JP2015025325A - き裂進展防止装置と方法 - Google Patents

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信弥 宮崎
Shinya Miyazaki
信弥 宮崎
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Abstract

【課題】構造物の一般的な部位(例えば平板部)に生じたき裂へ適用することができ、ボルトを締結するだけでき裂の進展を防止することができるき裂進展防止装置と方法を提供する。
【解決手段】き裂3を跨いで被補強部4の片面又は両面に沿って延びる1又は複数の補強部材12と、き裂3を跨いだ両側で補強部材12を被補強部4に締結する締結部材14とを備える。補強部材12は、被補強部4と異なる線膨張率を有している。被補強部4の使用温度と被補強部4及び補強部材12との温度差Δtがある状態においてき裂3を跨いだ両側で補強部材12を被補強部4に締結し、温度差Δtが減少することにより、き裂3を閉じる方向に被補強部4に圧縮力を付与する。
【選択図】図2

Description

本発明は、構造物に生じたき裂の進展を防止するき裂進展防止装置と方法に関する。
例えば橋梁、クレーンなどの構造物において、供用時の繰返し応力による疲労現象や、地震等による過大応力により構造物の表面や内部にき裂が生じることがある。
このような場合、構造物に生じたき裂の進展を防止する手段として、例えば特許文献1〜4が提案されている。
特許文献1の「鋼製橋脚の補強施工方法」は、柱部材と梁部材の少なくとも一方と、補強部材との間に温度差を与えて連結し、その後の温度差の低減により、柱部材と梁部材の接続部又はその近傍に作用する内力と相殺される向きのプレストレス力を発生させるものである。
特許文献2の「脆性き裂伝播停止に優れた補強構造」は、脆性き裂を跨ぐ補強板とこの補強板を母材に結合する結合手段とによって、補強板に予め引張ひずみが付与されるものである。この付与は、加熱または機械的な引張力による。
特許文献3の「鋼橋のソールプレートすみ肉溶接部からのき裂の補修・補強構造」は、主桁のフランジのソールプレートのすみ肉溶接部と反対側に、主桁のフランジと平行に延びる補強板を当て、該補強板に主桁のフランジと反対側から押え材を当て、該補強板を主桁のフランジと押え材とで挟み高力ボルトで締付け、押え材と主桁の端補剛材またはウエブとを高力ボルトで締結するものである。
特許文献4の「鋼床版補強工法及びその工法に用いられる鋼コンクリート合成パネル」は、舗装が撤去された鋼床版のデッキプレートの上に、縞鋼板の上面に繊維強化コンクリートを打設して一体化してなる鋼コンクリート合成パネルを敷設し、該鋼コンクリート合成パネルをデッキプレートに固定するものである。
特開2004−68402号公報 特許第4909237号公報 特開2000−288726号公報 特開2011−42985号公報
上述した従来の手段(き裂進展防止手段)は、以下の問題点があった。
特許文献1の手段は、被補強部(柱部材と梁部材)と補強部材との伝熱により温度差を保つことが困難である。また、高温の補強部材をボルト等で締結するのは施工が困難であった。
特許文献2の手段は、構造物の補修現場で機械的に引張力を与える装置を設置することは困難である。また部材を溶接することはそこが破壊起点になる可能性が高い。
特許文献3の手段は、構造物に補強板を高力ボルトで締付ける部材(この例では主桁の端補剛材またはウエブ)がある場合に限られる。
特許文献4の手段は、鋼床版のデッキプレートに限られる。
そのため、橋梁、クレーンなどの構造物の一般的な部位(例えば平板部)に生じたき裂への適用が困難であった。
本発明は、上述した問題点を解決するために創案されたものである。すなわち、本発明の目的は、構造物の一般的な部位(例えば平板部)に生じたき裂へ適用することができ、ボルトの締結によりき裂の進展を防止することができるき裂進展防止装置と方法を提供することにある。
本発明によれば、構造物の被補強部に生じたき裂の進展を防止するき裂進展防止装置であって、
前記き裂を跨いで前記被補強部の片面又は両面に沿って延びる1又は複数の補強部材と、
前記き裂を跨いだ両側で前記補強部材を前記被補強部に締結する締結部材と、を備え、
前記補強部材は、前記被補強部と異なる線膨張率を有しており、
