JP2015015587A - 撮像装置およびその制御方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 撮像装置100は、像振れ補正のために移動可能な補正部材11を駆動して像振れ補正を行う。撮像素子2は撮像光学系1により結像される光を受光して光電変換により画像信号を出力する。姿勢センサ部3は撮像装置100の姿勢を検出し、駆動制御部4は補正部材11の駆動制御および位置検出を行う。幾何変形量算出部5は、像の歪曲について、補正部材11の駆動により変化する第1の歪み成分と、補正部材11の駆動により変化しない第2の歪み成分に分解して、それぞれの補正値を算出する。画像処理部6は、幾何変形量算出部5が算出した補正値に基づき、第1の歪み成分と第2の歪み成分を画像処理によって補正する。
【選択図】 図1
Description
像振れ補正角を拡大しつつ光学結像性能の低下を抑制する方法として、特許文献1では、補正部材を光軸上のある一点を中心として回動させる構成を開示する。レンズ系の位置や姿勢に関して、3次元的な移動や姿勢を変化させる高度な方法も提案されており、補正角を拡大しても鮮鋭感や暈けに関わる光学結像性能の低下を抑制可能である。
(1)像歪情報や像歪の補正情報の取り扱いが複雑であること。
(2)像歪補正に高次の幾何変形処理が必要であること。
(3)高精度化のためにデータ記憶容量等のリソースの増加を余儀なくされること。
(2)に関しては、像歪を包括的に解釈する必要があり、空間的に複雑で非線形に変化する歪として扱わなければならない。その結果、像歪を忠実に補正しようとすると、高次の自由変形、または近似的な高次多項式変形が可能な幾何変換回路が必要となる。
本発明の目的は、補正部材の駆動により像振れを補正する撮像装置において、単純な幾何変形処理の組み合わせによって像歪を高精度に補正することである。
[第1実施形態]
図1は、本発明の第1実施形態に係る撮像装置100の要部を示す。撮像装置100は撮像光学系1と撮像素子2を備える。姿勢センサ部3、光学像振れ補正制御および検出部(以下、駆動制御部という)4は、像振れ補正光学系を構成する補正部材11の駆動制御を行う。なお、以下では撮像光学系1の光軸方向にて被写体側を光軸方向前側とし、撮像素子2の側を光軸方向後ろ側と定義して各部の位置関係を説明する。
姿勢センサ部3はジャイロセンサや加速度センサ等で構成され、撮像装置100の姿勢検出を行う。姿勢センサ部3は、例えば撮像光学系1の光軸を基準に直交する任意の軸に取り付けられる。姿勢センサ部3は、姿勢変化の検出情報を駆動制御部4に出力する。例えば、姿勢センサが回転センサである場合、撮像装置100のヨー方向とピッチ方向の各軸に取り付けられ、各軸まわりの回転による姿勢変化を計測する。なお、姿勢センサは、ジャイロセンサ以外にも加速度センサ等の撮像装置の平行移動を計測するセンサまたは撮像装置の平行移動による像振れ量を検出するセンサでもよい。あるいは、画像の動きベクトルから撮像装置の相対的な回転や平行移動による像振れ量を検出するセンサでもよい。
・補正部材11の駆動により変化する第1の歪み成分を補正するための第1補正値。
・撮像装置100の撮影条件(カメラパラメータとも呼ばれる)に基づき、補正部材11の駆動により変化しない第2の歪み成分を補正するための第2補正値。
撮像装置100の撮影条件は、CPU(中央演算処理装置)7がメモリに保持するズーム状態、絞り値、被写体距離等により変更される。CPU7は撮像装置100の制御を統括し、制御プログラムをメモリから読み出して実行し、各部の動作を制御する。算出部5は、像歪を第1の歪み成分と第2の歪み成分に分解して、それぞれの補正値を計算する。なお、算出部5の機能は、CPU7がプログラムを実行することによりソフトウェア処理としても実現できる。
まず、像歪について説明する。像振れ補正可能な補正角の範囲を拡大するために、補正部材11の3次元的な移動や姿勢変化を行うと、レンズ駆動に応じて形状が複雑に変化する像歪が発生する。図3は、像歪について説明する模式図である。図3(A)は、補正部材11の駆動の様子を実線および点線で示す。実線は補正レンズが撮像光学系1の光軸に対して傾いた状態を示し、点線は補正角がゼロの基準状態を示す。図3(B)は、補正部材11の駆動により像歪が加わった像の変化を例示する概念図である。点線で示す矩形枠は、補正部材11の中心が撮像光学系1の光軸と一致する状態における像の形を表す。実線で示す形状は、像歪により像が歪んだ状態を例示する。
