JP2015043669A - 電動車両のモータ制振制御装置 - Google Patents

電動車両のモータ制振制御装置 Download PDF

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彰 澤田
伊藤 健
Takeshi Ito
健 伊藤
中島 孝
Takashi Nakajima
孝 中島
雄史 勝又
Yushi Katsumata
雄史 勝又
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Abstract

【課題】パークロック解除時の振動を低減する。
【解決手段】制御ブロック48は、減算器47の出力値、すなわち、第2のトルク目標値の第1項から第2のトルク目標値の第2項を減算した値に対してフィルタ処理を施すことにより、第2のトルク目標値を出力する。ここで、制御ブロック48における伝達特性Gz(s)の周波数特性を、車輪の非ロック状態の時に比べてパークロック状態の解除時には、減衰量が小さい周波数特性とする。
【選択図】図4

Description

本発明は、電動車両のモータ制振制御装置に関する。
ねじり振動特性をGp(s)と同定した場合に、モータの回転速度に対して、H(s)/Gp(s)なる伝達特性のフィルタを介してトルク指令値を調整する制御装置が知られている。この制御装置において、車両伝達特性が同定モデルGp(s)から乖離した場合や、回転速度外乱が発生した場合に、H(s)/Gp(s)の共振特性の影響により、出力トルクに振動(以下、1/Gp(s)振動と呼ぶ)が発生する可能性がある。
上記問題を解決するため、特許文献1に記載の電動車両の制御装置では、モータの回転速度に対してトルク指令値を調整するフィルタとして、2次式の分子と2次式の分母とで構成される伝達特性からなるGz(s)フィルタを用いている。Gz(s)フィルタの伝達特性は、車両同定モデルGp(s)の分子の2次式を分子とするとともに、車両同定モデルGp(s)の分子から演算される減衰係数ζzよりも大きく、かつ、1以下に設定された減衰係数ζcを有する2次式を分母としている。このような構成のGz(s)フィルタを用いることにより、車両伝達特性が車両同定モデルから乖離した場合や、回転速度外乱が入力された場合でも、制振効果を図りつつ、1/Gp(s)振動を抑制することができる。
特開2010−288332号公報
ここで、登坂路において、パーキングレンジ(以下、Pレンジと呼ぶ)に設定してフットブレーキまたはパーキングブレーキをかけずに停車した場合、Pレンジに設定したことにより、車輪をロックするパークロック機構が作動し、ブレーキをかけなくても停車状態を維持することができる。ただし、この状態では車輪が固定されていないため、ドライブシャフトは、勾配に応じて所定量捻れた状態となっている。このような停車状態から車両を発進させる場合、ブレーキを踏んでPレンジを解除する必要があるが、Pレンジの解除に伴ってパークロック機構が解除される(パークロック機構の解除のことを、以下ではパークロック解除と呼ぶ)。これにより、ドライブシャフトに蓄積されていた捻りが開放されるので、ガクガク振動を引き起こすこととなり、乗員は予期しないショックを感じる。以下では、このショックのことをパークロック解除ショックと呼ぶ。
上記パークロック解除ショックが発生するシーンにおいて、特許文献1に記載のGz(s)フィルタを単純に適用すると、制振制御によってパークロック解除ショックは小さくなるが、それ以外の外乱(例えば、路面からの振動)が入力されていないため、制振制御後にわずかに残ったガクガク振動が目立ってしまい、パークロック解除ショックが大きくなってしまう。
本発明は、パークロック解除時の振動を低減する技術を提供することを目的とする。
本発明による電動車両のモータ制振制御装置は、第1のトルク目標値を設定するトルク目標値設定手段と、モータへのトルク指令値を演算するトルク指令値演算手段と、トルク指令値に対して、バンドパスフィルタの特性を有する伝達特性からなる第1のフィルタ処理を施すことにより、第2のトルク目標値の第1項を演算する第1項演算手段と、モータ回転速度に対して、バンドパスフィルタの特性を有する伝達特性と、車両へのトルク入力に対するモータ回転速度の伝達特性を有する車両同定モデルとからなる第2のフィルタ処理を施すことにより、第2のトルク目標値の第2項を演算する第2項演算手段とを備える。電動車両のモータ制振制御装置はさらに、第2のトルク目標値の第1項から第2のトルク目標値の第2項を減算する減算手段と、減算手段による減算結果に対して第3のフィルタ処理を施すことにより、第2のトルク目標値を出力するフィルタ手段と、車輪を回転ロックしたパークロック状態の解除の有無を判定するパークロック解除判定手段と、パークロック状態の解除時には、第3のフィルタ処理で用いるフィルタの周波数特性を、車輪の非ロック状態の時に第3のフィルタ処理で用いるフィルタの周波数特性に比べて減衰量が小さい周波数特性へと切り替える切り替え手段とを備える。トルク指令値演算手段は、第1のトルク目標値と第2のトルク目標値とに基づいて、トルク指令値を演算する。
本発明によれば、パークロック状態の解除時には、制振制御処理で用いるフィルタの周波数特性を、車輪の非ロック状態の時に制振制御処理で用いるフィルタの周波数特性に比べて減衰量が小さい周波数特性を用いるので、パークロック解除時に発生する振動の振動周波数付近で制振制御の応答性を上げることができ、パークロック解除時の振動を低減することができる。
