JP2015025226A - ヘルメット用ハンモック - Google Patents

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【課題】ヘルメットの着用時に高い快適性が得られるだけでなく、ヘルメットに十分な墜落時保護性能を付与することができるヘルメット用ハンモックを提供する。【解決手段】ヘルメットの帽体4の内部に設けられて人頭に接するヘルメット用ハンモック1であって、放射状に配設された複数本の脚部8と、各脚部8を一体に連結する連結部9とからなるハンモック本体6を備えるものにおいて、人頭と帽体4との間に位置して衝撃を吸収する衝撃吸収構造部7をハンモック本体6に設ける。【選択図】図1

Description

本発明は、ヘルメットの帽体内部に設けられて人頭に接するヘルメット用ハンモックに関する。
従来、ヘルメットは、硬質の帽体と、人頭に接するハンモック、ヘッドバンド、環ひも等からなる着装体とを備えている。更に、この種のヘルメットにおいては、帽体の内面に衝撃吸収ライナが取り付けられている。
衝撃吸収ライナは、発泡スチロール等により形成されており、帽体の内面の殆どの範囲を覆っている。これにより、ヘルメット着用者の転倒や転落による墜落時に前頭部と後頭部との何れの側から衝撃を受けても、そのときの衝撃力を衝撃吸収ライナが適切に吸収して人頭を保護することができるようになっている(例えば、特許文献1参照)。
特開平8−311713号公報
しかし、帽体と着装体との間に衝撃吸収ライナが設けられていると、帽体と人頭との間の空隙が僅かとなることから、ヘルメット内部の通気性が悪く、衝撃吸収ライナにより放熱も阻害される。このため、ヘルメット内部に熱こもりや蒸れが生じて着用時の快適性が損なわれる不都合がある。
一方、通気性や放熱性を確保するために、帽体の内面から衝撃吸収ライナを取り除くことが考えられる。しかし、衝撃吸収ライナを取り除いた場合、帽体直上位置からの落下物等の衝突時には、ハンモック等の着装体による衝撃力の緩和が得られるものの、着用者の墜落時に前頭部側或いは後頭部側から受ける衝撃力に対しては殆ど吸収することができないために、十分な墜落時保護性能が得られなくなる不都合がある。
上記の点に鑑み、本発明は、ヘルメットの着用時に高い快適性が得られるだけでなく、ヘルメットに十分な墜落時保護性能を付与することができるヘルメット用ハンモックを提供することを目的とする。
かかる目的を達成するために、本発明は、ヘルメットの帽体内部に設けられて人頭に接するヘルメット用ハンモックであって、放射状に配設された複数本の脚部と、各脚部を頭頂部で互いに連結する連結部とからなるハンモック本体を備えるものにおいて、人頭と帽体との間に位置して衝撃を吸収する衝撃吸収構造部を、前記ハンモック本体に設けたことを特徴とする。
これによれば、従来のように帽体の内面に衝撃吸収ライナを取り付けることなく、ハンモックに設けた衝撃吸収構造部により衝撃を吸収することができるので、ヘルメットに十分な墜落時保護性能を付与することができる。しかも、従来の衝撃吸収ライナが不要であることにより、ハンモックに接する人頭と帽体との間に十分な空隙を確保して通気性や放熱性が得られ、ヘルメット内部の熱こもりや蒸れを防止して高い快適性を得ることができる。
また、本発明において、前記衝撃吸収構造部は、互いに隣り合う前記脚部間に位置することを特徴とする。これによれば、前記脚部間のスペースを利用して衝撃吸収構造部を設けることができる。従って、衝撃吸収構造部を配置するためのスペースを帽体と脚部との間に確保する必要がないから、構造簡単として安価に製造することができる。
また、本発明において、前記ハンモック本体は、前記連結部から前記脚部間に向かって延びる延出部を備え、前記衝撃吸収構造部は、前記延出部に連結されていることを特徴とする。これによれば、延出部の延出長を設定するだけで、衝撃吸収構造部を所望の位置に配置させることができる。
また、本発明において、前記ハンモック本体と前記衝撃吸収構造部とは、合成樹脂により一体成型されていることを特徴とする。これによれば、前記衝撃吸収構造部を設けたことによるハンモックの部品点数の増加が防止でき、ヘルメットの組立工数の削減及び製造コストの低減が可能となる。
また、本発明における前記衝撃吸収構造部は、複数の筒状部と、各筒状部の一端を互いに連結する板状の基部とを備えて各筒状部の軸線方向に付与される衝撃力に対して所定の衝撃吸収能力を有するものを採用することができる。
本発明の実施形態のハンモックの取り付け状態を示す説明的斜視図。 本実施形態のハンモックを示す斜視図。 本実施形態のハンモックの展開図。 他の実施形態のハンモックを示す斜視図。 他の実施形態のハンモックの要部を示す説明図。 他の実施形態のハンモックの要部を示す説明図。
本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。図1に示すように、本実施形態のハンモック1は、ヘッドバンド2と共にヘルメットの着装体3を構成している。着装体3は、硬質材で形成される帽体4(図中仮想線示)の内部に設けられる。
ハンモック1は、人頭に接して人頭と帽体4との間に空隙を形成する。ヘッドバンド2は、人頭を囲繞して人頭に固定される。ヘッドバンド2の後頭部側には、人頭のサイズに合わせて周長を調節するためのサイズ調節手段5が設けられている。
次に、本発明の要旨に係るハンモック1の構成について詳説する。図2及び図3に示すように、ハンモック1は、ハンモック本体6と複数(本実施形態では4つ)の衝撃吸収構造部7とを備えている。
ハンモック本体6は、頭頂部から放射状に延びる複数(本実施形態では4本)の脚部8と、各脚部8を頭頂部で一体に連結する連結部9とによって構成されている。各脚部8は、図2に示すように、人頭に対応するように湾曲する形状に設けられる。
各脚部8の下端部には、帽体4内周面への連結手段10が設けられている。連結手段10は、帽体4内周面に固定される固定部材11と、この固定部材11に着脱自在に係止する係止部12とからなり、係止部12が各脚部8の下端部に一体に形成されている。
