JP2015018771A - 有機エレクトロルミネッセンス素子及び照明装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】反射性を向上するとともに、ショート不良を抑制し、光取り出し効率が高く電気的信頼性の高い有機エレクトロルミネッセンス素子を提供する。【解決手段】有機エレクトロルミネッセンス素子は、光透過性電極2と、光透過性電極2と対となり光反射性を有する対電極4と、光透過性電極2と対電極4との間に配置される発光層3とを備えている。対電極4は、Ag又はAgを含有する合金により構成されている。対電極4の発光層3とは反対側に、補助反射体6が設けられている。補助反射体6は、接着層5により接着されて固定されている。【選択図】図1
Description
本発明は、有機エレクトロルミネッセンス素子及びそれを用いた照明装置に関する。
有機エレクトロルミネッセンス素子(以下「有機EL素子」ともいう)として、基板の上に設けられた陽極と陰極との間に、ホール注入層、ホール輸送層、発光層、電子輸送層、電子注入層などの機能層を積層させた構造のものが一般的に知られている。有機EL素子では、陽極と陰極の間に電圧を印加することによって、発光層で発した光が面状に外部に取り出される。
有機EL素子では、光透過性の電極を通して光が外部に取り出される。その際、光透過性の電極の対となる電極を反射性の電極で構成し、発光層からの光を反射性の電極で反射させて、外部に光を取り出す構造が知られている。反射性の電極を用いることにより、光を外部に効率よく取り出すことができる。
有機EL素子においては、光取り出し効率が重要であり、光取り出し性をより高める構造が開発されている。特許文献1では、全反射ミラーとハーフミラーとの間に発光層を設けて共振構造を形成することによって、高輝度を得る技術が開示されている。しなしながら、この構造は、各層における厚みの設定が難しく、素子を簡単に形成することができないおそれがある。
また、光反射性を高める構造として、反射性の電極の反射率を上げることが考えられる。例えば、電極材料として銀を用いると、銀は反射性の高い金属であるため、電極の反射性が向上することが期待される。
しかしながら、銀は成膜時に回り込んで積層される性質を有するため、異物等が混入した場合にショート不良が発生しやすく、銀を含む電極を信頼性高く形成することは容易ではない。また、反射性向上のために銀を多く使うとコスト高となる場合があり、経済性が低下してしまうおそれがある。
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、反射性を向上するとともに、ショート不良を抑制し、光取り出し効率が高く電気的信頼性の高い有機エレクトロルミネッセンス素子及び照明装置を提供することを目的とするものである。
本発明に係る有機エレクトロルミネッセンス素子は、光透過性電極と、前記光透過性電極と対となり光反射性を有する対電極と、前記光透過性電極と前記対電極との間に配置される発光層と、を備えた有機エレクトロルミネッセンス素子であって、
前記対電極は、Ag又はAgを含有する合金により構成され、
前記対電極の前記発光層とは反対側に、補助反射体が設けられ、
前記補助反射体は、接着層により接着されて固定されていることを特徴とするものである。
前記対電極は、Ag又はAgを含有する合金により構成され、
前記対電極の前記発光層とは反対側に、補助反射体が設けられ、
前記補助反射体は、接着層により接着されて固定されていることを特徴とするものである。
上記の有機エレクトロルミネッセンス素子にあっては、前記接着層の厚みは、8〜100μmであることが好ましい。
上記の有機エレクトロルミネッセンス素子にあっては、前記補助反射体は、誘電体多層膜を有することが好ましい。
上記の有機エレクトロルミネッセンス素子にあっては、前記対電極の屈折率は、波長440〜460nm、波長550〜570nm、及び、波長610〜630nmにおいて、0.17以下であり、前記対電極の消衰係数は、波長440〜460nm、波長550〜570nm、及び、波長610〜630nmにおいて、5.0以下であることが好ましい。
上記の有機エレクトロルミネッセンス素子にあっては、前記光透過性電極の前記発光層とは反対側に光透過性基板を備え、前記光透過性基板の前記光透過性電極側の表面に、光取り出し構造が設けられていることが好ましい。
本発明に係る照明装置は、上記の有機エレクトロルミネッセンス素子を備えている。
本発明によれば、対電極が銀を含むとともに、補助反射体と拡散阻害層とが設けられるので、反射性が向上するとともに、ショート不良が抑制され、光取り出し効率が高く電気的信頼性の高い有機エレクトロルミネッセンス素子及び照明装置を得ることができる。
本発明に係る有機エレクトロルミネッセンス素子(有機EL素子)は、光透過性電極2と、光透過性電極2と対となり光反射性を有する対電極4と、光透過性電極2と対電極4との間に配置される発光層3とを備えている。対電極4は、Ag又はAgを含有する合金により構成されている。対電極4の発光層3とは反対側に、補助反射体6が設けられている。補助反射体6は、接着層5により接着されて固定されている。この有機EL素子では、対電極4が銀を含むとともに、補助反射体6が設けられることにより反射性を高めることができる。また、対電極4を銀又は銀合金で構成した場合であっても、対電極4は補助反射体6で反射可能な程度の薄い厚みで構成されているため、ショート不良を低減することができる。また、補助反射体6は接着層5により接着されて固定されているため、補助反射体6が剥がれることが抑制される。そのため、反射性を高めるとともに、ショート不良を抑制することができ、光取り出し効率を向上することができるとともに、電気的信頼性を高めることができる。
図1は、有機EL素子の実施形態の一例を示している。この有機EL素子は、光透過性電極2と発光層3と対電極4と接着層5と補助反射体6とを有している。これらは、支持基板として機能する光透過性基板1に支持されている。補助反射体6は、接着層5により対電極4に接着されている。図1では、発光層3の厚み方向の境界部分を破線で示している。図1の白抜き矢印は、光の出射方向である。
