JP2015023471A - 高所設備点検装置及び高所配管点検方法 - Google Patents

高所設備点検装置及び高所配管点検方法 Download PDF

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貴義 宮本
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Abstract

【課題】操作性が向上した高所設備点検装置を提供する。
【解決手段】点検検査員8の身長を超えた高所に配置される設備に先端部が届く棒状部材11と、該棒状部材11の先端部12に取り付けられた、該先端部周辺を撮像して撮像データを得る撮像部22と、無線により操作情報の受信及び該撮像データの送信を行なう無線送受信部23とを有する撮像装置21と、該撮像装置21との間で無線により上記の操作情報の送信及び撮像データの受信を行なう無線送受信部32と、点検検査員9が該撮像装置を操作するための該操作情報を入力する操作部33と、受信された該撮像データを表示する表示部34とを有する点検モニター31とを備え、該撮像装置21が該点検モニター31から無線送信された操作情報により撮像する機能を備えていることを特徴とする、高所設備点検装置1。および、該高所設備点検装置1を用いた高所配管点検方法。
【選択図】図1

Description

本発明は、点検検査員の身長を超えた高所に配置される配管設備等を点検する高所設備点検装置及び該高所設備点検装置を用いる高所配管点検方法に関する。
点検検査員の身長を超えた高所に配置される設備の塗装劣化、錆び、腐食等の異常を発見するために点検作業が行われている。中でも、内部に流体が流れる配管は、配管の劣化により内部の流体が漏出する場合があるため、早期の異常の発見が求められている。高所に設置される設備を点検するためには、設備を目視又は双眼鏡を使用して、下側から見上げることによる点検方法がとられている。
上述の設備を下側から見上げる方法では、高所に設置された設備の十分な点検が困難であるため、ポールの先端部に装着されたカメラを用いた高所の点検を行うことが可能な技術が開発されている(特許文献1)。
特許文献1では、作業者が手持ち使用できる伸縮作業ポールと、その伸縮作業ポールの先端部へ接続使用されるカメラユニットと、装着者が着用する受信ユニットと、ライブモニターユニットとを備え、上記カメラユニットのビデオカメラから無線送信されてくる映像信号を、上記受信ユニットにより受信し、上記ライブモニターユニットに表示させて、作業中に撮影した映像をリアルタイムに目視できる遠隔点検作業装置が開示されている。
特開2006−319401
上記特許文献1のように、ポールの先端にカメラが取り付けられた点検装置を用いて高所に配置される設備を点検する試みがなされているが、このような従来の点検装置では、カメラと受信ユニットとライブモニターユニットの電源スイッチをオン操作してオン操作状態に保ち点検箇所の撮影を行い、撮影後にはカメラと受信ユニットとライブモニターユニットの電源スイッチをオフ操作して点検作業を終了していたため、点検作業中は常に撮影を行っており、操作性の改善が求められていた。
本願発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、操作性が向上した高所設備点検装置を提供することを目的としている。
上記目的を達成するために、本発明の高所設備点検装置は、該棒状部材の先端部に取り付けられた、該先端部周辺を撮像して撮像データを得る撮像部と、無線により操作情報の受信及び該撮像データの送信を行なう無線送受信部とを有する撮像装置と、該撮像装置との間で無線により上記の操作情報の送信及び撮像データの受信を行なう無線送受信部と、点検検査員が該撮像装置を操作するための該操作情報を入力する操作部と、受信された該撮像データを表示する表示部とを有する点検モニターとを備え、該撮像装置が該点検モニターから無線送信された操作情報により撮像する機能を備えていることを特徴としている。
すなわち本発明の第1の要旨は、検検査員の身長を超えた高所に配置される設備に先端部が届く棒状部材と、該棒状部材の先端部に取り付けられた、該先端部周辺を撮像して撮像データを得る撮像部と、無線により操作情報の受信及び該撮像データの送信を行なう無線送受信部とを有する撮像装置と、該撮像装置との間で無線により上記の操作情報の送信及び撮像データの受信を行なう無線送受信部と、点検検査員が該撮像装置を操作するための該操作情報を入力する操作部と、受信された該撮像データを表示する表示部とを有する点検モニターとを備え、該撮像装置が該点検モニターから無線送信された操作情報により撮像する機能を備えていることを特徴とする、高所設備点検装置に存する。
また、本発明の第2の要旨は、該棒状部材が、アルミニウム合金または繊維強化複合材料からなることを特徴とする、第1の要旨に記載の高所設備点検装置に存する。本発明の第3の要旨は、該棒状部材が、伸縮自在なテレスコピック型の棒状部材として構成されたことを特徴とする、第1または第2の要旨に記載の高所設備点検装置に存する。本発明の第4の要旨は、先端に該撮像装置が取り付けられた該棒状部材の重心配置が、基端部寄りに設定されていることを特徴とする、第1ないし3のいずれか1つの要旨に記載の高所設備点検装置に存する。本発明の第5の要旨は、該棒状部材の基端部にカウンタウエイトが取り付けられていることを特徴とする、第1ないし4のいずれか1つの要旨に記載の高所設備点検装置に存する。
本発明の第6の要旨は、点検検査員に装着される帯状部材と、該帯状部材に連結されて該棒状部材を保持する保持部材とを有する装着器具をさらに備え、該保持部材が該棒状部材の基端部を保持することを特徴とする、第1ないし5のいずれか1つの要旨に記載の高所設備点検装置に存する。
本発明の第7の要旨は、該棒状部材の先端部に雲台が嵌合され、該雲台に該撮像装置が螺合されることにより棒状部材に撮像装置が取り付けられていることを特徴とする、第1ないし6のいずれか1つの要旨に記載の高所設備点検装置に存する。本発明の第8の要旨は、該雲台が、該撮像装置と螺合により連結して、第一の回転軸回りに該撮像装置を回転可能に支持する第一支持部と、第一支持部に装備され該撮像装置を該第一の回転軸回りに回転駆動する第一のアクチュエーターと、該棒状部材の先端部に嵌合されるとともに、該第一の回転軸と直交し該棒状部材の軸線と平行である第二の回転軸回りに該第一支持部を回転可能に支持する第二支持部と、該第二支持部に装備され該第一支持部を該第二回転軸回りに回転駆動する第二のアクチュエーターと、無線により該操作部からの作動情報を受信する無線受信部とを有し、該第一のアクチュエーター及び該第二のアクチュエーターが点検検査員による該操作部に入力された作動情報に応じて作動する機能を有することを特徴とする、第7の要旨に記載の高所設備点検装置に存する。
本発明の第9の要旨は、更に、該撮像データを記憶する記憶部を有することを特徴とする、第1ないし8のいずれか1つの要旨に記載の高所設備点検装置に存する。本発明の第10の要旨は、該記憶部が該撮像装置に備えられ、上記撮像装置の無線送受信部が受信した操作情報により該撮像データを該記憶部に記憶することを特徴とする、第9の要旨に記載の高所設備点検装置に存する。本発明の第11の要旨は、該記憶部が該点検モニターに備えられ、該操作部への点検検査員からの操作情報の入力により該撮像データを該記憶部に記憶することを特徴とする、第9の要旨に記載の高所設備点検装置に存する。
本発明の第12の要旨は、該記憶部が該設備の配置情報及び/又は該設備の重要点検箇所についての情報を記憶し、該撮像データを該設備の配置情報及び/又は該設備の重要点検箇所についての情報に対応させて記憶させることを特徴とする、第9ないし11のいずれか1つの要旨に記載の高所設備点検装置に存する。本発明の第13の要旨は、更に時計を有し、該撮像装置が撮像する際に、該記憶部が該撮像データと撮像した時刻情報とを結びつけて記憶することを特徴とする、第9ないし12のいずれか1つの要旨に記載の高所設備点検装置に存する。本発明の第14の要旨は、更に位置情報を取得する全地球測位システム(GPS)を有し、該撮像装置が撮像する際に、該記憶部が該撮像データと撮像した位置情報とを結びつけて記憶することを特徴とする、第9ないし13のいずれか1つの要旨に記載の高所設備点検装置に存する。本発明の第15の要旨は、該表示部が、該設備の配置情報、該設備の重要点検箇所についての情報、該撮影した時刻情報及び該撮影した位置情報のうちの少なくとも何れかの情報を表示する機能を有していることを特徴とする、第9ないし14のいずれか1つの要旨に記載の高所設備点検装置に存する。本発明の第16の要旨は、該点検モニターが、該表示部が該設備の配置情報、該設備の重要点検箇所についての情報、該撮影した時刻情報及び該撮影した位置情報のうちの少なくとも何れかの情報を該撮像データと結び付けて表示させる機能を有する表示制御部を有することを特徴とする、第15の要旨に記載の高所設備点検装置に存する。本発明の第17の要旨は、該表示制御部が、該表示部に該設備の配置情報と共に点検順序を表示させるナビゲーション機能を有していることを特徴とする、第16の要旨に記載の高所設備点検装置に存する。
本発明の第18の要旨は、該点検モニターが、該撮像装置で撮像された撮像データから設備の劣化度合いを表わす特徴点を抽出する抽出部と、該特徴点を設備の劣化状態の評価基準に基づいて設備の劣化度合いを評価する評価部と、該評価に基づいて該設備の劣化状態を判定する判定部とを有する撮像データ処理部を有することを特徴とする、第1ないし17のいずれか1つの要旨に記載の高所設備点検装置に存する。本発明の第19の要旨は、該点検モニターが、該撮像装置により時間をおいて撮像された同一点検個所についての複数の撮像データから設備の劣化度合いを表わす特徴点をそれぞれ抽出する抽出部と、該各撮影時における特徴点を設備の劣化状態の評価基準に基づいて設備の劣化度合いを評価する評価部と、該各撮像データの評価結果同士を比較する比較部と、該比較結果に基づいて設備の劣化状態を判定する判定部とを有する撮像データ処理部を有することを特徴とする、第1ないし18のいずれか1つの要旨に記載の高所設備点検装置に存する。本発明の第20の要旨は、該判定部が、該設備の設置状況を参酌して該設備の劣化状態を判定することを特徴とする、請求項18または請求項19に記載の高所設備点検装置に存する。
そして、本発明の第21の要旨は、点検検査員の身長を超えた高所に配置される配管設備に対し、先端部が届く棒状剛性部材の先端部に取り付けられた流体検知器を用いて、該配管設備の流体漏洩点検を行なうステップと、第1ないし20のいずれか1つの要旨に記載の高所設備点検装置の該点検モニターを操作して、該撮像装置にて該配管設備を撮像するステップと、該表示部に該撮像された画像を表示するステップとを有することを特徴とする、高所配管点検方法に存する。
本願発明によれば、棒状部材の先端部に取り付けられた撮像装置が、点検モニターの操作部からの操作情報を受けて設備を撮像する機能を備えていることにより、高所設備点検装置の操作性を向上させることができる。
本発明の一実施形態に係る高所配管点検装置の構成の一例を示す模式図である。 本発明の一実施形態に係る高所配管点検装置の機能構成を示すブロック図である。 本発明の一実施形態に係る高所配管点検装置の構成の一例を示す模式図である。 本発明の一実施形態に係る高所配管点検装置の構成の一例を示す模式図である。 本発明の一実施形態に係る高所配管点検装置の構成の一例を示す模式図である。 電動雲台の構成の一例を示す模式図である。 本発明の一実施形態に係る高所配管点検装置の点検モニターのディスプレイに表示される表示部及び操作部の一例を示す図である。 高所配管点検装置の撮像処理及び記憶処理の一例を説明するためのフローチャートである。 高所配管点検装置の撮像処理及び記憶処理の一例を説明するためのフローチャートである。 本発明の一実施形態に係る高所配管点検装置の点検モニターのディスプレイに表示される表示部による配管配置の表示の一例を示す図である。 本発明の一実施形態に係る高所配管点検装置の点検モニターのディスプレイに表示される表示部による配管配置の表示の一例を示す図である。 本発明の一実施形態に係る高所配管点検装置の点検モニターのディスプレイに表示される表示部による配管配置の表示の一例を示す図である。 高所配管点検装置の表示処理を説明するためのフローチャートである。 高所配管点検装置を用いた配管設備の劣化状態の判定の一例を説明するためのフローチャートである。 高所配管点検装置を用いた配管設備の劣化状態の判定の一例を説明するためのフローチャートである。 高所配管点検装置の操作の一例を説明するための模式図である。 高所配管点検装置の操作の一例を説明するための模式図である。 高所配管点検装置を用いた点検作業の一例を説明するための模式図であり、(a)はその概要を模式的に示す図、(b)は撮像装置により得られる画像を模式的に示すものである。 高所配管点検装置を用いた点検作業の一例を説明するための模式図であり、(a)はその概要を示す模式図であり、(b)は撮像装置により得られる画像を示す模式図である。 (a)〜(d)はいずれも高所配管点検装置を用いた点検によって確認される配管の劣化状態の例を示す模式図である。 高所配管点検装置を用いた配管設備の点検方法の一例を説明するためのフローチャートである。 高所配管点検装置を用いた配管設備の点検方法の一例を説明するためのフローチャートである。 高所配管点検装置を用いた配管設備の劣化状態判定方法の一例を説明するためのフローチャートである。 高所配管点検装置を用いた配管設備の劣化状態判定方法の一例を説明するためのフローチャートである。
以下、本発明の実施の形態について説明するが、本発明は以下の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、任意に変更して実施できる。なお、以下の実施形態では、高所に配置される設備として配管設備を例示するので、高所設備点検装置を高所配管点検装置と称する場合がある。しかしながら、本発明の高所設備点検装置は、高所に配置された配管に限らず、例えば、建造物の屋根、壁面、もしくは柱、大型プラント、橋梁、橋柱、電柱、または配電設備等、高所の点検または高所に設置される設備の点検に適宜用いられる。
[1.高所配管点検装置の構成]
以下、本発明の一実施形態に係る高所設備点検装置の構成について、図面を用いて詳細に説明する。
本発明の一実施形態に係る高所設備点検装置1は、図1、図2に示すように、棒状部材11、撮像装置21及び点検モニター31を備え、撮像装置21は点検モニター31から無線送信された操作情報により撮像する機能を備えている。ここで、棒状部材11は、点検検査員の身長を超えた高所に配置される設備に先端部が届く長さである。棒状部材11の先端部12には、撮像装置21が取り付けられており、撮像装置21は、先端部周辺を撮像して撮像データを得る撮像部22と、無線により操作情報の受信及び撮像データの送信を行なう無線送受信部23を有する。また、点検モニター31は、撮像装置21との間で無線により操作情報の送信及び撮像データの受信を行なう無線送受信部32と、点検検査員9が該撮像装置21を操作するための該操作情報を入力する操作部33と、受信された該撮像データを表示する表示部34とを有する。すなわち、点検検査員9が操作部33から操作情報を入力することにより、無線により撮像装置21に送信された操作情報に従って撮像装置21が高所に配置される設備を撮影し、撮像された撮像データが無線により点検モニター31に送信され、表示部34に表示される。
図1は、本発明の一実施形態に係る高所配管点検装置の構成の一例を模式的に示す図である。また、図2は、本発明の一実施形態に係る高所配管点検装置の機能構成を示すブロック図である。
図1には、断面方向から描いている配管101a〜101l、配管101a〜101eを支持するサポート(梁)112a、配管101f〜101iを支持するサポート112b、配管101j〜101lを支持するサポート112c、及びサポート112a〜112cを支持するサポート(支柱)111からなる配管設備が示されており、点検検査員8及び9が、配管101aを高所配管点検装置1を用いて点検している状態が模式的に示されている。なお、本明細書においては、複数の配管101a〜101lを特に区別しない場合には、「配管101」として符合を付して説明する場合がある。同様に、複数のサポート112a〜112cを特に区別しない場合には、「サポート112」として同じ符合を付して説明する場合がある。
図1に示すように、本実施形態の高所配管点検装置1は、点検検査員8の身長を超えた高所に配置される配管設備に先端部12が届く棒状部材11と、撮像装置21と、点検モニター31と、タッチパネルディスプレイ71とを備えている。ここで、撮像装置21は、棒状部材11の先端部12に取り付けられている。但し、取付部材51については、棒状部材11及び/又は撮像装置21が取付部材51の機能を備えていても良いし、棒状部材と撮像装置が一体化されていても構わない。また、図1においては、2名の点検検査員が高所配管設備を点検しているが、点検検査員の人数は、1名でも3名以上でも構わない。図2に示すように、撮像装置21は、棒状部材11の先端部周辺を撮像して撮像データを得る撮像部22と、無線により操作情報の受信及び撮像データの送信を行なう無線送受信部23とを有している。点検モニター31は、撮像装置21との間で無線により操作情報の送信及び撮像データの受信を行なう無線送受信部32と、撮像装置21を操作するための操作情報を出力する操作部33としての機能と、受信された撮像データを表示する表示部34としての機能を併せ持つタッチパネルディスプレイ71とを有している。
本実施形態の高所配管点検装置1は、図3に示すように、さらに装着器具61を備えていてもよい。また、本実施形態の高所配管点検装置1は、撮像データを記憶する記憶部を備えていてもよい。本実施形態の高所配管点検装置1が記憶部を備えている場合、図2に示すように、記憶部は、撮像装置21(記憶部24)又は点検モニター31(記憶部35)に備えられていることが好ましい。
以下に、本実施形態の高所配管点検装置1の構成要素及び動作について説明する。
[1−1.高所配管点検装置の構成要素]
(棒状部材)
図1に示すように、棒状部材11は、点検検査員8の身長を超えた高所に配置される配管設備に先端部12が届く棒状の部材である。点検検査員8は棒状部材11の基端部13を保持することで、高所配管点検装置1を用いて高所に配置される配管設備の点検を行うことができる。
棒状部材11の長さは、点検検査員の身長を超えた高所に配置される配管設備に先端部が届く長さであれば限定はされないが、高所の配管設備を点検できる観点からは長いことが好ましい。具体的には、5m以上であることが好ましく、7m以上がより好ましく、8m以上が特に好ましい。棒状部材11の長さの上限は、棒状部材11が軽量で点検検査員による保持が容易であり、また棒状部材11の取り回しが良く高所配管点検装置1の操作が容易である点では短いことが好ましい。具体的には、通常30mであることが好ましく、20mであることが更に好ましく、15mであることが特に好ましく、10mであることが最も好ましい。
棒状部材11の重量は、棒状部材11の保持が容易となり、高所配管点検装置1を容易に操作でき、また棒状部材11及び高所配管点検装置1の持ち運びに便利がよい観点から軽量であることが好ましい。具体的には、3kg以下が好ましく、1.8kg以下がより好ましく、1.6kg以下がさらに好ましい。棒状部材11の重量の下限は、通常100gであるが特に限定されず、撮像装置21がふらつかないように所定の剛性を確保できれば、より軽くすることが好ましい。
棒状部材11の材質は、アルミニウム合金又は繊維強化複合材料からなることが好ましい。
アルミニウム合金とは、アルミニウムを主成分とする合金であって、アルミニウムと、マグネシウム、ケイ素、亜鉛、銅、鉄、マンガン、クロム、チタン等から選ばれる1種以上とを合金にしたものである。中でも、強度と耐食性が良好な点から、Al−Mg−Si系合金である6000番台のアルミニウム合金が好ましく、6063番がより好ましい。なお、棒状部材11の材質がアルミニウム合金である場合には、棒状部材11の表面の腐食を防止するために、アルマイト処理(陽極酸化処理)により表面に酸化アルミニウムの被膜を形成することが好ましい。