図1は、一実施の形態における電動車両のモータ制振制御装置を備えた電気自動車の主要構成を示すブロック図である。 図2は、電動モータコントローラによって行われるモータ電流制御の処理の流れを示すフローチャートである。 図3は、アクセル開度−トルクテーブルを示す図である。 図4は、図2のステップS203で行う制振制御演算処理を実現するための制御ブロック図である。 図5は、車両のトルク伝達系をモデル化した図である。 図6は、一実施の形態における電動車両のモータ制振制御装置によって行われる処理の流れを示すフローチャートである。 図7は、路面の勾配θと減衰係数ζとの関係を定めたマップの一例である。 図8は、緩やかな勾配の路面に駐車した状態でパークロック機構を解除した場合の制御結果を示す図である。 図9は、勾配θが所定値θ1より大きい急勾配の路面に駐車した状態でパークロック機構を解除した場合の制御結果を示す図である。 図10は、緩やかな勾配の路面の場合の周波数解析結果として、モータ回転速度ωmから最終トルク目標値T*までの伝達特性のボーデ線図である。 図11は、急勾配の路面の場合の周波数解析結果として、モータ回転速度ωmから最終トルク目標値T*までの伝達特性のボーデ線図である。 図12は、パークロック解除時の減衰係数を用いた伝達特性と通常の走行時の減衰係数を用いた伝達特性とを比較するためのボーデ線図である。
図1は、一実施の形態における電動車両のモータ制振制御装置を備えた電気自動車の主要構成を示すブロック図である。本発明の電動車両のモータ制振制御装置は、車両の駆動源の一部または全部として電動モータを備え、電動モータの駆動力により走行可能な電動車両に適用可能であり、電気自動車だけでなく、ハイブリッド自動車や燃料電池自動車に適用可能である。
電動モータコントローラ2は、車速V、アクセル開度AP、電動モータ(三相交流モータ)4の回転子位相α、電動モータ4の電流iu、iv、iw等の車両状態を示す信号をデジタル信号として入力し、入力された信号に基づいて、電動モータ4を制御するためのPWM信号を生成する。また、生成したPWM信号に応じてインバータ3の駆動信号を生成する。
インバータ3は、例えば、各相ごとに2個のスイッチング素子(例えば、IGBTやMOS−FET等のパワー半導体素子)を備え、駆動信号に応じてスイッチング素子をオン/オフすることにより、バッテリ1から供給される直流の電流を交流に変換し、電動モータ4に所望の電流を流す。
電動モータ4は、インバータ3から供給される交流電流により駆動力を発生し、減速機5および駆動軸(ドライブシャフト)8を介して、左右の駆動輪9a、9bに駆動力を伝達する。また、車両の走行時に駆動輪9a、9bに連れ回されて回転するときに、回生駆動力を発生させることで、車両の運動エネルギーを電気エネルギーとして回収する。この場合、インバータ3は、電動モータ4の回生運転時に発生する交流電流を直流電流に変換して、バッテリ1に供給する。
電流センサ7は、電動モータ4に流れる3相交流電流iu、iv、iwを検出する。ただし、3相交流電流iu、iv、iwの和は0であるため、任意の2相の電流を検出して、残りの1相の電流は演算により求めてもよい。
回転センサ6は、例えば、レゾルバやエンコーダであり、電動モータ4の回転子位相θreを検出する。
図2は、電動モータコントローラ2によって行われるモータ電流制御の処理の流れを示すフローチャートである。
ステップS201では、車両状態を示す信号を入力する。ここでは、車速V(km/h)、アクセル開度AP(%)、電動モータ4の回転子位相θre(rad)、電動モータ4の回転速度Nm(rpm)、電動モータ4に流れる三相交流電流iu、iv、iw、バッテリ1とインバータ3間の直流電圧値Vdc(V)を入力する。
車速V(km/h)は、図示しない車速センサや、図示しないブレーキコントローラ等の他のコントローラより通信にて取得する。または、回転子機械角速度ωrmにタイヤ動半径Rを乗算し、ファイナルギアのギア比で除算することにより車速v(m/s)を求め、3600/1000を乗算することにより単位変換して、車速V(km/h)を求める。
アクセル開度AP(%)は、図示しないアクセル開度センサから取得するか、図示しない車両コントローラ等の他のコントローラから通信にて取得する。
電動モータ4の回転子位相θre(rad)は、回転センサ6から取得する。電動モータ4の回転速度Nm(rpm)は、回転子角速度ωre(電気角)を電動モータ4の極対数pで除算して、電動モータ4の機械的な角速度である回転子機械角速度ωrm(rad/s)を求め、求めた回転子機械角速度ωrmに60/(2π)を乗算することによって求める。回転子角速度ωreは、回転子位相θreを微分することによって求める。
電動モータ4に流れる電流iu、iv、iw(A)は、電流センサ7から取得する。
直流電圧値Vdc(V)は、バッテリ1とインバータ3間の直流電源ラインに設けられた電圧センサ10、または、図示しないバッテリコントローラから送信される電源電圧値から求める。
ステップS202では、第1のトルク目標値Tm1*を設定する。具体的には、ステップS201で入力されたアクセル開度AP、車速V、およびシフト位置に基づいて、図3に示すアクセル開度−トルクテーブルを参照することにより、第1のトルク目標値Tm1*を設定する。ただし、変速機のシフト位置がP(パーキング)またはN(ニュートラル)の場合には、第1のトルク目標値Tm1*を0とする。
ステップS203では、ステップS202で設定した第1のトルク指令値Tm1*、およびモータ回転速度ωmに基づいて、駆動軸トルクの応答を犠牲にすることなく、駆動力伝達系の振動(駆動軸8のねじり振動など)を抑制する最終トルク目標値T*を算出する。最終トルク目標値T*の詳しい算出方法については後述する。
ステップS204では、ステップS203で算出した最終トルク目標値T*、モータ回転速度ωmおよび直流電圧値Vdcに基づいて、d軸電流目標値id*、q軸電流目標値iq*を求める。例えば、トルク指令値、モータ回転速度、および直流電圧値と、d軸電流目標値およびq軸電流目標値との関係を定めたテーブルを予め用意しておいて、このテーブルを参照することにより、d軸電流目標値id*、q軸電流目標値iq*を求める。