光透過性電極2と対電極4との間には、発光層3を含む複数の機能層により構成される有機層9が設けられている。有機層9の全体は、機能層の集合体により構成される。光透過性電極2、有機層9及び対電極4の積層体が、有機発光体10となる。なお、発光に支障がないのであれば、有機層9が単一の発光層3で構成される構造であってもよい。
有機発光体10は、光透過性基板1の表面に設けられている。光透過性基板1は、発光積層体を支持する基材となる。有機発光体10の積層形成時には、光透過性基板1の上に各層が順に重ねられて積層される。例えば、図1では、光透過性基板1の上に、光透過性電極2、有機層9を構成する各機能層、対電極4の順に積層される。
図1の有機EL素子は、光透過性を有する光透過性電極2が光透過性を有する光透過性基板1の表面に形成されている。光透過性基板1の上に光透過性電極2を形成する場合、有機EL素子をより容易に製造することができる。光透過性基板1は支持基板となる。そして、発光層3で発した光は光透過性基板1側から取り出される。この有機EL素子は、いわゆるボトムエミッション構造の素子である。もちろん、有機EL素子は、ボトムエミッション構造に限られるものではなく、トップエミッション構造であってもよい。トップエミッション構造では、光透過性基板1は封止基板を構成することができ、対電極4の発光層3とは反対側に、光透過性基板1と対向する支持基板が設けられる。この場合、対電極4は、支持基板の上(表面)に形成される。
光透過性基板1は、適宜の基板材料によって構成される。例えば、ガラスであってよい。ガラスを用いた場合、有機発光体10を良好に形成し、支持することができる。また、ガラスを用いれば、水分の浸入を抑制することができ、有機層9の劣化を抑制することができる。ガラスを用いる場合、屈折率の高いガラスを用いることもできる。それにより、屈折率差を低減することが可能である。高屈率ガラスの屈折率は例えば1.7〜1.9程度である。もちろん、屈折率が1.7以下の一般的なガラスを用いてもよい。また、プラスチックにより光透過性基板1を構成してもよい。プラスチックの光透過性基板1を用いれば、取り扱い性を高めることができる。この場合、プラスチックは防湿性を有することが好ましい。プラスチックは可撓性があるため、フレキシブルな素子を形成することが可能になる。また、光透過性基板1として、ガラスとプラスチックとが積層された複合基板を用いることもできる。複合基板では、光取り出し性を高めることができる。複合基板で光透過性基板1を構成する場合、光取り出し側(外部側)にガラスを配置し、第1電極2側(内部側)にプラスチックを配置することが好ましい。それにより、光取り出し性と防湿性とを高めることができる。
光透過性電極2は適宜の電極材料で形成することができる。例えば、光透過性を有する金属薄膜、金属酸化物膜などが挙げられる。金属酸化物膜としては、ITO、IZO、AZOなどが例示される。また、光透過性電極2は、金属酸化物と金属薄膜の積層膜などで構成してもよい。例えば、ITO/Ag、Ag/ITO、Ag合金/ITO、ITO/Ag合金などの積層膜が挙げられる。ここで、Ag合金としては対電極4で説明する材料を用いることができる。なお、積層膜の表記における「/」は層の境界を示し、「/」の前が下層(光透過性基板1側)、「/」の後が上層(対電極4側)を表す。光透過性電極2は陽極を構成することもできるし、陰極を構成することもできる。好ましい一態様では光透過性電極2は陽極となる。
光透過性電極2は、可視光領域の消衰係数の小さいことが好ましい。例えば、光透過性電極2の可視光領域の消衰係数は、0.05以下にすることができるが、これに限定されるものではない。
光透過性電極2は、電荷の移動度が30〔cm2/Vs〕以上でかつキャリア密度が1×1021〔/cm3〕未満であることが好ましい。それにより、同じ抵抗値で光透過性電極2を構成した場合に、可視光領域内の赤外域に近い領域での光吸収を抑制することができるため、吸収ロスを低減することができる。すなわち、電荷の移動度及びキャリア密度がこの範囲から外れると、同抵抗では、近赤外領域で消衰係数が大きくなり光吸収性が高くなる傾向があるが、上記のように電荷の移動度及びキャリア密度を設定すると、この現象を低減させることが可能である。このことは実験によって確認されている。電荷の移動度の上限は特に制限がないが、例えば50〔cm2/Vs〕以下であってよい。キャリア密度は、好ましくは1×1020〔/cm3〕以上であり、より好ましくは5×1020〔/cm3〕以上である。
有機層9は、光透過性電極2と対電極4との間で、機能層の集合体である機能層群を構成している。機能層群を構成する有機層9は、有機EL素子を駆動させて発光を生じるための適宜の層の積層体によって構成される。複数の機能層の少なくとも一つは発光層3である。発光層3は、発光材料を含む層であり、電子と正孔(ホール)とが結合して、発光を生じさせる層である。発光層3は、通常、発光材料としてドーパントと、このドーパントをドープするための母体とから構成される。
有機層9は、複数の発光層3を有するものであってよい。その場合、複数の発光層3のうちの各発光層3は、発光材料が異なる層であってよい。また、複数の発光材料は、発光する光の波長が異なるものであってよい。例えば、赤色発光層と緑色発光層と青色発光層との少なくとも三つの発光層3を設け、赤緑青の三色の発光を生じさせれば、種々の色を作り出すことが可能である。特に、三色の発光を得るようにすると、白色発光が可能であり、照明として有用な有機EL素子を得ることができる。なお、白色発光は、例えば青と橙の二色発光などでも可能である。ただし、三色発光の方がより発光特性の良好な白色発光を得ることできる。
