JP2015025593A - 過熱水蒸気発生装置及び過熱水蒸気発生方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】水蒸気を過熱する乾燥帯域を確実且つ安定的に多孔質体に形成し、過熱水蒸気の設定温度と発熱体表面温度の設定値との温度差を縮小する。
【解決手段】水蒸気発生装置(1)は、液浴(W)に部分的に浸漬した多孔質体(6)と、発熱面(8a)を備えた発熱体(8)とを有し、発熱体は、多孔質体の被給液面(6a)に接触又は近接する。多孔質体と発熱面との間に充填材料又は接着材料(10)が充填され、この充填層は、被給液面及び発熱面の間に固体熱伝導経路を形成する。発熱体の発熱により、多孔質体に乾燥帯域(α)が形成され、充填層外の被給液面部分(γ)から過熱水蒸気(S)が流出する。
【選択図】図4

Description

本発明は、過熱水蒸気発生装置及び過熱水蒸気発生方法に関するものであり、より詳細には、多孔質体の毛管給水作用と発熱体の加熱作用とを用いて極めて短時間に過熱水蒸気を発生させることができる過熱水蒸気発生装置及び過熱水蒸気発生方法に関するものである。
飽和水蒸気温度以上に加熱された過熱水蒸気が各種プラントのプロセスにおいて工業的に使用され、或いは、木材、食品等の乾燥、加工、殺菌等の用途に使用されている。近年、このような過熱水蒸気を利用した家庭用調理器等が市場に普及しつつあり、過熱水蒸気の用途は、近年殊に拡大している。この種の家庭用調理器等では、水槽内の水に電熱ヒータを浸漬して水槽の水を加熱し、水の気化によって発生した水蒸気を再加熱することによって過熱水蒸気を発生させている。例えば、特開2004−186103公報(特許文献1)には、水蒸気生成ヒータ及び水蒸気加熱ヒータを備えた調理器用の水蒸気発生装置が開示されている。この方式の装置では、水を気化して水蒸気を生成する水蒸気発生工程と、水蒸気を加熱する水蒸気加熱工程とからなる二段階の工程を段階的に実行する比較的複雑な装置構成が採用される。しかし、このような方法で過熱水蒸気を発生させる場合、装置構造が大型化するとともに、装置の起動から水蒸気発生までの予工程にかなりの時間が必要となるという問題が生じる。このため、簡易な装置又は方法で迅速に過熱水蒸気を発生させることができる装置の開発が要望された。
特開平9−273755号公報(特許文献2)には、マイクロ波透過性及び吸水性を有する多孔質体をマイクロ波加熱手段によって加熱し、多孔質体に供給された水を加熱して過熱水蒸気を発生させるように構成された水蒸気発生装置が記載されている。同様に、特開2001−267061号公報(特許文献3)及び特開2001−254952号公報(特許文献4)には、マイクロ波加熱手段及び多孔質体を用いた水蒸気発生装置が開示されている。この方式の装置は、マイクロ波加熱装置を含む比較的複雑な装置構成を要する。
多孔質体及び発熱体を用いた水蒸気発生装置として、電熱ヒータ等の発熱体を埋め込んだ多孔質体を部分的に液浴に浸漬してなる水蒸気発生装置が知られている(特開昭50−14901号公報(特許文献5))。液浴の水は、多孔質体の細孔に吸い上げられ、発熱体によって加熱され、多孔質体の外側面から流出する。他の構造の水蒸気発生装置として、伝熱効率を改善する多孔質の溶射被覆層を気化器内面及び発熱体表面に形成し、効率的に水蒸気を発生させるように構成した水蒸気発生装置(特開昭56−49163号公報(特許文献6))、或いは、電極間に配置された多孔質体に水を供給し、多孔質内の水の導電性又はジュール効果によって水を気化させるように構成された水蒸気発生装置(特開昭53−109001号公報(特許文献7))が知られている。
しかしながら、多孔質体及び発熱体を用いた従来の水蒸気発生装置(特許文献5〜8)は、以下の如き課題を有する。
(1) 保水状態の多孔質体を全体的に加熱しなければならず、保水状態の多孔質体を加熱するために比較的長時間の加熱時間を要する(特許文献5及び6)。
(2) 加熱面に供給される水と、加熱面に発生した水蒸気とが、逆方向に流動するので、加熱面に対する水の供給が水蒸気の流動によって妨げられる(特許文献5及び6)。
(3) ポンプ等の圧送装置によって水を多孔質体内に圧入する必要が生じるばかりでなく、高い電圧を多孔質体内の水に印加しなければならない(特許文献7)。
他方、多孔質体を用いた同様な構造の水蒸気発生装置として、宇宙等の無重力空間において未蒸発ミストの発生を防止すべく、定量ポンプを用いて多孔質体に液を供給し、多孔質体中空部の内壁面に漏出した液を伝熱管の発熱によって蒸発させるように構成された装置が特開昭61−243201号公報(特許文献8)に記載されている。
この蒸気発生装置においては、多孔質体は、無重力空間において液を保持し、蒸発ミストが中空部に飛散するのを防止する手段として使用されたものであるにすぎず、液は、多孔質体中空部の内壁面に漏出してからヒータ外面に伝熱接触し、蒸発する。このような構成では、飽和水蒸気を生成し得たとしても、過熱水蒸気を生成することは極めて困難である。
本発明者は、このような従来の水蒸気加熱装置の問題を解消し、複雑な装置構成を採用することなく、迅速に過熱水蒸気を発生させることができ、しかも、制御性及び応答性に優れた過熱水蒸気発生装置を特許第4923258号公報(特許文献9)において提案している。