ステップS205では、d軸電流idおよびq軸電流iqをそれぞれ、ステップS204で求めたd軸電流目標値id*およびq軸電流目標値iq*と一致させるための電流制御を行う。このため、まず初めに、ステップS201で入力された三相交流電流値iu、iv、iwと、モータ回転速度ωmとに基づいて、d軸電流idおよびq軸電流iqを求める。続いて、d軸、q軸電流指令値id*、iq*と、d軸、q軸電流id、iqとの偏差から、d軸、q軸電圧指令値vd、vqを算出する。なお、算出したd軸、q軸電圧指令値vd、vqに対して、d−q直交座標軸間の干渉電圧を相殺するために必要な非干渉電圧を加算するようにしてもよい。
次に、d軸、q軸電圧指令値vd、vqと、モータ回転速度ωmから、三相交流電圧指令値vu、vv、vwを求める。そして、求めた三相交流電圧指令値vu、vv、vwと直流電圧値Vdcから、PWM信号tu(%)、tv(%)、tw(%)を求める。このようにして求めたPWM信号tu、tv、twにより、インバータ3のスイッチング素子を開閉することによって、電動モータ4を最終トルク目標値T*で指示された所望のトルクで駆動することができる。
図2のステップS203で行う制振制御処理、すなわち、最終トルク目標値T*の算出方法の詳細について説明する。
図4は、図2のステップS203で行う制振制御演算処理を実現するための制御ブロック図である。この制振制御演算処理では、フィードバック演算によって第2のトルク目標値Tm2*を求め、第1のトルク目標値Tm1*と第2のトルク目標値Tm2*とを加算することによって、最終トルク目標値T*を算出する。
図4において、加算器41は、第1のトルク目標値Tm1*と第2のトルク目標値Tm2*とを加算することによって、最終トルク目標値T*を算出する。
Gp(s)なる伝達特性を有する制御ブロック42は、電動モータ4としての実プラントを代替的に表している。Gp(s)は、車両へのトルク入力とモータ回転速度との間の伝達特性のモデル(車両伝達特性のモデル(車両同定モデル))である。ただし、実際には、実プラントと車両同定モデルGp(s)との間には、モデル誤差が存在する。
制御ブロック42は、最終トルク目標値T*を入力して、実プラントである電動モータ4のモータ回転速度を出力する。なお、実プラントGp(s)に入るトルク外乱要素を反映すべく、加算器41から出力された最終トルク目標値T*には、加算器43によりトルク外乱要素Tdが加算された上で、制御ブロック42に入力される。また、実プラントGp(s)に入るモータ回転速度外乱要素を反映すべく、制御ブロック42から出力されるモータ回転速度には、加算器44により、モータ回転速度外乱要素ωdが加算される。
加算器44から出力されるモータ回転速度ωmは、制御ブロック45に入力される。制御ブロック45は、フィルタとしての機能を担っており、このフィルタは、H(s)/Gp(s)なる伝達特性を有している。ここで、H(s)は、中心周波数が車両の駆動系のねじり共振周波数と一致しているバンドパスフィルタとしての特性を有している。制御ブロック45は、モータ回転速度ωmを入力し、これにフィルタ処理を施すことにより、第2のトルク目標値Tm2*の第2項を求める。
加算器41からの出力である最終トルク目標値T*は、制御ブロック42の他に、制御ブロック46にも入力される。制御ブロック46は、バンドパスフィルタとしての機能を担っており、上述したH(s)なる伝達特性を有している。制御ブロック46は、最終トルク目標値T*に対してフィルタ処理を施すことにより、第2のトルク目標値Tm2*の第1項を求める。
減算器47は、制御ブロック46の出力値である第2のトルク目標値Tm2*の第1項から、制御ブロック45の出力値である第2のトルク目標値Tm2*の第2項を減算する。
制御ブロック48は、フィルタとしての機能を担っており、このフィルタはGz(s)なる伝達特性を有している。伝達特性Gz(s)の詳細については後述する。制御ブロック48は、減算器47からの出力値に対してフィルタ処理を施すことにより、第2のトルク目標値Tm2*を算出する。算出された第2のトルク目標値Tm2*は、加算器41に対して出力される。
図5は、車両のトルク伝達系をモデル化した図であり、同図における各パラメータは、以下に示すとおりである。
Jm:電動モータのイナーシャ
Jw:駆動輪のイナーシャ
M:車両の重量
Kd:駆動系の捻り剛性
Kt:タイヤと路面の摩擦に関する係数
N:オーバーオールギヤ比
r:タイヤの荷重半径
ωm:電動モータの角速度
Tm*:モータトルク目標値
Td:駆動輪のトルク
F:車両に加えられる力(駆動力)
ωw:駆動輪の角速度
そして、図5より、以下の運動方程式を導くことができる。ただし、式(1)〜(3)中の符号の右上に付されているアスタリスク(*)は、時間微分を表している。
Figure 2015043669
Figure 2015043669
Figure 2015043669
Figure 2015043669
Figure 2015043669
式(1)〜(5)で示す運動方程式に基づいて、電動モータ4のモータトルク目標値からモータ回転速度ωmまでの伝達特性Gp(s)を求めると、次式(6)で表される。
Figure 2015043669
ただし、式(6)中の各パラメータは、次式(7)で表される。
Figure 2015043669
式(6)に示す伝達関数の極と零点を調べると、次式(8)の伝達関数に近似することができ、1つの極と1つの零点は極めて近い値を示す。これは、次式(8)のαとβが極めて近い値を示すことに相当する。
Figure 2015043669
従って、式(8)における極零相殺(α=βと近似する)を行うことにより、次式(9)に示すように、Gp(s)は、(2次)/(3次)の伝達特性を構成する。
Figure 2015043669
