JP2015036596A - 放射冷暖房装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】配管費、施工費を低減し得、さらには通常のエアコンのように冷媒のみを用いる場合に比して、比熱の大きい冷温水も用いるので、放射冷暖房のメリットである蓄熱性は維持し得る放射冷暖房装置を提供する。【解決手段】ヒートポンプを含む屋外機、ならびに熱交換器および冷暖放射パネルを含む屋内機を備え、前記室外機と前記熱交換器との間には冷媒が循環される配管が設けられ、かつ前記熱交換器と冷暖放射パネルとの間には前記熱交換器で冷媒から変換された冷温水が循環される配管を設けてなる放射冷暖房装置。【選択図】図1
Description
本発明は、放射冷暖房装置に関する。
従来、冷暖房装置においては、室内空気を屋外機から循環される冷媒を用いて、屋内機の熱交換部で室内の空気を冷却または暖ためて、室内に吹き出す強制対流型が一般的である。これに対し、さらに快適な冷暖房を達成するために、放射パネルを用いて、強制対流型のような速い気流を発生させない、各種の放射冷暖房装置が提案され、実用化されている。そこでは、ヒートポンプ機能を備えた室外機から、屋外機の近くの屋外に置かれた熱交換器に配管を通して冷媒が循環して送り込まれ、その熱交換器からは、冷媒から変換された冷温水(冷水または温水)が室内に設けられた放射パネルに循環して送り込まれている(たとえば、特許文献1)。この状況は、放射パネルが、壁型、天井型、または床型においても同様である。熱交換器を屋外に設置するのは、騒音対策および結露防止等の観点からは、自然な発想である。
図4は、従来のエアコンの一態様を示し、図5〜7は、それぞれ従来の放射冷暖房装置の一態様を示す(図6は天井型、図7は床冷暖房)。図4〜7において、6は屋外機、7は屋内機、8は冷媒管、9は熱交換器、10は冷暖放射パネル、11は冷温水管を示す。図4において、屋外機6と屋内機7の間は冷媒管8により冷媒が循環されている。図5〜7放射冷暖房装置においては、屋外機6と熱交換器9は屋外に配置され、両者の間には冷媒管8により冷媒が循環されており、一方、熱交換器9と冷暖放射パネル10の間には冷温水管11により冷温水が循環されている。
しかしながら、本発明者の知見によれば、屋外からの冷温水用配管の長さが大きくなるため、溶接費用および保温費用等の配管費が増大する難点がある。
本発明は、前記の難点を解決した放射冷暖房装置を提供することを目的とする。
本発明は上記の問題を解決するために、冷媒から冷温水に変換する熱交換器を室内の冷暖放射パネルの近くに設けるものであり、以下の発明を提供するものである。
(1)ヒートポンプを含む屋外機、ならびに熱交換器および冷暖放射パネルを含む屋内機を備え、前記屋外機と前記熱交換器との間には冷媒が循環される配管が設けられ、かつ前記熱交換器と冷暖放射パネルとの間には前記熱交換器で冷媒から変換された冷温水が循環される配管を設けてなる放射冷暖房装置。
(2)屋内機において、熱交換器が冷暖放射パネルの上方もしくは下方に、または水平方向に並んで配置された上記(1)に記載の放射冷暖房装置。
(3)放射冷暖房装置が、遠赤外線を放射・吸収し遠赤外線の放射率が0.6以上である遠赤外線放射物質を含む材料で構成された室内面構成部材を有し、冷暖放射パネル表面が、前記室内面構成部材の前記遠赤外線放射物質と同一の遠赤外線放射物質を含む材料で構成されてなり、冷暖放射パネル表面が冷却されると、その表面の前記遠赤外線放射物質が前記室内面構成部材の前記遠赤外線放射物質が放射する遠赤外線を吸収し、及び/又は、
