JP2015038446A - 屋内配線の接続不良等検出装置、及びこれを用いた接続不良等判定方法 - Google Patents

屋内配線の接続不良等検出装置、及びこれを用いた接続不良等判定方法 Download PDF

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Abstract

【課題】特に、経年住宅の屋内配線電路に配置された、分電盤、分岐部、接続端子部、又は壁コンセントの接続部に発生する接続不良を簡易かつ容易に判断できるようにする。【解決手段】検査対象ケーブルの分電盤側に基準用プラグ接続。同ケーブルに繋がる壁コンセントに測定用プラグ接続。これら各プラグから検査対象ケーブルの各心線毎の電圧降下量を算出。各心線毎の電圧降下量から、それらの差分を算出。これら差量を良否判定可能に表示。更に、擬似負荷を接続し、負荷電流を流すことで、接続不良の検出感度向上。更に、検査対象のFケーブルが繋がる子ブレーカーとは別の子ブレーカーに繋がる壁コンセントに基準用プラグを接続することで、作業の手間削減。更に、小径の測定子2本を測定用プラグの刃と刃の間に進退自在に配置。測定子間への電圧印加で、コンセント表面のプラグ当接部分の絶縁抵抗を測定し、良否判定可能に表示。【選択図】 図7

Description

本願発明は、屋内配線の接続不良等検出装置、及びこれを用いた接続不良等判定方法に関し、特に、普段の生活では気付きにくい場所での火災の原因となる配線接続不良、例えば、壁のコンセントボックス内の接続部分や天井裏での分岐部分等について、その配線接続不良を検出、判定する、或いは、壁コンセントのプラグ接触面の絶縁不良を検出、判定するのに用いて好適な屋内配線の接続不良等検出装置、及びこれを用いた接続不良等判定方法に関する。なお、文章や図面で使用される用語については、適宜略して使用することがある。
1.電気火災の発生状況
東京消防庁による平成23年度の統計によると、電気火災は全火災件数の約20%を占め、近年はその割合が増加傾向にある。家庭電気製品別での発生件数は電気ストーブが一番多く、次に壁コンセント、差込プラグ、クッキングヒーターの順になっている。このうち、電気ストーブやクッキングヒーターの火災発生原因には、スイッチの切り忘れや燃えやすい物への引火など、不適切な取り扱いが多い。
一方で、壁コンセントや差込プラグなど配線器具での火災原因では、器具内部の異常過熱や壁コンセント差込プラグ接続部のトラッキング現象があり、普段の生活では気付きにくい所から発生している点に特徴がある。
2.配線器具からの発火
冷蔵庫や洗濯機などは、プラグを壁コンセントに差込後、10年以上そのまま使用する事が多い。壁コンセントに振動や温度変化が長期間加わると、プラグの刃やコンセント受口の変形、金属面の酸化、器具内部の接続電線ゆるみ等が起きて電気抵抗が増え、導通性能が低下して接続不良となる場合がある。電気抵抗が著しく増加した配線器具は、通常の製品使用電流で異常に発熱し、発火の原因となる。
また、長期間の使用では、壁コンセントとプラグ差込の隙間に、塵埃や汚れが多量に付着する。そういう隙間に水分がたまると、器具表面の絶縁が低下し、トラッキング現象と呼ばれる電極間の沿面放電が発生する。放電が繰り返されると表面の絶縁体が炭化し始め、やがてショート状態(短絡状態)になり発火する。トラッキング現象は、在宅・不在宅、昼・夜の関係なく発生する。この為、発見が遅れ全焼する例が多い。
3.現状の火災予防方法
先ず、使用者が行う予防法として、電気製品は使用前に取扱説明書を良く読み、正しく使用する事がある。次に、壁コンセントやプラグなどの配線器具についての変色や発熱の点検、壁コンセントとプラグの隙間の清掃などがある。この他、電力会社が行う定期点検として一般家庭の漏電検査や絶縁測定がある。家庭の分電盤には漏電ブレーカーの設置が義務化されており、漏電が発生した場合は自動的に電気が遮断される。
4.特許文献に開示された火災予防方法
特許文献1には、電線の接続部の接続不良を初期段階において検出することができる「接続不良検出装置」が開示されている。
この装置は、電線路に存在する接続部の両端部に設けた電圧センサからなる電圧検出端子を、接続不良検出装置の端子にそれぞれ接続した構成であり、正常時、接続不良発生時、及びグロー放電時に発生する特有の電圧波形を、当該接続不良検出装置に記憶させて置き、これと検出した測定電圧波形とを比較して接続の良否を判別する。
また、特許文献2には「電線の接続不良検出回路及び回路遮断器」が、また、特許文献3には「電路接続部の接続不良検出回路」が開示されている。
これらの開示技術では、その各電路に電圧波形検出のためのセンサ回路を接続しておき、この各センサーから得られた波形、即ち接続不良時に発生する特有の電圧波形を情報源とし、これと予め想定して記憶させて置いた波形とを比較演算して、接続状態の良否を判定する。
特開2001−343416 特開2009−145083 特開2008−305764
1.上記現状の火災予防方法の問題点
a.家電機器の増加や大型化で壁コンセント周囲が密集し、配線器具の点検や清掃はより困難になっている。
また、壁コンセントは常に通電されており、差込プラグのように外せないため点検や清掃が難しい。
b.点検で変色や過熱を発見しても、異常な発熱が起きた後の状態であり確実な火災予防とならない。
c.壁コンセント側に接続不良があっても電気製品の消費電流が小さければ発熱せず見つけられない。壁コンセント器具は何十年もそのまま使用する事が多く発火要因を持ったまま経過する恐れがある。
d.配線の接続不良や表面の絶縁不良は、器具と大地間の絶縁不良や大地への漏電とはならない。この為、従来の漏電検査では検出が困難で、過熱時も漏電ブレーカーは動作せず火災を確実に防止できない。
2.上記特許文献に開示された火災予防方法の問題点
特許文献1の開示技術にあっては、主にブレーカー内部の接点機構の接触不良検出を目的としており、その時に発生するスパイク状の電圧波形に着目している。したがって、その実施にはブレーカー側周囲にセンサー及び検出装置を予め組み込んで置く必要があり、既存の一般家庭用の分電盤にはそのまま適用できず、新たな分電盤や改造した分電盤と交換しなければならないという問題がある。
加えて、小電流や無電流状態では、判定に必要な電圧波形を得ることができないこと、或いはスパイク状の波形出力とならない場合は判定が出来ないと言う問題もある。
特許文献2、及び特許文献3についても問題がある。すなわち、当該回路構成では、接続部の接続不良があっても、一定以上の電流が流れないとセンサー回路が作動せず、検出は不可能である。更に、接続不良を検知したい電路接続部ごとにセンサー回路を配置しなければならない。しかし、一般住宅の屋内配線では、天井裏や壁裏などの隠ぺい場所にも多数の電路接続部があり、それらへの設置は非常に複雑かつ煩雑になり、事実上不可能である。
さらに、壁コンセントに接続されたケーブルの接続部の不良を検出したい場合は、電圧検出線をケーブル側と壁コンセント側へ接続する必要があるが、この接続は実際不可能である。この為、この壁コンセント部における接続不良の検出は、特許文献2の開示発明では困難である。
本願発明は上記の課題に着目してなされたものであり、特に、経年住宅の屋内配線電路に配置された、分電盤、分岐部、接続端子部、又は壁コンセントの接続部に発生する接続不良、或いは、壁コンセント表面に発生する絶縁不良を簡易かつ容易に判断できるようにすることを目的とする。
上記目的を達成するため、本願発明にかかる屋内配線の接続不良等検出装置(以下、「本願装置」)は、2心線又は3心線で配線される屋内配線において、接続不良検査の対象配線長の両端側に各心線毎に接続する接続手段と、該各接続手段を介して前記対象配線長間における各心線毎の電圧降下量を測定する電圧測定手段と、該心線毎の電圧測定手段からの電圧情報を比較して電圧降下差を検出する差電圧検出手段と、該検出された差量を良否判定可能に表示する表示手段と、から構成したことを特徴としている。