本実施形態では、1/Gp(s)の極の減衰係数ζを所望の値ζcにするため、次式(10)に示す伝達特性Gz(s)を有するフィルタを使用する。
Figure 2015043669
式(10)中の係数ζcは、次式(11)で表されるζz以上であり、かつ、1以下の範囲で決定する(ζz≦ζc≦1)。ζzは、車両同定モデルGp(s)の分子から求めることができる。
Figure 2015043669
式(10)に示す伝達特性Gz(s)なるフィルタを有する制御ブロック48を設けることにより、車両伝達特性のモデルGp(s)と実プラントとの間に乖離が発生した場合や、モータ回転速度外乱ωdが発生した場合に、出力トルクの1/Gp(s)振動の抑制を図ることができる。
通常の走行時には、実プラントと車両伝達特性のモデルGp(s)とのモデル誤差や、バックラッシュ区間を跨ぐ際の回転速度外乱、タイヤを入力とする回転速度外乱等があるため、1/Gp(s)振動の制振効果を得るためには、減衰係数ζcは1.0に近づけた値とする必要がある。従って、本実施形態において、通常走行時(車輪の非ロック状態時)の減衰係数ζcは、1.0とする。ただし、通常走行時の減衰係数ζcが1.0に限定されることはない。
しかしながら、パークロック解除時には、ブレーキをかけているため、タイヤが固定されていると考えることができ、回転速度外乱は極めて小さいと考えることができる。このため、通常の走行時の減衰係数ζcと比べて、パークロック解除時の減衰係数ζcpを小さくすることができる。パークロック解除時の減衰係数ζcpを通常の走行時の減衰係数ζcより小さくすることにより、1/Gp(s)振動の振動周波数付近において、通常の走行時に比べて応答性を上げることができる。これにより、パークロック解除時の制振制御において、ドライブシャフトトルクのオーバーシュートを低減し、パークロック解除ショックを抑制することができる。
また、車両同定モデルGp(s)のモデル誤差およびモータ回転速度外乱が小さい条件下での停車状態、例えば、緩やかな勾配の路面に停車している状態からパークロック解除を行う場合、ギアのフリクション損失等により、ドライブシャフトトルクはバックラッシュ区間を跨がない。そのため、緩やかな勾配の路面に停車している状態からパークロック解除を行う場合には、回転速度外乱は極めて小さくなるため、1/Gp(s)振動は誘起されにくくなる。この場合、Gz(s)フィルタの分母の減衰係数ζcpは、分子の減衰係数ζzと同じ値とすることで、ドライブシャフトトルクのオーバーシュートを低減し、パークロック解除ショックを抑制することができる。
図6は、一実施の形態における電動車両のモータ制振制御装置によって行われる処理の流れを示すフローチャートである。ステップS701から始まる処理は、電動モータコントローラ2によって行われる。
ステップS701では、入力処理として、パークロック解除に関連した信号を入力する。具体的には、シフト位置信号、シフトノブのパークロック解除SW信号、ブレーキSW信号のうちの少なくとも一つの信号を、ハードウェア信号として検出するか、シフトコントローラ等の他のコントローラより通信にて取得する。いずれの信号を入力するかについては、後述するドライバーのパークロック解除移行意図の検出方法に応じた信号を入力する。また、路面の勾配θに関連した信号も入力する。路面の勾配θは、図示しない勾配センサにより検出してもいいし、図示しない車体の前後Gセンサからの出力に基づいて、推定してもよい。
ステップS702では、ブレーキがオンであるか否かを判定する。ブレーキがオンであると判定するとステップS703に進み、ブレーキがオフであると判定すると、通常の走行時の制振制御を行うために、ステップS708に進む。
ステップS703では、タイマ1の値が0より大きいか否かを判定する。タイマ1の値は、電動モータコントローラ2の電源投入時に0に初期化し、後述するステップS710において、T1にセットされる。タイマ1が0より大きいと判定するとステップS704に進み、0であると判定すると、ステップS708に進む。
ステップS704では、第2のトルク目標値Tm2*が0(Nm)、かつ、モータ回転速度ωmが所定の回転速度ω0より低いか否かを判定する。第2のトルク目標値Tm2*が0(Nm)、かつ、モータ回転速度ωmが所定の回転速度ω0より低い場合には、パークロック解除時の制振制御中であるが、パークロック解除ショックを抑制できている可能性があるとして、経過処理を行うために、ステップS705に進む。それ以外の場合には、パークロック解除時の制振制御を継続して行うために、ステップS711に進む。なお、所定の回転速度ω0は、電動モータ4がほぼ停止したことを検知するための値として、予め適切な値を設定しておく。
ステップS705では、第2のトルク目標値Tm2*が0(Nm)、かつ、モータ回転速度ωmが所定の回転速度ω0より低い状態が継続している時間を計測するために、タイマ2をカウントアップする。タイマ2の値は、電動モータコントローラ2の電源投入時に0に初期化する。
ステップS706では、タイマ2の値が所定値T2より大きいか否かを判定する。タイマ2の値が所定値T2より大きいと判定すると、パークロック解除ショックを抑制できたと判断して、ステップS707に進む。一方、タイマ2の値が所定値T2以下であると判定すると、パークロック解除ショックを抑制する制御を継続して行うために、ステップS712に進む。
ステップS707では、第2のトルク目標値Tm2*が0(Nm)、かつ、モータ回転速度ωmが所定の回転速度ω0より低い状態が所定時間T2を経過して、パークロック解除ショックを抑制できたと判断して、パークロック解除時の制振制御中であることを示すタイマ1およびタイマ2の値をそれぞれ0に初期化する。
ステップS708では、パークロック解除ショックを抑制する必要がない状態であるか、または、パークロック解除時の制振制御開始から所定期間T1を経過し、パークロック解除ショックを抑制できたと判断して、パークロック解除時の制振制御中であることを示すタイマ2の値を0に初期化する。
