JP2015013771A - 窒化アルミニウムの乾式耐水処理方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】加熱処理等を必要としない簡易な工程によって、窒化アルミニウムに対して十分な耐水性を付与することが可能な窒化アルミニウムの乾式耐水処理方法を提供する。【解決手段】窒化アルミニウムの粉末にターシャリーブチルサリチル酸金属塩を常温で乾式混合することを特徴とする。このとき、ターシャリーブチルサリチル酸金属塩とともに、ステアリン酸又はその誘導体若しくはグルタミン酸又はその誘導体を一緒に混合しても良い。【選択図】なし
Description
本発明は、窒化アルミニウムの耐水処理方法に係り、特に、簡易な工程により窒化アルミニウムに対して十分な耐水性を付与することが可能な窒化アルミニウムの乾式耐水処理方法に関する。
従来、窒化アルミニウムは高熱伝導性を有するため、その粉末は、例えば放熱性の優れた樹脂を製造するための熱伝導性フィラーとして利用されてきた。
しかし、窒化アルミニウムは、空気中の水分に接触する程度でも容易に加水分解され、アンモニア及び水酸化アルミニウムを発生させるという性質を有している。そのため、樹脂と混合する前に劣化してしまい、樹脂に放熱性を十分付与することができないという課題があった。
このような課題を解決する目的で、近年、窒化アルミニウムに耐水性を付与する技術が開発されており、それに関して既にいくつかの発明が開示されている。
しかし、窒化アルミニウムは、空気中の水分に接触する程度でも容易に加水分解され、アンモニア及び水酸化アルミニウムを発生させるという性質を有している。そのため、樹脂と混合する前に劣化してしまい、樹脂に放熱性を十分付与することができないという課題があった。
このような課題を解決する目的で、近年、窒化アルミニウムに耐水性を付与する技術が開発されており、それに関して既にいくつかの発明が開示されている。
特許文献1には「炭素質被膜で被覆した耐水性窒化アルミニウム粉末の製造方法」という名称で、耐水性に優れ、高熱伝導性樹脂及びグリース用フィラーに適した窒化アルミニウム粉末の製造方法、及びその耐水性窒化アルミニウム粉末に関する発明が開示されている。
以下、特許文献1に開示された発明を説明する。特許文献1に係る窒化アルミニウム粉末の製造方法は、耐水性を付与した窒化アルミニウム粉末を製造する方法であって、窒化アルミニウム粉末と有機化合物、又は窒化アルミニウム粉末と有機化合物と炭素単体とを、非酸化性ガス中で熱処理し、窒化アルミニウム粉末の表面を炭素質被膜で被覆することを特徴とする。
このような構成の窒化アルミニウム粉末の製造方法においては、加熱中に溶融又は気化した炭素源が窒化アルミニウム粉末と接触することで、有機化合物が毛細管現象によって窒化アルミニウム粉末の間隙に浸透する。したがって、窒化アルミニウム粉末の表面が炭素質被膜で被覆された耐水性の高い窒化アルミニウム粉末を製造することができる。
以下、特許文献1に開示された発明を説明する。特許文献1に係る窒化アルミニウム粉末の製造方法は、耐水性を付与した窒化アルミニウム粉末を製造する方法であって、窒化アルミニウム粉末と有機化合物、又は窒化アルミニウム粉末と有機化合物と炭素単体とを、非酸化性ガス中で熱処理し、窒化アルミニウム粉末の表面を炭素質被膜で被覆することを特徴とする。
このような構成の窒化アルミニウム粉末の製造方法においては、加熱中に溶融又は気化した炭素源が窒化アルミニウム粉末と接触することで、有機化合物が毛細管現象によって窒化アルミニウム粉末の間隙に浸透する。したがって、窒化アルミニウム粉末の表面が炭素質被膜で被覆された耐水性の高い窒化アルミニウム粉末を製造することができる。
次に、特許文献2には「窒化アルミニウムの表面処理方法及び表面処理した窒化アルミニウム」という名称で、窒化アルミニウムの焼結体や粉体を、簡便かつ短時間に処理できる窒化アルミニウムの表面処理方法及び表面処理した窒化アルミニウムに関する発明が開示されている。
特許文献2に係る窒化アルミニウムの表面処理方法は、窒化アルミニウムの基材表面に、平均一次粒径が3〜1000nmである金属と金属酸化物から選ばれた少なくとも一種の微粒子と金属イオンのうち少なくとも一種を含む表面処理剤を塗布し、酸素の存在下で焼成することによって表面処理剤と窒化アルミニウム基材とを化学反応させて基材表面に少なくともアルミン酸塩から構成される連続した酸化物層を形成し、酸化物層の膜厚が0.1〜70μmであることを特徴とする。
このような構成の窒化アルミニウムの表面処理方法においては、表面処理剤と窒化アルミニウムの基材が化学反応することで、基材の強度を劣化させることなく、その表面に酸化物層が強固かつ連続的に形成される。したがって、耐水性、耐湿性、耐化学薬品性及び耐プラズマ特性に優れた窒化アルミニウムを簡便に製造することができる。
特許文献2に係る窒化アルミニウムの表面処理方法は、窒化アルミニウムの基材表面に、平均一次粒径が3〜1000nmである金属と金属酸化物から選ばれた少なくとも一種の微粒子と金属イオンのうち少なくとも一種を含む表面処理剤を塗布し、酸素の存在下で焼成することによって表面処理剤と窒化アルミニウム基材とを化学反応させて基材表面に少なくともアルミン酸塩から構成される連続した酸化物層を形成し、酸化物層の膜厚が0.1〜70μmであることを特徴とする。
このような構成の窒化アルミニウムの表面処理方法においては、表面処理剤と窒化アルミニウムの基材が化学反応することで、基材の強度を劣化させることなく、その表面に酸化物層が強固かつ連続的に形成される。したがって、耐水性、耐湿性、耐化学薬品性及び耐プラズマ特性に優れた窒化アルミニウムを簡便に製造することができる。
