JP2015008513A - 腕装着型電子機器 - Google Patents
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Abstract
Description
このような無線機能付きの電子時計として、例えば腕時計に無線機能を付与する場合、限られたスペースで良好な機能を確保できるアンテナが要求される(例えば、特許文献1,2参照)。
特許文献2では、不平衡給電されるアンテナを腕時計のカバーガラスとムーブメントとの間に配置された文字板の外周に沿って配置するとともに、文字板をグランド板の一部として利用している。
また、腕装着型とは、手首に装着する場合のみならず、例えば上腕に装着するなど、腕のいずれの位置に装着するものも対象とすることができる。
本発明では、アンテナで受信した無線電波に基づく受信信号を処理する受信部を情報表示部および裏蓋間に配置させ、情報表示部の周囲に沿って線状のアンテナ電極を配置させるとともに、裏蓋を導電性部材にて形成して無線電波を反射する反射板として機能させている。このことにより、情報表示部と裏蓋とは、間に受信部が介在するためにある程度の距離で離間する。このため、情報表示部の周囲に沿って配置されたアンテナ電極と裏蓋(反射板)もある程度の距離で離間する状態となり、アンテナに近接する文字板等を反射板とした場合に比べて、アンテナでの受信性能を向上できる。さらに、裏蓋が反射板として機能するので、腕時計として利用してもアンテナ同調周波数の変化を防止でき、アンテナの特性を向上でき、良好な受信特性が得られる。特に、裏蓋は、比較的に外形寸法を大きく設計しやすいため、無線電波の反射効率の向上が容易で、アンテナの特性を容易に向上できる。
本発明では、アンテナとして、誘電体基材に設けるアンテナ電極の周囲長を、誘電体基材により波長短縮された無線電波の波長に対して略1波長としているので、アンテナの受信性能を最適にできる。
なお、周囲長が波長短縮された波長に対して略1波長とは、例えば、0.9波長〜1.3波長の範囲、特に1.1波長が好適である。
この発明では、誘電体基材の上面側に配置されたアンテナ本体部で受信した電波の受信信号は、アンテナ本体部から分岐された給電部から接続部材を介して受信部に伝達される。このことから、例えば接続部材が他の導電性の部位と接触しないように接続部材を貫通させる貫通部を設けるなどの簡単な構成で、受信した電波に基づく受信信号が適切に受信部へ伝達される。
このような非導電性部材で形成された文字板や表示パネルの周囲に沿ってアンテナ電極を配置すれば、受信特性の劣化がなく、良好な受信特性が得られる。
以下、本発明に係る第1実施形態を図面に基づいて説明する。
文字板2は、非導電性部材、例えば合成樹脂やより高級な質感が得られるセラミックスなどにて円板状に形成されている。そして、文字板2の一部には開口が形成され、情報表示部としてのLCD(Liquid Crystal Display)パネル等からなるディスプレイ4が組み込まれている。
指針3は、秒針、分針、時針等を備えて構成され、後述するステップモーター及び歯車列を含む駆動機構を介して駆動される。なお、指針3は面積が小さいことから、金属製であっても無線電波の受信に支障ないが、非導電性材料であれば無線電波が遮断される影響を回避できて好ましい。
ディスプレイ4はLCDパネル等で構成され、緯度、経度や都市名等の位置情報を表示する他、メッセージ情報を表示する。
なお、図1に示すGPS衛星5a,5b,5c,5dは、本発明における位置情報衛星の一例であり、地球の上空に複数存在している。現在は約30個のGPS衛星5a,5b,5c,5dが周回している。
また、電子機器1には、外部操作用のリュウズ6、ボタン7,8が設けられている。
次に、電子機器1の内部構成について説明する。
図2及び図3に示すように、電子機器1は、指針3を駆動するモジュール110と、モジュール110を収容する本体ケース10とを備えている。