繊維強化複合材料とは、母材に強化用の繊維素材を含有させたもので、母材及び繊維素材には種々のものを適用でき、繊維素材とプラスチック素材とを組み合わせたFRP(Fiber Reinforced Plastics;繊維強化プラスチック)が好適に用いられる。中でも強化材としてガラス繊維を用いたガラス繊維強化プラスチック(Glass Fiber Reinforced Plastics)、又は強化材として炭素繊維を用いた炭素繊維強化プラスチック(Carbon Fiber Reinforced Plastics)が好ましい。すなわち、このようなガラス繊維または炭素繊維を熱硬化性樹脂または熱可塑性樹脂に含浸させた複合材料により棒状部材11を成形することが好ましい。
棒状部材11の材質がアルミニウム合金又は繊維強化複合材料からなることにより、軽量であり且つ剛性に優れた棒状部材11を得ることができる。
棒状部材11は、軽量化と強度の確保のため、通常、円筒状などのように内部が空洞状であることが好ましい。強度を向上させるために、棒状部材11の断面が多角形状であることが更に好ましい。
棒状部材11は、伸縮自在なテレスコピック型(重なり合った筒が伸び縮みする構造)の棒状部材として構成されていることが特に好ましい。
棒状部材11を伸縮自在なテレスコピック型の棒状部材として構成する場合には、例えば、図5に示すように、太さの異なる複数本の筒状に形成された棒状部材17a〜17g(図5では7本)を、径が最も太い棒状部材17gを一番外側にして、径が最も細い棒状部材17aが一番内側となるように、互いに摺動可能に組み合わせて、棒状部材17gから棒状部材17a〜17fを順に上部に引き出して伸長した状態で、図示しない固定部材により各棒状部材間の係合部を締め付けて固定する構造などが挙げられる。各棒状部材17a〜17gの長さは、図1に示す棒状部材11の長さを等分した長さより係合部の分だけ長く形成されており、棒状部材17a〜17gを引き出した状態で図1に示す棒状部材11と同等の長さとなることが好ましい。棒状部材11は、高所配管点検装置1の収納時または運搬時には固定部材の締め付けを緩めて、棒状部材17a〜17fを棒状部材17gの内部に収納することができる構造であることが好ましい。
棒状部材11が伸縮自在なテレスコピック型の棒状部材として構成されていることにより、高所配管点検装置1を用いて点検を行う際には、棒状部材11を配管設備の高さに合わせて伸長させることで先端部12が高所に配置される配管設備に届かせることが可能となり、高所配管点検装置1の収納時または運搬時には棒状部材11の長さを縮小させて省スペースな保存と容易な運搬が可能となる。
棒状部材11は、先端に撮像装置21が取り付けられた際の重心配置が基端部寄りに設定されていることが好ましい。重心配置が基端部寄りにすることは、例えば、図5に示すように、棒状部材11の基端部13にカウンタウエイトを取り付ける、棒状部材11の径を先端部12(細く)と基端部13(太く)で変える、棒状部材11の内部が空洞の円筒状である場合に棒状部材11の肉厚を先端部(薄く)と基端部(厚く)で変える、棒状部材11を構成する素材の密度(比重)を先端部12(低く)と基端部13(高く)することなどにより達成できる。
具体的には、図1に示すように、棒状部材11が1本の棒状部材からなる場合については、例えば、上述の通り、棒状部材11の径を先端部12から基端部13にかけて太くする、棒状部材11の肉厚を先端部12から基端部13にかけて厚くする、または棒状部材11の密度が先端部12から基端部13にかけて高くなる傾斜機能材料を用いるなどにより重心配置を基端部寄りにすることができる。
または、図5に示すように、棒状部材11が複数の棒状部材17a〜17gを連結してなる場合には、先端部付近を構成する棒状部材17aと基端部付近を構成する棒状部材17gとで、先端部付近を構成する棒状部材17aよりも、基端部付近を構成する棒状部材17gの径を太くするか、基端部付近を構成する棒状部材17gの肉厚を厚くするか、基端部付近を構成する棒状部材17gの密度を高くするなどにより重心配置を基端部寄りにすることができる。
また、これらの方法を適宜組み合わせることにより、先端に撮像装置21が取り付けられた際の重心配置を基端部寄りに設定することもできる。これらのうち、本発明の一実施形態に係る高所設備点検装置においては、先端に撮像装置21が取り付けられた際の重心配置を基端部寄りにするために、棒状部材11の基端部13にカウンタウエイトが取り付けられていることが好ましい。
棒状部材11が先端に撮像装置21が取り付けられた際の重心配置が基端部寄りに設定されていることで、高所配管点検装置1を使用する際に先端部を上側に向けて立てた状態で点検検査員8が安定して保持することが可能になり、撮像装置21が取り付けられた先端部12の位置を正確かつ容易に動かすことが可能となる。
棒状部材11は、表面にゴム素材や合成樹脂等の滑りにくい部材を設け、または表面にローレット(ナーリング)加工や梨地(シボ)処理等により凹凸を形成する粗面加工を行うことで、滑り止めが施されていてもよい。
(撮像装置)
図1、図2に示すように、撮像装置21は、棒状部材11の先端部12に取り付けられており、棒状部材11の先端部周辺を撮像して撮像データを得る撮像部22と、無線により操作情報の受信および該撮像データの送信を行なう無線送受信部23とを有し、無線により点検モニター31の操作部33からの操作情報を受けて動作して、配管101を撮像するものである。また、本実施形態の高所配管点検装置1は、撮像装置21が、撮像部23により得られた撮像データを記憶する記憶部24を有するが、本発明の一実施形態に係る撮像装置21において、記憶部24は必ずしも有していなくともよい。また、撮像装置21は、撮像装置21を動作させるための電源として、本実施形態の高所配管点検装置1では、図示していないが撮像装置21がバッテリーを備えている。
撮像装置21は、棒状部材11の先端部12に取り付けられた状態で点検検査員が高所配管点検装置1を操作しやすいことから、軽量であることが好ましく、具体的には、500g以下であることが好ましく、200g以下であることがより好ましく、130g以下であることが特に好ましい。
撮像装置21の棒状部材11の先端部12への取付は、棒状部材11の先端部12に雲台を嵌合し、この雲台に撮像装置21を螺合することにより行うことが好ましく、撮像部22が取付部材51としての雲台の雄ねじ部と螺合により取り付けられるための雌ねじ部を有することが好ましい。
撮像部22は、通常、少なくともレンズと撮像素子を有し、撮像対象物からの光をレンズで撮像素子に結像させて電気信号に変換することにより、撮像対象物の画像をデジタル信号である撮像データとして得るための撮像手段である。撮像素子としてはCCD(charge-coupled device)またはCMOS(complementary metal-oxide semiconductor)を用いたイメージセンサなどを利用することができる。なお、本発明において「撮像する」とは、撮像部22により撮像データを得ることをいう。
撮像部22としては、静止画を得るデジタルスチルカメラ、または動画を得るデジタルビデオカメラを用いることができる。撮像部22は、撮像する画像をズームイン(望遠)またはズームアウト(広角)して画角を変更する望遠・広角機能を備えることが好ましい。
撮像装置21の無線送受信部23は、点検モニター31の無線送受信部32からの操作情報の受信および撮像部22からの撮像データを無線信号として出力をするものである。無線送受信部23として、例えばWifi(登録商標)機能又はBluetooth(登録商標)機能を備える無線チップを利用することができる。通信速度の点から、無線送受信部23はWifiによる無線通信を行うことが好ましい。
撮像装置21の記憶部24は、撮像部22で得られた撮像データを静止画のデータ(静止画情報)または動画のデータ(動画情報)として記憶するものである。記憶部24としては、フラッシュメモリ、フラッシュメモリを用いたソリッドステートドライブ(SSD)、またはハードディスク(HDD)等を用いることができる。
撮像装置21は図示しない電源スイッチを有しており、電源スイッチをオン操作することにより、撮像装置21の電源が投入される。また、電源スイッチをオフ操作することにより、撮像装置21の電源が切断される。
撮像装置21は通常電源スイッチのオン操作により電源が投入されて待機状態となり、この状態で点検モニター31からの操作情報を受けて撮像部22が撮像の開始または停止をすることができる。または、撮像装置21は電源スイッチのオン操作により電源が投入されて撮像部22が撮像を開始し、また電源スイッチをオフ操作することにより撮像部22が撮像を停止して電源が切断されるようにしてもよい。
撮像装置21を操作するための操作情報は点検モニター31の操作部33から出力されて、点検モニター31の無線送受信部32から送信される。撮像装置21の無線送受信部23が送信された操作情報を受信し、この操作部33からの操作情報を受けて撮像装置21の撮像部22が動作することで、撮像の開始もしくは停止、またはズームインもしくはズームアウトを行うようになっている。また、撮像装置21の無線送受信部23が送信された操作情報を受信し、この操作部33からの操作情報を受けて撮像装置21の無線送受信部23が動作することで、撮像データを送信するようになっている。また、記憶部24を有する場合は、撮像装置21の無線送受信部23が送信された操作情報を受信し、この操作部33からの操作情報を受けて撮像装置21の記憶部24が動作することで、撮像データを記憶するようになっている。
撮像部22で得られた撮像データは撮像装置21の無線送受信部23から点検モニター31に無線送信される。送信された撮像データは点検モニター31の無線送受信部32が受信して、表示部34に撮影データの画像が表示されるようになっている。
本実施形態の高所設備点検装置は、撮像データを記憶する記憶部を有することが好ましい。記憶部を有する場合、本実施形態の高所設備点検装置がシンプルな構成となることから、記憶部22が、撮像装置21に備えられ、撮像装置21の無線送受信部23が受信した操作情報により撮像データを記憶することが好ましい。また、同様の理由により、記憶部35が点検モニター31に備えられ、操作部33への点検検査員9からの操作情報の入力により記憶することも好ましい。これらの場合、撮像装置21で得られた撮像データは、撮像装置21の記憶部24で静止画情報または動画情報として記憶することができる。または、撮像装置21の無線送受信部23から無線送信された撮像データを点検モニター31の無線送受信部32が受信して、点検モニター31の記憶部35で静止画情報または動画情報として記憶することができる。
撮像装置21の無線送受信部23と点検モニター31の無線送受信部32とにより無線通信を行う場合、無線通信による単位時間当たりに送受信可能な撮像データのサイズの上限は制限されるため、撮像データの解像度とフレームレート(FPS)を共に高い設定にして撮像データを送信することが困難となる場合がある。このため、無線通信により撮影データを送信する際には、撮像データの解像度またはフレームレートの設定を落とすか、適宜撮像データを圧縮処理して送信することが好ましい。
このとき、撮像装置21の記憶部24で撮像データを記憶する場合には、撮像データの記憶に無線通信を介さないため、点検モニター31の記憶部35に撮像データを記憶する場合と比較して、撮像装置21の記憶部24に高解像度の静止画情報、または高解像度と高フレームレートの動画情報を記憶することが可能になる。
記憶容量(以降、単に容量ともいう)の大きい記憶媒体(例えばハードディスク)は、記憶容量の小さい記憶媒体(例えばフラッシュメモリ)と比較して、大型化し、また重量が重くなる傾向がある。撮像装置21は小型で軽量であることが好ましいことを考慮すると、撮像装置21が備える記憶部24の記憶媒体の容量は小さいことが好ましい。一方、点検モニター31の記憶部35で撮像データを保存する場合には、撮像装置21に記憶部24を備える場合と比較して、点検モニター31の記憶部35には大容量の記憶媒体を用いやすいため、より多くの撮像データを静止画情報または動画情報として記憶することが可能となりやすい。
なお、撮像時に撮像装置21の記憶部24で撮像データを記憶した後に、撮像後に撮像装置21と点検モニター31を有線または無線で接続して、撮像装置21の記憶部24から点検モニター31の記憶部35へ撮像データを移すようにしてもよい。
撮像装置21は、撮像部22、無線送受信部23、及び記憶部24が密閉された筐体の内部に備えられ、撮像時には外部からシールさせることにより、防水、防塵、防爆機能を備えることが好ましい。
(取付部材)
本実施形態の高所配管点検装置1において、取付部材51は、図1に示すように、棒状部材11の先端部12と撮像装置21との間に設けられて、棒状部材11に撮像装置21を取り付けるものである。本実施形態の高所配管点検装置1は、取付部材51として、後述する遠隔操作によって作動する電動雲台51Aを備えているが、以下に説明する撮像装置21を回転可能に固設する雲台であってもよい。なお、この雲台は、電動雲台51Aと区別するために、図示しないが符号51Bを付して説明する。
まず、取付部材51として雲台51Bを備える場合の代表的な構成について説明する。
雲台(取付部材)51Bは、撮像装置21の雌ねじ部と螺合により連結する雄ねじ部を有するとともに、第一の回転軸回りに撮像装置21を回転可能に支持する第一回転部と、棒状部材11の先端部12に嵌合されるとともに、第一の回転軸と直交し棒状部材11の軸線と平行である第二の回転軸回りに第一回転部を回転可能に支持する第二回転部とを備える。
棒状部材11の先端部12に雲台51Bの第二回転部が嵌合により固定されて、雲台51Bの雄ねじ部と撮像装置21の雌ねじ部とが螺合することにより、撮像装置21が、棒状部材11の先端部12に雲台51Bを介して取り付けられるようになっている。なお、棒状部材11と雲台51Bとの固定は嵌合に限定されず、例えば螺合によるなど他の方式により固定してもよい。
このとき、雲台51Bは、第二回転部が、第二回転部に支持される第一回転部と撮像装置21とを、棒状部材11の軸線と平行である第二の回転軸回りに回転させることにより、撮像装置21を棒状部材11の軸線と直交する平面に対して水平方向(左右方向)に回転(パン)させることができる。また、雲台51Bは、第一回転部が、第一回転部に支持される撮像装置21を、棒状部材11の軸線と平行である第二の回転軸と直交する第一の回転軸回りに回転させることにより、撮像装置21を棒状部材11の軸線と直交する平面に対して垂直方向(上下方向)に回転(チルト)させることができる。
上述したように、撮像装置21が、棒状部材11の先端部12に雲台51Bを介して取り付けられことで、雲台51Bによりあらかじめ撮像装置21をパンまたはチルトさせて棒状部材11に対して所定の向きを向くようにしておくことにより、点検検査員が高所配管点検装置を保持した際に、所望の向きを撮像することが可能となる。
次に、本実施形態の高所配管点検装置1に係る取付部材51として電動雲台51Aを備える場合について説明する。
電動雲台(取付部材)51Aは、図2及び図6に示すように、第一の回転軸A回りに該撮像装置21を回転可能に支持する第一支持部52と、第一支持部52に装備され撮像装置51を第一の回転軸A回りに回転駆動する第一のアクチュエーター53と、棒状部材11の先端部12に固定されるとともに、第一の回転軸Aと直交し棒状部材11の軸線と平行である第二の回転軸B回りに第一支持部52を回転可能に支持する第二支持部56と、第二支持部56に装備され第一支持部52を第二回転軸回りに回転駆動する第二のアクチュエーター57と、無線により操作部33からの作動情報を受信する無線受信部60とを有し、第一のアクチュエーター53及び第二のアクチュエーター57が点検検査員による操作部33に入力された作動情報に応じて作動する機能を有する。
第一支持部52は、撮像装置21の雌ねじ部と螺合により連結する図示しない雄ねじ部を有し、撮像装置21を固定支持する固定部材54と、第一のアクチュエーター53を内部に備える第一のケース55と、固定部材54と撮像装置21を撮像部材21の光軸Cと直交する第一の回転軸A回りに回転駆動する第一のアクチュエーター53とを有している。第一のアクチュエーター53は、固定部材54に連結されるとともに、第一のケース55にベアリングを介して回転可能に支持されるシャフト53aと、シャフト53aに取り付けられ、シャフト53aを回転中心とするウォームホイール53bと、ウォームホイール53bと噛合してウォームギアをなすウォーム53cと、遠隔操作によって作動してウォーム53cに回転力を作用させる電動モーター53dとからなる。
電動モーター53dの作動により、ウォーム53c、ウォームホイール53b、及びシャフト53aを介して、固定部材54に第一の回転軸A回りに回転する回転力が伝達される。固定部材54の雄ねじ部と撮像装置21の雌ねじ部とが螺合した状態で、第一のアクチュエーターの電動モーター53dが作動することによって、第一支持部52は、第一の回転軸A回りに撮像装置21を回転駆動させることができる。
第二支持部56は、第一支持部52の第一のケース55と接合される支持台58と、第二のアクチュエーター57を内部に備える第二のケース59と、支持台58を第二の回転軸B回りに回転駆動する第二のアクチュエーター57とを有している。第二のアクチュエーター57は、支持台58に連結されるとともに、第二のケース59にベアリングを介して回転可能に支持されるシャフト57aと、シャフト57aに取り付けられ、シャフト57aを回転中心とするウォームホイール57bと、ウォームホイール57bと噛合してウォームギアをなすウォーム57cと、遠隔操作によって作動してウォーム57cに回転力を作用させる電動モーター57dとからなる。
電動モーター57dの作動により、ウォーム57c、ウォームホイール57b、及びシャフト57aを介して、支持台58に第二の回転軸B回りに回転する回転力が伝達される。支持台58と第一のケース55が接合していることにより、第二のアクチュエーター57の電動モーター57dが作動することによって、第二支持部材56は、第二の回転軸B回りに第一支持部52と撮像装置21を回転駆動させることができる。
なお、上記のアクチュエーター53、57の構成は一例であり、撮像装置21または第一支持部52を回転駆動させることが可能なものであれば適宜用いることができる。
棒状部材11の先端部12に電動雲台51Aの第二支持部56が嵌合されて、電動雲台51Aの第一支持部52の雄ねじ部と撮像装置21の雌ねじ部とが螺合することにより、撮像装置21が、棒状部材11の先端部12に電動雲台51Aを介して取り付けられるようになっている。
点検モニター31の無線送受信部32から送信された操作部33からの電動雲台51Aの第一のアクチュエーター53または第二のアクチュエーター57を作動させるための作動情報を、電動雲台51Aの無線受信部60で受信して、この操作部33からの作動情報を受けて電動雲台51Aは第一のアクチュエーター53または第二のアクチュエーター57を動作させて、第一のアクチュエーター53または第二のアクチュエーター57を遠隔操作によって回転作動させるようになっている。無線受信部60として、例えばWifi機能又はBluetooth機能を備える無線チップを利用することができるが、電動雲台51Aの無線受信部60として赤外線受光部を有し、点検モニタ−31が無線送受信部32として赤外線発光部を有し、点検モニター31からの作動情報を赤外線によって送受信するようにしてもよい。
このとき、電動雲台51Aは、第二支持部56が、第二支持部56に支持される第一支持部52と撮像装置21とを、棒状部材11の軸線と平行である第二の回転軸B回りに回転させることにより、撮像装置21を棒状部材11の軸線と直交する平面に対して水平方向(左右方向)に回転(パン)させることができる。また、電動雲台51Aは、第一支持部52が、第一支持部52に支持される撮像装置21を、棒状部材11の軸線と平行である第二の回転軸Bと直交する第一の回転軸A回りに回転させることにより、撮像装置21を棒状部材11の軸線と直交する平面に対して垂直方向(上下方向)に回転(チルト)させることができる。
上述したように、撮像装置21が、棒状部材11の先端部12に電動雲台51Aを介して取り付けられことにより、点検検査員が高所配管点検装置を保持して配管101の点検を行いながら点検モニター31の操作部33に電動雲台51Aを所望の向きにするための作動情報を入力することによって、撮像装置21を棒状部材11に対して所望の向きに移動させて配管設備を撮像することが可能となる。
(点検モニター)
