JP2015026705A - 保護ケース - Google Patents

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大石 幸広
Yukihiro Oishi
幸広 大石
河部 望
Nozomi Kawabe
望 河部
紀男 江草
Norio Ekusa
紀男 江草
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Abstract

【課題】耐衝撃性に強い保護ケースを提供する。
【解決手段】開口を有する有底容器状の本体部と、前記開口を閉じる蓋部とを備える保護ケースであって、前記本体部及び前記蓋部の少なくとも一方がマグネシウム合金の圧延板により形成されている保護ケース。上記保護ケースとしては、前記マグネシウム合金がA1を7.3質量%超12質量%以下含有するマグネシウム合金であり、前記マグネシウム合金がASTM規格のAZ91であることが挙げられる。
【選択図】図1

Description

本発明はパソコン、タブレット型PC、携帯電話、デジタルカメラ、及びメガネなどの保護ケースに関する。特に、外力に対してへこみ難いマグネシウム合金製の保護ケースに関する。
従来、パソコン、タブレット型PC、携帯電話、デジタルカメラ、及びメガネなどを収納する容器として、樹脂を成形した保護ケースが知られている。例えば、特許文献1には、ノート型パソコンなどの携帯用電子機器を保護するケースとして、一枚の樹脂板を組立加工した上箱体と下箱体により形成されたケースが開示されている(特許文献1の図1参照)。また、特許文献2には、メガネを保護するケースとして、メガネを収納する収納部(本体部)と、その収納部に対してヒンジで開閉自在に取り付けられた蓋部とを備えるケースが開示されている(特許文献2の図1参照)。
特開平04−350994号公報 特開2004−202125号公報
しかし、樹脂製の保護ケースでは、耐衝撃性において十分とは言い難いことがある。一般にパソコン、タブレット型PC、携帯電話、デジタルカメラ、及びメガネなどは精密で繊細な構造を有するため、使用時以外には、外力から十分に保護される必要がある。上述した携帯用電子機器やメガネを保護する樹脂製の保護ケースでも外力からのある程度の保護は期待できるが、保護ケースの内部に物品を収納したまま保護ケースを落下させたり、保護ケースの上に重量物を落とした場合、樹脂製のケースでは保護強度が十分とは言い難い。そのため、上記のような過酷な衝撃が作用した場合でも、十分な保護強度を有する保護ケースが望まれる。また、このような保護ケースは、その素材からより少ない工程数で製造できることも望まれる。
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたもので、その目的の一つは、耐衝撃性に強い保護ケースを提供することにある。
また、本発明の他の目的は、圧延板から少ない加工工程数で成形し易い保護ケースを提供することにある。
本発明の保護ケースは、開口を有する有底容器状の本体部と、開口を閉じる蓋部とを備える。そして、この保護ケースは、本体部及び蓋部の少なくとも一方がマグネシウム合金の圧延板により形成されている。
本発明の保護ケースは、外部からの衝撃に対して変形し難く、高い耐衝撃性を得ることができる。
実施形態1に係る保護ケースを示す概略斜視図である。 実施形態1に係る保護ケースを示す分解斜視図である。 実施形態2に係る保護ケースを示す概略斜視図である。 実施形態3に係る保護ケースを示す正面図である。 実施形態3に係る保護ケースを示し、蓋部を開けた状態の断面図である。 実施形態4に係る保護ケースを示す概略斜視図である。
[本発明の実施形態の説明]
最初に本発明の実施形態の内容を列記して説明する。
(1)実施形態の保護ケースは、開口を有する有底容器状の本体部と、開口を閉じる蓋部とを備える。そして、この保護ケースは、本体部及び蓋部の少なくとも一方がマグネシウム合金の圧延板により形成されている。
この構成によれば、比強度・比剛性にすぐれるマグネシウム合金の圧延板を用いて保護ケースを構成することで、軽量でかつ高い耐衝撃性を有する保護ケースとすることができる。特に、圧延板は、鋳造材に比べて機械的強度に優れるため、保護ケースの素材として好適に利用できる。
(2)実施形態の保護ケースとしては、マグネシウム合金がAlを7.3質量%超12質量%以下含有するマグネシウム合金であることが挙げられる。
この構成によれば、上記所定量のAlを含有するマグネシウム合金を用いることで、機械的特性及び耐食性に優れた保護ケースとすることができる。
(3)実施形態の保護ケースとしては、マグネシウム合金がASTM規格のAZ91であることが挙げられる。
AZ91は、AZ系のマグネシウム合金の中でもとりわけ機械的強度と耐食性に優れ、より一層耐衝撃性に優れた保護ケースを構成することに好適に利用できる。
(4)実施形態の保護ケースとしては、マグネシウム合金の圧延板から長方形状の試験板片を作製し、この試験板片の両端部を支持台で保持した状態で、試験板片の中央部に向かって質量225gの鉄球を自由落下させ、鉄球を落下させる地点から試験板片までの距離を落下高さとし、鉄球により試験板片に凹みが生じない落下高さHを測定したとき、圧延板は、落下高さHが340mm超であることが挙げられる。