特許文献1に開示された発明においては、熱処理する際の加熱温度は1000℃以上の高温が必要とされるため、ある程度高性能の焼成炉を使用しなければならない。そのため、導入や製造が高コストとなるおそれがある。また、使用する不活性ガス等に通常含まれる酸素や水蒸気等の不純物によって炭素が消費されるために、製造の都度必要な炭素量が左右されることとなる。したがって、炭素量の調整が煩雑であるとともに、均一な品質の炭素質被膜で被覆された窒化アルミニウム粉末を常に製造することが困難となる可能性がある。
次に、特許文献2に開示された発明においては、窒化アルミニウムに表面処理剤を塗布した後、金属又は金属酸化物を真空蒸着し、さらにオーブンによる加熱処理や焼成温度400〜1000℃での焼成処理といった工程が必要とされる。したがって、特許文献1に開示された発明と同様に導入等が高コストとなるおそれがあるとともに、工程が複雑であり完成までに長時間を必要とするという従来技術の課題を十分に解決できていない可能性がある。
本発明は、このような従来の事情に対処してなされたものであり、加熱処理等を必要としない簡易な工程によって、窒化アルミニウムに対して十分な耐水性を付与することが可能な窒化アルミニウムの乾式耐水処理方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、請求項1記載の発明は、窒化アルミニウムの粉末にターシャリーブチルサリチル酸金属塩を常温で乾式混合することを特徴とする。
ここで、乾式混合とは、水や有機溶媒を使用しない混合方法のことをいう。また、ターシャリーブチルサリチル酸金属塩(以下、t−Buサリチル酸金属塩という。)は有機金属錯体であり、疎水基のターシャリーブチル基(以下、t−Bu基という。)を有している。なお、中心金属は、本願発明の場合にはアルミニウム等であると好適である。
窒化アルミニウムはプラスに帯電し易いことから、上記構成の窒化アルミニウムの乾式耐水処理方法においては、プラスに帯電した窒化アルミニウムがマイナスに帯電したt−Buサリチル酸金属塩に吸着され、疎水基であるt−Bu基により窒化アルミニウムの加水分解反応が抑制されるという作用を有する。
ここで、乾式混合とは、水や有機溶媒を使用しない混合方法のことをいう。また、ターシャリーブチルサリチル酸金属塩(以下、t−Buサリチル酸金属塩という。)は有機金属錯体であり、疎水基のターシャリーブチル基(以下、t−Bu基という。)を有している。なお、中心金属は、本願発明の場合にはアルミニウム等であると好適である。
窒化アルミニウムはプラスに帯電し易いことから、上記構成の窒化アルミニウムの乾式耐水処理方法においては、プラスに帯電した窒化アルミニウムがマイナスに帯電したt−Buサリチル酸金属塩に吸着され、疎水基であるt−Bu基により窒化アルミニウムの加水分解反応が抑制されるという作用を有する。
次に、請求項2記載の発明は、請求項1記載の窒化アルミニウムの乾式耐水処理方法において、窒化アルミニウムの粉末にステアリン酸又はその誘導体を常温で乾式混合することを特徴とする。
このような構成の窒化アルミニウムの乾式耐水処理方法においては、t−Buサリチル酸金属塩に吸着された窒化アルミニウムの表面を覆うようにステアリン酸又はその誘導体が皮膜を形成し、その結果、窒化アルミニウムの加水分解反応を抑制するという請求項1記載の発明の作用がより一層発揮される。
このような構成の窒化アルミニウムの乾式耐水処理方法においては、t−Buサリチル酸金属塩に吸着された窒化アルミニウムの表面を覆うようにステアリン酸又はその誘導体が皮膜を形成し、その結果、窒化アルミニウムの加水分解反応を抑制するという請求項1記載の発明の作用がより一層発揮される。
さらに、請求項3記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載の窒化アルミニウムの乾式耐水処理方法において、窒化アルミニウムの粉末にグルタミン酸又はその誘導体を常温で乾式混合することを特徴とする。
このような構成の窒化アルミニウムの乾式耐水処理方法においては、グルタミン酸又はその誘導体によって、請求項1又は請求項2に記載の耐水処理を施された窒化アルミニウムに親水性が付与されるという作用を有する。
このような構成の窒化アルミニウムの乾式耐水処理方法においては、グルタミン酸又はその誘導体によって、請求項1又は請求項2に記載の耐水処理を施された窒化アルミニウムに親水性が付与されるという作用を有する。
以上説明したように、本発明の請求項1記載の窒化アルミニウムの乾式耐水処理方法によれば、加熱処理等を必要としない簡易な工程によって、窒化アルミニウムに耐水処理を施すことができる。したがって、本発明によれば、耐水性に優れた粉末状の窒化アルミニウムを安価に製造することが可能である。
本発明の請求項2記載の窒化アルミニウムの乾式耐水処理方法によれば、請求項1記載の発明の効果がより一層発揮される。
本発明の請求項3記載の窒化アルミニウムの乾式耐水処理方法の製造方法によれば、請求項1又は請求項2に記載の耐水処理が施された窒化アルミニウムについて、相溶性を高めることができる。
本発明の実施の形態に係る窒化アルミニウムの乾式耐水処理方法について、図1乃至図5を用いて詳細に説明する。
図1は本発明の耐水処理が施された窒化アルミニウムの状態を模式的に示した図であり、以下の構造式(1)はt−Buサリチル酸金属塩の構造を示したものである。すなわち、t−Buサリチル酸金属塩はt−Buサリチル酸が中心金属Mを取り囲むように配位した錯イオンと、水素イオン等によって構成されている。なお、ベンゼン環に結合する「+」はt−Bu基を表し、Aは水素等を表している。