この過熱水蒸気発生装置は、外側部分が水に接した多孔質体に中空部を形成し、中空部の内壁面に沿って間隔を隔てて延びる発熱体を中空部内に配置した構成を有する。望ましくは、多孔質体の細孔内の水を気化し且つ過熱するための乾燥帯域が、発熱体の発熱によって中空部の内壁面に間隔を隔てて形成される。
このような過熱水蒸気発生装置によれば、液浴の水は、毛細管現象によって中空部内壁面の細孔出口部に供給される。発熱体の熱は、細孔出口部に形成されたメニスカス部の水に作用する。メニスカス部の薄い水膜は、熱容量が小さい微小量の水であることから、比較的低電圧の電力を発熱体に供給することにより、発熱体の熱によって水を急激に蒸発させることができる。細孔内で気化した水蒸気は、細孔出口部に近接した発熱体によって更に加熱され、過熱水蒸気として細孔出口部から中空部内に流出し、過熱水蒸気送出手段によって中空部内の領域から装置外に送出される。水蒸気の流動領域と、供給水の流動領域とは分離し、水蒸気は、水の供給を妨げない。液浴の水は、多孔質体の毛細管現象により、蒸発速度に相応して供給されるので、水蒸気は、中空部内壁面から連続的に発生する。しかも、多孔質体に熱伝導する発熱体の熱は、出口部に向かって流動する水の予熱に有効利用されるので、多孔質体の外側面から系外に散逸する熱量は、低減する。
かくして、上記特許文献9の過熱水蒸気発生装置は、複雑な装置構成を採用することなく、迅速に過熱水蒸気を発生させることができ、しかも、制御性及び応答性に優れており、この点において、所期の目的を達成した。
特開2004−186103公報 特開平9−273755号公報 特開2001−267061号公報 特開2001−254952号公報 特開昭50−14901号公報 特開昭56−49163号公報 特開昭53−109001号公報 特開昭61−243201号公報 特許第4923258号公報
上記特許文献9の過熱水蒸気発生装置では、多孔質体の細孔に生成した水蒸気は、乾燥帯域の細孔内で発熱体の熱を受熱して温度上昇するとともに、多孔質体の細孔から中空部に流出した後に中空部内で発熱体の熱を受熱して更に温度上昇する。このような過熱水蒸気発生装置においては、中空部内壁面と発熱体との伝熱接触部に高密度且つ大きな熱流束を発生させて多孔質体を局所加熱すれば、多孔質体に乾燥帯域を形成することが可能となる。乾燥帯域は、不規則に延びる多数の細孔を有し、細孔内に生成した水蒸気を効率的に加熱し得るので、このような乾燥帯域をマイクロチャンネル熱交換器として効果的に利用することにより、過熱水蒸気を効率的に中空部に発生させることが可能となる。
しかしながら、多孔質体の表面や、多孔質体の切削面等は、一般に、不規則且つ微視的又は微細な多数の凹凸、不陸、起伏、隆起等(以下、「凹凸等」という。)を有する粗面である。このため、多孔質体の切削面等からなる中空部内壁面に対して発熱体を密着させたとしても、中空部内壁面と発熱体との間には、微小又は微細な隙間又は間隙(以下、「隙間」という。)が少なからず形成される。このような隙間が形成されると、発熱体と多孔質体との間の固体熱伝導が妨げられるので、乾燥帯域を所望の如く形成し難く、このため、乾燥帯域をマイクロチャンネル熱交換器として効果的に利用し難い。
上記構成の過熱水蒸気発生装置(特許文献9)においては、このような隙間が形成されたとしても、細孔内で発生した水蒸気は、細孔出口部から流出した直後に発熱体に伝熱接触し、或いは、発熱体の輻射熱を受熱して加熱されるので、発熱体の表面温度に比例した温度の過熱水蒸気が中空部内に発生する。しかし、このような水蒸気の過熱は、乾燥帯域のマイクロチャンネル熱交換効果に依存したものではなく、水蒸気と発熱体との伝熱接触や、発熱体の輻射熱の受熱に主に依存した水蒸気の過熱である。このため、過熱水蒸気の温度に比して発熱体の表面温度をかなり上昇させる必要が生じるので、熱負荷及び熱損失の増大、発熱体の熱劣化等の問題が生じる。例えば、100℃の水蒸気が細孔出口部から流出した場合、300℃の過熱水蒸気を中空部内に発生させるには、発熱体の表面温度を約500℃に設定しなければならない。
即ち、上記過熱水蒸気発生装置においては、多孔質体の粗面の影響により、発熱体表面と多孔質体表面との間に上記隙間が形成される傾向があり、このため、乾燥帯域のマイクロチャンネル熱交換効果を十分に有効利用し難く、過熱水蒸気の温度と発熱体の表面温度との温度差を比較的大きな値に設定する必要があり、従って、過熱水蒸気の温度よりもかなり高い温度に発熱体の表面温度を設定する必要が生じる。
かくて、上記構成の過熱水蒸気発生装置は、過熱水蒸気の温度と発熱体の表面温度との温度差を縮小し、これにより、熱負荷及び熱損失を低減するとともに、発熱体の表面温度を低下させるという点において、更に改良又は改善すべき余地が残されていた。
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、多孔質体の細孔内の水を気化し且つ過熱する方式の過熱水蒸気発生装置及び発生方法において、水蒸気を過熱する乾燥帯域を確実且つ安定的に多孔質体に形成し、過熱水蒸気の設定温度と発熱体表面温度の設定値との温度差を縮小することができる過熱水蒸気発生装置及び発生方法を提供することにある。