冷暖放射パネル表面が加熱されると、その加熱面の前記遠赤外線放射物質が放射する遠赤外線を前記室内面構成部材の前記遠赤外線放射物質が吸収するように構成されてなる上記(1)または(2)に記載の放射冷暖房装置。
(1)ヒートポンプを含む屋外機、ならびに熱交換器および冷暖放射パネルを含む屋内機を備え、前記屋外機と前記熱交換器との間には冷媒が循環される配管が設けられ、かつ前記熱交換器と冷暖放射パネルとの間には前記熱交換器で冷媒から変換された冷温水が循環される配管を設けてなる放射冷暖房装置。
(2)屋内機において、熱交換器が冷暖放射パネルの上方もしくは下方に、または水平方向に並んで配置された上記(1)に記載の放射冷暖房装置。
(3)放射冷暖房装置が、遠赤外線を放射・吸収し遠赤外線の放射率が0.6以上である遠赤外線放射物質を含む材料で構成された室内面構成部材を有し、冷暖放射パネル表面が、前記室内面構成部材の前記遠赤外線放射物質と同一の遠赤外線放射物質を含む材料で構成されてなり、冷暖放射パネル表面が冷却されると、その表面の前記遠赤外線放射物質が前記室内面構成部材の前記遠赤外線放射物質が放射する遠赤外線を吸収し、及び/又は、
冷暖放射パネル表面が加熱されると、その加熱面の前記遠赤外線放射物質が放射する遠赤外線を前記室内面構成部材の前記遠赤外線放射物質が吸収するように構成されてなる上記(1)または(2)に記載の放射冷暖房装置。
本発明の放射冷暖房装置によれば、冷温水用の配管を短くできるので、配管費、施工費を低減し得、さらには通常のエアコンのように冷媒のみを用いる場合に比して、比熱の大きい冷温水も用いるので、放射冷暖房のメリットである蓄熱性は維持し得る。
本発明における放射冷暖房装置は、ヒートポンプを含む屋外機、ならびに熱交換器および冷暖放射パネルを含む屋内機を備える。本発明の放射冷暖房装置においては、冷暖放射パネルから冷放射と熱放射を切り換えて行うことができる。屋外機はヒートポンプ機能を備え、このヒートポンプ機能は、通常のエアコン等に用いられているものと同じ原理により動作する。
屋外機と熱交換器との間には冷媒が循環される配管が設けられ、かつ熱交換器と冷暖放射パネルとの間には熱交換器で冷媒から変換された冷温水が循環される配管を設けてなる。冷媒は、特に制限されないが、ハイドロクロロフルオロカーボン(HCFC)(R-22等の代替フロン)およびハイドロフルオロカーボン(HFC)(R-410A等の代替フロン)であるフロン類が好適である。
熱交換器も特に制限されないが、冷暖放射パネルの上方もしくは下方に、または水平方向に並んで配置される。図1は、本発明の放射冷暖房装置の一態様(模式図)を示し、図2は、本発明の放射冷暖房装置(天井型)の一態様を示し、図3は、本発明の放射冷暖房装置(床冷暖房)の一態様を示す。図1〜3において、1は屋外機、2は冷暖放射パネル、3は熱交換器、4は冷媒管、5は冷温水管を示す。図1においては、熱交換器3は冷暖放射パネル2の上部に設けられている。本発明においては、熱交換器3は、屋内に配置されるので、冷暖放射パネル2に近い位置に配置されることになるが、冷暖放射パネル2と一体型であるのが最適である。このように、冷暖放射パネル2に近い位置に配置されるため、冷温水の循環量を少なくできるので、発生する騒音も小さくなる。熱交換器3は、冷暖放射パネル2に近い位置に冷媒管4を配置できれば、冷暖房の対象となる室内に限定されず、たとえば天井型の場合には、屋根裏、壁の中に、さらに床冷暖房の場合には床下、壁の中、等に配置することもできる。