このような構造のt−Buサリチル酸金属塩の粉末(平均粒径7〜10μm)を、汎用の窒化アルミニウムの粉末(平均粒径1μm)に対し、常温で1〜50(wt%)添加し、ミキサー等を用いて乾式混合する。
図1は本発明の耐水処理が施された窒化アルミニウムの状態を模式的に示した図であり、以下の構造式(1)はt−Buサリチル酸金属塩の構造を示したものである。すなわち、t−Buサリチル酸金属塩はt−Buサリチル酸が中心金属Mを取り囲むように配位した錯イオンと、水素イオン等によって構成されている。なお、ベンゼン環に結合する「+」はt−Bu基を表し、Aは水素等を表している。
このような構造のt−Buサリチル酸金属塩の粉末(平均粒径7〜10μm)を、汎用の窒化アルミニウムの粉末(平均粒径1μm)に対し、常温で1〜50(wt%)添加し、ミキサー等を用いて乾式混合する。
このとき、窒化アルミニウムはプラスに帯電し易いため、マイナスに帯電したt−Buサリチル酸金属塩に容易に吸着され、図1に示すように、窒化アルミニウム1がt−Buサリチル酸金属塩2の周囲に付着した状態となる。その結果、疎水基であるt−Bu基の作用により窒化アルミニウムの加水分解反応が抑制される。
なお、本実施例では、t−Buサリチル酸金属塩を窒化アルミニウムに対し1〜50(wt%)の濃度で混合しているが、これに限定されるものではなく、適宜変更可能である。ただし、t−Buサリチル酸金属塩の窒化アルミニウムに対する濃度は、10(wt%)以下であることが望ましい。
なお、本実施例では、t−Buサリチル酸金属塩を窒化アルミニウムに対し1〜50(wt%)の濃度で混合しているが、これに限定されるものではなく、適宜変更可能である。ただし、t−Buサリチル酸金属塩の窒化アルミニウムに対する濃度は、10(wt%)以下であることが望ましい。
また、t−Buサリチル酸金属塩に限らず、セルロース系添加材やシランカップリング剤を一緒に混合しても良い。セルロース系添加材としては、例えば、以下の構造式(2)で示されるものを用いることができる。なお、構造式(2)において、Rはヒドロキシル基、アミノ基、アセトアミド基等である。また、セルロース系添加材には、セルロースの水酸基がアセトアミド基に置換されたキチン等も含まれるものとする。
さらに、シランカップリング剤としては、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、2―エチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルジメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン等を用いることができる。
さらに、シランカップリング剤としては、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、2―エチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルジメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン等を用いることができる。
次に、窒化アルミニウムに対し、飽和脂肪酸であるステアリン酸又はその誘導体をt−Buサリチル酸金属塩とともに常温で乾式混合する場合について説明する。なお、化学式(3)及び化学式(4)は、それぞれステアリン酸及びその誘導体を示し、化学式(4)におけるMは、例えば、カルシウム、バリウム、亜鉛、マグネシウム等を示している。また、本実施例では、ステアリン酸又はその誘導体を窒化アルミニウム1に混合する濃度を5〜10(wt%)としている。
化学式(3)に示されるように、ステアリン酸は、疎水基C17H35と親水基COOHを併せ持ち、分子が細長い鎖状をなすことから、水面や油面において単分子膜(1分子の厚さの膜)を形成し易い。そのため、上記処理を行うことで、ステアリン酸の皮膜がt−Buサリチル酸金属塩に吸着された窒化アルミニウムの表面を覆うように形成される。その結果、窒化アルミニウムの加水分解反応がより一層抑制される。
さらに、窒化アルミニウムに対し、アミノ酸の1種であるグルタミン酸又はその誘導体をt−Buサリチル酸金属塩とともに常温で乾式混合する場合について説明する。なお、構造式(5)はグルタミン酸の構造を示したものである。また、本実施例では、グルタミン酸を窒化アルミニウムに対し、5〜10(wt%)の割合で混合している。
構造式(5)に示されるように、グルタミン酸は、親水基COOHを有するため、上記処理を行うことで、窒化アルミニウムに対し、親水性が付与される。
構造式(5)に示されるように、グルタミン酸は、親水基COOHを有するため、上記処理を行うことで、窒化アルミニウムに対し、親水性が付与される。
以上説明したように、窒化アルミニウムの粉末にt−Buサリチル酸金属塩の粉末を常温で乾式混合すると、疎水基であるt−Bu基の影響を受けて窒化アルミニウムの加水分解反応が抑制され、後述するように、良好な耐水性を示すようになる。すなわち、このような方法によれば、加熱焼成や水、有機溶媒の混入といった複雑な工程が不要であるため、設備投資を大きく削減することができる。
そして、この窒化アルミニウムの粉末を樹脂に添加することで、高い放熱性を有する樹脂製品の成形が可能となる。すなわち、上記方法によれば、窒化アルミニウムを主成分としながらも耐水性に優れる熱伝導性フィラーを安価に製造することができる。
そして、この窒化アルミニウムの粉末を樹脂に添加することで、高い放熱性を有する樹脂製品の成形が可能となる。すなわち、上記方法によれば、窒化アルミニウムを主成分としながらも耐水性に優れる熱伝導性フィラーを安価に製造することができる。