本発明は、上記目的を達成すべく、液浴に部分的に浸漬した多孔質体と、発熱面を備えた発熱体とを有し、該発熱体は、多孔質体の毛細管現象によって給液される多孔質体の被給液面に接触又は近接し、前記被給液面に給液される前記液浴の水は、前記発熱体の発熱により加熱され、前記多孔質体の細孔内で気化し且つ過熱される過熱水蒸気発生装置において、
前記多孔質体と前記発熱面との間に充填材料又は接着材料を充填して、該充填材料又は接着材料の充填層により前記被給液面及び前記発熱面の間に固体熱伝導経路を形成し、前記発熱体の発熱により、前記多孔質体に乾燥帯域を形成し且つ前記充填層外の被給液面部分から過熱水蒸気を流出させるようにしたことを特徴とする過熱水蒸気発生装置を提供する。
本発明は又、液浴に部分的に浸漬した多孔質体と、該多孔質体の被給液面に接触し又は近接した発熱体の発熱面とを使用し、前記液浴の水を前記多孔質体の毛細管現象によって前記被給液面に給液するとともに、前記発熱体の発熱により前記多孔質体の細孔内の水を気化し且つ該細孔内の水蒸気を過熱する過熱水蒸気発生方法において、
充填材料又は接着材料を前記被給液面及び前記発熱面の間に充填して、該充填材料又は接着材料の充填層を前記被給液面及び前記発熱面の間に形成し、前記被給液面と前記発熱面との間の固体熱伝導により、前記多孔質体に乾燥帯域を形成するとともに、前記充填層外の被給液面部分から過熱水蒸気を流出せしめることを特徴とする過熱水蒸気発生方法を提供する。
本発明の上記構成においては、充填材料又は接着材料の充填層が被給液面と発熱面との間に形成され、発熱面の熱は、充填層を介して被給液面に固体熱伝導する。発熱体の熱は、被給液面に安定供給され、被給液面は、発熱体の発熱面と同等の温度に加熱される。なお、上記充填材料は、充填剤及び充填材を包含する概念であり、上記接着材料は、接着剤及び接着材を包含する概念である。
本発明の上記構成によれば、液浴の水は、毛細管現象によって多孔質体の被給液面に供給され、発熱体の発熱により多孔質体の細孔内で気化する。この結果、マイクロチャンネル熱交換器として機能する乾燥帯域が発熱体近傍の多孔質体部分に初期的に形成される。
充填材料又は接着材料により封止された被給液面の部分は、水蒸気の流出を妨げるので、乾燥帯域で生成した水蒸気は、充填層を迂回し、充填材料又は接着材料により封止されていない充填層外の被給液面の部分から流出する。乾燥帯域の水蒸気は、比較的大きな流動抵抗の下で多孔質体内の細孔を流動するので、乾燥帯域の圧力が上昇する。この結果、乾燥帯域は、乾燥帯域の圧力と多孔質体の給液作用とが均衡するように拡大する。かくして、マイクロチャンネル熱交換器として有効に機能するように十分に拡大した乾燥帯域が、上記充填層によって確実且つ安定的に多孔質体に形成される。
このようにして多孔質体に形成された乾燥帯域は、水蒸気を効果的に加熱するので、過熱水蒸気の温度と発熱体の表面温度との温度差を縮小して、発熱体の表面温度を低下させることができる。本発明者の実験によれば、例えば、発熱体の表面温度を300℃よりも若干高い温度(例えば、350℃)に設定することにより、300℃の過熱水蒸気を多孔質表面に発生させることができる。
また、本発明は、過熱水蒸気の生成のみならず、多孔質体の毛細管現象によって吸い上げ可能な任意の液体を気化し且つ過熱する過熱蒸気発生装置及び過熱蒸気発生方法に適用することができる。
このような観点より、本発明は、液浴に部分的に浸漬した多孔質体と、発熱面を備えた発熱体とを有し、該発熱体は、多孔質体の毛細管現象によって給液される多孔質体の被給液面に接触又は近接し、前記被給液面に給液される前記液浴の液体は、前記発熱体の発熱により加熱され、前記多孔質体の細孔内で気化し且つ過熱される過熱蒸気発生装置において、
前記多孔質体と前記発熱面との間に充填材料又は接着材料を充填して、該充填材料又は接着材料の充填層により前記被給液面及び前記発熱面の間に固体熱伝導経路を形成し、前記発熱体の発熱により、前記多孔質体に乾燥帯域を形成し且つ前記充填層外の被給液面部分から過熱蒸気を流出させるようにしたことを特徴とする過熱蒸気発生装置を提供する。
本発明は又、液浴に部分的に浸漬した多孔質体と、該多孔質体の被給液面に接触し又は近接した発熱体の発熱面とを使用し、前記液浴の液体を前記多孔質体の毛細管現象によって前記被給液面に給液するとともに、前記発熱体の発熱により前記多孔質体の細孔内の液体を気化し且つ該細孔内の蒸気を過熱する過熱蒸気発生方法において、
充填材料又は接着材料を前記被給液面及び前記発熱面の間に充填して、該充填材料又は接着材料の充填層を前記被給液面及び前記発熱面の間に形成し、前記被給液面と前記発熱面との間の固体熱伝導により、前記多孔質体に乾燥帯域を形成するとともに、前記充填層外の被給液面部分から過熱蒸気を流出せしめることを特徴とする過熱蒸気発生方法を提供する。
本発明の蒸気発生装置又は蒸気発生方法によれば、液浴の液体は、毛細管現象によって被給液面に給液され、発熱体の発熱により多孔質体の細孔内で気化する。発熱体の熱は、被給液面に安定供給され、被給液面は、発熱体表面と同等の温度に加熱され、乾燥帯域が発熱体近傍の多孔質体部分に形成される。初期的に形成された乾燥帯域は、乾燥帯域の圧力上昇により拡大し、従って、乾燥帯域は、上記充填層によって確実に且つ安定して多孔質体表面に形成される。このような蒸気発生装置又は蒸気発生方法によれば、過熱水蒸気の設定温度と発熱体表面温度の設定値との温度差を縮小して、発熱体の表面温度を低下させることが可能となる。
