JP2015024387A - 磁性吸着剤およびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】セシウムを含有する溶液から、効率良く分離する方法を提供することにある。
【解決手段】不溶性フェロシアン化物を担持した粉末キレート樹脂が結着剤を用いて磁性体粒子と結着されている磁性吸着剤を用いてセシウムを分離する。
【選択図】なし

Description

本発明は磁性吸着剤およびその製造方法に関し、さらに詳しくは少なくともセシウムを含有する溶液から、効率良くセシウムを分離することができる磁性吸着剤およびその製造方法に関するものである。
セシウムは、試薬、光電変換素子、光学結晶、光学ガラス等の製造に用いられているレアメタルであり、地熱水等からセシウムを分離回収する技術は、資源確保の観点から重要である。また、原子力利用施設から発生する廃液中には放射性セシウムが含まれており、このものを効率良く分離する技術が開発されてきた。さらに、2011年に起きた福島第一原子力発電所の事故においては、放射性セシウムが広範囲に飛散し、さまざまな物質に付着した放射性セシウムを分離する技術が必要となってきた。
放射性セシウムを含有する溶液からこれらを分離するため、さまざまな手法が検討されてきた。最も簡便には、吸着剤を利用する方法が広く用いられている。特に放射性セシウムの吸着剤としては、ゼオライト、結晶質四チタン酸、スメクタイト、不溶性フェロシアン化物、リンモリブデン酸アンモニウム、シリコチタネート等が古くから知られている。しかし、これらの吸着剤を溶液に添加して使用する場合、吸着剤を処理済みの溶液から分離する必要があり、具体的な方法として、吸着剤とセシウム含有溶液を一定時間接触させてから濾過等により機械的に分離する方法(特許文献1参照)、吸着剤をカラムに充填して、その中にセシウム含有溶液を流す方法(特許文献2参照)等がある。吸着作用により放射性を帯びた吸着剤の濾過分離は労力を要する危険な作業である。カラムを用いる場合には、セシウム含有溶液から夾雑物を除く必要があり、この除去作業もまた多大な労力を要する。
一方、近年、超伝導磁石や高勾配磁気分離技術が進歩してきたため、磁性を利用して溶液中の有害成分を分離する技術の実用性が高まり、注目を集めるようになってきた。具体的な手法としては、有害成分自体に磁性を持たせる方法、有害成分と磁性体粒子を混合しておいて凝集剤を加え、磁性のあるフロックを形成する方法、活性炭やゼオライトのような吸着剤に磁性を持たせる方法がある。
このうち、有害成分自体に磁性を持たせる方法は汎用性に欠ける。また、磁性のあるフロックを形成する方法は、大量の磁性体粒子と凝集剤を必要とすることが多く、むしろ処理が煩雑になるという問題がある。一方、吸着剤に磁性を持たせる方法は、有害成分を効果的に吸着できるというメリットが期待できるものの、吸着剤本来の吸着能力を落とすことなく高い磁性を持たせ、安価に製造する実用的な方法がまだない。
例えば、磁性体の核とこの核を覆いかつ金属イオンを吸着する外皮とを有する磁性吸着剤が提案されている(特許文献3参照)。この吸着剤は、直径1〜10mmの球状磁性体に対して、金属イオン吸着基を持つ高分子化合物を吹き付け、乾燥させて合成されており、吹き付けにおける材料ロスが大きいため高価であり、実用性がない。別のタイプとして、直径1〜10mmの球状磁性体に対して、アルミノ珪酸塩の結晶としてゼオライトを生成させた吸着剤も示されているが、比表面積が極めて小さいため、吸着容量が低いという問題点がある。また、多孔質ガラスビーズ、シリカゲル、アルミナ、ゼオライト等の無機系多孔質物質に磁性金属と有機物質を担持させ、有機物を熱分解して吸着性能を発現させるタイプの磁性吸着剤が提案されている(特許文献4参照)。この吸着剤においては、担磁のために無機系多孔質物質を鉄系化合物の溶液に含浸させた後、熱処理を施している。操作が煩雑なため製造コストが高いうえ、鉄系化合物の吸着量には限界があるので、高い磁性を持たせることができず、実用性がない。
さらに、シリカゲル、ゼオライト、活性炭等の多孔質吸着剤に酸化鉄を化合させる方法が提案されている(特許文献5参照)。しかしながら、この方法の場合には磁性吸着剤の担持量が低く、磁気による回収を効率良く行うためには多量の酸化鉄を化合させる必要があるため、結果として吸着容量が著しく低下し、製造コストも高くなるという問題がある。加えて、ゼオライトと磁性体粒子を接着剤(セメント)で結合させた磁性吸着剤も提案されている(特許文献6、7参照)。接着剤にセメントを用いているため、強度を確保するために長期にわたる蒸気乾燥が必要となり、製造上の問題が大きい。さらにこれらの磁性吸着剤においては、磁性吸着剤の一部が分解して磁性を持たない成分が剥離するという問題点もしばしば発生する。
特開2013−11599号公報 特開2013−107051号公報 特開平10−99843号公報 特開2002−233754号公報 特開2005−137973号公報 特開平1−194940号公報 特開2005−177709号公報
