JP2015026259A - 管群振動予測方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】回転三角配列に配置された管群について、多くの時間とコストを要することなく、多数のパラメータについて臨界流速を予測する。
【解決手段】管群10の軸方向に直交する面内において、各管11〜1111をそれぞれ含む複数のセル12〜1211に分割するステップと、各セルの外周において流体の流速及び圧力をモード展開した外周のモード座標を用いて外周の少なくとも一部の流体の流速及び圧力を表すステップと、管の中心を始点としてセルに含まれる管との境界をなす内周と外周を結ぶ動径について、外周のモード座標と、流体の流速及び圧力を周方向にモード展開した周方向のモード座標とを用いて、各セル内の流体の流速及び圧力を表すステップと、を含み、各セルは、隣接する管の中心を結ぶ直線の少なくとも1つを用いて分割したものである。
【選択図】図2

Description

本発明は、回転三角配列に配置された管群に直交して流れる流体により発生する管群の振動を予測する管群振動予測方法に関する。
従来、加圧水型原子炉(PWR)に備えられる蒸気発生器(SG)においては、原子炉から供給される一次冷却水を流す伝熱管を並列配置して管群とし、この管群を伝熱面としてこの管群の軸方向と直交する向きに二次冷却水を流して熱交換している。この伝熱管の管群の配置には、回転三角配列、ノーマル三角配列、正方配列等が使用されている。この内、回転三角配列は、高い熱交換の効率が期待できるので広範に使用されている。
蒸気発生器においては、熱交換の効率化を図るため、管群に直交した流れの流速を高めることが求められている。しかしながら、この直交流の流速がある値に達すると、不安定振動が発生することが知られている(下記非特許文献1参照)。原子炉の安全性を確保するためにはこのような不安定振動を制御することが必要であり、不安定振動を引き起こす臨界流速を予測する研究がなされてきた。
この臨界流速の予測には、CFD(数値流体力学)による数値シミュレーション(下記非特許文献2参照)が提供されている。また、1本の管の振動によって隣接する複数の管に作用する力を実験により求め、この実験データに基づいて不安定振動解析モデルを作成する方法が提供されている(下記非特許文献3参照)。
日本機械学会編、事例に学ぶ流体関連振動、p.66 市岡丈彦、川田裕、中村友道、泉元、小林敏雄、高松洋、「流動解析を用いた管群の流力弾性振動に関する研究(第1報、並列2円柱および1列管群の解析)」、日本機械学会論文集(B編)、1995年、61巻、582号、p.145−151 田中博喜、「円柱群の流力弾性振動に関する研究(流水中の円柱群)」、昭和56年、日本機械学会論文集(B編)、47巻、419号、p.1224−1233
しかしながら、CFDによるシミュレーションは、モデルの入力、計算処理等に多くの時間とコストを要し、多数のパラメータについて臨界流速を予測することは困難であった。また、実験データに基づいて不安定振動解析モデルを作成する方法についても、多数のパラメータについて臨界流速を予測することは困難であった。
この出願に係る発明は、上述の実情に鑑みて提案されるものであって、三角配列で配置された管群に対する直交流について、多くの時間とコストを要することなく、多数のパラメータについて臨界流速を予測することができるような管群振動予測方法を提供することを目的とする。
上述の課題を解決するために、本発明に係る管群振動予測方法の発明は、コンピュータを用いて、回転三角配列に配置された所定方向に延びる複数の所定径の管を含む管群の軸方向に直交して流れる流体の流速及び圧力を予測する方法であって、前記管群の軸方向に直交する面内において、各管をそれぞれ含む複数の領域に分割するステップと、各領域の外周において流体の流速及び圧力をモード展開した外周のモード座標を用いて外周の少なくとも一部の流体の流速及び圧力を表すステップと、管の中心を始点として前記領域に含まれる管との境界をなす内周と外周を結ぶ動径について、前記外周のモード座標と、流体の流速及び圧力を周方向にモード展開した周方向のモード座標とを用いて、各領域内の流体の流速及び圧力を表すステップと、を含み、各領域は、隣接する管の中心を結ぶ直線の少なくとも1つを用いて分割したものである。
前記周方向のモード座標は、前記面内において管の中心を軸とした極座標
Figure 2015026259
について、管の半径をaとして、径方向の
Figure 2015026259
及び周方向の
Figure 2015026259
において、時刻tにおける流速の径方向及び周方向の成分、圧力
