JP2015032403A - 導電性シートの製造方法、導電性シート、および、タッチパネル - Google Patents

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Abstract

【課題】ポリチオフェン系導電剤と導電性粒子とを含み、耐擦過性が高められる導電性シートの製造方法、導電性シート、および、タッチパネルを提供する。
【解決手段】粒子を含む下塗層12を基材11に形成する工程と、下塗層12に塗工液を塗工して塗膜を形成する工程と、塗膜を乾燥させて導電層13を形成する工程とを含む。粒子は、シリカ粒子、および、シリカ複合粒子の少なくとも一方であり、下塗層12に1質量%以上、かつ、10質量%以下含まれる。塗工液にてポリチオフェン系導電剤の質量部が100であるとき、シランカップリング化合物の質量部は、100以上、かつ、240以下である。
【選択図】図1

Description

本開示は、ポリチオフェン系導電剤と導電性粒子とを含む導電性シートの製造方法、導電性シート、および、導電性シートを備えるタッチパネルに関する。
抵抗膜式タッチパネルは、導電性シートの一部に加わる圧力を電気信号に変換して、導電性シートにおいて圧力の加わった位置を検出する。こうした抵抗膜式タッチパネルは、押下や筆記という動作を電気信号として出力できるため、ゲーム機や電子辞書などの携帯機器に多用されている。
抵抗膜式タッチパネルの備える導電性シートのうち、導電性高分子を導電体として採用するシートは、これによって高い屈曲性を満たしている。例えば、特許文献1に記載の導電性シートは、導電体として、ポリチオフェン系導電剤を含むコーティング組成物を採用している。高い屈曲性を有する導電性シートは、圧力の印加によって割れることが少ないため、抵抗膜式タッチパネルの長寿命化を担っている。
一方で、導電性高分子を利用する導電性シートは、圧力の加わる位置を検出するために、これとは異種の半導体であるITO(Indium Tin Oxide)などの酸化物半導体層と接触する。この際に、ポリチオフェン系導電剤を含む導電性シートとITOとの接触抵抗は、ITO膜同士の接触抵抗と比べて高いため、抵抗膜式タッチパネルの入力荷重を上昇させる要因となる。
そこで、特許文献2に記載の導電性シートは、こうした入力荷重を抑えることを目的として、導電層に親水性粒子を含み、酸化物半導体層と導電層との接触性を高めている。また、特許文献3から特許文献5に記載の導電性シートは、同じく入力荷重を抑えることを目的として、導電層に導電性粒子を含んでいる。
特開2006−289780号公報 特開2007−321131号公報 特表2006−502254号公報 特開2009−037752号公報 特表2011−500936号公報
ところで、抵抗膜式タッチパネルには、押下や筆記に対する感度を確保することに加えて、押下や筆記の繰返しに対する耐性である耐擦過性を確保することも必要である。上述した親水性粒子や導電性粒子を含む導電性シートは、押下や筆記に対する感度を粒子の添加によって高められる一方で、耐擦過性を高める観点では、依然として改善の余地を残している。なお、こうした耐擦過性を高める要請は、抵抗膜式タッチパネルの電極に限らず、静電容量式タッチパネルの電極や、タッチパネルにおける電磁波シールドなど、基材に導電層を備える導電性シートにおいて共通する。
本開示の技術は、ポリチオフェン系導電剤と導電性粒子とを含み、耐擦過性が高められる導電性シートの製造方法、導電性シート、および、タッチパネルを提供することを目的とする。
本開示の技術において導電性シートの製造方法の一態様は、粒子を含む下塗層を基材に形成する工程と、下塗層に塗工液を塗工して塗膜を形成する工程と、塗膜を乾燥させて導電層を形成する工程とを含む。下塗層に含まれる粒子は、シリカ粒子、および、シリカ複合粒子の少なくとも一方であり、下塗層に1質量%以上、かつ、10質量%以下含まれる。塗工液は、ポリチオフェン系導電剤と、シランカップリング化合物とを含み、ポリチオフェン系導電剤の質量部が100であるとき、シランカップリング化合物の質量部は、100以上、かつ、240以下である。
本開示の技術における上記導電性シートの製造方法にて、塗工液は、バインダーと、導電性粒子とをさらに含み、ポリチオフェン系導電剤の質量部が100であるとき、導電性粒子の質量部は、20以上、かつ、100以下であり、導電層の膜厚aと導電性粒子の短軸径bとは、下記式1、および、式2を満たすことが好ましい。
a>100nm … 式1
1.5<b/a<5 … 式2
本開示の技術において導電性シートの一態様は、上記導電性シートの製造方法によって製造された導電性シートである。
本開示の技術において導電性シートの一態様は、基材と、基材に設けられた導電層と、基材と導電層とに挟まれ、粒子を含む下塗層とを備える。下塗層に含まれる粒子は、シリカ粒子、および、シリカ複合粒子の少なくとも一方であり、下塗層に1質量%以上、かつ、10質量%以下含まれる。導電層は、ポリチオフェン系導電剤と、シランカップリング化合物、および、シランカップリング化合物の反応物であるカップリング成分とを含み、シリコン元素の含有率は、3質量%以上、かつ、7質量%以下である。
本開示の技術における上記導電性シートにて、導電層は、バインダーと、導電性粒子とをさらに含み、導電性粒子の含有率は、6質量%以上、かつ、25質量%以下であり、導電層の膜厚aと導電性粒子の短軸径bとは、下記式1、および、式2を満たす。
a>100nm … 式1
1.5<b/a<5 … 式2
本開示の技術における上記導電性シートにて、導電性粒子は、導電層に分散した球状粒子であり、導電性粒子の短軸径bと導電性粒子の長軸径cとは、下記式3を満たすことが好ましい。
c/b<2 … 式3
本開示の技術における上記導電性シートにて、導電性粒子は、銀粒子、銅粒子、表面が処理された前記銀粒子、表面が処理された前記銅粒子からなる群から選択される少なくとも1つであることが好ましい。
本開示の技術においてタッチパネルの一態様は、上記導電性シートを備える。
本開示の導電性シートの製造方法、導電性シート、および、タッチパネルは、ポリチオフェン系導電剤と導電性粒子とを含む導電性シートにおいて耐擦過性を高める。
本開示の導電性シートを具体化した一実施形態において導電性シートの断面構造を示す断面図である。 本開示の導電性シートを具体化した一実施形態において導電層以外の他の機能層を有する導電性シートの断面構造の一例を示す断面図である。 本開示のタッチパネルを具体化した一実施形態における抵抗膜式タッチパネルの分解斜視構造を示す分解斜視図である。
本開示の技術を具体化した一実施形態を図1から図3を参照して説明する。まず、本実施形態における導電性シートを説明する。
[導電性シートの構成]
図1が示すように、導電性シート10は、基材11と、基材11に設けられた導電層13と、基材11と導電層13とに挟まれた下塗層12とを備えている。
下塗層12は、シリカ粒子、および、シリカ複合粒子の少なくとも一方を含む樹脂層である。下塗層12の側面のうち導電層13と接触する側面である表面は、平坦面であってもよいし、凹凸面であってもよい。
導電層13は、ポリチオフェン系導電剤と、シランカップリング化合物、および、シランカップリング化合物の反応物であるカップリング成分とを含む。なお、導電性シート10において、下塗層12、および、導電層13は基材11の片面に形成されてもよいし、基材11の両面に形成されてもよい。
導電層13の有する形状は、導電性シート10の適用される対象機器に応じて適宜選択される。例えば、導電性シート10が抵抗膜式タッチパネルの電極に用いられるとき、導電層13は、基材11の側面のほぼ全体に広がる層状を有する。また、例えば、導電性シート10が静電容量式タッチパネルの電極に用いられるとき、導電層13は、静電容量の検出に適した規則的なパターン形状を有する。
基材11、下塗層12、および、導電層13は、無色透明であってもよいし、有色透明であってもよい。導電性シート10がタッチパネルの電極に用いられる場合には、基材11、および、導電層13は、無色で高い透明性を有することが好ましい。導電層13の導電性は、基材11よりも高い導電性を示す範囲であれば、特に限定されない。導電性シート10がタッチパネルの電極に用いられる場合には、導電層13の表面抵抗は、10Ω/sq以下であることが好ましく、10Ω/sq以下であることが、より好ましい。
導電性シート10は、基材11に、下塗層12、および、導電層13のみが設けられる構成であってもよいし、下塗層12、および、導電層13以外の他の機能層が基材11に含まれる構成であってもよい。導電層13以外の他の機能層は、例えば、光学調整層、アンカー層、バリア層、ハードコート層からなる群から選択される少なくとも1つである。導電層13以外の他の機能層は、単一の層からなる単層構造を有してもよいし、複数の層の積み重なった積層構造を有してもよい。
光学調整層は、導電性シート10において、可視光に対する光学的な特性を調整する層であり、例えば、導電性シート10を構成する複数の層において、層間の屈折率を調整する屈折率調整層である。アンカー層は、導電性シート10を構成する複数の層において、層間の密着性を高める機能を有し、例えば、イソシアネートなどの反応性物質を含む層である。バリア層は、基材11に含まれるガスが基材11から離脱することを抑える機能を有する。ハードコート層は、ハードコート層によって覆われる下地に傷や汚れが生じることを抑える層であり、例えば、硬質な樹脂からなる層である。