図2に示すように、点検モニター31は、撮像装置21または雲台51との間で無線により操作情報の送信および撮像データの受信を行なう無線送受信部32と、撮像装置21を操作するための操作情報または電動雲台51Aを作動させるための作動情報を出力する操作部33と、受信された撮像データを表示する表示部34とを有するものである。なお、図2においては、点検モニター31は、点検モニター31を動作させるために電源として、図示しないバッテリーを備える。また、図1に示すように、点検モニター31は、操作部33としての機能と、表示部34としての機能を併せ持つタッチパネルディスプレイ71(以降、単にディスプレイ71ともいう)を有している。
点検モニター31の無線送受信部32は、点検モニター31の操作部33からの操作情報を受けて撮像装置21の無線送受信部23への操作情報の送信もしくは電動雲台51Aの無線受信部60への作動情報の送信、および撮像装置21の無線送受信部23からの撮像データの受信をするものである。無線送受信部32として、例えばWifi機能又はBluetooth機能を備える無線チップを利用することができる。通信速度の点から、無線送受信部32はWifiによる無線通信を行うことが好ましい。
操作部33は、撮像装置21を操作及び/又は雲台51を動作させるための情報が入力され、この情報に応じた信号を操作情報または作動情報として出力する。
表示部34は、点検モニター31の無線送受信部32で受信された撮像データまたは記憶部に記憶されている撮像データ及び/又は情報を読み出して、撮像された画像及び/又は情報を表示する。通常、点検モニター31に備えられるタッチパネルディスプレイ71の液晶表示画面が、表示部34として機能するようになっている。
図7は本実施形態の撮像時における点検モニター31のタッチパネルディスプレイ71に表示される画像の一例を示すものである。本実施形態では図7に示すように、タッチパネルディスプレイ71の下縁部領域を除く下部領域に動画記憶ボタン72、静止画記憶ボタン73、望遠ボタン74、広角ボタン75、チルトボタン76及び77、パンボタン78及び79が表示され、下縁部領域にマップボタン80、ビューボタン81、アルバムボタン82及び設定ボタン83の各モードを選択するモード選択ボタンが表示され、各ボタンをタッチ操作することにより作動情報及び/又は操作情報の入力が行われることで操作部33として機能する。また、点検モニター31のタッチパネルディスプレイ71の上部領域には、画面タイトル84及び撮像画面85が表示されることで表示部34として機能する。
動画記憶ボタン72は、撮像装置21の撮像部22により撮像される撮像データの動画情報としての記憶の開始(オン)と停止(オフ)の動作をさせる操作情報を出力するスイッチである。
静止画記憶ボタン73は、撮像装置21の撮像部22により撮像される撮像データの静止画情報としての記憶の動作をさせる操作情報を出力するスイッチである。
望遠ボタン74は、撮像装置21の撮像部22に望遠(ズームイン)の動作をさせる操作情報を出力するスイッチである。
広角ボタン75は、撮像装置21の撮像部22に広角(ズームアウト)の動作をさせる操作情報を出力するスイッチである。
チルトボタン76及び77は、電動雲台51Aの第一支持部52にチルトの回転動作をさせる作動情報を出力するスイッチであり、チルトボタン76により上方向、チルトボタン77により下方向へ各々電動雲台51Aに回転動作をさせる作動情報を出力する。
パンボタン78及び79は、電動雲台51Aの第二支持部56にパンの回転動作をさせる作動情報を出力するスイッチであり、パンボタン78により左方向、チルトボタン77により右方向へ各々電動雲台51Aに回転動作をさせる作動情報を出力する。
マップボタン80、ビューボタン81、アルバムボタン82及び設定ボタン83は、それぞれをタッチ操作することにより、表示部34として機能するディスプレイ71の表示を各モードにあわせた表示に遷移させるとともに、各モードに合わせた動作を行わせる操作情報を出力するためのボタンである。
マップボタン80がタッチ操作された場合、ディスプレイ71に配管の配置情報を表示させるようになっている。
ビューボタン81がタッチ操作された場合、ディスプレイ71に図7に示すような操作部33および表示部34を表示すると共に、撮像装置21の撮像部22による撮像を開始させて、無線送受信部23による撮像データの点検モニター31への送信を行うようになっている。
アルバムボタン82がタッチ操作された場合、ディスプレイ71に、記憶された静止画情報または動画情報を表示させ、閲覧できるようになっている。
設定ボタン83がタッチ操作された場合、ディスプレイ71に設定画面を表示させて、高所配管点検装置の各設定を確認または変更することができるようになっている。
上述したように、図7に示すタッチパネルディスプレイ71に表示される操作部33における各ボタンを操作することにより、無線送受信部32から操作情報または作動情報が送信されて、撮像装置21の無線送受信部23が操作情報を受信することにより、撮像装置21が撮像の開始もしくは停止、望遠、広角、または撮像データの静止画情報もしくは動画情報としての記憶等を行う、電動雲台51Aの無線受信部60が作動情報を受信することにより、電動雲台51Aがパンまたはチルト等の動作を行う、または、撮像装置21の記憶部24又は点検モニター31の記憶部35等が撮像データの静止画情報もしくは動画情報としての記憶等を行うようになっている。
なお、操作部34の動画記憶ボタン72または静止画記憶ボタン73が操作された場合に、撮像装置21の記憶部24と点検モニター31の記憶部35のどちらの記憶部で撮像データの記憶を行うかは、あらかじめ設定を行っておくことにより、定められたどちらかの記憶部により記憶を行うことが好ましい。
本実施形態では操作部33が上記のようにタッチパネルディスプレイ71により構成されているが、点検モニター31に設けられた物理キー(ハードウェアキー)により操作部33を構成してもよい。また、本実施形態では、ディスプレイ71の一部を表示部34としているが、操作部33を点検モニター31に設けられた物理キーにするとともに、表示部34がディスプレイ71の全面に表示されるものとしてもよい。
撮像装置21の撮像部22により得られた撮像データは無線送受信部23から送信され、送信された撮像データは点検モニター31の無線送受信部32により受信されて表示部34に撮像データの画像が表示される。
点検モニター31の記憶部35は、撮像装置21の撮像部22で得られた撮像データを静止画情報または動画情報として記憶するものである。記憶部35としては、フラッシュメモリ、フラッシュメモリを用いたソリッドステートドライブ(SSD)、またはハードディスク(HDD)等を用いることができる。
本実施形態の高所配管点検装置1は、記憶部が配管の配置情報及び/又は配管の重要点検箇所についての情報を記憶し、撮像データを配管の配置情報及び/又は配管の重要点検箇所についての情報に対応させて記憶させることが好ましい。そこで、撮像装置21又は点検モニター31が撮像装置21で得られた撮像データを記憶する記憶部24又は記憶部35を有する場合は、記憶部24又は記憶部35が撮像データを配管の配置情報に対応させて記憶することが好ましい。また、記憶部は、配管の配置情報、配管設備の設置状況に関する情報、過去の配管の点検結果(点検履歴)の情報、配管の重要点検箇所の情報、配管設備の点検順序の情報、配管設備の劣化状態の判定に用いられる判定基準等を記憶していることが好ましい。
本実施形態の高所配管点検装置1は、時計を有し、撮像装置21が撮像する際に、記憶部が撮像データと撮像した時刻情報とを結びつけて記憶することが好ましい。時計は現在時刻を取得するものであって、時刻を取得できるものであれば特に限定されないが、中でも、標準電波の送信局から送信される日付及び時刻情報の信号を受信し、時刻を合わせることができる電波時計が好ましい。時計は撮像装置21又は点検モニター31に備えられていることが好ましく、図2に示すように点検モニター31に時計36が備えられていることが更に好ましい。また、記憶部が撮像装置21または点検モニター31にある場合は、撮像装置21の記憶部24または点検モニター31の記憶部35に、撮像データを記憶する際に、時計36により時刻情報を取得して両者を結びつけて記憶することが好ましい。
本実施形態の高所配管点検装置1は、位置情報を取得する全地球測位システム(GPS;Global Positioning System;グローバル・ポジショニング・システム)を有し、撮像装置21が撮像する際に、記憶部が撮像データと撮像した位置情報とを結びつけて記憶することが好ましい。GPSは、通常アンテナ及び処理回路とを備えており、位置情報(経度及び緯度)を取得するものである。GPSは撮像装置21又は点検モニター31に備えられていることが好ましく、図2に示すように点検モニター31にGPS37が備えられていることが更に好ましい。また、記憶部が撮像装置21または点検モニター31にある場合は、撮像装置21の記憶部24または点検モニター31の記憶部35に、撮像データを記憶する際に、GPS37による時刻情報を取得して両者を結びつけて記憶することが好ましい。また、記憶部は、撮像データと撮像した位置情報を更に配管の配置情報、配管設備の設置状況に関する情報、過去の配管の点検結果(点検履歴)の情報、配管の重要点検箇所の情報、配管設備の点検順序の情報、配管設備の劣化状態の判定に用いられる判定基準等と結び付けて記憶していることが好ましい。
そして、表示部34は、上記の設備の配置情報、設備の重要点検箇所についての情報、撮影した時刻情報及び撮影した位置情報のうちの少なくとも何れかの情報を表示する機能を有していることが好ましい。また、点検モニター31が、表示部34が設備の配置情報、設備の重要点検箇所についての情報、撮影した時刻情報及び撮影した位置情報のうちの少なくとも何れかの情報を撮像データと結び付けて表示させる機能を有する表示制御部38を有することが更に好ましい。
表示制御部38は、表示部34に表示させる情報を制御するものであって、配管の配置情報、設備の配置情報、設備の重要点検箇所についての情報及び/または撮影した時刻情報及び撮影した位置情報等を記憶部から読み出し、表示部34として機能するディスプレイ71に配管の配置を表示させる電気回路である。
また、表示制御部38は、配管の配置情報の表示に際して、配管の中でも重点的な点検を要する重要点検箇所の情報を記憶部から読み出し、配管の配置にあわせて重要点検箇所を表示させることができることが好ましい。
また、表示制御部38は、表示部34に配管の配置情報と共に点検順序を表示させるナビゲーション機能を有していることが好ましく、配管設備の点検順序の情報を記憶部から読み出し、配管の配置にあわせて点検順序を表示させることができることが更に好ましい。また、配管の配置にあわせてGPSで取得した点検検査員の現在位置を表示すると共に、点検検査員の現在位置に応じて次に点検すべき配管設備の点検順序を表示させるナビゲーション機能を有することが特に好ましい。
本実施形態の高所配管点検装置1は、点検モニター31が、撮像装置21で撮像された撮像データから配管の劣化度合いを表わす特徴点を抽出する抽出部42と、特徴点を配管の劣化状態の評価基準に基づいて配管の劣化度合いを評価する評価部43と、評価に基づいて配管の劣化状態を判定する判定部45とを有する撮像データ処理部41を有することが好ましい。また、撮像データ処理部41は、撮像装置21により時間をおいて撮像された同一点検個所についての複数の撮像データから配管の劣化度合いを表わす特徴点をそれぞれ抽出する抽出部42と、各撮影時における特徴点を配管の劣化状態の評価基準に基づいて配管の劣化度合いを評価する評価部43と、各撮像データの評価結果同士を比較する比較部44と、比較結果に基づいて配管の劣化状態を判定する判定部45とを有することが更に好ましい。そして、判定部45が、配管の設置状況を参酌して配管の劣化状態を判定することが特に好ましい。
(装着器具)
図3に示すように、高所配管点検装置1は、点検検査員8に装着される帯状部材62と、帯状部材62に連結されて棒状部材11を保持する保持部材63とを有し、保持部材63が棒状部材11の基端部13を保持する装着器具61をさらに備えていてもよい。
帯状部材62は、通常、天然繊維、合成繊維、または天然繊維と合成繊維との複合素材からなり、帯状に形成されている部材である。帯状部材62は、点検検査員8の身体に装着されるための部材であり、特に点検検査員8の胴もしくは腰に巻きつけるようにして装着するか、または肩に掛けるようにして装着することが好ましい。帯状部材62としては、例えば安全帯を用いることができる。
保持部材63は、帯状部材62に連結されて、棒状部材11を保持するように形成されている部材である。棒状部材11の保持のために、保持部材63は、通常、天然繊維、合成繊維、又は天然繊維と合成繊維との複合素材からなる部材であって、棒状部材11の基端部13を包み込んで支えるよう袋状に形成されていることが好ましい。または、保持部材63が取り付け用のフック状の形状をした金属または樹脂製の器具であって、棒状部材11に同じく設けられたフック状の形状をした金属または樹脂製の器具を係止することにより棒状部材11を保持するようにしてもよい。
装着器具61は、帯状部材62と保持部材63とが連結してなるものであって、保持部材63が袋状に形成されている部材である場合には、帯状部材62と保持部材63とは互いに縫い付けられることにより一体に連結されてもよく、保持部材63がフック状の形状をした器具である場合には、帯状部材62に設けられた取り付け用のフック状の形状をした金属もしくは樹脂製の器具または帯状部材62に設けられた穴部と保持部材63とを係止することにより連結してもよい、
帯状部材61は、点検検査員8が帯状部材61を装着した際に、保持部材63が点検検査員8の身体の腹側の腰部付近に位置するように構成されていることが好ましい。点検検査員8は、装着器具61を装着して、保持部材63によって棒状部材11を保持するとともに、棒状部材11を地面に対して縦方向に立てて、棒状部材11の保持部材63によって保持される部位から上方付近を手で支えるようにして持つことができる。これにより、点検検査員8は高所配管点検装置1を安定して保持することが可能となり、撮像装置21が安定した状態で配管101を撮像することでブレを抑えて鮮明な画像を得ることができ、また、長時間の点検作業が可能となる。
保持部材63は、棒状部材11の基端部13を保持するに際して、図3に示すように、棒状部材11の基端部13の末端14を保持してもよく、図4に示すように、棒状部材11の基端部13において、末端より中間よりの位置15を保持するようにしてもよい。
なお、図3に示すように、点検モニター31にも帯状部材66を取り付けて、帯状部材62を点検検査員9の身体に装着して点検モニター31を保持するようにしてもよい。
(その他)
高所配管点検装置1は、流体検知器を備えていることが好ましい。なお、本願明細書において、流体とは配管の内部を流れる液体、気体又はスラリーなどの流動体であって、例えば、酸素、硫化水素、一酸化炭素、及びメタン、プロパン等の可燃性ガスなどが挙げられる。流体検知器とは、配管中の流体が配管から漏洩することにより外部に放出されるガスなどの流体を検知する検知器であって、漏洩した流体の濃度を検知対象ごとに測定可能であるものが好ましい。このとき、流体検知器は、棒状部材11の先端部に取り付けられて流体をサンプリングする検知用ノズルと、流体の検知及び検知結果の表示を行うモニターと、棒状部材11と同等以上の長さを有し検知用ノズルからモニターに流体を輸送するチューブからなり、高所に配置された配管101から漏洩した流体を、棒状部材11の先端部に取り付けられた検知用ノズルによってサンプリングして、チューブを通じてモニターにサンプリングされた流体が輸送されて、モニターが検知を行うことにより、流体の漏洩点検を行うことができるよう構成されていることが好ましい。
高所配管点検装置1が流体検知器を備えることにより、撮像装置21による点検を行う前に、流体検知器を用いて配管101の流体漏洩点検を行うことによって、流体の漏洩を検知して配管の点検を安全に行うことができる。すなわち、点検検査員の身長を超えた高所に配置される配管設備に対し、先端部が届く棒状剛性部材の先端部に取り付けられた流体検知器を用いて、該配管設備の流体漏洩点検を行った後、上述の本発明の一実施形態に係る高所配管点検装置1の点検モニター31を操作して撮像装置21にて配管設備を撮像し、表示部34に撮像された画像を表示することにより、簡便で安全に高所配管を点検することができる。
また、高所配管点検装置1は、棒状部材11の先端部12に、図示しない照明器具を備えていてもよく、照明器具は点検モニター31の操作部33からの点検検査員による操作情報を受けて、点灯または消灯可能なように構成されていることが好ましい。
高所配管点検装置1が照明器具を備えることにより、例えば、撮像箇所が他の配管により影が生じて暗くなる場合、逆行となることで撮像により得られる画像が暗くなる場合、または夜間や悪天候時においても、照明器具によって撮影箇所を照らすことで明るく良好な画像を得ることができる。
本実施形態に係る高所配管点検装置1では、撮像装置21の電源スイッチのオン操作とオフ操作により、撮像装置21の電源の投入または切断を行うことができる旨説明したが、撮像装置21は、点検モニター31の操作部33からの操作情報を受けて、遠隔操作により電源の投入または切断を行うように構成されていてもよい。
本実施形態に係る高所配管点検装置1の点検モニター31では、表示制御部38、または撮像データ処理部41について、特定の処理を行う機器であるとして説明したが、点検モニター31が種々の制御や演算を行なう処理装置(マイクロプロセッサ)としてのCPU及び記憶装置としてのメモリを備え、表示部34に表示させる情報を制御するためのコンピュータプログラムによるソフトウェア、または撮像データを処理して点検した配管設備の劣化状態を判定するためのコンピュータプログラムによるソフトウェアを実行することにより、それぞれ表示制御手段または撮像データ処理手段として機能するものとしてもよく、点検モニター31が表示制御部38に替えて上記の表示制御手段、撮像データ処理部41に替えて上記の撮像データ処理手段を有するものとしてもよい。
[1−2.高所配管点検装置の動作]
上記の高所配管点検装置1の動作について、以下に具体例を挙げて説明する。
点検検査員9が撮像装置21の電源を投入すると、撮像装置21の撮像部22により撮像が開始されて撮像データが得られ、撮像装置21の無線送受信部23により撮像データが点検モニター31に送信され、点検モニター31の無線送受信部32が撮像データを受信し、表示部34に撮像された配管101の画像が表示される。または、撮像装置21の電源を投入すると、撮像装置21が待機状態となり、この状態で点検検査員9が点検モニター31の操作部33のビューボタン81をタッチ操作することにより、撮像装置21の撮像部22による撮像が開始されて撮像データが得られ、撮像装置21の無線送受信部23により撮像データが点検モニター31に送信され、点検モニター31の無線送受信部32が撮像データを受信し、表示部34に撮像された配管101の画像が表示される。
このようにして撮像を行っている際に、点検検査員9が点検モニター31の操作部33の動画記憶ボタン72をタッチ操作することにより、操作部33からの操作情報を受けて、撮像装置21の撮像部22により撮像された配管101の撮像データを、撮像装置21の記憶部24または点検モニター31の記憶部35等の記憶部に動画情報として記憶することができる。撮像データの動画情報としての記憶を行っている際に動画記憶ボタン72をタッチ操作することにより、撮像データの記憶が停止される。
また、撮像を行っている際に、点検検査員9が点検モニター31の操作部33の静止画記憶ボタン73をタッチ操作することにより、操作部33からの操作情報を受けて、撮像装置21の撮像部22により撮像された配管101の撮像データを、撮像装置21の記憶部24または点検モニター31の記憶部35等の記憶部に静止画情報として記憶することができる。
また、点検検査員9が点検モニター31の操作部33の望遠ボタン74または広角ボタン75をタッチ操作することにより、操作部33からの操作情報を受けて、撮像装置21の撮像部22により撮像される画像の画角を狭くする望遠(ズームイン)、または撮像される画像の画角を広くする広角(ズームアウト)の動作をさせることができる。
