〔第1の実施形態〕
以下、本発明の第1の実施形態に係るタッチパネル用中間基材フィルムおよび積層フィルムについて、図面を参照しながら説明する。本明細書において、「シート」、「フィルム」、「板」等の用語は、呼称の違いのみに基づいて、互いから区別されるものではない。したがって、例えば、「フィルム」はシートや板とも呼ばれ得るような部材も含む概念である。一具体例として、「積層フィルム」には、「積層シート」や「積層板」等と呼ばれる部材も含まれる。また、本明細書において、「重量平均分子量」は、テトラヒドロフラン(THF)等の溶媒に溶解して、従来公知のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法によるポリスチレン換算により得られる値である。図1は本実施形態に係る中間基材フィルムおよび積層フィルムの概略構成図であり、図2は本実施形態に係る積層フィルムの一部の平面図であり、図3は本実施形態に係る第1の透明層の反射鮮明度を反射鮮明度測定装置で測定する様子を示した模式図であり、図4は本実施形態に係る第1の透明層における反射光強度の角度分布を変角光度計で測定する様子を示した模式図である。図5は本実施形態に係る他の積層フィルムの概略構成図であり、図6は本実施形態に係る他の積層フィルムの一部の平面図である。図7および図8は本実施形態に係る他の第1の導電層の一部の平面図である。
[タッチパネル用中間基材フィルムおよび積層フィルム]
図1に示されるように積層フィルム10は、中間基材フィルム11と、中間基材フィルム11に支持された第1の導電層12とを備えている。積層フィルムおよび中間基材フィルムは、タッチパネルに組み込まれて使用されるものである。「中間基材フィルム」という用語は、タッチパネルの最表面ではなく、タッチパネルの内部で用いられる基材フィルムを意味する。
中間基材フィルム11は、第1の導電層12を支持するためのものである。中間基材フィルムは、直接、導電層を支持してもよいが、例えば他の層を介して間接的に導電層を支持してもよい。中間基材フィルム11は、透明基材13と、透明基材13の一方の面13A上に設けられた第1の透明層14と、第1の透明層14上に設けられた第1の高屈折率層15と、第1の高屈折率層15上に設けられた第1の低屈折率層16と、透明基材13の他方の面13B上に設けられた第2の透明層17とを備えている。中間基材フィルムは、透明基材と、第1の透明層とを備えていればよく、第1の高屈折率層、第1の低屈折率層、第2の透明層を備えていなくともよい。また、中間基材フィルムは、第2の透明層上に第2の高屈折率層や第2の低屈折率層を備えていてもよい。具体的には、中間基材フィルムとしては、図1に示される中間基材フィルム11の他、透明基材の一方の面上に第1の透明層のみが設けられ、かつ透明基材の他方の面上に第2の透明層が設けられていない中間基材フィルム、透明基材の一方の面上に第1の透明層のみが設けられ、かつ透明基材の他方の面上に第2の透明層のみが設けられた中間基材フィルム、透明基材の一方の面上に第1の透明層および第1の高屈折率層がこの順で設けられ、かつ透明基材の他方の面上に第2の透明層が設けられていない中間基材フィルム、透明基材の一方の面上に第1の透明層および第1の高屈折率層がこの順で設けられ、かつ透明基材の他方の面上に第2の透明層が設けられた中間基材フィルム、透明基材の一方の面上に第1の透明層および第1の高屈折率層がこの順で設けられ、かつ透明基材の他方の面上に第2の透明層および第2の高屈折率層がこの順で設けられた中間基材フィルム、透明基材の一方の面上に第1の透明層、第1の高屈折率層、および第1の低屈折率層がこの順で設けられ、かつ透明基材の他方の面上に第2の透明層が設けられていない中間基材フィルム、透明基材の一方の面上に第1の透明層、第1の高屈折率層、および第1の低屈折率層がこの順で設けられ、かつ透明基材の他方の面上に第2の透明層および第2の高屈折率層がこの順で設けられた中間基材フィルム、および透明基材の一方の面上に第1の透明層、第1の高屈折率層、および第1の低屈折率層がこの順で設けられ、かつ透明基材の他方の面上に第2の透明層、第2の高屈折率層、および第2の低屈折率層がこの順で設けられた中間基材フィルムのいずれであってもよい。
<透明基材>
透明基材13としては、光透過性を有すれば特に限定されないが、例えば、ポリオレフィン基材、ポリカーボネート基材、ポリアクリレート基材、ポリエステル基材、芳香族ポリエーテルケトン基材、ポリエーテルサルフォン基材、ポリアミド基材、またはガラス基材が挙げられる。
ポリオレフィン基材としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、環状ポリオレフィン基材等の少なくとも1種を構成成分とする基材が挙げられる。環状ポリオレフィン基材としては、例えばノルボルネン骨格を有するものが挙げられる。
ポリカーボネート基材としては、例えば、ビスフェノール類(ビスフェノールA等)をベースとする芳香族ポリカーボネート基材、ジエチレングリコールビスアリルカーボネート等の脂肪族ポリカーボネート基材等が挙げられる。
ポリアクリレート基材としては、例えば、ポリ(メタ)アクリル酸メチル基材、ポリ(メタ)アクリル酸エチル基材、(メタ)アクリル酸メチル−(メタ)アクリル酸ブチル共重合体基材等が挙げられる。
ポリエステル基材としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート(PEN)の少なくとも1種を構成成分とする基材が挙げられる。
芳香族ポリエーテルケトン基材としては、例えば、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)基材等が挙げられる。
透明基材13の厚みは、特に限定されないが、5μm以上300μm以下とすることが可能であり、透明基材13の厚みの下限はハンドリング性等の観点から10μm以上が好ましく、50μm以上がより好ましい。透明基材13の厚みの上限は薄膜化の観点から200m以下であることが好ましい。
透明基材13の表面には、接着性向上のために、コロナ放電処理、酸化処理等の物理的な処理の他、アンカー剤やプライマーと呼ばれる塗料の塗布を予め行ってもよい。アンカー剤やプライマー剤としては、例えば、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、アクリル樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、エチレンと酢酸ビニルまたはアクリル酸などとの共重合体、エチレンとスチレンおよび/またはブタジエンなどとの共重合体、オレフィン樹脂などの熱可塑性樹脂および/またはその変性樹脂、光重合性化合物の重合体、およびエポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂等の少なくともいずれかを用いることが可能である。
<第1の透明層>
第1の透明層14は、透明基材13側とは反対側に第1の凹凸面14Aを有している。第1の透明層14においては、0.5mm幅の光学くしを用いて測定される第1の凹凸面14Aの反射鮮明度が90%以下となっており、かつ2.0mm幅の光学くしを用いて測定される第1の凹凸面14Aの反射鮮明度が80%以上となっている。
0.5mm幅の光学くしを用いて測定した第1の凹凸面14Aの反射鮮明度の上限は、80%以下であることが好ましく、70%以下であることがより好ましい。また、0.5mm幅の光学くしを用いて測定した第1の凹凸面14Aの反射鮮明度の下限は、10%以上であることが好ましく、20%以上であることがより好ましい。
2.0mm幅の光学くしを用いて測定した第1の凹凸面14Aの反射鮮明度の下限は、85%以上であることが好ましく、90%以上であることがより好ましい。また、2.0mm幅の光学くしを用いて測定した第1の凹凸面14Aの反射鮮明度の上限は、定義上100%である。
反射鮮明度は、JIS K7105の像鮮明度の反射法に準拠した反射鮮明度測定装置によって測定することができる。このような測定装置としては、スガ試験機社製の写像性測定器ICM−1T等が挙げられる。
反射鮮明度測定装置100は、図3に示されるように、光源101、スリット102、レンズ103、レンズ104、光学くし105、および受光器106を備えるものである。反射鮮明度測定装置100は、光源101から発せられ、かつスリット102を通過した光をレンズ103により平行光とし、この平行光を第1の透明層14の第1の凹凸面14Aに照射させ、第1の透明層14の第1の凹凸面14Aで反射した平行光をレンズ104により集光させ、光学くし105を通過した光を受光器106で受光するものであり、この受光器106で受光された光の量に基づいて、下記式(1)により反射鮮明度Cを算出する。
C(%)={(M−m)/(M+m)}×100 …(1)
式(1)中、Mは最高波高であり、mは最低波高である。
光学くし105は、光学くし105の長手方向に沿って移動可能であり、暗部および明部を有している。光学くし105の暗部および明部の幅の比は1:1となっている。ここで、JIS K7105においては、光学くしとして、幅が、0.125mm、0.5mm、1.0mm、2.0mmの4種類の光学くしが定められているが、後述する理由から本発明においては、幅が0.5mmの光学くしと、幅が2.0mmの光学くしを用いる。第1の透明層14は、レンズ103によって平行光となった光が入射角45°で第1の凹凸面14Aに入射するように配置される。
図3に示される中間基材フィルムは、第1の透明層14上に第1の高屈折率層15および第1の低屈折率層16が設けられていない状態のものであるが、第1の透明層14上に第1の高屈折率層15および第1の低屈折率層16が設けられている中間基材フィルム11においては、後述するように第1の高屈折率層15および第1の低屈折率層の厚みを200nm以下とすれば、第1の凹凸面14Aの凹凸形状が中間基材フィルム11の表面(第1の低屈折率層16)の表面に反映されるので、0.5mm幅の光学くしを用いて測定される第1の低屈折率層16の表面の反射鮮明度および2.0mm幅の光学くしを用いて測定される第1の低屈折率層16の表面の反射鮮明度は、0.5mm幅の光学くしを用いて測定される第1の凹凸面14Aの反射鮮明度および2.0mm幅の光学くしを用いて測定される第1の凹凸面14Aの反射鮮明度とほぼ同じ値となる。したがって、0.5mm幅の光学くしを用いて測定される第1の低屈折率層16の表面の反射鮮明度が90%以下となっており、かつ2.0mm幅の光学くしを用いて測定される第1の低屈折率層16の表面の反射鮮明度が80%以上となっている場合には、0.5mm幅の光学くしを用いて測定される第1の凹凸面14Aの反射鮮明度が90%以下となっており、かつ2.0mm幅の光学くしを用いて測定される第1の凹凸面14Aの反射鮮明度が80%以上となっていると判断できる。ただし、本発明においては、0.5mm幅の光学くしを用いて測定される第1の凹凸面の反射鮮明度が90%以下となっており、かつ2.0mm幅の光学くしを用いて測定される第1の凹凸面の反射鮮明度が80%以上となっていればよく、必ずしも、0.5mm幅の光学くしを用いて測定される第1の低屈折率層の表面の反射鮮明度が90%以下となっており、かつ2.0mm幅の光学くしを用いて測定される第1の低屈折率層の表面の反射鮮明度が80%以上となっている必要はなく、または0.5mm幅の光学くしを用いて測定される第1の高屈折率層の表面の反射鮮明度が90%以下となっており、かつ2.0mm幅の光学くしを用いて測定される第1の低屈折率層の表面の反射鮮明度が80%以上となっている必要はない。
本発明において、0.5mm幅の光学くしおよび2.0mm幅の光学くしを用いて反射鮮明度を測定したのは、以下の理由からである。第1の透明層の表面を凹凸面とすると、反射光の拡散性は平坦面に比べて強くなる。すなわち、拡散反射光成分が増える。拡散反射光がある程度以上存在すると、干渉により生じる虹色が混色されて観察者に到達するので、干渉縞として認知されなくなり、干渉縞の発生を抑制できる。しかしながら、正反射を基準として拡散角度が大きすぎる拡散反射光成分がある程度以上存在すると、人間の目に届く反射光の量が増えるので、人間の目には、白濁感として認識されてしまうおそれがある。この点に関して、本発明者が鋭意検討したところ、第1の透明層の表面において、適度な拡散角度を有する拡散反射光成分がある程度存在すれば、干渉縞の発生を抑制でき、かつ人の目の検知能力からは正反射と同等に、白濁感が生じているとは認識されないことを見出した。さらに、本発明者は、0.5mm幅の光学くしおよび2.0mm幅の光学くしの2種類の光学くしを用い、それぞれの反射鮮明度を測定し、評価することにより、適度な拡散角度を有する拡散反射光成分が実質的にどの程度存在するか評価できることを見出した。具体的には、拡散反射光成分が多いほど、反射鮮明度は低くなると言える。拡散反射光成分は、上記したように干渉縞の発生を抑制できる成分であるため、本発明においては0.5mm幅の光学くしを用いた測定においては、反射鮮明度を90%以下と規定している。しかしながら、0.5mm幅の光学くしを用いた測定においては、反射鮮明度を90%以下と規定したとしても、拡散角度が大きすぎる拡散反射光成分が多い場合にも、反射鮮明度が90%以下となってしまう。拡散角度が大きすぎる拡散反射光成分が多いと、上記したように白濁感が生じていると認識されてしまうおそれがあるので、拡散角度が大きすぎる拡散反射光成分は少ないことが必要である。ここで、2.0mm幅の光学くしは、0.5mm幅の光学くしよりも、明部および暗部の幅が広いので、レンズ104によるスリット102の結像が光学くしの明部にある場合は、適度な拡散角度を有する拡散反射光成分は明部を透過するが、拡散角度が大きすぎる反射光成分は暗部により透過しない。また、逆に、レンズ104によるスリット102の結像が光学くしの暗部にある場合は、適度な拡散角度を有する拡散反射光成分は暗部により透過しないが、拡散角度が大きすぎる反射光成分は明部を透過する。そこで、拡散角度が大きすぎる反射光成分が少ないことを規定するために、本発明においては2.0mm幅の光学くしを用いた測定においては、反射鮮明度を80%以上と規定している。なお、JIS K7105には、上記4種類の幅の光学くしが定義されており、これらの中でも、最も幅が狭い0.125mm幅の光学くしと最も幅が広い2.0mm幅の光学くしを用いて評価することも考えられるが、0.125mm幅の光学くしを用いた場合には信頼性に欠け、評価指標としては適切ではないので、本発明においては、JIS K7105において0.125mmの次に幅が狭い0.5mm幅の光学くしと最も幅が広い2.0mm幅の光学くしによって、評価することとした。なお、理由は定かではないが、0.5mm幅の光学くしで測定した反射鮮明度の値が0.125mm幅の光学くしで測定した反射鮮明度の値よりも小さくならないことが好ましい。
第1の凹凸面14Aにおいては、中間基材フィルム11のフィルム面の法線方向Nに沿った断面におけるフィルム面に対する第1の凹凸面14Aの傾斜角度を表面角度とすると、表面角度が0.05°以上となっている領域の割合が50%以上となっていることが好ましい。表面角度が0.05°以上となっている領域の割合が50%以上となっていることにより、干渉縞の発生をより抑制することができる。表面角度が0.05°以上となっている領域の割合の下限は、55%以上であることが好ましく、60%以上であることがより好ましい。また、表面角度が0.05°以上となっている領域の割合の上限は、95%以下または90%以下であってもよい。
