JP2015021539A - 自己潤滑性複合材料、並びにそれを用いた転がり軸受 - Google Patents
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Abstract
【課題】二硫化モリブデン(MoS2)等の固体潤滑剤の配合比率を60質量%以上にしつつ、必要な強度を得ることができる自己潤滑性複合材料、並びにそれを用いた転がり軸受を提供する。【解決手段】 二硫化モリブデン(MoS2)を60質量%〜80質量%、コバルト(Co)及びバナジウム(V)の少なくともいずれかを0.1質量%〜2質量%、残部に少なくとも鉄(Fe)を含有することを特徴とする自己潤滑性複合材料及びこの自己潤滑性複合材料を利用した転がり軸受。【選択図】図1
Description
本発明は、例えば各種機械の軸受部材又は摺動部材として使用される固体潤滑剤を含む自己潤滑性複合材料、並びにそれを用いた転がり軸受に関するものである。
従来、六方晶の結晶構造を持つ粉体である二硫化モリブデン(MoS2)、黒鉛や二硫化タングステン(WS2)等の固体潤滑剤と、各種の金属又は合金の結合材とからなる焼結体が自己潤滑性複合材料として使用されている。このような複合材料は、例えば特許文献1に記載されているように、固体潤滑剤として二硫化モリブデン(MoS2)、黒鉛及び二硫化タングステン(WS2)を、強度を与える金属結合剤として銅(Cu)、クロム(Cr)、タングステン(W)、鉄(Fe)を主成分とし、焼結して成形したものが代表的である。
しかしながら、従来、二硫化モリブデン(MoS2)等の固体潤滑剤の配合比率は、50質量%程度以下に抑えられている。これは、50質量%を超えると、焼結によっても使用に耐えるために必要な強度を得られなかったためである。
本発明は、このような課題を解決するためになされており、その目的は、二硫化モリブデン(MoS2)等の固体潤滑剤の配合比率を60質量%以上にしつつ、必要な強度を得ることができる自己潤滑性複合材料、並びにそれを用いた転がり軸受を提供することにある。
本発明は、このような課題を解決するためになされており、その目的は、二硫化モリブデン(MoS2)等の固体潤滑剤の配合比率を60質量%以上にしつつ、必要な強度を得ることができる自己潤滑性複合材料、並びにそれを用いた転がり軸受を提供することにある。
上記課題を解決するために本発明は、下記の自己潤滑性複合材料及び転がり軸受を提供する。
(1)二硫化モリブデン(MoS2)を60質量%〜80質量%、
コバルト(Co)及びバナジウム(V)の少なくともいずれかを0.1質量%〜2質量%、
残部に少なくとも鉄(Fe)を含有することを特徴とする自己潤滑性複合材料。
(2)前記残部が、全量に対して黒鉛を2〜7質量%、タングステン(W)を2〜20質量%、鉄(Fe)を5〜20質量%含有することを特徴とする上記(1)に記載の自己潤滑性複合材料。
(3) 二硫化モリブデン(MoS2)と鉄(Fe)とからなる潤滑粒子を主成分とする潤滑相と、コバルト(Co)及びバナジウム(V)の少なくともいずれかを含む結合相とを有することを特徴とする上記(1)または(2)に記載の自己潤滑性複合材料。
(4)前記潤滑粒子の粒径が、30〜500μmであることを特徴とする上記(3)に記載の自己潤滑性複合材料。
(5)前記結合相が炭素(C)及びタングステン(W)の少なくとも一方を含有することを特徴とする上記(3)に記載の自己潤滑性複合材料。
(6)前記潤滑相と前記結合相との面積率比が、98:2〜80:20であることを特徴とする上記(3)又は(4)に記載の自己潤滑性複合材料。
(7)鉄(Fe)とコバルト(Co)との化合物が生成されていることを特徴とする上記(1)〜(6)のいずれかに記載の自己潤滑性複合材料。
(8)前記化合物の粒径が1μm〜1mmであることを特徴とする上記(7)記載の自己潤滑性複合材料。
(9)粉末状の二硫化モリブデン(MoS2)60質量%〜80質量%と
、粉末状のコバルト(Co)及びバナジウム(V)の少なくともいずれか0 .1質量%〜2質量%と、少なくとも粉末状の鉄(Fe)を含有する残部とを焼結させてなることを特徴とする上記(1)〜(8)の何れか1項に記載の自己潤滑性複合材料。
(10)焼結後の圧縮強度が40MPa以上であることを特徴とする上記(9)に記載の自己潤滑性複合材料。
(11)形状が円柱状であることを特徴とする上記(1)〜(10)のいずれかに記載の自己潤滑性複合材料。
(12)上記(1)〜(11)のいずれかに記載の自己潤滑性複合材料を転動体間に配置したことを特徴とする転がり軸受。
(13)外輪回転で使用されることを特徴とする上記(12)に記載の転がり軸受。
(14)テンタークリップ用軸受であることを特徴とする上記(12)又は(13)に記載の転がり軸受。
(1)二硫化モリブデン(MoS2)を60質量%〜80質量%、
コバルト(Co)及びバナジウム(V)の少なくともいずれかを0.1質量%〜2質量%、
残部に少なくとも鉄(Fe)を含有することを特徴とする自己潤滑性複合材料。
(2)前記残部が、全量に対して黒鉛を2〜7質量%、タングステン(W)を2〜20質量%、鉄(Fe)を5〜20質量%含有することを特徴とする上記(1)に記載の自己潤滑性複合材料。
(3) 二硫化モリブデン(MoS2)と鉄(Fe)とからなる潤滑粒子を主成分とする潤滑相と、コバルト(Co)及びバナジウム(V)の少なくともいずれかを含む結合相とを有することを特徴とする上記(1)または(2)に記載の自己潤滑性複合材料。
(4)前記潤滑粒子の粒径が、30〜500μmであることを特徴とする上記(3)に記載の自己潤滑性複合材料。
(5)前記結合相が炭素(C)及びタングステン(W)の少なくとも一方を含有することを特徴とする上記(3)に記載の自己潤滑性複合材料。
(6)前記潤滑相と前記結合相との面積率比が、98:2〜80:20であることを特徴とする上記(3)又は(4)に記載の自己潤滑性複合材料。
(7)鉄(Fe)とコバルト(Co)との化合物が生成されていることを特徴とする上記(1)〜(6)のいずれかに記載の自己潤滑性複合材料。
(8)前記化合物の粒径が1μm〜1mmであることを特徴とする上記(7)記載の自己潤滑性複合材料。
(9)粉末状の二硫化モリブデン(MoS2)60質量%〜80質量%と
、粉末状のコバルト(Co)及びバナジウム(V)の少なくともいずれか0 .1質量%〜2質量%と、少なくとも粉末状の鉄(Fe)を含有する残部とを焼結させてなることを特徴とする上記(1)〜(8)の何れか1項に記載の自己潤滑性複合材料。
(10)焼結後の圧縮強度が40MPa以上であることを特徴とする上記(9)に記載の自己潤滑性複合材料。
(11)形状が円柱状であることを特徴とする上記(1)〜(10)のいずれかに記載の自己潤滑性複合材料。
(12)上記(1)〜(11)のいずれかに記載の自己潤滑性複合材料を転動体間に配置したことを特徴とする転がり軸受。
(13)外輪回転で使用されることを特徴とする上記(12)に記載の転がり軸受。
(14)テンタークリップ用軸受であることを特徴とする上記(12)又は(13)に記載の転がり軸受。
本発明によれば、二硫化モリブデン(MoS2)等の固体潤滑剤の配合比率を60質量%以上にしつつ、必要な強度を有する自己潤滑性複合材料、並びにそれを用いた転がり軸受を提供することができる。
(第1実施形態)
以下、本発明の自己潤滑性複合材料の第1実施形態について詳細に説明する。本実施形態は、各種機械に用いられる転がり軸受、特にフィルム搬送ローラ用支持軸受等高温特殊環境で使用される転がり軸受の潤滑に適する自己潤滑性複合材料に関するものである。
以下、本発明の自己潤滑性複合材料の第1実施形態について詳細に説明する。本実施形態は、各種機械に用いられる転がり軸受、特にフィルム搬送ローラ用支持軸受等高温特殊環境で使用される転がり軸受の潤滑に適する自己潤滑性複合材料に関するものである。
従来、自己潤滑性複合材料において、二硫化モリブデン(MoS2)含有量を増やせば潤滑性(低摩擦・低トルク)が向上することが分かっていたが、二硫化モリブデン(MoS2)含有量が増えると焼結後の強度が不足するため実現できていなかった。本実施形態によれば、鉄(Fe)の存在下で、特定量のコバルト(Co)及びバナジウム(V)の少なくともいずれかを添加することにより、強度低下をきたさず二硫化モリブデン(MoS2)含有量を増やした自己潤滑性複合材料を得ることができる。
また、その自己潤滑性複合材料を転がり軸受の転動体間に配置することで、転がり軸受をより高温で使用可能にできる。その際、図1に示すような転動体の保持構造を有する軸受構造が好ましい。
図1において、転がり軸受1では、円環状小径の内輪2と円環状大径の外輪3の間に球状の転動体4を転動自在に介在させ、内輪2と外輪3が滑らかに相対回転できるようになっている。保持器5は複数の転動体4及び固体潤滑スペーサ6を内包し、別の保持器5と連結されている。固体潤滑スペーサ6は転動体4間に配置され、転動体4同士の摩擦による摩耗を防止している。
図1において、転がり軸受1では、円環状小径の内輪2と円環状大径の外輪3の間に球状の転動体4を転動自在に介在させ、内輪2と外輪3が滑らかに相対回転できるようになっている。保持器5は複数の転動体4及び固体潤滑スペーサ6を内包し、別の保持器5と連結されている。固体潤滑スペーサ6は転動体4間に配置され、転動体4同士の摩擦による摩耗を防止している。
固体潤滑スペーサ6は、円柱状の形状で、二硫化モリブデン(MoS2)60質量%〜80質量%、コバルト(Co)及びバナジウム(V)の少なくともいずれかが0.1質量%〜2質量%、残部に鉄(Fe)を含有する組成物からなる自己潤滑性複合材料でできている。本組成であれば、二硫化モリブデン(MoS2)が60質量%以上であっても鉄(Fe)の存在下におけるコバルト(Co)やバナジウム(V)との相互作用により焼結体の強度低下をきたさない。これは、二硫化モリブデン(MoS2)とコバルト(Co)、バナジウム(V)、鉄(Fe)とが複合化合物(複雑な化合物)を形成して、これが、焼結体の結びつきを強固にし、強度低下を防止していると考えられる。しかしながら、二硫化モリブデン(MoS2)が80質量%を超えると複合化合物の効果が少なく強度の低下につながる。よって、本組成においては、強度の低下を抑えつつ、二硫化モリブデン(MoS2)を60質量%以上含有することで良好な潤滑性が得られる。