本発明の課題は、放射性セシウムのような有害物(目的吸着物)を含有する溶液から、磁気分離技術を用いて効率良く有害物を分離することが可能な磁性吸着剤を提供することにあり、またそのような磁性吸着剤を比較的簡単な手法により製造可能な磁性吸着剤の製造方法を提供することにある。本発明の課題はまた、有害物を分離する工程において、磁性吸着剤の一部が分解して磁性を持たない成分が剥離することのない磁性吸着剤およびその製造方法を提供することにある。
上記課題を鋭意研究し、不溶性フェロシアン化物を担持した粉末キレート樹脂が結着剤を用いて磁性体粒子と結着されている磁性吸着剤を用いることにより、上記の課題が解決できることを見出して、本発明に到達した。不溶性フェロシアン化物を担持した粉末キレート樹脂としては、粉末キレート樹脂に金属イオンをキレート反応により吸着させた後、水溶性フェロシアン化物水溶液と接触させることにより得られるものが好ましいことを見出した。さらに、金属イオンとしては、鉄(II)、ニッケル(II)、銅(II)及びコバルト(II)からなる群のうちの少なくとも1種であることが好ましいこと、また結着剤として水性樹脂エマルジョン、耐水化された水溶性樹脂が好ましいことを見出した。
本発明においては、不溶性フェロシアン化物を担持した粉末キレート樹脂が結着剤を用いて磁性体粒子と結着されている磁性吸着剤をセシウム含有溶液に分散させたのち、磁気分離により回収する。この磁性吸着剤は、速やかにセシウムを吸着することができるので、吸着処理時間は短くて済む。また、セシウム含有溶液が夾雑物を含んでいても、予めこれらを除くことなく吸着処理を行い、磁性吸着剤だけを磁気分離により回収することができる。夾雑物が汚泥、土壌、焼却灰等に由来する物質であっても、磁気分離には何ら影響しない。その結果、本発明においてはセシウム含有溶液から、極めて短時間かつ簡単な操作によりセシウムを分離することが可能になる。
また、不溶性フェロシアン化物はキレート形成により粉末キレート樹脂に担持固着され、粉末キレート樹脂は結着剤により磁性体粒子と結着されているので、単に不溶性フェロシアン化物を粉末キレート樹脂または磁性体粒子に結着剤により結着させた場合に比べ、セシウムを分離する工程において、磁性吸着剤の一部が分解して磁性を持たない成分が剥離することが格段に少ない。
さらに、粉末キレート樹脂を磁性吸着剤と結着剤により結着させ、次いで粉末キレート樹脂に金属イオンをキレート反応により吸着させた後、水溶性フェロシアン化物水溶液と接触させることにより得られる磁性吸着剤は、粉末キレート樹脂において結着剤から露出している部分に金属イオンが吸着され、当該部位において水溶性フェロシアン化物が不溶化するので、予め不溶性フェロシアン化物を担持した粉末キレート樹脂を結着剤を用いて磁性体粒子と結着させた磁性吸着剤と比べ、結着剤により不溶性フェロシアン化物が被覆されてセシウム吸着能が失活されることがなく、より効率的にセシウムを分離することができる秀逸な効果を有する。
本発明の磁性吸着剤およびその製造方法を詳細に説明する。本発明に用いられる磁性体粒子としては特に制限はなく、磁性を示すあらゆる材料を用いることができる。例えば鉄、ニッケル、コバルト等の金属またはこれらを主成分とする磁性合金の粉末、四三酸化鉄、三二酸化鉄、コバルト添加酸化鉄、バリウムフェライト、ストロンチウムフェライト等の金属酸化物系磁性体の粉末が挙げられる。磁性体粒子の粒径は0.1〜100μmが好ましい。0.1μm未満では取り扱いに困難が生じることがあるとともに、結着剤を用いて粉末キレート樹脂と結着させた粒子を水に投入した際に、結着させた粒子から水に漏出する磁性体粒子が増えてくることがある。100μmを超えると、粉末キレート樹脂との混合がスムースに進まない場合がある。本発明の磁性吸着剤におけるこれら磁性体粒子の含有率は10〜80質量%が好ましく、特に20〜70質量%となるようにするのが好ましい。含有率が10質量%を下回ると磁気分離の効率が低下するので好ましくない。また、含有率が80質量%を上回ると、不溶性フェロシアン化物を担持した粉末キレート樹脂の含有率が低くなるため、セシウム吸着性が低下するので好ましくない。
本発明に用いられる粉末キレート樹脂の原料となるキレート樹脂としてはイミノジ酢酸型キレート樹脂、ポリアミン型キレート樹脂、リン酸型キレート樹脂、アミノリン酸型キレート樹脂、チオール型キレート樹脂、ジチオカルバミン酸型キレート樹脂、アミドキシム型キレート樹脂、グルカミン型キレート樹脂等を粉砕したものを挙げることができる。この中では、不溶性フェロシアン化物を構成する金属イオンと安定な結合を形成するイミノジ酢酸型キレート樹脂が好ましい。