外装ケース101は、非導電性部材である各種合成樹脂で形成されている。この外装ケース101により、本発明のケースが構成されている。
裏蓋102は外装ケース101の一方の開口(図2下側)に対してねじ構造により接続される。これにより、本体ケース10内には、外装ケース101の他方の開口(図2上側)に開口面103を有するキャビティー104が形成され、このキャビティー104にモジュール110が収容される。
そして、文字板2の外周縁の一部、具体的には、電子機器1の9時位置近傍には、カバーガラス130側の空間とモジュール110側の空間を連通する切欠部121が形成されている。
なお、回路基板25に実装された回路素子としては、GPS衛星5a,5b,5c,5dから受信した信号を処理する受信部18(図4参照)や、駆動機構の制御を行う制御部20(図4参照)などが含まれている。そして、回路素子のうち、受信部18は、ノイズの影響を避けるために、GPSアンテナ11、LCDパネルに対して回路基板25の反対側(裏蓋102側)で、かつ回路基板25の中央部に設けられる。
GPSアンテナ11は、前述したGPS衛星5a,5b,5c,5dからの信号を受信するものであり、文字板2の表面側に配置され、文字板2の外周縁と、GPSアンテナ11の外周縁とが略一致する状態に形成されている。そして、GPSアンテナ11の最大寸法である外径寸法(外形寸法)は、裏蓋102の外径寸法(外形寸法)より小さい寸法に形成されている。すなわち、裏蓋102の外径の方が、GPSアンテナ11より大きく形成されている。なお、このGPSアンテナ11の詳細については後述する。
ダイヤルリング140は、非導電性部材である合成樹脂にて円環状に形成され、外周にGPSアンテナ11を収容する凹みを有する。ダイヤルリング140は、文字板2の表面側(電子機器1の厚さ方向におけるカバーガラス130側)で、文字板2の周囲に沿って配置され、内周が文字板2へと向かう傾斜面(円錐面)とされ、この傾斜面には60分割で指示目盛が印刷されている。
ベゼル150は、外周が外装ケース101の外周に連続する円環状に形成され、互いの対向面に形成された凹凸による嵌め合わせ構造あるいは両面粘着テープや接着剤等の手段により本体ケース10の外装ケース101に接続されている。ベゼル150は、カバーガラス130を保持するとともに、ダイヤルリング140を文字板2側へ押しつけて保持している。
そして、ダイヤルリング140の凹みに配置されたGPSアンテナ11は、ダイヤルリング140とベゼル150とで覆われる状態に配置されている。
以上により、カバーガラス130がモジュール110の表面側を覆うように配置され、カバーガラス130とモジュール110との間に文字板2が配置され、この文字板2とカバーガラス130との間に指針3及びGPSアンテナ11が配置されている。
外装ケース101、文字板2、ダイヤルリング140及びベゼル150は、非導電性材料で形成され、カバーガラス130も非導電性のガラス質材料で形成されている。これらの各要素は質感を考慮した表面仕上げが施されている。なお、ベゼル150を構成する非導電性材料としては、例えば合成樹脂を用いることも可能であるが、より硬度が高くて傷が付きにくく、より高級な質感が得られるセラミックスにより形成されることが好ましい。
このような材質とすることで、文字板2から表面側(図2上側)にあるダイヤルリング140,ベゼル150、カバーガラス130は全て非導電性材料となり、これらがGPSアンテナ11に対して電磁気的な遮蔽物として影響することはない。
GPSアンテナ11は、図4に示すように、矩形断面形状を有するリング状の誘電体基材111を備え、その表面にアンテナ電極112が形成されている。このGPSアンテナ11が本発明のアンテナを構成し、アンテナ電極112が本発明のアンテナ部を構成している。
