JP2015011863A - 加熱方法および誘導加熱装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】熱容量の異なる部位を有する被処理部材を急速均一加熱することのできる加熱方法を提供する。
【解決手段】上記課題を解決するための加熱方法は、熱容量大・小部組み合わせた被処理部材を囲み誘導加熱される筒状の面熱源をなす放射加熱源と、水冷銅管により構成され、前記放射加熱源の長手方向の温度制御を行うために分割された加熱コイルからなり、冷却水を挿通させた前記加熱コイルにより、前記被処理部材および前記放射加熱源の急速冷却を行い、前記放射加熱源は、前記被処理部材に対して形態係数を1に近似させた誘導加熱装置を用い、軸対象でない前記被処理部材を静止状態で、急速に均一加熱する場合に、品質障害の起きない中間目標温度まで急速加熱し、熱容量大の部位が中間目標温度に対して所定の温度範囲に近づいた後、最終目標温度に向かって急速加熱して、最終目標温度に整定させることを特徴とする。
【選択図】図1
【解決手段】上記課題を解決するための加熱方法は、熱容量大・小部組み合わせた被処理部材を囲み誘導加熱される筒状の面熱源をなす放射加熱源と、水冷銅管により構成され、前記放射加熱源の長手方向の温度制御を行うために分割された加熱コイルからなり、冷却水を挿通させた前記加熱コイルにより、前記被処理部材および前記放射加熱源の急速冷却を行い、前記放射加熱源は、前記被処理部材に対して形態係数を1に近似させた誘導加熱装置を用い、軸対象でない前記被処理部材を静止状態で、急速に均一加熱する場合に、品質障害の起きない中間目標温度まで急速加熱し、熱容量大の部位が中間目標温度に対して所定の温度範囲に近づいた後、最終目標温度に向かって急速加熱して、最終目標温度に整定させることを特徴とする。
【選択図】図1
Description
熱容量の異なる部位を持つ被処理部材を急速均一加熱する技術である。
熱容量の異なる部位を有する被処理部材を熱処理し、その一部を溶融させる技術としては、特許文献1、2に開示されているようなものが知られている。
特許文献1に開示されている加熱装置は、基板に対して電子部品のハンダ付けを行うものである。特許文献1に開示されている加熱装置では、コアに対する加熱コイルの巻き数や、その構造を異ならせた小型の加熱ヘッドを複数組み合わせることで、1つの大型の加熱ヘッドを構成している。このような加熱ヘッドを用いて熱処理を行うことにより、各加熱部位に応じて磁束密度を変えることができ、熱容量の違いによる温度分布のバラツキを抑制し、目標とする熱処理温度への加熱到達時間を均一化することができる。
特許文献1に開示されている加熱装置は、基板に対して電子部品のハンダ付けを行うものである。特許文献1に開示されている加熱装置では、コアに対する加熱コイルの巻き数や、その構造を異ならせた小型の加熱ヘッドを複数組み合わせることで、1つの大型の加熱ヘッドを構成している。このような加熱ヘッドを用いて熱処理を行うことにより、各加熱部位に応じて磁束密度を変えることができ、熱容量の違いによる温度分布のバラツキを抑制し、目標とする熱処理温度への加熱到達時間を均一化することができる。
特許文献2に開示されている加熱装置は、部品をハンダ付けするためのものである。特許文献2に開示されている加熱装置では、被処理部材を内包する加熱炉の壁面を誘導加熱すると共に、炉内雰囲気ガスを循環させるという手段により、被処理部材の加熱を行う。このような手段によれば、壁面からの輻射熱と、壁面からの輻射熱や伝熱により加熱された雰囲気ガスによる熱伝達の双方により被処理部材の加熱を行うことができ、熱容量の差に起因した温度分布のバラツキを抑制し、ハンダの溶融温度への到達時間を均一化することができる。
上記特許文献1、2に開示されているような加熱装置には、それぞれ次のような問題がある。
例えば特許文献1に開示されている装置では、ヘッドの構造が複雑となると共に、各小型ヘッド単位で電力制御を行う場合には、大小さまざまに熱容量が異なる部位が入り混じった被処理部材には適用できない。