図2が示すように、導電層13以外の他の機能層は、基材11の側面のうち、導電層13の形成されない側面に裏面層14として設けられてもよい。例えば、光学調整層、バリア層、ハードコート層からなる群から選択される少なくとも1つは、基材11の裏面に裏面層14として設けられてもよい。また、基材11の裏面に導電層13以外の他の機能層が設けられる構成であれば、その機能層と基材11との間にアンカー層が設けられてもよい。
導電性シート10の透明性は、全光線透過率(JIS K7105)として、70%以上であることが好ましく、より好ましくは80%以上である。また、導電性シート10の有するヘイズ(JIS K7105)は、導電性シート10にアンチグレア(AG)性を付与するなど、意図的に光拡散性を有する構成を除けば、10%以下であることが好ましく、より好ましくは5%以下である。
[基材11]
基材11は、ガラス基板、樹脂フィルム、樹脂板などのシート状に形成されたシート基材を備えている。基材11は、シート基材のみから構成されていてもよいし、シート基材と、その表面に必要に応じて形成された層であって、下塗層12および導電層13以外の他の機能層とから構成されていてもよい。
基材11の表面は、平坦面であってもよいし、サンドブラスト処理や溶剤処理などの賦形処理の施された凹凸面であってもよい。基材11の表面は、コロナ放電処理、クロム酸処理、火炎処理、熱風処理、紫外線照射処理などの表面酸化処理が施されていてもよいし、下塗層12との密着性が十分に得られる場合には、こうした表面酸化処理は必ずしも施す必要はない。
樹脂フィルムの形成材料、および、樹脂板の形成材料は、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリプロピレンナフタレート、ポリエチレン、ポリプロピレン、セロファン、ジアセチルセルロース、トリアセチルセルロース、シクロオレフィンポリマー、アセチルセルロースブチレート、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリメチルペンテン、ポリスルホン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルイミド、ポリイミド、フッ素樹脂、ポリアミド、(メタ)アクリル樹脂、メチルメタクリレートとスチレンの共重合体からなる群から選択される少なくとも1つである。
透明性、耐候性、および、耐溶剤性が高まり、かつ、低コスト化が図られる観点から、シート基材は、ポリエチレンテレフタレートの二軸延伸フィルム、ガラス基板、シクロオレフィンポリマーやポリカーボネートからなるシートであることが好ましい。特に、高い屈曲性が得られる観点から、シート基材は、ポリエチレンテレフタレートの二軸延伸フィルム、シクロオレフィンポリマーやポリカーボネートからなるシートであることが好ましい。また、高い屈曲性が満たされる観点から、シート基材の厚みは、10μm以上、かつ、200μm以下であることが好ましい。
シート基材は、シート基材の透明性を妨げない範囲にて、各種添加剤が含まれてもよい。シート基材に含まれる添加剤は、例えば、酸化防止剤、耐熱安定剤、紫外線吸収剤、有機粒子、無機粒子、顔料、染料、微細繊維、帯電防止剤、核剤、シランカップリング化合物などである。
[下塗層]
下塗層12を構成する樹脂は、例えば、熱硬化性樹脂、または、活性エネルギー線硬化性樹脂である。熱硬化性の樹脂は、例えば、フェノール樹脂、尿素樹脂、ジアリルフタレート樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、アミノアルキッド樹脂、珪素樹脂、またはポリシロキサン樹脂などである。活性エネルギー線硬化性樹脂は、活性エネルギー線の照射により重合可能な重合性不飽和基を有するモノマーである。活性エネルギー線硬化性樹脂は、光重合開始剤などを含んでもよい。
下塗層12は、特に、シリカ粒子、および、シリカ複合粒子の少なくとも一方と、多官能(メタ)アクリルモノマーとを含む下塗層形成用組成物(以下、下塗層用の塗工液(A)という。)を活性エネルギー線で硬化した硬化物であることが好ましい。また、下塗層12は、必要に応じて単官能(メタ)アクリルモノマーを使用することができる。こうした硬化物は、粒子以外の部分である母材が、架橋構造を有する硬質のアクリル系重合体を含むため、表面硬度、透明性、および、耐擦過性などに優れる。
「多官能」は、重合性不飽和基を2つ以上有することを示し、「(メタ)アクリルモノマー」は、重合性不飽和基として少なくとも(メタ)アクリロイル基を有する化合物である。「(メタ)アクリロイル基」は、アクリロイル基またはメタクリロイル基であることを示す。
多官能(メタ)アクリルモノマーは、例えば、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレンオキサイド変性ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールアジペートジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニルジ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジシクロペンテニルジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(好ましくは質量平均分子量400〜600)ジ(メタ)アクリレート、変性ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性リン酸ジ(メタ)アクリレート、アリル化シクロヘキシルジ(メタ)アクリレート、若しくはイソシアヌレートジ(メタ)アクリレート等の2官能(メタ)アクリレート;ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジベンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、プロピオン酸変性ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンエトキシートリ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、プロピレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ポリエーテルトリ(メタ)アクリレート、グリセリンプロポキシートリ(メタ)アクリレート、若しくはトリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート等の3官能(メタ)アクリレート;ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールエトキシテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、若しくはペンタエリスリトールトリアクリレート等の4官能(メタ)アクリレート;またはジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、プロピオン酸変性ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールモノヒドロキシペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等の5官能以上の(メタ)アクリレートなどである。これらの多官能(メタ)アクリルモノマーは、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用することもできる。
「単官能」は、重合性不飽和基を1つ有することを示す。単官能(メタ)アクリルモノマーは、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、メチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、グリセロール(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、2−エトキシエチル(メタ)アクリレート、2−(2−エトキシエトキシ)エチル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシートリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、2−メトキシプロピル(メタ)アクリレート、メトキシジプロピレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシートリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、またはポリプロピレングリコール(メタ)アクリレートなどである。これらの単官能(メタ)アクリルモノマーは、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用することもできる。
多官能(メタ)アクリルモノマーは、4官能以上(好ましくは5官能以上)の(メタ)アクリルモノマーと、2〜3官能(メタ)アクリルモノマーとを含むことが好ましい。4官能以上の(メタ)アクリルモノマーは硬度の向上に寄与し、2〜3官能(メタ)アクリルモノマーは柔軟性の向上に寄与する。そのため、これらを併用することで、得られる下塗層が、高い硬度と適度な柔軟性を有する。単官能(メタ)アクリルモノマーは柔軟性の向上に寄与する。また、粘度が低いため塗剤の粘度調整に使用することもできる。