また、窒化アルミニウムに対し、t−Buサリチル酸金属塩とともにステアリン酸又はその誘導体を混合すると、窒化アルミニウムに親水性が付与されるため、相溶性が向上し、樹脂に添加した際に均一に分散し易くなる。すなわち、このような方法によれば、耐水性に加え、樹脂との相溶性にも優れた窒化アルミニウムの粉末を製造することができる。
次に、本発明の作用や果について具体的に実施例を挙げて説明する。ただし、本発明の構成は、以下の例示によって限定されるものではない。
表1は実験を行った際の条件を示している。なお、比較のために、何も耐水処理を施していない窒化アルミニウム(以下、窒化アルミニウム単体という。)についても実験を行った。
表1は実験を行った際の条件を示している。なお、比較のために、何も耐水処理を施していない窒化アルミニウム(以下、窒化アルミニウム単体という。)についても実験を行った。
窒化アルミニウムの粉末にt−Buサリチル酸金属塩の粉末を5(wt%)添加した後、常温で乾式混合した。
窒化アルミニウムの粉末にステアリン酸金属塩の粉末を5(wt%)添加した後、常温で乾式混合した。
窒化アルミニウムの粉末にグルタミン酸の粉末を5(wt%)添加した後、常温で乾式混合した。
窒化アルミニウムの粉末にt−Buサリチル酸金属塩の粉末を5(wt%)添加した後、常温で乾式混合し、さらにステアリン酸金属塩を5(wt%)添加した後、常温で乾式混合した。
窒化アルミニウムの粉末にt−Buサリチル酸金属塩の粉末を5(wt%)添加した後、常温で乾式混合し、さらにグルタミン酸を5(wt%)添加した後、常温で乾式混合した。
窒化アルミニウムの粉末にt−Buサリチル酸金属塩の粉末を5(wt%)添加した後、常温で乾式混合し、さらに3−グリシドキシプロピルトリエトキシシランを2(wt%)添加した後、常温で乾式混合した。
窒化アルミニウムの粉末にt−Buサリチル酸金属塩の粉末を5(wt%)添加した後、常温で乾式混合し、さらにキチンを1(wt%)及び3−グリシドキシプロピルトリエトキシシランを2(wt%)添加した後、常温で乾式混合した。
窒化アルミニウムの粉末にt−Buサリチル酸金属塩の粉末を5(wt%)添加した後、常温で乾式混合し、さらにステアリン酸金属塩を5(wt%)及びグルタミン酸を10(wt%)添加した後、常温で乾式混合した。
次に、比較例と実施例1〜8について耐水性試験を行った結果について表2及び図2乃至図4を用いて説明する。
表2は、各処理を施した窒化アルミニウムを水に溶解させた状態でpHを測定した結果を示している。また、図2(a)及び図2(b)は、それぞれ表1のpH値を棒グラフ及び分散図を用いて示したものである。なお、窒化アルミニウムは水と接触するとアンモニアと水酸化アルミニウムに分解され易いという性質に着目して、各処理を施した窒化アルミニウムの水溶液のpHを測定指標とした。この場合、アンモニアの発生が少なくpHが小さいものほど、耐水性が良好であるということができる。
表2は、各処理を施した窒化アルミニウムを水に溶解させた状態でpHを測定した結果を示している。また、図2(a)及び図2(b)は、それぞれ表1のpH値を棒グラフ及び分散図を用いて示したものである。なお、窒化アルミニウムは水と接触するとアンモニアと水酸化アルミニウムに分解され易いという性質に着目して、各処理を施した窒化アルミニウムの水溶液のpHを測定指標とした。この場合、アンモニアの発生が少なくpHが小さいものほど、耐水性が良好であるということができる。
各処理を施した窒化アルミニウム(以下、処理済み窒化アルミニウムという。)の水溶液の調製方法は、次の通りである。
1)蒸留水20(ml)中に処理済み窒化アルミニウム0.5(g)を混入る。
2)処理済み窒化アルミニウムを蒸留水中に分散させるため、少量の非イオン界面活性剤を添加する。
3)ホットスターラーを用いて120℃、800rpmで所定時間攪拌する。
1)蒸留水20(ml)中に処理済み窒化アルミニウム0.5(g)を混入る。
2)処理済み窒化アルミニウムを蒸留水中に分散させるため、少量の非イオン界面活性剤を添加する。
3)ホットスターラーを用いて120℃、800rpmで所定時間攪拌する。
表2において、(a)欄及び(b)欄は、処理済み窒化アルミニウムの水溶液について調整を行った後、それぞれ2時間及び10時間経過したときのpH値であり、(c)欄は(a)欄と(b)欄の平均値を示している。また、(d)欄は、(b)欄の値から(a)欄の値を引いたものを示し、(e)欄はpH値の変化率をパーセントで表示([(d)欄の値/(a)欄の値]×100)したものである。
(c)欄によれば、実施例4,8が最も低いpH値を示し、比較例よりも十分に小さいことが分かる。
(c)欄によれば、実施例4,8が最も低いpH値を示し、比較例よりも十分に小さいことが分かる。
図2(a)は、横軸を比較例〜実施例8とし、縦軸に表2の(a)欄及び(b)欄のpH値をプロットしたものである。この結果によれば、比較例〜実施例3までのpH値はわずかな増加を示し、実施例4〜8までのpH値はそれ以上の増加を示している。
また、(a)欄に示されるように、比較例〜実施例3のpH値は2時間後の時点で既に強塩基性を示している。したがって、水酸化物イオンが飽和状態に近く、pH値は大きくなる方へ変化する余地が少ないため、さらにアンモニアが発生してもpH値の変化が少ない結果になったものと考えられる。
これに対し、実施例4〜8のpH値は2時間後の時点で中性〜弱酸性を示しており、pH値は大きくなる方へ変化する余地があるため、アンモニアの発生によってpH値が大きくなる方へ変化したものと考えられる。
