JP2015040801A - 微小熱伝導率測定装置及び測定方法 - Google Patents

微小熱伝導率測定装置及び測定方法 Download PDF

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Abstract

【課題】ナノ・ミクロスケールの微小領域の熱伝導率を測定する。
【解決手段】一端をエポキシ樹脂などの高熱抵抗材料で熱的に遮蔽した試料を収束した電子線で照射して熱を印加し、それによる熱流により熱遮蔽の反対側端部に生じた温度上昇を微小な熱電対で測定する。このような電子線照射を複数の照射点に対して行い、これらの照射点位置及び対応する温度上昇から、照射点間あるいは照射点から熱電対の接触点までの熱伝導率が求められる。
【選択図】図10

Description

本発明は、ナノ・ミクロスケールにおける温度、相対的な熱流および熱抵抗の測定装置に関し、さらに具体的にはナノ・ミクロスケールの微小領域における熱伝導率を測定する装置及び方法に関する。
従来、温度、熱流、および熱抵抗の測定方法については、現代社会で効率的にエネルギーを使用するための熱管理技術に直結するだけでなく、それらが基盤的な物理量であるために、評価するための装置には大きな需要がある。
また、熱管理の分野においては、世界的に見て省エネルギー化がかなり進んだ我が国でも、一次供給エネルギーの約2/3が熱エネルギーとして廃棄されているのが現状である。そのような社会情勢で、本発明は、先進的な熱管理技術を開発するために欠かせない要素として注目される。また、ナノ・ミクロスケールでの評価方法がまだ不十分である。
さらに、熱管理技術に関連するものに限らず、ミクロ・ナノスケールでの温度、熱流および熱抵抗の測定方法は、近年社会生活において重要性を増している不均質材料および複合材料など幅広い構造材料や機能性材料の、熱伝導性などの詳細な解析に役立つものであり、需要が大きい。
例えば、樹脂中にフィラーを分散させた複合材料の熱伝導特性を評価し、最適化を図ろうとする場合、複合材料のマクロな熱伝導特性の評価では不十分であり、複合材料の微細な構造のレベルでの測定を行うことが必要となる。具体的には、フィラーと樹脂の界面や隣接するフィラー同士の熱伝導、また熱伝導率が異なる不純物や介在物の影響等も評価する必要がある。そのため、このような複合材料の評価に当たっては、その微細な構造を観察すること、並びに微細な構造を反映した熱の投入及びそれによる温度変化の測定を行うことが求められる。また、微細構造を観察するには透過電子顕微鏡(TEM)および走査透過電子顕微鏡(STEM)が多くの場合使用されるので、熱投入及び温度測定のための手段はTEMと共存できるものが望ましい。サブナノメートルスケールの電子線プローブを走査するSTEMを用いれば、熱投入箇所を走査することができ、複雑な熱伝導の経路もマッピングにより可視化できる。なお、以下では表現を簡略化するためTEMだけに言及するが、TEMだけに言及している場合でも、添付図面のTEM像に対する言及以外は、特段の事情がない違限りTEMとSTEMの両方に言及しているものと理解されたい。
微小領域の温度を測定するため、以前ナノチューブを使用した温度計が報告された(非特許文献1)。しかし、この温度計は受動的なもので、能動的に熱を印加して熱物性の解析を行うことは本文献には開示がない。
また、本願発明者等は以前にナノスケールの熱電対(以下、ナノ熱電対と称する)を作成し、その特性を測定した(非特許文献2)。しかし、非特許文献2ではナノ熱電対の基本的な特性を測定してそれがナノスケールの温度計として使用できることを示しただけであり、それを用いて微小領域における熱流や熱伝導率の測定を行うことについては開示がなかった。
本発明は上述の従来の問題点を解消し、試料に対してナノ・ミクロスケールの位置分解能で熱伝導率を測定することを課題とする。
本発明の一側面によれば、試料に接触する熱電対と、前記試料上の複数の加熱点を順次加熱する加熱装置と、前記順次加熱による前記接触点の温度上昇に応答した前記熱電対の複数の出力を検出して前記複数の加熱点の加熱にそれぞれ対応する複数の温度上昇を測定する装置とを設け、前記複数の加熱点間または前記複数の加熱点から前記試料上の前記熱電対の接触点までの距離及び前記複数の加熱点に対応する前記複数の温度上昇に基づいて前記複数の加熱点の間または前記複数の加熱点と前記接触点の間の熱伝導率または前記熱伝導率間の比率を求める微小熱伝導率測定装置が与えられる。
ここで、前記加熱装置は収束された電子線を前記複数の加熱点に照射してよい。
