JP2015011269A - 溶媒除去装置および湿式画像形成装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】定着前のトナー画像からキャリア液を除去する。
【解決手段】溶媒除去装置20は、記録媒体90を加熱する加熱部30と、記録面91に転写されたトナー画像に間隔を空けて対向し温度が記録面91の表面温度よりも低い表面部41Pを有し当該表面部41Pが記録面91に転写されたトナー画像に近接した状態で移動する溶媒回収機構40と、を備える。溶媒回収機構40は、加熱部30の加熱によって揮発したキャリア液蒸気に表面部41Pを接触させ、表面部41P上で凝縮したキャリア液を回収する。
【選択図】図3

Description

本発明は、溶媒除去装置および湿式画像形成装置に関し、特に、記録媒体の記録面に転写されたトナー画像に含まれるキャリア液を揮発させて記録媒体から除去する溶媒除去装置、およびそのような溶媒除去装置を備えた湿式画像形成装置に関する。
特開2000−284603号公報(特許文献1)に開示されているように、液体現像剤を用いて画像を形成する湿式画像形成装置が近年開発されている。湿式画像形成装置は、小さな粒径を有するトナー粒子を用いて画像の細部まで再現することができるため、商業用印刷などの分野への応用が期待されている。
湿式画像形成装置の画像形成プロセスにおいては、キャリア液およびトナー粒子を含む液体現像剤が用いられる。液体現像剤により感光体上の静電潜像が現像され、感光体上にトナー画像が形成される。トナー画像は、記録媒体上に転写された後、定着部で加圧されることにより記録媒体上に出力画像として定着する。
定着部で加圧される前のトナー画像中には、キャリア液が残存している。キャリア液の残存量が多いと、定着ローラー等でトナー画像を加圧する際にトナー画像が絞られやすくなる。一般的に、定着ローラーよりも上流側に、非接触ヒーターが設置される。トナー画像が定着部で加圧される前に余分なキャリア液を揮発させることにより、トナー画像中のキャリア液の量が減少する。キャリア液が流れることおよびトナーが流れることを抑制でき、結果としてトナー画像が乱れることを抑制可能となる。
キャリア液には、高い揮発性を有するものと低い揮発性を有するものとがある。近年では、低揮発性のキャリア液を使用することの検討が進められている。低揮発性のキャリア液を使用した場合、画像形成プロセス中においてキャリア液は揮発しにくい。液体現像剤中のトナー粒子(固形成分)の濃度が変動することを抑制でき、出力画像の品質を向上させることができる。低揮発性のキャリア液を使用することは、揮発により発生するキャリア液蒸気の排出量の削減にも貢献できる。
特開2000−284603号公報
記録媒体が定着部に入る前にトナー画像中からキャリア液を適切に除去することが難しい場合がある。上述の通り、記録媒体上のトナー画像中に含まれるキャリア液の残存量が必要以上に多いと、定着ローラー等でトナー画像を加圧する際にトナー画像が絞られやすくなり、定着後のトナー画像に乱れが発生することがある。
本発明は、記録媒体が定着部に入る前にその記録媒体上のトナー画像中から除去するキャリア液の量を従来に比して増加させることが可能な溶媒除去装置、およびそのような溶媒除去装置を備えた湿式画像形成装置を提供することを目的とする。
本発明に基づく溶媒除去装置は、記録媒体の記録面に転写されたトナー画像に含まれるキャリア液を揮発させて上記記録媒体から除去する溶媒除去装置であって、搬送経路に沿って搬送される上記記録媒体を加熱する加熱部と、上記記録面に転写された上記トナー画像に間隔を空けて対向し、温度が上記記録媒体の上記記録面の表面温度よりも低い表面部を有し、当該表面部が、上記記録面に転写された上記トナー画像に近接した状態で移動する溶媒回収機構と、を備え、上記溶媒回収機構は、上記加熱部の加熱によって揮発したキャリア液蒸気に上記表面部を接触させ、上記表面部上で凝縮したキャリア液を回収する。
好ましくは、上記表面部を冷却し、上記表面部の温度を上記記録媒体の上記記録面の表面温度よりも低い値にする冷却部をさらに備える。好ましくは、上記記録面と上記表面部との間の間隔をL(mm)とすると、0<L≦2.0となる条件を満足している。
好ましくは、上記記録面と上記表面部との間の間隔をL(mm)とし、上記キャリア液の平均分子量をMとし、上記記録面の表面温度をTm(℃)とすると、0.1<L<2×(Tm−20)×exp(−0.02×M)となる条件を満足している。
好ましくは、上記溶媒回収機構は、エンドレスベルトを含み、上記エンドレスベルトの表面が、上記表面部を構成している。
好ましくは、上記加熱部は、上記表面部に対向するように配置される。
好ましくは、上記溶媒回収機構は、上記表面部上で凝縮したキャリア液を上記表面部から除去して回収する回収部をさらに含む。
好ましくは、上記冷却部は、上記表面部に接触しないでこれを冷却するファン、および/または、上記表面部に接触し上記表面部の移動に合わせて回転しながらこれを冷却する冷却部材を含む。
好ましくは、上記溶媒回収機構は、上記表面部に接触するように配置された振動抑制部材をさらに含み、上記振動抑制部材は、上記表面部の移動に合わせて回転し、上記表面部が移動している時に上記表面部が振動することを抑制する。
本発明に基づく湿式画像形成装置は、液体現像剤を用いて記録媒体の記録面にトナー画像を形成する画像形成部と、本発明に基づく上記の溶媒除去装置と、上記トナー画像を上記記録媒体上に定着させる定着部と、を備える。
本発明によれば、記録媒体が定着部に入る前にその記録媒体上のトナー画像中から除去するキャリア液の量を従来に比して増加させることが可能な溶媒除去装置、およびそのような溶媒除去装置を備えた湿式画像形成装置を得ることができる。
実施の形態における湿式画像形成装置を示す図である。 実施の形態における湿式画像形成装置に備えられる画像形成部を示す図である。 実施の形態における湿式画像形成装置に備えられる溶媒除去装置および定着部を示す図である。 トナー画像中に含まれるキャリア液が揮発している様子を模式的に示す図である。 実施の形態における湿式画像形成装置に備えられるエンドレスベルト(表面部)の近傍を拡大して示す図である。 実施の形態の第1変形例における溶媒除去装置を示す図である。 実施の形態の第2変形例における溶媒除去装置を示す図である。 実験例S1〜S3,T1,T2,E1〜E5の実験条件を示す図である。 実験例S1〜S3の実験結果を示す図である。 実験例T1,T2の実験結果を示す図である。 間隔Lの実験結果と間隔Lの計算結果との関係を示す図である。 実験例Q1〜Q3の実験結果を示す図である。 実験例R1,R2の実験結果を示す図である。 実験例A1,A2,A3,B1,B2,B3,B4の実験条件および実験結果を示す図である。
本発明に基づいた実施の形態について、以下、図面を参照しながら説明する。実施の形態の説明において、個数および量などに言及する場合、特に記載がある場合を除き、本発明の範囲は必ずしもその個数およびその量などに限定されない。実施の形態の説明において、同一の部品および相当部品に対しては、同一の参照番号を付し、重複する説明は繰り返さない場合がある。
[実施の形態]
(湿式画像形成装置100)
図1は、本実施の形態における湿式画像形成装置100を示す図である。湿式画像形成装置100は、画像形成部10、溶媒除去装置20および定着部60を備える。溶媒除去装置20は、加熱部30、溶媒回収機構40および冷却部50を含む。画像形成部10、溶媒除去装置20および定着部60は、図示しない筺体の中に収容されている。