さらに、取付部材51として雲台を用いることにより、棒状部材11に取り付けられた撮像装置21を棒状部材11に対して所定の方向を向くようにするができる。
また、取付部材51として電動雲台51Aを用いることにより、点検検査員9が点検モニター31の操作部33のチルトボタン76又は77をタッチ操作することで、点検モニター31の無線送受信部32と電動雲台51Aの無線受信部60とを介して第一支持部52を回転作動させることにより、操作部33からの操作情報を受けて、撮像装置21を棒状部材11の軸線と直交する平面に対して垂直方向(上下方向)に回転(チルト)させることができる。また、点検検査員9が点検モニター31の操作部33のパンボタン78又は79をタッチ操作することで、点検モニター31の無線送受信部32と電動雲台51Aの無線受信部60とを介して第二支持部56を回転作動させることにより、操作部33からの操作情報を受けて、撮像装置21を棒状部材11の軸線と直交する平面に対して水平方向(左右方向)に回転(パン)させることができる。
[2.高所配管点検装置の情報処理]
図2に示す高所配管点検装置1を用いて、撮像部22及び記憶部24及び35等の記憶部による撮像処理及び記憶処理、表示部34及び表示制御部38による表示処理、並びに撮像データ処理部41による劣化状態判定処理を行う場合について説明する。
[2−1.撮像部および記憶部による撮像処理及び記憶処理]
(撮像処理及び記憶処理の第一の例)
図8は、図2に示す高所配管点検装置1を用いた撮像処理及び記憶処理の第一の例の流れを示すフローチャートである。なお、図8に示すフローチャートでは、撮像装置21の電源を投入すると、撮像装置21の撮像部22による撮像が開始されて、表示部34に撮像された画像が表示される場合の例を示している。
ステップS111では、撮像装置21の電源がオンにされているかどうかを判定する。電源がオン(YES)の場合にはステップS112へ進み、撮像装置21の撮像部22が撮像を開始するとともに撮像データの取得を開始して(ステップS112)、ステップS113へ進む。電源がオフ(NO)の場合はステップS111の判断を繰り返す。
ステップS113では、撮像装置21の無線送受信部23が撮像データを送信して、点検モニター31の無線送受信部32が送信された撮像データを受信する(ステップS114)。受信された撮像データは点検モニター31の表示部34に表示され(ステップS115)、ステップS116へ進む。
ステップS116では、撮像を行っている際に、点検モニター31の操作部33の動画記憶ボタン72が操作(オン操作)されたかどうかを判定する。動画記憶ボタン72が操作された場合にはステップS117へ進み、撮像装置21の記憶部24または点検モニター31の記憶部35等の記憶部が撮像データの動画情報としての記憶を開始し(ステップS117)、ステップS118へ進む。一方、動画記憶ボタン72が操作されていない場合にはステップS120へ進む。
ステップS118では、撮像データの動画情報としての記憶中に点検モニター31の操作部33の動画記憶ボタン72が操作(オフ操作)されたかどうかを判定する。動画記憶ボタン72が操作された場合にはステップS119へ進み、撮像装置21の記憶部24または点検モニター31の記憶部35等の記憶部が撮像データの動画情報としての記憶を停止し(ステップS119)、ステップS120へ進む。一方、動画記憶ボタン72が操作されていない場合には撮像データの記憶が継続されるとともに、ステップS118の判断を繰り返す。
ステップS120では、撮像を行っている際に、点検モニター31の操作部33の静止画記憶ボタン73が操作されたかどうかを判定する。静止画記憶ボタン73が操作された場合にはステップS121へ進み、撮像装置21の記憶部24または点検モニター31の記憶部35等の記憶部が撮像データを静止画情報として記憶し(ステップS121)、ステップS122へ進む。一方、静止画記憶ボタン73が操作されていない場合にはステップS122へ進む。
ステップS122では、撮像装置21の電源がオフにされているかどうかを判定する。撮像装置21の電源がオフにされていない場合には、ステップS113以降の処理を実行する。撮像装置21の電源がオフにされている場合には、撮像を停止するとともに撮像データの取得を停止して(ステップS123)、処理を終了する。
なお、図8に示すフローチャートでは、撮像データを動画情報として記憶するステップ(S116〜S119)を、撮像データを静止画情報として記憶するステップ(S120〜S121)の前に行っているが、順番が前後或いはどちらか一方のステップのみを行ってもよい。
(撮像処理及び記憶処理の第二の例)
図9は、図2に示す高所配管点検装置1を用いた撮像処理及び記憶処理の第二の例の流れを示すフローチャートである。なお、図9に示すフローチャートでは、撮像装置21の電源を投入すると、撮像装置21が待機状態となり、この状態で点検検査員9が点検モニター31の操作部33のビューボタン81をタッチ操作することにより、撮像装置21の撮像部22による撮像が開始されて、表示部34に撮像された画像が表示される場合の例を示している。
ステップS211では、撮像装置21の電源がオンにされているかどうかを判定する。電源がオン(YES)の場合には、撮像部22が待機状態(ステップS212)に移行し、ステップS213へ進む。一方、電源がオフ(NO)の場合はステップS211の判断を繰り返す。
ステップS213では、待機状態において点検モニター31の操作部33のビューボタン81が操作されたかどうかを判定する。ビューボタン81が操作された場合には撮像装置21の撮像部22が撮像を開始するとともに撮像データの取得を開始して(ステップS214)、ステップS215へ進む。一方、ビューボタン81が操作されていない場合には、ステップS226へ進む。
ステップS215では、撮像装置21の無線送受信部23が撮像データを送信して、点検モニター31の無線送受信部32が送信された撮像データを受信する(ステップS216)。受信された撮像データは点検モニター31の表示部34に表示され(ステップS217)、ステップS218へ進む。
ステップS218では、撮像を行っている際に、点検モニター31の操作部33の動画記憶ボタン72が操作(オン操作)されたかどうかを判定する。動画記憶ボタン72が操作された場合にはステップS219へ進み、撮像装置21の記憶部24または点検モニター31の記憶部35が撮像データの動画情報としての記憶を開始し(ステップS219)、ステップS220へ進む。一方、動画記憶ボタン72が操作されていない場合にはステップS222へ進む。
ステップS220では、撮像データの動画情報としての記憶中に点検モニター31の操作部33の動画記憶ボタン72が操作(オフ操作)されたかどうかを判定する。動画記憶ボタン72が操作された場合にはステップS221へ進み、撮像装置21の記憶部24または点検モニター31の記憶部35が撮像データの動画情報としての記憶を停止し(ステップS221)、ステップS222へ進む。一方、動画記憶ボタン72が操作されていない場合には撮像データの記憶が継続されるとともに、ステップS220の判断を繰り返す。
ステップS222では、撮像を行っている際に、点検モニター31の操作部33の静止画記憶ボタン73が操作されたかどうかを判定する。静止画記憶ボタン73が操作された場合にはステップS223へ進み、撮像装置21の記憶部24または点検モニター31の記憶部35が撮像データを静止画として記憶し(ステップS223)、ステップS224へ進む。一方、静止画記憶ボタン73が操作されていない場合にはステップS224へ進む。
ステップS224では、撮像時に点検モニター31の操作部33のビューボタン81が操作されたかどうかを判定する。ビューボタン81が操作された場合には撮像を停止するとともに撮像データの取得を停止して待機状態に移行し(ステップS225)、ステップS226へ進む。一方、ビューボタン81が操作されていない場合には、ステップS215へ進み、撮像装置21による撮像が継続されるとともに撮像データを送信する。
ステップS226では、撮像装置21の電源がオフにされているかどうかを判定する。撮像装置21の電源がオフにされている場合には、処理を終了する。一方、撮像装置21の電源がオフにされていない場合には、ステップS213以降の処理を実行する。
なお、図9に示すフローチャートでは、撮像データを動画情報として記憶するステップS218〜S221を、撮像データを静止画として記憶するステップS222〜S223の前に行っているが、順番が前後或いはどちらか一方のステップのみを行ってもよい。
(その他の撮像処理及び記憶処理)
上述の撮像処理及び記憶処理の例では、動画記憶ボタン72の操作により、撮像データの動画情報としての記憶を開始し(ステップS117、ステップS219)、静止画記憶ボタン73の操作により、撮像データを静止画として記憶する(S121、S223)よう説明したが、動画記憶ボタン72または静止画記憶ボタン73の操作に連動して、時計により撮像データ記憶時の時刻を取得して、撮像した際の時刻情報と撮像データとを結びつけて記憶することが好ましい。また、動画記憶ボタン72または静止画記憶ボタン73の操作に連動して、GPSにより撮像データ記憶時の位置情報を取得して、撮像した際の位置情報と撮像データとを結びつけて記憶することが好ましく、撮像した際の位置情報に基いて撮像データを配管の配置情報に対応させて記憶することがより好ましい。
[2−2.表示部及び表示制御部による表示処理]
図10〜図12は、図2に示す高所配管点検装置1の点検モニター31のディスプレイ71に表示される、表示部34による配管の配置情報の表示の例を示す図である。図10〜図12により表示部34及び表示制御部38の動作について説明する。
点検モニター31は、配管の配置情報を表示部34に表示する機能を有する表示制御部38を有していることが好ましい。配管の配置情報とは、配管の配置を表わすものであって、通常、配管が配置されている位置と形状に対応した線状の領域または帯状の領域を表わすものである。配管の配置情報は、点検モニター31の記憶部35等の記憶部に記憶されており、中でも、配管の配置情報が、配管が配置されている位置情報(経度及び緯度)に関連付けて記憶されていることが好ましい。配管の配置情報は、例えば、配管上の点を示し緯度及び緯度の情報を有する配管ノード情報と、配管ノード間のつながりを表わすリンク情報とから構成されるようにしてもよく、複数の配管ノードを接続することで、配管の配置情報を表わすようにしてもよい。
表示制御部38は、記憶部35等の記憶部に記憶されている、配管の配置情報を読み出して、表示部34として機能するディスプレイ71に、配管の配置情報を表示することができる。表示制御部38は、表示部34に配管の配置情報の表示に際し、配管周辺の道路、建造物、土地に関する配置情報を表示してもよい。また、表示制御部38は、表示部34に、配管の配置情報に加えて、配管の設置場所が配管を劣化させやすい場所であるかどうかについての情報である配管の設置状況の情報を表示することが好ましい。
なお、表示部34に表示される、配管配置情報、配管設備の設置状況の情報、過去の配管の点検結果(点検履歴)の情報、重要点検箇所の情報は、記憶部35等の記憶部に記憶されており、表示制御部38によって点検モニター31の記憶部35等の記憶部から適宜読み出されて表示がなされる。
(配管配置情報の表示の第一の例)
図10は表示制御部38による、配管の配置情報の表示の第一の例を示すものである。表示部34には、配管の配置情報を、配管が配置されている領域301及び302と、配管周辺の道路、建造物、その他の土地等の領域とを区分して表示している。図10では、配管の配置されている領域を右上がりの斜線を描いた領域(ハッチング領域)により、配管が配置されている領域301及び302として示しているが、例えば線の太さ、間隔、又は傾きを替える等の変更をしたその他の平行線を描いた領域や、所定の形状のパターン(模様)を繰り返し描いた領域、若しくは所定の色で塗りつぶした領域として表わしてもよい。または、配管の配置されている形状にあわせて線を描画することにより表わしてもよい。図10では、配管の設置状況(配管の劣化に関わる要素)の表示の一例として、海水の流れる排水溝321〜323、再冷塔311〜317、砂地331を示している。なお、他にも、配管の劣化が起こりやすい場所としては、風などの影響を受けやすい高所や海からの潮風に曝されやすい場所などが挙げられる。
配管配置情報の表示の第一の例によれば、表示制御部38が表示部34に、配管の配置情報を表示することにより、点検作業員は配管の配置情報を確認して点検作業を劣化しやすい箇所から優先的に進めることができる。また、配管の配置を元に点検作業や補修の計画を立てることができる。これによって、高所配管の点検を効率的に行うことができる。
(配管の設置状況について)
本発明者による配管設備の点検及び点検結果の検討により、配管の劣化は、配管が設置されている周辺の環境に受けることが明らかになった。例えば、配管の近傍に存在する海水の流れる排水溝、再冷塔、砂地により配管の腐食が進行することがあり、また配管は海からの海風の影響を受けて腐食が進行することも分かった。
ここで、再冷塔とは、クーリングタワーとも呼ばれ、製造プラントの冷却水として循環使用される再冷水の冷却を行うものである。再冷塔では、通常、工業用水を原水として、冷却空気により一部蒸発させ潜熱により冷却して、循環させており、殺菌剤、防食剤の注入及びサイドフィルターにて除濁し、機器の腐食を防止している。再冷塔では再冷水を冷却する際に、水蒸気または水滴を飛散させることがある。再冷塔の近くに配設された配管に再冷塔から飛散した水蒸気または水滴がかかり、乾燥を繰りかえすことで、配管の腐食に繋がることがある。
なお、配管の近傍に海水の流れる排水溝がある場合、配管が排水溝からの海水の水しぶきを受けることによって、配管の腐食が進行すると考えられる。
また、配管の近傍に再冷塔がある場合、上述したとおり、配管に再冷塔から飛散した水蒸気または水滴がかかり、乾燥を繰りかえすことで、配管の腐食に繋がると考えられる。
また、配管の近傍に、砂地がある場合、強風により砂が巻き上げられ、塗装を傷付けることによって、配管の腐食が進行すると考えられる。
また、配管が海の近くにある場合、海塩粒子の付着による塩害の影響を受けて、腐食が進行すると考えられる。
配管の設置状況としては、他にも後述するように、配管に、配管保護板金、防食テープ、保温材と保温板金等の保護部材の装着が施されている箇所にも腐食が進行することがある。
本願明細書においては、上記のように配管の劣化に関わる要素である、配管が設置されている周辺の環境と配管に施されている保護部材についての情報等をあわせて配管の設置状況と称する。表示制御部38は、表示部34に、配管の配置情報に加えて、配管の配置にあわせて、配管の劣化に関わる要素である配管の設置状況についての情報を表示することが好ましい。
表示制御部38が表示部34に、配管の配置情報に加えて配管の設置状況の情報を表示することによって、点検作業員は設置状況から配管設備の中でも劣化の進行が早くなるであろう箇所を予測することにより、例えば、そのような点検に注意を要する箇所の点検回数を増やしたり、点検頻度を増したり、または重点的に点検をすることによって、配管の劣化の見落としを防ぐことができる。このため、従来であれば配管の点検検査に習熟した点検検査員が経験的に行っていた配管の設置状況に応じた点検を、配管の配置情報と設置状況の表示とを確認することで経験の浅い点検検査員でも行うことが可能となり、点検の精度を向上させることができる。
(配管配置情報の表示の第二の例)
表示制御部38は、表示部34に、過去の配管設備の点検情報に基いて、配管の配置情報にあわせて、配管の点検結果(点検履歴)の情報を表示してもよい。
図11は表示制御部38による、配管の配置情報の表示の第二の例を示すものであり、表示部34には、配管301、302と、配管の劣化に関わる要素の表示の一例として、海水の流れる排水溝321〜323、再冷塔311〜317、及び砂地331とを表示すると共に、配管の点検結果の情報である、過去に行った点検により管理肉厚以下であることが確認された配管の位置と、警戒肉厚以下であることが確認された配管の位置とをそれぞれプロットして表示している。
図11の配管の点検結果の情報に係る各プロットは、過去に配管の肉厚を、超音波を利用した配管肉厚測定機器を用いて測定した結果、肉厚が所定の厚さ以下の状態となっていることが確認された配管が存在する位置を示している。配管の肉厚の状態は、通常の健全肉厚と、肉厚が減少して警戒を要するようになった警戒肉厚と、警戒肉厚からさらに肉厚が減少した管理肉厚の3つの状態で表わされる。それぞれの状態の基準は、配管の材質によって変わるために、配管用炭素鋼鋼管(SGP)である場合と、圧力配管用炭素鋼配管(STPG)である場合を例として、以下に分けて以下に説明する。
配管の新品の状態での肉厚を100%として、肉厚の減少量が100%、すなわち肉厚が0%となった箇所で配管内部の流体の漏洩が生じるとした場合に、SGPの場合は肉厚の減少量が0〜20%、STPGの場合は肉厚の減少量が0〜25%の際に健全肉厚とされる。SGPの場合は肉厚の減少量が20〜40%、STPGの場合は肉厚の減少量が25〜50%となった場合に警戒肉厚とされる。SGPの場合は肉厚の減少量が40%以上、STPGの場合は肉厚の減少量が50%以上となった場合は管理肉厚とされる。なお、配管の肉厚が警戒肉厚以下となった場合には塗装が行われ、また、配管の肉厚が管理肉厚以下となった場合にはメタル補修が行われる。
図11において、配管の点検結果に係るプロットが付された箇所の中でも、符号341、342及び343に示す箇所には、プロットが多く、警戒肉厚以下または管理肉厚以下であることが確認された配管が多く存在することを示している。なお、図11では複数のプロット位置が近い場合には、互いに重ならないように、位置をずらすようにしてプロットしているため、符号341及び343で示した箇所では、配管の配置場所を表わす領域301から外側にもプロットされている。
図11に示すように、符号341を付した箇所には管理肉厚以下または警戒肉厚以下であることが確認された配管位置のプロットが集中している。これは、符号341を付した箇所は、再冷塔311の近傍であって再冷塔からの水蒸気または水滴による影響を受け、また図示しないが図11の図中上方に存在する海からの海風による塩害の影響を受けることで腐食が進行したものと考えられる。
符号342を付した箇所にも管理肉厚以下または警戒肉厚以下であることが確認された配管位置のプロットが集中している。これは、海水の流れる排水溝321からの海水の水しぶきによる塩害の影響を受けることで腐食が進行したものと考えられる。
符号343を付した箇所にも管理肉厚以下または警戒肉厚以下であることが確認された配管位置のプロットが集中している。これは、再冷塔314及び315の近傍であって再冷塔からの水蒸気または水滴による影響を受け、また砂地331からの砂による影響を受けることで腐食が進行したものと考えられる。
配管配置情報の表示の第二の例によれば、表示制御部38が表示部34に、配管の配置情報にあわせて、過去の配管の点検結果(点検履歴)を表示することにより、点検検査員は配管の劣化のしやすさの傾向を把握することができ、また、配管と配管周辺の配管の劣化に関わる要素とから点検に注意を要する箇所との関係性も明らかにすることができる。さらに、過去の配管の点検結果(点検履歴)を元に、配管が劣化しやすいと予測される箇所に対して、点検回数を増やしたり、点検頻度を増したり、または重点的に点検することにより、配管の劣化箇所の見落としを防ぎ、高所配管の点検の精度を向上させることができる。
(配管配置情報の表示の第三の例)
表示制御部38は、表示部34に、配管の配置情報の表示に際し重要点検箇所の情報の表示もさせるように構成されていてもよい。重要点検箇所とは、配管設備の中でも点検に注意を要する箇所を示し、点検回数を増やしたり、点検頻度を増したり、または重点的な点検が必要とされる箇所を示すものである。
図11に示したように、排水溝321〜323、再冷塔311〜317、砂地331、又は海からの影響を受けて配管の腐食が進行することもあるため、これらの設備、建造物、または地形の付近等の配管が設置されている周辺の環境に応じて、点検に注意が必要となる。
また、後述するように、配管には配管保護板金、防食テープ、保温材と保温板金等の保護部材の装着が施され、それらが原因となって配管の腐食を進行させることがあるため、これら配管に保護部材を装着している箇所は、点検に注意が必要となる。