また、前記試料が透過型電子顕微鏡(TEM)または走査透過電子顕微鏡(STEM)内に収容されてTEM像またはSTEM像を観察可能であるとともに、前記収束された電子線を前記複数の加熱点に照射する加熱装置は前記TEMまたはSTEMの電子銃であってよい。
また、前記熱電対は非磁性体の二種類の材料の針状物の接合体であってよい。
また、前記二種類の材料はクロメル及びコンスタンタンであってよい。
また、前記針状物の先端の径は100nm以下であってよい。
また、前記試料は前記熱電対よりも熱抵抗が高い材料を介して台座に取り付けられてよい。
本発明の他の側面によれば、試料に熱電対を接触させ、前記試料上の複数の加熱点を順次加熱し、前記順次加熱による前記接触点の昇温に応答した前記熱電対の複数の出力を検出して前記複数の加熱点の加熱にそれぞれ対応する複数の温度上昇を測定し、前記複数の加熱点間または前記複数の加熱点から前記試料上の前記熱電対の接触点までの距離及び前記複数の加熱点に対応する前記複数の温度上昇に基づいて前記複数の加熱点間または前記複数の加熱点と前記接触点との間の熱伝導率または前記熱伝導率間の比率を求める微小熱伝導率測定方法が与えられる。
ここで、前記加熱は収束した電子線により行ってよい。
また、前記試料をTEMまたはSTEM内に収容してそのTEM像またはSTEM像を観察できるようにし、前記電子線の照射は前記TEMまたはSTEMの電子銃により行ってよい。
また、前記試料と前記熱電対との接触を解除した状態で前記熱電対からの前記複数の加熱点の加熱に対応する複数の較正出力を検出し、前記複数の加熱点への前記電子線の照射による二次電子が前記熱電対の前記出力に与える影響を前記複数の較正出力により打ち消してよい。
また、前記熱電対は非磁性体の二種類の材料の針状物の接合体であってよい。
また、前記試料は前記熱電対よりも熱抵抗が高い材料を介して台座に取り付けられてよい。
また、前記試料上または前記試料中の点であって前記複数の加熱点以外の点を仮想加熱点として設定し、前記仮想加熱点から前記接触点までの距離と前記複数の加熱点から選択された複数個の加熱点に対応して測定された前記複数の温度上昇に基づいて前記仮想加熱点に対応する温度上昇を計算し、熱伝導率または前記熱伝導率間の比率を求めるに当たって、前記仮想加熱点を前記複数の加熱点の一部とみなしてよい。
また、前記試料上の前記加熱点は前記加熱による熱吸収量が互いに等しいものであってよい。
また、前記試料の前記熱電対が接触する位置の反対側を前記熱電対よりも熱抵抗が高い材料を介して台座に接続してよい。
また、前記試料は、前記熱抵抗が高い材料から前記接触点に向かって、第1の材料からなる第1の領域と、熱伝導率を測定すべき材料からなる第2の領域と、前記第1の材料からなる第3の領域と、熱伝導率が既知の材料からなる第4の領域と、前記第1の材料からなる第5の領域とが互いに接続されて配列され、前記加熱点は、前記第1の領域上に設けられた第1の加熱点と、前記第3の領域上に設けられた第2の加熱点と、前記第3の領域上であって前記第2の加熱点よりも前記接触点に近い位置に設けられた第3の加熱点と、前記第5の領域上に設けられた第4の加熱点とを含み、前記第1〜第4の加熱点から前記接触点までの距離及び前記第1〜第4の加熱点に対応する前記温度上昇と前記第4の領域の前記材料の熱伝導率とに基づいて前記第2の領域の材料の熱伝導率を求めてよい。
本発明によれば、ナノ・ミクロスケールにおける熱伝導率を測定できるので、これまで困難だったナノスケールレベルでの熱評価が、近年社会生活において重要性を増している不均質材料および複合材料など幅広い構造材料や機能性材料に対して可能になり、各種材料の高性能化に活用することができる。
本発明の実施例に使用したナノ熱電対の接合部付近のTEM像。 ナノ熱電対のTEM像及びその電気抵抗を示すグラフ。 ナノ熱電対を電子線によって加熱したときの熱起電力を示すグラフ。 ナノ熱電対を取り付けたTEM用ホルダーの写真。 (A)ナノ熱電対を試料に接触させた状態を示すTEM像、及び(B)この状態でナノ熱電対接合部に照射する電子線をオン/オフさせたときのナノ熱電対の出力電圧を示すグラフ。 (A)試料上のナノ熱電対との接触部以外の点に絞った電子線を照射する例を説明するTEM像、及び(B)試料から発生する二次電子の影響を補償するための測定を説明するためのTEM像。 図6に示す試料上の複数個所のそれぞれに電子線を照射した場合の接触点の温度上昇の測定結果を説明する図。 図6に示す試料上のエポキシ樹脂で接触点から熱的に切り離された複数個所のそれぞれに電子線を照射した場合の接触点の温度上昇の測定結果を説明する図。 試料上の複数個所の温度上昇から試料中の熱伝導経路の相対的な熱伝導率を求める方法を説明する図。 熱伝導率の相対値を求めることができる構成例をモデル化した概念図。 熱伝導率の絶対値を求めることができる構成例をモデル化した概念図。