Figure 2015026259
を各領域の外周における流速の径方向及び周方向の成分、圧力
Figure 2015026259
が寄与する第1項
Figure 2015026259
と、整数eを領域の番号、整数m及びkを周方向及び径方向のモード次数、
Figure 2015026259
として、各領域の内部における流速の径方向及び周方向の成分、圧力を直交基底で展開した第2項
Figure 2015026259
との和として表したときに、第2項の展開係数
Figure 2015026259
として与えられることが好ましい。
各領域は、前記管群を含む領域について各管を含むように分割した正六角形の少なくとも一部を含み、前記外周のモード座標は、正六角形の外周において流体の流速及び圧力をモード展開したものであることが好ましい。
前記外周のモード座標は、前記面内における直交座標
Figure 2015026259
について、整数i,jを正六角形の辺の頂点又は中点の番号、
Figure 2015026259
をこれら頂点又は中点における座標として、時刻tにおける辺上での流速のx,y成分、圧力
Figure 2015026259
を頂点又は中点における流速のx,y成分、圧力
Figure 2015026259
が辺上の位置
Figure 2015026259
に寄与する第1項及び第2項
Figure 2015026259
と、整数cを辺の番号、整数nをモード次数として、辺上における流速のx,y成分及び圧力を辺上の直交基底で展開した第3項
Figure 2015026259
との和として表したときに、第3項の展開係数
Figure 2015026259
として与えられることが好ましい。
時刻tにおける流速の径方向及び周方向の成分、圧力
Figure 2015026259
の外周における値
Figure 2015026259
時刻tにおける外周での流速のx,y成分、圧力
Figure 2015026259
は、方向余弦を用いて
Figure 2015026259
なる関係を有することが好ましい。
ナビエ・ストークスの式及び連続条件に基づいて、前記モード座標を一般化座標として、前記流速及び圧力の一般化座標の時間に関する常微分方程式を導き、この常微分方程式に基づいて前記流体の定常流による流れ場を決定することが好ましい。
流体の流速及び圧力にそれぞれ振動外乱を重畳し、これら流速、圧力及び振動外乱についてナビエ・ストークスの式、連続条件及び前記定常流による流れ場に基づいて、前記振動外乱の一般化座標の時間に関する常微分方程式を導き、この常微分方程式に基づいて前記管群の振動を予測することが好ましい。
前記振動外乱の一般化座標の時間に関する常微分方程式に基づいて、前記管群の不安定振動が発生する前記流体の臨界流速を決定することが好ましい。
前記常微分方程式は、ナビエ・ストークスの式及び連続条件に基づいて、ガレルキン法を用いて求めることが好ましい。
前記管群は加圧水型原子炉の蒸気発生器における伝熱管群を構成し、前記流体は前記蒸気発生器における二次冷却水であることが好ましい。
この発明は、回転三角配列により配置された管群の正六角形のセルについて、モード展開により解析的に得られた常微分方程式を使用しているので、多くの時間とコストを要することなく、多数のパラメータについて臨界流速を予測することができる。
管群振動予測方法の一連の流れを示す図である。 回転三角配列の管群を示す断面図である。 1セルにおける座標設定を示す図である。 三角配列の数値例題を示す図である。 換算流速の臨界値の質量減衰パラメータ依存性を示す図である。 正方配列の管群を示す断面図である。 管群振動を予測する計算装置の構成を示す図である。 計算装置における一連の動作の流れを示す図である。 粘性力の導出を示す図である。
以下、本発明に係る管群振動予測方法について、図面を参照して詳細に説明する。
〔1.本実施の形態の概要〕
図1は、本実施の形態の管群振動予測方法の一連の流れを示す図である。最初のステップS11では、管群の軸の方向に直交する平面を管の属する正六角形領域に分割する。この領域を以下、セルと称する。ステップS12では、セル外周(各辺)での未知量(流速成分、圧力)を、セルの各頂点での値の1次補間と補間誤差を補うモード展開式の和で表す。ステップS13では、セルの外周と内周(管周囲)を結ぶ任意周方向座標の動径上で、任意の動径座標での未知量を、ステップS12で設定した外周での解に適合する1次式とモード展開式の和で表す。ステップS14では、ステップS12〜S13によって得た解の表示式を流体の支配方程式系に代入して、変分直接法(ガレルキン法)で時間の常微分方程式系に離散化し、管群の運動方程式と連成させて解く。