この様に構成した本願装置の作用は、次の通りである。
通常2心又は3心から成る屋内配線用のケーブル(VVFケーブル。通称、Fケーブル。)の各心線は、規格に則って製造され、略同一の導通抵抗値となっている。これを前提とし、接続不良検査の対象として特定した配線長の各心線毎の電路中に接続不良部分がある場合は、これを原因として抵抗値が上昇し、その分の電圧降下が生じる。
この電圧降下量を各心線毎に接続した電圧測定手段でそれぞれ測定して、その差量を差電圧検出手段で検出する。そして、この電圧降下差量を良否判定可能に表示することで、接続不良の存在を判定可能とする。
また、請求項2の構成は、請求項1の構成に加えて、さらに前記対象配線長の何れか一方端側に接続する前記接続手段に接続させる負荷手段を備えることを特徴としている。
対象配線の電路に負荷装置(例えば電気器具の接続)の接続が無い場合、電流は流れない。この無電流状態では、電圧降下は生じない。この負荷手段は、接続部を介して測定のための負荷電流を流すものであり、それにより測定のための電圧降下を発生させる。
また、請求項3の構成は、対象配線長の両端側に接続させる2個の接続手段のいずれか又は両方が、屋内露出配設のコンセントを用いて電圧降下を測定するものである。
対象配線長の電源側(分電盤側)に接続させる接続手段にコンセントを用いる方法により、測定精度に影響を与えない範囲で測定作業効率と安全性を著しく向上させることができる。
この電圧検出のとき、接続手段の心線には計測用の数十mA程度の電流しか流れない。よって、これによる電圧降下は測定対象の電圧降下に対し、1%以下の大きさであり無視できる。
従って、隣の部屋のコンセントなど、そのときの計測対象であるコンセント等の近くに存在し、それとは別の子ブレーカーに繋がれているコンセントに前記接続手段を接続しても、当該元側の電圧を正確に取得できる。こうすれば、装置本体と接続手段とを繋ぐ電線長を短くでき、作業性が高まる。
また、請求項4の方法は、前記請求項1、2、又は3記載の屋内配線の接続不良検出装置を用いて、前記対象配線長の両端部に接続した接続手段によって各心線毎の電圧降下量を測定し、この電圧降下差量を良否判定可能に表示することで、接続不良の存在を判定可能とすることを特徴としている。その作用は、前記請求項1、2、又は3記載の屋内配線の接続不良検出装置についてと同様である。
また、請求項5の方法では、前記対象配線が無電流状態のときは、前記接続手段の何れかに接続した負荷手段により負荷電流を流し、各心線毎の電圧降下量を検出してその電圧降下差を測定したことを特徴としている。その作用は、前記請求項1、2、又は3記載の屋内配線の接続不良検出装置についてと同様である。
また、請求項6の方法では、検査する対象配線長を分電盤から分岐した別経路の配線が接続された各別のコンセント間に特定し、各コンセントにプラグ構成した接続手段を嵌合させて測定を行うことを特徴としている。その作用は、前記請求項1、2、又は3記載の屋内配線の接続不良検出装置についてと同様である。
1.装置としての有効性
a.現在まで、通電中にある天井裏配線や壁コンセント裏の配線、隠ぺい接続部の接続不良を検出できる装置は無い。本願装置は、壁コンセント器具差込口からコンセント裏の接続部〜天井裏ケーブル〜分電盤子ブレーカー接続部までの全体において、異常発熱となる接続不良配線を検出できる。
また、本願装置はトラッキング現象となる壁コンセント器具表面の絶縁不良も検出できる。
b.本願装置を使わず、一般的原理で内部導通性能や表面絶縁を測定する場合、負荷機器、電流計、電圧計、絶縁計、断続用及び切替用の開閉器などと、これらを繋ぐ複雑な配線が必要となる。この為、作業効率が悪く実用性が低い。本願装置では、診断に必要な各測定検出機能と判定表示機能とが効率的に組み込まれており、実用性が高い。
c.本願装置は、例えば重さ8kgで、更に軽量化も可能であり、コンパクトである。装置の操作や取扱いは簡単で高度な技術を必要としない。壁コンセント配線における電気火災原因の検出作業を一人で実施できる。
d.絶縁測定用の接触子を測定プラグ中央に配置した事で、簡単に位置決め固定ができ、安全でもある。
e.本願装置は内部導通性能と表面絶縁性能測定とを共通の測定プラグSPで行っている。各性能を連続で測定した場合、5秒程度で済む。家屋の、例えば30〜60ヶ所の壁コンセント全てを診断しても短時間で済む。
f.本願装置は100V壁コンセントの他、200V壁コンセントなどの配線器具の測定にも応用できる。
2.火災予防の観点から見た有効性
a.従来の予防は、変色や発熱の有無など、視覚や触覚に基づく確認が主である。本願装置は電気的な測定で壁コンセント器具の表面絶縁性能、内部導通性能を診断する。本願装置は過熱や発火になる前の早い段階で異常を検出できる。この為、壁コンセントや天井裏分岐部などからの電気火災を未然に防止できる。
b.分電盤の子ブレーカーから壁コンセントに至るケーブル配線を含めた接続不良を検出できる。ケーブル配線は天井裏で部屋毎に壁コンセント用として分岐接続される。従来は発見が困難な天井裏ケーブル接続不良の異常発熱部等も検出できるため、天井裏からの出火を予防できる。
c.地震や水害等で配線や壁コンセントに無理な力や汚れが加わると、火災予防上、多数の住居を対象に、壁コンセントや屋内配線の導通性能、表面の絶縁性能を早期に確認する必要がある。本願装置は短時間で測定作業ができる為、多数の住居を対象にした確認作業を短期間にできる。
d.本願装置は住宅以外についても診断可能である。例えば、オフィスビル、工場の他、寺院、神社、美術館など重要な建築物には壁コンセントが多数使用されている。本願装置により、壁コンセント配線の接続不良や表面絶縁不良を早期に検出できれば、これら建物、施設等についても電気火災を防止できる。
壁コンセントとプラグを示す正面図及び実施の形態の測定用プラグと測定子を示す斜視図である。 壁コンセントの絶縁抵抗を測定する際の回路構成を示すブロック図である。 電力量メーターから壁コンセントに至る迄の屋内配線の例を示す結線図である。 2線VVFケーブルの外観を示す平面図及びその導体抵抗の例を示す表である。 分電盤から壁コンセントに至る迄の屋内配線に於ける接続箇所の例を示す結線図である。 負荷電流、例えば6Aを流したときの、Fケーブルの各心線の電圧降下を測定する際の回路構成を示すブロック図である。 診断対象の壁コンセントに給電している分電盤ブレーカー(子ブレーカー)Aとは別の分電盤ブレーカーBから給電されている壁コンセントに基準プラグを接続し、その電圧を降下前の電圧と看做してFケーブルの各心線の電圧降下を測定する際の回路構成を示す結線図である。 接続不良の発生箇所の違い(1)(2)によって、各壁コンセント(い)〜(へ)への電圧降下の現れ方が異なって来ることを説明する為の結線図である。 抵抗負荷を掛けた際の電圧降下を測定する為の回路構成を示すブロック図である。 実施の形態例装置の基本制御シーケンスを示すブロック図である。 実施の形態例装置のコンセント表面絶縁抵抗測定の手順を示すブロック図である。 実施の形態例装置の100V電源電圧降下測定の手順を示すブロック図である。 実施の形態例装置の器具内部導通性能測定の手順を示すブロック図である。 実施の形態例装置の外観を示す正面図である。 実施の形態例装置の外観を示す背面図である。 モデルとした一般住宅測定結果を示す表である。 モデルとした一般住宅の各部屋の壁コンセントの配置等を示す平面図である。 100/200V単層3線式の配電例を示す結線図である。 分電盤の配線と各保護装置の例を示す正面図である。 B種接地と感電時の電流(破線)の経路を示す結線図である。 絶縁測定と漏洩電流(破線)測定の例を示す結線図である。 コンセント表面の絶縁低下の例を示す結線図である。 接続不良に関する例を示し、(A)はロの接続箇所において接続不良があり発熱している例を示す接続図、(B)は天井裏のFケーブル配線と接続箇所の例を示す結線図である。 接続不良配線の発見方法の説明の為の接続不良に係る抵抗値等の例を示す結線図である。 黒線の接続部に接続不良による抵抗が存在し、これにより、所定の電流を流したとき、黒線側と白線側とで、電圧降下に差が生ずることを利用し、接続不良を発見することを説明する為の配置図である。 黒線測定時と白線測定時で、測定用電流が一定である場合と変化した場合の、各線の電圧降下波形を対比して示す波形図である。 同時引き算による差電圧検出を示し、(A)は黒線側に接続不良0.1Ωがある場合、(B)は黒線側に接続不良がない場合を示す波形図である。 特許文献1の発明の適用範囲の例(1)と本願発明の適用範囲の例(2)とを示す結線図である。 特許文献2の発明のセンサー作動の限界例を示す回路図である。
