JP2015013260A - 光触媒及びそれを用いた水素生成方法 - Google Patents

光触媒及びそれを用いた水素生成方法 Download PDF

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佐藤 一則
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西山 洋
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洋 西山
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Katsutoshi Uchida
克利 内田
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Kohei Iwatani
航平 岩谷
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Yoshiro Ishii
義朗 石井
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Takao Tatsumi
孝夫 巽
原田 亮
Akira Harada
亮 原田
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Abstract

【課題】金属酸化物及び窒化物とは異なる新しい化学組成及び構造を持ち、可視光領域での水の分解反応において充分に高い水素生成活性を有する光触媒、及びこの触媒を用いた水素生成方法を提供すること。【解決手段】 下記一般式(1)で表されるクラストレート構造を有するリン化合物と、該リン化合物に担持された、貴金属及び貴金属酸化物からなる群より選択される少なくとも1種の助触媒と、を備え、水からの水素生成に用いられる光触媒。MIV38P8X8・・・(1)(式中、MIVは4価の金属イオン、Xはハロゲンイオンを示す。)【選択図】図4

Description

本発明は、光触媒及びそれを用いた水素生成方法に関する。
1年間に地球上に降り注ぐ太陽エネルギー量は、現在の我々が1年間に消費するエネルギー量の約1万倍に相当するほどの膨大な量である。そこで、この太陽エネルギーを用いて豊富に存在する水を分解し、クリーンな資源である水素を得る技術の確立が望まれている。これを実現するためには、光エネルギーを吸収し水を分解する機能を持つ新光触媒の開発が重要である。
水を水素と酸素に化学量論比で分解できる光触媒としては、Ga3+、In3+、Ge4+、Sn4+及びSb5+といった、d軌道が満たされたd10電子状態の典型金属酸化物にRuOが担持された触媒が提案されている(例えば、特許文献1及び2)。一方、酸化物以外では、d10電子状態の典型窒化物であるZnO/GaNの固溶体や、Mg又はZn等の2価の金属イオンの添加によってp型化したGaNに、RuOが担持された触媒が提案されている(例えば、非特許文献1)。
特願2001−110870号公報 特願2002−262635号公報
Yasunobu Inoue, Energy Environ. Sci., 2009,2,364.
ところで、太陽光の波長域を考えると、可視光域で作用する光触媒の開発は不可欠であるが、しかしながら、上述のような金属酸化物や窒化物を用いた従来の光触媒では、可視光領域での水の分解反応における活性が低いのが現状である。
そこで、本発明は、金属酸化物及び窒化物とは異なる新しい化学組成及び構造を持ち、可視光領域での水の分解反応において充分に高い水素生成活性を有する光触媒、及びこの触媒を用いた水素生成方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、金属酸化物及び窒化物とは異なる新しい化合物としてリン化合物に着目した。リン化合物は、価電子帯がリン原子、また伝導帯が金属イオンで構成されるため、価電子帯準位が高く、酸化物や窒化物に比べ可視光に有利に応答すると考えられるためである。また、d電子状態の金属イオンであるTi4+、Zr4+、Nb5+、Ta5+等の酸化物、及びd10電子状態の金属イオンであるGa3+、In3+、Ge4+、Sn4+、Sb5+等の酸化物が、水の分解反応に対して活性な光触媒であることから、光触媒において高い活性を発現するためには、触媒が有する八面体や四面体の局所構造がゆがみを持つことが重要であると考えた。