この構成によれば、特に耐衝撃性に優れた圧延板を用いることで、より一層高い耐衝撃性を備えた保護ケースを構成できる。
(5)実施形態の保護ケースとしては、本体部に対し蓋部を開閉自在に取り付けるヒンジを備えることが挙げられる。
この構成によれば、本体部と蓋部とをヒンジで連結することで、本体部と蓋部とを独立して作製し易く、蓋部が開閉式の保護ケースを容易に構成できる。
(6)実施形態の保護ケースとしては、本体部は、底面及び側面を有し、底面に対向する側が開口した有底容器状で、蓋部は、上面及び側面を有し、上面に対向する側が開口した有蓋容器状とした形態が挙げられる。その場合、蓋部の開口側の側面を、本体部の開口側における側面の外側に嵌脱することで、本体部の開口を開閉自在に構成することが挙げられる。
この構成によれば、圧延板に絞りなどの塑性加工を施すことで、本体部と蓋部とを各々独立して容易に構成できる。また、蓋部の側面を本体部の側面に対して嵌脱するだけで、容易に保護ケースを開閉できる。
(7)実施形態の保護ケースとしては、電子機器又は光学機器を保護するケースであることが挙げられる。
本実施形態の保護ケースは、高い耐衝撃性を備えているため、精密で微細な構造を有する電子機器や光学機器を外力から十分に保護することができる。
(8)実施形態の保護ケースとしては、メガネを保護するケースであることが挙げられる。
本実施形態の保護ケースは、高い耐衝撃性を備えているため、精密で微細な構造を有するメガネを外力から十分に保護することができる。
[本発明の実施形態の詳細]
以下、図面を参照して、実施形態に係る保護ケースをより詳細に説明する。なお、本発明は、これらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意味される。例えば、保護ケースの仕様(形状、大きさ、厚さなど)を適宜変更することができる。図において、同一符号は、同一名称物を示す。
まず、図1〜図3を参照して、タブレット型PCを保護する保護ケースの形態(実施形態1,2)を説明し、次に、図4〜図6を参照して、メガネを保護する保護ケースの形態(実施形態3,4)を説明する。
〔実施形態1〕
[概要]
実施形態1に係る保護ケースは、図1に示すように、タブレット型PC100を保護する保護ケース1であり、タブレット型PC100が収納される本体部10と、この本体部10に開閉自在に取り付けられる蓋部12とを備える。本実施形態1では、本体部10に対して蓋部12はヒンジ14で開閉自在に連結されている。そして、これら本体部10及び蓋部12がマグネシウム合金の圧延板で構成されている。
[本体部]
本体部10は、タブレット型PC100を出し入れする開口とタブレット型PC100の収納空間とを有する矩形の有底容器状である。本体部10の形状はタブレット型PC100の収納空間を形成できれば特に問わないが、圧延板をプレス成形或いは曲げ成形にて成形可能な形状が好ましい。塑性加工のみで成形可能な形状であれば、成形後に溶接などの別途の加工を必要としないからである。本体部10は、一つの底面及び四つの側面を有し、これら各面で囲まれる空間がタブレット型PC100の収納空間となり、底面に対向する側に開口が形成される。一つの側面の開口縁部には、蓋部12と連結するために、ヒンジ14を構成する連結筒14a(図2)が形成されている。また、連結筒14aを有する側面と対向する側面は、開口側から底面側に向かって円弧状の湾曲面であり、後述する蓋部12の係止部16に係止される係止溝18を備える。この係止溝18は、蓋部12を本体部10側に回動したときに、係止部16が係止溝18に係止されるように形成されている。このような本体部10は、所定の形状に打ち抜き加工された圧延板をプレス成形し、連結筒14aを曲げ加工することで形成できる。
[蓋部]
一方、蓋部12は、本体部10の開口を閉じるための部材である。通常、本体部10の開口に対応した形状であって、閉じたときに本体部10と蓋部12とで構成される内部空間にタブレット型PC100の収納空間が形成できる形状とする。蓋部12は、ほぼ矩形の天板の後縁部に、本体部10の連結部14aに対応する連結筒14b(図2)が形成され、天板の両側縁部に、一対の側面が形成されている。また、天板の前縁部に、本体部10の上記湾曲面に沿った形状で、かつ端部にV状部(図示せず)が連続した屈曲片である係止部16が形成されている。蓋部12を本体部10側に回動することにより、V状部が本体部10の係止溝18に係止される。この蓋部12も、圧延板をプレス成形などの塑性加工することにより得られる形状が好ましい。
[本体部と蓋部の素材構成]
本体部10と蓋部12の少なくとも一方の材質にはマグネシウム合金が用いられる。このマグネシウム合金の好ましい特性は下記の通りである。特に、後述する製造方法により、以下に述べる組織や平均粒径・面積割合のマグネシウム合金圧延板が得られる。
(組成)