本発明の過熱水蒸気発生装置及び発生方法によれば、多孔質体の細孔内の水を気化し且つ過熱する方式の装置及び方法において、水蒸気を過熱する乾燥帯域を確実且つ安定的に多孔質体に形成し、過熱水蒸気の設定温度と発熱体表面温度の設定値との温度差を縮小することができる。
また、本発明の過熱蒸気発生装置及び発生方法によれば、多孔質体の細孔内の水を気化し且つ過熱する方式において、蒸気を過熱する乾燥帯域を確実且つ安定的に多孔質体に形成し、過熱蒸気の設定温度と発熱体表面温度の設定値との温度差を縮小することができる。
図1は、本発明者が前述の特許文献9において提案した過熱水蒸気加熱装置の構成を概略的に示す斜視図及び断面図である。 図2(A)は、図1に示す中空部の部分拡大断面図であり、図2(B)及び図2(C)は、過熱水蒸気生成の原理を模式的且つ概念的に示す断面図である。 図3(A)及び図3(B)は、多数の微細な凹凸等を有する多孔質体の内壁面に帯板状の発熱体を配置した状態を示す断面図であリ、図3(C)は、多孔質体の毛管作用によって内壁面に給液された水が発熱体の熱によって気化する態様を模式的且つ概念的に示す断面図である。 図4(A)及び図4(B)は、本発明の実施例を示す断面図であリ、図4(C)は、乾燥帯域において水が気化し且つ過熱される態様を模式的且つ概念的に示す断面図である。 図5は、水蒸気温度計測のための実験装置の概要を示す平面図、側面図及び断面図である。 図6は、発熱体を多孔質体表面(被給液面)に接着しない状態で発熱体に通電した実験(比較例)に関し、実験結果を示す線図である。 図7は、発熱体を多孔質体表面(被給液面)に接着した状態で発熱体に通電した実験(本実施例)に関し、実験結果を示す線図である。 図4に示す実施例に関する変形例を示す断面図である。
本発明の好適な実施形態において、発熱体は、矩形断面を有する帯板状又は薄膜状の電熱体からなり、被給液面を構成する多孔質体表面に対向する平坦な発熱面を有する。充填材料又は接着材料は、発熱面と多孔質体表面との間に充填される。このような帯板状又は薄膜状の発熱体を用いた場合、熱伝達に関与する多孔質体表面の面積は比較的大きく、従って、熱流束密度は低下する。しかしながら、熱伝達は、発熱面と多孔質体表面との間の固体熱伝導に依存したものであるので、マイクロチャンネル熱交換器として機能する乾燥帯域が、確実に多孔質体に形成され、従って、水蒸気を過熱する上で十分な乾燥帯域が、多孔質体に形成される。
所望により、発熱体を部分的に収容可能な凹所又は窪みが多孔質体の被給液面に形成され、発熱体は、凹所又は窪みに部分的に収容される。凹所又は窪みの表面と、発熱体表面との間に形成された隙間には、充填材料又は接着材料が充填される。このような構成によれば、充填材料又は接着材料を充填すべき隙間の領域を明確に区画し難い円形断面の伝熱体等を被給液面に比較的容易に配置することができる。
本発明の応用として、多孔質体を穿孔して形成した孔内に発熱体を収容し、発熱体と孔の内壁面との間に充填材料又は接着材料を充填することにより、発熱体を実質的に完全に多孔質体内に埋設することも可能である。
好ましくは、上記充填材料又は接着材料として、耐熱性及び耐水性(又は耐液性)に優れ、繰返す熱応力に抗する耐熱劣化性能又は耐久性を有し、発熱体及び多孔質体の熱変形又は熱膨張等に追随する樹脂系又はセラミック系の材料が用いられる。例えば、上記充填材料又は接着材料として、400℃を超える温度に耐える耐熱性を有するエポキシ樹脂系接着剤を好ましく使用し得る。
本発明の或る好適な実施形態において、上記充填層は、熱伝導性を向上するための金属粉又は金属片を含む。例えば、銅粉等の金属粉が上記充填材料又は接着材料に混合又は混入される。
発熱体を配設すべき多孔質体の被給液面は、平面であっても、湾曲面であっても良い。好ましくは、被給液面は、水蒸気流路の流路壁を形成し、流路は、過熱水蒸気を系外の装置に送出する過熱水蒸気給送管等に連通する。流路内に露出した発熱体の部分は、流路内雰囲気を加熱し、流路を流動する過熱水蒸気の温度降下又は凝縮を防止する。流路内に露出した発熱体部分の輻射熱によって、他の多孔質体表面又は反対側の多孔質体表面を加熱するようにしても良い。
本発明の好適な実施形態によれば、過熱水蒸気発生装置又は過熱蒸気発生装置は、発熱体に通電するための電力供給装置を更に備える。好ましくは、電力供給装置は、発熱体に通電すべき電力の電圧値又は電流値を制御して発熱体の発熱量を制御する発熱体制御手段を有する。本発明の過熱水蒸気発生装置又は過熱蒸気発生装置においては、発熱体の発熱量を制御することによって水又は液体の蒸発速度を変化させることができるので、発熱体制御手段は、水又は液体の蒸発速度を可変制御することができる。従って、このような装置構成によれば、水又は蒸気の蒸発速度を発熱体の発熱量に応じて任意に設定することができ、これにより、例えば、次工程に供給される過熱水蒸気又は過熱蒸気の流量制御等を実行することが可能となる。
なお、多孔質体の細孔径、有効熱伝導率、材質、流路断面等は、装置の使用目的、液体の物性、水蒸気又は蒸気の物性等に相応して適宜設定される。