画像形成部10には、図示しない装置から記録媒体90が供給される(矢印AR90参照)。記録媒体90としては、たとえば普通紙、PET等から作製された樹脂性フィルム、またはコーティングされた記録面を有する光沢紙などが用いられる。記録媒体90としては、長尺状の連続紙が用いられてもよいし、枚葉紙が用いられてもよい。画像形成部10は、記録媒体90の記録面91上にトナー画像92を形成する。その後、記録媒体90は搬送経路に沿いながら溶媒除去装置20に向かって搬送される。
記録媒体90が溶媒除去装置20の中を通過する際、トナー画像92中に含まれるキャリア液の一部は揮発し、記録媒体90上から除去される。その後、記録媒体90は、搬送経路に沿いながら定着部60に向かってさらに搬送される。定着部60は、記録媒体90上のトナー画像92を加熱および加圧し、トナー画像92を記録媒体90上に定着させる。定着部60を通過した記録媒体90は、図示しない排紙部に送られる(矢印AR90参照)。以上により、記録面91上に出力画像が形成された記録媒体90を得ることができる。以下、これらの各構成の詳細について説明する。
(画像形成部10)
図2は、画像形成部10を示す図である。画像形成部10は、感光体ドラム11、中間転写ローラー12、クリーニング装置13、帯電装置14、露光装置15、液体現像装置16、2次転写ローラー17およびクリーニング装置18を含む。感光体ドラム11は、矢印AR11方向に回転する。中間転写ローラー12、クリーニング装置13、帯電装置14、露光装置15および液体現像装置16は、感光体ドラム11の周りに、感光体ドラム11の回転方向に沿ってこの順に配置される。
帯電装置14は、感光体ドラム11の表面を所定の電位に帯電させる。露光装置15は、感光体ドラム11の表面に、所定の画像情報に基づいた光を照射する。露光装置15からの光によって、感光体ドラム11の表面は露光される。感光体ドラム11の表面には、静電潜像が形成される。
液体現像装置16は、液体現像剤(図示せず)を含む。液体現像剤は、キャリア液およびトナー粒子を有する。液体現像剤は、感光体ドラム11の表面上に搬送される。キャリア液およびトナー粒子は、感光体ドラム11の表面上に静電吸着する。感光体ドラム11に担持されていた静電潜像が現像されることによって、感光体ドラム11の表面には、静電潜像の形状に対応したトナー画像(図示せず)が形成される。
中間転写ローラー12は、感光体ドラム11と接触しながら矢印AR12方向に回転する。感光体ドラム11と中間転写ローラー12との間のニップ部において、感光体ドラム11上のトナー画像は、感光体ドラム11から中間転写ローラー12の表面上に転写される。転写されずに感光体ドラム11上に残存したキャリア液およびトナー粒子は、クリーニング装置13によって、感光体ドラム11の表面から除去される。
2次転写ローラー17は、中間転写ローラー12に対向するように配置され、矢印AR17方向に回転する。記録媒体90は、2次転写ローラー17と中間転写ローラー12との間を通過する(矢印AR90参照)。2次転写ローラー17と中間転写ローラー12との間のニップ部において、トナー画像は、中間転写ローラー12から記録媒体90の記録面91上に転写される。記録媒体90の記録面91上には、トナー画像92が形成される。
転写されずに中間転写ローラー12上に残存したキャリア液およびトナー粒子は、クリーニング装置18によって、中間転写ローラー12の表面から除去される。トナー画像92が形成された記録媒体90は、図示しない搬送装置によって溶媒回収機構40(図1参照)に向かって搬送される。
図1および図2に示される湿式画像形成装置100の画像形成部10は、一台の液体現像装置16を備えている。湿式画像形成装置100は、カラー画像を形成するために、複数台の液体現像装置16を備えていてもよい。液体現像装置16の設置数は、湿式画像形成装置100に求められるカラー現像の方式などに応じて決定される。中間転写ローラー12も、必須の構成ではなく、必要に応じて用いられる。
(液体現像剤)
本実施の形態に用いられる液体現像剤は、溶媒であるキャリア液と、着色されたトナー粒子とを含有している。液体現像剤には、分散剤および荷電制御剤などが添加されていてもよい。キャリア液としては、絶縁性を有し、常温下では揮発しない不揮発性の溶媒が用いられる。不揮発性の溶媒としては、たとえばシリコンオイル、ミネラルオイル、または、パラフィンオイルを用いることができる。
トナー粒子は、樹脂と、着色のための顔料または染料とから構成される。樹脂は、顔料または染料を樹脂中に均一に分散させる機能と、トナー粒子が記録媒体90に定着される際のバインダーとしての機能を有している。樹脂としては、ポリスチレン樹脂、スチレン−アクリル樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、または、ポリウレタン樹脂等の、熱可塑性を有する樹脂を用いることができる。トナー粒子に用いる樹脂としては、これらのうちから選択された複数の樹脂が、混合された状態で用いられても良い。
トナーを着色するために用いられる顔料または染料としては、一般的に市販されているものを用いることができる。顔料としては、カーボンブラック、ベンガラ、酸化チタン、シリカ、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、スカイブルー、ベンジジンイエロー、または、レーキレッドD等を用いることができる。染料としては、ソルベントレッド27、またはアシッドブルー9等を用いることができる。
液体現像剤の調製方法としては、一般に用いられるものを用いることができる。たとえば、樹脂と顔料とを、所定の配合比で、加圧ニーダーまたはロールミルなどを用いて溶融および混練する。樹脂と顔料とを均一に分散させることによって得られた分散体を、ジェットミル等によって微粉砕する。微粉砕によって得られた微粉末を、風力分級機などにより分級する。所定の粒径を有する着色トナーが得られる。得られた着色トナーとキャリア液としての絶縁性液体とを、所定の配合比で混合する。この混合物を、ボールミル等の分散手段により均一に分散させる。以上の方法によって、液体現像剤が得られる。
液体現像剤中におけるトナー粒子の体積平均粒子径は、0.1μm以上5μm以下であるとよい。液体現像剤中におけるトナー粒子の体積平均粒子径が0.1μm以上であると、そのトナー粒子は静電潜像を現像しやすくなる。液体現像剤中におけるトナー粒子の体積平均粒子径が5μm以下であると、そのトナー粒子から形成されるトナー画像の品質が向上する。
液体現像剤の質量に対するトナー粒子の質量の割合は、10%以上50%以下であるとよい。液体現像剤の質量に対するトナー粒子の質量の割合が10%以上であると、トナー粒子の沈降が生じにくくなり、液体現像剤を長期保管する際の経時的な安定性が向上する。液体現像剤の質量に対するトナー粒子の質量の割合が10%以上であると、所望の画像濃度を得るために多量の液体現像剤を供給する必要がなくなる。記録媒体90上に供給されるキャリア液の量も増加しなくなるため、トナー画像92を定着させる際に多くのキャリア液を乾燥させる必要もなくなる。キャリア液を乾燥させる際に、キャリア液から多くの蒸気が発生しなくなるため、好ましい。
液体現像剤の質量に対するトナー粒子の質量の割合が50%以下であると、液体現像剤の粘度が適切な値となり、製造上および取り扱い上において都合がよい。液体現像剤の粘度は、25℃において、0.1mPa・s以上、10000mPa・s以下であるとよい。液体現像剤の粘度が10000mPa・s以下であると、液体現像剤を撹拌したり液体現像剤を送液したりする際の液体現像剤の取り扱いが容易となり、均一な液体現像剤を得るための各装置への負担が軽減される。
(溶媒除去装置20)