このような知見の下、本発明者らは、所定の元素をリン元素と組み合わせ、特定の構造を有するd10電子状態のリン化合物を有する光触媒を開発するに至った。
本発明は、下記一般式(1)で表されるクラストレート構造を持つリン化合物と、該リン化合物に担持された、貴金属及び貴金属酸化物からなる群より選択される少なくとも1種の助触媒と、を備え、水からの水素生成に用いられる光触媒である。
IV 38・・・(1)
(式中、MIVは4価の金属イオン、Xはハロゲンイオンを示す。)
この触媒は、金属酸化物及び窒化物とは異なる化学組成及び構造を持つ、水からの水素生成用途における全く新規な触媒である。そして、可視光領域(例えば、400nmより長波長側の可視光領域)での水の分解反応において充分に高い水素生成活性を有する。
本発明において、上記一般式(1)中、MIVがSi4+、Ge4+及びSn4+からなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。これにより、より良好な水素生成活性を得ることができる。
本発明は、また、上記光触媒を用いて水からの水素生成を行う、水素生成方法を提供する。本発明の光触媒を用いることにより、例えば太陽光を用いた水の分解反応において極めて多くの水素を選択的に生成することができる。
本発明によれば、金属酸化物及び窒化物とは異なる新しい化学組成及び構造を持ち、可視光領域での水の分解反応において充分に高い水素生成活性を有する光触媒、及びこの触媒を用いた水素生成方法を提供することができる。
なお、本発明の光触媒は単一系において反応を促進することができる。したがって、実用装置の設計が容易であるという利点を持つ。
クラストレート構造の3次元構造を示す模式図である。 実施例1のGe38ClのX線回折パターンを示す図である。 実施例1における経過時間と生成水素量との関係を示すグラフである。 実施例1における水素生成速度と光波長との関係を示すグラフである。 実施例2のGe38BrのX線回折パターンを示す図である。 実施例2における経過時間と生成水素量との関係を示すグラフである。 実施例3のGe38のX線回折パターンを示す図である。 実施例3における経過時間と生成水素量との関係を示すグラフである。
<光触媒>
本実施形態の光触媒は、下記一般式(1)で表されるクラストレート構造を持つリン化合物と、リン化合物に担持された、貴金属及び貴金属酸化物からなる群より選択される少なくとも1種の助触媒と、を備える。なお、図1に、クラストレート構造の3次元構造を示す。図1中、大きい球がX原子を示し、小さい球がM又はP原子を示す。
IV 38・・・(1)
(式中、MIVは4価の金属イオン、Xはハロゲンイオンを示す。)
ここで、上記一般式(1)中、MIVは、Si4+、Ge4+及びSn4+からなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましく、Ge4+であることがより好ましい。また、Xは必ずしも限定されるものではないが、Cl、Br及びIからなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましく、Clであることがより好ましい。なお、現時点で発明者は、Xがハロゲンイオン(Cl、Br及びI)の状態で化合物中に存在すると考えているが、XがCl、Br又はIの状態で存在する可能性を排除していない。
本実施形態において、助触媒は、貴金属及び貴金属酸化物からなる群より選択される少なくとも1種である。触媒活性をより向上させるという観点から、貴金属よりも貴金属酸化物であることが好ましい。ここで、貴金属とは、Au、Ag、Pt、Pd、Rh、Ir、Ru及びOsからなる群に属する金属をいう。触媒活性をより向上させるという観点から、これら貴金属の中でも、Rh、Ir、Ru、Pt及びPdからなる群より選択される少なくとも一種であることが好ましい。同様の観点から、Rh、Ir、Ru、Pt及びPdからなる群より選択される少なくとも一種の酸化物であることが好ましい。なお、これら貴金属及び貴金属酸化物は、CoやVなどの助触媒と共に用いられてもよい。このような助触媒としては、具体的には、IrO(0≦x≦2)、RuO(0≦x≦2)、IrO(0≦x≦2)+Co、RuO(0≦x≦2)+Co、IrO(0≦x≦2)+VO(0≦x≦1)などが挙げられる。