また、(a)欄に示されるように、比較例〜実施例3のpH値は2時間後の時点で既に強塩基性を示している。したがって、水酸化物イオンが飽和状態に近く、pH値は大きくなる方へ変化する余地が少ないため、さらにアンモニアが発生してもpH値の変化が少ない結果になったものと考えられる。
これに対し、実施例4〜8のpH値は2時間後の時点で中性〜弱酸性を示しており、pH値は大きくなる方へ変化する余地があるため、アンモニアの発生によってpH値が大きくなる方へ変化したものと考えられる。
次に、図2(b)を参照しながら比較例〜実施例8の耐水性について検討する。
図2(b)は、横軸を表2(a)欄のpH値とし、縦軸に表2(e)欄の変化率をプロットしたものである。
この結果によれば、実施例4,8が、最もpH値が小さく、かつ変化率も小さいことが分かる。これに次いで良好なものは、実施例1,6,7である。
以上より、安定して最も優れた耐水性を示すものは実施例4,8であり、次いで実施例1,6,7であるといえる。
図2(b)は、横軸を表2(a)欄のpH値とし、縦軸に表2(e)欄の変化率をプロットしたものである。
この結果によれば、実施例4,8が、最もpH値が小さく、かつ変化率も小さいことが分かる。これに次いで良好なものは、実施例1,6,7である。
以上より、安定して最も優れた耐水性を示すものは実施例4,8であり、次いで実施例1,6,7であるといえる。
図3は、本発明の耐水処理が施された窒化アルミニウムにおいて水蒸気中に暴露した後の重量変化を測定した結果を示すグラフである。具体的な測定方法は、次の通りである。
1)処理済み窒化アルミニウムを150℃の水蒸気中に暴露する。
2)暴露した処理済み窒化アルミニウム0.5(g)を小瓶に採取し、水滴が入らない程度に蓋をする(水蒸気は通過)。
3)別の小瓶の中に蒸留水を入れる。
4)密閉容器に2)及び3)の小瓶を同時に入れ150℃に保持する。
5)4)の暴露品を一部採取し、示差熱−熱重量同時測定装置(TG−DTA)を用いて400℃まで加温しながら、その重量変化を測定する。
1)処理済み窒化アルミニウムを150℃の水蒸気中に暴露する。
2)暴露した処理済み窒化アルミニウム0.5(g)を小瓶に採取し、水滴が入らない程度に蓋をする(水蒸気は通過)。
3)別の小瓶の中に蒸留水を入れる。
4)密閉容器に2)及び3)の小瓶を同時に入れ150℃に保持する。
5)4)の暴露品を一部採取し、示差熱−熱重量同時測定装置(TG−DTA)を用いて400℃まで加温しながら、その重量変化を測定する。
図3は、横軸をTG−DTAの設定温度(℃)とし、縦軸に加熱前に対する加熱後の処理済み窒化アルミニウムの重量変化率Wをプロットしたものである。ここで、加熱前及び加熱後所定時間経過時の上記窒化アルミニウムの重量をそれぞれA1(g)及びA2(g)とすると、重量変化率Wは、A2/A1で表わされる。なお、重量変化率Wの測定は、比較例と代表的な実施例1,4,8についてのみ行った。この結果によれば、実施例4,1,8,比較例となるにつれ、重量変化率Wの傾きの絶対値(以下、傾きKという)が増大していく傾向にあることが分かる。なお、傾きKは、|(Wb−Wa)|/(Tb−Ta)(Waは温度Taにおける重量変化率、Wbは温度Tbにおける重量変化率、Ta<Tb)で定義される値であり、加温による物質の蒸発量の増大と関係があると思われる。
ここで、傾きKが上記のような順となっている理由について、詳細に検討する。まず、比較例の傾きKが最大となっている理由について検討する。
比較例である窒化アルミニウム単体の粉末のうち、一部の粉末は、上記1)の工程以前の常温20(℃)において、空気中の水分と接触することで周囲を水(H2O)によって取り囲まれた状態、すなわち水分が吸着された状態になっているものと考えられる。
また、他の一部は以下の反応式(6)で表わされる反応により、水酸化アルミニウム(Al(OH)3)に変化している可能性が高い。なお、水分吸着された窒化アルミニウムは、反応式(6)で発生したアンモニア(NH3)の供給を受け、実際には水とアンモニアの混合層によって周囲を取り囲まれた状態になっているものと考えられる。
ここで、傾きKが上記のような順となっている理由について、詳細に検討する。まず、比較例の傾きKが最大となっている理由について検討する。
比較例である窒化アルミニウム単体の粉末のうち、一部の粉末は、上記1)の工程以前の常温20(℃)において、空気中の水分と接触することで周囲を水(H2O)によって取り囲まれた状態、すなわち水分が吸着された状態になっているものと考えられる。
また、他の一部は以下の反応式(6)で表わされる反応により、水酸化アルミニウム(Al(OH)3)に変化している可能性が高い。なお、水分吸着された窒化アルミニウムは、反応式(6)で発生したアンモニア(NH3)の供給を受け、実際には水とアンモニアの混合層によって周囲を取り囲まれた状態になっているものと考えられる。
次に、比較例の傾きKは、設定温度20〜400(℃)の範囲において、温度範囲によって大まかに2種類の値に分類されることが分かる。すなわち、温度範囲T1(20〜150(℃))、T2(150〜270(℃))、T3(270〜400(℃))における傾きKをそれぞれK1、K2、K3とすると、K1>K2≒K3となっている。
温度範囲T1においては、まず反応式(6)によって水酸化アルミニウムが生成されるとともに前述の窒化アルミニウム単体を取り囲む水とアンモニアの混合層から、アンモニアが遊離すると推測できる。これは、水の沸点を考慮すると、この段階ではまだ窒化アルミニウム単体を取り囲む水の蒸発が少ないと考えられるからである。しかし、100(℃)付近からは、窒化アルミニウム単体を取り囲む混合層からの水分の蒸発が増加する。また、反応式(6)によってすでに生成された水酸化アルミニウムについては特段の変化がないものと考えられる。