また本組成では、コバルト(Co)及びバナジウム(V)は、それぞれ0.1〜2質量%含有し、合計で0.1〜2質量%含有することが好ましい。下限を下回ると、強度上昇効果がなく、上限を超えて含有させても強度上昇効果は飽和状態になる。これは、コバルト(Co)及びバナジウム(V)は酸化しやすいため、酸化防止剤である黒鉛量を増やさざるを得ず、そのために強度低下をきたす。
また、上記自己潤滑性複合材料は、上記残部に黒鉛を2〜7質量%、タングステン(W)を2〜20質量%、鉄(Fe)を5〜20質量%の割合で含有することが好ましい。黒鉛は、高温下で酸化防止効果があり、特にコバルト(Co)及びバナジウム(V)の酸化防止のためには2〜7質量%を必要とする。黒鉛が2質量%未満であると酸化防止効果が不十分であり、7質量%を超えると強度低下につながる。また、鉄(Fe)は残部として存在すれば強度低下防止効果はあるが、タングステン(W)と組み合わせたほうが好ましい。また、タングステン(W)と鉄(Fe)は、重量比で概ね1:1であると強度が安定し更に好ましい。タングステン(W)は、20質量%を超えると強度が低下するおそれがあり、2質量%を下回ると、鉄(Fe)との相互作用による強度の安定化が損なわれるおそれがある。
また、本実施形態の自己潤滑性複合材料は、鉄(Fe)とコバルト(Co)の化合物が生成されていることが好ましい。また、本実施形態の自己潤滑性複合材料は、コバルト(Co)と二硫化モリブデン(MoS2)の化合物が生成されていることが好ましい。これは、化合物により複合材料の結びつきがより強固になるためである。
また、本実施形態の自己潤滑性複合材料は、上記化合物の粒径が1μm〜1mmであることが好ましい。また、本実施形態の自己潤滑性複合材料は、粉末状の原料を焼結させたものであることが好ましい。またその原料粉末の粒径は、0.8mm以下であることが好ましい。これらにより、良好な潤滑性と必要な強度が得られる。なお、ここでいう「原料」とは、粉末状の二硫化モリブデン(MoS2)60質量%〜80質量%、コバルト(Co)及びバナジウム(V)の少なくともいずれか0.1質量%〜2質量%、並びに残部として含まれる鉄(Fe)である。
(第2実施形態)
以下、本発明の自己潤滑性複合材料の第2実施形態について詳細に説明する。本実施形態も、各種機械に用いられる転がり軸受、特にフィルム搬送ローラ用支持軸受等高温特殊環境で使用される転がり軸受の潤滑に適する自己潤滑性複合材料に関するものである。
以下、本発明の自己潤滑性複合材料の第2実施形態について詳細に説明する。本実施形態も、各種機械に用いられる転がり軸受、特にフィルム搬送ローラ用支持軸受等高温特殊環境で使用される転がり軸受の潤滑に適する自己潤滑性複合材料に関するものである。
本実施形態の自己潤滑性複合材料は、以下の(a)〜(d)を満たす。
(a)二硫化モリブデン(MoS2)と鉄(Fe)とからなる潤滑粒子と、この潤滑粒子を結合材で結合し、複合化してなる。なお、上記潤滑粒子の粒径は、10〜700μm(好ましくは30〜500μm)であり、二硫化モリブデン(MoS2)と、鉄(Fe)と比は70質量%〜90質量%:10質量%〜30質量%である。また、上記結合材としては、例えば、タングステン(W)、黒鉛(C)、コバルト(Co)及びバナジウム(V)が挙げられる。ここで、上記「粒径」は、「平均粒径」とし、SEM(走査型電子顕微鏡)で粒子が10個以上含まれる視野において、例えば、0.5mm×0.5mm□を観察し、粒子の最大径(長径)を測定し、平均粒径を算出されるものである。
(a)二硫化モリブデン(MoS2)と鉄(Fe)とからなる潤滑粒子と、この潤滑粒子を結合材で結合し、複合化してなる。なお、上記潤滑粒子の粒径は、10〜700μm(好ましくは30〜500μm)であり、二硫化モリブデン(MoS2)と、鉄(Fe)と比は70質量%〜90質量%:10質量%〜30質量%である。また、上記結合材としては、例えば、タングステン(W)、黒鉛(C)、コバルト(Co)及びバナジウム(V)が挙げられる。ここで、上記「粒径」は、「平均粒径」とし、SEM(走査型電子顕微鏡)で粒子が10個以上含まれる視野において、例えば、0.5mm×0.5mm□を観察し、粒子の最大径(長径)を測定し、平均粒径を算出されるものである。
(b)上記潤滑粒子と、上記結合材との配合比率は上記潤滑粒子が70質量%〜90質量%で、上記結合材が30質量%〜10質量%である。
(c)上記潤滑粒子は、空孔率が20%以下(好ましくは10%以下)である。
(d)二硫化モリブデン(MoS2)の含有率が60質量%〜80質量%であり、コバルト(Co)及びバナジウム(V)の少なくともいずれかの含有率が0.1質量%〜2質量%である。
(c)上記潤滑粒子は、空孔率が20%以下(好ましくは10%以下)である。
(d)二硫化モリブデン(MoS2)の含有率が60質量%〜80質量%であり、コバルト(Co)及びバナジウム(V)の少なくともいずれかの含有率が0.1質量%〜2質量%である。
従来、固体潤滑剤と金属を複合化した固体潤滑複合材料に含まれる固体潤滑剤成分、例えば、二硫化モリブデン(MoS2)は、50質量%以下の含有量に抑えられている。潤滑性を向上させるためには、潤滑成分であるMoS2をできるだけ多く含有することが重要であるが、含有量が50質量%を超えると緻密な材料が得られず機械的強度は大幅に低下する。また、この様な強度の低い材料を摩擦摩耗の潤滑材に使用するとMoS2が優先的に材料から脱落し潤滑材としての機能が全く作用しなくなることがあった。
そこで、本実施形態のように、上記(a)〜(d)を満たすことにより、機械的強度を損なうことなく固体潤滑剤成分を、より多く添加することができ、潤滑性の優れた固体潤滑複合材料の製造が可能になった。
そこで、本実施形態のように、上記(a)〜(d)を満たすことにより、機械的強度を損なうことなく固体潤滑剤成分を、より多く添加することができ、潤滑性の優れた固体潤滑複合材料の製造が可能になった。
<(a)について>
以下、本実施形態の自己潤滑性複合材料を構成する上記(a)について説明する。
本実施形態を構成する材料は、MoS2−Fe−W−C−Co−Vである。市販されているMoS2粉末の平均粒径は4μm程度であり、この平均粒径のMoS2粉末を用いて固体潤滑複合材料を作製すると、微粒であるが故に粒子同士の接触面積が拡大し、焼結時にCu及びNiとの反応がより促進されMoS2が分解を起こす。そして、MoS2は潤滑性の無い物質に変化する。
また、MoS2の粉末は、流動性が非常に悪く、成形加工ができない。
以下、本実施形態の自己潤滑性複合材料を構成する上記(a)について説明する。
本実施形態を構成する材料は、MoS2−Fe−W−C−Co−Vである。市販されているMoS2粉末の平均粒径は4μm程度であり、この平均粒径のMoS2粉末を用いて固体潤滑複合材料を作製すると、微粒であるが故に粒子同士の接触面積が拡大し、焼結時にCu及びNiとの反応がより促進されMoS2が分解を起こす。そして、MoS2は潤滑性の無い物質に変化する。
また、MoS2の粉末は、流動性が非常に悪く、成形加工ができない。
そこで、予め、MoS2を含む潤滑粒子の平均粒径を10〜700μm(好ましくは30〜500μm)の大きさに造粒することで、コバルト(Co)及びバナジウム(V)との接触面積が小になり、MoS2との反応を抑えることができる。また、粉末の流動性が改善され成形加工が可能になる。
なお、潤滑粒子の平均粒径が10μmより粒径が小だと、反応が促進され潤滑性の無い物質に変化し、且つ成形加工ができない。一方、潤滑粒子の平均粒径が700μmより大であると、分散性が悪くなり、強度低下を招く。
また、粒度分布の幅は狭い方が強度的にも潤滑的にも良好で、生産性を考慮すれば50〜300μmがより好ましい。
なお、潤滑粒子の平均粒径が10μmより粒径が小だと、反応が促進され潤滑性の無い物質に変化し、且つ成形加工ができない。一方、潤滑粒子の平均粒径が700μmより大であると、分散性が悪くなり、強度低下を招く。
また、粒度分布の幅は狭い方が強度的にも潤滑的にも良好で、生産性を考慮すれば50〜300μmがより好ましい。
また、潤滑粒子の作製にあっては、Feを単独で添加するより、MoS2からなる10〜700μm(好ましくは30〜500μm)の粒子内にFeを分散させた方が、潤滑性のある強固な硫化物(MoとFeからなる硫化物)が生成されることを知見した。
さらに、MoS2の含有量が90%より多いと、強固な硫化物が生成されず、70%より少ないとFeリッチになり、潤滑性が無くなる。
したがって、潤滑粒子の粒径を大きくし、潤滑粒子内にFeを分散させることで潤滑成分が強固になり、摩擦摩耗に対し脱落し難くなる。
さらに、MoS2の含有量が90%より多いと、強固な硫化物が生成されず、70%より少ないとFeリッチになり、潤滑性が無くなる。
したがって、潤滑粒子の粒径を大きくし、潤滑粒子内にFeを分散させることで潤滑成分が強固になり、摩擦摩耗に対し脱落し難くなる。
<(b)について>
以下、本実施形態の自己潤滑性複合材料を構成する上記(b)について説明する。
MoS2とFeとからなる潤滑粒子は、従来よりも粒径が大きい(10〜700μm)ので、粒界に空隙が発生し易く、かかる潤滑粒子は脱落し易い傾向になる。
そこで、上記潤滑粒子に、W、C、Co、Vを添加することで、上記空隙を満たし、W、C、Co、Vが、潤滑粒子同士の結合相としての働きをするので、潤滑粒子の脱落を抑制できる。
結合相を構成する各金属(W、C、Co、V)は、10質量%より少ないと空隙を満たさない。一方、結合相を構成する各金属(W、C、Co、V)が30質量%より多いと、上記潤滑粒子と結合相との反応(特に、Co及びVとの反応)が促進され、潤滑性の無い物質が生成される。
以下、本実施形態の自己潤滑性複合材料を構成する上記(b)について説明する。
MoS2とFeとからなる潤滑粒子は、従来よりも粒径が大きい(10〜700μm)ので、粒界に空隙が発生し易く、かかる潤滑粒子は脱落し易い傾向になる。
そこで、上記潤滑粒子に、W、C、Co、Vを添加することで、上記空隙を満たし、W、C、Co、Vが、潤滑粒子同士の結合相としての働きをするので、潤滑粒子の脱落を抑制できる。
結合相を構成する各金属(W、C、Co、V)は、10質量%より少ないと空隙を満たさない。一方、結合相を構成する各金属(W、C、Co、V)が30質量%より多いと、上記潤滑粒子と結合相との反応(特に、Co及びVとの反応)が促進され、潤滑性の無い物質が生成される。
ここで、結合相を構成する各金属を添加する理由について説明する。
Moは耐摩耗性を向上させる目的で潤滑粒子に添加され、黒鉛は高温での潤滑性を保持する目的で潤滑粒子に添加される。
また、Co及びVは、Wと黒鉛、そして潤滑粒子との結合力を向上させる目的で添加される。