なお、可視光領域での水の分解反応においてより高い水素生成活性を発現するという観点から、リン化合物と助触媒との好ましい組み合わせとしては、Ge38ClとIrO(0≦x≦2)及びRuO(0≦x≦2)からなる群から選択される少なくとも1種との組み合わせが挙げられ、これらの中でもGe38ClとRuO(0≦x≦2)との組み合わせがより好ましい。
助触媒の担持量は、リン化合物の全重量を基準として、0.5〜5.0重量%が好ましく、2.0〜4.0重量%がより好ましい。助触媒の担持量をこのようにすることで、より水素生成活性を高め易くなる傾向にある。
<光触媒の作製方法>
(リン化合物の作製)
クラストレート構造を持つリン化合物として、ここでは、Ge38Clの調製方法を説明し、他の化合物の調製方法の代表例とする。なお、リン化合物はFlux法で作製することができる。
Flux法では、出発物質であるGe及びP(赤リン)を含む原料粉末を化学量論比(モル比)で1:1の割合で混合した後に、石英ガラス管に導入する。これに、さらにNaCl及びKClを1:0.8のモル比で混合したフラックス剤を、出発物質とフラックス剤との重量比が1:2となるように加える。その後、真空ポンプで排気しつつ、石英ガラス管の口を溶着させ、原料粉末とフラックス剤を真空封入する。これを、電気炉内で、100〜300℃/hの昇温速度で室温(25℃)から500〜550℃まで昇温して2〜4時間保持した後、さらに10〜30℃/hの昇温速度で600〜800℃まで昇温して20〜30時間保持することにより、粒子状のGe38Clを得ることができる。なお、フラックス剤として、NaCl及びKClの混合物に代えて、KBr及びNaBrの混合物又はKI及びNaIの混合物を用いることで、Ge38Br又はGe38を得ることができる。
なお、これらの方法において、Geを含む原料粉末をSi又はSnを含む原料粉末に代えることにより、本実施形態で規定するその他の粒子状のリン化合物を作製することができる。
得られたリン化合物は、XRDにより得られる回折パターンとICDD−PDF(International Center for Diffraction Data−PDF)のデータベースとを比較することにより同定することができる。
(助触媒の担持)
次に、このようにして得られるリン化合物に対し、助触媒を担持させることにより、本実施形態の光触媒を得ることができる。リン化合物への助触媒担持法としては、含浸法、光電着法又は水素還元法といった一般的な方法を用いることができる。なお、このときのリン化合物の平均粒子径は特に限定されないが、懸濁液(後述)を作製して好適に光触媒反応を行うために、0.1〜10μm程度であることが好ましく、1〜5μmであることがより好ましい。
(含浸法による助触媒の担持例)
例えば、助触媒がRuOである場合、まず、Ruのカルボニル錯体であるRu(CO)12のTHF(テトラヒドロフラン)溶液へ、リン化合物を浸漬させる。これを真空乾固後、大気雰囲気で酸化処理して、Ru(CO)12をRuOに変換することにより、RuOを担持したリン化合物光触媒を得ることができる。あるいは、Ru(CO)12の代わりに、塩化ルテニウムRuCl・HOを用い、その水溶液中にリン化合物を浸漬させる。これを真空乾固後、大気下で酸化処理し、RuClをRuOに変換することにより、RuOを担持したリン化合物光触媒を得ることができる。
なお、含浸法により助触媒を担持させる場合、所定の液にリン化合物を含浸後、好ましくは300〜500℃、より好ましくは400〜450℃で酸化処理を行う。処理時間は、好ましくは1〜4時間、より好ましくは1.5〜3時間である。このような酸化処理温度及び酸化処理時間により、Ru(CO)12やRuClをより確実にRuOに変換することが可能である。
(光電着法による助触媒の担持例)
例えば、助触媒がRuO、Ir又はPtである場合、まず、RuCl・HO水溶液、(NHIrCl水溶液あるいはHPtCl・6HO水溶液に、リン化合物を加える。これをガラス反応セルに移し、Ar雰囲気下でHg−Xe光又はXe光を3h照射する等してRuO2、Ir又はPtを電着させることで、RuO、Ir又はPtを担持したリン化合物光触媒を得ることができる。