図1は、本発明者が前述の特許第4923258号公報(特許文献9)において提案した過熱水蒸気加熱装置の構成を概略的に示す斜視図及び断面図である。図2(A)は、図1に示す中空部の部分拡大断面図であり、図2(B)及び図2(C)は、図1に示す装置を用いた過熱水蒸気生成の原理を模式的且つ概念的に示す断面図である。
過熱水蒸気発生装置1は、水蒸気送出管3、液槽5、多孔質体6及びコイル状発熱体8を有する。水蒸気送出管3の下流端(図示せず)は、系外の装置(図示せず)に接続され、該装置に過熱水蒸気を供給し、或いは、系外の装置内に過熱水蒸気を吐出する。発熱体8には、リード線15が接続され、リード線15の端子16には、電流供給装置20の通電配線21が接続される。電流供給装置20は、給電線22を介して交流電源23に接続される。給水装置25が、液槽5と関連して水蒸気発生装置1に設けられる。給水管26、水質浄化装置27及び供給管28を含む給水装置25は、水質浄化した水を液槽5内に供給する。多孔質体6の下部が液槽5内の水Wに浸漬される。
多孔質体6は、多数の連通空隙を有するセラミックス成形体からなり、耐熱性及び電気絶縁性を有する。例えば、多孔質体6は、幅50mm×高さ50mm×長さ120mmの寸法を有する市販の耐熱断熱レンガ(型式B5、 イソライト社製品、主成分:SiO2 55%、 Al2O3 41%、有効熱伝導率:0.33 [W/(m・K)])からなり、平均細孔径=9μm、モード径=90.6μm、空隙率=62.3%の物性を有する。直径8mmの中空部7が、多孔質体6の断面(50mm×50mm)の中心において、貫通孔として多孔質体6に穿設され、中空部7の上流端は、閉塞栓7bによって閉塞される。
連通空隙によって多孔質体6内に形成される多数の細孔30が、図2に模式的に示されている。細孔30は、多孔質体6の下部において液槽5内の水Wに接し、水Wは、毛細管現象によって細孔30に吸い上げられる。細孔30は、中空部7の内壁面6aにおいて開口し、細孔30の出口開口31が、発熱体8の表面に近接する。内壁面6aは、毛細管現象によって水Wを給液すべき被給液面を構成する。
図2(B)に示す如く、細孔30内の水は、出口開口31において表面張力により湾曲し、メニスカスMを形成する。メニスカスMは、薄い水膜として出口開口31の全周に形成される。ニクロム線又はカンタル線からなる発熱体8に交流電流が印加され、発熱体8が発熱すると、発熱体8の熱は、メニスカスMの水に伝熱し、メニスカスMの水を加熱する。メニスカスMの水は又、発熱体8の輻射熱によっても加熱される。メニスカスMは、細孔30の出口縁部に位置する微小質量の水又は薄い水膜であることから、熱容量が極めて小さく、従って、メニスカスMの水は、発熱体8の熱によって瞬時に気化する。メニスカスMの液膜部において急峻な水Wの蒸発現象が持続し、メニスカスMから発生した水蒸気Sは、発熱体8の表面に沿って流動し、発熱体8の表面と熱交換し、発熱体8の熱を更に受熱して過熱される。
水Wの気化が開始すると、発熱体8と接触した内壁面6a及びその近傍では、細孔30内に蒸気層が形成されるとともに、内壁面6aの局部的な乾燥が生じる。発熱体8と内壁面6aの伝熱接触部に高密度且つ大きな熱流束を発生させると、発熱体8の近傍の細孔30内において、水Wの液面は、図2(C)に示すように、細孔30の出口開口31から細孔30内に後退する。この結果、内壁面6aには、水Wの液面が細孔30内に後退した乾燥帯域αと、水Wの液面が細孔30の出口開口31近傍に位置する湿潤帯域βとが、内壁面6aの局部加熱によって形成される。乾燥帯域αは、発熱体8近傍に形成され、湿潤帯域βは、発熱体8の間に形成されるので、乾燥帯域α及び湿潤帯域βは、交互に配置される。このような乾燥帯域α及び湿潤帯域βが形成されると、発熱体8近傍への三次元的な水Wの移動が生じるとともに、多孔質体6の全体的な乾燥が防止され、水Wは、毛管作用によって円滑に発熱体8の近傍に給液される。
乾燥帯域αにおいては、発熱体8の発熱は、細孔30内に生成した水蒸気を過熱するように作用する。細孔30内に発生した水蒸気は、乾燥帯域αを流動する際、細孔30から中空部7に流出する際、そして、中空部7内を流動する際、乾燥帯域αの放熱、発熱体8の熱輻射および発熱体8近傍の対流伝熱によって更に加熱される。この結果、過熱水蒸気Sが中空部7に生成し、中空部7から系外の装置等に供給される。
本発明に係る過熱水蒸気発生装置1は、基本的には、このような原理に基づくものであるが、発熱体8が接触する多孔質体6の素材表面や、多孔質体6の切削面等は、一般に、多数の微細な凹凸等を有する粗面であるので、発熱体8と内壁面6aとの間に微小又は微細な隙間が形成される傾向がある。殊に、図3に示すように矩形断面の帯板状又は薄膜状電熱体を発熱体8として用いた場合、この種の隙間の影響が比較的顕著に顕れることが、本発明者の実験により判明した。
図3(A)及び図3(B)は、多数の微細な凹凸等を有する多孔質体6の内壁面6aに対して帯板状の発熱体8を配設した状態を示す断面図であリ、図3(C)は、多孔質体6の毛管作用によって内壁面6aに給液された水Wが発熱体8の熱によって気化する態様を模式的且つ概念的に示す断面図である。