この周波数が1.575GHzの衛星信号の電波を、誘電体を用いずに受信させるためには、ループアンテナとグランド板との間隔を3〜4.8cmとする必要があり、腕時計としては適用できない寸法となる。これに対して、誘電体基材111上にアンテナ電極112を設置することで、誘電体基材111により衛星信号の電波の波長を短縮させ、短縮させた波長をアンテナ電極112で受信させることが可能となる。ここで、比誘電率εrの誘電体基材111では、電波の波長短縮率は1/(εr)1/2となる。このため、比誘電率εrの値を大きくすれば、より波長短縮されることとなる。
一方、比誘電率εrの高い誘電体を用いると周波数帯域幅が狭くなり急峻な特性となり周波数調整が困難となったり、腕に装着した場合に周波数ズレで特性が劣化してしまうおそれがある。
したがって、実際に利用できる誘電体としては、比誘電率εrが20以下、好ましくは4〜10に設定された誘電体基材111である。このような誘電体基材111としては、例えばアルミナ(εr=8.5)を主成分としたセラミックや、マイカを成分としたセラミックである、いわゆるマイカレックス(εr=6.5〜9.5)、ガラス(εr=5.4〜9.9)、ダイヤモンド(εr=5.68)などを用いることができる。
このような誘電体基材111を用いることで、波長19cmの衛星信号の電波を、例えば直径約3cm(周囲長約9.4cm)(比誘電率εrが5の場合)のループアンテナ型のアンテナ電極112にて受信させることができ、一般的な時計ケース内にGPSアンテナ11を配置できる。
また、誘電体基材111を用いることで、ループアンテナとグランド板との適切な間隔は0.8〜2.0cm程度となる。一般的な腕時計の厚さ寸法は、0.8〜1.6cmであることから、誘電体基材111を用いることで、ループアンテナとグランド板とを適切な間隔に設定しても、十分に腕時計として適用できる。
このアンテナ電極112は、アンテナ本体部113と、結合部114と、給電部115と、を備えている。
アンテナ本体部113は、誘電体基材111の裏蓋102に対向する下面とは反対側の上面側にリング状に形成される線状部分であり、カバーガラス130側から進入した電波、または裏蓋102により反射された電波を受信する。このアンテナ本体部113は、周囲長が受信する電波を誘電体基材111により波長短縮された波長に対する略1波長(0.9波長〜1.3波長)の長さに形成されている。特に、アンテナ本体部113の周囲長は、1.1波長の長さが最適である。具体的には、誘電体基材111の比誘電率εrが20である場合には、アンテナ本体部113の直径は約3cmとなる。
そして、このアンテナ本体部113の内周縁の一部には、分岐点116が形成され、この分岐点116から誘電体基材111の内周側面に延出して結合部114が形成される。この結合部114は、誘電体基材111の内周側面に沿って周方向に形成される。そして、結合部114の分岐点116とは反対側の端部は、誘電体基材111の下面側に向かって延出し、誘電体基材111の下面側において、結合部114に連続する給電部115が形成される。この給電部115は、図2及び図3に示すように、電子機器1の9時方向で、文字板2の切欠部121に対向する位置に形成され、切欠部121を挿通する接続ピン61の先端部が給電部115の一点(給電点117)に接触する。ここで、分岐点116から結合部114を通り給電点117に至るまでの長さ寸法は、GPSアンテナ11で受信する電波の約1/4波長の長さ寸法である。
また、接続基部62は、図4に示すように、リード線251により回路基板25の中央部の接続点251Aに接続され、この接続点251Aにおいて、回路基板25の裏蓋102側に設けられる受信部18に接続されている。ここで、本実施形態のような1波長ループアンテナのGPSアンテナ11により効率的な円偏波受信のために、接続点251Aは、回路基板25の中央部に位置することが好ましい。一方で、接続点251Aを回路基板25の中央部に設ける場合、配線が長くなるため、信号損失が増大するという問題がある。このような問題を改善するために、GPSアンテナ11および受信部18の間、より具体的には、GPSアンテナ11と、1.5GHzの衛星信号を抜き出す図示しないバンドパスフィルターとの間に、後述するLNA(ローノイズアンプ)28(図5参照)を設け、信号損失を補う構成としてもよい。