潤滑粒子の結合相として働く(W−C−Co−V)の組成は、Coが2質量%〜3質量%、Vが5質量%〜6質量%、残部はWとCになるが、体積比でおよそW:C=1:3が好ましく、この組成にて強固な結合相が形成される。
Moは耐摩耗性を向上させる目的で潤滑粒子に添加され、黒鉛は高温での潤滑性を保持する目的で潤滑粒子に添加される。
また、Co及びVは、Wと黒鉛、そして潤滑粒子との結合力を向上させる目的で添加される。
潤滑粒子の結合相として働く(W−C−Co−V)の組成は、Coが2質量%〜3質量%、Vが5質量%〜6質量%、残部はWとCになるが、体積比でおよそW:C=1:3が好ましく、この組成にて強固な結合相が形成される。
<(c)について>
以下、本実施形態の自己潤滑性複合材料を構成する上記(c)について説明する。
MoS2とFeとからなる上記潤滑粒子は、空孔率20%以下(好ましくは10%以下)の緻密性を有している。空孔率が20%を超えると、空孔が多く、潤滑粒子が脱落し易くなる。また、高温での酸化劣化が激しくなる。
以下、本実施形態の自己潤滑性複合材料を構成する上記(c)について説明する。
MoS2とFeとからなる上記潤滑粒子は、空孔率20%以下(好ましくは10%以下)の緻密性を有している。空孔率が20%を超えると、空孔が多く、潤滑粒子が脱落し易くなる。また、高温での酸化劣化が激しくなる。
空孔率20%以下の緻密体を作製する方法としては、例えば、粉末を成形する際、CIP等を使用し、成形圧を超高圧にすることで、緻密体を作製する方法が挙げられる。また、予め(MoS2−Fe)の潤滑粒子を予備焼結し、緻密化した材料を粉砕し適正粒度の潤滑粒子を作製する方法が挙げられる。また、メカニカルアロ−イング法で作製する方法が挙げられる。このように、空孔率20%以下の緻密体を作製する方法は種々あるが、緻密化が可能であれば上記方法に限られず、製法に制限はない。
<(d)について>
以下、本実施形態の自己潤滑性複合材料を構成する上記(d)について説明する。
上述したように、本実施形態の自己潤滑性複合材料は、二硫化モリブデン(MoS2)の当該自己潤滑性複合材料中の含有率が、60質量%〜80質量%であり、コバルト(Co)及びバナジウム(V)の少なくともいずれかの当該自己潤滑性複合材料中の含有率が、0.1質量%〜2質量%である。
以下、本実施形態の自己潤滑性複合材料を構成する上記(d)について説明する。
上述したように、本実施形態の自己潤滑性複合材料は、二硫化モリブデン(MoS2)の当該自己潤滑性複合材料中の含有率が、60質量%〜80質量%であり、コバルト(Co)及びバナジウム(V)の少なくともいずれかの当該自己潤滑性複合材料中の含有率が、0.1質量%〜2質量%である。
このような組成であれば、二硫化モリブデン(MoS2)が60質量%以上であっても鉄(Fe)の存在下におけるコバルト(Co)やバナジウム(V)との相互作用により焼結体の強度低下をきたさない。これは、二硫化モリブデン(MoS2)とコバルト(Co)、バナジウム(V)、鉄(Fe)が複合化合物(複雑な化合物)を形成して、これが、焼結体の結びつきを強固にし、強度低下を防止していると考えられる。しかしながら、二硫化モリブデン(MoS2)が80質量%を超えると複合化合物の効果が少なく強度の低下につながる。よって、本組成においては、強度の低下を抑えつつ、二硫化モリブデン(MoS2)を60質量%以上含有することで良好な潤滑性が得られる。
以下、実施例を挙げて更に説明するが、本発明はこれにより何ら制限されるものではない。
(実施例1)
二硫化モリブデン(MoS2)を60〜80質量%と、コバルト(Co)を0.1〜2質量%、バナジウム(V)を0.1〜2質量%含有し、残部に、鉄(Fe)とタングステン(W)を概ね1:1と、さらに黒鉛を含むものを図1のような転がり軸受(内径10mm)用円柱状焼結型で成形し焼結して実施例1の自己潤滑性複合材料を作製した。このとき、原料粉末(MoS2、Co、V、Fe、W)は粒径が0.8mm以下のもので、代表的組成として以下の組成を用いた。
MoS260質量%−Co・V等量合計1.0質量%−C4質量%−W17.5質量%−残部Fe17.5質量%
(実施例1)
二硫化モリブデン(MoS2)を60〜80質量%と、コバルト(Co)を0.1〜2質量%、バナジウム(V)を0.1〜2質量%含有し、残部に、鉄(Fe)とタングステン(W)を概ね1:1と、さらに黒鉛を含むものを図1のような転がり軸受(内径10mm)用円柱状焼結型で成形し焼結して実施例1の自己潤滑性複合材料を作製した。このとき、原料粉末(MoS2、Co、V、Fe、W)は粒径が0.8mm以下のもので、代表的組成として以下の組成を用いた。
MoS260質量%−Co・V等量合計1.0質量%−C4質量%−W17.5質量%−残部Fe17.5質量%
(比較例1)
コバルト(Co)及びバナジウム(V)を含まず、二硫化モリブデン(MoS2)を60〜80質量%含有し、残部に鉄(Fe)とタングステン(W)を概ね1:1、さらに黒鉛を含むものを実施例1と同じ条件で成形し焼結して比較例1の自己潤滑性複合材料を作製した。組成の詳細は以下のとおりである。
MoS260質量%−C4質量%−W18質量%−残部Fe18質量%
コバルト(Co)及びバナジウム(V)を含まず、二硫化モリブデン(MoS2)を60〜80質量%含有し、残部に鉄(Fe)とタングステン(W)を概ね1:1、さらに黒鉛を含むものを実施例1と同じ条件で成形し焼結して比較例1の自己潤滑性複合材料を作製した。組成の詳細は以下のとおりである。
MoS260質量%−C4質量%−W18質量%−残部Fe18質量%
(焼結結果)
実施例1は、円柱状に焼結可能であったが、比較例1については焼結後、円柱状の形態を維持できなかった。顕微鏡観察及び材料分析により、実施例1には、鉄(Fe)とコバルト(Co)の化合物及びコバルト(Co)と二硫化モリブデン(MoS2)の化合物が観察された。また、実施例1には、粒径が1μm〜1mmの上記化合物が観察された。
実施例1は、円柱状に焼結可能であったが、比較例1については焼結後、円柱状の形態を維持できなかった。顕微鏡観察及び材料分析により、実施例1には、鉄(Fe)とコバルト(Co)の化合物及びコバルト(Co)と二硫化モリブデン(MoS2)の化合物が観察された。また、実施例1には、粒径が1μm〜1mmの上記化合物が観察された。
(評価)
実施例1及び比較例1で得られた円柱状の自己潤滑性複合材料について、以下のように評価を行った。
(1)回転試験
実施例1で得られたものを固体潤滑スペーサ6として、図1のような転がり軸受1に組み付け回転試験を行った。その結果、常温、高温(400℃)とも回転特性に不具合はなかった。
実施例1及び比較例1で得られた円柱状の自己潤滑性複合材料について、以下のように評価を行った。
(1)回転試験
実施例1で得られたものを固体潤滑スペーサ6として、図1のような転がり軸受1に組み付け回転試験を行った。その結果、常温、高温(400℃)とも回転特性に不具合はなかった。
(2)圧縮強度の測定
図2に示す圧縮強度測定装置を用いて、以下の要領で円柱形状の自己潤滑性複合材料の圧縮強度を測定した。
図2に示すように、圧縮強度測定装置は、直動案内106に案内方向を等しくして、ボールねじ103のナット104が接続されている。ボールねじ103のねじ軸の端部に接続したモータ101を回転させることで、ナット104が直動案内106に案内されて上下する。ナット104には円筒のハウジング105が取り付けられていて、ハウジング105の端面にロードセル107が設置されている。ロードセル107の端面が、円柱形状の試料(自己潤滑性複合材料)108の端面と平行になっている。そして、モータ101を回転させることで、ロードセル107の端面を試料108の端面に接触させ、所定の圧縮速度でナット104を直動させると、ロードセル107が試料108を圧縮する。ロードセル107がさらに直動して、円柱を圧縮し続けると、圧縮荷重がやがて試料108の圧縮強度荷重に達し、試料108が崩壊する。その圧縮強度荷重を試料108の断面積で除して、単位面積あたりの圧縮荷重(単位は圧力)を求め、それを試料108の圧縮強度とする。
図2に示す圧縮強度測定装置を用いて、以下の要領で円柱形状の自己潤滑性複合材料の圧縮強度を測定した。
図2に示すように、圧縮強度測定装置は、直動案内106に案内方向を等しくして、ボールねじ103のナット104が接続されている。ボールねじ103のねじ軸の端部に接続したモータ101を回転させることで、ナット104が直動案内106に案内されて上下する。ナット104には円筒のハウジング105が取り付けられていて、ハウジング105の端面にロードセル107が設置されている。ロードセル107の端面が、円柱形状の試料(自己潤滑性複合材料)108の端面と平行になっている。そして、モータ101を回転させることで、ロードセル107の端面を試料108の端面に接触させ、所定の圧縮速度でナット104を直動させると、ロードセル107が試料108を圧縮する。ロードセル107がさらに直動して、円柱を圧縮し続けると、圧縮荷重がやがて試料108の圧縮強度荷重に達し、試料108が崩壊する。その圧縮強度荷重を試料108の断面積で除して、単位面積あたりの圧縮荷重(単位は圧力)を求め、それを試料108の圧縮強度とする。
なお、本実施例では、試験条件(測定条件)を以下のように設定した。
・試料の形状:約φ4mm×3mmの円柱スペーサ
・圧縮速度:5μm/s
・試料個数:3個(平均値を採用)
・試料の形状:約φ4mm×3mmの円柱スペーサ
・圧縮速度:5μm/s
・試料個数:3個(平均値を採用)
(3)摩擦及び摩耗の測定
摩擦・摩耗測定装置を用いた円柱形状の試料(自己潤滑性複合材料)の端面の摩擦係数を測定すると共に、摩擦試験後の摩耗深さを測定する方法について説明する。
図3に示すように、摩擦・摩耗測定装置は、シーソ式のアーム203の一端にウェイト201が固定されている。一方、他端付近には移動可能なウェイト202が配置されている。ウェイト202をアーム203上、前後に移動させることで、アーム203の支点204とウェイト201との間に配置されているロードセル205を介して、試料208の端面に負荷する荷重の大きさを調整することができる。ロードセル205の端面にはボールホルダ206が設置されていて、ボール207が試料208の端面法線方向の荷重を当該試料208に負荷している。試料208は水平に配置されたディスク209にボール207と反対の端面が固定されている。ディスク209は水平方向に転動可能な、直動装置210上に配置されていて、ディスク209に接続された直動モータ211によって直動することができる。ディスク209が直動するとディスク209に固定された試料208も直動し、その時、接触しているボール207の表面と試料208の端面との間で摺動が生じ、その摩擦抵抗力をロードセル205で測定することができる。直動モータ211は所定の距離を繰り返し往復する。往復によって、直動の方向が毎回反転すると摩擦抵抗力の方向も反転するが、ロードセル205はどちらの方向の荷重も測定可能となっている。所定の総往復回数を往復させ、その間の摩擦抵抗力を連続的に測定し、摩擦抵抗力から換算される摩擦係数の変化を測定することができる。試料208は図示しないヒータで取り囲まれており、高温下での摩擦測定ができるようになっている。