(水素還元法による助触媒の担持例)
例えば、助触媒がIr又はPtである場合、まず、(NHIrCl水溶液あるいはHPtCl・6HO水溶液に、リン化合物を加えて還流する。その後、これを真空乾固し、流通装置を用いて、Hと窒素の混合気体下で、例えば、400℃で3h還元処理することで、Ir又はPtを担持したリン化合物光触媒を得ることができる。
(複合型助触媒担持の例)
さらに、このようにして得られる光触媒に対し、一般的な方法を用いてさらに別の助触媒を組み合わせて担持(複合型助触媒担持)させることもできる。例えば、Ir又はRuOを担持したリン化合物光触媒0.2gに、0.1Mリン酸カリウム緩衝液200g、及びCo(NOをCo金属物質量換算で0.5mmol%となるように加え、真空排気により反応溶液中の溶存空気を除去する。その後、系内にArガスを導入し、Xeランプによる外部照射法により光照射をして光電着を行う。3時間光照射した後、触媒を濾過・洗浄することで、Ir及びCoが担持されたリン化合物光触媒、又はRuO及びCoが担持されたリン化合物光触媒を得ることができる。また、Irを担持したリン化合物光触媒0.2gに、助触媒供給源としてNaVOをV金属重量換算で1.5重量%となるように加え、上記と同様に光電着を行う。そして、3時間光照射した後、触媒を濾過・洗浄することで、Ir及びVO(0≦x≦1)が担持されたリン化合物光触媒を得ることができる。
以上のようにして、リン化合物の作製及び助触媒の担持工程を経て、粒子状の光触媒を得ることができる。なお、この光触媒粒子の平均粒子径は0.1〜10μmであることが好ましく、1〜5μmであることがより好ましい。
<光触媒を用いた水素生成方法>
本実施形態の水素生成方法は、上記のとおり得られた光触媒の存在下、水の分解反応により水素を得るものである。具体的には、光触媒及び純水を含む懸濁液を調製し、この懸濁液に対して特定波長の光を外部照射法により照射することにより、水素を得ることができる。本実施形態の水素生成方法によれば、可視光領域(波長がおよそ360nm〜400nmから760nm〜830nmの領域)での水の分解反応において好適に水素を得ることができる。
光触媒を用いた水素生成反応の活性の評価には、例えば、閉鎖循環系反応装置を用いることができる。この装置は高真空排気系、光照射用反応セル(石英製)、気体循環用ピストンポンプ、圧力計及び反応装置に直結したガス組成を測定するためのガスクロマトグラフにより構成される。光触媒反応により生成する気体(H、O)は、反応装置に予め加えた50Torrの圧力のArと共にピストンポンプにより反応中循環させて、反応系に直結したガスクロマトグラフにより随時分析することができる。なお、反応装置は閉鎖系であるので、反応時間の経過と共に発生する気体生成物は反応内に蓄積される。そのため、反応を繰り返す場合には、気相を排気した後、再度反応操作を繰り返せばよい。
なお、光触媒の評価用サンプルとしては、上記のとおり得られた光触媒を光照射用反応セル(例えば、パイレックス製反応セル(パイレックスは登録商標))に入れ、これに純水(例えば、蒸留水をさらにイオン交換した純水)を加えて懸濁させ、さらにこれを真空排気することにより反応液中の溶存酸素及び窒素を除いたものを使用することができる。このとき、光触媒の好ましい量は、純水の全重量を基準として、0.05〜0.5重量%が好ましく、0.1〜0.2重量%がより好ましい。これにより、撹拌されたときに、光が透過しない程度の分散状態にある懸濁液(評価用サンプル)を得ることが可能である。なお、測定にあたっては、評価用サンプルの温度は20〜35℃であることが好ましい。
また、懸濁液の撹拌には、反応装置内に設けたマグネットスターラー等を用い、光照射には、Xeランプ(例えば、イーグルエンジニアリング株式会社製 CX−04E)等を用いることができる。この際、照射される光の波長は、本実施形態の光触媒が可視光領域での水の分解反応において高い水素生成活性を示すという観点から、300〜850nmであることが好ましく、500〜600nmであることがより好ましい。なお、上述のとおり、本実施形態の光触媒は粒子のまま使用することができるが、例えば、このような粒子状の光触媒を基板等に固着(成膜)して膜状にして使用することもできる。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、これは本発明をより理解しやすくすることを目的とするものであり、これにより本発明を限定的に解釈されないことは当然である。