表面角度は、第1の凹凸面14Aの表面形状を測定することにより得られる。表面形状を測定する装置としては、接触式表面粗さ計や非接触式の表面粗さ計(例えば、干渉顕微鏡、共焦点顕微鏡、原子間力顕微鏡等)が挙げられる。これらの中でも、測定の簡便性から干渉顕微鏡が好ましい。このような干渉顕微鏡としては、Zygo社製の「New View」シリーズ等が挙げられる。
干渉顕微鏡を用いて、表面角度が0.05°以上となる領域の割合を算出するには、例えば、凹凸面の全面に渡る各点の傾斜Δiを求め、傾斜Δiを下記式(2)により表面角度θiに換算して、そこから、表面角度θiの絶対値が0.05°以上となる領域の割合を算出する。なお、傾斜Δiは、下記式(4)で算出される局部傾斜dZi/dXiと同じものであるので、下記式(4)から求めることができる。
θi=tan−1Δi …(2)
第1の凹凸面14Aにおいては、粗さ曲線の二乗平均平方根傾斜RΔqが0.003以下となっていることが好ましい。粗さ曲線の二乗平均平方根傾斜RΔqが0.003以下とすることにより、白濁感をより低減させることができる。RΔqの下限は、0.0005以上または0.001以上であってもよい。また、RΔqの上限は、0.0025以下であることが好ましく、0.002以下であることがより好ましい。
粗さ曲線の二乗平均平方根傾斜RΔqは、JIS B0601:2001において、局部傾斜dZi/dXiの二乗平均平方根として定義されており、下記式(3)で表される。
式中、nは全測定点であり、dZ
i/dX
iはi番目の局部傾斜である。測定面の各点における局部傾斜は例えば下記式(4)により求められる。
式中、測定面の一つ方向をX方向としたとき、X
iはi番目のX方向の位置であり、Z
iはi番目の高さであり、ΔXはサンプリング間隔である。
二乗平均平方根傾斜RΔqは、表面角度と同様に、第1の凹凸面14Aの表面形状を測定することにより得られる。表面形状を測定する装置としては、接触式表面粗さ計や非接触式の表面粗さ計(例えば、干渉顕微鏡、共焦点顕微鏡、原子間力顕微鏡等)が挙げられる。これらの中でも、測定の簡便性から干渉顕微鏡が好ましい。このような干渉顕微鏡としては、Zygo社製の「New View」シリーズ等が挙げられる。
第1の凹凸面14Aにおいては、図4に示されるように透明基材13の法線方向Nから10°傾斜した方向に進む平行光を第1の透明層14の第1の凹凸面14Aに照射した状態で、法線方向Nおよび平行光の進行方向Tの両方向を含む平面内にて測定された反射光強度の角度分布において、最高反射光強度の1/100以上の反射光強度が測定される角度域の幅から最高反射光強度の1/2以上の反射光強度が測定される角度域の幅を引いた値が、0.7°以上1.4°以下となっていることが好ましい(以下、「最高反射光強度の1/100以上の反射光強度が測定される角度域の幅」を「1/100角度幅」と称し、「最高反射光強度の1/2以上の反射光強度が測定される角度域の幅」を「1/2角度幅」と称する)。1/100角度幅から1/2角度幅を引いた値が、0.7°以上1.4°以下であることにより、干渉縞の発生をより抑制でき、かつ人間の目の検知能力からはより白濁感が生じているとは認識されにくい。「法線方向および平行光の進行方向の両方向を含む平面」とは、厳密な意味に縛られることなく、誤差を含めて解釈することとする。「1/100角度幅」とは、最高反射光強度の1/100の反射光強度が測定される一方の角度から最高反射光強度の1/100の反射光強度が測定される他方の角度までの角度幅を意味し、同様に「1/2角度幅」とは、最高反射光強度の1/2の反射光強度が測定される一方の角度から最高反射光強度の1/2の反射光強度が測定される他方の角度までの角度幅を意味する。なお、1/100の反射光強度、あるいは1/2の反射光強度は内挿(線形補間)した値の場合を含む。
1/100角度幅から1/2角度幅の幅を引いた値の下限は、0.8°以上であることが好ましく、0.9°以上であることがより好ましい。また、1/100角度幅から1/2角度幅の幅を引いた値の上限は、1.3°以下であること好ましく、1.2°以下であることがより好ましい。
反射光強度の角度分布は、公知の変角光度計(ゴニオフォトメータ)で測定することができる。図4に示されるように、変角光度計110は、平行光を照射する光源111と、検出器112とを備えており、光源111から平行光を中間基材フィルムのフィルム面の法線方向Nから10°傾斜した方向から第1の透明層14の第1の凹凸面14Aに向けて照射し、第1の凹凸面14Aからの反射光を、法線方向Nおよび平行光の進行方向Tの両方向を含む平面内で、検出器112の測定角度を連続的に変えながら検出器112で0.1°毎の反射光強度を測定することにより、反射光強度の角度分布を得ることができる。このような変角光度計としては、村上色彩技術研究所社製の変角光度計GP−200等が挙げられる。
図4に示される中間基材フィルムは、第1の透明層14上に第1の高屈折率層15および第1の低屈折率層16が設けられていない状態のものであるが、第1の透明層14上に第1の高屈折率層15および第1の低屈折率層16が設けられている中間基材フィルム11においては、後述するように第1の高屈折率層15および第1の低屈折率層の厚みを200nm以下とすれば、第1の凹凸面14Aの凹凸形状が中間基材フィルム11の表面(第1の低屈折率層16)の表面に反映されるので、第1の凹凸面14Aにおける反射光強度の上記測定条件と同様の条件によって、第1の低屈折率層16の表面における反射光強度を測定した場合には、第1の低屈折率層16の表面での反射光強度の角度分布における1/100角度幅から1/2角度幅を引いた値は、第1の透明層14の第1の凹凸面14Aでの反射光強度の角度分布における1/100角度幅から1/2角度幅を引いた値とほぼ同じ値となる。したがって、第1の低屈折率層16の表面での反射光強度の角度分布における1/100角度幅から1/2角度幅を引いた値が0.7°以上1.4°以下となっている場合には、第1の透明層14の第1の凹凸面14Aで測定された反射光強度の角度分布における1/100角度幅から1/2角度幅を引いた値も0.7°以上1.4°以下となっていると判断できる。
ここで、1/100角度幅から1/2角度幅の幅を引いた値で規定したのは、以下の理由からである。本発明者は、第1の透明層の表面において、1/100角度幅が適度な大きさの幅であれば、干渉縞の発生をより抑制でき、かつ人の目の検知能力からは正反射と同等に、白濁感が生じているとはより認識されないことを見出した。しかしながら、1/100角度幅を求めるために反射光強度の角度分布を測定した場合、測定対象である光学フィルムの設置角度が少し(例えば0.1°)ずれただけであっても、光学フィルムでの反射光が検出器に入射しにくくなり、大幅に測定値(反射光強度)が変化してしまう。したがって、単に変角光度計により反射光強度の角度分布を測定しただけでは、安定的な測定を行うことができなかった。このようなことから、本発明者は、検出器の受光絞りを広げることを試みた。この測定手法であれば、検出器における反射光が入射する面積が大きくなるので、光学フィルムの設置角度が多少ずれたとしても、大幅に測定値が変化することがなく、安定的な測定を行うことができる。しかしながら、検出器の受光絞りを広げた場合、受光絞りの大きさに応じて、測定される角度幅も広がってしまう。そこで、本発明者は、検出器の受光絞りを広げた状態で測定を行い、かつ得られた反射光強度の角度分布における1/100角度幅から1/2角度幅を引くことを見出した。このような測定手法であれば、受光絞りを広げているので、安定的な測定を行うことができる。また、受光絞りを広げることによって測定された角度幅が広くなっていたとしても、1/100角度幅から1/2角度幅を引くことにより、受光絞りを広げたことによって広がった角度幅の増加分を相殺することができる。また、本発明の光学フィルムおよび従来の防眩フィルムにおける1/2角度幅はあまり差がないので、1/100角度幅から1/2角度幅を引いた値は、実質的に1/100角度幅を評価していることになる。このような理由から、1/100角度幅から1/2角度幅の幅を引いた値を用いている。
第1の凹凸面14Aにおいては、第1の凹凸面14Aを構成する凹凸の平均間隔Smが0.20mm以上0.60mm以下となっていることが好ましく、0.22mm以上0.50mm以下となっていることがより好ましい。第1の凹凸面14Aにおいては、第1の凹凸面14Aを構成する凹凸の平均傾斜角θaが0.01°以上0.1°以下となっていることが好ましく、0.04°以上0.08°以下となっていることがより好ましい。
第1の凹凸面14Aにおいては、第1の凹凸面14Aを構成する凹凸の算術平均粗さRaが0.02μm以上0.10μm以下となっていることが好ましく、0.04μm以上0.08μm以下となっていることがより好ましい。第1の凹凸面14Aにおいては、第1の凹凸面14Aを構成する凹凸の最大高さ粗さRyが0.20μm以上0.60μm以下となっていることが好ましく、0.25μm以上0.40μm以下となっていることがより好ましい。第1の凹凸面14Aにおいては、第1の凹凸面14Aを構成する凹凸の10点平均粗さRzが0.15μm以上0.50μm以下となっていることが好ましく、0.18μm以上0.30μm以下となっていることがより好ましい。
上記「Sm」、「Ra」、「Ry」および「Rz」の定義は、JIS B0601−1994に従うものとする。「θa」の定義は、表面粗さ測定器:SE−3400/(株)小坂研究所製取り扱い説明書(1995.07.20改訂)に従うものとする。具体的には、θaは下記式(5)で表される。
θa=tan−1Δa …(5)
式中、Δaは傾斜を縦横比率で表したものであり、各凹凸の極小部と極大部の差(各凸部の高さに相当)の総和を基準長さで割った値である。
Sm、θa、Ra、Ry、Rzは、例えば、表面粗さ測定器(型番:SE−3400/(株)小坂研究所製)を用いて、下記の測定条件により測定を行うことができる。
1)表面粗さ検出部の触針((株)小坂研究所製の商品名SE2555N(2μ標準))
・先端曲率半径2μm、頂角90度、材質ダイヤモンド
2)表面粗さ測定器の測定条件
・基準長さ(粗さ曲線のカットオフ値λc):2.5mm
・評価長さ(基準長さ(カットオフ値λc)×5):12.5mm
・触針の送り速さ:0.5mm/s
・予備長さ:(カットオフ値λc)×2
・縦倍率:2000倍
・横倍率:10倍
第1の透明層14は、ハードコート性を有することが好ましい。第1の透明層14がハードコート性を有する場合、第1の透明層14の表面はJIS K5600−5−4(1999)で規定される鉛筆硬度試験(4.9N荷重)で「H」以上の硬度を有する。鉛筆硬度を「H」以上とすることにより、第1の透明層14の硬さを第1の低屈折率層16の表面に十分に反映させることができ、耐久性を向上させることができる。なお、第1の透明層14上に形成する第1の高屈折率層15との密着性、靱性およびカールの防止の観点から、第1の透明層14の表面(第1の凹凸面14A)の鉛筆硬度の上限は4H程度程とすることが好ましい。タッチパネルセンサは、繰り返し押圧され高度な密着性および靱性が要求されることから、第1の透明層14の鉛筆硬度の上限を4Hとすることにより、中間基材フィルム11をタッチパネルセンサに組み込んで使用する場合に顕著な効果を発揮できる。
第1の透明層14の膜厚は1μm以上10μm以下であることが好ましい。第1の透明層14の膜厚がこの範囲であれば、所望の硬度を得ることができるとともに、第1の透明層の薄膜化を図ることができる。また、第1の導電層12を形成する際に透明基材13を加熱すると、この加熱によって透明基材13からオリゴマーが析出して白く濁って見えることがあるが、この範囲の膜厚を有する第1の透明層14を形成することによって、このオリゴマーの析出を抑制することができる。第1の透明層14の膜厚は、断面顕微鏡観察により測定することができる。
第1の透明層14の膜厚の下限は、第1の透明層の割れを抑制する観点から、5μm以下であることがより好ましい。また、第1の透明層の薄膜化を図る一方で、カールの発生を抑制する観点から、第1の透明層14の膜厚は0.5μm以上5.0μm以下であることがさらに好ましい。ただし、中間基材フィルム11のように、透明基材13の一方の面13Aに第1の透明層14を形成し、かつ他方の面13Bに第2の透明層17を形成している場合には、第1の透明層14と第2の透明層17でカールの発生を抑制できることから、第1の透明層14の膜厚は5μmを超えていてもよい。
第1の透明層14の屈折率は、1.50以上1.60以下であってもよい。第1の透明層14の屈折率の下限は、1.52以上であってもよく、第1の透明層14の屈折率の上限は、1.56以下であってもよい。透明基材13と第1の透明層14との屈折率差は、干渉縞が視認されることを抑制する観点から、0.10以内とすることが好ましく、0.06以内とすることがより好ましい。ここで、透明基材13の表面にアンカー剤やプライマー剤が塗布されている場合には、透明基材13と第1の透明層14との屈折率差は、アンカー剤やプライマー剤と第1の透明層との屈折率差である。
第1の透明層14の屈折率は、単独の層を形成した後、アッベ屈折率計(アタゴ社製 NAR−4T)やエリプソメーターによって測定できる。また、中間基材フィルム11となった後に屈折率を測定する方法としては、第1の透明層14をカッターなどで削り取り、粉状態のサンプルを作製し、JIS K7142(2008)B法(粉体または粒状の透明材料用)に従ったベッケ法(屈折率が既知のカーギル試薬を用い、前記粉状態のサンプルをスライドガラスなどに置き、そのサンプル上に試薬を滴下し、試薬でサンプルを浸漬する。その様子を顕微鏡観察によって観察し、サンプルと試薬の屈折率が異なることによってサンプル輪郭に生じる輝線;ベッケ線が目視で観察できなくなる試薬の屈折率を、サンプルの屈折率とする方法)を用いることができる。
本発明においては、0.5mm幅の光学くしを用いて測定される第1の凹凸面の反射鮮明度が90%以下(要件1)となっており、かつ2.0mm幅の光学くしを用いて測定される第1の凹凸面の反射鮮明度が80%以上(要件2)となっていれば、中間基材フィルムにおいて、干渉縞が視認されることを抑制でき、白濁感を低減できる。したがって、第1の透明層の第1の凹凸面が上記要件1、2を満たすように材料を適宜選択すれば、第1の透明層を構成する材料は特に限定されない。
第1の凹凸面を有する第1の透明層は、例えば、(1)微粒子および重合後バインダ樹脂となる光重合性化合物を含む第1の透明層用樹脂組成物を透明基材に塗布する方法、(2)第1の透明層用組成物を透明基材に塗布し、その後表面に凹凸面の逆形状の溝を有する型を第1の透明層用組成物に型押する方法、または(3)上記第1の凹凸面に対応する凹凸形状を表面に有する円盤状粒子を分散させた第1の透明層用樹脂組成物を、透明基材に塗布して、円盤状粒子を第1の透明層の表面に配列する方法等によって、形成することが可能である。これらの中でも、製造が容易であることから、(1)の方法が好ましい。
上記(1)の方法においては、光重合性化合物が重合(架橋)して、バインダ樹脂となる際に、微粒子が存在しない部分においては、光重合性化合物が硬化収縮を起こすため全体的に収縮する。これに対し、微粒子が存在する部分においては、微粒子は硬化収縮を起こさないため、微粒子の上下に存在する光重合性化合物のみ硬化収縮を起こす。これにより、微粒子が存在する部分は微粒子が存在しない部分に比べて第1の透明層の膜厚が厚くなるので、第1の透明層の表面が凹凸形状となる。したがって、微粒子の種類や粒径および光重合性化合物の種類を適宜選択し、塗膜形成条件を調整することにより、第1の凹凸面14Aを有する第1の透明層14を形成することができる。
