JP2015021543A - ダイヤフラム弁 - Google Patents

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Abstract

【課題】 適正なかしめを行うことで、耐久性向上させたダイヤフラム弁を提供する。【解決手段】 ボディ2の凹所2cの底面2dに、環状で相対的に径が小さい内側突出部22と環状で相対的に径が大きい外側突出部23とが設けられている。シート5は、合成樹脂製とされて、内側突出部22と外側突出部23との間に挿入されている。両突出部22,23がかしめられることで、シート5の抜けが防止されている。内側突出部22の高さが外側突出部23の高さよりも低くなされるとともに、内側突出部22の外側の角22aが曲面とされている。【選択図】 図1

Description

この発明は、ダイヤフラム弁に関する。
弁体としてダイヤフラムを使用するダイヤフラム弁は、従来よりよく知られている。図3および図4に、従来のダイヤフラム弁を示す。
図3において、ダイヤフラム弁(1)は、流体流入通路(2a)、流体流出通路(2b)および上方に向かって開口した凹所(2c)を有しているブロック状ボディ(2)と、ボディ(2)の凹所(2c)上部に下端部がねじ合わされて上方にのびる円筒状ボンネット(3)と、ボンネット(3)にねじ合わされたケーシング(4)と、流体流入通路(2a)の周縁に設けられた環状の合成樹脂製シート(5)と、シート(5)に押圧または離間されて流体流入通路(2a)を開閉するダイヤフラム(6)と、ダイヤフラム(6)の中央部を押さえるダイヤフラム押さえ(7)と、ボンネット(3)およびケーシング(4)に内蔵されてダイヤフラム押さえ(7)を介してダイヤフラム(6)をシート(5)に押圧・離間させるアクチュエータ(図示略)とを備えている。
図4に拡大して示すように、ボディ(2)の凹所(2c)の底面(2d)に、環状で相対的に径が小さい内側突出部(12)と環状で相対的に径が大きい外側突出部(13)とが設けられており、合成樹脂製シート(5)は、内側突出部(12)と外側突出部(13)との間に挿入されている。そして、内側突出部(12)が径方向外側にかしめられるとともに、外側突出部(13)が径方向内側にかしめられることにより、合成樹脂製シート(5)の抜けが防止されている。
特許文献1には、内側突出部がかしめられることで、シートの抜けを防止することが開示されている。
特表2002−513457号公報
上記従来のダイヤフラム弁において、適正なかしめを行うことがシートの耐久性の向上に有効であるが、特許文献1に記載のダイヤフラム弁では、十分な耐久性が得られないという問題があった。
この発明の目的は、適正なかしめを行うことで、耐久性向上させたダイヤフラム弁を提供することにある。
この発明によるダイヤフラム弁は、流体流入通路、流体流出通路および上向きに開口した凹所が設けられたボディと、ボディの凹所の底面に配置された環状のシートと、シートに押圧・離間されることで流体通路の開閉を行う弾性変形可能なダイヤフラムとを備えており、ボディの凹所の底面に、環状で相対的に径が小さい内側突出部と環状で相対的に径が大きい外側突出部とが設けられており、シートは、合成樹脂製とされて、内側突出部と外側突出部との間に挿入されており、両突出部がかしめられることで、シートの抜けが防止されているダイヤフラム弁において、内側突出部の高さが外側突出部の高さよりも低くなされるとともに、内側突出部の外側の角が曲面とされていることを特徴とするものである。
シートは、例えば、PCTFE(ポリクロロトリフルオロエチレン)製とされるが、これ以外の合成樹脂製であってもよい。ボディの材質は、例えば、316Lなどの鋼製とされるが、特に限定されるものではない。
各突出部のかしめ(塑性変形)は、適宜なかしめ治具によって実施される。内側突出部のかしめ治具は、内側突出部の高さが外側突出部(従来の内側突出部)の高さよりも低くなされていることに伴い、従来のものとは違う形状とされることが好ましい。
シート、内側突出部および外側突出部以外のダイヤフラム弁の構成は、適宜な公知の構成とされる。例えば、ダイヤフラムをシートに押圧・離間させるアクチュエータは、圧縮空気を使用するものであってもよく、その他の構成であってもよい。また、ダイヤフラムは、例えば、ニッケル合金薄板からなるものとされるが、ステンレス鋼薄板からなるものや、ステンレス鋼薄板とニッケル・コバルト合金薄板との積層体よりなるものとされることもある。