本発明を実施例を参照しながら以下で詳細に説明する。
以下で説明する実施例では、非特許文献2で開示されているタイプのナノ熱電対を使用した。より具体的には、非特許文献2において実際に使用したナノ熱電対材料の代わりに、HPO水溶液を利用した電解研磨法により作製したCu−Ni(コンスタンタン(Constantan))探針とCr−Ni(クロメル(Chromel))探針とを組み合わせたコンスタンタン−クロメルナノ熱電対を製作した。これにより、−200℃<T<800℃と稼働温度域を大幅に広げることができた。また、低い熱伝導率、大きな熱起電力、線形の応答性、10−2Kに達する計測温度の高い分解能、微小な接合部が実現した高い応答性、熱電対の材料が非磁性材料の組み合わせのため透過型電子顕微鏡内などの強磁場空間内への導入が可能になるなど、様々な点で性能を向上させることができた。また、本製造方法では、用途に応じて、他の熱電対材料を利用してナノ熱電対を作製することができる。
[ナノ温度計の製造方法]
電解研磨法により、Cu−Ni及びCr−Niの線材を先端径を100nm以下に先鋭化した微小探針をそれぞれ作製した。具体的には、透過電子顕微鏡(TEM)内でピエゾ素子を利用した精密な微小探針の位置制御によりこれらの微小探針の先端部同士を接触させ、探針間に10μA程度の電流を通電させることで、図1に示すコンスタンタン線材とクロメル線材との接触抵抗が極めて小さい接合部を形成し、ナノ熱電対すなわちナノ温度計を製作した。図2のTEM像及びその下に挿入したグラフからわかるように、当該接合部及びその両側の線材の総抵抗値は28Ωと十分に低いことが確認できた。
収束させた電子線を対象物に照射することにより、対象物上のナノスケール領域に熱を印加し、熱の投入場所と投入量がコントロールできる。上述のようにして作製したナノ熱電対の先端の接合部近傍に対して図2のTEM像に示すように電子線を照射することで、この例では図3に挿入したグラフに示すように、熱電対先端部の約25Kの温度上昇を捉えることができた。
このようにして作製したナノ熱電対を取り付けてTEM内で対象の試料上の微小領域の温度を測定するためのホルダーの写真を図4に示す。図4にはこのホルダー内のナノ熱電対に発生する熱起電力を測定するための電圧計も模式的に示されている。ここで重要なことは、TEM内の試料位置には大きな磁場(たとえば本実施例では2T)が印加されるため、このホルダー材料、就中ナノ熱電対は非磁性材料で構成する必要がある点である。本実施例ではナノ熱電対材料としてクロメル及びコンスタンタンを使用することにより、この条件を満足している。なお、実施例では複合材料のフィラーとして使用することができるα−Al(以下、単にアルミナと称する)を試料として用いるが、これ以外の各種の材料を測定対象の試料とすることも当然可能である。なお、電圧計から先には、その出力をコンピュータに接続するためのインターフェースなどの装置、またインターフェースから与えられた信号を処理して以下で説明する各種の計算、その他測定系に必要とされる制御を行うための一つまたは複数のコンピュータ及びその上で実行されるコンピュータソフトウエアが設置されている。しかし、これらは何れも当業者に周知の事項、あるいは本明細書及び図面の記載に基づいて当業者が特に創作力を発揮せずに作製できるものであるため、具体的な説明や図示は省略する。
[ナノスケールでの熱の印加と温度計測]
上述のようにナノ熱電対を装着したホルダーをTEM内に収容し、試料に対して図5(A)に示すようにナノ熱電対の先端部(接合部)を接触させる。図5(A)には、収束した電子線を照射してナノスケールでの熱を印加してナノスケールの分解能の温度計測を行う様子も示されている。ここでは電子線を熱電対の先端部近傍に照射しており、この電子線のオン/オフに対応してナノ熱電対に発生する熱起電力が変化する様子が図5(B)のグラフに示されている。電子線を照射するための電子銃はTEM本来の電子銃をそのまま使用することができる。また、試料上にナノ熱電対を接触させる位置及び収束された電子ビームの照射位置は、TEMを使った観察により、正確に位置決めすることができる。このようにTEM像を参照して照射位置を決めることができるので、熱を印加する位置を事前に決めた上でそのために特化した試料を作製する手法に比べて自由度の高い測定を行うことができる。