摩擦・摩耗測定装置を用いた円柱形状の試料(自己潤滑性複合材料)の端面の摩擦係数を測定すると共に、摩擦試験後の摩耗深さを測定する方法について説明する。
図3に示すように、摩擦・摩耗測定装置は、シーソ式のアーム203の一端にウェイト201が固定されている。一方、他端付近には移動可能なウェイト202が配置されている。ウェイト202をアーム203上、前後に移動させることで、アーム203の支点204とウェイト201との間に配置されているロードセル205を介して、試料208の端面に負荷する荷重の大きさを調整することができる。ロードセル205の端面にはボールホルダ206が設置されていて、ボール207が試料208の端面法線方向の荷重を当該試料208に負荷している。試料208は水平に配置されたディスク209にボール207と反対の端面が固定されている。ディスク209は水平方向に転動可能な、直動装置210上に配置されていて、ディスク209に接続された直動モータ211によって直動することができる。ディスク209が直動するとディスク209に固定された試料208も直動し、その時、接触しているボール207の表面と試料208の端面との間で摺動が生じ、その摩擦抵抗力をロードセル205で測定することができる。直動モータ211は所定の距離を繰り返し往復する。往復によって、直動の方向が毎回反転すると摩擦抵抗力の方向も反転するが、ロードセル205はどちらの方向の荷重も測定可能となっている。所定の総往復回数を往復させ、その間の摩擦抵抗力を連続的に測定し、摩擦抵抗力から換算される摩擦係数の変化を測定することができる。試料208は図示しないヒータで取り囲まれており、高温下での摩擦測定ができるようになっている。
なお、本実施例では、試験条件(測定条件)を以下のように設定した。
・試料の形状:約φ4mm×3mmの円柱スペーサ
・ボール直径:約3mm
・荷重:5N
・往復距離:2mm
・往復速度:1往復/sec
・往復回数:1800往復
・温度:室温、および300℃
・試料の形状:約φ4mm×3mmの円柱スペーサ
・ボール直径:約3mm
・荷重:5N
・往復距離:2mm
・往復速度:1往復/sec
・往復回数:1800往復
・温度:室温、および300℃
(4)高温軸受耐久試験
高温軸受耐久試験装置を用いて、軸受の高温下での回転耐久試験を行う方法について説明する。
図4に示すように、高温軸受耐久試験装置は、軸303に軸受が4個挿入されていて、中央の2個がサポート軸受302,302、外側の2個が試験軸受301,301である。2つのサポート軸受302,302と、2つの試験軸受301,301とはそれぞれ同一名番である。試験軸受301は門型のハウジング304で外輪を支持されて、恒温槽312の底面に固定されている。サポート軸受302は、サポートハウジング305で外輪を支持されていて、サポートハウジング305に取付られたブラケット306を介して、恒温槽312の底面を通過して懸垂されたウェイト307によりサポート軸受302にラジアル荷重が負荷されるようになっている。サポート軸受302は、2個の試験軸受301,301の中間位置に配置されていて、サポート軸受302に負荷されたラジアル荷重は、試験軸受301に1/2ずつラジアル荷重として負荷される。軸303の一端は、恒温槽312の壁面を通過して挿入された回転導入軸310とカップリング309を介して接続されており、図示しないモータによって回転導入軸310を回転させると、試験軸受301を回転させることができる。恒温槽312を所定の温度に設定し、一定高温下での軸受回転耐久試験を実施できる。モータのトルク電圧をモニタして、試験軸受301が損傷して軸受トルクが上昇するのを測定し、試験軸受301の耐久試験時間を測定する。門型ハウジング304は一体品で、キューブを底面から中抜きして製作している。中抜き穴は恒温槽312の底面の穴と連通していて、図示しない送風機からの冷風を中抜き穴に下から導入して、サポート軸受302を冷却するようになっている。そのため、サポート軸受302は試験軸受301より早期に損傷することはない。
高温軸受耐久試験装置を用いて、軸受の高温下での回転耐久試験を行う方法について説明する。
図4に示すように、高温軸受耐久試験装置は、軸303に軸受が4個挿入されていて、中央の2個がサポート軸受302,302、外側の2個が試験軸受301,301である。2つのサポート軸受302,302と、2つの試験軸受301,301とはそれぞれ同一名番である。試験軸受301は門型のハウジング304で外輪を支持されて、恒温槽312の底面に固定されている。サポート軸受302は、サポートハウジング305で外輪を支持されていて、サポートハウジング305に取付られたブラケット306を介して、恒温槽312の底面を通過して懸垂されたウェイト307によりサポート軸受302にラジアル荷重が負荷されるようになっている。サポート軸受302は、2個の試験軸受301,301の中間位置に配置されていて、サポート軸受302に負荷されたラジアル荷重は、試験軸受301に1/2ずつラジアル荷重として負荷される。軸303の一端は、恒温槽312の壁面を通過して挿入された回転導入軸310とカップリング309を介して接続されており、図示しないモータによって回転導入軸310を回転させると、試験軸受301を回転させることができる。恒温槽312を所定の温度に設定し、一定高温下での軸受回転耐久試験を実施できる。モータのトルク電圧をモニタして、試験軸受301が損傷して軸受トルクが上昇するのを測定し、試験軸受301の耐久試験時間を測定する。門型ハウジング304は一体品で、キューブを底面から中抜きして製作している。中抜き穴は恒温槽312の底面の穴と連通していて、図示しない送風機からの冷風を中抜き穴に下から導入して、サポート軸受302を冷却するようになっている。そのため、サポート軸受302は試験軸受301より早期に損傷することはない。
なお、本実施例では、試験条件(測定条件)を以下のように設定した。
・試験軸受内の自己潤滑性複合材料の形状:約φ4mm×3mm
円柱スペーサ
・軸受内径:φ10mm
・軸受タイプ:図1に示す形状の軸受、ただし、自己潤滑性複合材料の材料比較の際は、軸受をもみ抜き(削り出し)保持器タイプの軸受、又は円柱スペーサ入れ溝タイプの軸受を用いる。
・ラジアル荷重:50N/1軸受
・回転速度:1000min−1
・軸受温度:400℃
・試験軸受内の自己潤滑性複合材料の形状:約φ4mm×3mm
円柱スペーサ
・軸受内径:φ10mm
・軸受タイプ:図1に示す形状の軸受、ただし、自己潤滑性複合材料の材料比較の際は、軸受をもみ抜き(削り出し)保持器タイプの軸受、又は円柱スペーサ入れ溝タイプの軸受を用いる。
・ラジアル荷重:50N/1軸受
・回転速度:1000min−1
・軸受温度:400℃
(5)自己潤滑性複合材料の圧縮強度と軸受耐久性との関係−1
実施例1の焼結条件だけを変更して、2種類の自己潤滑性複合材料を焼結した。焼結条件の違いは、焼結時間が一方は他方の1/2であるという点である。焼結された自己潤滑性複合材料を図2に示す圧縮強度測定装置を用いて同じ測定条件で圧縮試験を行い、一方の圧縮強度が45MPa、他方が67MPaの結果を得た。それぞれを図1に示す形状の軸受に組み込み、図4に示す高温軸受耐久試験装置を用いて上述と同じ試験条件で耐久試験を実施したところ、45MPa品は838万回転で軸受寿命となり、67MPa品は1550万回転で軸受寿命となった。その結果を図5に示す。損傷形態は、摩耗粉のつまりによる回転困難である。焼結によりMoS2粒が粒界を埋めるFeやWの補強金属によって結合されているが、その結合力が小さい、つまり圧縮強度が小さいとMoS2粒が容易に脱粒してしまって、潤滑に使用されまま、必要以上に自己潤滑性複合材料の摩耗が進み、軸受の摩耗粉詰まりを引き起こす。よって、同一組成では、圧縮強度と軸受寿命とが相関を持ち、圧縮強度が大きい方が、軸受寿命が長い。したがって、自己潤滑性複合材料の圧縮強度を高めることは重要ということになる。
実施例1の焼結条件だけを変更して、2種類の自己潤滑性複合材料を焼結した。焼結条件の違いは、焼結時間が一方は他方の1/2であるという点である。焼結された自己潤滑性複合材料を図2に示す圧縮強度測定装置を用いて同じ測定条件で圧縮試験を行い、一方の圧縮強度が45MPa、他方が67MPaの結果を得た。それぞれを図1に示す形状の軸受に組み込み、図4に示す高温軸受耐久試験装置を用いて上述と同じ試験条件で耐久試験を実施したところ、45MPa品は838万回転で軸受寿命となり、67MPa品は1550万回転で軸受寿命となった。その結果を図5に示す。損傷形態は、摩耗粉のつまりによる回転困難である。焼結によりMoS2粒が粒界を埋めるFeやWの補強金属によって結合されているが、その結合力が小さい、つまり圧縮強度が小さいとMoS2粒が容易に脱粒してしまって、潤滑に使用されまま、必要以上に自己潤滑性複合材料の摩耗が進み、軸受の摩耗粉詰まりを引き起こす。よって、同一組成では、圧縮強度と軸受寿命とが相関を持ち、圧縮強度が大きい方が、軸受寿命が長い。したがって、自己潤滑性複合材料の圧縮強度を高めることは重要ということになる。
(6)MoS2の添加量と自己潤滑性複合材料の圧縮強度との関係
自己潤滑性複合材料の潤滑剤の主成分であるMoS2の量が少ないと自己潤滑性複合材料の潤滑性能が小さくなってしまうため、極力、MoS2量を多く添加した方が良い。しかしながら、MoS2が80質量%を超えると、自己潤滑性複合材料の圧縮強度が著しく低下する。したがって、MoS2添加量の上限値は80質量%と定める。
自己潤滑性複合材料の潤滑剤の主成分であるMoS2の量が少ないと自己潤滑性複合材料の潤滑性能が小さくなってしまうため、極力、MoS2量を多く添加した方が良い。しかしながら、MoS2が80質量%を超えると、自己潤滑性複合材料の圧縮強度が著しく低下する。したがって、MoS2添加量の上限値は80質量%と定める。
