JP2012108287A - 湿式画像形成装置 - Google Patents

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Toshiya Natsuhara
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Abstract

【課題】オフセットの発生を抑制することが可能な湿式画像形成装置を提供することを目的とする。
【解決手段】定着装置を構成する定着ローラ20と加圧ローラ21の前段に、記録用紙の前面を密着させる密着手段と、記録用紙と密着手段との界面にキャリア液を蓄積させるようにする溶媒調節手段とを設ける。加熱ローラ11を設け、加熱ローラ11は、下ベルト12に接触して配置され、加熱ローラ11の熱を下ベルト12に伝達している。下ベルト12を懸架して回転駆動するためのローラと、上ベルト13を懸架して回転駆動するためのローラとが設けられる。記録用紙9が上下ベルト12,13の間に搬送された時に密着させるために、ローラ18が上ベルト13を記録用紙9の表面の位置まで押し下げるように設けられている。上ベルト13を冷却する冷却部材22が設けられる。
【選択図】図2

Description

本発明は、複写機、プリンタ、ファクシミリなどの電子写真方式の画像形成装置に関し、液体現像剤を用いてトナー像を形成する湿式画像形成装置に関する。
電子写真方式の画像形成装置においては、現像装置を用いて像担持体である感光体上に静電潜像がトナーにより現像される。そして、例えば、感光体上に現像された静電潜像が記録用紙に転写されて画像が形成されることになる。このような画像形成装置の転写プロセスでは、一般に静電転写方式が採用されている。
トナー像を被転写体である用紙に転写する場合は、感光体に対向するように配置された用紙の裏面から転写ローラ等により電圧を印加し、感光体と記録用紙との間に電界を形成してこの電界によりトナー像を記録用紙に静電吸着させている。
そして、その後、定着装置により加熱定着することにより転写されたトナー像を記録用紙に定着させている。
一方で、近年、大量プリント用のオフィスプリンタやオンデマンド印刷装置などの、より高画質及び高解像度が要求される画像形成装置では、トナー粒子径が小さく、トナー画像の乱れが生じにくい液体現像剤を用いた湿式現像装置が知られている。当該液体現像剤は、パラフィン系溶媒等のキャリア液にトナーを分散させたものが用いられており、現像や転写工程においては、電界による泳動でトナーを移動させ記録用紙に画像を転写させている。
キャリア液は、トナーの移動に重要な役割を果たしているが、定着工程においては、トナー単体のときよりも熱容量が増加するため高い温度に設定する必要がある。
しかしながら、高い温度設定では、定着ローラと接触するトナー層がローラ表面に付着するオフセットが生じやすく、定着性とオフセットとの両立が難しいという課題がある。
特開2003−98864号公報においては、定着前に、記録用紙を加熱し、トナー層中から染み出してきたキャリア液を接触部材で除去することにより、キャリア液を少なくして熱容量を小さくして温度を低く設定する技術が開示されている。
特開2003−98864号公報
しかしながら、オフセットは低い温度でも発生し、単にトナー層表面からキャリア液を除去した場合であってもオフセットを十分に抑制することはできない。
本発明は、上記のような問題を解決するためになされたものであって、オフセットの発生を抑制することが可能な湿式画像形成装置を提供することを目的とする。
本発明のある局面に従う湿式画像形成装置は、揮発性溶媒にトナーが分散された液体現像剤を用いる湿式画像形成装置であって、液体現像剤により現像された記録媒体について、定着前に、記録媒体の表面側から揮発性溶媒が揮発しないように記録媒体の前面を密着させる密着手段と、定着前に、記録媒体に含まれる液体現像剤の揮発性溶媒を表面に移動させて記録媒体と密着手段との界面に揮発性溶媒を蓄積させるようにする溶媒調節手段とを備える。