本実施形態1では、マグネシウム合金の圧延板で本体部10と蓋部12の双方を構成している。このマグネシウム合金には、Mgに添加元素を含有した種々の組成のもの(Mg:50質量%以上と添加元素と残部:不可避的不純物)が挙げられる。特に、本実施形態1では、添加元素に少なくともAlを7.3質量%超12質量%以下含有するMg−Al系合金とする。Alの含有量が多いほど、強度、耐塑性変形性(剛性)といった機械的特性に優れる上に、耐食性にも優れる傾向にある。但し、Alの含有量が12質量%を超えると塑性加工性の低下を招くことから、上限は12質量%、更に11質量%が好ましい。
Al以外の添加元素は、Zn,Mn,Si,Ca,Sr,Y,Cu,Ag,Zr,Ce,Be,Sn,Li,Ni,Au及び希土類元素(Y,Ceを除く)から選択された1種以上の元素が挙げられる。これらの元素を含む場合、その含有量は、合計で好ましくは10質量%以下、より好ましくは5質量%以下、各元素の含有量は好ましくは0.01質量%以上10質量%以下、より好ましくは0.1質量%以上5質量%以下が挙げられる。より具体的なMg−Al系合金は、例えば、ASTM規格におけるAZ系合金(Mg−Al−Zn系合金、Zn:0.2質量%〜1.5質量%)、AM系合金(Mg−Al−Mn系合金、Mn:0.15質量%〜0.5質量%)、Mg−Al−RE(希土類元素)系合金、AX系合金(Mg−Al−Ca系合金、Ca:0.2質量%〜6.0質量%)、AJ系合金(Mg−Al−Sr系合金、Sr:0.2質量%〜7.0質量%)などが挙げられる。不可避的不純物は、例えば、Feなどが挙げられる。その他、Si,Sn,Y,Ce,Ca,及び希土類元素(Y,Ceを除く)から選択される少なくとも1種の元素を合計0.001質量%以上、好ましくは合計0.1質量%以上5質量%以下含有すると、耐熱性、難燃性に優れる。
(組織)
上記圧延板の代表的な組織として、マトリクス相中に微細な析出物の粒子が特定の範囲で分散した組織が挙げられる。析出物は、主として金属間化合物が挙げられる。金属間化合物は、例えば、Mg17Al12といったMg及びAlを含有する化合物、Al(MnFe)といったAlを含有する化合物が挙げられる。
(平均粒径、面積割合)
上記「微細」とは、平均粒径が0.5μm以下を満たすことを言い、「分散した組織」とは、圧延板の断面を100面積%とするとき、上記金属間化合物の粒子が合計で11面積%以下存在することを言う。上記面積割合が0面積%超であることで、マグネシウム合金中に上記金属間化合物が十分に存在し、かつ、平均粒径が0.5μm以下であることで、微細な金属間化合物が分散していることによる分散強化の効果を十分に得られる。上記平均粒径が大き過ぎたり、上記面積割合が大き過ぎると、マグネシウム合金中に金属間化合物が過剰に存在したり、5μm以上といった粗大な粒子が存在することで、マトリクス相中のAlの固溶量(Al濃度)が低減されて強度の低下を招く。更に、上述のような粗大な粒子は、衝突時などで割れなどの起点となって、耐衝撃性の低下を招く。加えて、金属間化合物の粒子が粗大で、マトリクス相中に疎らに存在していると、当該粗大な粒子とマトリクス相との間で局部電池を形成し、孔食などの腐食が生じ易くなる。従って、金属間化合物はできるだけ小さい粒子が均一的に分散していることが好ましく、上記平均粒径は、0.3μm以下がより好ましい。上記面積割合は、8面積%以下がより好ましいと考えられる。
(厚さ)
タブレット型PC用の保護ケース1を構成する本体部10や蓋部12が、素材板(代表的には圧延が施された板材)にプレス加工といった塑性加工が施されて、所定の形状に成形された成形部材である場合、代表的には素材板の厚さが実質的に維持されることから、保護ケース1の全体に亘って実質的に均一な厚さである。素材板の厚さが厚いほど、衝撃エネルギーの吸収量を増大できるものの軽量化を阻害し、薄過ぎると衝撃エネルギーの吸収を十分に行えない。そのため、本体部10及び蓋部12の平均厚さは、0.5mm以上3.0mm以下が好ましい。平均厚さは、保護ケース1の本体部10又は蓋部12の個々において、任意の5箇所の厚さの平均とする。本実施形態1の保護ケース1は、上述のように全体に亘って実質的に均一的な厚さである形態の他、リブや貫通孔を有して、局所的に厚さが異なる箇所を有する形態を許容する。リブや貫通孔を有する場合、この部分の厚さは、本体部10や蓋部12の平均厚さの算出対象としない。
(表面処理)
タブレット型PC用の保護ケース1を構成する圧延板の表裏面(例えば、板材に塑性加工が施された場合、板材の両面)の双方に防食処理が施されていない形態とすることができる。この形態は防食処理を削減でき、保護ケース1の生産性を高められる。或いは、保護ケース1の表裏面の双方に防食処理が施されておらず、かつ、上記表裏面のいずれか一方の面にのみ塗装層を備える形態とすることができる。この形態は、一方の面に塗装層を備えることで、保護ケース1の耐食性を補強できる上に、着色や模様の付与などが可能となるため、装飾性や商品価値をも高められる。
その他、保護ケース1を構成する圧延板の表裏面の双方に化成処理や陽極酸化といった防食処理が施された形態(防食層を備える形態)、更に、防食層に加えて塗装層を備える形態とすることができる。これらの形態は、保護ケース1を構成するマグネシウム合金自体の耐食性に加えて、防食処理により耐食性を高められて、耐食性に極めて優れた保護ケース1となる。