図3は、溶媒除去装置20および定着部60を示す図である。溶媒除去装置20は、加熱部30、溶媒回収機構40、冷却部50、および搬送ローラー71,72を含む。搬送ローラー71,72は、記録媒体90の搬送経路を形成する部材であり、各々の回転軸が互いに平行になるように配置されている。記録媒体90の搬送方向において、搬送ローラー71が上流側に位置し、搬送ローラー72が下流側に位置している。搬送ローラー71,72の間には、図示しない搬送ベルト等が設けられる。
(加熱部30)
加熱部30は、非接触ヒーター31,32および断熱カバー33を有する。非接触ヒーター31,32は、搬送ローラー71と搬送ローラー72との間に設けられ、記録媒体90の搬送経路に面するように配置されている。断熱カバー33は、非接触ヒーター31,32から見て搬送経路が位置している側とは反対側に配置されている。断熱カバー33としては、セラミックファイバー等の高断熱性および高耐熱性を有する部材が用いられるとよい。
記録媒体90が搬送ローラー71,72間を通過している時、非接触ヒーター31,32は、記録媒体90およびトナー画像92(図1参照)に接触せずにこれらを加熱する。非接触ヒーター31,32は、記録媒体90の記録面91(トナー画像92が形成されている面)の側とは反対側からこれらを加熱する。記録面91上のトナー画像に含まれているキャリア液の一部は、加熱部30の加熱(熱放射)を受けて揮発する。
非接触ヒーター31,32としては、黒トナーとイエロー、マゼンタ、シアンおよび非画像部との光吸収の差を考慮して、セラミックヒーター等のように長波長の熱を放射できるものを用いるとよい。非接触ヒーター31,32の表面温度は、図示しない制御手段により所望の値(たとえば約300℃〜約700℃)に設定される。
(溶媒回収機構40)
溶媒回収機構40は、エンドレスベルト41、支持ローラー42〜45、押えローラー46,47、および回収部48を含む。支持ローラー42〜45は、各々の回転軸が互いに平行になるように配置され、エンドレスベルト41はこれらの周囲に巻回されている。エンドレスベルト41は、たとえば金属性の薄板を用いて作製される部材である。
好適には、エンドレスベルト41としては、50μmの厚さを有するNi製のベルトが用いられる。Ni製のベルトは、高い熱伝導率を有している。Ni製のベルトを用いる場合、その温度制御が容易となり、放射率が低いため加熱部30と対向させている部位でのベルトの温度上昇を抑制することが可能となる。
支持ローラー42〜45は、図示しないモーターによって回転駆動される。エンドレスベルト41は、矢印DR1方向に回転する。エンドレスベルト41が回転することにより、エンドレスベルト41の表面41Sは周回移動する。エンドレスベルト41の表面41Sのうち、支持ローラー43および支持ローラー44の間に位置する部分(表面部41P)は、記録媒体90に対向する。
より具体的には、エンドレスベルト41の表面41Sは、表面部41Pとして機能する部位を通過している時に記録媒体90に対向する。表面部41Pとして機能する部位を通過しているときの表面41S(以下、単に表面部41Pという)は、記録媒体90が加熱部30によって加熱されているときの記録媒体90に対向し、この記録媒体90に対して略平行に移動するように構成されている。
ここで、略平行である場合には、表面部41Pが記録媒体90に対して平行である場合、および、表面部41Pが記録媒体90に対して実質的に平行である場合が含まれる。実質的に平行であるとは、表面部41Pが記録媒体90に対して平行な状態からたとえば0°より大きく±5°以下の範囲でずれた状態で移動している場合を含む。好ましくは、表面部41Pは、記録媒体90に対して−3°以上3°以下の角度範囲で移動するように構成される。より好ましくは、表面部41Pは、記録媒体90に対して−1°以上1°以下の角度範囲で移動するように構成される。最適には、表面部41Pは、記録媒体90に対して平行に移動するように構成される。
本実施の形態における非接触ヒーター31,32は、エンドレスベルト41の表面部41Pに対向するように配置されている。表面部41Pは、記録媒体90の搬送方向と同じ方向に向かって移動する。押えローラー46,47(振動抑制部材)は、表面部41Pの裏面側(エンドレスベルト41から見て搬送経路が位置している側とは反対側)に配置される。押えローラー46,47は、エンドレスベルト41に接触しながらエンドレスベルト41の移動に合わせて回転する。押えローラー46,47は、エンドレスベルト41(表面部41P)の振動を抑えるとともに、表面部41Pが記録媒体90に対して平行に移動可能なようにエンドレスベルト41の周回移動をガイドしている。
表面部41Pは、記録媒体90の記録面91に転写されたトナー画像に近接した状態で移動する。近接した状態で移動するとは、表面部41Pが、トナー画像の表面近傍に形成されたキャリア液蒸気層(特に、キャリア液蒸気層のうちの高濃度蒸気層)内を通過する程度にトナー画像に近づいた状態で移動することを意味する。高濃度蒸気層とは、たとえば記録媒体90の温度におけるキャリア液の飽和蒸気圧あるいはこれに近い蒸気圧に相当する濃度を有するキャリア液蒸気により形成される層のことである。記録媒体90の表面からの距離が離れるほど薄くなるが、エンドレスベルト41の表面部41Pが通過する距離においては、その露天温度(凝集開始温度)は、エンドレスベルト41の表面部41Pの表面温度よりも高い。エンドレスベルト41の表面部41Pが高濃度蒸気層内を通過している時、エンドレスベルト41は、キャリア液蒸気を表面部41Pに効果的に付着させることができる(詳細は後述する)。
エンドレスベルト41は、記録媒体90上のトナー画像に対向する部分に所定の熱量(凝縮のための熱量)を運ぶという機能を有していればよいため、エンドレスベルト41は、矢印DR1方向とは逆方向に回転するように構成されてもよい。必要な熱量を迅速に運び凝縮量を増加させるという観点からは、エンドレスベルト41の周回速度(表面部41Pの移動速度)は速い方が好ましい。
本実施の形態の溶媒回収機構40は、エンドレスベルト41を含むが、エンドレスベルト41の代わりに次のような部材を含んでいてもよい。すなわち溶媒回収機構40は、2つのローラーを含み、一方のローラーにベルトが巻回されており、そのローラーから他方のローラーに向かってベルトが順次送り出され、他方のローラーにおいてベルトが巻き取られるような構成を有していてもよい。この場合、そのベルトの表面のうち、記録面91に転写されたトナー画像92に間隔を空けて対向する部分が表面部として機能する。
回収部48は、エンドレスベルト41のうち、支持ローラー44と支持ローラー45との間に位置する部分に対向するように設けられる。エンドレスベルト41の回転方向において、回収部48は、表面部41Pよりも下流側であって冷却部50よりも上流側に位置している。回収部48は、ブレード48aおよび回収タンク48bを含む。ブレード48aは、エンドレスベルト41の表面41Sに当接するように配置されている。
(冷却部50)
冷却部50は、エンドレスベルト41に接触することなくこれを冷却する。具体的には、冷却部50は、エンドレスベルト41のうち、支持ローラー45と支持ローラー42との間に位置する部分に対向するように設けられる。エンドレスベルト41の回転方向において、冷却部50は、回収部48よりも下流側であって表面部41Pよりも上流側に位置している。
冷却部50は、ファン51およびカバー52を含む。ファン51からの送風(冷風)によって、エンドレスベルト41の表面41Sは十分に冷却される。たとえば冷却部50は、冷却部50を通過した後のエンドレスベルト41の表面41Sの温度が、記録媒体90の記録面91の表面温度よりも低い値になるようにエンドレスベルト41を冷却する。エンドレスベルト41の表面41Sが冷却することにより、キャリア液蒸気の凝縮効率を高めることができる。