従来、上記のようなキレート樹脂は吸着塔に充填して用いる形態が多い。この場合には、表面積を大きく取るために樹脂粒子を小粒径化すると、吸着塔における通液性が極端に低下するというジレンマがある。このジレンマを解決するために、樹脂粒子を直径0.4〜0.6mm程度のビーズ状として通液性を確保する一方で、吸着容量を高めるために多孔質構造として内部表面積を大きくし、その内部表面にも吸着基を配した構造を取っている。しかしながら、キレート樹脂の吸着基部分に金属イオンを吸着させ、次いで水溶性フェロシアン化物水溶液と接触させることによりキレート樹脂に不溶性フェロシアン化物を担持させた場合、析出した不溶性フェロシアン化物により孔の通液性が妨害され、孔内部表面にある吸着基に担持された不溶性フェロシアン化物の吸着能を活かせないという問題が生じる。本発明においては、上記のようなビーズ状キレート樹脂を粉砕して多孔質構造を壊し、内部表面に存在していた吸着基も表面に露出する粉末状にすることによりこの問題を解決し、さらに粉末化した樹脂に磁性を持たせることで、吸着塔に充填しなくても処理液からの分離を容易に実施できるようにしている。
キレート樹脂の粉砕方法に制限はなく、公知の粉砕方法を用いることができる。具体的には例えば、ロッドミル、ボールミル、振動ロッドミル、振動ボールミル、パンミル、ローラーミル、インパクトミル、円錐形ミル、攪拌摩砕ミル等を用いる粉砕を挙げることができる。粉末キレート樹脂の粒径としては1〜50μmが好ましい。1μm未満では取り扱いに困難が生じることがあるとともに、結着剤を用いて磁性体粒子と結着させた粒子を水に投入した際に、結着させた粒子から水に漏出する粉末キレート樹脂が増えてくることがある。50μmを超えると、磁性体粒子との混合がスムースに進まない場合がある。
また、本発明の磁性吸着剤における粉末キレート樹脂の含有率は10〜70質量%が好ましく、特に15〜40質量%がより好ましい。粉末キレート樹脂の含有率が10質量%を下回ると、それ自身による吸着量が低下するばかりか、不溶性フェロシアン化物の担持量も低下し、トータルとしての吸着能が低下するので好ましくない。また、含有率が70質量%を上回ると、相対的に磁性体粒子の含有率が低下するので、磁気分離の効率が低下して好ましくない。
粉末キレート樹脂表面への不溶性フェロシアン化物の固定化方法としては、粉末キレート樹脂と不溶性フェロシアン化物粒子を結着剤とともに結着させる方法、粉末キレート樹脂の吸着基部分に不溶性フェロシアン化物粒子を担持させる方法、粉末キレート樹脂の吸着基部分に金属イオンを吸着させ、次いで水溶性フェロシアン化物水溶液と接触させることにより、キレート樹脂に不溶性フェロシアン化物を担持させる方法等が考えられ、それぞれにつきさらに、結着剤による粉末キレート樹脂と磁性体粒子との結着に先立って、粉末キレート樹脂表面へ不溶性フェロシアン化物を固定化する方法や、粉末キレート樹脂と磁性体粒子とを結着させた後、粉末キレート樹脂表面に不溶性フェロシアン化物を固定化する方法が考えられる。
これらのうち、粉末キレート樹脂表面への不溶性フェロシアン化物の固定化方法として、粉末キレート樹脂と不溶性フェロシアン化物粒子を結着剤とともに結着させる方法は、結着剤が粉末キレート樹脂の吸着基部分のみならず不溶性フェロシアン化物粒子を被覆して吸着効率が低減してしまうので好ましくない。また、粉末キレート樹脂の吸着基部分に不溶性フェロシアン化物粒子を担持させる方法は、前記のように結着剤を介在させる方法よりは吸着基部分の失活が抑制できるので好ましいが、粉末キレート樹脂の吸着基部分に金属イオンを吸着させ、次いで水溶性フェロシアン化物水溶液と接触させることにより、粉末キレート樹脂に不溶性フェロシアン化物を担持させる方法に比べると、不溶性フェロシアン化物の粒径、即ち単位不溶性フェロシアン化物の吸着能や粉末キレート樹脂表面への吸着力の点で劣る。
したがって、本発明においては、粉末キレート樹脂の吸着基部分に金属イオンを吸着させ、次いで水溶性フェロシアン化物水溶液と接触させることにより、キレート樹脂に不溶性フェロシアン化物を担持させる方法が最も好適である。金属イオンの例としては、銅(II)、コバルト(II)、ニッケル(II)、亜鉛(II)、カドミウム(II)、マンガン(II)、鉄(II)、鉄(III)等がセシウム吸着性能の点で好ましく、中でも銅(II)、コバルト(II)、ニッケル(II)、及び鉄(II)が好ましい。なお、粉末キレート樹脂の吸着基部分に不溶性フェロシアン化物粒子を担持させる方法に用いる不溶性フェロシアン化物粒子における粒径は0.1〜50μmが好ましく、0.5〜10μmがより好ましい。また、不溶性フェロシアン化物粒子における中心金属は銅(II)、コバルト(II)、ニッケル(II)、及び鉄(II)が好ましい。
粉末キレート樹脂に金属イオンを吸着させる方法としては、金属塩の水溶液に粉末キレート樹脂を添加し、攪拌すれば良い。攪拌時間は10分〜2時間で良い。金属塩の水溶液中の金属塩濃度には特に制限はないが、通常は0.1mol/L〜2mol/Lで良い。また、粉末キレート樹脂と接触させる金属塩の水溶液の量は、粉末キレート樹脂の金属イオンに対する静的吸着容量の0.5〜5倍に相当する金属イオンを含有するように設定すれば良い。金属塩の水溶液の添加量が少なすぎると、粉末キレート樹脂中の吸着基に十分に目的の金属イオンを吸着させることができない場合があり、金属塩の水溶液の添加量が多すぎると、次の水溶性フェロシアン化物水溶液と接触させた際、副生沈殿物が多く発生する場合がある。