例えば特許文献1に開示されている装置では、ヘッドの構造が複雑となると共に、各小型ヘッド単位で電力制御を行う場合には、大小さまざまに熱容量が異なる部位が入り混じった被処理部材には適用できない。
また、特許文献2に開示されている装置では、被処理部材の熱容量の異なる部位への選択加熱ができていない。このため、各部の昇温速度が揃うように加熱速度を遅くする必要がある。
そこで本発明では、上記問題を解決し、熱容量の異なる部位を有する被処理部材を急速均一加熱する加熱方法、およびそれを実現するための誘導加熱装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するための本発明に係る加熱方法は、軸対象でない熱容量大・小部組み合わせた被処理部材を静止状態で、急速に均一加熱する場合に、品質障害の起きない中間目標温度まで急速加熱し、熱容量大の部位が中間目標温度に対して所定の温度範囲に近づいた後、最終目標温度に向かって急速加熱して、最終目標温度に整定させることを特徴とする。
また、上記目的を達成するための本発明に係る加熱方法は、軸対象でなく、熱容量が大きい部位と小さい部位が組み合わされた被処理部材を静止状態で急速に均一加熱するための方法であって、加熱時に各部位間に生ずる温度差による品質障害が起きない温度範囲で定めた第1中間目標温度に前記熱容量が小さい部位が達するまで、前記被処理部材全体を急速加熱する工程と、前記熱容量が大きい部位が前記第1中間目標温度に対して所定の温度範囲に近づくまで整定する第1整定工程と、前記第1整定工程の後、前記熱容量が小さい部位が最終目標温度となるまで前記被処理部材全体を急速加熱する工程と、前記被処理部材全体の温度を前記最終目標温度に整定させる第2整定工程とを含むことを特徴とするものであっても良い。
また、上記のような特徴を有する加熱方法では、前記第1中間目標温度から前記最終目標温度までの急速加熱時に、前記各部位間に生ずる温度差が所定の温度差以内となるように、1回から複数回の段階的な中間目標温度を定め、急速加熱と整定を繰り返すようにすると良い。
また、上記目的を達成するための本発明に係る誘導加熱装置は、被処理部材を囲み誘導加熱される筒状の面熱源をなす放射加熱源と、水冷銅管により構成される加熱コイルとを備え、前記加熱コイルにより、前記被処理部材および前記放射加熱源の急速冷却を行い、前記加熱コイルは、前記放射加熱源の長手方向の温度制御を行うために分割されており、前記放射加熱源は、前記被処理部材に対して形態係数を1に近似させていることを特徴とする。
また、上記目的を達成するための本発明に係る誘導加熱装置は、被処理部材を囲う被誘導加熱部材と、前記被誘導加熱部材を囲繞する複数の加熱コイルを前記被誘導加熱部材の長手方向に沿って配置した誘導加熱装置であって、前記加熱コイルは、冷媒を挿通可能な構成とし、放射熱源を構成する前記被誘導加熱部材の内周面と、前記被処理部材の表面との形態係数を1に近似させたことを特徴とする。
また、上記のような特徴を有する誘導加熱装置では、前記被誘導加熱部材の温度を計測する温度計測手段と、前記温度計測手段により検出された温度に基と予め定めた設定温度とを比較し、前記被計測温度が前記設定温度に一致するように、前記加熱コイルに供給する電力の制御を行う制御手段とを備え、前記被誘導加熱部材を予め定めた第1中間目標温度よりも高い第1加熱温度まで急速加熱した後、前記第1中間目標温度まで急速冷却し、前記被処理部材を前記第1中間目標温度に整定させる制御を行うプログラムを有するようにすると良い。
また、上記のような特徴を有する誘導加熱装置において前記プログラムは、前記被処理部材を前記第1中間目標温度から、予め定めた最終目標温度まで加熱する際、前記被誘導加熱部材を前記最終目標温度よりも高い最終加熱温度まで急速加熱した後、前記最終目標温度まで急速冷却し、前記被処理部材を前記最終目標温度に整定させる制御を行うようにすると良い。