(定着部60)
定着部60は、記録媒体90上に転写されたトナー画像を加熱し、トナー画像92を記録媒体90上に定着させる。定着部60は、定着ローラー61、加圧ローラー62、ヒータランプ63,64およびケース65,66を含む。
定着ローラー61および加圧ローラー62は、記録媒体90の搬送方向において、溶媒除去装置20よりも下流に位置している。定着ローラー61および加圧ローラー62は、ケース65,66の内側にそれぞれ配置されている。定着ローラー61および加圧ローラー62は、金属製芯金と、この芯金の外周に設けられたシリコンゴム層と、このシリコンゴム層の外周に設けられたフッ素系樹脂製離型層とをそれぞれ含む。
金属製芯金は、アルミ等の熱伝導率の高い部材から構成される。シリコンゴム層は、弾性層として、圧接ニップ幅を確保するために設けられる。フッ素系樹脂製離型層は、ローラー表面の離型性を高めるために設けられる。フッ素系樹脂製離型層の厚さは、たとえば10μm〜50μmであり、その材質はたとえばPTFE(polytetrafluoroethylene)またはPFA(perfluoroalkoxy polymer)である。
定着ローラー61および加圧ローラー62は、各々の回転軸が互いに平行になるように配置される。定着ローラー61および加圧ローラー62の各々の軸方向の両端には、図示しない軸受部材が設けられる。定着ローラー61および加圧ローラー62は、これらの軸受部材によって回転自在に支持されている。
加圧ローラー62には、バネなどを用いた図示しない加圧機構がさらに設けられる。加圧ローラー62は、定着ローラー61に対して所定の力で圧接するように、定着ローラー61が設けられている方向に付勢されている。定着ローラー61および加圧ローラー62の間には、圧接ニップ部が形成される。
加圧ローラー62は、図示しない駆動機構によって、所定の周速度で回転駆動される。定着ローラー61は、加圧ローラー62からの圧接摩擦力を受けて従動回転する。定着ローラー61を回転駆動させて、加圧ローラー62を従動回転させてもよい。定着ローラー61および加圧ローラー62は、ヒータランプ63よびヒータランプ64をそれぞれ内蔵している。定着ローラー61および加圧ローラー62の各々の表面温度は、図示しない制御手段により、所望の温度に制御される。
(湿式画像形成装置100の動作)
画像形成部10(図1,図2)は、記録媒体90の記録面91上にトナー画像92を形成する。溶媒除去装置20の加熱部30は、記録面91上に転写されたトナー画像92を加熱する。加熱部30の加熱により、トナー画像92中に含まれるキャリア液の一部は揮発する。
図4は、トナー画像92中に含まれるキャリア液が揮発している様子を模式的に示す図である。便宜上のため、図4中では、溶媒回収機構40が用いられていない時の状態が図示されている。キャリア液が揮発することによって、トナー画像92の周囲にはキャリア液蒸気が発生する。トナー画像92の表面近傍に着目すると、この表面近傍には、高濃度のキャリア蒸気層93(高濃度蒸気層)が形成される。特に、低揮発性のキャリア液が用いられる場合には、気液界面に近いところのキャリア液蒸気の濃度が、その周辺に位置するキャリア液蒸気の濃度に比べて高くなる。
この状態で記録面91上のトナー画像92を加熱すると、トナー画像92の表面近傍には雰囲気との間で大きな温度勾配が形成されるため、より高濃度のキャリア蒸気層93が形成される。高濃度のキャリア蒸気層93は、トナー画像92の周囲を覆うように形成される。高濃度のキャリア蒸気層93がトナー画像92の周囲を覆うように形成された状態では、トナー画像92をさらに加熱したとしても、高濃度のキャリア蒸気層93の存在によって、記録面91上のトナー画像92中に残存しているキャリア液は揮発しにくい。
図5を参照して、本実施の形態においては、エンドレスベルト41の表面部41Pが、記録媒体90の記録面91に転写されたトナー画像92に近接した状態で移動する。表面部41Pは、記録面91およびトナー画像92に接触することなく、且つ、トナー画像92の表面近傍に形成された高濃度のキャリア蒸気層93内を通過する程度にトナー画像92に近づいた状態で移動する。エンドレスベルト41の表面部41Pと記録媒体90の記録面91との間の間隔をLとすると、間隔L(mm)は、たとえば0<L≦2.0となる条件を満足しているとよい。
エンドレスベルト41の表面部41Pとトナー画像92の表面との間で発生したキャリア液蒸気は、エンドレスベルト41の表面部41Pに接触することによって急速に冷却される。表面部41Pとの接触によってキャリア液蒸気は凝縮され、キャリア液蒸気は、液化されたキャリア液としてエンドレスベルト41の表面41Sに付着する。
エンドレスベルト41の表面部41Pに接触して凝縮したキャリア液蒸気は、キャリア液(凝縮液)となってエンドレスベルト41の表面41Sに付着した状態で、回収部48に向かって搬送される。キャリア液は、ブレード48aによって表面41Sから掻き取られ、回収タンク48bにて回収される。溶媒回収機構40により凝縮および回収されなかったキャリア液蒸気は、図示しない排気ダクトを通して吸引された後に凝縮器に送り込まれ、凝縮器にて液化処理されて回収される。
仮に、湿式画像形成装置100に溶媒回収機構40および冷却部50が設けられておらず、加熱部30のみを用いてトナー画像92からキャリア液を除去するとする。記録媒体90として普通紙が用いられる場合、記録面91上のトナー画像92中のキャリア液は紙中に浸透するため、記録面91上のトナー画像92の中に残存するキャリア液の量は少ない。したがって記録媒体90として普通紙が用いられる場合、加熱部30(非接触ヒーター)による加熱により、記録面91上のトナー画像92からキャリア液を容易に除去することができる。
一方、記録媒体90としては、PET等から作製された樹脂性フィルム、またはコーティングされた記録面を有する光沢紙などが用いられる場合もある。この場合、記録媒体90の記録面91は、非浸透性の性質を有しているため、記録面91上のトナー画像92中のキャリア液が記録媒体90中に浸透することは少ない。キャリア液のほとんどは記録面91上のトナー画像92中に残存し、これらを揮発させることは容易ではない。特に、低揮発性のキャリア液を使用した場合、トナー画像92中のキャリア液を揮発させることはより容易ではない。
キャリア液の揮発を促進させるために、非接触ヒーターによる加熱温度を上げたり、熱風装置などを用いて熱風を吹きかけたりすることが考えられる。しかしながら、記録媒体90として普通紙が用いられる場合には、高温の熱を受けると紙中の水分が蒸発し、収縮による変形が生じやすくなる。記録媒体90としてフィルムなどが用いられる場合には、高温の熱を受けると記録媒体90に熱の影響による変形が生じやすい。これらの変形が生じた場合、通紙不良が発生したり、画像の定着位置精度が低下したりする。
キャリア液の揮発を促進させるために、新鮮な熱風を用いることも考えられる。しかしながら、熱風の送風方向における上流側(直接風が吹きつけられる部分)ではキャリア液の揮発を促進させることができるものの、下流側の部分においては上流から搬送されてきたキャリア液蒸気が溜まりやすい。下流側の雰囲気中においてはキャリア液蒸気の濃度が低下しにくく、下流側ではキャリア液の十分な揮発を得ることが難しい。
さらに、キャリア液蒸気は、温度が低下すると液化する。熱風等を用いてキャリア液の揮発を促進させた場合、湿式画像形成装置を構成している筺体の壁面にまでキャリア液蒸気が到達し、キャリア液蒸気が壁面上において再凝縮してこれに付着してしまうことがあり得る。したがって、通風の方向も十分に考慮した上で装置を設計する必要があるため、熱風等を用いてキャリア液の揮発を促進させることは容易ではない。