(実施例1)
1)Ge38Clの作製
出発物質として、Ge金属粉末及びP(赤リン)の原料粉末を、それぞれ1:1のモル比で調製し、石英ガラス管に導入した。これに、さらにNaClとKClとを1:0.8のモル比で混合したフラックス剤を、出発物質とフラックス剤との重量比が1:2となるように加えた。その後、真空ポンプで排気しつつ、石英ガラス管の口を溶着させ、原料粉末とフラックス剤を真空封入した。これを、電気炉内で、200℃/hの昇温速度で室温(25℃)から530℃まで昇温して2時間保持した後、さらに20℃/hの昇温速度で650℃まで昇温して28時間保持した。さらに、これを室温まで冷却し、フラックス剤であるNaCl及びKCl、並びに未反応のPを水洗浄により除去することで、粉末を得た。この粉末について、リガク社製の粉末X線回折装置(RINT2000HF)を用いてXRD(CuKα線)測定を行った。得られたX線回折パターンと、これまでに報告されている粉末X線回折のためのデータベースICDD−PDFのデータとを対比したところ、得られた粉末がGe38Clの構造を有することが分かり、目的とするリン化合物がほぼ単一相で合成できたことを確認した。Ge38ClのX線回折パターンを図2に示す。
2)Ge38Clへの助触媒(RuO)の担持
Ruのカルボニル錯体であるRu(CO)12を所定量含むテトラヒドロフラン溶液中にGe38Clを含浸させ、真空乾固した。その後、これを大気下350℃で1.5時間酸化処理することで、RuOを金属重量換算で3.5重量%担持したGe38Clを得た。
3)水素生成活性評価
得られた光触媒を含む測定用サンプルを作製し、上述の閉鎖循環系反応装置を用いて、水からの水素生成反応の活性の評価を行った。この際、光触媒の量は、純水の全重量を基準として0.1重量%とし、評価用サンプルの温度を25℃、pHを8として評価を行った。また、光照射にはXeランプ(イーグルエンジニアリング株式会社製 CX−04E)を用いて、外部照射法により300〜850nmの波長の光を照射した。結果を図3に示す。
図3は、実施例1における経過時間と生成水素量との関係を示すグラフである。これより、光照射により水素がほぼ一定速度で定常的に生成し、水素生成に高い活性を示した一方で、酸素や窒素の生成はほとんど見られなかった。なお、実施例1の光触媒の水素生成活性は約10.5μmol/hであり、酸素生成活性は約0.1μmol/h以下であった。
また、図4は、実施例1の光触媒の水素生成率と光波長との関係を示すグラフである。実施例1において、水素生成は540nm付近から生じ、短波長側に行くとともに増加し、300nm近傍で高い飽和値に達した。これにより、Ge38Clは400〜540nmの可視光領域で充分な水素生成活性を示すことが分かった。
なお、BET比表面積測定により求めた実施例1の光触媒の比表面積は、1.8m/gであった。また、水素生成反応で得られる水素量は、表面露出Ge原子数あたりに比べ、約410倍以上にあたることが示され、反応における水素の生成は光触媒的に進行していることが分かった。一方、酸素の生成が見られないことについては、長時間活性試験を行った前後のX線回折パターンの比較から、活性試験後の回折パターンが低角度側にシフトしていること、反応後の光触媒に対するフーリエ変換赤外分光法やラマン分光スペクトルの結果よりO−H振動による吸収ピークが観察されたこと、また、X線光電子分光法スペクトルのP 2p3/2準位の新しいピークの出現(PO4−x種の生成)やO 1s準位のピークの増加、また、Ge 3d5/2準位のピークのブロード化より、クラストレート構造の中にOHやO吸着種が吸着したためと考えられる。上記の生成水素量と比べると、構成Geの約56%が酸素と関わると計算される。
(実施例2)