さらに、上記のような特徴を有する誘導加熱装置において前記プログラムは、前記被処理部材を前記第1中間目標温度から前記最終目標温度にまで加熱する際、予め定められた1回から複数回の中間目標温度に基づいて、前記被誘導加熱部材を前記各中間目標温度よりも高い温度へ急速加熱させ、前記各中間目標温度に急速冷却させた後、前記被処理部材を前記各中間目標温度に整定させる制御を繰り返すようにすることが望ましい。
上記のような特徴を有する加熱方法、および誘導加熱装置によれば、熱容量の異なる部位を有する被処理部材を急速均一加熱することが可能となる。
以下、本発明の加熱制御方法に係る実施の形態について、図面を参照しつつ詳細に説明する。
まず、図3、図4を参照して、本発明を実施する上で使用する誘導加熱装置の一例について説明する。なお、図3は、実施形態に係る誘導加熱装置の構成を示す正面断面図であり、図4は、同誘導加熱装置における放射熱源と加熱コイルの構成を示す側断面図である。図3、図4に示す誘導加熱装置(以下、加熱装置10)は、放射加熱源12と加熱コイル14(14a〜14d)、および高周波電源16(16a〜16d)を基本として構成されている。
まず、図3、図4を参照して、本発明を実施する上で使用する誘導加熱装置の一例について説明する。なお、図3は、実施形態に係る誘導加熱装置の構成を示す正面断面図であり、図4は、同誘導加熱装置における放射熱源と加熱コイルの構成を示す側断面図である。図3、図4に示す誘導加熱装置(以下、加熱装置10)は、放射加熱源12と加熱コイル14(14a〜14d)、および高周波電源16(16a〜16d)を基本として構成されている。
放射加熱源12は、グラファイト等の被誘導加熱部材により構成される筒状体である。放射加熱源12は、図4に示すように、その断面形状を楕円形状(トラック形状)としており、熱処理時に被処理部材50が配置される熱処理領域を構成する。
被処理部材50は、少なくとも熱容量が小さい部位50aと熱容量が大きい部位50bとを有し、軸対象でない部材としている。
また、放射加熱源12は、その形態設計において、熱処理対象とする被処理部材50に対する形態係数が、被処理部材50の全周に亘り均一な値、あるいは近似する値となるようにする。また、さらに好ましくは、形態係数が1、あるいは1に近似する値を持つようにする。放射加熱源12をこのような構成とした場合、被処理部材50を加熱する際、温度飽和時点で、被処理部材50の温度と放射加熱源12の温度が全周に亘って等しくなる。
さらに、放射加熱源12は、従来に比べてその肉厚を薄くし、各部位における熱容量が小さくなるように構成することが望ましい。加熱と冷却を繰り返す際に、その応答性を高めることができるからである。
加熱コイル14は、本実施形態の場合、放射加熱源12の長手方向に沿って、その外周にソレノイド状に巻回されているコイルである。加熱コイル14は、詳細を後述する高周波電源16に接続されており、高周波電源16から高周波電流が供給されることにより、巻回方向と交差する方向に磁束を生じさせ、放射加熱源12を誘導加熱する。実施形態における加熱コイル14は、中空管により構成され、内部に、冷却水等の冷媒を挿通可能な構成としている。このような構成とすることで、放射加熱源12からの輻射熱により加熱コイル14自体が過熱されることを防止することができる。また、電流の供給を遮断した場合には、加熱コイル14に、被処理部材50を冷却する際の冷却手段としての役割を担わせることができる。
実施形態に係る加熱コイル14は、放射加熱源12の長手方向に沿って複数(図3に示す例では4個:加熱コイル14a〜14d)に分割されており、各加熱コイル14に供給される電流の制御により、対応する加熱ゾーンの発熱量を調整することを可能としている。ここで、分割された各加熱コイル14は、その配置方向における放射加熱源12からの放熱条件が同じになるように、配置間隔等を調整することとする。