好ましくは、溶媒調節手段は、記録媒体の裏面側を加熱する加熱部材を含む。
特に、密着手段を冷却する冷却手段を含む。
好ましくは、溶媒調節手段は、記録媒体の裏面側から押圧する圧接部材を含む。
好ましくは、密着手段よりも前に記録媒体を加熱する予備加熱手段をさらに備える。
本発明に従う湿式画像形成装置は、記録媒体の表面側から揮発性溶媒が揮発しないように記録媒体の前面を密着させて、定着前に、記録媒体に含まれる液体現像剤の揮発性溶媒を表面に移動させて記録媒体と密着手段との界面に揮発性溶媒を蓄積させるようにすることにより、定着前に記録媒体のキャリア液の分布状態を変化させて記録媒体の表面のキャリア液を増加させてオフセットの発生を抑制する。
本発明の実施の形態1に従う湿式画像形成装置の全体構成の一部について説明する図である。 本発明の実施の形態1に従う定着装置等の構成について説明する図である。 本発明の実施の形態1に従う冷却部材22の構成を説明する図である。 本発明の実施の形態1に従う予備加熱部材19を説明する図である。 本発明の実施の形態2に従う定着装置等の構成について説明する図である。 比較例となる定着装置等の構成について説明する図である。 実施の形態1の構成と比較例の構成とにおいて予備加熱を実行しない場合の実験結果を説明する図である。 実施の形態1の構成と比較例の構成とにおいて予備加熱を実行する場合の実験結果を説明する図である。 実施の形態2の構成と比較例の構成とにおいて予備加熱した場合の実験結果を説明する図である。
以下に図面を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明する。以下の説明においては同一の部品および構成要素には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同一であるものとする。
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1に従う湿式画像形成装置の全体構成の一部について説明する図である。
図1を参照して、本発明の実施の形態1に従う湿式画像形成装置には、ドラム状の像担持体である感光体1が設けられ、感光体1の周辺には矢印Aで示す回転方向の順に現像装置4、中間転写体5、感光体1に残留したキャリア液を除去するためのクリーニング部材であるクリーニング装置8、帯電装置2および露光装置3がそれぞれ配設される。
現像装置4は、現像ローラ等の部材が設けられ、液体現像剤を感光体1の静電潜像に供給して画像部を現像する。なお、本例においては、1つの現像装置が示されているがカラー画像を形成する場合には、複数のトナー色が異なる現像装置を設けるようにしても良い。
感光体1の表面は、帯電装置2により所定の表面電位に一様に帯電される。そして、その後、露光装置3により感光体1の表面に光を照射し、照射領域内の帯電レベルを低下させて、感光体1の表面に静電潜像を形成する。
次いで、感光体1上の静電潜像は、上述したように現像ローラによりトナーおよびキャリア液を含む液体現像剤で現像され、感光体1の表面にトナー像が形成される。このとき、トナーだけでなくキャリア液も感光体1の表面に付着する。
具体的には、現像のプロセスにおいては、現像装置4の現像ローラに電源(不図示)からトナーと同極性の現像バイアス電圧が印加される。同じくトナーと同極性の感光体1上の静電潜像の電位とのバランスで電界の大小差が形成され、静電潜像に従って液体現像剤中のトナーが感光体1に静電吸着され、感光体1上に静電潜像が現像される。
次に、中間転写体5は感光体1と対向するように配置され矢印Bで示す回転方向に回転する。感光体1上に形成されたトナー像は、中間転写体5とのニップ領域(1次転写位置)に移動し、当該転写位置において中間転写体5に転写される。