重要な点として、電子線により熱を印加する場所と温度計測箇所とが空間的に一致している必要がなく、試料上のナノ熱電対の接触部とは異なる任意の点に電子線を照射してよい。これにより、試料上の所望の区間の熱伝導の分析を行うことができる。例えば、図6に、タングステン(W)の台座上にエポキシ樹脂(epoxy)を介して接着されたアルミナの結晶の熱伝導率測定を行う様子を示す。図6(A)においては、ナノ熱電対をアルミナ結晶の上部中央付近に接触させるとともに、電子線をアルミナ結晶の左上隅付近(e-beamで示す円)に照射する。その測定結果を図6の下部のグラフに示す。このようにして、試料上の任意の点に電子線を照射し、ナノ熱電対の接触部の温度上昇を測定することで、電子線照射点とナノ熱電対接触点との間の熱伝導度を求めることができる。なお、電子線を用いて加熱すれば、電子線を最小1nm未満の極めて狭い領域に絞って照射することが可能となるため、微小な構造を有する材料に対する局所的な熱伝導度の測定を行うことができる。逆に、測定に要求される分解能を満たすだけの小さな領域だけを集中して加熱する方法、手段であれば、加熱は電子線に限定されない。従って、「照射点」は一般化すれば「加熱点」と呼ぶべきものであるが、本明細書では電子線による加熱を例に挙げて説明するので「照射点」と呼ぶ。
なお、エポキシ樹脂を介して台座に取り付けているのは、エポキシ樹脂の熱伝導率が非常に小さいことを利用して、電子線照射により照射点に発生した熱が台座への取り付け部分を介して漏洩するという別の熱流経路の影響を可能な限り小さくすることを目的とする。従って、必要に応じてエポキシ樹脂以外の接着剤等であって熱伝導率の小さな(熱抵抗の大きな)他の任意の取付け手段を採用してもよい。また、台座にタングステンを使用することにより、電子線照射時の二次電子による帯電を防止している。
試料の取り付けによる別の熱流路の形成以外の大きな測定誤差要因として、電子線照射により試料から発生する二次電子の影響がある。この試料から発生した二次電子がナノ熱電対を構成する探針に照射されることによる探針の昇温が接触点の昇温と重畳するため、測定誤差が生じる。二次電子による昇温効果(測定誤差)は、本実施例の場合、約0.05℃であった。この測定誤差を相殺するため、図6(B)に示すように、ナノ熱電対の接合部が試料から熱的にほぼ切り離されるが試料から発生する二次電子の影響は接触時とほとんど同程度となるわずかな距離だけ、熱電対を測定対象の試料から浮かせた。この状態で熱電対の出力電圧(図6の下部のグラフ中の小さい方の電圧)を測定することにより、ナノ熱電対を試料に接触させて得られる見かけの熱起電力中の二次電子の影響による出力電圧がわかるため、後者の出力電圧を前者から減算することで、熱起電力だけを得ることができた。
[ナノスケールでの熱流、熱抵抗の解析]
上記の技術を利用して、図7及び図8に例示するように、不均質材料及び複合材料において、熱を印加する場所を変化させることで、熱流に対しての空間的に高い分解能を持った情報が得られる。
図7及び図8は、図6に示す試料(アルミナ(Al))に図6と同じ位置でナノ熱電対を接触させた状態で、試料上の点A〜Hに電子線を同じ強さで順次照射し、そこで得られた熱起電力の測定結果のグラフをそれぞれ示す。電子線の照射位置Iは熱電対が直接接触している粒子上の点とした。この粒子は平板状の形状であり、照射位置A〜Dが設定された別のより大きな粒子に、照射位置Aの上部近傍に延在する粒界を介して接していた。図7はこれらの照射位置A〜D及びIに電子線を照射した場合の熱起電力測定結果のグラフを含む。なお、これらのグラフには、図6(B)を参照して上で説明したところの、二次電子の影響を相殺するためのナノ熱電対を試料からわずかに浮かせた場合の熱起電力測定結果も示す。図8は、アルミナをタングステン(W)台座上に接着するためのエポキシ樹脂上の照射位置G、H、及びこのエポキシ樹脂とタングステン台座との間に一部入り込んだアルミナ上の照射位置E、Fに電子線を照射した場合の図7と同様な測定結果を示す。図8に示されるように、ナノ熱電対との接触点と電子線照射位置との間に熱伝導率の小さなエポキシ樹脂が介在する場合には、二次電子の影響を相殺した後の接触位置の昇温はごくわずかであり、従って、電子線照射により照射位置に与えられた熱が台座側に漏洩する程度は非常に小さいことが確認できた。
このように、計測用試料の熱流を制御できる試料を作製することで、熱抵抗や熱伝導率の相対的な見積もりを行うことができる。すなわち、熱伝導計測を行う試料に比較して、エポキシなどの熱伝導率が極めて小さい材料を、試料を支持させる場所に用いることで、漏洩する熱を低下させることができる。また、集束イオンビーム(FIB)を利用した厚さ100nm以下の試料を作製することで、熱伝導とナノスケールの微細構造の同時評価が可能になる。
図7、図8に示す測定結果を用いて、当該測定対象のアルミナの同一粒子内及び異なる粒子間の粒界部分の熱伝導率の相対値をそれぞれ求めた例を、図9、図10を参照して説明する。