ここで、MoS2の添加量を50質量%から90質量%まで5質量%おきに変化させて原料粉を製作し、同一条件で焼結して、自己潤滑性複合材料の圧縮強度の違いを調べた。組成配合比は実施例1の通り、MoS2とFeとの合計質量%を一定とし、他の組成はすべて同一とした。図2に示す圧縮強度測定装置を用いて圧縮強度を測定した。その結果を図6に示す。この結果より、MoS2の添加量が80質量%を超えると、自己潤滑性複合材料の圧縮強度が著しく低下することがわかった。
(7)潤滑性能の評価
図3に示す摩擦・摩耗測定装置を用いて、実施例1の自己潤滑性複合材料の摩擦係数を測定し、潤滑性能を評価した。その測定結果を図7に示す。なお、この測定では、試験条件(測定条件)を以下のように設定した。
・試料の形状:約φ4mm×3mmの円柱スペーサ
・ボールの直径:約φ3mm
・環境:大気
・往復距離×回数:2mm×1800往復
・往復速度:1往復/sec
・荷重:5N
図3に示す摩擦・摩耗測定装置を用いて、実施例1の自己潤滑性複合材料の摩擦係数を測定し、潤滑性能を評価した。その測定結果を図7に示す。なお、この測定では、試験条件(測定条件)を以下のように設定した。
・試料の形状:約φ4mm×3mmの円柱スペーサ
・ボールの直径:約φ3mm
・環境:大気
・往復距離×回数:2mm×1800往復
・往復速度:1往復/sec
・荷重:5N
(8)MoS2添加量と摩擦係数との関係
MoS2の添加量を変えた自己潤滑性複合材料を用意し、図3に示す摩擦摩耗測定装置を用いて自己潤滑性複合材料の摩擦係数を測定した。その測定結果を図8に示す。図8に示すように、室温と300℃の2つの温度環境について行ったが、いずれもMoS2量が60質量%を下回ると、摩擦係数が著しく大きくなる。添加量が60質量%以上では、室温では摩擦係数が0.095〜0.15程度、300℃では0.11〜0.12程度である。よって、MoS2は60質量%以上添加するのが良い。
MoS2とFeの合計質量%は一定として、実施例1の組成の範囲で配合している。他の元素の配合比率は変化させていない。これにより、MoS2添加量が60質量%以下になると摩擦係数が著しく大きくなることがわかった。この傾向は、300℃の時も同じである。
MoS2の添加量を変えた自己潤滑性複合材料を用意し、図3に示す摩擦摩耗測定装置を用いて自己潤滑性複合材料の摩擦係数を測定した。その測定結果を図8に示す。図8に示すように、室温と300℃の2つの温度環境について行ったが、いずれもMoS2量が60質量%を下回ると、摩擦係数が著しく大きくなる。添加量が60質量%以上では、室温では摩擦係数が0.095〜0.15程度、300℃では0.11〜0.12程度である。よって、MoS2は60質量%以上添加するのが良い。
MoS2とFeの合計質量%は一定として、実施例1の組成の範囲で配合している。他の元素の配合比率は変化させていない。これにより、MoS2添加量が60質量%以下になると摩擦係数が著しく大きくなることがわかった。この傾向は、300℃の時も同じである。
(9)C添加量による酸化重量変化
C添加量を1〜9質量%まで変化させたときの自己潤滑性複合材料の耐酸化特性を調べた。各物質の配合比率は実施例1に規定した範囲で、CとMoS2の合計の質量%を一定とし、他の元素の量は変化させていない。C添加量の違う自己潤滑性複合材料を大気中で標記温度に暴露して保持し、その前後の重量変化を測定した。測定結果を図9に示す。
その結果、C添加量が2質量%を下回ると重量が著しく増加することが分かった。これは酸化による重量増加と判断される。よって、C添加量は2質量%以上必要である。2質量%以上を添加しても重量変化量は大きくは変わらない。
C添加量を1〜9質量%まで変化させたときの自己潤滑性複合材料の耐酸化特性を調べた。各物質の配合比率は実施例1に規定した範囲で、CとMoS2の合計の質量%を一定とし、他の元素の量は変化させていない。C添加量の違う自己潤滑性複合材料を大気中で標記温度に暴露して保持し、その前後の重量変化を測定した。測定結果を図9に示す。
その結果、C添加量が2質量%を下回ると重量が著しく増加することが分かった。これは酸化による重量増加と判断される。よって、C添加量は2質量%以上必要である。2質量%以上を添加しても重量変化量は大きくは変わらない。
なお、この測定では、測定条件を以下のように設定した。
・試料の形状:約φ4mm×3mmの円柱スペーサ
・試料個数:1組成につき8個
・環境:大気
・温度:500℃(恒温槽中に保持)
・保持時間:1hr
・重量測定:試験前後の8個全体での重量変化を求めて平均した
これにより、Cの添加量が2質量%以下になると酸化による重量増加が著しく大きくなることがわかった。
・試料の形状:約φ4mm×3mmの円柱スペーサ
・試料個数:1組成につき8個
・環境:大気
・温度:500℃(恒温槽中に保持)
・保持時間:1hr
・重量測定:試験前後の8個全体での重量変化を求めて平均した
これにより、Cの添加量が2質量%以下になると酸化による重量増加が著しく大きくなることがわかった。
(10)C添加量と圧縮強度との関係
C添加量を1〜9質量%まで変化させたときの自己潤滑性複合材料の圧縮強度を調べた。各物質の配合比率は実施例1に規定した範囲で、CとMoS2の合計の質量%を一定とし、他の元素の量は変化させていない。図2に示す圧縮強度測定装置を用いて、同じ測定条件で行った。測定結果を図10に示す。
その結果、C添加量が7質量%を上回ると圧縮強度が著しく減少することが分かった。よって、C添加量は7質量%以下である必要がある。7質量%以下の領域での圧縮強度は大きくは変わらない。したがって、C添加量による酸化重量変化の結果と併せて考えると、C添加量は2質量%以上で7質量%以下である必要がある。
これにより、Cの添加量が7質量%以上になると圧縮強度が著しく小さくなることがわかった。
C添加量を1〜9質量%まで変化させたときの自己潤滑性複合材料の圧縮強度を調べた。各物質の配合比率は実施例1に規定した範囲で、CとMoS2の合計の質量%を一定とし、他の元素の量は変化させていない。図2に示す圧縮強度測定装置を用いて、同じ測定条件で行った。測定結果を図10に示す。
その結果、C添加量が7質量%を上回ると圧縮強度が著しく減少することが分かった。よって、C添加量は7質量%以下である必要がある。7質量%以下の領域での圧縮強度は大きくは変わらない。したがって、C添加量による酸化重量変化の結果と併せて考えると、C添加量は2質量%以上で7質量%以下である必要がある。
これにより、Cの添加量が7質量%以上になると圧縮強度が著しく小さくなることがわかった。
(11)Co及びV添加量と圧縮強度との関係
Co添加量を0〜2.5質量%まで変化させたときの自己潤滑性複合材料の圧縮強度を調べた。各物質の配合比率は実施例1に規定した範囲で、CとMoS2の合計の質量%を一定とし、他の元素の量は変化させていない。図2に示す圧縮強度測定装置を用いて、同じ測定条件で行った。測定結果を図11に示す。
Co添加量を0〜2.5質量%まで変化させたときの自己潤滑性複合材料の圧縮強度を調べた。各物質の配合比率は実施例1に規定した範囲で、CとMoS2の合計の質量%を一定とし、他の元素の量は変化させていない。図2に示す圧縮強度測定装置を用いて、同じ測定条件で行った。測定結果を図11に示す。
その結果、Co添加量が0.1〜2質量%の範囲から外れると圧縮強度が著しく減少することが分かった。よって、Co添加量は0.1〜2質量%の範囲である必要がある。その領域内での圧縮強度は大きくは変わらない。
同様に、Vについても行った。添加量の範囲はCoと同一である。その結果、Coの結果とほぼ同じ結果を得た。よって、V添加量は0.1〜2質量%の範囲である必要がある。その領域内での圧縮強度は大きくは変わらない。
同様に、Vについても行った。添加量の範囲はCoと同一である。その結果、Coの結果とほぼ同じ結果を得た。よって、V添加量は0.1〜2質量%の範囲である必要がある。その領域内での圧縮強度は大きくは変わらない。
さらに、CoとVとを半々にして、上記範囲の合計添加量について同様に調べた。その結果、Co単体、及びV単体と同じく0.1〜2質量%の範囲で圧縮強度が大きくなることが分かった。さらにその圧縮強度値はCo単体、またはV単体を添加した時よりも大きくなる。よって、CoとVとを等量ずつ、合計0.1〜2質量%の範囲で添加すると圧縮強度をより大きくすることができる。上記範囲内では圧縮強度の違いは小さい。
これにより、Co,Vは0.1〜2質量%添加されていると圧縮強度が大きくなる。その領域を外れると著しく圧縮強度が低下することがわかった。また、Co、Vが半々、両方とも添加されていると上記領域でさらに圧縮強度が大きくなることがわかった。上記領域を逸脱すると著しく圧縮強度が低下するのも同一である。
(12)摩擦試験後の試料の摩耗深さ
図3に示す摩擦・摩耗測定装置を用いて摩擦試験を行うと、ボールが摺動した領域が舟形に摩耗する(図12参照)。船形の断面方向に試料の中央の形状を測定し、摩耗深さを求める。この値によって、試料の摩耗量の大きさを比較することができる。舟の断面方向の長さは0.6mm程度である。
これにより、摩擦試験後の試料端面は摩耗していて、その中央の摩耗深さによって摩耗量の大きさを表すことができることがわかった。
図3に示す摩擦・摩耗測定装置を用いて摩擦試験を行うと、ボールが摺動した領域が舟形に摩耗する(図12参照)。船形の断面方向に試料の中央の形状を測定し、摩耗深さを求める。この値によって、試料の摩耗量の大きさを比較することができる。舟の断面方向の長さは0.6mm程度である。
これにより、摩擦試験後の試料端面は摩耗していて、その中央の摩耗深さによって摩耗量の大きさを表すことができることがわかった。
(13)W添加量と摩耗深さとの関係
Wを0〜25質量%の範囲で添加量を変化させて摩擦試験後の自己潤滑性複合材料摩耗深さの違いを調べた。添加物質の配合比は実施例1に規定した範囲で行い、WとMoS2の合計添加量は一定とした。その他の元素はすべて同一組成とした。その結果、図13に示すように、2〜20質量%の範囲で摩耗深さが減少することが確認された。上記領域を外れると摩耗深さが著しく大きくなる。したがって、自己潤滑性複合材料の耐摩磨耗性を向上させるにはWを2〜20質量%添加する必要がある。また、300℃で同様の試験を行ったところ、相対的に室温時に比べて摩耗深さは大きくなったが、2〜20質量%の範囲で摩耗深さが小さくなることが分かった。室温、及び300℃とも、上記領域内での摩耗深さに大きな違いはない。室温から高温領域まで耐摩耗性を向上させるのにWを2〜20質量%添加することが有用である。