次に、本願発明の具体的実施形態ESについて説明する。なお、壁コンセントCWのように一つの図の中に複数個表示される部材については、図を見易くする為、その中の幾つかについて、その符号を付す。
1.課題解決へのアプローチ
配線器具からの電気火災を確実に防止するには、使用者による器具の変色や発熱の点検、清掃だけでは十分でない。家屋にある全ての壁コンセントCWを対象に、電気的な方法で内部の導通性能や表面CSの絶縁性能を測定し、性能が著しく低下している異常な器具を早期に見つける事が必要である。
現代家屋の屋内配線は、2線以上の電線が組まれたJIS規格の高品質ケーブルを使用し、分電盤DBから天井裏で分岐し壁コンセントCWへ配線している。壁コンセントCWの差込形状や寸法は規格化され共通になっている。これらの特徴を使い、通電状態のまま壁コンセント配線の導通性能や表面CSの絶縁性能を測定し、異常な器具を簡単に検出できる装置があれば壁コンセントCW側からの電気火災を防止できる。
2.装置ESの基本構造
(1)装置ESの測定機能
a.壁コンセント差込口表面CSの絶縁抵抗測定
壁コンセント差込口表面CSの絶縁性能を測定し、導電性汚れDT(図22)やトラッキンング現象による絶縁低下があるか診断する。絶縁性能の測定結果表示と、判定基準値との比較による良否判定可能な表示をする。
b.壁コンセントCWの内部導通電圧降下差測定
壁コンセントCWの差込口から裏側接続部〜天井裏配線〜分電盤子ブレーカーBまで含めた導通性能を測定し、接続不良があるか診断する。測定結果表示と、基準値との比較による良否判定可能な表示をする。
c.壁コンセントの100V電源電圧降下測定
壁コンセントCWの差込口の無負荷時と負荷時の電源電圧を測定し、100V電源の電圧降下を良否判定可能に表示する。
これにより、内部導通電圧降下差の測定結果と合わせ、分電盤DBの電源側を含めた電圧供給性能の確認が出来る。
(2)器具絶縁抵抗の評価方法 図1参照
a.壁コンセントと差込プラグの隙間GP(図22)に塵埃や汚れDT(図22)が付着し、そこに水分がたまると絶縁が低下し、やがてトラッキング現象の放電が起きる。絶縁性能低下は壁コンセントとプラグが接触する面CFに発生する。絶縁性能の測定点TPを、プラグが接触する面CFの中心となる壁コンセント表面差込口中央とする。
b.この壁コンセント差込口の中央は100V充電部が近い。そこで絶縁測定用の測定子を安全に接触させるため、測定用プラグSPの中央に金属製測定子SEを2本、進出、後退可能に配置する。測定用プラグSPを壁コンセントCWに差し込むと、この測定子SEが同時に差込口の中央位置に接触固定され、安全に測定ができる。
(3)コンセント差込口表面絶縁抵抗の測定方法 図2参照
a.測定用プラグの測定子SEを壁コンセントCWの測定位置に接触後、その測定子SE間に直流電圧を印加し、流れる電流で発生した装置側抵抗の電圧を基準電圧と比較し、良否判定可能に表示する。
b.例として、壁コンセントCW側の表面絶縁抵抗が1MΩで装置側抵抗が0.1MΩとする。
直流電圧が11Vの場合、電流は 11V ÷ 1.1MΩ = 10μAとなる。
装置側抵抗に発生する電圧は 0.1MΩ × 10μA = 1.0Vとなる。
(4)内部導通電圧降下差の評価方法
a.家庭における分電盤DBから壁コンセントCWまでの配線は図3のようになっている。現代の家屋では、ブレーカーBから壁コンセントCWまでの配線は、図4のようなJIS規格ケーブルFCが使用されている。ケーブルの内部には2本(又は3本)の電線が組み込まれている。ケーブルFCは分電盤ブレーカーBから天井裏を経由して壁コンセントCWに接続されている。ケーブル配線の特徴として、壁コンセントCWまでの内部2線(黒・白)は電線の太さと電線の長さが同じであり、導通抵抗値はほぼ等しい。
b.接続不良による過熱は壁コンセント器具内部の接触不良の他、図5各矢印部分等の接続不良があると発生する。異常発熱は接続不良による導通抵抗の増加部分で発生し、10W近い熱量が集中すると高温になる。分電盤ブレーカーBから壁コンセントCWまでのケーブル配線長は10〜30m程度だが、導通抵抗値は非常に低く、通常は黒白2線ほぼ同じ値となる。しかし、接続不良がある場合は不良線側の導通抵抗値が大きく増える。過熱となる場合、抵抗増は0.1Ω程度以上あり抵抗値差による不良検出は可能である。( 50mケーブルの導通抵抗値0.28Ω、2線の導通抵抗値差0.01Ω以下 )
c.片側線接続不良の導通抵抗値差を精密抵抗計で測定するには停電が必要であり作業性が悪い。そこで、通常、ブレーカーBから壁コンセントCWまでの2線はほぼ同じ導通抵抗値のため、負荷電流を流した時、2線各々の電圧降下が同じ値になる事に着眼する。つまり、接続不良がある場合は接続不良側電線路の電圧降下値が大きくなる。通電状態の壁コンセントCWに一定の負荷電流を流して2線各々の電圧降下値を測定し、2線電圧降下値の差が異常に大きい場合は接続不良があると判断できる。
なお、確率として非常に低いが、2線とも同時に接続不良があり、増加した導通抵抗値が2線とも同じ値となった場合、2線の電圧降下値差が無い状態となり、不良を検出できない場合があり得る。
(5)内部導通電圧降下差の測定方法 図6参照
a.例として、ブレーカーBから装置ESまでの左側電路(1)−(2)−(3)−(4)、右側電路(5)−(6)−(7)−(8)で、導通抵抗を各々0.15Ω、接続不良が左側電路A点に発生し 0.10Ω抵抗増の場合とする。なお、上記(1)、(2)等は、図では丸付き数字で表されている。本明細書の他の部分の記述に於いても同様である。
b.壁コンセントCWに測定用プラグSPを差し込み、ブレーカーB側に電圧測定用基準プラグBP(ワニ口クリップCC)を接続する。装置ES側に内蔵してある抵抗負荷を使って、壁コンセントCWに 測定交流電流6Aを流す。6A時の右側電路(5)−(8)間交流電圧降下と左側電路(1)−(4)間交流電圧降下を測定する。
右側 0.15Ω × 6 A = 0.9V
左側 ( 0.15 + 0.10 )Ω × 6 A = 1.5V
右側 0.9Vと 左側 1.5V の電圧降下差を検出する。
1.5V−0.9V = 0.6V
c.差電圧0.6Vが基準電圧(0.4V)以上の場合を不良、未満の場合を良と判定する。
( 0.4V × 6A = 2.4W、接続不良部が6Aで2.4W以上発熱する時を不良とする場合 )
d.ブレーカーBの負荷側端子に基準プラグBPを接続する事で、壁コンセント器具のプラグ接続部、器具とケーブルの接続部、天井裏のケーブル配線接続部CPまで含めた接続不良を検出できる。
e.図7参照 電圧測定用の基準プラグBPの接続作業を容易にするため、ブレーカーAの負荷側端子でなく、ブレーカーBに接続の壁コンセントCWに基準プラグBPを接続して測定する。測定範囲はブレーカーA側まで含むことになるが、基準プラグBP接続の作業性が良く実用的である。基準プラグBPを流れる電圧測定用の電流は微小であり、ブレーカーB側のコンセント回路の電流が少なければ、このB側の回路の影響をほとんど受けずに、ブレーカーA側の負荷側端子を基準にしたのと変らない電圧降下を測定できる。
(6)100V電源電圧降下の評価方法 図8参照
