JP2015018175A - 光偏向器およびその制御方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】光偏向器において、高周波数かつ高電圧の駆動信号をKTN結晶に印加すると、発熱により温度が上昇し、誘電率εが低下して偏向特性の劣化が生じる。偏向特性を安定化するためには、KTN結晶の温度をモニターして、所望の温度にコントロールする必要があるが、KTN結晶に温度センサを直接取り付けることはできない。サーモビューワーなどの温度モニターは、装置が巨大となるため実用性に乏しかった。KTN結晶の温度を直接測定するのとは他の方法によって、KTN結晶の温度を調整する必要があった。【解決手段】本発明の電気光学結晶を用いた光偏向器は、結晶の温度を直接モニターせず、結晶を流れる変位電流値をモニターし、その電流値に基づいて結晶の誘電率を推定する。推定された誘電率が所望の値になるよう、電気光学結晶の温度を制御する。偏向動作を行うための駆動電圧であるAC電圧をKTN結晶に印加する前に、DC電圧をKTN結晶に印加して電子を注入(プリチャージ)し、誘電率および偏向角を増大させる。【選択図】図1

Description

本発明は、KTN結晶やKLTN結晶などの電気光学効果を有する結晶に電圧を印加することで、これらの結晶に入射された光を偏向する光偏向器に関する。
光の進行方向を変える光偏向器のうち、KTN(KTa1−xNb)結晶またはKLTN結晶(K1−yLiTa1−xNb)を用いた光偏器は、ガルバノミラーやポリゴンミラー、MEMSミラー等と異なり、可動部を持たない固体素子である(特許文献1)。以下簡単のため、明示して区別しない限り、KTN結晶およびKLN結晶の2種類を合わせて、KTN結晶と呼ぶ。
KTN結晶は、比較的低い電圧を印加することによってその屈折率が大きく変わる、電気光学効果が大きい物質として知られている。さらに、TiやCr電極を用いると、KTN結晶内に電荷を注入することができる。その電荷によって生じる内部電界を利用することで、高速・広角な光偏向器を実現することができる。したがって、レンズ、プリズム、ミラーといったごく一般的な光学部品を、それらが高速で動く必要がある用途では、KTNに置き換えることができる(特許文献2)。
近年、このKTN結晶における屈折率制御の高速性を利用して、光偏向器を外部共振器に組み込んだ高速の波長掃引光源を用いた医療用光断層撮像システムに注目が集まっている。この光断層撮像システムの中で、KTN光偏向器は高速性を実現するためのキーデバイスであって、高速性とともに安定に動作することが求められている。特に、必要十分な最大偏向角が安定して得られることが重要である。
WO2006/137408 国際公開公報 明細書 特開2012−074597号公報 明細書
J. Miyazu et al.: "New beam scanning model for high-speed operation using KTa1-xNbxO3 Crystals", APEX, Vol. 4, Issue 11, pp. 115101-1-111501-3, 2011年 上野他、KTN結晶を用いたOCT用200kHz光偏向器の消費電力,信ソ大会,C-3-7,p.124 ,2012年
KTN光偏向器の高速動作原理は、最初に直流(DC)電圧を結晶に印加して(トラップ充電期間)注入された電荷が形成する残留屈折率分布に対し、さらに交流(AC)電圧を印加すること(偏向電圧印加期間)によって偏向動作を実現する駆動方式に基づいている(非特許文献1)。この駆動方式でのKTN光偏向器の偏向角θは、下式によって表される。
Figure 2015018175
ここで、nは電圧印加前屈折率を、Lは光路長を、g11は電気光学定数を、εは誘電率、ρは残留電荷を、Vは印加電圧を、dは結晶厚をそれぞれ表す。式(1)から明らかなように、偏向角θの大きさは、誘電率εに比例する。したがって、偏向角θを増大させるためには、誘電率εを増大させる必要がある。
最近、KTN結晶を利用している光偏向器において、高周波数でかつ高電圧の駆動信号を結晶に印加すると、発熱により温度が上昇して、偏向特性の劣化、具体的には最大偏向角が低下することが明らかとなった(非特許文献2)。KTN結晶は、温度変化に伴って相異なる相が次々に出現する、いわゆる逐次相転移を示す。上述の偏向特性の劣化は、光偏向器として使用する立法晶系において、温度が上昇すると誘電率εが低下することによる。従って、偏向特性を安定化するためには、KTN結晶の温度をモニターして、結晶を所望の温度にコントロールする必要がある。
しかしながら、KTN結晶には数100Vを超える高電界が印加されているため、温度センサを結晶に直接取り付けることができない。また、サーモビューワーなどの温度モニターは、装置が巨大となるため、小型の電子装置内に搭載される光偏向器に対して使用しても、実用性に乏しかった。したがって、KTN結晶の温度を直接測定するのとは他の方法によって、KTN結晶の温度を調整する必要があった。