金属イオンを吸着した粉末キレート樹脂と、水溶性フェロシアン化物水溶液とを接触させる方法としては、水溶性フェロシアン化物水溶液に金属イオンを吸着した粉末キレート樹脂を添加し攪拌すれば良い。攪拌時間は10分〜2時間で良い。水溶性フェロシアン化物水溶液としては、ヘキサシアノ鉄(II)酸カリウム水溶液またはヘキサシアノ鉄(II)酸ナトリウム水溶液が好ましい。水溶性フェロシアン化物水溶液の濃度には特に制限はないが、通常は0.1mol/L〜2mol/Lで良い。水溶性フェロシアン化物水溶液の量は、粉末キレート樹脂の金属イオンに対する静的吸着容量の1〜5倍に相当するフェロシアン化物イオンを含有するように設定すれば良い。
本発明に用いられる結着剤の種類に特に制限はなく、結着、造粒分野において知られている結着剤を用いることができる。具体的には例えば、ポリウレタン系エマルジョン、ポリアクリル酸エステル系エマルジョン、ポリ酢酸ビニル系エマルジョン、ポリ(エチレン/酢酸ビニル)共重合エマルジョン、ポリ(スチレン/ブタジエン)共重合エマルジョン、ポリ塩化ビニル系樹脂エマルジョン、シリコーン樹脂エマルジョン等の有機系水性樹脂エマルジョン、デンプン、ゼラチン、キトサン類、ポリビニルアルコール系樹脂(ポリビニルアルコール、カチオン変性ポリビニルアルコール、アニオン変性ポリビニルアルコール、シラノール変性ポリビニルアルコール、エチレン−ポリビニルアルコール共重合体、ポリビニルアセタール等)、セルロース系樹脂(メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース等)、ポリアクリル酸系樹脂、ポリアクリルアミド、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド等の有機系水溶性樹脂、尿素樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、ニトリルゴム等の有機系非水系樹脂を挙げることができる。
これらの結着剤の中で、粉末キレート樹脂を容易に磁性体粒子に接着させることができることから、水性樹脂エマルジョン、耐水化された水溶性樹脂が好ましく用いられる。
水性樹脂エマルジョンの中でも耐水性の高い磁性吸着剤を与えることから、ポリ(スチレン/ブタジエン)共重合体エマルジョン、ポリ塩化ビニル系樹脂エマルジョン、シリコーン樹脂エマルジョンがより好ましく用いられ、さらに好ましくは、放射性セシウムを夾雑物から効率良く抽出するため、放射性セシウムを含有する液を加熱する場合においても使用可能な耐熱性を有するポリ塩化ビニル系樹脂エマルジョン、シリコーン樹脂エマルジョンが好適に用いられる。
水溶性樹脂においては、粉末キレート樹脂と磁性体粒子の双方に親和性を持って安定な磁性吸着剤を形成できる点からポリビニルアルコール系樹脂が好ましい。また、その中でも耐水性の点でエチレン−ポリビニルアルコール共重合体がより好ましい。耐水化処理法としては特に制限はなく、加熱による方法、各種アルデヒド化合物、メチロール化合物、エポキシ化合物、イソシアネート化合物による架橋反応等を利用することができる。
本発明の磁性吸着剤における結着剤の含有率は5〜50質量%が好ましく、特に10〜30質量%となるようにするのが好ましい。含有率が5質量%を下回ると磁性吸着剤の物理的強度が低下して、磁性吸着剤が分解しやすくなるので好ましくない。含有率が50質量%を上回ると、セシウムの吸着効率が低下するので好ましくない。水溶性樹脂には耐水化処理を施しても良い。
本発明の磁性吸着剤の製造方法としては、粉末キレート樹脂に予め不溶性フェロシアン化物を担持(上述したように、担持方法としては、粉末キレート樹脂の吸着基部分に金属イオンを吸着させ、次いで水溶性フェロシアン化物水溶液と接触させることにより、キレート樹脂に不溶性フェロシアン化物を担持させる方法が最も好適である)させておき、このものを結着剤を用いて磁性体粒子と結着させる方法がある。別の製造方法としては、粉末キレート樹脂を結着剤を用いて磁性体粒子と結着させておき、これに不溶性フェロシアン化物を担持させた後、粉砕等により適宜粒径を調整する方法、粉末キレート樹脂を結着剤を用いて磁性体粒子と結着させておき、適宜粒径を調整後、この粒子に不溶性フェロシアン化物を担持させる方法がある。不溶性フェロシアン化物を担持させる工程において、金属イオン水溶液や水溶性フェロシアン化物水溶液と磁性体粒子との分離が、磁石を用いて容易に行える点、及びセシウムのような目的吸着物の吸着効率の点から、粉末キレート樹脂を結着剤を用いて磁性体粒子と結着させ、粉砕等により適宜粒径を調整した後、不溶性フェロシアン化物を担持させる製造方法が好適である。なお、いずれの方法においても、粉末キレート樹脂への不溶性フェロシアン化物の担持方法としては、上述したように、粉末キレート樹脂の吸着基部分に金属イオンを吸着させ、次いで水溶性フェロシアン化物水溶液と接触させることにより、キレート樹脂に不溶性フェロシアン化物を担持させる方法が最も好適である。