熱風等を用いる以外に、スクイズと言う手法も考えられる。記録面上のトナー画像中に含まれるキャリア液は、そのトナー画像にスクイズ部材を接触させることにより回収される。しかしながらこの手法では、定着前のトナー画像にスクイズ部材が接触するため、スクイズ部材にトナーが付着したり、スクイズ部材によりトナー画像に乱れが発生しまうことがあり得る。
これらの懸念に対して本実施の形態の湿式画像形成装置100においては、エンドレスベルト41の表面部41Pが、記録媒体90の記録面91に転写されたトナー画像92に近接した状態で移動する。表面部41Pは、記録面91およびトナー画像92に接触することなく、且つ、トナー画像92の表面近傍に形成された高濃度のキャリア蒸気層93内を通過する程度にトナー画像92に近づいた状態で移動する。
エンドレスベルト41の表面部41Pとトナー画像92の表面との間で発生したキャリア液蒸気は、エンドレスベルト41の表面部41Pに接触することによって急速に冷却される。表面部41Pとの接触によってキャリア液蒸気は凝縮され、キャリア液蒸気は、液化されたキャリア液としてエンドレスベルト41の表面41Sに付着する。
高濃度のキャリア蒸気層93がトナー画像92の周囲を覆うように形成された場合であっても、表面部41Pとの接触によってそのキャリア液蒸気は凝縮される。記録媒体90上のトナー画像92から発生した高濃度のキャリア蒸気層93は次々とエンドレスベルト41の表面部41Pによって除去されるため、トナー画像92を加熱し続けることにより、記録面91上のトナー画像92中に残存しているキャリア液を継続的に揮発させることが可能となる。
したがって本実施の形態の溶媒除去装置20によれば、記録媒体90を変形させてしまうような熱量を記録媒体90に付与したり、スクイズ部材などをトナー画像に接触させたりしなくても、トナー画像92に近接した状態で移動するエンドレスベルト41の表面部41Pによってトナー画像中から除去するキャリア液の量を効果的に増加させることが可能となる。強い熱風をトナー画像92に吹きかけることもないため、湿式画像形成装置を構成している筺体の壁面にまでキャリア液が飛散することも抑制され、キャリア液が壁面上において再凝縮してこれに付着してしまうこともほとんどない。
溶媒回収機構40がキャリア液蒸気をより効果的に凝縮可能とするためには、エンドレスベルト41の周長を長くし、キャリア液蒸気がエンドレスベルト41に接触可能な面積(すなわち、エンドレスベルト41のうちのキャリア液蒸気を凝縮させることが可能な面積)を増加させるとよい。その他、エンドレスベルト41の周回速度を速くすることも有効である。記録媒体90が加熱部30により加熱されている時、記録媒体90がバタつくことなく搬送ローラー71,72の間を搬送できるように、記録媒体90の幅方向の両端をガイドする部材を別途設けてもよい。
本実施の形態では、エンドレスベルト41の表面41Sからそれに付着しているキャリア液を取り除く回収部48が用いられる。回収部48を用いる代わりに、エンドレスベルト41(表面部を構成する部位)は、表面部にて凝縮することによって液化したキャリア液を吸着可能な部材により形成されていてもよい。たとえば、エンドレスベルト41が、その材質としてシリコンゴム等を含んでいる場合、表面部(表面41S)に付着したキャリア液は、エンドレスベルト41の表面に吸着される。当該構成によっても、上記と同様の作用および効果を得ることができる。回収部48を用いる構成に加えて、この構成がさらに採用されてもよい。
[第1変形例]
図6は、実施の形態の第1変形例における溶媒除去装置20Aを示す図である。溶媒除去装置20Aにおいては、冷却部50(図3参照)の代わりに、冷却部50A(冷却部材)が用いられる。冷却部50Aは、中空のローラー形状を有し、エンドレスベルト41の表面41Sに当接するように配置されている。エンドレスベルト41の回転方向(矢印DR1)において、冷却部50Aは回収部48よりも下流側に位置している。冷却部50Aは、エンドレスベルト41に接触しながらエンドレスベルト41の移動に合わせて回転する。
冷却部50Aの内部には、冷却用のエアーが通される。図示しない凝縮器がキャリア液蒸気を凝縮させて処理する場合、冷却用のエアーとしては、この凝縮器からの排気を用いるとよい。当該排気は、凝縮処理を経ているためその温度が低い。冷却部50Aは、エンドレスベルト41の表面41Sの温度を下げる。エンドレスベルト41の表面41Sを冷却するための手段としては、上述の実施の形態における冷却部50と、本変形例における冷却部50Aとの双方が用いられてもよいし、これらのうちの一方のみが用いられてもよい。
[第2変形例]
図7は、実施の形態の第2変形例における溶媒除去装置20Bを示す図である。溶媒除去装置20Bにおいては、エンドレスベルト41が矢印DR2方向に回転する。回収部48は、エンドレスベルト41のうち、支持ローラー43と支持ローラー42との間に位置する部分に対向するように設けられる。回収部48は、表面部41Pよりも下流側であって冷却部50よりも上流側に位置している。当該構成によっても、上記の実施の形態と同様の作用および効果を得ることができる。
[実験例]
図8〜図14を参照して、上記の実施の形態に関して行なった複数の実験例について説明する。
(実験例S1〜S3)
図8および図9を参照して、実験例S1〜S3について説明する。これらの実験は、下記の設定条件の下で行なった。実験に用いた湿式画像形成装置は、上述の実施の形態と同様の構成を有するものを準備した。便宜上のため、溶媒除去装置20から回収部48は取り除した。
記録媒体90としては、25μmの厚さを有するPETフィルムを準備した。液体現像剤に対するトナー重量比(TC比)は30%とした。液体現像剤に含まれるキャリア液の種類は、実験例S1〜S3においては、エクソンモービル社製のIsoparL(Isoparは登録商標)とした。このIsoparLは、平均分子量が170であり、引火点が66℃である。なお、引火点とは、物質が揮発して空気と可燃性の混合物を作ることができる最低温度のことである。
エンドレスベルト41の周回速度(表面部41Pの移動速度)は、100mm/sec〜300mm/secとし、表面部41Pは、加熱部30により加熱されながら移動する記録媒体90と同じ方向に移動するものとした。加熱部30(非接触ヒーター31,32)による加熱温度は、200〜400℃とした。加熱後の記録媒体90の表面の温度は、実験例S1では50℃とし、実験例S2では60℃とし、実験例S3では80℃とした。定着部60のシステム速度は100mm/secとし、ローラー定着器の表面温度は150℃とした。
エンドレスベルト41を駆動装置によって周回移動させ、冷却部50および加熱部30を稼働させた。エンドレスベルト41のうち、記録媒体90に対向する直前の部分の温度を接触式熱電対を使用して監視し続けた。エンドレスベルト41の表面温度が安定するまで、エンドレスベルト41、冷却部50および加熱部30を連続して稼働した。エンドレスベルト41の表面温度が安定したとき、エンドレスベルト41の表面温度は25℃であった。
その後、画像形成部10により記録媒体90の記録面91上にベタ画像(トナー画像92)を形成した。記録媒体90に溶媒除去装置20の中を通過させた後、これらの装置を停止させた。上述の通り、本実験例で用いた溶媒除去装置20は、回収部48を有していない。この様にすることで、エンドレスベルト41の表面41S上にはキャリア液が付着したままの状態となり、この重量を回収量として測定することで、溶媒除去装置20によるキャリア液の回収能力を評価する事ができる。