本発明は、このような問題に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、KTN結晶などの電気光学結晶を用いた光偏向器において、結晶温度の変動に伴って、結晶の誘電率が変化するために、所望の偏向角が得られなくなり、偏向特性が不安定となる問題を解決するところにある。
本発明は、このような目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、対向する面に少なくとも2つの電極を形成した電気光学結晶であって、前記電極に制御電圧を印加して、前記制御電圧により形成される電界に概ね垂直に、前記電気光学結晶の1つの端面へ入射する入射光を偏向させる電気光学結晶と、前記電極に印加する前記制御電圧を生成する制御電圧電源であって、前記電気光学結晶に、直流電圧または正極性および負極性の直流電圧を含む交番電圧からなるトラップ充填電圧と、前記トラップ充填電圧を印加した後に印加する前記制御電圧として、入射光を偏向させる交流偏向電圧とを生成するよう構成された制御電圧電源と、前記電気光学結晶の温度を制御する温度調節手段であって、前記電気光学結晶を初期温度に設定し、前記交流偏向電圧を印加したときに、前記制御電圧電源から前記電気光学結晶に流れる変位電流を測定し、前記変位電流が前記電気光学結晶の所望の誘電率に対応する目標変位電流となるように前記電気光学結晶の温度を調節するよう構成された温度調節手段とを備えたことを特徴とする光偏向器である。
請求項2に記載の発明は、請求項1の光偏向器であって、前記直流電圧または正極性および負極性の直流電圧を含む前記交番電圧を印加し、さらに前記交流偏向電圧を印加して、前記変位電流を測定することを特徴とする。上述の交番電圧からなるトラップ充填電圧は、第1の時間区間のDC電圧に対応する。変位電流は、電流プローブによって測定することができる。また、変位電流は、第2の時間区間の交流偏向電圧を電気光学結晶に印加して測定できる。また、トラップ充電電圧を印加する前に、電気光学結晶に、小振幅AC電圧(温度初期設定電圧)を印加した状態で、電気光学結晶の誘電率を所定の値となるように、KTN結晶を温度調節手段(温度調節器)によって温度調整しても良い。また、電気光学結晶を、トラップ充電電圧の印加の前後における誘電率の関係に基づいて、予め決定したデフォルト値の目標誘電率に対応する結晶温度に初期設定をしても良い。
請求項3に記載の発明は、請求項1の光偏向器であって、前記温度調節手段によって、前記変位電流の測定値が前記目標変位電流に一致した後で、前記入射光の偏向動作を開始することを特徴とする。
請求項4に記載の発明は、請求項1乃至3いずれかの光偏向器であって、前記電気光学結晶は、タンタル酸ニオブ酸カリウム(KTa1-xNb(0<x<1)結晶、またはリチウムを添加したK1−yLiTa1-xNb(0<x<1、0<y<1)結晶のいずれかであることを特徴とする。
請求項5に記載の発明は、電気光学結晶の対向する面に形成した少なくとも2つの電極に制御電圧を印加して、前記制御電圧により形成される電界に概ね垂直に、前記電気光学結晶の1つの端面へ入射する入射光を偏向させる光偏向器の制御方法において、前記電気光学結晶に、直流電圧または正極性および負極性の直流電圧を含む交番電圧からなるトラップ充填電圧を印加するステップと、前記印加するステップに引き続き、前記制御電圧として、交流電圧を印加して、前記制御電圧電源から前記電気光学結晶に流れる変位電流を測定するステップと、前記変位電流が前記電気光学結晶の所望の誘電率に対応する目標変位電流となるように前記電気光学結晶の温度を調節するステップとを備えることを特徴とする光偏向器の制御方法である。
請求項6に記載の発明は、請求項5の方法であって、前記印加するステップに先立って、前記電気光学結晶の温度を上昇させない振幅値および周波数を持つ温度初期設定電圧を印加して、このときに測定される初期変位電流に基づいて、前記電気光学結晶の初期温度を設定するステップをさらに備えることを特徴とする。電気光学結晶の初期温度は、初期変位電流の測定することなしに、トラップ充電電圧の印加の前後における誘電率の関係に基づいて、予め決定したデフォルト値の目標誘電率に対応する結晶温度に初期設定をしても良い。
請求項7に記載の発明は、請求項5の方法であって、前記変位電流が前記目標変位電流に一致した後で、前記入射光の偏向動作を開始するステップをさらに備えることを特徴とする。
上述の方法では、前記電気光学結晶は、タンタル酸ニオブ酸カリウム(KTa1-xNb(0<x<1)結晶、またはリチウムを添加したK1−yLiTa1-xNb(0<x<1、0<y<1)結晶のいずれかであり得る。
本発明の光偏向器および光偏向器の制御方法では、変位電流をモニターすることによって、結晶の誘電率を推定し、所望の偏向角を維持するように結晶温度を制御する。さらに、偏向動作の前にDC電圧を印加することによって、KTN結晶の誘電率を増大させ、これによって偏向角を大幅に増大させることができる。