温度範囲T1においては、まず反応式(6)によって水酸化アルミニウムが生成されるとともに前述の窒化アルミニウム単体を取り囲む水とアンモニアの混合層から、アンモニアが遊離すると推測できる。これは、水の沸点を考慮すると、この段階ではまだ窒化アルミニウム単体を取り囲む水の蒸発が少ないと考えられるからである。しかし、100(℃)付近からは、窒化アルミニウム単体を取り囲む混合層からの水分の蒸発が増加する。また、反応式(6)によってすでに生成された水酸化アルミニウムについては特段の変化がないものと考えられる。
そして、温度範囲T2においては、窒化アルミニウム単体を取り囲む混合層からのアンモニアへの分解量は徐々に減少する一方で、水分の蒸発は継続する。また、反応式(6)による水酸化アルミニウムの生成は継続し、温度範囲T1と同様に特段の変化がないものと推測されることから、重量変化率Wの減少割合が低下し、K1>K2となっているものと考えられる。
なお、温度範囲T3においては、水酸化アルミニウムが脱水分解した際の水が蒸発し、K2≒K3となっているものと考えられる。
このように比較例の窒化アルミニウム単体は、水とアンモニアの混合層によって周囲を取り囲まれた窒化アルミニウムと、水酸化アルミニウムとが混在することで温度範囲によって起こり得る反応の種類が異なってくるため、傾きKが大まかに2種類の値に分類されることが分かる。
なお、温度範囲T3においては、水酸化アルミニウムが脱水分解した際の水が蒸発し、K2≒K3となっているものと考えられる。
このように比較例の窒化アルミニウム単体は、水とアンモニアの混合層によって周囲を取り囲まれた窒化アルミニウムと、水酸化アルミニウムとが混在することで温度範囲によって起こり得る反応の種類が異なってくるため、傾きKが大まかに2種類の値に分類されることが分かる。
次に、実施例4,1の傾きK1,K2が比較例の傾き1,K2よりも小さい値となっている理由について検討する。実施例4,1では、温度範囲T1において傾きK1はほとんどゼロとなっている。これは、窒化アルミニウム単体を取り囲む混合層のアンモニアへの分解がないことを意味している。このアンモニアは元々反応式(6)の進行によって供給されるため、実施例4,1の処理済み窒化アルミニウムは、上記工程4)までに水酸化アルミニウムに変化していないものと推測できる。
続いて、温度範囲T2において、傾きK2は傾きK1よりわずかに増大しているため、実施例4,1の処理済み窒化アルミニウムも比較例の窒化アルミニウム単体と同様に水分吸着されており、その水分の蒸発が継続しているものと考えられる。ただし、実施例4,1の傾きK2≪比較例の傾きK2となっていることから、処理済み窒化アルミニウムに吸着している水分量は、比較例の窒化アルミニウム単体に吸着している水分量よりもかなり少ないことが分かる。また、前述したように実施例4,1では傾きK2≒傾きK1であるため、T1からT2にかけて処理済み窒化アルミニウムの状態に大きな変化は見られないことが理解できる。
また、実施例4,1では比較例とは異なり、水の蒸発量自体が少ないため、蒸発した水は反応式(6)の左辺におけるH2Oとして利用されないと考えられる。すなわち、水酸化アルミニウムが新たに生成されることがないものと考えられる。
このように、実施例4,1の傾きKが比較例の傾きKよりも小さくなっている理由は、処理済み窒化アルミニウムに吸着する水分量がわずかであるとともに、水酸化アルミニウムが殆んど生成されない、すなわち強固な耐水性が付与されていることによるものである。
また、実施例4,1では比較例とは異なり、水の蒸発量自体が少ないため、蒸発した水は反応式(6)の左辺におけるH2Oとして利用されないと考えられる。すなわち、水酸化アルミニウムが新たに生成されることがないものと考えられる。
このように、実施例4,1の傾きKが比較例の傾きKよりも小さくなっている理由は、処理済み窒化アルミニウムに吸着する水分量がわずかであるとともに、水酸化アルミニウムが殆んど生成されない、すなわち強固な耐水性が付与されていることによるものである。
次に、実施例8においては、傾きKは、実施例4,1の傾きKと比較例の傾きKのほぼ中間の値となっている。ただし、実施例8の傾きK2≒傾きK1である特徴は、実施例4,1の特徴と共通しており、比較例の特徴(傾きK2<傾きK1)とは異なっている。そのため、実施例8では、実施例4,1と同様に水酸化アルミニウムは殆んど生成されないが、処理済み窒化アルミニウムに吸着する水分量が実施例4,1の水分量よりも多くなっていることが考えられる。これは、実施例8では、親水基COOHを備えるグルタミン酸の質量パーセント濃度が10(wt%)と高いことから、このグルタミン酸に対し多量の水分が吸着したことが原因であると思われる。
したがって、実施例8では、実施例4,1と同等の強固な耐水性が付与されているが、グルタミン酸に対する多量の水分吸着によって、実施例4,1よりも見かけ上耐水性が劣った結果となったのではないかと考えられる。
この点を確認するため、以下のように、実施例1,4,8について、処理済み窒化アルミニウム粉末のエックス線回折パターンを測定した。
したがって、実施例8では、実施例4,1と同等の強固な耐水性が付与されているが、グルタミン酸に対する多量の水分吸着によって、実施例4,1よりも見かけ上耐水性が劣った結果となったのではないかと考えられる。
この点を確認するため、以下のように、実施例1,4,8について、処理済み窒化アルミニウム粉末のエックス線回折パターンを測定した。