全多官能(メタ)アクリルモノマーのうち、4官能以上の(メタ)アクリルモノマーの割合は、全(メタ)アクリルモノマーの全ての質量に対して50質量%以上95質量%未満が好ましく、60質量%以上90質量%未満がより好ましい。また、2〜3官能(メタ)アクリルモノマーの割合は、全(メタ)アクリルモノマーの全ての質量に対して5質量%以上50質量%未満が好ましく、10質量%以上40質量%未満がより好ましい。単官能(メタ)アクリルモノマーの割合は、全(メタ)アクリルモノマーの全ての質量に対して1質量%以上50質量%未満が好ましく、5質量%以上30質量%未満がより好ましい。
2〜3官能(メタ)アクリルモノマーとしては、ジエチレングリコールジアクリレートなどが挙げられる。4官能以上の(メタ)アクリルモノマーとしては、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートなどが挙げられる。
下塗層用の塗工液(A)は、少なくとも2つの異なる組成物の混合物であってもよい。この混合物は、多官能(メタ)アクリルモノマー(a1)、単官能(メタ)アクリルモノマー(a2)を含む組成物(A1)と、多官能(メタ)アクリルモノマー(b1)または単官能(メタ)アクリルモノマー(b2)を含む組成物(B1)の混合物が好ましい。多官能(メタ)アクリルモノマーまたは単官能(メタ)アクリルモノマーは、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用することもできる。また、2つ以上の異なる組成物を混合する前に、多官能(メタ)アクリルモノマーまたは単官能(メタ)アクリルモノマーを重合してもよい。多官能(メタ)アクリルモノマーとしてはペンタエリスリトールトリアクリレート、またはジペンタエリスリトールヘキサアクリレートが好ましく、単官能モノマーとしてシクロヘキシルメタアクリレート、n−ブチルメタクリレート、メチルメタアクリレート、またはイソボルニルメタアクリレートが好ましい。
下塗層12に含まれる粒子は、シリカ粒子、および、シリカ複合粒子の少なくとも一方である。シリカ粒子、および、シリカ複合粒子は、導電層13のカップリング成分との反応性を損なわない範囲で、表面がシランカップリング化合物によって処理された反応性粒子であってもよい。シランカップリング化合物によって処理されることによって、アクリル系重合体と粒子との間の結合力が高まる。
シランカップリング化合物としては、例えば、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシアルミニウムなどである。これらは1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
シランカップリング化合物の処理量は、粒子100質量部に対して、0.1質量部以上20質量部以下であることが好ましく、1質量部以上10質量部以下であることがより好ましい。
下塗層12に含まれる粒子の粒子径は、粒子の種類や形態などによっても異なるが、下塗層の硬度を高める機能を粒子が発現するためには、塗膜の透明性(ヘイズ)を維持できる一次粒子径として5nm以上100nm以下が好ましく、10nm以上50nm以下がより好ましい。導電性シート10と他の透明シートとの間の隙間で光が干渉することを抑え、ニュートンリングが形成されることを抑える機能を粒子が発現するためには、一次粒子径として5nm以上1.5μm以下が好ましく、10nm以上50nm以下がより好ましい。また、下塗層12の表面に凹凸を形成することによって光学的な機能を粒子が発現するためには、凝集粒子の粒子径である二次粒子径として100nm以上10μm以下が好ましく、200nm以上5μm以下がより好ましい。
下塗層12に含まれる粒子の一次粒子径は、拡大画像観察にて求められる。例えば、透過型電子顕微鏡などを用いて、塗工層の画像粒子画像の最大長(Dmax:粒子画像の輪郭上の2点における最大長さ)と、最大長垂直長(DV−max:最大長に平行な2本の直線で粒子画像を挟んだときの、この2本の直線間の最短長さ)を測長し、その相乗平均値(Dmax×DV−max)1/2を粒子径とする。この方法で100個の粒子について粒子径を測定し、その算術平均値を平均一次粒子径とする。なお、凝集粒子の粒子径は、粒子の分散液を動的光散乱法やレーザー回折法で測定すると最も正確な値が計測できるが、塗工層の拡大画像観察でも凝集の状態を把握することは可能である。
下塗層12における粒子の配合量は、下塗層用の塗工液(A)の固形分、すなわち、下塗層12に対して、1質量%以上、かつ、10質量%以下含まれている。下塗層用の塗工液(A)の固形分とは、溶剤を含まない場合は下塗層用の塗工液(A)を構成する全成分の合計を示し、溶剤を含む場合は溶剤を除いた全成分の合計を示す。こうした粒子の配合量が多いほど、シランカップリング化合物、および、シランカップリング化合物の反応物であるカップリング成分を豊富に含む導電層13と強固に密着し、導電面の耐擦過性を向上させる効果が得られる。しかし、粒子の配合量が多すぎると、下塗層自体の膜強度や柔軟性が低下し、結果的に導電面の耐擦過性に悪影響を及ぼす懸念がある。1質量%以上、かつ、10質量%以下の範囲であれば、導電層との密着性向上と下塗層自体の品質の両立が図りやすい。
下塗層用の塗工液(A)は、硬化を促進させるために、多官能(メタ)アクリルモノマー及び粒子とともに、光重合開始剤を含むことが好ましい。光重合開始剤としては、公知のものが使用でき、例えば、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾイン−n−ブチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、アセトフェノン、ジメチルアミノアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2,2−ジエトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノ−プロパン−1−オン、4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル−2(ヒドロキシ−2−プロプル)ケトン、ベンゾフェノン、またはp−フェニルベンゾフェノン、4,4’−ジエチルアミノベンゾフェノン、プロピオフェノン、ジクロロベンゾフェノン、2−メチルアントラキノン、2−エチルアントラキノン、2−ターシャリーブチルアントラキノン、2−アミノアントラキノン、2−メチルチオキサントン、2−エチルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、ベンジルジメチルケタール、アセトフェノンジメチルケタール、p−ジメチルアミン安息香酸エステルなどが挙げられる。これら光重合開始剤は1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
光重合開始剤の配合量は、下塗層用の塗工液(A)の固形分中、溶剤を含まない場合は下塗層用の塗工液(A)を構成する全成分の質量に対して、溶剤を含む場合は溶剤を除いた全成分の質量に対して、0.5〜10質量%が好ましく、2〜8質量%がより好ましい。0.5質量%以上であると硬化不良が生じにくい。10質量%を超えて配合しても、配合量に見合った硬化促進効果は得られず、コストも高くなる。また、硬化物中に残留して黄変やブリードアウトなどの原因となるおそれがある。
光重合開始剤に加えて、光増感剤をさらに含むこともできる。光増感剤としては、たとえば、n−ブチルアミン、トリエチルアミン、またはトリ−n−ブチルホスフィン等が挙げられる。
下塗層用の塗工液(A)は、溶剤を含有してもよい。溶剤は、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、アセトン、メチルエチルケトン、トルエン、n−ヘキサン、n−ブチルアルコール、メチルイソブチルケトン、メチルブチルケトン、エチルブチルケトン、シクロヘキサノン、酢酸エチル、酢酸ブチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、N−メチル−2−ピロリドンなどである。これらは1種以上を単独で使用してもよいし、2種以上を混合して使用してもよい。
特に、塗工ムラを軽減できることから、蒸発速度の異なる2種以上の溶剤を併用することが好ましい。例えば、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、酢酸エチル、酢酸ブチル、及びプロピレングリコールモノメチルエーテルからなる群から選ばれる少なくとも2種の溶剤を混合して使用することが好ましい。
下塗層用の塗工液(A)の塗工量は、下塗層12の厚みに応じて設定される。下塗層12の厚みは、0.1μm以上10μm以下であることが好ましく、0.2μm以上8μm以下であることがより好ましい。
[ポリチオフェン系導電剤]
導電層13を構成するポリチオフェン系導電剤は、炭素同士の二重結合、および、炭素同士の単結合が交互に並ぶπ共役系の主鎖を有して、主鎖において導電性を発現するポリチオフェン系化合物を含む。ポリチオフェン系化合物は、導電性を示す一方で、可視光領域の光の吸収をほとんど示さない高い透明性を示す導電剤である。
ポリチオフェン系化合物は、3−ヘキシルチオフェンの重合体、3,4−エチレンジオキシチオフェン(以下、EDOTと示す)の重合体(以下、PEDOTと示す)、および、これらの誘導体からなる群から選択される少なくとも1つであることが好ましい。ポリチオフェン系化合物は、1種類の重合体から構成されてもよいし、2種類以上の重合体の混合物として構成されてもよい。ポリチオフェン系化合物は、3−ヘキシルチオフェンの重合体、および、PEDOTに限らず、これら以外のポリチオフェン系誘導体であってもよい。ポリチオフェン系導電剤におけるポリチオフェン系化合物の種類や組成は、導電性シート10の用途などに応じて適宜選択される。