Wを0〜25質量%の範囲で添加量を変化させて摩擦試験後の自己潤滑性複合材料摩耗深さの違いを調べた。添加物質の配合比は実施例1に規定した範囲で行い、WとMoS2の合計添加量は一定とした。その他の元素はすべて同一組成とした。その結果、図13に示すように、2〜20質量%の範囲で摩耗深さが減少することが確認された。上記領域を外れると摩耗深さが著しく大きくなる。したがって、自己潤滑性複合材料の耐摩磨耗性を向上させるにはWを2〜20質量%添加する必要がある。また、300℃で同様の試験を行ったところ、相対的に室温時に比べて摩耗深さは大きくなったが、2〜20質量%の範囲で摩耗深さが小さくなることが分かった。室温、及び300℃とも、上記領域内での摩耗深さに大きな違いはない。室温から高温領域まで耐摩耗性を向上させるのにWを2〜20質量%添加することが有用である。
なお、この測定において、試験条件(測定条件)を以下のように設定した。
・試料の形状:約φ4mm×3mmの円柱スペーサ
・ボール直径:約3mm
・環境:大気
・往復距離×回数:2mm×105回
・往復速度:1往復/sec
・荷重:5N
・温度:室温、及び300℃
これにより、Wを2〜20質量%添加すると自己潤滑性複合材料の耐摩耗性を大きくすることができることがわかった。
・試料の形状:約φ4mm×3mmの円柱スペーサ
・ボール直径:約3mm
・環境:大気
・往復距離×回数:2mm×105回
・往復速度:1往復/sec
・荷重:5N
・温度:室温、及び300℃
これにより、Wを2〜20質量%添加すると自己潤滑性複合材料の耐摩耗性を大きくすることができることがわかった。
(14)W添加量と圧縮強度との関係
Wを0〜25質量%の範囲で添加量を変化させて圧縮強度の違いを調べた。添加物質の配合比は実施例1に規定した範囲で行い、WとMoS2の合計添加量は一定とした。その他の元素はすべて同一組成とした。その結果、図14に示すように、Wの添加量が20質量%以上になると、圧縮強度が低下することが確認された。よって、Wの添加量は20質量%以下である必要がある。20質量%以下であれば、圧縮強度に大きな差は認められない。
Wを0〜25質量%の範囲で添加量を変化させて圧縮強度の違いを調べた。添加物質の配合比は実施例1に規定した範囲で行い、WとMoS2の合計添加量は一定とした。その他の元素はすべて同一組成とした。その結果、図14に示すように、Wの添加量が20質量%以上になると、圧縮強度が低下することが確認された。よって、Wの添加量は20質量%以下である必要がある。20質量%以下であれば、圧縮強度に大きな差は認められない。
Wが2〜20質量%の範囲で耐摩耗性が向上する試験結果と併せて考えると、Wが2〜20質量%の範囲で、耐摩耗性が大きく、かつ圧縮強度も大きい自己潤滑性複合材料が得られることになる。
なお、この測定において、試験条件(測定条件)を以下のように設定した。
・試料の形状:約φ4mm×3mmの円柱スペーサ
・ボール直径:約3mm
・環境:大気
・往復距離×回数:2mm×105回
・往復速度:1往復/sec
・荷重:5N
・温度:室温
これにより、Wを2〜20質量%添加すると自己潤滑性複合材料の耐摩耗性を大きくすることができることがわかった。
なお、この測定において、試験条件(測定条件)を以下のように設定した。
・試料の形状:約φ4mm×3mmの円柱スペーサ
・ボール直径:約3mm
・環境:大気
・往復距離×回数:2mm×105回
・往復速度:1往復/sec
・荷重:5N
・温度:室温
これにより、Wを2〜20質量%添加すると自己潤滑性複合材料の耐摩耗性を大きくすることができることがわかった。
(15)Fe添加量と圧縮強度との関係
Feを0〜25質量%の範囲で添加量を変化させて圧縮強度の違いを調べた。添加物質の配合比は実施例1に規定した範囲で行い、FeとMoS2の合計添加量は一定とした。その他の元素はすべて同一組成とした。
Feを0〜25質量%の範囲で添加量を変化させて圧縮強度の違いを調べた。添加物質の配合比は実施例1に規定した範囲で行い、FeとMoS2の合計添加量は一定とした。その他の元素はすべて同一組成とした。
その結果、図15に示すように、Feの添加量が3質量%以下だと粒子同士が結合されず焼結が不可能であった。また、Feの添加量が4質量%以上の試料について、円柱形状の自己潤滑性複合材料を軸受に内蔵して組み立て体とし、手回しによる回転性を調べたところ、圧縮強度が40MPa以下では、回転開始後、30万回転程度で自己潤滑性複合材料が崩壊して軸受内でつまり回転不能になることが分かった。つまり、圧縮強度40MPa以下では軸受に内蔵する自己潤滑性複合材料としては使用できない。Feの添加量が5質量%を超えると圧縮強度が40MPa以上になる。Feの添加量が大きくなるにつれて、ほぼ単調増加で圧縮強度は大きくなる。したがって、軸受に内蔵して自己潤滑性複合材料を使用するには、Feの添加量は5質量%以上にする必要があると言える。
なお、この試験では、試験条件(測定条件)を以下のように設定した。
・試験軸受内の自己潤滑性複合材料の形状:約φ4mm×3mmの円柱スペーサ
・軸受内径:φ10mm
・軸受タイプ:図1に示す形状の軸受
・手回し方法:内輪に軸を通して支持した後、指先で外輪を上から下へ回転させて、初期回転速度を300〜500min−1程度にする。
・圧縮速度:5μm/s
・試料個数:3個(平均値を採用)
これにより、Feを5〜25質量%添加すると自己潤滑性複合材料を軸受内に内蔵することができる圧縮強度が得られることがわかった。
・試験軸受内の自己潤滑性複合材料の形状:約φ4mm×3mmの円柱スペーサ
・軸受内径:φ10mm
・軸受タイプ:図1に示す形状の軸受
・手回し方法:内輪に軸を通して支持した後、指先で外輪を上から下へ回転させて、初期回転速度を300〜500min−1程度にする。
・圧縮速度:5μm/s
・試料個数:3個(平均値を採用)
これにより、Feを5〜25質量%添加すると自己潤滑性複合材料を軸受内に内蔵することができる圧縮強度が得られることがわかった。
(16)Fe添加量と摩擦係数との関係
Feを5〜25質量%の範囲で添加量を変化させて摩擦係数の変化を調べた。添加物質の配合比は実施例1に規定した範囲で行い、FeとMoS2の合計添加量は一定とした。その他の元素はすべて同一組成とした。5質量%以下は40MPa以上の圧縮強度が得られないので試験を行っていない。
その結果、図16に示すように、Feの添加量が増えるにつれて摩擦係数も上昇する傾向があるが、添加量が20質量%を超えると著しく摩擦係数が上昇する。よって、Feの添加量は20質量%以下である必要がある。圧縮強度測定結果と併せて、Feの添加量は5〜20質量%であることが良い。
Feを5〜25質量%の範囲で添加量を変化させて摩擦係数の変化を調べた。添加物質の配合比は実施例1に規定した範囲で行い、FeとMoS2の合計添加量は一定とした。その他の元素はすべて同一組成とした。5質量%以下は40MPa以上の圧縮強度が得られないので試験を行っていない。
その結果、図16に示すように、Feの添加量が増えるにつれて摩擦係数も上昇する傾向があるが、添加量が20質量%を超えると著しく摩擦係数が上昇する。よって、Feの添加量は20質量%以下である必要がある。圧縮強度測定結果と併せて、Feの添加量は5〜20質量%であることが良い。
なお、本試験では、試験条件(測定条件)を以下のように設定した。
・試料の形状:約φ4mm×3mmの円柱スペーサ
・圧縮速度:5μm/s
・試料個数:3個(平均値を採用)
したがって、Feを5〜25質量%添加したとき、自己潤滑性複合材料の摩擦係数はほぼ単調増加に近い上昇を示し、20質量%を超えると著しく上昇する。圧縮強度測定の結果と併せて考えるとFeは5〜20質量%添加するのが良いことがわかった。
・試料の形状:約φ4mm×3mmの円柱スペーサ
・圧縮速度:5μm/s
・試料個数:3個(平均値を採用)
したがって、Feを5〜25質量%添加したとき、自己潤滑性複合材料の摩擦係数はほぼ単調増加に近い上昇を示し、20質量%を超えると著しく上昇する。圧縮強度測定の結果と併せて考えるとFeは5〜20質量%添加するのが良いことがわかった。
(17)耐久性能
MoS2を50〜90質量%の範囲で添加量を変化させた自己潤滑性複合材料を内蔵する軸受を使い、耐久性能を調べた。添加物質の配合比は実施例1に規定した範囲で行い、FeとMoS2の合計添加量は一定とした。その他の元素はすべて同一組成とした。
その結果、図17に示すように、MoS2の添加量が60〜80質量%の場合に軸受が総回転数2000万回転を超えて試験が打ち切りとなった。MoS2が50質量%のときは、1640万回転で軸受寿命となり、90質量%では440万回転と著しく小さくなった。したがって、自己潤滑性複合材料を軸受に内蔵する場合、MoS2の添加量は60〜80質量%の範囲であることが好ましい。
MoS2を50〜90質量%の範囲で添加量を変化させた自己潤滑性複合材料を内蔵する軸受を使い、耐久性能を調べた。添加物質の配合比は実施例1に規定した範囲で行い、FeとMoS2の合計添加量は一定とした。その他の元素はすべて同一組成とした。
その結果、図17に示すように、MoS2の添加量が60〜80質量%の場合に軸受が総回転数2000万回転を超えて試験が打ち切りとなった。MoS2が50質量%のときは、1640万回転で軸受寿命となり、90質量%では440万回転と著しく小さくなった。したがって、自己潤滑性複合材料を軸受に内蔵する場合、MoS2の添加量は60〜80質量%の範囲であることが好ましい。
なお、この測定では、試験条件(測定条件)を以下のように設定した。
・試験軸受内の自己潤滑性複合材料の形状:約φ4mm×3mmの円柱スペーサ
・軸受内径:φ10mm
・軸受タイプ:図1に示す形状の軸受
・ラジアル荷重:50N/1軸受
・回転速度:1000min−1
・軸受温度:400℃
・環境:大気
したがって、MoS2添加量を60〜80質量%添加したとき、自己潤滑性複合材料を内蔵する軸受の耐久性能は大きくなることがわかった。
・試験軸受内の自己潤滑性複合材料の形状:約φ4mm×3mmの円柱スペーサ
・軸受内径:φ10mm
・軸受タイプ:図1に示す形状の軸受
・ラジアル荷重:50N/1軸受
・回転速度:1000min−1
・軸受温度:400℃
・環境:大気
したがって、MoS2添加量を60〜80質量%添加したとき、自己潤滑性複合材料を内蔵する軸受の耐久性能は大きくなることがわかった。