実施例1,4,8について、粉末エックス線回折装置を用いて処理済み窒化アルミニウムの回折パターンを測定し、水酸化アルミニウムの発生の有無を調べた結果について説明する。なお、比較のため、水酸化アルミニウムについても同様の測定を行った。
図4(a)及び図4(b)は、それぞれ実施例1,4,8について、処理済み窒化アルミニウム粉末のエックス線回折パターンを測定した結果である。ただし、横軸は回折角度(度)を表し、縦軸は回折強度(cps:カウント毎秒)を表している。
また、図4(a)は、実施例1の処理を行った窒化アルミニウム粉末について、浸水前のもの(試料1)、150℃の水蒸気中に24時間暴露したもの(試料2)、pH10の市販の緩衝溶液中に5時間浸漬したもの(試料3)及び比較例(試料4)の測定結果である。なお、回折強度の値は、各回折パターンの波高を比較するための相対値である。
図4(a)を見ると、実施例1の処理を行った窒化アルミニウム粉末の回折パターンは、試料1〜3のいずれにおいても試料4(比較例)と一致していない。すなわち、実施例1では水酸化アルミニウムが析出されなかったものと考えられる。
図4(a)及び図4(b)は、それぞれ実施例1,4,8について、処理済み窒化アルミニウム粉末のエックス線回折パターンを測定した結果である。ただし、横軸は回折角度(度)を表し、縦軸は回折強度(cps:カウント毎秒)を表している。
また、図4(a)は、実施例1の処理を行った窒化アルミニウム粉末について、浸水前のもの(試料1)、150℃の水蒸気中に24時間暴露したもの(試料2)、pH10の市販の緩衝溶液中に5時間浸漬したもの(試料3)及び比較例(試料4)の測定結果である。なお、回折強度の値は、各回折パターンの波高を比較するための相対値である。
図4(a)を見ると、実施例1の処理を行った窒化アルミニウム粉末の回折パターンは、試料1〜3のいずれにおいても試料4(比較例)と一致していない。すなわち、実施例1では水酸化アルミニウムが析出されなかったものと考えられる。
図4(b)は、それぞれ実施例1,4,8の処理を行った窒化アルミニウム粉末について浸水前における回折パターンを測定した結果である。ただし、回折強度の値は、図4(a)と同様に各回折パターンの波高を比較するための相対値である。
図4(b)を見ると、実施例1,4,8の処理を行った窒化アルミニウム粉末の回折パターンはいずれも試料4(比較例)比較例と一致していない。したがって、実施例1,4,8では、水酸化アルミニウムが析出されなかったものと考えられる。
このように、実施例1,4,8では、水酸化アルミニウムが析出されず、各処理を施された窒化アルミニウムが十分な耐水性を示すことが確認された。
図4(b)を見ると、実施例1,4,8の処理を行った窒化アルミニウム粉末の回折パターンはいずれも試料4(比較例)比較例と一致していない。したがって、実施例1,4,8では、水酸化アルミニウムが析出されなかったものと考えられる。
このように、実施例1,4,8では、水酸化アルミニウムが析出されず、各処理を施された窒化アルミニウムが十分な耐水性を示すことが確認された。
表3及び図5は、実施例1〜8の処理を行った窒化アルミニウムについて、それぞれ樹脂に対する相溶性を調べた結果である。
なお、表3に示した充填率とは、各処理が施された窒化アルミニウムについてエポキシ樹脂に対する充填率を体積パーセント濃度で表したものである。すなわち、窒化アルミニウムの体積をVA、エポキシ樹脂の体積をVE、エポキシ樹脂と混合する硬化剤の体積をVHとすると、充填率は、[VA/(VE+VH)]×100と定義される。
また、充填率の具体的な測定方法は、次の通りである。
1)エポキシ樹脂と硬化剤を1:1の質量比で混合する。
2)上記混合品に対し、実施例ごとに処理済み窒化アルミニウムを投入する。ただし、徐々に投入量を増加させるものとする。
3)上記混合品を攪拌機に投入して、さらに混合し、粘度が所定の値に達したときの質量を最大充填量とする。
4)エポキシ樹脂の比重を1.0、投入する処理済み窒化アルミニウムの比重を2.5として、充填率を算出する。
なお、表3では、各行において、充填率が最も左の欄に記載された値に達している場合を○、達していない場合を×、○と×の中間の場合を△としている。
なお、表3に示した充填率とは、各処理が施された窒化アルミニウムについてエポキシ樹脂に対する充填率を体積パーセント濃度で表したものである。すなわち、窒化アルミニウムの体積をVA、エポキシ樹脂の体積をVE、エポキシ樹脂と混合する硬化剤の体積をVHとすると、充填率は、[VA/(VE+VH)]×100と定義される。
また、充填率の具体的な測定方法は、次の通りである。
1)エポキシ樹脂と硬化剤を1:1の質量比で混合する。
2)上記混合品に対し、実施例ごとに処理済み窒化アルミニウムを投入する。ただし、徐々に投入量を増加させるものとする。
3)上記混合品を攪拌機に投入して、さらに混合し、粘度が所定の値に達したときの質量を最大充填量とする。
4)エポキシ樹脂の比重を1.0、投入する処理済み窒化アルミニウムの比重を2.5として、充填率を算出する。
なお、表3では、各行において、充填率が最も左の欄に記載された値に達している場合を○、達していない場合を×、○と×の中間の場合を△としている。
図5は表3の結果をグラフ化したものである。なお、縦軸の充填率指標とは、表3における○,△,×をそれぞれ10,5,0とし、その値を合計したものである。
図5を見ると、充填率指標は実施例8が最も大きく、以下、実施例4,実施例1及び実施例3の順に充填率指標が大きいことがわかる。すなわち、この順に樹脂との相溶性が良好であると言える。