このような配管の劣化に関わる要素である配管の設置状況を元に配管設備の劣化の進行が早いと考えられる箇所、または過去の点検結果から配管設備の劣化が生じやすい箇所を参考にして、点検に注意を要すると考えられる箇所を重要点検箇所と称する。図11においては、表示制御部38が、表示部34の配管の配置情報の表示に際して、この重要点検箇所の情報を点又は領域として表示するようになっている。
また、表示制御部38は、表示部34に、GPSにより取得した点検検査員の位置情報と、配管の配置情報の位置情報とに基いて、配管の配置情報にあわせて点検検査員の現在位置を表示してもよい。
また、表示制御部38は、表示部34に、配管配置の上に点検順序を表示させるナビゲーション機能を有していてもよく、例えば、点検検査員の現在位置の表示にあわせて現在位置に基いて次に点検する方向を指し示す矢印等を、配管配置の上に表示して点検順序を指し示すようにしてもよい。
図12は表示制御部38による、配管の配置情報の表示の第三の例を示すものであり、表示部34には、配管301及び302と、海水の流れる排水溝321〜323、再冷塔311〜317、及び砂地331とを表示するとともに、重要点検箇所351〜353を示し、点検作業者の現在位置361、ナビゲーションのための矢印362を示している。
ここで、重要点検箇所351は、配管の近傍に設置された再冷塔311と図示しない図12の図中上方に存在する海からの海風の影響と、過去の点検結果とを考慮して、重要点検箇所としたものである。
また、重要点検箇所352は、配管の近傍に設置された海水の流れる排水溝321と、過去の点検結果とを考慮して、重要点検箇所としたものである。
また、重要点検箇所353は、配管の近傍に設置された再冷塔314及び315と配管の近傍の砂地331からの影響と、過去の点検結果とを考慮して、重要点検箇所としたものである。
配管配置情報の表示の第三の例によれば、表示制御部38が表示部34に、配管の配置情報の表示に際し重要点検箇所の情報の表示をすることにより、点検検査員が点検検査に習熟しておらず配管の設置状況または過去の点検結果から点検に注意を要する箇所を把握することができない場合であっても、重要点検箇所として表示された箇所を重点的に点検することにより配管設備の劣化箇所の早期発見が可能となり、高所配管の点検の精度を向上させることができる。
また、表示制御部38が表示部34に、配管の配置情報にあわせて点検検査員の現在位置を表示して、さらに点検順序を表示することにより、配管設備を効率的に点検して回ることができるとともに、配管設備の点検漏れを防ぐことができる。
(表示動作の説明)
図13は本実施形態の高所配管点検装置1の表示処理の流れの一例を示すフローチャートである。図13の各ステップについて説明するとともに、高所配管点検装置の表示動作について説明する。
図7に示した点検モニター31のディスプレイ71において、操作部33のマップボタン80がタッチ操作されると、表示制御部36が配管の配置情報を表示部34に表示することにより、ディスプレイ71全体に図10に示すような配管の配置情報を表わす地図(マップ)が表示される。このとき、表示制御部38が点検モニター31の記憶部35等の記憶部から配管の配置情報を読み込み(ステップS311)、表示部34に配管の配置情報の表示を行う(ステップS312)
次に、表示制御部38が点検モニター31の記憶部35等の記憶部から重要点検箇所の情報を読み込み(ステップS313)、表示部34に重要点検箇所を表示する(ステップS314)。
さらに、GPSが現在の位置情報を取得し(ステップS315)、表示制御部38は表示部34の配管配置の上に現在位置を表示する(ステップS316)。
表示制御部38が点検モニター31の記憶部35等の記憶部から点検順序情報を読み込み(ステップS317)、表示部34の配管配置の上に点検順序を表示する(ステップS318)。
[2−3.撮像データ処理部による劣化状態判定処理]
高所配管点検装置1を用いて配管設備の撮像を行い、撮像により得られた配管設備の撮像データを元にして画像処理を行うことにより、配管設備の劣化状態の判定を行う場合について、以下に説明する。
図2に示した本実施形態の高所配管点検装置1を用いた配管設備の劣化状態判定は、撮像データ処理部41の抽出部42が、撮像装置21により撮像された配管設備の撮像データから配管設備の劣化度合いを表わす特徴点を抽出し、評価部43が、撮像データの特徴点を配管設備の劣化状態を表わす評価基準に基いて配管設備の劣化度合いを評価し、判定部45が、評価部43における評価結果に基づいて配管設備の劣化状態を判定することにより行われる(図2及び図14)。
配管設備の劣化状態判定は、撮像データ処理部41の抽出部42が、撮像装置21により時間をおいて撮像された同一点検個所についての複数の撮像データから設備の劣化度合いを表わす特徴点をそれぞれ抽出し、評価部43が、各撮影時における特徴点を配管の劣化状態の評価基準に基づいて配管の劣化度合いを評価し、比較部44が、各撮像データの評価結果同士を比較し、判定部45が、比較結果に基づいて配管の劣化状態を判定することにより行っても良い(図2及び図15)。
また、配管設備の劣化状態判定は、判定部45が配管設備の設置状況を参酌して行うことが好ましい。
配管設備の劣化状態とは、配管または配管の塗装もしくは保護部材に生じる、塗装の劣化、配管の錆び、腐食、穴、または亀裂等の状態の程度を表わすものであり、配管設備の劣化状態の判定により、再塗装や補修、配管設備の交換を行う目安とすることができる。
(特徴点の抽出処理)
抽出部42は、撮像装置21で撮像された撮像データから配管設備の劣化度合いを表わす特徴点を抽出する。
特徴点とは、配管設備の撮像データから抽出される配管の塗装の劣化、配管の錆びまたは腐食等の劣化の進行の度合いを表わしたものであり、数値化して表わすことが好ましい。配管設備の劣化の度合いとしては、例えば、塗装が劣化した部分では回りの部分と比較して、塗装が浮くことでシワ状の変化やひび割れなどが生じる。また、錆びの発生により錆こぶが発生することなどがある。また、塗装が剥がれて配管の表面が露出し配管に錆びまた腐食が生じた部分は、周りの部分と比較して色が赤色、茶色、黒色等に変化することが多い。さらに、劣化が進行することで、劣化した部分の色の変化や劣化箇所の面積の拡大や形状の変化が生じやすい。このような配管の劣化に伴って撮像データに生じ、画像処理により確認される変化を、特徴点として抽出する。
特徴点の抽出は、例えば、撮像データの画像に、二値化処理、多値化処理、微分演算処理などの劣化箇所の輪郭抽出を行うことにより、劣化箇所の形状または面積の数値データなどとして得ることができる。このとき、適宜、切り出し、拡大縮小、回転、明るさ補正、またはコントラスト調整等の処理を行ってもよい。また、特徴点の抽出は、撮像データの画像から、劣化箇所の色を例えばR値(赤)、G値(緑)、B値(青)に分けた色成分のデータとして抽出することにより行うこともできる。
特徴点を評価または比較する際の利便性の点から、特徴点は劣化箇所の面積または色を表わす数値データとして得ることが好ましい。なお、劣化箇所の面積は、撮像された画像の範囲内の撮像範囲内の配管に占める劣化箇所の面積の合計面積により表わしてもよい。また、劣化箇所の面積は、撮像範囲内の配管の全体に占める劣化箇所の面積比により表わしてもよい。
(特徴点の評価処理)
評価部43は、上述の撮像データの特徴点を配管設備の劣化状態を表わす評価基準に基いて配管設備の劣化度合いを評価する。ここで、配管設備の劣化度合いの評価とは、例えば配管の劣化箇所の形状、面積、または色についての特徴点と対応する評価基準との比較を行うことにより、劣化箇所の形状の変化、面積の増加、色の変化の度合いを示す評価点数を付けることにより行われる。
配管設備の劣化度合いの評価は、撮像データの特徴点と、特徴点に対応する評価基準とを比較して、撮像データの特徴点が判定基準のいずれかに相当するかを判断することにより行うことが好ましい。特徴点の評価基準とは、例えば、配管設備の劣化の指標となる錆びや腐食が生じた箇所の面積または色について、劣化の度合いに応じて0、1、2、3などの劣化度合いを示す評価点数を付けてあらかじめ定めたものである。
面積についての評価基準の一例を挙げると、撮像範囲内の配管の全体に占める劣化箇所の面積比に応じて、同面積比が「0%」、すなわち錆びや腐食等の劣化が生じていない場合には「0」の評価点数を付け、同面積比が「0〜10%」の場合には、「1」の評価点数を付け、同面積比が「10〜30%」の場合には、「2」の評価点数を付け、同面積比が「30%以上」の場合には、「3」の評価点数を付けるなどの方法が考えられる。
別の例として、色についての評価基準は、配管の劣化箇所の色に変化が生じていない場合、すなわち錆びや腐食等の劣化が生じていない場合には「0」の評価点数を付け、配管の劣化箇所の色成分のデータが「赤色」を表わす場合には、「1」の評価点数を付け、同色成分のデータが「茶色」を表わす場合には、「2」の評価点数を付け、同色成分のデータが「黒色」を表わす場合には、「3」の評価点数を付けるなどの方法が考えられる。
このように、上記の例では、評価基準は、評価点数が0のときは何ら劣化が進行していないことを表わし、点数が大きいほど劣化が進行していることを示している。また、上記の例では劣化の進行度合いに応じて0、1、2、3の4段階の評価点数を付ける例を示したが、例えば0から9までの10段階のように評価点数の区切りを増やしてもよく、0.11、0.12・・・のように評価点数の区切りを細かくまた連続的に評価するものとしてもよい。また、劣化の変化が無い(0)かある(1)かの2段階の評価としてもよい。
評価基準と評価点数については、劣化が進行していない配管設備と、劣化が進行している複数の配管設備とを撮像して、撮像により得られた各撮像データから特徴点の抽出を行い、特徴点を段階的に区分して、劣化の進行度合いに応じて各区分ごとにそれぞれ評価点数を付けることにより、劣化度合いと評価点数が関連付けられた評価基準をあらかじめ設定しておいてもよい。また、評価基準と評価点数は、劣化が進行していない配管設備と、劣化が進行している複数の配管設備とを撮像して、撮像により得られた各撮像データから特徴点の抽出を行い、配管設備の目視により確認される劣化の進行度合いに応じて特徴点を区分して、各区分ごとにそれぞれ評価点数を付けることにより、劣化度合いと評価点数が関連付けられた評価基準をあらかじめ設定しておいてもよい。
評価部43は、撮像データの特徴点と対応する評価基準の数値データとを比較することにより、撮像データの特徴点に対応する評価基準の評価点数を付けることで配管設備の劣化度合いを評価する。例えば、上記の評価基準の例では、撮像データの特徴点として抽出された劣化箇所の面積比が20%であれば、面積比の評価基準との比較により「10〜30%」の評価基準に相当することから、配管設備の劣化度合いを示す評価点数が「2」であるとの評価がなされる。
(特徴点の比較処理)
比較部44は、上述の撮像装置21を用いて、時間をおいて撮像された複数の撮像データから抽出された撮像データについて、撮像データ相互間の特徴点を比較する。
複数の撮像データ相互間の特徴点を比較する場合には、同じ箇所の配管に対し時間をおいて複数回にわたって撮像して得られた撮像データの特徴点を比較することにより行うことが好ましく、このときの撮像データは、同様の角度、画角により撮影したものがより好ましい。また、複数の撮像データの特徴点をそれぞれ抽出するにあたって、撮像データを得た際の条件の違いを補正するために、適宜、切り出し、拡大縮小、回転、明るさ補正、またはコントラスト調整等の処理を行ってもよい。
特徴点の比較は、上述の特徴点、例えば劣化箇所の形状、面積、または色について複数の撮像データ相互間で比較を行うことにより、特徴点の変化の大きさまたは変化の比率に基いて、配管設備の劣化の変化量を評価し、または配管設備の劣化の変化傾向を評価することにより、配管設備の劣化の変化量の評価点数、または配管設備の劣化の変化傾向を示す評価点数を付けることにより行うことができる。
このとき、複数の撮像データ相互間における特徴点の比較に替えて、複数の撮像データ相互間における、上述の劣化の変化度合いを示す評価点数の比較により、配管設備の変化量、または配管設備の劣化の変化傾向を評価してもよい。
配管設備の劣化の変化量の評価とは、配管設備の劣化の度合いの変化の大きさまたは変化の比率に基いて、どれだけ変化したかを評価するものである。
具体的には、例えば、複数の撮像データ相互間の特徴点に変化がない場合には、劣化の変化量の評価点数を0とし、複数の撮像データ相互間の特徴点の変化量が大きい場合には、より大きい評価点数をつける方法などが挙げられる。
配管設備の劣化の変化傾向の評価とは、配管設備の劣化の度合いの経時的な変化の大きさまたは変化の比率に基いて、どのような変化の傾向にあるかを評価するものである。
具体的には、例えば、複数の撮像データ相互間の特徴点に変化がない場合には、劣化の変化傾向の評価点数を0とし、複数の撮像データ相互間の特徴点の劣化の進行が早い場合、すなわち変化量が大きく且つ短期間で劣化が進行している場合には、より大きい評価点数をつける方法などが挙げられる。
(劣化状態の判定処理)
判定部45は、評価部43または比較部44での評価結果に基づいて配管設備の劣化状態を判定する。
上述したように、評価部43では配管設備の劣化度合いを示す評価点数が付けられる、また、比較部44では配管設備の劣化の変化量を示す評価点数、または配管設備の劣化の変化傾向を示す評価点数が付けられる。判定部45は、これらの評価点数に応じて配管設備の劣化状態を判定する。具体的には、例えば、評価点数が0点であれば、配管設備に劣化が無く、配管設備の状態が良好であると判断することができるとし、点数が高いほど配管の劣化が進んでおり、配管設備の状態が悪いと判断することができるとする方法などが挙げられる。
評価部43での評価結果に基づいて配管設備の劣化状態を判定する場合には、一つの特徴点に係る評価点数から判断してもよく、複数の特徴点に係る評価点数から総合的に判断するようにしてもよい。複数の特徴点に係る評価点数から総合的に判断する場合には、例えば劣化部分の面積比についての特徴点から評価される評価点数と、劣化部分の色についての特徴点から評価される評価点数とを加算して、この加算された合計評価点数を元に劣化状態を判定することができる。
一例として、劣化部分の面積比についての特徴点から評価される配管設備の劣化度合いを示す評価点数と、劣化部分の色についての特徴点から評価される配管設備の劣化度合いを示す評価点数とを加算した合計評価点数で判定する方法を挙げると、同合計評価点数が1点であれば、劣化が生じており、今後の点検に注意を要すると判断し、合計評価点数が3点であれば、劣化が進んでおり、錆び落としや再塗装などの補修が必要であると判断し、合計評価点数が5点であれば、劣化がさらに進んでおり、補修が必要であると判断するとともに、配管の交換時期が近いと判断し、合計評価点数が7点以上であれば、劣化の度合いが極度に大きく、緊急的に補修または交換必要であると判断する方法などが挙げられる。
評価部43および比較部44での評価結果に基づいて配管設備の劣化状態を判定する場合には、配管設備の劣化度合いを示す評価点数と、配管設備の劣化の変化量を示す評価点数または配管設備の劣化の変化傾向を示す評価点数とから総合的に判断することが好ましく、例えば、配管設備の劣化度合いを示す評価点数と、配管設備の劣化の変化量を示す評価点数または配管設備の劣化の変化傾向を示す評価点数とを加算または積算して、この加算または積算された総合評価点数を元に劣化状態を判定することができる。この場合も一つの特徴点に係る評価点数から判断してもよく、複数の特徴点に係る評価点数から総合的に判断するようにしてもよい。
(重み付け)
判定部45は、配管設備の設置状況を参酌して該配管設備の劣化状態を判定することが好ましい。具体的には、評価部43または比較部44により付けられた評価点数に、配管設備の設置状況に応じた重み付けを行った上で、配管設備の劣化状態を判定することが挙げられる。
配管の劣化は、配管に配管保護板金、防食テープ、保温材と保温板金等の保護部材の装着が施されているか否かや、配管の近傍に、排水溝、再冷塔、砂地、又は海等の配管の劣化に影響を与える設備、建造物、または地形があるか否か等の配管の設置状況によって、進行が早くなると考えられる。このように、配管設備が配管の劣化に影響を受ける状況にある場合には、評価部43または比較部44により付けられた評価点数によって判断される通常の状況よりも、実際の劣化の進行が早まると考えられる。そこで、配管の劣化に影響を受ける状況にある配管設備については、配管設備の設置状況に応じて、評価部43または比較部44により付けられた評価点数に、加算または積算による重み付けをした上で劣化状態の判定をおこなうことにより、配管設備の設置状況に応じた劣化状態の判定が可能となる。
重み付けとしては、例えば、配管に保護部材の装着が施されている箇所の撮像により得られた撮像データの比較により付けられた評価点数には、0.5点を加算して重み付けを行い、排水溝、再冷塔、または砂地付近のいずれかが付近に存在する配管設備の撮像により得られた撮像データの比較により付けられた評価点数には、1.3倍して重み付けを行い、排水溝、再冷塔、または砂地付近のうち2つ以上が付近に存在する配管設備の撮像により得られた撮像データの比較により付けられた評価点数には、1.5倍して重み付けを行う方法などが挙げられる。
(劣化状態判定の第一の例)
図14は、図2に示す高所配管点検装置1を用いた配管設備の劣化状態の判定の第一例の流れを説明するためのフローチャートである。図14を用いて、撮像データの特徴点と評価基準とに基いて配管設備の劣化度合いを評価して、配管設備の劣化度合いを示す評価点数を元に劣化状態を判定する場合の撮像データ処理部41による処理の流れについて説明する。
まず、抽出部42が、配管設備の撮像データを取得する(ステップS411)。抽出部42は、高所配管点検装置1により撮像された撮像データを直接読み込んでも用いてもよいし、高所配管点検装置1により撮像されて、撮像装置21の記憶部24または点検モニター31の記憶部35などの記憶部に記憶された撮像データを読み出して用いてもよい。
次に、抽出部42が、撮像データの特徴点の抽出を行う(ステップS412)。抽出部42により抽出された特徴点は、評価部43に送られて、ステップS413に進む。
評価部43が、点検モニター31の記憶部35などの記憶部から評価基準の読込みを行い(ステップS413)、撮像データの特徴点と評価基準とに基いて配管設備の劣化度合いの評価を行う。(ステップS414)。ここでは、撮像データの特徴点と評価基準の数値データとを比較して、撮像データの特徴点が判定基準のいずれに相当するかを判断することにより行う。評価部43により付けられた配管設備の劣化度合いを示す評価点数は、判定部45に送られて、ステップS415に進む。
判定部45が、点検モニター31の記憶部35などの記憶部から配管設備の設置状況の読込みを行い(ステップS415)、ステップS414において評価部43により得られた配管設備の劣化度合いを示す評価点数と、配管設備の設置状況とに基いて配管設備の劣化状態の判定を行う(ステップS416)。なお、ここで、配管設備の劣化状態の判定は、ステップS414で得られた配管設備の劣化度合いを示す評価点数に基いて行ってもよいが、本例のように、さらに配管設備の設置状況の重み付けをすることにより行うことが好ましい。
さらに、判定部45から、配管設備の劣化状態の判定結果を出力する(ステップS417)。判定結果の出力は、点検モニター31の記憶部35などの記憶部に記憶するようにしてもよく、表示部34に表示するようにしてもよい。
高所配管点検装置1を用いた配管設備の劣化状態の判定の第一の例によれば、評価部43が撮像データの特徴点と評価基準とに基いて配管設備の劣化度合いを評価することにより、劣化度合いを客観的に評価することができる。また、撮像データから得られる配管設備の劣化度合いを示す評価点数に基いて、判定部45が配管設備の劣化状態の判定を行うことにより、点検検査員の評価技能が不足する場合や、点検検査員によって判断が異なることによって生じる、配管設備の劣化度合いの評価と劣化状態の判定の誤りを防ぎ、配管設備の劣化状態の判定を適切に行うことができる。
さらに、判定部45が、配管設備の設置状況を参酌して該配管設備の劣化状態を判定することにより、配管の劣化の進行が進みやすいと考えられる箇所の劣化状態を重く判断する。これにより、上記の評価部43により撮像データから得られる配管設備の劣化状態の評価に加えて、従来であれば点検検査に習熟した点検検査員が経験的に行っていた配管の設置状況に応じた劣化の予測を劣化状態の判定に取り入れることで、配管設備の劣化状態の判定をより適切に行うことができる。