図3に示すように、ハンモック本体6の連結部9には、互いに隣り合う脚部8間に延びる複数(本実施形態では4本)の延出部13が一体に設けられている。そして、各延出部13の先端には衝撃吸収構造部7が一体に設けられている。即ち、本実施形態のハンモック1は、脚部8、連結部9、延出部13及び衝撃吸収構造部7が、合成樹脂(例えばポリオレフィン系合成樹脂等)を材料とする射出成形により一体成形されている。
衝撃吸収構造部7が延出部13に設けられていることにより、延出部13の延出長を適宜設定するだけで、各衝撃吸収構造部7を所望の位置に配置させることができる。
衝撃吸収構造部7は、図2及び図3に示すように、何れも同一形状に形成されており、図3に示すように、複数(本実施形態では8個)の筒状部14と、各筒状部14の一端の底部を互いに連結する板状の基部15とによって構成されている。筒状部14は、多角筒状に形成されており、その軸線方向の潰れにより衝撃力を吸収する能力を備える。基部15は、適度に撓ませることができる薄板状に形成されている。
本実施形態における衝撃吸収構造部7は、次の衝撃吸収能力を有する。即ち、高温処理(+50℃環境に2時間暴露)及び低温処理(−10℃環境に2時間暴露)を行った衝撃吸収体(衝撃吸収構造部7と同一材料で同一形状のもの)を、ロードセルを備える金属製平面上に載置し、この衝撃吸収体上に、質量5.0kg、直径127mmの平面形ストライカを高さ0.5mから落下させたとき、金属製平面のロードセルにより測定される衝撃荷重が2.5kN〜9.5kNであり、且つ、衝撃力の継続時間が3msec〜15msecであるものを採用した。
そして、各衝撃吸収構造部7は、図1に示すように、夫々、帽体4の前面側の前頭部保護領域F、帽体4の両側面の側頭部保護領域S、及び帽体4の後面側の後頭部保護領域Rの内側に配設される。これにより、帽体4の前頭部保護領域F、後頭部保護領域R、及び側頭部保護領域Sにおいて十分な墜落時保護性能が発揮される。
上記の墜落時保護性能を確認するために、図1に示すように、ハンモック1を帽体4の内部に設けたヘルメットに対し、「日本工業規格T8131:2000付属書2」における転倒・転落時保護用安全帽の規定に基づく試験を行った。その結果、前頭部試験及び後頭部試験では、帽体4、ハンモック1及び衝撃吸収構造部7の複合体として何れも、衝撃力が9.81kN以下に抑えられており、前頭部保護領域F及び後頭部保護領域Rは、高い墜落時保護性能を有することが明らかとなった。
なお、側頭部保護領域Sに対しては、「日本工業規格T8133:2007」の規定に基づく試験を行ったところ、衝撃力は15.00kN(300G)以下に抑えられていることが確認できた。これにより、側頭部保護領域Sにおいても十分な保護性能を有することが明らかとなった。
このように、各保護領域F,S,Rに対応する位置に衝撃吸収構造部7が設けられることで、従来のような帽体の内面の殆どを覆う衝撃吸収ライナを設けることなく、人頭と帽体4との間に比較的広い空隙を確保して十分な墜落時保護性能を得ることができ、ヘルメットの着用時に通気性や放熱性が得られて高い快適性を得ることができる。
なお、本実施形態においては、衝撃吸収構造部7の筒状部14を多角筒状としたが、筒状部14は多角筒状に限るものではなく、円筒状であってもよい。また、筒状部14の数量及び大きさは適宜設定することができる。
また、本実施形態においては、4つの脚部8を備えるハンモック本体6を示したが、脚部8の数はこれに限るものではない。
また、衝撃吸収構造部7は、各保護領域F,S,Rのうちの所望の保護領域にのみ設けてもよい。即ち、図示しないが、帽体4の前頭部保護領域Fの内側と後頭部保護領域Rの内側にのみ衝撃吸収構造部7を設けてもよい。この場合、側頭部保護領域Sの衝撃吸収構造部7が不要になり、人頭と帽体4との間に一層広い空隙を形成することができるので、着用時の快適性を更に向上させることができる。
また、本実施形態のハンモック1は、脚部8、連結部9、延出部13及び衝撃吸収構造部7が合成樹脂を材料とする射出成形により一体成形されている。これによれば、部品点数を少なくしてヘルメットの組立工数を低減させることができる。一方、本発明のハンモックはこれに限るものではなく、例えば、ハンモック本体と衝撃吸収構造部とを別部材とし、適宜の連結手段や接着剤等により、ハンモック本体に衝撃吸収構造部を連結した構成を採用してもよい。
また、本実施形態においては、ハンモック本体6に衝撃吸収構造部7を設けた例として、図3に示すように、衝撃吸収構造部7を互いに隣り合う前記脚部8間に配設したハンモック1を挙げたが、本発明のハンモックはこれに限るものではない。
例えば、図4に示すように、ハンモック本体6の各脚部8の外面(帽体の内面に対向する面)に複数の筒状部16を配列させてなる衝撃吸収構造部17を一体に形成してもよい。これによれば、衝撃吸収構造部17が脚部8と帽体との間に位置し、その他の部分に広い空隙が形成されるので、着用時に通気性や放熱性が得られて高い快適性を得ることができる。
また、図5に示すように、ハンモック本体6の各脚部8の側縁から一体に張り出す基部18を複数設け、各基部18に筒状部19を設けることにより、衝撃吸収構造部20を形成してもよい。これによっても、着用時に人頭と帽体との間に通気性や放熱性が得られて、しかも、十分に衝撃を吸収することができる。
更に、図6に示すように、ハンモック本体6の各脚部8の側縁部に沿って、互いに所定間隔を存して配設した複数の衝撃吸収部材21により衝撃吸収構造部22を構成してもよい。各衝撃吸収部材21は、板状の基部23と各基部23に1つずつ設けた筒状部24とで形成され、固定部材25により脚部8に一体に固定されている。これによると、図5に示す衝撃吸収構造部20に比べて製造時の工数が増加するが、図5に示す衝撃吸収構造部20と同等の効果を得ることができる。
1…ハンモック、4…帽体、6…ハンモック本体、7…衝撃吸収構造部、8…脚部、9…連結部、13…延出部、14…筒状部、15…基部。

