JP2015010724A - 熱吸収体、集熱レシーバーおよび太陽熱発電装置 - Google Patents

熱吸収体、集熱レシーバーおよび太陽熱発電装置 Download PDF

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Abstract

【課題】過酷な環境下で耐久性を有し、太陽熱発電装置のシステム全体として熱効率の高い熱吸収体を提供すること。【解決手段】セラミック基材に、熱媒体を通過させるための複数の流路が併設された熱吸収体であって、該セラミック基材は、SiO2、Al2O3、ムライト、ZrO、Si3N4、AlN、MgO及びTiO2からなる群から選択された少なくとも1種の物質からなるセラミック皮膜を有することを特徴とする熱吸収体。【選択図】 図2

Description

本発明は熱吸収体、集熱レシーバーおよび太陽熱発電装置に関するものである。
太陽熱発電とは太陽光をミラーにより集光し、集熱レシーバーで光を熱に変換し、この熱でタービンを回すことで発電する方法であり、24時間の発電が可能であり、燃料コストが掛からず、二酸化炭素を出さないことから再生可能エネルギーとして注目されている。
太陽熱発電と太陽光発電との違いとして夜間でも発電できる点が挙げられる。太陽熱発電では、蓄熱設備を付帯させることで日中の余剰熱を蓄熱し、夜間に使用することで発電をおこなうことができる。
タワー型太陽熱発電装置では、太陽の追尾機構を有する多数の平面鏡などを用いて、中央部に設置されたタワーにある集熱レシーバーに太陽光を集光し、その熱によって発電する。
集熱レシーバーでは、エアーやエアーを含む混合ガスからなる熱媒体を、加熱された熱吸収体の流路に通過させることで熱媒体が熱を得ることができる。太陽熱発電装置では熱媒体が得た熱を利用して水を沸騰させ蒸気とし、蒸気タービンを回し発電を行うことができる。
このタワー型太陽熱発電用の集熱レシーバーとして、特許文献1には、太陽熱発電装置に使用される集熱レシーバーであって、前記集熱レシーバーは、熱媒体を通過させるための複数の流路が並設された1個又は複数個のハニカムユニットからなる熱吸収体と、該熱吸収体を収納、支持するとともに、熱媒体を流通させる支持体とからなり、前記熱吸収体は、炭化ケイ素を含んで構成され、太陽光が照射される面には、研磨処理又はコーティング処理のいずれかの表面処理が施されていることを特徴とする集熱レシーバーが開示されている。
特開2012−93004号公報
しかしながら、近年、太陽熱発電には、より熱効率が求められるようになってきた。
タワー型太陽熱発電では、太陽の追尾機構を有する平面鏡を数百から数千枚用いて集めた太陽光を一箇所に集光できるため、集熱レシーバーの温度を1000℃以上に加熱することが可能である。そのため、タワー型太陽熱発電は熱効率がよいという特徴をもつ。
1000℃を超える過酷な条件で使用される集熱レシーバーには、さらなる高性能化が求められるようになっており、集熱レシーバーを構成する材料に対しては、1000℃を超える過酷な環境下で使用可能な耐久性が要求され、さらに太陽熱発電装置のシステム全体としての熱効率を高めることが要求される。
本発明は、過酷な環境下で耐久性を有し、太陽熱発電装置のシステム全体として熱効率の高い熱吸収体、集熱レシーバー、及びこれを用いた太陽熱発電装置を提供することを目的とする。
前記課題を解決するための本発明の熱吸収体は、セラミック基材に、熱媒体を通過させるための複数の流路が併設された熱吸収体であって、該セラミック基材は、SiO、Al、ムライト、ZrO、Si、AlN、MgO及びTiOからなる群から選択された少なくとも1種の物質からなるセラミック皮膜を有することを特徴とする。
また、本発明の集熱レシーバーは、本発明の熱吸収体を1個又は複数個と、該熱吸収体の流路の一方の開口が集熱レシーバーの外表面に露出するように熱吸収体を収納して支持する支持体とを備えることを特徴とする。
また、本発明の太陽熱発電装置は、本発明の集熱レシーバーを用いたことを特徴とする。
本発明の熱吸収体では、セラミック基材は特定の物質からなるセラミック皮膜を有している。セラミック基材がセラミック皮膜を有すると熱吸収体の表面の反射率が小さくなるため、熱吸収体は光を効率よく吸収して、熱効率の高い熱吸収体とすることができる。また、セラミック皮膜を構成する物質は耐熱性が高いため、本発明の熱吸収体は過酷な環境下での耐久性も有する。
本発明の集熱レシーバーでは、熱吸収体を構成するセラミック基材が光を効率よく吸収して発熱し、熱媒体に熱を受け渡すことができる。そのため、熱効率の高い集熱レシーバーとすることができる。また、過酷な環境下で耐久性を有する熱吸収体を有しているので、過酷な環境下での耐久性を有する集熱レシーバーを提供することができる。
本発明の太陽熱発電装置は、熱効率が高く、耐久性を有する集熱レシーバーを用いているので、熱効率が高く、耐久性を有する太陽熱発電装置を提供することができる。
図1は、本発明の太陽熱発電装置において光エネルギーが電気エネルギーに変換されるステップを示すフローチャートである。 図2は、本発明の熱吸収体に関する熱の収支を示す模式図である。 図3は、表面にセラミック皮膜を有するセラミック基材に光が入射し、時間の経過と共に反射、透過をする様子を示す模式図である。 図4は、セラミック基材に光が入射し、反射する様子を示す模式図である。 図5は、本発明の実施の形態1の集熱レシーバーを備えた太陽熱発電装置を示す模式図である。 図6は、本発明の実施の形態1の集熱レシーバーを用いた集光部を模式的に示す断面図である。 図7は本発明の実施の形態1の集熱レシーバーを模式的に示す断面図である。 図8は、図7に示した集熱レシーバーのA−A線断面図である。 図9は、熱吸収体を複数個組み合わせて得られる、長手方向に垂直な断面形状が円形である集合型熱吸収体を模式的に示す斜視図である。 図10は、1個の熱吸収体で得られる、長手方向に垂直な断面形状が円形である熱吸収体を模式的に示す斜視図である。 図11は本発明の実施の形態1の熱吸収体を模式的に示す斜視図である。 図12は、本発明の実施の形態1の熱吸収体の流路の形状の変形例を模式的に示す斜視図である。 図13は、本発明の実施の形態1の熱吸収体の流路の形状の変形例を模式的に示す斜視図である。 図14は、本発明の実施の形態1の熱吸収体の開口側に光が斜め方向から入射する光の進路を示す模式図である。 図15は、図14の部分拡大図である。 図16は、熱吸収体のセラミック皮膜の有無による吸収率の違いを比較した図である。
本明細書において、太陽光とは、電磁波のことを示し、可視光には限定されないが、なかでも、熱エネルギーを伝達しやすい赤外線、可視光を主な対象とする。