前記被補強部の使用温度と被補強部及び補強部材との温度差がある状態において前記き裂を跨いだ両側で前記補強部材を前記被補強部に締結し、前記温度差が減少することにより、前記き裂を閉じる方向に被補強部に圧縮力を付与する、ことを特徴とするき裂進展防止装置が提供される。
前記被補強部は、前記き裂を跨いで第1軸間距離を隔てて設けられた雌ねじ穴又はボルト用の第1貫通孔を有し、
前記補強部材は、前記き裂を跨いで第2軸間距離を隔てて設けられたボルト用の第2貫通孔を有し、
前記第2軸間距離は、前記温度差がある状態において前記第1軸間距離と一致し、前記温度差が低下することにより、前記第1軸間距離より短くなるように設定されている。
前記締結部材は、前記被補強部に設けられた雌ねじ穴と螺合するボルト、又は被補強部に設けられた貫通孔を通して前記補強部材の両端部と前記被補強部を共締めするボルトとナットである。
前記ボルトは、前記被補強部の表面に前記補強部材を摩擦接合により一体的に固着する高力ボルトである。
また本発明によれば、構造物の被補強部に生じたき裂の進展を防止するき裂進展防止方法であって、
前記被補強部と異なる線膨張率を有しており、前記き裂を跨いで前記被補強部の片面又は両面に沿って延びる1又は複数の補強部材と、
前記き裂を跨いだ両側で前記補強部材を前記被補強部に締結する締結部材と、を準備し、
(A)前記1又は複数の補強部材を、前記き裂を跨いで前記被補強部の片面又は両面に沿って配置し、
(B)前記被補強部の使用温度と被補強部及び補強部材との温度差がある状態にし、
(C)前記締結部材により、前記き裂を跨いだ両側で前記補強部材を前記被補強部に締結し、
(D)前記被補強部を使用温度に保持し、前記温度差が減少することにより、前記き裂を閉じる方向に被補強部に圧縮力を付与する、ことを特徴とするき裂進展防止方法が提供される。
前記補強部材は、前記被補強部より大きい線膨張率を有しており、
前記(B)において、前記被補強部及び前記補強部材を加熱して前記使用温度よりも高温状態に保持する。
前記補強部材は、前記被補強部より小さい線膨張率を有しており、
前記(B)において、前記被補強部及び前記補強部材を冷却又は常温に保持して前記使用温度よりも低温状態に保持する。
上記本発明の装置と方法によれば、補強部材が被補強部と異なる線膨張率を有しているので、被補強部の使用温度と被補強部及び補強部材との温度差がある状態においてき裂を跨いだ両側で補強部材を被補強部に締結することにより、前記温度差が減少することにより、き裂を閉じる方向に被補強部に圧縮力を付与することができる。
この圧縮力はき裂が閉じる方向に働くことから、外力がき裂を開いて進展させようとする作用を打消し、き裂進展を防止する。
従って、構造物の一般的な部位(例えば平板部)に生じたき裂へ適用することができ、締結部材(ボルト)を締結するだけでき裂の進展を防止することができる。
き裂の発生例(A)と本発明のき裂進展防止装置の模式図(B)である。 本発明のき裂進展防止装置の第1実施形態図である。 本発明のき裂進展防止方法のフローチャートである。 本発明のき裂進展防止装置の第2実施形態図である。 本発明のき裂進展防止装置の第3実施形態図である。 本発明のき裂進展防止装置の第4実施形態図である。 本発明のき裂進展防止装置の第5実施形態図である。
以下、本発明の好ましい実施形態を添付図面に基づいて詳細に説明する。なお、各図において共通する部分には同一の符号を付し、重複した説明を省略する。
図1は、き裂の発生例(A)と本発明のき裂進展防止装置10の模式図(B)である。
図1(A)において、1は橋梁、クレーンなどの構造物、2は構造物1を構成する平板部、3は平板部2に生じたき裂を示している。
以下、き裂3を含む構造物1の部位(この例で平板部2)を単に「被補強部」と呼び、符号4で示す。
なお、被補強部4は、平板部2に限定されず、鋳造部材のブロック等であってもよい。また、き裂3は、被補強部4を厚さ方向に貫通したものに限定されず、表面又は内部のみに存在するものであってもよい。
図1(B)に示すように、本発明のき裂進展防止装置10は、補強部材12と締結部材14とを備える。
補強部材12は、この図では、単一であり、き裂3を跨いで構造物1の被補強部4の片面に沿って延びる。なお、補強部材12を複数(例えば2枚)設け、き裂3を跨いで被補強部4の両面に沿って配置してもよい。き裂3を跨いで位置する補強部材12の両端部(図で左右方向)には、ボルト15aを通すボルト穴が設けられている。両端部のボルト穴は、それぞれ単数でも複数でもよい。