図1は、本発明に係る光偏向器の構成を示す模式図である。 図2は、光偏向器の動作に用いた、光偏向器への印加電圧波形の例を示す図である。 図3は、本発明の光偏向器におけるKTN結晶の静電容量の駆動電圧依存性(10kHz)を示す図である。 図4は、本発明の光偏向器における偏向角のAC電圧Vpp依存性を示す図である。 図5は、本発明の光偏向器におけるKTN結晶の静電容量の駆動電圧依存性(200kHz)を示す図である。 図6は、図5に示したデータを使用して計算した誘電率に基づく偏向角を実測値と比較して示した図である。 図7は、光偏向器を特定の駆動条件で偏向動作させる場合について、初期設定状態の結晶温度を変えた時の偏向角の変化を示す図である。 図8は、本発明の光偏向器において、一定の所望の偏向角でKTN偏向器を偏向動作させる制御フローを示す図である。
本発明の光偏向器は、電気光学結晶を用いた光偏向器において、電気光学結晶の温度を直接にモニターせず、電気光学結晶を流れる電流値をモニターして、その電流値に基づいて結晶の誘電率を推定する。推定された誘電率が所望の値になるよう、電気光学結晶の温度を制御することを特徴とする。さらに、偏向動作を行うための駆動電圧であるAC電圧をKTN結晶に印加する前に、DC電圧をKTN結晶に印加(プリチャージ)して電子を注入することによって、KTN結晶の誘電率を大きく増大させ、偏向角を増大させることを特徴とする。
以下の説明においては、電気光学結晶として、タンタル酸ニオブ酸カリウム(KTa1−xNb(0<x<1):以下KTN)、またはリチウムを添加したK1−yLiTa1−xNb(0<x<1、0<y<1:KLTN)を例として説明する。しかしながら、本発明はこれらと同様の性質を持つ他の電気光学結晶にも適用可能であって、KTNおよびKTLNだけに限定されるものではない。最初に、電気光学結晶を用いた光偏向器の基本的な動作原理とともに本発明の構成について説明する。
図1は、本発明に係る光偏向器の構造を示す模式図である。光偏向器1は、直方体状のKTN結晶2と、KTN結晶2の対向する2つの面上に金属を蒸着してそれぞれ形成した同面積の2つの電極8a、8bとを備えたKTN偏向器から構成される。図1では、KTN結晶2の上面電極8aおよび下面電極8b(図1では見えない)の2つの電極がそれぞれ形成されている。2つの電極8a、8bは、偏向動作のための駆動電圧(AC電圧)およびプリチャージ(電荷トラップ)のためのDC電圧を印加する電源3が接続される。さらに、KTN結晶2に流れた電流7をモニターするための電流プローブ4を備えている。また、KTN結晶2の温度を制御するための、KTN偏向器全体に近接して配置された温度調節器5を備えている。
本発明において誘電率を推定する方法を説明するために、図1に示したKTN偏向器に、偏向動作のための駆動電圧として高周波AC電圧を印加した時の、KTN結晶内を流れる変位電流7を考える。変位電流Iは、KTN結晶の各パラメータを用いて、下式によって与えられる。
Figure 2015018175
Figure 2015018175
ここで、IはKTN結晶内を流れる変位電流(A)を、Cは2つの電極間の静電容量(F)を、Sは電極面積(m)を、εはKTN結晶の誘電率を、Vは高周波AC電圧の振幅電圧(V)を、fは高周波AC電圧の周波数(Hz)を、dは結晶厚(m)を、それぞれ示す。
式(2)および式(3)から明らかなように、KTN結晶および電極構造(S、d)、印加するAC電圧(V、f)が分かれば、KTN結晶に流れる変位電流Iを測定することによって、誘電率εを求めることができる。逆に、所望の誘電率εを与える変位電流I(プローブ電流値とも言う)を、式(2)および式(3)から予め計算することもできる。
したがって、高周波AC電圧を印加することによる発熱によってKTN結晶温度が上昇して例えば誘電率εが減少したとしても、変位電流Iの値から誘電率εの低下を検知することができる。さらに、測定される変位電流Iが、所望の誘電率εに対応する電流となるよう温度調節器5の設定温度を変化させることによって、KTN結晶の誘電率εを所望の値に回復させることができる。KTN結晶の誘電率εを安定化することによって、偏向器における偏向角も安定した所望の値を得ることができる。これによって、偏向動作のための高周波AC電圧の電圧レベルや周波数に関係なく、誘電率εの変動に起因した偏向特性の劣化のない動作を実現することができる。以下、本発明の光偏向器の実際の動作について、種々の側面の確認結果とともに説明する。
図2は、以下に説明する本発明の光偏向器の動作評価のために用いた、光偏向器への印加電圧波形の例を示す図である。図2では、横軸に時間tを取り、図1に示した電源3から印加される電圧の時間変化を示す。本発明の光偏向器では、偏向動作のための駆動電圧であるAC電圧を印加する前に、まずDC電圧を印加する。すなわち、第1の時間区間20にDC電圧を印加し、引き続いて、第2の時間区間21にAC電圧を印加する。DC電圧の印加により、KTN結晶内に存在するトラップに、一様に残留電荷(電子)を分布させることができる。第1の時間区間20におけるこのDC電圧の印加を、プリチャージまたはトラップ充填とも言う。従って、第1の時間区間20をトラップ充填時間とも呼ぶ。