[本体部と蓋部との連結機構]
本体部10に対して蓋部12は、開閉自在に連結されている。このような連結機構としては、ヒンジ14が好適に利用できる。ヒンジ14自体もマグネシウム合金で構成すれば、部材間で電食などが生じ難く好ましい。ヒンジ14を本体部10や蓋部12に対して固定する手段としては、溶接やねじ止めが挙げられるが、ねじ止めする際、そのねじもマグネシウム合金で構成することが挙げられる。本実施形態1では、図2に示すように、本体部10の後側面の開口縁部の中央に連結筒14aが形成されており、蓋部12の後縁部の両側に離れて一対の連結筒14bが形成されている。各連結筒14a,14bの孔を合わせ、その孔にヒンジピン14cを挿入することでヒンジ14を構成している。ヒンジピン14cは、本体部10及び蓋部12と同様にマグネシウム合金で構成している。つまり、本実施形態1の保護ケース1は、全てがマグネシウム合金で構成されている。ヒンジピン14cは、マグネシウム合金の他に、ステンレス鋼(例えばSUS304など)で構成することが挙げられる。各連結筒14a,14bの曲げ半径Rは、0.6mm以上2.0mm以下が好ましい。ヒンジピン14cの径は、各連結筒14a,14bに挿入した状態で係止されればよく、1.0mm以上2.5mm以下が好ましい。
[その他の構成]
本体部10と蓋部12の内面には、クッション材を貼り付けることが好ましい。ケース内部にタブレット型PC100を収納した際、タブレット型PC100が直接マグネシウム合金に接触することを回避し、タブレット型PC100が損傷することを抑制できる。クッション材の具体例としては、布、フェルト、スポンジ、各種ゴムなどが挙げられる。
[製造方法]
本実施形態1の保護ケースは、例えば、以下の鋳造工程、溶体化工程、圧延工程、及びプレス工程を備える製造方法により得ることができる。
鋳造工程:Alを7.3質量%超12質量%以下含有するマグネシウム合金からなり、連続鋳造法により鋳造板を製造する工程。
溶体化工程:上記鋳造板に350℃以上の温度で溶体化処理を施して、固溶板を製造する工程。
圧延工程:上記固溶板に温間圧延を施し、圧延板を製造する工程。
プレス工程:上記圧延板にプレス加工を施し、タブレット型PCを出し入れする開口とタブレット型PCの収納空間とを有する本体部及びこの開口を閉じる蓋部の少なくとも一方を製造する工程。
特に、溶体化工程以降の製造工程において、加工対象である素材板(代表的には圧延板)を150℃以上300℃以下の温度域に保持する総合計時間を0.5時間以上12時間以内とすると共に、300℃超の温度に加熱しないように、上記素材板の熱履歴を制御する。
上記製造方法は、更に、上記圧延板に矯正を施す矯正工程を備えることができる。この矯正は、例えば、上記圧延板を100℃以上300℃以下に加熱した状態で矯正を行う温間矯正が挙げられる。上記温間矯正を行う場合、この矯正工程における圧延板を150℃以上300℃以下の温度域に保持する時間が、上記総合計時間に含まれるようにする。その他、上記製造方法は、更に、上記圧延板又は上記矯正工程を経た矯正板に研磨を施す研削工程を備えることができる。
上述のように、鋳造以降、特に溶体化処理以降、最終製品となるまでの製造工程において、マグネシウム合金からなる素材を、金属間化合物が析出され易い温度域(150℃〜300℃)に保持する時間を特定の範囲内とすると共に、当該素材を溶体化処理以降に300℃超の温度に加熱しないことで、金属間化合物などの析出物を析出させつつ、その量を特定の範囲内とすることができる。また、上記特定の温度域に保持する時間を制御することで、金属間化合物などの析出物の過度な成長を抑制して、微細な析出物が分散した組織とすることができる。
以下、工程ごとにより詳細に説明する。
(鋳造工程)
上記鋳造板は、双ロール法といった連続鋳造法、特に、WO/2006/003899に記載の鋳造方法で製造した鋳造板を利用することが好ましい。連続鋳造法は、急冷凝固が可能であるため、酸化物や偏析などを低減できる上に、割れの起点になり得る10μm超といった粗大な晶析出物が生成されることを抑制できる。従って、圧延加工性に優れる鋳造板が得られる。鋳造板の厚さは特に問わないが、厚過ぎると偏析が生じ易く、この偏析が圧延時などで割れの原因となるため、10mm以下、特に5mm以下が好ましい。鋳造板の幅は、適宜選択することができる。
(溶体化工程)
上記鋳造板に溶体化処理を施して、組成を均質化すると共に、Alといった添加元素を固溶させた固溶板を製造する。溶体化処理は、保持温度を350℃以上、特に、保持温度:380℃〜420℃、保持時間:60分〜2400分(1時間〜40時間)とすることが好ましい。保持時間は、Alの含有量が多いほど長くすることが好ましい。また、上記保持温度からの冷却工程において、水冷や衝風といった強制冷却などを利用して冷却速度を速めると(例えば、50℃/min以上)、粗大な析出物の析出を抑制できて好ましい。上述のように溶体化処理を行うことでマグネシウム合金中にAlを十分に固溶させられる。
(圧延工程)