被補強部4には、き裂3を跨いで補強部材12のボルト穴に対向する位置に同様のボルト穴、又は雌ねじ穴を予め設けておく。
締結部材14は、この図では、4本のボルトであり、き裂3を跨いだ両側で補強部材12を被補強部4に締結する。
なお、締結部材14は、この例では、被補強部4に設けられた貫通孔を通して補強部材12の両端部と被補強部4を共締めするボルトとナット(図示せず)であるが、被補強部4に設けられた雌ねじ穴と螺合するボルトであってもよい。
図2は、本発明のき裂進展防止装置10の第1実施形態図である。この例は、被補強部4の使用温度が、常温(例えば20〜30℃)又は常温より低温である場合を示している。
またこの図において、(A)は締結部材14の締結時、(B)は構造物1の使用時を示している。
図2(A)において、2枚の補強部材12が、き裂3を跨いで被補強部4の両面に沿って延びる。また、この例において、締結部材14は、被補強部4に設けられた貫通孔を通して補強部材12の両端部と被補強部4を共締めするボルト15aとナット15bである。ボルト15aは、好ましくは高力ボルトであり、被補強部4の表面に補強部材12を摩擦接合により一体的に固着するようになっている。
被補強部4は、き裂3を跨いで第1軸間距離L1を隔てて設けられたボルト用の第1貫通孔4aを有する。
補強部材12は、被補強部4と異なる線膨張率α2を有している。すなわち、被補強部4の使用温度が、常温(例えば20〜30℃)又は常温より低温である場合、補強部材12は、被補強部4の線膨張率α1より大きい線膨張率α2を有している。
また、補強部材12は、き裂3を跨いで第2軸間距離L2を隔てて設けられたボルト用の第2貫通孔12aを有する。
第2軸間距離L2は、被補強部4の使用温度と被補強部4及び補強部材12との温度差Δtがある状態において第1軸間距離L1と一致し、温度差Δtが減少することにより、第1軸間距離L1より短くなるように設定されている。
温度差Δtは、例えば100〜200℃、好ましくは150℃であるのがよい。また、温度差Δtがある状態における第1軸間距離L1と第2軸間距離L2は、例えば200〜800mm、好ましくは500mmであるのがよい。
補強部材12は、き裂3を跨いで被補強部4の表面(この場合は両面)に密着し、締結部材14による締付力Tで被補強部4の表面に一体的に固着される。被補強部4の表面と補強部材12との摩擦係数μは、少なくとも0.2以上であり、好ましくは1.0以上である。
上述した構成により、被補強部4の使用温度が、常温(例えば20〜30℃)より低温である場合、被補強部4の使用温度と被補強部4及び補強部材12との温度差Δtがある高温状態においてき裂3を跨いだ両側で補強部材12を被補強部4に締結し、温度差Δtが減少することにより、き裂3を閉じる方向に被補強部4に圧縮力を付与することができる。
なお、この構成は、被補強部4の使用温度が、常温(例えば20〜30℃)より高い温度である場合にも適用することができる。
使用温度が常温より高温(例えば100〜300℃)である場合、被補強部4の使用温度(常温)と被補強部4及び補強部材12との温度差Δtがある高温状態においてき裂3を跨いだ両側で補強部材12を被補強部4に締結し、温度差Δtが減少する(常温になる)ことにより、き裂3を閉じる方向に被補強部4に圧縮力を付与することができる。
また、温度差Δtの閾値を計算又は試験によりあらかじめ決めておき、その閾値以上である状態で締結するのがよい。この点は、この実施形態に限定されず、その他の実施形態でも同様である。
図3は、本発明のき裂進展防止方法のフローチャートである。この図に示すように、本発明の方法は、S1〜S5の各ステップ(工程)からなる。
ステップS1では、1又は複数の補強部材12と、き裂3を跨いだ両側で補強部材12を被補強部4に締結する締結部材14とを準備する。
ステップS2では、1又は複数の補強部材12を、き裂3を跨いで被補強部4の片面又は両面に沿って配置する。
ステップS3では、被補強部4の使用温度と被補強部4及び補強部材12との温度差Δtがある状態にする。
ステップS4では、締結部材14により、き裂3を跨いだ両側で補強部材12を被補強部4に締結する。
ステップS5では、被補強部4を使用温度に保持し、温度差Δtが減少することにより、き裂3を閉じる方向に被補強部4に圧縮力を付与する。