セシウムのような有害物を含む溶液と本発明の磁性吸着剤の接触方法としては、溶液に磁性吸着剤を投入して攪拌するバッチ処理が、簡便な装置で実施できるので好ましい。攪拌方法としては、攪拌羽根で攪拌する方法、エアレーション等曝気による方法、電磁石制御により磁性体粒子を攪拌する方法等を例示することができる。例えば、有害物が放射性セシウムを含む溶液であれば、磁性吸着剤との接触時間は10分〜2時間が好ましい。接触時間が10分より短いと、セシウムの吸着が不十分となることがある。2時間より長く接触させても、吸着がすでに平衡に達しているため作業効率上好ましくないうえに、長時間の攪拌が磁性吸着剤の機械的な強度に悪影響を与えることがある。
セシウムを含む溶液に対する、本発明の磁性吸着剤の添加量に制限はなく、セシウムが目的とするレベルまで除去される添加量を、セシウムの濃度に応じて実験的に定めれば良い。例えばセシウム濃度が0.001質量%(10ppm)の場合、90%以上のセシウムを分離するためには、磁性吸着剤に含まれるセシウム吸着性化合物のセシウム吸着容量が、被処理液内に存在するセシウム量の2〜100倍となるように加えることが好ましい。磁性吸着剤量が2倍を下回るとセシウムの除去が不十分となることがある。また、100倍以上を加えてもセシウム除去レベルには変化がなく、不経済であると共に、場合によっては攪拌や磁気分離作業に対して支障となることがある。
セシウムを吸着した磁性吸着剤は、永久磁石、電磁石、超電導磁石によって短時間に集磁され、セシウムが除かれた溶液から分離される。用いられる磁気分離装置に関して特に制限はない。
以下に、本発明を実施例により詳細に説明するが、本発明は実施例に限定されるものでない。なお、実施例中の百分率は、質量基準である。
<磁性吸着剤1の合成>
平均粒径5μmのバリウムフェライト(1g)と平均粒径35μmの粉末キレート樹脂(イミノジ酢酸型;ロームアンドハース製アンバーライトIRC748を粉砕して調製;2g)を、ポリ(スチレン/ブタジエン)共重合エマルジョン(旭化成(株);E−1585;固形分約50%;0.9g)とともに乳鉢で混練し、シャーレに広げて80℃で3時間乾燥させた。得られた乾燥固形物をミニブレンダーで粉砕し、平均粒径80μmの磁性キレート樹脂を得た。このものを硫酸第一鉄水溶液(濃度0.15mol/L)30mlに懸濁させて30分攪拌後、容器外部から磁石を当ててデカンテーションすることにより、水溶液を除去した。水10mlを加えて軽くすすいだのち、容器外部から磁石を当ててデカンテーションしてすすぎ液を除去した。次いでフェロシアン化カリウム水溶液(濃度0.15mol/L)30mlを加えて1時間攪拌後、容器外部から磁石を当ててデカンテーションすることにより、水溶液を除去した。水10mlを加えて軽くすすいだのち、容器外部から磁石を当ててデカンテーションしてすすぎ液を除去し、残渣を105℃で1時間乾燥させることにより、磁性吸着剤1を3.2g得た。
<磁性吸着剤2の合成>
硫酸第一鉄水溶液(濃度0.15mol/L)30mlを硫酸ニッケル(II)水溶液(濃度0.15mol/L)30mlに置き換える他は、磁性吸着剤1の合成と同様に操作して、磁性吸着剤2を3.1g得た。
<磁性吸着剤3の合成>
硫酸第一鉄水溶液(濃度0.15mol/L)30mlを硫酸銅(II)水溶液(濃度0.15mol/L)30mlに置き換える他は、磁性吸着剤1の合成と同様に操作して、磁性吸着剤3を3.2g得た。
<磁性吸着剤4の合成>
硫酸第一鉄水溶液(濃度0.15mol/L)30mlを塩化コバルト(II)水溶液(濃度0.15mol/L)30mlに置き換える他は、磁性吸着剤1の合成と同様に操作して、磁性吸着剤4を3.1g得た。
<磁性吸着剤5の合成>
硫酸第一鉄水溶液(濃度0.15mol/L)30mlを塩化亜鉛水溶液(濃度0.15mol/L)30mlに置き換える他は、磁性吸着剤1の合成と同様に操作して、磁性吸着剤5を3.1g得た。
<磁性吸着剤6の合成>
ロームアンドハース製アンバーライトIRC748粉末品(平均粒径35μm)を、同社製アンバーライトIRC747(アミノリン酸型キレート樹脂)の粉末品(平均粒径30μm)2gに置き換える他は、磁性吸着剤1の合成と同様に操作して、磁性吸着剤6を3.2g得た。
<磁性吸着剤7の合成>
ロームアンドハース製アンバーライトIRC748粉末品(平均粒径35μm)を、三菱化学製ダイヤイオンCR2(ポリアミン型キレート樹脂)の粉末品(平均粒径30μm)2gに置き換える他は、磁性吸着剤1の合成と同様に操作して、磁性吸着剤7を3.1g得た。
<磁性吸着剤8の合成>