図9(A)に示す測定対象のアルミナと熱電対との接触部分、つまり接触時における熱電対先端部から照射点A〜D、及びIまでの直線距離をTEM像から求め、また図7に示す測定結果から求められる熱電対先端部の温度上昇とを図9(B)のグラフにプロットした。図9(B)に示すように、アルミナの同一粒子上の照射点A〜Dへの電子線照射時の温度変化は照射点Dを除いて、ほぼ一直上にプロットされた。照射点Dは照射点A〜Cが設定されている大きなアルミナ粒子上ではあるが、図9(A)に示すように、やや右側に不規則に突出している部分の先端付近の位置であるので、当該粒子の本体部分と突出部との間に欠陥などの熱伝導率に影響を与える構造が隠れているためにその部分の熱伝導率が高くなっていたり、あるいは突出していることにより照射点Dから熱電対の接触部分までの熱流の経路が曲がったり、あるいは熱流の経路が細くなっている可能性がある。従って照射点Dは除外し、照射点A〜Cについてグラフ上で直線近似(図9(B)上でほぼA、B、Cを通る破線で示す)を行い、直線近似式
y = −0.026868x + 0.26905
を得た(ここで、x及びyはそれぞれ図9(B)のグラフの横軸及び縦軸)。この直線の傾きの絶対値0.026868は同一のアルミナ粒子内のナノレベルの熱伝導率の逆数を表す。
上側にある平板状のアルミナ粒子上の照射点はI一つしかないが、欠陥のほとんどない同じ材料でできている大きな方のアルミナ粒子(照射点A〜Dを有する粒子)と同じ熱伝導率を有するとして、図9(B)のグラフ上に照射点Iを通り照射点A〜Cに対応する近似直線に平行な近似直線(同じく破線で示す)を引いた。こちら側の直線近似式は
y =−0.026868x+ 0.307
となった。
更に、これら2つのアルミナ粒子の粒界の直下及び直上に互いに40nm離間した点U及びVをそれぞれ設定し、ナノ熱電対の先端部からこれらの点までの直線距離を求めた。更に、点U及びVに対応する点がそれぞれA〜Cの近似直線上及びIの近似直線上に乗るとみなして、図9(B)のグラフ上にプロットした。点Uと点Vの間にある粒界部分の熱伝導率は、図9(B)のグラフ上で点U、Vを結ぶ直線
y =−0.9775x + 1.313186
の傾きで表される。ただし、電子線照射時の発熱率は材料により異なるため、このようにして求められた粒子内及び粒界部分の熱伝導率は相対値であることに注意されたい。従って、例えば、上で求められた同一のアルミナ粒子内の熱伝導率をkAl2O3、アルミナ粒子粒界の熱伝導率をkboundaryとしたとき、両者の比率が以下の通り求められる。
Al2O3/kboundary= (1/0.026868)/0.9775=36.382
なお、点U及びVは実際には照射を行っていないが、他の実際に照射を行った(実照射点と呼ぶことができる)複数の照射点についてのデータに基づいて照射点と同等のデータを計算した点であるため、仮想照射点と呼ぶことができる。仮想照射点は、そのデータの計算に使用できる実照射点のデータが存在する限り、試料表面に限定されず、試料内部にも自由に設定することが可能である。
上で説明したところの、試料の熱伝導率の相対値を求めることができる構成例をモデル化した概念図を図10に示す。この図に示されるように、TEM中に設置された試料上の任意の点に電子ビームを照射することにより、当該点に熱が与えられ温度が上昇する。これによりできた温度勾配により熱流が発生する。図10では電子線照射点から左側と右側の両方に熱流が生起する可能性がある。しかし、右側へ向かっての熱流は試料を台座(図示せず)に接着するためのエポキシ樹脂の低い熱伝導率(つまり、高い熱抵抗)によりほぼ阻止され、熱流の大部分は図10の左側へ向かい、最終的には左端の熱電対に到達し、この位置に温度変化を引き起こす。もちろん、電子線照射点の右側もある程度の熱容量を有しているため、電子線照射直後のある期間は右向きの熱流も発生するが、右側へ向かう熱流はエポキシ樹脂によって阻止されるため、照射点よりも右側部分は急速に温度が上昇し、その後は熱流は実質的には左向きのみとなる。
原理的には、熱が与えられる点からの熱流が複数の経路を取って流れる場合でも、それぞれの経路の熱流量が計算あるいは測定できるのであれば、熱伝導率の計算は可能である。しかし、そのような場合には多様な経路の熱流量の計算や測定が複雑或いは困難である。また、その様な問題を克服できたとしても、熱流を特定の経路に集中させた方が経路上の温度勾配が大きくなるため、測定の分解能や精度の面で有利である。