図3(A)及び図3(B)に示すように、発熱体8の伝熱面8aには、内壁面6aの微細な凹凸等が存在する。このため、伝熱面8aは、内壁面6aに均一且つ密着状態に面接触し難く、伝熱面8aと内壁面6aとの間に微小寸法の隙間Gが形成される。このような隙間Gが形成されると、発熱体8の発熱時においても、水Wは、多孔質体6の毛管作用により、細孔30の出口開口31まで上昇する。即ち、前述の乾燥帯域α(図2)は形成されず、水Wは出口開口31において水Wの気化が生じるにすぎない。このため、出口開口31から流出する水蒸気S'は、過熱水蒸気ではなく、実質的に温度100℃の飽和水蒸気である。水蒸気S'は、隙間Gを流動して中空部7に流出するが、隙間Gを流動する間に発熱体8の熱を受熱して温度上昇し、100℃を超える温度の過熱水蒸気Sとして中空部7に流出する。
本発明者の実験においては、伝熱面8aの温度T1を300℃に設定すると、過熱水蒸気Sの温度T3は、約200℃であり、温度T3は、内壁面6aの温度T2(≒水蒸気S'の温度(100℃))と伝熱面8aの温度T1との中間温度であった。これは、温度T3の過熱水蒸気Sを生成するには、伝熱面8aの温度T1を過熱水蒸気Sの温度T3よりもかなり高い温度に設定する必要があることを意味する。例えば、T3の過熱水蒸気Sを生成するには、伝熱面8aの温度T1をT1≒[T3×2−100℃]に設定する必要が生じる。
図4(A)及び図4(B)は、本発明の実施例を示す断面図であリ、図4(C)は、乾燥帯域において水Wが気化し且つ過熱される態様を模式的且つ概念的に示す断面図である。
本発明に係る過熱水蒸気発生装置1においては、図4に示す如く、充填材料10が発熱体8と多孔質体6との間に充填される。充填材料10は、エポキシ樹脂系の接着剤からなり、発熱体8の伝熱面8aに接着するとともに、多孔質体6の内壁面6aに接着する。所望により、充填層の熱抵抗を低減する銅粉等の金属粉が、接着剤に予め混入又は混合される。
充填材料10の充填により、図3に示す隙間Gは消失し、発熱体8と多孔質体6との間に固体熱伝導経路が形成される。発熱体8の熱は、充填層を介して多孔質体6に固体熱伝導するので、発熱体8が発熱すると、発熱体8に近接した内壁面6aの温度T2は、伝熱面8aの温度T1と同等の温度に昇温する。
発熱体8に近接した多孔質体6の部分が温度T1と同等の温度T2に加熱されるので、毛細管現象によって多孔質体6の内壁面6aに給液された液浴5の水Wは、細孔30内で急激に気化する。水Wの液面は、細孔30の出口開口31から細孔30内に後退する。充填材料10は出口開口31を閉塞又は封止し、内壁面6aから水蒸気が流出するのを阻止するので、充填層直下の細孔30内で気化した水蒸気は、細孔30の出口開口31を開放した充填層外方の内壁面帯域γに迂回し、中空部7に流出する。なお、内壁面帯域γは、発熱体8の縁部に沿って延在する。
内壁面帯域γに迂回する水蒸気は、比較的大きな流動抵抗の下で多孔質体6内の細孔30を流動するので、水蒸気の流動抵抗に相応する比較的大きな圧力が乾燥帯域αに発生する。このため、乾燥帯域αにおける水Wの液面は、乾燥帯域αの圧力と多孔質体6の毛管力とが均衡するように多孔質体6内に後退し、この結果、マイクロチャンネル熱交換器として機能するように拡大した乾燥帯域αが、発熱体近傍の多孔質体部分に形成される。
かくして形成された乾燥帯域αの多孔質体部分は、発熱体8の熱を固体熱伝導により受熱し、発熱体8の表面温度T1と同等の温度に昇温するので、細孔30内に生成した水蒸気は、内壁面帯域γに向かって流動する際に高温の多孔質体部分に伝熱接触して加熱され、過熱水蒸気Sとして内壁面帯域γの出口開口31から中空部7に流出する。過熱水蒸気Sの温度T3は、伝熱面8a及び内壁面6aの温度T1、T2よりも若干低い温度であるが、温度T1、T2と概ね同等の温度である。
本発明者は、乾燥帯域αの作用を確認すべく、内壁面帯域γから流出する過熱水蒸気の温度T3を測定する実験を実施した。図5は、実験装置の概要を示す平面図、側面図及び断面図である。
実験装置は、液槽5、多孔質体6、発熱体8及び電流供給装置20から概ね構成される。電流供給装置20の通電配線21が発熱体8用の端子板30に接続される。電流供給装置20は、給電線22を介して定電圧式の直流電源装置23'に接続される。多孔質体6は、上下の多孔質体61、62からなる。発熱体8は、ステンレス製の薄膜状電熱ヒータ(厚さ約0.1mm、幅約4mm)からなる。複数(4体)の発熱体8が多孔質体61、62の間に等間隔且つ平行に並列配置される。各発熱体8には、上側の多孔質体61の重量が作用するので、各発熱体8は、上下の多孔質体61、62によって挟持された状態で多孔質体61、62の表面63、64の間に介挿される。発熱体8の厚さに相当する流路寸法の水蒸気流路66が、多孔質体61、62の間に形成される。発熱体8の各端部は、多孔質体61、62の側方に延出し、端子板30に接続される。
多孔質体61は、垂直(鉛直)且つ円形の貫通孔65を備える。この実験装置においては、3つの貫通孔65は、発熱体8の間の領域に配置され、2つの貫通孔65は、発熱体群の外側に配置される。各貫通孔65の下端開口は、水蒸気流路66に開口する。各貫通孔65の上端開口は、多孔質体61の上面に固定された半円形断面の集合管67の管内流路に連通する。集合管67には、水蒸気温度を検出する温度検出器68が配設される。