なお、接続基部62と受信部18との接続方法としては、上記に限られず、例えば接続基部62が回路基板25上のプリント配線に接続され、プリント配線を介して受信部18に接続される構成などとしてもよい。
また、本発明のGPSアンテナ11としては、合成樹脂製のダイヤルリング140の上側表面に金属メッキを施してアンテナ電極112を形成するなどして、ダイヤルリング140に一体化されたGPSアンテナ11を用いてもよい。この場合も、アンテナ電極112が形成されるダイヤルリング140の上側表面をベゼル150で被覆することで、アンテナ電極112が外部に露出せず、外観を向上できる。
ここで、図6は、GPSアンテナ11の放射パターンのシミュレーション結果を示す特性図である。図6に示すように、GPSアンテナ11のカバーガラス130側となる天頂方向をZ軸とし、このZ軸に対する傾きを角度θとする。なお、GPSアンテナ11の裏蓋102側は、角度θが180°である。
この図6に示すように、裏蓋102がプラスチックケースだと、グランド板がない状態となり、裏蓋102側である腕側からも電波を受信できる状態となる。このため、近傍にある腕の影響を受けて装着時と非装着時でアンテナの共振周波数が変動し、性能差が出て好ましくない。一方、本実施形態では、裏蓋102が金属製なので、裏蓋102がグランド板(反射板)として機能して、電子機器1の上方向である角度θが0°近傍でのアンテナゲインが向上している。さらに、裏蓋102が金属製なので、そのシールド効果により下方側である角度θが180°近傍でのアンテナゲインが小さい。このことから、上述した腕の影響を回避でき、本実施形態では装着時と非装着時とのアンテナ特性差が殆どなく、安定した受信性能が得られる。
次に、電子機器1の回路構成に関して説明する。
図5は、電子機器1の主なハードウエア構成等を示す概略図である。
図5に示すように、電子機器1は、GPSアンテナ11、信号増幅手段であるLNA(ローノイズアンプ)28、受信部18、時刻表示装置80及び電源供給装置90を含んで構成されている。
このGPSアンテナ11の出力は、LNA28に接続されている。
なお、本実施形態の受信部18は、例えば8個の衛星信号を同時に捕捉、受信できるように8チャンネルの受信回路を備えている。
具体的には、捕捉した衛星信号の信号強度が予め設定された閾値未満の場合、LNA28を作動状態に制御する。
一方、捕捉した衛星信号の信号強度が予め設定された閾値以上の場合、LNA28を停止状態に制御する。
さらに、GPS信号処理部60は、受信モードに応じて、受信部18の動作を制御する。
制御部20は、受信部18を制御する。すなわち、制御部20は、ボタン7,8が押し続けられて強制受信操作が行われた場合や、予め受信時刻が設定されておりその時刻になった場合に、制御信号を受信部18に送り、受信部18の受信動作を制御する。また、制御部20内の図示しない駆動回路を介して指針3の駆動を制御する。
さらに、制御部20は、測時モードに設定されると、受信部18の動作を制御してGPS時刻情報を取得し、そのGPS時刻情報に基づいて内部時刻情報を修正して記憶する。より具体的には、内部時刻情報は、取得したGPS時刻情報に1980年1月6日以降挿入されたうるう秒の累積(現在は15秒)を減算することで求められるUTC(協定世界時)に修正される。さらに、時差データが記憶されている場合には、その時差データも加算して現在地の時刻情報に修正して記憶する。
また、制御部20は、測位モードに設定されると、受信部18の動作を制御してGPS時刻情報と測位データを取得し、そのGPS時刻情報とうるう秒の累積及び現在地から求められる時差データに基づいて、内部時刻情報を修正して記憶する。なお、測位データと時差データとの対応関係を表すデータは、予め記憶されている。
二次電池91は、LNA28、受信部18及び時刻表示装置80等に駆動電力を供給する。