・高自由度の2次元変形、例えばピクセルもしくは代表サンプリング点の変形または補正ベクトルの情報。
・高次の3次元多項式で表現される変形情報。
例えば、代表サンプリング点としてはグリッドが用いられる。また、高次の2次元変形の形状については、3次元空間中の移動および姿勢変化を、単純な光軸上の一点を中心として回動させる方法に制限したとしても、直交する2軸の補正角を引数とした膨大な数の補正情報を保持する必要があった。しかも、像歪の変形形状はズーム状態、絞り値、被写体距離等のカメラパラメータに従って更に異なり、多様な変形が引き起こされる。このため、更に膨大な組み合わせの数に亘る補正情報をメモリに保持する必要がある。
(1) 補正部材11の駆動により像振れを補正する光学像振れ補正機構を有する像振れ補正装置の現象モデルを作成する工程。
(2) 現象モデルの逆順としての補正モデルを作成する工程。
まず、(1)の工程では、光学像振れ補正機構により生じる像歪の現象を、単純な幾何変形の組み合わせで近似的に表現する現象モデルを構築する。更には、光学CADによる設計レンズに対する光線追跡、またはチャート実写撮影により得られた全ての歪曲要因の影響を含む歪曲情報を、現象モデルの枠組みでパラメータ化して解釈することで、データセットが作成される。例えば、像歪情報に対するモデルのフィッティングによりパラメータとしてデータセットを算出する処理が行われる。具体的には、補正部材11の駆動により動的に変化する成分(動的成分)と、補正部材11の駆動により変化しない成分(静的成分)とに分類して扱うモデルを作り、それらをパラメータ化して解釈する処理が行われる。歪曲情報は、カメラパラメータに従って変化するため、各カメラパラメータの代表的なステートにおいてパラメータ化を行う必要がある。動的成分に関しては、補正角の代表的なステートにおいてパラメータ化処理が行われる。
具体的な例を挙げて、光学モデルおよび現象モデルを説明する。例えば、撮像光学系1の中間群レンズを補正部材11とする場合に、その移動および姿勢変化を想定する。図4は3群構成を想定した光学ユニット401ないし403、および撮像素子2からなる撮像部を抽象化した光学モデルを模式的に示す。
図5(A)の画像処理観点の現象モデルにて、S501で歪曲が発生する。第一群ユニット401を光束が通過する際、入射光束の入射角の違いにより、像面の部分領域毎に像倍率が異なる。これにより像の歪曲が発生する。次にS502では、第二群ユニット402の駆動により、撮像素子2に投影される光学像の相対位置を平行移動させることで手振れを抑制する像振れ補正が行われる。この場合、通常の手振れとして撮像装置の回転振れを想定する。中間群である第二群ユニット402の駆動では、像シフトにより手振れの平行移動成分のみ補正される。このため、撮像装置の回転振れの像への影響である、あおりや拡大縮小の像変化は補正されない。一方、中間群の駆動により、偏心歪曲収差が発生して像の動きとしてさらに付加される。さらには、撮像素子2にCMOS型センサのような順次読み出しタイプのイメージセンサを用いる場合、ローリングシャッタ歪が手振れに応じて付加される。これらの過程により、理想像から手振れによる影響を含む撮影像が生成されるまでの現象モデルが説明される。以下、数式表現により、各ステップについて具体的に説明する。
(式1)の第2式に示すf(rn)は、像高に対応した理想像高rnと歪像高rdの比の値を、像高をインデックスとしたデータテーブルから抽出する操作を表す。第3式は、極座標から直交座標への座標変換を行う操作を表す。実際には更に、接線歪曲成分を含んだモデルを用いることができる。
図5(A)のS502に示す像振れ補正ステップでの現象は、並進および作用軸を考慮したあおり補正または非等方的な拡大縮小、場合によっては等方的な拡大縮小を含めた非点対称的な幾何学的変化である。