図1は、本発明の太陽熱発電装置において光エネルギーが電気エネルギーに変換されるステップを示すフローチャートである。
太陽熱発電装置では、次の3つの主要なステップによって光エネルギーから電気エネルギーへの変換が行われる。図1は光エネルギーから電気エネルギーに変換されるステップを順に示したものである。
(1)太陽光を熱吸収体に集光し、光エネルギーを熱エネルギーに変換する第1のステップ
(2)熱機関で熱エネルギーを運動エネルギーに変換する第2のステップ
(3)発電機で運動エネルギーを電気エネルギーに変換する第3のステップ
これらのステップによって太陽光を電気エネルギーに変換する太陽熱発電装置において望ましい熱吸収体について検討し、次のようなことがわかった。
エネルギーの形態を変換する熱吸収体及び熱機関のパラメータ設定はエネルギー効率を決定する上で重要なファクターである。中でも熱吸収体の加熱される温度、熱吸収体からの熱を受ける熱媒体の温度、などの温度に関するパラメータ設定は、エネルギー効率に大きな影響を与える。
まず、第1のステップについて説明する。太陽の表面温度は約6000℃(約6273K)であるが、地表に届いた段階では拡散し、エネルギー密度が小さくなっている。しかしながら太陽光は方向性をもったエネルギーであるので集光することにより高い温度を得ることができる。光エネルギーから変換された熱エネルギーは、熱機関によって運動エネルギーに変換される。
次に、第2のステップについて説明する。熱機関は、熱力学的に決まる熱効率を超えることはできない。カルノーサイクルにおける理想的な熱効率は「1−低温源温度/高温源温度」であり、太陽熱発電装置の熱吸収体側においては、素材の耐熱性が許す限り温度が高い方が好ましい。
次に、第3のステップについて説明する。運動エネルギーは、回転エネルギーとして扱うことができる。回転エネルギーは、減速機によって発電機の性質に合わせ、自在にトルク、回転数を変更することができる。そもそも発電機にはエネルギーロスがあるものの、減速機によって、それを最小となるように調整することができる。
以下、第1のステップについて詳しく説明する。
図2は、本発明の熱吸収体に関する熱の収支を示す模式図であり、太陽20からの太陽光21が反射鏡40で反射されて反射光22となり、地上に据え付けられたタワーの最も高い位置にある集光部500に設けられた集熱レシーバー100に反射光22が照射される。
集熱レシーバー100は熱吸収体10を備えており、熱吸収体10はその受光部で反射光22の光エネルギーを受けて熱エネルギーに変換し、熱媒体に伝える。図2において集熱レシーバー100を含む太陽熱発電装置全体は参照符号1000で示している。
熱吸収体に関するエネルギーの熱収支には下記の関係があり、Qが熱エネルギーとして熱媒体を介して熱機関に伝達される。大きなQを得るためには、Qが大きくQが小さいことが好ましい。
=Q−Q (式1)
:熱吸収体表面が太陽から受ける光エネルギー
:熱吸収体表面が環境に放射する光エネルギー
:熱吸収体が熱媒体に伝達する熱エネルギー
であり、Q、Q、Qは時間当たりの熱量であり、J/sの単位で表すことができる量である。以下これらについて順に説明する。
は、太陽の表面と、熱吸収体表面との間の放射熱交換である。
=εEG1・σA(TSun −TRec1 ) (式2)
は、熱吸収体表面と、環境との間の放射熱交換である。
=εEG2・σA(TRec1 −TEnv ) (式3)
は、熱吸収体と熱媒体との間の熱伝達である。
熱媒体が空気など周囲の環境から供給される場合、
=h(TRec2−TEnv)/S (式4)
=h(TRec1−ΔT−TEnv)/S (式5)
に従って熱媒体に熱が伝達される。
なお、記号は下記の通りである。
ε:放射率
σ:ボルツマン定数
h:熱吸収体の流路を構成する表面と熱媒体との間の熱伝達率
G1:太陽と熱吸収体との形態係数
G2:熱吸収体と環境との形態係数
A:熱吸収体の受光部の面積
S:熱吸収体の流路を構成する表面の表面積
Sun:太陽の表面温度
Rec1:熱吸収体の受光部の表面温度
Rec2:熱吸収体の流路を構成する表面の表面温度
Env:環境の温度
ΔT=TRec1−TRec2:熱吸収体の受光部表面と熱吸収体の流路を構成する表面との温度差
得られた熱機関への熱の移動量は、(式2)及び(式3)から、
=εσA{EG1(TSun −TRec1 )−EG2(TRec1 −TEnv )} (式6)
となる。
G1、EG2は、ミラーの配置、数、形状などによって決定されるファクターである。EG1を大きくして太陽熱を効率良く受け、EG2を小さくし、ミラー以外の占有する熱吸収体を中心とする立体角を小さくし、得た熱を環境へ放出しないようにすることにより大きな熱量を得ることができる。しかし、これらは熱吸収体の形態よりも、ミラー側の形態によって決まるファクターである。
次に放射率εを大きくすること、熱吸収体の受光部の表面温度TRec1を低くすることが大きな熱量を受けるためには重要である。
一方、熱吸収体の受光部の表面温度TRec1を低くすることは、熱媒体の温度を下げ、システム全体のエネルギー効率を下げることにつながる。しかしながら(式5)に定義されるように熱媒体に受け渡すエネルギーを決定する温度は、熱吸収体の受光部の表面温度TRec1ではなく、熱吸収体の流路を構成する表面の表面温度TRec2である。なお、TRec2は、熱吸収体の流路を構成する表面の表面温度に温度分布がある場合には平均温度で代表される温度である。このため、熱吸収体の受光部表面と熱吸収体の流路を構成する表面との温度差ΔTを小さくすることはシステム全体のエネルギー効率を高める上で重要である。
なお、受光部とは、熱吸収体への光が当たる部分を示し、特に集熱レシーバーの外表面を構成する側の熱吸収体の開口近傍である。
以上示した重要なファクターのうち、太陽熱発電装置のシステム全体の熱効率を高めるために熱吸収体に関係するファクターは、放射率εが大きいこと、熱吸収体の受光部表面と熱吸収体の流路を構成する表面との温度差ΔTが小さいことの2つである。本発明の熱吸収体は、簡単な構成でこれらのファクターが有利となる特徴を有し、耐熱性を有するセラミック基材から構成されているので、太陽熱発電装置の熱吸収体として好適に利用することができる。
以下、詳しく本発明の熱吸収体について説明する。
本発明の熱吸収体は、セラミック基材に、熱媒体を通過させるための複数の流路が併設された熱吸収体であって、該セラミック基材は、SiO、Al、ムライト、ZrO、Si、AlN、MgO及びTiOからなる群から選択された少なくとも1種の物質からなるセラミック皮膜を有することを特徴とする。