a.壁コンセント差込口での異常な電源電圧降下は、壁コンセント側の配線に著しい接続不良がある場合の他、分電盤ブレーカーB内部や電源側配線に著しい接続不良がある場合でも発生する。例として、(1)点のみに著しい接続不良が有る場合、壁コンセント(に)のみ内部導通電圧降下差で不良判定される他、壁コンセント(に)のみ電源電圧降下が大きくなる。
しかし、(2)点のみに接続の不良がある場合、(い)〜(へ)全ての壁コンセントは、内部導通電圧降下差は不良判定とならないが電源電圧降下は全て大きくなる。著しい接続不良が分電盤DBの内部にある場合、各壁コンセントCWでの電源電圧降下を測定する事で、原因の判断や分電盤DB内部の不良ブレーカー特定が容易になる。
b.壁コンセントCWに 負荷電流6Aを流す前と後のコンセント差込口の100V電圧を測定し、前後の差から各壁コンセントCWにおける電源電圧降下値を求める。(い)〜(へ)の壁コンセント内部導通電圧降下差の結果と併せ、電源側の引込線や分電盤DB側に著しい接続不良がないか確認できる。
(7)100V電源電圧降下の測定方法 図9参照
a.装置ES側に6Aの抵抗負荷LDと電源電圧の測定回路BL1〜BL4を内蔵させておく。測定用プラグSPを差し込み、負荷電流を流す前の電源電圧を測定する。
例として(102V)
次に負荷電流6Aを流した時の電源電圧を測定する。
同 (97V)
電源電圧降下の測定結果、電源電圧降下は
102V−97V= 5Vとなる。
3.装置ESの各動作のブロック構成
(1)基本制御シーケンス
このシーケンスは図10に示すが如くである。この内容は、この後の「5.検出装置ESの取扱説明」の、主として「(2)装置ESの操作方法」、「(3)判定基準」の記述から理解され得ると思考する。従って、ここでの説明は略す。
(2)コンセント差込口絶縁測定シーケンス
このシーケンスは図11に示すが如くである。この内容も上記と同じ部分の記述から理解され得ると思考する。ここでの説明は略す。
(3)100V電源電圧降下測定
このシーケンスは図12に示すが如くである。この内容も前記と同じ部分の記述から理解され得ると思考する。ここでの説明は略す。
(4)器具内部導通性能測定
このシーケンスは図13に示すが如くである。この内容も前記と同じ部分の記述から理解され得ると思考する。ここでの説明は略す。
4.装置ESの外観
図14に装置ESの正面を、図15に装置ESの背面を示す。各部の機能については、この後の「5.検出装置ESの取扱説明」の、主として「(1)装置ES外観の説明」の記述から理解され得ると思考する。従って、ここでの説明は略す。なお、この実施の形態は、横幅40cm、高さ24cm、奥行26cm、重さ8kgである。
5.検出装置ESの取扱説明
(1)装置ES外観の説明 図14,図15参照
a.測定用プラグSP・・・測定対象の壁コンセント、ここでは図7分電盤ブレーカーAに繋がれた壁コンセントに直接接続する。中央に絶縁測定用の接触子SEを持つ。
b.基準プラグBP・・・内部電圧降下差の測定用に、測定対象の壁コンセントに繋がる分電盤ブレーカーA(図7)とは別の分電盤ブレーカーB(図7)に繋がる壁コンセントに接続。
c.ワニ口クリップCC・・・子ブレーカーBが1個だけの場合、子ブレーカーBの負荷側に直接接続する。
d.電源スイッチSW・・・測定用プラグSPの接続をON.OFFする他、検出装置ESの制御電源をON.OFFする。
e.リセットスイッチRS・・・測定中の制御シーケンスを停止する。LED結果表示とOK.NG表示も解除する。
f.連続測定スイッチCE・・・表面絶縁 → 電源電圧降下 → コンセント内部電圧降下差の順で連続測定する。
g.極性切替スイッチPS・・・同相間の電圧降下測定をするため基準プラグBPと測定用プラグSPの極性を合わせる。
h.縦LED6個LE6・・・表面絶縁、電源電圧降下、コンセント内部電圧降下の測定結果を6段階で表示(上から、赤2個、黄2個、緑2個)。
i.横LED3個LE3・・・各測定項目で、測定中BUSY(小径の緑)、測定結果良OK(普通径の緑)、測定結果不良NG(赤)を表示する。
j.単独測定スイッチIS・・・連続測定スイッチを使わないで、各スイッチを押すと表示された当該項目を単独測定する。
k.内蔵ブザー(不図示)・・・基準プラグBPと測定用プラグSPの極性が合わない時、判定結果不良の時、鳴動する。
(2)装置ESの操作方法
a.測定したい壁コンセントCWの近くに検出装置ESを置く。周辺コンセントCWにおいて100W以上で使用中のプラグPGは全て抜くか、その電源スイッチを切る。測定用プラグSPを診断する壁コンセントCWに奥まで差し込む。
b.電工ドラムか延長コードを使用し、測定対象の壁コンセントCWに供給しているブレーカーA(図7)とは異なる、別のブレーカーB(図7)から電力が供給されている壁コンセントCWに、基準用プラグBPを差し込む。
c.子ブレーカーBが1個だけの場合、基準用プラグBPにワニ口クリップCCを取着し、このワニ口クリップCCをその子ブレーカーBの負荷側端子に取り付ける。ここは100Vに充電されているので、測定中ワニ口CCがずれショートしないように取り付けには注意する。
d.電源スイッチSWを入れる。測定用プラグSPの極性と基準プラグBPの極性が合わないと不図示ブザーが鳴る。極性が合わずブザーが鳴った場合、極性切替スイッチPSを反対側に操作しブザーの鳴動を停止する。
電圧降下は、例えば、図6の(1)と(4)の端子間、及び(5)と(8)の端子間について測定される。このとき、各プラグSP、BPの差し方次第では、これら端子の関係が正しくないことが有り得る。そういう場合、図6の各電圧測定手段VSでは、正常な場合1V以下である筈の測定電圧が100V近くになる。
こういう場合、装置ES内蔵の不図示制御手段が、極性反対と判断し、内蔵のブザーを鳴動させる。
e.連続測定スイッチCEを押すと3項目の連続測定がスタートする。最初に表面絶縁を1秒程度で測定し、次に100V電源電圧降下を2秒程度で測定、次にコンセント内部電圧降下差を1秒程度で測定する。全体では5秒程度で測定が出来る。
f.測定中はBUSY表示となり、測定後はOKかNGが表示される。測定項目ごとに測定結果は6段階でLEDレベル表示される。内部に設定された判定基準と比較し、不良判定されるとブザーが鳴る。
g.何れかの単独スイッチISを押すと、表面絶縁・電源電圧降下・コンセント内部電圧降下差の各項目を個別に測定する。連続測定後に3項目の動作表示を残したまま何れかの単独スイッチISを押すとその項目のみ再測定する。
h.測定終了後にリセットスイッチRSを押すと測定結果の6段階表示やOK・NG表示は消灯する。測定中にリセットスイッチRSを押した場合は装置ES内部の測定動作が即時停止し、初期の測定前状態に戻る。
(3)判定基準(実施の形態例の場合)
a.壁コンセント差込中央部における表面の絶縁性能は、例えば2MΩ以下を絶縁不良とする。
b.壁コンセント差込口での6A負荷時100V電源電圧降下は、例えば8V以上を不良とする。この不良があるとき、壁コンセントCWでの電圧降下差に異常が無い場合は、分電盤DB内部や引込線に導通異常があると推定される。
c.内部導通性能低下による2線電圧降下差は、例えば6A負荷電流にて0.4V以上を不良とする。
(4)使用上の注意
a.測定精度を上げるには、100W以上で使用中の電気製品について、壁コンセントCWからプラグPGを外すか、停止すると良い。
b.実施の形態の装置ESでは、基準用プラグBPを分電盤ブレーカーA(図7)の負荷側か、別の分電盤ブレーカーB(図7)に繋がる壁コンセントCWに接続しないと各測定スイッチCE,ISを押しても動作しないようにしている。こういう場合、図6の電圧測定手段VSの入力がゼロになるので、これを元に、基準用プラグBPの接続状態を判定する。
c.単相3線式で基準用プラグBPを壁コンセントCWに差し込む場合、測定電圧が200Vにならないように同一相で100Vになる壁コンセントCWを選び、そこに基準プラグBPを接続する。そこが200Vである場合、極性を切替てもブザーが鳴る。