上記固溶板に圧延を施すにあたり、素材(固溶板や最終圧延が施されるまでの圧延途中の板)を加熱することで塑性加工性(圧延加工性)を高められる。従って、少なくとも1パスは温間圧延とする。特に、上記素材を300℃超に加熱すると塑性加工性を十分に高められて圧延を行い易い。しかし、上述のように金属間化合物(析出物)の過剰な生成や粗大化による耐衝撃性の低下や耐食性の低下を招いたり、素材の焼き付きが発生したり、素材の結晶粒が粗大化して圧延後に得られた板材の機械的特性が低下したりする。そのため、圧延工程において素材の加熱温度も300℃以下とする。特に、素材の加熱温度は150℃以上280℃以下が好ましい。複数回(多パス)の圧延を施すことで、所望の板厚(例えば、0.5mm〜3.0mm)にできると共に、素材の平均結晶粒径を小さくしたり(例えば、10μm以下、好ましくは5μm以下)、圧延やプレス加工といった塑性加工性を高められる。圧延は、公知の条件、例えば、素材だけでなく圧延ロールも加熱したり、特開2007−098470号公報に開示される制御圧延などを組み合わせて利用してもよい。また、仕上げ圧延などで圧下率が小さい圧延を行う場合、冷間圧延としてもよい。その他、圧延にあたり、潤滑剤を適宜利用すると、圧延時の摩擦抵抗を低減でき、素材の焼き付きなどを防止して、圧延を施し易い。
多パスの圧延を行う場合、上述した150℃〜300℃の温度域の保持時間が上記総合計時間に含まれる範囲で、パス間に中間熱処理を行ってもよい。この中間熱処理により、当該中間熱処理までの塑性加工(主として圧延)により加工対象である素材に導入された歪みや残留応力、集合組織などを除去、軽減することができ、当該中間熱処理後の圧延で不用意な割れや歪み、変形を防止して、より円滑に圧延を行える。中間熱処理を行う場合も、素材の加熱温度を300℃以下とする。好ましい加熱温度は、250℃以上280℃以下である。
(矯正工程)
上記圧延工程により得られた圧延板に、特開2007−098470号公報に記載されるように最終熱処理(最終焼鈍)を施してもよいが、この最終熱処理を施さず、或いは最終熱処理後に上述のように矯正を施すと、プレス加工といった塑性加工性に優れて好ましい。矯正は、WO/2009/001516に記載されるような複数のロールが千鳥状に配置されたロールレベラなどを用い、圧延板を100℃〜300℃、好ましくは150℃以上280℃以下に加熱して行う温間矯正が挙げられる。このような温間矯正を行った矯正板にプレス加工といった塑性加工を施すと、塑性加工時に動的再結晶化が生じることで、塑性加工性に優れる。なお、温間矯正加工を施す素材の厚さにもよるが、薄いものでは、当該温間矯正工程における上記温度域の保持時間を数分程度、更に1分以内と非常に短くすることができる。
上記最終熱処理を行った場合、圧延に伴う歪みを除去することができる。最終熱処理の条件は、例えば、素材の加熱温度:100℃以上300℃以下、加熱時間:5分以上60分以下が挙げられる。特開2007−098470号公報で記載されるように加熱温度を300℃〜340℃とすることもできるが、上述のように金属間化合物の成長をできるだけ抑制するために、加熱温度を高める場合には加熱時間を短くすること、例えば30分未満とすることが望ましい。
(素材を特定の温度域に保持する総合計時間)
上述のように金属間化合物が生成され易かったり成長し易かったりする上記温度域(150℃〜300℃)の保持時間を特定の範囲に制御することで、特定量の微細な金属間化合物が分散して存在する組織とすることができる。
上記150℃〜300℃の温度域に保持する総合計時間が0.5時間未満では、金属間化合物が十分に析出されず、12時間を超えたり、素材を300℃超に加熱して圧延などすると、平均粒径が1μm以上の粗大な金属間化合物が存在した組織や11面積%超といった過剰に金属間化合物が存在した組織が得られる。好ましくは、温度域:150℃以上280℃以下、総合計時間:1時間以上6時間以下となるように、圧延工程における各パスの加工度や圧延工程の総加工度、中間・最終熱処理時の条件、矯正時の条件などを制御する。また、Alの含有量が多いほど、金属間化合物が析出し易いため、上記総合計時間は、Alの含有量に応じても調整することが好ましい。
(プレス工程)
上記圧延板や、上記圧延板に上記最終熱処理を施した熱処理板、上記圧延板に上記矯正を施した矯正板、上記圧延板・熱処理板・矯正板のいずれかに研磨(好ましくは湿式研磨)を施した研磨板にプレス加工といった塑性加工を施すことで、本実施形態1の保護ケースを構成する本体部や蓋部が得られる。上記塑性加工は、200℃以上300℃以下の温間加工とすると、素材の塑性加工性を高められて塑性加工を行い易い。なお、この塑性加工時において素材を200℃〜300℃に保持する時間は非常に短く、例えば、プレス加工によっては60秒以内の場合がある。従って、このプレス工程では、上述したような金属間化合物の粗大化などの不具合は実質的に生じないと考えられる。
上記塑性加工後に熱処理を施して、塑性加工により導入された歪みや残留応力の除去、機械的特性の向上を図ることができる。この熱処理条件は、加熱温度:100℃〜300℃、加熱時間:5分〜60分程度が挙げられる。但し、この熱処理においても150℃〜300℃の温度域の保持時間が上記総合計時間に含まれるようにすることが望ましい。