本発明に係る、熱媒体を通過させるための複数の流路が併設された熱吸収体としては、例えばハニカム形状の熱吸収体などが挙げられる。代表的なハニカム形状とは六角形の孔が規則的に並んだ形状であるが、四角形の孔、四角形の孔と八角形の孔の組合せ、円形の孔、三角形の孔などが規則的に並んだ形状などもハニカム形状に含まれる。本発明の熱吸収体において、熱媒体を通過させるための複数の流路が併設された熱吸収体とは、ハニカム形状に限定されず、不規則に複数の流路が併設された熱吸収体も含む。
本発明の熱吸収体のセラミック基材の材質は特に限定されるものではないが、熱吸収体は1000℃を超える温度になるため、セラミック基材は耐熱性を有する必要があり、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、窒化ホウ素、窒化チタン等の窒化物系セラミック、炭化ケイ素、炭化ジルコニウム、炭化チタン、炭化タンタル、炭化タングステン等の炭化物系セラミック、シリカ、アルミナ、ムライト、ジルコニア等の酸化物系セラミック等が好適に利用できる。なかでも炭化ケイ素は、高い熱伝導率を有しているので、熱吸収体の受光部表面と熱吸収体の流路を構成する表面の温度差ΔTを小さくすることができ、太陽熱発電装置のシステム全体の熱効率を高めることができる。
本発明の熱吸収体は多孔質のセラミック基材であってもよく、また、多孔質セラミック基材に金属、金属シリコンなどを含浸したものであっても良い。金属、金属シリコンなどを含浸すると熱吸収体の熱伝導率を高めることができ、太陽熱発電装置のシステム全体の熱効率を高めることができる。含浸する金属(金属シリコンを含む)は、セラミック基材を構成する物質または、セラミック皮膜を構成する物質に含まれる元素がよい。さらに望ましくは、含浸する金属(金属シリコンを含む)は、セラミック基材を構成する物質及びセラミック皮膜を構成する物質に含まれる元素がよい。例えば、セラミック基材がSiCである場合には、金属シリコンを含浸することにより、複雑な化学反応の発生を防ぐことができ、悪影響のある化合物の生成を抑えることができる。
本発明の熱吸収体のセラミック基材がSiCよりなり、金属シリコンを含浸する場合、金属シリコンを含浸する前のセラミック基材の気孔率は35〜60%が望ましい。上記気孔率が35%未満であると、上記気孔の一部が閉気孔となり、金属シリコンを全部の気孔に充填するのが困難となる。一方、上記気孔率が60%を超えると熱吸収体の強度が低下し、熱吸収体の昇温、降温の繰り返し(熱履歴)により破壊され易くなる。
なお、上記気孔率は、アルキメデス法により測定することができる。ここで気孔率は、熱吸収体から流路の体積を除いた部分に対して定義される。つまり、セラミック基材とセラミック皮膜との体積の和に対し、含まれる気孔の比率から算出される。アルキメデス法の測定方法は、飽水工程、重量測定工程からなっている。飽水工程では、熱吸収体をイオン交換水の中に浸した状態で30分間以上煮沸し、熱吸収体の気孔内に水分を充填する。次に重量測定工程は、界面活性剤(花王社製 レオドールTW−0120V、0.5重量%)が添加された水中に熱吸収体を移し、吊り下げ式天秤を用いて、水中重量を測定した後、流路内の水分を除去し飽水重量を測定する。その後120℃で60分以上の乾燥を行い乾燥重量の測定をおこなう。重量測定後、それぞれの値を
(飽水重量−乾燥重量)/(飽水重量−水中重量)×100に当てはめ計算することで気孔率の算出を行うことができる。なお、測定に対して流路の影響を与えないよう熱吸収体を流路に平行な板状にサンプリングして流路のないサンプルを形成し測定することができる。
本発明の熱吸収体のセラミック基材がSiCよりなり、金属シリコンを含浸する場合、金属シリコンを含浸する前のセラミック基材の平均気孔直径は、5〜30μmが好ましい。セラミック基材の平均気孔直径が5μm未満であると、気孔の一部が閉気孔になり易く、金属シリコンを充填することが難しくなる。一方、セラミック基材の平均気孔直径が30μmを超えると、多孔質炭化ケイ素の機械的強度が低下し、熱吸収体の強度も低下する。平均気孔直径のさらに好ましい範囲は10〜30μmである。セラミック基材の平均気孔直径が10μm以上であると、金属シリコンを充填しやすくすることができる。
平均気孔直径は、水銀圧入法(島津製作所オートポアIV)によって測定を行うことができる。ここで平均気孔直径は、熱吸収体の流路を除いた部分に対して定義される。上記気孔率は、水銀圧入法により測定することができる。
水銀圧入法は、水銀の表面張力ρ、外部よりかける圧力p、気孔の直径をrとするとき、pr=−4ρcosθが成立することを用いた測定方法である。またθは水銀と固体との接触角である。例えばセラミック基材がSiCの場合は、水銀とセラミック材料との接触角θは140°として算出する。熱吸収体のセラミック基材は、圧力12.48kPa〜6.89MPaの範囲の測定を行いこれに対応する0.18〜100μmの気孔を測定し、50%の気孔が存在する気孔直径を平均気孔直径とした。
本発明の熱吸収体のセラミック基材は、SiO、Al、ムライト、ZrO、Si、AlN、MgO及びTiOからなる群から選択された少なくとも1種の物質からなるセラミック皮膜を有する。
このようなセラミック皮膜を有していることにより熱吸収体の受光部の放射率εを小さくすることができる。以下この理由について説明する。
物質の熱放射の割合である放射率と、熱吸収の割合である吸収率との間には、
放射率=吸収率 (式7)
の関係がある。(キルヒホッフの放射法則)
一方、透明、不透明の物質に対して、入射した単位エネルギーに対して反射、吸収、透過の起こる割合に関して次の関係が成り立つ。
反射率+吸収率+透過率=1 (式8)
不透明な物質であれば、透過率=0であるので
放射率=1−反射率 (式9)
となり、光を吸収するための熱吸収体にも適用される。すなわち、エネルギー効率の高い太陽熱発電装置の熱吸収体とするためには、受光部の反射率を低くすることが重要である。
物質の表面反射率Rは、媒質の屈折率n、物体の屈折率nによって決定される。
R=(n−n/(n+n (式10)
:媒質の屈折率
:反射面を構成する物質の屈折率
R:光がその面に対して垂直に入射するときの反射率
(式10)によれば、反射面を構成する物質の屈折率が大きいほど反射率が高くなる。
本発明の熱吸収体では、反射率を低減させるために、セラミック基材の表面にセラミック皮膜を形成している。特に、屈折率が小さいセラミック皮膜を形成すると熱吸収体の表面の反射率を効果的に低くすることができ、熱吸収体は光を効率良く吸収し太陽熱発電装置全体の熱効率を高めることができる。
セラミック皮膜の屈折率は2.60以下であることが望ましい。
セラミック皮膜として使用可能な物質の屈折率は以下のようになっている。
SiO:1.45
Al:1.76
ムライト:1.66
ZrO:2.40