Claims (5)

  1. ヘルメットの帽体内部に設けられて人頭に接するヘルメット用ハンモックであって、放射状に配設された複数本の脚部と、各脚部を頭頂部で互いに連結する連結部とからなるハンモック本体を備えるものにおいて、
    人頭と帽体との間に位置して衝撃を吸収する衝撃吸収構造部を、前記ハンモック本体に設けたことを特徴とするヘルメット用ハンモック。
  2. 前記衝撃吸収構造部は、互いに隣り合う前記脚部間に位置することを特徴とする請求項1記載のヘルメット用ハンモック。
  3. 前記ハンモック本体は、前記連結部から前記脚部間に向かって延びる延出部を備え、
    前記衝撃吸収構造部は、前記延出部に連結されていることを特徴とする請求項1又は2記載のヘルメット用ハンモック。
  4. 前記ハンモック本体と前記衝撃吸収構造部とは、合成樹脂により一体成型されていることを特徴とする請求項1〜3の何れか1項記載のヘルメット用ハンモック。
  5. 前記衝撃吸収構造部は、複数の筒状部と、各筒状部の一端を互いに連結する板状の基部とを備えて各筒状部の軸線方向に付与される衝撃力に対して所定の衝撃吸収能力を有することを特徴とする請求項1〜4の何れか1項記載のヘルメット用ハンモック。
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