図5を見ると、充填率指標は実施例8が最も大きく、以下、実施例4,実施例1及び実施例3の順に充填率指標が大きいことがわかる。すなわち、この順に樹脂との相溶性が良好であると言える。
以上説明したように、実施例4と実施例8は、比較例に比べてpH値が十分に小さく、耐水性に優れることがわかった。また、pH値の時間的な変化を調べたところ、実施例4と実施例8が最も安定して良好な耐水性を示し、次いで実施例1が良好な結果となった。
すなわち、窒化アルミニウムに対しt−Buサリチル酸金属塩(5wt%)を添加(実施例1)すると、十分な耐水性が付与され、これにステアリン酸金属塩(5wt%)を添加(実施例4)すると、耐水性が一層高まり、さらに、ステアリン酸金属塩(5wt%)の代わりに、グルタミン酸(10wt%)を添加(実施例8)しても、実施例4と同等の耐水性が付与されることがわかった。
このように、本発明の方法によれば、窒化アルミニウムの耐水性を乾式処理でも十分に向上させることが可能である。
すなわち、窒化アルミニウムに対しt−Buサリチル酸金属塩(5wt%)を添加(実施例1)すると、十分な耐水性が付与され、これにステアリン酸金属塩(5wt%)を添加(実施例4)すると、耐水性が一層高まり、さらに、ステアリン酸金属塩(5wt%)の代わりに、グルタミン酸(10wt%)を添加(実施例8)しても、実施例4と同等の耐水性が付与されることがわかった。
このように、本発明の方法によれば、窒化アルミニウムの耐水性を乾式処理でも十分に向上させることが可能である。
一方、表3に示したように、樹脂との相溶性については、実施例8が最も良好であり、次に、実施例4、実施例3及び実施例1の順に良好であった。すなわち、t−Buサリチル酸金属塩(5wt%)を添加(実施例1)すると、相溶性がある程度向上する。また、グルタミン酸(5wt%)を単独で添加(実施例3)することによっても同様に相溶性が向上する。そして、t−Buサリチル酸金属塩(5wt%)とともにステアリン酸金属塩(5wt%)を添加した場合(実施例4)、グルタミン酸(5wt%)を単独で添加する場合よりも相溶性が大きく向上する。さらに、t−Buサリチル酸金属塩(5wt%)とともにステアリン酸金属塩(5wt%)とグルタミン酸(10wt%)の双方を添加することによれば(実施例8)、比較例に対して格段に相溶性が向上する。
このように、本発明の窒化アルミニウムの乾式耐水処理方法によれば、高温による加熱処理等を必要としない簡易な工程によって、窒化アルミニウムに耐水性を付与するとともに、樹脂に対する相溶性も高めることができる。そして、これらの効果は、t−Buサリチル酸金属塩、ステアリン酸金属塩及びグルタミン酸等の質量パーセント濃度の組み合わせを変更することにより、調整することができる。すなわち、本発明の窒化アルミニウムの乾式耐水処理方法によれば、窒化アルミニウムに対し耐水性を付与したり、相溶性を高めたりするとともに、それらの効果を調整することが可能である。
なお、本発明の窒化アルミニウムの乾式耐水処理方法は本実施例に示す構成に限定されない。例えば、t−Buサリチル酸金属塩、ステアリン酸金属塩及びグルタミン酸の質量パーセント濃度は、表1に示された以外の値であっても良い。また、化学式がCmHnCOOHや(CmHnCOO−)2M2+(m≧12,n=2m+1)である高級脂肪酸及びその誘導体であれば、ステアリン酸以外の脂肪酸及びその誘導体を使用しても良い。
請求項1乃至請求項3に記載された発明は、窒化アルミニウムに対し十分な耐水性を付与するとともに樹脂との相溶性を高めることが可能な乾式処理方法として適用可能である。
1…窒化アルミニウム 2…t−Buサリチル酸金属塩
Claims (3)
- 窒化アルミニウムの粉末にターシャリーブチルサリチル酸金属塩を常温で乾式混合することを特徴とする窒化アルミニウムの乾式耐水処理方法。
- 前記窒化アルミニウムの粉末にステアリン酸又はその誘導体を常温で乾式混合することを特徴とする請求項1記載の窒化アルミニウムの乾式耐水処理方法。
- 前記窒化アルミニウムの粉末にグルタミン酸又はその誘導体を常温で乾式混合することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の窒化アルミニウムの乾式耐水処理方法。
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---|---|---|---|
JP2013141122A JP2015013771A (ja) | 2013-07-04 | 2013-07-04 | 窒化アルミニウムの乾式耐水処理方法 |
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CN112292346A (zh) * | 2018-06-21 | 2021-01-29 | 株式会社Adeka | 表面处理氮化铝的制造方法、表面处理氮化铝、树脂组合物和固化物 |
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2013
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CN112292346A (zh) * | 2018-06-21 | 2021-01-29 | 株式会社Adeka | 表面处理氮化铝的制造方法、表面处理氮化铝、树脂组合物和固化物 |
CN112292346B (zh) * | 2018-06-21 | 2023-10-20 | 株式会社Adeka | 表面处理氮化铝的制造方法、表面处理氮化铝、树脂组合物和固化物 |
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