Si:2.02
AlN:2.17
MgO:1.72
TiO:2.52
また、セラミック皮膜の屈折率がセラミック基材の屈折率よりも低いことが望ましい。
本発明の熱吸収体のセラミック皮膜は、太陽光が集められ1000℃以上の温度になるため、耐熱性が必要となる。セラミック皮膜は、SiO、Al、ムライト、ZrO、Si、AlN、MgO及びTiOからなる群から選択された少なくとも1種の物質からなり、これらの物質は耐熱性が高いためにセラミック皮膜を構成する材料として適している。
本発明の熱吸収体のセラミック皮膜は、少なくとも受光部側の開口部及びセラミック基材の流路を構成する表面に形成されていることが好ましい。熱吸収体は受光部側の開口近傍で大半の光を受けるが、流路の内部にも反射を繰り返しながら光が侵入するので、熱吸収体の受光部及び流路を構成する表面にセラミック皮膜を有することによって効率良く光を吸収することができ、太陽熱発電装置全体の熱効率を高めることができる。
本発明の熱吸収体のセラミック皮膜は、セラミック皮膜の内部に顔料を含有していないことが望ましい。内部に顔料を有しているとセラミック皮膜が発熱し、熱吸収体の受光部の表面温度TRec1が高くなる。すると、受光部表面と流路を構成する表面との温度差ΔTが大きくなる。このような理由から、セラミック皮膜の内部に顔料を含有していないと、熱吸収体が光を効率良く吸収し太陽熱発電装置全体の熱効率を高めることができる。顔料とは、可視光、赤外線を吸収する金属塩などの無機化合物などであり、例えばMn、Cr、Fe、Cu、Ni、Coなどの遷移元素の化合物などが挙げられる。
また、本発明の熱吸収体のセラミック皮膜が内部に顔料を含有していないと次のような効果もある。セラミック皮膜は太陽光を受けて高温に曝される。このため、セラミック皮膜が内部に顔料を含有しているとセラミック皮膜を構成する物質と顔料に含まれる元素の数が増え複雑に反応しやすくなる。このような反応が起こると、セラミック皮膜の反射率の上昇、剥離、変質などの問題が起きやすくなる。しかしながら、セラミック皮膜が内部に顔料を含有していないとこのような複雑な反応は起こりにくいため、セラミック皮膜の反射率の上昇、剥離、変質などの問題を起きにくくすることができる。
本発明の熱吸収体のセラミック皮膜を構成する物質は、セラミック基材を構成する物質と少なくとも一つの共通する元素を有することが好ましい。熱吸収体には熱効率を高めるため、多くの光を集光し高い温度が加わる。高い温度が加わるとセラミック皮膜を構成する物質と、セラミック基材を構成する物質との間で反応が起こりやすくなる。セラミック皮膜を構成する物質と、セラミック基材を構成する物質との間に少なくとも一つの共通する元素を有していると、反応によって発生する化合物の数を減らすことができ、セラミック皮膜の反射率の上昇、剥離、変質などの問題を小さくすることができる。
セラミック皮膜を構成する物質が、セラミック基材を構成する物質と少なくとも一つの共通する元素を有するとは、例えば表1に示す次のような組合せがある。
Figure 2015010724
本発明の熱吸収体のセラミック皮膜は、単層であっても多層であってもどちらでも利用することができる。多層である場合、その材質はそれぞれ異なり、熱媒体(空気)側になるほど屈折率が小さいことが好ましい。このような構成にすることにより、反射率をより低くすることができる。
本発明の熱吸収体のセラミック皮膜はどのような方法でも製造することができ、特に限定されない。例えば、CVD法、ゾルゲル法、スパッタ法などのほか、セラミック基材の表面を化学変化させて形成することもできる。
また、セラミック皮膜の材料となる元素を含む溶液にセラミック基材を浸漬した後に乾燥、焼成等の処理を行うことによって形成することもできる。
本発明の熱吸収体の共通する元素は金属シリコンであって、セラミック基材はSiC、セラミック皮膜はSiOからなる組合せであることが好ましい。SiCとSiOの組み合わせでは、関与する元素がSi、C、Oのみである。これらの元素から得られる固体は、C、Si、SiC、SiOの4つである。太陽熱発電で加えられる約1600℃の温度までは、SiC、SiOは安定して存在できるので、副生成物が生成しにくく、セラミック皮膜の反射率の上昇、剥離、変質などの問題が起きにくいと考えられる。また、SiCの屈折率は2.63であり、SiOの屈折率は1.45である。セラミック皮膜であるSiOの屈折率がセラミック基材であるSiCの屈折率よりも小さいことから、この組み合わせであると熱吸収体の表面の反射率をより効果的に低くすることができる。
本発明の熱吸収体のセラミック基材は、α−SiCを含有することが好ましい。β−SiCには3C構造1つの結晶系のみが存在するが、α−SiCには多数の結晶構造が存在する。通常α−SiCは複数の結晶構造が混在し、光の透過率が低く、SiCの中でも光を吸収しやすい性質を持っている。このため、セラミック基材がα−SiCを含有することにより効率良く光を吸収することができ太陽熱発電装置全体の熱効率を高めることができる。また、α−SiCは、高温で安定な結晶形態であり、1600℃を超えても結晶形態が変化しにくいので、安定して使用することができる。
本発明の熱吸収体のセラミック皮膜は、厚さが145nm〜3000nmであることが好ましい。セラミック皮膜の厚さが145nm以上であると、発熱に寄与する波長の光に対して影響を及ぼすようになり、反射率を低下させる作用が有効に機能するようになる。セラミック皮膜の厚さが3000nm以下であると、セラミック皮膜の熱抵抗を小さくすることができるのでセラミック皮膜があっても太陽熱で暖められたセラミック基材から熱媒体へ効率良く熱を伝えることができる。これはステップ2の熱の流れである。さらに好ましいセラミック皮膜の厚さは、250〜1000nmである。セラミック皮膜が1000nmを超えて厚いと、温度変化によりセラミック基材とセラミック皮膜の熱膨張差による歪が大きくなってセラミック皮膜にクラックが入ることがあり、セラミック基材が露出してしまうことがある。
上述した通り、SiCからなるセラミック基材にSiOからなるセラミック皮膜を設けたときのように、セラミック基材の屈折率よりも屈折率の小さいセラミック皮膜を設けることが好ましいが、その理由について以下に詳しく説明する。
空気からなる媒質中に、表面にセラミック皮膜を有するセラミック基材を置き、セラミック基材に光を投射したときの反射した光エネルギー、吸収した光エネルギーを算出する。セラミック皮膜を構成する物質はセラミック基材を構成する物質よりも屈折率が小さいと仮定すると、
<n<n (式11)
の関係にある。
:熱媒体(空気)の屈折率
:セラミック基材の屈折率
:セラミック皮膜の屈折率
co:セラミック皮膜と媒質間の界面の反射率
