JP2015018124A - ズームレンズ及び撮像装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】小型で、ウォブリングによる撮影倍率の変化を小さく保ち、特にフォーカス群のレンズ系を軽量化してフォーカス駆動系の負荷を減少させる事が可能なズームレンズを提供する。【解決手段】物体側から順に、正の屈折力を有する第1レンズ群G1、負の屈折力を有する第2レンズ群G2、正の屈折力を有する第3レンズ群G3、負の屈折力を有する第4レンズ群G4、及び、負の屈折力を有する第5レンズ群G5を備え、広角端から望遠端にかけて変倍する際に、第2レンズ群と第3レンズ群との間隔が小さくなるようにレンズ群が移動し、無限遠から近距離物体へのフォーカシングの際には、第4レンズ群を像面側へ移動することによってフォーカスし、以下の条件式を満足することを特徴とする。【選択図】図1

Description

本件発明は、ズームレンズ及び撮像装置に関し、特に小型軽量であり、且つ、手ぶれ補正機能を備えたズームレンズ及び撮像装置に関する。
従来の一眼レフレックスカメラ用のズームレンズ等では、光学式ファインダーに関する光学要素等を配置するため、焦点距離に対して長いフランジバックを確保する必要性があった。そのため、ズームレンズを構成するレンズ群のうち像面側に配置される後方のレンズ群には、正の屈折力を有するレンズ群を配置してバックフォーカスを確保しやすいようなレンズ設計を行い、長いフランジバックを確保していた。しかしながら、近年では、撮像装置本体の小型化のため、また撮像装置本体の背面等に設けた液晶画面に表示されるライブビュー画像により撮像を行うデジタルスチルカメラ等の普及に伴い、光学式ファインダーを備えていない撮像装置が広く用いられるようになっている。このため、長いフランジバックを必要としないズームレンズも増えてきており、ズームレンズの小型化が求められている。また、このような小型のズームレンズにおいて、フォーカス群の小型化を図ったものや手振れ補正に必要な防振レンズを備えたものなど、動画撮影に適したズームレンズなどが提案されている。
特に、動画撮影時等において、オートフォーカスを高速で連続して行うには、一部のレンズ群(フォーカス群)を光軸方向に高速で振動(ウォブリング)させながら、非合焦状態→合焦状態→非合焦状態を作り出し、撮像素子の出力信号から一部画像領域のある周波数帯の信号成分を検出して、合焦状態となるフォーカス群の最適位置を求め、その最適位置にフォーカス群を移動させるといった一連の動作を繰り返す方法が考えられる。このようなウォブリングを導入する場合、ズームレンズ設計においては、ウォブリング時に被写体に対応する画像の大きさが変化することに注意する必要がある。このようなフォーカス時の変倍作用は、ウォブリング時にフォーカス群が光軸方向に移動することにより、レンズ系全体の焦点距離が変化することに起因している。例えば、ライブビュー撮影を行う際に、ウォブリングによるこの変倍作用が大きい場合にはユーザに違和感を生じさせることになる。この違和感を軽減させる為には絞りよりも後方のレンズ群でフォーカスを行う事により効果がある事が知られている。また、ウォブリングを導入し、高速オートフォーカスを実現する為にはフォーカス群の小型・軽量化は必須の条件となる。
このように、近年の撮像装置本体の小型化及びフランジバックの短縮化に合わせてズームレンズ自体の小型化が必要になる事はもとより、フォーカス群を高速に駆動させられるようにフォーカス群の外径を極力小さくすると共に、その軽量化を図る事が望まれている。
また、防振レンズ群においても同様に手ブレによる画像劣化の影響を軽減させると共に、防振駆動系の負荷を軽減させる為に、防振レンズ群も外径を小さく、そして軽くする事が望まれている。
このような背景の下、例えば、特許文献1には、物体側から順に正負正負正の5群レンズからなる広角高倍率ズームレンズが提案されている。また、特許文献2には、コンパクトな高変倍率ズームレンズが記載されており、その実施例7では正負正負負の光学系が提案されている。さらに、特許文献3には、高変倍率ズームレンズについて記載されており、その実施例2では正負正負負の光学系が提案されている。
特許第3958489号公報 特許第2773131号公報 特開2011−247962号公報
ところで、従来、光学像を受光して電気的な画像信号に変換する固体撮像素子においては、オンチップマイクロレンズ等で入射光の効率的な取り込みをする為の制限があり、その為レンズ側で射出瞳をある一定以上大きくして固体撮像素子への入射光束のテレセントリック性を確保する事が望まれていた。しかしながら、近年の固体撮像素子では開口率の向上やオンチップマイクロレンズの設計自由度の進歩があり、レンズ側に求められる射出瞳の制限も少なくなってきた。その為、従来においては、ズームレンズの後方に正の屈折力を有するレンズ群を配置し、テレセントリック性を確保する為の各種提案が行われてきたが、近年はその限りではなくなってきている。このため、ズームレンズの後方に負の屈折力を有するレンズ群を配置して固体撮像素子に対する光束の斜入射があった場合でもオンチップマイクロレンズとの瞳のミスマッチ等での周辺減光(シェーディング)が目立ちにくくなってきた。また、歪曲収差がある程度大きく、従来であれば目立つものであったとしても、ソフトウェアやカメラシステムの進歩、向上に伴い、画像処理により補正する事も可能になってきている。
上記特許文献1に記載のズームレンズでは、テレセントリック性を持たせながら歪曲収差を含めた諸収差を良好に補正する事に注力している。このため、上述したように、ズームレンズの後方に正の屈折力を有するレンズ群を配置していることから、例えば、物体側から順に正負正負負の5群レンズからなり歪曲収差を意図的に残存させた場合と比較すると、この特許文献1に記載のズームレンズ光学系は十分に小型化ができているとは言えない。また、フランジバックも従来の一眼レフレックスカメラ用に使用される前提で設計がなされており、ズームレンズ全長に対するバックフォーカスが長く設定されている面でも全長が長くなっている。
また、特許文献2に記載のズームレンズは、光学系自体はコンパクトであるが、フィルムカメラに適した光学系に関する発明であり、近年の動画撮影に対応させたフォーカス群の規定や防振光学系の配置がなされたものではない。
特許文献3に記載のズームレンズは、その実効焦点距離に対して5群の焦点距離が長く屈折力が弱い。このため、当該ズームレンズの小型化軽量化が十分ではなく、より一層の小型化軽量化が求められる。