(劣化状態判定の第二の例)
図15は、図2に示す高所配管点検装置1を用いた配管設備の劣化状態の判定の第二の例の流れを説明するためのフローチャートである。図15を用いて、撮像データの特徴点と評価基準とに基いて配管設備の劣化度合いを評価するとともに、時間をおいて撮像された複数の撮像データの特徴点を比較して、配管設備の劣化度合いを示す評価点数と配管設備の劣化の変化量または変化傾向を示す評価点数とを元に劣化状態を判定する場合の撮像データ処理部41による処理の流れについて説明する。
まず、抽出部42が、複数の撮像データを取得する(ステップS511)。複数の撮像データの取得は、高所配管点検装置1の撮像装置21により撮像された撮像データを抽出部42が読み込んで用いることができ、または、高所配管点検装置1により撮像されて、撮像装置21の記憶部24または点検モニター31の記憶部35などの記憶部に記憶された画像データを抽出部42が読み出して用いることができるが、複数の撮像データのうち少なくとも一つは、撮像装置21の記憶部24または点検モニター31の記憶部35などの記憶部に記憶された画像データを、抽出部42が読み出して用いることが好ましい。なお、複数の撮像データとは、同じ箇所の配管について時間をおいて複数回にわたって撮像して得られたものが好ましく、同様の角度、画角により撮影したものがさらに好ましい。
次に、抽出部42が、複数の撮像データそれぞれの特徴点の抽出を行う(ステップS512)。抽出部42により抽出された特徴点は、評価部43および比較部44に送られて、ステップS513に進む。
評価部43が、点検モニター31の記憶部35などの記憶部から評価基準の読込みを行い(ステップS513)、各撮像データの特徴点と評価基準とに基いて配管設備の劣化度合いの評価をそれぞれ行う。(ステップS514)。ここでは、撮像データの特徴点と評価基準の数値データとを比較して、撮像データの特徴点が判定基準のいずれに相当するかを判断する。評価部43により付けられた配管設備の劣化度合いを示す評価点数は、判定部45に送られて、ステップS515に進む。なお、配管設備の劣化度合いの評価は、複数の撮像データのうち、少なくとも配管設備の劣化状態の判定を行う対象となる撮像データについて行えばよい。
比較部44が、複数の撮像データ間の特徴点の比較を行う(ステップS515)。ここでは、同じ箇所の配管について時間をおいて撮像した撮像データの間において、特徴点を比較することにより、配管設備の劣化の変化量または配管設備の劣化の変化傾向を評価する。比較部44により付けられた配管設備の劣化の変化量または配管設備の劣化の変化傾向を示す評価点数は、判定部45に送られて、ステップS516に進む。
判定部45が、点検モニター31の記憶部35などの記憶部から配管設備の設置状況の読込みを行い(ステップS516)、ステップS514において評価部43により得られた配管設備の劣化度合いを示す評価点数と、ステップS515において比較部44により得られた配管設備の劣化の変化量または配管設備の劣化の変化傾向を示す評価点数と、配管設備の設置状況とに基いて配管設備の劣化状態の判定を行う(ステップS517)。なお、配管設備の劣化状態の判定は、ステップS514で得られた配管設備の劣化度合いを示す評価点数と、ステップS515で得られた配管設備の劣化の変化量または配管設備の劣化の変化傾向を示す評価点数とに基いて行ってもよいが、本例のように、さらに配管設備の設置状況の重み付けをすることにより行うことが好ましい。
さらに、判定部45から、配管設備の劣化状態の判定結果を出力する(ステップS517)。判定結果の出力は、点検モニター31の記憶部35などの記憶部に記憶するようにしてもよく、表示部34に表示するようにしてもよい。
なお、ステップS512において抽出された複数の撮像データの特徴点は、記憶部35などの記憶部に記憶されて、別の機会に他の撮像データの特徴点と比較する際に読み出されて利用されるようにしてもよい。
高所配管点検装置1を用いた配管設備の劣化状態の判定の第二の例によれば、前記劣化状態の判定の第一の例で得られる効果に加えて、比較部44が時間をおいて撮像された複数の撮像データ相互間の特徴点を比較することにより、配管設備の劣化の度合いの変化量または変化傾向を判断することができ、点検時以降の配管設備の劣化の傾向を予測することができる。さらに、撮像データから評価部43によって得られる配管設備の劣化度合いを示す評価点数と、比較部44によって得られる配管設備の劣化の度合いの変化量または変化傾向を示す評価点数とに基いて、判定部45が配管設備の劣化状態の判定を行うことにより、評価部43により評価される点検時の劣化状態のみではなく、比較部44により評価される今後の劣化傾向を参酌することによって、配管設備の劣化状態の判定をより高精度に行うことができる。
[3.高所配管点検装置の構成例]
上述したように、本発明の高所配管点検装置1は、棒状部材11と、棒状部材11の先端部12に取り付けられる撮像装置21と、点検モニター31とを少なくとも備えているものであれば、その構成に特に制限はなく、上述の構成要素を適宜組み合わせて有するものとすることができる。
以下に、本発明による高所配管点検装置1の好ましい構成例について、図1〜図5を用いて説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(第一の構成例)
図1及び図2に示す第一の構成例に係る高所配管点検装置1は、点検検査員の身長を超えた高所に配置される配管設備に先端部が届く棒状部材11と、棒状部材11の先端部12に取付部材51を介して取り付けられるとともに、棒状部材11の先端部周辺を撮像して撮像データを得る撮像部22と、無線により操作情報の受信および撮像データの送信を行なう無線送受信部23とを有する撮像装置21と、撮像装置21との間で無線により上記の操作情報の送信および撮像データの受信を行なう無線送受信部32と、撮像装置21を操作するための操作情報を出力する操作部33と、受信された撮像データを表示する表示部34とを有する点検モニター31とを備え、該撮像装置21が上記操作部33からの操作情報を受けて撮像するものである。
第一の構成例に係る高所配管点検装置1によれば、棒状部材11の先端部12に撮像装置21が取り付けられていることによって、撮像装置21により点検検査員8の身長を超えた高所に配置される配管101を近傍で撮像して、点検モニター31が撮像データを表示することで、点検検査員9が配管101を間接目視して確認することにより、配管101を肉眼により直接目視する場合と同等以上の状況で確実に点検することができる。
また、第一の構成例に係る高所配管点検装置1によれば、地上からは死角となって確認することができない、配管101の上側に生じた異常や、配管101とサポート112との間に生じた異常などを発見することも可能である。
また、第一の構成例に係る高所配管点検装置1によれば、撮像装置21が操作部33からの操作情報を受けて撮像することによって、任意のタイミングで撮像の開始及び停止をすることで操作性を向上させることができ、撮像に伴うバッテリーの消費を抑え、撮像データの記憶に要する記憶部の容量も抑えることができる。
なお、第一の構成例において、撮像装置21または点検モニター31などがさらに記憶部24または記憶部35などの記憶部を有することが好ましい。これにより、操作部33からの操作情報を受けて、撮像装置21の記憶部24または点検モニター31の記憶部35などの記憶部に撮像データを記憶することによって、任意のタイミングで撮像の開始及び停止をすることで操作性を向上させることができるとともに、撮像に伴うバッテリーの消費を抑え、撮像データの記憶に要する記憶部の容量も抑えることができる。また、特に注意が必要な点検箇所の配管設備を重点的に撮像して、その箇所の撮像データを静止画情報または動画情報として記憶しておくことが可能となる。
(第二の構成例)
図5及び図2に示す第二の構成例に係る高所配管点検装置1は、点検検査員の身長を超えた高所に配置される配管設備に先端部が届く棒状部材11と、棒状部材11の先端部12に取付部材51を介して取り付けられるとともに、棒状部材11の先端部周辺を撮像して撮像データを得る撮像部22と、無線により操作情報の受信および撮像データの送信を行なう無線送受信部23とを有する撮像装置21と、撮像装置21との間で無線により上記の操作情報の送信および撮像データの受信を行なう無線送受信部32と、撮像装置21を操作するための操作情報を出力する操作部33と、受信された撮像データを表示する表示部34とを有する点検モニター31とを備え、該撮像装置21が上記操作部33からの操作情報を受けて撮像するものであって、さらに、棒状部材11が伸縮自在なテレスコピック型の棒状部材として構成されており、棒状部材11の基端部13の末端14にカウンタウエイト16が取り付けられている。
第二の構成例に係る高所配管点検装置1によれば、前記第一の構成例で得られる効果に加えて、棒状部材11が伸縮自在なテレスコピック型の棒状部材として構成されているため、点検を行う際には棒状部材11を伸長させることで先端部12を高所に配置される配管設備に届かせることが可能となり、図5に示すように、配管101a〜101e、配管101f〜101i、または配管101j〜101lのように、配管の高さが様々であっても配管の高さにあわせた長さに棒状部材11を伸縮させて点検を行うことができる。また、高所配管点検装置1の収納時または運搬時には棒状部材11の長さを縮小させて省スペースな状態での保存と容易な運搬が可能となる。また、棒状部材11の基端部13の末端14にカウンタウエイト16が取り付けられていることにより、棒状部材11が、先端に撮像装置21が取り付けられた際の重心配置が基端部寄りに設定されていることで、高所配管点検装置1を使用する際に先端部を上側に向けて立てた状態で点検検査員8が安定して保持することが可能になり、撮像装置21が取り付けられた先端部12の位置を正確かつ容易に動かすことが可能となる。このため、撮像装置21により得られる画像のブレを抑えて鮮明な画像を得ることができる。
(第三の構成例)
図3及び図2に示す第三の構成例に係る高所配管点検装置1は、点検検査員の身長を超えた高所に配置される配管設備に先端部が届く棒状部材11と、棒状部材11の先端部12に取付部材51を介して取り付けられるとともに、棒状部材11の先端部周辺を撮像して撮像データを得る撮像部22と、無線により操作情報の受信および撮像データの送信を行なう無線送受信部23とを有する撮像装置21と、撮像装置21との間で無線により上記の操作情報の送信および撮像データの受信を行なう無線送受信部32と、撮像装置21を操作するための操作情報を出力する操作部33と、受信された撮像データを表示する表示部34とを有する点検モニター31とを備え、該撮像装置21が上記操作部33からの操作情報を受けて撮像するものであって、さらに、点検検査員に装着される帯状部材62と、該帯状部材62に連結されて該棒状部材11を保持する保持部材63とを有する装着器具61を備えている。本構成例では、保持部材63が、棒状部材11の基端部13の末端14を保持している。
第三の構成例に係る高所配管点検装置1によれば、前記第一の構成例で得られる効果に加えて、高所配管点検装置1が装着器具63を備えていることにより、装着器具63によって棒状部材11の保持が補助されることで、点検検査員8が棒状部材11を保持する部位が、棒状部材1が保持部材63に保持される末端14の部位を加えた2箇所になるとともに、棒状部材11の重量を点検検査員に装着された装着器具61によって受け止めることができる。これにより、点検検査員8は高所配管点検装置1を安定して保持することが可能となり、撮像装置21が安定した状態で配管101を撮像することができ、長時間の点検作業が可能となる。また、点検検査員8が、棒状部材11の基端部13の末端14が保持される保持部材63の位置を支点にして棒状部材11を動かすことにより、撮像装置21の動きを安定させることができる。このため、撮像装置21により得られる画像のブレを抑えて鮮明な画像を得ることができる。
(第四の構成例)
図4及び図2に示す第四の構成例に係る高所配管点検装置1は、点検検査員の身長を超えた高所に配置される配管設備に先端部が届く棒状部材11と、棒状部材11の先端部12に取付部材51を介して取り付けられるとともに、棒状部材11の先端部周辺を撮像して撮像データを得る撮像部22と、無線により操作情報の受信および撮像データの送信を行なう無線送受信部23とを有する撮像装置21と、撮像装置21との間で無線により上記の操作情報の送信および撮像データの受信を行なう無線送受信部32と、撮像装置21を操作するための操作情報を出力する操作部33と、受信された撮像データを表示する表示部34とを有する点検モニター31とを備え、該撮像装置21が上記操作部33からの操作情報を受けて撮像するものであって、さらに、先端12に撮像装置21が取り付けられた棒状部材11の重心配置が基端部寄りに設定されており、点検検査員に装着される帯状部材62と、該帯状部材62に連結されて該棒状部材11を保持する保持部材63とを有する装着器具61を備えている。本構成例では、保持部材63が、棒状部材11の基端部13において末端14から棒状部材11の中間よりの位置15を保持している。
第四の構成例に係る高所配管点検装置1によれば、前記第一の構成例及び第三の構成例で得られる効果に加えて、棒状部材11の重心配置が基端部寄りに設定されていることにより、装着器具61による棒状部材11を保持する位置15を支点として、棒状部材11の位置15から下側の部分に生じるモーメントを、撮像装置21が先端12に取り付けられている棒状部材11の位置15から上側の部分に作用させることで、撮像装置21をスムーズに動かすとともに安定して保持することができる。このため、撮像装置21により得られる画像のブレを抑えて鮮明な画像を得ることができる。
[4.高所配管点検作業]
本実施形態の高所配管点検装置1は、上述のように構成されており、点検検査員8及びび9が高所配管点検装置1使用することにより、高所に配置された配管設備の点検を行うことができる。なお、上記の例も含め本願明細書では、点検検査員2名で点検を行っている場合について説明しているが、点検は1名又は3名以上で行ってもよい。続いて、以下に、高所配管点検装置1を用いて高所配管設備を点検する際の高所配管点検装置1の操作方法(高所配管点検装置1の使用方法)の例と、高所配管点検作業の例について説明するとともに、高所配管点検において見られる配管の劣化状態について説明する。
[4−1.高所配管点検装置の操作方法]
(操作方法の第一の例)
図1は、高所配管点検装置1の操作方法の第一の例について説明するための模式図であり、上述の第一の構成例に係る高所配管点検装置1を用いて点検を行う様子を示している。
高所配管点検装置1の操作方法の第一の例では図1に示すように、点検検査員8が、高所配管点検装置1の棒状部材11の末端部13を持ち、棒状部材11を地面に対して垂直方向に向けて、棒状部材11の先端部12に取り付けられた撮像装置21を点検する配管101の近傍に保持して、撮像装置21により配管101を撮像する。そして、点検作業員9が、点検モニター31のディスプレイ71に表示される配管101の画像を確認して高所の配管設備を点検する。
高所配管点検装置1の操作方法の第一の例によれば、撮像装置21により点検検査員8の身長を超えた高所に配置される配管101を近傍で撮像して、点検モニター31が撮像データを表示することで、点検検査員9がディスプレイ71に表示された配管101を間接目視して確認することにより、配管101を肉眼により直接目視する場合と同等以上の状況で確実に点検することができる。
なお、操作方法の第一の例は、上述の第二の構成例に係る高所配管点検装置1、第三の構成例に係る高所配管点検装置1および第四の構成例に係る高所配管点検装置1を用いた場合であっても、点検検査員8が、高所配管点検装置1の棒状部材11の末端部13を持ち、棒状部材11を地面に対して垂直方向に向けて、棒状部材11の先端部12に取り付けられた撮像装置21を点検する配管101の近傍に保持することで、同様に行うことができる。
(操作方法の第二の例)
図16は、高所配管点検装置1の操作方法の第二の例について説明するための模式図であり、上述の第一の構成例に係る高所配管点検装置1を用いて点検を行う様子を示している。
操作方法の第二の例では図16に示すように、点検検査員8が、高所配管点検装置1の棒状部材11の末端部13から中間部よりの位置を持ち、棒状部材11の末端部13の末端14を地面につけた状態で棒状部材11を地面に対して垂直方向に向けて、棒状部材11の先端部12に取り付けられた撮像装置21を点検する配管101の近傍に保持して、撮像装置21により配管101を撮像する。そして、点検作業員9が、点検モニター31のディスプレイ71に表示される配管101の画像を視認して高所の配管設備を点検する。
高所配管点検装置1の操作方法の第二の例によれば、前記第一の構成例で得られる効果に加えて、点検検査員8が、棒状部材11の末端部13の末端14を地面につけた状態で棒状部材11を保持することにより、特に棒状部材11の上下動が抑えられて、高所配管点検装置1の保持をより安定させることができる。また、点検検査員8が、棒状部材11の末端部13の末端14を地面につけた位置を支点にして棒状部材11を動かすことにより、撮像装置21の動きを安定させることができる。このため、撮像装置21により得られる画像のブレを抑えて鮮明な画像を得ることができる。
なお、操作方法の第二の例は、上述の第二の構成例に係る高所配管点検装置1および第四の構成例に係る高所配管点検装置1を用いた場合であっても、点検検査員8が、高所配管点検装置1の棒状部材11の末端部13から中間部よりの位置を持ち、棒状部材11の末端部13の末端14またはカウンタウェイト14を地面につけた状態で棒状部材11を地面に対して垂直方向に向けて、棒状部材11の先端部12に取り付けられた撮像装置21を点検する配管101の近傍に保持することで同様に行うことができる。
(操作方法の第三の例)
図17は、高所配管点検装置1の操作方法の第三の例について説明するための模式図であり、上述の第三の構成例に係る高所配管点検装置1を用いて点検を行う様子を示している。
操作方法の第三の例では図17に示すように、点検検査員8が、高所配管点検装置1の棒状部材11の末端部13を持ち、棒状部材11を、配管101を支持するサポート113に当てて、棒状部材11の先端部12に取り付けられた撮像装置21を点検する配管101の近傍に保持して、撮像装置21により配管101を撮像する。そして、点検作業員9が、点検モニター31のディスプレイ71に表示される配管101の画像を視認して高所の配管設備を点検する。棒状部材11をサポート113に当てるときは、棒状部材11の先端部12付近をサポート113に当てて保持することが好ましい。
高所配管点検装置1の操作方法の第三の例によれば、前記第一の構成例で得られる効果に加えて、点検検査員8が、棒状部材11をサポート113に当てて、棒状部材11の先端部12に取り付けられた撮像装置21を点検する配管101の近傍に保持することにより、棒状部材11がサポート113に当てられる部位と点検検査員8が棒状部材11を保持する部位の2箇所で保持される。さらに、棒状部材11の先端部12付近をサポート113に当てて保持する場合は、棒状部材11の離れた2箇所で棒状部材11を支えることにより、棒状部材11の動きが抑えられて、高所配管点検装置1の保持をさらに安定させることができる。このため、撮像装置21により得られる画像のブレを抑えて鮮明な画像を得ることができる。
なお、操作方法の第三の例は、上述の第一の構成例に係る高所配管点検装置1、第二の構成例に係る高所配管点検装置1、第三の構成例に係る高所配管点検装置1および第四の構成例に係る高所配管点検装置1を用いた場合であっても、点検検査員8が、高所配管点検装置1の棒状部材11の末端部13を持ち、棒状部材11をサポート113に当てて、棒状部材11の先端部12に取り付けられた撮像装置21を点検する配管101の近傍に保持することで同様に行うことができる。
(その他の操作方法)
上述の高所配管点検装置1操作方法の第一の例〜第三の例では、点検検査員8が撮像装置21を取り付けた棒状部材11を保持し、点検検査員9が点検モニター31の操作または確認を行うことで、二名の点検検査員により作業するようにしているが、一名の作業員が撮像装置21を取り付けた棒状部材11を操作して撮像するとともに、点検モニター31の操作または確認を行うようにしてもよい。