具体的には、一次転写プロセスにおいては、中間転写体5に電源(不図示)からトナーと逆極性の転写バイアス電圧が印加される。これにより、一次転写位置における中間転写体5と感光体1との間に電界が形成され、感光体1上のトナー像が中間転写体5に静電吸着され、中間転写体5に転写される。なお、トナー像が中間転写体5に転写されると、クリーニング装置8が感光体1上の残存トナーを除去し、次の画像形成を実行することが可能となる。
次に、中間転写体5と転写ローラ7とは記録用紙を挟んで対向するように配置されており、記録用紙を介して接触回転する。そして、中間転写体5に転写されたトナー像は、搬送方向Cから搬送された記録用紙に対して転写ローラ7とのニップ領域(2次転写位置)で転写される。記録用紙は、二次転写のタイミングに合わせて二次転写位置へ矢印Cの方向へ搬送される。
具体的には、二次転写プロセスにおいては、転写ローラ7に電源(不図示)からトナーと逆極性の転写バイアス電圧が印加される。これにより、中間転写体5と転写ローラ7との間に電界が形成されて、中間転写体5と転写ローラ7との間を通過させた記録用紙上へ中間転写体5上のトナー像を記録用紙に静電吸着させる。これにより記録用紙上にトナー像が形成される。
なお、トナー像が記録用紙に転写されると、クリーニング装置8が中間転写体5上の残存トナーを除去する。
そして、トナー像が転写された記録用紙9は、後述する定着装置へと搬送される。
なお、カラー現像の方式、中間転写体の有無等については、他の方式を採用することも可能であり、特に当該構成に限定されない。
各ローラ等は、円柱状であり、本例では、その断面部分が示されている。
なお、クリーニング装置8のクリーニングブレードは、ゴム体であっても剛体であっても良い。ゴム体は、ウレタンゴムや、NBRゴム、フッ素ゴムなどが挙げられる。剛体の場合には、ポリプロピレン、ABS、ポリカーボネート等の樹脂類や、アルミ、アルマイト、SUS、真鍮などの金属類が挙げられる。
なお、クリーニングブレードを用いて残留したキャリア液を除去する構成について説明しているが、ウェブロール状の紙,布等を感光体に圧接し、巻き取り移動させながら残留したキャリア液を除去するいわゆるウェブクリーニングを採用することも可能である。また、バイアスを印加してトナーを引き付けるようにしてもよい。
液体現像剤は、キャリア液である絶縁性液体と、静電潜像を現像するトナーと、トナーを分散させる分散剤とを主要成分としている。
キャリア液としては、一般に電子写真用液体現像剤に用いるものであれば特に制限することなく使用することができるが、例えば、キャリア液として、パラフィン系のモレスコホワイト(P−40,P−70,P−120)(松村石油研究所)を挙げることができる。また、シリコンオイル、ミネラルオイルを用いることも可能である。
トナー粒子は、主として、樹脂と着色のための顔料や染料からなる。樹脂には、顔料や染料を樹脂中に均一に分散させる機能と、記録用紙に定着させる際のバインダとしての機能がある。
トナー粒子としては、一般に電子写真用液体現像剤に用いるものであれば、特に制限することなく使用することができる。トナー用結着樹脂としては、たとえばポリスチレン樹脂、スチレンアクリル樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリウレタン樹脂等の熱可塑性樹脂を用いることができる。またこれらの樹脂を複数、混合して用いることも可能である。
また、トナーの着色に用いられる顔料および染料も一般に市販されているものを用いることができる。たとえば、顔料としては、カーボンブラック、ベンガラ、酸化チタン、シリカ、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、スカイブルー、ベンジジンイエロー、レーキレッドD等を用いることができる。染料としてはソルベントレッド27やアシッドブルー9等を用いることができる。