そこで、本件発明の課題は、全体として小型で、ウォブリングによる撮影倍率の変化を小さく保ち、特にフォーカス群のレンズ系を軽量化してフォーカス駆動系の負荷を減少させる事が可能なズームレンズを提供することにある。
本発明者等は、鋭意研究を行った結果、以下のズームレンズを採用することで上記課題を達成するに到った。
本件発明に係るズームレンズは、物体側から順に、正の屈折力を有する第1レンズ群、負の屈折力を有する第2レンズ群、正の屈折力を有する第3レンズ群、負の屈折力を有する第4レンズ群、及び、負の屈折力を有する第5レンズ群を備え、広角端から望遠端にかけて変倍する際に、第2レンズ群と第3レンズ群との間隔が小さくなるようにレンズ群が移動し、無限遠から近距離物体へのフォーカシングの際には、第4レンズ群を像面側へ移動することによってフォーカスし、以下の条件式を満足することを特徴とする。
Figure 2015018124
本件発明に係るズームレンズは、物体側から順に、正の屈折力を有する第1レンズ群、負の屈折力を有する第2レンズ群、正の屈折力を有する第3レンズ群、負の屈折力を有する第4レンズ群、及び、負の屈折力を有する第5レンズ群を備え、広角端から望遠端にかけて変倍する際に、第2レンズ群と第3レンズ群との間隔が小さくなるようにレンズ群が移動し、無限遠から近距離物体へのフォーカシングの際には、第4レンズ群を像面側へ移動することによってフォーカスし、以下の条件式を満足することを特徴とする。
Figure 2015018124
本件発明に係るズームレンズにおいて、以下の条件式を満足することが好ましい。
Figure 2015018124
本件発明に係るズームレンズにおいて、以下の条件式を満足することが好ましい。
Figure 2015018124
本件発明に係るズームレンズにおいて、第3レンズ群は、少なくとも一の接合レンズを備え、当該第3レンズ群において最も物体側に配置された接合レンズを光軸に対して垂直方向に移動させることにより手ぶれ補正を行うことが好ましい。
本件発明に係るズームレンズにおいて、第2レンズ群の最も像面側に配置されるレンズは非球面レンズであることが好ましい。
本件発明に係る撮像装置は、上記記載のズームレンズと、その像面側に当該ズームレンズによって形成された光学像を電気的信号に変換する撮像素子とを備えたことを特徴とする。
本件発明によれば、全体として小型で、ウォブリングによる撮影倍率の変化を小さく保ち、特にフォーカス群のレンズ系を軽量化してフォーカス駆動系の負荷を減少させる事が可能なズームレンズを提供することができる。
本件発明の実施例1のズームレンズのレンズ構成例を示す図である。上段が広角端におけるレンズ構成図であり、下段が望遠端におけるレンズ構成図である。 本件発明の実施例1のズームレンズの広角端状態における無限遠合焦時の球面収差、非点収差及び歪曲収差の縦収差図である。 本件発明の実施例1のズームレンズの中間焦点距離状態における無限遠合焦時の球面収差、非点収差及び歪曲収差の縦収差図である。 本件発明の実施例1のズームレンズの望遠端状態における無限遠合焦時の球面収差、非点収差及び歪曲収差の縦収差図である。 本件発明の実施例1のズームレンズの広角端状態におけるメディジオナル横収差図である。 本件発明の実施例1のズームレンズの中間焦点距離状態におけるメディジオナル横収差図である。 本件発明の実施例1のズームレンズの望遠端状態におけるメディジオナル横収差図である。 本件発明の実施例2のズームレンズのレンズ構成例を示す図である。上段が広角端におけるレンズ構成図であり、下段が望遠端におけるレンズ構成図である。 本件発明の実施例2のズームレンズの広角端状態における無限遠合焦時の球面収差、非点収差及び歪曲収差の縦収差図である。 本件発明の実施例2のズームレンズの中間焦点距離状態における無限遠合焦時の球面収差、非点収差及び歪曲収差の縦収差図である。 本件発明の実施例2のズームレンズの望遠端状態における無限遠合焦時の球面収差、非点収差及び歪曲収差の縦収差図である。 本件発明の実施例2のズームレンズの広角端状態におけるメディジオナル横収差図である。 本件発明の実施例2のズームレンズの中間焦点距離状態におけるメディジオナル横収差図である。 本件発明の実施例2のズームレンズの望遠端状態におけるメディジオナル横収差図である。 本件発明の実施例3のズームレンズのレンズ構成例を示す図である。上段が広角端におけるレンズ構成図であり、下段が望遠端におけるレンズ構成図である。 本件発明の実施例3のズームレンズの広角端状態における無限遠合焦時の球面収差、非点収差及び歪曲収差の縦収差図である。 本件発明の実施例3のズームレンズの中間焦点距離状態における無限遠合焦時の球面収差、非点収差及び歪曲収差の縦収差図である。 本件発明の実施例3のズームレンズの望遠端状態における無限遠合焦時の球面収差、非点収差及び歪曲収差の縦収差図である。 本件発明の実施例3のズームレンズの広角端状態におけるメディジオナル横収差図である。 本件発明の実施例3のズームレンズの中間焦点距離状態におけるメディジオナル横収差図である。 本件発明の実施例3のズームレンズの望遠端状態におけるメディジオナル横収差図である。 本件発明の実施例4のズームレンズのレンズ構成例を示す図である。上段が広角端におけるレンズ構成図であり、下段が望遠端におけるレンズ構成図である。 本件発明の実施例4のズームレンズの広角端状態における無限遠合焦時の球面収差、非点収差及び歪曲収差の縦収差図である。 本件発明の実施例4のズームレンズの中間焦点距離状態における無限遠合焦時の球面収差、非点収差及び歪曲収差の縦収差図である。 本件発明の実施例4のズームレンズの望遠端状態における無限遠合焦時の球面収差、非点収差及び歪曲収差の縦収差図である。 本件発明の実施例4のズームレンズの広角端状態におけるメディジオナル横収差図である。 本件発明の実施例4のズームレンズの中間焦点距離状態におけるメディジオナル横収差図である。 本件発明の実施例4のズームレンズの望遠端状態におけるメディジオナル横収差図である。 本件発明の実施例5のズームレンズのレンズ構成例を示す図である。上段が広角端におけるレンズ構成図であり、下段が望遠端におけるレンズ構成図である。 本件発明の実施例5のズームレンズの広角端状態における無限遠合焦時の球面収差、非点収差及び歪曲収差の縦収差図である。 本件発明の実施例5のズームレンズの中間焦点距離状態における無限遠合焦時の球面収差、非点収差及び歪曲収差の縦収差図である。 本件発明の実施例5のズームレンズの望遠端状態における無限遠合焦時の球面収差、非点収差及び歪曲収差の縦収差図である。 本件発明の実施例5のズームレンズの広角端状態におけるメディジオナル横収差図である。 本件発明の実施例5のズームレンズの中間焦点距離状態におけるメディジオナル横収差図である。 