なお、3−ヘキシルチオフェンの重合体の誘導体は、例えば、主鎖にスルホン酸基を有する自己ドープ型ポリチオフェンである。PEDOTの誘導体は、例えば、ポリエチレングリコールなどのフレキシブルなポリマーとEDOTとが共重合した有機溶媒分散型PEDOTである。
ポリチオフェン系導電剤を含む導電層13の形成方法は、基材11に対する塗工や印刷を用いる。塗工に用いられる原材料、および、印刷に用いられる原材料は、ポリチオフェン系導電剤を含む液状体、すなわち、塗工液である。
導電層形成用の塗工液は、導電層13の導電性を高めるドーパントや、ポリチオフェン系化合物の分散性を高める分散媒を含むことが好ましい。ポリスチレンスルホン酸(以下、PSSと示す)やポリビニルスルホン酸(以下、PVSと示す)は、ドーパントとしての機能に加え、水中で粒子状となるPEDOTを水中で分散させる分散媒としての機能も有する。導電層形成用の塗工液、および、導電層形成用の塗工液から形成される導電層13において、ポリチオフェン系導電剤は、ポリチオフェン系化合物とそれの導電性を高めるドーパントを含んでもよい。
PEDOTを含む塗工液は、導電層13の導電性を高める高沸点溶媒を2次ドーパントとしてさらに含んでもよい。2次ドーパントが導電層13に含まれる構成であれば、導電層13の導電性がさらに高まる。2次ドーパントは、例えば、ポリエチレングリコール、メチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、N−メチルピロリドンからなる群から選択される少なくとも1つである。導電層形成用の塗工液にける2次ドーパントの配合量は、導電層形成用の塗工液に対して、1質量%以上、かつ、10質量%以下が好ましく、2質量%以上、かつ、8質量%以下がより好ましい。2次ドーパントの添加量が1質量%よりも低い構成では、2次ドーパントとしての効果が十分に得られない。また、2次ドーパントの添加量が10質量%よりも高い構成では、高沸点溶媒である2次ドーパントの量が導電層13において過剰になってしまい、2次ドーパントがブリード(溶出)する場合がある。
PEDOTを含む塗工液の調整は、例えば、PSSの存在下でEDOTを重合し、水分散体としてPEDOT−PSSを得る方法が好適である。また、PVSの存在下でEDOTを重合し、水分散体としてPEDOT−PVSを得る方法も好適である。特に、高い導電性が得られる点において、PEDOT−PSSを得る方法は、より好適である。
導電層13の導電性が高まる観点から、導電層13におけるポリチオフェン系導電剤の配合量は、高いほど好ましい。導電層13においてポリチオフェン系導電剤の配合量は、導電層13の導電性が高まり、かつ、導電層13の塗工の容易性が高まる観点から、導電層13の質量成分に対して、10質量%以上、かつ、90質量%以下であることが好ましく、30質量%以上、かつ、70質量%以下であることがより好ましい。
[バインダー]
導電層13を構成するバインダーは、ポリチオフェン系導電剤の状態を導電層13にて固定する樹脂である。導電層13の導電性が高まる観点から、導電層13におけるポリチオフェン系導電剤の配合量は、高いほど好ましい。一方で、導電層13におけるポリチオフェン系導電剤の配合量が高いほど、温度、湿度、溶剤、擦過などの各種のストレスによる導電性の低下の度合いも高い。バインダーは、ポリチオフェン系導電剤の状態を導電層13にて固定して、こうした各種のストレスによる導電性の低下を抑える。
バインダーは、例えば、アクリル樹脂、スチレン樹脂、ポリエステル系樹脂、アルキド樹脂、ウレタン樹脂、アミド樹脂、これらの変性樹脂、これらの共重合樹脂からなる群から選択される少なくとも1つである。バインダーは、1種類の樹脂であってもよいし、互いに異なる2種類以上の樹脂の混合物であってもよい。バインダーは、ポリチオフェン系導電剤の構成や基材11の構成などによって適宜選択される。低い吸湿性、高い耐酸性、優れた塗工適性が得られる観点から、バインダーは、ポリエステル系樹脂であることが好ましい。
バインダーは、それの原料であるモノマーあるいはオリゴマーを含んでいてもよいし、さらには、重合開始剤や架橋剤などを含んでいてもよい。導電層13を形成するための塗工液は、少なくともバインダーの原料としてモノマーあるいはオリゴマーを含み、かつ、重合開始剤を含む。
バインダーの原料は、例えば、ポリエステル(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレートである。以下、単官能は、重合性不飽和基を1つ有することを示し、2官能は、重合性不飽和基を2つ有することを示し、3官能は、重合性不飽和基を3つ有することを示す。
バインダーがラジカル重合体であるとき、バインダーの原料は、単官能として、例えば、エチルカルビトール(メタ)アクリレート、フェノールエチレンオキサイド変性(メタ)アクリレート、ノニルフェノールエチレンオキサイド変性(メタ)アクリレート、エトキシジエチレングリコールアクリレート、アクリロイルモルホリン、イソボルニル(メタ)アクリレート、N―ビニルピロリドンからなる群から選択される少なくとも1つである。
バインダーがラジカル重合体であるとき、バインダーの原料は、2官能として、例えば、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールエチレンオキサイド変性ジアクリレート、ネオペンチルグリコールポリエチレンオキサイド変性ジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAエチレンオキサイド変性ジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレートからなる群から選択される少なくとも1つである。
バインダーがラジカル重合体であるとき、バインダーの原料は、3官能以上として、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンエチレンオキサイド変性トリ(メタ)アクリレート、グリセリンプロポキシートリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレートからなる群から選択される少なくとも1つである。
バインダーがカチオン重合体であるとき、バインダーの原料は、例えば、グリシジルエーテル化合物や脂環式エポキシ化合物などのエポキシ化合物、オキセタン化合物、ビニルエーテル化合物であるが、これらに限定されるものではない。
重合開始剤は、例えば、アゾビスイソブチロニトリルなどのアゾ化合物、過酸化ベンゾイルなどの有機過酸化物、ジハロゲン化合物であり、これら以外の公知のものでもよい。ポリチオフェン系導電剤の導電性が高まる観点から、導電層13におけるバインダーの配合量は、少ない方が好ましい。なお、バインダーの配合量が過少であるときには、塗工液の塗工に対する適性が低くなる。これらの観点から、ポリチオフェン系導電剤が100質量部であるとき、バインダーの配合量は、500質量部以下が好ましく、300質量部以下がより好ましい。また、バインダーの配合量は、10質量部以上が好ましく、20質量部以上がより好ましい。
[導電性粒子]
導電層13を構成する導電性粒子の形状、および、大きさは、導電層13の膜厚aと導電性粒子の短軸径bとにおいて、下記式1、および、式2を満たすことが好ましい。導電性粒子の形状は、球形状、平板形状、フレーク形状、線形状、不定形状であってもよい。さらに、導電層13の外観に対する影響が少なく、かつ、耐擦過性が高まる観点から、導電性粒子の形状は、導電性粒子の短軸径bと導電性粒子の長軸径cとにおいて、下記式3を満たすことが好ましく、粒子表面に凹凸が少ない形状である球状がより好ましく、真球形状はさらに好ましい。
a>100nm … 式1
1.5<b/a<5 … 式2
c/b<2 … 式3
b/aが1.5よりも小さいとき、導電層13の形成の過程において、導電性粒子が凝集しやすく、また、導電層13の表面から深い部位に、導電性粒子が埋もれる可能性が高い。一方で、b/aが5よりも大きいとき、導電性粒子が導電層13から脱落しやすく、導電性粒子の添加による効果が得られ難い。
なお、導電層の膜厚aは、導電層13において互いに異なる部位から得られる膜厚の平均値であり、走査型電子顕微鏡や光学顕微鏡などの観察画像から得られる。導電層の膜厚aは、例えば、導電層13において互いに異なる20箇所の各々の膜厚から得られる平均値である。導電性粒子の短軸径bは、複数の導電性粒子の各々から得られる短軸方向の一次粒子径の平均値であり、導電層13の表面観察画像、および、導電層13の断面観察画像から得られる。導電性粒子の短軸径bは、例えば、導電層の膜厚aの算出に用いられた部位において、互いに異なる100個の導電性粒子の短軸径が求められ、その短軸径の平均値として求められる。
導電性シート10が抵抗膜式タッチパネルの電極として用いられるとき、導電性粒子の表面形状の有する凹凸は、導電層13と対向する対向電極の表面を擦傷し得る。球形状を有する導電性粒子や真球形状を有する導電性粒子は、こうした可能性を抑える。線形状を有する導電性粒子は、導電層13内において導電性のバラツキを大きくする可能性があるが、球形状を有する導電性粒子や真球形状を有する導電性粒子は、こうした可能性も抑える。