S601に示す像振れ補正効果除去ステップは、像振れ補正によって生じた像の平行移動および射影変換で表される像歪を除去するステップである。図5(A)のS502で説明した像振れ補正ステップによりモデリングされた現象は、像の平行移動を含めて補正される。補正の射影変換は、並進および作用軸を考慮したあおり補正、または非等方的な拡大縮小からなる。そのため、S601では非点対称な変形となる。光学要素が変倍群に係る前後方向の移動を含む場合には、等方的な拡大縮小も含んだ変形となる。現象モデルで説明した変換の逆変換が補正処理の内容である。なお、像振れ補正の主効果である像の平行移動については後述のステップS603において復元される。
次のS603に示す像振れ補正復元ステップは、S601で幾何学的演算上、一旦は除去した像振れ補正効果の平行移動成分を復元するステップである。これは、像振れ補正効果除去ステップS601、歪曲補正ステップS602の処理の適用位置の移動を、事前と事後に反映させることにより処理を簡単にするステップである。そのため、S601およびS602の両ステップで、像振れ補正効果の平行移動成分を考慮する場合には、S601における像の平行移動成分の補正と対で省略可能である。
次に、本発明の第2実施形態を説明する。本実施形態に係る撮像装置900の構成部のうち、第1実施形態に係る撮像装置100と同様の構成部については既に使用した符号を用いることで、それらの詳細な説明を省略する。以下、相違点である幾何変形量算出部905および画像処理部906が行う処理を説明する。
S1000では、手振れにより撮像装置に振れが生じる場合を想定する。この振れによりレンズの開口に入射する像には、視野変化および視点変化が生じる。撮影レンズの第一レンズ群を光束が通過する際、入射光束の入射角の違いにより、S501で歪曲が発生する。これは、像面の部分領域毎に像倍率が異なることにより発生する成分である。S502では、補正部材11を含む中間群の駆動により、撮像素子2に投影される光学像の相対位置を平行移動させることで像振れ補正制御が行われる。通常、手振れとしては撮像装置の回転振れを想定するが、中間群の駆動では、像シフトにより手振れの平行移動成分のみ補正する。このため、撮像装置の回転振れの像への影響であるあおりや拡大縮小の像変化は補正されない。一方、中間群の駆動により、偏心歪曲収差が発生して、像の動きとしてさらに付加される。最後に、撮像素子2に順次読み出しタイプのイメージセンサを用いることにより、ローリングシャッタ歪が手振れに応じて付加される。こうして、理想像から手振れによる影響を含む撮影像が生成されるまでの現象モデルが得られる。
S1103の像振れ補正ステップは、図9(A)のS502でモデリングした像振れ補正の対象となる平行移動以外の、撮像装置と被写体との相対位置関係の変化により引き起こされる像の見えの変化を補正するステップである。例えば、撮像装置の回転による、像のあおり、像の拡大縮小、および光軸を回転中心とする像の回転は、光学的な像振れ補正により補正されない像振れであるため、本ステップの対象となる。
算出部905には、以上の補正モデルに基づく回路が実装され、図9(B)の各ステップに示す処理が実行される。
上述した撮像装置の像歪補正機能はそれぞれの機能を有するハードウェアにより実現できるが、ソフトウェアにより実現することもできる。例えば、像振れ補正光学機構を備えた撮像装置により撮影した像歪を含む映像と、当該映像の撮影時の補正角情報とを同期して記録しておき、画像処理装置にてプログラムの処理を適用することで像歪を補正可能である。
また、本発明は、以下の処理を実行することによっても実現される。即ち、上述した実施形態の機能を実現するソフトウェア(プログラム)を、ネットワーク又は各種記憶媒体を介してシステム或いは装置に供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU等)がプログラムを読み出して実行する処理である。
2 撮像素子
3 姿勢センサ部
4 駆動制御部
5,905 幾何変形量算出部
6,906 画像処理部
100,900 撮像装置
Claims (12)
- 撮像光学系を構成する補正部材の駆動により像振れを補正する撮像装置であって、
前記撮像光学系により結像される光学像を受光して画像信号に光電変換する撮像素子と、
前記撮像光学系の姿勢を検出して検出情報を出力する姿勢検出手段と、
前記姿勢検出手段の検出情報を取得して、前記補正部材の駆動を制御する駆動制御手段と、