以下、第1の透明層14が、微粒子およびバインダ樹脂を含んでいる例について説明する。例えば、このような微粒子およびバインダ樹脂を含む第1の透明層14は、上記(1)の方法で形成することができる。
〈微粒子〉
微粒子は、無機微粒子または有機微粒子のいずれであってもよいが、これらの中でも、例えば、シリカ(SiO2)微粒子、アルミナ微粒子、チタニア微粒子、酸化スズ微粒子、アンチモンドープ酸化スズ(略称;ATO)微粒子、酸化亜鉛微粒子等の無機酸化物微粒子が好ましい。無機酸化物微粒子は、第1の透明層中で凝集体を形成することが可能となり、この凝集体の凝集度合により第1の凹凸面14Aを形成することが可能となる。
有機微粒子としては、例えば、プラスチックビーズを挙げることができる。プラスチックビーズとしては、具体例としては、ポリスチレンビーズ、メラミン樹脂ビーズ、アクリルビーズ、アクリル−スチレンビーズ、シリコーンビーズ、ベンゾグアナミンビーズ、ベンゾグアナミン・ホルムアルデヒド縮合ビーズ、ポリカーボネートビーズ、ポリエチレンビーズ等が挙げられる。
有機微粒子は、上述した硬化収縮において、微粒子が有する硬化収縮に対する抵抗力を適度に調整されていることが好ましい。この収縮に対する抵抗力を調整するには、事前に、三次元架橋の程度を変えて作成した、硬さの異なる有機微粒子を含む積層フィルムを複数作成し、積層フィルムの凹凸面を評価することによって、第1の凹凸面となるに適した架橋度合いを選定しておくことが好ましい。
微粒子として無機酸化物粒子を用いる場合、無機酸化物粒子は表面処理が施されていることが好ましい。無機酸化物微粒子に表面処理を施すことにより、微粒子の第1の透明層14中での分布を好適に制御することができ、また微粒子自体の耐薬品性の向上を図ることもできる。
表面処理としては、微粒子の表面を疎水性にする疎水化処理が好ましい。このような疎水化処理は、微粒子の表面にシラン類やシラザン類等の表面処理剤を化学的に反応させることにより、得ることができる。具体的な表面処理剤としては、例えば、ジメチルジクロロシランやシリコーンオイル、ヘキサメチルジシラザン、オクチルシラン、ヘキサデシルシラン、アミノシラン、メタクリルシラン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、ポリジメチルシロキサン等が挙げられる。微粒子が無機酸化物微粒子の場合、無機酸化物微粒子の表面には水酸基が存在しているが、上記のような疎水化処理を施すことにより、無機酸化物微粒子の表面に存在する水酸基が少なくなり、無機酸化物微粒子のBET法により測定される比表面積が小さくなるとともに、無機酸化物微粒子が過度に凝集することを抑制でき、第1の凹凸面を有する第1の透明層を形成することができる。
微粒子として無機酸化物粒子を用いる場合、無機酸化物微粒子は非晶質であることが好ましい。これは、無機酸化物粒子が結晶性である場合、その結晶構造中に含まれる格子欠陥により、無機酸化物微粒子のルイス酸塩が強くなってしまい、無機酸化物微粒子の過度の凝集を制御できなくなるおそれがあるからである。
微粒子として無機酸化物粒子を用いる場合、無機酸化物微粒子は第1の透明層14中において凝集体を形成していることが好ましい。この無機酸化物微粒子の凝集体は、第1の透明層14中においては、無機酸化物微粒子が三次元的に連なった構造を有していることが好ましい。無機酸化物微粒子が三次元的に連なった構造としては、例えば籠状や糸毬状が挙げられる。無機酸化物微粒子が三次元的に連なった構造を有する凝集体は、硬化後バインダ樹脂となる光重合性化合物の硬化収縮の際に、容易に、かつ、均一性を持って潰れる。これにより、凹凸面を非常に滑らかな面とすることができるので、結果として急峻な斜面を有する凹凸面とはならず、第1の凹凸面を有する第1の透明層を形成することができる。なお、上述したように有機微粒子を用いた場合であっても、架橋度を適度に調整すれば、第1の凹凸面を有する第1の透明層を形成することができる。
第1の透明層14に対する微粒子の含有量は特に限定されないが、0.1質量%以上5.0質量%以下であることが好ましい。微粒子の含有量が0.1質量%以上となっているので、第1の凹凸面をより確実に形成することができ、また微粒子の含有量が5.0質量%以下となっているので、凝集体が過度に生じることもなく、内部拡散および/または第1の透明層の表面に大きな凹凸が生じることを抑制でき、これにより白濁感を抑制できる。微粒子の含有量の下限は0.5質量%以上であることがより好ましく、微粒子の含有量の上限は3.0質量%以下であることがより好ましい。
微粒子は、単粒子状態での形状が球状であることが好ましい。微粒子の単粒子がこのような球状であることにより、積層フィルムを画像表示装置の画像表示面に配置したときに、コントラストに優れた画像を得ることができる。ここで、「球状」とは、例えば、真球状、楕円球状等が含まれるが、いわゆる不定形のものは含まれない意味である。
微粒子として無機酸化物微粒子を用いる場合、無機酸化物微粒子の平均一次粒径は、1nm以上100nm以下であることが好ましい。微粒子の平均一次粒径が1nm以上となっているので、第1の凹凸面を有する第1の透明層をより容易に形成することができ、また平均一次粒径が100nm以下となっているので、微粒子による光の拡散を抑制でき、優れた暗室コントラストを得ることができる。微粒子の平均一次粒径の下限は5nm以上であることがより好ましく、微粒子の平均一次粒径の上限は50nm以下であることがより好ましい。なお、微粒子の平均一次粒径は、断面電子顕微鏡(TEM、STEM等の透過型で倍率が5万倍以上のものが好ましい)の画像から、画像処理ソフトウェアを用いて測定される値である。
微粒子として有機微粒子を用いる場合、有機微粒子は、屈折率の異なる樹脂の共重合比率を変えることでバインダ樹脂との屈折率差を小さく、例えば、0.01未満とすることが容易にできるので、微粒子による光の拡散を抑制できる。そのため、平均一次粒径は8.0μm未満、好ましくは5.0μm以下であれば良い。
微粒子として無機酸化物微粒子を用いる場合、無機酸化物微粒子の凝集体の平均粒子径は、100nm以上2.0μm以下であることが好ましい。100nm以上であれば、容易に第1の凹凸面を形成することができ、また2.0μm以下であれば、微粒子の凝集体による光の拡散を抑制でき、暗室コントラストに優れた積層フィルムの画像像表示装置を得ることができる。微粒子の凝集体の平均粒子径は、下限が200nm以上であることが好ましく、上限が1.5μm以下であることが好ましい。
無機酸化物微粒子の凝集体の平均粒子径は、断面電子顕微鏡による観察(1万〜2万倍程度)から無機酸化物微粒子の凝集体が多く含まれる5μm四方の領域を選び、その領域中の無機酸化物微粒子の凝集体の粒子径を測定し、上位10個の無機酸化物微粒子の凝集体の粒子径を平均したものである。なお、上記「無機酸化物微粒子の凝集体の粒子径」は、無機酸化物微粒子の凝集体の断面を任意の平行な2本の直線で挟んだとき、この2本の直線間距離が最大となるような2本の直線の組み合わせにおける直線間距離として測定される。また、無機酸化物微粒子の凝集体の粒子径は、画像解析ソフトを用いて算出してもよい。
微粒子としてシリカ粒子を用いる場合、シリカ粒子の中でも、容易に第1の凹凸面を有する第1の透明層を形成することができる観点から、フュームドシリカ微粒子が好ましい。フュームドシリカとは、乾式法で作製された200nm以下の粒径を有する非晶質のシリカであり、ケイ素を含む揮発性化合物を気相で反応させることにより得ることができる。具体的には、例えば、四塩化ケイ素(SiCl4)等のケイ素化合物を酸素と水素の炎中で加水分解して生成されたもの等が挙げられる。フュームドシリカ微粒子の市販品としては、日本アエロジル株式会社製のAEROSIL R805等が挙げられる。
フュームドシリカ微粒子には、親水性を示すものと、疎水性を示すものがあるが、これらの中でも、水分吸収量が少なくなり、第1の透明層用組成物中に分散し易くなる観点から、疎水性を示すものが好ましい。疎水性のフュームドシリカは、フュームドシリカ微粒子の表面に存在するシラノール基に上記のような表面処理剤を化学的に反応させることにより得ることができる。上記のような凝集体を容易に得るという観点からは、フュームドシリカはオクチルシラン処理されていることが最も好ましい。
フュームドシリカ微粒子は凝集体を形成するが、フュームドシリカ微粒子の凝集体は、第1の透明層用組成物中においては、稠密な凝集体ではなく、籠状または糸毬状のような十分疎である凝集体を形成する。このため、フュームドシリカ微粒子の凝集体は硬化後バインダ樹脂となる光重合性化合物の硬化収縮の際に、容易に、かつ、均一性を持って潰れる。これにより、第1の凹凸面を有する第1の透明層を形成することができる。
フュームドシリカ微粒子のBET比表面積は、100m2/g以上200m2/g以下が好ましい。フュームドシリカ微粒子のBET比表面積を100m2/g以上とすることにより、フュームドシリカが分散しすぎず、適度な凝集体を形成させやすくなり、またフュームドシリカ微粒子のBET比表面積が200m2/g以下とすることにより、フュームドシリカ微粒子が過剰に大きな凝集体を形成しにくくなる。フュームドシリカ微粒子のBET比表面積の下限は、より好ましくは120m2/gであり、さらに好ましくは140m2/gである。フュームドシリカ微粒子のBET比表面積の上限は、より好ましくは180m2/gであり、さらに好ましくは165m2/gである。
〈バインダ樹脂〉
バインダ樹脂は、光重合性化合物の重合物(架橋物)を含むものである。バインダ樹脂は、光重合性化合物の重合物(架橋物)の他、溶剤乾燥型樹脂や熱硬化性樹脂を含んでいてもよい。光重合性化合物は、光重合性官能基を少なくとも1つ有するものである。本明細書における、「光重合性官能基」とは、光照射により重合反応し得る官能基である。光重合性官能基としては、例えば、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、アリル基等のエチレン性二重結合が挙げられる。なお、「(メタ)アクリロイル基」とは、「アクリロイル基」および「メタクリロイル基」の両方を含む意味である。また、光重合性化合物を重合する際に照射される光としては、可視光線、並びに紫外線、X線、電子線、α線、β線、およびγ線のような電離放射線が挙げられる。
光重合性化合物としては、光重合性モノマー、光重合性オリゴマー、または光重合性ポリマーが挙げられ、これらを適宜調整して、用いることができる。光重合性化合物としては、光重合性モノマーと、光重合性オリゴマーまたは光重合性ポリマーとの組み合わせが好ましい。
(光重合性モノマー)
光重合性モノマーは、重量平均分子量が1000未満のものである。光重合性モノマーとしては、光重合性官能基を2つ(すなわち、2官能)以上有する多官能モノマーが好ましい。
2官能以上のモノマーとしては、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールオクタ(メタ)アクリレート、テトラペンタエリスリトールデカ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸トリ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸ジ(メタ)アクリレート、ポリエステルトリ(メタ)アクリレート、ポリエステルジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールジ(メタ)アクリレート、ジグリセリンテトラ(メタ)アクリレート、アダマンチルジ(メタ)アクリレート、イソボロニルジ(メタ)アクリレート、ジシクロペンタンジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレートや、これらをPO、EO等で変性したものが挙げられる。
これらの中でも硬度が高い第1の透明層を得る観点から、ペンタエリスリトールトリアクリレート(PETA)、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPHA)、ペンタエリスリトールテトラアクリレート(PETTA)、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート(DPPA)等が好ましい。
(光重合性オリゴマー)
光重合性オリゴマーは、重量平均分子量が1000以上10000未満のものである。光重合性オリゴマーとしては、2官能以上の多官能オリゴマーが好ましい。多官能オリゴマーとしては、ポリエステル(メタ)アクリレート、 ウレタン(メタ)アクリレート、ポリエステル−ウレタン(メタ)アクリレート、ポリエーテル(メタ)アクリレート、ポリオール(メタ)アクリレート、メラミン(メタ)アクリレート、イソシアヌレート(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
(光重合性ポリマー)
光重合性ポリマーは、重量平均分子量が10000以上のものであり、重量平均分子量としては10000以上80000以下が好ましく、10000以上40000以下がより好ましい。重量平均分子量が80000を超える場合は、粘度が高いため塗工適性が低下してしまい、得られる光学積層フィルムの外観が悪化するおそれがある。上記多官能ポリマーとしては、ウレタン(メタ)アクリレート、イソシアヌレート(メタ)アクリレート、ポリエステル−ウレタン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
溶剤乾燥型樹脂は、熱可塑性樹脂等、塗工時に固形分を調整するために添加した溶剤を乾燥させるだけで、被膜となるような樹脂である。溶剤乾燥型樹脂を添加した場合、第1の透明層14を形成する際に、塗液の塗布面の被膜欠陥を有効に防止することができる。溶剤乾燥型樹脂としては特に限定されず、一般に、熱可塑性樹脂を使用することができる。
熱可塑性樹脂としては、例えば、スチレン系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、ビニルエーテル系樹脂、ハロゲン含有樹脂、脂環式オレフィン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、セルロース誘導体、シリコーン系樹脂及びゴム又はエラストマー等を挙げることができる。
熱可塑性樹脂は、非結晶性で、かつ有機溶媒(特に複数のポリマーや硬化性化合物を溶解可能な共通溶媒)に可溶であることが好ましい。特に、透明性や耐候性という観点から、スチレン系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、脂環式オレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、セルロース誘導体(セルロースエステル類等)等が好ましい。
熱硬化性樹脂としては、特に限定されず、例えば、フェノール樹脂、尿素樹脂、ジアリルフタレート樹脂、メラミン樹脂、グアナミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、アミノアルキッド樹脂、メラミン−尿素共縮合樹脂、ケイ素樹脂、ポリシロキサン樹脂等を挙げることができる。
上記(1)の方法によって、第1の透明層14を形成するためには、まず、透明基材13の表面に、第1の透明層用組成物を塗布する。第1の透明層用組成物を塗布する方法としては、スピンコート、ディップ法、スプレー法、スライドコート法、バーコート法、ロールコート法、グラビアコート法、ダイコート法等の公知の塗布方法が挙げられる。