発熱体8に通電し、発熱体8が発熱すると、液槽5の水Wは、毛細管現象によって多孔質体62の表面(被給液面)64に上昇し、発熱体8の熱によって気化する。図5(F)に破線で示す如く、表面64から流路66に流出した水蒸気Stは、貫通孔65に流入する。各貫通孔65に流入した水蒸気Stは、集合管67に捕集される。集合管67内の水蒸気温度は、温度検出器68によって計測される。
本発明者は、以下の比較例及び実施例に関し、実験を行なった。
(1)比較例:発熱体8を多孔質体62の表面64の上に単に載置した状態(充填材料10の充填層が形成されない状態)で上下の多孔質体61、62の間に介挿し、発熱体8に通電して発熱体8を発熱させる。
(2)実施例:充填材料10を構成するエポキシ樹脂系接着剤によって発熱体8を多孔質体62の表面64に接着した状態(図5(F)に破線で示す充填層を形成した状態)で上下の多孔質体61、62の間に介挿し、発熱体8に通電して発熱体8を発熱させる。
実験は、液槽5の水に多孔質体62の下部を3mm程度浸漬し、発熱体8に印加される電圧を5Vに設定した条件で実施され、電流供給装置20及び温度検出器68によって電流値、電圧値及び水蒸気温度が計測された。なお、エポキシ樹脂系接着剤として、ハンツマン・アドバンスト・マテリアルズ社製の「アラルダイト」(登録商標)が使用された。
図6は、発熱体8を表面64に接着しない上記比較例に関して行なった実験の実験結果を示す線図である。なお、図6(B)は、図6(A)の部分拡大図である。
図6に示す如く、上記比較例においては、通電直後に迅速に水蒸気Stが流路66に発生したが、温度検出器68によって測定された水蒸気温度は、100℃の状態をその後維持し、水蒸気Stの温度上昇は、観られなかった。即ち、過熱水蒸気は流路66に発生せず、飽和水蒸気が持続的に流路66に生成するにすぎない。
図7は、発熱体8を表面64に接着した上記実施例に関して行なった実験の実験結果を示す線図である。なお、図7(B)は、図7(A)の部分拡大図である。
図7に示す如く、本発明の実施例に係る実験においては、水蒸気Stの温度は、100℃の状態を数秒間維持した後、100℃を超える温度に温度上昇した。即ち、発熱体8を表面64に接着した場合(図5(F)に破線で示す充填層を形成した場合)、過熱水蒸気Sが流路66に持続的に生成することが確認された。
なお、図6及び図7に示す線図においては、加熱量が通電開始後に徐々に低下しているが、これは、発熱体8の電気抵抗値が温度上昇に伴って若干上昇し、電気回路の電流値が徐々に低下することに起因する加熱量の低下である。
図8は、図4に示す実施例の変形例を示す断面図である。図8(A)には、矩形断面の発熱体8を矩形断面の凹所又は窪み6bに配設した状態が示されており、図8(B)には、円形断面の発熱体8を円形断面の凹所又は窪み6cに配設した状態が示されており、図8(C)には、円形断面の発熱体8を円形断面の貫通孔6dに配設した状態が示されている。
上記実施例においては、平坦な多孔質体6の内壁面6aに対して矩形断面の発熱体8を接着しているが、図8(A)及び図8(B)に示す如く、多孔質体6の内壁面6aに凹所又は窪み6b、6cを形成して、発熱体8の少なくとも一部を凹所又は窪み6b、6c内に配置しても良い。また、図8(C)に示す如く、多孔質体6に埋設用孔6dを形成して、発熱体8を埋設用孔6dの中に挿入することも可能である。充填材料又は接着材料10は、凹所又は窪み6b、6cの底面又は壁面と発熱体8との間に充填され、或いは、埋設用孔6d内において発熱体8及び多孔質体6の間に充填される。なお、図8(C)に示す装置構成においては、発熱体8と埋設用孔6dとの間の隙間領域全域に充填材料又は接着材料10を充填することは、必ずしも必要ではなく、発熱体8を埋設用孔6d内に所望の如く固定し得るのであれば、発熱体8と埋設用孔6dとの隙間領域の所要部分にのみ充填材料又は接着材料10を部分的に充填しても良い。
以上、本発明の好適な実施例について詳細に説明したが、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の範囲内で種々の変形又は変更が可能である。
例えば、多孔質体の細孔径や、過熱水蒸気の流路構成、或いは、過熱水蒸気流路を構成する中空部の断面寸法、箇所数等は、適宜設計変更することができる。また、多孔質体として、耐熱性及び電気絶縁性を有し、発熱体の熱により劣化し又は分解しない材質のものを適宜採用することができる。所望により、電気絶縁性を有するシースヒータ等を発熱体として使用し、導電性を有する金属製多孔質体等を上記多孔質体として採用することも可能である。
本発明によれば、水蒸気を利用した各種の機器において採用し得る小型且つ安価な構造を有し、しかも、極めて迅速に過熱水蒸気を発生させる水蒸気発生装置及び水蒸気発生方法が提供される。殊に、本発明の水蒸気発生装置及び水蒸気発生方法は、家庭用調理器、蒸し器、殺菌消毒器、乾燥機等の如く、過熱水蒸気を利用した家庭用又は産業用の機器において好適に使用し得る。このような機器に本発明を適用した場合、本発明は、水蒸気発生機構の小型化及び低価格化を可能にするので、極めて有利である。また、本発明の構成は、液体燃料等を気化させる蒸気発生手段に応用することができるので、その実用的効果は顕著である。