上の実施例で説明したように、電子線照射点がIの場合には熱流の経路は全て一様な材料(熱伝導率kAl2O3)であるが、A〜Dに電子線を照射した場合には、熱流の経路中に熱抵抗が高い粒界(熱伝導率kboundary)が介在する。もちろん、熱流の経路上に熱伝導率が異なる複数種類の材料が介在することもある。従って、このモデルでは、経路上の多数の点にそれぞれ同一の熱を与えてそれによる熱電対先端部の温度上昇を測定し、熱電対先端部と電子線照射点との距離と当該電子線照射による温度上昇との関係をグラフ上にプロットすると、折れ線状のグラフになる。この折れ線を構成する各線分が熱流の経路上における熱伝導率が同じ材料でできている領域に対応する。なお、熱伝導率の計算に使用する電子線照射点は全て電子線照射時の吸熱量が実質的に同じ(つまり、熱伝導率の計算結果がそれに求められる精度を保持できる程度に近い値)であるか、少なくとも各点における吸熱量の比がわかっていなければならない。例えば上述の実施例では電子線照射点A〜D、Iは同じ材料(アルミナ)からなる表面上に設定したので、これらの点における電子線照射時の吸熱量もほぼ同じであると考えることができる。
ここで、図10を用いて説明したモデルと図9等を用いて説明した現実の試料との違いについて注意すべき点は、図10のモデルは試料中の同じ材料でできている区間(図10では同じ濃度で描かれている区間)は熱伝導率が同一であると仮定されているが、現実の測定では必ずしもこれが成立しないことである。図9で言えば、同じ結晶粒子中の照射点A〜Cについて考えてみても、結晶粒子中のわずかな不純物や格子欠陥、各照射点からナノ熱電対の接触点までの熱流経路が互いに平行になっていないことによるこれらの熱流路と結晶軸のなす角度の相違、測定時の各種の揺らぎ等による測定誤差等により、図9(B)に示すように照射点A〜Cについてのデータは完全に一本の直線上に並ぶとは限らない。従って、図10のモデルで考えれば、同一材料でできた区間内で2つの照射点を設定するだけで十分なはずであるが、実際には上で述べたような各種の要因があるため、3つあるいはもっと多数の照射点を設定し、図9(B)の破線で示されるようなこれらの照射点について得られるデータにもっともよくあてはまる直線近似などを行うことで、測定精度を改善することができる。本願で複数の照射点(より一般的には加熱点)の間の熱伝導率を求めるという場合には、2つの照射点に対応するデータからその間の熱伝導率を求めることだけではなく、上述のような3つ以上の照射点に対応するデータに対して直線近似等を行うことで、これらの照射点が存在する領域内での熱伝導率を求めることも包含することに注意されたい。
なお、図10を用いて説明した一次元熱流モデルが成立するためには、熱電対を接触させる端部と反対側の端部を十分に大きな熱抵抗を有する手段(例えばエポキシ樹脂、あるいは真空などでもよい)で熱絶縁するだけではなく、熱流がほぼ一次元的に流れるようにするため、それ以外の方向の熱流の経路が実質的に存在しない(図10で言えば経路の途中で上下方向などに熱流が漏洩しない)ように、熱抵抗の大きな材料や真空等で周囲を取り囲むことが必要である。さらには、試料内部も熱流が一次元方向に流れること(つまり、試料内部が熱伝導率で見たとき、一次元構造になっていて、試料内部で熱流が予測できない態様で蛇行したり迂回したりしないようになっていること)も必要とされる。この最後の条件を満足させるようにする方法の一つとして、試料を非常に細い、あるいは非常に薄い形状に形成する(例えば、上述したように、FIBを用いて100nm以下の厚さに加工する)ことで、試料内部に不均一性が存在しないようにすることが考えられる。あるいは試料内部に熱伝導率が異なる領域が混在している場合であっても、混在のパターンが測定の分解能との比較で十分に一様に分布していたり、あるいは熱伝導率が他の領域よりも十分に大きいために熱流の大部分が通る領域に着目した場合にこのような領域が実質的に一様な一次元の熱流の経路を提供するなどの場合には、この最後の条件は実質的に満足されているとみなすことができる。
また、試料作製の都合その他の事情によっては、図10の左端に示すように熱伝導率測定対象の材料(ここではAl)表面に直接ナノ熱電対を接触させる代わりに、熱電対が接触する側の面に更に別の材料を設けた形態の試料を準備し、ナノ熱電対は直接には当該別の材料に接触させてもよい。
さらに、熱伝導率が既知の標準材料の利用により、電子線照射時の発熱エネルギーを見積もることによって、絶対値の見積もりも可能になる。具体的には、例えば図11に示す概念図を参照して以下で説明する方法によって熱伝導率の絶対値を求めることができる。図11は基本的には図10に更に要素を追加したものであるので、図10について既に説明済みの事項についてはここでは説明を省略する。また、図11には、図10の説明中で言及したところの、電子線照射位置の熱電対先端部からの距離と当該照射による熱電対先端部の温度上昇の関係の折れ線状グラフも図示されている。