<第1の透明層用組成物>
第1の透明層用組成物は、少なくとも、微粒子、光重合性化合物を含むものである。その他、必要に応じて、第1の透明層用組成物に、上記熱可塑性樹脂、上記熱硬化性樹脂、溶剤、重合開始剤を添加してもよい。さらに、第1の透明層用組成物には、第1の透明層の硬度を高くする、硬化収縮を抑える、屈折率を制御する等の目的に応じて、従来公知の分散剤、界面活性剤、帯電防止剤、シランカップリング剤、増粘剤、着色防止剤、着色剤(顔料、染料)、消泡剤、レベリング剤、難燃剤、紫外線吸収剤、接着付与剤、重合禁止剤、酸化防止剤、表面改質剤、易滑剤等を添加していてもよい。
〈溶剤〉
溶剤としては、例えば、アルコール(例、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、s−ブタノール、t−ブタノール、ベンジルアルコール、PGME、エチレングリコール)、ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン(MEK)、シクロヘキサノン、メチルイソブチルケトン、ジアセトンアルコール、シクロヘプタノン、ジエチルケトン等)、エーテル類(1,4−ジオキサン、ジオキソラン、ジイソプロピルエーテルジオキサン、テトラヒドロフラン等)、脂肪族炭化水素類(ヘキサン等)、脂環式炭化水素類(シクロヘキサン等)、芳香族炭化水素類(トルエン、キシレン等)、ハロゲン化炭素類(ジクロロメタン、ジクロロエタン等)、エステル類(蟻酸メチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、乳酸エチル等)、セロソルブ類(メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ等)、セロソルブアセテート類、スルホキシド類(ジメチルスルホキシド等)、アミド類(ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等)等が例示でき、これらの混合物であってもよい。
〈重合開始剤〉
重合開始剤は、光照射により分解されて、ラジカルを発生して光重合性化合物の重合(架橋)を開始または進行させる成分である。
重合開始剤は、光照射によりラジカル重合を開始させる物質を放出することが可能であれば特に限定されない。重合開始剤としては、特に限定されず、公知のものを用いることができ、具体例には、例えば、アセトフェノン類、ベンゾフェノン類、ミヒラーベンゾイルベンゾエート、α−アミロキシムエステル、チオキサントン類、プロピオフェノン類、ベンジル類、ベンゾイン類、アシルホスフィンオキシド類が挙げられる。また、光増感剤を混合して用いることが好ましく、その具体例としては、例えば、n−ブチルアミン、トリエチルアミン、ポリ−n−ブチルホスフィン等が挙げられる。
上記重合開始剤としては、上記バインダ樹脂がラジカル重合性不飽和基を有する樹脂系の場合は、アセトフェノン類、ベンゾフェノン類、チオキサントン類、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル等を単独又は混合して用いることが好ましい。
第1の透明層用組成物における重合開始剤の含有量は、光重合性化合物100質量部に対して、0.5質量部以上10.0質量部以下であることが好ましい。重合開始剤の含有量をこの範囲内にすることにより、ハードコート性能が充分に保つことができ、かつ硬化阻害を抑制できる。
第1の透明層用組成物中における原料の含有割合(固形分)としては特に限定されないが、通常は5質量%以上70質量%以下が好ましく、25質量%以上60質量%以下とすることがより好ましい。
〈レベリング剤〉
レベリング剤としては、例えば、シリコーンオイル、フッ素系界面活性剤等が、第1の透明層がベナードセル構造となることを回避することから好ましい。溶剤を含む樹脂組成物を塗工し、乾燥する場合、塗膜内において塗膜表面と内面とに表面張力差等を生じ、それによって塗膜内に多数の対流が引き起こされる。この対流により生じる構造はベナードセル構造と呼ばれ、形成する第1の透明層にゆず肌や塗工欠陥といった問題の原因となる。
ベナードセル構造は、第1の透明層の表面の凹凸が大きくなりすぎてしまうおそれがある。前述のようなレベリング剤を用いると、この対流を防止することができるため、欠陥やムラのない第1の透明層が得られるだけでなく、第1の透明層の表面の凹凸形状の調整も容易となる。
第1の透明層用組成物の調製方法としては、各成分を均一に混合できれば特に限定されず、例えば、ペイントシェーカー、ビーズミル、ニーダー、ミキサー等の公知の装置を使用して行うことができる。
透明基材13の表面に、第1の透明層用組成物を塗布した後、塗膜状の第1の透明層用組成物を乾燥させるために加熱されたゾーンに搬送し、各種の公知の方法で第1の透明層用組成物を乾燥させ溶剤を蒸発させる。ここで、溶剤相対蒸発速度、固形分濃度、塗布液温度、乾燥温度、乾燥風の風速、乾燥時間、乾燥ゾーンの溶剤雰囲気濃度等を選定することにより、微粒子の凝集体の分布状態を調整できる。
特に、乾燥条件の選定によって微粒子の凝集体の分布状態を調整する方法が簡便で好ましい。具体的な乾燥温度としては、30〜120℃、乾燥風速では0.2〜50m/sであることが好ましく、この範囲内で適宜調整した乾燥処理を、1回又は複数回行うことで微粒子の凝集体の分布状態を所望の状態に調整することができる。
その後、塗膜状の第1の透明層用組成物に紫外線等の光を照射して、光重合性化合物を重合(架橋)させることにより第1の透明層用組成物を硬化させて、第1の透明層14を形成する。
第1の透明層用組成物を硬化させる際の光として、紫外線を用いる場合には、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、低圧水銀灯、カーボンアーク、キセノンアーク、メタルハライドランプ等から発せられる紫外線等が利用できる。また、紫外線の波長としては、190〜380nmの波長域を使用することができる。電子線源の具体例としては、コッククロフトワルト型、バンデグラフト型、共振変圧器型、絶縁コア変圧器型、又は直線型、ダイナミトロン型、高周波型等の各種電子線加速器が挙げられる。
<第1の高屈折率層>
第1の高屈折率層15は、第1の透明層14の屈折率よりも高い屈折率を有する層である。具体的には、第1の高屈折率層15の屈折率は、1.50以上2.00以下であってもよい。第1の高屈折率層15の屈折率の下限は、1.60以上であってもよく、第1の高屈折率層15の屈折率の上限は、1.75以下であってもよい。第1の高屈折率層15の屈折率は、上記第1の透明層14の屈折率と同様の方法によって測定することができる。第1の透明層14と第1の高屈折率層15との屈折率差は、0.05以上0.25以下であってもよい。
第1の高屈折率層15の膜厚は、200nm以下となっていることが好ましい。第1の高屈折率層15の膜厚が200nm以下の場合、第1の高屈折率層15の膜厚が非常に薄いので、第1の高屈折率層15の表面は、第1の凹凸面14Aの凹凸形状が反映される。具体的には、第1の高屈折率層15の膜厚が200nm以下である場合には、0.5mm幅の光学くしを用いて測定される第1の高屈折率層15の表面の反射鮮明度および2.0mm幅の光学くしを用いて測定される第1の高屈折率層15の表面の反射鮮明度は、0.5mm幅の光学くしを用いて測定される第1の凹凸面14Aの反射鮮明度および2.0mm幅の光学くしを用いて測定される第1の凹凸面14Aの反射鮮明度とほぼ同じ値となる。したがって、0.5mm幅の光学くしを用いて測定される第1の高屈折率層15の表面の反射鮮明度が90%以下となっており、かつ2.0mm幅の光学くしを用いて測定される第1の高屈折率層15の表面の反射鮮明度が80%以上となっている場合には、0.5mm幅の光学くしを用いて測定される第1の凹凸面14Aの反射鮮明度が90%以下となっており、かつ2.0mm幅の光学くしを用いて測定される第1の凹凸面14Aの反射鮮明度が80%以上となっていると判断できる。また、第1の高屈折率層15の表面における表面角度が0.05°以上となる領域の割合等の値が上記した好適な表面角度が0.05°以上となる領域の割合等の範囲内にある場合には、第1の凹凸面14Aにおける表面角度が0.05°以上となる領域の割合等の値も上記した好適な表面角度が0.05°以上となる領域の割合等の範囲内にあると判断できる。「表面角度が0.05°以上となる領域の割合等」には、表面角度が0.05°以上となる領域の割合の他に、RΔq、1/100角度幅から1/2角度幅の幅を引いた値、Sm、θa、Ra、Ry、およびRzが含まれるものとする。本明細書において、「第1の高屈折率層の表面」とは、第1の高屈折率層における第1の透明層側の面とは反対側の面を意味する。
第1の高屈折率層15の膜厚の下限は、10nm以上であることが好ましく、30nm以上であることがより好ましい。第1の高屈折率層15の膜厚の上限は、100nm以下であることが好ましく、70nm以下であることがより好ましい。
第1の高屈折率層15および第1の低屈折率層16は、第1の導電層12が設けられている領域と第1の導電層12が設けられていない領域との間の光透過率および反射率の差を小さくするための屈折率調整層(インデックスマッチング層)として機能することができる。
第1の高屈折率層15としては、第1の透明層14の屈折率よりも高い屈折率を有する層であれば、特に限定されないが、第1の高屈折率層15は、例えば、微粒子と、バインダ樹脂とから構成することができる。
第1の高屈折率層15を構成する微粒子としては、金属酸化物微粒子が挙げられる。金属酸化物微粒子としては、具体的には、例えば、酸化チタン(TiO2、屈折率:2.3〜2.7)、酸化ニオブ(Nb2O5、屈折率:2.33)、酸化ジルコニウム(ZrO2、屈折率:2.10)、酸化アンチモン(Sb2O5、屈折率:2.04)、酸化スズ(SnO2、屈折率:2.00)、スズドープ酸化インジウム(ITO、屈折率:1.95〜2.00)、酸化セリウム(CeO2、屈折率:1.95)、アルミニウムドープ酸化亜鉛(AZO、屈折率:1.90〜2.00)、ガリウムドープ酸化亜鉛(GZO、屈折率:1.90〜2.00)、アンチモン酸亜鉛(ZnSb2O6、屈折率:1.90〜2.00)、酸化亜鉛(ZnO、屈折率:1.90)、酸化イットリウム(Y2O3、屈折率:187)、アンチモンドープ酸化スズ(ATO、屈折率:185〜185)、リンドープ酸化スズ(PTO、屈折率:185〜185)、等が挙げられる。これらの中でも、屈折率の観点から、酸化ジルコニウムが好ましい。
第1の高屈折率層15を構成するバインダ樹脂は特に制限されることがなく、熱可塑性樹脂を用いることもできるが、表面硬度を高くする観点から、熱硬化性樹脂又は光重合性化合物等の重合物(架橋物)であるものが好ましく、中でも光重合性化合物の重合物であるものがより好ましい。
熱硬化性樹脂としては、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、尿素メラミン樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、シリコーン樹脂等の樹脂等が挙げられる。熱硬化性樹脂を硬化させる際には、硬化剤を用いてもよい。
光重合性化合物としては、特に限定されないが、光重合性モノマー、オリゴマー、ポリマーを用いることができる。1官能の光重合性モノマーとしては、エチル(メタ)アクリレート、エチルヘキシル(メタ)アクリレート、スチレン、メチルスチレン、N−ビニルピロリドン等が挙げられる。また、2官能以上の光重合性モノマーとしては、例えば、ポリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオール(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、これらの化合物をエチレンオキサイド、ポリエチレンオキサイド等で変性した化合物等が挙げられる。
また、これらの化合物は、芳香族環、フッ素以外のハロゲン原子、硫黄、窒素、リン原子等を導入して、屈折率を高く調整したものであってもよい。さらに、上記化合物のほかに、不飽和二重結合を有する比較的低分子量のポリエステル樹脂、ポリエーテル樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、アルキッド樹脂、スピロアセタール樹脂、ポリブタジエン樹脂、ポリチオールポリエン樹脂等も使用することができる。光重合性化合物を重合(架橋)させる際には、第1の透明層の欄で説明した重合開始剤を用いてもよい。
<第1の低屈折率層>
第1の低屈折率層16は、第1の高屈折率層15の屈折率よりも低い屈折率を有する層である。具体的には、第1の低屈折率層16の屈折率は、1.20以上1.50以下であってもよい。第1の低屈折率層16の屈折率の下限は、1.40以上であってもよく、第1の低屈折率層16の屈折率の上限は、1.49以下であってもよい。第1の低屈折率層16の屈折率は、上記第1の透明層14の屈折率と同様の方法によって測定することができる。第1の高屈折率層15と第1の低屈折率層16との屈折率差は、0.10以上0.25以下であってもよい。
第1の低屈折率層16の膜厚は、200nm以下となっていることが好ましい。第1の高屈折率層15の膜厚および第1の低屈折率層16の膜厚が200nm以下の場合、第1の高屈折率層15および第1の低屈折率層16の膜厚が非常に薄いので、第1の高屈折率層15の表面のみならず、第1の低屈折率層16の表面にも、第1の凹凸面14Aの凹凸形状が反映される。具体的には、第1の高屈折率層15の膜厚および第1の低屈折率層16の膜厚が200nm以下である場合には、0.5mm幅の光学くしを用いて測定される第1の低屈折率層16の表面の反射鮮明度および2.0mm幅の光学くしを用いて測定される第1の低屈折率層16の表面の反射鮮明度は、0.5mm幅の光学くしを用いて測定される第1の凹凸面14Aの反射鮮明度および2.0mm幅の光学くしを用いて測定される第1の凹凸面14Aの反射鮮明度とほぼ同じ値となる。したがって、0.5mm幅の光学くしを用いて測定される第1の低屈折率層16の表面の反射鮮明度が90%以下となっており、かつ2.0mm幅の光学くしを用いて測定される第1の低屈折率層16の表面の反射鮮明度が80%以上となっている場合には、0.5mm幅の光学くしを用いて測定される第1の凹凸面14Aの反射鮮明度が90%以下となっており、かつ2.0mm幅の光学くしを用いて測定される第1の凹凸面14Aの反射鮮明度が80%以上となっていると判断できる。また、第1の低屈折率層16の表面における表面角度が0.05°以上となる領域の割合等の値が上記した好適な表面角度が0.05°以上となる領域の割合等の範囲内にある場合には、第1の凹凸面14Aにおける表面角度が0.05°以上となる領域の割合等の値も上記した好適な表面角度が0.05°以上となる領域の割合等の範囲内にあると判断できる。本明細書において、「第1の低屈折率層の表面」とは、第1の低屈折率層における第1の透明層側の面(第1の高屈折率層側の面)とは反対側の面を意味する。
第1の低屈折率層16の膜厚の下限は、10nm以上であることが好ましく、15nm以上であることがより好ましい。第1の低屈折率層16の膜厚の上限は、100nm以下であることが好ましく、50nm以下であることがより好ましい。