本件発明の実施例5のズームレンズの望遠端状態におけるメディジオナル横収差図である。 本件発明の実施例6のズームレンズのレンズ構成例を示す図である。上段が広角端におけるレンズ構成図であり、下段が望遠端におけるレンズ構成図である。 本件発明の実施例6のズームレンズの広角端状態における無限遠合焦時の球面収差、非点収差及び歪曲収差の縦収差図である。 本件発明の実施例6のズームレンズの中間焦点距離状態における無限遠合焦時の球面収差、非点収差及び歪曲収差の縦収差図である。 本件発明の実施例6のズームレンズの望遠端状態における無限遠合焦時の球面収差、非点収差及び歪曲収差の縦収差図である。 本件発明の実施例6のズームレンズの広角端状態におけるメディジオナル横収差図である。 本件発明の実施例6のズームレンズの中間焦点距離状態におけるメディジオナル横収差図である。 本件発明の実施例6のズームレンズの望遠端状態におけるメディジオナル横収差図である。 本件発明の実施例7のズームレンズのレンズ構成例を示す図である。上段が広角端におけるレンズ構成図であり、下段が望遠端におけるレンズ構成図である。 本件発明の実施例7のズームレンズの広角端状態における無限遠合焦時の球面収差、非点収差及び歪曲収差の縦収差図である。 本件発明の実施例7のズームレンズの中間焦点距離状態における無限遠合焦時の球面収差、非点収差及び歪曲収差の縦収差図である。 本件発明の実施例7のズームレンズの望遠端状態における無限遠合焦時の球面収差、非点収差及び歪曲収差の縦収差図である。 本件発明の実施例7のズームレンズの広角端状態におけるメディジオナル横収差図である。 本件発明の実施例7のズームレンズの中間焦点距離状態におけるメディジオナル横収差図である。 本件発明の実施例7のズームレンズの望遠端状態におけるメディジオナル横収差図である。
以下、本件発明に係るズームレンズ及び撮像装置の実施の形態を説明する。
1.ズームレンズ
1−1.光学系の構成
まず、本件発明に係るズームレンズの光学系の構成と動作について説明する。本件発明に係るズームレンズは、物体側から順に、正の屈折力を有する第1レンズ群、負の屈折力を有する第2レンズ群、正の屈折力を有する第3レンズ群、負の屈折力を有する第4レンズ群、及び、負の屈折力を有する第5レンズ群を備え、広角端から望遠端にかけて変倍する際に、第2レンズ群と第3レンズ群との間隔が小さくなるようにレンズ群が移動し、無限遠から近距離物体へのフォーカシングの際には、第4レンズ群を像面側へ移動することによってフォーカスする。
本件発明に係るズームレンズは、いわゆるテレフォトタイプのズームレンズであり、上記第1レンズ群〜第3レンズ群は全体として正の屈折力を有する物体側群であり、第4レンズ群〜第5レンズ群は全体として負の屈折力を有する像面側群である。本件発明では、テレフォトタイプのズームレンズとすることにより、当該ズームレンズの望遠端における焦点距離よりも当該ズームレンズの望遠端における光学全長を短縮することができる。このため、変倍率を高くしたとき(例えば、35mmフィルム換算で焦点距離300mm超等;以下同じ)にも望遠端における光学全長の増加を抑制することができる。
また、本件発明では、上記のとおりテレフォトタイプのズームレンズとすると共に、像面側群を負の屈折力を有する第4レンズ群及び第5レンズ群を少なくとも備える構成としている。このため、従来の正負正負正の5群構成のズームレンズと比較すると、像面側群における全体の負の屈折力を強くすることが容易になる。つまり、よりテレフォト傾向の強いズームレンズとすることが容易になるため、変倍率を高くしたときも望遠端における焦点距離に対して望遠端における光学全長をより短縮することが可能になる。
ここで、ズームレンズは、一般に、鏡筒(最外筒)内に1以上の内筒が入れ子式に収容されている。内筒は、変倍率に応じて物体側に繰り出される。望遠端と広角端とにおける光学全長の差が大きくなると、内筒収納時の鏡筒全長を短くするために、最外筒内に複数の内筒を収容させることが行われる。しかしながら、最外筒内に複数の内筒を収容させると、内筒の厚みの分だけ最外筒の径が大きくなる。そこで、本件発明では、上述のとおりよりテレフォト傾向の強いズームレンズとすることにより、変倍率を高くした場合であっても、望遠端における光学全長の増加を抑制することが可能であるため、最外筒内に収容される内筒の数の増加を抑制することができる。このため、本件発明によれば、望遠端における光学全長だけではなく、鏡筒の外径についても小型化を図ることができる。
また、上記光学系において、第2レンズ群を構成するレンズのうち、最も像面側のレンズを非球面レンズとすることが好ましい。非球面レンズを用いることにより、特に望遠端における球面収差を良好に補正することができる。また、広角端における像面湾曲の補正も良好になる。従って、より高い結像性能を有する光学系を得ることが容易になる。また、非球面レンズは一般に偏心敏感度が高いため、当該非球面レンズをズームレンズを組み立てる際の調芯玉として好適に用いることができる。さらに、第2レンズ群を構成するレンズのレンズ径は比較的大きく、且つ、非球面レンズを第2レンズ群の最も像面側に配置することにより、当該非球面レンズの位置を微調整する作業が容易になるため、調芯時の作業性を向上することができる。
1−2.動作
次に、上記構成のズームレンズにおけるフォーカシング及びズーミングについて順に説明する。
(1)フォーカシング(合焦動作)
まず、フォーカシングについて説明する。本件発明に係るズームレンズは、上記のとおり、負の屈折力を有する第4レンズ群をフォーカス群とし、無限遠から近距離物体へのフォーカシングの際には、当該第4レンズ群を像面側へ移動することによってフォーカスする。つまり、比較的径の小さいズームレンズ後方の第4レンズ群をフォーカス群とすることにより、フォーカス群のレンズ系を軽量化してフォーカス駆動系の負荷を減少させる事ができる。このため、高速オートフォーカスを実現することができ、動画撮像の際にも迅速にズーミングすることができる。フォーカス群の軽量化を図り、より一層高速のオートフォーカスを実現するという観点から、当該第4レンズ群は単一レンズブロックから構成されていることが好ましい。ここで、単一レンズブロックは、単レンズ又は、複数のレンズを接合した接合レンズをいう。
なお、本件発明において、絞り(開口絞り)の位置は特に限定されるものではないが、第2レンズ群よりも像面側に絞りを配置することが好ましく、第2レンズ群と第3レンズ群との間、又は第3レンズ群と第4レンズ群との間に配置することが好ましい。しかしながら、当該ズームレンズのレンズ構成や要求される光学特性等に応じて、適宜適切な位置に配置すればよい。