更に、上記塑性加工後、防食処理を施したり、耐食性の向上や機械的保護、装飾(商品価値の向上)などを目的として、上述のように塗装層を設けたりすることができる。
(その他の工程)
必要に応じて、プレス工程後の本体部と蓋部とをヒンジなどの連結機構を用いてタブレット型PC用の保護ケースに組み立てる。ヒンジを構成するために本体部及び蓋部に形成される連結筒は、曲げ加工により行う。
[作用効果]
本実施形態1の保護ケースは、耐衝撃性に優れるマグネシウム合金の圧延板から構成されるため、高い耐食性と耐衝撃性とを備えている。
〔実施形態2〕
次に、実施形態1とは異なるタブレット型PC用の保護ケースを図3に基づいて説明する。この保護ケース1もマグネシウム合金の圧延板を加工して構成されている点で実施形態1と共通であるが、本体部10と蓋部12の各形状が異なり、さらに両者は連結されず、開閉自在に構成されている点で異なる。以下の説明は、実施形態1との相違点を中心に行い、その他の構成については説明を省略する。
実施形態2の保護ケース1は、底面及び側面を有し、底面に対向する側が開口した矩形の有底容器状の本体部10と、上面及び側面を有し、上面に対向する側が開口した矩形の有蓋容器状の蓋部12とを備える。そして、蓋部12の開口側の側面を、本体部10の開口側における側面の外側に嵌脱することで、本体部10の開口を開閉自在に構成している。特に、本実施形態2では、本体部10の開口縁部を他の部分よりも薄く形成して本体部10の外面側に段差を形成し、蓋部12の開口縁部も蓋部12の内面側に段差が形成されるように薄く形成している。その薄肉部同士を嵌め合わせることで、蓋部12を閉じた際に外表面がほぼ段差なく連続するように構成されている。さらに、本体部10と蓋部12の各薄肉部には、互いの係合部を備えている。この係合部は係合凹部と係合凸部とから構成することが挙げられ、両者を係合することで、蓋部12が本体部10から不用意に脱落することを抑制する。本体部10及び蓋部12のいずれも所定の形状に打ち抜きした圧延板を絞り加工し、さらに開口縁部を切削などすることで容易に成形できる。
この構成の保護ケース1であれば、本体部10と蓋部12とをヒンジなどの連結部材で連結する必要がなく、蓋部12を本体部10に対して着脱するだけでケースを開け閉めできる。ヒンジを構成しないため、連結筒の曲げ加工を省略できる。よって、製造が容易であることに加え、単純な構成とすることで、より外力に対する機械的強度を確保し易い。
〔実施形態3〕
次に、実施形態1及び2とは保護する物品が異なる保護ケースを図4及び図5に基づいて説明する。実施形態3に係る保護ケースは、メガネ200を保護する保護ケース2であり、メガネ200が収納される本体部20と、この本体部20に開閉自在に取り付けられる蓋部22とを備える。本実施形態3では、本体部20に対して蓋部22はヒンジ24で開閉自在に連結されている。この保護ケース2もマグネシウム合金の圧延板を加工して構成されている点で実施形態1と共通であり、基本的な構造は同じであるが、本体部20と蓋部22の各形状がメガネ200に特有の形状に構成されている点で異なる。以下の説明は、実施形態1との相違点を中心に行い、その他の構成については説明を省略する。
本実施形態3では、図4に示すように、メガネ200を収納した際、メガネフレームにおける両リムをつなぐブリッジに対応する箇所に凹部を備えた本体部20としている。より具体的には、逆凹状の前面と、湾曲面からなって中央部に上記凹部に対応した変形部を有する底面と、前面よりも高い位置まで伸びる側面及び背面とを備える。これら各面で囲まれる空間がメガネ200の収納空間になり、前面・背面、両側面の上縁部で開口が形成される。また、図5に示すように、ほぼL型に屈曲された湾曲板で蓋部22を構成しており、閉じたときに本体部20と蓋部22とで構成される内部空間にメガネ200の収納空間が形成できる形状とする。
〔実施形態4〕
次に、実施形態3とは異なるメガネ用保護ケースを図6に基づいて説明する。この保護ケース2もマグネシウム合金の圧延板を加工して構成されている点で実施形態3と共通であるが、本体部20と蓋部22の各形状が異なり、さらに両者は連結されず、開閉自在に構成されている点で異なる。以下の説明は、実施形態3との相違点を中心に行い、その他の構成については説明を省略する。
実施形態4の保護ケース2は、底面及び側面を有し、底面に対向する側が開口した有底容器状の本体部20と、上面及び側面を有し、上面に対向する側が開口した有蓋容器状の蓋部22とを備える。本実施形態4では、本体部20の底面及び蓋部22の上面はいずれも矩形の平面の両側に中心角90度の円弧状の湾曲面が連続した形状である。そして、蓋部22の開口側の側面を、本体部20の開口側における側面の外側に嵌脱することで、本体部20の開口を開閉自在に構成している。また、本体部20及び蓋部22の開口縁部は、実施形態2と同様に、段差が形成されるように薄肉部を設け、本体部20及び蓋部22の薄肉部同士を嵌め合わせることで、蓋部22を閉じた際に外表面がほぼ段差なく連続するように構成されている。