cs:セラミック皮膜とセラミック基材間の界面の反射率
so:セラミック基材と媒質間の界面の反射率
とすると、各界面に垂直に入射する光の反射率は、
co=(n−n/(n+n (式12)
cs=(n−n/(n+n (式13)
so=(n−n/(n+n (式14)
となり、自乗値であるので光の向かう方向とは関係なく同じ値となる。またこれらの値は、理想的な界面の理論値であり大まかな反射率を決定する。現実には、表面の面粗さなどによって理論値との間に若干ずれが生じることがあるが、反射率を決定する主要因が界面を形成する二つの物質の屈折率から算出される理論値であることに変わりはない。
図3は、表面にセラミック皮膜を有するセラミック基材に光が入射し、時間の経過と共に反射、透過をする様子を示す模式図である。最初に入射した光エネルギーを1(100%)とし、反射、透過する過程の光エネルギーの大きさを記号で示している。それぞれの記号はそれぞれ下記の通りである。最初に入射する光の方向を下向き、その反対向を上向きとして説明する。なお、セラミック皮膜は非常に薄いので透過率は100%として算出した。
:k回目に、セラミック皮膜内を下向きに通過する光エネルギー
:k回目に、セラミック皮膜内を上向きに通過する光エネルギー
:k回目に、セラミック皮膜の上面から上向きに界面を通過した光エネルギー
:k回目に、セラミック皮膜の下面から下向きに界面を通過した光エネルギー
:最初に入射した光がセラミック皮膜の上面で反射した光エネルギー
それぞれの光エネルギーの大きさをまとめると表2の通りとなる。kの適用範囲はk≧1である。cは別途定義される。
Figure 2015010724
セラミック基材に吸収された光エネルギーの和Sは、下記(式15)で表され、それぞれの界面の反射率を用いて示すと(式16)、それぞれの屈折率を用いて示すと(式17)となる。
Figure 2015010724
Figure 2015010724
Figure 2015010724
セラミック皮膜を有していないセラミック基材の光の吸収について説明する。図4は、セラミック基材に光が入射し、反射する様子を示す模式図である。横軸は時間の経過を示している。セラミック皮膜を有していないセラミック基材の反射は、1回の反射で説明できる。セラミック皮膜を有していないセラミック基材への光の吸収率は反射率で示すと(式18)、屈折率を用いて示すと(式19)となる。
Figure 2015010724
Figure 2015010724
セラミック基材の表面におけるセラミック皮膜の有無の違いによる吸収率を比較するには、S−Sの正負を確認すればよい。S−Sの値が正であれば、セラミック皮膜を有することによって吸収率が大きくなったことになる。S−Sを計算すると、
Figure 2015010724
となる。n<n<nの関係にあるのでS−Sは常に正であり、セラミック基材よりも屈折率の低いセラミック皮膜を有している方が、吸収率が大きくなるために熱吸収体として好ましいことがわかる。
本発明の集熱レシーバーは、本発明の熱吸収体を1個又は複数個と、該熱吸収体の流路の一方の開口が集熱レシーバーの外表面に露出するように熱吸収体を収納して支持する支持体とを備える。
本発明の集熱レシーバーは、熱吸収体の流路の一方の開口が集熱レシーバーの外表面に露出するように支持体に収納され支持されているので、熱吸収体に併設された流路を通して熱媒体としての外気が導入され、外気が流路を通過する過程で加熱されて、太陽熱発電装置の熱機関に導かれる。
また、本発明の集熱レシーバーは、本発明の熱吸収体を用いているので、熱吸収体の熱効率が高く、熱媒体に効率良く熱を伝達することができるので熱効率の高い太陽熱発電装置を提供することができる。
本発明の集熱レシーバーを用いた本発明の太陽熱発電装置は、集熱レシーバーの熱効率が高く、熱媒体に効率良く熱を伝達することができるので熱効率の高い太陽熱発電装置を提供することができる。
以下、本発明の熱吸収体、集熱レシーバー及び太陽熱発電装置の実施形態の一例を示すが、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではない。
≪実施の形態1≫
本実施の形態では、セラミック基材としてSiC、セラミック皮膜としてSiOを用いた熱吸収体と、その熱吸収体を複数個組み合わせて構成された集熱レシーバーと、その集熱レシーバーを用いた太陽熱発電装置について説明する。
図5は、本発明の実施の形態1の集熱レシーバーを備えた太陽熱発電装置を示す模式図である。本実施の形態の集熱レシーバー100は、地上に据え付けられたタワーの最も高い位置にある集光部500に設けられている。太陽熱発電装置1000は、太陽光を集熱レシーバー100に集めるよう追尾機構を有する複数のミラー40を備えている。
図6は、本発明の実施の形態1の集熱レシーバーを用いた集光部を模式的に示す断面図である。
集光部500では、太陽光照射面が解放された箱型の枠体522に、複数の集熱レシーバー100が熱吸収体の太陽光の照射を受ける面を正面に向けて整列した状態で配置されている。
すなわち、集熱レシーバー100を構成する支持体112のガス出口112bは、枠体522の底部522aに結合しており、底部522aは、管522bと繋がっている部分を除いて密閉した空間となっている。従って、空気等の熱媒体14は、熱吸収体に形成された流路を通過し、熱吸収体により加熱された後、支持体112の熱媒体の出口112bを通って枠体522の底部522aに形成された空間に集まる。この後、熱媒体14は、管522bを通って後述する蒸気発生器に導かれる。
実際には、管522b又は管522bに結合された容器等は、排気ポンプ等のガスを吸引する装置に結合している。従って、排気ポンプ等を稼動させることにより、集熱レシーバー100の周囲にある空気等の熱媒体14は、熱吸収体に形成された流路を通過し、熱吸収体に蓄積された熱を空気等の熱媒体に伝達するように構成されているのである。
図7は本発明の実施の形態1の集熱レシーバーを模式的に示す断面図であり、図8は、図7に示した集熱レシーバーのA−A線断面図である。
集熱レシーバー100は、熱媒体14を通過させるための多数の流路13が並設された熱吸収体10が接着材層15を介して複数個接着された集合型熱吸収体1と、集合型熱吸収体1を収納、支持するとともに、熱媒体14を流通させる支持体112とを含んで構成されている。そして、集合型熱吸収体1と支持体112の間には、無機繊維からなる保持材118が介装され、この保持材118を介して集合型熱吸収体1が支持体112に支持、固定されている。
なお、集合型熱吸収体とは、複数個の熱吸収体を備えた熱吸収体のことを意味する。