液体現像剤の調製方法としては、一般に用いられる技法に基づいて調製することができる。たとえば、結着剤樹脂と顔料とを所定の配合比で、加圧ニーダ、ローラミルなどを用いて溶融混練して均一に分散させ、得られた分散体をたとえばジェットミルによって微粉砕する。得られた微粉末をたとえば風力分級機などにより分級することで、所望の粒径の着色トナーを得ることができる。そして、得られたトナー粒子をキャリア液としての絶縁性液体と所定の配合比で混合する。この混合物をボールミル等の分散手段により均一に分散させ、液体現像剤を得ることができる。
トナーの平均粒径は、湿式画像形成方式を採用しているため、0.1μm〜5μmとすることが可能である。0.1μm未満では現像性が大きく低下し、5μmより大きい粒径では画像品位が低下するため、0.1〜5μmに設定することが望ましい。
液体現像剤の質量に対するトナー粒子の質量の割合は、10〜50%程度が適当である。
10%未満の場合、トナー粒子に沈降が生じやすく、長期保管時の経時的な安定性に問題があり、また、必要な画像濃度を得るため、多量の液体現像剤を供給する必要があり、記録用紙に付着するキャリア液が増加し、定着時に乾燥させた際の蒸気の処理が問題となる可能性がある。一方で、50%を超える場合には、液体現像剤の粘度が高くなりすぎ、製造上も取り扱いが困難になる可能性がある。
液体現像剤の粘度は、25℃において、0.1mPa・s以上、10000mPa・s以下が望ましい。10000mPa・sより大きくなると液体現像剤の攪拌や送液等の取り扱いが困難となり、均一な液体現像剤を供給する装置の負担が大きくなる可能性がある。
次に、本発明の実施の形態1に従う定着装置等の構成について説明する。
図2は、本発明の実施の形態1に従う定着装置等の構成について説明する図である。
図2を参照して、定着装置を構成する定着ローラ20と加圧ローラ21の前段に、記録用紙の前面を密着させる密着手段と、記録用紙と密着手段との界面にキャリア液を蓄積させるようにする溶媒調節手段とを設ける。
具体的には、加熱ローラ11を設け、厚み2mmのアルミニウム(AL)ローラ表面にシリコンゴム(2mm)を形成したものを用いる。内部には加熱用ヒータを内蔵している。
加熱ローラ11は、下ベルト12に接触して配置され、加熱ローラ11の熱を下ベルト12に伝達している。下ベルト12、上ベルト13は、共に電気鋳造円筒状ニッケルベルト基体の表面にFPAフッ素樹脂の離型層を形成したもので、厚さは30乃至40μmのものを用いている。
下ベルト12を懸架して回転駆動するためのローラ16,17と、上ベルト13を懸架して回転駆動するためのローラ14、15とが設けられる。当該ローラ14〜17は、アルミ製の厚み2mmの中空ローラを用いることとする。上ベルト13、下ベルト12は搬送されてくる記録用紙9を挟んで定着装置の定着ローラ20へ搬送する方向に駆動する。
ローラ14〜18の周速度は全て等しく、搬送されてくる記録用紙9の速度と同じである。ローラ16とローラ14とは離間しており、加熱ローラ11の熱が、下ベルト12を介して上ベルト13に伝わるのを抑制している。記録用紙9が上下ベルト12,13の間に搬送された時に密着させるために、ローラ18が上ベルト13を記録用紙9の表面の位置まで押し下げるように設けられている。このようにして、トナー層が転写された記録用紙9は上下ベルト12,13に挟まれて密着した状態で定着ローラ20まで搬送される。
また、上ベルト13を冷却する冷却部材22が設けられる。冷却部材22は、上ベルト13がローラ15を通過した後のベルト裏側に設置されている。加熱ローラ11は下ベルト12を加熱して、下ベルト12に接触する記録用紙9の裏面を加熱する。この時に直接した下ベルト12と上ベルト13が接触していない場合であっても記録用紙を経由して上ベルト13にも熱が伝わるためこの熱を冷却するために冷却部材22が設けられている。
図3は、本発明の実施の形態1に従う冷却部材22の構成を説明する図である。
図3を参照して、本発明の実施の形態1に従う冷却部材22は、ローラ23と、ファン24とを設けた構成である。