第1の低屈折率層の表面上にスズドープ酸化インジウム(ITO)等を用いて第1の導電層を形成する場合、スズドープ酸化インジウム等を結晶化させる必要があるが、第1の低屈折率層の表面が大きな凹凸形状を有している場合には、スズドープ酸化インジウム等の結晶化を妨げるおそれがある。これに対し、第1の低屈折率層16の表面においては、0.5mm幅の光学くしを用いて測定される第1の低屈折率層16の表面の反射鮮明度が90%以下となっており、かつ2.0mm幅の光学くしを用いて測定される第1の低屈折率層16の表面の反射鮮明度が80%以上となっているので、大きな凹凸形状を有していない。したがって、スズドープ酸化インジウム等の結晶化の阻害を抑制できる。
第1の低屈折率層16としては、第1の高屈折率層15の屈折率よりも低い屈折率を有する層であれば、特に限定されないが、第1の低屈折率層16は、例えば、低屈折率微粒子と、バインダ樹脂とから、または低屈折率樹脂から構成することができる。
低屈折率微粒子としては、例えば、シリカ、またはフッ化マグネシウムからなる中実または中空粒子等が挙げられる。これらの中でも、中空シリカ粒子が好ましく、このような中空シリカ粒子は、例えば、特開2005−099778号公報の実施例に記載の製造方法にて作製できる。
低屈折率微粒子としては、シリカ表面に反応性官能基を有する反応性シリカ微粒子を用いることが好ましい。反応性官能基としては、光重合性官能基が好ましい。このような反応性シリカ微粒子は、シランカップリング剤等によってシリカ微粒子を表面処理することによって作成することができる。シリカ微粒子の表面をシランカップリング剤で処理する方法としては、シリカ微粒子にシランカップリング剤をスプレーする乾式法や、シリカ微粒子を溶剤に分散させてからシランカップリング剤を加えて反応させる湿式法等が挙げられる。
第1の低屈折率層16を構成するバインダ樹脂としては、第1の高屈折率層15を構成するバインダ樹脂と同様のものが挙げられる。ただし、バインダ樹脂に、フッ素原子を導入した樹脂や、オルガノポリシロキサン等の屈折率の低い材料を混合してもよい。
低屈折率樹脂としては、フッ素原子を導入した樹脂や、オルガノポリシロキサン等の屈折率の低い樹脂が挙げられる。
第1の高屈折率層15と第1の低屈折率層16との間には、第1の高屈折率層15の屈折率よりも低く、かつ第1の低屈折率層16の屈折率よりも高い屈折率を有する中屈折率層(図示せず)を設けられていてもよい。
中屈折率層の屈折率は、1.50以上1.80以下であってもよい。中屈折率層の屈折率の下限は、1.55以上であってもよく、中屈折率層の屈折率の上限は、1.65以下であってもよい。中屈折率層の屈折率は、上記第1の透明層14の屈折率と同様の方法によって測定することができる。第1の高屈折率層15と中屈折率層との屈折率差は、0.05以上0.15以下であってもよく、中屈折率層と第1の低屈折率層16との屈折率差は、0.05以上0.15以下であってもよい。
中屈折率層の膜厚は、200nm以下となっていることが好ましい。中屈折率層の膜厚の下限は、10nm以上であることが好ましく、30nm以上であることがより好ましい。中屈折率層の膜厚の上限は、100nm以下であることが好ましく、70nm以下であることがより好ましい。
中屈折率層としては、第1の高屈折率層15の屈折率よりも低く、かつ第1の低屈折率層16の屈折率よりも高い屈折率を有する層であれば、特に限定されないが、中屈折率層4は、例えば、粒子と、バインダ樹脂とから構成することができる。粒子としては、第1の高屈折率層15を構成する粒子と同様の粒子が挙げられる。また、バインダ樹脂としては、第1の高屈折率層15を構成するバインダ樹脂と同様の樹脂が挙げられる。
<第2の透明層>
第2の透明層17は、透明基材13側とは反対側に第2の凹凸面17Aを有していることが好ましい。第2の透明層17においては、0.5mm幅の光学くしを用いて測定される第2の凹凸面17Aの反射鮮明度が90%以下となっており、かつ2.0mm幅の光学くしを用いて測定される第2の凹凸面17Aの反射鮮明度が80%以上となっていることが好ましい。
0.5mm幅の光学くしを用いて測定した第2の凹凸面17Aの反射鮮明度の上限は、80%以下であることが好ましく、70%以下であることがより好ましい。また、0.5mm幅の光学くしを用いて測定した第2の凹凸面17Aの反射鮮明度の下限は、10%以上であることが好ましく、20%以上であることがより好ましい。反射鮮明度は、上記と同様に反射鮮明度測定装置によって測定することができる。なお、第2の凹凸面17Aの反反射鮮明度は、第2の凹凸面17A上に第2の高屈折率層や第2の低屈折率層等の層を設けない状態で測定される。すなわち、第2の凹凸面17Aの反射光強度を測定する際には、透明基材11の一方の面11B上に第2の透明層17のみが設けられた中間基材フィルムを用いる。
2.0mm幅の光学くしを用いて測定した第2の凹凸面17Aの反射鮮明度の下限は、85%以上であることが好ましく、90%以上であることがより好ましい。また、2.0mm幅の光学くしを用いて測定した第2の凹凸面17Aの反射鮮明度の上限は、定義上100%である。
第2の凹凸面17Aにおいては、上述した理由と同様の理由から、中間基材フィルム10のフィルム面の法線方向Nに沿った断面におけるフィルム面に対する第2の凹凸面17Aの傾斜角度を表面角度とすると、表面角度が0.05°以上となっている領域の割合が50%以上となっていることが好ましい。また、表面角度が0.05°以上となっている領域の割合の上限は、95%以下または90%以下であってもよい。
第2の凹凸面17Aにおいては、上述した理由と同様の理由から、粗さ曲線の二乗平均平方根傾斜RΔqが0.003以下となっていることが好ましい。RΔqの下限は、0.0005以上または0.001以上であってもよい。また、RΔqの上限は、0.0025以下であることが好ましく、0.002以下であることがより好ましい。
第2の凹凸面17Aにおいては、上述した理由と同様の理由から、透明基材13の法線方向Nから10°傾斜した方向に進む平行光を第2の透明層17の第2の凹凸面17Aに照射した状態で、法線方向Nおよび平行光の進行方向Tの両方向を含む平面内にて測定された反射光強度の角度分布において、最高反射光強度の1/100以上の反射光強度が測定される角度域の幅から最高反射光強度の1/2以上の反射光強度が測定される角度域の幅を引いた値が、0.7°以上1.4°以下となっていることが好ましい。
1/100角度幅から1/2角度幅の幅を引いた値の下限は、0.8°以上であることが好ましく、0.9°以上であることがより好ましい。また、1/100角度幅から1/2角度幅の幅を引いた値の上限は、1.3°以下であること好ましく、1.2°以下であることがより好ましい。
第2の凹凸面17Aにおいては、第2の凹凸面17Aを構成する凹凸の平均間隔Smが0.20mm以上0.60mm以下となっていることが好ましく、0.22mm以上0.50mm以下となっていることがより好ましい。第2の凹凸面17Aにおいては、第2の凹凸面17Aを構成する凹凸の平均傾斜角θaが0.01°以上0.1°以下となっていることが好ましく、0.04°以上0.08°以下となっていることがより好ましい。
第2の凹凸面17Aにおいては、第2の凹凸面17Aを構成する凹凸の算術平均粗さRaが0.02μm以上0.10μm以下となっていることが好ましく、0.04μm以上0.08μm以下となっていることがより好ましい。第2の凹凸面17Aにおいては、第2の凹凸面17Aを構成する凹凸の最大高さ粗さRyが0.20μm以上0.60μm以下となっていることが好ましく、0.25μm以上0.40μm以下となっていることがより好ましい。第2の凹凸面17Aにおいては、第2の凹凸面17Aを構成する凹凸の10点平均粗さRzが0.15μm以上0.50μm以下となっていることが好ましく、0.18μm以上0.30μm以下となっていることがより好ましい。
第2の透明層17の第2の凹凸面17Aにおいて、0.5mm幅の光学くしを用いて測定される第2の凹凸面17Aの反射鮮明度が90%以下となっており、かつ2.0mm幅の光学くしを用いて測定される第2の凹凸面17Aの反射鮮明度が80%以上となっている場合、第1の透明層14の欄で説明した方法と同様の方法によって、第2の透明層17を得ることができる。具体的には、例えば、第2の透明層17は、第1の透明層14の欄で説明した微粒子と、第1の透明層14で説明したバインダ樹脂とから構成することが可能である。
第2の透明層17は、ハードコート性を有することが好ましい。第2の透明層17がハードコート性を有する場合、第2の透明層17の表面(第2の凹凸面17A)はJIS K5600−5−4(1999)で規定される鉛筆硬度試験(4.9N荷重)で「H」以上の硬度を有する。なお、第1の透明層14に記載した理由と同様の理由から、第2の透明層17の表面の鉛筆硬度の上限は4H程度程とすることが好ましい。
第2の透明層17の膜厚は、5μm以下であってもよいが、透明基材13の他方の面13Bに第2の透明層17が設けられている場合には、透明基材13の一方の面13Aには第1の透明層14が必ず設けられているので、上記した理由から5μmを超えていてもよい。第1の透明層13の膜厚が0.5μm以上5.0μm以下である場合、第2の透明層17の膜厚は、0.5μm以上5.0μm以下であることが好ましい。
第2の透明層17の屈折率は、第1の透明層14の欄で説明した理由と同様の理由から、1.50以上1.60以下であってもよい。第2の透明層17の屈折率の下限は、1.52以上であってもよく、第2の透明層17の屈折率の上限は、1.56以下であってもよい。透明基材13と第2の透明層17との屈折率差は、干渉縞が視認されることを抑制する観点から、0.06以内とすることが好ましく、0.03以内とすることがより好ましい。第2の透明層17の屈折率は、上記第1の透明層14の屈折率と同様の方法によって測定することができる。
上記においては、第2の透明層17の第2の凹凸面17Aは、干渉縞が視認されることを抑制する観点から、0.5mm幅の光学くしを用いて測定される第2の凹凸面17Aの反射鮮明度が90%以下(要件1)となっており、かつ2.0mm幅の光学くしを用いて測定される第2の凹凸面17Aの反射鮮明度が80%以上(要件2)となっていることが好ましいが、第2の凹凸面17Aは、凹凸形状を有していれば、上記要件1および2を満たしていなくともよい。
<中間基材フィルムの物性>
中間基材フィルム11は、ヘイズが1%未満であることが好ましい。ヘイズが1%未満であると、白濁感をより低減できる。ヘイズは、0.5%以下であることがより好ましく、0.3%以下であることが更に好ましい。ヘイズは、ヘイズメーター(村上色彩技術研究所製、製品番号;HM−150)を用いてJIS K7136に準拠した方法により測定することができる。
中間基材フィルム11は、透過画像鮮明度が0.125mm幅の光学くしにおいて75%以上95%以下であり、かつ、2.0mm幅の光学くしにおいて95%以上であることが好ましい。0.125mm幅の光学くしにおける透過画像鮮明度が75%以上であると、画像を表示させた際の画像の鮮明性をより向上させることができ、より優れた画質を得ることができる。また、95%以下であると、干渉縞をより好適に防止できる。0.125mm幅の光学くしにおける透過画像鮮明度は80%以上90%以下であることがより好ましい。また、2.0mm櫛における透過画像鮮明度が95%以上であると、画像の鮮明性をより向上させることができ、また、外光の拡散反射による白濁感を抑制できる。透過画像鮮明度は写像性測定器(スガ試験機製、製品番号;ICM−1T)を用いて、JIS K7105の像鮮明度の透過法に準拠した方法により測定することができる。
<第1の導電層>
第1の導電層12は、所望の形状にパターニングされており、また導電性を有するものであれば、特に限定されない。第1の導電層12は、取出パターン(図示せず)を介して端子部(図示せず)に接続されている。第1の導電層の形状としては、特に限定されないが、正方形状やストライプ状が挙げられる。第1の導電層12は、図2に示されるように正方形状になっている。
第1の導電層12はタッチパネルセンサのX方向の電極として機能させるものであるので、図2に示されるように第1の導電層12を構成するパターン形状が横方向に並んでいるが、第1の導電層がタッチパネルセンサのY方向の電極として機能するものである場合には、図5および図6に示される積層フィルム30のように、第1の導電層18を構成するパターン形状を縦方向に並ばせる。
第1の導電層12、18は、透明導電材料から構成されている。透明導電材料としては、スズドープ酸化インジウム(ITO)、アンチモンドープ酸化スズ(ATO)、酸化亜鉛、酸化インジウム(In2O3)、アルミニウムドープ酸化亜鉛(AZO)、ガリウムドープ酸化亜鉛(GZO)、酸化スズ、酸化亜鉛−酸化スズ系、酸化インジウム−酸化スズ系、酸化亜鉛−酸化インジウム−酸化マグネシウム系などの金属酸化物等が挙げられる。
第1の導電層12、18の膜厚は、電気抵抗の仕様などに応じて適宜設定されるが、例えば10nm以上50nm以下であることが好ましい。
第1の導電層12、18の膜厚が10nm以上50nm以下の場合、第1の導電層12、18の膜厚が非常に薄いので、第1の高屈折率層15や第1の低屈折率層16の表面のみならず、第1の導電層12、18の表面にも、第1の凹凸面14Aの凹凸形状が反映される。具体的には、第1の高屈折率層15の膜厚および第1の低屈折率層16の膜厚が200nm以下であり、かつ第1の導電層12、18の膜厚が10nm以上50nm以下の場合には、0.5mm幅の光学くしを用いて測定される第1の導電層12、18の表面の反射鮮明度および2.0mm幅の光学くしを用いて測定される第1の導電層12、18の表面の反射鮮明度は、0.5mm幅の光学くしを用いて測定される第1の凹凸面14Aの反射鮮明度および2.0mm幅の光学くしを用いて測定される第1の凹凸面14Aの反射鮮明度とほぼ同じ値となる。したがって、0.5mm幅の光学くしを用いて測定される第1の導電層12、18の表面の反射鮮明度が90%以下となっており、かつ2.0mm幅の光学くしを用いて測定される第1の導電層12、18の表面の反射鮮明度が80%以上となっている場合には、0.5mm幅の光学くしを用いて測定される第1の凹凸面14Aの反射鮮明度が90%以下となっており、かつ2.0mm幅の光学くしを用いて測定される第1の凹凸面14Aの反射鮮明度が80%以上となっていると判断できる。また、第1の導電層12、18の表面における表面角度が0.05°以上となる領域の割合等の値が上記した好適な表面角度が0.05°以上となる領域の割合等の範囲内にある場合には、第1の凹凸面14Aにおける表面角度が0.05°以上となる領域の割合等の値も上記した好適な表面角度が0.05°以上となる領域の割合等の範囲内にあると判断できる。本明細書において、「第1の導電層の表面」とは、第1の導電層における第1の透明層側の面(第1の低屈折率層側の面)とは反対側の面を意味する。
第1の導電層12、18の形成方法は、特には限定されず、スパッタリング法、真空蒸着法、イオンプレーティング法、CVD法、塗工法、印刷法などを用いることができる。第1の導電層をパターニングする方法としては、例えばフォトリソグラフィー法が挙げられる。
第1の導電層として、透明導電材料から構成された第1の導電層12、18の代わりに、図7に示される第1の導電層19および図8に示される第1の導電層20を使用してもよい。第1の導電層19はタッチパネルセンサのX方向の電極として機能するものであり、第1の導電層20はタッチパネルセンサのY方向の電極として機能するものである。