複数の発光層3を設ける場合、図1では発光層3は一つ図示しているが、この発光層3の位置に、複数の発光層3を設けるようにしてもよい。また、有機EL素子は、マルチユニット構造であってもよい。マルチユニット構造は、陽極と陰極とで挟んで電圧を印加すれば発光する機能を有する機能層の集まりを1つの発光ユニットとして、複数の発光ユニットを中間層を介して積層した構造である。この場合の中間層としては、光透過性および導電性を有する層や、一方のユニットに正孔を送るとともに他方のユニットに電子を送ることが可能な構造体や、電荷発生層などが挙げられる。マルチユニット構造では、1つの陽極と1つの陰極との間に、厚み方向に重なる複数の発光ユニットが電気的に直列接続して配置される。
有機層9は発光層3を一つだけ有するものであってもよい。その場合、簡単な構成で有機EL素子を得ることができる。発光層3は、複数の場合及び一つの場合のいずれにおいても、複数の発光材料を含んでもよい。したがって、発光層3が一つの場合においても、発光層3が波長の異なる複数の発光材料を含めば、白色発光が可能である。ただし、照明用途として良好な白色発光を得るためには、発光層3は複数設けられることがより好ましい。
有機層9を構成する個々の機能層は、発光層3の他に、正孔注入層、正孔輸送層、電子輸送層、電子注入層、中間層等が例示される。有機層9内における発光層3以外の層は、通常、電荷(正孔又は電子)を移動させる機能を有する層が含まれる。ここでは、有機層9のうち、発光層3以外の層を電荷移動層8と定義する。電荷移動層8は、複層構造であってもよいし、単層構造であってもよい。要するに電荷(正孔又は電子)を移動させる機能を有すればよい。
電荷移動層8は、発光層3の光透過性電極2側に配置される第1電荷移動層8aと、発光層3の対電極4側に配置される第2電荷移動層8bとにより構成される。光透過性電極2が陽極を構成し対電極4が陰極を構成する場合、第1電荷移動層8aは、正孔を移動させる機能を有する層で形成することができる。正孔の移動は、正孔の注入及び/又は輸送と定義され得る。この場合、例えば、第1電荷移動層8aは、光透過性電極2側から、正孔注入層及び正孔輸送層によって構成することができる。光透過性電極2が陽極を構成し対電極4が陰極を構成する場合、第2電荷移動層8bは、電子を移動させる機能を有する層で形成することができる。電子の移動は、電子の注入及び/又は輸送と定義され得る。この場合、例えば、第2電荷移動層8bは、対電極4側から、電子注入層及び電子輸送層によって構成することができる。
ここで、電荷移動層8を構成する複数の機能層のうち、対電極4と接する層は、電荷注入層で構成されていてもよい。この電荷注入層は、対電極4が陰極を構成する場合、電子注入層となる。電荷注入層は仕事関数の小さな金属単体の層であってもよい。例えば、電荷注入層(電子注入層)は、Li、Mg、Na、Csなどで構成することができる。ただし、電荷注入層を金属単体の層で形成する場合、光取り出し性を高めるためには、電荷注入層の厚みは10nm以下であることが好ましい。特に本形態では、対電極4は薄膜で構成され得るので、電荷注入層の厚みはこの範囲が好ましい。電荷注入層は、電荷注入性の観点から、例えば、1nm以上であってよい。また、電荷注入層(電子注入層)として、金属と有機膜との混合膜を用いることも可能である。この混合膜は、金属が有機膜に含有した層として構成され得る。この場合の電荷注入層の厚みは、特に限定されない。電子注入層となる混合膜としては、例えば、Liと電子輸送性有機膜との混合膜、Naと電子輸送性有機膜との混合膜、アルカリ金属又はアルカリ土類金属と電子輸送性膜との混合膜、LiO2やLiqなどと電子輸送性有機膜との混合膜などが挙げられる。また、混合膜として、有機電子ドーパントと電子輸送性有機膜との混合膜なども例示される。なお、電荷注入層は電荷移動層8の一部であり、有機層9の一部となる。有機層9は、光透過性電極2と対電極4との間に配置された積層構造と定義される。よって、ここでは、電荷注入層が金属単体の場合でも、光透過性電極2と対電極4との間に配置された積層構造が有機層9となる。すなわち、有機層9は、全体として有機物を含む積層構造であればよく、その一部に無機材料の層が設けられていてもよい。
対電極4は、光透過性電極2と電気的に対となる電極である。光透過性電極2と対電極4とに電圧を印加することにより、電極間に電流が流れ、発光層3で発光が生じる。
光透過性電極2及び対電極4は、一方が陽極で他方が陰極を構成する。一の態様では、光透過性電極2を陽極とし、対電極4を陰極とすることができる。他の態様では、光透過性電極2を陰極とし、対電極4を陽極とすることができる。図1の有機EL素子では、光透過性電極2を陽極とし、対電極4を陰極とする構造がより好ましい。それにより、発光効率の高い素子をより容易に製造することができる。
対電極4は、Ag又はAgを含有する合金により構成されている。Ag又はAgを含有する合金(銀合金)を用いることにより光反射性を高めることができる。銀は光反射性の電極となり得る他の金属材料よりも可視光領域における光反射性が高いため、銀を用いることによって高い反射性が得られるのである。また、銀は導電性が高いため、厚みを薄くしても電極としての機能を確保することが可能である。
対電極4は、光反射性を有していることが好ましい。それにより、発光層3から対電極4側に進む光を反射させて光の進路を光透過性電極2側に変更し、光透過性電極2側から光を取り出すことができる。ただし、対電極4は、光を全部反射させるのではなく、一部を透過させることが好ましい。すなわち、対電極4は、光透過性を有することが好ましい。それにより、対電極4が光透過性を有するほどの薄膜となってショート不良を抑制するとともに、補助反射体6による反射性を得やすくすることができる。対電極4は、好ましくは、光透過性を有する光反射性電極として構成される。
Agを含有する合金(Ag合金)としては、例えば、Agを主成分として含み、Al、Pt、Rh、Mg、Au、Cu、Zn、Ti、Pd、Nd、Bi、及び、Niから選ばれる1種以上の金属を含む合金が挙げられる。具体的には、AgBi、AgPd、AgMg、AgNdCu、AgPdCuなどが例示される。Ag合金は、Agの含有比率が高い方が好ましい。それにより、反射性を高めることができる。例えば、Ag合金におけるAgの含有比率は重量比で、90%以上が好ましく、95%以上がより好ましく、98%以上がさらに好ましく、99%以上がよりさらに好ましい。