冷暖放射パネルには、たとえばアルミニウム製フィンが好適に設けられ、熱交換器から冷水が供給されると、フィンが冷やされ、フィンの表面は、冷放射を行う冷却面として機能する。また、熱交換器から温水が供給されると、フィンが温められ、このフィンの表面が熱放射を行う加熱面として機能する。そこでは、水温を設定することにより運転され得る。フィンは、たとえばアルミニウム製の支持板と一体的に形成され得る。冷温水が循環される配管は、上記支持板の裏面に設けられるのが好適である。フィンは、薄手の板状であり、上下に延在している。フィンは、熱伝導の良好な他の金属または合金材料、例えば鉄や銅、それらの合金など、で製作することもできる。
本発明の床冷暖房以外の放射冷暖房装置の好適な態様においては、遠赤外線を放射・吸収し遠赤外線の放射率が0.6以上である遠赤外線放射物質を含む材料で構成された室内面構成部材を有し、冷暖放射パネル表面が、室内面構成部材の遠赤外線放射物質と同一の遠赤外線放射物質を含む材料で構成されてなる。冷暖放射パネル表面が冷却されると、その表面の遠赤外線放射物質が室内面構成部材の遠赤外線放射物質が放射する遠赤外線を吸収し、及び/又は、冷暖放射パネル表面が加熱されると、その加熱面の遠赤外線放射物質が放射する遠赤外線を室内面構成部材の前記遠赤外線放射物質が吸収する。
室内面構成部材は、遠赤外線放射物質で構成されるか、遠赤外線放射物質を混入した材料で構成されるか、又は遠赤外線放射物質からなる皮膜を有する。冷暖放射パネル表面も、室内面構成部材の遠赤外線放射物質と同一の遠赤外線放射物質で構成されるか、遠赤外線放射物質を混入した材料で構成されるか、又は遠赤外線放射物質からなる皮膜で構成される。
本発明において、室内面構成部材とは、環境調整の対象となる密閉空間に露出した面を構成している部材を指す。密閉空間は、その内部と外部との連絡を可能にするドアや窓などのような開閉手段を備えることができる。密閉空間は、特に制限されないが、通常は人間が生活・活動する建物の部屋や廊下などである。室内面構成部材の少なくとも一部は、本発明における室内環境の調整に必要な遠赤外線を放射・吸収する遠赤外線放射物質で構成されるか、遠赤外線放射物質を混入した材料で構成されるか、又は遠赤外線放射物質からなる皮膜を有する。遠赤外線の放射および吸収を効率よく行うため、室内面構成部材に混入される遠赤外線放射物質は、室内空間に露出していることが好ましい。とはいえ、室内面構成部材中の遠赤外線放射物質は、室内空間に直接露出されずに、遠赤外線放射物質の遠赤外線の放射・吸収を有意に妨げない程度の保護層(例えば、1mm程度以下の厚さの塗装膜、ニス層、壁紙等)などで覆われていてもよい。
遠赤外線放射物質は遠赤外線を放射・吸収する物質をいうが、本発明で用いる遠赤外線放射物質は、遠赤外線の放射率が0.6以上、好ましくは0.8以上の遠赤外線放射物質である。
このような遠赤外線放射物質は、通常、いわゆる無機材料であり、天然及び人工の鉱物、金属及び半金属の酸化物、窒化物、炭化物、硫化物、水酸化物等、炭酸塩などの塩やそれらの複合物(複塩)、炭などのほか、貝殻などの天然素材なども含まれる。また、本発明の遠赤外線放射物質の殆どは広義のセラミックス材料(金属以外の無機材料をいう。)であるが、有機物や有機物由来の物質であっても上記放射率の条件を満たすならば用いることができる。
本発明において、遠赤外線放射物質を含む部材中における遠赤外線放射物質の形態は、遠赤外線放射物質を含む部材が遠赤外線を放射・吸収できれば格別に制約はなく、代表的には、遠赤外線放射物質からなる一体物(石材)、遠赤外線放射物質の粒子、粉末、骨材等(これらを粒子ともいう。)を含む部材、遠赤外線放射物質の皮膜を有する部材などの形態であることができる。本発明において、遠赤外線放射物質からなる石材とは、天然又は人工の無機材料からなる固体一体物のことであって、通常はパネルまたはタイル状の建材等として用いられる。天然の石材の例としては、花崗岩、玄武岩、などを挙げることができる。人工的に製造した石材でもよいことはいうまでもない。人造パネル等の建材やその他の一体物部材は、石材と考えることができる。
