JP2015022165A - 波長板 - Google Patents

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陽一 河田
敬史 安田
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敬史 安田
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Atsushi Nakanishi
篤司 中西
高橋 宏典
Hironori Takahashi
宏典 高橋
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Abstract

【課題】広い波長領域にわたって適用可能であり、かつ取り扱いが容易な波長板を提供する。【解決手段】この波長板10では、テラヘルツ波Tを入射させる入射面2と、入射面2に入射したテラヘルツ波Tを全反射させる複数の全反射面3と、全反射面3で全反射したテラヘルツ波Tを出射させる出射面4とを有するプリズム部材1を備え、入射面2に入射するテラヘルツ波Tの入射軸と、出射面4から出射するテラヘルツ波Tの出射軸とが略一致し、複数の全反射面3での全反射によるテラヘルツ波Tの位相の変化量が合計で3/4波長となるように、プリズム部材1内を通るテラヘルツ波Tの光軸に対する各全反射面3の傾斜角θが設定されている。【選択図】図2

Description

本発明は、波長板に関する。
偏光を制御する波長板として、例えば入射光の位相に対する出射光の位相の変化量が光の波長の1/4となる1/4波長板が挙げられる。1/4波長板を用いると、光軸を中心に1/4波長板を回転させることにより、例えば直線偏光を有する入射光を楕円偏光、円偏光又は直線偏光を有する光に変化させることができる。従来、1/4波長板としては、屈折率異方性を有する媒質によって構成されているものが一般的に用いられてきた。媒質に屈折率異方性が存在すると、偏光方向によって光の進む速度が変化するため、入射光の位相に対して出射光の位相が変化する。このときの位相の変化量は、光の波長に反比例する。
一方、1/4波長板として、全反射に伴う位相変化を利用したいわゆるフレネルロム型の1/4波長板がある(例えば特許文献1及び非特許文献1参照)。これらの文献に記載の1/4波長板では、菱面体を有する1/4波長板に所定の角度で光を入射し、1/4波長板の内部で光を2回全反射させた後に入射光の光軸とは異なる軸で出射光を得ている。また、非特許文献2には、入射光の光軸と出射光の光軸を同軸とするために、70°以上の角度で光を全反射させる1/4波長板が記載されている。
特開2012−141623号公報
光学の原理I(Max Born、Emil Wolf著) A Critical Evaluation of Rhomb−Type Quarterwave Retarders(J.M.Bannett、APPLIED OPTICS,2123(1970))
しかしながら、媒質の屈折率異方性を利用する1/4波長板では、位相の変化量が光の波長に反比例するため、1/4波長分の位相変化を実現できる波長領域が限られているという問題があった。したがって、例えば広い波長領域を有するテラヘルツ波に1/4波長板を用いようとすると、波長ごとに特性の異なる1/4波長板を準備しなければならない場合があった。
一方、特許文献1及び非特許文献1に記載のフレネルロム型の1/4波長板では、入射光の光軸と出射光の光軸とが非同軸となっている。そのため、上述したように例えば入射光の光軸を中心に1/4波長板を回転させて使用する場合、回転に伴って出射光の光軸が変化してしまい、光学系の調整が煩雑となるという問題があった。また、非特許文献2に記載の1/4波長板では、70°以上の大きな角度で光を全反射させる必要がある。そのため、1/4波長板の光の進行方向における長さが非常に大きくなってしまい、取り扱いが困難となるおそれがあった。
本発明は、上記課題の解決のためになされたものであり、広い波長領域にわたって適用可能であり、かつ取り扱いが容易な波長板を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明に係る波長板は、テラヘルツ波を入射させる入射面と、入射面に入射したテラヘルツ波を全反射させる複数の全反射面と、全反射面で全反射したテラヘルツ波を出射させる出射面とを有するプリズム部材を備え、入射面に入射するテラヘルツ波の入射軸と、出射面から出射するテラヘルツ波の出射軸とが略一致し、複数の全反射面での全反射によるテラヘルツ波の位相の変化量が合計で3/4波長となるように、プリズム部材内を通るテラヘルツ波の光軸に対する各全反射面の傾斜角が設定されていることを特徴とする。
この波長板では、全反射を利用してテラヘルツ波の位相を変化させている。このため、位相の変化量がテラヘルツ波の波長に依存しなくなり、広い波長領域を有するテラヘルツ波に対して位相の変化量を所望の値とすることができる。また、この波長板では、複数の全反射面での全反射によるテラヘルツ波の位相の変化量が合計で3/4波長となるように、プリズム部材内を通るテラヘルツ波の光軸に対する各全反射面の傾斜角が設定されている。このため、1/4波長板を構成する場合に比べて各全反射面の傾斜角を小さくでき、波長板の大きさを抑えた状態で実質的に1/4波長板と等価な波長板を得ることができる。さらに、全反射面の傾斜角の設計自由度が上がることで入射軸と出射軸とを略一致させることができ、取り扱いが容易な所望の波長板を実現できる。