また、放射加熱源12に対して巻回している加熱コイル14は、その全周に亘り、放射加熱源12からの放熱条件が均一となるように構成する。具体的には、放射加熱源12と加熱コイル14との距離が、その全周に亘って等しくなるように構成する。このような構成により、加熱時には磁束の到達量が等しくなり、冷却時には、放熱量(放射加熱源12と加熱コイル14との間の熱交換量)が等しくなり、均等加熱、および均等冷却に寄与することが可能となる。
なお、図3、図4に示す例では、放射加熱源12に収容する被処理部材50は、1つだけのように示しているが、放射加熱源12のサイズを変化させれば、複数の被処理部材50をバッチ処理することも可能となる。よって、上記構成の加熱装置10を用いた加熱制御方法は、単一加熱であっても、複数加熱であっても適用することができる。
また、実施形態に係る加熱装置10では、加熱コイル14a〜14dによる加熱ゾーン毎に、放射加熱源12の外周温度を計測する放射温度計等の温度計測手段18(18a〜18d)が設けられている。温度計測手段18a〜18dを設けて各加熱ゾーンの温度を計測し、この計測値を高周波電源16a〜16dに制御信号を出力する温度制御装置20へ提供することで、目標加熱温度とのズレを補正するように、加熱コイル14a〜14dへ供給する電流値を制御することが可能となる。
高周波電源16a〜16dは、少なくともインバータ(逆変換回路)とコンバータ(順変換回路)、およびチョッパ等(いずれも不図示)を備えており、温度制御装置20からの制御信号に基づいて出力電力の調整が成される。
なお、温度制御装置20では、温度計測手段18a〜18dからの計測信号が入力されると、予め定められた昇温曲線などに基づき、目標とする加熱温度と計測値との比較を行い、高周波電源16a〜16dによる電力制御値を導き出し、これを制御信号として出力する。
また、各高周波電源16a〜16dは、出力電流の周波数を一致させた電流同期制御により、加熱コイル14a〜14dを近接配置して電流を供給した場合であっても、相互誘導の影響を回避、あるいは抑制して、各加熱コイル14a〜14dに供給する電力の制御を行うことができるものとする。
次に、上記加熱装置10を用いて被処理部材50を加熱する際の加熱方法について説明する。
図1に、本実施形態に係る加熱方法による放射加熱源12の加熱状態と、被処理部材50における熱容量の異なる部位の温度変化の様子を示し、詳細な加熱の方法について説明する。
図1に、本実施形態に係る加熱方法による放射加熱源12の加熱状態と、被処理部材50における熱容量の異なる部位の温度変化の様子を示し、詳細な加熱の方法について説明する。
被処理部材50の熱処理は、被処理部材50を目標とする熱処理温度(最終目標温度)に到達させるまでの間に、加熱工程と冷却工程、および整定工程を複数回繰り返すようにして行う。
具体的には、まず、加熱コイル14に対して高周波電源16から電力を供給し、放射加熱源12を急速昇温させ、これに伴い、被処理部材50も急速昇温させる。放射加熱減12の加熱は、予め定められた昇温曲線などに基づき、目標とする加熱温度と計測値との比較を行い、高周波電源16に対するフィードバック制御により加熱コイル14に対する電力制御を行う。各加熱コイル14a〜14dに応じた加熱ゾーン毎にこのような制御を行うことにより、放射加熱源12の温度分布のバラツキを抑制することができる。図1に示す最初の加熱工程(第1加熱工程)では、放射加熱源12の温度が、加熱により被処理部材50の各部位間に生ずる温度差が、被処理部材50の品質に影響を与えない範囲で定めた熱処理目標温度(第1中間目標温度)よりも高い温度(第1加熱温度)となるように、加熱コイル14に供給する電力の制御を行う(第1加熱工程)。
放射加熱源12の温度が第1加熱温度に到達した後は、被処理部材50における熱容量の小さい部位50aの温度が第1中間目標温度(第1整定温度)付近にまで昇温するまで、放射加熱源12が第1加熱温度を維持するように、加熱コイル14に供給する電力の制御を行う(加熱維持工程)。