被補強部4の使用温度が、常温(例えば20〜30℃)又は常温より低温である場合、補強部材12は、被補強部4より大きい線膨張率α2を有しており、ステップS3において、被補強部4及び補強部材12を加熱して使用温度よりも高温状態に保持する。
この加熱には、例えばガスバーナーを用いることができる。
被補強部4の使用温度が、常温(例えば20〜30℃)より高温(例えば100〜300℃)である場合、補強部材12は、被補強部4より小さい線膨張率α3を有しており、ステップS3において、被補強部4及び補強部材12を冷却又は常温に保持して使用温度よりも低温状態に保持する。
この冷却には、冷却水、ドライアイス、又は液体窒素を用いることができる。
図2(B)は、構造物1の使用時、すなわちステップS5の状態を示している。
ステップS5で被補強部4を使用温度に保持し、温度差Δt(例えば100〜200℃)が低下して0に近づくと、被補強部4及び補強部材12の両方が熱収縮する。
この熱収縮による被補強部4の第1軸間距離L1の熱収縮距離ΔL1は、ΔL1=L1×α1×Δt・・・(1)であり、補強部材12の第2軸間距離L2の熱収縮距離ΔL2は、ΔL2=L2×α2×Δt・・・(2)である。
また、被補強部4の使用温度と被補強部4及び補強部材12との温度差Δtがある状態において、第2軸間距離L2=第1軸間距離L1であることから、ΔL2−ΔL1=L1×(α2−α1)×Δt・・・(3)であり、α2>α1であることから、ΔL2−ΔL1>0・・・(4)となる。
例えば、被補強部4が炭素鋼(例えばSM400)、線膨張率α1が10×10−6(/℃)であり、補強部材12がステンレス鋼(例えばSUS304)、線膨張率α2が15×10−6(/℃)であり、使用温度との温度差Δtが150℃である状態における第1軸間距離L1と第2軸間距離L2が500mmであるとする。
この場合、式(1)からΔL1=500×10×10−6×150=5×1×0.15=0.75mmであり、式(2)からΔL2=500×15×10−6×150=5×1.5×0.15=1.125mmとなる。
すなわち、第2軸間距離L2の熱収縮距離ΔL2(1.125mm)は、第1軸間距離L1の熱収縮距離ΔL1(0.75mm)より常に大きくなり、き裂3を閉じる方向に被補強部4に圧縮力を付与することができる。
また、この状態で、き裂3を開く方向の外力が作用しても、き裂3を閉じる方向に片面当たりμTに相当する力まで支持するので、き裂3の進展を防止することができる。
従って図2(B)の場合には、き裂3を開く方向の外力に対して、2枚の補強部材12により、き裂3を閉じる方向に両面で2倍の2μTに相当する力まで支持することができる。
さらに、両端部のボルト数nを複数にした場合には、さらにn倍に相当する力まで支持することができる。
図4は、本発明のき裂進展防止装置10の第2実施形態図であり、(A)は溶接工程、(B)は締結部材14の締結前、(C)は締結部材14の締結後を示している。
この例では、図4(A)において、補強部材12を取り付ける前に、き裂の表面を溶接する。この溶接において内部まで溶接で補修できず、内部にき裂3が残ってしまう可能性がある。
この例では、溶接での補修に加え、補強部材12による補強をする。
その他の構成は、第1実施形態と同様である。すなわち、図4(B)は図3(A)と同様であり、図4(C)は図3(B)と同様である。
上述した構成により、図4(A)において内部にき裂3が残っている場合でも、図4(C)の状態で、き裂3を開く方向の外力が作用しても、き裂3を閉じる方向に片面当たりμTに相当する力まで支持するので、き裂3の進展を防止することができる。
従って図4(C)の場合には、き裂3を開く方向の外力に対して、2枚の補強部材12により、き裂3を閉じる方向に両面で2倍の2μTに相当する力まで支持することができる。
なお、図4には、第1実施形態のき裂進展防止装置10が示されているが、き裂進展防止装置10の構成は、第1実施形態には限定されず、その他の実施形態で示されているき裂進展防止装置10であってもよい。
図5は、本発明のき裂進展防止装置10の第3実施形態図であり、(A)は締結時、(B)は構造物1の使用時を示している。またこの例は、被補強部4の使用温度が、常温(例えば20〜30℃)又は常温に近い低温である場合を示している。
図5(A)において、単一の補強部材12が、き裂3を跨いで被補強部4の片面に沿って延びる。
その他の構成は、第1実施形態と同様である。