ローラ23は水を含浸させたウレタンスポンジローラであり、上ベルト13の裏面に接触して従動で回転するように設置されている。一例として、本例においては、ウレタンスポンジローラを用いた例について説明したが、水を含浸し対向部材に供給可能であれば、ウレタンに限られず他の材料でもかまわない。また、ローラ23に含浸させる水は、図示していないが不足すれば供給されるように設けられている。
ローラ23の下流にはファン24を設置した。ファン24の回転に伴う空気流により上ベルト13の放熱を促進させるとともに、ローラ23により先に付着させた水を蒸発させる事で冷却させる機能を持たせている。このように、上ベルト13は下ベルト12からの熱で温度が上昇した場合であっても冷却することが可能である。なお、特に冷却部材22を設けた構成について説明したが、冷却部材22を設けなくても自然放熱により冷却可能であれば設けない構成とすることも可能である。また、冷却の方式は種々の方式を採用することが可能であり、当該構成に限られない。
ここで、オフセットを抑制する本実施の形態に従う方式について説明する。
オフセットの発生温度は、トナー層表面のキャリア液に依存し、オフセットを防ぐためにはある程度のキャリア液量の維持が必要である。2次転写において、記録用紙にトナー像を転写した際、キャリア液は紙へ浸透するとともにトナー層中を満たしているが、定着直前には、トナー層表面のキャリア液がかなり揮発した状態となっている。すなわち、紙に浸透したキャリア液量は変わらないが、表面に向かうほどキャリア液が少なくなる分布状態となっている。
上記の構成により、本発明の実施の形態1に従う方式では、下ベルト12が加熱され、これに接触する記録用紙9は裏面から加熱される。
裏面からの加熱により記録用紙9に浸透しているキャリア液は、揮発が促進され、紙の表面へと移動することになるが、上ベルト13が記録用紙9の表面に密着してキャリア液を揮発させないように設けられている。
また、上ベルト13の温度が低く保たれているため、上ベルト13と記録用紙9の間のトナー層においてキャリア液が蓄積する。すなわち、上下ベルト12,13を通過する区間において、記録用紙9のトナー層中のキャリア液量がある程度維持されることになる。
本実施の形態1に従う方式においては、定着ローラ20に入る前に記録用紙9のキャリア液の分布状態を変化させて記録用紙の表面のキャリア液を増加させてオフセットの発生を抑制する。
なお、上記の構成に加えて、記録用紙9に2次転写した後に、予備加熱部材19を設置してもよい。
これにより、ある程度のキャリア液が揮発するので、定着性を向上させることが可能である。
図4は、本発明の実施の形態1に従う予備加熱部材19を説明する図である。
図4を参照して、本発明の実施の形態1では非接触加熱方式を用いた。具体的には、ヒータ26とこれを覆う断熱カバー25とが設けられている場合が示されている。ヒータ26の近くに取り付けられた図示しない温度センサの出力に基づいてヒータ26を駆動する電源電圧を制御し、ヒータ26の表面温度を所望の温度に制御するようにすることが可能である。ヒータ26は、黒トナーとイエロー、マゼンタ、シアン及び非画像部との光吸収の差を考慮してセラミックヒータ等の長波長のものを用いるようにすることが可能である。また、非接触加熱部内を高温に保つための断熱カバー25は、セラミックファイバー等の高断熱性、高耐熱性の材料を用いることが望ましい。
(実施の形態2)
図5は、本発明の実施の形態2に従う定着装置等の構成について説明する図である。
図5を参照して、本発明の実施の形態2においては、定着装置を構成する定着ローラ20と加圧ローラ21の前段に、記録用紙の前面を密着させる密着手段と、記録用紙と密着手段との界面にキャリア液を蓄積させるようにする溶媒調節手段とを設ける。
具体的には、上ベルト13を懸架して回転駆動するためのローラ14、29、15が設けられる。また、当該ローラ14、29、15に対向する位置に設けられた圧接ローラ28がそれぞれ設けられる。