平均粒径35μmの粉末キレート樹脂(イミノジ酢酸型;ロームアンドハース製アンバーライトIRC748を粉砕して調製;2g)を、硫酸第一鉄水溶液(濃度0.15mol/L)30mlに懸濁させて30分攪拌後、濾過し、ロート上で水10mlを用いて洗浄した。残渣をフェロシアン化カリウム水溶液(濃度0.15mol/L)30mlに加えて1時間攪拌後、濾過し、ロート上で水10mlを用いて洗浄した。このものを105℃で1時間乾燥させ、平均粒径5μmのバリウムフェライト(1g)、ポリ(スチレン/ブタジエン)共重合エマルジョン(旭化成(株);E−1585;固形分約50%;0.9g)とともに乳鉢で混練し、シャーレに広げて80℃で3時間乾燥させた。得られた乾燥固形物をミニブレンダーで粉砕し、平均粒径75μmの磁性吸着剤8を2.9g得た。
<磁性吸着剤9の合成>
ポリ(スチレン/ブタジエン)共重合エマルジョンを、ポリアクリル酸エステル系エマルジョン(日信化学工業(株);ビニブラン2680;固形分30%;1.5g)に置き換える他は、磁性吸着剤1の合成と同様に操作して、磁性吸着剤9を3.2g得た。
<磁性吸着剤10の合成>
ポリ(スチレン/ブタジエン)共重合エマルジョンを、ポリウレタン系エマルジョン(DIC(株);ハイドランWLS−206;固形分35%;1.29g)に置き換える他は、磁性吸着剤1の合成と同様に操作して、磁性吸着剤10を3.2g得た。
<磁性吸着剤11の合成>
ポリ(スチレン/ブタジエン)共重合エマルジョンを、ポリビニルアルコール((株)クラレ;R1130;10%溶液4.5g)に置き換え、シャーレに広げて80℃で3時間乾燥する乾燥条件を120℃で3時間とする他は、磁性吸着剤1の合成と同様に操作して、磁性吸着剤11を3.0g得た。
<磁性吸着剤12の合成>
ポリ(スチレン/ブタジエン)共重合エマルジョンを、ポリビニルアルコール((株)クラレ;PVA117;10%溶液4.5g)に置き換え、シャーレに広げて80℃で3時間乾燥する乾燥条件を120℃で3時間とする他は、磁性吸着剤1の合成と同様に操作して、磁性吸着剤12を3.0g得た。
<磁性吸着剤13の合成>
ポリ(スチレン/ブタジエン)共重合エマルジョンを、ポリ(2−ヒドロキシエチルメタクリレート)(10%溶液2.25g)及びデスモジュールBL−3175(住化バイエルウレタン(株);0.1g)に置き換える他は、磁性吸着剤1の合成と同様に操作して、磁性吸着剤13を3.1g得た。
<磁性吸着剤14の合成>
平均粒径35μmの粉末キレート樹脂を、平均粒径60μmの粉末キレート樹脂に置き換える他は、磁性吸着剤1の合成と同様に操作して、磁性吸着剤14を2.5g得た。
<磁性吸着剤15の合成>
平均粒径35μmの粉末キレート樹脂を、平均粒径45μmの粉末キレート樹脂に置き換える他は、磁性吸着剤1の合成と同様に操作して、磁性吸着剤15を3.1g得た。
<磁性吸着剤16の合成>
平均粒径35μmの粉末キレート樹脂を、平均粒径1.5μmの粉末キレート樹脂に置き換える他は、磁性吸着剤1の合成と同様に操作して、磁性吸着剤16を3.0g得た。
<磁性吸着剤17の合成>
平均粒径35μmの粉末キレート樹脂を、平均粒径0.7μmの粉末キレート樹脂に置き換える他は、磁性吸着剤1の合成と同様に操作して、磁性吸着剤17を2.1g得た。
<磁性吸着剤18の合成>
平均粒径5μmのバリウムフェライトを平均粒径2μmのストロンチウムフェライトに置き換える他は、磁性吸着剤1の合成と同様に操作して、磁性吸着剤18を3.3g得た。
<比較磁性吸着剤1の合成>
平均粒径35μmの粉末キレート樹脂をキレート樹脂(イミノジ酢酸型;ロームアンドハース製アンバーライトIRC748;平均粒径0.55mm)に置き換える他は、磁性吸着剤1の合成と同様に操作した。硫酸第一鉄水溶液30mlに懸濁させて攪拌後、容器外部から磁石を当ててデカンテーションする際には、バリウムフェライトが結着されなかったキレート樹脂が流出し、比較磁性吸着剤1の収量は1.5gにとどまった。
<比較磁性吸着剤2の合成>
平均粒径35μmの粉末キレート樹脂を、平均粒径40μmの粉末化したスチレン−ジビニルベンゼン系合成吸着剤(三菱化学(株)製;ダイヤイオンHP20)に置き換える他は、磁性吸着剤1の合成と同様に操作して、比較磁性吸着剤2を2.9g得た。比較磁性吸着剤2は磁性吸着剤1のような青みを帯びておらず、硫酸第一鉄水溶液に懸濁させる前と同じ色調であった。
<比較磁性吸着剤3の合成>
平均粒径35μmの粉末キレート樹脂を、平均粒径45μmの粉末化した陽イオン交換樹脂(三菱化学(株)製;ダイヤイオンSK110)に置き換える他は、磁性吸着剤1の合成と同様に操作して、比較磁性吸着剤3を2.9g得た。
<比較磁性吸着剤4の合成>
フェロシアン化カリウム水溶液(濃度0.15mol/L)30mlを加えて1時間攪拌する操作を省く他は、磁性吸着剤1の合成と同様に操作して、比較磁性吸着剤4を3.2g得た。比較磁性吸着剤4は磁性吸着剤1のような青みを帯びておらず、硫酸第一鉄水溶液に懸濁させる前と同じ色調であった。
<比較磁性吸着剤5の合成>