第1の導電層19、20は、メッシュ状の導線19A、20Aから構成されている。メッシュ状の導線19A、20Aから構成された第1の導電層19、20は、複数の検出パターン19B、20Bと複数のダミーパターン19C、20Cとを備えていてもよい。検出パターン19B、20Bおよびダミーパターン19C、20Cのそれぞれがメッシュ状の導線19A、20Aから構成されている。検出パターン19B、20Bは、外部導体がタッチパネルセンサに近接した際に生じる、電磁的な変化または静電容量の変化を検知するためのものである。ダミーパターン19C、20Cは、検出パターン19B、20Bが設けられている領域を透過する映像光と設けられていない領域を透過する映像光との輝度のバラツキを防ぐためのものである。第1の導電層19、20は、複数の検出パターン19B、20Bとダミーパターン19C、20Cとから構成されているが、第1の導電層は、一つの検出パターンから構成されていてもよい。
検出パターン19B、20Bは、取出パターン(図示せず)を介して端子部(図示せず)に接続されているが、ダミーパターン19C、20Cは、取出パターンや端子部に接続されていない。検出パターン19B、20Bとダミーパターン19C、20Cは、交互に配置されているが、検出パターン19B、20Bとダミーパターン19C、20Cを電気的に絶縁するために所定の間隔を空けて配置されている。
検出パターン19B、20Bとダミーパターン19C、20Cの間隔Sは、検出パターン19B、20Bとダミーパターン19C、20Cを形成する方法の精度に応じて適宜設定されるが、例えば2μm以上1000μm以下が好ましく、10μm以上1000μm以下であることが好ましい。このような範囲に間隔Sを設定することにより、検出パターン19B、20Bとダミーパターン19C、20Cとの間の電気的な絶縁を確保しながら、検出パターン19B、20Bとダミーパターン19C、20Cとの間の不連続性が観察者によって視認されることを防ぐことができる。
導線19A、20Aを構成する材料としては、銀、銅、アルミニウム、またはこれらの合金等の遮光性のある金属材料が挙げられる。
導線19A、20Aの幅Wは、1μm以上20μm以下であることが好ましく、2μm以上15μm以下であることがより好ましい。これによって、観察者が視認する画像に対して導線19A、20Aが及ぼす影響を、無視可能な程度まで低くすることができる。
検出パターン19B、20Bおよびダミーパターン19C、20Cは、導線19A、20Aによって形成された例えば矩形状の開口19D、20Dを有している。検出パターン19B、20Bおよびダミーパターン19C、20Cの開口率は、表示装置からの放出される映像光の特性などに応じて適宜設定されるが、例えば、80%以上90%以下の範囲内にある。また、開口部19D、20Dの配置ピッチPは、求められる開口率や導線19A、20Aの幅Wの値に応じて、100μm以上1000μm以下の範囲内で適宜設定される。
検出パターン19B、20Bおよびダミーパターン19C、20Cを有する第1の導電層19、20は、例えば、以下のようなフォトリソグラフィー法によって形成することができる。まず、第1の低屈折率層16上にスパッタリング等により遮光導電層を形成し、その後、遮光導電層上に特定波長の光、例えば紫外線に対して感光性を有する感光層を形成する。遮光導電層上に感光層を形成した後、感光層上にマスクを配置し、マスクを介して露光する。ここで、マスクは、検出パターンおよびダミーパターンに対応したパターンを有し、かつ露光光を透過する透過部と、露光光を遮蔽する遮蔽部とを備えている。露光した後、感光層を、現像液を用いて現像する。これにより、感光層のうち露光光が照射されていない部分が除去され、検出パターンおよびダミーパターンに対応した部分が残存する。そして、残存した感光層の部分をマスクとして、遮光導電層をエッチングして、遮光導電層をパターニングする。最後に、パターニングされた遮光導電層を除去する。これにより、検出パターン19B、20Bおよびダミーパターン19C、20Cを有する第1の導電層19、20を形成することができる。
本実施形態によれば、0.5mm幅の光学くしを用いて測定される第1の凹凸面14Aの反射鮮明度が90%以下となっており、かつ2.0mm幅の光学くしを用いて測定される第1の凹凸面14Aの反射鮮明度が80%以上となっているので、上述した理由から、干渉縞の発生を抑制でき、かつ白濁感を低減できる。
従来、タッチパネルに用いられる中間基材フィルムは、成形加工時の生産性向上等の観点より、巻き取ってロールとされるが、従来のハードコート層は、表面平滑性が高いため、巻取ロールにしたときに、重なったフィルム同士がくっついてしまう現象(いわゆるブロッキング)が発生してしまうという問題があった。このようなブロッキングが発生すると、ロールからフィルムを滑らかに繰り出すことができなくなり、次工程において、フィルムにシワが発生したり、中間基材フィルムが蛇行したりする要因となる。また、ブロッキングが著しい場合は、ブロッキングした所にムラができて製造した中間基材フィルムの透明性やヘイズ、更には光学的均一性を損なう結果となることもあった。このような問題に対し、例えば、特開平10−323931号公報や特開2012−206502号公報等に、ハードコート層中に微粒子を含有させて表面に凹凸を形成し、耐ブロッキング性や易滑性の向上を図る方法が従来から提案されている。しかしながら、従来の中間基材フィルムは、ハードコート層表面の凹凸形状が耐ブロッキング性や易滑性の向上のみを目的として形成されたものであったため、干渉縞が視認されることを抑制できるものではなかった。これは、従来のハードコート層に微粒子を添加して耐ブロッキング性や易滑性の向上を図った中間基材フィルムは、ハードコート層の透明性や色調を維持する必要性から、上記微粒子の添加量をかなり少なくすることで、ハードコート層の表面に、耐ブロッキング性や易滑性を発揮し得る最低限度の凹凸形状を形成していたためである。すなわち、上記ハードコート層の表面は、平面部分の面積が凹凸部分の面積よりも非常に大きなほぼ平坦な状態であり、このため、ハードコート層の膜厚のムラの制御ができず、その結果、干渉縞が視認されることを抑制できなかった。本発明者らが、干渉縞が視認されることを抑制でき、かつ耐ブロッキング性や易滑性を向上させることができる凹凸形状について鋭意研究したところ、0.5mm幅の光学くしを用いて測定される反射鮮明度が90%以下となっており、かつ2.0mm幅の光学くしを用いて測定される反射鮮明度が80%以上となっている凹凸面であれば、干渉縞が視認されることを抑制できるとともに耐ブロッキング性や易滑性を向上させることができることを見出した。本実施形態では、0.5mm幅の光学くしを用いて測定される第1の凹凸面14Aの反射鮮明度が90%以下となっており、かつ2.0mm幅の光学くしを用いて測定される第1の凹凸面14Aの反射鮮明度が80%以上となっているので、干渉縞が視認されることを抑制できる他に、耐ブロッキング性や易滑性を向上させることができる。
本実施形態によれば、第1の透明層14の第1の凹凸面14Aにおいて、粗さ曲線の二乗平均平方根傾斜RΔqが0.003以下となっている場合には、画質劣化を抑制することができる。すなわち、第1の透明層は、タッチパネル装置の画像表示面から離れた位置に存在するので、第1の透明層の表面に従来の防眩フィルムと同程度の大きさの凹凸を形成すると、第1の透明層の表面における映像光の拡散によって映像光がぼけてしまい、画質劣化が生じるおそれがある。これに対し、第1の透明層14の第1の凹凸面14Aにおいて、粗さ曲線の二乗平均平方根傾斜RΔqが0.003以下となっている場合には、映像光の過度の拡散を抑制できるので、画質劣化を抑制することができる。
本実施形態において、0.5mm幅の光学くしを用いて測定される第2の凹凸面17Aの反射鮮明度が90%以下となっており、かつ2.0mm幅の光学くしを用いて測定される第2の凹凸面17Aの反射鮮明度が80%以上となっている場合には、第1の透明層14の第1の凹凸面14Aにおいて説明した理由と同様の理由から、透明基材13と第2の透明層12との界面と、第2の透明層12の表面で反射される光とが干渉することによって生じる干渉縞が視認されることを抑制でき、かつ白濁感を低減できる。
本実施形態において、0.5mm幅の光学くしを用いて測定される第2の凹凸面17Aの反射鮮明度が90%以下となっており、かつ2.0mm幅の光学くしを用いて測定される第2の凹凸面17Aの反射鮮明度が80%以上となっている場合には、干渉縞が視認されることを抑制できるとともに、耐ブロッキング性や易滑性をさらに向上させることができる。
本実施形態においては、0.5mm幅の光学くしを用いて測定される第1の凹凸面14Aの反射鮮明度が90%以下となっており、かつ2.0mm幅の光学くしを用いて測定される第1の凹凸面14Aの反射鮮明度が80%以上となっているが、透明基材と、透明基材の一方の面上に設けられた第1の機能層とを備える中間基材フィルムであって、第1の機能層が中間基材フィルムの一方の表面をなす第1の凹凸面を有し、0.5mm幅の光学くしを用いて測定されるこの第1の凹凸面の反射鮮明度が90%以下となっており、かつ2.0mm幅の光学くしを用いて測定されるこの第1の凹凸面の反射鮮明度が80%以上となっていてもよい。「機能層」とは、中間基材フィルムにおいて、何らかの機能を発揮することを意図された層であり、具体的には、例えば、ハードコート性、反射防止性、帯電防止性、または防汚性等の機能を発揮する層が挙げられる。第1の機能層は、単層のみならず、2層以上積層されたものであってもよい。本実施形態においては、第1の透明層14と、第1の透明層15に設けられた第1の高屈折率層15と、第1の高屈折率層15上に設けられた第1の低屈折率層16との積層体が第1の機能層に相当し、また第1の低屈折率層16の表面が第1の機能層の第1の凹凸面に相当する。ただし、第1の機能層はこれに限定されず、例えば、第1の機能層は第1の透明層14のみから構成されていてもよく、この場合には第1の機能層の第1の凹凸面は第1の透明層14の第1の凹凸面14Aとなっている。また、第1の機能層は第1の透明層14と、第1の透明層上に設けられた第1の高屈折率層15とから構成されていてもよく、この場合には、第1の機能層の第1の凹凸面は第1の高屈折率層15の表面となっている。0.5mm幅の光学くしを用いて測定される第1の機能層の第1の凹凸面の反射鮮明度が90%以下となっており、かつ2.0mm幅の光学くしを用いて測定される第1の機能層の第1の凹凸面の反射鮮明度が80%以上となっているので、上述した理由から、干渉縞の発生を抑制でき、かつ白濁感を低減できる。また、上述した理由から、耐ブロッキング性や易滑性を向上させることもできる。
透明基材と、透明基材の一方の面上に設けられた第1の機能層とを備える中間基材フィルムを用いる場合、透明基材の他方の面上に設けられた第2の機能層とをさらに備え、第2の機能層が中間基材フィルムの他方の表面をなす第2の凹凸面を有し、0.5mm幅の光学くしを用いて測定されるこの第2の凹凸面の反射鮮明度が90%以下となっており、かつ2.0mm幅の光学くしを用いて測定されるこの第2の凹凸面の反射鮮明度が80%以上となっていてもよい。第2の機能層は、単層のみならず、2層以上積層されたものであってもよい。本実施形態においては、第2の透明層17が第2の機能層に相当し、また第2の透明層17の表面が第2の機能層の第2の凹凸面に相当する。ただし、第2の機能層はこれに限定されず、例えば、第2の機能層は第2の透明層17と、第2の透明層17上に設けられた第2の高屈折率層とから構成されていてもよく、この場合には第2の機能層の第2の凹凸面は第2の高屈折率層の表面となっている。また、第2の機能層は第2の透明層17と、第2の透明層17上に設けられた第2の高屈折率層と、第2の高屈折率上に設けられた第2の低屈折率層とから構成されていてもよく、この場合には、第2の機能層の第2の凹凸面は第2の低屈折率層の表面となっている。0.5mm幅の光学くしを用いて測定される第2の機能層の第2の凹凸面の反射鮮明度が90%以下となっており、かつ2.0mm幅の光学くしを用いて測定される第2の機能層の第2の凹凸面の反射鮮明度が80%以上となっているので、上述した理由から、干渉縞の発生をより抑制でき、かつ白濁感をより低減できる。また、上述した理由から、耐ブロッキング性や易滑性をより向上させることもできる。
〔タッチパネルセンサ〕
積層フィルム10、30は、例えば、タッチパネルセンサに組み込んで使用することができる。図9は本実施形態に係る積層フィルムを組み込んだタッチパネルセンサの概略構成図であり、図10は本実施形態に係る積層フィルムを組み込んだ他のタッチパネルセンサの概略構成図である。
図9に示されるタッチパネルセンサ40は、積層フィルム10と積層フィルム30を積層した構造を有している。積層フィルム10と積層フィルム30との間には透明粘着層41が設けられており、また積層フィルム10上には透明粘着層42が設けられている。すなわち、積層フィルム10と積層フィルム30とは透明粘着層41によって貼り付けられており、またタッチパネルセンサ40は透明粘着層42によって他の部材と貼り付け可能となっている。
積層フィルム10の第1の導電層12は、タッチパネルセンサ40におけるX方向の電極として機能するものであり、積層フィルム30の第1の導電層18は、タッチパネルセンサ40におけるY方向の電極として機能するものである。
積層フィルム30は、他の態様のタッチパネルセンサに組み込まれてもよい。図10に示されるタッチパネルセンサ50は、積層フィルム30と、積層フィルム30の第1の導電層18上に設けられ、パターニングされた第2の導電層51と、第1の導電層18と第2の導電層51とを貼り付けるための透明粘着層52とを備えている。第2の導電層51は、ガラス板53の一方の面に形成されたものであり、第2の導電層51とガラス板53とは一体化している。
第1の導電層18は、タッチパネルセンサ50におけるY方向の電極として機能するものであり、第2の導電層51は、タッチパネルセンサ50におけるX方向の電極として機能するものである。
図9に示されるタッチパネルセンサ40は第1の導電層12と第1の導電層18を備えているが、第1の導電層12の代わりに第1の導電層19を用い、かつ第1の導電層18の代わりに第1の導電層20を用いてもよい。図10に示されるタッチパネルセンサ50は第1の導電層18と第2の導電層51を備えているが、第1の導電層18の代わりに第1の導電層20を用い、かつ第2の導電層51の代わりに第1の導電層19を用いてもよい。
<第2の導電層>
第2の導電層51は、第1の導電層12と同様の構成(膜厚、パターン形状の配置等)となっていることが好ましい。また、第2の導電層51は第1の導電層12と同様の材料から構成することが可能である。
<透明粘着層>
透明粘着層41、42、52としては、公知の感圧接着層や粘着シートが挙げられる。
〔第2の実施形態〕
以下、本発明の第2の実施形態に係るタッチパネル用中間基材フィルム、タッチパネル用積層フィルムおよびタッチパネルセンサについて、図面を参照しながら説明する。図11は本実施形態に係る中間基材フィルムおよび積層フィルムの概略構成図である。なお、本実施形態において、第1の実施形態で説明した部材と同じ符号が付してある部材は、第1の実施形態で説明した部材と同じ部材であることを意味するものであり、また第1の実施形態と重複する内容については特記しない限り省略するものとする。
[タッチパネル用中間基材フィルムおよび積層フィルム]