圧接ローラ28は、厚み2mmのアルミニウム(AL)ローラ表面にシリコンゴム(5mm)を形成したもので、上ベルト13を挟んで対向するローラ14、29、15に圧接している。なお、圧接ローラ28の対向するローラに対する押しこみ量0.4mmに設定した。
上ベルト13と圧接ローラ28とは記録用紙9を定着ローラ20へと搬送する方向に駆動する。
その他の点については実施の形態1で説明したのと同様である。
上記の構成により、本発明の実施の形態2に従う方式では、上ベルト13との間で加圧する圧接ローラ28を設ける。
当該圧接ローラ28を設けることにより上ベルト13との間のニップ領域において、記録用紙9に浸透しているキャリア液が表面へと移動することになるが、上ベルト13が記録用紙9の表面に密着してキャリア液を揮発させないように設けられている。
したがって、上述したように上ベルト13と記録用紙9の間のトナー層においてキャリア液が蓄積する。すなわち、上ベルト13と圧接ローラ28を通過する区間において、記録用紙9のトナー層中のキャリア液量がある程度維持されることになる。
本実施の形態2に従う方式においては、定着ローラ20に入る前に記録用紙9のキャリア液の分布状態を変化させて記録用紙の表面のキャリア液を増加させてオフセットの発生を抑制する。
なお、上記の構成に加えて、記録用紙9に2次転写した後に、予備加熱部材19を設置してもよい。
これにより、ある程度のキャリア液が揮発するので、定着性を向上させることが可能である。
(実施例)
図7は、実施の形態1の構成と比較例の構成とにおいて予備加熱を実行しない場合の実験結果を説明する図である。
図7を参照して、実施の形態1の構成としては、図1に示す装置を使用した。トナーパッチ(ベタパッチ画像)を現像し、記録用紙9に2次転写した。ベタパッチ画像のトナー量は、3g/m2でトナーとキャリア液の比(T/C比)は40%であった。
このベタパッチ画像を図2に示す定着装置等に搬送した。この時、加熱ローラ11の表面温度は160℃、下ベルト12の表面温度は130℃、上ベルトの表面温度は45℃であった。
記録用紙の搬送速度は100mm/sで、上下ベルト12,13の通過時間は約3秒であった。また、加圧ローラ21の温度は190℃に設定した。定着ローラ20の温度を変化させ、ベタパッチ画像の定着性とオフセットとを評価した。
定着性の評価方法としては、定着した記録用紙のベタパッチ画像部分において、ベタパッチ画像側が谷になる様に折り曲げる。その後、開いて折り曲げ部分を観察する。ベタパッチ画像に途切れることなく白い筋が現れたら不良「×」とした。
一方、オフセットの評価方法としては、定着後のベタパッチ画像を目視で観察し、トナーの一部が定着ローラ20に付着して濃度に不均一な箇所が生じていれば不良「×」とした。
そして、比較例としては、図6に示す構成を用いた。具体的には、図2に示す上ベルト13を取り除いた構成とするとともに、加熱ローラ11を作動させない構成とした。すなわち、単に記録用紙9を定着ローラ20に搬送のみする構成として同様の実験を行った。
ここでは、定着ローラの温度190℃〜210℃まで変化させた場合が示されている。
図7に示されるように、比較例においては、定着ローラが190℃の場合には、定着性は不良「×」であり、オフセットは良「○」であった。また、温度を上げた場合、すなわち、200、210℃にした際には、定着性は良「○」であったが、オフセットは不良「×」となった。
これに対して、本実施の形態1の構成においては、定着ローラが190℃の場合には、定着性は不良「×」であり、オフセットは良「○」であったが、温度を上げた場合、すなわち、200、210℃にした際には、定着性は良「○」であり、オフセットも良「○」となり、定着性とオフセットをともに両立できる結果となった。
図8は、実施の形態1の構成と比較例の構成とにおいて予備加熱を実行する場合の実験結果を説明する図である。
図8を参照して、予備加熱部材19を用いて実験した以外は図7で説明したのと同様である。