硫酸第二鉄1.85gを水180mlに加えて超音波分散させた液へ、平均粒径35μmの粉末キレート樹脂(イミノジ酢酸型;ロームアンドハース製アンバーライトIRC748を粉砕して調製;2g)を加え、次いで硫酸第一鉄2gを水15mlに溶かした液を加えて30分間攪拌した。このものへ5規定水酸化ナトリウム水溶液を滴下してpH10〜11とし、1時間室温にて攪拌し、そのまま、一晩放置した。容器外部から磁石を当ててデカンテーションした。残渣を硫酸第一鉄水溶液(濃度0.15mol/L)30mlに懸濁させて30分攪拌後、容器外部から磁石を当ててデカンテーションすることにより、水溶液を除去した。水10mlを加えて軽くすすいだのち、容器外部から磁石を当ててデカンテーションしてすすぎ液を除去した。次いでフェロシアン化カリウム水溶液(濃度0.15mol/L)30mlを加えて1時間攪拌後、容器外部から磁石を当ててデカンテーションすることにより、水溶液を除去した。水10mlを加えて軽くすすいだのち、容器外部から磁石を当ててデカンテーションしてすすぎ液を除去し、残渣を105℃で1時間乾燥させることにより、比較磁性吸着剤5を2.1g得た。
実施例1
塩化セシウム6.33mgを蒸留水500mlに溶かして、セシウム濃度が0.001%(10ppm)の水溶液を調製した。この液50mlに磁性吸着剤1を100mg加え、30分攪拌した。容器の底に磁石を当てて磁性吸着剤を集め、水相をデカンテーションにより別のビーカーに移した。この水相のセシウム濃度をICP−MSで求めたところ1.5ppmであり、85%のセシウムが分離されていた。サンプルを取り出した残りはさらに24時間攪拌を続けたのち、容器外部から磁石を当てて集磁物と溶液のようすを目視により観察したところ、集磁されない成分は認められず、磁性吸着剤の分解がないことが確認できた。
実施例2
磁性吸着剤1の替わりに磁性吸着剤2を用いる以外は、実施例1と同様に操作した。水相のセシウム濃度は0.1ppmであり、除去率は99%であった。24時間攪拌後の磁性吸着剤の分解は認められなかった。
実施例3
磁性吸着剤1の替わりに磁性吸着剤3を用いる以外は、実施例1と同様に操作した。水相のセシウム濃度は0.3ppmであり、除去率は97%であった。24時間攪拌後の磁性吸着剤の分解は認められなかった。
実施例4
磁性吸着剤1の替わりに磁性吸着剤4を用いる以外は、実施例1と同様に操作した。水相のセシウム濃度は0.3ppmであり、除去率は97%であった。24時間攪拌後の磁性吸着剤の分解は認められなかった。
実施例5
磁性吸着剤1の替わりに磁性吸着剤5を用いる以外は、実施例1と同様に操作した。水相のセシウム濃度は3.5ppmであり、除去率は65%であった。24時間攪拌後の磁性吸着剤の分解は認められなかった。
実施例6
磁性吸着剤1の替わりに磁性吸着剤6を用いる以外は、実施例1と同様に操作した。水相のセシウム濃度は3.7ppmであり、除去率は63%であった。24時間攪拌後の磁性吸着剤の分解は認められなかった。
実施例7
磁性吸着剤1の替わりに磁性吸着剤7を用いる以外は、実施例1と同様に操作した。水相のセシウム濃度は3.9ppmであり、除去率は61%であった。24時間攪拌後の磁性吸着剤の分解は認められなかった。
実施例8
磁性吸着剤1の替わりに磁性吸着剤8を用いる以外は、実施例1と同様に操作した。水相のセシウム濃度は2.1ppmであり、除去率は79%であった。24時間攪拌後の磁性吸着剤の分解は認められなかった。
実施例9
磁性吸着剤1の替わりに磁性吸着剤9を用いる以外は、実施例1と同様に操作した。水相のセシウム濃度は1.1ppmであり、除去率は89%であった。24時間攪拌後の磁性吸着剤の分解は認められなかった。
実施例10
磁性吸着剤1の替わりに磁性吸着剤10を用いる以外は、実施例1と同様に操作した。水相のセシウム濃度は1.0ppmであり、除去率は90%であった。24時間攪拌後の磁性吸着剤の分解は認められなかった。
実施例11
磁性吸着剤1の替わりに磁性吸着剤11を用いる以外は、実施例1と同様に操作した。水相のセシウム濃度は1.0ppmであり、除去率は90%であった。24時間攪拌後の磁性吸着剤の分解は認められなかった。
実施例12
磁性吸着剤1の替わりに磁性吸着剤12を用いる以外は、実施例1と同様に操作した。水相のセシウム濃度は1.5ppmであり、除去率は85%であった。24時間攪拌後の磁性吸着剤の分解は認められなかった。
実施例13
磁性吸着剤1の替わりに磁性吸着剤13を用いる以外は、実施例1と同様に操作した。水相のセシウム濃度は1.6ppmであり、除去率は84%であった。24時間攪拌後の磁性吸着剤の分解は認められなかった。
実施例14
磁性吸着剤1の替わりに磁性吸着剤14を用いる以外は、実施例1と同様に操作した。水相のセシウム濃度は3.1ppmであり、除去率は69%であった。24時間攪拌後に、磁石に引き寄せられない成分が若干量分離しており、吸着剤の一部が分解していることが確認された。
実施例15
磁性吸着剤1の替わりに磁性吸着剤15を用いる以外は、実施例1と同様に操作した。水相のセシウム濃度は1.5ppmであり、除去率は85%であった。24時間攪拌後の磁性吸着剤の分解は認められなかった。