7.検出装置ESによる測定結果
a.一般住宅での測定結果例を図16資料Aとして示す。このときの各壁コンセント位置を図17資料Bとして示す。なお、図17の上から2列目以降の各図において、そのタイトル表示の末尾に付された「A」〜「D」は、その部屋の壁コンセントCWが、右上の図の夫々の子ブレーカー「A」〜「D」に接続されていることを表す。図16の測定結果には、各壁コンセント位置における検出装置ESの表示と、6A負荷電流の印加前後での100V電源電圧降下実測値、分電盤DBから壁コンセントCWまでの左線・右線内部導通電圧降下実測値が含まれている。
b.一般住宅での壁コンセント内部導通電圧降下測定結果はすべて0〜0.2V範囲の表示であった。左線・右線の内部導通電圧降下の実測値は最小0.30V、最大1.01Vとなっている。6Aで換算すると、2.0mmケーブル9m、30mの長さに相当する。良好な配線器具での左線・右線の差電圧は0.01〜0.03V程度であり、不良判定レベルの0.4V以上に対し、かなり小さな値となっている。
8.その他
a.基準プラグBPの接続であるが、測定対象の壁コンセントへの供給ブレーカーA(図7)の負荷側端子でなく、延長コード20mを使い、別の子ブレーカーB(図7)から供給されている部屋の壁コンセントCWに基準プラグBPを差込んで測定した。
b.実施の形態例の装置ESはダミーの絶縁不良(1MΩ)や接続不良(0.1Ω)を正常に不良判定した。
c.重複するが、図16の上方の注意書きをここにも記す。
1.「測定箇所(1)(2)(3)・・」は、資料Bに示す各部屋での測定対象の壁コンセントの差込位置(1)(2)(3)・・を表わす。
2.「基準位置」は、電圧測定用の基準プラグBPを接続(コンセント差込)した壁コンセント位置を示す。
3.「検出装置の表示」は、そのときの検出装置ES前面の各LEDのうち、どれが光輝されたかを表す。
4.「100V電源電圧降下」は、6A負荷電流が印加される前後での100Vの電圧降下実測値を表す。
5.「左線(右線)内部電圧降下」は6A負荷電流が印加された時の左線(右線)内部導通電圧降下実測値を表す。
6.最右側列の「左右線差電圧」は左線内部電圧降下と右線内部電圧降下の計算による差を示す。
9.なお、家庭の電気配線に関して以下に補足する。この補足の目的は、ここまでの説明に加え、電灯線の引込、分電盤保護開閉器、感電時電流、配線構成、電気火災、電圧降下差による検出法などについて説明をすることで、本願発明について、その理解を一層深めて貰うことにある。
補足は以下の項目について行なう。
(1)低圧用電灯線の供給方式 電力会社6600V変圧器側から家屋への100V/200V電灯供給例。
(2)分電盤DBの配線と保護装置 家庭分電盤DBでの引込・引出線と各種開閉器(ブレーカー)の保護機能。
(3)B種接地と感電時の電流 変圧器低圧側のB種接地工事によるアース配線と感電時の電流経路。
(4)絶縁測定と漏洩電流測定 電力会社定期点検による屋内配線の絶縁測定と漏洩電流測定方法。
(5)コンセント表面CSの絶縁不良 コンセント表面CSの絶縁不良と電力会社による定期点検での検出範囲。
(6)接続不良による配線発熱 壁コンセントCWまでの屋内配線と接続不良による導通抵抗での異常発熱。
(7)接続不良配線の発見方法 接続不良による導通抵抗の増加とケーブル配線での導通抵抗の特徴。
(8)電圧降下差による不良発見 2線の電圧降下値測定と電圧降下値の差電圧による導通不良の検出。
(9)同時引算による差電圧検出 2線電圧降下値波形の同時引算による差電圧検出方法と誤差対策。
(1)家庭用電灯線の供給方式について
(1)電力会社からの低圧電灯線供給には100V単相2線式と100V/200V単相3線式がある。各供給方式による電力会社側変圧器結線と家屋までの電灯引込配線の接続例を図18に示す。
(2)古い家屋の低圧電灯線供給には100V単相2線式が多いが、契約容量の大きい家屋や200V家電機器を使用の家屋は100V/200V単相3線式となる。100V単相2線式の家屋にはR(T)、Nの2線で供給、100V/200V単相3線式の家屋にはR、N、Tの3線で供給する。
(2)分電盤DBの配線と保護装置
分電盤DBの配線と保護装置の例を図19に示す。図に於いて、
(1)は電力会社との契約容量を決める契約開閉器(ブレーカー)MBである。契約電流を超えた使い方をするとこの開閉器が過電流と自動判断し、開閉器が切れ停電になる。
(2)は漏電による感電や火災を防ぐ漏電ブレーカーLBである。動作定格が30mAの場合、大地に30mA以上の電流が流れるような漏電や感電が発生すると瞬時に開閉器が切れ停電して保護する。30mAの他、定格40Aと表示ある場合は過電流ブレーカーと兼用する。
(3)は過電流保護の子ブレーカーBで定格20Aが多い。家電機器の使いすぎや、配線の短絡ショート事故等により電流が配線器具の許容電流を超えると過熱で火災事故になるため、自動的に電流を遮断し、停電状態にして配線器具を保護する。屋内配線には2線内蔵のFケーブル線が多く使われるが、必ず子ブレーカーBを経由して使用場所へ配線されている。
(4)は100V電灯引込線で、電力会社側から電力量計器を経由して家屋の分電盤DBに接続されている。接続線には契約ブレーカーMBの電流定格に対し十分耐えられる太いケーブル線が使われている。
(5)は子ブレーカーBから屋内の配線に使われるケーブルで、素線直径2.0mm Fケーブル線が多い。家屋内で使用する各電気機器は必ず子ブレーカーBから配線供給され過電流時は保護される。子ブレーカー20Aに対し、直径2.0mmFケーブル線の許容電流は24Aであり電流余裕がある。
(6)配線器具の接続不良による配線の過熱やトラッキング現象の放電による器具の発火事故は、事故発生初期時において過電流とはならないため、過電流保護の子ブレーカーBでは保護できない。また、大地への漏電にならないため、漏電ブレーカーLBは遮断動作せず分電盤DBでは保護できない。過電流でなくても配線が発火する理由、大地への漏電とならない理由は次項以降で説明する。
(3)B種接地と感電時の電流
B種接地と感電時の電流について図20に示す。
(1)電気設備の技術基準により、高圧巻線と低圧巻線の混触事故時による低圧巻線側の電圧上昇危険防止策として、変圧器の2次側N端子は大地へアース接続され、B種接地工事とされている。よって通常は変圧器2次側のN端子はアースと同電位であり、N線側の対地電圧は0Vとなる。
(2)N線側でないR線(T線)側に素手で触れた場合は対地電圧100Vのため、100Vで感電する。感電時の電流(破線矢印)は、手 → 体内 → 大地 → B種接地線を経由 → 変圧器と循環する。接地されているN線側に触れた場合はN線の対地電圧が0Vのため、感電しない。
(3)ここでは、100W照明が2ヶ所で点灯され、そこで人間が右側照明のR線側に素手で触れ、50mAで感電した場合を想定した。図には、感電(漏電)電流50mA(0.05A)と照明電流1.0A(実線矢印)の流れを示した。
(4)大地へ電気が流れるような感電(漏電)が発生した時は、分電盤内にある漏電ブレーカーLBが差電流( R側2.05 A −N側 2.00A = 0.05A )を検出し、自動的に動作する。漏電ブレーカーLBは内部にR線・N線を囲む漏電検出コイルCLがあり、差電流を検出すると動作する。感電や漏電の電流検出後、瞬時に動作して停電する事で感電死亡事故や漏電火災事故を防ぐ。
(5)コンセントとプラグの接触面CFの絶縁低下によって発生するトラッキング現象は100V電極間の絶縁体沿面を流れる電流放電である。放電現象だけに注目すると絶縁体表面を漏洩する電流であるが、大地に漏洩電流が流れないため漏電とは表現されない。この場合、漏電ブレーカーLBは動作しない。
(6)感電に関連し、絶縁性のある長靴を使用した場合はR線に素手で触れても感電しない。しかし、右手でR線に素手で触れたまま、左手をN線に素手で触れた場合は当然のことながら感電する。この場合も、感電電流はR線から右手→人体を通り→左手→N線と流れるため、漏電ブレーカーLBは動作しない。