具体的には、溶媒回収量を測定するに際しては、エンドレスベルト41の表面41S上の一定面積(10cm)を、旭化成せんい株式会社製のベンコット(登録商標)を用いて拭き取った。拭き取りの前後でのベンコット(登録商標)の重量を電子天秤で測り、重量の増加分に基づいて溶媒回収量を測定した。記録媒体90とエンドレスベルト41(表面部41P)と間の間隔Lを変更しながら上記の実験を繰り返し行ない、実験例S1〜S3における溶媒回収量を測定した。
図9は、間隔Lと溶媒回収量(g)との関係を示すグラフである。実験例S1(加熱後の記録媒体の表面温度は50℃)の条件下では、間隔Lが2mmより小さくなると、回収量が急峻に増加することがわかる。実験例S2(加熱後の記録媒体の表面温度は60℃)の条件下では、間隔Lが約2.4mmより小さくなると、回収量が急峻に増加することがわかる。実験例S3(加熱後の記録媒体の表面温度は80℃)の条件下では、間隔Lが4mmより小さくなると、回収量が急峻に増加することがわかる。
これらの実験結果から、加熱後の記録媒体の表面温度はより高い方が、回収量が増えることがわかる。記録媒体90とエンドレスベルト41(表面部41P)と間の間隔Lの値は、加熱部30による加熱温度に応じて異ならせる方が好ましいことがわかる。
(実験例T1,T2)
図8および図10を参照して、実験例T1,T2について説明する。これらの実験例は、次の点で実験例S1〜S3とは設定条件が異なる。液体現像剤に含まれるキャリア液の種類は、実験例T1,T2においては、出光興産株式会社製のIP2028とした。このIP2028は、平均分子量が210であり、引火点が86℃である。加熱後の記録媒体90の表面の温度は、実験例T1では80℃とし、実験例T2では100℃とした。その他の条件は、実験例S1〜S3と実験例T1,T2とで共通している。
図10は、間隔Lと溶媒回収量(g)との関係を示すグラフである。実験例T1(加熱後の記録媒体の表面温度は80℃)の条件下では、間隔Lが約1.6mmより小さくなると、回収量が急峻に増加することがわかる。実験例T2(加熱後の記録媒体の表面温度は100℃)の条件下では、間隔Lが約2.4mmより小さくなると、回収量が急峻に増加することがわかる。
これらの実験結果からも、加熱後の記録媒体の表面温度はより高い方が、回収量が増えることがわかる。記録媒体90とエンドレスベルト41(表面部41P)と間の間隔Lの値は、加熱後の記録媒体の表面温度に応じて異ならせる方が好ましいことがわかる。実験例S1〜S3,T1,T2の結果からは、記録媒体90とエンドレスベルト41(表面部41P)と間の間隔Lの値は、キャリア液の種類によっても異ならせる方が好ましいことがわかる。
(実験例E1〜E5)
図8を再び参照して、実験例E1〜E5について説明する。これらの実験例は、次の点で実験例S1〜S3,T1,T2とは設定条件が異なる。液体現像剤に含まれるキャリア液の種類は、実験例E1,E2,E3においては、株式会社MORESCO社製のP−40とし、実験例E4,E5においては、同社製のP−60とした。P−40は、平均分子量が230であり、引火点が142℃である。P−60は、平均分子量が300であり、引火点が176℃である。
加熱後の記録媒体の表面温度は、実験例E1では90℃とし、実験例E2では100℃とし、実験例E3では120℃とし、実験例E4では120℃とし、実験例E5では140℃とした。その他の条件は、実験例E1〜E5と上記の実験例S1〜S3,T1,T2とで共通している。
実験例E1〜E5および上記の実験例S1〜S3,T1,T2の結果に基づいて間隔Lと回収量との関係を解析した結果、加熱後の記録媒体の表面温度はより高い方が回収量が増えることがわかった。同一の回収量を得ようとした場合、平均分子量が低く且つ揮発し易いキャリア液を用いる方が、間隔Lを長くすることができることがわかった。
さらに、記録媒体90の記録面91と表面部41Pの間の間隔をL(mm)とし、キャリア液の平均分子量をMとし、記録面91の表面温度をTm(℃)とした場合には、概ね0.1<L<2×(Tm−20)×exp(−0.02×M)となる条件を満足していることが好ましいことがわかった。この不等式で表される条件の中のキャリア液の平均分子量Mとは、たとえばGC−MS法(ガスクロマトグラフィー質量分析法)を使用して、下記(1),(2)の下で算出される値である。
(1)GC(ガスクロマトグラフ)の条件
キャピラリガスクロマトグラフ HP−6890(Hewlett Packard製)
注入部温度:300℃
注入法:スプリットレスモード
試料:原液(100%)
試料注入量:0.1μL
キャリヤガス:ヘリウム(1ml/min)
インターフェース温度:300℃
(2)MS(質量分析)の条件
装置:飛行時間型質量分析装置(Micromass Ltd.製)
イオン化:電場イオン化法(引き出し電圧:12kV)
質量範囲:m/z10〜300
イオン検出:Multi Channel Plate
すなわち、間隔L(mm)が2×(Tm−20)×exp(−0.02×M)で示される値よりも小さいと、キャリア液の十分な回収量(除去量)が期待できる。間隔L(mm)が0.1(mm)よりも大きいと、トナー画像に乱れ等が発生することを十分に抑制できる。
図11の横軸は、上記の各実験例S1〜S3,T1,T2,E1〜E5の実験結果から得られた間隔L(mm)の値を示すものである。図11の中で示されている菱形形状の複数のプロットは、上記の各実験例S1〜S3,T1,T2,E1〜E5におけるそれぞれの実験条件をL=2×(Tm−20)×exp(−0.02×M)の計算式に代入して得られた値を、図11の縦軸に沿ってプロットしたものである。図11中の近似直線LNは、これら複数のプロットを直線で近似したものを示している。
近似直線LNに示されるように、間隔Lは、キャリア液の平均分子量Mと記録面91の表面温度Tm(℃)とに基づいて概ね線形に変化することがわかる。したがって、間隔Lの値の好ましい最大値は、キャリア液の平均分子量Mと記録面91の表面温度Tm(℃)とを上記の式L=2×(Tm−20)×exp(−0.02×M)に代入することによって推定可能であることがわかる。
上述の通り、上記の各実験例S1〜S3,T1,T2,E1〜E5で使用したキャリア液は、図8に示す揮発性(引火点)の異なる4種類のものを含んでいる。これらの4種類のキャリア液は、揮発性という観点からは、湿式電子写真技術で一般的に使用されるキャリア液の引火点のおおよその上下限を含むものと言える。すなわち、たとえばIsoparL(Isoparは登録商標)(引火点66℃)よりも高い揮発性を有するキャリア液を用いた場合、画像形成プロセス中において液体現像剤中の固形成分の濃度が変動しやすくなり、液体現像剤のTC比を安定させることが難しくなる。一方、P−60(引火点176℃)よりも低い揮発性を有するキャリア液を用いた場合、定着時に多くのエネルギーが必要となったり、紙中に残存するキャリア液を乾燥させることが難しくなったりする。
したがって、一般的なキャリア液を含有する液体現像剤を用いる湿式画像形成装置においては、記録媒体90の記録面91と表面部41Pの間の間隔をL(mm)とし、キャリア液の平均分子量をMとし、記録面91の表面温度をTm(℃)とした場合には、概ね0.1<L<2×(Tm−20)×exp(−0.02×M)となる条件を満足していることが好ましいと言える。ただし、ここで述べていることは、例示に基づく好ましい態様の一つを説明しているものであり、IsoparL(Isoparは登録商標)よりも高い揮発性を有するキャリア液を用いる場合であっても、P−60よりも低い揮発性を有するキャリア液を用いる場合であっても、その構成が本発明の技術的範囲に含まれないことを意味するものではない。すなわち、ここで述べていることは、IsoparL(Isoparは登録商標)よりも高い揮発性を有するキャリア液を用いる場合、およびP−60よりも低い揮発性を有するキャリア液を用いる場合を、本発明の技術的範囲から積極的に除外するものではない。