図2は、有機EL素子を構成する層の積層の様子の一例を示している。この図では、銀又は銀合金で構成される対電極4が積層された直後の様子が示されている。図2によって、対電極4の成膜を起因とするショート不良の発生のメカニズムの一例を説明する。図2(a)及び(c)は対電極4の厚みが薄い場合、図2(b)及び(d)は対電極4の厚みが厚い場合を示している。
図2で示すように、有機EL素子においては、光透過性基板1の上に、各層が順に積層されて有機発光体10を含む積層構造が形成される。積層は、蒸着、スパッタ、塗布などを適宜組み合わせて行うことができる。光透過性電極2は、蒸着又はスパッタで形成することが好ましい。有機層9の全部又は一部は、蒸着で形成することが好ましい。対電極4は、蒸着又はスパッタで形成することが好ましい。蒸着及びスパッタでは、真空プロセスが可能である。真空プロセスでは水分の侵入を抑制することができる。
積層にあたって、光透過性電極2は、表面が平坦な層として形成され得る。また、図2(a)及び(b)のように、有機層9のうちの光透過性電極2に隣接する層である第1有機層9a(例えば正孔注入層)においては、表面が平坦な層として形成される場合がある。例えば、第1有機層9aが塗布により形成されると、表面がより平坦な面となる。もちろん、第1有機層9aは蒸着やスパッタによって形成されてもよい。なお、正孔注入層は、有機材料で構成される場合だけでなく、無機材料で構成される場合もある。無機材料としては、MoO3、WO3などが例示される。また、正孔輸送性の高い有機材料とこれら無機材料の混合膜でもよい。正孔注入層が無機材料で構成される場合も、正孔注入層は有機層9の一部となる。
ここで、積層を行うにあたっては、積層プロセスの途中で、異物Xが混入する場合がある。図2(a)及び(b)では、第1有機層9aの上に異物Xが付着している様子を示している。この場合、第1有機層9aを形成した後、この上に積層される第2有機層9bを形成するのに際して、異物Xが混入し得る。第2有機層9bは、発光層3及び電荷移動層8などの複数の機能層を含む多層構造であってよい。異物Xの混入は、第1有機層9aと第2有機層9bとの積層プロセスが異なる場合においてより発生しやすい。例えば、第1有機層9aを塗布で形成し、第2有機層9bを蒸着で形成する場合には、異物Xが混入しやすくなる。もちろん、第1有機層9a及び第2有機層9bをともに蒸着で形成する場合であっても、積層方法によっては、異物Xが混入するおそれがある。また、図2(c)及び(d)で示すように、光透過性電極2と有機層9との界面において異物Xが混入する場合もある。この例では、光透過性電極2の表面に、異物Xが付着している様子が示されている。なお、この場合の有機層9は第1有機層9aと第2有機層9bとを合わせたものとなる。
図2(a)及び(b)で示すように、異物Xが混入した場合、第2有機層9b及び対電極4は、第1有機層9aの上だけでなく、異物Xの上に形成される。異物Xの上に形成された第2有機層9b及び対電極4は、第1有機層9aの上に正常に形成された第2有機層9b及び対電極4とは分断されている。図2(a)及び(b)では、第2有機層9bの分断部分は有機層分断部9xで示され、対電極4の分断部分は対電極分断部4xで示されている。このとき、異物Xと第1有機層9aとの間では、第2有機層9bの積層時に異物Xの影に隠れるため、第2有機層9bが積層されなくなくなったり、第2有機層9bの積層量が少なくなったりする可能性がある。そして、第2有機層9bは異物Xの近傍では、異物Xの中央に近づくほど徐々に厚みが小さくなる可能性がある。これにより、異物Xと第2有機層9bの間に隙間が形成され得る。図2(c)及び(d)の場合も同様に、有機層9が分断されて形成され、異物Xと有機層9の間に隙間が形成され得る。
そして、対電極4を形成した場合、対電極4の材料となっている銀は成膜時の回り込みがよいため、異物Xと第2有機層9b(有機層9)との間の隙間に入り込んで積層されやすくなる。銀は光反射性電極となり得る他の金属材料よりも回り込みを起こしやすいからである。
このとき、図2(b)で示すように、対電極4である銀含有層の厚みが厚いと、対電極4が異物Xによってできた隙間に入り込んで、対電極4が第1有機層9aに接触する可能性が高くなり、ショート不良の原因となる可能性がある。また、図2(d)のように、光透過性電極2の上に異物Xが混入されている場合には、対電極4(銀含有層)の厚みが厚いと、対電極4が光透過性電極2に直接接触し、ショート不良の原因となる可能性もある。異物Xによって形成された隙間に対電極4が侵入した部分はリークポイント(LP)となる。リークポイントとは、正常なルートで電流が流れず、電流が漏れ流れる部位である。リークポイントが生じると、ショート不良の原因となる。
しかしながら、図2(a)及び(c)で示すように、対電極4(銀含有層)が補助反射層6で光を反射できる程度まで光透過が可能なように厚みが薄くなると、対電極4は異物Xによってできた隙間に入り込みにくくなり、対電極4が第1有機層9aに接触したり、光透過性電極2に接触したりすることを抑制することができる。そのため、ショート不良を低減することができ、電気的信頼性を高めることができるのである。また、対電極4の厚みがより薄いと、対電極4に用いられる銀の量を減らすことができるため、より安価に対電極4を形成することができるという利点がある。
対電極4は薄膜で構成され得る。すなわち、対電極4はAg薄膜、又は、Ag合金薄膜で構成され得る。銀を含有する対電極4が薄膜となることにより、銀の回り込みを抑制して、電気的信頼性を高めることができる。
対電極4の厚みは120nmより小さいことが好ましい。対電極4は銀又は銀合金で形成されるものであるが、対電極4の厚みが120nmを超えると、銀の積層によってショート不良が発生しやすくなるおそれがある。対電極4の厚みが厚くなると純銀に近づく。また、対電極4の厚みが厚くなると銀の使用量が増加するため安価に対電極4を形成しにくくなるおそれがある。また、対電極4の厚みが120nmを超えると、光を全て反射する可能性が高くなり、補助反射体6による反射作用を得にくくなるおそれがある。それらの観点から、対電極4の厚みは110nm以下であることがより好ましい。対電極4の厚みはより好ましくは60nm以下である。それにより、ショート不良をさらに抑制することができる。