充電器93は、例えば外装ケース101内に回転自在に配置された図示しない回転錘と、この回転錘の回転により発電する発電機とを備えている。なお、充電器93としては、発電機を備えた内部構成に限らず、例えば電子機器1とは別体構成で、外装ケース101内に配置した外部端子にて電力を供給する構成としてもよい。そして、外部端子としては、接触型もしくは非接触型のいずれの構成としてもよい。
充電制御回路92は、充電器93から供給される電力を二次電池に供給して充電させる。
次に、受信処理について説明する。
GPSアンテナ11で複数のGPS衛星5a,5b,5c,5dからの衛星信号を受信し、LNA28へ受信した衛星信号を出力する。
LNA28は、GPS信号処理部60からの制御信号に基づいて、受信した衛星信号を適宜増幅して受信部18へ出力する。具体的には、LNA28では、GPS信号処理部60から、オン信号(例えばハイレベル信号)が入力されると衛星信号をオペアンプなどで増幅して受信部18へ出力し、オフ信号(例えばローレベル信号)が入力されると、入力された衛星信号は増幅されずに受信部18へ出力する。
受信部18のGPS信号処理部60は、各C/Aコードと同一のパターンのローカルコードを発生し、ベースバンド信号に含まれる各C/Aコードとローカルコードの相関をとる処理を行う。そして、GPS信号処理部60は、各ローカルコードに対する相関値がピークになるようにローカルコードの発生タイミングを調整し、相関値が閾値以上となる場合にはそのローカルコードのGPS衛星5a,5b,5c,5dに同期(すなわち、GPS衛星5a,5b,5c,5dを捕捉)したものと判断する。
ここで、GPSシステムでは、すべてのGPS衛星5a,5b,5c,5dが異なるC/Aコードを用いて同一周波数の衛星信号を送信するCDMA(Code Division Multiple Access)方式を採用している。従って、受信した衛星信号に含まれるC/Aコードを判別することで、捕捉可能なGPS衛星5a,5b,5c,5dを検索することができる。
また、GPS信号処理部60は、捕捉したGPS衛星5a,5b,5c,5dのC/Aコードと同一のパターンのローカルコードとベースバンド信号をミキシングして航法メッセージを復調し、航法メッセージに含まれる軌道情報やGPS時刻情報等の衛星情報を取得する。
そして、GPS信号処理部60は、取得した時刻データ、測位データを時刻表示装置80の制御部20に出力する。
そして、時刻表示装置80の制御部20は、GPS信号処理部60からの時刻データ、測位データに基づいて、内部時刻情報を修正して記憶し、適宜指針3を運針して表示時刻を修正する。
上述したように、上記第1実施形態の電子機器1によれば、以下の効果がある。
(1)本実施形態では、裏蓋102として無線電波を反射させる導電性部材にて形成し、文字板2の周囲に沿って、GPSアンテナ11の線状のアンテナ電極112を配置している。
このことにより、GPSアンテナ11と裏蓋102とを、良好な受信性能が得られる距離に離間する状態が得られ、GPSアンテナ11での受信性能を向上できる。
さらに、裏蓋102が反射板として機能し、かつ腕時計として利用してもアンテナ同調周波数の変化を防止でき、GPSアンテナ11の特性を向上でき、良好な受信特性が得られる。
特に、電子機器1の厚さ寸法の方向において、文字板2よりカバーガラス130側の上方であり、文字板2より裏蓋102から遠くなる位置に配置されるダイヤルリング140およびベゼル150間にGPSアンテナ11を配置している。
このため、腕時計として利用しても、電子機器1の厚みを厚くすることなく、GPSアンテナ11と裏蓋102とを適切に離間させることができ、良好な受信性能が得られる。
このため、裏蓋102の無線電波の反射効率が向上し、受信性能を向上できる。
特に、裏蓋102は、文字板2に比べて外形寸法を大きく設計できるため、無線電波の反射効率の向上が容易で、GPSアンテナ11の特性を容易に向上できる。
このため、無線電波が遮断されることがなく、良好な受信性能が得られる。