(実験例Q1〜Q3)
図12を参照して、実験例Q1〜Q3について説明する。実験例Q1〜Q3においては、エンドレスベルト41の周回速度(表面部41Pの移動速度)と回収量との関係について検討した。実験例Q1においては、表面部41Pの移動速度を100mm/secとした。実験例Q2においては、表面部41Pの移動速度を200mm/secとした。実験例Q3においては、表面部41Pの移動速度を300mm/secとした。実験例Q1〜Q3のその他の条件は、実験例S1,S2と同様なものである。
溶媒回収量を測定するに際しては、トナー画像92のうちの同面積を有する部分からの揮発量(回収量)同士を対比するために、表面部41Pの移動速度に応じて実験例Q1〜Q3毎にベンコット(登録商標)によるキャリア液の採取面積を異ならせた。実験例Q1(100mm/sec)においては、エンドレスベルト41の表面41S上のうちの10cmの部分を拭き取った。実験例Q2(200mm/sec)においては、エンドレスベルト41の表面41S上のうちの20cmの部分を拭き取った。実験例Q3(300mm/sec)においては、エンドレスベルト41の表面41S上のうちの30cmの部分を拭き取った。
図12は、実験例Q1〜Q3のそれぞれの場合における間隔Lと回収量との関係を示している。図12に示されるように、表面部41Pの移動速度を速くすることにより、キャリア液の回収量は増加することがわかる。実験例Q1〜Q3のいずれの場合においても、間隔Lが2mmよりも小さくなると回収量が増加し始め、間隔Lが約1.6mmよりも小さくなると回収量が急峻に増加することがわかる。
(実験例R1,R2)
図13を参照して、実験例R1,R2について説明する。実験例R1,R2においては、エンドレスベルト41の表面部41Pの温度と回収量との関係について検討した。エンドレスベルト41の周回速度(表面部41Pの移動速度)は、100mm/secとし、エンドレスベルト41の表面部41P(表面41S)を冷却するためには、冷却部50(図3参照)および冷却部50A(図6参照)の双方を用いた。
エンドレスベルト41を駆動装置によって周回移動させ、冷却部50,50Aおよび加熱部30を稼働させた。エンドレスベルト41のうち、記録媒体90に対向する直前の部分の温度を接触式熱電対を使用して監視し続けた。エンドレスベルト41の表面温度が安定するまで、エンドレスベルト41、冷却部50,50Aおよび加熱部30を連続して稼働した。実験例R1においては、エンドレスベルト41の表面温度が安定したとき、その表面温度は15℃であった。実験例R2においては、エンドレスベルト41の表面温度が安定したとき、その表面温度は25℃であった。実験例R1,R2のその他の条件は、_実験例S1,S2と同様なものである。
図13は、実験例R1,R2のそれぞれの場合における間隔Lと回収量との関係を示している。図13に示されるように、表面部41Pの温度を低くすることにより、キャリア液の回収量は増加することがわかる。実験例R1,R2のいずれの場合においても、間隔Lが約1.6mmよりも小さくなると回収量が急峻に増加することがわかる。
実験例Q1〜Q3,R1,R2の結果によれば、表面部41Pの移動速度および温度は、回収量に影響する因子であることがわかる。表面部41Pの移動速度を変更したとしても、表面部41Pの温度を変更したとしても、回収量が急峻に増加する時の間隔Lの値はほとんど変わらないことがわかる。
(実験例A1,A2,A3)
図14を参照して、実験例A1,A2,A3について説明する。実験例A1,A2,A3においては、液体現像剤に含まれるキャリア液の種類は、株式会社MORESCO社製のP−60とした。画像形成部10により、記録媒体90の記録面91上にベタ画像(トナー画像92)を形成した。
実験例A1においては、加熱部30および溶媒除去装置20の双方を稼働させた。実験例A1においては、加熱後の記録媒体の表面温度は120℃とし、記録媒体90とエンドレスベルト41(表面部41P)と間の間隔Lは0.3mmとした。エンドレスベルト41の表面部41Pの温度は25℃(室温)とした。溶媒除去装置20を通過させた後の定着前のトナー画像の状態(TC比)と、定着ローラーにより記録媒体90上に実際に定着されたトナー画像(出力画像)の品質とを確認した。
実験例A2においては、溶媒除去装置20を搭載していないものを用い、加熱部30も稼働させなかった。定着前のトナー画像の状態(TC比)と、定着ローラーにより記録媒体90上に実際に定着されたトナー画像(出力画像)の品質とを確認した。
実験例A3においては、溶媒除去装置20を搭載していないものを用いたが、加熱部30を稼働させた。加熱後の記録媒体の表面温度は120℃とした。定着前のトナー画像の状態(TC比)と、定着ローラーにより記録媒体90上に実際に定着されたトナー画像(出力画像)の品質とを確認した。実験例A1,A2,A3のその他の条件は、実験例S1,S2と同様なものである。
実験例A1,A2,A3のいずれにおいても、画像形成部10により記録媒体90上にベタ画像を形成した時点(2次転写の直後の時点)でのトナー画像92のTC比は、50%であった。一方、実験例A1においては、溶媒除去装置20を通過させた後の定着前のトナー画像のTC比は80%であった。定着後の出力画像に画像乱れは発生しておらず、品質の評価はAとした。実験例A2においては、定着前のトナー画像のTC比は50%であり、定着後の出力画像には画像乱れが発生し、品質の評価はBとした。実験例A3においては、定着前のトナー画像のTC比は53%であり、定着後の出力画像には画像乱れが発生し、品質の評価はBとした。
実験例A1の結果から、キャリア液として低揮発性を有するP−60を用いる場合であっても、エンドレスベルト41の表面部41Pをトナー画像に近接した状態で移動させることによって、トナー画像中からキャリア液を効果的に除去できることがわかる。トナー画像92が定着部60で加圧される前にキャリア液の量が低減されているため、定着時にキャリア液が流れることおよびトナーが流れることが抑制され、結果として出力画像が乱れることも抑制されたものと考えられる。
一方、実験例A2の結果から、2次転写後から定着の前までにトナー画像92に対して加熱等を行わない場合には、TC比に変化はほとんど生じないことがわかる。実験例A3の結果から、加熱部30による加熱のみでは、記録面91上のトナー画像92中に残存しているキャリア液を揮発させることは難しいことがわかる。これは、トナー画像92を覆うように高濃度のキャリア蒸気層が形成されていることが一因となっているものと考えられる。トナー画像92が定着部60で加圧される際、トナー画像中には十分に量が低減されていないキャリア液が含まれているため、キャリア液が流れたりトナーが流れたりすることにより、出力画像に乱れが発生したものと考えられる。
(実験例B1,B2,B3,B4)
図14を引続き参照して、実験例B1,B2,B3,B4について説明する。実験例B1,B2,B3,B4においては、液体現像剤に含まれるキャリア液の種類は、出光興産株式会社製のIP2028とした。画像形成部10により、記録媒体90の記録面91上にベタ画像(トナー画像92)を形成した。実験例B1,B2,B3,B4のいずれにおいても、加熱部30および溶媒除去装置20の双方を稼働させ、エンドレスベルト41の表面部41Pの温度は25℃(室温)とした。
