JP2015020045A - 人工骨顆粒補填治具 - Google Patents
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Abstract
【課題】 粉体や顆粒状の人工骨材料を骨欠損部に補填する時に、狙った部位に、周囲への散らばりや脱落なしに、術野の体内の深い部分まで、補填量を制御しながら補填ができる人工骨補填治具である。【解決手段】本発明装置は指で押すことで変形可能な材質で作られたインナー部材とアウター部材で構成され、アウター部材にはフタが圧入されており、内部の人工骨の排出を制限している。人工骨を補填する時に、インナー部材をスライドさせる事により圧入されたフタを押しのけてインナー部材が外部に突出して、人工骨を外部に排出することができる。この時フタと装置が係留される構造となっており、フタが補填部に脱落することがない構造となっている。また、補填治具のアウター部材の上から指で押すことにより、スロート部を指でもみほぐすような効果が得られ、スロート部内壁面の詰まりを解除できる。これによって人工骨補填作業を容易に行い、補填作業の確実化と手術時間の短縮が可能な構造となっている。【選択図】図1
Description
本発明は、粉末状や顆粒状の人工骨材料を補填するための補填治具に関するものである。
事故や病気などの疾患により骨に欠損部が生じたときの治療として、欠損した骨を修復するためにHA(ハイドロキシアパタイト)やβ−TCP(β−リン酸三カルシウム)などの人工骨材料が治療材料として手術に使用されている。
これらの手術は主に整形外科医によって行われ、疾患部分の状況により粉末状あるいは顆粒状の人工骨材料の小片を、鋭匙又は医療用のさじ、あるいはスプーン等を用いて、欠損により生じた骨の空隙部へ補填することが行われている。
しかし、この鋭匙などを用いた補填作業は粉末や顆粒が周辺の軟部組織へこぼれ落ち、あるいは散らばり、目的とする部位へ十分に充填されないことで作業性が悪く、円滑な手術の妨げとなっていた。
手術中に人工骨材料の粉末や顆粒が、補填を避けたい周辺の軟部組織にこぼれ落ちて付着してしまうと、これを取り除くために生理食塩水を用いて流し取るか、あるいは軟部組織に付着した1粒1粒をピンセットを用いて除去する必要があり、手術時間の増大となっていた。
上記の不具合の改善策として金属で作られたロート状の治具を用いる事があるが、ロートの内部で粉体や顆粒がひっかかり詰まりが生じやすく作業性が悪かった。HA製やβ−TCP製の人工骨は硬度が高く、表面に角があるためロート内面に詰まり易く、無理に押し込むとロート内面を削る事となり、削られたロートの素材が人工骨材料に混ざり問題となるところである。
また、股関節手術などのように術野の深い位置に人工骨材料の補填が必要となった場合、必然的に先端部の長いロートを使用するが、ロートの口元から粉体や顆粒を充填する作業とロートの先端部から排出されるタイミングに時間差があるため、手術者が必要とする補填量を正確に制御することが困難であった。
なし
解決しようとする課題は、人工骨の補填が必要な手術において、粉末状や顆粒状の人工骨材料を骨欠損部に補填する時に、周辺の組織部への散らばりや脱落なしに速やかに狙った場所へ補填することができないことである。
また、粉末状や顆粒状の人工骨材料を補填する時、手術者が適量と考える補填量にするための補填操作が行えないことである。
本発明は、粉末状や顆粒状の人工骨材料を骨欠損部へ補填する時に、狙った部位に、正確に、速やかに、補填量を制御しながら所望する量を補填することを可能とする人工骨顆粒補填治具である。
補填治具はインナー部材とアウター部材の二つの部材で構成され、インナー部材の外径とアウター部材の内径を見ると、アウター部材の内径がやや大きく作られ、インナー部材がアウター部材に挿入された状態で軸方向へのスライドが円滑に行われる構造となっている。
インナー部材には粉末あるいは顆粒の人工骨を充填するためのロート状の形をした投入口があり、投入された人工骨を内部に貯留するための内部空間の役目を担うスロート部がある。
アウター部材の片側端部の口元には、口元の形状に合わせた形状を持ったフタがあり、このフタを圧入することで口元を閉鎖することが可能な構造となっている。
インナー部材のロート部から充填された人工骨は重力で下方向に流れ落ちるが、排出口まで届いた時点で、アウター部材の口元にフタが圧入されているため通路が塞がられ、スロート部から排出されることが妨げられる。
人工骨をスロート部材に一定量充填した後、人工骨顆粒補填治具の排出口を補填したい患部の近傍へ近づける。