本発明において、遠赤外線放射物質を混入した材料とは、構成成分の一部として遠赤外線放射物質を含む材料をいう。この場合の遠赤外線放射物質は、典型的には天然又は人工の無機材料の粒子として、室内面構成部材の製造材料や製造材料中に混入される。
本発明において、遠赤外線放射物質からなる皮膜とは、室内面構成部材や冷却及び/又は加熱源の表面に形成した遠赤外線放射物質の皮膜をいう。この皮膜は、適当な皮膜形成技術、例えば熔射、蒸着などのPVD技術、あるいはCVD技術により、遠赤外線放射物質を対象表面にコーティングして形成することができる。
本発明においては、室内面構成部材の遠赤外線放射物質と、冷暖放射パネル表面の遠赤外線放射物質とは、同一である。本発明における放射冷暖房装置は、同一分子種間における熱放射を介した熱移動が、同一分子種間でない場合に比較して高い効率で行われる現象を利用して、室内面構成部材と冷暖放射パネル表面との間で熱放射を介し熱移動を高い効率で行わせることにより、室内環境の調整を実現するものである。よって、本発明の放射冷暖房装置が所期の機能を発揮するためには、それらの間で熱放射を介した熱移動が行われる室内面構成部材と冷暖放射パネル表面とに、同一分子種の物質が存在する必要がある。本発明では、同一分子種で構成されている、室内面構成部材の遠赤外線放射物質と冷却及び/又は加熱源の遠赤外線放射物質のことを、同一物質であると称する。ここで同一分子種とは、遠赤外線を放射・吸収する性質を示し、遠赤外線の放射率が0.6以上、好ましくは0.8以上である一方の物質(例えば、室内面構成部材において使用する遠赤外線放射物質)と、遠赤外線を放射・吸収する性質を示し、遠赤外線の放射率が0.6以上、好ましくは0.8以上であるもう一方の物質(冷暖放射パネル表面で使用する遠赤外線放射物質)とが、分子レベルで同一であることをいう。ここでの分子とは、化学結合により結合された原子の集団を意味する。したがって、ここでいう分子には、例えば天然石材を構成する鉱物の結晶なども含まれる。類似元素が置換あるいは固溶した同一鉱物は同一分子種の物質とみなされている。天然の鉱物の場合、複数の化合物で構成されるのが普通であり、しかも巨視的レベルでは鉱物中の部位によりそれらの化合物の結晶構造に違いが見られることもある。とは言え、この場合は、同じ原産地から切り出した鉱物は、実質的に同じ分子種の物質の実質的に同じ組成の集合体であり、全体として同一分子種の物質と同様に考えてよい。
室内面構成部材、あるいは冷暖放射パネル表面において、上述の遠赤外線放射物質として無機材料粒子を使用する場合、そこには、遠赤外線放射物質としての無機材料粒子以外の物質が共存するのが普通である。例えば、遠赤外線放射物質としての無機材料粒子を含む漆喰により室内面構成部材を形成した場合や、遠赤外線放射物質としての無機材料粒子を含む塗料を冷暖放射パネル表面に塗布した場合、上述の遠赤外線放射物質としての無機材料粒子は、漆喰中の骨材あるいは塗料中のバインダー成分などと共存する。このような場合、上述の「遠赤外線放射物質」としての無機材料粒子以外の物質も、遠赤外線を多かれ少なかれ放射・吸収する性質を持つ。しかし、本発明では、同一分子種間における熱放射を介した熱移動が同一分子種間でない場合に比較して顕著に高い効率で行われる現象を利用しているので、室内面構成部材と冷暖放射パネル表面の両者に共通に存在しない物質が本発明において果たす役割は、きわめて少ないか、または無視できる程度である。したがって、本発明において遠赤外線放射物質に言及する場合、それは室内面構成部材と冷暖放射パネル表面の両者に共通に存在する、遠赤外線放射率0.6以上、好ましくは0.8以上の同一の物質(電磁波を介した同一分子間における分子振動の共鳴現象を引き起こす物質)を指す。