ここで、テレフォト傾向の強いズームレンズとするには、上記のとおり、像面側群の負の屈折力を強くすることが求められる。従来、テレフォトタイプのズームレンズでは、第4レンズ群の屈折力を負、第5レンズ群の屈折力を正とすることが一般的に行われていた。これは上述したとおり、テレセントリック性を確保する必要性等のためである。しかしながら、第4レンズ群をフォーカス群としたとき、第4レンズ群の屈折力が強すぎると、フォーカシングを行う間に第4レンズ群を光軸方向に振動させた場合、このウォブリングに伴い収差変動や変倍作用が生じる。そこで、本件発明では、第4レンズ群だけではなく、第5レンズ群についても負の屈折力を配分することにより、テレフォト傾向の強いズームレンズとすると共に、像面側群を構成する負レンズ群をフォーカス群とした場合にも合焦時の収差変動や変倍作用を抑制することを可能とした。例えば、ミラーレス一眼カメラ等の光学式ファインダーを備えていない撮像装置等では、ユーザは装置本体の背面に設けられた液晶画面等に表示されるライブビュー画像等により画像を確認しながら撮像を行う。このとき、本件発明に係るズームレンズを用いれば、合焦の間も変倍等を抑制しながら結像性能の高い画像をライブビュー画像として表示することができる。従って、本件発明に係るズームレンズは、ミラーレス一眼カメラ等の撮像装置に好適に用いることができる。
(2)ズーミング(変倍動作)
次に、ズーミングについて説明する。本件発明に係るズームレンズでは、上述のとおり広角端から望遠端にかけて変倍する際に、第2レンズ群と第3レンズ群との間隔が小さくなるようにレンズ群が移動すれば、各レンズ群の具体的な動作は特に限定されるものではない。より変倍率を高くするという観点から、上記条件を満足しつつ、ズーミングの際に第1レンズ群と第2レンズ群との間隔が大きくなるように、各レンズ群を移動させると好ましい。さらに、収差補正の自由度を向上させ、ズーム全域において高い結像性能を得るという観点から、ズーミングの際には、第1レンズ群〜第5レンズ群の各レンズ群間の間隔をそれぞれ変化させるように、各レンズ群を相対的に移動させることが好ましい。変倍時に各レンズ群間の間隔をそれぞれ変化させることにより、各変倍率において各レンズ群の位置を収差補正上好ましい位置に調整することが容易になるためである。このとき、変倍時に全レンズ群をそれぞれ別個に移動させることにより、各レンズ群間の間隔を変化させてもよいし、全レンズ群のうち一部のレンズ群を一体に移動させ、残りのレンズ群を別個に移動させてもよい。また、全レンズ群を全て移動群とするのではなく、一部のレンズ群を固定群としてもよい。
(3)防振動作
上記構成のズームレンズにおいて、第3レンズ群は、少なくとも一の接合レンズを備える構成とし、当該第3レンズ群において最も物体側に配置された接合レンズを光軸に対して垂直方向に移動させることにより手ぶれ補正を行う防振群とすることが好ましい。第3レンズ群を構成するレンズのレンズ径は比較的小さいため、当該第3レンズ群内に防振群を配置することにより防振群の小型・軽量化を図ることができ、防振駆動系の負荷を抑制することができ、且つ、防振動作を迅速に行うことができる。このため、防振群を設ける場合であっても当該ズームレンズの光学系をコンパクトに構成することができる。また、単レンズを防振レンズとする場合と比較すると、接合レンズを防振群とすることにより、防振時の色収差を良好に補正することができ、手ぶれ補正時においても良好な結像性能を実現することができる。
この場合、第3レンズ群内に設けられた接合レンズのうち最も物体側に配置された接合レンズを防振群とすることが好ましい。本件発明では、第4レンズ群をフォーカス群としているため、像面側に配置された接合レンズを防振群とする場合には、フォーカス群を光軸方向に移動させるためフォーカスアクチュエータと、防振群を光軸に対して垂直方向に移動させるための防振アクチュエータとが互いに干渉しないように配置することが困難になり、鏡筒径が大きくなる恐れがあり好ましくない。一方、最も物体側に配置された接合レンズを防振群とすることにより、フォーカスアクチュエータと防振アクチュエータとが干渉しないように鏡筒内に配置することが容易になるため、鏡筒径が大きくなるのを抑制することができる。第3レンズ群以外のレンズ群に防振群を配置することも可能であるが、例えば第1レンズ群及び第5レンズ群に防振群を配置した場合、これらのレンズ群を構成するレンズのレンズ径は他のレンズ群を構成するレンズと比較すると大きく、防振群が大型すると共に重量が増加するため、防振駆動系への負荷が増大し、且つ、迅速な手ぶれ補正を行うことが困難になるため好ましくない。また、第2レンズ群及び第2レンズ群に防振群を配置した場合、当該防振群の偏心敏感度が高く、手ぶれ補正時における結像性能が低下する場合があり、好ましくない。
以上説明した本件発明に係るズームレンズは、本件発明に係るズームレンズの一態様であり、本件発明の趣旨を逸脱しない範囲で、適宜、その具体的なレンズ構成等を変更してもよいのは勿論である。
1−3.条件式
次に、本件発明に係るズームレンズが満足すべき、或いは、満足することが好ましい条件式について、以下、順に説明する。
1−3−1.条件式(1)
まず、条件式(1)について説明する。本件発明に係るズームレンズは、下記条件式(1)を満足することを特徴とする。
Figure 2015018124
条件式(1)は望遠端における当該ズームレンズの光学系全体の焦点距離に対する第2レンズ群の焦点距離を規定したものである。当該条件式(1)を満足させることにより、結像性能が高く、且つ、コンパクトな光学系を得ることができる。条件式(1)に関して、当該数値がその下限値を下回る場合、第2レンズ群の屈折力が強く、像面湾曲がオーバーに行き過ぎるため、結像性能が低下し好ましくない。一方、条件式(1)に関して、当該数値がその上限値を超える場合、第2レンズ群の屈折力が弱く、広角端から望遠端までの広いズーム域をカバーするには前玉径を大きくする必要があり、コンパクトな光学系を得ることができず好ましくない。
これらの観点から、より高い結像性能を得ると共に、径方向においてよりコンパクトな光学系を実現するには、当該条件式(1)の数値は、0.064≦|f2|/ft≦0.069の範囲内であることが好ましい。さらに、より一層高い結像性能を得ると共に、径方向においてより一層コンパクトな光学系を実現するには、当該条件式(1)の数値は、0.064≦|f2|/ft≦0.067の範囲内であることがより好ましい。
1−3−2.条件式(2)
次に、条件式(2)について説明する。本件発明に係るズームレンズは、上記条件式(1)に代えて、下記条件式(2)を満足するものであってもよい。