図11に示す構成の特徴は以下の三点である。
A. 電子線照射時に熱変換しにくい軽元素からなる試料の熱伝導率測定にも対応するために、電子線照射時の熱変換率が高く熱投入量が比較的大きい重元素からなる「同一の試料」で標準試料と測定試料をそれぞれ挟み込むようにする。(電子線にとってより透明な材料ともいえる炭素などの軽元素でできたカーボンナノチューブ、グラフェン、エポキシ樹脂等に電子線を照射しても、熱の吸収率があまり良くなく、十分な熱量が投入できない。従って、図10に示す手法において、電子線を照射する場所(熱投入する場所)に軽元素の材料を使うことは適切ではない。そこで、様々な材料の熱伝導率の絶対値が評価できるところの、以下で図11を参照して説明するような手法がより好ましい。)
B.電子線照射時の吸熱量がどの照射点でも同じになるように、全ての電子線照射点が同一の材料(図11ではタングステン)からなるようにする。つまり、試料(図11では測定試料)を上述の「同一の材料」で挟むようにする。
C.熱流が既知の熱伝導率を有する材料(標準材料)を通過するようにするため、熱流の通過経路中に上述の「同一の材料」で挟まれた標準材料を設ける。
図11に示す構成において、電子線照射点(1)〜(6)のうちで、(2)及び(3)は熱流の向きに関して測定試料の上流側及び下流側の測定試料近傍に定められる。また、(4)及び(5)は同じく熱流の向きに関して標準材料のそれぞれ上流側及び下流側近傍に定められる。この構成に対してこれまでに説明した態様で電子線照射を行って左端部分の温度変化を熱電対で測定することにより、図11の下側に示すグラフが得られる。ここで電子線は全てタングステンでできた部分に照射されるため、各照射によって試料に吸収された熱量は同じである。また、測定試料中及び標準材料中の熱流経路長はTEMによる観察等で測定できる。従って、このグラフ上で(2)と(3)との間のグラフの線分の傾きであるΔT試料/Δx試料、及び(4)と(5)との間のグラフの線分の傾きであるΔT標準材料/Δx標準材料が計算できる。
ここにおいて、標準材料の既知の熱伝導率k標準材料を使って、試料の熱伝導率k試料を以下のように表すことができる。
標準材料 = αk試料
ここで
α =(ΔT試料/Δx試料)/(ΔT標準材料/Δx標準材料
αを表す分数式の分子および分母は上で述べたように計算できることから、試料の熱伝導率k試料も、その絶対値を計算することができる。
なお、前記電子線照射点(2)〜(5)が何らかの事情で測定試料あるいは標準材料に充分近接した位置に設定できない場合は、図9を用いて説明したような仮想照射点を所望の位置に設定し、他の複数の照射点に対応して得られたデータに基づいてこれらの仮想照射点に対応するデータを計算してもよい。
また、上の説明中における測定試料を挟む「同一材料」の当該使用環境下での熱伝導率が既知である場合には、上記標準材料を「同一材料」と同じ材料とすることができることに注意されたい。このように標準材料にも「同一材料」を使用した場合には、図11の(3)より左側の構造は上記同一材料だけでできた一体の構造に単純化される。上述の熱伝導率の絶対値の計算式もこれに合わせて修正することができる。
本発明は、電子線の照射等によるナノスケールでの熱の印加方法とナノスケールの空間分解能の温度計測とを組み合わせたものであり、本発明はこれらに限定するものではないが、以下に例示する各種の分野に利用することができる。
・熱伝導複合材料の熱伝導機構の解明
・ナノスケール物質の熱伝導度の計測
・ナノスケール熱電デバイスの微細構造と熱流の同時評価
また、本発明は加熱できる領域のサイズや位置分解能、熱電対先端のサイズやその接触位置設定の分解能、その他の上述した熱伝導率計算手法の特性等から、1nm×10nm×10nm〜100μm×10μm×1μm(長さx×奥行きy×厚さz)程度の範囲の大きさの試料や所望の領域の熱伝導率(絶対値あるいは相対値)の測定に特に有用である。
Li Shi, Sergei Plyasunov, Adrian Bachtold, Paul L. McEuen, andArunava Majumdar, Appl. Phys. Lett. Vol. 77, No. 26, 4295 (2000) Naoyuki Kawamoto, Ming-Sheng Wang, Xianlong Wei, Dai-Ming Tang, Yasukazu Murakami, Daisuke Shindo, Masanori Mitome and Dmitri Golberg, Nanotechnology 22, 485707 (2011).