外側突出部の高さは、ダイヤフラムと干渉することがないように、シートの高さよりも低くされる。内側突出部の高さは、通常、外側突出部の高さと等しくされているが、この発明のダイヤフラム弁によると、外側突出部の高さよりも低いものとされる。(外側突出部の高さ−内側突出部の高さ)は、0.5mm以上であることが好ましい。
内側突出部の高さが外側突出部の高さよりも低いものとされるとともに、内側突出部の外側の角が曲面とされることで、内側突出の角によるシートに対する応力集中が緩和されて、適正なかしめが可能となり、合成樹脂製シートの耐久性の大幅な向上が達成される。
耐久性向上の好ましい条件は、0.4mm≦内側突出部の高さ≦1.0mmとされる。耐久性向上のより好ましい条件は、0.5mm≦内側突出部の高さ≦0.7mmとされる。従来のダイヤフラム弁における内側突出部の高さは、1.5mm程度であり、これを基準として、シートの変形量をシミュレーションすると、内側突出部の高さを1mmとすることで、31%程度のひずみ量の低減が可能となる。また、内側突出部の高さを0.4mmとすることで、63%程度のひずみ量の低減が可能となる。50%以上のひずみ量を低減するには、内側突出部の高さを0.7mm以下とすることが好ましい。内側突出部の高さを低くし過ぎると、シートが抜ける可能性があり、内側突出部の高さを0.4mm以上より好ましくは0.5mm以上とすることで、シートの抜けを確実に防止することができる。
この発明のダイヤフラム弁によると、内側突出部の高さが外側突出部の高さよりも低くなされるとともに、内側突出部の外側の角が曲面とされていることにより、内側突出の角によるシートに対する応力集中を緩和し、適正なかしめが可能となり、合成樹脂製シートの耐久性の大幅な向上が達成される。
図1は、この発明によるダイヤフラム弁の第1実施形態を示す拡大縦断面図である。 図2は、この発明によるダイヤフラム弁の第2実施形態を示す拡大縦断面図である。 図3は、従来のダイヤフラム弁を示す縦断面図である。 図4は、図3の要部の拡大縦断面図である。
この発明の実施の形態を、以下図面を参照して説明する。なお、以下の説明においては、ダイヤフラム弁の全体図は、シートの保持部分を除いて図3と同じであるので、図示を省略し、従来のシートの保持部分を示す図4に対応するシートの保持部分のみを図示して説明する。
図1は、この発明によるダイヤフラム弁の第1実施形態の要部を示している。このダイヤフラム弁(21)において、ボディ(2)の凹所(2c)の底面(2d)に、環状で相対的に径が小さい内側突出部(22)と環状で相対的に径が大きい外側突出部(23)とが設けられており、シート(5)は、合成樹脂製とされて、内側突出部(22)と外側突出部(23)との間に挿入されており、両突出部(22)(23)がかしめられることで、シート(5)の抜けが防止されている。
シート(5)は、PCTFE(ポリクロロトリフルオロエチレン)製とされている。ボディ(2)の材質は、ステンレス鋼(例えば316Lからなる鋼製)とされている。
シート(5)は、従来と同じもので、断面略方形の環状体とされている。より詳細には、内周面(5a)は円筒面とされており、外周面は、下側が円筒面(5b)、上側がテーパ面(5c)とされている。
内側突出部(22)の高さおよび外側突出部(23)の高さは、ダイヤフラム(図3の(6)参照)と干渉することがないように、いずれもシート(5)の高さよりも低くされている。そして、内側突出部(22)の高さは、通常、外側突出部(23)の高さと等しくされているが、この実施形態のダイヤフラム弁(21)によると、外側突出部(23)の高さよりも低いものとされている。外側突出部(23)の高さ(上端位置)は、シート(5)の外周面の円筒面(5b)とテーパ面(5c)との境界よりも上側にある。内側突出部(22)の外側の角(22a)は、曲面とされている。
この実施形態の具体的な寸法として、内側突出部(22)の上端位置は、凹所(2c)の底面(2d)から1.0mmの位置にあり、内側突出部(22)の上端位置とシート(5)の上端位置との距離は、1.0mmとされている。
図4に示す従来のものでは、具体的な寸法として、内側突出部(12)の上端位置は、凹所(2c)の底面(2d)から1.5mmの位置にあり、内側突出部(12)の上端位置とシート(5)の上端位置との距離は、0.5mmとされている。