テラヘルツ波の光軸に対する各全反射面の傾斜角が、いずれも等しくなっていることが好ましい。この場合、波長板の設計・製造が容易となり、高い精度で所望の位相の変化量が得られる。
複数の全反射面は、第1の全反射面、第2の全反射面、第3の全反射面及び第4の全反射面の4面で構成されていることが好ましい。この場合、全反射面の傾斜角の最適化が可能となる。
プリズム部材は、1.87以上の屈折率を有する部材によって形成されていることが好ましい。この場合、全反射面の傾斜角を小さくすることが容易になり、波長板の寸法を一層コンパクトにできる。
プリズム部材には、波長板を保持部材に保持させる保持面がテラヘルツ波の入射軸及び出射軸と略平行に設けられていることが好ましい。プリズム部材がこのような保持面を有していると、保持面を用いて波長板を保持部材に容易に保持させることが可能となる。
本発明によれば、広い波長領域にわたって適用可能であり、取り扱いが容易となる。
本発明に係る波長板の一実施形態を示す斜視図である。 図1に示した波長板の側面図である。 全反射面の傾斜角と位相の変化量との関係を示す図である。 1/4波長板による偏光状態と、3/4波長板による偏光状態との関係を示す図である。 実施例に係る波長板と比較例に係る波長板とを対比して示す側面図である。 図1に示した波長板をホルダに適用した例を示す斜視図である。 図6に示した波長板及びホルダを回転ホルダに適用した例を示す斜視図である。 変形例に係る波長板を示す側面図である。
以下、図面を参照しながら、本発明に係る波長板の好適な実施形態について詳細に説明する。
図1は、本発明に係る波長板の一実施形態を示す斜視図である。また、図2は、図1の側面図である。図2には、波長板を通るテラヘルツ波の光軸を便宜的に鎖線で図示している。図1及び図2に示す波長板10は、テラヘルツ波Tを導光するプリズム部材1を備え、入射したテラヘルツ波Tの偏光状態を一定量変化させる素子として構成されている。テラヘルツ波Tとしては、例えば5mmの直径を有するレーザービームが想定される。なお、本発明における「テラヘルツ波」とは、0.1THz〜100THzの振動数を有する電磁波を意味する。
プリズム部材1は、例えば入射面2と、全反射面3と、出射面4と、保持面5とを有している。プリズム部材1は、テラヘルツ波Tの波長領域で1.87以上の屈折率を有する部材(例えば3.41の屈折率を有するシリコン)によって断面矩形に形成されている。
入射面2は、テラヘルツ波Tをプリズム部材1内に入射させる面であり、プリズム部材1の一端側に位置している。入射面2には、テラヘルツ波Tが略垂直に入射するようになっている。
全反射面3は、入射面2に入射したテラヘルツ波Tを全反射させることにより、テラヘルツ波Tの位相を変化させる面である。本実施形態では、全反射面3は、第1の全反射面3a、第2の全反射面3b、第3の全反射面3c、及び第4の全反射面3dの計4面で構成されている。第1の全反射面3aは、入射面2側でプリズム部材1の底面に位置しており、第2の全反射面3bは、第1の全反射面3aと対向するように入射面2側でプリズム部材2の上面に位置している。第3の全反射面3cは、出射面4側でプリズム部材1の上面に位置しており、第4の全反射面3dは、第3の全反射面3cと対向するように出射面4側でプリズム部材1の底面に位置している。
本実施形態では、テラヘルツ波Tの光軸と第1の全反射面3a〜第4の全反射面3dの法線方向との間の傾斜角θ1〜θ4は、例えばいずれも54°となっている。入射面2に入射したテラヘルツ波Tは、図2に示すように、第1の全反射面3a、第2の全反射面3b、第3の全反射面3c、及び第4の全反射面3dの順に全反射し、出射面4に導光される。
出射面4は、全反射面3a〜3dで全反射したテラヘルツ波Tを出射させる面であり、プリズム部材1の他端側に位置している。出射面4からは、入射面2に入射するテラヘルツ波Tの入射軸と、出射面4から出射するテラヘルツ波Tの出射軸とが略一致するように、テラヘルツ波Tが略垂直に出射するようになっている。
保持面5は、波長板1をホルダ等の保持部材に保持させるための面である。本実施形態では、保持面5は、第1の保持面5a、第2の保持面5b、第3の保持面5c、第4の保持面5d、第5の保持面5e、及び第6の保持面5fの計6面で構成されている。第1の保持面5aは、入射面2と第1の反射面3aとの間でプリズム部材1の底面に位置しており、第2の保持面5bは、第2の保持面5aと対向するように、入射面2と第2の反射面3bとの間でプリズム部材1の上面に位置している。
第3の保持面5cは、第1の全反射面3aと第4の全反射面3dの間でプリズム部材1の底面に位置しており、第4の保持面5dは、第3の保持面5cと対向するように、第2の全反射面3bと第3の全反射面3cの間でプリズム部材1の上面に位置している。また、第5の保持面5eは、第4の全反射面3dと出射面4との間でプリズム部材1の底面に位置しており、第6の保持面5fは、第5の保持面5eと対向するように、第3の全反射面3cと出射面4との間でプリズム部材1の上面に位置している。これらの第1の保持面5a〜第6の保持面5fは、いずれもテラヘルツ波Tの入射軸及び出射軸と略平行に平坦に設けられている。
以下、上記波長板1の作用効果を説明する。プリズム部材1内において、全反射面3での全反射によるテラヘルツ波Tの位相の変化量δは、式(1)のとおりとなる。
Figure 2015022165