(18)自己潤滑性複合材料の圧縮強度と軸受耐久性との関係−2
上記(5)自己潤滑性複合材料の圧縮強度と軸受耐久性との関係−1と同様にして、圧縮強度35MPa品及び40MPa品を製作し、同様の軸受試験を行った。結果を図18に示すが、圧縮強度35MPa品では回転開始初期に自己潤滑性複合材料が軸受内部で割損し、約30万回転で回転不能となった。また、圧縮強度40MPa品では838万回転で軸受寿命となった。更に、圧縮強度67MPa品の軸受寿命を併記するが(図5参照)、軸受寿命は1550万回転である。これにより、圧縮強度は40MPa以上である必要があることがわかった。
上記(5)自己潤滑性複合材料の圧縮強度と軸受耐久性との関係−1と同様にして、圧縮強度35MPa品及び40MPa品を製作し、同様の軸受試験を行った。結果を図18に示すが、圧縮強度35MPa品では回転開始初期に自己潤滑性複合材料が軸受内部で割損し、約30万回転で回転不能となった。また、圧縮強度40MPa品では838万回転で軸受寿命となった。更に、圧縮強度67MPa品の軸受寿命を併記するが(図5参照)、軸受寿命は1550万回転である。これにより、圧縮強度は40MPa以上である必要があることがわかった。
(19)高温下での対外輪・対内輪摺動摩擦係数測定
図19(a),(b)に示す高温外内輪回転動摩擦係数測定装置を用いて、以下の要領で円柱形状の自己潤滑性複合材料の高温下での対外輪・対内輪摺動摩擦係数を測定した。なお、この高温外内輪回転動摩擦測定装置は、軸を組み替えることで対外輪回転と対内輪回転の両方の摺動摩擦抵抗を測定することができる。図19(a)は、高温外内輪回転動摩擦測定装置による外輪回転試験時の正面図を示し、図19(b)は高温外内輪回転動摩擦測定装置による内輪回転試験時の正面図を示す。
図19(a),(b)に示す高温外内輪回転動摩擦係数測定装置を用いて、以下の要領で円柱形状の自己潤滑性複合材料の高温下での対外輪・対内輪摺動摩擦係数を測定した。なお、この高温外内輪回転動摩擦測定装置は、軸を組み替えることで対外輪回転と対内輪回転の両方の摺動摩擦抵抗を測定することができる。図19(a)は、高温外内輪回転動摩擦測定装置による外輪回転試験時の正面図を示し、図19(b)は高温外内輪回転動摩擦測定装置による内輪回転試験時の正面図を示す。
高温外内輪回転動摩擦係数測定装置による外輪回転時の摩擦抵抗測定について説明する。
図19(a)に示すように、外輪回転駆動軸(以下、駆動軸)418がモータ421に接続されて回転可能となっている。恒温槽420の壁面に開けられた駆動軸導入孔406から恒温槽420内に駆動軸418の先端が導入されている。
図19(a)に示すように、外輪回転駆動軸(以下、駆動軸)418がモータ421に接続されて回転可能となっている。恒温槽420の壁面に開けられた駆動軸導入孔406から恒温槽420内に駆動軸418の先端が導入されている。
駆動軸導入孔406は、駆動軸418の径よりやや大きく作られていて、両者は接触しない。駆動軸418の先端には、断面がコの字の外輪回転摺動カップ402が同軸的に取り付けられている。駆動軸418は、恒温槽420外に配置された駆動軸支持軸受419により支持されていて、駆動軸支持軸受419は、駆動軸受ハウジング415に収容支持されていて、図示しない冷却ファンによって冷却され、駆動軸418が加熱された場合も軸受の耐久性能が小さくならないように軸受温度を下げるようになっている。
外輪回転摺動カップ402(以下、カップ)は、SUS440C焼入れ焼き戻し材製で内周は研磨後スーパフィニッシュ仕上げが施され、面粗さを0.1μmRa以下としてある。外輪回転摺動カップ402の内周面最下点位置に円柱試料(本実施例の潤滑材料、以下、試料)401と相互に軸を平行にして接触している。すなわち、カップ402の内周面と試料401の外周が一本の直線で接触している。
試料401は、外輪回転連れ回り軸(以下、連れ回り軸)403の外周部に設けられた試料401と同一径の円柱形状を持った嵌合孔に嵌合されていて、連れ回り軸403から脱落することはないようになっている。連れ回り軸403は、恒温槽420の連れ回り軸導入孔407から恒温槽420内に導入されていて、恒温槽420外に配置されるもう一方の軸端部がフランジ形状となっている(軸結合用フランジ405)。
軸結合用フランジ405の他端は軸形状になっていて、軸結合用フランジ405と一体化した連れ回り軸403の軸端を形成している。連れ回り軸403の軸端には、軸固定型のトルク計414が接続されていて、連れ回り軸403の軸力(トルク)を測定することができる。
2個の軸結合用フランジ405,405同士は、断熱セラミックスリーブ(以下、断熱スリーブ)404を介して、同軸、一体的に締結されている。締結された両フランジ405,405は図示しない冷却ファンによって冷却されている。両フランジ405,405を締結するねじは断熱スリーブ404を複数介することで、フランジ405の一方にしか接触しない構造になっていて、ねじによる熱伝導を極力小さくしている。そのため、連れ回り軸403が加熱されて温度が上昇しても、その熱量はトルク計414には伝導しにくくなっており、熱によってトルク計414が破損するのを防止している。
トルク計414と連れ回り軸403とを接続しているカップリング408は、リジッドカップリングであって、カップリング408が屈曲して連れ回り軸403が撓むということはない。
駆動軸受ハウジング415は直動支持装置409に一体化していて、駆動軸418ごと上下方向にだけ直動する。モータ421は駆動軸受ハウジング415と一体化したブラケットで支持されている。
駆動軸受ハウジング415は直動支持装置409に一体化していて、駆動軸418ごと上下方向にだけ直動する。モータ421は駆動軸受ハウジング415と一体化したブラケットで支持されている。
駆動軸418はそれに接続される部品、駆動軸支持軸受419や駆動軸受ハウジング415、モータ421等の自重により、下方へ直動して、もしカップ402の中に試料401や連れ回り軸403が挿入されていなかったとしたら、駆動軸導入孔406と駆動軸418とが接触して停まることになるが、駆動軸受ハウジング415の上方に接続したウェイト牽引用ワイヤ413をプーリ411によりワイヤ413方向を変更して、ワイヤ413端に重量補償ウェイト412を接続することで重量をキャンセルすることができる。そのため、駆動軸418は、上下方向任意の位置で停止されることが可能で、駆動軸導入孔406の真ん中に位置させることができる。
駆動軸418が上下に釣り合って静止している状態で、重量補償ウェイト412の上に重ねて試験荷重用ウェイト410を積むと、駆動軸418は上昇して駆動軸導入孔406と接触して停まる。その時、駆動軸導入孔406が受けるラジアル荷重はあとに載せた試験荷重用ウェイト410の荷重そのものになる。この時、カップ402の中に試料401を保持した連れ回り軸403が挿入されているとすると、駆動軸418は試料401に接触しているため、その位置を保持しつつ、試料401は試験荷重ウェイト410と同一のラジアル荷重を受けることになる。この位置関係を保持したまま、モータ421を回転させると、カップ402が試料401と摺動しながら連れ回り軸403の周りを回転する。その時、試料401とカップ402の摺動面との間で動摩擦力が発生し、連れ回り軸403が連れ回りをしようと軸力を発生し、それがトルク計414で測定されることになる。その測定値とラジアル荷重とからその試験条件での摩擦係数を求めることができる。恒温槽420の温度を試験条件温度に設定し、十分に保持した後にモータ421の回転を行って、設定温度での摩擦係数を求める。この時、求められた摩擦係数値が、試料401に外輪回転のリングが摺動した際の摩擦係数を表している。
次に、図19(b)を参照して、高温外内輪回転動摩擦係数測定装置による内輪回転時の摩擦抵抗測定について説明する。
高温外内輪回転動摩擦係数測定装置の主たる構成は前述の外輪回転試験時の装置構成と同じであるが、駆動される軸が内輪回転摺動軸(以下、摺動軸)416に変更され、試料401は摺動軸416と軸が平行に設置され、外径が直線的に、摺動軸416の最下点位置で接触している。
高温外内輪回転動摩擦係数測定装置の主たる構成は前述の外輪回転試験時の装置構成と同じであるが、駆動される軸が内輪回転摺動軸(以下、摺動軸)416に変更され、試料401は摺動軸416と軸が平行に設置され、外径が直線的に、摺動軸416の最下点位置で接触している。
試料401は、内輪回転連れ回りカップ(以下、連れ回りカップ)417に装着されていて外輪回転試験時と同様、脱落することはない。内輪回転試験の場合も、プーリ411を介して重量補償用ウェイト410を接続することで摺動軸416を上下任意位置に静止させることができる。
その状態で、摺動軸416に連れ回りカップ417をかぶせて、試料401を接触させ、さらに試験荷重用ウェイト410を駆動軸受ハウジング415の上部に載せると、ラジアル荷重が摺動軸416を介して試料401に負荷されることになる。
その状態で、摺動軸416に連れ回りカップ417をかぶせて、試料401を接触させ、さらに試験荷重用ウェイト410を駆動軸受ハウジング415の上部に載せると、ラジアル荷重が摺動軸416を介して試料401に負荷されることになる。
モータ421を回転させると、摺動軸416は連れ回りカップ417の中で試料401と摺動しながら回転し、連れ回り軸422に軸力が生じる。それをトルク計414で測定して換算すれば、所定試験荷重時の摩擦係数が求められるのは外輪回転試験の時と同じである。
恒温槽420を試験温度に設定して十分に試料を保持し、設定温度になったのちに回転を始めれば、その温度での摩擦係数が求められる。この図19(b)の試験装置(高温外内輪回転動摩擦係数測定装置)による摩擦係数値が、試料401が接触する軸が回転(内輪回転)した時の摩擦係数を表している。
恒温槽420を試験温度に設定して十分に試料を保持し、設定温度になったのちに回転を始めれば、その温度での摩擦係数が求められる。この図19(b)の試験装置(高温外内輪回転動摩擦係数測定装置)による摩擦係数値が、試料401が接触する軸が回転(内輪回転)した時の摩擦係数を表している。
なお、本実施例では、試験条件(測定条件)を以下のように設定した。
・自己潤滑性複合材料形状(試料形状):約φ4mm×3mmの円柱スペーサ
・外輪回転試験時
・摺動カップ内径:φ30mm
・連れ回り軸外径:φ28mm
・内輪回転試験時
・摺動軸外径:φ30mm
・連れ回りカップ内径:φ32mm
(外輪回転・内輪回転とも摺動面径はφ30に設定)