フラックス剤として、NaCl及びKClの代わりに、NaBr及びKBrを用いてGe38Brを合成したこと以外は、実施例1と同様にして光触媒を作製し、評価を行った。Ge38BrのX線回折パターンを図5に示す。図6は、実施例2における経過時間と生成水素量との関係を示すグラフである。これより、光照射により水素が定常的に生成し、水素生成に高い活性を示した一方で、酸素や窒素の生成はほとんど見られなかった。なお、実施例2の光触媒の水素生成活性は、約0.3μmol/hであり、酸素生成活性は約0.1μmol/h以下であった。
なお、Ge38Brについて、全構成原子の軌道を考慮したバンド構造について密度汎関数法を用いて計算を行った。計算結果から、価電子帯はP3p+Br4p+Ge4p4sの混成軌道、また伝導帯はP3s3p+Brsp4s+Ge4p4sの混成軌道で構成され、両者のエネルギー差であるバンド幅は1.45eVと計算された。全構成原子の軌道がP軌道混成していることから、光照射による電子遷移は独立の原子の軌道が主に寄与する局在的遷移ではなく、全原子に及ぶ非局在的な遷移が考えられる。
(実施例3)
フラックス剤として、NaCl及びKClの代わりに、NaI及びKIを用いてGe38を合成したこと以外は、実施例1と同様にして光触媒を作製し、評価を行った。Ge38のX線回折パターンを図7に示す。図8は、実施例3における経過時間と生成水素量との関係を示すグラフである。これより、光照射により水素が定常的に生成し、水素生成に高い活性を示した一方で、酸素や窒素の生成はほとんど見られなかった。なお、実施例3の光触媒の水素生成活性は、約1.0μmol/hであり、酸素生成活性は約0.1μmol/h以下であった。
Ge38Brと同様にして、Ge38について密度汎関数法を用いてバンド構造計算を行った。計算結果から、価電子帯はGe4p4s+P3p+I5pの混成軌道、また伝導帯はGe4p(4s)+P3p+I5s(5p)の混成軌道から構成され、バンド幅は1.28Vと計算された。
以上の実験から、RuOを3.5重量%担持したGe38(X=Cl、Br又はI)において、水素生成活性はX=Cl>I>Brとなった。ここで、Ge38Cl、とGe38Br及びGe38の結晶構造をそれぞれ比較すると、Ge38Brはクラストレート構造のゲスト原子に当たるBr原子がホスト原子であるGe原子と結合しているのに対し、Ge38のゲスト原子であるCl原子やI原子はイオン的であることが分かった。このゲスト原子の存在状態の違いによって、クラストレート骨格(かご)内への反応分子の侵入の容易さが変化し、結果的に水素生成活性に影響を与えるものと考える。
なお、Geの代わりにSi又はSnを用いたSi38又はSn38をそれぞれ作製し、実施例1と同様にして光触媒としての評価を行ったところ、いずれの光触媒も可視光領域での水の分解反応において高い水素生成活性を示した。
これまでの説明から明らかなように、例えば400nmより長波長の可視光領域において、水の分解による水素生成がリン化合物を用いて可能であるという発見は、新規な光触媒の開発に対して充分に貢献するものである。そして、可視光領域での水の分解反応において高い水素生成活性を示す本発明の光触媒は、無尽蔵に供給される太陽エネルギーを有効に活用できることから産業上の利用性が極めて高いものである。

Claims (3)

  1. 下記一般式(1)で表されるクラストレート構造を有するリン化合物と、
    該リン化合物に担持された、貴金属及び貴金属酸化物からなる群より選択される少なくとも1種の助触媒と、
    を備え、水からの水素生成に用いられる光触媒。
    IV 38・・・(1)
    (式中、MIVは4価の金属イオン、Xはハロゲンイオンを示す。)
  2. 前記一般式(1)中、MIVがSi4+、Ge4+及びSn4+からなる群より選択される少なくとも1種である、請求項1記載の光触媒。
  3. 請求項1又は2記載の光触媒を用いて水からの水素生成を行う、水素生成方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2017159853A1 (ja) * 2016-03-17 2017-09-21 国立研究開発法人産業技術総合研究所 水素の製造方法

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