導電性粒子の形成材料は、導電性を示す材料の範囲内にて、特に限定されない。電性粒子の形成材料は、例えば、金、銀、銅などの金属、ITOやATOなどの金属酸化物、金属酸化物以外の金属化合物、ポリアニリンやポリピロールなどの有機導電性高分子、炭素からなる群から選択される少なくとも1つである。導電性、耐擦過性、および、耐腐食性が高まる観点から、導電性粒子の形成材料は、金、銀、銅などの金属であることが好ましい。
1つの導電性粒子は、1種類の形成材料から形成されてもよいし、互いに異なる2種類以上の形成材料から形成されてもよい。1つの導電性粒子は、例えば、銅粒子の表面が銀によって覆われた銀被覆銅粒子であってもよい。また、導電性粒子は、耐酸化性や耐腐食性を高めるために、被覆以外の表面処理が施された粒子であってもよい。導電性、耐擦過性、および、耐腐食性が高まる観点から、銀は表面材料として好ましく、形成材料のコストが抑えられる観点から、銅はバルク材料として好ましい。
導電層13に含まれる導電性粒子は、1種類の導電性粒子であってもよいし、互いに異なる形成材料から形成された2種類以上の導電性粒子の混合物であってもよい。導電層13に含まれる導電性粒子は、例えば、銀被覆銅粒子と銀粒子との混合物であってもよいし、銀被覆銅粒子と銅粒子との混合物であってもよい。
導電層13に含まれる導電性粒子の分布は、導電層13と他の導電部材との接触する特定部位に導電性粒子が偏るように構成されてもよいし、導電層13の全体に導電性粒子が均一に分散するように構成されてもよいし、導電層13の表面全体に導電性粒子が均一に分散するように構成されてもよい。導電性粒子を含む導電層13と、その導電層13と対向する他の導電部材とが接触するとき、導電層13の表面の一部は、他の導電部材の表面と擦れる。導電層13の表面全体に導電性粒子が分散する構成であれば、導電性粒子と他の導電部材とが点接触し、上述の擦れに際して、導電層13と他の導電部材との導通が特に安定する。上記式1、および、式2を満たす導電性粒子であれば、こうした導電層13の保護、および、導通の安定が高められ、さらに、導電層13の表面に導電性粒子が均一に分散するように構成であれば、その効果は著しい。
導電性粒子として好適な銀粒子の代表的な製法は、例えば、アトマイズ法や湿式還元法である。球形状の導電性粒子が得られやすく、かつ、導電性粒子が均一に分散しやすい観点から、湿式還元法は好ましい。導電性粒子として好適な銀粒子は、例えば、特開2004−100013号公報、特開2005−093380号公報などに例示され、特開平11−189812号公報に記載されているように、導電性を大きく低下させない範囲で、他の金属成分を含むことも可能である。
なお、導電性粒子の過度な凝集を抑えるために、導電性粒子の製造に際して、導電性粒子を保護する保護コロイドが用いられてもよいし、導電性粒子の分散状態を安定させる安定化剤が用いられてもよい。保護コロイドや安定化剤としては、ゼラチン、アラビアゴム、ポリビニルアルコール、アスコルビン酸などのカルボン酸系化合物、アミン系化合物、チオール系化合物などが用いられる。なお、アミン系化合物やチオール系化合物は、ポリチオフェン系導電剤が共存するときに、銀粒子の表面に強く結合して、銀粒子の表面に絶縁性の被覆層を形成したり、銀粒子同士の凝集を引き起こしたりしやすいため、銀粒子以外の導電性粒子、および、表面に銀を有する粒子以外の導電性粒子との組合わせとして用いることが好ましい。
導電層13に含まれる導電性粒子は、導電層13の表面に少なからず凹凸を形成するため、導電性粒子の配合量が過剰になると、導電層13に必要とされる透過率などの光学特性を、過剰な導電性粒子は低下させてしまう。導電層13の表面の保護、および、導通の安定が導電性粒子によって高められ、かつ、導電層13に必要とされる光学特性が保たれる導電性粒子の配合量の範囲は、下記(a)、および、(b)の少なくとも1つが好ましい。すなわち、押下や筆記に対する感度、および、押下や筆記の繰返しに対する耐性が高められる導電性粒子の配合量の範囲は、下記(a)、および、(b)の少なくとも1つが好ましい。
(a)塗工液において、ポリチオフェン系導電剤の質量部が100であるとき、導電性粒子の質量部は、20以上、かつ、100以下である。
(b)導電層13において、導電層13の質量に対する導電性粒子の質量である含有率は、6質量%以上、かつ、25質量%以下である。
[カップリング成分]
導電層13を構成するカップリング成分は、シランカップリング化合物、および、シランカップリング化合物の反応物から構成されている。シランカップリング化合物の反応物は、シランカップリング化合物の脱水縮合によって得られる生成物である。カップリング成分は、バインダー同士を架橋する機能を有している。カップリング成分は、導電層13の塗工の容易性や、導電層13の硬度などを架橋によって高め、また、導電層13とそれの下地との密着性を架橋によって高める。
例えば、シリコン成分を多く含む基材11や、シリコン成分を含むハードコート層を表面に有する基材11に導電層13が形成されるとき、カップリング成分は、導電層13とそれの下地との間の密着性を高める。特に、基材11としてPETフィルムが用いられ、PETフィルムの表面にシリコン成分を含む接着層が形成され、その接着層上に導電層13が形成されるとき、カップリング成分は、導電層13と基材11との間の密着性を高める。
シランカップリング化合物は、例えば、エポキシ系、ビニル系、メタクリル系、アクリル系、スルフィド系からなる群から選択される少なくとも1つであり、これらの中でも、導電層13とそれの下地との密着性が高まる観点から、エポキシ系のシランカップリング化合物は好ましい。
ポリチオフェン系導電剤による導電性が高まる観点から、導電層13に含まれるカップリング成分の配合量は、少ない方が好ましい。一方で、カップリング成分の配合量が過少である場合には、導電層13の塗工の容易性や導電層13の硬度が低下し、かつ、導電層13とそれの下地との密着性も低下する。導電層13の塗工の容易性、導電層13の保護性、および、導電層13とそれの下地との密着性が高められ、かつ、導電層13に必要とされる導電性が得られるカップリング成分の配合量の範囲は、下記(c)、および、(d)の少なくとも1つである。すなわち、押下や筆記に対する感度、および、押下や筆記の繰返しに対する耐性が高められるカップリング成分の配合量の範囲は、下記(c)、および、(d)の少なくとも1つである。
(c)塗工液において、ポリチオフェン系導電剤の質量部が100であるとき、シランカップリング化合物の質量部は、100以上、かつ、240以下である。
(d)導電層13において、導電層13の質量に対するシリコン元素の含有率は、3質量%以上、かつ、7質量%以下である。
尚、本発明の効果を損なわない程度の範囲で導電層13を形成する塗工液にはシランカップリング化合物以外のカップリング化合物を添加してもよい。
[添加剤]
導電層13を形成するための導電層形成用の塗工液は、ポリチオフェン系導電剤、バインダー、導電性粒子、カップリング成分の他に、導電性を大きく低下させることのない範囲にて、添加剤が含まれてよい。導電層形成用の塗工液から形成される導電層13もまた、こうした添加剤を含んでもよい。
添加剤は、酸化防止剤、耐熱安定剤、紫外線吸収剤、金属腐食防止剤、pH調整剤、有機粒子、無機粒子、顔料、染料、微細繊維、帯電防止剤、核剤等の添加剤、および、濡れ剤や消泡剤などの塗工助剤からなる群から選択される少なくとも1つである。
塗工助剤は、導電層13に空孔などの欠陥が生じることを抑える機能を有する。塗工助剤は、例えば、シリコーン系、長鎖アルキル系、フッ素系などの界面活性剤などである。導電層13と基材11との間の密着性が高まる観点から、塗工助剤の配合量は、下地に対する塗工液の接触角を、50°以上、かつ、100°以下、より好ましくは60°以上、かつ、90°以下に設定する構成が好ましい。なお、塗工助剤の有する界面活性機能は、バインダー、あるいは、シランカップリング化合物が有していてもよい。
pH調整剤は、pHの変動によるポリチオフェン系導電剤の劣化を抑える機能を有する。例えば、ポリチオフェン系導電剤がPEDOT−PSSであるとき、PEDOTの酸化反応やPSSの加水分解反応は、pH調整剤の添加によって抑えられる。pH調整剤は、例えば、酢酸―酢酸ナトリウム混合物、リン酸―リン酸ナトリウム混合物、クエン酸―クエン酸ナトリウム混合物、グリシン−塩酸混合物からなる群から選択される少なくとも1つである。
[導電性シート10の製造方法]
導電性シート10の製造方法では、まず、基材11の表面のうち、下塗層12の形成される対象となる側面に、下塗層用の塗工液を用いた塗工、あるいは、印刷が施されて、下塗層が形成される。次いで、下塗層の表面に、導電層形成用の塗工液を用いた塗工、あるいは、印刷が施されて、塗膜が形成される。次いで、基材11に形成された塗膜が硬化することによって、導電層13が形成される。
ポリチオフェン系導電剤の導電性は、酸性下において高いため、導電層形成用の塗工液のpHは、1以上、かつ、6以下であることが好ましい。塗工液のpHが高いときには、例えば、硫酸や塩酸などの酸性溶液を塗工液に添加してもよいし、pH調整剤を塗工液に添加してもよい。
塗工の方式は、例えば、ブレードコーター、エアナイフコーター、ロールコーター、バーコーター、グラビアコーター、マイクログラビアコーター、ロッドブレードコーター、リップコーター、ダイコーター、カーテンコーターなどを用いる方式が挙げられる。塗工に用いられる塗工液が少ないときには、マイクログラビアコーターを用いることが好ましい。印刷の方式は、例えば、スクリーン印刷、オフセット印刷、フレキソ印刷、グラビアオフセット印刷、インクジェット印刷が挙げられる。