Figure 2015018124
条件式(2)は、望遠端における当該ズームレンズの光学系全体の焦点距離に対する第1レンズ群の焦点距離を規定したものである。当該条件式(2)を満足させることにより、結像性能が高く、且つ、コンパクトな光学系を得ることができる。条件式(2)に関して、当該数値がその下限値を下回る場合、第1レンズ群の屈折力が強く、望遠端における球面収差が許容可能な範囲を超えてアンダーに行き過ぎるため、結像性能が低下し好ましくない。また、当該条件式(2)に関して、当該数値がその上限値を超える場合、第1レンズ群の屈折力が弱く、望遠端における光学全長が長くなるため好ましくない。
これらの観点から、より高い結像性能を得ると共に、光学全長方向においてよりコンパクトな光学系を実現するには、当該条件式(2)の数値は、0.39<≦f1/ft≦0.47の範囲内であることが好ましい。さらに、より一層高い結像性能を得ると共に、光学全長方向におけるより一層コンパクトな光学系を実現するには、当該条件式(2)の数値は、0.41≦f1/ft≦0.45の範囲内であることがより好ましい。
本件発明においては、上記条件式(1)又は条件式(2)の少なくともいずれか一方を満足させることにより、結像性能が高く、且つ、コンパクトな光学系を実現することができる。
また、本件発明において、例えば、上記条件式(1)を満足すると共に、条件式(2)を満足することも好ましい。この場合、条件式(1)を満足させることにより得られる効果に加えて、光学全長方向におけるコンパクト化を図ることができ、さらに結像性能をより向上させることができる。このとき、条件式(2)において述べた好ましい範囲内、或いはより好ましい範囲内であることがより一層光学全長方向におけるコンパクト化を図る上で好ましい。
同様に、本件発明において、例えば、上記条件式(2)を満足すると共に、条件式(1−1)として、0.060≦|f2|/ft≦0.085を満足することも好ましい。この場合、条件式(2)を満足させることにより得られる効果に加えて、径方向におけるコンパクト化を図ることができ、さらに結像性能をより向上させることができる。このとき、当該条件式(1−1)の数値が上述した条件式(1)の範囲であることがより一層高い結像性能を得ると共に、径方向においてよりコンパクトな光学系を実現する上で好ましい。また、条件式(1)の好ましい範囲内、或いはより好ましい範囲内であることが上述した理由から好ましい。
1−3−3.条件式(3)
次に、条件式(3)について説明する。本件発明に係るズームレンズは、上記条件式(1)及び/又は条件式(2)を満足すると共に、以下の条件式(3)を満足することが好ましい。
Figure 2015018124
条件式(3)は望遠端における当該ズームレンズの光学系全体の焦点距離に対する第5レンズ群の焦点距離を規定したものである。条件式(1)及び/又は条件式(2)と共に、当該条件式(3)を満足させることにより、より結像性能が高く、且つ、よりコンパクトな光学系を得ることができる。条件式(3)に関して、当該数値がその下限値を下回る場合、第5レンズ群の屈折力が強く、像面湾曲がオーバーに行き過ぎるため、結像性能が低下し好ましくない。一方、条件式(3)に関して、当該数値がその上限値を超える場合、第5レンズ群の屈折力が弱く、像高を確保するには後玉径を大きくする必要があり、コンパクトな光学系を得ることができず好ましくない。
これらの観点から、より一層高い結像性能を得ると共に、径方向においてより一層コンパクトな光学系を実現するには、当該条件式(3)の数値は、0.29≦|f5|/ft≦0.43の範囲内であることが好ましく、0.31≦|f5|/ft≦0.41の範囲内であることがさらに好ましい。
1−3−4.条件式(4)
次に、条件式(4)について説明する。本件発明に係るズームレンズは、上記条件式(1)及び/又は条件式(2)を満足すると共に、以下の条件式(4)を満足することが好ましい。
Figure 2015018124
条件式(4)は広角端における当該ズームレンズの光学系全体の焦点距離に対する第5レンズ群の最終レンズ像面側面頂点から撮像素子までの距離を規定したものである。条件式(1)及び/又は条件式(2)と共に、当該条件式(4)を満足させることにより、広角端におけるバックフォーカスを適正な範囲内にすることができ、より結像性能が高く、且つ、よりコンパクトな光学系を得ることができる。条件式(4)に関して、当該数値がその下限値を下回る場合、バックフォーカスが短くなりすぎて、当該最終レンズと撮像素子との間にシャッターなどの機構部品を配置することが困難になる。一方、条件式(4)に関して、当該数値がその上限値を超える場合、第5レンズ群をより物体側に配置する必要が生じ、像面湾曲の補正が困難になる。
これらの観点から、より一層高い結像性能を得ると共に、光学全長方向において一層コンパクトな光学系を実現するには、当該条件式(4)の数値は、0.61≦fw/fw≦0.67の範囲内であることが好ましく、0.63≦bfw/fw≦0.65の範囲内であることがさらに好ましい。
なお、本件発明において、上記条件式(1)又は条件式(2)(或いは、条件式(1)及び条件式(2−1)、又は、条件式(1−1)及び条件式(2))と共に、条件式(3)及び条件式(4)の両条件式を満足させてもよいのは勿論である。条件式(1)又は条件式(2)(或いは条件式(1)及び条件式(2−1)、又は、条件式(1−1)及び条件式(2))に加えて、条件式(3)及び条件式(4)の両条件式を満足させることにより、より一層高い結像性能を有するると共に、径方向及び光学全長方向においてより一層コンパクトな光学系を実現することができる。
2.撮像装置
次に、本件発明に係る撮像装置について説明する。本件発明に係る撮像装置は、上記ズームレンズと、その像面側に当該ズームレンズによって形成された光学像を電気的信号に変換する撮像素子とを備えたことを特徴とする。ここで、撮像素子の種類等に特に限定はなく、撮像素子の大きさについても特に限定されるものではない。しかしながら、上述したとおり、本件発明に係るズームレンズのフランジバックは短くすることができるため、当該ズームレンズは、いわゆるミラーレス一眼カメラ等の光学式ファインダーやレフレックスミラ−等を備えていないタイプの撮像装置に好適である。本件発明に係るズームレンズは小型で高い変倍率を実現することができるため、いわゆる一眼レフカメラと比較すると筐体の小さいこれらのミラーレス一眼カメラ等の撮像装置に適用することが好ましい。また、本件発明においては、動画撮影においても高速オートフォーカスを実現することができるため、動画撮影が可能な撮像装置に適用することも好ましい。