KTN結晶の上下面のいずれの電極8a、8bからもそれぞれ電子を注入できることから、第1の時間区間20において正のDC電圧22および負のDC電圧23を順次交互に、KTN結晶に印加する。それぞれ所定の時間、正のDC電圧22および負のDC電圧23を印加した後に、第2の時間区間21において駆動電圧であるAC電圧21を印加して偏向器を高速に偏向動作させる。図2において、横軸の時間軸は各時間区間を通じて一定のものとして描かれていない。すなわち、第1の時間期間20の時間と、第2の時間期間21における周期(周波数の逆数)は異なっており、図2の時間波形は、概念的に説明するための図である。第1の時間区間20におけるDC電圧は、正または負のどちらか一方でもかまわないし、正の電圧と負の電圧の順序も、また印加する回数も図2の構成に限定されない。
図3は、本発明の光偏向器におけるKTN結晶の静電容量の駆動電圧依存性(10kHz)を示す図である。第1の時間期間におけるプリチャージのためのDC電圧として、±300Vおよび±400Vを印加して電荷を注入させた各場合について、第2の時間期間に10kHzのAC電圧で駆動したときの、静電容量(キャパシタンス)のAC電圧(Vpp)依存性を示す。ここで、AC電圧値(Vpp)は、ピークトゥーピーク(Peak to Peak)のAC電圧振幅値を示す。
本発明の光偏向器ではKTN結晶の温度を制御するので、KTN結晶の基準となる初期温度を決定しおよび設定する必要がある。そこで、第1の時間期間のDC電圧を印加する前の初期設定温度の状態を形成するために、KTN結晶に、周波数10kHzで、Vpp=±1Vの小振幅AC電圧を印加した。この初期設定温度の状態において、静電容量が1.65nF、すなわちε=17,500となるように、KTN結晶を温度調節器5によって温度調整した。図3の静電容量依存性は、最初にKTN結晶をこの初期設定温度の状態にした後で、以降は温度調整を行わずに、静電容量の変化を見た。
図3のグラフに示した2つのDC電圧の場合の各静電容量値は、前述の式(2)および式(3)を用いて、KTN結晶を流れる変位電流から求めた。図3に示すように、AC電圧の周波数が10kHzの場合、変位電流から求めた電気容量値は、小振幅AC電圧印加時の静電容量(1.65nF)と比べて2倍以上に増大した。これは、第1の時間期間のDC電圧印加(プリチャージ)による電荷の注入によって、KTN結晶の誘電率が飛躍的に増大することを示している。誘電率の増大のメカニズムは詳細に検討をしているが、KTN結晶中にトラップされた電子がKTN結晶の誘電率の値に重大な影響を与えていることを示している。このような現象は、電気光学結晶においてはほとんど知られていない。
図4は、本発明の光偏向器における偏向角のAC電圧Vpp依存性を示す図である。第2の時間期間のAC電圧の周波数が10kHzの場合における、KTN偏向器の偏向角のAC電圧Vpp依存性を示す。丸のプロットが実際の偏向角の測定値を、四角のプロットが初期設定温度の状態の誘電率ε=17,500であるとして式(1)に従って計算した偏向角を、三角のプロットが図3より導かれる静電容量を用いて計算した偏向角を示す。図4から、本発明の光偏向器における偏向角の大きさは、第2の時間期間のDC電圧をKTN結晶へ印加した結果として増大した誘電率に従うことがわかる。また、第2の時間期間のDC電圧によってKTN結晶に電子を注入させて誘電率を2倍以上に増大できた結果、それに応じて偏向角も2倍以上に増大させることができた。
図5は、本発明の光偏向器におけるKTN結晶の静電容量の駆動電圧依存性(200kHz)を示す図である。図5では、DC電圧によって電荷を注入させた後に、200kHzのAC電圧で駆動した時の、静電容量のAC電圧Vpp依存性を示す。第1の時間期間のDC電圧を、±0Vから±400Vまで100V間隔で変化させた各場合について測定した。図3に示したAC電圧の周波数が10kHzの場合とは異なり、AC電圧の周波数200kHzの場合は、その振幅Vppを増大させるに従って、静電容量が減少することがわかった。これは、式(3)から明らかなように、AC電圧の振幅増大に従ってKTN結晶の誘電率が減少していることを意味する。KTNの発熱の影響のため誘電率が減少したものと考えられる。サーモビューワーでKTN結晶の温度を確認したところ、Vpp=720Vの場合で、KTN結晶に5〜7℃の温度上昇が確認された。