塗膜の硬化の方式には、例えば、加熱送風乾燥機や真空乾燥機などによる塗膜の乾燥が挙げられる。なお、塗工液に含まれるバインダーが熱硬化性の樹脂であるとき、塗膜の硬化に際して、加熱炉や赤外線ランプなどを用いる加熱を塗膜に施してもよい。また、塗工液に含まれるバインダーが活性エネルギー線硬化性の樹脂であるとき、塗膜の硬化に際して、活性エネルギー線を塗膜に照射してもよい。
なお、活性エネルギー線は、例えば、紫外線、あるいは、電子線であり、汎用性が高い観点から、紫外線であることが好ましい。紫外線の光源には、例えば、高圧水銀灯、低圧水銀灯、超高圧水銀灯、メタルハライドランプ、カーボンアーク、キセノンアーク、無電極紫外線ランプなどが用いられる。電子線には、例えば、コックロフトワルト型、バンデクラフ型、共振変圧型、絶縁コア変圧器型、直線型、ダイナミトロン型、高周波型などの各種電子線加速器から放出される電子線が用いられる。活性エネルギー線の照射による硬化は、大気中の酸素による硬化阻害を回避するため、窒素などの不活性ガス存在下で行うことが好ましく、コストの観点から窒素ガスが好適に利用できる。また、活性エネルギー線照射工程は、予備硬化工程と本硬化工程の2段階に分けて行ってもよい。
下塗層12、および、導電層13以外の他の機能層が設けられる構成においても、他の機能層の形成には、例えば、機能層用の塗工液を用いた塗工、あるいは、印刷が施されて、それによって形成された塗膜が硬化することによって、下塗層12、および、導電層13以外の他の機能層が形成される。
下塗層12、および、導電層13に対するパターニングは、基材11の表面のうち、下塗層12、および、導電層13の形成されるべき箇所にのみ塗膜を形成する方法であってもよいし、パターニングの対象となる塗膜に対して、さらにエッチングが施される方法であってもよい。下塗層12、および、導電層13の形成されるべき箇所にのみ塗膜を形成する方法には、例えば、グラビアコーターや各種の印刷が用いられる。パターニングの対象となる塗膜のエッチングには、例えば、湿式のエッチングや、レーザー光によるアブレーションを含む乾式のエッチングが用いられる。
[タッチパネル]
導電性シート10を備えるタッチパネルは、導電層13を電極として用いる抵抗膜式タッチパネルであってもよいし、導電層13をシールド層として用いる抵抗膜式タッチパネルであってもよい。また、導電性シート10を備えるタッチパネルは、導電層13を電極として用いる静電容量式タッチパネルであってもよいし、導電層13をシールド層として用いる静電容量式タッチパネルであってもよい。導電層13が担う電極は、タッチパネルの上部電極であってもよいし、タッチパネルの下部電極であってもよいし、これら上部電極と下部電極との両方であってもよい。
なお、導電層13以外の他の電極を有するタッチパネルにて、導電層13以外の他の電極は、ITOやATOなどの酸化金属化合物層であってもよいし、メッシュ状を有する銀や銅などの金属層であってもよいし、ナノワイヤー素材の塗工によって形成される電極であってもよい。また、導電層13以外の他の電極は、導電性を有するカーボンナノワイヤー、グラフェンなどの炭素系化合物から構成されてもよい。
以下、タッチパネルの一例である抵抗膜式タッチパネルの上部電極に導電層13が用いられる例について説明する。
図3が示すように、抵抗膜式タッチパネル20は、導電性シート10とITOガラス21との積層体である。導電性シート10の導電層13はITOガラスと対向し、導電層13とITOガラス21との間には、図示されないドットスペーサーが配置されて、所定の隙間が空けられている。導電性シート10の導電層13は、抵抗膜式タッチパネル20の上部電極として機能し、ITOガラス21は、抵抗膜式タッチパネル20の下部電極として機能する。
導電層13においてITOガラス21と対向する側面は、互いに対向する2つの導電層用の引出電極P1を有している。2つの導電層用の引出電極P1は、導電層13の縁を構成する1つの辺に沿った線形状を有している。一方の引出電極P1は、導電層13の縁を構成する一辺の近傍に形成され、他方の引出電極P1は、導電層13の縁を構成する他辺の近傍に形成されている。2つの導電層用の引出電極P1は、引出電極P1とITOガラス21とが直接接触しないように、絶縁性の粘着材G1によって覆われている。2つの導電層用の引出電極P1は、異方導電性粘着材や異方導電性ペーストなどと通じて、外部の検出回路に別々に接続する。引出電極P1の形成材料は、導電層13よりも安定した導通が確保できる状態であれば、特に限定されない。引出電極P1は、例えば、導電性の高い金属である銀、銅、アルミニウム、モリブテンなどである。
ITOガラス21において導電層13と対向する側面は、互いに対向する2つのITOガラス用の引出電極P2を有している。2つのITOガラス用の引出電極P2は、ITOガラス21の縁を構成する1つの辺に沿った線形状を有している。一方の引出電極P2は、ITOガラス21の縁を構成する一辺の近傍に形成され、他方の引出電極P2は、ITOガラス21の縁を構成する他辺の近傍に形成されている。2つのITOガラス用の引出電極P2は、導電層用の引出電極P1と互いに直交する方向に沿って位置する。2つのITOガラス用の引出電極P2は、引出電極P2と導電層13とが直接接触しないように、絶縁性の粘着材G2によって覆われている。2つのITO用の引出電極P2は、異方導電性粘着材や異方導電性ペーストなどと通じて、外部の検出回路に別々に接続する。引出電極P2の形成材料は、ITOガラス21よりも安定した導通が確保できる状態であれば、特に限定されない。引出電極P2は、例えば、導電性の高い金属である銀、銅、アルミニウム、モリブテンなどである。
導電層13とITOガラス21との間の距離は、粘着材G1,G2の厚みによって調整される。粘着材G1,G2は、粘着層から構成されてもよいし、粘着材G1,G2の母材の両面に粘着層を有して構成されてもよい。粘着材G1,G2の形成材料は、例えば、天然ゴム系粘着剤、合成ゴム系粘着剤、アクリル系粘着剤、ウレタン系粘着剤、シリコーン系粘着剤などであり、溶剤系、エマルジョン系、水系などいずれであってもよい。なかでも、透明度、耐候性、および、耐久性が高まり、かつ、低コスト化が図られる観点から、溶剤系のアクリル系粘着剤が特に好ましい。さらに、高い粘着性が得られる観点から、粘着材G1,G2の形成材料は、エチルヘキシルアクリレートやブチルアクリレートをモノマー単位として含む重合体が特に好ましい。また、必要に応じて粘着剤に助剤が添加されてもよい。助剤としては、紫外線吸収剤、増粘剤、pH調整剤、タッキファイヤ、バインダー成分、カップリング成分、粘着性粒子、消泡剤、防腐防黴剤などが、一例として挙げられる。
本開示における導電性シートの製造方法、導電性シート、および、タッチパネルの一例である実施例を以下に説明する。なお、実施例に示される「%」は、特に断わらない限り質量%を示す。
[実施例1]
[導電性シートの作製]
基材11として、両面に易接着層を有する二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(商品名:ルミラーU48、東レ株式会社製、厚さ188μm))を用いた。二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムの片面に、乾燥後の膜厚が5μmになるように、ハードコート剤(商品名:紫光UV−7600B、日本合成化学株式会社製)を、バーコーターで塗工し、その後に、塗膜を80℃の熱風で乾燥した。次いで、高圧水銀ランプ紫外線照射機(アイグラフィックス社製)にて300mJ/cmの紫外線を窒素雰囲気下で塗膜に照射して裏面用ハードコート層を形成した。
次いで、下塗層に含まれる粒子として、粒子径10nm以上15nm以下のシリカ粒子を用い、下塗層用の塗工液の調整に際し、こうしたシリカ粒子の分散液である粒子分散液(商品名:オルガノシリカゾルMEK−ST、日産化学工業株式会社製)を用いた。そして、多官能(メタ)アクリレートとして、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(6官能アクリレート、商品名:DPHA、ダイセル・サイテック株式会社製)を28質量部、ジエチレングリコールジアクリレート(2官能アクリレート、商品名:SR230、サートマー社製)を58質量部、粒子径10nm以上15nm以下のシリカ粒子30質量%メチルエチルケトン分散液(商品名:オルガノシリカゾルMEK−ST、日産化学工業株式会社製)27質量部、光重合開始剤(商品名:IRGACURE184、BASF社製)を3質量部、光安定化剤(商品名:TINUVIN152、BASF社製)を3質量部、希釈溶剤としてメチルエチルケトンとシクロヘキサノンとを1:1(重量比)で混合した。この混合溶剤を、固形分が50質量%となるように混合して下塗層用の塗工液を調製した。
次いで、裏面用ハードコート層が形成された基材の表面に、乾燥後の膜厚が0.3μmとなるように、下塗層用の塗工液をバーコーターで塗工し、その後に、塗膜を80℃で60秒間、加熱、および、乾燥した。さらに、高圧水銀ランプ紫外線照射機(アイグラフィックス社製)にて300mJ/cmの紫外線を窒素雰囲気下で塗膜に照射して塗膜を硬化し、これによって、平滑な下塗層を形成した。