対電極4の厚みは10nm以上であることが好ましい。それにより、対電極4の光反射性を高めることができ、銀又は銀合金による高い反射作用を得ることができる。なお、対電極4の厚みが薄くなりすぎると、対電極4の通電性が低下するおそれがある。ただし、銀は導電性が高いため、対電極4の厚みが10nmに満たない場合でも、十分な導電性を確保することは可能である。対電極4の厚みはより好ましくは10〜60nmの範囲である。対電極4のさらに好ましい厚みは、補助反射体6の材料や厚みによって設定され得る。
対電極4の屈折率は、波長440〜460nm、波長550〜570nm、及び、波長610〜630nmにおいて、0.17以下であることが好ましい。それにより、光反射性と光透過性とをともに有する対電極4を容易に構成することができる。波長440〜460nmは青色の代表となる波長である。波長550〜570nmは緑色の代表となる波長である。波長610〜630nmは赤色の代表となる波長である。よって、可視光領域の短波長から長波長にまたがる青緑赤の波長において、屈折率が低いと、対電極4をより有利な構成とすることができる。対電極4の屈折率は、可視光領域の全体において0.17以下であることがより好ましい。それにより、さらに対電極4を有利な構成とすることができる。可視光領域の全体とは400〜780nmの波長域であってよい。対電極4の屈折率は低ければ低いほどよく、その下限は特に限定されるものではないが、製造の観点からは、対電極4の屈折率は0.01以上であってよい。対電極4の屈折率は、さらに0.05以上であってもよい。
対電極4の消衰係数は、波長440〜460nm、波長550〜570nm、及び、波長610〜630nmにおいて、5.0以下であることが好ましい。それにより、対電極4によって光が吸収されることを抑制できるため、光反射性と光透過性とをともに有する対電極4を容易に構成することができる。波長440〜460nmは青色の代表となる波長である。波長550〜570nmは緑色の代表となる波長である。波長610〜630nmは赤色の代表となる波長である。よって、可視光領域の短波長から長波長にまたがる青緑赤の波長において、消衰係数が低いと、対電極4をより有利な構成とすることができる。対電極4の消衰係数は、可視光領域の全体において5.0以下であることがより好ましい。それにより、さらに対電極4を有利な構成とすることができる。可視光領域の全体とは400〜780nmの波長域であってよい。対電極4の消衰係数は低ければ低いほどよく、その下限は特に限定されるものではないが、製造の観点からは、対電極4の消衰係数は0.5以上であってよい。対電極4の消衰係数は、さらに1.0以上であってもよい。
対電極4は、可視光領域において光反射性を有することが好ましい。対電極4の光反射率の上限は特に限定されないが、ショート不良を抑制するとともに補助反射層6での反射を有効に得るという観点からは、対電極4は、可視光領域における光反射率が90%以下であってよい。さらに、ショート不良を抑制するため、対電極4は、可視光領域における光反射率が50%以下となってもよい。
補助反射体6は、対電極4の光反射を補助する機能を有する。補助反射体6は対電極4の発光層3とは反対側に設けられている。上記のように対電極4は厚みが薄く形成されることによって、一部の光が透過し、光取り出し側(光透過性電極2側)とは反対側に出射する。そこで、補助反射体6を設けることにより、対電極4を透過した光を反射させて光透過性電極2側に光の進行方向を変更することができる。そのため、光取り出し性を高めることができる。有機EL素子では、光反射性を有する対電極4と補助反射体6とによって、発光層3からの光を反射する光反射構造が形成される。
補助反射体6は、可視光領域における光反射率が60%以上であることが好ましい。それにより、光をより多く反射させることができるため、光取り出し性を向上することができる。補助反射体6の可視光領域における光反射率は、70%以上であることがより好ましく、80%以上であることがさらに好ましく、90%以上であることがよりさらに好ましく、95%以上であることがよりもっと好ましい。補助反射体6の光反射率は高い方がよく、その上限は特に限定されるものではないが、光の吸収性も考慮すると、補助反射体6の光反射率は99.9%以下であってもよい。補助反射体6は補助ミラー層として機能することができる。
補助反射体6は、成形物で構成することができる。補助反射体6は部材であってよい。補助反射体6は、例えば、シート材、フィルム材、板材などにより構成されるものであってよい。それにより、補助反射体6を容易に貼り付けることができる。
補助反射体6は、金属材料を有することが好ましい一態様である。それにより、高い光反射性を容易に得ることができる。補助反射体6は、金属材料の成形物によって構成されてもよいし、金属材料と他の材料との積層体によって構成されてもよい。金属で補助反射体6を構成する場合、例えば、金属箔や金属フィルムを補助反射体6として用いることができる。金属を含む積層体で補助反射体6を構成する場合、例えば、シート基材の表面に金属が積層されたシート材を補助反射体6として用いることができる。金属の積層面が反射面となる。この場合、金属が積層された面を対電極4側にして補助反射体6を対電極4に貼り付けることができる。
補助反射体6に用いる金属材料としては、特に限定されるものではないが、例えば、Al、Mg、Ca、Ti、Cu、Au、及びこれらの合金などが挙げられる。この中でも、補助反射体6の材料としてAl、Mgがより好ましい。Al及びMgは、可視光領域の全体において比較的均一に反射率が高いため、補助反射性を高めることができる。さらに、Alが特に好ましく用いられる。Alでは、対電極4を薄膜化したときの反射率の低下ロスを効率よく抑制することができ、貼り付けが容易であり、材料も比較的安価なため、より容易に製造することができる。例えば、アルミニウムシートやアルミ箔を用いることによって、簡単に補助反射体6を設けることができる。なお、補助反射体6はAgを含まなくてよい。Agを用いないことにより、より容易に製造することができる。