前記撮像素子により撮像される画像の歪曲を、前記補正部材の駆動により変化する第1の歪み成分と、前記補正部材の駆動により変化しない第2の歪み成分に分解し、前記第1の歪み成分に対する第1補正値、および前記第2の歪み成分に対する第2補正値を算出する算出手段と、
前記撮像素子から画像信号を取得するとともに、前記算出手段から取得した前記第1補正値および第2補正値を用いて画像の幾何変形処理を行うことで像歪補正を行う画像処理手段とを備えることを特徴とする撮像装置。 - 前記駆動制御手段は、前記補正部材を、前記撮像光学系の光軸に対し、偏心または傾動または前後進を含んで3次元的に駆動させることを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
- 前記算出手段は、前記撮像光学系の光軸に対して垂直な方向の軸に対する前記補正部材の角度をパラメータとして前記第1補正値を算出することを特徴とする請求項1または2に記載の撮像装置。
- 前記算出手段は、前記撮像装置の撮影条件をパラメータとして前記第2補正値を算出することを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の撮像装置。
- 前記画像処理手段は、前記補正部材による像振れ補正効果を除去する処理を行ってから前記像歪補正を行い、さらに前記像振れ補正効果を復元する処理を行うことを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載の撮像装置。
- 前記算出手段は、前記姿勢検出手段の検出情報を取得して、前記撮像装置と被写体との相対位置関係の変化により引き起こされる像の変化に対する第3補正値を算出し、
前記画像処理手段は、前記補正部材による像振れ補正効果を除去する処理を行ってから前記像歪補正を行い、前記算出手段から取得した前記第3補正値を用いて前記像の変化を補正し、さらに前記像振れ補正効果を復元する処理を行うことを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載の撮像装置。 - 前記画像処理手段は、非点対称の前記第1の歪み成分に対して射影変換による幾何変形を行うことを特徴とする請求項1ないし6のいずれか1項に記載の撮像装置。
- 前記画像処理手段は、前記第2の歪み成分について、基準中心座標に対称な歪曲を補正することを特徴とする請求項1ないし7のいずれか1項に記載の撮像装置。
- 前記射影変換による幾何変形は、並進、あおり、または水平方向および垂直方向における等方的な拡大縮小もしくは非等方的な拡大縮小を含むことを特徴とする請求項7に記載の撮像装置。
- 前記駆動制御手段は、前記補正部材の偏心量、光軸方向の位置、姿勢情報、または補正角の情報を検出して検出情報を前記算出手段に出力し、
前記算出手段は、前記検出情報を取得して、前記補正部材の偏心または傾動または前後進により生じる画像変化を射影変形と対応付けることを特徴とする請求項1ないし9のいずれか1項に記載の撮像装置。 - 前記画像処理手段は、射影変形、歪曲補正の順に処理を行うことを特徴とする請求項10に記載の撮像装置。
- 撮像光学系を構成する補正部材の駆動により像振れを補正する撮像装置にて実行される制御方法であって、
前記撮像光学系により結像される光学像を撮像素子で受光して画像信号に光電変換するステップと、
姿勢検出手段により前記撮像光学系の姿勢を検出する姿勢検出ステップと、
前記姿勢検出ステップでの検出情報を取得して、前記補正部材の駆動を制御する駆動制御ステップと、
前記撮像素子により撮像される画像の歪曲を、前記補正部材の駆動により変化する第1の歪み成分と、前記補正部材の駆動により変化しない第2の歪み成分に分解し、前記第1の歪み成分に対する第1補正値、および前記第2の歪み成分に対する第2補正値を算出する算出ステップと、
前記撮像素子から画像信号を取得するとともに、前記算出ステップで算出した前記第1補正値および第2補正値を用いて画像の幾何変形処理を行うことで像歪補正を行う画像処理ステップを備えることを特徴とする撮像装置の制御方法。
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