被処理部材50における熱容量が小さい部位50aの温度が第1中間目標温度近傍に達した場合、加熱コイル14へ供給する電力を遮断し、加熱コイル14内部に挿通させている冷媒により放射加熱源12の冷却を行う。これにより、加熱コイル14が冷却手段となり、放射加熱源12の急速冷却(急速降温)が実現する(第1冷却工程)。第1冷却工程を経ることにより、放射加熱減12が第1目標温度にまで降温した後は、放射加熱源12が第1目標温度を維持するように、加熱コイル14に対して電力を供給し、これを維持する。なお、被処理部材50の温度は、直接計測するようにしても良いが、予め実験を行うことで得られるサンプルデータに基づき、放射加熱減12の加熱温度と熱処理時間から、所望する温度に到達したと仮定し、加熱制御工程の切り替えを成すようにすることもできる。
放射加熱減12の温度を第1目標温度に維持した状態で、所定の時間が経過するまで、加熱コイル14に対する電力の供給を制御する。この制御を所定時間行うことにより、熱容量が大きい部位50bの温度も、第1目標温度に一致、あるいは近似することとなる。つまり、熱容量の異なる部位を有する被処理部材50に生じた温度のバラツキが緩和され、最終目標温度に到達するまでに生じる温度のバラツキを小さくすることができる(第1整定工程)。
第1整定工程において、所定の整定時間が経過し、被処理部材50における熱容量が大きい部位50bの温度が第1目標温度近傍に達した後、加熱コイル14に対する電力の供給量を向上させ、放射加熱源12を再び加熱する。この際の放射加熱源12の加熱温度も、次の熱処理目標温度(第2中間目標温度)より高い温度(第2加熱温度)に設定し、加熱コイル14に対する電力の制御を行う。この制御を行うことにより被処理部材50は、温度バラツキの少ない状態から昇温されることとなる(第2加熱工程)。
第2加熱工程では、放射加熱源12が第2加熱温度に到達した後、加熱コイル14に対する電力の供給を遮断し、冷却工程(第2冷却工程)に遷移する。第2冷却工程では、放射加熱源12の温度が第2目標温度に到達するまで冷却を行う。なお、第2目標温度は、第1目標温度よりも高い温度であり、かつ最終目標温度よりも低い温度の範囲で定めるようにする。第1目標温度と第2目標温度との温度差は、熱処理開始温度から第1目標温度までの温度差に比べて小さくすることができる。このため、第2加熱温度での温度維持を図ることなく冷却工程に遷移した場合であっても、被処理部材50の温度を効率的、かつオーバーシュートさせることなく、第2目標温度に近づけることができる。放射加熱減12の温度が第2目標温度に到達した後には、放射加熱源12が第2目標温度を維持するように、加熱コイル14に供給する電力を調整する。このような制御を行うことにより、被処理部材50の温度は、第2目標温度に収束するように昇温し、熱容量の違いによる温度のバラツキを極めて小さくすることができる(第2整定工程)。
第2整定工程において、第2目標温度での維持時間(整定時間)が所定の時間だけ経過した後、再び放射加熱源12を加熱するように、加熱コイル14に対して電力を供給する。この際の放射加熱源12の加熱温度も、最終的な熱処理目標温度(最終目標温度)より高い温度(第3加熱温度:最終加熱温度)に設定し、加熱コイル14に対する電力の制御を行う。この制御を行うことにより被処理部材50は、第2加熱工程開始時よりもさらに温度バラツキの少ない状態から昇温されることとなる(第3加熱工程)。
第3加熱工程では、放射加熱源12が第3加熱温度に到達した後、加熱コイル14に対する電力の供給を遮断し、冷却工程(第3冷却工程)に遷移する。第3冷却工程では、放射加熱源12の温度が最終目標温度に到達するまで冷却を行う。放射加熱源12の温度が第3整定温度としての最終目標温度に到達した後には、放射加熱源12が最終目標温度を維持するように、加熱コイル14に供給する電力を調整する。このような制御を行うことにより、被処理部材50の温度は、最終目標温度に収束するように昇温し、熱容量の違いによる温度のバラツキが極めて小さい状態で最終目標温度にまで昇温することとなる(第3整定工程)。