さらに、GPSアンテナ11が外部に露出することがなく、外観が損なわれることも防止できる。また、文字板2の周囲に配置されるダイヤルリング140とベゼル150との間にGPSアンテナ11を配置していることから、文字板2の表示視認を妨げることを防止できる。
例えば、導電性の文字板2を用いた場合では、文字板2がグランド板として機能し、GPSアンテナ11とグラウンド板となる文字板2とが隣接する状態となり、受信特性の劣化を生じるおそれがある。
本実施形態では、文字板2を非導電性部材にて構成しているので、文字板2はグラウンド板として機能することはなく、適性に離間する金属製の裏蓋102をグランド板として機能させることができ、無線電波を良好に受信できる。
このため、給電部115と文字板2との接触、接続ピン61と文字板2との接触を防止することができ、かつ接続ピン61によりアンテナ電極112と回路基板25の受信部18とを確実に電気的に接続することができる。また、接続ピン61が給電点117側に付勢されているため、例えば時計に衝撃が加わった場合でも接続ピン61と給電点117との接続が良好に維持することができる。
次に、本発明の第2実施形態を図面に基づいて説明する。
この第2実施形態は、第1実施形態における文字板2を用いて時刻表示する構成に代え、液晶表示により時刻表示するものである。
図7は、本発明の第2実施形態に係る電子機器1の概略断面図である。なお、以下の実施形態における図の説明にあたって、上記第1実施形態と同一構成要素については、同一符号を付し、その説明を省略する。
外装ケース101には、板状の時刻表示用の情報表示部としての表示パネルである液晶パネル17を備え、液晶パネル17を制御するモジュール110が収容されている。なお、外装ケース101は、第1実施形態のダイヤルリング140およびベゼル150を備えていない。
モジュール110は、液晶パネル17の表示面17Aをカバーガラス130に向けて保持する液晶保持部110Aと、液晶パネル17と電気的に接続させる接続コネクター110Bとを備えている。
ここで、液晶パネル17は、微視的に透明電極などの導電性部材を有しているが、全体からの比率としては極めて少ないので、無線電波を遮断してしまう不都合はなく、実質的に非導電性部材として扱える。
そして、GPSアンテナ11は、モジュール110の外周に沿って液晶保持部110Aの外側に配設されている。すなわち、液晶パネル17の外周側に配置されている。
このため、液晶パネル17にて無線電波が遮断されずにグランド板として機能する裏蓋102で反射させることができ、無線電波の反射効率を向上させ、GPSアンテナ11で無線電波を良好に受信できる。
このため、電子機器1の厚さ寸法が厚くなることを防止できるとともに、GPSアンテナ11の径寸法を大きく設定できることから、受信性能を向上できる。
次に、本発明の第3実施形態を図面に基づいて説明する。
この第3実施形態は、第1実施形態の非導電性部材製の外装ケース101に代えて、導電性部材製のカバー体101Aを用いたものである。
図8は、本発明の第3実施形態に係る電子機器1の概略分解斜視図である。
なお、ベゼル部15は、ケース体101Bの軸方向の一端側(図8上側)に載置される状態に配置されている。すなわち、第1実施形態ではモジュール110の外周縁にGPSアンテナ11の外周縁が略一致する構成としているが、第3実施形態ではGPSアンテナ11の外径をモジュール110の外径より大きく形成している。
さらに、カバー体101Aに、ボタン用切欠部108および切欠部109を設けている。このため、金属製のカバー体101Aが設けられていても、ボタン用切欠部108および切欠部109を介して無線電波を受信できるので、無線電波の受信性能の低下を最小限に抑えることができる。
なお、本発明は前述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
例えば、図9に示すGPSアンテナ11のように、アンテナ本体部113の外周側に分岐点116が設けられ、この分岐点116から誘電体基材111の外周側面に延出し、外周側面の周方向に沿って結合部114が形成される構成などとしてもよい。