ここで、示されるように、比較例においては、予備加熱でキャリア液を蒸発させているため、定着ローラが190℃と図7よりも少し低い場合であっても定着性は良「○」となるが、オフセットは不良「×」となる場合が示されている。また、定着ローラを200℃とした場合であっても同様に、定着性は良「○」となるが、オフセットは不良「×」となる場合が示されている。
これに対して、本実施の形態1の構成において、予備加熱を実行した場合には、定着ローラが190℃の場合であっても、定着性は良「○」であり、オフセットも良「○」であり、また、200℃の場合であっても、定着性は良「○」であり、オフセットも良「○」となり、定着性とオフセットをともに両立できる結果となった。すなわち、予備加熱により定着装置の温度を低くした場合であっても定着性とオフセットをともに両立できる結果となった。
図9は、実施の形態2の構成と比較例の構成とにおいて予備加熱した場合の実験結果を説明する図である。
図9を参照して、実施の形態2の構成としては、図1に示す装置を使用した。トナーパッチ(ベタパッチ画像)を現像し、記録用紙9に2次転写した。ベタパッチ画像のトナー量は、3g/m2でトナーとキャリア液の比(T/C比)は40%であった。
このベタパッチ画像を図5に示す定着装置等に搬送した。当該構成において、定着ローラ20の温度を変化させ、ベタパッチ画像の定着性とオフセットとを評価した。
そして、比較例としては、図6に示す構成を用いた。具体的には、図2に示す上ベルト13を取り除いた構成とするとともに、加熱ローラ11を作動させない構成とした。すなわち、単に記録用紙9を定着ローラ20に搬送のみする構成として同様の実験を行った。
ここでは、定着ローラの温度190℃〜200℃まで変化させた場合が示されている。
図9に示されるように、比較例においては、定着ローラが190℃の場合には、定着性は良「○」であり、オフセットは不良「×」であった。また、温度を上げた場合、すなわち、200℃にした際にも、定着性は良「○」であったが、オフセットは不良「×」となった。
これに対して、本実施の形態2の構成においては、定着ローラが190℃の場合には、定着性は良「○」であり、オフセットも良「○」であった。また、温度を上げた場合、すなわち、200℃にした際にも、定着性は良「○」であり、オフセットも良「○」となり、定着性とオフセットをともに両立できる結果となった。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
1 感光体、2 帯電装置、3 露光装置、4 現像装置、5 中間転写体、7 転写ローラ、8 クリーニング装置、9 記録用紙、11 加熱ローラ、12,13 ベルト、19 予備加熱部材、20 定着ローラ、21 加圧ローラ、22 冷却部材、24 ファン、25 断熱カバー、26 ヒータ、28 圧接ローラ。

Claims (5)

  1. 揮発性溶媒にトナーが分散された液体現像剤を用いる湿式画像形成装置であって、
    前記液体現像剤により現像された記録媒体について、定着前に、前記記録媒体の表面側から前記揮発性溶媒が揮発しないように前記記録媒体の前面を密着させる密着手段と、
    前記定着前に、前記記録媒体に含まれる前記液体現像剤の前記揮発性溶媒を表面に移動させて前記記録媒体と前記密着手段との界面に前記揮発性溶媒を蓄積させるようにする溶媒調節手段とを備える、湿式画像形成装置。
  2. 前記溶媒調節手段は、前記記録媒体の裏面側を加熱する加熱部材を含む、請求項1記載の湿式画像形成装置。
  3. 前記密着手段を冷却する冷却手段を含む、請求項2記載の湿式画像形成装置。
  4. 前記溶媒調節手段は、前記記録媒体の裏面側から押圧する圧接部材を含む、請求項1記載の湿式画像形成装置。
  5. 前記密着手段よりも前に前記記録媒体を加熱する予備加熱手段をさらに備える、請求項1〜4のいずれかに記載の湿式画像形成装置。
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