人工骨顆粒補填治具の排出口を補填したい患部の近傍へ近づけてから、インナー部材をアウター部材に押し込むようにスライドさせることで、インナー部材の排出口がアウター部材の口元に圧入されたフタを押しのけて、外部に突出することができる。
その結果排出口からは、充填された人工骨が排出される。インナー部材に充填されていた人工骨のみが排出されるので、はじめにインナー部材への充填量を調節することで、補填量の調節が可能となっている。
人工骨の排出は、インナー部材の排出口近傍の狙った部位のみに排出されるので軟部組織への散らばりや周辺部位への飛散を避けることができる。
アウター部材もインナー部材も指で押すことにより断面の形状が変化する剛性を持った材質で作られているため、アウター部材の外部からインナー部材のスロート部を指で押すことにより、スロート部にも変形する力が伝わり、指でもみほぐすと言った効果が働き、スロート内側に引っかかって落ちない顆粒状人工骨材料を下方向へ落とすことができる。
インナー部材、アウター部材の材質はプラスチックの場合はABS、ポリカーボネート、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリスチレン、ポリアミド、ポリ乳酸、塩ビ、等が適切である。
本発明による人工骨顆粒補填治具は、粉末状や顆粒状の人工骨材料を周辺の組織への散らばりや脱落が無く、狙った部位へ、補填量を制御しながら適量な供給ができるため、これらの正確な補填作業により手術時間の短縮が図られる利点がある。
図1は補填治具の全体図である。左側の図はインナー部材で、人工骨材料を内部に投入するためのロート部と充填された人工骨を貯留するための貯留空間となるスロート部を備えている。
供給される顆粒の人工骨材料の最大径を包括できる大きさのスロート部の内接円径は、粉末状の人工骨材料であっても最少内接円径は2mm以上あった方がよい。それ以下では、内壁面への付着が強く、なかなか落下しにくい。その場合に指で変形可能な厚みを考慮すると、スロート部の内接円径が小さい場合は、肉厚はできるだけ薄くする方がよい。結果、スロート部の内接円径を2mm以上とし、肉厚は0.015mm以上が適切である。
使用頻度の高い顆粒状人工骨材料は最大粒径が8mm以下のものが多く使われている。この場合は、スロート部の内接円径が最大粒径より若干大きい8.1mm程度で、肉厚は0.03mm以上1.5mm以下のプラスチックからなることが、指による変形可能な厚みを考慮すると、より適切になる。
図1の中央の図はアウター部材で、インナー部材を挿入するための筒形状部があり、筒形状部の一方に補填具を手で保持するためのフランジが付き、他方が排出側となっており、排出口の口元には排出口を塞ぐためのフタを圧入できる構造となっている。フタはヒンジによりアウター部材に係留され、フタを外しても脱落しない構造となっている。
図2は使用状態を示している。ロート部から人工骨顆粒を充填すると、顆粒はスロート部の内部を満たすが、アウター部材の排出口元をフタによって閉鎖されているため、そこから下へ排出されることができない。
スロート部がほぼ透明部材で作られているため、外部から目視によってスロート部の充填状況が把握でき、ロート部からの投入量を調節することができる。
ロート部へ人工骨顆粒を投入し、所望な量の人工骨がスロート部に収納された状態で、人工骨顆粒の投入を停止し、アウター部材の排出口を補填を行う患部に近づける。
図2の▲2▼のように、インナー部材あるいはアウター部材のいずれかをスライドさせることにより、インナー部材の排出口がアウター部材のフタを押しのけ、排出口を外部に突出させることができ、これによって排出口から人工骨が排出され患部へ補填することができる。
アウター部材の方がインナー部材よりも長さが短いために、スライド操作を容易におこなうことが可能である。
インナー部材のスロート部の内壁面に顆粒が引っかかっている場合、指でアウター部材の筒形状部をもみほぐすことにより、その動作がインナー部材のスロート部にも伝わり、顆粒が内壁面から外れて下に排出される。
所望量の人工骨補填が完了後に、補填治具を待避させるが、この時にフタも待避させることができる。
歯科での人工骨補填は口腔内への補填となるため、スロート部の長さは30ミリ程度が望ましい。これ以上短いと作業性が落ちる。一方で、人工股関節手術での人工骨補填作業では術野の奥深い部分への補填となるためある程度の長さが必要である。最大で500mm程度となる。そこで、人工骨顆粒補填治具の長さは30ミリ以上、500ミリ以下が適切である。