図6は、図5に示したデータを使用して計算した誘電率に基づく偏向角の計算値を、偏向角の実測値と比較して示した図である。図5のデータのうち、第1の時間期間のDC電圧が±400(V)、AC電圧Vpp=720(V)の場合の結果を用いて電荷注入時の誘電率を求め、式(1)に基づき算定した偏向角の計算値を三角プロット(△)で示す。同時に、測定により得られた偏向角の実測値を丸プロット(○)によって示す。両者はほぼ一致していることが確認できる。AC電圧の周波数が200kHzの図5および図6の場合、AC電圧の振幅(Vpp)が大きくなると偏向角が飽和するのは、KTN結晶の自己発熱による誘電率εの低下が主要因である。この発熱による誘電率の低下は、次の実験によっても確かめられる。
図7は、光偏向器を特定の駆動条件で偏向動作させた場合について、初期設定状態の結晶温度を変えた時の偏向角の変化を示す図である。特定の駆動条件は、第1の時間期間のDC電圧を±400V、第2の時間期間のAC電圧の振幅をVpp=720V、AC電圧の周波数を200kHzとした。初期設定温度の状態は、KTN結晶に、周波数10kHzで、Vpp=±1Vの小振幅AC電圧を印加した状態として、このときの変位電流から静電容量を求めた。次に、初期設定温度の状態からKTN結晶の温度を温度調節器5によって3℃下げた状態を、第1の設定温度状態とした。同様に、初期設定温度の状態からKTN結晶の温度を5℃下げた状態を、第2の設定温度状態とした。さらに、初期設定温度の状態からKTN結晶の温度を7℃下げた状態を、第3の設定温度状態とした。初期設定温度の状態および第1の設定温度状態〜第3の設定温度状態の各状態において、プリチャージ前の変位電流を測定して、式(1)から偏向角を計算した。
図7は、横軸に各状態における静電容量の計算値を、縦軸には、KTN結晶の温度を各状態に設定した上で上記特定の駆動条件で偏向動作を行ったときの偏向角の実測値を示す。グラフ上のプロット点71は、初期設定温度から3℃下げた第1の設定温度状態の場合の偏向角を示す。プロット点72は、初期設定温度から5℃下げた第2の設定温度状態の場合の偏向角を、プロット点73は、初期設定温度から7℃下げた第3の設定温度状態の場合の偏向角を示す。図7から、KTN結晶の温度調節を行っている場合、静電容量および偏向角の間には、ほぼ直線関係が確認できる。式(2)に示したように、静電容量は誘電率に比例するので、偏向角が誘電率εに比例する式(1)に従っていることもわかる。
図7から、非常に振幅が大きく高い周波数のAC電圧の場合であっても、KTN結晶の温度を温度調節器によって制御することによって、静電容量(誘電率)と偏向角との間の直線関係が成り立つ。本来、AC電圧の周波数が200kHzと高い場合は、KTN結晶の発熱の影響によって誘電率増大の効果が相殺されてしまう。ここで、温度調節器の設定温度を低下させることによって、KTN結晶を所望の温度に維持することができる。何らかの理由で、KTN結晶の温度が下がった場合も、温度調節器の設定温度を逆に上昇させることによって、KTN結晶を所望の温度に維持することができる。
既に述べたように、KTN結晶の変位電流を測定することによって、KTN結晶の誘電率は式(2)でから求められる。従って、この測定された変位電流が所望の誘電率に対応する電流値に一致するように、KTN結晶の温度を制御することによって、200kHzのような高い周波数の駆動電圧(AC電圧)の場合においても、一定の所望の偏向角を有する偏向器として動作させることができる。以上述べたように、本発明の光偏向器では、変位電流をモニターすることによって、結晶の誘電率を推定し、所望の偏向角を維持するように結晶温度を制御する。
したがって、本発明の光偏向器は、対向する面に少なくとも2つの電極8a、8bを形成した電気光学結晶2であって、前記電極に制御電圧を印加して、電気光学効果により内部の屈折率分布の傾斜を生成することによって、前記制御電圧により形成される電界に概ね垂直に、前記電気光学結晶の1つの端面へ入射する入射光6を偏向させる電気光学結晶と、前記電極に印加する前記制御電圧を生成する制御電圧電源3であって、前記電気光学結晶に、直流電圧または正極性および負極性の直流電圧22、23を含む交番電圧からなるトラップ充填電圧と、前記トラップ充填電圧を印加した後に印加する前記制御電圧として、入射光を偏向させる交流偏向電圧とを生成するよう構成された制御電圧電源と、前記電気光学結晶の温度を制御する温度調節手段5であって、前記電気光学結晶を初期温度に設定し、前記交流偏向電圧を印加したときに、前記制御電圧電源から前記電気光学結晶に流れる変位電流7を測定し、前記変位電流が前記電気光学結晶の所望の誘電率に対応する目標変位電流となるように前記電気光学結晶の温度を調節するよう構成された温度調節手段とを備えている。
変位電流は、電流プローブ4などによって検出される。また、直流電圧または正極性および負極性の直流電圧を含む交番電圧をまず印加し、さらに交流偏向電圧を印加して、前記変位電流を測定することで、KTN結晶の誘電率を増大させ、これによって偏向角を増大させることができる。
次に、本発明の光偏向器における、電流プローブおよび温度調節器を使用した、より具体的な偏向角の制御方法および制御手順を説明する。