次に、実施例および比較例を示して本件発明を具体的に説明する。但し、本件発明は以下の実施例に限定されるものではなく、下記実施例に記載するレンズ構成は本件発明の一例に過ぎず、本件発明に係るズームレンズのレンズ構成は本件発明の趣旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能であるのは勿論である。
次に、実施例および比較例を示して本件発明を具体的に説明する。但し、本件発明は以下の実施例に限定されるものではない。
本発明によるズームレンズの実施例を図面を参照して説明する。図1は、本実施例1のズームレンズのレンズ構成例を示す図である。上段が広角端状態におけるレンズ構成図であり、下段が望遠端状態におけるレンズ構成図である。
図1に示すように、本実施例1のズームレンズは、物体側から順に、正の屈折力を有する第1レンズ群G1、負の屈折力を有する第2レンズ群G2、正の屈折力を有する第3ンズ群G3、負の屈折力を有する第4レンズ群G4、及び、負の屈折力を有する第5レンズ群G5を備えている。第1レンズ群G1は、レンズL1〜レンズL3から構成されており、第2レンズ群G2はレンズL4〜レンズL7から構成されている。また、第3レンズ群G3はレンズL8〜レンズL13から構成されており、レンズL10及びレンズL11、レンズL12及びレンズL13はそれぞれ接合レンズを構成している。第4レンズ群はレンズL14とレンズL15とが接合された接合レンズから構成されている。第5レンズ群はレンズL16及びレンズL17から構成されている。本実施例では、第2レンズ群と第3レンズ群との間に絞りが配置されており、当該絞りは第3レンズ群と共に移動する。当該光学系において、当該第4レンズ群G4がフォーカス群Fとして機能する。また、第3レンズ群G3においてレンズL10とレンズL11とからなる接合レンズは防振群として機能し、手ぶれ補正時この防振群が光軸に対して垂直方向に移動する。なお、各レンズ群の具体的なレンズ構成は図1に示すとおりである。
本実施例1のズームレンズでは、広角端から望遠端にかけて変倍する際に、第1レンズ群G1と第2レンズ群G2との間隔が大きくなり、且つ、第2レンズ群G2と第3レンズ群G3との間隔が小さくなるようにレンズ群が移動する。また、無限遠から近距離物体へのフォーカシングの際には、第4レンズ群が像面側に移動する。
望遠端における手ぶれ補正状態での防振群の光軸に対して垂直方向への移動量は0.74mmである。撮影距離が∞で望遠端において、ズームレンズ系が0.3°だけ傾いた場合の像偏心量は、防振群が光軸と垂直な方向に平行移動したときの像偏心量に等しい。なお、各実施例2〜実施例7のズームレンズについても、各防振群の光軸に対して垂直方向への移動量と、ズームレンズ系が0.3°だけ傾いた場合の上記像偏心量は等しい。
次に、当該本実施例1において、具体的数値を適用した数値実施例1のズームレンズにおいて、広角端状態、中間焦点距離状態、望遠端状態における全系の焦点距離(f)、Fナンバー(FNO.)、画角(2ω(°))を表1に示す。なお、表1において、右側から順に広角端状態、中間焦点距離状態、望遠端状態における各数値を示している。
Figure 2015018124
また、当該数値実施例1のレンズデータを表2に示す。表2に示すレンズデータは次のものである。各レンズの面番号毎に「R」(レンズ面の曲率半径)、「D」(レンズ厚又は、互いに隣接するレンズ面の光軸上の間隔)、「Nd」(d線(波長λ=587.56nm)に対する屈折率)、「νd」(d線に対するアッベ数)を示している。また、レンズ面が非球面である場合には、面番号の前に「*(アスタリスク)」を付して曲率半径「R」の欄には近軸曲率半径を示している。
Figure 2015018124
次に、表2に示した非球面について、その形状を次式zで定義した場合の非球面係数を表3に示す。表3において、「E−a」は、「×10−a」を示す。
z=ch2/[1+{1-(1+k)c2h2}1/2]+A4h4+A6h6+A8h8+A10h10・・・
但し、上記式において、cは曲率(1/r)、hは光軸からの高さ、kは円錐係数、A4、A6、A8、A10・・・は各次数の非球面係数を示す。
Figure 2015018124
さらに、表4に数値実施例1の広角端状態、中間焦点距離状態及び望遠端状態における近接物体合焦時の面間隔を、無限物体合焦時の焦点距離(f)と共にそれぞれ示す。なお、上述した表1〜表4における記号等に関する事項は表5〜表28においても同様である。
Figure 2015018124
数値実施例1における条件式(1)〜条件式(4)の各数値を表29に示す。
また、図2〜図4に、本実施例1のズームレンズの広角端状態、中間焦点距離状態及び望遠端状態における無限遠合焦時の球面収差、非点収差及び歪曲収差の縦収差図をそれぞれ示す。各縦収差図は、図面に向かって左側から順にそれぞれ球面収差(SA(mm))、非点収差(AST(mm))、歪曲収差(DIS(%))を示す。球面収差図において、縦軸はFナンバー(図中、FNOで示す)を表し、実線はd線、破線はg線(波長λ=435.84nm)の特性である。非点収差図において、縦軸は半画角(図中、ωで示す)を表し、実線はサジタル平面(図中、Xで示す)、破線はメリディオナル平面(図中、Yで示す)の特性である。歪曲収差図において、縦軸は半画角(図中、ωで示す)を表す。なお、これらは図9〜図11、図16〜図18、図23〜図15、図30〜図32、図37〜図39、図44〜図46においても同じである。
また、図5〜図7は、それぞれ数値実施例1のズームレンズの広角端状態、中間焦点距離状態及び望遠端状態における横収差図である。図面に向かって左側に位置する2つの横収差図は各焦点距離において手振れ補正を行っていないときの基本状態に対応する。また、図面中央に位置する2つの横収差図は、各焦点距離において防振群(手振れ補正光学系)を光軸と垂直な方向に+0.3°移動させたときの手振れ補正状態に対応する。さらに、図面に向かって右側に位置する2つの横収差図は、各焦点距離において防振群を光軸と垂直な方向に−0.3°移動させたときの手ぶれ補正状態に対応する。また、各横収差図において、上段は最大像高の70%の像点における横収差(0.70FA)、中段は軸上像点における横収差(0.00FA)にそれぞれ対応する。また各横収差図において、横軸は瞳面上での主光線からの距離を表し、実線はd線、破線はg線の特性である。