ステップS14に続いて、次の双方のステップ(A)、(B)をさらに実行することもできる。ここで、ステップ(A)はステップ(B)の前段階として必要である。
(A)各管静止条件下での定常(平均)流れ場の決定(流れ解析)
(B)振動外乱に関する安定性解析
本実施の形態では、セルを正六角形の形状にすることにより、回転三角配列に配置した管群に適用するものである。ここで、回転三角配列とは、三角配列の内、管群の軸方向に直交する平面内において隣接する管を結ぶ直線の一つの方向に流体が流れるものをいう。
〔2.解析方法〕
図2のように流れを受ける管群10について、不安定振動が発生する臨界流速を求める。この管群10は、それぞれ半径aの第1の管11から第11の管1111までの11本の管11〜1111が、軸間の間隔(ピッチ)をTとして、各管11〜1111の軸が延びるz方向について回転三角配列に配置され、X方向に沿って3列に並んでいる。以下では簡単のため、各管11〜1111を特定する添字1〜11を省略する。
管11の軸方向に流速、圧力、管の変位の変化しない2次元問題を考え、この軸に直交する2次元平面を想定する。この面内において、最初に各管11の静止条件下での定常(平均)流れ場を決定し(2.1節)、次に振動外乱を重畳させて安定性解析を行う(2.2節)。
〔2.1 流れ場の決定〕
〔2.1.1 解の表示〕
図3において、各管11を含む正六角形領域である各セル12に関して座標系
Figure 2015026259
を定義する。
また、セル12の頂点又は中点の番号iを定義し、頂点又は中点iでのx,y方向の流速、圧力をそれぞれ
Figure 2015026259
とする。さらに、各外周辺に沿って、座標sをとり、各外周辺上でのx,y方向の流速、圧力をそれぞれ
Figure 2015026259
とする。
これら各外周辺上での流速、圧力は、辺の頂点又は中点i,jでの値の直線補間項に精度向上のための外周辺上の直交基底についてのモード展開項を付加して、次のように表すことができる。ここで、cは辺の番号を表している。
Figure 2015026259
ここで
Figure 2015026259
である。
また、
Figure 2015026259
である。
流体運動解析は、各セル12に関する極座標を用いて行う。このため、式(1)の流速成分を、次のように極座標に変換する。
Figure 2015026259
ここで、方向余弦は
Figure 2015026259
である。
周方向座標
Figure 2015026259
での内周と外周を結ぶ動径上での流速、圧力を、次のように表す。
Figure 2015026259
ここで
Figure 2015026259
である。
式(5)右辺第1項は、内周r=a、外周r=rmaxでそれぞれ0,1となり、外周で解(3)に等しくなるための項である。式(5)右辺第2項は、精度向上のための直交関数展開項で、
Figure 2015026259
である。このような一般化座標は、モード次数で展開したものであり、モード座標と称することもある。内周での流速は、境界層が非常に薄いため、法線方向成分のみが0となる境界条件を満たすように設定している。
本実施の形態の解析法は、
(1)式(1)のi,jに相当する点をセルの頂点だけでなく辺の中点にも設定でき、周方向角
Figure 2015026259
の区間を各管ごとに変えられる、
(2)周方向モード関数を流速成分、圧力
Figure 2015026259
について個別に設定できる、という2つの条件を満たすものである。
このような条件(1),(2)を満たすことにより、
Figure 2015026259
について、例えば
Figure 2015026259
のように、回転三角配列に適用することを可能にしている。
式(3)に式(1)を代入した結果を、式(5)右辺第1項に代入する。これによって、各セル12内の任意位置での流速と圧力が、頂点又は中点でのx,y方向の流速と圧力、式(1)右辺第3項のモード展開係数(モード座標)、式(5)右辺第2項のモード展開係数(モード座標)とで表される。すなわち、流体の無限自由度が、これらの時間変数に縮小する。そこで、このようにして得た式を自由度縮小式と称する。
〔2.1.2 ガレルキン法〕
自由度縮小式を、下記の連続条件とナビエ・ストークス方程式の変分重み付き表示式に代入して、未知の時間変数に関する常微分方程式を導く。
Figure 2015026259
Figure 2015026259
Figure 2015026259
ここで
Figure 2015026259
である。
常微分方程式は、次のマトリックス方程式の形に導く。