補助反射体6は、誘電体多層膜を有することが好ましい一態様である。それにより、高い光反射性を容易に得ることができる。補助反射体6は、誘電体多層膜の成形物によって構成されてもよいし、誘電体多層膜と他の材料との積層体によって構成されてもよい。例えば、シート基材の表面に誘電体多層膜が積層されたシート材を補助反射体6として用いることができる。誘電体多層膜の積層面が反射面となる。この場合、誘電体多層膜が形成された面を対電極4側にして補助反射体6を対電極4に貼り付けることができる。
誘電体多層膜は、異なる屈折率を有する複数の光学薄膜の積層体である。誘電体多層膜は、通常、誘電体材料により形成される。誘電体多層膜は、蒸着によって形成されるものが好ましい。誘電体多層膜では、ある波長を設計の中心波長として、その波長より長波長側だけ反射したりすることが可能である。したがって、誘電体多層膜の設計によって、可視光領域の光を反射させることができる。
誘電体多層膜の積層数(層の数)は、特に限定されるものではないが、例えば、5以上であることが好ましく、10以上であることがより好ましく、20以上であることがさらに好ましい。誘電体多層膜では100%に近い反射性を得ることが可能である。
誘電体多層膜の材料としては、特に限定されるものではないが、酸化チタン(TiO2)、CeO2、ZrO2、Nd2O3、酸化シリコン(SiO2)、ニオブ(Nb2O5)、タンタル(Ta2O3)フッ化マグネシウム(MgF2)、Na3AlF6、などを用いることができる。これらの材料から選ばれる2種以上を複数層で積層させることによって、誘電体多層膜を形成することができる。例えば、2種の材料で誘電体多層膜を形成する場合、低屈折率材料と高屈折率材料とを交互に積層させることによって、誘電体多層膜を形成することができる。
補助反射体6では、金属層又は多層誘電体膜が反射層として機能する。補助反射体6は、反射層を対電極4側にして配置される。補助反射体6において反射層の厚みは30nm以上であることが好ましい。それにより、補助反射体6の光反射性を高めることができる。補助反射体6の反射層の厚みは50nm以上であることがより好ましい。補助反射体6の厚みの上限は、特に限定されるものではないが、補助反射体6の厚みが大きくなりすぎると、材料が無駄になる可能性があり、また、全体の厚みが大きくなる可能性があるため、補助反射体6の反射層の厚みは1000μm以下であることが好ましく、500μm以下であることがより好ましく、200μm以下であることがさらに好ましい。補助反射体6が反射層のみで構成される場合には、反射層の厚みが補助反射体6の厚みとなる。補助反射体6が反射層と基材との積層体で構成される場合には、補助反射体6の厚みは、特に限定されるものではないが、貼り付けが容易になるために、例えば、1μm以上1000μm以下にすることができる。補助反射体6及び反射層のさらに好ましい厚みは、補助反射体6の材料や、対電極4の材料や厚みによって設定され得る。
ところで、補助反射体6の反射層はAg又はAgを含む合金で構成されてもよい。その場合、高い反射率を得ることができる。また、本形態では、成形体である補助反射体6が接着層5によって対電極4に貼り付けられるため、補助反射体6が銀を含有していてもこの銀が回り込むことはないので、ショート不良が抑制され得る。ただし、補助反射体6に銀を用いると、材料が高価になって経済性が低下するおそれがある。そのため、補助反射体6はAgを含まない方が好ましい。
接着層5は、補助反射体6を接着して固定する層である。補助反射体6は、接着層5により接着されて固定されている。補助反射体6は有機EL素子におけるいずれかの部位に接着されて固定されていればよい。例えば、補助反射体6は封止基板に接着されていてもよい。本形態では、接着層5は、対電極4の表面に設けられ、補助反射体6を対電極4に接着している。接着層5は、対電極4と補助反射体6との間に配置されている。
接着層5は樹脂で構成されるものであってよい。接着層5は、接着剤により形成される。接着剤としては、樹脂接着剤を好ましく用いることができる。接着剤に用いられる樹脂は、熱硬化性の樹脂であってもよいし、光硬化性の樹脂であってもよい。
補助反射体6と対電極4との間に接着層5が設けられていると、補助反射体6と対電極4とは直接接することがなくなる。補助反射体6と対電極4とは離間することになる。そのため、対電極4から補助反射体6に対電極4の成分が拡散したり、補助反射体6から対電極4に補助反射体6の成分が拡散したりすることを抑制できる。そのため、対電極4が変性することを抑制することができる。
接着層5の厚みは、8〜100μmであることが好ましい。それにより、接着作用を十分に得ることができるとともに、光透過性を付与することができる。また、接着層5の厚みを8μm以上にすることにより、光の干渉による光取り出し性の低下をより抑制することができる。接着層5の厚みは、10〜80μmであることがより好ましい。
接着層5は、可視光の波長領域において、消衰係数が0.005以下であることが好ましい。接着層5の消衰係数が低いほど、対電極4から洩れた光が補助反射体6に反射されて発光面側に戻る際などに光吸収のロスを抑制することができる。接着層5の消衰係数は、0.001以下であることがさらに好ましい。
接着層5は、絶縁性を有することが好ましい一態様である。接着層5が導電性を有すると、接着層5と対電極4との間で相互拡散が生じるおそれがある。
補助反射体6は、接着層5を形成する接着剤を対電極4及び補助反射体6の少なくとも一方に塗布し、この接着剤で補助反射体6を対電極4に貼り付けることにより、対電極4の上に積層させることができる。もちろん、補助反射体6の表面に未硬化の接着層5が予め設けられたシート部材を使用してもよい。それにより、簡単に補助反射体6を貼り付けることができる。