本実施の形態では集熱レシーバー100を複数個組み合わせて太陽熱発電装置1000の集光部500を構成するので、隙間無く集熱レシーバー100が並べられるよう四角形の受光面を持つ集熱レシーバー100を好適に利用することができる。
図8は本実施の形態の熱吸収体を複数個組み合わせて形成された、受光面の断面形状が略正方形の集熱レシーバーを模式的に示す断面図である。
本実施の形態の集熱レシーバー100は、9個の熱吸収体10を組み合わせた集合型熱吸収体1を有している。熱吸収体間には、接着材層15を有している。接着材層15は、骨材となる酸化アルミニウム及び炭化ケイ素、フィラーとしてアルミナ繊維もしくはシリカ繊維、マトリクスとして酸化ケイ素ゾルからなる。熱吸収体10に前述の構成からなる接着材を塗布し、加熱することによって接着し、集合型熱吸収体1とすることができる。
受光面117の形状は9個の熱吸収体10及び熱吸収体10の間の接着材層15からなる略正方形である。
本実施の形態の集熱レシーバーでは、熱吸収体10(集合型熱吸収体1)と支持体112との間に保持材118が介装されることができる。保持材118の材料は特に限定されるものではなく、無機繊維、無機粒子、無機バインダ等、種々の無機材料を含むものであってもよいが、無機繊維からなるマット状のものが好ましい。本実施形態では、保持材118として無機繊維からなる平面視矩形のマットを使用した例について、以下に説明する。この断熱材は、無機繊維からなる平面視矩形のマットが1個又は複数積層されて構成されたものであり、この保持材118を集合型熱吸収体1の側面に巻き付けた状態で、支持体112に収納することにより、熱吸収体10(集合型熱吸収体1)を支持体112の内部に支持、固定することができる。
保持材118を構成する無機繊維としては、特に限定されず、アルミナ−シリカ繊維であってもよく、アルミナ繊維、シリカ繊維等であってもよい。無機繊維の材料は、耐熱性や耐風蝕性等、保持材に要求される特性等に応じて変更すればよい。アルミナ−シリカ繊維を無機繊維として用いる場合には、例えば、アルミナとシリカとの組成比が、60:40〜80:20の繊維を用いることが好ましい。
保持材118は、ニードルパンチング処理が施されているマットであることが望ましい。マットにニードルパンチング処理が施されることにより、マットを構成する無機繊維のシート等の構成材料がばらばらになりにくく、1つのまとまったマット状となる。また、マットが長手方向に垂直な幅方向でニードルパンチング処理されていると、ニードルパンチング処理した部分でマットの幅方向に折り目がついたようになることから、マットを熱吸収体へ巻き付ける際に巻き付けやすくなる。
本発明の実施の形態1の集熱レシーバー100を用いた集光部500は、3×3個の集熱レシーバー100が組み合わせられている。さらに集熱レシーバー100は3×3個の熱吸収体10を組み合わせて構成されている。つまり、集光部500には81個の熱吸収体10が用いられている。
なお、集熱レシーバーの形状は特に限定されない。ミラーからの光を一つの集熱レシーバーで受ける場合には、受光面の形状が円形の集熱レシーバーを好適に利用することができる。受光面の形状が円形の集熱レシーバーであると光が当たりにくい隅の部分がなく、通過した流路の位置に起因する熱媒体の温度の違いが小さいので、熱媒体の温度が低くなる要因が少なくなり太陽熱発電装置のシステム全体の熱効率を高めることができる。
受光面の形状が円形の集熱レシーバーを作製するためには、熱吸収体として長手方向に垂直な断面形状が円形の熱吸収体を準備する。
図9は、熱吸収体を複数個組み合わせて得られる、長手方向に垂直な断面形状が円形である集合型熱吸収体を模式的に示す斜視図であり、図10は、1個の熱吸収体で得られる、長手方向に垂直な断面形状が円形である熱吸収体を模式的に示す斜視図である。
図9に示す集合型熱吸収体2は、熱吸収体10が複数個、接着材層15によって接着された後にその外形形状を円柱状に切削し、外周に外周コート層18を設けることによって得られる。受光面127の形状は円形である。
図10に示す熱吸収体3は、円柱形状の熱吸収体3aの外周に外周コート層18を設けることによって得られる。受光面137の形状は円形である。
なお、図9及び図10に示す熱吸収体において、外周コート層は設けられていなくてもよい。
続いて、本発明の実施の形態1の熱吸収体について説明する。
図11は本発明の実施の形態1の熱吸収体を模式的に示す斜視図である。
熱吸収体10のセラミック基材11は金属シリコンが含浸されたSiCであり、セラミック皮膜12としてSiOが用いられている。またセラミック基材11に含浸された金属シリコンによりセラミック基材11の熱伝導率、強度を高めることができる。セラミック基材11であるSiCは多孔質のものを用い、金属シリコンを含浸しやすくしている。
熱吸収体10には、熱媒体を通過させるための流路13が複数併設されている。複数の流路13はそれぞれ並行して設けられている。図11に示す熱吸収体10の流路13の断面形状は正方形であり、格子状に配列されているが、流路の形状及び配列はこの形態に限定されるものではなく、断面形状が正六角形の流路を並べた形状、断面形状が八角形の流路と断面形状が四角形の流路を交互に並べた形状であっても良い。
なお、流路の断面形状とは、流路の長手方向(図11で両矢印aで示す方向)に垂直な断面で切断した断面形状を意味する。
集熱レシーバーとして設置した際に受光面側となる端面に位置するセラミック基材11は、光が直接当たる受光部17となる。
図12及び図13は、本発明の実施の形態1の熱吸収体の流路の形状の変形例を示しており、図12に示す変形例1としての熱吸収体10bは、断面形状が正六角形の流路13bを並べた形状を備えている。図13に示す変形例2としての熱吸収体10cは、断面形状が八角形の流路13cと断面形状が四角形の流路13dを交互に並べた形状を備えている。
流路13の断面形状において、その開口の大きさは特に限定されない。例えば、一辺が0.5〜10mmの正方形の開口となる流路が利用できる。開口の大きさの一辺が0.5mm以上であると、気体である熱媒体14の通過に抵抗が少なくなり、充分に熱吸収体の熱エネルギーを熱媒体14に伝達しやすくなり、エネルギー効率が低下しにくくなる。
流路13の間の壁の厚さは、特に限定されないが、例えば0.1〜5mmであることが望ましい。熱吸収体10の流路13が開口する面の開口率は、特に限定されないが、例えば60〜87%であることが好ましい。熱吸収体10の開口する面の開口率が、87%以下であると、光が熱吸収体10の内部に導かれやすく流路を構成する表面での反射が繰り返されて光を吸収しやすくすることができる。その結果、開口側表面と、熱吸収体内部で流路を構成する表面との温度差を小さくし、太陽熱を受ける効率を高くできる。