図8は、本発明の光偏向器において、一定の所望の偏向角でKTN偏向器を偏向動作させるための制御フローを示す図である。本フローに基づく制御を行うことによって、第2の時間区間の駆動電圧であるAC電圧が、200kHzにおよぶ高周波数の場合であっても、所望の一定の偏向角を維持したままで偏向動作をさせることができる。
制御フローでは、最初に、KTN結晶の駆動を開始する前に、KTN結晶の誘電率が所定の値になるように、KTN結晶を初期温度に設定する。既に述べたように、例えば、10kHzで±1V程度の小振幅AC電圧をKTN結晶に印加する。この小振幅のAC電圧を温度初期設定電圧とする。温度初期設定電圧は、変位電流が測定可能であってKTN結晶の温度が、その印加によって変化しないような小振幅のAC電圧であれば良い。温度初期設定電圧を印加して電流プローブなどを使用してKTN結晶を流れる初期変位電流Iを測定する。
初期変位電流Iから、式(2)および式(3)を使用して、初期誘電率を求める。既知の結晶材料ならびに特定の大きさ、形状の結晶および電極を持ち、プリチャージされていないKTN結晶については、所定の初期誘電率に対応する初期変位電流を予め特定することができる。また、プリチャージの前後における誘電率の増大量(増大比)が予めわかっていれば、プリチャージ前の初期誘電率と、プリチャージ後の駆動状態で設定したい目標誘電率との関係も知ることができる。初期誘電率に対応する初期変位電流値Iとなるように、温度調節器5によってKTN結晶の温度を設定する(第1のステップ800)。このときKTN結晶温度を初期結晶温度とする。
また、駆動信号の周波数および振幅などから、偏向動作を行うときのおおよそのKTN結晶の温度が予めわかっていれば、初期変位電流を測定せずに、直接、温度調節器5によってデフォルト値の設定温度にKTN結晶を温度設定しても良い。すなわち、電気光学結晶を、トラップ充電電圧の印加(プリチャージ)の前後における誘電率の関係に基づいて、予め決定したデフォルト値の目標誘電率に対応する結晶温度に初期設定をしても良い
次に第2のステップ801において、図2に示したように、第1の時間区間のDC電圧を印加する。その後、第3のステップ802において、第2の時間区間のAC電圧を印加する。この状態では、未だ偏向動作を始めてはおらず、KTN結晶へのプリチャージによって、図3に示したような誘電率が大きく増大した状態になっている。
第4のステップ803において、電流プローブなどによって変位電流を測定する。このとき、このプローブ電流の測定値と式(2)および式(3)から、KTN結晶の誘電率を求める。第5のステップ804において、誘電率が所望の値(目標誘電率)と異なっている場合(Yes)は、第6のステップ805において所望の誘電率となるようにKTN結晶の温度を温度調節器5によって変更する。すなわち、プローブ電流が、所望の誘電率(目標誘電率)に対応する電流値となるように、KTN結晶の温度を制御する。プローブ電流の測定値が所望の誘電率(目標誘電率)に対応する電流値と一致したとき、KTN結晶の温度変更を停止する(第6のステップの終了)。
第5のステップ804において、誘電率が所望の値(目標誘電率)に一致している場合(No)、および、第6のステップを終了してKTN結晶の誘電率が所望の値(目標誘電率)に一致している場合は、第7のステップ806において、偏向動作を開始する。このような制御によって、KTN結晶に高電圧かつ高周波数のAC電圧を印加して発熱による誘電率の低下などが生じた場合であっても、誘電率を一定に維持して、所望の偏向角を有する光偏向器を実現することができる。
したがって、本発明は、光偏向器の制御方法としても実施できる。すなわち、電気光学結晶の対向する面に形成した少なくとも2つの電極に制御電圧を印加して、電気光学効果により前記結晶内の屈折率分布の傾斜を生成することによって、前記制御電圧により形成される電界に概ね垂直に、前記電気光学結晶の1つの端面へ入射する入射光を偏向させる光偏向器の制御方法として実施できる。
本発明の方法は、前記電気光学結晶に、直流電圧または正極性および負極性の直流電圧を含む交番電圧からなるトラップ充填電圧を印加するステップ(801)と、前記印加するステップに引き続き、前記制御電圧として、交流電圧を印加して(802)、前記制御電圧電源から前記電気光学結晶に流れる変位電流を測定するステップ(803)と、前記変位電流が前記電気光学結晶の所望の誘電率に対応する目標変位電流となるように前記電気光学結晶の温度を調節するステップ(805)と、前記変位電流が前記目標変位電流に一致したあとで、偏向動作を開始するステップ(806)とを備える。
図8に示した制御フローは、光偏向器をどのような応用で使用するかによって様々な変形が可能である。例えば、ある一定時間の間に偏向動作を1度だけ行うような応用例では、図8の制御フローのように偏向動作開始(806)の前に、一度だけ、第1のステップ800から第6のステップ805までを実行すれば良い。また、複数回の偏向動作を繰り返すような応用例の場合には、偏向動作開始の後で、偏向動作を停止している間に、第2のステップ801から第6のステップ805までを実行しても良い。また、各繰り返しの偏向動作806中に測定できるプローブ電流を利用して、偏向動作を停止している間に第5のステップ805の温度変更のみを実行しても良い。また、入射光の偏向動作806を行っている最中に、KTN結晶の温度変更を実行しても良い。従って本発明では、結晶を流れる変位電流(プローブ電流)に基づいて、電気光学結晶の現在の推定誘電率を求めて、推定誘電率と目標誘電率との比較に基づいて、KTN結晶の温度を制御する点が重要である。