(4)絶縁測定と漏洩電流測定
絶縁測定と漏洩電流測定について図21に示す。即ち、
(1)電力会社定期点検に絶縁測定がある。測定は分電盤の契約ブレーカーMBを開放し、子ブレーカーBの負荷側線に絶縁計の測定電極を当て、片方電極をアースに接続して直流100V程度の電圧を印加する。大地に流れる直流電流を抵抗値に換算表示し、0.1MΩ未満は不良扱いとなる。新築時の配線や良好な絶縁性能を維持した配線では10〜20MΩ程度の絶縁性能がある。
(2)又、電力会社定期点検に漏電検査がある。分電盤ブレーカーBを入れた状態で屋内の電気機器に100V通電したまま行う。分電盤電源側のケーブル(2線)をクランプメーター先端でクランプし、100Vの漏洩電流を測定する。クランプメーターはR線N線の差電流を0.01mA精度で測定できる。クランプメーターによる電流測定値が1mAを超えると不良になる。100V÷0.1MΩ=1mA
(3)1mAを少し超える漏電や0.1MΩに近い絶縁不良は漏電ブレーカーLB(30mA)が動作するほどでは無いが、時間の経過で、大きな漏電や感電事故に至る恐れがあるので改修が必要となる。
(4)通常、電力会社による定期点検ではテレビ、コタツなど壁コンセント差込中の使用家電機器を含めた状態で、屋内の配線全体と大地間の絶縁測定や大地間に流れる漏洩電流を測定する。よって、コンセント表面汚れで起きた100V電極間絶縁性能低下による異常は検出できない。また、屋内ケーブル配線接続不良やコンセント差込部の接続不良による異常も検出できない。
(5)住居使用の状態で分電盤DBから各電気機器に供給されているR線とN線間の絶縁測定は不可能である。R線とN線間にリモコン天井照明や差込中の機器が入り、R線とN線間の絶縁確保ができないからである。住居で使用されているコンセント接続機器・天井照明負荷設備などの機器全てを取り外せばR線とN線間の絶縁測定は可能となるが、現実には全ての取り外しが困難であり測定できない。
(5)コンセント表面CSの絶縁低下
(1)電気火災原因にトラッキング現象がある。図22に示すように、壁コンセントCWやプラグPGの表面に汚れDTが付着したり、壁コンセントとプラグの隙間GPに塵埃DTが付着したりしている状態で、ここに水分がたまると電解質になり、絶縁性が著しく低下して器具絶縁体の表面が電極間で沿面放電する。やがて表面が炭化進行するとショート発火する。なお、「汚れ」、「塵埃」には同じ符号「DT」を使用している。
(2)日常、引込線から壁コンセントCWまでの配線器具においては、100V充電部が直接露出する事は無い。台所や風呂場などの壁コンセント表面CSは日常生活で食材飛沫や塩分を含む汚れが付着しやすくAのようにコンセント表面CSに汚れが付く事が多い。しかし、図22の(A)のようにプラグPGが差し込まれていない状態なら、そこに汚れDTが付着しても水分が少ない事と壁コンセント内の充電部電極まで距離がある事で、電極間の著しい絶縁低下とはならず、沿面放電はまだ起きにくい。
(3)一方で、図22(B)のようにプラグPGが差し込まれた壁コンセントでは、壁コンセントとプラグの隙間GPに塵埃や水分がたまりやすい。また、壁コンセントCWにプラグPGが差し込まれると、プラグの刃PPの充電部が表面に露出し汚れ面(DT)との距離が無くなる。壁コンセントCWやプラグPGの外装材質は本来絶縁体だが、汚れDTに水分が含まれると、それが導電性の電解質になり、絶縁性が著しく低下して、プラグの刃PPの充電部電極間で微弱な沿面放電が起きる。放電は絶縁体表面を炭化させ、大きな放電に進行して発火事故となる。
(4)トラッキング現象による放電や発火は100V電極間の絶縁性能の低下で起きる放電現象であり、大地に流れる漏電や大地間との絶縁性能の低下では無い。従って電力会社の定期点検による絶縁測定や漏電検査では検出できない。漏電ブレーカーLBは動作しないので発火を防げない。
(5)トラッキング現象による電気火災を防ぐ方法として接続部CPの清掃や目視確認がある。しかし、壁コンセント表面CSの塩分を含んだ汚れや過去の放電による表面絶縁低下は外観で判断する事が困難である。絶縁低下した壁コンセントCWにプラグPGを長期に差し込んだ場合、トラッキング現象が起きやすくなる。こういうとき、家屋にある壁コンセントCWの表面絶縁測定を行い、不良器具を検出できれば電気火災を予防できる。
(6)家屋にある壁コンセントCWは通常15〜30個程度あり、差込2口式の場合で30〜60測定点となる。接続不良やコンセント表面絶縁不良の有無を全て見るには短時間で検出、判断できる装置が望ましい。
(6)接続不良による配線発熱
(1)素線直径が2.0mmのFケーブル20mの導通抵抗は0.10Ωである。20m線をA,B、2組用意し、ケーブルAとBを中間で接続して 6A の負荷電流を、図23(A)のように流した場合の発熱を試算する。( 注 イ、ロ、ハが良好な接続状態にある場合は接続による新たな導通抵抗の増加はない。)
ケーブルAの発熱 = 黒線側の発熱 + 白線側の発熱
ケーブルAの発熱 = 6A×6A×0.10Ω + 6A×6A×0.10Ω
ケーブルAの発熱 = 3.6W + 3.6W
= 7.2W となる。
ケーブルA黒線だけの発熱は3.6Wとなるが20m長さのため、単位長0.1mの発熱は0.02Wとなる。0.1mあたりの発熱量は小さく、放熱が容易のためケーブル内の黒線は高温にならない。
(2)接続不良があると接続不良箇所の導通抵抗が増し、発熱が不良箇所に集中して異常過熱となる。今、↓ ロ の黒線接続不良により0.10Ωの導通抵抗が増加した場合を想定し、発熱を試算する。
黒線接続不良部の発熱 = 6A×6A×0.10Ω = 3.6W となる。 黒線接続不良部の発熱長さを0.1mとすると単位長0.1mの発熱が3.6Wとなる。良好な接続ケーブルでの単位長の発熱0.02Wに対し180倍と大きく、放熱が困難となり黒線は高温になる。
(3)電線が高温になると、銅線の表面が急速に酸化し、更に導通抵抗が増えて発熱の悪循環となる。電線被覆が高温になると熱損傷し、やがて発火する。尚、接続不良の抵抗増が1Ωの場合は、3A程度の電流で10Wとなり高温になる。この異常過熱時に分電盤の各ブレーカーMB,LB,Bは保護動作しない。
(4)家屋における子ブレーカーBから壁コンセントCWまでのケーブル配線例を図23(B)に示す。接続不良は電線の接続点CPや壁コンセントとプラグPGの差込点で発生する。子ブレーカーBからの配線で接続不良の起きる可能性があるこれらの点を矢印→で示す。矢印→点は壁コンセント内の接続部・差込部、天井裏の接続部CP、分電盤内の接続部となる。隠ぺい部分のため、異常な過熱があっても発見は難しい。
(7)接続不良配線の発見方法
(1)ここでは、図24のように、ケーブルAとケーブルBの黒線接続点で接続不良が発生、導通抵抗0.10Ω増加と想定する。
(2)電線の異常過熱は接続不良の導通抵抗増加による発熱で起きるため、外観による変色や触手による方法で接続不良を発見できるときがある。しかし、この方法は電線に大きな電流が流れて既に変色や高温部があり、電線を直接見て触れられる場合のみ適用できる。使用電流が2〜3Aの場合、接続不良0.10Ωの発熱は1W以下となり、外観や触手による方法では見つからない。
(3)接続不良の発見方法の一つとして、黒線の初期における導通抵抗0.20Ωの測定と現在の導通抵抗0.30Ωの比較をすることが考えられる。測定で0.10Ωの増加分を確認できれば、接続不良の存在を確認できる。しかし、0.10Ωの抵抗増加分を正確に把握するには0.01Ωの精度を持つ計測方法が必要である。しかも、銅線の抵抗は温度1度で約0.4%上昇、抵抗0.20Ωの電線は25度上昇で0.22Ωになる。即ち、外気温度やケーブル本体の発熱で抵抗値が変わる。この為、この方法によるときは、温度変化の考慮が必要となる。