実験例B1においては、加熱後の記録媒体の表面温度は、100℃とした。記録媒体90とエンドレスベルト41(表面部41P)と間の間隔Lは、2.0mmとした。実験例B1の構成に係る各パラメーターをL=2×(Tm−20)×exp(−0.02×M)の式に代入したとき、これにより得られる間隔Lの計算値は、2.4mmとなる。実験例B1の実施に係る間隔L(2.0mm)は、この計算値としての間隔Lよりも小さい。この計算値については、図14中において括弧を付して記載している。実験例B1のその他の条件は、実験例S1,S2と同様なものである。定着ローラーにより記録媒体90上に実際に定着されたトナー画像(出力画像)の品質を確認したところ、出力画像の品質としては上記の実施例A3のものより良好であったため、品質の評価はAとした。
実験例B2においては、加熱後の記録媒体の表面温度は、80℃とした。記録媒体90とエンドレスベルト41(表面部41P)と間の間隔Lは、1.1mmとした。実験例B2の構成に係る各パラメーターをL=2×(Tm−20)×exp(−0.02×M)の式に代入したとき、これにより得られる間隔Lの計算値は、1.8mmとなる。実験例B2の実施に係る間隔L(1.1mm)は、この計算値としての間隔Lよりも小さい。この計算値については、図14中において括弧を付して記載している。実験例B2のその他の条件は、実験例S1,S2と同様なものである。定着ローラーにより記録媒体90上に実際に定着されたトナー画像(出力画像)の品質を確認したところ、出力画像の品質としては上記の実施例A3のものより良好であったため、品質の評価はAとした。
実験例B3においては、加熱後の記録媒体の表面温度は、100℃とした。記録媒体90とエンドレスベルト41(表面部41P)と間の間隔Lは、3.0mmとした。実験例B3の構成に係る各パラメーターをL=2×(Tm−20)×exp(−0.02×M)の式に代入したとき、これにより得られる間隔Lの計算値は、2.4mmとなる。実験例B3の実施に係る間隔L(3.0mm)は、この計算値としての間隔Lよりも大きい。この計算値については、図14中において括弧を付して記載している。実験例B3のその他の条件は、実験例S1,S2と同様なものである。定着ローラーにより記録媒体90上に実際に定着されたトナー画像(出力画像)の品質を確認した。出力画像の品質としては、上記の実施例A3のものと同等であったため、品質の評価はBとした。
実験例B4においては、加熱後の記録媒体の表面温度は、80℃とした。記録媒体90とエンドレスベルト41(表面部41P)と間の間隔Lは、2.5mmとした。実験例B4の構成に係る各パラメーターをL=2×(Tm−20)×exp(−0.02×M)の式に代入したとき、これにより得られる間隔Lの計算値は、1.8mmとなる。実験例B4の実施に係る間隔L(2.5mm)は、この計算値としての間隔Lよりも大きい。この計算値については、図14中において括弧を付して記載している。実験例B4のその他の条件は、実験例S1,S2と同様なものである。定着ローラーにより記録媒体90上に実際に定着されたトナー画像(出力画像)の品質を確認した。出力画像の品質としては、上記の実施例A3のものと同等であったため、品質の評価はBとした。
実験例B1,B2,B3,B4の結果によれば、間隔L(mm)が2×(Tm−20)×exp(−0.02×M)で示される値よりも小さいと、キャリア液の十分な回収量(除去量)が期待できることがわかる。
以上、本発明に基づいた実施の形態、各変形例、および各実験例について説明したが、今回開示された実施の形態、各変形例、および各実験例はすべての点で例示であって制限的なものではない。本発明の技術的範囲は特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
10 画像形成部、11 感光体ドラム、12 中間転写ローラー、13,18 クリーニング装置、14 帯電装置、15 露光装置、16 液体現像装置、17 次転写ローラー、20,20A,20B 溶媒除去装置、30 加熱部、31,32 非接触ヒーター、33 断熱カバー、40 溶媒回収機構、41 エンドレスベルト、41P 表面部、41S 表面、42,43,44,45 支持ローラー、46,47 押えローラー(振動抑制部材)、48 回収部、48a ブレード、48b 回収タンク、50 冷却部、50A 冷却部(冷却部材)、51 ファン、52 カバー、60 定着部、61 定着ローラー、62 加圧ローラー、63,64 ヒータランプ、65,66 ケース、71,72 搬送ローラー、90 記録媒体、91 記録面、92 トナー画像、93 キャリア蒸気層、100 湿式画像形成装置、AR90,DR1,DR2 矢印、L 間隔。

Claims (10)

  1. 記録媒体の記録面に転写されたトナー画像に含まれるキャリア液を揮発させて前記記録媒体から除去する溶媒除去装置であって、
    搬送経路に沿って搬送される前記記録媒体を加熱する加熱部と、
    前記記録面に転写された前記トナー画像に間隔を空けて対向し、温度が前記記録媒体の前記記録面の表面温度よりも低い表面部を有し、当該表面部が、前記記録面に転写された前記トナー画像に近接した状態で移動する溶媒回収機構と、を備え、
    前記溶媒回収機構は、前記加熱部の加熱によって揮発したキャリア液蒸気に前記表面部を接触させ、前記表面部上で凝縮したキャリア液を回収する、
    溶媒除去装置。
  2. 前記表面部を冷却し、前記表面部の温度を前記記録媒体の前記記録面の表面温度よりも低い値にする冷却部をさらに備える、
    請求項1に記載の溶媒除去装置。
  3. 前記記録面と前記表面部との間の間隔をL(mm)とすると、0<L≦2.0となる条件を満足している、
    請求項1または2に記載の溶媒除去装置。
  4. 前記記録面と前記表面部との間の間隔をL(mm)とし、
    前記キャリア液の平均分子量をMとし、
    前記記録面の表面温度をTm(℃)とすると、
    0.1<L<2×(Tm−20)×exp(−0.02×M)となる条件を満足している、
    請求項1または2に記載の溶媒除去装置。
  5. 前記溶媒回収機構は、エンドレスベルトを含み、
    前記エンドレスベルトの表面が、前記表面部を構成している、
    請求項1から4のいずれか1項に記載の溶媒除去装置。
  6. 前記加熱部は、前記表面部に対向するように配置される、
    請求項1から5のいずれか1項に記載の溶媒除去装置。
  7. 前記溶媒回収機構は、前記表面部上で凝縮したキャリア液を前記表面部から除去して回収する回収部をさらに含む、
    請求項1から6のいずれか1項に記載の溶媒除去装置。
  8. 前記冷却部は、前記表面部に接触しないでこれを冷却するファン、および/または、前記表面部に接触し前記表面部の移動に合わせて回転しながらこれを冷却する冷却部材を含む、
    請求項2に記載の溶媒除去装置。
  9. 前記溶媒回収機構は、前記表面部に接触するように配置された振動抑制部材をさらに含み、
    前記振動抑制部材は、前記表面部の移動に合わせて回転し、前記表面部が移動している時に前記表面部が振動することを抑制する、
    請求項1から8のいずれか1項に記載の溶媒除去装置。
  10. 液体現像剤を用いて記録媒体の記録面にトナー画像を形成する画像形成部と、
    請求項1から9のいずれか1項に記載の溶媒除去装置と、
    前記トナー画像を前記記録媒体上に定着させる定着部と、を備える、
    湿式画像形成装置。
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