ただし、式(1)中、nはプリズム部材1の屈折率Nとプリズム部材1の外側の媒質の屈折率Noutとの比(Nout/N)を示し、θはテラヘルツ波の光軸と全反射面の法線方向との間の傾斜角を示す。
式(1)から明らかなように、全反射によるテラヘルツ波Tの位相の変化量δは、テラヘルツ波Tの波長に依存しておらず、全反射面3の傾斜角θに依存している。このため、各全反射面3a,3b,3c,3dの傾斜角θを適宜設定することによって、各全反射面3a,3b,3c,3dでの全反射によるテラヘルツ波Tの位相の変化量の合計を所望の値とすることができる。したがって、波長板1によれば、波長領域の広いテラヘルツ波Tであっても、全波長領域にわたって所望の位相の変化量を実現できる。また、波長板1では、金属等による反射を用いずに全反射のみを利用しているため、テラヘルツ波Tの損失を抑制できる。
波長板1では、傾斜角θが54°となっているため、式(1)から、位相の変化量δは67.5°と求まる。したがって、各全反射面3a,3b,3c,3dでの全反射によるテラヘルツ波Tの位相の変化量の合計は、67.5°×4=270°すなわち3/4波長となる。
また、各全反射面3a,3b,3c,3dでの全反射におけるテラヘルツ波Tの位相の変化量の最大値δmaxは、プリズム部材1の屈折率Nとプリズム部材1の外側の媒質の屈折率Noutとの比n=Nout/Nによって、式(2)のように表される。
Figure 2015022165