室内面構成部材と冷暖放射パネル表面とで遠赤外線放射物質としてともに無機材料粒子を使用する場合には、双方の粒子の粒径や形状は同一でも異なっていてもよい。室内面構成部材と冷暖放射パネル表面の双方に含まれる無機材料粒子の配合量も、同じである必要はない。また、例えば、室内面構成部材が壁面と天井面を形成していて、遠赤外線放射物質として無機材料粒子を使用する場合、壁面と天井面の遠赤外線放射物質の粒子の粒径や形状は、同一でも異なっていてもよい。この場合、無機材料粒子は、室内面構成部材(たとえば、壁面及び天井面を形成する建材)中に、本発明による同一分子種間での熱放射を介した所期の熱移動を可能にする含有量で配合される。このとき、壁面を形成する建材と天井面を形成する建材とで、無機材料粒子の配合量は同一でも異なっていてもよい。これらは、2以上の壁面のそれぞれにおける遠赤外線放射物質の無機材料粒子についてもいえる。
室内面構成部材と冷暖放射パネル表面において、遠赤外線放射物質は複数種を用いてもよい。遠赤外線放射物質が石材の場合は、室内面構成部材あるいは冷暖放射パネル表面のために、2種以上の石材を組み合わせて用いることができる。遠赤外線放射物質が無機材料粒子の場合は、2種以上の無機材料粒子の混合物を用いることができる。どちらの場合も、室内面構成部材における無機材料粒子の組み合わせと冷暖放射パネル表面における無機材料粒子の組み合わせが同じであれば(同じ組み合わせが含まれていれば)、それらは同一物質であると見なされる。
室内面構成部材と冷暖放射パネル表面に含まれる遠赤外線放射物質としての無機材料粒子は、同一分子種間での熱放射を介した所期の熱移動を可能にする量でそれらに存在する。通常、室内面構成部材と冷暖放射パネル表面は、異なる業者により、建設現場以外で製作して建設現場に搬入されるか又は建設現場において施工されることが多いと考えられる。従って、室内面構成部材と冷暖放射パネル表面には、遠赤外線放射物質としての共通の無機材料粒子が、それぞれの製造業者又は施工業者により混入されることが多いと考えられる。このような場合、遠赤外線放射物質としての無機材料粒子の含有量は、それぞれの業者により室内面構成部材と冷暖放射パネル表面の各製造材料に含められる共通の無機材料粒子の量をいう。室内面構成部材中及び冷暖放射パネル表面形成材料中の無機材料粒子含有量は、本発明による熱放射を介した熱移動を実効あるものにする量として決定することができる。その量は、所期の冷房及び/又は加熱のために必要とされる熱移動量、熱放射を介した熱移動に利用可能な室内面構成部材と冷却及び/又は加熱面の面積、使用する遠赤外線放射物質の熱放射特性などに依存する。下記で説明する計測実験では、遠赤外線放射物質としての無機材料粒子は、室内面構成部材材料中、あるいは冷暖放射パネル表面を形成している材料中に、1重量%以上存在する場合に有効な効果が認められ、3重量%以上存在する場合により好ましい効果が得られた。一方、遠赤外線放射物質として無機材料粒子を用いる場合、その含有量の上限は、室内面構成部材と冷暖放射パネル表面を形成する材料中に実際上含ませることができる無機材料粒子の最大量によって決まり、特に制約はない(理論的には、例えば90重量%でもよい)。
