第1の実施の形態のフロントサイドフレーム19の本体部19aは金属パイプ製であるが、第3の実施の形態のフロントサイドフレーム19はアルミニウム鋳造製であり、本体部19aは上部フランジ19dおよび下部フランジ19eを上下方向に延びるウエブ19fで接続したI字状断面を有している。本体部19aの後部から取付部19bに向かってウエブ19fは次第に高さを減じ、取付部19bにおいて上部フランジ19dおよび下部フランジ19eは一体に接続して板状断面となる。取付部19bの車幅方向の幅が本体部19aの車幅方向の幅に対して拡大しているのは、第1の実施の形態と同様である。
本実施の形態によっても、第1の実施の形態と同様に、軽量でありながら高強度のフロントサイドフレーム19が得られるだけでなく、取付部19bが板状となるので傾斜壁部17への固定が容易になる。
以上、本発明の実施の形態を説明したが、本発明はその要旨を逸脱しない範囲で種々の設計変更を行うことが可能である。
例えば、本発明の締結手段は実施の形態のボルト24に限定されず、リベット等の他種の締結手段であっても良い。
また実施の形態ではアウタースキン20およびインナースキン21間に挟まれる波板状のコア材22は、波板の稜線が車幅方向に沿うように配置されているが、それを荷重伝達方向である前後方向に沿うように配置しても良く、これによりフロアパネル12への荷重伝達効率を更に高めることができる。
12 フロアパネル
15 ダッシュパネルロア
17 傾斜壁部
18 エンジンルーム
19 フロントサイドフレーム
19a 本体部
19b 取付部
19c 屈曲部
19d 上部フランジ
19e 下部フランジ
19f ウエブ
24 ボルト(締結手段)
15 ダッシュパネルロア
17 傾斜壁部
18 エンジンルーム
19 フロントサイドフレーム
19a 本体部
19b 取付部
19c 屈曲部
19d 上部フランジ
19e 下部フランジ
19f ウエブ
24 ボルト(締結手段)
Claims (6)
- エンジンルーム(18)の後方において上下方向に配置されたダッシュパネルロア(15)と、前記ダッシュパネルロア(15)の下端から後方に延びるフロアパネル(12)とをCFRPで形成し、前記ダッシュパネルロア(15)の前面に金属製のフロントサイドフレーム(19)の後部を固定した自動車の車体構造であって、
前記フロントサイドフレーム(19)は前後方向に延びる本体部(19a)の後端から後下方に延びる取付部(19b)を備えるとともに、前記ダッシュパネルロア(15)の下部は前記フロアパネル(12)の前端から前上方に延びる傾斜壁部(17)を備え、前記取付部(19b)を前記傾斜壁部(17)に固定したことを特徴とする自動車の車体構造。 - 前記フロントサイドフレーム(19)の前記本体部(19a)および前記取付部(19b)は、前記傾斜壁部(17)よりも前方に位置する屈曲部(19c)において屈曲することを特徴とする、請求項1に記載の自動車の車体構造。
- 前記取付部(19b)および前記傾斜壁部(17)は締結手段(24)により固定され、前記締結手段(24)は前記フロントサイドフレーム(19)に所定値以上の衝突荷重が入力したときに締結解除することを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の自動車の車体構造。
- 前記締結手段(24)は、前記取付部(19b)を前記傾斜壁部(17)に前記エンジンルーム(18)側から固定することを特徴とする、請求項3に記載の自動車の車体構造。
- 前記フロントサイドフレーム(19)は金属パイプからなり、前記本体部(19a)の後部から前記取付部(19b)に向かって次第に高さが減少するように押し潰され、前記取付部(19b)において板状断面となることを特徴とする、請求項1〜請求項4の何れか1項に記載の自動車の車体構造。
- 前記フロントサイドフレーム(19)の前記本体部(19a)は上部フランジ(19d)および下部フランジ(19e)を上下方向に延びるウエブ(19f)で接続したI字状断面を有しており、前記ウエブ(19f)は前記本体部(19a)の後部において前記取付部(19b)に向かって次第に高さが減少し、前記取付部(19b)において前記上部フランジ(19d)および前記下部フランジ(19e)が一体化して板状断面となることを特徴とする、請求項1〜請求項4の何れか1項に記載の自動車の車体構造。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2013177829A JP2015044523A (ja) | 2013-08-29 | 2013-08-29 | 自動車の車体構造 |
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2017193213A (ja) * | 2016-04-19 | 2017-10-26 | 本田技研工業株式会社 | 自動車の車体構造 |
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- 2013-08-29 JP JP2013177829A patent/JP2015044523A/ja active Pending
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