熱吸収体10の流路13が開口する面の開口率が、60%以下であると、流路を通過するガスの抵抗となる。
熱吸収体10の外形寸法は特に限定されるものではないが、例えば流路13が開口する面の一辺の長さは10〜200mm、流路の長手方向の長さは20〜200mmである直方体であることが好ましい。
熱吸収体10を構成するセラミック基材11の気孔率は、金属シリコンを含浸する前の多孔質炭化ケイ素の気孔率として35〜60%が望ましい。セラミック基材11の気孔率が35%未満であると、セラミック基材11を構成する多孔質炭化ケイ素の気孔の一部が閉気孔となり、金属シリコンを多孔質炭化ケイ素の気孔全体に充填するのが困難となる。一方、上記セラミック基材11の気孔率が60%を超えると、熱吸収体10の強度が低下し、熱吸収体10の昇温、降温の繰り返し(熱履歴)により破壊され易くなる。
熱吸収体10を構成するセラミック基材11の平均気孔径は、金属シリコンを含浸する前の多孔質炭化ケイ素の平均気孔径として、5〜30μmが望ましい。多孔質炭化ケイ素の平均気孔径が5μm未満であると、多孔質炭化ケイ素の気孔が閉気孔になり易く、金属シリコンを充填するのが難しくなる。一方、多孔質炭化ケイ素の平均気孔径が30μmを超えると、熱吸収体10の機械的強度が低下する。
熱吸収体10を構成する多孔質炭化ケイ素の開気孔に充填される金属シリコンは、多孔質炭化ケイ素100重量部に対して15〜50重量部含浸されていることが好ましい。この範囲で多孔質炭化ケイ素に金属シリコンを含浸することにより、多孔質炭化ケイ素中の開放気孔が金属シリコンで埋まり、緻密体となる。
図14は、本発明の実施の形態1の熱吸収体の開口側に光が斜め方向から入射する光の進路を示す模式図である。
熱吸収体10の開口側端面に当たった光は、受光部17に衝突し、その一部が熱吸収体10から遠ざかるように反射する。熱吸収体10の流路13内で流路を構成する表面に当たった光は、反射を繰り返しながら流路13内の奥に侵入していく。
図15は、図14の部分拡大図である。熱吸収体10のセラミック基材11には光が直接当たるのではなく、開口側端面(受光部)及び流路を構成する表面では一旦セラミック皮膜12を通過してセラミック基材11に光が当たる。このため、光が暖めるのはセラミック皮膜12ではなくセラミック基材11であり、セラミック基材11が熱を速やかに拡散し熱吸収体全体を速やかに暖め、部分的に加熱された熱吸収体10を均熱化することができる。このような熱吸収では受光部の表面温度Trec1と、流路を構成する表面の表面温度Trec2の温度差ΔTを小さくすることができるので、太陽熱発電装置のシステム全体の熱効率を高くすることができる。
次に、本発明の実施の形態1で用いられた熱吸収体の反射率について説明する。セラミック基材11に含浸された金属シリコンは、SiC以上に屈折率の高い物質であり、熱媒体(空気)、セラミック基材(SiC)、セラミック皮膜(SiO)のいずれの屈折率よりも大きな屈折率を有するので、セラミック基材の屈折率としてSiCの値を用いて計算したとしても異なる結果を導くことはない。表3は、SiC、SiO、空気の屈折率である。表4は、(式12)より導かれる空気/SiOの界面の反射率、(式13)より導かれるSiO/SiCの界面の反射率、(式14)より導かれる空気/SiCの界面の反射率を示す。なお、(式12〜式14)で定義されるように反射率は自乗値であるので方向性はなくいずれの方向からでも同じ値である。
Figure 2015010724
Figure 2015010724
(式16)によって算出される、セラミック基材に吸収された光エネルギーの和は88.8%であることから、SiCからなるセラミック基材11の表面にSiOのセラミック皮膜1が設けられてなる、流路を構成する表面と空気との界面の反射率は、11.2%である。これは、(式14)によって算出される空気とSiCからなるセラミック基材との界面の反射率20.15%に対して、大幅に低下していることがわかる。
また、(式10)より、表面にSiOのセラミック皮膜12を有するSiCからなるセラミック基材11と空気との界面の放射率の理論値は、88.8%、空気とSiCとの界面の放射率79.85%である。以上の結果から、表面にセラミック基材11を構成する物質よりも透明度が高く屈折率が小さいセラミック皮膜12を有することによって、反射率を抑え、放射率を大きくできることが確認された。
また、セラミック基材11がSiC、セラミック皮膜12がSiOであるので、光が当たって加熱されても余分な化合物を生成させることなく安定して使用することができる。
以下、本実施の形態に係る熱吸収体及び集熱レシーバーの製造方法について説明する。まず、熱吸収体となる炭化ケイ素成形体を製造する。炭化ケイ素成形体を製造する際には、原料として粒子径分布の調整された炭化ケイ素粉末と、有機バインダ、可塑剤、潤滑剤、水等とを混合して、成形用の湿潤混合物を調製する。
続いて、上記湿潤混合物を押出成形機に投入して押出成形する成形工程を行い、長手方向に四角柱形状の流路が格子を構成するように配列した成形体を作製する。
次に、成形体の両方の末端を切断装置を用いて切断する切断工程を行い、成形体を所定の長さに切断し、切断した成形体を、乾燥機を用いて乾燥する。
次に、成形体中の有機物を脱脂炉中で加熱する脱脂工程を行い、焼成炉に搬送し、焼成工程を行ってSiCからなる焼成体としてのセラミック基材を作製する。
このようにして得られるセラミック基材は多孔質炭化ケイ素である。
金属シリコンをセラミック基材の開気孔中へ充填する方法としては、例えば、金属シリコンを加熱溶融させて開気孔に吸い込ませ、充填する方法を挙げることができる。この場合、セラミック基材の上面又は下面(端面を除く側面)に塊状、粉末状又は粒子状の金属シリコンを載置し、真空条件下、1450℃以上で金属シリコンを溶解させ、セラミック基材の開気孔中に金属シリコンを充填させることができる。上記作業を繰り返し行うこと、又は、載置する金属シリコンの重量を変化させること等により、セラミック基材の開気孔に対する金属シリコンの含浸率を制御することができる。
SiOからなるセラミック皮膜は、シランを含む液中にセラミック基材を浸漬したのち、乾燥、焼成することによって形成することができる。
すなわち、SiOからなるセラミック皮膜の厚みを形成するディップコートの工程、熱処理による脱水縮合工程である。セラミック基材をシラン溶液にディップコートし室温にて乾燥を行うことで表面に皮膜を形成する。ディップコート及び乾燥の工程を繰り返すことで皮膜の厚膜化が可能になる。またシラン溶液の濃度は特に限定しないが、好ましくは20wt%以下で行うことで薄膜化し乾燥時のクラックを抑制することが可能になる。次にコート後のサンプルを大気雰囲気650〜1000℃、30〜120分間の条件にて熱処理を行うことで炭化ケイ素表面にSiOの膜を形成する。