図5〜図7から明らかなように、軸上像点における横収差の対称性は良好であることがわかる。また、+70%像点における横収差を基本状態で比較すると、いずれも湾曲度が小さく、収差曲線の傾斜がほぼ等しいことから、偏心コマ収差、偏心非点収差が小さいことがわかる。このことは、手振れ補正状態であっても充分な結像性能が得られていることを意味している。ズームレンズ系の手振れ補正角が同じ場合には、ズームレンズの光学系全体の焦点距離が短くなるにつれて、手振れ補正に必要な平行移動量が減少する。したがって、いずれのズーム位置であっても、0.3°までの手振れ補正角に対して、結像特性を低下させることなく充分な手振れ補正を行うことが可能である。これらの点は、後述する実施例2〜実施例7についても同様である。
次に、実施例2のズームレンズの光学系を図面を参照して説明する。図8は、本実施例2のズームレンズのレンズ構成例を示す図である。実施例2のズームレンズは、実施例1のズームレンズと略同様の構成を有し、正の屈折力を有する第1レンズ群G1、負の屈折力を有する第2レンズ群G2、正の屈折力を有する第3レンズ群G3、負の屈折力を有する第4レンズ群G4、負の屈折力を有する第5レンズ群G5を有し、第2レンズ群と第3レンズ群との間に絞りSが配置されている。また、第3レンズ群は、レンズL10とレンズL11とを接合した接合レンズから構成される防振群を有し、第4レンズ群G4がフォーカス群Fとして機能する。なお、各レンズ群の具体的なレンズ構成は図8に示すとおりであり、変倍時、フォーカシング及び手ぶれ補正時における各レンズ群の動作は実施例1と同じである。また、望遠端における手ぶれ補正状態での防振群の光軸に対して垂直方向への移動量は0.545mmである。
図9〜図11に、本実施例2のズームレンズの広角端状態、中間焦点距離状態及び望遠端状態における無限遠合焦時の球面収差、非点収差及び歪曲収差の縦収差図をそれぞれ示す。図12〜図14は広角端状態、中間焦点距離状態及び望遠端状態における各横収差図である。表5〜表8は具体的数値を適用した数値実施例2の各データであり、表1〜表4に示す数値データと同様であるため、各表に関する説明は省略する。また、数値実施例2における条件式(1)〜条件式(4)の各数値を表29に示す。
Figure 2015018124
Figure 2015018124
Figure 2015018124
Figure 2015018124
次に、実施例3のズームレンズの光学系を図面を参照して説明する。図15は、本実施例3のズームレンズのレンズ構成例を示す図である。実施例3のズームレンズは、実施例1のズームレンズと略同様の構成を有し、正の屈折力を有する第1レンズ群G1、負の屈折力を有する第2レンズ群G2、正の屈折力を有する第3レンズ群G3、負の屈折力を有する第4レンズ群G4、負の屈折力を有する第5レンズ群G5を有し、第2レンズ群と第3レンズ群との間に絞りSが配置されている。また、第3レンズ群は、レンズL10とレンズL11とを接合した接合レンズから構成される防振群を有し、第4レンズ群G4がフォーカス群Fとして機能する。なお、各レンズ群の具体的なレンズ構成は図15に示すとおりであり、変倍時、フォーカシング及び手ぶれ補正時における各レンズ群の動作は実施例1と同じである。また、望遠端における手ぶれ補正状態での防振群の光軸に対して垂直方向への移動量は0.650mmである。
図16〜図18に、本実施例3のズームレンズの広角端状態、中間焦点距離状態及び望遠端状態における無限遠合焦時の球面収差、非点収差及び歪曲収差の縦収差図をそれぞれ示す。図19〜図21は広角端状態、中間焦点距離状態及び望遠端状態における各横収差図である。表9〜表12は具体的数値を適用した数値実施例3の各データであり、表1〜表4に示す数値データと同様であるため、各表に関する説明は省略する。また、数値実施例3における条件式(1)〜条件式(4)の各数値を表29に示す。
Figure 2015018124
Figure 2015018124
Figure 2015018124
Figure 2015018124
次に、実施例4のズームレンズの光学系を図面を参照して説明する。図22は、本実施例4のズームレンズのレンズ構成例を示す図である。実施例4のズームレンズは、実施例1のズームレンズと略同様の構成を有し、正の屈折力を有する第1レンズ群G1、負の屈折力を有する第2レンズ群G2、正の屈折力を有する第3レンズ群G3、負の屈折力を有する第4レンズ群G4、負の屈折力を有する第5レンズ群G5を有し、第2レンズ群と第3レンズ群との間に絞りSが配置されている。また、第3レンズ群は、レンズL10とレンズL11とを接合した接合レンズから構成される防振群を有し、第4レンズ群G4がフォーカス群Fとして機能する。なお、各レンズ群の具体的なレンズ構成は図22に示すとおりであり、変倍時、フォーカシング及び手ぶれ補正時における各レンズ群の動作は実施例1と同じである。また、望遠端における手ぶれ補正状態での防振群の光軸に対して垂直方向への移動量は0.655mmである。
図23〜図25に、本実施例4のズームレンズの広角端状態、中間焦点距離状態及び望遠端状態における無限遠合焦時の球面収差、非点収差及び歪曲収差の縦収差図をそれぞれ示す。図26〜図28は広角端状態、中間焦点距離状態及び望遠端状態における各横収差図である。表13〜表16は具体的数値を適用した数値実施例4の各データであり、表1〜表4に示す数値データと同様であるため、各表に関する説明は省略する。また、数値実施例4における条件式(1)〜条件式(4)の各数値を表29に示す。
Figure 2015018124
Figure 2015018124
Figure 2015018124
Figure 2015018124
次に、実施例5のズームレンズの光学系を図面を参照して説明する。図29は、本実施例5のズームレンズのレンズ構成例を示す図である。実施例5のズームレンズは、実施例1のズームレンズと略同様の構成を有し、正の屈折力を有する第1レンズ群G1、負の屈折力を有する第2レンズ群G2、正の屈折力を有する第3レンズ群G3、負の屈折力を有する第4レンズ群G4、負の屈折力を有する第5レンズ群G5を有し、第2レンズ群と第3レンズ群との間に絞りSが配置されている。また、第3レンズ群は、レンズL10とレンズL11とを接合した接合レンズから構成される防振群を有し、第4レンズ群G4がフォーカス群Fとして機能する。なお、各レンズ群の具体的なレンズ構成は図29に示すとおりであり、変倍時、フォーカシング及び手ぶれ補正時における各レンズ群の動作は実施例1と同じである。また、望遠端における手ぶれ補正状態での防振群の光軸に対して垂直方向への移動量は0.684mmである。
図30〜図32に、本実施例5のズームレンズの広角端状態、中間焦点距離状態及び望遠端状態における無限遠合焦時の球面収差、非点収差及び歪曲収差の縦収差図をそれぞれ示す。図33〜図35は広角端状態、中間焦点距離状態及び望遠端状態における各横収差図である。表17〜表20は具体的数値を適用した数値実施例5の各データであり、表1〜表4に示す数値データと同様であるため、各表に関する説明は省略する。また、数値実施例5における条件式(1)〜条件式(4)の各数値を表29に示す。