Claims (17)

  1. 試料に接触する熱電対と、
    前記試料上の複数の加熱点を順次加熱する加熱装置と、
    前記順次加熱による前記接触点の温度上昇に応答した前記熱電対の複数の出力を検出して前記複数の加熱点の加熱にそれぞれ対応する複数の温度上昇を測定する装置と
    を設け、
    前記複数の加熱点間または前記複数の加熱点から前記試料上の前記熱電対の接触点までの距離及び前記複数の加熱点に対応する前記複数の温度上昇に基づいて前記複数の加熱点の間または前記複数の加熱点と前記接触点の間の熱伝導率または前記熱伝導率間の比率を求める微小熱伝導率測定装置。
  2. 前記加熱装置は収束された電子線を前記複数の加熱点に照射する、請求項1に記載の微小熱伝導率測定装置。
  3. 前記試料が透過型電子顕微鏡(TEM)または走査透過電子顕微鏡(STEM)内に収容されてTEM像またはSTEM像を観察可能であるとともに、
    前記収束された電子線を前記複数の加熱点に照射する加熱装置は前記TEMまたはSTEMの電子銃である、
    請求項2に記載の微小熱伝導率測定装置。
  4. 前記熱電対は非磁性体の二種類の材料の針状物の接合体である、請求項3に記載の微小熱伝導率測定装置。
  5. 前記二種類の材料はクロメル及びコンスタンタンである、請求項4に記載の微小熱伝導率測定装置。
  6. 前記針状物の先端の径は100nm以下である、請求項4または5に記載の微小熱伝導率測定装置。
  7. 前記試料は前記熱電対よりも熱抵抗が高い材料を介して台座に取り付けられる、請求項1から6の何れかに記載の微小熱伝導率測定装置。
  8. 試料に熱電対を接触させ、
    前記試料上の複数の加熱点を順次加熱し、
    前記順次加熱による前記接触点の昇温に応答した前記熱電対の複数の出力を検出して前記複数の加熱点の加熱にそれぞれ対応する複数の温度上昇を測定し、
    前記複数の加熱点間または前記複数の加熱点から前記試料上の前記熱電対の接触点までの距離及び前記複数の加熱点に対応する前記複数の温度上昇に基づいて前記複数の加熱点間または前記複数の加熱点と前記接触点との間の熱伝導率または前記熱伝導率間の比率を求める
    微小熱伝導率測定方法。
  9. 前記加熱は収束した電子線により行う、請求項8に記載の微小熱伝導率測定方法。
  10. 前記試料をTEMまたはSTEM内に収容してそのTEM像またはSTEM像を観察できるようにし、
    前記電子線の照射は前記TEMまたはSTEMの電子銃により行う
    請求項9に記載の微小熱伝導率測定方法。
  11. 前記試料と前記熱電対との接触を解除した状態で前記熱電対からの前記複数の加熱点の加熱に対応する複数の較正出力を検出し、
    前記複数の加熱点への前記電子線の照射による二次電子が前記熱電対の前記出力に与える影響を前記複数の較正出力により打ち消す、
    請求項9または10に記載の微小熱伝導率測定方法。
  12. 前記熱電対は非磁性体の二種類の材料の針状物の接合体である、請求項9から11の何れかに記載の微小熱伝導率測定方法。
  13. 前記試料は前記熱電対よりも熱抵抗が高い材料を介して台座に取り付けられる、請求項8から12の何れかに記載の微小熱伝導率測定方法。
  14. 前記試料上または前記試料中の点であって前記複数の加熱点以外の点を仮想加熱点として設定し、
    前記仮想加熱点から前記接触点までの距離と前記複数の加熱点から選択された複数個の加熱点に対応して測定された前記複数の温度上昇に基づいて前記仮想加熱点に対応する温度上昇を計算し、
    熱伝導率または前記熱伝導率間の比率を求めるに当たって、前記仮想加熱点を前記複数の加熱点の一部とみなす、
    請求項8から13の何れかに記載の微小熱伝導率測定方法。
  15. 前記試料上の前記加熱点は前記加熱による熱吸収量が互いに等しい、請求項8〜14の何れかに記載の微小熱伝導率測定方法。
  16. 前記試料の前記熱電対が接触する位置の反対側を前記熱電対よりも熱抵抗が高い材料を介して台座に接続する、請求項8から15の何れかに記載の微小熱伝導率測定方法。
  17. 前記試料は、
    前記熱抵抗が高い材料から前記接触点に向かって、
    第1の材料からなる第1の領域と、
    熱伝導率を測定すべき材料からなる第2の領域と、
    前記第1の材料からなる第3の領域と、
    熱伝導率が既知の材料からなる第4の領域と、
    前記第1の材料からなる第5の領域と
    が互いに接続されて配列され、
    前記加熱点は、
    前記第1の領域上に設けられた第1の加熱点と、
    前記第3の領域上に設けられた第2の加熱点と、
    前記第3の領域上であって前記第2の加熱点よりも前記接触点に近い位置に設けられた第3の加熱点と、
    前記第5の領域上に設けられた第4の加熱点と
    を含み、
    前記第1〜第4の加熱点から前記接触点までの距離及び前記第1〜第4の加熱点に対応する前記温度上昇と前記第4の領域の前記材料の熱伝導率とに基づいて前記第2の領域の材料の熱伝導率を求める
    請求項16に記載の微小熱伝導率測定方法。
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