図11に示される積層フィルム60は、中間基材フィルム61と、中間基材フィルム61に支持された第1の導電層12および第2の導電層62とを備えている。中間基材フィルム61は、第1の導電層12および第2の導電層62を支持するためのものであり、透明基材13と、透明基材13の一方の面13A上に設けられた第1の透明層14と、第1の透明層14上に設けられた第1の高屈折率層15と、第1の高屈折率層15上に設けられた第1の低屈折率層16と、透明基材13の他方の面13B上に設けられた第2の透明層17と、第2の透明層17上に設けられた第2の高屈折率層63と、第2の高屈折率層63上に設けられた第2の低屈折率層64とを備えている。すなわち、中間基材フィルム61は、中間基材フィルム11の第2透明層17上に第2の高屈折率層63、第2の低屈折率層64を設けたものである。
<第2の高屈折率層>
第2の高屈折率層63は、第1の高屈折率層15と同様の構成(膜厚、屈折率等)となっていることが好ましい。また、第2の高屈折率層63は、第1の高屈折率層15と同様の材料から構成することが可能である。
第2の高屈折率層63は、第1の高屈折率層15と同様の構成となっていることが好ましいので、第2の高屈折率層63の膜厚は、200nm以下となっていることが好ましい。第2の高屈折率層63の膜厚が200nm以下である場合、第2の高屈折率層63の膜厚が非常に薄いので、第2の高屈折率層63の表面は、第2の凹凸面17Aの凹凸形状が反映される。具体的には、第2の高屈折率層63の膜厚が200nm以下である場合には、0.5mm幅の光学くしを用いて測定される第2の高屈折率層63の表面の反射鮮明度および2.0mm幅の光学くしを用いて測定される第2の高屈折率層63の表面の反射鮮明度は、0.5mm幅の光学くしを用いて測定される第2の凹凸面17Aの反射鮮明度および2.0mm幅の光学くしを用いて測定される第2の凹凸面17Aの反射鮮明度とほぼ同じ値となる。したがって、0.5mm幅の光学くしを用いて測定される第2の高屈折率層63の表面の反射鮮明度が90%以下となっており、かつ2.0mm幅の光学くしを用いて測定される第2の高屈折率層63の表面の反射鮮明度が80%以上となっている場合には、0.5mm幅の光学くしを用いて測定される第2の凹凸面17Aの反射鮮明度が90%以下となっており、かつ2.0mm幅の光学くしを用いて測定される第2の凹凸面17Aの反射鮮明度が80%以上となっていると判断できる。また、第2の高屈折率層63の表面における表面角度が0.05°以上となる領域の割合等の値の値が上記した好適な表面角度が0.05°以上となる領域の割合等の範囲内にある場合には、第2の凹凸面17Aにおける表面角度が0.05°以上となる領域の割合等の値も上記した好適な表面角度が0.05°以上となる領域の割合等の範囲内にあると判断できる。本明細書において、「第2の高屈折率層の表面」とは、第2の高屈折率層における第2の透明層側の面とは反対側の面を意味する。
<第2の低屈折率層>
第2の低屈折率層64は、第1の低屈折率層16と同様の構成(膜厚、屈折率等)となっていることが好ましい。また、第2の低屈折率層64は、第1の低屈折率層16と同様の材料から構成することが可能である。
第2の低屈折率層64は、第1の低屈折率層16と同様の構成となっていることが好ましいので、第2の低屈折率層64の膜厚は、200nm以下となっていることが好ましい。第2の高屈折率層63の膜厚および第2の低屈折率層64の膜厚が200nm以下の場合、第2の高屈折率層63および第2の低屈折率層64の膜厚が非常に薄いので、第2の高屈折率層63の表面のみならず、第2の低屈折率層64の表面にも、第2の凹凸面17Aの凹凸形状が反映される。具体的には、第2の高屈折率層63の膜厚および第2の低屈折率層64の膜厚が200nm以下である場合には、0.5mm幅の光学くしを用いて測定される第2の低屈折率層64の表面の反射鮮明度および2.0mm幅の光学くしを用いて測定される第2の低屈折率層64の表面の反射鮮明度は、0.5mm幅の光学くしを用いて測定される第2の凹凸面17Aの反射鮮明度および2.0mm幅の光学くしを用いて測定される第2の凹凸面17Aの反射鮮明度とほぼ同じ値となる。したがって、0.5mm幅の光学くしを用いて測定される第2の低屈折率層64の表面の反射鮮明度が90%以下となっており、かつ2.0mm幅の光学くしを用いて測定される第2の低屈折率層64の表面の反射鮮明度が80%以上となっている場合には、0.5mm幅の光学くしを用いて測定される第2の凹凸面17Aの反射鮮明度が90%以下となっており、かつ2.0mm幅の光学くしを用いて測定される第2の凹凸面17Aの反射鮮明度が80%以上となっていると判断できる。また、第2の低屈折率層64の表面における表面角度、RΔq、Sm等の値が上記した好適な表面角度、RΔq、Sm等の範囲内にある場合には、第2の凹凸面17Aにおける表面角度、RΔq、Sm等の値も上記した好適な表面角度、RΔq、Sm等の範囲内にあると判断できる。本明細書において、「第2の低屈折率層の表面」とは、第2の低屈折率層における第2の透明層側の面(第2の高屈折率層側の面)とは反対側の面を意味する。
<第2の導電層>
第2の導電層62は第1の導電層18と同様の構成(膜厚、パターン形状の配置等)となっていることが好ましく、第2の導電層62は第1の導電層18と同様の構成となっていることが好ましい。
第2の導電層62は、第1の導電層18と同様の構成となっていることが好ましいので、第2の導電層62の膜厚は10nm以上50nm以下となっていることが好ましい。第2の導電層62の膜厚が10nm以上50nm以下の場合、第2の導電層62の膜厚が非常に薄いので、第2の高屈折率層63や第2の低屈折率層64の表面のみならず、第2の導電層62の表面にも、第2の凹凸面17Aの凹凸形状が反映される。具体的には、第2の高屈折率層63の膜厚および第2の低屈折率層64の膜厚が200nm以下であり、かつ第2の導電層62の膜厚が10nm以上50nm以下の場合には、0.5mm幅の光学くしを用いて測定される第2の導電層62の表面の反射鮮明度および2.0mm幅の光学くしを用いて測定される第2の導電層62の表面の反射鮮明度は、0.5mm幅の光学くしを用いて測定される第2の凹凸面17Aの反射鮮明度および2.0mm幅の光学くしを用いて測定される第2の凹凸面17Aの反射鮮明度とほぼ同じ値となる。したがって、0.5mm幅の光学くしを用いて測定される第2の導電層62の表面の反射鮮明度が90%以下となっており、かつ2.0mm幅の光学くしを用いて測定される第2の導電層62の表面の反射鮮明度が80%以上となっている場合には、0.5mm幅の光学くしを用いて測定される第2の凹凸面17Aの反射鮮明度が90%以下となっており、かつ2.0mm幅の光学くしを用いて測定される第2の凹凸面17Aの反射鮮明度が80%以上となっていると判断できる。また、第2の導電層62の表面における表面角度が0.05°以上となる領域の割合等の値が上記した好適な表面角度が0.05°以上となる領域の割合等の範囲内にある場合には、第2の凹凸面17Aにおける表面角度が0.05°以上となる領域の割合等の値も上記した好適な表面角度が0.05°以上となる領域の割合等の値の範囲内にあると判断できる。本明細書において、「第2の導電層の表面」とは、第2の導電層における第2の透明層側の面(第2の低屈折率層側の面)とは反対側の面を意味する。
第1の導電層12は、タッチパネルセンサにおけるX方向の電極として機能するものであり、第2の導電層62は、タッチパネルセンサにおけるY方向の電極として機能するものである。第1の導電層12の代わりに第1の導電層19を用い、かつ第2の導電層62の代わりに第1の導電層20を用いてもよい。
第1の導電層12および第2の導電層62は、積層フィルム60の両面に形成されているので、フォトリソグラフィー法によって同時にパターニングすることができる。したがって、この場合には、第1の導電層12および第2の導電層62の位置精度を高めることができる。
本実施形態によれば、0.5mm幅の光学くしを用いて測定される第1の凹凸面14Aの反射鮮明度が90%以下となっており、かつ2.0mm幅の光学くしを用いて測定される第1の凹凸面14Aの反射鮮明度が80%以上となっているので、第1の実施形態で説明した理由と同様の理由から、干渉縞が視認されることを抑制でき、かつ白濁感を低減できる。
本実施形態によれば、0.5mm幅の光学くしを用いて測定される第1の凹凸面14Aの反射鮮明度が90%以下となっており、かつ2.0mm幅の光学くしを用いて測定される第1の凹凸面14Aの反射鮮明度が80%以上となっているので、第1の実施形態で説明した理由と同様の理由から、耐ブロッキング性や易滑性を向上させることができる。
本実施形態によれば、第1の透明層14の第1の凹凸面14Aにおいて、粗さ曲線の二乗平均平方根傾斜RΔqが0.003以下となっている場合には、第1の実施形態で説明した理由と同様の理由から、画質劣化を抑制することができる。
第1の導電層12の代わりに第1の導電層19を用い、かつ第2の導電層62の代わりに第1の導電層20を用いた場合、第1の導電層19、20はともにメッシュ状の導線19A、20Aから構成されているので、この積層フィルムをロール状に巻回すると、導線18Aと導電19Aが接触することになる。ここで、導線同士が接触する場合は、導線と第2の透明層(有機層)とが接触する場合によりも、ブロッキングが生じやすいが、本実施形態においては、第1の透明層14の第1の凹凸面14Aが、0.5mm幅の光学くしを用いて測定される第1の凹凸面14Aの反射鮮明度が90%以下となっており、かつ2.0mm幅の光学くしを用いて測定される第1の凹凸面14Aの反射鮮明度が80%以上となっているので、耐ブロッキング性や易滑性を向上させることができる。これにより、導線同士が接触する場合であっても、導線19Aと導電19Bにおけるブロッキングを抑制することができる。また、0.5mm幅の光学くしを用いて測定される第2の凹凸面17Aの反射鮮明度が90%以下となっており、かつ2.0mm幅の光学くしを用いて測定される第2の凹凸面17Aの反射鮮明度が80%以上となっている場合には、導線19Aと導電19Bにおけるブロッキングをさらに抑制することができる。
本実施形態において、0.5mm幅の光学くしを用いて測定される第2の凹凸面17Aの反射鮮明度が90%以下となっており、かつ2.0mm幅の光学くしを用いて測定される第2の凹凸面17Aの反射鮮明度が80%以上となっている場合には、第1の実施形態で説明した理由と同様の理由から、透明基材13と第2の透明層17との界面と、第2の透明層17の表面で反射される光とが干渉することによって生じる干渉縞が視認されることを抑制でき、かつ白濁感を低減できる。
[タッチパネルセンサ]
積層フィルム70は、例えば、タッチパネルセンサに組み込んで使用することができる。図12は本実施形態に係る積層フィルムを組み込んだタッチパネルセンサの概略構成図である。
図12に示されるタッチパネルセンサ70は、積層フィルム60と、積層フィルム60の第1の導電層12および第2の導電層62上に設けられた透明粘着層71、72とを備えている。なお、タッチパネルセンサ70は透明粘着層71、72を備えているが、積層フィルム60をタッチパネルセンサとして用いてもよい。
タッチパネルセンサ70においては、第1の導電層12および第2の導電層62を用いているが、第1の導電層12の代わりに第1の導電層19を用い、かつ第2の導電層62の代わりに第1の導電層20を用いてもよい。
<透明粘着層>
透明粘着層71、72としては、公知の感圧接着層や粘着シートが挙げられる。
本発明を詳細に説明するために、以下に実施例を挙げて説明するが、本発明はこれらの記載に限定されない。
<透明層用組成物の調製>
まず、下記に示す組成となるように各成分を配合して、ハードコート層用組成物を得た。
(透明層用組成物1)
・フュームドシリカ(オクチルシラン処理、平均粒子径12nm、日本アエロジル社製):1質量部
・ペンタエリスリトールテトラアクリレート(PETTA)(製品名:PETA、ダイセル・サイテック社製):60質量部
・ウレタンアクリレート(製品名:UV1700B、日本合成化学社製、重量平均分子量2000、官能基数10):40質量部
・重合開始剤(イルガキュア184、BASFジャパン社製):5質量部
・ポリエーテル変性シリコーン(製品名:TSF4460、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製):0.025質量部
・トルエン:105質量部
・イソプロピルアルコール:30質量部
・シクロヘキサノン:15質量部
なお、上記フュームドシリカは、オクチルシラン処理(オクチルシランにより、フュームドシリカの表面のシラノール基をオクチルシリル基で置換して疎水化する処理)されたものであった。
(透明層用組成物2)
・フュームドシリカ(オクチルシラン処理、平均粒子径12nm、日本アエロジル社製)1.5質量部
・ペンタエリスリトールテトラアクリレート(PETTA)(製品名:PETA、ダイセル・サイテック社製):60質量部
・ウレタンアクリレート(製品名:UV1700B、日本合成化学社製、重量平均分子量2000、官能基数10):40質量部
・重合開始剤(イルガキュア184、BASFジャパン社製):5質量部
・ポリエーテル変性シリコーン(TSF4460、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製):0.025質量部
・トルエン:105質量部
・イソプロピルアルコール:30質量部
・シクロヘキサノン:15質量部
(透明層用組成物3)
・フュームドシリカ(オクチルシラン処理、平均粒子径12nm、日本アエロジル社製):0.5質量部
・ペンタエリスリトールテトラアクリレート(PETTA)(製品名:PETA、ダイセル・サイテック社製):60質量部
・ウレタンアクリレート(製品名:UV1700B、日本合成化学社製、重量平均分子量2000、官能基数10):40質量部
・重合開始剤(イルガキュア184、BASFジャパン社製):5質量部
・ポリエーテル変性シリコーン(製品名:TSF4460、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製):0.025質量部
・トルエン:105質量部
・イソプロピルアルコール:30質量部
・シクロヘキサノン:15質量部
(透明層用組成物4)
・ペンタエリスリトールテトラアクリレート(PETTA)(製品名:PETA、ダイセル・サイテック社製):60質量部
・ウレタンアクリレート(製品名:UV1700B、日本合成化学社製、重量平均分子量2000、官能基数10):40質量部
・重合開始剤(イルガキュア184、BASFジャパン社製):5質量部
・ポリエーテル変性シリコーン(TSF4460、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製):0.025質量部
・トルエン:105質量部
・イソプロピルアルコール:30質量部
・シクロヘキサノン:15質量部
(透明層用組成物5)
・有機微粒子(親水化処理アクリル−スチレン共重合体粒子、平均粒子径2.0μm、屈折率1.55、積水化成品工業社製):3質量部
・フュームドシリカ(メチルシラン処理、平均粒子径12nm、日本アエロジル社製):1質量部
・ペンタエリスリトールテトラアクリレート(PETTA)(製品名:PETA、ダイセル・サイテック社製):60質量部
・ウレタンアクリレート(製品名:UV1700B、日本合成化学社製、重量平均分子量2000、官能基数10):40質量部
・重合開始剤(イルガキュア184、BASFジャパン社製):5質量部
・ポリエーテル変性シリコーン(TSF4460、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製):0.025質量部
・トルエン:105質量部
・イソプロピルアルコール:30質量部
・シクロヘキサノン:15質量部