図5(B)は、構造物1の使用時、すなわちステップS5の状態を示している。
この例では、補強部材12は被補強部4の片面のみに作用するので、き裂3を開く方向の外力に対して、き裂3を閉じる方向に片面当たりμTに相当する力まで支持することができる。
図6は、本発明のき裂進展防止装置10の第4実施形態図であり、(A)は締結時、(B)は構造物1の使用時を示している。またこの例は、被補強部4の使用温度が、常温より高温(例えば100〜300℃)である場合を示している。
図6(A)において、第1実施形態と同様に、2枚の補強部材12が、き裂3を跨いで被補強部4の両面に沿って延びる。
補強部材12は、被補強部4と異なる線膨張率α3を有している。すなわち、被補強部4の使用温度が、高温(例えば100〜300℃)である場合、補強部材12は、被補強部4の線膨張率α1より小さい線膨張率α3を有している。
また、補強部材12は、き裂3を跨いで第2軸間距離L2を隔てて設けられたボルト用の第2貫通孔12aを有する。
第2軸間距離L2は、被補強部4の使用温度と被補強部4及び補強部材12との温度差Δtがある状態において第1軸間距離L1と一致し、温度差Δtが低下することにより、第1軸間距離L1より短くなるように設定されている。温度差Δtは、例えば100〜200℃、好ましくは150℃であるのがよい。
その他の構成は、第1実施形態と同様である。
図6(B)は、構造物1の使用時、すなわちステップS5の状態を示している。
ステップS5で構造物1を使用温度に保持し、温度差Δt(例えば100〜200℃)が低下して0に近づくと、被補強部4及び補強部材12の両方が熱膨張する。
この熱膨張による被補強部4の第1軸間距離L1の熱膨張距離ΔL3は、ΔL3=L1×α1×Δt・・・(5)であり、補強部材12の第2軸間距離L2の熱膨張距離ΔL4は、ΔL4=L2×α3×Δt・・・(6)である。
また、使用温度との温度差Δtがある状態において、第2軸間距離L2=第1軸間距離L1であることから、ΔL4−ΔL3=L1×(α3−α1)×Δt・・・(7)であり、α3<α1であることから、ΔL4−ΔL3<0・・・(8)となる。
例えば、被補強部4が炭素鋼(例えばSM400)、線膨張率α1が10×10−6(/℃)であり、補強部材12がニッケル鋼(例えばインバー合金)、線膨張率α3が0.1×10−6(/℃)であり、使用温度との温度差Δtが150℃である状態における第1軸間距離L1と第2軸間距離L2が500mmであるとする。
この場合、式(5)からΔL3=500×10×10−6×150=5×1×0.15=0.75mmであり、式(6)からΔL4=500×0.1×10−6×150=5×0.1×0.15=0.05mmとなる。
すなわち、第2軸間距離L2の熱膨張距離ΔL4(0.05mm)は、第1軸間距離L1の熱膨張距離ΔL3(0.75mm)より常に小さくなり、き裂3を閉じる方向に被補強部4に圧縮力を付与することができる。
また、この状態で、き裂3を開く方向の外力が作用しても、き裂3を閉じる方向に片面当たりμTに相当する力まで支持するので、き裂3の進展を防止することができる。
従って図6(B)の場合には、き裂3を開く方向の外力に対して、2枚の補強部材12により、き裂3を閉じる方向に両面で2倍の2μTに相当する力まで支持することができる。
図7は、本発明のき裂進展防止装置10の第5実施形態図であり、(A)は締結時、(B)は構造物1の使用時を示している。またこの例は、被補強部4の使用温度が、常温より高温(例えば100〜300℃)である場合を示している。
図7(A)において、単一の補強部材12が、き裂3を跨いで被補強部4の片面に沿って延びる。
その他の構成は、第4実施形態と同様である。
図7(B)は、構造物1の使用時、すなわちステップS5の状態を示している。
この例では、補強部材12は被補強部4の片面のみに作用するので、き裂3を開く方向の外力に対して、き裂3を閉じる方向に片面当たりμTに相当する力まで支持することができる。
上述した本発明の装置と方法によれば、補強部材12が被補強部4と異なる線膨張率を有しているので、被補強部4の使用温度と被補強部4及び補強部材12との温度差Δtがある状態においてき裂3を跨いだ両側で補強部材12を被補強部4に締結することにより、温度差Δtが減少することにより、き裂3を閉じる方向に被補強部4に圧縮力を付与することができる。