これらの人工骨顆粒補填治具の材質はインナー部材、アウター部材の材質はプラスチックの場合はABS、ポリカーボネート、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリスチレン、ポリアミド、ポリ乳酸、塩ビ、等が適切である。
図3はアウター部材とフタが紐で係留された図を示す。実施例1と同様にインナー部材の排出口によって押しのけられ外されたフタが、紐によって係留されることで、脱落が防げる構造となっている。その他は実施例1と同じである。
図4は係留用にフタに取り付けられた紐が、インナー部材とアウター部材の隙間を通り、手元操作部まで設置された図である。
図5はフタに取り付けられた係留用の紐の拡大図である。
紐はインナー部材の内部を貫通させる様に取り付けても良い。
その他は実施例1と同じ同じである。
図6はフタを係留するための紐がインナー部材の排出口からロート部を通り、外部へ引き回された図を示す。アウター部材の排出口側の先端にはフタが圧入され、フタに付けられた係留用の紐が手元操作部まで引き回してある。
この状態でロート部から人工骨顆粒をインナー部材の内部に投入する。所望の量を充填後に、補填を行おうとする部位へ排出口を近づける。
補填を行う位置に十分に狙いを付け、インナー部材をスライドさせることでフタを押しだし、排出口を外部に突出させて人工骨の排出を行う。
適量が排出された時点でインナー部材をスライドさせて内部に引き込むと同時に係留用の紐を引っ張ることによって、フタは再度、アウター部材の口元に引き寄せられて圧入されることで排出口を閉鎖することができる。これらの操作を補填作業中におこなうことで、所望量を調整しながら人工骨補填作業が可能となる。
その他は実施例1と同じ同じである。
Claims (7)
- 粉末状あるいは顆粒状の人工骨材料を充填するためのロート状の投入口を持ち、
ロートの首から連続して断面形状が円または多角形の筒形状のスロート部があり、スロート部の筒形状の反対側には人工骨材料を排出するための排出口を持った構造で構成されたインナー部材があり、
インナー部材のスロート部の外径よりも若干大きい内径で作られた筒状の筒形状部を持ち、筒形状部の片側端部に筒を閉鎖するためのフタが取り付け可能となったアウター部材があり、インナー部材がアウター部材に挿入されており、
アウター部材の片側端部に圧入が可能な形状を持ったフタがあり、
このフタをアウター部材に圧入して装着後、
インナー部材を排出口方向にスライドすることにより、インナー部材の排出口がフタを押しのけて外部に突出し、スロート部に充填された人工骨材料を外部に排出することを特徴とする人工骨材料の補填治具。 - 請求項1の人工骨補填治具でフタがインナー部材によって押しのけられた後も、補填具とフタを係留する部材によって、フタが補填治具から脱落せずに、補填治具に間接的に取り付けられた状態を維持する構造となっていることを特徴とする人工骨材料の補填治具。
- 請求項1または請求項2の補填治具であって、インナー部材のスロート部及びアウター部材の筒形状部の材質が、指で押すことで容易に断面の形状を変化させるができる厚みと剛性との組み合わせをもつ材質からなることを特徴とする人工骨材料の補填治具。
- 請求項1または請求項2または請求項3において、インナー部材のスロート部及びアウター部材の筒形状部のすべて、あるいは一部が透明の素材で作られ、内部に充填された人工骨材料の内容量や充填状況を外部から目視で確認できることを特徴とする補填治具。
- 請求項1または請求項2または請求項3の補填治具であって、インナー部材のスロート部の内接円径が2mm以上で、インナー部材のスロート部とアウター部材の筒形状部の肉厚が0.015mm以上のプラスチックからなることを特徴とする人工骨材料の補填治具。
- 請求項1または請求項2または請求項3の補填治具であって、インナー部材のスロート部の内径を、ロート部に近い側とロート部に遠い側で比較すると、ロート部に遠い側の方が、内径が広いことを特徴とする人工骨材料の補填治具。
- 請求項1または請求項2または請求項3の補填治具であって、インナー部材のスロート部の長さと、アウター部材の筒形状部を比較すると、インナー部材のスロート部の方が長いことを特徴とする人工骨材料の補填治具。
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- 2013-07-19 JP JP2013162740A patent/JP2015020045A/ja active Pending
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