上記のように、被処理部材50の昇温曲線に複数の棚(温度停滞ゾーン)を生じさせるように、加熱工程と冷却工程、および整定工程を繰り返すことで、熱容量の異なる部位を有する被処理部材50を加熱する際に、簡易な装置であっても、目標とする熱処理温度への到達時間に大きなバラツキを生じさせることが無い。つまり、最終目標温度での整定時間を短くすることができる。
なお、上記のような加熱制御を行う場合には、第1整定工程、第2整定工程、および第3整定工程と、整定工程を繰り返す毎に各工程における整定温度の温度差を小さくし、整定時間を短くするように制御する。加熱工程、冷却工程、および整定工程の繰り返し回数が増す毎に、前段の整定温度と後段の整定温度との温度差を小さくすることで、昇温時における温度のバラツキが小さくなり、熱容量が異なる部位がある場合であっても、各部位における昇温に要する時間にバラツキが少なくなるからである。
また、上記のような加熱制御は、加熱装置10を作業者が制御して行うものであっても良いし、加熱装置10に予め記憶されたプログラムにより制御されるものであっても良い。
被処理部材50の温度が目標とする熱処理温度に到達し、加熱制御が完了した後には、加熱コイル14への電力の供給を停止し、冷却工程に移行する。なお、実施形態における冷却工程時の応答性の高さは、冷媒を挿通させている加熱コイル14と放射加熱減12との間に、断熱材を介在させていないことに起因する。
なお、上記実施形態では、加熱工程と冷却工程、および整定工程のサイクルを3回繰り返すことで、熱処理目標温度に到達させる旨記載した。しかしながら、加熱工程と冷却工程、および整定工程から成る加熱制御サイクルは、2回、あるいは更に多いものとしても良い。また、熱処理目標温度が高い場合には、加熱制御サイクルの繰り返し回数をさらに増やすようにすることもできる。
また、上記実施形態で説明した加熱装置10は、本発明を実施するための加熱装置として好適な一例であり、本発明を実施する上で、上記加熱装置10の全ての構成が必要とされるものではない。すなわち、本発明は、少なくとも、被誘導加熱部材である放射加熱源12と、この放射加熱源12を加熱するための加熱コイル14、および加熱コイル14に電力を供給可能な高周波電源16を備えた加熱装置を用いることにより、実施することができる。
上記のような熱処理を行う本発明に対し、図2に示すように、中間目標温度での整定が無い場合の加熱方法では、昇温曲線が急峻なものとなるような急速加熱を行った場合、最終目標温度の手間で、被処理部材50における熱容量が大きい部位50bと熱容量が小さい部位50aとの間での温度乖離が大きくなってしまう。このため、熱容量が小さい部位50aが最終目標温度に到達後、熱容量が大きい部位50bが最終目標温度に到達するまで最終目標温度での加熱維持を実施した場合、熱容量が小さい部位50aは、過加熱状態となってしまい、製品の品質に支障を来たす虞が生ずる。
これに対し、中間目標温度での整定工程を有する本実施形態に係る加熱方法では、中間目標温度にて、一旦、被処理部材50全体の温度を整定させている。このため、中間目標温度以上の温度帯域において、熱容量の大小に関わる部位間での温度のバラツキが小さくなる。よって、熱容量の大小に関わらず、被処理部材50全体に、好適な熱処理を施すことが可能となる。
さらに、図1、図2から読み取れるように、被処理部材50を最終目標温度に整定させるまでに要する時間は、中間目標温度での整定が無い場合と殆ど変わらない。
10………加熱装置、12………放射加熱源、14(14a〜14d)………加熱コイル、16(16a〜16d)………高周波電源、18(18a〜18d)………温度計測手段、20………温度制御装置、50………被処理部材。
Claims (7)
- 熱容量大・小部組み合わせた被処理部材を囲み誘導加熱される筒状の面熱源をなす放射加熱源と、水冷銅管により構成され、前記放射加熱源の長手方向の均一温度制御を行うために分割された加熱コイルからなり、冷却水を挿通させた前記加熱コイルにより、前記被処理部材および前記放射加熱源の急速冷却を行う誘導加熱装置を用いた加熱方法であって、