ポリチオフェン系導電材として、3,4−エチレンジオキシチオフェンをポリスチレンスルホン酸の存在下で重合させたPEDOT−PSSを用い、バインダーとしてポリエステル径樹脂(商品名:ペスレジンAー645GH、アクリル変性ポリエステルの30%水分散液、高松油脂株式会社製)を用いた。また、シランカップリング化合物として、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン(商品名:KBE−403、信越化学工業株式会社製)を用い、導電性粒子として湿式銅粉(商品名:1030Y、三井金属鉱業株式会社製)を用いた。
そして、PEDOT−PSSの固形分濃度1%水分散液と、水で希釈したポリエステル系樹脂の1%分散液と、メタノールで希釈した3−グリシドキシプロピルトリエトキシシランの1%液と、水とメタノールの等量混合液に分散した湿式銅粉の1%分散液と、水とメタノールの等量混合液にて希釈した界面活性剤(商品名:サーフロンS−386、AGCセイミケミカル株式会社製、有効成分100%)の1%溶液とを混合した。この際に、導電性ポリマー:バインダー樹脂:シランカップリング化合物:導電性粒子:界面活性剤=100:100:110:30:10の比率で混合し、混合液Aを得た。この混合液Aに対して3%のジメチルスルホキシド(関東科学株式会社製、試薬)を配合して、導電層形成用の塗工液を得た。
次いで、平滑な下塗層の表面に対してコロナ処理を施した後、導電層形成用の塗工液をバーコーターで塗工し、塗膜を100℃で乾燥して導電層を形成し、これによって、実施例1における導電性シートを得た。なお、導電層の表面抵抗が約400Ω/sqとなるように、導電層形成用の塗工液の塗工量によって、導電層の膜厚を調整した。この際に、表面抵抗の測定は、三菱化学アナリテック株式会社製ロレスタEP:MCP−T360を用いて、JIS K7194準拠の手法にて行った。
[タッチパネルの作製]
得られた導電性シートを70mm×100mmに切り出し、同じ大きさのドットスペーサー付きITOガラス(表面抵抗約400Ω/sq)を準備した。上記引出電極P1,P2の形成材料として、銀ペースト(商品名:ドータイトFA−401CA、藤倉化成株式会社製)を用いた。そして、導電層の導電面に、引出電極P1に対応するパターンを銀ペーストで形成し、ITOガラスの導電面に引出電極P2に対応するパターンを銀ペーストで形成した。次いで、銀ペーストのパターンに対し、140℃で15分間の加熱による焼成処理を施して、引出電極P1,P2を形成した。さらに、引出電極P1,P2の各々に導電性銅箔テープを貼り合わせ、検出回路の接続先となる端子を形成して、抵抗膜式タッチパネルにおける上部電極と、抵抗膜式タッチパネルの下部電極とを得た。続いて、粘着材G1,G2として、厚さが100μmの絶縁性の粘着テープを用い、導電層の導電面とITOガラスの導電面とが互いに向かい合う位置で、上部電極の周辺部と下部電極の周辺部を貼り合わせて、実施例1における評価用の抵抗膜式タッチパネルを得た。
[実施例2]
シランカップリング化合物として、実施例1の3−グリシドキシプロピルトリエトキシシランに代わり、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(商品名:KBM−403、信越化学工業株式会社製)と3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン(商品名:KBM−803、信越化学工業株式会社製)の8:2混合物を用いた。また、導電性粒子として、実施例1の湿式銅粉に代わり、銀粉(商品名:SPQ03R、三井金属鉱業株式会社製)を用いた。これらシランカップリング化合物、および、導電性粒子以外の構成は、実施例1と同様にして、実施例2の導電性シートと、実施例2の抵抗膜式タッチパネルとを作製した。
[実施例3]
シランカップリング化合物として、実施例1の3−グリシドキシプロピルトリエトキシシランに代わり、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(商品名:KBM−403、信越化学工業株式会社製)を用いた。また、導電性粒子として、実施例1の湿式銅粉に代わり、銀粉(商品名:SPQ03R、三井金属鉱業株式会社製)を用いた。これらシランカップリング化合物、および、導電性粒子以外の構成は、実施例1と同様にして、実施例3の導電性シートと、実施例3の抵抗膜式タッチパネルとを作製した。
[実施例4]
下塗層用の塗工液の調整に際し、粒子分散液(商品名:オルガノシリカゾルMEK−ST、日産化学工業株式会社製)の配合量を27質量部から17質量部に変更した。また、導電層形成用の塗工液の調整に際し、シランカップリング化合物と導電性粒子との配合比率を、実施例3における110:30から140:50に変更した。これら粒子分散液の配合量、および、ポリエステル系樹脂の1%分散液と、湿式銅粉の1%分散液との配合比率以外は、実施例3と同様にして導電層形成用塗料を調製し、実施例4の導電性シートと、実施例4の抵抗膜式タッチパネルとを作製した。
[実施例5]
下塗層用の塗工液の調整に際し、下塗層に含ませる粒子の粒子径を、実施例4における10nm以上15nm以下から1.4μmに変更し、こうしたシリカ粒子の分散液である粒子分散液(商品名:サイリシア310、富士シリシア化学株式会社製)を用いた。そして、導電層の接する表面に凹凸のある下塗層を形成した。これらシリカ粒子の粒子径、および、下塗層の表面形状以外は、実施例4と同様にして、実施例5の導電性シートと、実施例5の抵抗膜式タッチパネルとを作製した。
[比較例1]
裏面用ハードコート層を形成した基材の、裏面用ハードコート層とは反対の側面に、下塗層を形成すること、および、コロナ処理を施すことを省略した。そして、裏面用ハードコート層とは反対の側面に、直接、導電層形成用の塗工液を塗工して導電層を形成した。これら下塗層、および、下塗層に対するコロナ処理を省略すること以外は、実施例4と同様にして、比較例1の導電性シートと、比較例1の抵抗膜式タッチパネルとを作製した。
[比較例2]
シリカ粒子の配合されていない下塗層用の塗工液を調整し、その塗工液を用いた塗工と塗膜の乾燥とによって、シリカ粒子の含まれない下塗層を形成した。このように下塗層にシリカ粒子を配合しないこと以外は、実施例4と同様にして、比較例2の導電性シートと、比較例2の抵抗膜式タッチパネルとを作製した。
[比較例3]
下塗層用の塗工液の調整に際し、シリカ粒子分散液の配合量を実施例4の17質量部から67質量部に変更して下塗層を形成した。このようにシリカ粒子分散液の配合量の変更以外は、実施例4と同様にして、比較例3の導電性シートと、比較例3の抵抗膜式タッチパネルとを作製した。
[比較例4〜5]
シランカップリング化合物と導電性粒子の配合量を、表1に示す通りに変更したこと以外は、実施例5と同様にして、導電層形成用の塗工液を調製し、比較例4および比較例5の導電性シートと、比較例4および比較例5の抵抗膜式タッチパネルとを作製した。
上記実施例1から実施例5、および、比較例1から比較例5において得られた導電性シートにおける導電層の表面、および、導電層の断面を走査型電子顕微鏡で観察し、導電層の膜厚である導電層の膜厚a、下塗層の膜厚、導電性粒子の短軸径b、導電性粒子の長軸径cを測定した。導電層の膜厚は、導電層の断面の画像に基づいて、導電性粒子の凸部を除く導電層の膜厚を10箇所測定し、測定結果の平均値を導電層の膜厚aとした。下塗層の膜厚も、同様に10点測定の平均値を採用した。また、下塗層の表面粗さは、超深度形状測定顕微鏡(商品名:VK−8500、株式会社キーエンス製)を用いて、JIS B0601−1994準拠の手法にて、測定領域278μm×210μmに対して、算術平均粗さ(Ra)を光学的に測定した。これらの測定結果と、導電層中のシリコン元素含有率、導電性粒子含有率、下塗層の表面粗さ、および、導電層の膜厚aを表1に示す。
なお、表1において、シランカップリング化合物と導電性粒子は下記記号で表記した。
A1:3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン
A2:3−グリシドキシプロピルトリメトキシシランと3−メルカプトプロピルトリメトキシシランの8:2混合物
A3:3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン
B1:湿式銅粉
B2:銀粉
[導電性シートおよびタッチパネルの評価]
各実施例、および、各比較例において、各例にて得られた導電性シートと、各例にて得られた抵抗膜式タッチパネルとを、下記に示す方法にて評価し、その評価結果を表2に示す。
[透過率、ヘイズ]
導電性シートを5cm×10cmに切り出し、日本電色工業株式会社製ヘーズメーターを用いて、全光線透過率とヘイズをJIS−K7105準拠の手法にて測定した。
[加熱白化耐性]
導電性シートを5cm×10cmに切り出し、140℃の乾燥機内で1時間加熱した。加熱された導電性シートを冷却した後に、導電性シートにおけるヘイズをJIS−K7105準拠の手法にて測定した。
[筆記耐久性]
タッチパネル評価機(株式会社タッチパネル研究所、型式:001型−29)に、各例にて得られた抵抗膜式タッチパネルと0.8Rポリアセタールペンを取り付け、2.5N荷重にて、筆記試験前のタッチパネルのリニアリティを測定した。その後、5N荷重にて、タッチパネルの中央が含まれるように、ほぼ対角方向となる斜め45°の角度で長さ50mmの往復線を50万回筆記した。こうした筆記の後、抵抗膜式タッチパネルのリニアリティを測定し、劣化の度合いを下記判定基準に従って3段階に評価した。なお、リニアリティの測定は、抵抗膜式タッチパネル内全面に順次に加圧を入力し、入力位置に対する検知位置の最大ずれの大きさにより、抵抗膜式タッチパネルの精度を評価する手法である。
[判定基準]
A:リニアリティの変化率は、3%未満であった。