上述のように、本発明の光偏向器では、駆動電圧であるAC電圧(例えば、10kHzまたは200kHz)を印加するのに先立って、第1の時間区間にDC電圧を印加することによりKTN結晶の誘電率を増大させ、これによって偏向角を増大させることができる。さらに、図8に示したようなKTN結晶の温度の制御フローを偏向器の駆動動作前または駆動動作中に含めることによって、200kHzに達するような高い周波数のAC電圧を印加した場合においても、所望の偏向角を有する光偏向器を実現することができる。KTN結晶の発熱により結晶温度が上昇し、それに伴って誘電率が減少することは避けられない。そこで、KTN結晶を流れる変位電流をモニターし、所望の電流値になるよう温度調整器の設定温度をコントロールすることによって、所望の偏向角を有する光偏向器を実現することができる。なお、本発明の光偏向器における誘電率の制御は、上述の説明におけるAC電圧の周波数が10kHzおよび200kHzの場合に限られず、DCからKTNの電気光学効果が低下しない数百MHzまで同様の効果を有する。以下、より具体的な実施例について説明する。
図1を再び参照すると、図1は、本発明の実施例1のKTN偏向器を備えた光偏向器1の構造を示す。温度調節器5としてペルチェ素子を用いたが、ヒータでもかまわない。図2には、本実施例の光偏向器に印加したDC電圧およびAC電圧波形の一例を示した。尚、図2のAC電圧21にはDCバイアス電圧が掛ってはいないが、任意のDC電圧バイアスが重畳されたAC電圧を印加しても良い。KTN結晶2は、4×3.2×1.2mmのサイズを持ち、上下の電極は4×3.2mmのサイズを持つ。まず、DC電圧を印加して結晶に電荷をプリチャージする前に、KTN結晶が立方晶において誘電率が17,500となるように、温度調節器5によって結晶の温度調節を行った。このときの温度初期設定電圧は、10kHzで±1V程度の小振幅AC電圧である(図8の800に対応)。
続いて図2に示したように、正のDC電圧400Vを所定の時間印加した後、引き続き負のDC電圧−400Vを所定の時間印加して電荷を注入させた(図8の801に対応)。その後に、10kHzのAC電圧でKTN偏向器を駆動し図8の802に対応)、プローブ電流値をモニターした(図8の803に対応)。実施例1の場合、周波数10kHzのAC電圧を印加しても、発熱はほとんど生じない。したがって、初期設定温度とほぼ同じ温度で、所望の偏向角を与える光偏向器を実現できる(図8の804でNoの場合に対応)。
外部環境の影響によりプローブ電流値が所望の値と異なった場合は、所望の電流値と同じになるようにKTN結晶を温度調節した(図8の805に対応)。これにより所望の偏向角を与える光偏向器を実現できた。本発明の光偏向器では、第1の時間区間におけるDC電圧の印加によって結晶内に電子を注入させて、誘電率を2倍以上にできた。その結果、偏向角も2倍以上に増大させることができた。170mrad以上の極めて大きい偏向角を実現することができた。
本発明の実施例2のKTN偏向器は、図8に示すフロチャートに従って、初期設定温度を設定後、さらにKTN結晶の温度を幅広く調整し、所望の偏向角を実現するものである。図5は、本実施例の光偏向器におけるKTN結晶の静電容量の駆動電圧依存性(200kHz)を示す図である。図5では、DC電圧によって電荷を注入させた後(図8の801に対応)に、200kHzのAC電圧で駆動した時(図8の802に対応)の、静電容量のAC電圧Vpp依存性を示す。
本実施例でも、温度初期設定電圧は、10kHzで±1V程度の小振幅AC電圧である(図8の800に対応)。このときの初期静電容量が1.65nF(ε=17,500)となるように温度調節した(図8の800に対応)。温度調節を行わない場合、駆動電圧であるAC電圧の周波数が比較的低い10kHzの実施例1とは異なり、図5に示すように、静電容量すなわち誘電率の減少が見られた。すなわち、第1の時間区間において電荷を注入するDC電圧が高いときに(例えば±400V)は、AC電圧振幅(図5の横軸のVpp)を増大させるにしたがって、静電容量すなわち誘電率(図5の縦軸)の値が減少する。これはKTNの発熱の影響のため誘電率が減少したものと考えられる。サーモビューワーでKTN結晶の温度を確認したところ5〜7℃の温度上昇が確認された。本実施例のようにAC電圧の周波数が200kHzに達する場合は、結晶の発熱の影響のために、プリチャージによる誘電率増大の効果が相殺されていると考えられる。