Figure 2015018124
Figure 2015018124
Figure 2015018124
Figure 2015018124
次に、実施例6のズームレンズの光学系を図面を参照して説明する。図36は、本実施例6のズームレンズのレンズ構成例を示す図である。実施例6のズームレンズは、正の屈折力を有する第1レンズ群G1、負の屈折力を有する第2レンズ群G2、正の屈折力を有する第3レンズ群G3、負の屈折力を有する第4レンズ群G4、負の屈折力を有する第5レンズ群G5及び正の屈折力を有する第6レンズ群とを備えている。第6レンズ群を備える以外は実施例1のズームレンズの光学系と同様の構成を有し、第2レンズ群と第3レンズ群との間に絞りSが配置されており、第3レンズ群は、レンズL10とレンズL11とを接合した接合レンズから構成される防振群を有し、第4レンズ群G4がフォーカス群Fとして機能する。なお、各レンズ群の具体的なレンズ構成、及び、変倍時、フォーカシング及び手ぶれ補正時における各レンズ群の動作は図36に示すとおりであり、実施例1と略同様である。また、望遠端における手ぶれ補正状態での防振群の光軸に対して垂直方向への移動量は0.655mmである。
図37〜図39に、本実施例6のズームレンズの広角端状態、中間焦点距離状態及び望遠端状態における無限遠合焦時の球面収差、非点収差及び歪曲収差の縦収差図をそれぞれ示す。図40〜図42は広角端状態、中間焦点距離状態及び望遠端状態における各横収差図である。表21〜表24は具体的数値を適用した数値実施例6の各データであり、表1〜表4に示す数値データと同様であるため、各表に関する説明は省略する。また、数値実施例6における条件式(1)〜条件式(4)の各数値を表29に示す。
Figure 2015018124
Figure 2015018124
Figure 2015018124
Figure 2015018124
次に、実施例7のズームレンズの光学系を図面を参照して説明する。図43は、本実施例7のズームレンズのレンズ構成例を示す図である。実施例7のズームレンズは、実施例1のズームレンズと略同様の構成を有し、正の屈折力を有する第1レンズ群G1、負の屈折力を有する第2レンズ群G2、正の屈折力を有する第3レンズ群G3、負の屈折力を有する第4レンズ群G4、負の屈折力を有する第5レンズ群G5を有し、第2レンズ群と第3レンズ群との間に絞りSが配置されている。また、第3レンズ群は、レンズL10とレンズL11とを接合した接合レンズから構成される防振群を有し、第4レンズ群G4がフォーカス群Fとして機能する。なお、各レンズ群の具体的なレンズ構成は図43に示すとおりであり、変倍時、フォーカシング及び手ぶれ補正時における各レンズ群の動作は実施例1と同じである。また、望遠端における手ぶれ補正状態での防振群の光軸に対して垂直方向への移動量は0.558mmである。
図44〜図46に、本実施例7のズームレンズの広角端状態、中間焦点距離状態及び望遠端状態における無限遠合焦時の球面収差、非点収差及び歪曲収差の縦収差図をそれぞれ示す。図47〜図49は広角端状態、中間焦点距離状態及び望遠端状態における各横収差図である。表25〜表28は具体的数値を適用した数値実施例7の各データであり、表1〜表4に示す数値データと同様であるため、各表に関する説明は省略する。また、数値実施例7における条件式(1)〜条件式(4)の各数値を表29に示す。
Figure 2015018124
Figure 2015018124
Figure 2015018124
Figure 2015018124
Figure 2015018124
本件発明によれば、全体として小型で、ウォブリングによる撮影倍率の変化を小さく保ち、特にフォーカス群のレンズ系を軽量化してフォーカス駆動系の負荷を減少させる事が可能なズームレンズを提供することができる。特に、いわゆるミラーレス一眼カメラ等のズームレンズとして好適に用いることができる。
G1・・・第1レンズ群
G2・・・第2レンズ群
G3・・・第3レンズ群
G4・・・第4レンズ群
G5・・・第5レンズ群

Claims (7)

  1. 物体側から順に、正の屈折力を有する第1レンズ群、負の屈折力を有する第2レンズ群、正の屈折力を有する第3レンズ群、負の屈折力を有する第4レンズ群、及び、負の屈折力を有する第5レンズ群を備え、
    広角端から望遠端にかけて変倍する際に、第2レンズ群と第3レンズ群との間隔が小さくなるようにレンズ群が移動し、
    無限遠から近距離物体へのフォーカシングの際には、第4レンズ群を像面側へ移動することによってフォーカスし、
    以下の条件式を満足することを特徴とするズームレンズ。
    Figure 2015018124
  2. 物体側から順に、正の屈折力を有する第1レンズ群、負の屈折力を有する第2レンズ群、正の屈折力を有する第3レンズ群、負の屈折力を有する第4レンズ群、及び、負の屈折力を有する第5レンズ群を備え、
    広角端から望遠端にかけて変倍する際に、第2レンズ群と第3レンズ群との間隔が小さくなるようにレンズ群が移動し、
    無限遠から近距離物体へのフォーカシングの際には、第4レンズ群を像面側へ移動することによってフォーカスし、
    以下の条件式を満足することを特徴とするズームレンズ。
    Figure 2015018124
  3. 以下の条件式を満足する請求項1又は請求項2に記載のズームレンズ。
    Figure 2015018124
  4. 以下の条件式を満足する請求項1又は請求項2に記載のズームレンズ。
    Figure 2015018124
  5. 第3レンズ群は、少なくとも一の接合レンズを備え、
    当該第3レンズ群において最も物体側に配置された接合レンズを光軸に対して垂直方向に移動させることにより手ぶれ補正を行う請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載のズームレンズ。
  6. 第2レンズ群の最も像面側に配置されるレンズは非球面レンズである請求項1〜請求項5のいずれか一項に記載のズームレンズ。
  7. 請求項1〜請求項6のいずれか一項に記載のズームレンズと、その像面側に当該ズームレンズによって形成された光学像を電気的信号に変換する撮像素子とを備えたことを特徴とする撮像装置。
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