(透明層用組成物6)
・有機微粒子(非親水化処理アクリル−スチレン共重合体粒子、平均粒子径3.5μm、屈折率1.55、積水化成品工業社製):8質量部
・ペンタエリスリトールトリアクリレート(PETA)(製品名:PETIA、ダイセル・サイテック社製):80質量部
・イソシアヌル酸EO変性トリアクリレート(製品名:M−315、東亜合成社製):20質量部
・重合開始剤(イルガキュア184、BASFジャパン社製):5質量部
・ポリエーテル変性シリコーン(TSF4460、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製):0.025質量部
・トルエン:120質量部
・シクロヘキサノン:30質量部
<高屈折率層用組成物の調製>
下記に示す組成となるように各成分を配合して、高屈折率層用組成物を得た。
(高屈折率層用組成物)
・ペンタエリスリトールトリアクリレート(PETA)(製品名:PETIA、ダイセル・サイテック社製):0.8質量部
・高屈折率ジルコニア粒子(製品名:MZ−230X、住友大阪セメント社製):4量部
・重合開始剤(イルガキュア127、BASFジャパン社製):0.05質量部
・レベリング剤(大日精化工業社製、セイカビーム10−28(MB))0.02質量部
・メチルエチルケトン(MEK):38質量部
・メチルイソブチルケトン(MIBK):38質量部
・シクロヘキサノン:20質量部
<低屈折率層用組成物の調製>
下記に示す組成となるように各成分を配合して、低屈折率層用組成物を得た。
(低屈折率層用組成物)
・ペンタエリスリトールトリアクリレート(PETA)(製品名:PETIA、ダイセル・サイテック社製):0.6質量部
・低屈折率シリカ粒子(日産化学社製、MIBK−ST、固形分30%):2.0質量部
・重合開始剤(イルガキュア127、BASFジャパン社製):0.08質量部
・レベリング剤(大日精化工業社製、セイカビーム10−28(MB))0.02質量部
・メチルイソブチルケトン(MIBK):76質量部
・シクロヘキサノン:20質量部
<実施例1>
透明基材としての厚さ100μmのポリエチレンテレフタレート基材(製品名:A4300、東洋紡績社製)を準備し、ポリエチレンテレフタレート基材の片面に、透明層用組成物1を塗布し、塗膜を形成した。次いで、形成した塗膜に対して、0.2m/sの流速で70℃の乾燥空気を15秒間流通させた後、さらに10m/sの流速で70℃の乾燥空気を30秒間流通させて乾燥させることにより塗膜中の溶剤を蒸発させ、紫外線を窒素雰囲気(酸素濃度200ppm以下)下にて積算光量が100mJ/cm2になるように照射して塗膜を硬化させることにより、4μm厚み(硬化時)の透明層を形成して、実施例1に係る中間基材フィルムを作製した。
<実施例2>
実施例2においては、透明層用組成物1に代えて透明層用組成物2を用いた以外は、実施例1と同様にして、中間基材フィルムを作製した。
<実施例3>
実施例3においては、紫外線の積算光量を50mJ/cm2とした以外は、実施例1と同様にして、中間基材フィルムを作製した。
<実施例4>
実施例4においては、透明層用組成物1に代えて透明層用組成物2を用いた以外は、実施例3と同様にして、中間基材フィルムを作製した。
<実施例5>
実施例5においては、透明層用組成物1に代えて透明層用組成物3を用いた以外は、実施例1と同様にして、中間基材フィルムを作製した。
<比較例1>
比較例1においては、透明層用組成物1に代えて透明層用組成物4を用いた以外は、実施例1と同様にして、中間基材フィルムを作製した。
<比較例2>
比較例2においては、透明層用組成物1に代えて透明層用組成物5を用いた以外は、実施例1と同様にして、中間基材フィルム体を作製した。
<比較例3>
比較例3においては、透明層用組成物1に代えて透明層用組成物6を用い、硬化時の透明層の膜厚を5μmとした以外は、実施例1と同様にして、中間基材フィルムを作製した。
<反射鮮明度の測定>
実施例及び比較例で得られた各中間基材フィルムのポリエチレンテレフタレート基材における透明層が形成されている面とは反対側の面に、透明粘着剤を介して、裏面反射を防止するための黒アクリル板を貼りサンプルとした。JIS K7105の反射法による像鮮明度の測定法に準拠して、写像性測定器(型番:ICM−1T、スガ試験機社製)を45度反射に設定し、サンプルを、透明層側を光源に向けて設置して、反射鮮明度を測定した。光学くしとしては、0.5mm幅、2.0mm幅のものを用いて、反射鮮明度をそれぞれ測定したが、参考のため、0.125mm幅、0.25mm幅、1.0mm幅のものにおいても、反射鮮明度を測定した。なお、0.25mm幅の光学くしは、JIS K7105には定義されていない。
<表面角度、二乗平均平方根傾斜RΔqの測定>
実施例及び比較例で得られた各中間基材フィルムの透明層が形成されている面とは反対側の面に、透明粘着剤を介して、ガラス板に貼付してサンプルとし、白色干渉顕微鏡(New View6300、Zygo社製)を用いて、以下の条件にて、中間基材フィルムの表面形状の測定・解析を行った。なお、解析ソフトにはMetroPro ver8.3.2のMicroscope Applicationを用いた。
[測定条件]
対物レンズ:2.5倍
Zoom:2倍
データ点数:992×992点
解像度(1点当たりの間隔):2.2μm
[解析条件]
Removed:None
Filter:HighPass
FilterType:GaussSpline
Low wavelength:300μm
以上の条件で、カットオフ値300μmの高域フィルタにてうねり成分を除いた凹凸形状が得られる。
Remove spikes: on
Spike Height(xRMS):2.5
以上の条件で、スパイク状のノイズを除去できる。
次に、上記解析ソフト(MetroPro ver8.3.2−Microscope Application)にてSlopeX MAP画面(x方向傾斜の表示)を表示し、rmsを表示させた。このrmsが二乗平均平方根傾斜RΔqに相当する。
また、全面に渡る各点の傾斜Δiを求め、上記式(3)により傾斜Δiを表面角度θiに換算して、そこから、表面角度θiの絶対値が0.05°以上となる領域の割合を算出した。
<反射光強度の角度分布測定>
実施例及び比較例で得られた各中間基材フィルムのポリエチレンテレフタレート基材における透明層が形成されている面とは反対側の面に、透明粘着剤を介して、裏面反射を防止するための黒アクリル板を貼りサンプルとした。サンプルを変角光度計(型番:GP−200、村上色彩技術研究所社製)に透明層側を光源に向けて設置し、以下の条件で反射光強度の角度分布を測定した。
入射角:10°
あおり角:0°
受光範囲:5°〜15°(正反射方向±5°)、データ間隔:0.1°
VS1(光束絞り):0.5
VS3(受光絞り):4.0
そして、得られた反射強度の角度分布を用いて、1/100角度幅および1/2角度幅を求め、1/100角度幅から1/2角度幅を引いた値を求めた。
<Sm、θa、Ra、Ry、およびRzの測定>
実施例及び比較例で得られた各中間基材フィルムの透明層の表面において、Sm、θa、Ra、Ry、およびRzを測定した。Sm、Ra、RyおよびRzの定義は、JIS B0601−1994に従うものとし、θaは表面粗さ測定器:SE−3400/(株)小坂研究所製取り扱い説明書(1995.07.20改訂)に従うものとする。
Sm、θa、Ra、RyおよびRzは、具体的には、表面粗さ測定器(型番:SE−3400/(株)小坂研究所製)を用いて、下記の測定条件により測定された。
1)表面粗さ検出部の触針((株)小坂研究所製の商品名SE2555N(2μ標準))
・先端曲率半径2μm、頂角90度、材質ダイヤモンド
2)表面粗さ測定器の測定条件
・基準長さ(粗さ曲線のカットオフ値λc):2.5mm
・評価長さ(基準長さ(カットオフ値λc)×5):12.5mm
・触針の送り速さ:0.5mm/s
・予備長さ:(カットオフ値λc)×2
・縦倍率:2000倍
・横倍率:10倍
<干渉縞観察評価>
実施例及び比較例で得られた各中間基材フィルムのポリエチレンテレフタレート基材における透明層が形成されている面とは反対側の面に、透明粘着剤を介して、裏面反射を防止するための黒アクリル板を貼り、透明層側から各光学フィルムに光を照射し、目視で観察した。光源としては、フナテック社製の干渉縞検査ランプ(ナトリウムランプ)を使用した。干渉縞の発生を以下の基準により評価した。
◎:干渉縞は確認されなかった。
○:干渉縞はわずかに確認されたが、問題ないレベルであった。
×:干渉縞がはっきりと確認された。
<白濁感観察評価>
実施例及び比較例で得られた各中間基材フィルムのポリエチレンテレフタレート基材における透明層が形成されている面とは反対側の面に、透明粘着剤を介して、黒アクリル板を貼り、暗室にて卓上スタンド(3波長蛍光灯管)の下で、白濁感を観察し、以下の基準により評価した。
◎:白さが観察されなかった。
○:白さが干渉縞はわずかに確認されたが、問題ないレベルであった。
×:白さがはっきりと観察された。
<ブロッキング性評価>
実施例及び比較例で得られた各中間基材フィルム、実施例及び比較例の各透明層上に上記高屈折率層用組成物を用いて膜厚が100nmの高屈折率層を形成した各中間基材フィルム、実施例及び比較例の各透明層上に上記高屈折率層用組成物及び上記低屈折率層用組成物を用いて膜厚が50nmの高屈折率層及び膜厚が50nmの低屈折率層を順次積層した各中間基材フィルム、実施例及び比較例の各透明層上に上記高屈折率層用組成物及び上記低屈折率層用組成物を用いて膜厚が50nmの高屈折率層及び膜厚が40nmの低屈折率層を順次積層し、そしてこの低屈折率層上にスズドープ酸化インジウムからなる膜厚が20nmの導電層を形成した各積層フィルム、並びに実施例及び比較例の各透明層上に上記高屈折率層用組成物及び上記低屈折率層用組成物を用いて膜厚が50nmの高屈折率層および膜厚が40nmの低屈折率層を順次積層し、そしてこの低屈折率層上に銅メッシュからなる導電層を形成した各積層フィルムにおいて、ブロッキング性を評価した。ブロッキング性の評価は、5cm×5cmの大きさに各フィルムを2枚切り出し、同じフィルム同士をフィルムにおける透明層側の表面が互いに接触するように重ね合わせた状態で、ブロッキング試験機を使用して、圧力条件3.0Kgf/cm2、試験面積3cmφ、湿温度条件40℃、90%RH、30時間の条件で行い、ブロッキングの状態を目視で判断した。なお、高屈折率層および低屈折率層は上記高屈折率層用組成物および上記低屈折率層用組成物の塗膜に紫外線を照射し、硬化させることによって形成された。また、高屈折率層等の形成条件は全ての中間基材フィルムにおいて同じとした。
<易滑性評価>
実施例及び比較例で得られた各中間基材フィルム、実施例及び比較例の各透明層上に上記高屈折率層用組成物を用いて膜厚が100nmの高屈折率層を形成した各中間基材フィルム、実施例及び比較例の各透明層上に上記高屈折率層用組成物及び上記低屈折率層用組成物を用いて膜厚が50nmの高屈折率層及び膜厚が50nmの低屈折率層を順次積層した各中間基材フィルム、実施例及び比較例の各透明層上に上記高屈折率層用組成物及び上記低屈折率層用組成物を用いて膜厚が50nmの高屈折率層及び膜厚が40nmの低屈折率層を順次積層し、そしてこの低屈折率層上にスズドープ酸化インジウムからなる膜厚が20nmの導電層を形成した各積層フィルム、並びに実施例及び比較例の各透明層上に上記高屈折率層用組成物及び上記低屈折率層用組成物を用いて膜厚が50nmの高屈折率層および膜厚が40nmの低屈折率層を順次積層し、そしてこの低屈折率層上に銅メッシュからなる導電層を形成した各積層フィルムにおいて、易滑性を評価した。易滑性の評価は、2枚の同じフィルムを用いてフィルムの透明層側の表面同士を擦り合わせて、滑り性を確認することにより行われた。なお、高屈折率層および低屈折率層は上記高屈折率層用組成物および上記低屈折率層用組成物の塗膜に紫外線を照射し、硬化させることによって形成された。また、高屈折率層等の形成条件は全ての中間基材フィルムにおいて同じとした。
表1に示されるように、比較例1〜3においては、0.5mm幅の光学くしを用いて測定される凹凸面の反射鮮明度が90%以下であり、かつ2.0mm幅の光学くしを用いて測定される凹凸面の反射鮮明度が80%以上であるという要件を満たしていないので、干渉縞および白濁感のいずれかが観察されていた。これに対し、表1に示されるように、実施例1〜5においては、0.5mm幅の光学くしを用いて測定される凹凸面の反射鮮明度が90%以下であり、かつ2.0mm幅の光学くしを用いて測定される凹凸面の反射鮮明度が80%以上であるという要件を満たしているで、干渉縞が確認されず、または干渉縞はわずかに確認されたが、問題ないレベルであり、かつ白濁感は観察されなかった。なお、表1に示されるように、実施例1〜5、比較例1、3においては、0.5mm幅の光学くしを用いて測定された凹凸面の反射鮮明度は0.125mm幅の光学くしを用いて測定される凹凸面の反射鮮明度よりも大きくなっているが、比較例2においては、0.5mm幅の光学くしを用いて測定される凹凸面の反射鮮明度は0.125mm幅の光学くしを用いて測定される凹凸面の反射鮮明度よりも小さくなっていた。この結果から、0.125mm幅の光学くしを用いて反射鮮明度を測定する場合には、信頼性に欠けるおそれがあることが理解できる。
実施例及び比較例の各透明層上に上記高屈折率層用組成物を用いて膜厚が100nmの高屈折率層を形成した各中間基材フィルム、実施例及び比較例の各透明層上に上記高屈折率層用組成物及び上記低屈折率層用組成物を用いて膜厚が50nmの高屈折率層及び膜厚が50nmの低屈折率層を順次積層した各中間基材フィルム、実施例及び比較例の各透明層上に上記高屈折率層用組成物及び上記低屈折率層用組成物を用いて膜厚が50nmの高屈折率層及び膜厚が40nmの低屈折率層を順次積層し、そしてこの低屈折率層上にスズドープ酸化インジウムからなる膜厚が20nmの導電層を形成した各積層フィルム、並びに実施例及び比較例の各透明層上に上記高屈折率層用組成物及び上記低屈折率層用組成物を用いて膜厚が50nmの高屈折率層および膜厚が40nmの低屈折率層を順次積層し、そしてこの低屈折率層上に銅メッシュからなる導電層を形成した各積層フィルムにおいて、0.5mm幅、2.0mm幅、0.125mm幅、0.25mm幅、1.0mm幅の光学くしを用いて各フィルムの表面の反射鮮明度、表面角度が0.05°以上となる領域の割合、反射光強度の角度分布、Sm、θa、Ra、RyおよびRzを測定したところ、実施例および比較例に係る中間基材フィルムにおける値(表1および表2に記載された値)とほぼ同じ値が得られ、また干渉縞および白濁感の観察結果も実施例および比較例に係る中間基材フィルムの結果と同様であった。なお、高屈折率層および低屈折率層は上記高屈折率層用組成物および上記低屈折率層用組成物の塗膜に紫外線を照射し、硬化させることによって形成された。また、高屈折率層等の形成条件は全ての中間基材フィルムにおいて同じとした。
比較例に係る中間基材フィルム、および比較例に係る透明層上に高屈折率層等を形成した中間基材フィルムや積層フィルムにおいては、フィルム同士の貼り付きが発生していたので耐ブロッキング性に劣っており、またフィルム同士の滑り性も劣っていたので易滑性も劣っていた。これに対し、実施例に係る中間基材フィルム、および実施例に係る透明層上に高屈折率層等を形成した中間基材フィルムや積層フィルムにおいては、フィルム同士の貼り付きが発生していなかったので、耐ブロッキング性に優れており、またフィルム同士の滑り性も良好であったので、易滑性にも優れていた。