前記被処理部材を静止状態で、急速に均一加熱する場合に、品質障害の起きない中間目標温度まで急速加熱し、熱容量大の部位が中間目標温度に対して所定の温度範囲に近づいた後、最終目標温度に向かって急速加熱して、最終目標温度に整定させることを特徴とする加熱方法。 - 軸対象でなく、熱容量が大きい部位と小さい部位が組み合わされた被処理部材を静止状態で急速に均一加熱するための方法であって、
加熱時に各部位間に生ずる温度差による品質障害が起きない温度範囲で定めた第1中間目標温度に前記熱容量が小さい部位が達するまで、前記被処理部材全体を急速加熱する工程と、
前記熱容量が大きい部位が前記第1中間目標温度に対して所定の温度範囲に近づくまで整定する第1整定工程と、
前記第1整定工程の後、前記熱容量が小さい部位が最終目標温度となるまで前記被処理部材全体を急速加熱する工程と、
前記被処理部材全体の温度を前記最終目標温度に整定させる第2整定工程とを含むことを特徴とする加熱方法。 - 前記第1中間目標温度から前記最終目標温度までの急速加熱時に、前記各部位間に生ずる温度差が所定の温度差以内となるように、1回から複数回の段階的な中間目標温度を定め、急速加熱と整定を繰り返すことを特徴とする請求項2に記載の加熱方法。
- 被処理部材を囲う被誘導加熱部材と、前記被誘導加熱部材を囲繞する複数の加熱コイルを前記被誘導加熱部材の長手方向に沿って配置した誘導加熱装置であって、
前記加熱コイルは、冷媒を挿通可能な構成とし、
放射熱源を構成する前記被誘導加熱部材の内周面と、前記被処理部材の表面との形態係数を1に近似させたことを特徴とする誘導加熱装置。 - 前記被誘導加熱部材の温度を計測する温度計測手段と、
前記温度計測手段により検出された温度に基と予め定めた設定温度とを比較し、前記被計測温度が前記設定温度に一致するように、前記加熱コイルに供給する電力の制御を行う制御手段とを備え、
前記被誘導加熱部材を予め定めた第1中間目標温度よりも高い第1加熱温度まで急速加熱した後、前記第1中間目標温度まで急速冷却し、前記被処理部材を前記第1中間目標温度に整定させる制御を行うプログラムを有することを特徴とする請求項4に記載の誘導加熱装置。 - 前記プログラムは、前記被処理部材を前記第1中間目標温度から、予め定めた最終目標温度まで加熱する際、前記被誘導加熱部材を前記最終目標温度よりも高い最終加熱温度まで急速加熱した後、前記最終目標温度まで急速冷却し、前記被処理部材を前記最終目標温度に整定させる制御を行うことを特徴とする請求項5に記載の誘導加熱装置。
- 前記プログラムは、前記被処理部材を前記第1中間目標温度から前記最終目標温度にまで加熱する際、予め定められた1回から複数回の中間目標温度に基づいて、前記被誘導加熱部材を前記各中間目標温度よりも高い温度へ急速加熱させ、前記各中間目標温度に急速冷却させた後、前記被処理部材を前記各中間目標温度に整定させる制御を繰り返すことを特徴とする請求項6に記載の誘導加熱装置。
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JP (1) | JP2015011863A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN113894236A (zh) * | 2021-09-14 | 2022-01-07 | 北京机电研究所有限公司 | 一种真空等温模锻快速成形装置 |
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2013
- 2013-06-28 JP JP2013136315A patent/JP2015011863A/ja active Pending
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN113894236A (zh) * | 2021-09-14 | 2022-01-07 | 北京机电研究所有限公司 | 一种真空等温模锻快速成形装置 |
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