・ラジアル荷重:5N
・回転速度:60min−1、360min−1
・軸受温度:300℃
・自己潤滑性複合材料形状(試料形状):約φ4mm×3mmの円柱スペーサ
・外輪回転試験時
・摺動カップ内径:φ30mm
・連れ回り軸外径:φ28mm
・内輪回転試験時
・摺動軸外径:φ30mm
・連れ回りカップ内径:φ32mm
(外輪回転・内輪回転とも摺動面径はφ30に設定)
・ラジアル荷重:5N
・回転速度:60min−1、360min−1
・軸受温度:300℃
(20)潤滑性能の評価
図19(a)に示す高温外内輪回転動摩擦係数測定装置を用いて、実施例1の自己潤滑性複合材料の摩擦係数を測定し、潤滑性能を評価した。その測定結果を図20に示す。図20では、評価開始後、約2時間の摩擦係数の経時的変化を示している。
なお、この測定では、試験条件(測定条件)を以下のように設定した。
・試料の形状:約φ4mm×3mmの円柱スペーサ
・摺動面の直径:約φ30mm
・環境:大気、及び300℃
・回転輪:外輪
・回転速度:200min−1
・ラジアル荷重:5N
図19(a)に示す高温外内輪回転動摩擦係数測定装置を用いて、実施例1の自己潤滑性複合材料の摩擦係数を測定し、潤滑性能を評価した。その測定結果を図20に示す。図20では、評価開始後、約2時間の摩擦係数の経時的変化を示している。
なお、この測定では、試験条件(測定条件)を以下のように設定した。
・試料の形状:約φ4mm×3mmの円柱スペーサ
・摺動面の直径:約φ30mm
・環境:大気、及び300℃
・回転輪:外輪
・回転速度:200min−1
・ラジアル荷重:5N
(21)回転輪と摩擦係数との関係
上述と同様の測定条件で高温外内輪回転動摩擦係数測定装置を用いて、回転輪と摩擦係数との関係を調べた。
結果を図21に示すが、環境条件として、大気、及び300℃の場合、同じ回転速度では外輪回転(リングが回転していて、摺動面はリングの内径面)の時に摩擦係数が小さい。また、回転速度60min−1と360min−1とを比較すると、60min−1の時の方が外輪回転と内輪回転の摩擦係数値の差が大きい。すなわち、300℃の場合、外輪回転かつ60min−1の時が最も摩擦係数が小さい。したがって、環境温度が300℃程度で、外輪回転、かつ60min−1程度の回転速度で使用される場合が本実施例の自己潤滑性複合材料の潤滑性能が特に発揮される条件と言える。そこで、本実施例の自己潤滑性複合材料は、例えば、テンタークリップ用軸受等に用いられるのが良い。
上述と同様の測定条件で高温外内輪回転動摩擦係数測定装置を用いて、回転輪と摩擦係数との関係を調べた。
結果を図21に示すが、環境条件として、大気、及び300℃の場合、同じ回転速度では外輪回転(リングが回転していて、摺動面はリングの内径面)の時に摩擦係数が小さい。また、回転速度60min−1と360min−1とを比較すると、60min−1の時の方が外輪回転と内輪回転の摩擦係数値の差が大きい。すなわち、300℃の場合、外輪回転かつ60min−1の時が最も摩擦係数が小さい。したがって、環境温度が300℃程度で、外輪回転、かつ60min−1程度の回転速度で使用される場合が本実施例の自己潤滑性複合材料の潤滑性能が特に発揮される条件と言える。そこで、本実施例の自己潤滑性複合材料は、例えば、テンタークリップ用軸受等に用いられるのが良い。
以上の評価結果から、本実施例の自己潤滑性複合材料を備えた玉軸受は、図22〜図24に示すようなテンタークリップ(搬送装置)に好適に用いられる。図22は、本実施例の転がり軸受が用いられるテンタークリップの構成を示す正面図である。また、図23は、本実施例の転がり軸受が用いられる搬送装置としてのテンタークリップの構成を示す斜視図である。また、図24は、本実施例の転がり軸受が用いられるテンタークリップの動作及び加熱の概要を説明する図である。
図22〜図24に示すように、このテンタークリップ710は、フィルム718を保持する保持部711と、複数の転がり軸受712と、保持部711及び転がり軸受712が取り付けられたテンタークリップ本体715と、で構成されており、軸714によって取り付けられた各転がり軸受712は内輪712aが固定輪、外輪712bが回転輪とされている。
そして、各転がり軸受712の外輪712bの外周面がフィルム延伸機(図示せず)のガイドレール719に接触するようにガイドレール719に装着したテンタークリップ710は、転がり軸受712の転動を介してガイドレール719に沿って走行するようになっている(図24中、矢印D1で表示)。外輪712bの外周面とガイドレール719との接触部を潤滑するため、走行時にはエステル油のような潤滑油が上記接触部に噴霧される。
このようなテンタークリップ710を多数用意して、フィルム718の左右両側部に保持部711を用いて取り付けた上、高温(例えば220℃)に加熱しながら略ハ字状に配置した2本のガイドレール719に沿って走行させる(例えば、矢印D2の向き、図24参照)。そうすると、フィルム718の左右両側部のテンタークリップ710は走行するにしたがって徐々に間隔が広げられ、左右方向に向いた張力がフィルム718に負荷されるから、フィルム718が延伸される。なお、前述の加熱温度(図24に示すA領域における加熱温度)は、フィルム718の材質や延伸度合いに応じて設定すればよい。
以上説明したように、本実施形態の自己潤滑性複合材料は、「高温環境下での摩擦係数が小さい」という効果を奏する。また、本実施形態の転がり軸受は、「高温環境下での耐久性能が大きい」及び「高温環境下、外輪回転での摩擦係数が小さい」という効果を奏する。したがって、本実施形態の自己潤滑性複合材料及び転がり軸受は、「高温環境用搬送装置」や、「高温環境用外輪回転搬送装置(テンタークリップ等)」といった用途に好適である。
以上、本発明の実施形態について説明してきたが、本発明はこれに限定されずに、種々の変更、改良を行うことができる。
以上、本発明の実施形態について説明してきたが、本発明はこれに限定されずに、種々の変更、改良を行うことができる。
1 転がり軸受
2 内輪
3 外輪
4 転動体
5 保持器
6 固体潤滑スペーサ
2 内輪
3 外輪
4 転動体
5 保持器
6 固体潤滑スペーサ
Claims (14)
- 二硫化モリブデン(MoS2)を60質量%〜80質量%、
コバルト(Co)及びバナジウム(V)の少なくともいずれかを0.1質量%〜2質量%、
残部に少なくとも鉄(Fe)を含有することを特徴とする自己潤滑性複合材料。 - 前記残部が、全量に対して黒鉛を2〜7質量%、タングステン(W)を2〜20質量%、鉄(Fe)を5〜20質量%含有することを特徴とする請求項1に記載の自己潤滑性複合材料。
- 二硫化モリブデン(MoS2)と鉄(Fe)とからなる潤滑粒子を主成分とする潤滑相と、コバルト(Co)及びバナジウム(V)の少なくともいずれかを含む結合相とを有することを特徴とする請求項1または2に記載の自己潤滑性複合材料。
- 前記潤滑粒子の粒径が、30〜500μmであることを特徴とする請求項3に記載の自己潤滑性複合材料。
- 前記結合相が炭素(C)及びタングステン(W)の少なくとも一方を含有することを特徴とする請求項3に記載の自己潤滑性複合材料。
- 前記潤滑相と前記結合相との面積率比が、98:2〜80:20であることを特徴とする請求項3又は4に記載の自己潤滑性複合材料。
- 鉄(Fe)とコバルト(Co)との化合物が生成されていることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の自己潤滑性複合材料。
- 前記化合物の粒径が1μm〜1mmであることを特徴とする請求項7記載の自己潤滑性複合材料。
- 粉末状の二硫化モリブデン(MoS2)60質量%〜80質量%と
、粉末状のコバルト(Co)及びバナジウム(V)の少なくともいずれか0 .1質量%〜2質量%と、少なくとも粉末状の鉄(Fe)を含有する残部とを焼結させてなることを特徴とする請求項1〜8の何れか1項に記載の自己潤滑性複合材料。 - 焼結後の圧縮強度が40MPa以上であることを特徴とする請求項9に記載の自己潤滑性複合材料。
- 形状が円柱状であることを特徴とする請求項1〜10のいずれかに記載の自己潤滑性複合材料。
- 請求項1〜11のいずれかに記載の自己潤滑性複合材料を転動体間に配置したことを特徴とする転がり軸受。
- 外輪回転で使用されることを特徴とする請求項12に記載の転がり軸受。
- テンタークリップ用軸受であることを特徴とする請求項12又は13に記載の転がり軸受。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2013149096A JP2015021539A (ja) | 2013-07-18 | 2013-07-18 | 自己潤滑性複合材料、並びにそれを用いた転がり軸受 |
Applications Claiming Priority (1)
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Publication Number | Publication Date |
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JP2015021539A true JP2015021539A (ja) | 2015-02-02 |
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ID=52486175
Family Applications (1)
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JP2013149096A Pending JP2015021539A (ja) | 2013-07-18 | 2013-07-18 | 自己潤滑性複合材料、並びにそれを用いた転がり軸受 |
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Country | Link |
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JP (1) | JP2015021539A (ja) |
-
2013
- 2013-07-18 JP JP2013149096A patent/JP2015021539A/ja active Pending
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