ステップS709では、車輪を回転ロックしたパークロック状態からドライバーのパークロック解除移行意図を検出したか否かを判定する。ドライバーのパークロック解除移行意図を検出したと判定すると、パークロック解除時の制振制御の減衰係数ζcpをセットするためにステップS710に進み、検出していないと判定すると、通常の走行時(車輪の非ロック状態時)の制振制御の減衰係数ζcをセットするためにステップS714に進む。
ここで、ドライバーのパークロック解除移行意図は、以下の(1)〜(4)のうちのいずれか一つの方法により検出する。
(1)変速機のシフト位置がP(パーキング)レンジから他のレンジに変化した場合、すなわち、前回演算時のシフト位置がPレンジであり、今回演算時のシフト位置がPレンジ以外の場合には、パークロック解除移行の意図があると判断する。
(2)シフトノブのパークロック解除スイッチがオンされた場合には、パークロック解除移行の意図があると判断する。
(3)シフト位置がPレンジで、ブレーキスイッチ信号がオフからオンへと変化した場合、すなわち、前回演算時のブレーキスイッチ信号がオフで、今回演算時のブレーキスイッチ信号がオンの場合には、パークロック解除移行の意図があると判断する。
(4)モータ回転速度ωmが所定の回転速度以下、かつ、ブレーキスイッチ信号がオフからオンへと変化した場合、すなわち、前回演算時のブレーキスイッチ信号がオフで、今回演算時のブレーキスイッチ信号がオンの場合には、パークロック解除移行の意図があると判断する。
ステップS710では、パークロック解除時の制振制御を開始するため、制振制御開始からの経過時間を表すタイマ1を所定値T1にセットする。タイマ1の値が0より大きい間は、制振制御中であることを示している。これにより、タイマ1の値が0となるか、または、パークロック解除ショックを抑制できたと判断して、ステップS707でタイマ1の値が0に初期化されるまでの間は、パークロック解除時の制振制御の減衰係数ζcpが使われる。
ステップS711では、ステップS704でパークロック解除時の制振制御を継続する必要があると判定されたため、トルク条件によるタイマ処理(ステップS704〜S707)に使用するタイマ2を0に初期化する。
ステップS712では、パークロック解除時の制振制御の減衰係数ζcpをセットする。上述したように、パークロック解除時の制振制御の係数ζcpは、通常の走行時(車輪の非ロック状態時)の減衰係数ζcより小さい値であり、次式(12)の関係を満たす。
Figure 2015043669
ここでは、路面の勾配θに応じて、パークロック解除時の制振制御の係数ζcpを決定する。図7は、路面の勾配θと減衰係数ζとの関係を定めたマップの一例である。路面の勾配θは、登坂路の場合に正の値、降坂路の場合に負の値とする。図7に示すように、登坂路の勾配θが大きいほど、また、降坂路の勾配θが小さいほど、パークロック解除時の減衰係数ζcpは大きい値とする。また、勾配θの絶対値が所定値θ1(θ1>0)以下である緩やかな勾配では、パークロック解除時の減衰係数ζcpは、減衰係数ζzと同じ値とする。
ステップS713では、パークロック解除時の減衰係数ζcpを、通常の走行時の制振制御の減衰係数ζcに戻す時間をカウントするため、タイマ1の値をカウントダウンする。
ステップS714では、通常の走行時の制振制御の減衰係数ζcをセットする。
ステップS715では、ステップS712またはステップS714でセットした減衰係数を用いて、制振制御(図2のステップS203の制振制御処理)を行う。
一実施の形態における電動車両のモータ制振制御装置による制御の結果について説明する。ここでは、登坂路で車を止め、シフト位置をPレンジに設定してパークロック機構を作動させ、ブレーキを離してドライブシャフトがねじれた状態で停車している状態を想定する。この状態から発進するために、ブレーキを踏んでパークロック機構を解除する場合の現象について、図8および図9のタイムチャートを用いて説明する。
なお、登坂路の勾配θは、前後Gセンサによって検出される車両前後方向の加速度に基づいて推定し、推定した勾配θに基づいて、パークロック解除時の減衰係数ζcpを設定するものとする。
図8は、緩やかな勾配の路面に駐車した状態でパークロック機構を解除した場合の制御結果を示す図である。図8(a)〜(d)はそれぞれ、フィードバックトルク(第2のトルク目標値Tm2*)[Nm]、電動モータ4とホイールとの相対角(ドライブシャフト捻れ角)[rad]、モータ回転速度[rpm]、ドライブシャフトトルク[Nm]を表している。図中、一実施の形態における電動車両のモータ制振制御装置の結果を実線で示し、パークロック解除時であっても、通常の走行時の減衰係数ζcを用いて制振制御を行う従来例(特開2010−288332号公報に記載の制御装置)の制御結果を波線で示している。
時刻t0でドライバがシフト位置をPレンジからNレンジに移行し、パークロック機構が解除されると、ドライブシャフトに蓄積されていた捻りが開放される。この時、ドライブシャフトトルク(または、ドライブシャフト捻れ角)は0[Nm]に向かって減少するのに対して、モータ回転速度が負方向に回転し、この回転速度変動を抑制しようと制振制御が働き、フィードバックトルク(FBトルク)を正方向に出力する。
時刻t1〜t2の間では、ドライブシャフトトルクが0[Nm]になり、バックラッシュ区間であることが分かる。このバックラッシュ区間は、車両モデルGp(s)にモデル化誤差が発生し外乱要因となるが、緩やかな勾配では、回転速度外乱は極めて少なく、ショックは発生しない。
時刻t2以降の区間では、従来例はドライブシャフトトルクのオーバーシュートが発生しているが、本実施形態における制振制御では、オーバーシュートが抑制されており、パークロック解除ショックを抑制することができる。