実施例16
磁性吸着剤1の替わりに磁性吸着剤16を用いる以外は、実施例1と同様に操作した。水相のセシウム濃度は0.8ppmであり、除去率は92%であった。24時間攪拌後の磁性吸着剤の分解は認められなかった。
実施例17
磁性吸着剤1の替わりに磁性吸着剤17を用いる以外は、実施例1と同様に操作した。水相のセシウム濃度は0.9ppmであり、除去率は91%であった。24時間攪拌後に、磁石に引き寄せられない成分が分離しており、吸着剤の一部が分解していることが確認された。
実施例18
磁性吸着剤1の替わりに磁性吸着剤18を用いる以外は、実施例1と同様に操作した。水相のセシウム濃度は1.0ppmであり、除去率は90%であった。24時間攪拌後の磁性吸着剤の分解は認められなかった。
比較例1
磁性吸着剤1の替わりに比較磁性吸着剤1を用いる以外は、実施例1と同様に操作した。水相のセシウム濃度は7.9ppmであり、除去率は21%にとどまった。24時間攪拌後には、磁石に引き寄せられない成分が分離しており、吸着剤の一部が分解していることが確認された。
比較例2
磁性吸着剤1の替わりに比較磁性吸着剤2を用いる以外は、実施例1と同様に操作した。水相のセシウム濃度は10ppmであり、除去率は0%であった。24時間攪拌後の分解は認められなかった。
比較例3
磁性吸着剤1の替わりに比較磁性吸着剤3を用いる以外は、実施例1と同様に操作した。水相のセシウム濃度は6.5ppmであり、除去率は35%であった。24時間攪拌後には、磁石に引き寄せられない成分が分離しており、吸着剤の一部が分解していることが確認された。
比較例4
磁性吸着剤1の替わりに比較磁性吸着剤4を用いる以外は、実施例1と同様に操作した。水相のセシウム濃度は9.5ppmであり、除去率は5%であった。24時間攪拌後の分解は認められなかった。
比較例5
磁性吸着剤1の替わりに比較磁性吸着剤5を用いる以外は、実施例1と同様に操作した。水相のセシウム濃度は9.8ppmであり、除去率は2%であった。
実施例1〜18の結果から、本発明によればセシウムを含有する水相から、簡単な操作により短時間にセシウムを分離できることが示される。実施例1、9〜13と比較例5の結果から、粉末キレート樹脂が耐水化された水溶性樹脂や水性樹脂エマルジョンで結着させた構造が、セシウムの高い除去率を確保するために好ましいこと、実施例1と比較例1の結果からキレート樹脂を粉末化することが好ましいこと、また実施例14〜17の結果から、粉末キレート樹脂の平均粒径としては1μm〜50μmが好ましいことが分かる。実施例1と8の結果から、粉末キレート樹脂を結着剤を用いて磁性体粒子と結着させ、次いで金属イオンをキレート反応により吸着させた後、水溶性フェロシアン化物水溶液と接触させることにより、不溶性フェロシアン化物を担持させる製造方法は、例えば予め不溶性フェロシアン化物を担持させた粉末キレート樹脂を、結着剤を用いて磁性体粒子と結着させる製造方法に比べて、より高いセシウム除去率が得られるので好ましいことが分かる。また、実施例1〜5の結果から、金属イオンとしては鉄(II)、ニッケル(II)、銅(II)及びコバルト(II)が好ましいことが分かる。

Claims (6)

  1. 不溶性フェロシアン化物を担持した粉末キレート樹脂が結着剤を用いて磁性体粒子と結着されている磁性吸着剤。
  2. 結着剤が耐水化された水溶性樹脂である、請求項1記載の磁性吸着剤。
  3. 結着剤が水性樹脂エマルジョンである、請求項1記載の磁性吸着剤。
  4. 粉末キレート樹脂の平均粒径が1μm〜50μmである、請求項1〜3のいずれかに記載の磁性吸着剤。
  5. 粉末キレート樹脂を結着剤を用いて磁性体粒子と結着させ、次いで金属イオンをキレート反応により吸着させた後、水溶性フェロシアン化物水溶液と接触させることにより、不溶性フェロシアン化物を担持させることを特徴とする磁性吸着剤の製造方法。
  6. 金属イオンが鉄(II)、ニッケル(II)、銅(II)及びコバルト(II)からなる群のうちの少なくとも1種である、請求項5に記載の磁性吸着剤の製造方法。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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KR101964639B1 (ko) * 2018-02-08 2019-08-07 충남대학교 산학협력단 방사성 물질을 제거하는 입자의 제조방법
CN112774641A (zh) * 2021-01-12 2021-05-11 西安理工大学 一种羧基改性磁性淀粉基吸附材料的制备方法
CN113441117A (zh) * 2021-07-30 2021-09-28 西安理工大学 一种淀粉基聚丙烯酸磁性吸附材料及其制备方法及应用

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