(4)家屋に使われるケーブルは本数が多く、配線長さも異なる。それ故、後の接続不良発生を見つけるために、黒線や白線の初期の導通抵抗値を配線毎に事前測定して記録することは、困難であり現実的でない。
(5)そこで、解決方法としてケーブルの黒線CCBと白線CCWに着眼する。接続不良の検出は初期における導通抵抗値が必要であるが、黒(白)線の初期導通抵抗を同一ケーブルの白(黒)線で代用する事ができる。国内のケーブルは高品質で同一ケーブルの黒線CCBと白線CCWの銅線直径差は0.02mm以内にある。分電盤DBから壁コンセントCWまでのケーブル配線は黒線CCBと白線CCWの長さが同じであり、黒線CCBと白線CCWの同一ケーブルにおける導体抵抗値の差は通常0.01Ω以下となる。それ故、同じ導通抵抗値とみなせる。白(黒)線代用で初期の導体抵抗測定が不要となる。また、外気温度や使用中のケーブル本体発熱による導通抵抗の温度変化は黒線CCB、白線CCWが同じように変化するので温度変化の考慮が不要となる。
(6)即ち、例えば黒線CCB側の接続不良を見るには、初期導通抵抗として白線CCW側の導通抵抗値0.20Ωを測定し、それから黒線CCB側の導通抵抗値0.30Ωを測定する。そして、両測定値から導通抵抗の増加有無を確認すれば良い。尤も、白線CCWにも同じ接続不良があり、同じ導通抵抗値になると発見できない。しかし、こういう状態が発生する確率は非常に低い。
(7)また、実際に子ブレーカーBから壁コンセントCWまでの黒線CCB、白線CCWの導通抵抗値を精密抵抗計で測定するには、測定対象配線の停電が必要となる。更に、精密抵抗計の測定線をブレーカー端子Bと壁コンセントCWの電極へ毎回接続して抵抗値を測定する方法は測定作業に時間が多くかかり、作業効率が悪い。それに測定のためのこの測定線の接続自体が不十分であると、測定誤差が大きくなる。結局、この方法で壁コンセントCWに配線されている屋内ケーブル全てを測定する事は時間的に困難である。
(8)作業効率を上げるには、屋内の100V電源を停電せず、黒線・白線の導通抵抗測定に置き換わる測定方法と、短時間で測定結果が得られる検出方法の考案が必要となる。これについては次項以降で説明する。
(8)電圧降下の差による不良発見
(1)導通抵抗値は、電線に一定の電流を流した状態で、電線の電圧降下値を測定すれば求められる。そこで、例えば図25に示すように、交流100V電源を使って抵抗負荷に 6A を流し、黒線CCB、白線CCWに同一の電流 6A が流れるようにしておく。
この状態で、黒線側イ−ハ 間の電圧降下 A を測定し、次に白線側イ−ハ 間 BB の電圧降下を測定する。黒線CCBと白線CCWの電圧降下値の比は黒線CCBと白線CCWの導通抵抗値の比と同じになる。黒線CCBと白線CCWの電圧降下から差電圧を求めれば、接触不良による導通抵抗値の差抵抗を求めた事と同じになる。
黒線電圧降下 A =6A×0.3Ω=1.8 V
白線電圧降下 BB =6A×0.2Ω=1.2 V
黒線CCBと白線CCWの電圧降下値差 0.6 V から黒線CCB側に接続不良0.10Ωの存在を確認できる。
(2)但し、この測定は、図26「電流一定時」に示すように、負荷電流が一定(6A)である場合に成り立つ。負荷電流が一定であれば、黒線CCB測定時の波形A,Bと、白線CCW測定時の波形AA,BBに変化は無く、測定タイミングが異なっても、黒線CCB、白線CCWについて、夫々の電圧降下が正しく計測されるからである。
(3)一方で、測定中に電源側電圧や負荷が変動して、図26「電流変化時」に示すように電流変化がある場合は、正しい測定が出来ない。黒線CCB測定時の負荷電流が6Aだったのに、それが白線CCW測定時に7Aになったとすれば、夫々の測定時の波形AとAA、BとBBは同一にならず、黒線CCB、白線CCWについて、夫々の電圧降下が正しく計測されないからである。
具体的には、
黒線電圧降下 A = 6A ×0.3Ω=1.8 V
白線電圧降下 BB = 7A ×0.2Ω=1.4 V
黒線と白線の電圧降下の差 0.4 V
と小さくなってしまい、黒線CCB側の接続不良0.10Ωが確認できなくなる。
(4)電流変化による影響を防ぐには、黒線CCB側イ−ハ 間の電圧降下の波形と白線CCW側イ−ハ 間の電圧降下の波形を同時に測定すると良い。例えば同じ6Aが流れているときの波形AとBの電圧を同時に、或いは、同じ7Aが流れているときの波形AAとBBの電圧を同時に計測する。こうすれば、黒、白各線について、そのときの負荷電流に対する電圧降下をほぼ正確に把握できる。
(9)同時引算による差電圧検出とその平均化
(1)より正確な差電圧値を得る為に、実施の形態例では、黒線CCB側の電圧降下波形と白線CCW側の電圧降下波形を測定中常に同時引き算し、その差分の、例えば1秒間の平均を取り、これを差電圧値出力とする(図27)。こうすれば、測定中の100V電源電圧の変動や負荷の変動で測定電流が変化しても、ほぼ正確な差電圧出力が得られる。図を見て貰えば理解可能と思われるので、説明は略す。
9.最後に、本願の特徴をより理解して貰うため、前記各特許文献の発明と本願発明との対比をしておく。
(1)特許文献1 特開2001−343416 接続不良検出装置 について
a.この発明は、ブレーカー内部接点機構に接触不具合による接続不良があった場合、又は、ブレーカーと電線接続部CPに接続不良があった場合に於いて、純抵抗体負荷(線形負荷)のように、その波形がなだらかな正弦波となる電流を、接続不良箇所を介して流した場合に、該接続不良箇所両端に発生する電圧波形又は電流波形が、元のような滑らかな正弦波にならず、スパイク状の特徴的な波形成分が現れるという性質を応用して成るものと推測される。
b.波形検出方法としては、電圧センサ、電流センサ或いはアンテナを、ブレーカーの電源側、負荷側に配置し、これらでスパイク状の特徴的な波形成分を検出するものであり、この検出がされた場合は、その検出範囲内で接続不良があると判断し、検出されない場合は接続不良が無いと判断している。この検出範囲は、電圧センサの配置位置から分かるように、分電盤の漏電遮断器(漏電ブレーカー)または漏電遮断器と接続される配線まで、の狭い範囲となっている。
c.この発明は従来の温度センサー検出式の発明と異なり、接続不良で起きる過熱の前に接続不良を自己診断できる点を特長としている。しかし、公報の図1,図3,図4等から分かるように、この発明の実施には、ブレーカー側周囲にセンサー及び検出装置を予め組み込む必要がある。一般の家庭分電盤にはこのような装置は組み込まれていない。この為、実施するとなれば、使用している分電盤を発明に係るものに交換するしかない。
d.本願発明との相違、欠点となる部分−1
図28に示すように、上記発明の接続不良の検出範囲は、破線(1)で囲んだ範囲となる。これに対し、本願発明の場合は破線(2)の範囲となる。上記公報発明の欠点は、検出範囲が(1)と狭い事、センサーとの信号配線から範囲を大きく取れない事がある。
又、検出原理からわかるように、使用電流が小さな家屋、又は負荷機器の接続が無く、使用電流が無い家屋の場合は、接続不良があっても、判定に必要な接続不良波形が得られず、不良を検出できない。
一方、本願発明では、上記公報発明の如き装置の組み込みが不要であるだけでなく、子ブレーカーBから壁コンセントCWまでの広い範囲で各壁コンセント毎に接続不良を検出できる。また、使用電流や負荷機器の有無にも関係なく接続不良を検出できる。
e.本願発明との相違、欠点となる部分−2
上記公報発明は、正弦波電流または正弦波電圧に含まれるスパイク状の波形分を不良判定の基準としている。この為、スパイク状の波形出力とならないような接触状態が続く接続不良の場合はこれを検出できないことになる。
本願発明の場合は、接続不良の形態に関係なく、また家屋の使用電流や負荷機器の有無にも関係なく、一定電流下において発熱となり得る抵抗増加成分さえあれば、家屋の壁コンセント毎に、その配線の接続不良を検出できる。
(2)特許文献2 特開2009−145083 電路接続部の接続不良検出回路について