緩やかな勾配における周波数解析結果を図10に示す。図10は、図4に示すモータ回転速度ωmから最終トルク目標値T*までの伝達特性のボーデ線図である。図10(a)は、周波数Fに対するゲインGaを示す図であり、図10(b)は、周波数Fに対応する位相Phを示す図である。ここで、各パラメータGa、Phにおいて、添え字「c」を付したものは、パークロック解除時であっても、通常の走行時の減衰係数ζcを用いる従来例の制御手法を適用した場合のシミュレーション結果である。また、添え字「p」を付したものは、パークロック解除時の減衰係数ζcpを用いた場合のシミュレーション結果である。
なお、通常の走行時の減衰係数ζcは1.0が設定されており、緩やかな勾配におけるパークロック解除時の減衰係数ζcpは、ζzと同じ値が設定されている。
図10から分かるように、一実施の形態における電動車両のモータ制振制御装置では、パークロック解除時の減衰係数としてζcpを用いるので、パークロック解除時であっても減衰係数ζcを用いる従来例と比べて、1/Gp(s)振動の振動周波数(F=ωz)付近で約9dBゲインが増え、応答性がさらに向上している。
図9は、勾配θが所定値θ1より大きい急勾配の路面に駐車した状態でパークロック機構を解除した場合の制御結果を示す図である。図9(a)〜(d)はそれぞれ、フィードバックトルク(第2のトルク目標値Tm2*)[Nm]、電動モータ4とホイールとの相対角(ドライブシャフト捻れ角)[rad]、モータ回転速度[rpm]、ドライブシャフトトルク[Nm]を表している。図中、一実施の形態における電動車両のモータ制振制御装置の結果を実線で示し、パークロック解除時であっても、通常の走行時の係数ζcを用いて制振制御を行う従来例(特開2010−288332号公報に記載の制御装置)の制御結果を波線で示している。
時刻t0でドライバがシフト位置をPレンジからNレンジに移行し、パークロック機構が解除されると、ドライブシャフトに蓄積されていた捻りが開放される。この時、ドライブシャフトトルクは0[Nm]に向かって減少するのに対して、モータ回転速度が負方向に回転し、この回転速度変動を抑制しようと制振制御が働き、フィードバックトルク(FBトルク)を正方向に出力する。
時刻t0〜t1の区間では、ドライブシャフトトルクが正トルクから負トルクに変化するため、0[Nm]でバックラッシュ区間を跨いでいることが分かる。従来例の制御結果に対して、一実施の形態における電動車両のモータ制振制御装置の制御結果では、バックラッシュ区間を跨ぐ際のモータ回転速度が少し遅いため、ドライブシャフトトルクのオーバーシュート量を抑えることができ、パークロック解除ショックを抑制することができる。
勾配θが所定値θ1より大きい急勾配における周波数解析結果を図11に示す。図11は、図4に示すモータ回転速度ωmから最終トルク目標値T*までの伝達特性のボーデ線図である。図11(a)は、周波数Fに対するゲインGaを示す図であり、図11(b)は、周波数Fに対応する位相Phを示す図である。ここで、各パラメータGa、Phにおいて、添え字「c」を付したものは、パークロック解除時であっても、通常の走行時の減衰係数ζcを用いる従来例の制御手法を適用した場合のシミュレーション結果である。また、添え字「p」を付したものは、パークロック解除時の減衰係数ζcpを用いた場合のシミュレーション結果である。ここでは、通常の走行時の減衰係数ζcは1.0が設定されており、パークロック解除時の減衰係数ζcpは、0.7が設定されている。
図11から分かるように、一実施の形態における電動車両のモータ制振制御装置では、パークロック解除時の減衰係数としてζcpを用いるので、パークロック解除時であっても減衰係数ζcを用いる従来例と比べて、1/Gp(s)振動の振動周波数(F=ωz)付近で約3dBゲインが増え、応答性がさらに向上している。
図12は、パークロック解除時の減衰係数を用いた伝達特性Gz(s)と通常の走行時の減衰係数を用いた伝達特性Gz(s)との周波数特性を比較するためのボーデ線図である。図12に示すように、パークロック解除時の減衰係数ζcpを用いた伝達特性Gz(s)は、通常の走行時の減衰係数ζcを用いた伝達特性Gz(s)と比べて、最大遮断周波数と最小遮断周波数との間の減衰量が小さい周波数特性となっている。
以上、一実施の形態における電動車両のモータ制振制御装置は、第1のトルク目標値を設定するとともに、モータへのトルク指令値を演算する。そして、演算したトルク指令値に対して、バンドパスフィルタの特性を有する伝達特性からなる第1のフィルタ処理を施すことにより、第2のトルク目標値の第1項を演算する(制御ブロック46)とともに、モータ回転速度に対して、バンドパスフィルタの特性を有する伝達特性と、車両へのトルク入力に対するモータ回転速度の伝達特性を有する車両同定モデルとからなる第2のフィルタ処理を施すことにより、第2のトルク目標値の第2項を演算する(制御ブロック45)。また、第2のトルク目標値の第1項から第2のトルク目標値の第2項を減算し(減算器47)、減算結果に対して第3のフィルタ処理を施すことにより、第2のトルク目標値を出力する(制御ブロック46)。そして、車輪を回転ロックしたパークロック状態の解除の有無を判定し、パークロック状態の解除時には、第3のフィルタ処理で用いるフィルタの周波数特性を、車輪の非ロック状態の時に第3のフィルタ処理で用いるフィルタの周波数特性に比べて減衰量が小さい周波数特性へと切り替える。また、第1のトルク目標値と第2のトルク目標値とに基づいて、トルク指令値を演算する。上記構成、特に、パークロック状態の解除時には、第3のフィルタ処理で用いるフィルタの周波数特性を、車輪の非ロック状態の時に第3のフィルタ処理で用いるフィルタの周波数特性に比べて減衰量が小さい周波数特性へと切り替えるので、パークロック解除時の制振制御において、1/Gp(s)振動の振動周波数付近で応答性を向上させることができ、ドライブシャフトトルクのオーバーシュート量を低減して、パークロック解除ショックを抑制することができる。