有機EL素子においては、通常、有機発光体10が封止される。封止により外部から水分が浸入することを抑制し、素子の劣化を抑制することができる。図1の例では、封止は、有機発光体10側で光透過性基板1と対向するように配置される封止基板によって行うことができる。なお、封止された場合、外部から発光層3に電気を供給できるように、光透過性電極2及び対電極4は、封止領域の内部から外部に配線を引き出した配線引き出し構造が設けられていてよい。
図3は、有機EL素子の他の実施形態を示している。図1の有機EL素子と同じ構成については同じ符号を付して説明を省略する。図3では、光取り出し構造11が設けられている点が、図1の形態とは異なる。それ以外の構成は同様に形成されている。
有機EL素子では、光透過性電極2の発光層3とは反対側に光透過性基板1を備え、光透過性基板1の光透過性電極2側の表面に、光取り出し構造11が設けられていることが好ましい。光取り出し構造11が設けられることにより、基板界面での屈折率差や全反射が低減されるため、光をより多く取り出すことができる。また、上記のように補助反射体6を用いて光を反射させた場合、反射光として対電極4で反射する光と補助反射体6で反射する光とが混在することになるが、光取り出し構造11を形成することによって、これらの反射光をより効率よく取り出すことが可能になる。
図3では、光取り出し構造11が、光透過性電極2と光透過性基板1との間に設けられる。光取り出し構造11は、光取り出し層として形成されることが好ましい。光取り出し構造11の好ましい一態様は樹脂層により構成される。樹脂層では屈折率差が低減されて、光取り出し性が高まる。また、光取り出し構造11の好ましい一態様は積層構造により構成される。積層構造では、屈折率差のさらなる低減を図ることができる。図3では、第1透明材料層11aと第2透明材料層11bとの積層構造によって光取り出し構造11が形成されている。第1透明材料層11aは光透過性基板1側に配置され、第2透明材料層11bは光透過性電極2側に配置されている。この積層構造は、高屈折率層と低屈折率層との積層で構成されることが好ましい。その場合、第1透明材料層11a及び第2透明材料層11bのうちの一方が、高屈折率層となり、他方が低屈折率層となる。好ましい一態様では、第1透明材料層11aが低屈折率層で構成され、第2透明材料層11bが高屈折率層で構成される。
光取り出し構造11は、より好ましい一態様では凹凸構造11cを含んでいる。凹凸構造11cは、第1透明材料層11aと第2透明材料層11bとで構成される積層構造の界面に設けられることが好ましい。凹凸構造11cでは、凹凸界面によって光が散乱されるため、光透過性基板1の表面での全反射を抑制し、光取り出し性を高めることができる。凹凸構造11cは、ナノオーダーの微細な凹凸であってよい。それにより、光散乱性が付与され、光取り出し性をさらに高めることができる。凹凸構造11cは、低屈折率層と高屈折率層との界面に設けられることが好ましい。低屈折率層及び高屈折率層は樹脂で構成することができる。高屈折率層には、屈折率を調整するために、高屈折率粒子を含有させてもよい。
光取り出し構造11の他の態様として、光の屈折に乱れを生じさせる粒子を樹脂に混ぜた光取り出し構造11などを用いることもできる。この場合、光取り出し構造11は単層であってもよい。また、光取り出し構造11は、光透過性基板1の光透過性電極2側の表面が凹凸面となった構造で形成されてもよい。
ところで、上記の各形態においては、光透過性基板1の外部側(光透過性電極2とは反対側)の表面に、光を取り出す構造がさらに設けられることがさらに好ましい。この光を取り出す構造は、光取り出し層が設けられたり、光透過性基板1の表面が凹凸面となったりすることにより構成されるものであってよい。光を取り出す構造は、例えば光散乱構造で構成することができる。光を取り出す構造は、例えば、光学フィルムを貼り付けることにより容易に形成することができる。光透過性基板1の両面に光を取り出す構造を設けた場合には、光取り出し性をさらに向上することができる。
図4は、有機EL素子の他の実施形態を示している。図1の有機EL素子と同じ構成については同じ符号を付して説明を省略する。
図4では、支持基板となる支持材12の上に、接着層5、補助反射体6、対電極4、有機層9、及び、光透過性電極2が、この順で形成されている。発光層3で生じた光は支持材12とは反対側から取り出される。図4では、トップエミッション構造の有機EL素子を示している。図1のようなボトムエミッション構造だけではなく、トップエミッション構造の有機EL素子においても、補助反射体6を設ける構成を採用することができる。図4では、光透過性基板1は図示していないが、光透過性基板1を封止基板として使用してもよい。
補助反射体6は接着層5により支持材12に接着されて固定されている。そして、補助反射体6の接着層5とは反対側に対電極4が積層されている。対電極4は、補助反射体6の表面に形成されていてよい。
補助反射体6と対電極4との間には、拡散阻害層が設けられていてもよい。拡散阻害層は、対電極4と補助反射体6との間で成分が拡散して移動することを阻害する層である。拡散阻害層が障壁となって、対電極4から補助反射体6への成分の拡散、及び、補助反射体6から対電極4への成分の拡散が抑制される。そのため、光反射性を高めることができる。もちろん、対電極4と補助反射体6との間で相互拡散が起こらないのであれば、拡散阻害層はなくてよい。補助反射体6が金属層又は合金層で構成されると、相互拡散が生じやすくなる。誘電体多層膜では、相互拡散は生じにくい。
拡散阻害層の消衰係数は、波長440〜460nm、波長550〜570nm、及び、波長610〜630nmにおいて、0.1以下であることが好ましい。それにより、拡散阻害層によって光が無駄に吸収されることを抑制できるため、補助反射体6による光反射性をより高く得ることができる。