例えば、デジタル表示式の時計などにおいて、平面略方形状の外形形状を有する時計の場合には、図10に示すような、時計形状に合わせて正方形や長方形などの方形状のGPSアンテナ11を用いることもできる。
このような方形状のGPSアンテナ11では、平面方形状の時計にリング状のGPSアンテナ11を組み込む場合に比べて、アンテナ電極112の周囲長をより長く形成することができるため、よりアンテナ特性を良好にすることができる。また、平面方形状の時計では、方形状のGPSアンテナ11を用いることで、その内部空間を有効に活用でき、例えばデジタル表示用のディスプレイを大きく形成することができる。
この図11に示すGPSアンテナ11Aの場合でも、C字状のアンテナ本体部113Aの一端部から、1/4波長となる位置に結合部114に接続される分岐点116を形成することで、円偏波の電波が受信可能となる。
さらに、誘電体基材111の側面に結合部114を設ける構成に限らず、例えば誘電体基材111に軸方向に沿って貫通する穴を通してアンテナ本体部113と給電部115とを接続する構成としてもよい。
そして、本発明の腕装着型電子機器では、このような位置情報衛星から衛星信号を電波受信する構成に限られるものではなく、例えば900MHz帯を用いる円偏波の無線タグの近距離無線受信装置(900MHz帯のRF-ID機能)として適用することもできる。
さらには、本発明の腕装着型電子機器は、円偏波を受信する構成に限らず、直線偏波の電波を受信するものとしても用いることができる。
その他、無線電波としては、2.4GHz帯の無線通信を行うBluetooth(登録商標)、無線LANなども対象とすることができる。
例えば、無線通信回線を利用する腕装着型の携帯電話機、現在位置から目的地まで案内誘導するナビゲーション装置、ランニング用や登山用など、移動距離や移動時間、通過場所や通過時間などを記録、表示する情報装置、通行証や入場証などのICカード機能およびICカード機能における利用状況の履歴等の情報を表示させる機能を備えた各種携帯情報端末などが例示できる。
さらに、GPSアンテナ11を文字板2や液晶パネル17等の表示パネルの下面側(裏蓋102側)に配置し、GPSアンテナ11を情報表示部で被覆してもよい。すなわち、本発明では、GPSアンテナ11のアンテナ電極112は、文字板2や表示パネル等の情報表示部の周囲に沿って配置されていればよい。従って、第1実施形態のように、情報表示部の上面側にアンテナ電極112が配置されていてもよいし、第2実施形態のように、情報表示部の外側にアンテナ電極112が配置されていてもよいし、情報表示部の下面側にアンテナ電極112が配置されていてもよい。
また、腕装着型とは、手首に装着する場合のみならず、例えば上腕に装着するなど、腕のいずれの位置に装着するものも対象とすることができる。
本発明では、アンテナで受信した無線電波に基づく受信信号を処理する受信部を情報表示部および裏蓋間に配置させ、情報表示部の周囲に沿って配置された誘電体基材に線状のアンテナ電極を配置させるとともに、裏蓋を導電性部材にて形成して無線電波を反射する反射板として機能させている。このことにより、情報表示部と裏蓋とは、間に受信部が介在するためにある程度の距離で離間する。このため、情報表示部の周囲に沿って配置された誘電体基材に配置されたアンテナ電極と裏蓋(反射板)もある程度の距離で離間する状態となり、アンテナに近接する文字板等を反射板とした場合に比べて、アンテナでの受信性能を向上できる。さらに、裏蓋が反射板として機能するので、腕時計として利用してもアンテナ同調周波数の変化を防止でき、アンテナの特性を向上でき、良好な受信特性が得られる。特に、裏蓋は、比較的に外形寸法を大きく設計しやすいため、無線電波の反射効率の向上が容易で、アンテナの特性を容易に向上できる。