〔試験例〕
マグネシウム合金からなる板材(試料No.1)を次のように作製して用意した。まず、AZ91合金相当の組成(9.0%Al−1.0%Zn−0.15%〜0.5%Mn(全て質量%)、残部Mg及び不可避的不純物)を有するマグネシウム合金の溶湯を用いて、双ロール連続鋳造法により長尺な鋳造板(厚さ4mm)を作製してコイル状に巻き取り、鋳造コイル材を作製した。この鋳造コイル材をバッチ炉に装入して400℃×24時間の溶体化処理を施した。得られた固溶コイル材を巻き戻して、以下の条件で複数パスの圧延を施して巻き取り、厚さ約0.6mmの圧延コイル材を作製した。
(圧延条件)
圧下率:5%/パス〜40%/パス
素材の加熱温度:250℃〜280℃
ロール温度:100℃〜250℃
得られた圧延コイル材を巻き戻して、素材板を200℃に加熱した状態で温間矯正を施して巻き取り、矯正コイル材を作製した。温間矯正は、素材板(圧延板)を加熱可能な加熱炉と、加熱された素材板に連続的に曲げ(歪)を付与する複数のロールを有するロール部とを備えるロールレベラ装置を用いて行う。上記ロール部は、上下に対向して千鳥状に配置された複数のロールを備える。上記ロールレベラ装置により、素材板は、上記加熱炉内で加熱されながら上記ロール部に送られ、ロール部の上下のロール間を通過するごとに、これらのロールにより順次曲げが付与される。
得られた矯正コイル材を巻き戻して、素材(矯正板)の表面に、#600の研磨ベルトを用いて湿式ベルト式研磨を施して平滑にして巻き取り、研磨コイル材を作製した(厚さ0.6mm)。この研磨コイル材を試料No.1とする。なお、試料No.1は、溶体化処理以降の製造工程において、150℃〜300℃の温度域に保持する総合計時間を0.5時間〜12時間とすると共に、300℃超の加熱を行わないようにした。
得られた試料No.1の圧延材を所定の形状のシート材にカットし、そのシート材をプレス成形して実施形態1に係る本体部及び蓋部を作製した。その際、本体部及び蓋部に、曲げ加工により曲げ半径1.0mmの連結筒をそれぞれ形成した。そして、本体部及び蓋部の各連結筒の孔を合わせた状態で、試料No.1と同じ材質で構成された1.6mm径のヒンジピンを各連結筒の孔に挿入して本体部と蓋部とを連結し、タブレット型PC用の保護ケース(試料No.1)とした。
さらに、市販のアルミニウム合金(A5052)の板材を用いて実施形態1と同様の形状に成形したタブレット型PC用の保護ケース(試料No.2)及び市販のアクリロニトリル−ブタジエン−スチレン(ABS)樹脂製のタブレット型PC用の保護ケース(試料No.3)も用意した。
そして、タブレット型PCを収納した状態の上記3つの各タブレット型PC用の保護ケースに対し、その保護ケースを所定の高さから落下させる落下試験を実施した。試験条件は次の通りである。
(落下試験)
各タブレット型PC用の保護ケースを1.5mの高さからコンクリート材の上に自由落下させ、保護ケースの損傷度合いを目視にて確認する。
次に、上記試料No.1の圧延材を所定の形状のシート材にカットし、そのシート材をプレス成形して実施形態3に係る本体部及び蓋部を作製した。そして、その両者をヒンジで連結し、メガネ用の保護ケース(試料No.11)とした。
さらに、市販のアルミニウム合金(A5052)の板材を用いて実施形態3と同様の形状に成形したメガネ用の保護ケース(試料No.12)及び市販のABS樹脂製のメガネ用の保護ケース(試料No.13)も用意した。
そして、メガネを収納した状態の上記3つの各メガネ用の保護ケースに対し、その保護ケースを所定の高さから落下させる落下試験を実施した。試験条件は次の通りである。
(落下試験)
各メガネ用の保護ケースを2mの高さからコンクリート材の上に自由落下させ、保護ケースの損傷度合いを目視にて確認する。
さらにタブレット型PC用の保護ケース及びメガネ用の保護ケースを構成する各試料の板材について、その板材からなる試験板片に所定の高さから鉄球を落下させる耐衝撃試験も実施した。各試験条件は次の通りである。
(耐衝撃試験)
AZ91及びA5052の板材については、板材から厚さt:0.6mm×長さl:100mm×幅w:70mmの長方形状の試験板片を作製し、ABS樹脂の板材については、厚さt:1.0mmとした。各試料について、以下の耐衝撃試験を行い、耐衝撃性を評価する。試験板片は、各試料に係る板材から上記長方形状の小片を切り出して作製した。切り出した小片の両端部側にそれぞれ固定孔を設ける。そして、離間して配置された一対の支持台の間に(間隔W:76mm)、両支持台間に渡すように試験板片を配置して固定孔にボルトをねじ込んで試験板片を両支持台に固定して、試験板片の両端部を支持台で保持する。この状態で、試験板片の中央部に鉄球が接触するように、試験板片の表面に対して垂直方向の上方から鉄球(質量:225g、直径D:38mm)を自由落下させる。上記鉄球を落下させる地点から試験板片の表面までの距離を落下高さとし、試験板片に凹みが生じない落下高さHを測定する。凹みの有無は目視にて確認する。