図2は、この発明によるダイヤフラム弁の第2実施形態の要部を示している。このダイヤフラム弁(31)において、ボディ(2)の凹所(2c)の底面(2d)に、環状で相対的に径が小さい内側突出部(32)と環状で相対的に径が大きい外側突出部(33)とが設けられており、シート(5)は、合成樹脂製とされて、内側突出部(32)と外側突出部(33)との間に挿入されており、両突出部(32)(33)がかしめられることで、シート(5)の抜けが防止されている。
この第2実施形態のダイヤフラム弁(31)では、第1実施形態のダイヤフラム弁(21)に比べて、内側突出部(32)の上端位置が、さらに低いものとされている。外側突出部(33)は、第1実施形態のダイヤフラム弁(21)のものと同じとされている内側突出部(32)の外側の角(32a)は、曲面とされている。
この実施形態の具体的な寸法として、内側突出部(32)の上端位置は、凹所(2c)の底面(2d)から0.5mmの位置にあり、内側突出部(32)の上端位置とシート(5)の上端位置との距離は、1.5mmとされている。
表1に、内側突出部(12)(22)(32)の上端位置を変更した場合のシート(5)の変形量(相当ひずみ)をシミュレーションで求めた結果を示している。内側突出部(12)(22)(32)の上端位置については、ボディ(2)の凹所(2c)の底面(2d)からの距離としている。
Figure 2015021543
この表によると、従来の形状(内側突出部(12)の高さ1.5mm)に対して、第1実施形態のように、内側突出部(22)の高さを1.0mmとすることで、相当ひずみは、0.421/0.613=0.69となって、31%減少し、内側かしめ部の高さを0.4mmとする(第2実施形態の内側突出部(32)よりもさらに0.1mm低くする)ことで、相当ひずみは、0.229/0.613=0.37となって、63%減少することが分かる。
すなわち、内側突出部(22)(32)の高さが外側突出部(23)(33)の高さよりも低いものとされることで、適正なかしめが可能となり、合成樹脂製シート(5)の耐久性の大幅な向上が達成される。
さらに、内側突出部(22)(32)の外側の角(22a)(32a)が曲面とされていることで、より耐久性に有利なかしめが可能となり、合成樹脂製シート(5)の耐久性のさらなる向上が達成される。曲面の形状については、面取り程度の小さな曲面のものから、内側突出部先端が半円形となるような曲面まで様々な形状が可能である。
耐久性向上の好ましい条件は、シート(5)の抜けを確実に防止することを考慮して、0.4mm≦内側突出部(22)(32)の高さ(凹所(2c)の底面(2d)からの距離)≦1.0mmとされる。耐久性向上のより好ましい条件は、0.5mm≦内側突出部(22)(32)の高さ≦0.7mmとされる。
この条件は、シート(5)がPCTFE(ポリクロロトリフルオロエチレン)製以外の合成樹脂製であっても、また、ボディ(2)の材質が316Lからなる鋼製以外のものであっても適用できる。
(2):ボディ、(2a):流体流入通路、(2b):流体流出通路、(2c):凹所、(2d):底面、(5):シート、(6):ダイヤフラム、(21)(31):ダイヤフラム弁、(22)(32):内側突出部、(22a)(32a):外側の角、(23)(33):外側突出部

Claims (2)

  1. 流体流入通路、流体流出通路および上向きに開口した凹所が設けられたボディと、ボディの凹所の底面に配置された環状のシートと、シートに押圧・離間されることで流体通路の開閉を行う弾性変形可能なダイヤフラムとを備えており、ボディの凹所の底面に、環状で相対的に径が小さい内側突出部と環状で相対的に径が大きい外側突出部とが設けられており、シートは、合成樹脂製とされて、内側突出部と外側突出部との間に挿入されており、両突出部がかしめられることで、シートの抜けが防止されているダイヤフラム弁において、
    内側突出部の高さが外側突出部の高さよりも低くなされるとともに、内側突出部の外側の角が曲面とされていることを特徴とするダイヤフラム弁。
  2. 0.4mm≦内側突出部の高さ≦1.0mmとされていることを特徴とする請求項1のダイヤフラム弁。
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