また、上述の高所配管点検装置1の第二の例と第三の例とは組み合わせてもよく、点検検査員8が、高所配管点検装置1の棒状部材11の末端部13から中間部よりの位置を持ち、棒状部材11の末端部13の末端14を地面につけるとともに、棒状部材11をサポート113に当てて、棒状部材11の先端部12に取り付けられた撮像装置21を点検する配管101の近傍に保持するようにしてもよい。
[4−2.高所配管点検作業の例]
図1、図18(a)及び図19(a)には、配管101a〜101eと、配管101a〜101eを支持するサポート(梁)112a、並びにサポート112aを支持するサポート113及びサポート(支柱)111と、配管101aを高所配管点検装置1を用いて点検している点検作業の例が模式的に示されている。なお、図18(a)は配管101aの上側に生じた腐食部位201を点検しており、図19(a)は配管101aとサポート112aとの間に生じた腐食部位202を点検している状態を示している。
本発明において、高所配管とは、点検作業員の身長を超えた高所に配置された配管設備のことをいう。具体的には、例えば、地上から2m以上の高さに配置された配管設備のことをいう。また、配管設備を構成する配管とは、内部を流通する液体、気体及び/または粉体等の流体を輸送するために用いられるものである。配管の素材としては、主に金属製のものが用いられるが、強度、防蝕性、耐侯性の点から鋼を加工して得られる鋼管が好ましく、炭素鋼管がより好ましく、配管用炭素鋼鋼管または圧力配管用炭素鋼鋼管と呼ばれる鋼管が特に用いられる。配管は表面処理として、塗装またはめっき加工が行われていることが好ましい。また、配管には、表面を保護する保護板金またはFRP(樹脂)からなる保護部材が取り付けられるとともにコーキング処理が実施されていることがある。また、腐食しやすい箇所に油を染み込ませた防食テープが巻きつけられていることがある。
配管設備は、経年に伴いまたは地震のような災害を原因として、表面に錆び、腐食、穴、または亀裂等の異常が発生する場合がある。このような配管または配管の塗装もしくは保護部材に生じる、錆び、腐食、穴、または亀裂等の異常を、配管の劣化と呼ぶ。特に、野外に配置された配管は、風、雨、塩分等の外的要因の影響を受けることで経年に伴う表面の劣化の進行が早く、点検による劣化の早期発見が必要とされる。配管の点検方法としては、点検作業員が地上から直接目視して行う方法があるが、配管が高所に配置されている場合には対象物との距離が遠いために目視が困難となる。このとき、点検作業員が地上から双眼鏡を用いて目視による点検を行うことにより改善することができるが、例えば図18(a)に示すように配管の上部に生じた腐食部位201や、図19(a)に示すように管101aとサポート112aとの間に生じた腐食部位202を確認することは、地上からは死角となるために困難である。本実施形態の高所配管点検装置1は、このような高所配管設備の点検に有用に用いられるものである。なお、図1、図18(a)及び図19(a)には、サポート112a〜112cに地面に対して水平向きに配置された配管101a〜101lを点検している状態を示しているが、本実施形態の高所配管点検装置1は、地面に対して垂直方向または斜め方向に配置された配管の点検にも用いることができる。
以下、図1、図18(a)又は図19(a)の場合について具体的に説明する。
図18(a)の場合については、高所配管点検装置1の撮像装置21で配管101aに生じた腐食部位201を撮像することにより、撮像されたデータが点検モニター31の表示部34に図18(b)に示すように表示され、腐食部位201を撮像した画像を確認することができる。
図19(a)の場合については、高所配管点検装置1の撮像装置21で配管101aに生じた腐食部位202を撮像することにより、撮像されたデータが点検モニター31の表示部34に図19(b)に示すように表示され、腐食部位202を撮像した画像を確認することができる。
上述したとおり、図18(a)及び図18(b)に示すように、本実施形態の高所配管点検装置1を用いて高所に配置される配管設備の点検を行うことにより、高所に配置された配管を手元の点検モニター31の画像により確認することができ、さらに、地上からは死角となって確認困難な配管101aの上側に生じた異常も発見することが可能となる。
また、図19(a)及び図19(b)に示すように、本実施形態の高所配管点検装置1を用いることにより、高所に配置された配管を手元の点検モニター31の画像により確認することができ、地上からは死角となって確認困難な配管101aとサポート112aとの間に生じた異常も発見することも可能となる。
[4−3.配管劣化状態]
図20(a)〜図20(d)に、高所配管点検装置1を用いた配管設備の点検によって確認される配管の劣化状態の例を示す。
高所配管点検装置1により配管設備を点検するに際して、上述の図18(b)及び図19(b)に示したように、配管101aの表面に生じた腐食の面積および腐食の程度が大きく、一見して劣化を判別できるケースがあるが、中には劣化の判別が困難なケースがあるが、このようなケースについても点検により発見することが必要とされている。なお、ここで、配管の劣化は特定の部位において進行することがある。また、配管の劣化の兆候が見て取れる場合があり、このような配管の劣化の兆候を把握することにより、配管設備の点検による劣化の早期発見に役立てることができる。ここではこのような配管劣化状態の例について説明する。
図20(a)は、配管121と、配管121に取り付けられた配管保護板金131、及び配管121と配管保護板金131との間に生じた隙間212の間に生じた腐食部位212が表示部34に表示されているところを示している。配管121と配管保護板金131との間に生じた隙間212には、雨水などが入り込みやすいため、配管121の配管保護板金131と接触する部位で腐食が進むことがある。このため、配管保護板金131を取り付けた部位の配管の点検には注意を要する。
図20(b)は、配管122と、配管122に巻きつけられた防食テープ132、及び防食テープ132が乾燥し、めくれあがった部位222に生じた腐食部位221が表示部34に表示されているところを示している。防食テープ132は油を染み込ませておくことで巻き付けられた部位の腐食を防止することができるが、油が乾燥するとかえって腐食進行要因となり、配管122の防食テープ132と接触する部位で腐食が進むことがある。このため、防食テープ132が巻きつけられた部位の配管の点検には注意を要する。
図20(c)は、配管123と、配管123に生じた膨らみ(錆こぶ)231及び232が表示部34に表示されているところを示している。錆こぶ231及び232は配管123の配管表面の塗装と接触する部位の腐食に伴い、膨らむことにより生じるものである。ここで、錆こぶ231及び232の内部では外見よりも腐食が進んでいることがあり、また錆こぶ231及び232を放置すると腐食がさらに進行することがある。このため、錆こぶ231及び232の発生は配管123の劣化の兆候として注意を要する。
図20(d)は、配管124と、配管124の表面の塗装が劣化して配管から浮き、シワ状になった部位241、及び腐食部位242が表示部34に表示されているところを示している。通常、配管124の表面には配管保護のために塗装が施されているが、塗装の劣化により配管の腐食が進行することがある。このため、塗装の劣化241の発生は配管124の劣化の兆候として注意を要する。
この他、高温配管や低温配管には熱ロスを防止するために、保温材と保温板金が施されていることがある。この保温板金にも僅かな隙間が生じることがあり、また隙間のコーキングが未実施であると雨水が入り込み、腐食の要因となる。このため、保温材と保温板金を取り付けた部位の点検にも注意を要する。
[5.高所配管点検方法]
本実施形態の高所配管点検装置1は、上述のように構成されており、点検検査員8及び9がこれを使用することにより高所に配置される配管設備の点検を簡便に且つ精度高く行うことができる。以下に、高所配管点検装置1を用いた高所配管の点検方法について説明する。
(点検方法の第一の例)
図21は、本実施形態の高所配管点検装置1を用いた高所配管の点検方法の第一の例の流れを示すフローチャートである。
高所配管の点検方法の第一の例では、少なくとも高所配管点検装置1の点検モニター31を操作して、撮像装置21にて配管設備を撮像するステップ(S621)と、表示部34に上記の配管設備の画像を表示するステップ(S622)とを有する。また、さらに、上記の撮像装置21にて配管設備を撮像するステップ(S621)の前に、点検検査員8の身長を超えた高所に配置される配管設備に対し、該配管設備に先端部が届く棒状剛性部材の先端部に取付部材を介して取り付けられた流体検知器を用いて、該配管設備の流体漏洩点検を行なうステップ(S611〜S612)を有することが好ましい。また、上記の表示部34に上記の配管設備の画像を表示するステップ(S622)の後に、配管設備の画像を確認するステップ(S623)を有することが好ましい。そして、配管設備の撮像データを記憶するステップ(S624)を有することが好ましい。
ここで、図21のフローチャートに示すように、配管設備の流体漏洩点検を行なうステップ(S611〜S612)、配管設備を撮像するステップ(S621)、配管設備の画像を表示するステップ(S622)、配管設備の画像を確認するステップ(S623)及び撮像データを記憶するステップ(S624)を有する場合について説明するが、必ずしもこれら全てのステップを有していなくともよい。
高所配管の点検を行うにあたっては、高所配管点検装置1を用いた配管点検(ステップS621〜624)前に、上述の流体検知器を用いて配管設備の流体漏洩点検を行うステップ(ステップS611〜S612)を有することが好ましい。流体漏洩点検は、配管設備に対し、配管設備に先端部が届く棒状部材1の先端部に取り付けられた流体検知器を用いて、配管中の流体が配管から漏洩することにより外部に放出される流体(通常ガス)を検知するものである。高所配管点検装置1を用いて配管を点検する前に流体漏洩点検を行うことによって、流体の漏洩を事前に検知して配管の点検を安全に行うことができる。
ステップS611では、流体検知器が、流体の漏洩の検知がなされたかどうかを判定する。流体の漏洩が検知された場合にはステップS612へ進む。流体の漏洩が検知されていない場合にはステップS621へ進み、高所配管点検装置1を用いた配管の点検を行う。
ステップS612では、流体検知器が、漏洩が検知された流体ごとにあらかじめ定められた濃度の閾値と、漏洩した流体の濃度とを対比して、漏洩した流体の濃度が閾値よりも高いか否かを判定する。漏洩した流体の濃度が閾値よりも低い場合には、漏洩したガスによる危険性が比較的低いと考えられるため、ステップS621へ進み、高所配管点検装置1を用いた配管の点検を行うことで配管のガスの漏洩箇所の発見に努める。一方、漏洩した流体の濃度が閾値を越えている場合には、漏洩したガスによる危険性が高いと考えられるため、処理を終了し、点検作業を終えて点検検査員は退避する。このとき、流体検知器が、流体の漏洩が発生していることを表示部34及び/または流体検知器のモニターへの表示若しくはブザーにより知らせられる機能を備え、判定の結果を点検検査員に報知するようになっていることが好ましい。なお、ここでは、流体検知器が流体の漏洩の検知がなされたかどうかを判定するステップS611と漏洩した流体の濃度が閾値よりも高いか否かを判定するステップS612を備えている場合について説明したが、本発明の一実施形態に係る流体検知器による流体漏洩点検は、流体の漏洩の検知がなされたかどうかを判定するステップS611のみでも構わない。
続いて点検検査員8が、高所配管点検装置1の撮像装置21で配管設備を撮像して、撮像データを得る(ステップS621)。このとき、点検検査員9が、点検モニター31の操作部33のビューボタン81を操作することにより、操作部33からの操作情報を受けて、撮像装置21の撮像部22が撮像を開始するようになっていることが好ましい。
得られた撮像データは撮像装置21の無線送受信部23から送信され、点検モニター31の無線送受信部32が撮像データを受信する。そして、表示部34としてのディスプレイ71に、受信された配管設備の撮像データの画像が表示される(ステップS622)。
点検検査員9は、表示された配管設備の画像を確認することにより、配管設備を間接目視により点検する(ステップS623)。このとき、上述したように、図20(a)〜図20(d)に示すような、配管の劣化が生じやすい箇所及び/または配管の劣化の兆候に注意して点検を行うことが好ましい。
さらに、点検検査員9が、点検モニター31の操作部33の動画記憶ボタン72または静止画記憶ボタン73を操作することにより、操作部33からの操作情報を受けて、撮像装置21の記憶部24または点検モニター31の記憶部35などの記憶部が、撮像データを動画情報または静止画情報として記憶してもよい(ステップS624)。
上述のステップS621〜S624により、高所配管点検装置1を用いた高所配管の点検が行われる。
そして、実際は、点検検査員8及び9が、ステップS611〜S624、またはステップS621〜S624を移動しながら複数個所の配管設備に対して複数回上記ステップを繰りかえすことにより、複数個所または範囲における高所配管の点検が行われる。
すなわち、同一箇所の経時的な高所配管の点検は、点検検査員8及び9が、ステップS611〜S624、またはステップS621〜S624を同じ箇所の配管設備に対して時間をおいて複数回繰りかえすことにより行われる。
また、複数箇所の経時的な高所配管の点検は、点検検査員8及び9が、ステップS611〜S624、またはステップS621〜S624を移動しながら複数個所の配管設備に対して複数回繰りかえし、さらに時間をおいて複数回繰りかえすことにより行われる。
ここで、撮像装置21で配管設備を撮像するステップ(ステップS621)の前に、表示制御部38が点検モニター31に配管の配置情報を表示させるステップを有していてもよい。このとき、表示制御部38は、配管の配置情報の表示に際し、重要点検箇所を表示することが好ましい。さらに、表示制御部38は、配管の配置情報にあわせて点検検査員の現在位置を表示することが好ましく、配管配置の上に点検順序を表示させることがより好ましい。
高所配管点検装置1を用いた高所配管点検方法の第一の例によれば、撮像装置21により点検検査員8の身長を超えた高所に配置される配管101を近傍で撮像して、点検モニター31が撮像データを表示することで、点検検査員9がディスプレイ71に表示された配管101を間接目視して確認することにより、配管101を肉眼により直接目視するのと同等以上の状況で確実に点検することができる。
また、高所配管点検装置1を用いた高所配管点検方法の第一の例おいて、操作部33からの操作情報を受けて、撮像装置21が撮像することによって、任意のタイミングで撮像の開始及び停止をすることで操作性を向上させることができ、撮像に伴うバッテリーの消費を抑えることができる。
また、高所配管点検装置1を用いた高所配管点検方法の第一の例おいて、操作部33からの操作情報を受けて、撮像装置21の記憶部24または点検モニター31の記憶部35などの記憶部が撮像データを記憶することによって、任意のタイミングで撮像の開始及び停止をすることで操作性を向上させることができるとともに、撮像に伴うバッテリーの消費を抑え、撮像データの記憶に要する記憶部の容量も抑えることができる。また、特に注意が必要な点検箇所の配管設備を重点的に撮像して、その箇所の撮像データを静止画情報または動画情報として記憶しておくことが可能となる。
(点検方法の第二の例)
図22は、本実施形態の高所配管点検装置1を用いた高所配管の点検方法の第二の例の流れを示すフローチャートである。
高所配管の点検方法の第二の例では、少なくとも高所配管点検装置1の点検モニター31を操作して、撮像装置21にて配管設備を複数回撮像しその撮像データを記憶するステップ(S721)と、上記の記憶された複数の画像を表示部34に表示するステップ(S722)とを有している。第二の例では、さらに、上記の撮像装置21にて配管設備を撮像する前に、点検検査員8の身長を超えた高所に配置される配管設備に対し、該配管設備に先端部が届く棒状剛性部材の先端部に取付部材を介して取り付けられた流体検知器を用いて、該配管設備の流体漏洩点検を行なうステップ(S711〜S712)を有することが好ましい。また、上記の記憶された複数の画像を表示部34に表示するステップ(S722)の後に、配管設備の複数の画像を確認するステップ(S723)を有することが好ましい。
ここで、図22のフローチャートに示すように、配管設備の流体漏洩点検を行なうステップ(S711〜S712)、配管設備を複数回撮像しその撮像データを記憶をするステップ(S721)、配管設備の複数の画像を表示するステップ(S722)及び配管設備の複数の画像を確認するステップ(S723)を有する場合について説明するが、必ずしもこれら全てのステップを有していなくともよい。
高所配管点検方法の第二の例における、流体検知器を用いて配管設備の流体漏洩点検を行うステップ(ステップS711〜S712)は、高所配管点検方法の第一の例における流体検知器を用いて配管設備の流体漏洩点検を行うステップ(ステップS611〜S612)と同様に行うことができるため、説明を省略する。
第二の例では、点検検査員8が、高所配管点検装置1の撮像装置21で配管設備を複数回撮像するとともに、各撮像データを記憶する(ステップS721)。複数回撮像し記憶するとは、複数個所の配管設備の撮像と記憶を行うようにしてもよく、同じ箇所の配管設備について時間をおいて複数回の撮像と記憶を行うようにしてもよい。このとき、点検検査員9が、点検モニター31の操作部33のビューボタン81を操作することにより、撮像装置21の撮像部22が操作部33からの操作情報を受けて、撮像を開始するようになっていることが好ましい。また、点検検査員9が、点検モニター31の操作部33の動画記憶ボタン72または静止画記憶ボタン73を操作することにより、撮像装置21の記憶部24または点検モニター31の記憶部35などの記憶部が、操作部33からの操作情報を受けて、複数の撮像データを動画情報または静止画情報として記憶することが好ましい。
そして、撮像装置21の記憶部24または点検モニター31の記憶部35などの記憶部に記憶された複数の撮像データが読み出され、表示部34に、複数の配管設備の撮像データ(画像)が表示される(ステップS722)。点検検査員9は、この表示された複数の配管設備の画像を確認することにより、配管設備を間接目視により点検する(ステップS723)。このとき、上述したように、図20(a)〜図20(d)に示すような、配管の劣化が生じやすい箇所、または配管の劣化の兆候に注意して点検を行うことが好ましい。
上述のステップS721〜S723により、高所配管点検装置1を用いた高所配管の点検が行われる。
本点検方法において、複数個所の配管設備の撮像と記憶を行った場合には(S721)、複数個所の配管設備の画像の表示を行い、その画像を確認することにより、複数個所の配管設備を一覧して網羅的な確認をすることができる。また、同じ箇所の配管設備について時間をおいて複数回の撮像と記憶を行った場合には(S721)、同じ箇所の時間をおいた画像の表示を行い、その画像を確認することにより、撮影した箇所の配管設備の経時的な変化を確認することができる。
すなわち、高所配管点検装置1の操作方法の第二の例によれば、前記高所配管点検装置1を用いた高所配管点検方法の第一の例で得られる効果に加えて、撮像装置21にて配管設備を複数回撮像しその撮像を記憶して、表示部34にその複数の画像を表示することによって、複数個所の配管設備を一覧して網羅的な確認をすることができ、配管設備の設置状況に応じた劣化の状態を分析することができる。または、撮影した箇所の配管設備の経時的な変化を確認することにより、配管設備の劣化状態の変化の確認、または劣化した部位の確認を容易に行うことができる。
なお、ここで、撮像装置21で配管設備を複数回撮像しその撮像を記憶するステップ(ステップS721)の前に、表示制御部38が、点検モニター31に配管の配置情報を表示させるステップを有していてもよい。このとき、表示制御部38は、配管の配置情報の表示に際し、重要点検箇所を表示させることが好ましい。さらに、表示制御部38は、配管の配置情報にあわせて点検検査員の現在位置を表示することが好ましく、配管配置の上に点検順序を表示させることがより好ましい。