この圧縮力はき裂3が閉じる方向に働くことから、外力がき裂3を開いて進展させようとする作用を打消し、き裂進展を防止する。
従って、構造物1の一般的な部位(例えば平板部2)に生じたき裂3へ適用することができ、締結部材14(ボルト15a)の締結により、き裂3の進展を防止することができる。
なお、本発明は上述した実施形態に限定されず、特許請求の範囲の記載によって示され、さらに特許請求の範囲の記載と均等の意味および範囲内でのすべての変更を含むものである。
μ 摩擦係数、T 締付力、
L1 第1軸間距離、L2 第2軸間距離、
ΔL1 熱収縮距離、ΔL2 熱収縮距離、
ΔL3 熱膨張距離、ΔL4 熱膨張距離、
α1 線膨張率、α2 線膨張率、α3 線膨張率、
Δt 温度差、1 構造物、2 平板部、3 き裂、
4 被補強部、4a 第1貫通孔、
10 き裂進展防止装置、12 補強部材、12a 第2貫通孔、
14 締結部材、15a ボルト(高力ボルト)、15b ナット

Claims (7)

  1. 構造物の被補強部に生じたき裂の進展を防止するき裂進展防止装置であって、
    前記き裂を跨いで前記被補強部の片面又は両面に沿って延びる1又は複数の補強部材と、
    前記き裂を跨いだ両側で前記補強部材を前記被補強部に締結する締結部材と、を備え、
    前記補強部材は、前記被補強部と異なる線膨張率を有しており、
    前記被補強部の使用温度と被補強部及び補強部材との温度差がある状態において前記き裂を跨いだ両側で前記補強部材を前記被補強部に締結し、前記温度差が減少することにより、前記き裂を閉じる方向に被補強部に圧縮力を付与する、ことを特徴とするき裂進展防止装置。
  2. 前記被補強部は、前記き裂を跨いで第1軸間距離を隔てて設けられた雌ねじ穴又はボルト用の第1貫通孔を有し、
    前記補強部材は、前記き裂を跨いで第2軸間距離を隔てて設けられたボルト用の第2貫通孔を有し、
    前記第2軸間距離は、前記温度差がある状態において前記第1軸間距離と一致し、前記温度差が低下することにより、前記第1軸間距離より短くなるように設定されている、ことを特徴とする請求項1に記載のき裂進展防止装置。
  3. 前記締結部材は、前記被補強部に設けられた雌ねじ穴と螺合するボルト、又は被補強部に設けられた貫通孔を通して前記補強部材の両端部と前記被補強部を共締めするボルトとナットである、ことを特徴とする請求項1に記載のき裂進展防止装置。
  4. 前記ボルトは、前記被補強部の表面に前記補強部材を摩擦接合により一体的に固着する高力ボルトである、ことを特徴とする請求項3に記載のき裂進展防止装置。
  5. 構造物の被補強部に生じたき裂の進展を防止するき裂進展防止方法であって、
    前記被補強部と異なる線膨張率を有しており、前記き裂を跨いで前記被補強部の片面又は両面に沿って延びる1又は複数の補強部材と、
    前記き裂を跨いだ両側で前記補強部材を前記被補強部に締結する締結部材と、を準備し、
    (A)前記1又は複数の補強部材を、前記き裂を跨いで前記被補強部の片面又は両面に沿って配置し、
    (B)前記被補強部の使用温度と被補強部及び補強部材との温度差がある状態にし、
    (C)前記締結部材により、前記き裂を跨いだ両側で前記補強部材を前記被補強部に締結し、
    (D)前記被補強部を使用温度に保持し、前記温度差が減少することにより、前記き裂を閉じる方向に被補強部に圧縮力を付与する、ことを特徴とするき裂進展防止方法。
  6. 前記補強部材は、前記被補強部より大きい線膨張率を有しており、
    前記(B)において、前記被補強部及び前記補強部材を加熱して前記使用温度よりも高温状態に保持する、ことを特徴とする請求項5に記載のき裂進展防止方法。
  7. 前記補強部材は、前記被補強部より小さい線膨張率を有しており、
    前記(B)において、前記被補強部及び前記補強部材を冷却又は常温に保持して前記使用温度よりも低温状態に保持する、ことを特徴とする請求項5に記載のき裂進展防止方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2018178555A (ja) * 2017-04-14 2018-11-15 川田工業株式会社 鋼構造物における垂直接合部の補修補強方法、及び、垂直接合部用補強材

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