本発明では、アンテナとして、誘電体基材に設けるアンテナ電極の周囲長を、誘電体基材により波長短縮された無線電波の波長に対して略1波長としているので、アンテナの受信性能を最適にできる。
なお、周囲長が波長短縮された波長に対して略1波長とは、例えば、0.9波長〜1.3波長の範囲、特に1.1波長が好適である。
面C字形状の誘電体基材やアンテナ本体部をも含むものである。また、誘電体基材やアンテナ本体部は、両方とも周方向で連続する形状の場合と、両方とも周方向で不連続の形状の場合と、一方が周方向で連続する形状であり、他方が周方向で不連続の形状である場合のいずれでもよい。
この発明では、誘電体基材の上面側に配置されたアンテナ本体部で受信した電波の受信信号は、アンテナ本体部から分岐された給電部から接続部材を介して受信部に伝達される。このことから、例えば接続部材が他の導電性の部位と接触しないように接続部材を貫通させる貫通部を設けるなどの簡単な構成で、受信した電波に基づく受信信号が適切に受信部へ伝達される。
このような非導電性部材で形成された文字板や表示パネルの周囲に沿ってアンテナ電極を配置すれば、受信特性の劣化がなく、良好な受信特性が得られる。
本発明の腕装着型電子機器において、前記アンテナ電極と前記裏蓋との距離は、前記アンテナ電極で受信する前記無線電波の波長の0.25倍以下であることが好ましい。
本発明の腕装着型電子機器において、前記誘電体基材は、比誘電率が4以上且つ20以下であることが好ましい。
Claims (6)
- 外部から送信される無線電波を受信するアンテナと、
少なくとも一部が非導電性部材にて形成されたケースと、
このケース内に収納され、非導電性部材にて板状に形成された情報表示部と、
前記ケースに取り付けられ、導電性部材にて形成される裏蓋と、
前記ケース内の前記情報表示部および前記裏蓋間に位置して収納され、前記アンテナで受信した無線電波に基づく受信信号を処理する受信部と、を備え、
前記アンテナは、前記情報表示部の周囲に沿って配置されて線状に形成されたアンテナ電極を有し、
前記裏蓋は、前記受信部のグランド電位に接続されて前記無線電波を反射する反射板として機能する
ことを特徴とする腕装着型電子機器。 - 請求項1に記載の腕装着型電子機器において、
前記裏蓋は、前記アンテナ電極の外形寸法より大きい外形寸法に形成されている
ことを特徴とする腕装着型電子機器。 - 請求項1または請求項2に記載の腕装着型電子機器において、
前記情報表示部の周囲に沿って配置され、非導電性部材にて環状に形成されたダイヤルリングと、
このダイヤルリングの外周側に配置され、非導電性部材にて環状に形成されたベゼルとを備え、
前記アンテナは、前記ダイヤルリングと前記ベゼルとの間に覆われて配置されている
ことを特徴とする腕装着型電子機器。 - 請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載の腕装着型電子機器において、
前記アンテナは、前記アンテナ電極が設けられる環状の誘電体基材を有し、
前記アンテナ電極は、前記誘電体基材により波長短縮された前記無線電波の波長に対して略1波長分の周囲長に形成されている
ことを特徴とする腕装着型電子機器。 - 請求項1から請求項4までのいずれか一項に記載の腕装着型電子機器において、
前記アンテナは、前記アンテナ電極が設けられる環状の誘電体基材を有し、
前記アンテナ電極は、前記誘電性基材における前記裏蓋に対向する下面とは反対側の上面に配置される環状のアンテナ本体部と、このアンテナ本体部の一部に設けられる少なくとも1つ以上の分岐点から分岐され、前記誘電性基材に設けられる給電部と、を有し、
前記ケース内に収納され、前記給電部に接触するとともに前記受信信号を前記受信部に伝達する接続部材を備えている
ことを特徴とする腕装着型電子機器。 - 請求項1から請求項5までのいずれか一項に記載の腕装着型電子機器において、
前記情報表示部は、文字板または表示パネルである
ことを特徴とする腕装着型電子機器。
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