また、車輪の非ロック状態の時に第3のフィルタ処理で用いるフィルタの周波数特性に比べて減衰量が小さい周波数特性とは、最大遮断周波数と最小遮断周波数との間の減衰量が小さい周波数特性である。これにより、最大遮断周波数と最小遮断周波数との間の範囲内で、より精度高く、ガクガク振動が目立つことを抑制することができる。
パークロック状態の解除時におけるフィルタ手段の伝達特性は、車両同定モデルの分子2次式を分子とするとともに、車両同定モデルの分子から演算される第1の減衰係数ζzより大きく、かつ、1以下に設定された第2の減衰係数ζcよりも小さい第3の減衰係数ζcpを有する2次式を分母とする。これにより、大幅な変更をすることなく、パークロック解除時のフィルタを適切に設定することができ、より確実にガクガク振動が目立つことを抑制することができる。
また、車両同定モデルのモデル誤差およびモータ回転速度外乱が小さい所定条件下であるか否かを判定し、所定条件下である場合に、第3の減衰係数ζcpを第1の減衰係数ζzと同じ値とする。車両同定モデルのモデル誤差およびモータ回転速度外乱が小さい場合には、1/Gp(s)振動は誘起されにくくなる。この場合、第3の減衰係数ζcpを第1の減衰係数ζzと同じ値とすることにより、ドライブシャフトトルクのオーバーシュート量を低減して、パークロック解除ショックを抑制することができる。
一実施の形態における電動車両のモータ制振制御装置では、路面の勾配を取得し、第3の減衰係数ζcpを路面の勾配が大きいほど大きい値とする。路面の勾配が急な程、バックラッシュ区間を跨いでドライブシャフトトルクのオーバーシュート量が増加する傾向がある。バックラッシュ区間を跨ぐと、車両の回転速度には、バックラッシュ区間に応じた回転速度外乱が印加される。また、急勾配になると、事前に同定した捻り振動特性(車両同定モデル)Gp(s)と、実車両の応答で誤差(モデル誤差)が大きくなる傾向がある。急勾配の路面のように、回転速度外乱やモデル誤差が大きい状態で、第3の減衰係数ζcpを緩勾配の時と同じ値を用いると、1/Gp(s)振動が誘起される。そこで、路面の勾配が大きいほど、第3の減衰係数ζcpを大きい値とすることにより、1/Gp(s)振動を低減し、ドライブシャフトトルクのオーバーシュート量も許容範囲内に抑えることができる。これにより、パークロック解除ショックを抑制することができる。
また、車両に設けられている前後加速度センサによって検出される車両前後方向の加速度に基づいて、路面の勾配を推定する。パークロック解除時には、タイヤがブレーキで固定されているため、車両の走行に伴う前後加速度は発生しないが、路面の勾配相当の加速度が発生するので、前後加速度センサによって検出される車両前後方向の加速度に基づいて、高精度に路面の勾配を推定することができる。
一実施の形態における電動車両のモータ制振制御装置では、変速機のシフト位置がPレンジから他のレンジに変化したことを検知すると、パークロック状態が解除されたと判定するので、パークロック解除タイミングを確実に検知することができる。また、変速機のシフト位置がPレンジであり、かつ、ブレーキがオフからオンに変化したことを検知すると、パークロック状態が解除されたと判定することにより、パークロック解除タイミングを確実に検知することができる。さらに、モータ回転速度が所定値以下であって、かつ、ブレーキがオフからオンに変化したことを検知すると、パークロック状態が解除されたと判定することにより、パークロック解除タイミングを確実に検知することができる。
また、パークロック状態が解除されたと判定されてから第1の所定時間が経過すると、第3のフィルタ処理で用いるフィルタの周波数特性を、車輪の非ロック状態の時に第3のフィルタ処理で用いるフィルタの周波数特性へと切り替えるので、簡易な方法により、車輪の非ロック状態時に第3のフィルタ処理で用いるフィルタの周波数特性へと戻すことができる。
また、ブレーキがオンからオフに変化すると、第3のフィルタ処理で用いるフィルタの周波数特性を、車輪の非ロック状態の時に第3のフィルタ処理で用いるフィルタの周波数特性へと切り替えることにより、パークロック信号が無いような車両においても、簡易な方法により、車輪の非ロック状態時に第3のフィルタ処理で用いるフィルタの周波数特性へと戻すことができる。
また、第2のトルク目標値が0、かつ、モータ回転速度が所定の回転速度より低い状態が第2の所定時間継続すると、第3のフィルタ処理で用いるフィルタの周波数特性を、車輪の非ロック状態の時に第3のフィルタ処理で用いるフィルタの周波数特性へと切り替えることにより、パークロック解除ショックを確実に抑制した後に、車輪の非ロック状態時に第3のフィルタ処理で用いるフィルタの周波数特性へと戻すことができる。
本発明は、上述した一実施の形態に限定されることはない。例えば、車速が所定車速を超えると、第3のフィルタ処理で用いるフィルタの周波数特性を、車輪の非ロック状態の時に第3のフィルタ処理で用いるフィルタの周波数特性へと切り替えるようにしてもよい。これにより、パークロック信号が無いような車両においても、簡易な方法により、車輪の非ロック状態時に第3のフィルタ処理で用いるフィルタの周波数特性へと戻すことができる。
2…電動モータコントローラ(トルク目標値設定手段、トルク指令値演算手段、第1項演算手段、第2項演算手段、減算手段、フィルタ手段、パークロック解除判定手段、切り替え手段、条件判定手段、勾配取得手段)
6…電動モータ
8…ドライブシャフト
41…加算器(トルク指令値演算手段)
42…制御ブロック
46…制御ブロック(第1項演算手段)
47…制御ブロック(第2項演算手段)
48…制御部ロック(フィルタ手段)

Claims (12)