a.この発明は、電路1aと電路1bの接続部で接続不良が発生した場合、流れる電流によって接続部の両端に発生する電圧降下を応用したもので、従来の接続不良部での発熱を温度センサーで検出する方式に対し、センサー入力用の電圧検出線を電路1aと電路1bに接続するのみで、接続不良を検出できる特長を持つ。電圧検出のセンサーとしてフォトカプラ(発光ダイオードと受光トランジスターを内蔵)を使用している。フォトカプラ内の発光ダイオードはわずかな電流で発光動作するが、発光ダイオードは一定閾値以上の電圧を印加しないと電流が流れ始めない特性がある。
b.本願発明との相違、欠点となる部分−1
この動作原理から、上記特許文献2の発明の動作には制約条件がある。説明用に、電路1a、電路1b、接続部を図29に示す。仮に閾値電圧が1.OVでR=0.10Ωの接続不良があった場合を例にすると、接続不良が有っても10A以下の電流で使用を続ける場合は、接続部両端の電圧がこの閾値1.OV以上とはならず、センサー回路が動作しない。つまり、接続部の接続不良があっても、一定値以上の電流が流れないと不良を検出できない。即ち、この特許文献2の発明に係る装置を取付けたとしても、それで直ちに接続不良を検出できる訳ではなく、一定以上の電流が流れた場合にのみ検出は可能となる。
本願発明の場合は、屋内配線の接続部CPにおいて、接続不良による抵抗増加値が所定の基準値を超えていれば、電路の通常使用電流の大小に関係する事なく、接続不良を直ちに検出できる。
c.本願発明との相違、欠点となる部分−2
上記特許文献2の発明の実施には、予め接続不良を検知したい電路接続部ごとにセンサー回路を配置する必要がある。統合検出回路は各センサー回路の出力信号を集約し、統合検出回路内で接続不良の有無を判定している。よって、センサー回路取付け位置は統合検出回路から配線可能な近接した範囲となる。既設の電路に対し、この発明を適用させる場合、配線の確認が容易な分電盤内や開口部のある端子盤などの接続部に限定される。
住宅の屋内配線は天井裏や壁裏などの隠ぺい場所に接続部が数多くある。既設住宅の屋内配線の接続部全てにこの発明のセンサー回路を設置する事は信号線の長さや取付け位置の面で無理である。
本願発明の場合は上記公報発明のセンサー回路の如きものの取付けは不要で、既設屋内配線のままで接続不良の有無を検出できる。
d.本願発明との相違、欠点となる部分−3
特許文献2の発明では、接続部の接続不良による電圧降下を接続部両端に接続した電圧検出線からセンサー回路に入力させ、フォトカプラを動作させている。よって、壁コンセントに接続されたケーブルの接続部における接続不良を検出したい場合には、電圧降下の電圧検出線をケーブル側と壁コンセント側へ接続する必要がある。
しかし、壁コンセントに電圧検出線は接続不可能であり、この特許文献2の発明では、壁コンセント側の接続不良は検出できない。
本願発明の場合、ケーブルと壁コンセント間の接続部不良、壁コンセント器具内部の接続不良の何れも検出可能である。
(3)特許文献3 特開2008−305764 電路接続部の接続不良検出回路について
特許文献3の発明の内容は、特許文献2の発明の内容と近似している。それ故、この特許文献3の発明と本願発明との相違は、前述した特許文献2の発明と本願発明の相違とほぼ同様である。それ故、特許文献3との対比に関しては説明を略す。
B …子ブレーカー
分電盤ブレーカーA…図7でのみ使用
分電盤ブレーカーB…図7でのみ使用
BL1…図9 電圧降下測定部
BL2…図9 電圧測定部
BL3…図9 無負荷時電圧保持部
BL4…図9 負荷時電圧保持部
BP…基準プラグ(図15)
CC…ワニ口クリップ
CCW…心線・白
CCB…心線・黒
CE…連続測定スイッチ
CF…壁コンセントとプラグの接触面(図1)
CL…漏電検出コイル
CP…接続箇所
CS…コンセント表面
CW…壁コンセント
い〜へ…図8の壁コンセント
DB…分電盤
DT…塵埃や汚れ(図22)
ES…実施の形態の検出装置
FC…VVFケーブル(Fケーブル)
GP…隙間(図22)
IS…単独測定スイッチ3個(図14下横並び)
LB…漏電ブレーカー
LD…負荷抵抗
LE3…横LED3個
LE6…縦LED6個
MB…契約ブレーカー
PG…プラグ(汎用の)
PP…プラグの刃
PS…極性切替スイッチ
RS…リセットスイッチ
SE…金属製測定子(図1)
SW…電源スイッチ
SP…測定用プラグ(図1,図15)
TP…コンセント表面絶縁測定点(図1)
VS…図6 電圧測定手段
上記目的を達成するため、本願発明にかかる屋内配線の接続不良等検出装置(以下、「本願装置」)は、2心線又は3心線で配線される屋内配線において、接続不良検査の対象配線長の両端側に各心線毎に接続する接続手段と、該各接続手段を介して前記対象配線長間における各心線毎の電圧降下量を測定する電圧測定手段と、該心線毎の電圧測定手段からの電圧降下量を比較してその差量を検出する差電圧検出手段と、該検出された差量から良否判定してその結果を表示する表示手段と、から構成したことを特徴としている。
この様に構成した本願装置の作用は、次の通りである。
通常2心又は3心から成る屋内配線用のケーブル(VVFケーブル。通称、Fケーブル。)の各心線は、規格に則って製造され、略同一の導通抵抗値となっている。これを前提とし、接続不良検査の対象として特定した配線長の各心線毎の電路中に接続不良部分がある場合は、これを原因として抵抗値が上昇し、その分の電圧降下が生じる。
この電圧降下量を各心線毎に接続した電圧測定手段でそれぞれ測定して、その差量を差電圧検出手段で検出する。そして、この各心線毎の電圧降下量を比較してその差量を求め、これを基に良否を判定し、その結果を表示手段に表示することとしている。
また、請求項4の方法は、前記請求項1、2、又は3記載の屋内配線の接続不良検出装置を用いて、前記対象配線長の両端部に接続した接続手段によって各心線毎の電圧降下量を測定し、この測定した電圧降下量の差量を基に良否を判定してその結果を表示することで、接続不良の存在を判定することを特徴としている。その作用は、前記請求項1、2、又は3記載の屋内配線の接続不良検出装置についてと同様である。

Claims (6)

  1. 2心線又は3心線で配線される屋内配線において、接続不良検査の対象配線長の両端側に各心線毎に接続する接続手段と、
    該各接続手段を介して前記対象配線長間における各心線毎の電圧降下量を測定する電圧測定手段と、
    該心線毎の電圧測定手段からの電圧情報を比較して電圧降下差を検出する差電圧検出手段と、
    該検出された差量を良否判定可能に表示する表示手段と、
    から成ることを特徴とした屋内配線の接続不良検出装置。
  2. 前記対象配線長の何れか一方端側に接続する前記接続手段に接続させる負荷手段を備えることを特徴とした請求項1記載の屋内配線の接続不良検出装置。
  3. 前記2個の接続手段のいずれか又は両方が、屋内露出配設のコンセントと接続するプラグであることを特徴とした請求項1、又は2記載の屋内配線の接続不良検出装置。
  4. 前記請求項1、2、又は3記載の屋内配線の接続不良検出装置を用いて、前記対象配線長の両端部に接続した接続手段によって各心線毎の電圧降下量を測定し、該測定値の差量が所定値以上である場合に電圧降下量の大きい方の心線の電路に接続不良の存在を判定することを特徴とした接続不良判定方法。
  5. 前記対象配線が無電流状態のときに、前記接続手段の何れかに接続した負荷手段により負荷電流を流し、各心線毎の電圧降下量を検出してその電圧降下差を測定することを特徴ととした請求項4記載の接続不良判定方法。
  6. 検査する対象配線長を分電盤から分岐した別経路の配線が接続された各別のコンセント間に特定し、各コンセントにプラグ構成した接続手段を嵌合させて行うことを特徴とした請求項4記載の接続不良判定方法。
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