Figure 2015026259
ここで
Figure 2015026259
である。
式(10)を時間積分し、時間変動の小さい定常近似解に達した解によって流れ場を決定する。このとき数値計算の安定化を行った。多用されている人工粘性は流れ場を変えてしまうので使わず、運動方程式の時間微分を陽に含む非定常慣性項について係数ρ
Figure 2015026259
とする人工慣性を導入した。粘性項と異なり非定常慣性項は定常状態で0に近づくため、求めるべき定常近似解への影響は小さいことに留意した工夫である。
〔2.2 振動解析〕
〔2.2.1 解の表示〕
解を次のように設定する。
Figure 2015026259
これは、前節で求めた定常成分
Figure 2015026259
に振動外乱
Figure 2015026259
が重畳した形である。
2.1.1節の自由度低減手法を、振動成分に関する方程式系の導出にも用いる。まず、セル12の外周辺上でのx,y方向の流速、圧力に関する振動成分を、頂点又は中点i,jでの値
Figure 2015026259
の直線補間と、モード展開項の和で表し、式(1)に対応して次式を得る。
Figure 2015026259
流体運動解析は、図2のような、各セル12に関する極座標を用いて行うため、流速成分を極座標に変換し、周方向座標
Figure 2015026259
での内周と外周を結ぶ動径上での流速、圧力(振動成分)を、式(6)に対応して次のように表す。
Figure 2015026259
ここで
Figure 2015026259
である。
このようにして、各セル12内の任意位置での流速と圧力(振動成分)を、頂点又は中点でのx,y方向の流速と圧力、式(12)右辺第3項のモード展開係数、式(14)右辺第2項のモード展開係数で表す。すなわち、流体の無限自由度を、これらの時間変数に縮小する。
〔2.2.2 ガレルキン法〕
ナビエ・ストークス方程式は、変分重み付きの形で次のように表される。
Figure 2015026259
Figure 2015026259
運動学的条件は、管11表面のx,y方向の速度(d/dt)q,(d/dt)qの法線方向成分を管11表面での湧き出しと考え、湧き出し項を流体連続条件式に導入することによって、次のようになる。
Figure 2015026259
各管の運動方程式は、次式によって与えられる。
Figure 2015026259
ここで
Figure 2015026259
である。
式(14)を式(15),(16),(17),(18)に代入することにより、未知の時間変数に関する常微分方程式系を下記のマトリックス方程式の形に導く。
Figure 2015026259
ここで
Figure 2015026259
は一般化座標によって構成される列ベクトルであり、マトリックス
Figure 2015026259
の固有値を求めることによって安定性を判定する。
〔3.計算結果〕
〔3.1 計算条件〕
次の緒元について計算を行った。
Figure 2015026259
流れ場の決定では、粘性係数の代わりに乱流粘性係数をμの60倍の値に設定した(CFDにおいては20〜100倍の値を用いることに基づく)。
管群10の問題では、管11が多数あるため、図4の太い実線の直線で仕切られ、境界A,Bにそれぞれ正、負の、大きさ
Figure 2015026259
の湧き出しを与えた流体領域を縮小モデルとした。正および負の湧き出しの影響の少ない管Dの
Figure 2015026259
での流れ場を図4の11本の管の
Figure 2015026259
の領域に設定し、これらの各管の
Figure 2015026259
での流れ場は、
Figure 2015026259
を結ぶ直線に関する対称性より決定した。
〔3.2 臨界流速の従来データとの比較〕
質量減衰パラメータと呼ばれる次の量
Figure 2015026259
を、減衰比ζbを変えることによって変え、換算流速(reduced velocity)と称されている下記の量の臨界値を求めた。
Figure 2015026259
ただし、
Figure 2015026259
である。
管11の間の隙間の流速Vは、流れ場を決めるときの式(9)中の湧き出し、吸込みソースの強さVsrcのT/(T−2a)倍である。臨界値を従来データ(非特許文献1)と比較した結果を図5に示す。図中の“△”は従来データであり、図中の曲線Aは本解析により得られた値である。本解析により従来データに近い値が得られていることが確かめられる。