そこで、図8に示した制御フローに従って、KTN結晶を初期設定温度に設定後、さらにKTN結晶の温度を調整して、偏向動作においてもKTN結晶が所定の誘電率となるように制御する。具体的には、AC電圧印加後に、KTN結晶のプローブ電流をモニターしながらKTN結晶の温度を制御した。
具体的には、図2に示したように、正のDC電圧400Vを所定の時間印加した後、引き続き負のDC電圧−400Vを所定の時間印加して、KTN結晶に電荷を注入した(図8の801に対応)。さらに、振幅Vpp=720VのAC電圧を印加した後に(図8の802に対応)、プローブ電流によりKTN結晶の変位電流をモニターする(図8の803に対応)。ここで、測定されたプローブ電流が、所望の誘電率(目標誘電率)に対応する所望の電流値に達していない場合は、プローブ電流の測定値が所望の電流値になるよう、光偏向器の温度調整器の設定温度を変更した(図8の805に対応)。偏向電圧であるAC電圧の周波数が200kHzの場合においても、偏向角は150mrad以上の極めて大きい、一定値の所望の偏向角を実現することができた。
上述の図8に示した制御フローは制御装置または制御システムによって実行できる。すなわち、図1には示されていない中央処理装置(CPU)またはコンピュータ装置などの制御の下で、プローブ電流(変位電流7)の検出手段、電源3の各電圧の制御手段、および、温度調節器5の制御装置などを介して、KTN結晶2の誘電率を制御する装置またはシステムとして構成することができる。
本発明により、高速性とともに、必要十分な最大偏向角が安定して得られる光偏向器が実現される。
本発明は、偏向機能を持つ光学装置に利用することができる。特に、光偏向器に利用することができる。
1 光偏向器
2 電気光学結晶
3 電源
4 電流プローブ
5 温度調節器
8a、8b 電極

Claims (7)

  1. 対向する面に少なくとも2つの電極を形成した電気光学結晶であって、前記電極に制御電圧を印加して、前記制御電圧により形成される電界に概ね垂直に、前記電気光学結晶の1つの端面へ入射する入射光を偏向させる電気光学結晶と、
    前記電極に印加する前記制御電圧を生成する制御電圧電源であって、
    前記電気光学結晶に、直流電圧または正極性および負極性の直流電圧を含む交番電圧からなるトラップ充填電圧と、
    前記トラップ充填電圧を印加した後に印加する前記制御電圧として、入射光を偏向させる交流偏向電圧と
    を生成するよう構成された制御電圧電源と、
    前記電気光学結晶の温度を制御する温度調節手段であって、
    前記電気光学結晶を初期温度に設定し、
    前記交流偏向電圧を印加したときに、前記制御電圧電源から前記電気光学結晶に流れる変位電流を測定し、
    前記変位電流が前記電気光学結晶の所望の誘電率に対応する目標変位電流となるように前記電気光学結晶の温度を調節するよう構成された温度調節手段と
    を備えたことを特徴とする光偏向器。
  2. 前記直流電圧または正極性および負極性の直流電圧を含む前記交番電圧を印加し、さらに前記交流偏向電圧を印加して、前記変位電流を測定することを特徴とする請求項1に記載の光偏向器。
  3. 前記温度調節手段によって、前記変位電流の測定値が前記目標変位電流に一致した後で、前記入射光の偏向動作を開始することを特徴とする請求項1に記載の光偏向器。
  4. 前記電気光学結晶は、タンタル酸ニオブ酸カリウム(KTa1-xNb(0<x<1)結晶、またはリチウムを添加したK1−yLiTa1-xNb(0<x<1、0<y<1)結晶のいずれかであることを特徴とする請求項1乃至3いずれかに記載の光偏向器。
  5. 電気光学結晶の対向する面に形成した少なくとも2つの電極に制御電圧を印加して、前記制御電圧により形成される電界に概ね垂直に、前記電気光学結晶の1つの端面へ入射する入射光を偏向させる光偏向器の制御方法において、
    前記電気光学結晶に、直流電圧または正極性および負極性の直流電圧を含む交番電圧からなるトラップ充填電圧を印加するステップと、
    前記印加するステップに引き続き、前記制御電圧として、交流電圧を印加して、前記制御電圧電源から前記電気光学結晶に流れる変位電流を測定するステップと、
    前記変位電流が前記電気光学結晶の所望の誘電率に対応する目標変位電流となるように前記電気光学結晶の温度を調節するステップと
    を備えることを特徴とする光偏向器の制御方法。
  6. 前記印加するステップに先立って、前記電気光学結晶の温度を上昇させない振幅値および周波数を持つ温度初期設定電圧を印加して、このときに測定される初期変位電流に基づいて、前記電気光学結晶の初期温度を設定するステップ
    をさらに備えることを特徴とする請求項5に記載の方法。
  7. 前記変位電流が前記目標変位電流に一致した後で、前記入射光の偏向動作を開始するステップをさらに備えることを特徴とする請求項5に記載の方法。
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