拡散阻害層の厚みは、対電極4の厚みよりも小さいことが好ましい。それにより、光反射性を効率よく高めることができ、光取り出し性を向上することができる。拡散阻害層の厚みは5nm以上であることが好ましい。それにより、成分の拡散を阻害する作用をより高めることができる。拡散阻害層の厚みは20nm以下であることが好ましい。それにより、拡散阻害層による光吸収を抑制するとともに、光干渉の影響を小さくすることができる。拡散阻害層の厚みは10nm以下であることがより好ましい。
拡散阻害層は、絶縁性を有することが好ましい一態様である。拡散阻害層が導電性を有すると、拡散阻害層と対電極4との間で相互拡散が生じるおそれがある。
拡散阻害層は、双極子モーメントが0.1D以上の物質を含有していることが好ましい。それにより、成分の拡散を阻害する作用をより高めることができる。
拡散阻害層は、対電極4と補助反射体6との間の相互拡散を阻害する適宜の材料により形成することができる。拡散阻害層は、好ましくは、無機材料で構成される。無機材料により、光吸収を抑制するとともに、拡散阻害層の拡散阻害作用を高めることができる。もちろん、拡散阻害層は樹脂などの有機材料で構成されてもよい。その場合、光吸収性の低い有機材料が用いられることが好ましい。また、拡散阻害層は、有機層9内の正孔輸送層又は電子輸送層として使用することが可能な各種材料を用いて形成することもできる。例えば、NPB、BCP、TPD、Bphen、CBPなどが、拡散阻害層の材料として例示される。
拡散阻害層の材料としては、例えば、金属フッ化物、絶縁性の金属酸化物、ケイ素酸化物、ケイ素窒化物、金属窒化物、ケイ素酸化窒化物、金属酸化窒化物などが挙げられる。これらは絶縁性を有するものであってよい。これらは双極子モーメントが0.1D以上のものが好ましく用いられる。具体的には、拡散阻害層の材料として、LiF、MgF2、SiO2、Al2O3、SiON、TiONなどが例示される。このうち、LiFがより好ましい。
拡散阻害層は、好ましくは、蒸着、スパッタなどにより形成することができる。もちろん、塗布で形成してもよい。
図4の形態においても、対電極4の光取り出し側とは反対側に、補助反射体6が設けられているため、反射性を高めることができ、光取り出し性を向上することができる。ただし、ショート不良をより有効に低減させるという観点からは、光透過性基板1が支持基板として光透過性電極2側に配置された図1の形態の方が有利である。
照明装置は、上記の有機EL素子を備える。この照明装置は有機EL素子を備えているため、発光性に優れた照明装置を得ることができる。一つの有機EL素子の発光面は、例えば、縦10cm以上、横10cm以上の矩形状にすることができるが、これに限定されるものではない。照明装置は、複数の有機EL素子を面状に配置するものであってよい。照明装置は、有機EL素子に給電するための配線構造を備えるものであってよい。照明装置は、有機EL素子を支持する筐体を備えるものであってよい。照明装置は、有機EL素子と電源とを電気的に接続するプラグを備えるものであってよい。照明装置は、パネル状に構成することができる。照明装置は面状に構成することができる。照明装置は、厚みを薄くすることができるため、省スペースの照明器具を提供することが可能である。
1 光透過性基板
2 光透過性電極
3 発光層
4 対電極
5 接着層
6 補助反射体
8 電荷移動層
9 有機層
10 有機発光体
11a 第1透明材料層
11b 第2透明材料層
11c 凹凸構造
12 支持材
2 光透過性電極
3 発光層
4 対電極
5 接着層
6 補助反射体
8 電荷移動層
9 有機層
10 有機発光体
11a 第1透明材料層
11b 第2透明材料層
11c 凹凸構造
12 支持材
Claims (6)
- 光透過性電極と、前記光透過性電極と対となり光反射性を有する対電極と、前記光透過性電極と前記対電極との間に配置される発光層と、を備えた有機エレクトロルミネッセンス素子であって、
前記対電極は、Ag又はAgを含有する合金により構成され、
前記対電極の前記発光層とは反対側に、補助反射体が設けられ、
前記補助反射体は、接着層により接着されて固定されていることを特徴とする、有機エレクトロルミネッセンス素子。 - 前記接着層の厚みは、8〜100μmであることを特徴とする、請求項1に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
- 前記補助反射体は、誘電体多層膜を有することを特徴とする、請求項1又は2に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
- 前記対電極の屈折率は、波長440〜460nm、波長550〜570nm、及び、波長610〜630nmにおいて、0.17以下であり、
前記対電極の消衰係数は、波長440〜460nm、波長550〜570nm、及び、波長610〜630nmにおいて、5.0以下であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。 - 前記光透過性電極の前記発光層とは反対側に光透過性基板を備え、
前記光透過性基板の前記光透過性電極側の表面に、光取り出し構造が設けられていることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。 - 請求項1〜5のいずれか1項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子を備えた照明装置。
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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WO2021027138A1 (zh) * | 2019-08-15 | 2021-02-18 | 深圳市华星光电半导体显示技术有限公司 | 显示面板 |
-
2013
- 2013-07-12 JP JP2013146947A patent/JP2015018771A/ja active Pending
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