ここで、プリズム部材1が屈折率1.87の部材から形成され、屈折率が1.0である媒質(例えば空気)中に置かれているとする。この場合、式(2)においてn=1/1.87を代入すると、δmax=67.5°と求められる。プリズム部材1が1.87以上の屈折率を有する部材から形成されていれば、全反射による位相の変化量δを67.5°とすることができる。
図3は、全反射面の傾斜角θと位相の変化量δとの関係を示す図である。同図に示すように、プリズム部材が1.87の屈折率を有する部材から形成されている場合(L1)、位相の変化量δが67.5°となる傾斜角θが存在する。また、プリズム部材1が例えば3.41の屈折率を有するシリコンから形成されている場合(L2)、傾斜角θが17°又は54°であるときに、位相の変化量δを67.5°とすることができる。
なお、図3のL2に示すように、プリズム部材1において傾斜角θを17°に設定することも可能である。しかしながら、傾斜角θを17°に設定した場合、傾斜角θを54°に設定した場合と比べて、位相の変化量の傾きが急峻となっている。このため、傾斜角θのわずかなずれによって位相の変化量δが大きく変化し、所望の位相の変化量からの誤差が生じやすくなる。したがって、傾斜角θにずれが生じた場合でも位相の変化量δが大きく変化するのを抑制できるように、傾斜角θを54°に設定することが好ましい。
上述したように、この波長板1では、第1の全反射面3a、第2の全反射面3b、第3の全反射面3c、及び第4の全反射面3dがいずれもテラヘルツ波Tの光軸と各全反射面3a,3b,3c,3dに対する法線方向との傾斜角θが54°に設定されており、かつプリズム部材1が1.87以上の屈折率を有する部材から形成されている。このため、各全反射面3a,3b,3c,3dでの全反射によるテラヘルツ波Tの位相の変化量が合計で3/4波長となる。
図4は、1/4波長板による偏光状態と、3/4波長板による偏光状態との関係を示す図である。図4(a)は、1/4波長板を用いた場合のテラヘルツ波のストークスパラメータS0,S1,S2,S3を示し、一方、図4(b)は、3/4波長板を用いた場合のテラヘルツ波のストークスパラメータS0,S1,S2,S3を示している。図4(a)と図4(b)とを比較すると、S3が波長板回転角度90°だけシフトしていること以外は、1/4波長板と3/4波長板とは同じストークスパラメータを示している。このことから、3/4波長板と1/4波長板とは、回転角度だけが異なるものであり、実質的に等価な波長板であると言える。
ここで、波長板10と同様の構成を有する1/4波長板100を作製しようとした場合(図5(a)参照)、各全反射面103a〜103dにおける位相の変化量が90°/4=22.5°となるように、例えば傾斜角θ1’〜θ4’をそれぞれ78°に設定する必要がある(図3のL2参照)。この場合、1/4波長板100のテラヘルツ波Tの入射軸及び出射軸方向における長さL’は、例えば82mmとなり、1/4波長板100の取り扱いが困難となる場合がある。一方、波長板10では、上述のとおり傾斜角θ1〜θ4がいずれも54°であるため、図5(b)に示すように、波長板10のテラヘルツ波Tの入射軸及び出射軸方向における長さLを例えば28mmと比較的小さくできる。このような波長板10では、波長板の設計自由度を上げることができ、テラヘルツ波Tの入射軸と出射軸とを略一致させることが可能となる。
波長板10を光学系に用いる場合、例えば波長板10をホルダ6aに保持させたものを(図6参照)、図7に示すように回転ホルダ6bに装着することができる。波長板10では、テラヘルツ波Tの入射軸と出射軸とが略一致しているので、入射軸及び出射軸を中心に回転ホルダ6bを回転させることで、テラヘルツ波Tの入射軸及び出射軸にずれが生じることなく、容易に光学系を調整できる。
また、波長板10は、テラヘルツ波Tの入射軸及び出射軸と平行な平坦面である保持面5を有するプリズム部材1を備えている。このため、図6に示すように、平坦な保持面5によって波長板10をホルダ6bに保持させることが容易となる。
本発明は、上記実施形態に限られるものではない。上記実施形態では、第1の全反射面3a、第2の全反射面3b、第3の全反射面3c、及び第4の全反射面3dの傾斜角がいずれも等しくなっているが、全反射面3での位相の変化量が合計で3/4波長に相当するのであれば、傾斜角θは互いに異なっていてもよい。また、全反射面の数は4面以外であってもよい。
また、図8に示す波長板30のように、保持面5を設けず、入射面2aと、複数の全反射面3e,3f,3g,3hと、出射面4aとのみで構成されたプリズム部材21を用いてもよい。
1,21…プリズム部材、2…入射面、3…全反射面、4…出射面、5…保持面、10,30…波長板、T…テラヘルツ波、θ…傾斜角。

Claims (5)

  1. テラヘルツ波を入射させる入射面と、前記入射面に入射した前記テラヘルツ波を全反射させる複数の全反射面と、前記全反射面で全反射した前記テラヘルツ波を出射させる出射面とを有するプリズム部材を備え、
    前記入射面に入射する前記テラヘルツ波の入射軸と、前記出射面から出射する前記テラヘルツ波の出射軸とが略一致し、前記複数の全反射面での全反射による前記テラヘルツ波の位相の変化量が合計で3/4波長となるように、前記プリズム部材内を通る前記テラヘルツ波の光軸に対する前記各全反射面の傾斜角が設定されていることを特徴とする波長板。
  2. 前記テラヘルツ波の光軸に対する前記各全反射面の傾斜角は、いずれも等しくなっていることを特徴とする請求項1に記載の波長板。
  3. 前記複数の全反射面は、第1の全反射面、第2の全反射面、第3の全反射面及び第4の全反射面の4面で構成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の波長板。
  4. 前記プリズム部材は、1.87以上の屈折率を有する部材によって形成されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の波長板。
  5. 前記プリズム部材には、前記波長板を保持部材に保持させる保持面が前記テラヘルツ波の前記入射軸及び前記出射軸と略平行に設けられていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の波長板。
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