上記は、流体密度の大きい液体の場合を対象とした、質量減衰パラメータの小さい範囲の結果である。しかし工学上は、蒸気発生器(SG)のように、ボイド率90%、すなわち流体密度が1/10に低下し、式(20)の質量減衰パラメータがより大きい場合が重要になる。この場合の結果を図中の曲線Bで同様に示した。この場合、
Figure 2015026259
である。
〔3.3自由度低減効果〕
本解析では、自由度数がCFDに比べると少なくて済むことを確かめる。解の表示式(12),(13)より、流体解析に関する自由度数Nは次式によって求められる。
Figure 2015026259
ここで、Nは頂点の個数、Nは辺の個数、N13は管の個数(セルの個数)であり、係数3は、x,y方向の流速成分と圧力とで3個の変数があることによる。図4で計算に用いた配列の場合について自由度数を求めると、N=36,N=36,nmax=2,N=11であり、mmax=1,kmax=1で上のように従来データを説明し得る解析結果が得られる。
この場合の自由度数はN=390である。CFDの数百万オーダに比べるとかなり少なくて済む。安定判別の固有値を求めるために要する計算時間は1ケースについて2分程度である(ただし臨界流速を求めるためには、固有値計算を10回程度繰り返す必要がある)。このような低次元の固有値問題に帰着できることは、CFD使用の際に流体と管11の周波数差により流体解析に合わせて時間きざみを非常に小さくして時間積分する必要が生じる問題の回避に有効である。
〔4.比較例〕
本実施の形態は回転三角配列に配置された管群に適用されるが、例えば正方配列により配置された管群に適用される場合には、対称性を考慮してモード座標の設定や流れの計算を簡略化することができる。ここでは、回転三角配列の場合との比較のため、正方配列により配置された管群への適用について簡単に説明する。
図6は、正方配列により配置された管群10を示す図である。この図においては、各管11が正方配列により配置されている他は回転三角配列により配置された図2と同様の構成であるので、対応する符号を付して説明を省略する。
このような正方配列の場合、内周と外周を結ぶ動径上での流速、圧力の式(5)は、次のように簡略化することができる。
Figure 2015026259
ここで
Figure 2015026259
である。
そして、流れ場の計算は、図6において、3個の領域
Figure 2015026259
での流れ場は同じである。そこで、1個の領域のみについて、流れ場を決定する計算を行うことができる。次に、X方向についても管11が多数であるため周期対称な問題である。そこで、出入り口での湧き出し、吸込みの影響の少ない領域
Figure 2015026259
で求まった流れ場を9本の管11の周りのセル12に設定して安定性解析を行うことができる。
本実施の形態の回転三角配列の場合は、このような対称性を利用することができないので、式(5)のように周方向の角度に対する依存性を含む流速、圧力を導出する必要がある。
〔5.計算装置〕
前述したような臨界流速の予測は、図7に示すような計算装置20によって実現することができる。この計算装置20は、CPU、DSPの如き演算部21、RAM、ROM、ハードディスクの如き記憶部22、LCD、プリンタの如き出力部23、キーボード、マウスの如き入力部24を含み、例えばパーソナルコンピュータを利用することができる。
図8に示す計算装置20の一連の動作は、記憶部22に格納された臨界流速算定プログラム22aを演算部21が読み出して実行することにより実現される。この臨界流速算定プログラム22aは、前述のような手順によって得られた流速及び圧力の一般化座標の時間に関する常微分方程式と振動外乱の一般化座標の時間に関する常微分方程式の表現を含んでいる。
最初のステップS21においては、モデルを設定する。ここでは、前述したような管群10のモデルを設定するものとする。入力部24は、このモデルについて、管11の径a、管11を配置した間隔T、管11の単位長さ当たりの質量、管11の固有振動数、流体の密度、流体の粘性係数の少なくとも1つの値を入力値として受け取る。演算部21は、入力部24が受け取った入力値を記憶部22に格納する。
ステップS22においては、演算部21は、記憶部22に格納された入力値を読み出し、その数値計算部21aにおいて、この入力値に基づいて前記常微分方程式の表現を用いてこの管群における臨界流速について数値計算する。演算部21は、得られた臨界流速の値を記憶部22に格納する。
ステップS23においては、演算部21は、記憶部22に格納された臨界流速の値と、同じく記憶部22に格納された所定の閾値22bとを読み出す。演算部21は、その判定部21bにおいて、臨界流速値が閾値22bを超えた場合にはOKと判定して一連のステップを終了する。一方、臨界流速が閾値を越えない場合にはNGとして判定して前のステップS21のモデル設定に手順を戻す。なお、閾値22bは、入力部24を介して設定することができる。