各タブレット型PC用の保護ケース及び各メガネ用の保護ケースの重量と共に試験結果を表1に示す。この表に示すように、マグネシウム合金を用いた試料No.1及び試料No.11の保護ケースは、ケースにへこみなどの変形が認められなかった。かつ試料No.1は、タブレット型PCの特に液晶部分が損傷せず、試料No.11は、メガネが損傷することもなかった。一方、アルミニウム合金で構成した試料No.2及び試料No.12は、数mmの凹みが発生し、試料No.12では収納したメガネに損傷があった。さらにABS樹脂で構成した試料No.3及び試料No.13は、ケースの表面に割れのような損傷が認められ、試料No.13では収納したメガネに損傷があった。これらの結果から、マグネシウム合金製の保護ケースが高い耐衝撃性を備えることがわかる。
Figure 2015026705
次に、マグネシウム合金の板材(試料No.1)について組織観察を行った。試料No.1の研磨コイル材について、板材の表層領域(板材の表面から板厚方向に板厚の30%までの領域)の断面を任意にとり、その断面を走査電子顕微鏡:SEMで観察し、金属間化合物の粒子の平均粒径(μm)、金属間化合物の粒子の合計面積の割合(%)を測定した。
金属間化合物の粒子の平均粒径は、以下のようにして測定した。試料に対してそれぞれ、板厚方向に5つの断面(上述のように表層領域の断面)をとり、各断面の観察像から任意に3つの視野(ここでは22.7μm×17μmの領域)をそれぞれとる。観察視野ごとに、一つの観察視野内に存在する各粒子の円相当径(各粒子の面積の等価面積円の直径)をそれぞれ求め、上記円相当径の総和を一つの観察視野内に存在する粒子数で除した値:(円相当径の合計)/(粒子の合計数)を当該観察視野の粒子の平均粒径とする。そして、各試料のそれぞれについて、15個の観察視野の粒子の平均粒径の平均を求める。
金属間化合物の粒子の合計面積の割合は、以下のようにして測定した。上述のように観察視野をとり、観察視野ごとに、一つの観察視野内に存在する全ての粒子の面積をそれぞれ調べて合計面積を算出し、この合計面積を一つの観察視野の面積(ここでは385.9μm)で除した値:(粒子の合計面積)/(観察視野の面積)を当該観察視野の粒子の面積割合とする。そして、各試料のそれぞれについて、15個の観察視野の粒子の面積割合の平均をとる。
その結果、試料No.1の板材は、金属間化合物の粒子の平均粒径が0.3μm以下であり、板材の断面において、上記金属間化合物の粒子の合計面積の割合が8%以下であった。
本発明の保護ケースは、特に耐衝撃性に強い保護ケースとして、パソコン、タブレット型PC、携帯電話、スマートフォン、デジタルカメラ、及びメガネなどの収納、携帯に好適に利用できる。
1,2 保護ケース
10,20 本体部 12,22 蓋部
14,24 ヒンジ 14a,14b 連結筒 14c ヒンジピン
16 係止部 18 係止溝
100 タブレット型PC 200 メガネ

Claims (8)

  1. 開口を有する有底容器状の本体部と、前記開口を閉じる蓋部とを備える保護ケースであって、
    前記本体部及び前記蓋部の少なくとも一方がマグネシウム合金の圧延板により形成されている保護ケース。
  2. 前記マグネシウム合金がA1を7.3質量%超12質量%以下含有するマグネシウム合金である請求項1に記載の保護ケース。
  3. 前記マグネシウム合金がASTM規格のAZ91である請求項2に記載の保護ケース。
  4. 前記マグネシウム合金の圧延板から長方形状の試験板片を作製し、この試験板片の両端部を支持台で保持した状態で、前記試験板片の中央部に向かって質量225gの鉄球を自由落下させ、前記鉄球を落下させる地点から前記試験板片までの距離を落下高さとし、前記鉄球により前記試験板片に凹みが生じない落下高さHを測定したとき、前記圧延板は、前記落下高さHが340mm超である請求項2又は請求項3に記載の保護ケース。
  5. 前記本体部に対し前記蓋部を開閉自在に取り付けるヒンジを備える請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の保護ケース。
  6. 前記本体部は、底面及び側面を有し、前記底面に対向する側が開口した有底容器状で、
    前記蓋部は、上面及び側面を有し、前記上面に対向する側が開口した有蓋容器状で、
    前記蓋部の開口側の側面を、前記本体部の開口側における側面の外側に嵌脱することで、前記本体部の開口を開閉自在に構成する請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の保護ケース。
  7. 前記保護ケースが、電子機器又は光学機器を保護するケースである請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の保護ケース。
  8. 前記保護ケースが、メガネを保護するケースである請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の保護ケース。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
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