本発明では、遠赤外線放射物質の無機材料粒子として、複数種の物質を使用(上述の「分子レベルで同一」である物質を複数種使用)してもよい。この場合には、室内面構成部材と冷暖放射パネル表面とで同じ無機材料粒子の混合物を用いることができる。この場合の室内面構成部材材料と冷暖放射パネル表面を形成している材料における無機材料粒子の含有量は、混合物中の複数種の同じ物質の合計量でもって表される。
遠赤外線の放射および吸収を効率よく行うためには、遠赤外線放射物質は極力、環境調整する室内空間に露出していることが好ましい。とは言え、遠赤外線放射物質が室内空間に直接露出していなくても、1mm程度以下の保護層(例えば塗装の層、ニスの層、壁紙等)で覆われているのであれば、大きな問題はない。
本発明で使用する遠赤外線放射物質の遠赤外線の放射率は、0.6以上であり、好ましくは0.8以上、より好ましくは0.9以上である。遠赤外線は、波長が3μm〜1000μmの電磁波のことをいう。材料の放射率は、同一条件における理想的な黒体の遠赤外線の放射エネルギーをW0とし、当該材料の遠赤外線の放射エネルギーをWとした場合に、W/W0によって定義される。放射率の値は、本発明のシステムの実際の使用温度に近い室温(例えば25℃)におけるものが好ましく、例えば、人体に対する熱的な作用の大きい10μm付近における値を採用する。
本発明の一態様において、冷暖放射パネルのフィンの表面は、遠赤外線放射物質の粉砕物とバインダーとを混合し、それを層状に塗り、乾燥させることでコーティングされている。たとえば、フィンの表面には、遠赤外線の放射率が0.9を超える数値を示す花崗岩を粉砕した粉砕物(石粉)を混ぜた白い塗料により構成された厚さ約200μmのコーティング層が形成される。コーティング層中の石粉の粒径は、50μm以下である。この石粉のコーティング層における含有率は、塗料の硬化状態(乾燥状態)で20重量%とされている。
本発明の放射冷暖房装置によれば、冷温水用の配管を短くできるので、配管費、施工費を低減し得、さらには通常のエアコンのように冷媒のみを用いる場合に比して、比熱の大きい冷温水も用いるので、放射冷暖房のメリットである蓄熱性は維持し得る。
1 屋外機
2 冷暖放射パネル
3 熱交換器
4 冷媒管
5 冷温水管
2 冷暖放射パネル
3 熱交換器
4 冷媒管
5 冷温水管
Claims (3)
- ヒートポンプを含む屋外機、ならびに熱交換器および冷暖放射パネルを含む屋内機を備え、前記屋外機と前記熱交換器との間には冷媒が循環される配管が設けられ、かつ前記熱交換器と冷暖放射パネルとの間には前記熱交換器で冷媒から変換された冷温水が循環される配管を設けてなる放射冷暖房装置。
- 屋内機において、熱交換器が冷暖放射パネルの上方もしくは下方に、または水平方向に並んで配置された請求項1に記載の放射冷暖房装置。
- 放射冷暖房装置が、
遠赤外線を放射・吸収し遠赤外線の放射率が0.6以上である遠赤外線放射物質を含む材料で構成された室内面構成部材を有し、
冷暖放射パネル表面が、前記室内面構成部材の前記遠赤外線放射物質と同一の遠赤外線放射物質を含む材料で構成されてなり、
冷暖放射パネル表面が冷却されると、その表面の前記遠赤外線放射物質が前記室内面構成部材の前記遠赤外線放射物質が放射する遠赤外線を吸収し、及び/又は、
冷暖放射パネル表面が加熱されると、その加熱面の前記遠赤外線放射物質が放射する遠赤外線を前記室内面構成部材の前記遠赤外線放射物質が吸収するように構成されてなる請求項1または2に記載の放射冷暖房装置。
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