このような一連の工程において、臨界流速の値が所定の閾値を超えるまでモデル設定、数値計算、判定のループを繰り返すことにより、臨界流速が閾値を超えるようなモデル設定を可能としている。また、前述のような常微分方程式の表現を利用することにより、精度の高いモデル設定を可能としている。なお、これに限られず、臨界流速が閾値内に収まるようにモデル設定することもできる。
なお、このような臨界流速の算定は、記憶部22に格納した臨界流速算定プログラム22aのような、前述の常微分方程式の表現を含み、モデル設定、数値計算、判定のステップを有するプログラムによっても提供することができる。
〔6.付録:式(18)における粘性力の導出〕
図9に示すように液体とz=0の平面31で接する物体32のx方向の速度が次式
Figure 2015026259
のようにある周波数ωで振動する場合の境界層流れを考える。x方向の流速をv、圧力をpとし、これらの境界層のすぐ外側の主流での値を、上添字(m)を付けて表わす。
主流に関する運動方程式は
Figure 2015026259
となる。
この運動方程式の解を
Figure 2015026259
とおき、式(A2)に代入すると、次式が得られる。
Figure 2015026259
境界層内流れを解析するため、z方向の流速は非常に小さいと仮定すると、z方向のナビエ・ストークス方程式は
Figure 2015026259
に帰着する。
従って、条件
Figure 2015026259
によって次式が要求される。
Figure 2015026259
境界層は非常に薄いので、近似
Figure 2015026259
をx方向のナビエ・ストークス方程式に適用できる。このようにして次式が得られる。
Figure 2015026259
式(A7)を下記の境界条件の下で解く。
Figure 2015026259
Figure 2015026259
解を
Figure 2015026259
と表わし、式(A10)と式(A3)の第2式を式(A7)〜(A9)に代入すると、次のようになる。
Figure 2015026259
Figure 2015026259
Figure 2015026259
式(A4)を式(A11)に代入して次式を得る。
Figure 2015026259
式(A14)に関する同次方程式の特性根αは、
Figure 2015026259
によって定まり、解が有限である条件より、
Figure 2015026259
となる。
従って、式(A14)の一般解は次のようになる。
Figure 2015026259
(x)は任意関数で、式(A13)の条件を課すことにより、次のように物体速度と主流速度で表わせる。
Figure 2015026259
式(A16)を式(A15)に代入すると、
Figure 2015026259
となる。粘性によってz=0で接線方向に作用する力は、
Figure 2015026259
である。
本文の円筒管の問題では、xを周方向とみて、周方向に下記の力が作用する。
Figure 2015026259
虚数単位を陽に含むので
Figure 2015026259
と変形し、第2項目ではiωを時間微分作用素とみなす。また、ωには近似的に流体付加質量を考慮しない管の固有振動数を与える。
なお、上述の実施の形態は、本発明の一具体例を示すものであり、本発明を限定するものではない。例えば、この管群振動の予測が適用されるのは加圧水型原子炉の蒸気発生器に限らず、例えば一般の熱交換器やボイラに適用することもできる。また、管は中空なものに限らず、一般の構造物に適用することができ、例えば建物を風が通過する際の振動の予測にも適用することができる。
10 管群
11 管
12 セル
20 計算装置

Claims (10)

  1. コンピュータを用いて、回転三角配列に配置された所定方向に延びる複数の所定径の管を含む管群の軸方向に直交して流れる流体の流速及び圧力を予測する方法であって、
    前記管群の軸方向に直交する面内において、各管をそれぞれ含む複数の領域に分割するステップと、
    各領域の外周において流体の流速及び圧力をモード展開した外周のモード座標を用いて外周の少なくとも一部の流体の流速及び圧力を表すステップと、
    管の中心を始点として前記領域に含まれる管との境界をなす内周と外周を結ぶ動径について、前記外周のモード座標と、流体の流速及び圧力を周方向にモード展開した周方向のモード座標とを用いて、各領域内の流体の流速及び圧力を表すステップと、を含み、