1 水蒸気発生装置
3 水蒸気送出管
5 液槽
6 多孔質体
6a 内壁面(被給液面)
7 中空部
8 発熱体
8a 伝熱面
10 充填材料(充填層)
20 電流供給装置
30 細孔
31 出口開口
W 水
M メニスカス
S 水蒸気
α 乾燥帯域
β 湿潤帯域
γ 内壁面帯域

Claims (11)

  1. 液浴に部分的に浸漬した多孔質体と、発熱面を備えた発熱体とを有し、該発熱体は、多孔質体の毛細管現象によって給液される多孔質体の被給液面に接触又は近接し、前記被給液面に給液される前記液浴の水は、前記発熱体の発熱により加熱され、前記多孔質体の細孔内で気化し且つ過熱される過熱水蒸気発生装置において、
    前記多孔質体と前記発熱面との間に充填材料又は接着材料を充填して、該充填材料又は接着材料の充填層により前記被給液面及び前記発熱面の間に固体熱伝導経路を形成し、前記発熱体の発熱により、前記多孔質体に乾燥帯域を形成し且つ前記充填層外の被給液面部分から過熱水蒸気を流出させるようにしたことを特徴とする過熱水蒸気発生装置。
  2. 前記発熱体は、矩形断面を有する帯板状又は薄膜状の電熱体からなり、前記発熱面及び前記被給液面は、対向配置されることを特徴とする請求項1に記載の過熱水蒸気発生装置。
  3. 前記多孔質体は、前記発熱体を少なくとも部分的に収容可能な凹所又は窪みを有し、該発熱体は、凹所又は窪みに少なくとも部分的に収容されることを特徴とする請求項1又は2に記載の過熱水蒸気発生装置。
  4. 前記充填材料又は接着材料は、過熱水蒸気に対する耐熱性及び耐水性と、前記発熱体及び多孔質体の熱変形又は熱膨張に追随する変位追随性とを有する樹脂系又はセラミック系の接着剤からなることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の過熱水蒸気発生装置。
  5. 前記充填層は、熱伝導性を向上するための金属粉又は金属片を含むことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の過熱水蒸気発生装置。
  6. 液浴に部分的に浸漬した多孔質体と、該多孔質体の被給液面に接触し又は近接した発熱体の発熱面とを使用し、前記液浴の水を前記多孔質体の毛細管現象によって前記被給液面に給液するとともに、前記発熱体の発熱により前記多孔質体の細孔内の水を気化し且つ該細孔内の水蒸気を過熱する過熱水蒸気発生方法において、
    充填材料又は接着材料を前記被給液面及び前記発熱面の間に充填して、該充填材料又は接着材料の充填層を前記被給液面及び前記発熱面の間に形成し、前記被給液面と前記発熱面との間の固体熱伝導により、前記多孔質体に乾燥帯域を形成するとともに、前記充填層外の被給液面部分から過熱水蒸気を流出せしめることを特徴とする過熱水蒸気発生方法。
  7. 前記発熱体として、矩形断面を有する帯板状又は薄膜状の電熱体を使用し、該電熱体の発熱面を前記被給液面に対向配置し、前記電熱体の縁部に沿って延びる前記被給液面の帯域又は領域に開口した細孔出口部から過熱水蒸気を流出せしめることを特徴とする請求項6に記載の過熱水蒸気発生方法。
  8. 前記発熱体を少なくとも部分的に収容可能な凹所又は窪みを前記多孔質体に形成し、前記発熱体を前記凹所又は窪みに少なくとも部分的に収容するとともに、該凹所又は窪みの底面又は壁面と前記発熱面との間に前記充填材料又は接着材料を充填することを特徴とする請求項6又は7に記載の過熱水蒸気発生方法。
  9. 熱伝導性を向上するための金属粉又は金属片を前記充填層に含有せしめることを特徴とする請求項6乃至8のいずれか1項に記載の過熱水蒸気発生方法。
  10. 液浴に部分的に浸漬した多孔質体と、発熱面を備えた発熱体とを有し、該発熱体は、多孔質体の毛細管現象によって給液される多孔質体の被給液面に接触又は近接し、前記被給液面に給液される前記液浴の液体は、前記発熱体の発熱により加熱され、前記多孔質体の細孔内で気化し且つ過熱される過熱蒸気発生装置において、
    前記多孔質体と前記発熱面との間に充填材料又は接着材料を充填して、該充填材料又は接着材料の充填層により前記被給液面及び前記発熱面の間に固体熱伝導経路を形成し、前記発熱体の発熱により、前記多孔質体に乾燥帯域を形成し且つ前記充填層外の被給液面部分から過熱蒸気を流出させるようにしたことを特徴とする過熱蒸気発生装置。
  11. 液浴に部分的に浸漬した多孔質体と、該多孔質体の被給液面に接触し又は近接した発熱体の発熱面とを使用し、前記液浴の液体を前記多孔質体の毛細管現象によって前記被給液面に給液するとともに、前記発熱体の発熱により前記多孔質体の細孔内の液体を気化し且つ該細孔内の蒸気を過熱する過熱蒸気発生方法において、
    充填材料又は接着材料を前記被給液面及び前記発熱面の間に充填して、該充填材料又は接着材料の充填層を前記被給液面及び前記発熱面の間に形成し、前記被給液面と前記発熱面との間の固体熱伝導により、前記多孔質体に乾燥帯域を形成するとともに、前記充填層外の被給液面部分から過熱蒸気を流出せしめることを特徴とする過熱蒸気発生方法。
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