このような方法によれば、厚さ100〜3000nmのセラミック皮膜を得ることができる。セラミック皮膜の厚さは145〜3000nmであることがより望ましい。
上記工程により熱吸収体を作製することができる。
複数の熱吸収体同士を接着する際には、上記接着材層を形成する材料からなる接着材ペーストを熱吸収体の側面(流路が形成されていない面)に塗布し、熱吸収体同士を接着した後、乾燥させ、接着材層を形成する。太陽熱発電を行う際に、熱吸収体には、太陽光が照射され、1000℃付近の温度になるので、接着材層中の水分等は蒸発し、有機バインダは、分解消失する。接着材層に含まれている無機バインダの固形成分で、無機繊維及び無機粒子が接合されて強固な接着材層となる。
支持体は、従来から用いられている方法を用いることにより製造することができる。セラミックからなる支持体を製造する際には、セラミック粉末、有機バインダ等を含む混合物の加圧成形、射出成形、又は、鋳込成形等を行った後、脱脂工程、焼成工程を経ることにより、支持体を製造することができる。
集熱レシーバーを組み立てる際には、上記方法により製造した熱吸収体の周囲に保持材を巻き付け、支持体に押し込んで固定することにより、集熱レシーバーを組み立てることができる。
≪確認試験≫
本確認試験では、実際に熱吸収体を作製し、セラミック皮膜の形成前後で反射率を測定することにより本発明の実施の形態の熱吸収体における吸収率の相違によりその効果を確認した。
<熱吸収体の作製>
平均粒子径22μmの炭化ケイ素の粗粉末54.6重量%と、平均粒子径0.5μmの炭化ケイ素の微粉末23.4重量%とを混合し、得られた混合物に対して、有機バインダ(メチルセルロース)4.4重量%、潤滑剤(日油社製 ユニルーブ)2.8重量%、グリセリン1.3重量%、及び、水13.9重量%を加えて混練して湿潤混合物を得た。次に、得られた湿潤混合物を押出成形する押出成形工程を行い、四角柱形状の生の成形体を作製した。
次いで、マイクロ波乾燥機を用いて上記生の成形体を乾燥させ、乾燥体とした。
この乾燥体を400℃で脱脂する脱脂工程を行い、常圧のアルゴン雰囲気下2200℃、3時間の条件で焼成工程を行い、α−SiCからなるセラミック基材を作製した。このセラミック基材の気孔率は42%、平均気孔径は11μm、大きさは34.3mm×34.3mm×100mm、セル(流路)の数(セル密度)は47個/cm、流路を構成する壁の厚さは0.25mmである。
上記セラミック基材の上面に、塊状の金属シリコンを60g載せ、真空雰囲気で1450℃、1時間の熱処理を行うことにより、金属シリコンを融解させ、開気孔の中にシリコンを充填した。
シリコンを充填した後のセラミック基材の気孔率をアルキメデス法により測定したところ8.8%となった。
次いで、セラミック基材をシラン溶液にディップコートし室温にて乾燥を行うことで表面に皮膜を形成した。
シラン溶液の濃度は10wt%とし、乾燥条件は120℃、30分とした。
次にコート後のサンプルを大気雰囲気800℃、10分間の条件にて熱処理を行うことによって炭化ケイ素からなるセラミック基材の表面に酸化ケイ素からなるセラミック皮膜を形成した。
本確認試験においては、シラン溶液へのディップコート及び乾燥を繰り返すことによりセラミック皮膜の厚さが異なるサンプルを2種類作製した。
こうして、SiC製セラミック基材に複数の流路が併設されてなる熱吸収体が得られた。また、セラミック基材は、表面にSiOからなるセラミック皮膜を有している。
<測定>
2種類のサンプルのセラミック皮膜の厚みをHORIBA自動薄膜計測装置 Auto SEを用いて測定した。厚さは145nm、又は、215nmであった。
熱吸収体の分光吸収率測定を、φ60積分球を用いた島津製作所製自記分光光度計UV3150を用いておこなった。条件は280−2600nmの波長域で測定し、入射角0°、スリット幅20nmの条件で実施した。比較のため、セラミック皮膜のないものの測定も同時に行った。
図16は、熱吸収体のセラミック皮膜の有無による吸収率の違いを比較した図である。横軸は波長、縦軸は吸収率を示している。
セラミック皮膜なしの531nmの吸収率は85%であり、SiOのセラミック皮膜を145nm又は215nm形成する事で吸収率が90%に向上している。このことから、皮膜の厚さよりも皮膜の屈折率が吸収率に関係していることが示されている。
この結果は、屈折率により計算した理想的な界面の結果と傾向が一致した。
以上の結果より、セラミック基材に、熱媒体を通過させるための複数の流路が併設された熱吸収体であって、該セラミック基材が特定の物質からなるセラミック皮膜を有することを特徴とする熱吸収体は、効率良く光を吸収できることが確認された。このため、この熱吸収体を用いた集熱レシーバーは、太陽熱発電装置に用いた場合にシステム全体として熱効率の高い集熱レシーバーとなることが確認される。さらにこの集熱レシーバーを用いた太陽熱発電装置は、システム全体として熱効率が高いことが確認される。
1〜3、10、10b、10c (集合型)熱吸収体
11 セラミック基材
12 セラミック皮膜
13、13b、13c 流路
14 熱媒体
100 集熱レシーバー
112 支持体
1000 太陽熱発電装置

Claims (7)

  1. セラミック基材に、熱媒体を通過させるための複数の流路が併設された熱吸収体であって、
    該セラミック基材は、SiO、Al、ムライト、ZrO、Si、AlN、MgO及びTiOからなる群から選択された少なくとも1種の物質からなるセラミック皮膜を有することを特徴とする熱吸収体。
  2. 前記セラミック皮膜を構成する物質は、前記セラミック基材を構成する物質と少なくとも一つの共通する元素を有する請求項1に記載の熱吸収体。
  3. 前記共通する元素は金属シリコンであって、前記セラミック基材はSiC、前記セラミック皮膜はSiOからなる組合せである請求項2に記載の熱吸収体。
  4. 前記セラミック基材は、α−SiCを含有する請求項3に記載の熱吸収体。
  5. 前記セラミック皮膜の厚さは145nm〜3000nmである請求項1〜4のいずれかに記載の熱吸収体。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載の熱吸収体を1個又は複数個と、
    該熱吸収体の流路の一方の開口が集熱レシーバーの外表面に露出するように熱吸収体を収納して支持する支持体とを備えることを特徴とする集熱レシーバー。
  7. 請求項6に記載の集熱レシーバーを用いたことを特徴とする太陽熱発電装置。
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