    各領域は、隣接する管の中心を結ぶ直線の少なくとも1つを用いて分割したものであることを特徴とする管群振動予測方法。
  2. 前記周方向のモード座標は、前記面内において管の中心を軸とした極座標
    Figure 2015026259
    について、管の半径をaとして、径方向の
    Figure 2015026259
    及び周方向の
    Figure 2015026259
    において、時刻tにおける流速の径方向及び周方向の成分、圧力
    Figure 2015026259
    を各領域の外周における流速の径方向及び周方向の成分、圧力
    Figure 2015026259
    が寄与する第1項
    Figure 2015026259
    と、整数eを領域の番号、整数m及びkを周方向及び径方向のモード次数、
    Figure 2015026259
    として、各領域の内部における流速の径方向及び周方向の成分、圧力を直交基底で展開した第2項
    Figure 2015026259
    との和として表したときに、第2項の展開係数
    Figure 2015026259
    として与えられることを特徴とする請求項1記載の管群振動予測方法。
  3. 各領域は、前記管群を含む領域について各管を含むように分割した正六角形の少なくとも一部を含み、前記外周のモード座標は、正六角形の外周において流体の流速及び圧力をモード展開したものであることを特徴とする請求項1又は2に記載の管群振動予測方法。
  4. 前記外周のモード座標は、前記面内における直交座標
    Figure 2015026259
    について、整数i,jを正六角形の辺の頂点又は中点の番号、
    Figure 2015026259
    をこれら頂点又は中点における座標として、時刻tにおける辺上での流速のx,y成分、圧力
    Figure 2015026259
    を頂点又は中点における流速のx,y成分、圧力
    Figure 2015026259
    が辺上の位置
    Figure 2015026259
    に寄与する第1項及び第2項
    Figure 2015026259
    と、整数cを辺の番号、整数nをモード次数として、辺上における流速のx,y成分及び圧力を辺上の直交基底で展開した第3項
    Figure 2015026259
    との和として表したときに、第3項の展開係数
    Figure 2015026259
    として与えられることを特徴とする請求項2に記載の管群振動予測方法。
  5. 時刻tにおける流速の径方向及び周方向の成分、圧力
    Figure 2015026259
    の外周における値
    Figure 2015026259
    時刻tにおける外周での流速のx,y成分、圧力
    Figure 2015026259
    は、方向余弦を用いて
    Figure 2015026259
    なる関係を有することを特徴とする請求項4に記載の管群振動予測方法。
  6. ナビエ・ストークスの式及び連続条件に基づいて、前記モード座標を一般化座標として、前記流速及び圧力の一般化座標の時間に関する常微分方程式を導き、この常微分方程式に基づいて前記流体の定常流による流れ場を決定することを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の管群振動予測方法。
  7. 流体の流速及び圧力にそれぞれ振動外乱を重畳し、これら流速、圧力及び振動外乱についてナビエ・ストークスの式、連続条件及び前記定常流による流れ場に基づいて、前記振動外乱の一般化座標の時間に関する常微分方程式を導き、この常微分方程式に基づいて前記管群の振動を予測することを特徴とする請求項6に記載の管群振動予測方法。
  8. 前記振動外乱の一般化座標の時間に関する常微分方程式に基づいて、前記管群の不安定振動が発生する前記流体の臨界流速を決定することを特徴とする請求項7に記載の管群振動予測方法。
  9. 前記常微分方程式は、ナビエ・ストークスの式及び連続条件に基づいて、ガレルキン法を用いて求めることを特徴とする請求項6〜8のいずれか一項に記載の管群振動予測方法。
  10. 前記管群は加圧水型原子炉の蒸気発生器における伝熱管群を構成し、前記流体は前記蒸気発生器における二次冷却水であることを特徴とする請求項1〜9のいずれか一項に記載の管群振動予測方法。
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