B:リニアリティの変化率は、3%以上5%未満であった。
C:リニアリティの変化率は、5%以上10%未満であった。
D:リニアリティの変化率は、10%以上であった。
[接触抵抗測定]
各例にて得られた抵抗膜式タッチパネルにおいて、タッチパネルの中央部に0.8Rポリアセタールペンを用いて2.5Nの荷重を入力し、荷重の入力開始から1分間経過した後に、引出電極P1と引出電極P2との間の抵抗を接触抵抗として測定した。
Figure 2015032403
Figure 2015032403
表1が示すように、実施例1から実施例5の導電性シートは、塗工液に含まれる導電性粒子の大きさ、および、形状が、上記式1および式3を満たす水準であり、その塗工液によって形成された導電層は、式2を満たす水準である。
また、実施例1から実施例5の導電性シートは、塗工液に含まれる導電性粒子の配合量として上記(a)を満たす水準であり、その塗工液によって形成された導電層は、導電層に含まれる導電性粒子の配合量として上記(b)を満たす水準である。
また、実施例1から実施例5の導電性シートは、塗工液に含まれるカップリング成分の配合量として上記(c)を満たす水準であり、その塗工液によって形成された導電層は、導電層に含まれるカップリング成分の配合量として上記(d)を満たす水準である。
表2が示すように、実施例1から実施例5の導電性シートは、接触抵抗、すなわち、タッチパネルの感度と、耐擦過性とを非常に高レベルで両立する。また、導電層と他の導電部材との接触抵抗が抑えられるため、π共役結合由来の色を有するポリチオフェン系導電剤の含有率が抑えられ、導電性シートにおける透過率も高められる。さらに、ポリチオフェン系導電剤は、導電層を構成する成分の中で最も高価であるため、導電性シートの低コスト化、ひいては、タッチパネルの低コスト化が可能である。
しかも、実施例1から実施例5の導電性シートは、88%以上の高い透過率と、加熱処理によるヘイズ上昇が0.2%以下の高い加熱白化耐性を有している。こうした導電性シートであれば、導電性シートが高温高湿の環境下にて使用されても、低い接触抵抗、高い耐擦過性、および、高い透過性など、導電性シートに求められる特性を、導電性シートが保つことが可能である。
これに対し、下塗層の省略された水準である比較例1では、低い接触抵抗と高い耐擦過性とが得られる一方で、加熱処理によるヘイズ上昇が9.4%と高く、加熱白化耐性が十分ではない。下塗層が粒子を含まない水準である比較例2、下塗層に含まれる粒子の配合量が10%を越える18%である比較例3、および、導電性粒子の含有率が6%未満の3.8%である比較例4は、いずれも十分な耐擦過性が得られない。また、シランカップリング化合物の配合量が過剰である比較例5は、高い接触抵抗と、低い耐擦過性とを示す。
なお、上記実施例に限らず、導電層形成用の塗工液において、ポリチオフェン系導電剤の質量部が100であるとき、導電性粒子の質量部が、20以上、かつ、100以下の範囲であって、かつ、下塗層に含まれる粒子の含有率が1%以上、かつ、10%以下であれば、上記(c)が満たされる水準にて、上記実施例1から実施例5と同程度の効果は認められた。
また、上記実施例に限らず、導電層形成用において、導電層の質量に対する導電性粒子の質量である含有率が、6質量%以上、かつ、25質量%以下であって、かつ、下塗層に含まれる粒子の含有率が1%以上、かつ、10%以下であれば、上記(d)が満たされる水準にて、上記実施例1から実施例5と同程度の効果は認められた。また、導電層において、導電層の質量に対する導電性粒子の含有率が6質量%未満となる水準では、接触抵抗が急激に低下する傾向も認められ、導電層の質量に対する導電性粒子の含有率が25%を越える水準では、耐擦過性、および、導電性が急激に低下する傾向も認められた。
また、上記実施例に限らず、導電層形成用の塗工液において、ポリチオフェン系導電剤の質量部が100であるとき、シランカップリング化合物の質量部が、100以上、かつ、240以下の範囲であって、かつ、下塗層に含まれる粒子の含有率が1%以上、かつ、10%以下であれば、上記(a)が満たされる水準にて、上記実施例1から実施例5と同程度の効果は認められた。
また、上記実施例に限らず、導電層において、導電層の質量に対するシリコン元素の含有率が、3質量%以上、かつ、7質量%以下の範囲であって、かつ、下塗層に含まれる粒子の含有率が1%以上、かつ、10%以下であれば、上記(b)が満たされる水準にて、上記実施例1から実施例5と同程度の効果は認められた。また、導電層において、導電層の質量に対するシリコン元素の含有率が3質量%未満となる水準では、耐擦過性が急激に低下する傾向も認められ、導電層の質量に対するシリコン元素の含有率が7質量%を越える水準では、耐擦過性、および、導電性が急激に低下する傾向も認められた。
以上、上記実施形態によれば以下に列記する効果が得られる。
(1)導電層形成用の塗工液において、ポリチオフェン系導電剤の質量部が100であるとき、シランカップリング化合物の質量部は、100以上、かつ、240以下であり、こうした塗工液によって形成される導電層と、シリカ粒子、および、シリカ複合粒子の少なくとも一方を、固形分総量に対して、1質量%以上、かつ、10質量%以下含む下塗層用塗工液によって形成される下塗層との組み合わせを備える導電性シート、および、その導電性シートを備えるタッチパネルによれば、導電層における耐擦過性が高められる。
(2)導電層において、導電層の質量に対するシリコン元素の含有率は、3質量%以上、かつ、7質量%以下である。こうした導電層と、シリカ粒子、および、シリカ複合粒子の少なくとも一方を、1質量%以上、かつ、10質量%以下含む下塗層との組み合わせを備える導電性シート、および、その導電性シートを備えるタッチパネルによれば、導電層における耐擦過性が高められる。
(3)導電層形成用の塗工液において、ポリチオフェン系導電剤の質量部が100であるとき、導電性粒子の質量部は、20以上、かつ、100以下である。こうした塗工液によって形成される導電層を備える導電性シート、および、その導電性シートを備えるタッチパネルによれば、導電層と他の導電性部材との接触抵抗、すなわち、タッチパネルの感度が高められる。
(4)導電層において、導電層の質量に対する導電性粒子の質量である含有率は、6質量%以上、かつ、25質量%以下である。こうした導電層を備える導電性シート、および、その導電性シートを備えるタッチパネルによれば、導電層と他の導電性部材との接触抵抗、すなわち、タッチパネルの感度が高められる。
(5)下塗層と上述の導電層との組合わせによれば、導電性シートにおける加熱白化性が高められる。
10…導電性シート、11…基材、12…下塗層、13…導電層、14…裏面層、20…抵抗膜式タッチパネル。

Claims (8)

  1. 粒子を含む下塗層を基材に形成する工程と、
    前記下塗層に塗工液を塗工して塗膜を形成する工程と、
    前記塗膜を乾燥させて導電層を形成する工程とを含み、
    前記粒子は、シリカ粒子、および、シリカ複合粒子の少なくとも一方であり、前記下塗層に1質量%以上、かつ、10質量%以下含まれ、
    前記塗工液は、ポリチオフェン系導電剤と、シランカップリング化合物とを含み、
    前記ポリチオフェン系導電剤の質量部が100であるとき、
    前記シランカップリング化合物の質量部は、100以上、かつ、240以下である
    導電性シートの製造方法。
  2. 前記塗工液は、バインダーと、導電性粒子とをさらに含み、
    前記ポリチオフェン系導電剤の質量部が100であるとき、
    前記導電性粒子の質量部は、20以上、かつ、100以下であり、
    前記導電層の膜厚aと前記導電性粒子の短軸径bとは、下記式1、および、式2を満たす請求項1に記載の導電性シートの製造方法。
    a>100nm … 式1
    1.5<b/a<5 … 式2
  3. 請求項1または2に記載の導電性シートの製造方法によって製造された導電性シート。
  4. 基材と、
    前記基材に設けられた導電層と、
    前記基材と前記導電層とに挟まれ、粒子を含む下塗層とを備え、
    前記粒子は、シリカ粒子、および、シリカ複合粒子の少なくとも一方であり、前記下塗層に1質量%以上、かつ、10質量%以下含まれ、
    前記導電層は、ポリチオフェン系導電剤と、シランカップリング化合物、および、シランカップリング化合物の反応物であるカップリング成分とを含み、
    シリコン元素の含有率は、3質量%以上、かつ、7質量%以下である
    導電性シート。
  5. 前記導電層は、バインダーと、導電性粒子とをさらに含み、
    前記導電性粒子の含有率は、6質量%以上、かつ、25質量%以下であり、
    前記導電層の膜厚aと前記導電性粒子の短軸径bとは、下記式1、および、式2を満たす請求項4に記載の導電性シート。
    a>100nm … 式1
    1.5<b/a<5 … 式2
  6. 前記導電性粒子は、前記導電層に分散した球状粒子であり、
    前記導電性粒子の短軸径bと前記導電性粒子の長軸径cとは、下記式3を満たす
    c/b<2 … 式3
    請求項5に記載の導電性シート。
  7. 前記導電性粒子は、
    銀粒子、銅粒子、表面が処理された前記銀粒子、表面が処理された前記銅粒子からなる群から選択される少なくとも1つである
    請求項5または6に記載の導電性シート。
  8. 請求項3から7のいずれか1つに記載の導電性シートを備えるタッチパネル。
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