  1. 第1のトルク目標値を設定するトルク目標値設定手段と、
    モータへのトルク指令値を演算するトルク指令値演算手段と、
    前記トルク指令値に対して、バンドパスフィルタの特性を有する伝達特性からなる第1のフィルタ処理を施すことにより、第2のトルク目標値の第1項を演算する第1項演算手段と、
    モータ回転速度に対して、前記バンドパスフィルタの特性を有する伝達特性と、車両へのトルク入力に対するモータ回転速度の伝達特性を有する車両同定モデルとからなる第2のフィルタ処理を施すことにより、第2のトルク目標値の第2項を演算する第2項演算手段と、
    前記第2のトルク目標値の第1項から前記第2のトルク目標値の第2項を減算する減算手段と、
    前記減算手段による減算結果に対して第3のフィルタ処理を施すことにより、第2のトルク目標値を出力するフィルタ手段と、
    車輪を回転ロックしたパークロック状態の解除の有無を判定するパークロック解除判定手段と、
    前記パークロック状態の解除時には、前記第3のフィルタ処理で用いるフィルタの周波数特性を、車輪の非ロック状態の時に前記第3のフィルタ処理で用いるフィルタの周波数特性に比べて減衰量が小さい周波数特性へと切り替える切り替え手段と、
    を備え、
    前記トルク指令値演算手段は、前記第1のトルク目標値と前記第2のトルク目標値とに基づいて、前記トルク指令値を演算することを特徴とする電動車両のモータ制振制御装置。
  2. 請求項1に記載の電動車両のモータ制振制御装置において、
    前記減衰量が小さい周波数特性とは、最大遮断周波数と最小遮断周波数との間の減衰量が小さい周波数特性であることを特徴とする電動車両のモータ制振制御装置。
  3. 請求項1または請求項2に記載の電動車両のモータ制振制御装置において、
    前記パークロック状態の解除時における前記フィルタ手段の伝達特性は、前記車両同定モデルの分子2次式を分子とするとともに、前記車両同定モデルの分子から演算される第1の減衰係数より大きく、かつ、1以下に設定された第2の減衰係数よりも小さい第3の減衰係数を有する2次式を分母とすることを特徴とする電動車両のモータ制振制御装置。
  4. 請求項3に記載の電動車両のモータ制振制御装置において、
    車両同定モデルのモデル誤差およびモータ回転速度外乱が小さい所定条件下であるか否かを判定する条件判定手段をさらに備え、
    前記所定条件下である場合に、前記第3の減衰係数を前記第1の減衰係数と同じ値とすることを特徴とする電動車両のモータ制振制御装置。
  5. 請求項3または請求項4に記載の電動車両のモータ制振制御装置において、
    路面の勾配を取得する勾配取得手段をさらに備え、
    前記第3の減衰係数は、前記路面の勾配が大きいほど大きい値とすることを特徴とする電動車両のモータ制振制御装置。
  6. 請求項5に記載の電動車両のモータ制振制御装置において、
    前記勾配取得手段は、車両に設けられている前後加速度センサによって検出される車両前後方向の加速度に基づいて、前記路面の勾配を推定することを特徴とする電動車両のモータ制振制御装置。
  7. 請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の電動車両のモータ制振制御装置において、
    前記パークロック解除判定手段は、変速機のシフト位置がPレンジから他のレンジに変化したことを検知すると、前記パークロック状態が解除されたと判定することを特徴とする電動車両のモータ制振制御装置。
  8. 請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の電動車両のモータ制振制御装置において、
    前記パークロック解除判定手段は、変速機のシフト位置がPレンジであり、かつ、ブレーキがオフからオンに変化したことを検知すると、前記パークロック状態が解除されたと判定することを特徴とする電動車両のモータ制振制御装置。
  9. 請求項1から請求項8のいずれか一項に記載の電動車両のモータ制振制御装置において、
    前記パークロック解除判定手段は、モータ回転速度が所定値以下であって、かつ、ブレーキがオフからオンに変化したことを検知すると、前記パークロック状態が解除されたと判定することを特徴とする電動車両のモータ制振制御装置。
  10. 請求項1から請求項9のいずれか一項に記載の電動車両のモータ制振制御装置において、
    前記切り替え手段は、前記パークロック解除判定手段によって前記パークロック状態が解除されたと判定されてから第1の所定時間が経過すると、前記第3のフィルタ処理で用いるフィルタの周波数特性を、前記車輪の非ロック状態の時に前記第3のフィルタ処理で用いるフィルタの周波数特性へと切り替えることを特徴とする電動車両のモータ制振制御装置。
  11. 請求項1から請求項10のいずれか一項に記載の電動車両のモータ制振制御装置において、
    前記切り替え手段は、ブレーキがオンからオフに変化すると、前記第3のフィルタ処理で用いるフィルタの周波数特性を、前記車輪の非ロック状態の時に前記第3のフィルタ処理で用いるフィルタの周波数特性へと切り替えることを特徴とする電動車両のモータ制振制御装置。
  12. 請求項1から請求項11のいずれか一項に記載の電動車両のモータ制振制御装置において、
    前記切り替え手段は、前記第2のトルク目標値が0、かつ、モータ回転速度が所定の回転速度より低い状態が第2の所定時間継続すると、前記第3のフィルタ処理で用いるフィルタの周波数特性を、前記車輪の非ロック状態の時に前記第3のフィルタ処理で用いるフィルタの周波数特性へと切り替えることを特徴とする電動車両のモータ制振制御装置。
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