[6.高所配管劣化状態判定方法]
本実施形態の高所配管点検装置1は、上述のように構成されており、点検検査員8及び9がこれを使用することにより、高所に配置される配管設備の劣化状態の判定を行うことができる。以下に、高所配管点検装置1を用いた高所配管の劣化状態判定方法について説明する。
(劣化状態判定方法の第一の例)
図23は、本実施形態の高所配管点検装置1を用いた高所配管の劣化状態判定方法の第一の例の流れを示すフローチャートである。
高所配管の劣化状態判定方法の第一の例では、少なくとも配管設備の撮像データを取得するステップ(S821)と、撮像データの特徴点を抽出するステップ(S822)と、撮像データの特徴点と配管設備の劣化状態を表わす評価基準とに基いて配管設備の劣化度合いを評価するステップ(S823〜S824)と、上記の評価するステップの評価結果に基づいて配管設備の劣化状態を判定するステップ(S825〜S826)とを有する。そして、第一の例では、さらに、上記の配管設備の撮像データを取得するステップ(S821)の前に、点検検査員8の身長を超えた高所に配置される配管設備に対し、該配管設備に先端部が届く棒状剛性部材の先端部に取付部材を介して取り付けられた流体検知器を用いて、該配管設備の流体漏洩点検を行なうステップ(S811〜S812)を有することが好ましい。また、上記の配管設備の劣化状態を判定するステップの後に、判定結果を出力するステップ(S827)を有することが好ましい。
但し、ここでは、図23のフローチャートに示すように、配管設備の流体漏洩点検を行なうステップ(S811〜S812)と、配管設備の撮像データを取得するステップ(S821)と、撮像データの特徴点を抽出するステップ(S822)と、配管設備の劣化度合いを評価するステップ(S823〜S824)と、配管設備の劣化状態を判定するステップ(S825〜S826)と、判定結果を出力するステップ(S827)とを有する場合について説明するが、必ずしも全てのステップを有していなくともよい。
高所配管の劣化状態判定方法の第一の例における、流体検知器を用いて配管設備の流体漏洩点検を行うステップ(ステップS811〜S812)は、高所配管点検方法の第一の例における流体検知器を用いて配管設備の流体漏洩点検を行うステップ(ステップS611〜S612)と同様に行うことができるため、説明を省略する。
高所配管の劣化状態判定方法の第一の例においては、先ず、抽出部42が、配管設備の撮像データを取得する(ステップS821)。この撮像データの取得は、高所配管点検装置1により撮像された撮像データを抽出部42が読み込んで用いることができ、または、高所配管点検装置1の撮像装置21により撮像されて、撮像装置21の記憶部24または点検モニター31の記憶部35などの記憶部に記憶された撮像データを抽出部42が読み出して用いてもよい。
次に、抽出部42が、撮像データの特徴点の抽出を行う(ステップS822)。抽出部42により抽出された特徴点は、評価部43に送られて、ステップS823に進む。
評価部43は、点検モニター31の記憶部35などの記憶部から評価基準の読込みを行い(ステップS823)、撮像データの特徴点と評価基準とに基いて配管設備の劣化度合いの評価を行う(ステップS824)。ここでは、通常、撮像データの特徴点と評価基準の数値データとを比較して、撮像データの特徴点が判定基準(評価点数)のいずれに相当するかを判断することにより行う。評価部43により付けられた配管設備の劣化度合いを示す評価点数は、判定部45に送られて、ステップS825に進む。
続いて、判定部45が、点検モニター31の記憶部35などの記憶部から配管設備の設置状況の読込みを行い(ステップS825)、上記の配管設備の劣化度合いを示す評価点数と、配管設備の設置状況とに基いて配管設備の劣化状態の判定を行う(ステップS826)。なお、配管設備の劣化状態の判定は、ステップS824で得られた配管設備の劣化度合いを示す評価点数に基いて行ってもよいが、本例のように、さらに配管設備の設置状況の重み付けをすることにより行うことが好ましい。
そして、さらに、判定部45が配管設備の劣化状態の判定結果を出力する(ステップS827)。判定結果の出力は、点検モニター31の記憶部35などの記憶部に記憶するようにしてもよく、表示部34に表示するようにしてもよい。
高所配管点検装置1を用いた高所配管の劣化状態判定方法の第一の例によれば、撮像データの特徴点と評価基準とに基いて配管設備の劣化度合いを評価することにより、配管設備の劣化度合いを客観的に評価することができる。また、撮像データから得られる配管設備の劣化度合いを示す評価点数に基いて、配管設備の劣化状態の判定を行うことにより、点検検査員の評価技能や経験が不足する場合や、点検検査員によって判断が異なることによって生じる、配管設備の劣化度合いの評価の誤りと劣化状態の判定の誤りを防ぎ、配管設備の劣化状態の判定を適切に行うことができる。
さらに、配管設備の設置状況を参酌して該配管設備の劣化状態を判定することにより、配管の劣化の進行が進みやすいと考えられる箇所の劣化状態をより重く判断することができる。これにより、上記の撮像データから得られる配管設備の劣化状態の評価に加えて、従来であれば配管の点検検査に習熟した点検検査員が経験的に行っていた配管の設置状況に応じた劣化の予測を劣化状態の判定に取り入れることで、経験の浅い点検検査員であっても配管設備の劣化状態の判定をより適切に行うことができる。
(劣化状態判定方法の第二の例)
図24は、本実施形態の高所配管点検装置1を用いた高所配管の劣化状態判定方法の第二の例の流れを示すフローチャートである。
高所配管の劣化状態判定方法の第二の例では、少なくとも配管設備の複数の撮像データを取得するステップ(S921)と、各撮像データの特徴点を抽出するステップ(S922)と、各撮像データの特徴点と配管設備の劣化状態を表わす評価基準とに基いて配管設備の劣化度合いを評価するステップ(S923〜S924)と、複数の撮像データ間の特徴点を比較するステップ(S925)と、上記の配管設備の劣化度合いを評価するステップと複数の撮像データ間の特徴点を比較するステップとの評価結果に基づいて配管設備の劣化状態を判定するステップ(S926〜S927)とを有する。そして、さらに、上記の撮像装置21にて配管設備を撮像するステップの前に、点検検査員8の身長を超えた高所に配置される配管設備に対し、該配管設備に先端部が届く棒状剛性部材の先端部に取付部材を介して取り付けられた流体検知器を用いて、該配管設備の流体漏洩点検を行なうステップ(S911〜S912)を有することが好ましい。また、上記の比較結果に基づいて配管設備の劣化状態を判定するステップの後に、判定結果を出力するステップ(S928)を有することが好ましい。
但し、ここでは、図24のフローチャートに示すように、配管設備の流体漏洩点検を行なうステップ(S911〜S912)と、複数の撮像データを取得するステップ(S921)と、各撮像データの特徴点を抽出するステップ(S922)と、配管設備の劣化度合いを評価するステップ(S923〜S924)と、複数の撮像データ間の特徴点を比較するステップ(S925)と、配管設備の劣化状態を判定するステップ(S926〜S927)と判定結果を出力するステップ(S928)とを有する場合について説明するが、必ずしも全てのステップを有していなくともよい。
高所配管の劣化状態判定方法の第二の例における、流体検知器を用いて配管設備の流体漏洩点検を行うステップ(ステップS911〜S912)は、高所配管点検方法の第一の例における流体検知器を用いて配管設備の流体漏洩点検を行うステップ(ステップS611〜S612)と同様に行うことができるため、説明を省略する。
高所配管の劣化状態判定方法の第二の例においては、先ず、抽出部42が、複数の撮像データを取得する(ステップ921)。複数の撮像データの取得は、高所配管点検装置1の撮像装置21により撮像された撮像データを抽出部42が読み込んで用いることができ、または、高所配管点検装置1の撮像装置21により撮像されて、撮像装置21の記憶部24または点検モニター31の記憶部35などの記憶部に記憶された撮像データを抽出部42が読み出して用いることができるが、複数の撮像データのうち少なくとも一つは、撮像装置21の記憶部24または点検モニター31の記憶部35などの記憶部に記憶された画像データを、抽出部42が読み出して用いることが好ましい。なお、複数の撮像データとは、同じ箇所の配管について時間をおいて複数回にわたって撮像して得られたものであって、同様の角度、画角により撮影したものが好ましい。
次に、抽出部42が、複数の撮像データそれぞれの特徴点の抽出を行う(ステップS922)。抽出部42により抽出された特徴点は、評価部43および比較部44に送られて、ステップS923に進む。
評価部43は、点検モニター31の記憶部35から評価基準の読込みを行い(ステップS923)、各撮像データの特徴点と評価基準とに基いて各配管設備の劣化度合いの評価を行う(ステップS924)。ここでは、撮像データの特徴点と評価基準の数値データとを比較して、撮像データの特徴点が判定基準(評価点数)のいずれに相当するかを判断することにより行う。評価部43により付けられた配管設備の劣化度合いを示す評価点数は、判定部45に送られて、ステップS925に進む。なお、配管設備の劣化度合いの評価は、複数の撮像データのうち、少なくとも配管設備の劣化状態の判定を行う対象となる撮像データについて行えばよい。
続いて、比較部44が、複数の撮像データ間の特徴点の比較を行う(ステップS925)。ここでは、同じ箇所の配管について時間をおいて撮像した撮像データの間において、特徴点を比較することにより、配管設備の劣化の変化量または配管設備の劣化の変化傾向を評価することにより行う。比較部44により付けられた配管設備の劣化の変化量または配管設備の劣化の変化傾向を示す評価点数は、判定部45に送られて、ステップS926に進む。
そして、判定部45が、点検モニター31の記憶部35から配管設備の設置状況の読込みを行い(ステップS926)、配管設備の劣化度合いを評価するステップ(S923〜S924)において評価部43により得られた配管設備の劣化度合いを示す評価点数と、複数の撮像データ間の特徴点を比較するステップ(S925)において比較部44により得られた配管設備の劣化の変化量または配管設備の劣化の変化傾向を示す評価点数と、配管設備の設置状況とに基いて配管設備の劣化状態の判定を行う(ステップS927)。なお、配管設備の劣化状態の判定は、ステップS924で得られた配管設備の劣化度合いを示す評価点数と、ステップS925で得られた配管設備の劣化の変化量または配管設備の劣化の変化傾向を示す評価点数とに基いて行ってもよいが、本例のように、さらに配管設備の設置状況の重み付けをすることにより行うことが好ましい。
さらに、判定部45から、配管設備の劣化状態の判定結果を出力する(ステップS928)。判定結果の出力は、点検モニター31の記憶部35などの記憶部に記憶するようにしてもよく、表示部34に表示するようにしてもよい。
なお、ステップS922において抽出された複数の撮像データの特徴点は、記憶部35などの記憶部に記憶されて、別の機会に他の撮像データの特徴点と比較する際に読み出されて利用されるようにしてもよい。
高所配管点検装置1を用いた高所配管の劣化状態判定方法の第二の例によれば、前記高所配管点検装置1を用いた高所配管の劣化状態判定方法の第一の例で得られる効果に加えて、時間をおいて撮像された複数の撮像データ相互間の特徴点を比較することにより、配管設備の劣化の度合いの変化量または変化傾向を判断することができ、点検時以降の配管設備の劣化の傾向を予測することができる。さらに、撮像データから評価部43によって得られる配管設備の劣化度合いを示す評価点数と、比較部44によって得られる配管設備の劣化の度合いの変化量または変化傾向を示す評価点数とに基いて、配管設備の劣化状態の判定を行うことにより、各撮像データの特徴点と評価基準とに基いて評価される点検時の劣化状態のみではなく、時間をおいて撮像された複数の撮像データ間の特徴点の比較より評価される今後の劣化傾向を参酌することによって、配管設備の劣化状態の判定をさらに適切に行うことができる。
1 高所配管点検装置
8、9 点検検査員
11 棒状部材
21 撮像装置
22 撮像部
23 撮像装置の無線送受信部
24 撮像装置の記憶部
31 点検モニター
32 点検モニターの無線送受信部
33 操作部
34 表示部
35 記憶部
36 時計
37 GPS
38 表示制御部
41 撮像データ処理部
42 抽出部
43 評価部
44 比較部
45 判定部
51 取付部材(雲台、電動雲台)
52 第一支持部
56 第二支持部
60 電動雲台の無線受信部
71 タッチパネルディスプレイ(ディスプレイ)
101 配管設備

Claims (21)

  1. 点検検査員の身長を超えた高所に配置される設備に先端部が届く棒状部材と、
    該棒状部材の先端部に取り付けられた、該先端部周辺を撮像して撮像データを得る撮像部と、無線により操作情報の受信及び該撮像データの送信を行なう無線送受信部とを有する撮像装置と、
    該撮像装置との間で無線により上記の操作情報の送信及び撮像データの受信を行なう無線送受信部と、点検検査員が該撮像装置を操作するための該操作情報を入力する操作部と、受信された該撮像データを表示する表示部とを有する点検モニターとを備え、
    該撮像装置が該点検モニターから無線送信された操作情報により撮像する機能を備えている
    ことを特徴とする、高所設備点検装置。
  2. 該棒状部材が、アルミニウム合金または繊維強化複合材料からなる
    ことを特徴とする、請求項1記載の高所設備点検装置。
  3. 該棒状部材が、伸縮自在なテレスコピック型の棒状部材として構成された
    ことを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の高所設備点検装置。
  4. 先端に該撮像装置が取り付けられた該棒状部材の重心配置が、基端部寄りに設定されている
    ことを特徴とする、請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の高所設備点検装置。
  5. 該棒状部材の基端部にカウンタウエイトが取り付けられている
    ことを特徴とする、請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の高所設備点検装置。
  6. 点検検査員に装着される帯状部材と、該帯状部材に連結されて該棒状部材を保持する保持部材とを有する装着器具をさらに備え、
    該保持部材が該棒状部材の基端部を保持する
    ことを特徴とする、請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載の高所設備点検装置。
  7. 該棒状部材の先端部に雲台が嵌合され、該雲台に該撮像装置が螺合されることにより棒状部材に撮像装置が取り付けられている
    ことを特徴とする、請求項1ないし請求項6のいずれか1項に記載の高所設備点検装置。
  8. 該雲台が、該撮像装置と螺合により連結して、第一の回転軸回りに該撮像装置を回転可能に支持する第一支持部と、第一支持部に装備され該撮像装置を該第一の回転軸回りに回転駆動する第一のアクチュエーターと、該棒状部材の先端部に嵌合されるとともに、該第一の回転軸と直交し該棒状部材の軸線と平行である第二の回転軸回りに該第一支持部を回転可能に支持する第二支持部と、該第二支持部に装備され該第一支持部を該第二回転軸回りに回転駆動する第二のアクチュエーターと、無線により該操作部からの作動情報を受信する無線受信部とを有し、
    該第一のアクチュエーター及び該第二のアクチュエーターが点検検査員による該操作部に入力された作動情報に応じて作動する機能を有する
    ことを特徴とする、請求項7に記載の高所設備点検装置。
  9. 更に、該撮像データを記憶する記憶部を有する
    ことを特徴とする、請求項1ないし請求項8のいずれか1項に記載の高所設備点検装置。
  10. 該記憶部が該撮像装置に備えられ、上記撮像装置の無線送受信部が受信した操作情報により該撮像データを該記憶部に記憶する
    ことを特徴とする、請求項9に記載の高所設備点検装置。
  11. 該記憶部が該点検モニターに備えられ、該操作部への点検検査員からの操作情報の入力により該撮像データを該記憶部に記憶する
    ことを特徴とする、請求項9に記載の高所設備点検装置。
  12. 該記憶部が該設備の配置情報及び/又は該設備の重要点検箇所についての情報を記憶し、該撮像データを該設備の配置情報及び/又は該設備の重要点検箇所についての情報に対応させて記憶させる
    ことを特徴とする、請求項9ないし請求項11のいずれか1項に記載の高所設備点検装置。
  13. 更に時計を有し、
    該撮像装置が撮像する際に、該記憶部が該撮像データと撮像した時刻情報とを結びつけて記憶する
    ことを特徴とする、請求項9ないし請求項12のいずれか1項に記載の高所設備点検装置。
  14. 更に位置情報を取得する全地球測位システム(GPS)を有し、
    該撮像装置が撮像する際に、該記憶部が該撮像データと撮像した位置情報とを結びつけて記憶する
    ことを特徴とする、請求項9ないし請求項13のいずれか1項に記載の高所設備点検装置。
  15. 該表示部が、該設備の配置情報、該設備の重要点検箇所についての情報、該撮影した時刻情報及び該撮影した位置情報のうちの少なくとも何れかの情報を表示する機能を有している
    ことを特徴とする、請求項9ないし請求項14のいずれか1項に記載の高所設備点検装置。
  16. 該点検モニターが、該表示部が該設備の配置情報、該設備の重要点検箇所についての情報、該撮影した時刻情報及び該撮影した位置情報のうちの少なくとも何れかの情報を該撮像データと結び付けて表示させる機能を有する表示制御部を有する
    ことを特徴とする、請求項15に記載の高所設備点検装置。
  17. 該表示制御部が、該表示部に該設備の配置情報と共に点検順序を表示させるナビゲーション機能を有している
    ことを特徴とする、請求項16に記載の高所設備点検装置。
  18. 該点検モニターが、該撮像装置で撮像された撮像データから設備の劣化度合いを表わす特徴点を抽出する抽出部と、該特徴点を設備の劣化状態の評価基準に基づいて設備の劣化度合いを評価する評価部と、該評価に基づいて該設備の劣化状態を判定する判定部とを有する撮像データ処理部を有する
    ことを特徴とする、請求項1ないし請求項17のいずれか1項に記載の高所設備点検装置。
  19. 該点検モニターが、該撮像装置により時間をおいて撮像された同一点検個所についての複数の撮像データから設備の劣化度合いを表わす特徴点をそれぞれ抽出する抽出部と、該各撮影時における特徴点を設備の劣化状態の評価基準に基づいて設備の劣化度合いを評価する評価部と、該各撮像データの評価結果同士を比較する比較部と、該比較結果に基づいて設備の劣化状態を判定する判定部とを有する撮像データ処理部を有する
    ことを特徴とする、請求項1ないし請求項18のいずれか1項に記載の高所設備点検装置。
  20. 該判定部が、該設備の設置状況を参酌して該設備の劣化状態を判定する
    ことを特徴とする、請求項18または請求項19に記載の高所設備点検装置。
  21. 点検検査員の身長を超えた高所に配置される配管設備に対し、先端部が届く棒状剛性部材の先端部に取り付けられた流体検知器を用いて、該配管設備の流体漏洩点検を行なうステップと、
    請求項1ないし請求項20のいずれか1項に記載の高所設備点検装置の該点検モニターを操作して、該撮像装置にて該配管設備を撮像するステップと、
    該表示部に該撮像された画像を表示するステップとを有する
    ことを特徴とする、高所配管点検方法。
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JP2019013994A (ja) * 2017-07-04 2019-01-31 若狭原子力技術シニアコンサルティング株式会社 高所遠隔点検装置
JP6993658B1 (ja) * 2021-09-30 2022-01-13 株式会社フジタ・ジャパン 撮影補助装置

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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